(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】認知機能診断装置、認知機能診断システム、認知機能診断方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20250418BHJP
【FI】
A61B10/00 H
(21)【出願番号】P 2021022911
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭平
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/145566(WO,A1)
【文献】特開2018-029706(JP,A)
【文献】特開2017-104289(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154805(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0043058(US,A1)
【文献】特開2019-107359(JP,A)
【文献】特開2020-22744(JP,A)
【文献】特開2020-81763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398、10/00
G06Q 50/00-50/60
G16H 40/00-50/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
認知機能の診断対象である対象者による少なくとも1つの機器それぞれの操作内容を示す操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記操作情報に基づいて、予め設定された複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルを算出する認知機能レベル算出部と、
前記複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せに基づいて、前記対象者の認知機能についての診断結果を示す診断コメント情報を特定する特定部と、
前記少なくとも1つの機器に対して前記対象者が行った操作の操作内容および操作時期に応じた前記認知機能レベルの修正量を示す修正量情報を、前記少なくとも1つの機器それぞれの機器識別情報、前記操作内容を示す操作情報および前記操作時期を示す操作時期情報に対応づけて記憶する認知機能レベル修正量記憶部と、を備え、
前記認知機能レベル算出部は、前記認知機能レベル修正量記憶部が記憶する前記修正量情報の中から、前記少なくとも1つの機器それぞれにおける前記操作情報に含まれる前記対象者の操作内容および操作時期に基づいて修正量情報を選出し、選出した修正量情報が示す修正量だけ対応する認知機能レベルを修正することにより前記認知機能レベルを算出する、
認知機能診断装置。
【請求項2】
前記複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せと、前記認知機能レベルの組合せに対応する診断結果を示す診断コメント情報と、を対応づけて記憶する診断コメント記憶部を更に備え、
前記特定部は、前記診断コメント記憶部が記憶する前記診断コメント情報の中から、前記認知機能レベル算出部により算出された前記複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せに対応する診断コメント情報を特定する、
請求項
1に記載の認知機能診断装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの総和に基づいて、総合診断結果を示す診断コメント情報を特定する、
請求項1
または2に記載の認知機能診断装置。
【請求項4】
前記認知機能レベル算出部は、前記複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルと予め設定された前記複数種類の認知機能それぞれに対応する重み係数との積を算出し、
前記特定部は、前記認知機能レベル算出部が算出した前記複数種類の認知機能それぞれに対応する積の総和に基づいて、総合診断結果を示す診断コメント情報を特定する、
請求項1
または2に記載の認知機能診断装置。
【請求項5】
前記診断コメント情報を端末装置へ送信する通知部を更に備え、
前記認知機能レベル算出部は、前記診断コメント情報の送信先に基づいて、前記複数種類の認知機能それぞれに対応する重み係数を特定し、前記複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルと特定した前記複数種類の認知機能それぞれに対応する重み係数との積を算出する、
請求項
4に記載の認知機能診断装置。
【請求項6】
少なくとも1つの機器と、
認知機能の診断対象である対象者による前記少なくとも1つの機器それぞれの操作内容を示す操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記操作情報に基づいて、予め設定された複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルを算出する認知機能レベル算出部と、
前記複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せに基づいて、前記対象者の認知機能についての診断結果を示す診断コメント情報を特定する特定部と、
前記少なくとも1つの機器に対して前記対象者が行った操作の操作内容および操作時期に応じた前記認知機能レベルの修正量を示す修正量情報を、前記少なくとも1つの機器それぞれの機器識別情報、前記操作内容を示す操作情報および前記操作時期を示す操作時期情報に対応づけて記憶する認知機能レベル修正量記憶部と、を備え、
前記認知機能レベル算出部は、前記認知機能レベル修正量記憶部が記憶する前記修正量情報の中から、前記少なくとも1つの機器それぞれにおける前記操作情報に含まれる前記対象者の操作内容および操作時期に基づいて修正量情報を選出し、選出した修正量情報が示す修正量だけ対応する認知機能レベルを修正することにより前記認知機能レベルを算出する、
認知機能診断システム。
【請求項7】
認知機能診断システムが、認知機能の診断対象である対象者による少なくとも1つの機器それぞれの操作内容を示す操作情報を取得するステップと、
前記認知機能診断システムが、前記操作情報に基づいて、予め設定された複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルを算出するステップと、
前記認知機能診断システムが、前記複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せに基づいて、前記対象者の認知機能についての診断結果を示す診断コメント情報を特定するステップと、
前記認知機能診断システムが、前記少なくとも1つの機器に対して前記対象者が行った操作の操作内容および操作時期に応じた前記認知機能レベルの修正量を示す修正量情報を、前記少なくとも1つの機器それぞれの機器識別情報、前記操作内容を示す操作情報および前記操作時期を示す操作時期情報に対応づけて認知機能レベル修正量記憶部に記憶させるステップと、を含み、
前記認知機能診断システムが、前記認知機能レベルを算出するステップにおいて、前記認知機能レベル修正量記憶部が記憶する前記修正量情報の中から、前記少なくとも1つの機器それぞれにおける前記操作情報に含まれる前記対象者の操作内容および操作時期に基づいて修正量情報を選出し、選出した修正量情報が示す修正量だけ対応する認知機能レベルを修正することにより前記認知機能レベルを算出する、
認知機能診断方法。
【請求項8】
コンピュータを、
認知機能の診断対象である対象者による少なくとも1つの機器それぞれの操作内容を示す操作情報を取得する操作情報取得部、
前記操作情報に基づいて、予め設定された複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルを算出する認知機能レベル算出部、
前記複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せに基づいて、前記対象者の認知機能についての診断結果を示す診断コメント情報を特定する特定部、
前記少なくとも1つの機器に対して前記対象者が行った操作の操作内容および操作時期に応じた前記認知機能レベルの修正量を示す修正量情報を、前記少なくとも1つの機器それぞれの機器識別情報、前記操作内容を示す操作情報および前記操作時期を示す操作時期情報に対応づけて記憶する認知機能レベル修正量記憶部、
として機能させるためのプログラムであって、
前記認知機能レベル算出部は、前記認知機能レベル修正量記憶部が記憶する前記修正量情報の中から、前記少なくとも1つの機器それぞれにおける前記操作情報に含まれる前記対象者の操作内容および操作時期に基づいて修正量情報を選出し、選出した修正量情報が示す修正量だけ対応する認知機能レベルを修正することにより前記認知機能レベルを算出する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認知機能診断装置、認知機能診断システム、認知機能診断方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用電気器具の操作履歴に基づいて、家庭用電気器具の操作者が認知症の可能性があるか否かを判定し、認知症の可能性があると判定した場合、操作者が認知症の可能性があることを示す情報を外部装置へ送信する認知症判定装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、認知症には、中核症状と行動・心理症状(周辺症状)とがある。ここで、「中核症状」とは、記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能障害、言語障害(失語)、失行、失認等を意味する。一方、周辺症状とは、中核症状により引き起こされる症状であり、妄想、抑うつ、興奮、徘徊、不眠、幻覚、意欲の低下等を意味する。しかしながら、特許文献1に記載された認知症判定装置は、家庭用電気機器の操作者が認知症であるか否かを判定するだけであり、その中核症状の種類までを特定することはできない。そのため、認知症を発症した人に対して中核症状に応じた適切な対処を行うために中核症状を特定することが要請されている。
【0005】
本開示は、上記事由に鑑みてなされたもので、認知症を発症した機器の利用者に対して利用者に生じる中核症状に応じた適切な対処を可能とする認知機能診断装置、認知機能診断システム、認知機能診断方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る認知機能診断装置は、
認知機能の診断対象である対象者による少なくとも1つの機器それぞれの操作内容を示す操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記操作情報に基づいて、予め設定された複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルを算出する認知機能レベル算出部と、
前記複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せに基づいて、前記対象者の認知機能についての診断結果を示す診断コメント情報を特定する特定部と、
前記少なくとも1つの機器に対して前記対象者が行った操作の操作内容および操作時期に応じた前記認知機能レベルの修正量を示す修正量情報を、前記少なくとも1つの機器それぞれの機器識別情報、前記操作内容を示す操作情報および前記操作時期を示す操作時期情報に対応づけて記憶する認知機能レベル修正量記憶部と、を備え、
前記認知機能レベル算出部は、前記認知機能レベル修正量記憶部が記憶する前記修正量情報の中から、前記少なくとも1つの機器それぞれにおける前記操作情報に含まれる前記対象者の操作内容および操作時期に基づいて修正量情報を選出し、選出した修正量情報が示す修正量だけ対応する認知機能レベルを修正することにより前記認知機能レベルを算出する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、認知機能レベル算出部が、対象者による少なくとも1つの機器の操作情報に基づいて、予め設定された複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルを算出する。ここで、認知機能レベル算出部は、認知機能レベル修正量記憶部が記憶する修正量情報の中から、少なくとも1つの機器それぞれにおける操作情報に含まれる対象者の操作内容および操作時期に基づいて修正量情報を選出し、選出した修正量情報が示す修正量だけ対応する認知機能レベルを修正することにより認知機能レベルを算出する。そして、特定部が、複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せに基づいて、対象者の認知機能についての診断結果を示す診断コメント情報を特定する。これにより、複数種類の認知機能の低下により引き起こされる対象者の認知症の中核症状を特定することができるので、認知症を発症した対象者に対してその対象者に生じる中核症状の種類に応じた適切な対処が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態に係る認知機能診断システムの構成の一例を示す図
【
図2】実施の形態に係る認知機能診断システムのハードウェア構成を示すブロック図
【
図3】実施の形態に係るクラウドサーバの機能構成を示すブロック図
【
図4】実施の形態に係る操作履歴記憶部が記憶する情報の一例を示す図
【
図5】実施の形態に係る認知機能レベル修正量記憶部が記憶する情報の一例を示す図
【
図6】実施の形態に係る認知機能レベル記憶部が記憶する情報の一例を示す図
【
図7】実施の形態に係る診断コメント記憶部が記憶する情報の一例を示す図
【
図8】(A)は実施の形態に係る利用者情報記憶部が記憶する情報の一例を示す図、(B)は項目設定記憶部が記憶する情報の一例を示す図
【
図9】実施の形態に係る集計結果記憶部が記憶する情報の一例を示す図
【
図10】実施の形態に係る認知機能診断システムの動作を説明するためのシーケンス図
【
図11】実施の形態に係る端末装置の表示部に表示される通知画面画像の一例を示す図
【
図12】(A)は実施の形態に係る端末装置の表示部に表示される通知画面画像の一例を示す図、(B)は実施の形態に係る端末装置の表示部に表示される通知画面画像の他の一例を示す図
【
図13】(A)は実施の形態に係る端末装置の表示部に表示される通知画面画像の一例を示す図、(B)は実施の形態に係る端末装置の表示部に表示される通知画面画像の他の一例を示す図
【
図14】実施の形態に係る端末装置の表示部に表示される通知画面画像の一例を示す図
【
図15】実施の形態に係るクラウドサーバが実行する認知機能診断処理の流れの一例を示すフローチャート
【
図16】変形例に係るクラウドサーバの機能構成を示すブロック図
【
図17】変形例に係る重み係数記憶部が記憶する情報の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る認知機能診断システムについて図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る認知機能診断システムは、少なくとも1つの機器と、認知機能の診断対象である対象者による少なくとも1つの機器それぞれの操作内容を示す操作情報を取得する操作履歴取得部と、対象者の少なくとも1つの機器それぞれの操作情報に基づいて、予め設定された複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルを算出する認知機能レベル算出部と、複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せに基づいて、対象者の認知機能についての診断結果を示す診断コメント情報を特定する特定部と、を備える。
【0010】
本実施の形態に係る認知機能診断システムは、
図1に示すように、クラウドサーバ1と、複数の端末装置6(6A、6B、6C、6D、6E、6F)と、を備える。この認知機能診断システムは、例えば認知機能を診断する対象となる対象者が居住する住居に設置された複数の機器3とともに使用される。複数の機器3は、住居内に敷設された局所ネットワークNW2に接続されている。端末装置6A、6B、6C、6D、6E、6Fは、それぞれ、例えば、対象者、対象者の保護者、介護施設、保険会社、運転免許更新センタ、要介護認定所において所有される。また、局所ネットワークNW2は、ルータ8を介して広域ネットワークNW1に接続されている。クラウドサーバ1と端末装置6は、広域ネットワークNW1を介して互いに通信可能であり、クラウドサーバ1は、広域ネットワークNW1、局所ネットワークNW2を介して複数の機器3それぞれと通信可能である。局所ネットワークNW2は、例えば有線LAN(Local Area Network)または無線LANであり、広域ネットワークNW1は、例えばインターネットである。また、ルータ8は、例えばブロードバンドルータである。
【0011】
機器3は、空気調和機、テレビ、冷蔵庫、給湯機、IH調理器具、洗濯機、炊飯器、乾燥機、掃除機、スマートスピーカ等の電気器具である。機器3は、それぞれ、機器3の動作を制御するとともに利用者が機器3に対して行った操作内容を示す操作情報を記憶する制御ユニット(図示せず)と、局所ネットワークNW2に接続された通信アダプタ(図示せず)と、を備える。通信アダプタは、制御ユニットとクラウドサーバ1との間での局所ネットワークNW2、ルータ8および広域ネットワークNW1を介した通信を制御する。制御ユニットは、利用者が機器3の操作部(図示せず)に対して行った操作内容に応じて機器3を動作させる。また、制御ユニットは、機器3に対して操作が行われると、その操作内容を示す操作情報と機器3が正常か異常かを示す機器状態情報とを生成してクラウドサーバ1へ送信する。ここで、操作情報には、操作を行った利用者を識別する利用者識別情報と、操作対象の機器3を識別する機器識別情報と、操作内容を示す操作情報と、その操作を行った日付、操作開始時刻を示す操作日情報および操作開始時刻情報とが含まれる。
【0012】
端末装置6は、例えばスマートフォン、タブレット端末等であり、CPU(Central Processing Unit)601、主記憶部602と、補助記憶部603と、表示部604と、入力部605と、広域通信部606と、これらを互いに接続するバス609と、を備える。主記憶部602は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを有し、CPU601の作業領域として使用される。補助記憶部603は、半導体フラッシュメモリのような不揮発性メモリであり、CPU601が各種処理を実行するためのプログラムを記憶する。表示部604は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。入力部605は、例えば表示部604に重ねて配置される透明なタッチパッドである。広域通信部606は、広域ネットワークNW1に接続され、CPU601から転送される情報をクラウドサーバ1へ送信したり、クラウドサーバ1から受信した情報をCPU601へ転送したりする。
【0013】
CPU601は、補助記憶部603が記憶するプログラムを主記憶部602に読み出して実行することにより、
図3に示すように、取得部611および表示制御部612として機能する。また、
図2に示す補助記憶部603は、
図3に示すように、利用者に認知機能診断に関する各種情報を通知する通知画面を構築するための画像情報を記憶する画像記憶部631を有する。取得部611は、クラウドサーバ1から診断コメント情報、集計結果情報および認知機能レベル情報を取得すると、取得した診断コメント情報、集計結果情報および認知機能レベル情報を表示制御部612に通知する。ここで、認知機能レベル情報は、例えば、記憶力、言語能力、判断力、計算力、遂行力、活動量のレベル並びにこれらから導き出される総合的な認知機能能力のレベルを示す。また、診断コメント情報は、認知機能レベル情報に対応する認知機能に関するコメントを示す。集計結果情報は、複数の対象者についての認知機能レベルを集計して得られる情報である。表示制御部612は、取得部611から通知される診断コメント情報、集計結果情報、利用者情報および認知機能レベル情報に基づいて、画像記憶部631が記憶する画像情報を用いて表示部604に表示させる通知画面画像を生成する。そして、表示制御部612は、生成した通知画面画像を表示部604に表示させる。
【0014】
受付部613は、利用者が入力部605に対して認知機能の診断を行うための操作を行うと、その操作内容を受け付けて要求部614に通知する。要求部614は、受付部613から通知される操作内容に応じて、クラウドサーバ1に対して診断コメント情報、集計情報および認知機能レベル情報の送信を要求する認知機能診断要求情報を生成してクラウドサーバ1へ送信する。
【0015】
図2に戻って、クラウドサーバ1は、CPU101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、広域通信部106と、計時部107と、これらを相互に接続するバス109と、を備え、利用者の認知機能の診断を実行する認知機能診断装置として機能する。CPU101は、例えばマルチコアプロセッサである。主記憶部102は、揮発性メモリから構成され、CPU101の作業領域として用いられる。補助記憶部103は、大容量の不揮発性メモリから構成され、クラウドサーバ1の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。広域通信部106は、広域ネットワークNW1に接続されている。計時部107は、例えばRTC(Real Time Clock)を有する。
【0016】
CPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み出して実行することにより、
図3に示すように、操作情報取得部111、認知機能レベル算出部112、特定部113、通知部114および集計部115として機能する。また、
図2に示す補助記憶部103は、
図3に示すように、操作履歴記憶部131と、認知機能レベル修正量記憶部132と、認知機能レベル記憶部133と、診断コメント記憶部134と、利用者情報記憶部135と、集計結果記憶部136と、項目設定記憶部137と、を有する。操作履歴記憶部131は、例えば
図4に示すように、機器3の利用者それぞれについての機器識別情報と、操作内容を示す操作情報と、その操作を行った日付、操作開始時刻を示す操作日情報および操作開始時刻情報と、機器状態情報とを、利用者を識別する利用者識別情報に対応づけて記憶する。ここで、機器識別情報は、利用者が操作した対象の機器3を識別する情報であり、機器状態情報は、操作が開始された時点における機器3の状態を示す情報である。
【0017】
認知機能レベル修正量記憶部132は、複数の機器3それぞれに対して利用者が行った操作の操作内容および操作時期に応じた認知機能レベルの修正量を示す修正量情報を、複数の機器3それぞれの機器識別情報、操作内容を示す操作情報および操作時期を示す操作時期情報に対応づけて記憶する。認知機能レベル修正量記憶部132は、例えば機器3の利用者について認知機能診断開始時点に付与される記憶力、言語能力、判断力、計算力、遂行力、活動量の初期レベルに対して利用者の操作内容に応じて行う修正量を示す認知機能レベル修正量情報を記憶する。ここで、認知機能レベル修正量記憶部132は、例えば
図5に示すように、機器3を識別する機器識別情報と、その機器3に対して行う操作内容に対する条件を示す操作条件情報と、操作を行った季節、時間帯を示す操作季節情報、操作時間帯情報と、の組合せに対応づけて、記憶力、言語能力、判断力、計算力、遂行力、活動量それぞれの認知機能レベル修正量情報を記憶している。例えば機器識別情報IDD(1)が付与された空気調和機が、4月~6月、10月、11月中において24時間連続で運転オン状態が継続している場合、記憶力および活動量の認知機能レベルがそれぞれ「1」だけ減少されることになる。一方、機器識別情報IDD(1)が付与された空気調和機の動作状態が正常である場合において、6:00から24:00の間に運転オンする操作が行われた場合、判断力および活動量の認知機能レベルがそれぞれ「1」だけ増加されることになる。なお、各認知機能レベルの修正量を示す情報は、例えば介護施設、高齢者サポート住宅等において取得した各利用者の機器3の操作状況と、各利用者の認知機能レベルと、の相関関係を示す情報に基づいて作成される。
【0018】
認知機能レベル記憶部133は、例えば
図6に示すように、機器3の利用者それぞれについて、認知機能レベル算出部112により算出された認知機能レベル情報を、認知機能レベルを算出した日と利用者識別情報とに対応づけて記憶する。
図6における「A」、「B」等の表記は、それぞれ認知機能レベルの数値範囲に基づいて設定されている。例えば初期レベルを「100」とした場合、認知機能レベルの点数が、95以上の場合「A+」、85以上95未満の場合「A」、80以上85未満の場合「A-」、75以上80未満の場合「B+」、70以上75未満の場合「B」、65以上70未満の場合「B-」、60以上65未満の場合「C+」、55以上60未満の場合「C」、55未満の場合「C-」となるように設定されている。
【0019】
診断コメント記憶部134は、複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せと、認知機能レベルの組合せに対応する診断結果を示す診断コメント情報と、を対応づけて記憶する。診断コメント記憶部134は、例えば
図7に示すように、複数の認知機能レベルの基準それぞれに対応する診断コメント情報を、認知機能レベルの基準を示す認知機能レベル情報に対応づけて記憶する。
図7の場合、例えば、総合的な認知機能レベルが、「B+」「B」「B-」である場合、診断コメントM[1](「認知機能に低下の傾向がみられます。」)を示す診断コメント情報が選択される。また、計算力のレベルが、C以上B-未満である場合、診断コメントM[6](「軽度の計算力の衰えがみられます。」)を示す診断コメント情報が選択される。更に、「記憶力」、「判断力」、「計算力」のレベルが「B-」未満である場合、診断コメントM[16](「運転に支障が想定される認知機能の衰えがみられます。」)を示す診断コメント情報が選択される。
【0020】
利用者情報記憶部135は、例えば
図8(A)に示すように、氏名情報、年齢情報、マイナンバ情報、住居情報、家族情報、要介護認定情報、介護サービス情報、運転免許情報、認知機能検査情報および保険料情報を、利用者識別情報に対応づけて記憶する。ここで、氏名情報は、利用者の氏名を示し、年齢情報は、利用者の年齢を示し、住居情報は、利用者が居住する住居の種類を示し、家族情報は、利用者の家族構成を示す。また、要介護認定情報は、利用者が要介護または要支援か否かを示す。介護サービス情報は、利用者による介護サービスの利用状況を示す。運転免許情報は、利用者が所持する運転免許の更新状況を示す。認知機能検査情報は、利用者が医療機関、介護施設等で行った認知機能検査の結果を示す。保険料情報は、利用者が保険会社に対して支払っている保険料を示す。
【0021】
項目設定記憶部137は、例えば
図8(B)に示すように、氏名情報、年齢情報、マイナンバ情報、住居情報、家族情報、要介護認定情報、介護サービス情報、運転免許情報、認知機能検査情報および保険料情報の送信要否を示す送信要否情報を、送信先を識別する送信先識別情報に対応づけて記憶する。
図8(B)の場合、例えば送信先が保護者の端末装置6Bである場合、氏名情報、年齢情報、住居情報、要介護認定情報、介護サービス情報および保険料情報が端末装置6Bへ送信され、マイナンバ情報、家族情報、運転免許情報および認知機能検査情報は端末装置6Bへ送信されない。
【0022】
集計結果記憶部136は、例えば
図9に示すように、複数の利用者について認知機能レベル毎の人数、保険料総額等の集計を行うことにより得られる集計結果情報を記憶する。
図9に示す例では、集計結果記憶部136が、60歳以上64歳未満の利用者について、記憶力に関する認知機能レベル毎に、該当人数、保険料総額、免許返納者数および各介護認定レベルの人数を集計した結果を示す集計結果情報を記憶している。
【0023】
図3に戻って、操作情報取得部111は、認知機能の診断対象である対象者による複数の機器3それぞれの操作内容を示す操作情報を取得する。また、操作情報取得部111は、操作情報とともに操作情報に係る操作が行われたときの機器3の状態を示す機器状態情報も取得する。そして、操作情報取得部111は、取得した操作情報に含まれる利用者識別情報、機器識別情報と、操作情報と、操作日情報および操作開始時刻情報を抽出し、抽出した利用者識別情報、機器識別情報と、操作情報と、操作日情報および操作開始時刻情報を、取得した機器状態情報に互いに対応づけて操作履歴記憶部131に時系列で記憶させる。
【0024】
認知機能レベル算出部112は、予め設定された認知機能レベル算出時期が到来する毎に、操作履歴記憶部131が記憶する操作情報に基づいて、予め設定された複数種類の認知機能それぞれのレベルを算出する。ここで、認知機能レベル算出時期は、例えば1日毎に到来するように設定される。認知機能レベル算出部112は、認知機能レベル修正量記憶部132が記憶する修正量情報の中から、複数の機器3それぞれにおける操作情報に含まれる利用者の操作内容および操作時期に基づいて修正量情報を選出する。そして、認知機能レベル算出部112は、選出した修正量情報が示す修正量だけ対応する認知機能レベルを修正することにより認知機能レベルを算出する。また、認知機能レベル算出部112は、複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの総和を算出し、算出した操作を認知機能の種類数で除して得られる値に基づいて、総合認知機能レベルを算出する。認知機能レベル算出部112は、例えば記憶力、言語能力、判断力、計算力、遂行力および活動量それぞれの認知機能レベルを算出した後、これらの総和を算出し、算出した総和を認知機能の種類の数である「6」で除することにより総合認知機能レベルを算出する。
【0025】
特定部113は、複数種類の認知機能それぞれのレベルの組合せに基づいて、対象者の認知機能についての診断結果を示す診断コメント情報を特定する。具体的には、特定部113は、診断コメント記憶部134が記憶する診断コメント情報の中から、認知機能レベル算出部112により算出された複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せに対応する診断コメント情報を特定する。また、特定部113は、診断コメント記憶部134が記憶する診断コメント情報の中から、認知機能レベル算出部112により算出された総合認知機能レベルに対応する診断コメント情報も特定する。そして、特定部113は、特定した診断コメント情報を通知部114に通知する。
【0026】
集計部115は、予め設定された集計時期が到来する毎に、認知機能レベル算出部112が算出した複数の利用者それぞれの記憶力、言語能力、判断力、計算力、遂行力および活動量の認知機能レベルを集計する。ここで、認知機能レベル算出時期は、例えば長さが1月から1年の期間毎に到来するように設定される。そして、集計部115は、集計して得られた集計結果を示す集計結果情報を集計結果記憶部136に記憶させる。
【0027】
通知部114は、端末装置6から送信される認知機能診断要求情報を取得すると、認知機能診断要求情報の送信元を診断コメント情報等の送信先として特定する。ここで、通知部114は、項目設定記憶部137が記憶する送信要否情報を参照して、特定した送信先へ送信する必要がある項目設定を選出する。そして、通知部114は、利用者情報記憶部135が記憶する複数種類の利用者情報の中から、特定した項目設定に対応する利用者情報を選出するとともに、集計結果記憶部136が記憶する集計結果情報の中から特定した項目設定に対応する集計結果情報を取得する。また、通知部114は、認知機能レベル記憶部133が記憶する複数の認知機能レベル情報の中から、送信先に対応する認知機能レベル情報を選出する。そして、通知部114は、選出した利用者情報と集計結果情報と認知機能レベル情報を、特定部113から通知される診断コメント情報とともに端末装置6へ送信する。
【0028】
次に、本実施の形態に係る認知症診断システムの動作について、
図10を参照しながら説明する。まず、利用者が機器3に対して操作を行うと、機器3は、操作情報および操作の開始時点における機器3の動作状態を示す機器状態情報を生成する(ステップS1)。次に、生成された操作情報および機器状態情報が、機器3からクラウドサーバ1へ送信される(ステップS2)。一方、クラウドサーバ1は、操作情報および機器状態情報を取得すると、取得した操作情報に含まれる利用者識別情報、機器識別情報と、操作情報と、操作日情報および操作開始時刻情報を抽出する。そして、クラウドサーバ1は、抽出した利用者識別情報、機器識別情報と、操作情報と、操作日情報および操作開始時刻情報を、取得した機器状態情報に互いに対応づけて操作履歴記憶部131に時系列で記憶させる(ステップS3)。
【0029】
また、予め設定された認知機能レベル算出時期が到来したとする。この場合、クラウドサーバ1は、操作履歴記憶部131が記憶する操作情報に基づいて、予め設定された複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルを算出する(ステップS4)。このとき、クラウドサーバ1は、複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの総和を算出し、算出した操作を認知機能の種類数で除して得られる値に基づいて、総合認知機能レベルを算出する。続いて、クラウドサーバ1は、算出した認知機能レベルを示す認知機能レベル情報を、総合認知機能レベルを示す認知機能レベル情報とともに認知機能レベル記憶部133に記憶させる(ステップS5)。
【0030】
また、予め設定された集計時期が到来したとする。この場合、クラウドサーバ1は、認知機能レベル記憶部133が記憶する認知機能レベル情報を用いて、予め設定された認知機能について複数の利用者の認知機能レベルを集計する(ステップS6)。その後、クラウドサーバ1は、集計結果を示す集計結果情報を集計結果記憶部136に記憶させる(ステップS7)。
【0031】
また、端末装置6を所有する保護者、介護施設、保険会社、運転免許更新センタ、要介護認定所等に属するスタッフ等が、端末装置6の入力部605に対して認知機能の診断を行うための認知機能診断操作を行ったとする。この場合、クラウドサーバ1に対して診断コメント情報、集計情報および認知機能レベル情報の送信を要求する認知機能診断要求情報が、端末装置6からクラウドサーバ1へ送信される(ステップS8)。一方、クラウドサーバ1は、認知機能診断要求情報を取得すると、認知機能診断要求情報の送信元を診断コメント情報等の送信先として特定する(ステップS9)。次に、クラウドサーバ1は、複数種類の認知機能それぞれのレベルの組合せに基づいて、利用者の認知機能についての診断結果を示す診断コメント情報を特定する(ステップS10)。
【0032】
続いて、クラウドサーバ1は、項目設定記憶部137が記憶する送信要否情報を参照して、特定した送信先へ送信する必要がある項目設定を選出する(ステップS11)。その後、クラウドサーバ1は、利用者情報記憶部135が記憶する特定した項目設定に対応する利用者情報を選出し、集計結果記憶部136が記憶する集計結果情報を選出するとともに認知機能レベル記憶部133が記憶する認知機能レベル情報を選出する(ステップS12)。次に、選出された利用者情報と集計結果情報と診断コメント情報と認知機能レベル情報とが、クラウドサーバ1から端末装置6へ送信される(ステップS13)。
【0033】
一方、端末装置6は、利用者情報、集計結果情報、診断コメント情報および認知機能レベル情報を取得すると、取得した診断コメント情報、集計結果情報、利用者情報および認知機能レベル情報に基づいて、画像記憶部631が記憶する画像情報を用いて表示部604に表示させる通知画面画像を生成する。そして、端末装置6は、生成した通知画面画像を表示部604に表示させる(ステップS14)。
【0034】
ここで、認知機能の診断対象となる利用者が所有する端末装置6Aが送信先である場合、端末装置6Aは、例えば
図11に示すような通知画面画像GA11を表示部604に表示させる。ここで、通知画面画像GA11には、認知機能レベル情報を含むメッセージ画像M111と、診断コメント情報を含むメッセージ画像M112と、利用者の氏名情報を含むメッセージ画像M113と、が含まれる。そして、通知画面画像GA11には、集計結果情報を含むメッセ-ジ画像は含まれていない。また、認知機能の診断対象となる利用者の保護者が所有する端末装置6Bが送信先である場合、端末装置6Bは、例えば
図12(A)に示すような通知画面画像GA12を表示部604に表示させる。ここで、通知画面画像GA12には、認知機能レベル情報を含むメッセージ画像M121および診断コメント情報を含むメッセージ画像M122とともに、利用者の氏名情報、年齢情報、住居情報、要介護認定情報および介護サービス情報を含むメッセージ画像M123が含まれる。ここで、メッセージ画像M121は、認知機能レベル情報が示す認知機能レベルをレーダーチャート形式で表したものである。また、通知画面画像GA12には、認知機能レベルの集計情報を含むメッセージ画像M124も含まれる。
【0035】
更に、介護施設が所有する端末装置6Cが送信先である場合、端末装置6Cは、例えば
図12(B)に示すような通知画面画像GA13を表示部604に表示させる。ここで、通知画面画像GA13には、認知機能レベル情報を含むメッセージ画像M131および診断コメント情報を含むメッセージ画像M132とともに、利用者の氏名情報、年齢情報、住居情報、家族情報、要介護認定情報および介護サービス情報を含むメッセージ画像M133が含まれる。また、通知画面画像GA13には、認知機能レベルの集計情報を含むメッセージ画像M134も含まれる。また、保険会社が所有する端末装置6Dが送信先である場合、端末装置6Dは、例えば
図13(A)に示すような通知画面画像GA14を表示部604に表示させる。ここで、通知画面画像GA14には、認知機能レベル情報を含むメッセージ画像M141および診断コメント情報を含むメッセージ画像M142とともに、利用者の氏名情報、年齢情報、住居情報、家族情報、要介護認定情報、介護サービス情報および保険料情報を含むメッセージ画像M143が含まれる。また、通知画面画像GA14には、認知機能レベルの集計情報と保険料に関する集計情報を含むメッセージ画像M144も含まれる。
【0036】
更に、運転免許更新センタが所有する端末装置6Eが送信先である場合、端末装置6Eは、例えば
図13(B)に示すような通知画面画像GA15を表示部604に表示させる。ここで、通知画面画像GA15には、認知機能レベル情報を含むメッセージ画像M151および診断コメント情報を含むメッセージ画像M152とともに、利用者の氏名情報、年齢情報、住居情報、家族情報、要介護認定情報、介護サービス情報、運転免許情報および認知機能検査情報を含むメッセージ画像M153が含まれる。また、通知画面画像GA15には、認知機能レベルの集計情報と免許返納者数に関する集計情報を含むメッセージ画像M154も含まれる。また、要介護認定所が所有する端末装置6Fが送信先である場合、端末装置6Fは、例えば
図14に示すような通知画面画像GA16を表示部604に表示させる。ここで、通知画面画像GA16には、認知機能レベル情報を含むメッセージ画像M161および診断コメント情報を含むメッセージ画像M162とともに、利用者の氏名情報、年齢情報、マイナンバ情報、住居情報、家族情報、要介護認定情報および介護サービス情報を含むメッセージ画像M163が含まれる。また、通知画面画像GA16には、認知機能レベルの集計情報と要介護1以上の利用者の割合の集計情報を含むメッセージ画像M164も含まれる。
【0037】
次に、本実施の形態に係るクラウドサーバ1が実行する認知機能診断処理について、
図15を参照しながら説明する。なお、この認知機能診断処理は、クラウドサーバ1へ電源が投入されている状態で、クラウドサーバ1において認知機能診断処理を実行するためのプログラムが起動されたことを契機として開始される。まず、操作情報取得部111は、機器3から送信される操作情報および機器状態情報を取得したか否かを判定する(ステップS101)。ここで、操作情報取得部111が、操作情報および機器状態情報を取得していないと判定すると(ステップS101:No)、後述のステップS104の処理が実行される。一方、操作情報取得部111が、操作情報および機器状態情報を取得したと判定したとする(ステップS101:Yes)。この場合、操作情報取得部111は、取得した操作情報に含まれる利用者識別情報、機器識別情報と、操作情報と、操作日情報および操作開始時刻情報を抽出する(ステップS102)。次に、操作情報取得部111は、抽出した利用者識別情報、機器識別情報、操作情報、操作日情報および操作開始時刻情報と、取得した機器状態情報と、を互いに対応づけて操作履歴記憶部131に時系列で記憶させる(ステップS103)。
【0038】
続いて、認知機能レベル算出部112は、計時部107により計時される時刻情報に基づいて、予め設定された認知機能レベル算出時期が到来したか否かを判定する(ステップS104)。ここで、認知機能レベル算出部112が、未だ認知機能レベル算出時期が到来していないと判定すると(ステップS104:No)、後述のステップS107の処理が実行される。一方、認知機能レベル算出部112は、認知機能レベル算出時期が到来したと判定すると(ステップS104:Yes)、操作履歴記憶部131が記憶する操作情報に基づいて、予め設定された複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルを算出する(ステップS105)。ここで、認知機能レベル算出部112は、複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの総和を算出し、算出した操作を認知機能の種類数で除して得られる値に基づいて、総合認知機能レベルを算出する。その後、認知機能レベル算出部112は、算出した認知機能レベルを示す認知機能レベル情報を、総合認知機能レベルを示す認知機能レベル情報とともに認知機能レベル記憶部133に記憶させる(ステップS106)。
【0039】
次に、集計部115は、計時部107により計時される時刻情報に基づいて、予め設定された集計時期が到来したか否かを判定する(ステップS107)。ここで、集計部115が、未だ集計時期が到来していないと判定すると(ステップS107:No)、後述のステップS110の処理が実行される。一方、集計部115は、集計時期が到来したと判定すると(ステップS107:Yes)、認知機能レベル記憶部133が記憶する認知機能レベル情報を用いて、予め設定された認知機能について複数の利用者の認知機能レベルを集計する(ステップS108)。続いて、集計部115は、集計結果を示す集計結果情報を集計結果記憶部136に記憶させる(ステップS109)。
【0040】
その後、通知部114は、端末装置6から送信される前述の認知機能診断要求情報を取得したか否かを判定する(ステップS110)。ここで、利用者が端末装置6の入力部605に対して認知機能の診断を行うための認知機能診断操作を行うと、認知機能診断要求情報が端末装置6から送信される。通知部114が、認知機能診断要求情報を取得していないと判定すると(ステップS110:No)、再びステップS101の処理が実行される。一方、通知部114は、認知機能診断要求情報を取得したと判定すると(ステップS110:Yes)、認知機能診断要求情報の送信元を診断コメント情報等の送信先として特定する(ステップS111)。次に、特定部113は、複数種類の認知機能それぞれのレベルの組合せに基づいて、利用者の認知機能についての診断結果を示す診断コメント情報を特定する(ステップS112)。このとき、特定部113は、特定した診断コメント情報を通知部114に通知する。
【0041】
続いて、通知部114は、項目設定記憶部137が記憶する送信要否情報を参照して、特定した送信先へ送信する必要がある項目設定を選出する(ステップS113)。その後、通知部114は、利用者情報記憶部135が記憶する特定した項目設定に対応する利用者情報を選出し、集計結果記憶部136が記憶する集計結果情報を選出するとともに認知機能レベル記憶部133が記憶する認知機能レベル情報を選出する(ステップS114)。次に、通知部114は、選出した利用者情報と集計結果情報と診断コメント情報と認知機能レベル情報とを特定した送信先の端末装置6へ送信する(ステップS115)。続いて、再びステップS101の処理が実行される。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態に係る認知症診断システムによれば、認知機能レベル算出部112が、対象者による複数の機器3の操作情報に基づいて、予め設定された6種類の認知機能それぞれのレベルを算出する。そして、特定部113が、6種類の認知機能それぞれのレベルの組合せに基づいて、対象者の認知機能についての診断結果を示す診断コメント情報を特定する。これにより、6種類の認知機能の少なくとも1つの低下により引き起こされる対象者の認知症の中核症状を特定することができるので、認知症を発症した対象者に対してその対象者に生じる中核症状の種類に応じた適切な対処が可能となる。
【0043】
また、本実施の形態に係る認知機能レベル算出部112は、認知機能レベル修正量記憶部132が記憶する修正量情報の中から、複数の機器3それぞれにおける操作情報に含まれる対象者の操作内容および操作時期に基づいて修正量情報を選出する。そして、認知機能レベル算出部112は、選出した修正量情報が示す修正量だけ対応する認知機能レベルを修正することにより認知機能レベルを算出する。これにより、対象者における認知症を発症した場合に生じうる操作の累積回数に基づいて対象者に認知症の兆候有無を判別することができるので、対象者の認知症の診断精度を高めることができる。
【0044】
更に、本実施の形態に係る特定部113は、診断コメント記憶部134が記憶する診断コメント情報の中から、認知機能レベル算出部112により算出された6種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せに対応する診断コメント情報を特定する。これにより、6種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せの違いに応じて異なる診断コメント情報を提供することができるので、対象者の認知機能レベルの違いに応じた適切な対処が可能となる。
【0045】
また、本実施の形態に係る認知機能レベル算出部112は、6種類の認知機能それぞれの認知機能レベルを算出した後、これらの総和を算出し、算出した総和を認知機能の種類数である6で除することにより総合認知機能レベルを算出する。そして、特定部113が、認知機能レベル算出部112により算出された総合認知機能レベルに基づいて、総合診断結果を示す診断コメント情報を特定する。これにより、6種類の認知機能レベルから総合的に評価される対象者の認知機能レベルに基づいた診断コメント情報を提供することが可能となる。
【0046】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は前述の実施の形態によって限定されるものではない。例えば、認知機能レベル算出部が、複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルと予め設定された複数種類の認知機能それぞれに対応する重み係数との積を算出するものであってもよい。そして、特定部が、認知機能レベル算出部が算出した複数種類の認知機能それぞれに対応する積の総和に基づいて、総合診断結果を示す診断コメント情報を特定するものであってもよい。
【0047】
例えば
図16に示すように、本変形例に係るクラウドサーバ2001は、重み係数記憶部2138を備える。なお、
図16において実施の形態と同様の構成については
図3と同一の符号を付している。重み係数記憶部2138は、例えば
図17に示すように、予め設定された複数の送信先それぞれの複数種類の認知機能(
図17では6種類)についての重み係数の組合せを示す重み係数情報を、対応する送信先の端末装置6の送信先識別情報に対応づけて記憶している。ここで、認知機能レベル算出部2112は、まず、重み係数記憶部2138が記憶する重み係数情報の中から、通知部114により特定された送信先に対応する重み係数情報を選出する。次に、認知機能レベル算出部2112は、複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルと、選出した複数種類の認知機能それぞれに対応する重み係数との積を算出し、算出した積の総和を算出する。そして、認知機能レベル算出部2112は、算出した総和を認知機能の種類数で除することにより総合認知機能レベルを算出し、算出した総合認知機能レベルを示す認知機能レベル情報を特定部113に通知する。一方、特定部113はが、認知機能レベル算出部2112から通知される総合認知機能レベルに基づいて、診断コメント情報を特定する。
【0048】
本構成によれば、送信先毎に複数種類の認知機能レベルそれぞれの重要度が異なる場合においても適切な診断コメント情報を提供することができる。
【0049】
実施の形態では、特定部113が、複数種類の認知機能それぞれの認知機能レベルの組合せに基づいて、診断コメント情報を特定する例について説明した。但し、これに限らず、特定部が、操作履歴記憶部131が記憶する操作情報の履歴に基づいて、診断コメント情報を特定するものであってもよい。この場合、特定部は、例えばテレビについての操作情報の履歴から、毎月録画した番組を見ていたにも関わらず、ある月には録画した番組を見ていないと判定すると、例えば「趣味・生活の意欲が低下している可能性があります。」という診断コメント情報を特定するようにしてもよい。或いは、特定部が、例えば照明器具についての操作情報の履歴から、真夜中に玄関の照明が点灯されたと判定した場合、例えば「徘徊が起こる可能性があります。」という診断コメント情報を特定するようにしてもよい。
【0050】
実施の形態において、例えば局所ネットワークNW2に機器3を制御するとともに水道使用量、電気使用量等を管理する制御装置(図示せず)が接続されている場合、クラウドサーバ1が制御装置から予め設定された複数の時間帯それぞれにおける水道使用量、電気使用量等を示す情報を取得してもよい。そして、クラウドサーバ1は、その利用者が通常水道、電気を使用しない時間帯において水道、電気の使用が検知された場合、認知機能レベルを低減するように修正するものであってもよい。
【0051】
実施の形態において、複数の機器3それぞれが自機を操作する利用者を識別する利用者識別機能を備えるものであってもよい。この場合、クラウドサーバ1は、複数の機器3それぞれから操作情報および機器状態情報とともに、操作した利用者を識別する利用者識別情報を取得し、取得した利用者識別情報に基づいて、利用者毎に区別して操作情報および機器状態情報を操作履歴記憶部131に記憶させるものであってもよい。本構成によれば、複数の機器3それぞれの利用者が複数存在する場合であっても、複数の利用者それぞれについて区別して認知機能レベルを判定することが可能となる。従って、複数の利用者それぞれについて適切なサポートを行うことが可能となる。
【0052】
また、本開示に係るクラウドサーバ1、2001の各種機能は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行するクラウドサーバ1、2001を構成してもよい。
【0053】
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線の掲示版(BBS(Bulletin Board System))にアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OS(Operating System)の制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行するクラウドサーバ1、2001として機能する。
【0054】
以上、本開示の各実施の形態および変形例について説明したが、本開示はこれらに限定されるものではない。本開示は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示は、機器の利用者が認知症を発症したか否かを診断するシステムとして好適である。
【符号の説明】
【0056】
1、2001 クラウドサーバ、3 機器、6,6A,6B,6C,6D,6E,6F 端末装置、8 ルータ、101,601 CPU、102,602 主記憶部、103,603 補助記憶部、106,606 広域通信部、107 計時部、109,609 バス、111 操作情報取得部、112,2112 認知機能レベル算出部、113 特定部、114 通知部、115 集計部、131 操作履歴記憶部、132 認知機能レベル修正量記憶部、133 認知機能レベル記憶部、134 診断コメント記憶部、135 利用者情報記憶部、136 集計結果記憶部、137 項目設定記憶部、604 表示部、605 入力部、611 取得部、612 表示制御部、613 受付部、614 要求部、631 画像記憶部、2138 重み係数記憶部、GA11,GA12,GA13,GA14,GA15,GA16 通知画面画像、M111,M112,M113,M121,M122,M123,M124,M131,M132,M133,M134,M141,M142,M143,M144,M151,M152,M153,M154,M161,M162,M163,M164 メッセージ画像、NW1 広域ネットワーク、NW2 局所ネットワーク