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特許7668524熱電発電デバイス、熱電発電デバイス部品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】熱電発電デバイス、熱電発電デバイス部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/17 20230101AFI20250418BHJP
   H10N 10/13 20230101ALI20250418BHJP
   H10N 10/01 20230101ALI20250418BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20250418BHJP
【FI】
H10N10/17 A
H10N10/13
H10N10/01
H02N11/00 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021094815
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2022186538
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-02-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2020年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST) 微小エネルギーを利用した革新的な環境発電技術の創出 「メカノサーマル工学による熱電技術の低コスト化と高付加価値化」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】390001421
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 英治
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 真伍
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038773(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/038525(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0220162(US,A1)
【文献】特開2017-216388(JP,A)
【文献】特開2014-007357(JP,A)
【文献】特開2008-192970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 10/17
H10N 10/13
H10N 10/01
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の基材と前記基材の一方の面に形成された金属層とを有する可撓性の配線基板と、前記配線基板上に設けられたp型熱電素子及びn型熱電素子とを備え、
前記配線基板は、
一端に幅方向外側に突出した第1連結部及び他端に前記第1連結部とは逆向きに突出した第2連結部とを設けた帯状の梁部と、
前記梁部の一方の面側において、前記第1連結部の前記梁部の他端側の端部から前記梁部の他端側に向けてかつ前記梁部から離れる方向に向けて帯状に延び、先端に熱源と接触する第1接触部が設けられた第1脚部と、
前記梁部の一方の面側において、前記第2連結部の前記梁部の一端側の端部から前記梁部の一端側かつ前記梁部から離れる方向に向けて帯状に延び、先端に前記第1接触部よりも前記梁部の一端側で熱源と接触する第2接触部が設けられた第2脚部と
を有し、
前記金属層は、前記第1脚部の基端と先端との間に形成された第1絶縁領域及び前記第2脚部の基端と先端との間に形成された第2絶縁領域により、前記第1脚部における先端側の第1配線領域、前記第2脚部における先端側の第2配線領域及び前記第1絶縁領域から前記梁部を経て前記第2絶縁領域までの接続配線領域に電気的に分割され、
前記p型熱電素子は、前記接続配線領域と前記第1配線領域とを接続するように前記第1脚部上に取り付けられ、
前記n型熱電素子は、前記接続配線領域と前記第2配線領域とを接続するように前記第2脚部上に取り付けられている
ことを特徴とする熱電発電デバイス。
【請求項2】
絶縁性の基材と前記基材の一方の面に形成された金属層とを有する可撓性の配線基板と、前記配線基板上に設けられたp型またはn型のいずれか一方の熱電素子とを備え、
前記配線基板は、
一端に幅方向外側に突出した第1連結部及び他端に前記第1連結部とは逆向きに突出した第2連結部とを設けた帯状の梁部と、
前記梁部の一方の面側において、前記第1連結部の前記梁部の他端側の端部から前記梁部の他端側に向けてかつ前記梁部から離れる方向に向けて帯状に延び、先端に熱源と接触する第1接触部が設けられた第1脚部と、
前記梁部の一方の面側において、前記第2連結部の前記梁部の一端側の端部から前記梁部の一端側かつ前記梁部から離れる方向に向けて帯状に延び、前記金属層が前記第1脚部よりも幅狭に形成され、先端に前記第1接触部よりも前記梁部の一端側で熱源と接触する第2接触部が設けられた第2脚部と
を有し、
前記金属層は、前記第1脚部の基端と先端との間に形成された第1絶縁領域により、前記第1脚部における先端側の第1配線領域と、前記第1絶縁領域から前記梁部を経て前記第2接触部までの第2配線領域とに電気的に分割され、
前記熱電素子は、前記第1配線領域と前記第2配線領域を接続するように前記第1脚部上に取り付けられている
ことを特徴とする熱電発電デバイス。
【請求項3】
前記梁部の幅方向に、前記第1脚部と前記第2脚部との間に前記梁部を挟み、複数の前記第1脚部及び前記第2脚部が交互に並んで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱電発電デバイス。
【請求項4】
一組の前記第1脚部、前記第2脚部及び前記梁部からなる複数の列モジュールまたは前記梁部の幅方向に、前記第1脚部と前記第2脚部との間に前記梁部を挟み複数の前記第1脚部及び前記第2脚部を交互に配列した複数の列モジュールを有し、前記複数の列モジュールが前記梁部の幅方向と直交する方向に並べられ、隣り合う列モジュールの間に当該隣り合う列モジュールの一方の前記第1脚部と他方の前記第2脚部とを連結するとともに熱源と接触する、前記第1接触部と前記第2接触部とを一体にした中間接触部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱電発電デバイス。
【請求項5】
前記梁部の表面に複数のフィンを有するヒートシンクを設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱電発電デバイス。
【請求項6】
絶縁性の基材と前記基材の一方の面に形成された金属層とを有する可撓性を有する平板状の配線基板と、
前記配線基板上に設けられたp型熱電素子及びn型熱電素子とを備え、
前記配線基板は、カット線により、一端に幅方向外側に突出した第1連結部領域及び他端に前記第1連結部領域とは逆向きに突出した第2連結部領域とを設けた帯状の梁部領域と、前記第1連結部領域の前記梁部領域の他端側の端部から前記梁部領域の他端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第1接触部領域を有する第1脚部領域と、前記第2連結部領域の前記梁部領域の一端側の端部から前記梁部領域の一端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第2接触部領域を有する第2脚部領域とが形成され、
前記金属層は、前記第1脚部領域の基端と先端との間に形成された第1絶縁領域及び前記第2脚部領域の基端と先端との間に形成された第2絶縁領域により、前記第1脚部領域における先端側の第1配線領域、前記第2脚部領域における先端側の第2配線領域及び前記第1絶縁領域から前記梁部領域を経て前記第2絶縁領域までの接続配線領域に電気的に分離され、
前記p型熱電素子は、前記接続配線領域と前記第1配線領域とを接続するように前記第1脚部領域上に取り付けられ、
前記n型熱電素子は、前記接続配線領域と前記第2配線領域とを接続するように前記第2脚部領域上に取り付けられている
ことを特徴とする熱電発電デバイス部品。
【請求項7】
絶縁性の基材と前記基材の一方の面に形成された金属層とを有する可撓性を有する平板状の配線基板と、
前記配線基板上に設けられたp型またはn型のいずれか一方の熱電素子とを備え、
前記配線基板は、カット線により、一端に幅方向外側に突出した第1連結部領域及び他端に前記第1連結部領域とは逆向きに突出した第2連結部領域とを設けた帯状の梁部領域と、前記第1連結部領域の前記梁部領域の他端側の端部から前記梁部領域の他端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第1接触部領域を有する第1脚部領域と、前記第2連結部領域の前記梁部領域の一端側の端部から前記梁部領域の一端側に帯状に延び、前記金属層が前記第1脚部領域よりも幅狭に形成され、先端に熱源と接触する第2接触部領域を有する第2脚部領域とが形成され、
前記金属層は、前記第1脚部領域の基端と先端との間に形成された第1絶縁領域により、前記第1脚部領域における先端側の第1配線領域と、前記第1絶縁領域から前記梁部領域を経て前記第2接触部領域までの第2配線領域とに電気的に分離され、
前記熱電素子は、前記第1配線領域と前記第2配線領域とを接続するように前記第1脚部領域上に取り付けられている
ことを特徴とする熱電発電デバイス部品。
【請求項8】
前記配線基板は、前記梁部領域の幅方向に、前記第1脚部領域と前記第2脚部領域との間に前記梁部領域を挟み、複数の前記第1脚部領域及び前記第2脚部領域が交互に並んで形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の熱電発電デバイス部品。
【請求項9】
前記配線基板は、一組の前記第1脚部領域、前記第2脚部領域及び前記梁部領域からなる複数の列モジュールまたは前記梁部領域の幅方向に前記第1脚部領域と前記第2脚部領域との間に前記梁部領域を挟み複数の前記第1脚部領域及び前記第2脚部領域が交互に配列した複数の列モジュール領域を有し、前記複数の列モジュール領域が前記梁部領域の幅方向と直交する方向に並べられ、隣り合う列モジュール領域の間に当該隣り合う列モジュール領域の一方の前記第1脚部領域と他方の前記第2脚部領域とを連結するとともに熱源と接触する、前記第1接触部領域と前記第2接触部領域とを一体にした中間接触部領域が形成されていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の熱電発電デバイス部品。
【請求項10】
前記梁部領域の表面に取り付けられた複数のフィンを有するヒートシンクを備えることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1項に記載の熱電発電デバイス部品。
【請求項11】
絶縁性の基材と前記基材の一方の面に形成された金属層とを有する可撓性の配線基板にカット線を形成し、一端に幅方向外側に突出した第1連結部領域及び他端に前記第1連結部領域とは逆向きに突出した第2連結部領域とを設けた帯状の梁部領域と、前記第1連結部領域の前記梁部領域の他端側の端部から前記梁部領域の他端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第1接触部領域を有する第1脚部領域と、前記第2連結部領域の前記梁部領域の一端側の端部から前記梁部領域の一端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第2接触部領域を有する第2脚部領域とに分割する分割工程と、
前記金属層を、前記第1脚部領域の基端と先端との間に第1絶縁領域を、前記第2脚部領域の基端と先端との間に第2絶縁領域をそれぞれ形成し、前記第1脚部領域における先端側の第1配線領域、前記第2脚部領域における先端側の第2配線領域及び前記第1絶縁領域から前記梁部領域を経て前記第2絶縁領域までの接続配線領域に電気的に分離する金属層加工工程と、
前記接続配線領域と前記第1配線領域とを接続するようにp型熱電素子を前記第1脚部領域上に、前記接続配線領域と前記第2配線領域とを接続するようにn型熱電素子を前記第2脚部領域上にそれぞれ取り付ける熱電素子取付工程と
を有することを特徴とする熱電発電デバイス部品の製造方法。
【請求項12】
絶縁性の基材と前記基材の一方の面に形成された金属層とを有する可撓性の配線基板にカット線を形成し、一端に幅方向外側に突出した第1連結部領域及び他端に前記第1連結部領域とは逆向きに突出した第2連結部領域とを設けた帯状の梁部領域と、前記第1連結部領域の前記梁部領域の他端側の端部から前記梁部領域の他端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第1接触部領域を有する第1脚部領域と、前記第2連結部領域の前記梁部領域の一端側の端部から前記梁部領域の一端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第2接触部領域を有する第2脚部領域とに分割する分割工程と、
前記金属層を、前記第1脚部領域の基端と先端との間に第1絶縁領域を形成し、前記第1脚部領域における先端側の第1配線領域と前記第1絶縁領域から前記梁部領域を経て前記第2接触部領域までの第2配線領域とに電気的に分離するとともに第2脚部領域における前記金属層が前記第1脚部領域よりも幅狭にする金属層加工工程と、
前記第1配線領域と前記第2配線領域を接続するようにp型またはn型のいずれか一方の熱電素子を前記第1脚部領域上にそれぞれ取り付ける熱電素子取付工程と
を有することを特徴とする熱電発電デバイス部品の製造方法。
【請求項13】
前記梁部領域の表面に複数のフィンを有するヒートシンクを取り付けるヒートシンク取付工程を有することを特徴とする請求項11または12に記載の熱電発電デバイス部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電発電デバイス、熱電発電デバイス部品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体の熱電素子を用い、ゼーベック効果によって熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電発電デバイスが知られている。このような熱電発電デバイスとしては、2枚の基板の間に一組の熱電素子を配したπ型の構造と、熱電素子を基板面上に薄膜状に形成したフラット型の構造(例えば特許文献1、非特許文献1~3を参照)とが知られている。
【0003】
熱電発電デバイスは、一組の熱電素子すなわちp型とn型の熱電素子(半導体)から構成される。一組の熱電素子では出力が小さいため、一般的には多数組の熱電素子が用いられる。特許文献1に記載の熱電発電デバイスでは、薄膜状の多数組の熱電素子を基板に形成するとともに、基板を山折りと谷折りの繰り返し構造を持つ蛇腹状にして、山と谷の各部分について熱源からの距離に差を持たせ、山と谷の間に形成した熱電素子の両端(山側と谷側)の温度差を大きくしている。また、π型の構造の多数組の熱電素子をフレキシブル基板上に設けるとともに、熱電素子のフレキシブル基板とは反対側の端部を接続する多数の電極を特定の配置とすることで、特定の1方向に湾曲できるようにした熱電発電デバイスも知られている(非特許文献4を参照)。
【0004】
一方長方形状のプリント基板に切れ込みを入れて略N字形状とすることで、プリント基板の基材への負担が少なく、また屈曲による基材上の配線の切断等を防止しながら、180度折り曲げることができるプリント基板が提案されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-92437号公報
【文献】特開2020-47818号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】L. Francioso, C. De Pascali, I. Farella, C. Martucci, P. Creti, P. Siciliano, A. Perrone, “Flexible thermoelectric generator for ambient assisted living wearable biometric sensors”, J. Power Sources, 196 (2011).
【文献】Z. Lu, H. Zhang, C. Mao, C. M. Li, “Silk fabric-based wearable thermoelectric generator for energy harvesting from the human body”, Appl. Energy, 164, pp. 57-63 (2016).
【文献】C. A. Hewitt, A. B. Kaiser, S. Roth, M. Craps, R. Czerw, D. L. Carroll, “Multilayered carbon nanotube /polymer composite based thermoelectric fabrics”, Nano Lett., 12, pp. 1307-1310 (2012).
【文献】T. Sugahara, Y. Ekubaru, N. V. Nong, N. Kagami, K. Ohata, L. T. Hung, M. Okajima, S. Nambu, and K. Suganuma, “Fabrication with Semiconductor Packaging Technologies and Characterization of a Large‐Scale Flexible Thermoelectric Module”, Advanced Materials Technologies (2019).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のように基板が蛇腹状にされた熱電発電デバイスや非特許文献4のように一方向にのみ曲げられる熱電発電デバイスでは、熱源の表面の形状によっては部分的に浮きが発生するため、また特許文献1や非特許文献1等の熱電発電デバイスでは、薄膜状の熱電素子を用いるため発電効率が悪いといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、発電効率を向上することができる熱電発電デバイス、熱電発電デバイス部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の熱電発電デバイスは、絶縁性の基材と前記基材の一方の面に形成された金属層とを有する可撓性の配線基板と、前記配線基板上に設けられたp型熱電素子及びn型熱電素子とを備え、前記配線基板は、一端に幅方向外側に突出した第1連結部及び他端に前記第1連結部とは逆向きに突出した第2連結部とを設けた帯状の梁部と、前記梁部の一方の面側において、前記第1連結部の前記梁部の他端側の端部から前記梁部の他端側に向けてかつ前記梁部から離れる方向に向けて帯状に延び、先端に熱源と接触する第1接触部が設けられた第1脚部と、前記梁部の一方の面側において、前記第2連結部の前記梁部の一端側の端部から前記梁部の一端側かつ前記梁部から離れる方向に向けて帯状に延び、先端に前記第1接触部よりも前記梁部の一端側で熱源と接触する第2接触部が設けられた第2脚部とを有し、前記金属層は、前記第1脚部の基端と先端との間に形成された第1絶縁領域及び前記第2脚部の基端と先端との間に形成された第2絶縁領域により、前記第1脚部における先端側の第1配線領域、前記第2脚部における先端側の第2配線領域及び前記第1絶縁領域から前記梁部を経て前記第2絶縁領域までの接続配線領域に電気的に分割され、前記p型熱電素子は、前記接続配線領域と前記第1配線領域とを接続するように前記第1脚部上に取り付けられ、前記n型熱電素子は、前記接続配線領域と前記第2配線領域とを接続するように前記第2脚部上に取り付けられているものである。
【0010】
本発明の熱電発電デバイスは、絶縁性の基材と前記基材の一方の面に形成された金属層とを有する可撓性の配線基板と、前記配線基板上に設けられたp型またはn型のいずれか一方の熱電素子とを備え、前記配線基板は、一端に幅方向外側に突出した第1連結部及び他端に前記第1連結部とは逆向きに突出した第2連結部とを設けた帯状の梁部と、前記梁部の一方の面側において、前記第1連結部の前記梁部の他端側の端部から前記梁部の他端側に向けてかつ前記梁部から離れる方向に向けて帯状に延び、先端に熱源と接触する第1接触部が設けられた第1脚部と、前記梁部の一方の面側において、前記第2連結部の前記梁部の一端側の端部から前記梁部の一端側かつ前記梁部から離れる方向に向けて帯状に延び、前記金属層が前記第1脚部よりも幅狭に形成され、先端に前記第1接触部よりも前記梁部の一端側で熱源と接触する第2接触部が設けられた第2脚部とを有し、前記金属層は、前記第1脚部の基端と先端との間に形成された第1絶縁領域により、前記第1脚部における先端側の第1配線領域と、前記第1絶縁領域から前記梁部を経て前記第2接触部までの第2配線領域とに電気的に分割され、前記熱電素子は、前記第1配線領域と前記第2配線領域を接続するように前記第1脚部上に取り付けられているものである。
【0011】
本発明の熱電発電デバイス部品は、絶縁性の基材と前記基材の一方の面に形成された金属層とを有する可撓性を有する平板状の配線基板と、前記配線基板上に設けられたp型熱電素子及びn型熱電素子とを備え、前記配線基板は、カット線により、一端に幅方向外側に突出した第1連結部領域及び他端に前記第1連結部領域とは逆向きに突出した第2連結部領域とを設けた帯状の梁部領域と、前記第1連結部領域の前記梁部領域の他端側の端部から前記梁部領域の他端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第1接触部領域を有する第1脚部領域と、前記第2連結部領域の前記梁部領域の一端側の端部から前記梁部領域の一端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第2接触部領域を有する第2脚部領域とが形成され、前記金属層は、前記第1脚部領域の基端と先端との間に形成された第1絶縁領域及び前記第2脚部領域の基端と先端との間に形成された第2絶縁領域により、前記第1脚部領域における先端側の第1配線領域、前記第2脚部領域における先端側の第2配線領域及び前記第1絶縁領域から前記梁部領域を経て前記第2絶縁領域までの接続配線領域に電気的に分離され、前記p型熱電素子は、前記接続配線領域と前記第1配線領域とを接続するように前記第1脚部領域上に取り付けられ、前記n型熱電素子は、前記接続配線領域と前記第2配線領域とを接続するように前記第2脚部領域上に取り付けられているものである。
【0012】
本発明の熱電発電デバイス部品は、絶縁性の基材と前記基材の一方の面に形成された金属層とを有する可撓性を有する平板状の配線基板と、前記配線基板上に設けられたp型またはn型のいずれか一方の熱電素子とを備え、前記配線基板は、カット線により、一端に幅方向外側に突出した第1連結部領域及び他端に前記第1連結部領域とは逆向きに突出した第2連結部領域とを設けた帯状の梁部領域と、前記第1連結部領域の前記梁部領域の他端側の端部から前記梁部領域の他端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第1接触部領域を有する第1脚部領域と、前記第2連結部領域の前記梁部領域の一端側の端部から前記梁部領域の一端側に帯状に延び、前記金属層が前記第1脚部領域よりも幅狭に形成され、先端に熱源と接触する第2接触部領域を有する第2脚部領域とが形成され、前記金属層は、前記第1脚部領域の基端と先端との間に形成された第1絶縁領域により、前記第1脚部領域における先端側の第1配線領域と、前記第1絶縁領域から前記梁部領域を経て前記第2接触領域までの第2配線領域とに電気的に分離され、前記熱電素子は、前記第1配線領域と前記第2配線領域とを接続するように前記第1脚部領域上に取り付けられているものである。
【0013】
本発明の熱電発電デバイス部品の製造方法は、絶縁性の基材と前記基材の一方の面に形成された金属層とを有する可撓性の配線基板にカット線を形成し、一端に幅方向外側に突出した第1連結部領域及び他端に前記第1連結部領域とは逆向きに突出した第2連結部領域とを設けた帯状の梁部領域と、前記第1連結部領域の前記梁部領域の他端側の端部から前記梁部領域の他端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第1接触部領域を有する第1脚部領域と、前記第2連結部領域の前記梁部領域の一端側の端部から前記梁部領域の一端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第2接触部領域を有する第2脚部領域とに分割する分割工程と、前記金属層を、前記第1脚部領域の基端と先端との間に第1絶縁領域を、前記第2脚部領域の基端と先端との間に第2絶縁領域をそれぞれ形成し、前記第1脚部領域における先端側の第1配線領域、前記第2脚部領域における先端側の第2配線領域及び前記第1絶縁領域から前記梁部領域を経て前記第2絶縁領域までの接続配線領域に電気的に分離する金属層加工工程と、前記接続配線領域と前記第1配線領域とを接続するようにp型熱電素子を前記第1脚部領域上に、前記接続配線領域と前記第2配線領域とを接続するようにn型熱電素子を前記第2脚部領域上にそれぞれ取り付ける熱電素子取付工程とを有するものである。
【0014】
本発明の熱電発電デバイス部品の製造方法は、絶縁性の基材と前記基材の一方の面に形成された金属層とを有する可撓性の配線基板にカット線を形成し、一端に幅方向外側に突出した第1連結部領域及び他端に前記第1連結部領域とは逆向きに突出した第2連結部領域とを設けた帯状の梁部領域と、前記第1連結部領域の前記梁部領域の他端側の端部から前記梁部領域の他端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第1接触部領域を有する第1脚部領域と、前記第2連結部領域の前記梁部領域の一端側の端部から前記梁部領域の一端側に帯状に延び、先端に熱源と接触する第2接触部領域を有する第2脚部領域とに分割する分割工程と、前記金属層を、前記第1脚部領域の基端と先端との間に第1絶縁領域を形成し、前記第1脚部領域における先端側の第1配線領域と前記第1絶縁領域から前記梁部領域を経て前記第2接触領域までの第2配線領域とに電気的に分離するとともに第2脚部領域における前記金属層が前記第1脚部領域よりも幅狭にする金属層加工工程と、前記第1配線領域と前記第2配線領域を接続するようにp型またはn型のいずれか一方の熱電素子を前記第1脚部領域上にそれぞれ取り付ける熱電素子取付工程とを有するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、熱源から第1脚部及び第2脚部が傾斜して立ち上がるため、各熱電素子が熱源から離れて大きな温度差を熱電素子に生じさせることができるとともに、第1接触部と第2接触部の間隔、位置に自由度があり、熱源に第1接触部と第2接触部を良好に密着させることができるため発電効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る熱電発電デバイスを示す斜視図である。
図2】熱電発電デバイスを球面に取り付けた状態を模式的に示す説明図である。
図3】熱電発電デバイス部品を示す斜視図である。
図4】梁部にヒートシンクを取り付けた熱電発電デバイスを示す斜視図である。
図5】複数の列モジュールで構成される熱電発電デバイスを示す斜視図である。
図6】複数の列モジュール領域を有する熱電発電デバイス部品を示す斜視図である。
図7】熱電発電デバイス周辺の温度分布の数値シミュレーション結果を示す画像である。
図8】π型構造、フラット型構造を模した熱電発電デバイス周辺の温度分布の数値シミュレーション結果を示す画像である。
図9図7図8の数値シミュレーションにおける熱電素子の温度分布を示すグラフである。
図10】発電性能を検証した際の各熱電発電デバイスを示す写真である。
図11】温度と図10の各熱電発電デバイスの計測された出力との関係を示すグラフである。
図12】平板と円柱の周面に貼付した複数の列モジュールで構成される熱電発電デバイスを示す写真である。
図13】平板と円柱の周面に貼付した熱電発電デバイスの温度と出力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1において、熱電発電デバイス10は、エンジン、配管、電子機器等の熱源Hsに取り付けて使用される。この熱電発電デバイス10は、熱電素子E1、E2が固定された配線基板11を所定の形状に変形させたものであり、変形させた状態で熱源Hsに取り付けられる。以下、熱源Hsの上面に熱電発電デバイス10を取り付けたものとして説明するが、熱源Hsに対する熱電発電デバイス10の姿勢等を限定するものではない。また、一例として熱電発電デバイス10を取り付ける熱源Hsの面(以下、熱源面と称する)を平面として説明するが、後述するように、熱電発電デバイス10を取り付ける熱源面は、平面に限定されるものではない。
【0018】
配線基板11は、基材としてのベースフィルム12の上面に金属層14を形成した構成であり、可撓性を有する。ベースフィルム12は、絶縁性を有する樹脂、この例ではポリイミドで作製されている。この例では、ベースフィルム12が可撓性を有しており、配線基板11の可撓性は主としてベースフィルム12の可撓性によるものである。金属層14は、熱伝導性及び導電性の高い金属、この例では銅(Cu)で作製されている。ベースフィルム12は、少なくとも金属層14側の面で絶縁性を有すればよい。基材は、樹脂以外のものでもよく、また異なる材料で作製された複数の層からなる構成でもよい。また、ベースフィルム12を介して熱源Hsから熱を金属層14に伝えるため、ベースフィルム12は熱伝導性の高いものが好ましい。また、金属層14は、熱伝導性及び導電性の高い材料であればよく、アルミニウム(Al)、金(Au)等であってもよい。
【0019】
配線基板11は、梁部20、第1脚部21、第2脚部22の3つの部分に大別される。梁部20、第1脚部21、第2脚部22は、詳細を後述するように、これらの各部となる複数の領域に分割するように切り込みを入れた1枚の配線基板11を湾曲変形させたものであり、梁部20、第1脚部21、第2脚部22は、それらの面が連続している。
【0020】
梁部20は、帯状に形成されている。この梁部20は、第1脚部21及び第2脚部22の熱源Hsへの取り付け状態に応じて湾曲したり、ねじれたりし、それらの程度も変わる。以下、梁部20、第1脚部21及び第2脚部22の幅方向をY方向、図1における上下方向をZ方向、Y方向及びZ方向とそれぞれ直交する方向(図中左右方向)をX方向として説明する。
【0021】
梁部20は、X方向の各端部の側縁からY方向に突出した第1連結部20a及び第2連結部20bを有している。第1連結部20aは、梁部20の一端部の一方の側縁(図中、手前側の側縁)から突出し、第2連結部20bは、梁部20の他端部の他方の側縁(図中、奥側の側縁)から突出している。すなわち、第2連結部20bは、第1連結部20aとは逆向きに突出している。第1連結部20a及び第2連結部20bは、その幅(Y方向の長さ)が第1脚部21及び第2脚部22と同じにされている。
【0022】
第1脚部21は、第1連結部20aから帯状に延びた脚本体21aと、この脚本体21aの先端に設けた第1接触部21bとを有している。脚本体21aは、その基端が第1連結部20aの梁部20の他端側の端部に繋がっており、図中右斜め下方に延びている。すなわち、脚本体21aは、梁部20の金属層14と反対の下面側において、第1連結部20aから梁部20の他端側への向き(図中右方向)かつ梁部20から離れる向き(図中下向き)に延びた状態にされ、梁部20に対して傾斜している。
【0023】
第1脚部21は、脚本体21aの先端が脚本体21aよりも幅広にされており、その幅広の部分が第1接触部21bとなっている。第1接触部21bは、その下面を熱源面に密着させた状態にして、例えば貼付することで取り付けられる。
【0024】
第2脚部22は、第2連結部20bから帯状に延びた脚本体22aと、この脚本体22aの先端に設けた第2接触部22bとを有している。脚本体22aは、その基端が第2連結部20bの梁部20の一端側の端部に繋がっており、図中左斜め下方に延びている。すなわち、脚本体22aは、梁部20の下面側において、第2連結部20bから梁部20の一端側への向き(図中左方向)かつ梁部20から離れる向き(図中下向き)に延びた状態にされ、梁部20に対して傾斜している。
【0025】
第1脚部21は、脚本体21aの先端が脚本体21aよりも幅広にされており、その幅広の部分が第1接触部21bとなっている。同様に、第2脚部22は、脚本体22aの先端が脚本体22aよりも幅広にされており、その幅広の部分が第2接触部22bとなっている。第1接触部21b、第2接触部22bの下面を熱源面に密着させて例えば貼付することで、熱電発電デバイス10は、熱源Hsに取り付けられる。第1接触部21b、第2接触部22bは、互いにX方向に間隔をあけた状態で熱源面に密着される。また、第1接触部21b、第2接触部22bは、熱電発電デバイス10の電力を取り出すための一対の電極としても機能する。なお、この例では、第1接触部21b、第2接触部22bを脚本体21a、22aよりも幅広としているが、これに限定されず、脚本体21a、22aと同じ幅としてもよい。
【0026】
第1脚部21(脚本体21a)の基端と先端との間に、金属層14を電気的に分離する第1絶縁領域27が設けられ、第2脚部22(脚本体22a)の基端と先端との間には、金属層14を電気的に分離する第2絶縁領域28が設けられている。この例では、第1絶縁領域27及び第2絶縁領域28は、金属層14の金属がないギャップとして形成されている。これにより、金属層14は、第1脚部21の先端側の第1配線領域14aと、第2脚部22の先端側の第2配線領域14bと、第1絶縁領域27から梁部20を介して第2絶縁領域28までの接続配線領域14cとに電気的に分離されている。第1配線領域14aは、第1接触部21b及び第1接触部21bから第1絶縁領域27までの金属層14の領域であり、第2配線領域14bは、第2接触部22b及び第2接触部22bから第2絶縁領域28までの金属層14の領域である。
【0027】
熱電素子E1は、p型のものであり、金属層14の第1配線領域14aと接続配線領域14cとを接続するように第1絶縁領域27の位置、すなわち脚本体21a上に実装される。熱電素子E2は、n型のものであり、金属層14の第2配線領域14bと接続配線領域14cとを接続するように第2絶縁領域28の位置、すなわち脚本体22a上に実装される。熱電素子E1、E2は、第1配線領域14a、第2配線領域14b、接続配線領域14cに、例えば半田付けされて電気的にそれぞれ接続される。
【0028】
熱電素子E1の取り付け位置すなわち第1絶縁領域27の形成位置は、脚本体21aが湾曲する基端部分でなく平面となる部分にする。これにより、熱電素子E1の脱落等を防止する。同様に、熱電素子E2の取り付け位置すなわち第2絶縁領域28の形成位置は、脚本体22aが湾曲する基端部分ではなく平面となる部分にし、熱電素子E2の脱落等を防止する。熱電素子E1、E2を熱源Hsから離して熱電素子E1、E2の両端に生じる温度差を大きくする観点からは、脚本体21a、22aの先端から離れ基端に近い位置に設けることが好ましい。
【0029】
上述のように熱電発電デバイス10は、熱源Hsの熱源面に第1接触部21b、第2接触部22bを密着させた状態に取り付けられる。熱電発電デバイス10をY方向から見たときに、脚本体21aと脚本体22aとが交差してX字状になるように、第2接触部22bを第1接触部21bよりも梁部20の一端側(図中左側)となる位置に固定する。これにより、梁部20は、熱源Hsの上方に離れて配置される。また、脚本体21a、22aがそれぞれ熱源面より斜め上方に立ち上がった姿勢になるため、熱電素子E1、E2が熱源面から上方に大きく離れて配置される。このような立体的な配線基板11の構造は、シートに切れ込みを入れた切り紙構造と呼ばれるものと同様なものである。
【0030】
熱電発電デバイス10では、主として金属層14が熱伝導を担い、金属層14の第1配線領域14a、第2配線領域14bによって熱源Hsからの熱を熱電素子E1、E2の一端に伝えてそれらの一端の温度を高くする。また、接続配線領域14c、主として梁部20の領域が放熱し、熱電素子E1、E2の他端の温度を効果的に低くする。このように熱電素子E1、E2に温度差を発生させて、熱電発電デバイス10に生じる起電力を第1接触部21b、第2接触部22bから取り出す。高温源となる熱源Hsの熱源面と、低温源となる梁部20の距離が大きくなるため、高い発電効率が得られる。また、熱電素子E1、E2が熱源面から上方に大きく離れて配置されるため、より高い発電効率が得られる。
【0031】
ところで、熱電発電デバイス10は、上記のような構造を有することにより、熱電素子E1、E2を脱落させるような力を作用させることなく、配線基板11を変形できる自由度を有し、取り付けることができる熱源面の形状に大きな自由度を有する。このため、曲面、例えば円筒面や球面にも熱電発電デバイス10を取り付けて高い発電効率を得ることができる。
【0032】
図2は、球面の熱源面Hsaに熱電発電デバイス10を取り付けた状態を模式的に示している。球面の熱源面Hsaに熱電発電デバイス10を取り付けた場合、Y方向に見た熱源面Hsaの周方向については、脚本体21aと第1接触部21bとの角度、脚本体22aと第2接触部22bとの角度が変化し、その周方向沿って第1接触部21b及び第2接触部22bを湾曲させて、それらを熱源面Hsaに密着させることができる。
【0033】
一方、X方向に見た熱源面Hsaの周方向についても、第1接触部21b及び第2接触部22bを湾曲させることで、第1接触部21b、第2接触部22bを熱源面Hsaに密着させることができる。この場合に、熱源面Hsa上における第1脚部21、第2脚部22の先端の各位置が、当該周方向にずれ、脚本体21a、22aが放射状に開くことになるが、この放射状の開きは、梁部20の捻れの変形によって許容される。したがって、半田付けされた熱電素子E1、E2を剥がすような力を生じさせる変形は、脚本体21a、22aにほとんどない。このため、熱源面Hsaに第1接触部21b、第2接触部22bを密着させることができ、高い発電効率を維持できる。
【0034】
熱電発電デバイス10は、第1接触部21bと第2接触部22bとのX方向における間隔を変えても、脚本体21a、22aの基端部分と先端部分との湾曲の程度、脚本体21a、22aの傾斜の程度が変化するだけで熱電素子E1、E2を脱落させるような力を作用させることなく、第1接触部21bと第2接触部22bを熱源面に密着させることができる。また、脚本体21a、22aが放射状に開いた場合と同様に、梁部20の捻れの変形によって、Y方向における第1接触部21bと第2接触部22bとの相対的な位置を変えても、第1接触部21bと第2接触部22bを熱源面に密着させることができる。このように、熱電発電デバイス10は、熱源面に対する取り付けに自由度があり、またそれにより高い発電効率を得ることができる。
【0035】
さらに、上記のように熱電発電デバイス10は、第1接触部21bと第2接触部22bの取り付けについて自由度があることは、熱源に第1接触部21bと第2接触部22bを固定した後の熱源の取り付け面の曲げにも対応できることも意味する。
【0036】
図3は、熱電発電デバイス10となる熱電発電デバイス部品30を示している。熱電発電デバイス部品30は、後述するようにカット線C1、C2を入れた平板状の配線基板(以下、デバイス部品基板と称する)31に熱電素子E1、E2を実装したものである。デバイス部品基板31は、それを立体的に変形させることで上述の配線基板11となるものであり、ベースフィルム12の表面に金属層14を層設した構造である。
【0037】
デバイス部品基板31は、矩形状であって、カット線C1、C2により、梁部20となる梁部領域40、第1脚部21となる第1脚部領域41及び第2脚部22となる第2脚部領域42に分割されている。梁部領域40、第1脚部領域41、第2脚部領域42は、立体的に変形された梁部20、第1脚部21、第2脚部22を平面とした形状である。また、第1脚部領域41に第1絶縁領域27が、第2脚部領域42に第2絶縁領域28がそれぞれ形成され、金属層14が第1配線領域14a、第2配線領域14b、接続配線領域14cに電気的に分離されている。
【0038】
デバイス部品基板31は、ベースフィルム12の表面に金属層14を形成した基板にカット線C1、C2を形成するとともに、第1絶縁領域27、第2絶縁領域28を形成することで作製される。
【0039】
カット線C1、C2を形成する手法は、特に限定されずデバイス部品基板31の材料等に応じた手法を用いればよい。例えばレーザー加工でカット線C1、C2を形成することができる。熱電発電デバイス部品30におけるカット線C1、C2は、カット線C1、C2を挟んで隣接する領域を完全に切り離した状態にしなくてもよい。例えば熱源Hsに装着する際に、カット線C1、C2を、その部分で容易に切り離せる程度の例えば溝状切り込みとしてもよい。なお、上記各領域の分割は、デバイス部品基板31上の領域同士の仮想的な境界とともにカット線C1、C2によってデバイス部品基板31を所定の領域に分けることである。
【0040】
第1絶縁領域27及び第2絶縁領域28は、例えば金属層14をエッチングすることで形成される。第1絶縁領域27及び第2絶縁領域28の形成の手法は、これに限定されない。例えば、金属層14を蒸着やメッキ等によりベースフィルム12の表面に形成する際に、第1絶縁領域27及び第2絶縁領域28となる部分にマスクして金属層14が形成されないようにしてもよい。
【0041】
梁部領域40は、デバイス部品基板31のほぼ中央に、デバイス部品基板31の長手方向(X方向)に延びるように設けられ、その両端に側縁から突出する第1連結部領域40a、第2連結部領域40bがそれぞれ形成されている。第1連結部領域40a、第2連結部領域40bは、第1連結部20a、第2連結部20bとなる領域であり、互いに逆向きに突出している。したがって、梁部領域40は、デバイス部品基板31のほぼ中心についてほぼ点対称な形状に形成されている。
【0042】
第1脚部領域41は、第1連結部領域40aの梁部領域40の他端側の端部から梁部領域40の他端側に向かう帯状に延び、先端が梁部領域40側に広がるように幅広にされて、L字形状に設けられている。第1脚部領域41のうち脚本体21aとなる脚本体領域41aは梁部領域40に沿って(X方向)に延びており、幅広にされて第1接触部21bとなる第1接触部領域41bは、第2連結部領域40bを含む梁部領域40の他端に隣接している。
【0043】
第2脚部領域42は、第2連結部領域40bの梁部領域40の一端側の端部から梁部領域40の一端側に向かう帯状に延び、先端が梁部領域40側に広がるように幅広にされて、L字形状に設けられている。第2脚部領域42のうち脚本体22aとなる脚本体領域42aは梁部領域40に沿って(X方向)に延びており、幅広にされて第2接触部22bとなる第2接触部領域42bは、第1連結部領域40aを含む梁部領域40の一端に隣接している。第1脚部領域41と第2脚部領域42とは、デバイス部品基板31のほぼ中心についてほぼ点対称な形状である、
【0044】
カット線C1は、第1連結部領域40aと第1脚部領域41の基端との境界を除く、梁部領域40と第1脚部領域41との境界に形成されている。したがって、カット線C1は、L字状であって、X方向に延び梁部領域40と脚本体領域41aとをY方向に分ける境界に形成された線部C1aと、Y方向に延び梁部領域40と第1接触部領域41bとをX方向に分ける境界に形成された線部C1bで構成される。
【0045】
同様に、カット線C2は、第2連結部領域40bと第2脚部領域42の基端との境界を除く、梁部領域40と第2脚部領域42との境界に形成されている。したがって、カット線C2は、L字状であって、X方向に延び梁部領域40と脚本体領域42aとをY方向に分ける境界に形成された線部C2aと、Y方向に延び梁部領域40と第2接触部領域42bとをX方向に分ける境界に形成された線部C2bで構成される。カット線C1とカット線C2についても、デバイス部品基板31のほぼ中心について点対称である。
【0046】
上記線部C1a、C2aは、デバイス部品基板31の長さ(X方向の長さ)よりも短く、互いにX方向にずらして形成されている。線部C1bは、線部C1aの線部C2aよりもX方向に突出した一端から、デバイス部品基板31の線部C2a側の側縁まで延びている。同様に、線部C2bは、線部C2aの線部C1aよりもX方向に突出した一端から、デバイス部品基板31の線部C1a側の側縁まで延びている。
【0047】
熱電素子E1は、金属層14の第1配線領域14aと接続配線領域14cとを接続するように両端が半田付けされて、脚本体領域41a上に実装される。同様に、熱電素子E2は、金属層14の第2配線領域14bと接続配線領域14cとを接続するように両端が半田付けされて、脚本体領域42a上に実装される。このように熱電素子E1、E2は、平板状のデバイス部品基板31に実装するため、容易に実装が可能である。
【0048】
上記の熱電発電デバイス部品30は、第1脚部領域41、第2脚部領域42の基端をそれぞれ引き起こしながら梁部領域40を引き上げるようにデバイス部品基板31を変形することで熱電発電デバイス10となる。
【0049】
図4は、梁部20の上面に複数のフィン47aが形成されたヒートシンク47を設けた熱電発電デバイス10の例を示している。ヒートシンク47は、熱伝導性の高い、例えばアルミニウムや銅などの金属であり、梁部20の上面に固定される。ヒートシンク47は、例えば梁部20とともに容易に変形することができるシート状の基材47bにフィン47aを設け、その基材47bを梁部20の上面に貼付することで、熱電発電デバイス10に取り付けられる。これにより、梁部20からの放熱性が高められ、より発電効率が高くなる。
【0050】
次に説明する熱電発電デバイスは、二次元的に熱電素子を配列したものである。なお、以下に説明する他は、上記の例と同様であり、実質的に同一機能を有するものには同一の符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図5において、熱電発電デバイス50は、並び方向に複数の列モジュール51が設けられている。並び方向は、梁部の幅方向(Y方向)と上下方向(Z方向)に直交する方向である。各列モジュール51は、隣り合う2つの列モジュール51の間に設けた中間接触部52によって連結されて、1枚の配線基板11Bとして一体に形成されている。中間接触部52は、熱電発電デバイス50のX方向の両端に設けた第1接触部53及び第2接触部54とともに、熱源面に密着させて取り付けられる。熱電発電デバイス50の電力は、両端の第1接触部53と第2接触部54とから取り出される。
【0052】
各列モジュール51は、Y方向に梁部20、第1脚部21、第2脚部22の構成が繰り返して配されている。より具体的には、第1脚部21と第2脚部22とが梁部20を挟んで交互に並ぶように、それぞれ複数の梁部20、第1脚部21、第2脚部22が一体に形成されている。すなわち、第1脚部21と第2脚部22との各間に梁部20が設けられ、それぞれの基端が隣接する梁部20の第1連結部20a、第2連結部20bに連結した構造である。
【0053】
熱電発電デバイス50の一端(図中右端)に配された1列目の列モジュール51の各第1脚部21の先端には、それらに共通な第1接触部53が、他端(図中左端)に配された4列目の列モジュール51の各第2脚部22の先端には、それらに共通な第2接触部54がそれぞれ一体に設けられている。中間接触部52は、隣り合う2つの列モジュール51の一方の列モジュール51の他方の列モジュール51側に配される第1接触部または第2接触部の一方と、他方の列モジュール51の一方の列モジュール51側に配される第1接触部または第2接触部の他方を一体化したものである。すなわち、中間接触部52は、隣り合う2つの列モジュール51の一方の列モジュール51から他方の列モジュール51側に延びる脚部の先端と他方の列モジュール51から一方の列モジュール51側に延びる脚部の先端とに、それらに共通な接触部として一体に形成されている。
【0054】
図示の例では、例えば2列目の列モジュール51から3列目の列モジュール51側に延びる第2脚部22と3列目の列モジュール51から2列目の列モジュール51側に延びる第1脚部21との先端に、これらに共通な中間接触部52が形成されている。1列目と2列目の列モジュール51、3列目と4列目の列モジュール51に対する中間接触部52についても同様である。
【0055】
なお、この例では、各列モジュール51のY方向における梁部20、第1脚部21、第2脚部22の配列を同じにしているが、隣り合う列モジュール51の間でY方向における第1脚部21同士、第2脚部22同士の位置をずらした構成にしてもよい。また、各列モジュール51における梁部20、第1脚部21、第2脚部22の配列の個数は、限定されず、より多くの梁部20、第1脚部21、第2脚部22を設けてもよく、一組の梁部20、第1脚部21、第2脚部22としてもよい。
【0056】
各第1脚部21及び各第2脚部22に第1絶縁領域27及び第2絶縁領域28を設けることにより、金属層14は、互いに電気的に分離された第1配線領域64a、第2配線領域64b、3つの中間配線領域64c及び4つの接続配線領域64dが形成されている。第1配線領域64aは、1列目の列モジュール51の各第1脚部21の先端側の領域と第1接触部53の領域とが一体になった金属層14の領域である。第2配線領域64bは4列目の列モジュール51の各第2脚部22の先端側の領域と第2接触部54の領域とが一体になった金属層14の領域である。中間配線領域64cは、中間接触部52の領域と上述のように中間接触部52に一体にされた各第1脚部21と各第2脚部22の先端側の領域とが一体になった金属層14の領域であり、中間接触部52ごとに形成されている。接続配線領域64dは、列モジュール51ごとに設けられており、各第1脚部21の第1絶縁領域27よりも基端側の領域、各第2脚部22の第2絶縁領域28よりも基端側の領域及び各梁部20の領域を一体にした金属層14の領域である。
【0057】
上記のように構成される熱電発電デバイス50は、上述の熱電発電デバイス10と同様に、熱電素子E1、E2を脱落させるような変形を第1脚部21、第2脚部22にほとんど生じさせることなく、熱源面の面形状に大きな自由度を有し、円筒面や球面にも取り付けて高い発電効率を得ることができる。また、固定した後の熱源の取り付け面の曲げにも対応できる。
【0058】
図6は、上記熱電発電デバイス50となる熱電発電デバイス部品70を示している。熱電発電デバイス部品70は、配線基板11Bとなるデバイス部品基板71に、各列モジュール51に対応した複数の列モジュール領域72が設けられている。デバイス部品基板71は、それを立体的に変形させることで上述の配線基板11Bとなるものであり、ベースフィルム12の表面に金属層14を層設した構造である。
【0059】
各列モジュール領域72は、カット線C1、C2により、梁部20、第1脚部21及び第2脚部22の並びに対応したパターンで、梁部領域40、第1脚部領域41及び第2脚部領域42に分割されている。また、各列モジュール領域72の間には、中間接触部52に対応した中間接触部領域74が形成され、デバイス部品基板71の両端には、第1接触部53、第2接触部54に対応した第1接触部領域75、第2接触部領域76が形成されている。なお、金属層14は、カット線C1、C2、第1絶縁領域27及び第2絶縁領域28によって、上述のように第1配線領域64a、第2配線領域64b、中間配線領域64c及び接続配線領域64dに分離されているが、図の煩雑化を避けるため、これらの符号の図示を図6では省略する。
【0060】
このデバイス部品基板71におけるカット線C1は、図3に示される例のものと同様に、梁部領域40と第1脚部領域41及び第1脚部21と一体にされた中間接触部52、第1接触部53に対応する中間接触部領域74、第1接触部領域75との境界に形成されている。カット線C1は、X方向に延び梁部領域40と第1脚部領域41のX方向に延びた部分とをY方向に分ける境界に形成された線部C1aと、Y方向に延び梁部領域40と中間接触部領域74、第1接触部領域75とをX方向に分ける境界に形成された線部C1bで構成される。
【0061】
2つの梁部領域40で挟まれる第1脚部領域41は、2本のカット線C1によって区画される。また、1つの第1脚部領域41に注目した場合に、その注目する第1脚部領域41に対して、2つの梁部領域40とそれらの間に配された第2脚部領域42を挟んで、別の第1脚部領域41がある場合には、注目する第1脚部領域41を別の第1脚部領域41側で区画する線部C1aは、線部C1bを介して、別の第1脚部領域41を注目する第1脚部領域41側で区画する線部C1aと繋がるため「コ」字状になる。
【0062】
カット線C2についてもカット線C1と同様であり、カット線C2は、梁部領域40と第2脚部領域42及び第2脚部22と一体にされた中間接触部52、第2接触部54に対応する中間接触部領域74、第2接触部領域76との境界に形成されている。カット線C2は、X方向に延び梁部領域40と第2脚部領域42のX方向に延びた部分とをY方向に分ける境界に形成された線部C2aと、Y方向に延び梁部領域40と中間接触部領域74、第2接触部領域76とをX方向に分ける境界に形成された線部C2bで構成され、「コ」字状になるものがある。
【0063】
上記の各例では、p型の熱電素子とn型の熱電素子との両方を用いた構成について説明しているが、熱電発電デバイスは、p型の熱電素子とn型の熱電素子のいずれか一方の熱電素子だけを例えば第1脚部上に設けた構成としてもよい。この構成では、第1脚部に設けた第1絶縁領域により、金属層を第1脚部における先端側の第1配線領域と、第1絶縁領域から梁部を経て第2接触部までの第2配線領域とに電気的に分割し、熱電素子を第1配線領域と第2配線領域を接続するように第1脚部上に取り付ければよい。熱電素子を取り付けない第2脚部の金属層は、その幅を第1脚部の金属層よりも狭くして熱抵抗を高くし、第1脚部上の熱電素子の両端に大きな温度差が生じるようにする。第2脚部の金属層の幅を狭くする手法は限定されない。例えば金属層をエッチングにより、あるいは金属層を蒸着やメッキ等によりベースフィルムの表面に形成する際のマスクにより第2脚部の金属層の幅を狭くすることができる。第1絶縁領域及び第2絶縁領域の形成と、第2脚部の金属層の幅を狭くする加工とを同時に行ってもよく、別々のタイミングで行うこともできる。なお、第1脚部と第2脚部のベースフィルムの幅を同じにして第2脚部の金属層の幅のみを第1脚部のものよりも狭くする他に、第2脚部自体すなわちベースフィルム及び金属層の幅を第1脚部のものよりも狭くしてもよい。また、このような構成を用いて列モジュールを形成し、その列モジュールによる熱電発電デバイスとすることもでき、複数の列モジュールを並べて図5の例と同様な熱電発電デバイスとすることもできる。
【0064】
上述のように構成される熱電発電デバイス10を高温熱源に取り付けた場合における脚部(第1脚部21または第2脚部22)と梁部20の周辺の温度分布のシミュレーション結果を図7に示す。このシミュレーション結果は、大気中で梁部20が熱源Hsの上方に配置した状態を数値シミュレーションしたものであり、図7では濃度が高いほど温度が高いことを示している。同様に、一般的なπ型の構造やフラット型の構造の熱電発電デバイスを模して、熱電素子を基板上に配置し、この基板を高温熱源に密着させた場合における温度分布の数値シミュレーション結果を示す図8に示す。さらに、図9に、図7及び図8に示すシミュレーションにおける熱電素子内の温度分布を示す。なお、図9中の符号Aで示すグラフが熱電発電デバイス10のものであり、符号Bで示すグラフがπ型またはフラット型の構造の熱電発電デバイスを模したものである。
【0065】
このシミュレーション結果からわかるように、熱電発電デバイス10は、熱電素子E1、E2が高温熱源から離れるため、温度境界層の外側に熱電素子E1、E2が配置可能となり、熱電素子E1、E2内に大きな温度差を生じさせることができることがわかる。これに対して、一般的なπ型の構造やフラット型の構造の熱電発電デバイスでは、温度境界層の内部に熱電素子が存在し、熱電素子内に温度差が生じにくいことがわかる。したがって、上述の熱電発電デバイス10、50等の構造によって、発電効率が向上することがわかる。
【0066】
次に上記構成の熱電発電デバイス10とともに、π型構造及びフラット型構造の各熱電発電デバイスを作製し、発電性能を調べた。作製した熱電発電デバイス10を図10(A)に、π型構造の熱電発電デバイスを図10(B)に、フラット型構造の各熱電発電デバイスを図10(C)にそれぞれ示す。なお、いずれの熱電発電デバイスについても、同じ性能を有する熱電素子を用いて作製した。また、フラット型構造の熱電発電デバイスは、熱電発電デバイス10を平面的にした構成、すなわち熱電発電デバイス部品30とほぼ同じ構成、形状とした。
【0067】
上記3種類の熱電発電デバイスで使用した配線基板は、金属層が銅(厚み8μm)、ベースフィルムがポリイミド(厚み25μm)からなるポリイミド銅基板であり、使用した熱電素子はBiTe系のもの(p型:Bi0.3Sb1.7Te3、n型:Bi2Te3+Ru,寸法:2×2×1mm)とした。熱源温度を40℃から100℃まで変化させた場合の各熱電発電デバイスの出力を計測した。この計測結果を図11に示す。なお、図11では、熱電発電デバイス10の計測結果は、切り紙型熱電発電デバイスとして示している。熱電発電デバイス10は、π型構造の熱電発電デバイスに対して約7.3倍,フラット型構造の熱電発電デバイスに対して約13.4倍の高い出力が得られ、発電効率が高いことがわかった。
【0068】
さらに、図5に示す熱電発電デバイス50を作製し、曲面に貼付した場合の発電性能を検証した。この検証では、熱電発電デバイス50を熱源となる平板に貼付した場合と、熱電発電デバイス50を熱源となる円柱の周面に貼付した場合について、熱電発電デバイス50の出力をそれぞれ計測した。熱電発電デバイス50を熱源となる平板に貼付した状態を図12(A)に、円柱の周面に貼付した状態を図12(B)にそれぞれ示す。また、熱電発電デバイス50に用いた配線基板11Bと熱電素子E1、E2は、上記のものと同じにした。
【0069】
熱電発電デバイス50の出力をそれぞれ計測した各結果を図13に示す。熱源温度100℃において、熱電発電デバイス50を平板に貼付した場合の出力が208μWであった。また、円柱の周面に貼付した場合では、出力が214μWであった。これは、熱電発電デバイス50を曲面に貼付しても、熱電発電性能がほぼ変わらないことを示している。
【符号の説明】
【0070】
10、50 熱電発電デバイス
11、11B 配線基板
12 ベースフィルム
14 金属層
14a 第1配線領域
14b 第2配線領域
14c 接続配線領域
20 梁部
20a 第1連結部
20b 第2連結部
21 第1脚部
21a、22a 脚本体
21b、53 第1接触部
22 第2脚部
22b、54 第2接触部
27 第1絶縁領域
28 第2絶縁領域
30、70 熱電発電デバイス部品
40 梁部領域
40a 第1連結部領域
40b 第2連結部領域
41 第1脚部領域
41b、75 第1接触部領域
42 第2脚部領域
42b、76 第2接触部領域
47 ヒートシンク
47a フィン
51 列モジュール
52 中間接触部
64a 第1配線領域
64b 第2配線領域
64c 中間配線領域
64d 接続配線領域
70 熱電発電デバイス部品
72 列モジュール領域
74 中間接触部領域
C1、C2 カット線
E1、E2 熱電素子

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13