(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-16
(45)【発行日】2025-04-24
(54)【発明の名称】パターニング材料、パターニング組成物、およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20250417BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20250417BHJP
【FI】
G03F7/004
G03F7/004 531
G03F7/20 521
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2023563072
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2022086417
(87)【国際公開番号】W WO2022218315
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】202110402526.2
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】▲儀▼ ▲暁▼▲鳳▼
(72)【発明者】
【氏名】王 迪
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 宇
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属M-酸素架橋結合によって形成された金属-酸素クラスタフレームワークと、放射線感受性有機配位子と、第2の配位子とを含むパターニング材料であって、
前記放射線感受性有機配位子は、配位原子を介して前記金属Mと配位結合し、前記配位原子は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、窒素原子、およびリン原子のうちの少なくとも1つであり、前記放射線感受性有機配位子は、単座配位子または座数が2以上の多座配位子であり、前記第2の配位子は、無機イオンまたは配位基で
あり、
前記パターニング材料が、[In
4
(μ4-O)]
2
In
4
O
2
(OH)
2
(L
1
)
4
(L
2
)
8
X
6
で表されるインジウム-酸素クラスタ材料であって、
L
1
=OR
1
、R
1
=CH
3
、L
2
=NH(CH
2
CH
2
O)
2
、X=Clであるか、
L
1
=OR
1
、R
1
=CH
3
、L
2
=NH(CH
2
CH
2
O)
2
、X=Brであるか、もしくは
L
1
=OR
1
、R
1
=C
6
H
4
NO
2
、L
2
=NH(CH
2
CH
2
O)
2
、X=Clであり、
L
1
およびL
2
が同じ配位子内に共存するやり方で前記放射線感受性有機配位子として使用され、Xは前記第2の配位子であるか、または
前記パターニング材料が、[Sn
10
O
12
(L
1
)
12
X
8
]で表されるスズ-酸素クラスタ材料であって、L
1
=4-メチルピラゾール、X=Clであり、
L
1
が前記放射線感受性有機配位子として使用され、Xは前記第2の配位子である、
パターニング材料。
【請求項2】
前記配位原子が酸素原子であり、前記放射線感受性有機配位子内の前記酸素原子が、カルボキシル基または過酸化物結合を形成しない、請求項1に記載のパターニング材料。
【請求項3】
前記インジウム-酸素クラスタ材料内の前記放射線感受性有機配位子が、前記配位原子として窒素原子または酸素原子を介して前記
Inと配位結合
する、請求項
1に記載のパターニング材料。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一項に記載のパターニング材料と、溶剤とを含む、放射線感受性パターニング組成物。
【請求項5】
前記溶剤が、カルボン酸エステル、炭素原子数1~8のアルコール、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびアミドのうちの少なくとも1つである、請求項
4に記載の放射線感受性パターニング組成物。
【請求項6】
パターン形成方法であって、
放射線感受性コーティングでコーティングされた基板を形成するステップであって、前記放射線感受性コーティングが、請求項1から
3のいずれか一項に記載のパターニング材料を含む、ステップと、
露光されたコーティングを有する領域と、露光されていないコーティングを有する領域とを含む露光構造を形成するために、必要なパターンに応じて前記コーティングされた基板を放射線で露光するステップと、
パターン化膜を有するパターン化基板を形成するために、前記露光構造を選択的に現像するステップとを含む、パターン形成方法。
【請求項7】
パターン化膜と基板とを含むパターン化基板であって、前記パターン化膜は、前記基板上の選択した領域内に存在して前記基板上の別の領域には存在せず、かつ前記パターン化膜は、請求項1から
3のいずれか一項に記載のパターニング材料を使用して形成される、パターン化基板。
【請求項8】
基板をパターニングする方法であって、前記基板の表面にパターン化構造を形成するために、請求項
7に記載のパターン化基板上で、エッチングまたは電子注入を行うステップを含む、方法。
【請求項9】
前記基板としてのシリコンウェハ上に、請求項
8に記載の基板をパターニングする方法を使用して形成された表面構造を含む、集積回路デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年4月14日に出願された中国特許出願第202110402526.2号の優先権を主張するものである。
【0002】
本出願は、パターニング材料、放射線感受性パターニング組成物、パターン形成方法、パターン化基板、基板をパターニングする方法、および集積回路デバイスの分野に関し、特に、パターニング材料、パターニング材料を含む放射線感受性パターニング組成物、パターニング材料を使用するパターン形成方法、パターニング材料を使用して形成されたパターン化基板、パターン化基板を使用して実行される、基板をパターニングする方法、および基板をパターニングする方法を使用して形成された表面構造を含む、集積回路デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
消費者電子製品、特に、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話、ウェアラブル電子デバイス、および仮想現実デバイスなどの様々な端末が小型化しかつ高性能になるのに伴って、集積回路(IC)デバイスの高集積化に対する要求がますます高まっており、単位面積当たりのチップの計算パワーを徐々に高める必要があり、かつ電子製品の効率をますます高める必要がある。特に単位面積当たりのチップの計算パワーを向上させること、つまり対応する限界寸法をより小さくすることについて集積回路業界の急速な発展を支援するためには、パターニング技術の急速な発展が不可避である。チッププロセスの大量生産を支援するために、集積回路のパターニングプロセスが開発されてきた。特に、パターニングプロセスは通常は以下のステップを含み、所与のパターンのテンプレートを介してコーティング基板フィルム層が照射されて、照射されたコーティング領域と照射されていないコーティング領域とを含む照射構造を形成する。照射構造または非照射構造は、選択的に溶解され洗浄される。残材によって形成されたパターンは、テンプレートのパターンと同じになる。残りのパターニング材料は通常、エッチングステップにおいて耐エッチング性を有する。任意選択で下層保護材料が提供されてもよく、その結果基板はエッチングされないか、または緩慢にエッチングされる。その後、パターンが形成され下層基板に転写されて、シリコンウェハなどのウェハ上にパターンを形成する。このパターンは、最初の選択的露光によって得られたパターンである。具体的な処理が
図1に示されている。
【0004】
15nm未満の短波長を含む光線を使用する、パターニングの最も高度な処理では、パターニング技術の光源の伝達効率が低く、パターニング材料が高感度であることが要求される。通常、露光エネルギーは30mJ/cm2以内、最高解像度は20nm未満、LER/LWRエッジ粗さは解像度が8%以内である。現在のパターニング材料は、10nm未満の最も高度なパターニングによって理論的には得られるはずの最高解像度を満たすことができていない。既存の材料系は、有機ポリマー、有機小分子、有機金属、有機ケイ素などを含む。有機ポリマー材料系は、従来のパターニング材料である。有機ポリマー材料系は、15nm未満の短波長が使用される前に使用される。パターニング用の光源の波長が15nm未満に低減されたときは、形成されるパターンの解像度の要件が高くなる。しかしながら、有機ポリマー材料系を使用して形成されるパターンの解像度の現在の限界は、約13nmである。したがって、業界では複数の材料系が検討されている。有機ケイ素材料系は、高解像度で分子サイズが小さい。しかしながら、ケイ素は、15nm未満の光源に対する感度が低く、極めて高い露光エネルギーを必要とする。
【0005】
有機金属材料系に含まれているような、金属-有機クラスタパターニング材料が大いに注目されている。クラスタ材料は、長年様々な分野で研究されており、成熟した材料リソースライブラリを有している。金属-有機クラスタ材料は、15nm未満の光源に対して感受性が高く、様々な構成元素および方法を有し、選択するための大規模な範囲の分子クラスタを有し、かつ調整可能な範囲が大きい特性を有する。特に、大きさが2nm未満のクラスタ分子を使用することには、最終的なパターン解像度を上げ、エッジ粗さを低減し、感度を高めるという潜在的な利点がある。現在の材料ライブラリは巨大だが、金属-有機クラスタパターニング材料の性能は完全ではなく、いまだに多くの方法で検討されている。
【0006】
しかしながら、従来技術では、開発されてきた金属-有機クラスタパターニング材料は通常、露光後にCO2などのガスの発生を引き起こして露光機の内部を汚染し、大規模な工業生産の実施を困難にし、形成されるパターンの解像度およびエッジ粗さに悪影響を及ぼしている。加えて、従来技術では、金属-有機クラスタパターニング材料の構造安定性および放射線感受性はまだ改善される余地がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
これを考慮して、パターニング材料が提供される。パターニング材料は、安定的で均一で柔軟で、かつ調整可能な構造を有し、分子サイズが小さく、放射線(紫外光、X線、または電子線、特に、波長が15nm未満の紫外光、X線、および電子線)に対して感受性が高く(紫外光およびX線の場合、露光エネルギーが200mJ/cm2未満、電子線の場合、露光エネルギーは100μC/cm2未満)、露光中に有害なガスがほとんど発生しない(つまり、低アウトガス性に優れる)。したがって、パターニング材料は、ポジ型パターニング材料またはネガ型パターニング材料として使用されてよく、異なるシナリオに適合し、露光されて高解像度(100nm未満の解像度が得られ、かつ10nm未満の解像度がさらに得られる)、高パターンエッジ解像力(パターン解像度の30%未満のエッジ粗さが得られる)、および強い耐エッチング性を有するパターンが得られ、露光中に露光デバイスのキャビティにガス汚染がほとんど生じない。加えて、パターニング材料の合成方法および合成プロセスは簡単で、大規模生産が容易になる。
【0008】
放射線感受性パターニング組成物がさらに提供され、これはポジ型パターニング組成物またはネガ型パターニング組成物として使用されてもよく、異なるシナリオに適合し、露光されて高解像度、高パターンエッジ解像力、および強い耐エッチング性を有するパターンが得られ、露光中に露光デバイスのキャビティにガス汚染がほとんど生じない。
【0009】
パターン形成方法がさらに提供され、これは、高解像度、高パターンエッジ解像力、および強い耐エッチング性を有するパターンを効率的に形成でき、露光中に露光デバイスのキャビティにガス汚染がほとんど生じない。
【0010】
パターン化基板がさらに提供され、該パターン化基板は、高解像度、高パターンエッジ解像力、および強い耐エッチング性を有するパターンを含む、パターン化膜を含んでいるので、様々な適用シナリオにおける様々な基板上に、高解像度および高パターンエッジ解像力を有する表面構造を形成するのに適している。
【0011】
基板をパターニングする方法がさらに提供され、これには前述したパターン化基板が使用されるので、様々な基板上で、高解像度および高パターンエッジ解像力を有する表面構造が得られ、高解像度および高パターンエッジ解像力を有する表面構造が必要な、高集積の集積回路の製造に特に適している。
【0012】
集積回路デバイスがさらに提供され、基板をパターニングする方法を使用して表面構造が形成されるので、高集積を有することができる。
【0013】
第1の態様によれば、本出願の一実施形態は、金属M-酸素架橋結合によって形成された金属-酸素クラスタフレームワークと、放射線感受性有機配位子と、第2の配位子とを含むパターニング材料を提供する。
【0014】
放射線感受性有機配位子は、配位原子を介して金属Mと配位結合する。配位原子は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、窒素原子、およびリン原子のうちの少なくとも1つである。放射線感受性有機配位子は、単座配位子、または座数が2以上の多座配位子である。第2の配位子は、無機イオンまたは配位基である。
【0015】
この場合、本出願のパターニング材料は金属-酸素クラスタ材料であり、安定的で均一で柔軟で、かつ調整可能な構造を有し、分子サイズが小さく、放射線(紫外光、X線、または電子線、特に、波長が15nm未満の紫外光、X線、および電子線)に対して感受性が高く(紫外光およびX線の場合、露光エネルギーが200mJ/cm2未満、電子線の場合、露光エネルギーは100 μC/cm2未満)、露光中に有害なガスがほとんど発生しない(つまり、低アウトガス性に優れる)。したがって、パターニング材料は、ポジ型パターニング材料またはネガ型パターニング材料として使用されてよく、異なるシナリオに適合し、露光されて高解像度(100nm未満の解像度が得られ、かつ10nm未満の解像度がさらに得られる)、高パターンエッジ解像力(パターン解像度の30%未満のエッジ粗さが得られる)、および強い耐エッチング性を有するパターンが得られ、露光中に露光デバイスのキャビティにガス汚染がほとんど生じない。加えて、パターニング材料の合成方法および合成プロセスは簡単で、大規模生産が容易になる。
【0016】
第1の態様によれば、パターニング材料の第1の可能な実施態様では、パターニング材料は以下の通式(1)で表される。
MxOy(OH)n(L1)a(L2)b(L3)c(L4)dXm 通式(1)
【0017】
通式(1)において、3≦x≦72、0≦y≦72、0≦a≦72、0≦b≦72、0≦c≦72、0≦d≦72、0≦n≦72、0≦m≦72、y+n+a+b+c+d+m≦8x、x、y、a、b、c、d、m、およびnはすべて整数であり、a、b、c、およびdはすべてが0になることはなく、L1、L2、L3、およびL4は、L1、L2、L3、およびL4のうちの2つ以上が同じ配位子内で共存するやり方で、放射線感受性有機配位子として個別に使用され、Xは第2の配位子である。
【0018】
この場合、本出願のパターニング材料は、より適切な分子構造、良好な放射線感受性、および/または良好な低アウトガス性を有することができる。
【0019】
第1の態様によれば、パターニング材料の第1または第2の可能な実施態様では、金属Mは、インジウム、スズ、チタン、バナジウム、クロミウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、白金、銀、カドミウム、アンチモン、テルル、ハフニウム、タングステン、金、鉛、およびビスマスのうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
この場合、本出願のパターニング材料は、より安定した構造、および良好な放射線感受性を有することができる。
【0021】
第1の態様によれば、パターニング材料の第3の可能な実施態様では、金属Mは、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、セシウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、タンタル、レニウム、オスミウム、イリジウム、水銀、およびポロニウムのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0022】
この場合、本出願のパターニング材料の構造は、安定性を失うことなくより柔軟かつ調整可能になり、良好な放射線感受性を有する。
【0023】
第1の態様によれば、パターニング材料の第1~第4の可能な実施態様のいずれか1つにおいて、配位原子は酸素原子であり、放射線感受性有機配位子内の酸素原子は、カルボキシル基または過酸化物結合を形成しない。
【0024】
この場合、本出願のパターニング材料は、より安定した構造、および良好な低アウトガス性を有することができる。
【0025】
第1の態様によれば、パターニング材料の第1~第5の可能な実施態様のいずれか1つにおいて、放射線感受性有機配位子は、アルコールアミン、アルコール、フェノール、窒素含有複素環式化合物、ニトリル、ホスフィン、ホスホン酸、チオール、および有機セレン化合物のうちの少なくとも1つを使用して形成される。
【0026】
この場合、本出願のパターニング材料は、良好な放射線感受性、および良好な低アウトガス性を有することができる。
【0027】
第1の態様によれば、パターニング材料の第1~第6の可能な実施態様のいずれか1つにおいて、配位基は、ハロゲン基、カルボン酸基、スルホン酸基、ニトロ基、脂肪族アルコール基、芳香族アルコール基、脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基のうちの少なくとも1つであり、無機イオンは、ハロゲンイオン、SO4
2-、およびNO3
-のうちの少なくとも1つである。
【0028】
この場合、本出願のパターニング材料は、より安定した構造、良好な放射線感受性、および/または良好な低アウトガス性を有することができる。
【0029】
第1の態様によれば、パターニング材料の第2の可能な実施態様では、L1、L2、L3、およびL4はそれぞれ、アルコールアミン、アルコール、フェノール、窒素含有複素環式化合物、ニトリル、ホスフィン、ホスホン酸、チオール、および有機セレン化合物のうちの少なくとも1つから誘導される。
【0030】
この場合、本出願のパターニング材料は、より安定した構造、良好な放射線感受性、および良好な低アウトガス性を有することができ、かつより容易に得られる。
【0031】
第1の態様によれば、パターニング材料の第1~第8の可能な実施態様のいずれか1つにおいて、パターニング材料は、以下の通式(1-1)で表されるインジウム-酸素クラスタ材料である。
[M4(μ4-O)]x1Mx2Oy(OH)nXm(L1)a(L2)b(L3)c(L4)d 通式(1-1)
【0032】
通式(1-1)において、Mは少なくともインジウムを含み、1≦x1≦12、0≦x2≦24、0≦y≦24、0≦a≦36、0≦b≦36、0≦c≦36、0≦d≦36、0≦n≦24、0≦m≦24、y+n+m+a+b+c+d≦31(x1)+8(x2)、x1、x2、y、a、b、c、d、m、およびnはすべて整数であり、a、b、c、およびdはすべてが0になることはなく、L1、L2、L3、およびL4は、L1、L2、L3、およびL4のうちの2つ以上が同じ配位子内で共存するやり方で、放射線感受性有機配位子として個別に使用され、Xは第2の配位子である。
【0033】
本出願のインジウム-酸素クラスタ材料は、安定的で、均一で、柔軟で、かつ調整可能な構造を有し、良好な放射線感受性、および良好な低アウトガス性を有する。
【0034】
第1の態様によれば、パターニング材料の第9の可能な実施態様では、インジウム-酸素クラスタ材料内の放射線感受性有機配位子は、配位原子として窒素原子または酸素原子を介して金属Mと配位結合し、L1、L2、L3、およびL4はそれぞれ、アルコールアミン、アルコール、フェノール、窒素含有複素環式化合物、およびニトリルのうちの少なくとも1つから誘導される。
【0035】
この場合、本出願のインジウム-酸素クラスタ材料がより容易に得られ、さらに優れた放射線感受性を有する。
【0036】
第1の態様によれば、パターニング材料の第9または第10の可能な実施態様では、少なくとも1つのXがハロゲンイオンまたはハロゲン基である。
【0037】
この場合、本出願のインジウム-酸素クラスタ材料は、特に優れた放射線感受性を有する。
【0038】
第1の態様によれば、パターニング材料の第9~第11の可能な実施態様のいずれか1つにおいて、パターニング材料は、以下の通式(1-11)で表されるインジウム-酸素クラスタ材料である。
[In4(μ4-O)]x1Inx2Oy(OH)n(L1)a(L2)bXm 通式(1-11)
【0039】
通式(1-11)では、x1、x2、y、a、b、mおよびnはすべて整数であり、aおよびbはすべてが0になることはなく、1≦x1≦4、2≦x2≦8、1≦y≦4、0≦a≦8、0≦b≦12、0≦n≦10、0≦m≦8、L1はOR1であり、かつL2は NR2(CR3R4CR5R6O)2である。R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、それぞれがH、炭素原子数1~18の置換または非置換アルキル、炭素原子数6~14の置換または非置換アリル、およびヘテロ原子数3~14の複素環式基である。複素環式基内のヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、およびリン原子を含む。Xは、独立した-F、-Cl、または-Brである。
【0040】
通式(1-11)で表されるインジウム-酸素クラスタ材料を使用することにより、前述した本出願の技術的効果が特に有利に得られる。
【0041】
第1の態様によれば、パターニング材料の第1~第8の可能な実施態様のいずれか1つにおいて、パターニング材料は、以下の通式(1-2)で表されるスズ-酸素クラスタ材料である。
MxOy(L1)a(L2)bXm 通式(1-2)
【0042】
通式(1-2)において、Mは少なくともスズを含み、3≦x≦34、0≦y≦51、0≦a≦51、0≦b≦51、0≦m≦51、y+a+b+m≦8x、x、y、a、b、およびmはすべて整数であり、aおよびbはすべてが0になることはなく、L1およびL2は放射線感受性有機配位子として個別に使用されるか、またはL1およびL2の両方が同じ配位子内で共存するやり方で放射線感受性有機配位子として使用され、Xは第2の配位子である。
【0043】
本出願のスズ-酸素クラスタ材料は、安定的で、均一で、柔軟で、かつ調整可能な構造を有し、良好な放射線感受性、および良好な低アウトガス性を有する。
【0044】
第1の態様によれば、パターニング材料の第13の可能な実施態様では、スズ-酸素クラスタ材料内の放射線感受性有機配位子は、配位原子として窒素原子を介して金属Mと配位結合し、L1およびL2はそれぞれ、アルコールアミン、窒素含有複素環式化合物、およびニトリルのうちの少なくとも1つから誘導される。
【0045】
この場合、本出願のスズ-酸素クラスタ材料がより容易に得られ、さらに優れた放射線感受性を有する。
【0046】
第1の態様によれば、パターニング材料の第13または第14の可能な実施態様では、少なくとも1つのXがハロゲンイオンまたはハロゲン基である。
【0047】
この場合、本出願のスズ-酸素クラスタ材料は、特に優れた放射線感受性を有する。
【0048】
第1の態様によれば、パターニング材料の第13~第15の可能な実施態様のいずれか1つにおいて、パターニング材料は、以下の通式(1-21)で表されるスズ-酸素クラスタ材料である。
SnxOy(L1)aXm 通式(1-21)
【0049】
通式(1-21)において、x、y、a、およびmはすべて整数であり、4≦x≦15、6<y≦20、6≦a≦20、および0≦m≦12である。L1は独立した、置換または非置換ピラゾール、置換または非置換ピリジン、置換または非置換イミダゾール、置換または非置換ピペラジン、または置換または非置換ピラジンである。Xは、独立した-F、-Cl、または-Brである。
【0050】
通式(1-21)で表されるスズ-酸素クラスタ材料を使用することにより、本出願の技術的効果が特に有利に得られる。
【0051】
第2の態様によれば、本出願の一実施形態は、第1の態様の第1~第16の可能な実施態様のいずれか1つによるパターニング材料および溶剤を含む、放射線感受性パターニング組成物を提供する。
【0052】
この場合、本出願の放射線感受性パターニング組成物は、ポジ型パターニング組成物またはネガ型パターニング組成物として使用されてもよく、異なるシナリオに適合し、露光されて高解像度、高パターンエッジ解像力、および強い耐エッチング性を有するパターンが得られ、露光中に露光デバイスのキャビティにガス汚染がほとんど生じない。
【0053】
第2の態様によれば、放射線感受性パターニング組成物の第1の可能な実施態様では、溶剤は、カルボン酸エステル、炭素原子数1~8のアルコール、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびアミドのうちの少なくとも1つである。
【0054】
この場合、本出願の放射線感受性パターニング組成物は、良好な塗装性を有する。
【0055】
第3の態様によれば、本出願の一実施形態は、以下のステップを含むパターン形成方法を提供する。
【0056】
放射線感受性コーティングでコーティングされた基板が形成される。放射線感受性コーティングは、第1の態様の第1~第16の可能な実施態様のいずれか1つによるパターニング材料を含む
【0057】
コーティング基板は、必要なパターンに応じて放射線で露光されて、露光されたコーティングを有する領域と、露光されていないコーティングを有する領域とを含む露光構造を形成する。
【0058】
露光構造は、パターン化膜を含むパターン化基板を形成するために、選択的に現像される。
【0059】
この場合、本出願のパターン形成方法を使用することによって、高解像度、高パターンエッジ解像力、および強い耐エッチング性を有するパターンが効率的に形成され得、露光中に露光デバイスのキャビティにガス汚染がほとんど生じない。
【0060】
第3の態様によれば、パターン形成方法の第1の可能な実施態様では、放射線感受性コーティングは、シリコンウェハ、または中間材層で被覆されたシリコンウェハ上に直接形成される。
【0061】
この場合、本出願のパターン形成方法を使用することによって、集積回路デバイスが効率的に得られる。
【0062】
第3の態様によれば、パターン形成方法の第1または第2の可能な実施態様では、放射線感受性コーティングは、コーティング方法を使用して、中間材層で被覆された基板上に形成される。
【0063】
この場合、より均一な厚さのパターン化膜を有するパターン化基板が得られ、その結果、得られたパターン化基板は、より広範に使用され得る。
【0064】
第3の態様によれば、パターン形成方法の第1~第3の可能な実施態様のいずれか1つにおいて、放射線は、X線、電子線、および紫外光を含む。
【0065】
この場合、露光効果が良好に実施され得、その結果、高解像度、高パターンエッジ解像力、および強い耐エッチング性を有するパターンが、より容易に形成され得る。
【0066】
第3の態様によれば、パターン形成方法の第1~第4の可能な実施態様のいずれか1つにおいて、現像に使用される現像液は、水溶液系現像液または有機溶剤現像液である。
【0067】
この場合、現像効果が良好に実施され得、その結果、高解像度、高パターンエッジ解像力、および強い耐エッチング性を有するパターンが、より容易に形成され得る。
【0068】
第4の態様によれば、本出願の一実施形態は、パターン化膜および基板を含む、パターン化基板を提供する。パターン化膜は、基板上の選択した領域内に存在して基板上の別の領域には存在せず、かつパターン化膜は、第1の態様の第1~第16の可能な実施態様のいずれか1つによるパターニング材料を使用して形成される。
【0069】
この場合、本出願のパターン化基板は、高解像度、高パターンエッジ解像力、および強い耐エッチング性を有するパターンを含む、パターン化膜を含み、様々な適用シナリオにおける様々な基板上に、高解像度および高パターンエッジ解像力を有する表面構造を形成するのに適している。
【0070】
第4の態様によれば、パターン化基板の第1の可能な実施態様では、パターン化膜のパターンのパターン解像度は3~100nmであり、エッジ粗さはパターン解像度の2~30%である。
【0071】
この場合、本出願のパターン化基板に含まれるパターン化膜は、高解像度および高パターンエッジ解像力を有するパターンを含むことができる。
【0072】
第5の態様によれば、本出願の一実施形態は、基板をパターニングする方法を提供し、基板の表面にパターン化構造を形成するために、第4の態様の第1または第2の可能な実施態様による、パターン化基板上でエッチングまたは電子注入を行うステップを含む。
【0073】
この場合、本出願の基板をパターニングする方法を使用することによって、前述したパターン化基板が使用されるので、様々な基板上で、高解像度および高パターンエッジ解像力を有する表面構造が得られ、これは高解像度および高パターンエッジ解像力を有する表面構造が必要な、高集積の集積回路の製造に特に適している。
【0074】
第6の態様によれば、本出願の一実施形態は集積回路デバイスを提供し、第5の態様の実施態様による基板をパターニングする方法を使用して、基板としてのシリコンウェハ上に形成された表面構造を含む。
【0075】
この場合、本出願の集積回路デバイスは、前述した基板をパターニングする方法を使用して表面構造が形成されるので、高集積を有することができる。
【0076】
本出願のこれらの態様および他の態様は、以下の(複数の)実施形態の説明においてより簡潔でより理解しやすい。
【0077】
本明細書に含まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面と本明細書とは、本出願の例示的な実施形態、特徴、および態様を一緒に示し、本出願の原理を説明することを意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】パターニングプロセスの例示的なフローチャートである。
【
図2】本出願による、通式(1-11)で表されるインジウム-酸素クラスタ材料の例示的な構造式を示す。
【
図3】本出願による、通式(1-21)で表されるスズ-酸素クラスタ材料の例示的な構造式を示す。
【
図4】本出願による、パターン形成方法の例示的な製造フローチャートである。
【
図5】本出願による、基板をパターニングする方法の例示的な製造フローチャートである。
【
図6】本出願による、集積回路デバイスの具体的な製造フローチャートである。
【
図7】本出願による、インジウム-酸素クラスタ化合物1~8の赤外スペクトルである。
【
図8】本出願による、インジウム-酸素クラスタ化合物9のEDXスペクトルである。
【
図9】本出願による、インジウム-酸素クラスタ化合物3を使用して形成された線パターンを示す。
【
図10】本出願による、インジウム-酸素クラスタ化合物3を使用して形成された別の線パターンを示す。
【
図11】本出願による、インジウム-酸素クラスタ化合物2を使用して形成された線パターンを示す。
【
図12】本出願による、インジウム-酸素クラスタ化合物2を使用して形成された別の線パターンを示す。
【
図13】本出願による、インジウム-酸素クラスタ化合物9を使用して形成された線パターンを示す。
【
図14】本出願による、インジウム-酸素クラスタ化合物9を使用して形成された別の線パターンを示す。
【
図15】本出願による、スズ-酸素クラスタ化合物1の赤外スペクトルである。
【
図16】本出願による、スズ-酸素クラスタ化合物2の赤外スペクトルである。
【
図17】本出願による、スズ-酸素クラスタ化合物1を使用して形成された別の線パターンを示す。
【
図18】本出願による、スズ-酸素クラスタ化合物2を使用して形成された別の線パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下は、添付の図面を参照して、本出願の様々な例示的な実施形態、特徴、および態様を詳細に説明する。添付の図面における同一の参照番号は、同じまたは同様の機能を有する要素を示す。実施形態の様々な態様が添付の図面に示されているが、添付の図面は、特に明記されない限り、必ずしも比例して描かれていない。
【0080】
本明細書における具体的な用語「例」は、「例、実施形態または例示として使用される」を意味する。「例」として説明されている実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも優れているかまたはより良いものとして説明されていない。
【0081】
さらに、本出願をより良く説明するために、以下の特定の実施形態において多くの特定の詳細が与えられる。当業者は、一部の特定の詳細なしでも本出願が実施されることができることを理解すべきである。一部の例では、本出願の主題が強調されるように、当業者に周知の方法、手段、要素および回路は詳細に説明されていない。
【0082】
<第1の態様>
前述した技術的問題を解決するために、本出願は、金属M-酸素架橋結合によって形成された金属-酸素クラスタフレームワークと、放射線感受性有機配位子と、第2の配位子とを含むパターニング材料を提供する。
【0083】
放射線感受性有機配位子は、配位原子を介して金属Mと配位結合する。配位原子は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、窒素原子、およびリン原子のうちの少なくとも1つである。放射線感受性有機配位子は、単座配位子、または座数が2以上の多座配位子である。第2の配位子は、無機イオンまたは配位基である。
【0084】
本出願において、一部の好ましい実施形態では、配位原子が酸素原子のときは、放射線感受性有機配位子内の酸素原子はカルボキシル基または過酸化物結合を形成しない。「放射線感受性有機配位子内の酸素原子はカルボキシル基または過酸化物結合を形成しない」とは、有機配位子が、酸素原子を配位原子として使用して金属Mと配位結合するときは、アシルオキシ金属構造または金属過酸化物構造が形成されないことを意味する。
【0085】
本出願のパターニング材料は、紫外光、X線、または特定の構造に基づく電子線などの様々な種類の放射線に(特定の波長または波長範囲の様々な種類の放射線にも)敏感であってもよく、これは放射線が、金属の特性を変化させることによって、材料の溶解度を変化させることを意味する。具体的には、放射(露光)後は、露光された材料の溶解度が、現像液の中の露光されていない材料の溶解度とは大きく異なり、その結果、材料は特定の形態のパターンを形成するために使用され得る。
【0086】
本出願のパターニング材料は、金属-酸素クラスタフレームワーク(具体的には以下の通式(1)で表される)によって分子サイズが小さく安定的で均一な構造を有し、かつ柔軟で調整可能な構造を有する、放射線感受性金属-酸素クラスタ材料であって、放射線に対して敏感であり(紫外光およびX線の場合は、200mJ/cm2未満の露光エネルギーで材料特性が大幅に変更され、電子線の場合は、100μC/cm2の露光エネルギーで材料特性が大幅に変更され得る)、前述した特定の放射線感受性有機配位子および第2の配位子により、露光中に有害なガスがほとんど発生しない(つまり低アウトガス性に優れる)。したがって、本出願のパターニング材料は、ポジ型パターニング材料またはネガ型パターニング材料として使用されてよく、異なるシナリオに適合し、露光されて高解像度(100nm未満の解像度が得られ、かつ10nm未満の解像度がさらに得られる)、高パターンエッジ解像力(パターン解像度の30%未満のエッジ粗さが得られる)、および強い耐エッチング性を有するパターンが得られ、露光中に露光デバイスのキャビティにガス汚染がほとんど生じない。加えて、本出願のパターニング材料の合成方法および合成プロセスは簡単で、大規模生産が容易になる。
【0087】
一部の好ましい実施形態では、本出願のパターニング材料は、以下の通式(1)で表される。
MxOy(OH)n(L1)a(L2)b(L3)c(L4)dXm 通式(1)
【0088】
通式(1)において、3≦x≦72、0≦y≦72、0≦a≦72、0≦b≦72、0≦c≦72、0≦d≦72、0≦n≦72、0≦m≦72、y+n+a+b+c+d+m≦8x、x、y、a、b、c、d、m、およびnはすべて整数であり、a、b、c、およびdはすべてが0になることはなく、L1、L2、L3、およびL4は、L1、L2、L3、およびL4のうちの2つ以上が同じ配位子内で共存するやり方で、放射線感受性有機配位子として個別に使用され、Xは第2の配位子である。
【0089】
この場合、本出願のパターニング材料は、より適切な分子構造、良好な放射線感受性、および/または良好な低アウトガス性を有することができる。
【0090】
金属-酸素クラスタフレームワークおよび配位子について、以下で詳細に説明される。
【0091】
(金属-酸素クラスタフレームワーク)
上述したように、本出願における金属-酸素クラスタフレームワークは、金属M-酸素架橋結合によって形成されたクラスタ構造である。この場合、金属-酸素クラスタフレームワークの具体的な構造は特に限定されず、モノ金属-酸素クラスタフレームワーク、または2つ以上の金属を含むヘテロ金属-酸素クラスタフレームワークであってもよく、実際の要件に応じて適切に変更されてもよい。一部の具体的な実施形態では、前記の通式(1)において、単一の金属-酸素クラスタは「MxOy」で表される。
【0092】
本出願において、「金属M」という語は、金属元素および半金属元素の概念を網羅する。一部の好ましい実施形態では、金属Mは、インジウム(In)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)、金(Au)、鉛(Pb)、およびビスマス(Bi)のうちの少なくとも1つを含む。一部のさらに好ましい実施形態では、金属Mは少なくともインジウムまたはスズを含む。
【0093】
加えて、いくつかの具体的な実施形態では、金属-酸素クラスタフレームワークを形成する金属Mは、任意選択で、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、タンタル(Ta)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、水銀(Hg)、およびポロニウム(Po)のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0094】
(配位子)
本出願では、放射線感受性有機配位子(第1の配位子と呼ばれることがある)および第2の配位子は両方とも、金属Mと配位結合する配位子である。
【0095】
本出願では、第1の配位子は、放射線感受性を有する(例えば、紫外光、X線、または電子線、特に、波長が15nm未満の紫外光、X線、または電子線に感受性を有する)有機配位子であり、第2の配位子は、任意選択でこのような放射線感受性を有する。したがって、本出願のパターニング材料の性能は、主に第1の配位子の構造(特に配位原子)に影響される。特に、従来技術で放射線感受性配位子として使用される、金属-炭素結合を含む配位子、過酸化物結合を含む配位子、または金属-カルボン酸結合を含む配位子と比較して、本出願における放射線感受性有機配位子は、高放射線感受性を保証しながら、優れた低アウトガス性を達成することができる。第1の配位子については、放射線感受性有機配位子(酸素原子、硫黄原子、セレン原子、窒素原子、およびリン原子のうちの少なくとも1つを含む配位原子を介して、金属Mと配位結合し、かつ単座配位子または座数2以上の多座配位子である放射線感受性有機配位子)に対する前述した要件が満たされるならば、パターニング材料は、本出願で見込まれる性能を有することができる。
【0096】
一部の好ましい実施形態では、放射線感受性有機配位子は、アルコールアミン、アルコール、フェノール、窒素含有複素環式化合物、ニトリル、ホスフィン、ホスホン酸、チオール、および有機セレン化合物のうちの少なくとも1つを使用して形成される。
【0097】
一般に、本出願では、放射線感受性有機配位子の配位原子の数と、金属原子の数との比率は特に限定されない。本出願の材料の放射線感受性をさらに高め、かつパターンエッジ解像力および得られたパターンの解像度をさらに高めるために、一部の好ましい実施形態では、放射線感受性有機配位子の配位原子の数と、金属原子の数との比率は、好ましくは1:2~4:1である。
【0098】
一部の好ましい実施形態では、本出願のパターニング材料が前述した通式(1)で表されるときは、放射線感受性有機配位子のL1、L2、L3、およびL4はそれぞれ、好ましくはアルコールアミン、アルコール、フェノール、窒素含有複素環式化合物、ニトリル、ホスフィン、ホスホン酸、チオール、および有機セレン化合物のうちの少なくとも1つから誘導される。
【0099】
アルコールアミンは、NQ3で表され得る化合物である(少なくとも1つのQは、水酸基を有する炭化水素基(好ましくは、水酸基を有するアルキル基)であり、別のQは、独立したH、または炭素原子数1~18の炭化水素基である)。アルコールアミンの例は、これに限定されないが、第一級アルコールアミン(メタノールアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルエタノールアミン、およびジビニールプロパノールアミンなど)、第二級アルコールアミン(ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルメタノールエタノールアミン、およびエチルジエタノールアミンなど)、第三級アルコールアミン(トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、およびトリブタノールアミンなど)などを含む。
【0100】
アルコールの例は、これに限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n-ヘキサノール、およびシクロヘキサノールなどの一価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ブタントリオール、ペンタエリスリトール、およびジペンタエリスリトールなどの多価アルコールなどを含む。
【0101】
フェノールの例は、これに限定されないが、フェノール、アルキルフェノール(クレゾール、エチルフェノール、およびフェニルフェノールなど)、アルケニルフェノール(ビニルフェノールおよびアリルフェノールなど)、アルキニルフェノール(アセテニルフェノールおよびプロピニルフェノールなど)などを含む。
【0102】
窒素含有複素環式化合物の例は、これに限定されないが、ピリジン(置換または非置換ピリジン)、ピラゾール(置換または非置換ピラゾール)、イミダゾール(置換または非置換イミダゾール)、ピペラジン(置換または非置換ピペラジン)、およびピラジン(置換または非置換ピラジン)を含む。ここで、「置換または非置換」化合物における置換基は、これに限定されないが、重水素原子、シアノ基、およびニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子などのハロゲン原子、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびn-ヘキシルなどの直鎖または分岐鎖アルキル基、メトキシ、エトキシ、およびプロポキシなどの直鎖または分岐鎖アルコキシ基、ビニルおよびアリルなどのアルケニル基、フェノキシおよびトリルオキシなどのアリールオキシ基、ベンジルオキシおよびフェネチルオキシなどのアリールアルコキシ基、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ピレニル、ペリレニル、フルオランチル、およびベンゾフェニルなどの芳香族炭化水素基または縮合多環式芳香族基、ピリジル、ピラゾリル、ピラジニル、ピペラジニル、イミダゾリル、ピリミジル、トリアジニル、チエニル、フリル、ピリル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノキサリニル、ベンゾイミダゾリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、およびカルビニールなどの芳香族複素環式基、スチリルおよびナフチルビニルなどのアリルビニル基、ならびにアセチルおよびベンゾイルなどのアシル基を含む。これらの置換基は、任意選択で、前述した置換基をさらに置換する。加えて、これらの置換基は、任意選択で単結合、置換または非置換メチレン基、酸素原子、窒素原子、セレン原子、リン原子、または硫黄原子を使用して、互いに結合することによって環を形成する。
【0103】
ニトリルの例は、これに限定されないが、アセトニトリルおよびプロピオニトリルなどのアルキルニトリル、ビニルニトリル、アリルニトリル、およびスチリルニトリルなどのアルケニルニトリル、ならびにアセテニルニトリルおよびフェニルエチニルニトリルなどのアルキニルニトリルを含む。
【0104】
ホスフィンは、PQ3(Qは独立したH、炭素原子数1~18の炭化水素基、または炭素原子数1~18の炭化水素オキシ基)で表され得る化合物である。ホスフィンの例は、これに限定されないが、メチルホスフィン二水素化物、エチルホスフィン二水素化物、プロピルホスフィン二水素化物、フェニルホスフィン二水素化物、ナフチルホスフィン二水素化物、ビニルホスフィン二水素化物、およびアセテニルホスフィン二水素化物などのモノ炭化水素ホスフィン、ジメチルホスフィン水素化物、ジエチルホスフィン水素化物、ジプロピルホスフィン水素化物、ジブチルホスフィン水素化物、メチルエチルホスフィン水素化物、メチルペンチルホスフィン水素化物、メチルフェニルホスフィン水素化物、ジフェニルホスフィン水素化物、ジビニルホスフィン水素化物、メチルビニルホスフィン水素化物、およびジアセチレンホスフィン水素化物などのジ炭化水素ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジプロピルフェニルホスフィン、およびジブチルフェノキシホスフィンなどのトリ炭化水素ホスフィン、メトキシホスフィン二水素化物、エトキシホスフィン二水素化物、プロポキシホスフィン二水素化物、フェノキシホスフィン二水素化物、ナフトキシホスフィン二水素化物、エチレンオキシホスフィン二水素化物、およびエチニルオキシホスフィン二水素化物、などのモノ炭化水素オキシホスフィン、ジメトキシホスフィン水素化物、ジエトキシホスフィン水素化物、ジプロポキシホスフィン水素化物、ジブトキシホスフィン水素化物、メトキシエトキシホスフィン水素化物、メトキシペンチルオキシホスフィン水素化物、メトキシフェノキシホスフィン水素化物、ジフェノキシホスフィン水素化物、ジエチレンオキシホスフィン水素化物、メチルエチレンオキシ水素化物、およびジエチニルオキシホスフィン水素化物などのジ炭化水素ホスフィン、ならびにトリメトキシホスフィン、トリエトキシホスフィン、トリプロポキシホスフィン、トリフェノキシホスフィン、ジメチルフェノキシホスフィン、ジエチルフェノキシホスフィン、ジプロピルフェノキシホスフィン、およびジブトキシフェノキシホスフィンなどのトリ炭化水素オキシホスフィンを含む。
【0105】
ホスホン酸の例は、これに限定されないが、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ヘプチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、(1-メチルヘプチル)ホスホン酸、(2-エチルヘキシル)ホスホン酸、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、オレイルホスホン酸、フェニルホスホン酸、(p-ノニルフェニル)ホスホン酸、ブチルブチルホスホン酸、ペンチルペンチルホスホン酸、ヘキシルヘキシルホスホン酸、ヘプチルヘプチルホスホン酸、オクチルオクチルホスホン酸、(1-メチルヘプチル)(1-メチルヘプチル)ホスホン酸、(2-エチルヘキシル)(2-エチルヘキシル)ホスホン酸、デシルデシルホスホン酸、ドデシルドデシルホスホン酸、オクタデシルオクタデシルホスホン酸、オレイルオレイルホスホン酸、フェニルフェニルホスホン酸、(p-ノニルフェニル)(p-ノニルフェニル)ホスホン酸、ブチル(2-エチルヘキシル)ホスホン酸、(2-エチルヘキシル)ブチルホスホン酸、(1-メチルヘプチル)(2-エチルヘキシル)ホスホン酸、(2-エチルヘキシル)(1-メチルヘプチル)ホスホン酸、(2-エチルヘキシル)(p-ノニルフェニル)ホスホン酸、および(p-ノニルフェニル)(2-エチルヘキシル)ホスホン酸を含む。
【0106】
チオールは、これに限定されないが、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、n-ヘキサンチオール、およびシクロヘキサンチオールなどのモノチオール、ならびにエタンジチオール、プロパンジチオール、ブタンジチオール、プロパントリチオール、ブタントリチオール、およびブタンテトラチオールなどのポリチオールを含む。
【0107】
有機セレン化合物は、これに限定されないが、有機セレン酸、セレノール、セレニド、セレノフェン、炭化水素セレン、炭化水素オキシセレンなどを含む。
【0108】
第2の配位子については、第2の配位子は、イオン結合によって金属Mに結合する任意の無機イオンであっても、あるいは共有結合(一般的な共有結合および配位共有結合を含む)によって金属Mに結合する、任意の配位基であってもよい。
【0109】
一部の好ましい実施形態では、本出願のパターニング材料が前述した通式(1)で表されるときは、パターニング材料の第2の配位子は、好ましくは通式(1)のXを満たす。
【0110】
本出願において、一部の好ましい実施形態では、第2の配位子が(共有結合によって金属Mに結合する)配位基のときは、第2の配位子は、柔軟な配位のために、好ましくはハロゲン基(-F、-Cl、-Br、または-Iなど)、カルボン酸基、スルホン酸基、ニトロ基、脂肪族アルコール基、芳香族アルコール基、脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基のうちの少なくとも1つになる。ここで、「柔軟な配位」という語は、配位子が単座配位子であっても多座配位子であってもよく、同じ配位子が、同じまたは別の金属中心に配位されてもよいことを意味する。
【0111】
本出願において、一部の他の好ましい実施形態では、第2の配位子が(イオン結合によって金属Mに結合する)無機イオンのときは、第2の配位子は、好ましくはハロゲンイオン(-F、-Cl、-Br、または-Iなど)、SO4
2-、およびNO3
-のうちの少なくとも1つになる。
【0112】
加えて、放射線感受性をさらに高め、ラインエッジ粗さをさらに改善し、解像度をさらに上げるために、一部の具体的な実施形態では、放射線感受性有機配位子および/または第2の配位子としての配位基は、任意選択で任意の放射線感受性官能基と置換されてもよい。このような放射線感受性官能基の例は、これに限定されないが、二重結合、三重結合、エポキシププロパン基、またはこれらの組合せを含む。
【0113】
さらに、本出願のパターニング材料の溶解度などの性能を調整するため、本出願のパターニング材料を使用して形成したパターン化膜の厚さの均一性、粗さ、接着性、および耐食性をさらに改善するため、かつ取得したパターンのパターン解像度をさらに高めるために、一部の具体的な実施形態では、放射線感受性有機配位子および/または第2の配位子としての配位基は、任意選択で任意の官能基に置換されてもよい。このような官能基は、これに限定されないが、親電子性または電子供与性基、例えば、-F、-Cl、-Br、または-Iなどのハロゲン基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボン酸基、またはエステル基を含む。
【0114】
以下、本出願のパターニング材料の2つの好ましい実施形態について、さらに詳細に説明する。
【0115】
(第1の実施形態)
本出願のパターニング材料は、より好ましくは、以下の通式(1-1)で表されるインジウム-酸素クラスタ材料であってもよい。
[M4(μ4-O)]x1Mx2Oy(OH)nXm(L1)a(L2)b(L3)c(L4)d 通式(1-1)
【0116】
通式(1-1)において、Mは少なくともインジウムを含み、1≦x1≦12、0≦x2≦24、0≦y≦24、0≦a≦36、0≦b≦36、0≦c≦36、0≦d≦36、0≦n≦24、0≦m≦24、y+n+m+a+b+c+d≦31(x1)+8(x2)、x1、x2、y、a、b、c、d、m、およびnはすべて整数であり、a、b、c、およびdはすべてが0になることはない。
【0117】
ここで「M4(μ4-O)」という項は、1つの酸素(O)原子が4つの金属Mに架橋されていることを意味する。
【0118】
通式(1-1)において、L1、L2、L3、およびL4は、通式(1)にある通りに説明される。具体的には、L1、L2、L3、およびL4は、本出願の放射線感受性有機配位子として個別に使用されるか、あるいはL1、L2、L3、およびL4のうちの2つ以上が同じ配位子内に共存するやり方で、本出願の放射線感受性有機配位子として使用される。一部の好ましい実施形態では、L1、L2、L3、およびL4はそれぞれ、アルコールアミン、アルコール、フェノール、窒素含有複素環式化合物、ニトリル、ホスフィン、ホスホン酸、チオール、および有機セレン化合物のうちの少なくとも1つから誘導される。ここで、アルコールアミン、アルコール、フェノール、窒素含有複素環式化合物、ニトリル、ホスフィン、ホスホン酸、チオール、および有機セレン化合物の例もまた、上述した通りに説明される。加えて、L1、L2、L3、およびL4は、独立して、かつ任意選択で、放射線感受性官能基および/または官能基に置換される。
【0119】
さらに好ましくは、本出願のインジウム-酸素クラスタ材料内の放射線感受性有機配位子は、配位原子として窒素原子または酸素原子を介して金属Mと配位結合し、L1、L2、L3、およびL4はそれぞれ、アルコールアミン、アルコール、フェノール、窒素含有複素環式化合物、およびニトリルのうちの少なくとも1つから誘導される。
【0120】
通式(1-1)において、Xは本出願の第2の配位子、つまり無機イオンまたは配位基である。さらに好ましくは、少なくとも1つのXはハロゲンイオンまたはハロゲン基であり、その結果、パターニング材料は放射線感受性に特に優れる。
【0121】
一部の好ましい実施形態では、配位原子の数(窒素原子および酸素原子の総数)と、金属原子Mの数との比率は、好ましくは3:2~3:1である。
【0122】
一部の特に具体的な実施形態では、本出願のパターニング材料は、特に好ましくは、以下の通式(1-11)で表されるインジウム-酸素クラスタ材料であってもよい。
[In4(μ4-O)]x1Inx2Oy(OH)n(L1)a(L2)bXm 通式(1-11)
【0123】
通式(1-11)において、x1、x2、y、a、b、m、およびnはすべて整数であり、aおよびbはすべてが0になることはなく、1≦x1≦4では好ましくはx1は2であり、2≦x2≦8では好ましくはx2は4であり、1≦y≦4では好ましくはyは2であり、0≦a≦8、0≦b≦12では好ましくはaは4でbは8であり、0≦n≦10では好ましくはnは2であり、0≦m≦8では好ましくはmは6である。
【0124】
通式(1-11)において、L1はOR1であり、L2はNR2(CR3R4CR5R6O)2である。R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、それぞれがH、炭素原子数1~18の置換または非置換アルキル、炭素原子数6~14の置換または非置換アリル、およびヘテロ原子数3~14(ヘテロ原子は、これに限定されないが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子などを含む)の複素環式基である。ここで、「置換または非置換」化合物の置換基の例は、好ましくは-F、-Cl、-Br、-NO2、および-SO3である。Xは、独立した-F、-Cl、または-Brである。
【0125】
通式(1-11)で表されるインジウム-酸素クラスタ材料を使用することにより、本出願の技術的効果が特に有利に得られる。
【0126】
本出願において、
図2は、通式(1-11)で表されるインジウム-酸素クラスタ材料の例示的な構造式を示す。
【0127】
(第2の実施形態)
本出願におけるパターニング材料は、より好ましくは、以下の通式(1-2)で表されるスズ-酸素クラスタ材料であってもよい。
MxOy(L1)a(L2)bXm 通式(1-2)
【0128】
通式(1-2)において、Mは少なくともスズを含み、3≦x≦34、0≦y≦51、0≦a≦51、0≦b≦51、0≦m≦51、y+a+b+m≦8x、x、y、a、b、およびmはすべて整数であり、aおよびbはすべてが0になることはない。
【0129】
通式(1-2)において、L1、およびL2は、通式(1)にある通りに説明される。具体的には、L1およびL2は、本出願の放射線感受性有機配位子として個別に使用されるか、あるいはL1およびL2の両方が同じ配位子内に共存するやり方で、本出願の放射線感受性有機配位子として使用される。一部の好ましい実施形態では、L1およびL2はそれぞれ、アルコールアミン、アルコール、フェノール、窒素含有複素環式化合物、ニトリル、ホスフィン、ホスホン酸、チオール、および有機セレン化合物のうちの少なくとも1つから誘導される。ここで、アルコールアミン、アルコール、フェノール、窒素含有複素環式化合物、ニトリル、ホスフィン、ホスホン酸、チオール、および有機セレン化合物の例もまた、上述した通りに説明される。加えて、L1、およびL2は、独立して、かつ任意選択で、放射線感受性官能基および/または官能基に置換される。
【0130】
さらに好ましくは、本出願のスズ-酸素クラスタ材料内の放射線感受性有機配位子は、配位原子として窒素原子を介して金属Mと配位結合し、L1およびL2はそれぞれ、アルコールアミン、窒素含有複素環式化合物、およびニトリルのうちの少なくとも1つから誘導される。
【0131】
通式(1-2)において、Xは本出願の第2の配位子、つまり無機イオンまたは配位基である。さらに好ましくは、少なくとも1つのXはハロゲンイオンまたはハロゲン基であり、その結果、パターニング材料は放射線感受性に特に優れる。
【0132】
一部の好ましい実施形態では、配位原子の数(窒素原子の総数)と、金属原子Mの数との比率は、好ましくは2:3~3:2である。
【0133】
一部の特に具体的な実施形態では、本出願のパターニング材料は、特に好ましくは、以下の通式(1-21)で表されるスズ-酸素クラスタ材料であってもよい。
SnxOy(L1)aXm 通式(1-21)
【0134】
通式(1-21)において、x、y、a、およびmはすべて整数である。4≦x≦15は好ましくはxが10であり、6<y≦20は好ましくはyが12であり、6<a≦20は好ましくはaが12であり、0≦m≦12で、mは8である。
【0135】
通式(1-21)において、L1は独立した、置換または非置換ピラゾール、置換または非置換ピリジン、置換または非置換イミダゾール、置換または非置換ピペラジン、または置換または非置換ピラジンである。ここで、「置換または非置換」化合物における置換基は、好ましくは直鎖または分岐鎖アルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1~4の直鎖または分岐鎖アルキル基である。置換基としてのこのようなアルキル基は、置換基をさらに含んでもよい。このようなアルキル基の置換基の例は、これに限定されないが、-F、-Cl、-Br、-NO2、および-SO3を含む。Xは、独立した-F、-Cl、または-Brである。
【0136】
通式(1-21)で表されるスズ-酸素クラスタ材料を使用することにより、本出願の技術的効果が特に有利に得られる。
【0137】
本出願において、
図3は、通式(1-21)で表されるスズ-酸素クラスタ材料の例示的な構造式(aはL=3-メチルピラゾール、bはL=4-メチルピラゾール)を示す。
【0138】
(パターニング材料の作製方法)
本出願のパターニング材料は、特に限定されることなく、当業者によく知られている作製方法を使用して、必要な構造に基づいて得られてもよい。
【0139】
例えば、本出願のパターニング材料は、以下の方法を使用して得られてもよい。MxXmは、放射線感受性有機配位子の前駆体(例えば、L1が誘導される化合物、L2が誘導される化合物、L3が誘導される化合物、およびL4が誘導される化合物のうちの少なくとも1つ)と、任意選択で追加される溶剤とが混合され、1~4日間で80~120℃に加熱されてから室温まで冷却されて、生成物として結晶を沈殿させる。前述した方法では、放射線感受性有機配位子の前駆体は溶剤として、または溶質として使用されてもよい。
【0140】
一部の具体的な実施形態では、ハロゲン化インジウムを含む金属ハロゲン化物と、アルコールアミン、アルコール、およびフェノールのうちの少なくとも1つと、任意選択で追加された溶剤とが反応釜の中で混合され、1~4日間で80~120℃に加熱されてから室温まで冷却されて、生成物として無色結晶を沈殿させる。
【0141】
一部の具体的な実施形態では、ハロゲン化スズを含む金属ハロゲン化物が、ピラゾール、アルコールアミン、ピリジン、ピラゾール、ピペラジン、およびピラジンのうちの少なくとも1つに溶解され、1~4日間で80~120℃に加熱されてから室温まで冷却されて、生成物として無色結晶を沈殿させる。
【0142】
<第2の態様>
本出願は、前述した本出願のパターニング材料と溶剤とを含む、放射線感受性パターニング組成物をさらに提供する。
【0143】
前述した本出願のパターニング材料が含まれていることにより、本出願の放射線感受性パターニング組成物は異なる適用シナリオに適合し、露光されて高解像度、高パターンエッジ解像力、および強い耐エッチング性を有するパターンが得られ、露光中に露光デバイスのキャビティにガス汚染がほとんど生じない。
【0144】
本出願のパターニング材料は、<第1の態様>にある通りに説明され、ここで再度詳細は説明されない。
【0145】
したがって、以下では本出願のパターニング材料以外の、本出願の放射線感受性パターニング組成物の成分について詳細に説明する。
【0146】
(溶剤)
本出願において、放射線感受性パターニング組成物の成分が溶解され得る限りは、溶剤の具体的な種類は特に限定されず、コーティング膜の厚さおよび粘度に基づいて適切に選択されてもよい。
【0147】
本出願において、一部の好ましい実施形態では、溶剤は、カルボン酸エステル、炭素原子数1~8のアルコール、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびアミドのうちの少なくとも1つである。
【0148】
カルボン酸エステルの例は、これに限定されないが、エチレングリコールメチルエーテルギ酸エステル、プロピレングリコールメチルエーテルギ酸エステル、エチレングリコールエチルエーテルギ酸エステル、プロピレングリコールエチルエーテルギ酸エステル、エチレングリコールメチルエーテル酢酸エステル、プロピレングリコールメチルエーテル酢酸エステル、エチレングリコールエチルエーテル酢酸エステル、プロピレングリコールエチルエーテル酢酸エステル、およびエチレングリコールメチルエーテルプロピオン酸エステルなどのカルボン酸エーテルエステル、ならびにギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸n-ペンチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-プロピル、乳酸イソプロピル、および乳酸n-ブチルなどのカルボン酸アルキルエステルを含む。
【0149】
炭素原子数1~8のアルコールの例は、これに限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、シクロヘキサノールなどを含む。
【0150】
芳香族炭化水素の例は、これに限定されないが、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを含む。
【0151】
ハロゲン化炭化水素の例は、これに限定されないが、ジクロロメタン、トリクロロメタンなどを含む。
【0152】
アミドの例は、これに限定されないが、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどを含む。
【0153】
本出願において、一部の好ましい実施形態では、溶剤は、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテル酢酸エステル、イソプロパノール、トルエン、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、および酢酸エチルのうちの少なくとも1つである。
【0154】
本出願では、放射線感受性パターニング組成物内の、前述した本出願のパターニング材料の濃度は特に限定されない。溶液濃度は、膜厚の要件に基づいて調整されてもよい。通常は、溶液濃度が高いほど、より厚い膜層に対応する。一部の好ましい実施形態では、放射線感受性パターニング組成物において、溶剤内の本出願のパターニング材料の濃度は、好ましくは3~30mg/mLである。パターニング材料の濃度が前述した範囲内のときは、放射線感受性パターニング組成物を使用して得た放射線感受性コーティングの厚さがより均一になり、かつより容易に調整され得る。
【0155】
通常、好ましい濃度の範囲は、パターニング材料の具体的な種類に基づいて適切に調整されてもよい。一部の具体的な実施形態では、溶剤内の本出願のインジウム-酸素クラスタ材料の濃度は、より好ましくは約5~30mg/mLである。一部の他の具体的な実施形態では、溶剤内の本出願のインジウム-酸素クラスタ材料の濃度は、より好ましくは約8~30mg/mLである。
【0156】
(他の成分)
前述した本出願のパターニング材料および溶剤に加えて、本出願の技術的効果に影響を及ぼすことなく、本出願の放射線感受性パターニング組成物は、安定剤、分散剤、増感剤、顔料、染料、接着剤、増粘剤、チキソトロープ剤、沈殿防止剤、抗酸化剤、pH調節剤、均染剤、および可塑剤など、必要に応じて他の成分をさらに含んでもよい。このような成分は単独で、または2つ以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0157】
これらの成分の用量は、実際の要件に基づいて適切に選択されてよい。
【0158】
(放射線感受性樹脂組成物の使用)
本出願における放射線感受性パターニング組成物は、任意のポジ型パターニング組成物またはネガ型パターニング組成物であってよく、通常はパターニング材料の具体的な構造に基づいて適切に選択される。
【0159】
本出願では、ポジ型パターニング組成物およびネガ型パターニング組成物は、当業者に知られているそれぞれの意味を有する。言い換えると、露光されたパターニング材料は、ポジ型パターニング組成物を使用して得られた放射線感受性コーティングが現像された後で現像液で洗浄されて、ポジ型パターンを生成してもよく、露光されていないパターニング材料は、ネガ型パターニング組成物を使用して得られた放射線感受性コーティングが現像された後で現像液で洗浄されて、ネガ型パターンを生成してもよい。
【0160】
本出願では、好ましくは、本出願の放射線感受性パターニング組成物は、ネガ型パターニング組成物である。
【0161】
本出願では、放射線感受性パターニング組成物の使用、例えば、半導体素子、表示体装置、発光装置などの、パッシベーション膜、層間絶縁膜、表面保護膜、再分布用絶縁膜の作製に特別な制限はない。
【0162】
特に、優れた性能により、一部の好ましい実施形態では、本出願のパターニング材料は、パターン解像度が3~100nm、エッジ粗さがパターン解像度の2~30%の精密なパターンを得るのに特に適している。
【0163】
<第3の態様>
本出願は、以下のステップを含むパターン形成方法をさらに提供し、放射線感受性コーティングでコーティングされた基板が形成される。放射線感受性コーティングは、前述した本出願のパターニング材料を含む。コーティング基板は、必要なパターンに応じて放射線で露光されて、露光されたコーティングを有する領域と、露光されていないコーティングを有する領域とを含む露光構造を形成する。露光構造は、パターン化膜を含むパターン化基板を形成するために、選択的に現像される。
【0164】
本出願のパターン形成方法を使用することによって、高解像度、高パターンエッジ解像力、および強い耐エッチング性を有するパターンが効率的に形成され得、露光中に露光デバイスのキャビティにガス汚染がほとんど生じない。
【0165】
加えて、パターン形成方法の適用シナリオは特に限定されず、必要に応じて、半導体素子、表示体装置、または発光装置の製造プロセスであってもよい。
【0166】
図4は、本出願による、パターン形成方法の例示的な製造フローチャートである(中間材層は図示されていない)。以下では、ステップを詳細に説明する。
【0167】
(コーティング基板の形成)
このステップでは、放射線感受性コーティングでコーティングされた基板が形成される。放射線感受性コーティングは、前述した本出願のパターニング材料を含む。
【0168】
本出願のパターニング材料の詳細は、<第1の態様>にある通りに説明され、ここで再度詳細は説明されない。
【0169】
このステップでは、基板の種類は特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セロファン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリアミド、またはポリスルホンなどの合成樹脂、シリコンウェハなどの半導体基板、配線基板、ガラス、銅、チタン、またはアルミニウムなどの金属、あるいはセラミックであってもよい。加えて、基板の形態は特に限定されず、パターン化膜が形成される必要がある任意の対象物であってもよく、任意の形状を有していてもよい。
【0170】
このステップにおいて、一部の好ましい実施形態では、基板はシリコンウェハである。
【0171】
このステップにおいて、基板の表面は、必要に応じて前処理されるか、または前処理されなくてもよい。基板の表面を前処理する方法の例は、これに限定されないが、中性の液体(例えば、水、あるいはエタノールまたはトルエンなどの有機溶剤)での洗浄、酸性の液体での洗浄、アルカリ性の液体での洗浄、コロナ処理、電気めっき、化学めっき、プライムコーティング、および蒸着を含む。このような方法の例は単独で、または2つ以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0172】
このステップにおいて、一部の好ましい実施形態では、基板は好ましくは、放射線感受性コーティングが形成される前に、親水性または疎水性になるように前処理される。
【0173】
一部の具体的な実施形態では、基板は好ましくはシリコンウェハであり、シリコンウェハの表面は好ましくは親水性になるように処理される。例えば、親水性処理の例は、これに限定されないが、Piranha溶液(H2O:30% アンモニア水:30% H2O2=5:1:1)でシリコンウェハを15~20分洗浄すること、脱イオン水でシリコンウェハを洗浄してから、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールなどのアルコールでシリコンウェハを洗浄し、次に表面から液体を吹き飛ばすことが含まれる。
【0174】
一部の他の具体的な実施形態では、基板は好ましくはシリコンウェハであり、シリコンウェハの表面は好ましくは疎水性になるように処理される。例えば、疎水性処理の例は、これに限定されないが、シリコンウェハの親水性処理された表面に、蒸着またはコーティング(好ましくはスピンコーティング)によって、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)などのシラザン化合物を均一にコーティングすることが含まれる。
【0175】
このステップでは、コーティング基板に対して、本出願の放射線感受性コーティングが基板上に直接形成されてもよく、あるいは中間材層が予備成形されている基板上に形成されてもよい。ここで中間材層の例は、これに限定されないが、反射防止層、耐エッチング層、および吸収層を含む。中間材層のこのような例は、当業者によく知られている。例えば、反射防止層の例は、これに限定されないが、底反射防止層(BARC,Bottom anti-reflective coating)、スピンコーティングされたケイ素化合物層(SOC,Spin on glass)、スピンコーティングされた炭素化合物層(SOG,Spin on carbon)などが含まれる。加えて、このような中間材層の例は、単層として、または2つ以上の層として使用されてもよい。
【0176】
一部の具体的な実施形態では、基板は好ましくはシリコンウェハであり、放射線感受性コーティングはシリコンウェハ上に直接形成される。一部の他の具体的な実施形態では、基板は好ましくはシリコンウェハである。放射線感受性コーティングが形成される前に、反射防止層、耐エッチング層、または吸収層などの中間材層が、シリコンウェハの表面に形成されてもよい。
【0177】
このステップでは、放射線感受性コーティングを形成する方法は特に限定されず、当業者によく知られている様々な方法が使用されてよい。一部の好ましい実施形態では、放射線感受性コーティングは、コーティング方法を使用して形成される。一部のより好ましい実施形態では、放射線感受性コーティングは、コーティング方法を使用して中間材層で被覆された基板上で形成され、より具体的には、放射線感受性コーティングは、コーティング方法を使用して中間材層で被覆されたシリコンウェハ上に形成されてもよい。
【0178】
一部のより好ましい実施形態では、放射線感受性コーティングは、前述した本出願の放射線感受性パターニング組成物をコーティングすることによって形成される。本出願の放射線感受性パターニング組成物の詳細は、<第2の態様>にある通りに説明され、ここで再度詳細は説明されない。
【0179】
このステップにおいて、コーティング方法は当業者に知られていてもよい。このようなコーティング方法の例は、これに限定されないが、浸漬コーティング、スピンコーティング、ロッドコーティング、ブレードコーティング、カーテンコーティング、スクリーン印刷コーティング、スプレーコーティング、スリットコーティングなどを含む。このような方法の例は単独で、または2つ以上を組み合わせて使用されてもよい。一部の好ましい実施形態では、コーティング方法は好ましくはスピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、またはブレードコーティングであり、より好ましくはスピンコーティングである。
【0180】
このステップにおいて、コーティング後に、任意選択で乾燥が行われてもよい。乾燥は特に制限なく行われ、当業者に知られている乾燥方法で行われてもよい。
【0181】
このステップにおいて、乾燥後に、残留溶剤を除去するために、任意選択で焼成が行われてもよい。通常、焼成条件は、使用される金属-酸素クラスタ材料および溶剤の具体的な種類に応じて変更される。一部の好ましい実施形態では、焼成温度は好ましくは60~200℃であり、焼成時間は好ましくは20~120秒である。
【0182】
一部の具体的な実施形態では、形成された放射線感受性コーティングの厚さは、好ましくは2~200nmであり、より好ましくは5~180nmである。一部の他の具体的な実施形態では、形成された放射線感受性コーティングの表面粗さは、2nm未満である。
【0183】
一部の特に具体的な実施形態では、このステップは、以下のステップによって行われる。4インチシリコンウェハは、通常は1~5mLのパターニング材料でスピンコーティングされて、2~200nmの任意の均一な厚さの放射線感受性コーティングを得る。放射線感受性コーティングの表面粗さは2nm未満である。
【0184】
(コーティング基板の露光)
このステップにおいて、コーティング基板は、必要なパターンに応じて放射線で露光されて、露光されたコーティングを有する領域と、露光されていないコーティングを有する領域とを含む露光構造を形成する。
【0185】
このステップにおいて、露光は特に限定されず、当業者に知られている様々な形態で行われてもよい。一部の具体的な実施形態では、例えば、コーティング基板は、放射線で直接露光される。一部の他の具体的な実施形態では、コーティング基板は、マスクを介して放射線で露光される。
【0186】
ここで「マスクを介して」という語は、露光用の放射線がマスクによって変更されることを意味する。しかしながら、変更方法に制限はなく、例えば、放射線がマスクを通過してもよく、あるいは放射線がマスクで反射されてもよい。
【0187】
ここではマスクの構造は特に限定されない。マスクは、パターニング中空部を含んでも含まなくてもよく、反射部を含んでも含まなくてもよい。
【0188】
このステップにおいて、本出願のパターニング材料の溶解度が変更され得るならば、露光用の放射線の種類に特別な制限はない。本出願のパターニング材料は、その特定の構造に基づいた特定の波長または波長範囲を有する、様々な種類の放射線に敏感であってもよく、異なる溶解度の変化を示す。一部の具体的な実施形態では、露光構造において、露光されたコーティング(本出願の露光されたパターニング材料を含む)が、ポジ型現像を行うために、後続の現像プロセスにおいて除去されてもよい。一部の他の具体的な実施形態では、露光されていないコーティング(本出願の露光されていないパターニング材料を含む)が、ネガ型現像を行うために、後続の現像プロセスにおいて除去されてもよい。
【0189】
一部の好ましい実施形態では、露光用の放射線は、好ましくは紫外光、X線、または電子線である。一部の具体的な実施形態では、コーティング基板は、マスクを介して紫外光またはX線で露光される。一部の他の具体的な実施形態では、コーティング基板は、電子線で直接露光される。
【0190】
一部のより好ましい実施形態では、露光用の放射線はより具体的には、波長が15nm未満の紫外光、X線、または電子線であり、さらにより具体的には、波長が15nm未満でかつ紫外光範囲内の紫外光、X線範囲内の軟X線、または電子線である。
【0191】
一部の具体的な実施形態では、露光装置は、接触式アライナ、ミラープロジェクタ、ステッパ、レーザー直接露光装置、X線露光機、または電子加速器など、当業者に知られている任意の装置であってもよい。
【0192】
このステップにおいて、露光エネルギーは特に限定されない。この実施形態におけるパターニング材料は、優れた放射線感受性を有する。前述したように、紫外光およびX線の場合は、200mJ/cm2未満の露光エネルギーで露光効果が達成され得、電子線の場合は、100μC/cm2未満の露光エネルギーで露光効果が達成され得る。一部の具体的な実施形態では、紫外光およびX線の場合は、露光エネルギーは好ましくは100mJ/cm2未満であり、より好ましくは30mJ/cm2である。一部の他の具体的な実施形態では、電子線の場合は、露光エネルギーは80μC/cm2である。
【0193】
このステップでは、露光後に、コーティングの化学反応を促進するために、焼成が任意選択で行われてもよい。通常、焼成条件は、使用される金属-酸素クラスタ材料の具体的な種類に応じて変更される。一部の好ましい実施形態では、焼成温度は好ましくは60~200℃であり、焼成時間は好ましくは20~120秒である。
【0194】
(現像)
このステップにおいて、露光構造は、パターン化膜を含むパターン化基板を形成するために、選択的に現像される。
【0195】
このステップにおいて、一部の具体的な実施態様では、本出願のパターニング材料がポジ型パターニング材料のときは、露光構造から露光されたコーティングを除去するために、現像が選択的に行われてもよい。一部の他の具体的な実施態様では、本出願のパターニング材料がネガ型パターニング材料のときは、露光構造から露光されていないコーティングを除去するために、現像が選択的に行われてもよい。
【0196】
このステップにおいて、現像液は特に限定されず、当業者に知られている現像方法を使用して行われてもよい。一部の好ましい実施形態では、現像は、現像液を露光構造に接触させることによって行われる。
【0197】
このステップにおいて、現像液との接触は特に限定されず、当業者に知られている、現像液を塗布する方法を使用して行われてもよい。このような方法の例は、これに限定されないが、浸漬コーティング(任意選択で、超音波照射によって行われてもよい)、スピンコーティング、スプレーコーティングなどを含む。このような方法の例は単独で、または2つ以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0198】
現像液が使用されるときは、現像液と露光構造との接触回数は特に限定されず、1回だけであってもよく、あるいは2回以上であってもよい。各回の接触が同じ現像液、または異なる現像液を使用して行われてもよい。
【0199】
現像液が使用されるときは、現像液の具体的な種類は特に限定されず、パターニング材料の具体的な種類に基づいて適切に選択されてよい。一部の好ましい実施形態では、現像は好ましくは、水溶液系現像液または有機溶剤現像液である。
【0200】
一部の具体的な実施形態では、水溶液系現像液は好ましくはアルカリ水溶液である。アルカリ水溶液に含まれる水性アルカリ性物質の例は、これに限定されないが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、およびアンモニア水などの無機アルカリ、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、およびトリエタノールアミンなどの有機アミン、テトラメチル水酸化アンモニウムやテトラブチル水酸化アンモニウムなどの第四級アンモニウム塩などを含む。より好ましくは、水溶液系現像液は、濃度が0.5~5wt%の水溶性テトラメチル水酸化アンモニウム溶液である。
【0201】
一部の他の具体的な実施形態では、有機溶剤現像液に含まれる有機溶剤は、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、およびアミド系溶剤のうちの少なくとも1つである。加えて、有機溶剤現像液は、水溶性であってもそうでなくてもよい。複数の有機溶剤(水溶性)が含まれるとき、有機溶剤(水溶性)の比率は特に限定されず、実際の要件に応じて適切に調整されてもよい。
【0202】
ケトン系溶剤の具体的な例は、これに限定されないが、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、およびメチル-2-n-ペンタノンを含む。
【0203】
アルコール系溶剤の具体的な例は、これに限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、およびジアセトンアルコールなどの一価アルコール、ならびにジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、1,4-ブチレングリコール、または1,3-ブチレングリコールなどの多価アルコールを含む。
【0204】
エーテル系溶剤の具体的な例は、これに限定されないが、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、およびジエチレングリコールジメチルエーテルを含む。
【0205】
エステル系溶剤の具体的な例は、これに限定されないが、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸n-ブチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-エトキシプロピオン酸メチルエステル、3-エトキシプロピオン酸エチルエステル、酢酸t-ブチル、プロピオン酸t-ブチル、およびプロピレングリコールモノt-ブチルエーテルアセテートなどの鎖状エステル、ならびにγ-ブチロラクトンなどのラクトンを含む。
【0206】
アミド系溶剤の例は、これに限定されないが、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどを含む。
【0207】
一部の好ましい実施形態では、本出願のインジウム-酸素クラスタ材料が使用されるときは、現像液は、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤、またはこれらの組合せを含み、より具体的には、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、またはこれらの組合せを含む。より好ましくは、現像液は、N,N-ジメチルホルムアミドとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)との混合物(体積比10:1~1:10)、またはイソプロパノールとPGMEAとの混合物(体積比10:1~1:10)である。
【0208】
一部の他の好ましい実施形態では、本出願のスズ-酸素クラスタ材料が使用されるときは、現像液は、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤、水、またはこれらの組合せを含み、より具体的には、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、水、またはこれらの組合せを含む。より好ましくは、現像液は、イソプロパノールと水との混合物(体積比10:1~1:10)、またはイソプロパノールとPGMEAとの混合物(体積比10:1~1:10)である。
【0209】
加えて、一部の具体的な実施形態では、現像液は、必要に応じて任意の量で、界面活性剤、粘度低下剤などをさらに含んでもよい。
【0210】
現像液が使用されるとき、現像液と露光構造との接触時間(現像時間)は特に限定されず、金属-酸素クラスタ材料の具体的な構造に基づいて適切に選択されてよい。通常、接触時間は、好ましくは10秒~10分であり、より好ましくは10~300秒である。
【0211】
一部のより具体的な実施形態では、本出願におけるインジウム-酸素クラスタ材料が使用されるときは、接触時間は好ましくは10~120秒、より好ましくは15~60秒である。
【0212】
一部の他のより具体的な実施形態では、本出願のスズ-酸素クラスタ材料が使用されるときは、接触時間は好ましくは10秒~10分、より好ましくは15~60秒である。
【0213】
このステップにおいて、一部の具体的な実施形態では、現像後に水によるすすぎが任意選択で行われてもよい。通常、すすぎ条件は、使用される金属-酸素クラスタ材料の具体的な種類、および現像方法(現像液の種類や現像液を塗布する方法など)に応じて変更される。一部の好ましい実施形態では、すすぎ時間は好ましくは10~120sである。一部の他の好ましい実施形態では、すすぎ温度は好ましくは周囲温度である。
【0214】
このステップにおいて、一部の具体的な実施形態では、現像後に焼成が任意選択で行われてもよい。通常、焼成条件は、使用される金属-酸素クラスタ材料の具体的な種類、および現像方法(現像液の種類や現像液を塗布する方法など)に応じて変更される。一部の好ましい実施形態では、焼成温度は好ましくは60~200℃であり、焼成時間は好ましくは20~120秒である。
【0215】
特に、前述した本出願のパターニング材料は優秀な性能を有しているので、本出願のパターン形成方法は、パターン解像度が100nm未満(好ましくは3~100nmの間)で、エッジ粗さがパターン解像度の30%未満(好ましくは2~30%)の精密なパターンを得るのに特に適している。
【0216】
(その他のステップ)
本出願において、本出願のパターン形成方法は、必要に応じてその他のステップをさらに含んでもよい。その他のステップの例は、これに限定されないが、洗浄するステップ、乾燥させるステップなどを含む。
【0217】
一部の具体的な実施形態では、基板は、放射線感受性コーティングが形成される前に(前処理がある場合は、その前処理の前に)洗浄および/または乾燥される。
【0218】
一部の具体的な実施形態では、現像するステップの後で、形成されたパターン化膜が洗浄および/または乾燥される。
【0219】
<第4の態様>
本出願は、パターン化膜と基板とを含むパターン化基板をさらに提供する。パターン化膜は、基板上の選択した領域に存在して基板上の別の領域には存在せず、これによって基板上にパターンを形成し、かつ前述した本出願のパターニング材料を使用して形成される。
【0220】
ここで「前述した本出願のパターニング材料を使用して形成される」という語は、パターン化膜が、少なくとも前述した本出願のパターニング材料を素材として使用して形成されることを意味する。一部の具体的な実施形態では、パターン化膜は、少なくとも露光されたパターニング材料を含む。一部の他の具体的な実施形態では、パターン化膜は、少なくとも露光されていないパターニング材料を含む。
【0221】
本出願のパターン化基板は、高解像度、高パターンエッジ解像力、および強い耐エッチング性を有するパターンを含む、パターン化膜を含むことができる。
【0222】
加えて、本出願のパターン化基板は、パターン化膜と基板との間に中間材層を任意選択で含んでもよい。一部の好ましい実施態様では、本出願のパターン化基板は、パターン化膜と基板との間に中間材層を含む。
【0223】
本出願では、パターン化基板を形成する方法は特に限定されず、当業者によく知られている様々な方法が使用されてもよい。一部の具体的な実施形態では、パターン化基板は、前述した本出願のパターン形成方法を使用して形成される。
【0224】
本出願のパターニング材料、中間材層、基板、およびパターン形成方法の詳細は、第1の態様および第3の態様でそれぞれ説明された通りであり、ここで再度詳細は説明されない。
【0225】
本出願では、パターン化基板におけるパターン化膜のパターンの解像度およびエッジ粗さは特に限定されない。本出願では、前述したように、パターン化膜は、100nm未満の高解像度を有することができ、かつエッジ粗さがパターン解像度の30%未満の高パターンエッジ解像力を有することができる。本出願では、パターン化膜のパターンの解像度およびエッジ粗さは、走査電子顕微鏡で測定されてもよい。
【0226】
一部の好ましい実施形態では、パターン化基板のパターン化膜上に形成されたパターンの解像度は、好ましくは3~100nm、より好ましくは3~50nm、さらに好ましくは3~20nm、特に好ましくは3~10nmである。
【0227】
一部の好ましい実施形態では、パターン化基板のパターン化膜上に形成されたパターンのエッジ粗さは、好ましくはパターン解像度の2~30%、より好ましくはパターン解像度の2~8%である。
【0228】
本出願では、パターン化膜上に形成されるパターンは特に限定されず、実際の要件に応じてランダムに設計されてもよい。
【0229】
<第5の態様>
本出願は、基板をパターニングする方法をさらに提供し、前述した本出願のパターン化基板上でエッチングまたはイオン注入を行うステップを含み、これによって基板の表面にパターン化構造を形成する。
図5は、本出願による、基板をパターニングする方法の例示的な製造フローチャートである(中間材層は図示されていない)。
【0230】
本出願では、エッチングおよびイオン注入は特に限定されず、当業者に知られている様々な方法で行われてもよい。
【0231】
一部の具体的な実施形態では、好ましくはエッチングが行われる。本出願では、エッチング条件は特に限定されず、プロセス要件、エッチング選択比、およびエッチング速度に応じて変更されてもよい。一部の好ましい実施形態では、エッチングガスの例は、これに限定されないが、Cl2+O2、HBr+Cl2、SF6、CF4+O2、CHF3+O2、およびBCl3を含む。加えて、一部の好ましい実施形態では、Barcなどの相対する整合層材料と、SiO2などの基板材料とのエッチング選択比は、10:1~1:10である。
【0232】
本出願では、基板上に形成されるパターン化構造は特に限定されず、要件に応じてランダムに設計されてもよく、通常は、使用されるパターン化基板の、パターン化膜の具体的なパターンに依存する。
【0233】
<第6の態様>
本出願は、集積回路デバイスをさらに提供し、これは基板としてのシリコンウェハ上に、前述した本出願の基板をパターニングする方法を使用して形成された表面構造を含む。
【0234】
本出願では、集積回路デバイスの具体的な種類は特に限定されない。一部の好ましい実施形態では、本出願の集積回路デバイスは、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話、ウェアラブル電子デバイス、および仮想現実デバイスなどの様々な端末で使用されてもよい。
【0235】
本出願では、表面構造は特に限定されず、要件に応じてランダムに設計されてもよく、通常は、前述した本出願の基板をパターニングする方法で使用されるパターン化基板の、パターン化膜の具体的なパターンに依存する。
【0236】
(具体例)
本出願における、一部の特に具体的な実施形態では、本出願の集積回路デバイス(または本出願の集積回路デバイスの予備成形された部分)を製造する方法は以下の通りに行われる。
【0237】
まず、金属-酸素クラスタ材料が、適切な溶剤内で溶解されて溶液を形成する。基板の大きさに応じて、任意の量の溶液がシリコンウェハ、または中間材層で被覆されたシリコンウェハ上にスピンコーティングされ、これにより、
図6(符号1、2)に示すような、厚さが100nm未満のパターニング材料膜層を形成する。露光前に、
図6(符号3)に示すように、通常は焼成によって残留溶剤が膜層から除去される。
【0238】
次に、パターニング材料膜層が、マスクの反射によって、1~15nmのSoft X-ray(軟X線)の範囲内で、任意の単波長線または混合波長線で選択的に照射され、
図6(符号4)に示すように、マスクのパターンがパターニング材料膜層に転写される。
【0239】
照射されたパターニング材料膜層は、現像を行うために、現像液で10~300sの間洗浄される。
【0240】
現像によって得られたパターニング材料膜層では、
図6(符号5a)に示すように、照射された部分が洗浄されない場合は、ネガ型パターンが形成されてパターニング材料はネガ型パターニング材料と呼ばれ、あるいは
図6(符号5b)に示すように、照射された部分が洗浄された場合は、ポジ型パターンが形成されてパターニング材料はポジ型パターニング材料と呼ばれる。
【0241】
パターニング材料で形成されたパターンは、エッチングするステップにおいて、基板(シリコンウェハ、または中間材層で被覆されたシリコンウェハ)に選択的保護効果を与える。エッチング後に、パターニング材料および基板の未保護領域がエッチング除去されるが、パターニング材料によって保護されている領域は、未保護領域よりも緩慢にエッチングされ、これにより最終的に基板上にパターンが形成される。
図6(符号6a)はネガ型パターンであり、
図6(符号6b)はポジ型パターンである。
【0242】
<実施例>
以下、本出願の実施例について詳細に説明するが、本出願は以下の実施例に限定されない。
実施例1:放射線感受性インジウム-酸素クラスタ材料に基づく
実施例1-1:放射線感受性インジウム-酸素クラスタ材料の合成
【0243】
以下の放射線感受性インジウム-酸素クラスタ材料が作製された。
【0244】
インジウム-酸素クラスタ化合物1:[{In4(μ4-O)}2In4O2(OH)2(L1)4(L2)8X6](L1=OR1,R1=C6H5;L2=NH(CH2CH2O)2;X=Cl)。
合成方法:InX3(1 mmol,X=Cl)が、2~3mLのフェノールと1mLのジエタノールアミンとの混合物に溶解され、2日間で100℃まで加熱されてから室温まで冷却されて、無色結晶を沈殿させた。
【0245】
インジウム-酸素クラスタ化合物2および3:[{In4(μ4-O)}2In4O2(OH)2(L1)4(L2)8X6](L1=OR1,R1=CH3;L2=NH(CH2CH2O)2;X=Cl(化合物3),Br(化合物2))。
合成方法:InX3(1 mmol,X=ClまたはBr)が、3~4mLのCH3OHと1mLのジエタノールアミンとの混合物に溶解され、2日間で100℃まで加熱されてから室温まで冷却されて、生成物として無色結晶を沈殿させた。
【0246】
インジウム-酸素クラスタ化合物4~9:[{In4(μ4-O)}2In4O2(OH)2(L1)4(L2)8X6](L1=OR1,R1=C6H4Cl;L2=NH(CH2CH2O)2;X=Br),[{In4(μ4-O)}2In4O2(OH)2(L1)4(L2)8X6](L1=OR1,R1=C6H4Cl;L2=NH(CH2CH2O)2;X=Cl),[{In4(μ4-O)}2In4O2(OH)2(L1)4(L2)8X6](L1=OR1,R1=C6H4F;L2=NH(CH2CH2O)2;X=Br),[{In4(μ4-O)}2In4O2(OH)2(L1)4(L2)8X6](L1=OR1,R1=C6H4F;L2=NH(CH2CH2O)2;X=Cl),[{In4(μ4-O)}2In4O2(OH)2(L1)4(L2)8X6](L1=OR1,R1=C6H4NO2;L2=NH(CH2CH2O)2;X=Br),[{In4(μ4-O)}2In4O2(OH)2(L1)4(L2)8X6](L1=OR1,R1=C6H4NO2;L2=NH(CH2CH2O)2;X=Cl)。
合成方法:InX3(1 mmol,X=Cl,Br)およびR1OH(5 mmol,R1=C6H4F,C6H4Cl,またはC6H4NO2)が、3mLのテトラヒドロフランと1mLのジエタノールアミンとの混合物に溶解され、2日間で100℃まで加熱されてから室温まで冷却されて、結晶を沈殿させた。
【0247】
インジウム-酸素クラスタ化合物1~8は、
図7に示すように、固体の赤外分析で表現されて、Bruker VERTEX 70を使用して赤外スペクトルを得た。加えて、
図8に示すように、JEOL JSM6700F+Oxford INCAを使用して、インジウム-酸素クラスタ化合物9のEDXスペクトルが得られた。
【0248】
実施例1-2:放射線感受性インジウム-酸素クラスタ材料を使用したパターン形成方法
(1)シリコンウェハの前処理
親水性処理:シリコンウェハはPiranha溶液(H2O:30%アンモニア水:30% H2O2=5:1:1)で15~20分洗浄され、その後、脱イオン水で洗浄されてからイソプロパノールで洗浄された。使用する前に、エアシリンジを使用して、シリコンウェハの表面から液体が吹き飛ばされた。
【0249】
疎水性処理:親水性処理によって得られたシリコンウェハの表面が、蒸着またはスピンコーティングによって、HMDSで均一に被覆された。
【0250】
(2)コーティング
インジウム-酸素クラスタ化合物1~8のそれぞれ5~20mgが、濾過する前に、1mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解された。インジウム-酸素クラスタパターニング材料コーティングを形成するために、適切な量の濾過済み溶液(ネガ型パターニング組成物)が、シリコンウェハの親水表面または疎水表面にスピンコーティングされた。
【0251】
(3)露光
放射線による露光:インジウム-酸素クラスタパターニング材料コーティングが、電子線エッチング技術(EBL)を使用して露光された。
【0252】
(4)現像
現像液は、DMFとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)との混合物(体積比10:1~1:10)、およびイソプロパノール(IPA)とPGMEAとの混合物(体積比10:1~1:10)を含む。現像時間は、15~60sである。
【0253】
(5)パターン表現
現像によって得られた各パターン化基板が、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して表現された。得られる解像度は100nm、または50nmにも達することができる。詳細は以下の通りである。
【0254】
図9に示すように、インジウム-酸素クラスタ化合物3を使用してパターン化基板が形成された後で、SEMを使用して表現され露光された線の幅は100nmである。
【0255】
図10に示すように、インジウム-酸素クラスタ化合物3でパターン化基板が形成された後で、SEMを使用して表現され露光された線の幅は50nmである。
【0256】
図11に示すように、インジウム-酸素クラスタ化合物2を使用してパターン化基板が形成された後で、SEMを使用して表現され露光された線の幅は100nmである。
【0257】
図12に示すように、インジウム-酸素クラスタ化合物2を使用してパターン化基板が形成された後で、SEMを使用して表現され露光された線の幅は50nmである。
【0258】
図13に示すように、インジウム-酸素クラスタ化合物9でパターン化基板が形成された後で、SEMを使用して表現され露光された線の幅は100nmである。
【0259】
図14に示すように、インジウム-酸素クラスタ化合物9を使用してパターン化基板が形成された後で、SEMを使用して表現され露光された線の幅は50nmである。
【0260】
実施例2:放射線感受性スズ-酸素クラスタ材料に基づく
実施例2-1:放射線感受性スズ-酸素クラスタ材料の合成
以下の放射線感受性スズ-酸素クラスタ材料が作製された。
【0261】
スズ-酸素クラスタ化合物1:[Sn10O12(L1)12X8](L1=3-メチルピラゾール;X=Cl)。
合成方法:SnXn(1 mmol,X=Cl,n=4)が、口が1つのガラス瓶の中で3mLの3-メチルピラゾールに溶解され、3日間で100℃まで加熱されてから室温まで冷却されて、無色結晶を沈殿させた。
【0262】
スズ-酸素クラスタ化合物2:[Sn10O12(L1)12X8](L1=4-メチルピラゾール;X=Cl)。
合成方法:SnXn(1 mmol,X=Cl,n=4)が、2mLの4-メチルピラゾールに溶解され、3日間で100℃まで加熱されてから室温まで冷却されて、無色結晶を沈殿させた。
【0263】
スズ-酸素クラスタ化合物1および2は、
図15および
図16に示すように、固体の赤外分析で表現されて、Bruker VERTEX 70を使用して赤外スペクトルを得た。
【0264】
実施例2-2:放射線感受性スズ-酸素クラスタ材料を使用したパターン形成方法
(1)シリコンウェハの前処理
親水性処理:シリコンウェハはPiranha溶液(H2O:30%アンモニア水:30% H2O2=5:1:1)で15~20分洗浄され、その後、脱イオン水で洗浄されてからイソプロパノールで洗浄された。使用する前に、エアシリンジを使用して、シリコンウェハの表面から液体が吹き飛ばされた。
【0265】
疎水性処理:親水性処理によって得られたシリコンウェハの表面が、蒸着またはスピンコーティングによって、HMDSで均一に被覆された。
【0266】
(2)コーティング
スズ-酸素クラスタ化合物1および2のそれぞれの8~20mgが、フィルタリングの前に、酢酸エチルに溶解された。スズ-酸素クラスタ放射線感受性コーティングを形成するために、適切な量の濾過済み溶液(ネガ型パターニング組成物)が、シリコンウェハの親水表面または疎水表面にスピンコーティングされた。
【0267】
(3)露光
放射線による露光:インジウム-酸素クラスタパターニング材料コーティングが、電子線エッチング技術(EBL)を使用して露光された。
【0268】
(4)現像
現像液は、イソプロパノールと水との混合物(体積比10:1~1:10)、およびイソプロパノール(IPA)とPGMEAとの混合物(体積比10:1~1:10)を含む。現像時間は、15~60sである。
【0269】
(5)パターン表現
現像によって得られた各パターン化基板が、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して表現された。得られる解像度は100nm、または50nmにも達することができる。詳細は以下の通りである。
【0270】
図17に示すように、スズ-酸素クラスタ化合物2を使用してパターン化基板が形成された後で、SEMを使用して表現され露光された線の幅は100nmである。
【0271】
図18に示すように、スズ-酸素クラスタ化合物2を使用してパターン化基板が形成された後で、SEMを使用して表現され露光された線の幅は50nmである。
【0272】
添付の図面のフローチャートおよびブロック図は、本出願の複数の実施形態による装置、システム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実施態様のシステムアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、モジュール、プログラムセグメント、または命令の一部を表し得、モジュール、プログラムセグメント、または命令の一部は、指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含む。いくつかの代替の実施態様では、ブロックにマークされた機能はまた、添付の図面にマークされたものとは異なる順序で発生することもある。例えば、2つの連続するブロックは、実際には、実質的に並行して実行されてもよく、関与する機能に応じて逆の順序で実行されることもある。
【0273】
ブロック図および/またはフローチャート内の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート内のブロックの組合せは、対応する機能または動作を実行するハードウェア(例えば、回路またはASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路))によって実施されてもよく、またはハードウェアとソフトウェアの組合せ、例えばファームウェアによって実施されてもよいことにも留意されたい。
【0274】
本発明は、実施形態を参照して記載されているが、保護を主張する本発明を実装するプロセスにおいて、当業者は、添付の図面、開示された内容、および添付の特許請求の範囲を参照することにより、開示された実施形態の別の変形形態を理解し実装することができる。特許請求の範囲では、「備える」(comprising)は別の構成要素または別のステップを排除せず、「a」または「one」は複数の意味を排除しない。単一のプロセッサまたは別のユニットが、特許請求の範囲に列挙されているいくつかの機能を実施してもよい。いくつかの手段が互いに異なる従属請求項に記載されているが、これは、これらの手段が優れた効果を実現するために組み合わせることができないことを意味しない。
【0275】
上記では、本出願の実施形態が説明されている。前述の説明は例であり、網羅的ではなく、開示された実施形態に限定されない。説明された実施形態の範囲および精神から逸脱することのない、多くの修正形態および変更が当業者には明らかである。本明細書で使用されている用語の選択は、実施形態の原理、実際の適用、または市場の技術の改善を最も良く説明すること、または別の当業者が本明細書に開示されている実施形態を理解することを可能にすることを意図されている。