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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】プロセッサ、移動機、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/32 20100101AFI20250418BHJP
   G01S 19/48 20100101ALI20250418BHJP
【FI】
G01S19/32
G01S19/48
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021084219
(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公開番号】P2022177755
(43)【公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-08-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】芝▲崎▼ 俊幸
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-286753(JP,A)
【文献】特開2005-326225(JP,A)
【文献】特開2019-050596(JP,A)
【文献】特開2011-069789(JP,A)
【文献】特開2002-320254(JP,A)
【文献】特開2015-152398(JP,A)
【文献】特開2009-272742(JP,A)
【文献】国際公開第2010/140528(WO,A1)
【文献】特開2020-153739(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2418515(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/118286(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
19/00 ー 19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電波による第1品質及び第2電波による第2品質を取得し、
前記第1品質及び前記第2品質に基づいて、表示部に表示される地図上の、前記第1電波及び前記第2電波の双方から算出される同一の位置に、移動機の位置を示すアイコンを表示させ、
前記アイコンは、前記第1品質及び前記第2品質の良さに応じて大きさが変わ
前記第1品質及び前記第2品質に基づいて、前記アイコンのうち、前記第1電波に対応する第1領域と、前記第2電波に対応する第2領域との割合を変更する、
プロセッサ。
【請求項2】
GNSS電波である第1電波による第1品質、及びアクセスポイントから受信した電波である第2電波による第2品質を取得し、
前記第1品質及び前記第2品質に基づいて、表示部に表示される地図上の、前記第1電波及び前記第2電波のいずれか一方から算出される位置に、移動機の位置を示すアイコンを表示させると共に、前記第1品質及び前記第2品質に基づいて、半屋外領域を前記地図上に表示させ、
前記アイコンは、前記第1品質及び前記第2品質の良さに応じて大きさが変わる、
プロセッサ。
【請求項3】
記アイコンは、前記第1電波及び前記第2電波のいずれか一方に対応するアイコンである、請求項記載のプロセッサ。
【請求項4】
記第1品質及び前記第2品質に基づいて、周囲環境を推定する、請求項記載のプロセッサ。
【請求項5】
前記周囲環境は、半屋外環境である、請求項記載のプロセッサ。
【請求項6】
前記半屋外領域の境界に対応するジオフェンスの境界を前記地図に表示する、請求項記載のプロセッサ。
【請求項7】
請求項1記載のプロセッサを備える移動機。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記第1品質及び前記第2品質に基づいて、半屋外環境に自機が位置すると推定したとき、前記半屋外環境に対応する制御を実行する、請求項記載の移動機。
【請求項9】
請求項1記載のプロセッサを備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセッサ、移動機、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)関連技術の発達により、屋内外を移動する人や物をシームレスに測位する技術が注目されている。とくに、昨今、自動運転車両やドローンなど自動運転技術の進展により、自機の位置を測位して、工場内で特定の作業を行わせたり、災害時の救助活動を行わせたりするケースが注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、移動機が検出した測位衛星の数により測位モードを決定し、測位モードに応じて、移動機の位置を、屋内に設置された検出器を用いて特定したり、移動機のGPS機能により特定したりする位置特定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-153739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、特定した移動機の位置を表示させる場合、どのように表示させるかについては、具体的には議論されていない。そのため、表示された位置を確認するユーザにとっては、利便性が必ずしも考慮されていない場合がある。
【0006】
そこで、本発明の一態様は、ユーザの利便性を向上させるプロセッサ、移動機、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係るプロセッサは、第1電波による第1品質を取得し、第2電波による第2品質を取得し、第1品質及び第2品質に基づいて、所定の機能を実行する。
【0008】
第2の態様に係る移動機は、第1の態様に係るプロセッサを搭載した移動機である。
【0009】
第3の態様に係る電子機器は、第1の態様に係るプロセッサを備える電子機器である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、ユーザの利便性を向上させるプロセッサ、移動機、及び電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(A)は第1実施形態に係る電子機器、図1(B)は第1実施形態に係る移動機の外観構成例を夫々表す図である。
図2図2(A)乃至図2(C)は第1実施形態に係る移動機の外観構成例を表す図である。
図3図3は第1実施形態に係る電子機器の構成例を表す図である。
図4図4(A)乃至図4(D)は第1実施形態に係る表示例を表す図である。
図5図5は第1実施形態に係る動作例を表す図である。
図6図6(A)と図6(B)は第1実施形態に係る表示例を表す図である。
図7図7は第1実施形態に係る動作例を表す図である。
図8図8は第1実施形態に係る動作例を表す図である。
図9図9(A)と図9(B)は第1実施形態に係る表示例を表す図である。
図10図10は第1実施形態に係る半屋外の例を表す図である。
図11図11は第1実施形態に係る電子機器100の構成例を表す図である。
図12図12は第1実施形態に係る動作例を表す図である。
図13図13は第1実施形態に係るドローンの制御例を表す図である。
図14図14は第1実施形態に係る協働ロボットと自動運転車両の制御例を表す図である。
図15図15は第1実施形態に係るドローンの制御例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して実施形態について説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0013】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。第1実施形態では、最初に、第1実施形態に係る移動機及び電子機器の外観構成例について説明する。
【0014】
(適用例)
図1(A)は、第1実施形態に係る電子機器100の外観構成例を表している。図1(A)に示すように、電子機器100は、内部にプロセッサ150を有する。また、電子機器100は、地図などを表示する表示部110を有する。
【0015】
図1(A)に示す電子機器100は、無線LANによる通信方式とセルラ通信による通信方式とをルーティング(又は中継)するルータであってもよい。すなわち、電子機器100は、無線LANによる通信方式により端末装置と無線通信を行う。また、電子機器100は、セルラ通信による通信方式により無線基地局と無線通信を行う。電子機器100は、例えば、5Gなどによる無線通信を利用することができない端末装置に対して、無線LANを利用して、5Gに関するサービスを提供できる。
【0016】
また、図1(A)に示す電子機器100は、通信装置であってもよい。例えば、電子機器100は、アクセスポイントと通信を行う通信装置である。また、電子機器100は、測位衛星から送信されたGNSS(Global Navigation Satellite System)電波を受信する通信装置でもある。電子機器100(又はプロセッサ150)は、測位機能を有する。電子機器100は、アクセスポイントとの通信、及び/又はGNSS電波を利用した通信を利用して、測位機能を実行することが可能である。
【0017】
なお、電子機器100がプロセッサ150であってもよい。
【0018】
図1(B)は、第1実施形態に係る移動機200の外観構成例を表している。図1(B)の例では、移動機200に電子機器100が取り付けられた例を表している。
【0019】
図1(B)に示す移動機200は、空中を移動することが可能な無人航空機であってもよい。図1(B)は、無人航空機として、ドローンの例を表している。無人航空機はラジコン機であってもよい。
【0020】
電子機器100は、移動機200に取り付けられているため、測位機能を実行することで、移動機200の位置を測位することができる。
【0021】
図2(A)は、第1実施形態に係る移動機200の外観構成例を表している。図2(A)に示す移動機200は、内部にプロセッサ150を有する例を表している。プロセッサ150が測位機能を実行することで、移動機200の位置を測位することが可能である。
【0022】
図1(B)と図2(A)のいずれの場合も、プロセッサ150は、移動機200内部の各部と電気的に接続される。このため、プロセッサ150は、移動機200に対する速度制御、飛行の高さ制御など、各種の制御を実行することが可能である。
【0023】
なお、図2(A)に示す移動機200は、ドローンの例を表しているが、図1(B)と同様に、ドローン以外の無人航空機であってもよい。
【0024】
図2(B)は、第1実施形態に係る移動機200の外観構成例を表す図である。図2(B)に示す移動機200は、自動運転車両の例を表している。移動機200は、二輪車、三輪車、又は四輪車などの自動運転車両でもよいし、トラックなどの特定車両の自動運転車両でもよい。
【0025】
図2(B)に示す例も、移動機200(自動運転車両)の内部にプロセッサ150を有する例を表している。この場合も、プロセッサ150が測位機能を実行することで、移動機200(自動運転車両)の位置を測位することができる。
【0026】
なお、図2(B)に示す移動機200も、図1(B)と同様に、電子機器100が移動機200(自動運転車両)に取り付けられてもよい。
【0027】
図2(C)は、第1実施形態に係る移動機200の外観構成例を表す図である。図2(C)に示す移動機200は、協働ロボットの例を表している。協働ロボットは、柵で囲まれて人間のスペースから隔離された場所で動作する産業用ロボットに対して、柵なしで人間と協働して動作するロボットである。ただし、第1実施形態では、移動機200として、産業用ロボットであってもよい。
【0028】
図2(C)に示す例も、移動機(協働ロボット)の内部にプロセッサ150を有する例を表している。この場合も、プロセッサ150が測位機能を実行することで、移動機200(協働ロボット)の位置を測位することができる。
【0029】
なお、図2(C)に示す移動機200も、図1(B)と同様に、電子機器100が移動機200(協働ロボット)に取り付けられてもよい。
【0030】
(電子機器の構成例)
図3は電子機器100の構成例を表す図である。
【0031】
図3に示すように電子機器100は、表示部110、GNSS受信部120、無線LAN通信部130、メモリ140、及びプロセッサ(又はコントローラ)150を備える。
【0032】
表示部110は、プロセッサ150による制御の下、地図を表示する。地図表示は、プロセッサ150における所定の機能の一つである。プロセッサ150がメモリ140から地図データを読み出し、表示部110へ出力することで、表示部110は、地図を表示できる。
【0033】
また、表示部110は、プロセッサ150による制御の下、地図上の所定の位置にアイコンを表示する。プロセッサ150がメモリ140からアイコンのデータを読み出して、表示部110へ出力する。また、プロセッサ150が測位機能を実行することで、位置データを表示部110へ出力する。表示部110は、アイコンのデータと位置データとに基づいて、地図上の所定の位置に、アイコンを表示できる。所定の位置は、例えば、電子機器100の位置を表す。所定の位置は、プロセッサ150を搭載した移動機200の位置を表してもよい。アイコンは、測位に利用した電波に応じて異なる表示形態のアイコンであってもよい。詳細は動作例で説明する。
【0034】
GNSS受信部120は、同一の測位衛星500から送信された第1電波と第2電波を受信してもよい。また、GNSS受信部120は、異なる測位衛星からそれぞれ送信された第1電波と第2電波とを受信してもよい。さらに、GNSS受信部120は、測位衛星500から送信された第1電波を受信してもよい。
【0035】
GNSS受信部120が受信する第1電波と第2電波は、ともにGNSS電波である。この場合、第1電波と第2電波は、異なる周波数帯のGNSS電波であってもよい。例えば、第1電波は、L1周波数帯(1575MHz帯)のGNSS電波、第2電波は、L5周波数帯(1176MHz)のGNSS電波である。周波数帯は、L1、L5以外でもよく、例えば、L2周波数帯(1227MHz帯)、L6周波数帯(1278MHz帯)、又はL2C周波数帯(1227MHz帯)などであってもよい。
【0036】
GNSS受信部120は、第1電波による第1品質を取得する。GNSS受信部120は、第2電波による第2品質を取得してもよい。第1品質と第2品質は、ともに、受信信号強度であってもよい。受信信号強度は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)である。第1品質と第2品質は、品質として、信号対雑音比(SNR:Signal to Noise-Ratio)などであってもよい。GNSS受信部120は、取得した第1品質をプロセッサ150へ出力する。GNSS受信部120は、取得した第2品質をプロセッサ150へ出力してもよい。
【0037】
なお、図3では、1つの測位衛星500の例を表しているが、測位の際に複数の測位衛星500を用いるため、複数の測位衛星500が表されてもよい。
【0038】
無線LAN通信部130は、アクセスポイントと無線LAN通信方式により無線通信を行う。無線LAN通信方式は、Wi-Fiであってもよいし、Bluethootなどの近距離無線通信であってもよい。
【0039】
無線LAN通信部130は、第2電波を受信してもよい。この場合、無線LAN通信部130は、受信部となる。第2電波は、アクセスポイントから受信した電波である。無線LAN通信部130は、第2電波による第2品質を取得してもよい。無線LAN通信部130は、第2品質として、受信信号強度(RSSI)又は信号対雑音比(SNR)などを測定してもよい。無線LAN通信部130は、測定した第2品質をプロセッサ150へ出力してもよい。
【0040】
無線LAN通信部130は、無線LAN通信を利用して測位機能を実行する。このような測位機能として、IEEE802.11mcにより規定されたWiFi RTT(Round Trip Time)がある。WiFi RTTは、パケットが電子機器100とアクセスポイントとの間を往復する時間を測定し、その時間に光速を乗算することで、電子機器100とアクセスポイントとの間の距離を測定し、電子機器100の位置を測位する方式である。WiFi RTTは、1つのアクセスポイントでも電子機器100の位置を測位することは可能であるが、3つ以上のアクセスポイントとで測位することで正確性が向上する。
【0041】
メモリ140は、プログラム及びデータを記憶する。プログラムは、プロセッサ150によって、メモリ140から読み出されて、実行されることで、様々な機能がプロセッサ150によって実現される。メモリ140は、プロセッサ150の処理結果を一時的に記憶する作業領域として使用される。メモリ140は、半導体記憶媒体などの任意の非一過性(non-transitory)な記憶媒体であってもよい。
【0042】
プロセッサ150は、第1電波による第1品質を取得し、第2電波による第2品質を取得し、第1品質及び第2品質に基づいて、所定の機能を実行する。所定の機能として、表示部110に地図を表示させる機能がある(動作例1)。
【0043】
この場合、プロセッサ150は、第1品質及び第2品質に基づいて、第1電波及び第2電波の双方が示す位置に第1アイコンを表示させる機能がある(動作例1-1)。第1電波及び第2電波の双方が示す位置は、地図上の同一位置である。プロセッサ150は、その位置に第1電波によるアイコンと第2電波によるアイコンを表示することで、第1アイコンを表示してもよい。
【0044】
また、プロセッサ150は、第1品質及び第2品質に基づいて、第1電波及び第2電波の少なくとも一方に対応する第2アイコンを表示部110の地図上に表示させる機能がある(動作例1-2)。例えば、プロセッサは、アクセスポイントから受信した第2電波に対応するアイコンを、第2アイコンとして、GNSS電波による第1電波に対応するアイコンと異なる表示態様で表示させるようにしてもよい。
【0045】
さらに、プロセッサ150は、第1品質及び第2品質の大小関係が変化するとき、表示部110に表示するアイコンの表示態様を変更する機能がある(動作例1-3)。例えば、プロセッサ150は、第1電波に対応するアイコン、及び第2電波に対応するアイコンとは異なる表示態様の第3アイコンを表示させる。
【0046】
さらに、プロセッサ150は、第1品質及び第2品質に基づいて、半屋外領域を地図上に表示する機能がある(動作例1-4)。半屋外領域は、例えば、屋外に補助的に設けられた屋根の下を表す領域である。詳細は動作例で説明する。
【0047】
また、所定の機能として、周囲環境に対応する制御がある(動作例2)。プロセッサ150は、第1品質及び第2品質に基づいて、プロセッサ150(又は電子機器100)周囲の周囲環境を推定する(動作例2-1)。この場合、プロセッサ150は、周囲環境として、半屋外環境を推定する(動作例2-2)。
【0048】
プロセッサ150は、周囲環境として、半屋外環境であることを推定すると、移動機200に対して、半屋外領域に対応する制御を実行する(動作例2-3)。
【0049】
プロセッサ150は、周囲環境として、屋外環境を推定した場合、屋外環境に対応する制御を実行してもよい。さらに、プロセッサ150は、周囲環境として、屋内環境を推定した場合、屋内環境に対応する制御を実行してもよい。具体的な制御方法は動作例で説明する。
【0050】
さらに、プロセッサ150は、半屋外環境に対応するジオフェンスの境界を地図に表示する機能がある(動作例2-4)。
【0051】
各動作例の詳細は以下で説明する。
【0052】
(動作例)
【0053】
(動作例1)
動作例1は、プロセッサ150が、表示部110に地図を表示させる機能を実行する動作例である。動作例1は、動作例1-1から動作例1-4まである。以下、順番に説明する。
【0054】
(動作例1-1)
動作例1-1は、プロセッサ150が、第1品質及び第2品質に基づいて、第1電波及び第2電波の双方が示す位置に第1アイコンを表示させる動作例である。
【0055】
図4(A)から図4(D)は、第1実施形態に係る表示例を表す図である。いずれも、表示部110に表示される地図の例を表している。また、いずれも、第1電波として、L1周波数帯によるGNSS電波、第2電波として、L5周波数帯によるGNSS電波の例を表している。以下では、前者をL1信号、後者をL5信号と称する場合がある。
【0056】
図4(A)は、電子機器100がL1信号を捕捉し、L5信号を捕捉していない場合の表示例を表している。図4(A)に示すように、L1信号に対応するアイコン111が表示される。アイコン111の大きさはL1信号の品質の大きさに対応する。従って、アイコン111は、L1信号の品質が良ければ良いほど、大きく表示され、品質が良くなければ、小さく表示される。このような制御は、プロセッサ150で行われる。
【0057】
なお、図4(A)において、アイコン111が表示された位置は、L1信号に基づいて測位した結果、電子機器100が位置すると推定された位置を表している。
【0058】
図4(B)は、電子機器100が、L1信号とL5信号の双方の信号を捕捉した場合の表示例を表している。図4(B)に示すように、L5信号に対応するアイコン112が表示される。アイコン112の大きさは、アイコン111よりも小さい。L1信号の品質は、L5信号の品質よりも良いことを表している。
【0059】
図4(C)は、電子機器100が、L1信号とL5信号の双方の信号を捕捉した場合の表示例を表している。図4(C)に示すアイコン112の大きさは、アイコン111とほぼ同じである。これは、L5信号の品質が、図4(B)の場合よりも良く、L1信号の品質と変わらない、ことを表している。
【0060】
図4(D)も、電子機器100が、L1信号とL5信号の双方の信号を捕捉した場合の表示例を表している。この場合のアイコン112は、図4(B)と図4(C)の場合よりも小さくなっている。L5信号の品質は、図4(B)と図4(C)の場合と比較して、良くないことを表している。
【0061】
なお、図4(B)から図4(D)において、L1信号とL5信号の双方を電子機器100が捕捉した場合、プロセッサ150は、L1信号に基づいて測位した位置と、L5信号に基づいて測位した位置とに基づいて、所定の位置に、アイコン111,112を表示する。所定の位置は、L1信号に基づいて測位した位置と、L5信号に基づいて測位した位置との中間点でもよい。また、所定の位置は、L1信号に基づいて測位した位置と、L5信号に基づいて測位した位置とに対して品質の大きさを考慮して重み付けした位置であってもよい。
【0062】
このように、動作例1-1では、プロセッサ150は、第1品質及び第2品質に基づいて、アイコン111,112のうち、第1電波に対応する第1領域(例えば、図4(A)の白い領域)と、第2電波に対応する第2領域(例えば、図4(B)で黒い領域)の割合を変更するように表示する。図4(B)から図4(D)では、白い領域と黒い領域で表されているが、白い領域が青色、黒い領域が赤色で表示されてもよいし、他の色で表示されてもよい。色は、アイコン111,112が互いに異なる表示態様で、一見して、アイコン111とアイコン112とが異なることがユーザによって把握できれば、どのような色であってもよい。アイコン111,112は、第1アイコンの一例である。つまり、アイコン111とアイコン112は、例えば、アイコン111とアイコン112の形状を異ならせる等の態様を異ならせることで、一見して、アイコン111とアイコン112とが異なることをユーザに把握させてもよい。
【0063】
図5は、第1実施形態に係る動作例1-1を表すフローチャートである。
【0064】
図5に示すように、ステップS10において、プロセッサ150は、処理を開始する。
【0065】
ステップS11において、GNSS受信部120がL1信号を受信する。また、ステップS12において、GNSS受信部120がL5信号を受信する。ステップS11とステップS12の順番は逆でもよい。
【0066】
ステップS13において、プロセッサ150は、L1信号に基づいて、L1信号に基づく位置を測位し、L5信号に基づいて、L5信号に基づく位置を測位する。そして、プロセッサ150は、L1信号に基づく位置と、L5信号に基づく位置とから、アイコンの表示位置を決定する。
【0067】
ステップS14において、プロセッサ150は、GNSS受信部120から取得したL1信号の品質に基づいて、L1信号に対応するアイコン表示の大きさ(又は精度。以下、「大きさ」と称する場合がある。)を決定する。また、ステップS14において、プロセッサ150は、GNSS受信部120から取得したL5信号の品質に基づいて、L5信号に対応するアイコン表示の大きさを決定する。
【0068】
ステップS15において、プロセッサ150は、ステップS13で決定した表示位置に、ステップS14で決定したアイコンの大きさで、当該アイコンを表示部110に表示させる。
【0069】
そして、プロセッサ150は一連の処理を終了する。
【0070】
このように、動作例1-1では、L1信号とL5信号の各品質に基づくアイコン111,113が表示されるため、ユーザは、L1信号とL5信号とがどの程度の品質があるのかを、一目で把握できる。よって、動作例1-1では、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0071】
(動作例1-2)
動作例1-2は、プロセッサ150が、第1品質及び第2品質に基づいて、第1電波及び第2電波の少なくとも一方に対応する第2アイコンを表示部110に表示された地図に表示する動作例である。この動作例では、第1電波がGNSS電波、第2電波がアクセスポイントから取得した電波である。GNSS電波により送信される信号をGNSS信号、アクセスポイントから送信された電波により送信される信号をAP(Access Point)信号とそれぞれ称する場合がある。
【0072】
図6(A)は、第1実施形態に係る表示例である。
【0073】
図6(A)に示すように、表示部110に表示された地図上に、AP信号に対応するアイコン113が表示される。上述したように、プロセッサ150は、例えば、WiFi RTTを利用することで、測位機能を実現する。AP信号に対応するアイコン113は、GNSS信号に対応するアイコン111,112とは異なる表示態様となっている。
【0074】
プロセッサ150は、AP信号の品質が所定値以上、GNSS信号の品質が所定値以下のとき、アイコン113を表示させるようにしてもよい。又は、プロセッサ150は、GNSS信号の品質を取得できなかった場合(又はGNSS信号を受信できなかった場合)、アイコン113を表示させてもよい。アイコン113は、第2アイコンの一例である。
【0075】
図7は、第1実施形態に係る動作例1-2を表すフローチャートである。
【0076】
図7に示すように、ステップS20において、プロセッサ150は、処理を開始する。
【0077】
ステップS21において、GNSS受信部120は、GNSS信号を受信する。また、ステップS22において、無線LAN通信部130は、AP信号を受信する。ステップS21とステップS22の順番は逆でもよい。
【0078】
ステップS23において、プロセッサ150は、GNSS信号に基づく位置と、AP信号に基づく位置の少なくとも一方が示す位置に、アイコンを表示する。すなわち、プロセッサ150は、GNSS信号の品質と、AP信号の品質とに基づいて、AP信号に基づく位置に、AP信号に対応するアイコン113を表示する。プロセッサ150は、AP信号の品質が所定値以上であって、GNSS信号の品質が所定値以下の場合、アイコン113を表示してもよい。アイコン113の大きさは、AP信号の品質の大きさに対応する。
【0079】
そして、ステップS24において、プロセッサ150は、一連の処理を終了する。
【0080】
このように動作例1-2では、AP信号に対応するアイコン113を表示部110に表示される。従って、ユーザは、アクセスポイントからの信号を捕捉したことを地図上で確認でき、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0081】
(動作例1-3)
動作例1-3は、プロセッサ150が、第1品質及び第2品質の大小関係が変化するとき、表示部110に表示するアイコンの表示態様を変更する動作例である。この動作例では、例えば、第1電波がGNSS電波、第2電波がアクセスポイントから取得した電波となる。
【0082】
図6(B)は、第1実施形態に係る表示例を表す。図6(B)は、第1品質及び第2品質の大小関係が変化するときに表示されるアイコン114の例を表している。
【0083】
すなわち、図6(B)は、GNSS信号の品質がAP信号の品質よりも良い場合において、その後、AP信号の品質の方が、GNSS信号の品質よりも良くなった場合、アイコン114が表示される。又は、AP信号の品質がGNSS信号の品質よりも良い場合において、その後、GNSS信号の品質の方が、AP信号の品質よりも良くなった場合、アイコン114が表示される。アイコン114は、GNSS信号の品質とAP信号の品質の大小関係が変化したときに、その切り替えタイミングで表示されるアイコンでもある。アイコン114は、第3アイコンの一例である。
【0084】
なお、GNSS信号の品質とAP信号の品質との大小関係ではなく、GNSS信号の品質と所定値とを比較し、AP信号の品質と当該所定値とを比較して、その大小関係が変化するときに、アイコン114が表示されてもよい。例えば、GNSS信号の品質が所定値以上で、AP信号の品質が所定値以下の場合において、その後、GNSS信号の品質が所定値以下となり、AP信号の品質が所定値以上となった場合に、アイコン114が表示されてもよい。又は、GNSS信号の品質が所定値以下で、AP信号の品質が所定値以上の場合において、その後、GNSS信号の品質が所定値以上で、AP信号の品質が所定値以上になった場合に、アイコン114が表示されてもよい。
【0085】
このような大小比較などは、プロセッサ150において判断される。
【0086】
図8は、第1実施形態に係る動作例1-3を表すフローチャートである。
【0087】
図8に示すように、ステップS30において、プロセッサ150は処理を開始する。
【0088】
ステップS31において、プロセッサ150は、GNSS信号の品質をGNSS受信部120から取得する。また、ステップS32において、プロセッサ150は、AP信号の品質を無線LAN通信部130から取得する。ステップS31とステップS32の順番は逆でもよい。
【0089】
ステップS33において、プロセッサ150は、AP信号の品質と、GNSS信号の品質との大小関係が変化したか否かを判定する。この場合、プロセッサ150は、AP信号の品質と所定値、GNSS信号の品質と当該所定値とを比較して、その大小関係が変化したか否かを判定してもよい。
【0090】
ステップS33において、プロセッサ150は、AP信号の品質とGNSS信号の品質の大小関係が変化したと判定したとき(ステップS33でYES)、ステップS34において、プロセッサ150は、アイコン114を表示する。アイコン114(図6(B))は、GNSS信号に対応するアイコン111,112とは異なる表示態様であり、AP信号に対応するアイコン113とも異なる表示態様であり、所定の態様で表示されたアイコンでもある。
【0091】
そして、ステップS35において、プロセッサ150は、一連の処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS33において、プロセッサ150は、AP信号の品質と、GNSS信号の品質との大小関係が変化していないと判定したとき(ステップS33でNO)、プロセッサ150は、一連の処理を終了する(ステップS35)。この場合は、プロセッサ150は、品質の大小関係は変化しないため、各アイコン表示を維持する。
【0093】
このように動作例1-3では、GNSS信号の品質とAP信号の品質の大小関係が変化した場合、アイコン114を表示するようにしている。そのため、ユーザは、表示部110でアイコン114の表示を確認することで、GNSS電波の品質と、アクセスポイントからの電波の品質と、が変化したことを確認できる。従って、プロセッサ150は、ユーザに対して利便性を向上させることが可能となる。
【0094】
(動作例1-4)
動作例1-4は、プロセッサ150が、第1品質及び第2品質に基づいて、半屋外領域を地図上に表示する動作例である。動作例1-4では、例えば、第1品質はGNSS信号の品質であり、第2品質はAP信号の品質である。
【0095】
図9(A)は、第1実施形態に係る表示例を表す。図9(A)は、表示部110に半屋外領域115が表示された例を表している。なお、半屋外領域115の内部は、他の領域とは異なる表示とすることで、半屋外領域115を他の領域と区別してもよい。
【0096】
半屋外領域は、第1半屋外領域と第2半屋外領域があってもよい。第1半屋外領域は、屋外に補助的に設けられた屋根の下を表す領域である。第1半屋外領域は、屋内領域と屋外領域との間の領域であって補助的な屋根を有する領域であってもよい。
【0097】
図10は、第1半屋外領域の例を表す図である。図10に示すように、第1半屋外領域は、補助的な屋根を有する。第1半屋外領域は、開口部を有してもよい。開口部は、扉によって開閉可能であってもよい。図10は、開口部が開いている状態を表している。第1半屋外領域は、建物と連結される。各移動機200は、開口部を通って、屋外から第1半屋外領域に移動し、さらに、開口部を通って、第1半屋外領域から建物内部の屋内へ移動することも可能である。各移動機200は、逆に、屋内から第1半屋外領域へ移動し、第1半屋外領域から屋外へ移動することも可能である。
【0098】
一方、第2半屋外領域は、倒壊した建物の下を表す領域である。第2半屋外領域は、倒壊した建物内部を表す領域であってもよい。図9(B)は第2半屋外領域(半屋外領域115)の表示例を表している。
【0099】
図9(A)に示すように、半屋外領域115には、複数のアイコン114が表示される。アイコン114は、動作例1-3と同様に、GNSS信号の品質とAP信号の品質との大小関係が変化した場合に表示されるアイコンである。
【0100】
ここで、アクセスポイントが、建物の屋内に設置されるケースを考える。このケースにおいて、さらに、アイコン114が表示されるケースを考える。例えば、GNSS信号の品質がAP信号の品質より良い場合は、電子機器100が屋外に位置する場合である。その後、AP信号の品質がGNSS信号の品質より良くなった場合、半屋外領域115には屋根が設置されるため、電子機器100が半屋外領域に移動したケースが考えられる。また、かかる場合、建物の屋内においても、GNSS信号を受信できないケースもあることから、電子機器100が屋内領域に移動したケースも考えれる。
【0101】
第1実施形態においては、プロセッサ150は、GNSS信号の品質がAP信号の品質より良く、その後、AP信号の品質がGNSS信号の品質より良くなった場合、その切り替えタイミングでは、電子機器100が半屋外領域115に位置すると判定する。
【0102】
また、第1実施形態において、プロセッサ150は、AP信号の品質がGNSS信号の品質より良く、その後、GNSS信号の品質がAP信号の品質より良くなった場合、その切り替えタイミングでは、電子機器100が半屋外領域に位置すると判定する。
【0103】
すなわち、プロセッサ150は、アイコン114が表示される領域を、半屋外領域と判定する。プロセッサ150は、アイコン114が表示される所定の大きさの領域(例えば、アイコン114の表示位置の周囲3m)を、半屋外領域115と判定してもよい。また、プロセッサ150は、アイコン114が表示される位置を、半屋外領域115を示す点であるとして、複数のアイコン114により表された複数の点により形成された領域を、半屋外領域115としてもよい。プロセッサ150は、1つのアイコン114により半屋外領域115を表示してもよいし、複数のアイコン114により半屋外領域115を表示してもよい。
【0104】
移動機200に対して自動制御を行わせるのは、屋外だけではない。上部又は周辺に屋根又は障害物があり、GNSS電波の信号強度が弱い環境下において、移動機200に対して自動制御を行わせる場合がある。
【0105】
ここで、屋外(測位衛星を十分に捕捉できる環境)と屋内(測位衛星を捕捉できない環境)だけでは、自動制御が十分ではない場合がある。半屋外領域においては、屋外又は屋内とは異なる自動制御を、移動機200に対して行わせる場合があるからである。
【0106】
そこで、第1実施形態では、プロセッサ150によって、「半屋外」領域115を推定する。これにより、天井が半透明な工場、商店街のアーケードなど、「半屋外」環境に十分に対応した自動制御を行わせることが可能となる。
【0107】
図8は、第1実施形態に係る動作例1-4を表すフローチャートでもある。この場合、ステップS34において、プロセッサ150は、アイコン114を表示する際に、半屋外領域115を地図に表示させるようにすればよい。
【0108】
このように、動作例1-4では、表示部110に表示された地図上に、半屋外領域115を表示できる。そのため、ユーザは、電子機器100が位置する領域が半屋外領域115に位置することを把握できる。従って、プロセッサ150は、ユーザに対して利便性を向上させることが可能となる。
【0109】
プロセッサ150は、半屋外領域115を検出すると、移動機200に対して、種々の制御を行わせることが可能である。環境に応じてどのような制御が行われるのか、については次の(動作例2)において説明する。
【0110】
(動作例2)
動作例2については、最初に、プロセッサ150が周囲環境を推定する。その後、プロセッサ150は、移動機200に対して、周囲環境に対応した制御を実行させる。なお、動作例2では、第1電波はGNSS電波、第2電波はアクセスポイントから受信した電波を例にして説明する。
【0111】
図11は、動作例2における電子機器100の構成例を表す図である。プロセッサ150は、更に、移動機200に対して制御を行う。プロセッサ150は、第1品質及び第2品質に基づいて、周囲環境を推定する。プロセッサ150は、周囲環境が半屋外環境であると推定した場合、半屋外環境に対応する制御を移動機200に行わせることが可能である。また、プロセッサ150は、周囲環境が屋内環境であると推定した場合、屋内環境に対応する制御を移動機200に行わせることが可能である。さらに、プロセッサ150は、周囲環境が屋外環境であると推定した場合、屋外環境に対応する制御を移動機200に行わせることが可能である。
【0112】
また、プロセッサ150は、移動機200の種別ごとに異なる制御を行わせることも可能である。以下では、移動機200として、ドローン200-1、協働ロボット200-2、及び自動運転車両200-3を例にして説明する。
【0113】
(動作例2-1,動作例2-2)
動作例2-1では、プロセッサ150が、第1品質及び第2品質に基づいて、プロセッサ150(又は電子機器100)周囲の周囲環境を推定する動作例である。動作例2-2は、プロセッサ150が、周囲環境として、半屋外環境を推定する動作例である。
【0114】
図12は、第1実施形態に係る動作例2-1のフローチャートである。
【0115】
図12に示すように、ステップS40において、プロセッサ150は、処理を開始する。
【0116】
ステップS41において、プロセッサ150は、GNSS信号の品質をGNSS受信部120から取得する。また、ステップS42において、プロセッサ150は、AP信号の品質を無線LAN通信部130から取得する。なお、ステップS41とステップS42の順番は逆でもよい。
【0117】
ステップS43において、プロセッサ150は、GNSS信号の品質と、AP信号の品質とに基づいて、周囲環境を推定する。
【0118】
図13は、第1実施形態に係るドローン200-1の移動例を表す図である。図13は、ドローン200-1が、屋外から半屋外を経由して、屋内に移動する例を表している。
【0119】
図13に示すように、アクセスポイント#1(AP#1)600-1が、建物の屋内側であって、半屋外との出入口に設置される。また、アクセスポイント#2(AP#2)600-2が、屋内に設置される。
【0120】
このような状況で、プロセッサ150を備えるドローン200-1が屋外に位置する場合、GNSS信号の品質は、アクセスポイント#1(AP#1)600-1からのAP信号の品質よりも良い。従って、プロセッサ150は、GNSS信号の品質と、AP信号の品質とを比較して、GNSS信号の品質の方がAP信号の品質よりも良い場合、周囲環境は「屋外」と判定できる。
【0121】
また、ドローン200-1が半屋外に移動した場合、屋根によって、GNSS信号の品質は屋外に位置する場合よりも悪くなる。一方で、ドローン200-1は、アクセスポイント#1(AP#1)に近づくため、AP信号の品質は、屋外の場合よりも良くなる。そのため、プロセッサ150は、アクセスポイント#1(AP#1)600-1からのAP信号の品質が、GNSS信号の品質よりも良くなった場合、周囲環境は「半屋外」と判定できる。
【0122】
さらに、ドローン200-1が建物内の屋内に移動した場合、GNSS信号の品質はさらに悪くなる。そのため、プロセッサ150は、アクセスポイント#1(AP#1)600-1からのAP信号の品質が、GNSS信号の品質よりも良くなった場合、周囲環境は「屋内」と判定できる。
【0123】
ただし、この場合、「屋内」と「半屋外」との判断が重複する。そのため、上述した「半屋外」の判定については、(動作例1-3)で説明したように、GNSS信号の品質がAP信号の品質よりも良い場合から、AP信号の品質がGNSS信号の品質よりも良くなった場合に変化した切り替えタイミングで、プロセッサ150は「半屋外」と判定してもよい。
【0124】
また、プロセッサ150は、アクセスポイント#2(AP#2)600-2からのAP信号の品質を更に利用して、「屋内」判定を行ってもよい。これにより、判断の重複を避けるとともに、「屋内」判定の精度を上げることが可能となる。すなわち、プロセッサ150は、(動作例1-3)と同様に、AP信号の品質とGNSS信号の品質の大小関係が切り替わったタイミングで、「半屋外」と判定してもよい。また、プロセッサ150は、アクセスポイント#2(AP#2)600-2からのAP信号の品質が、アクセスポイント#1(AP#1)600-1からのAP信号の品質よりも良い場合、「屋内」と判定してもよい。
【0125】
図12に戻り、ステップS44において、プロセッサ150は、推定した周囲環境に対応する制御を実行する。具体的な制御は、次の(動作例2-3)で説明する。
【0126】
そして、ステップS45において、プロセッサ150は、一連の処理を終了する。
【0127】
(動作例2-3)
動作例2-3は、プロセッサ150が、第1品質及び第2品質に基づいて、周期環境が半屋外環境であると推定したとき、半屋外環境に対応する制御を実行する動作例である。また、プロセッサ150は、周囲環境が屋内に位置すると推定したときは、屋内環境に対応する制御を実行する。さらに、プロセッサ150は、周囲環境が屋外に位置すると推定したときは、屋外環境に対応する制御を実行する。
【0128】
(半屋外環境における制御例)
プロセッサ150が、周囲環境を「半屋外」と推定した場合の移動機200に対する制御例を説明する。
【0129】
図13は、第1実施形態に係る半屋外環境に対応する制御の例を表す図である。図13は、ドローン200-1における制御の例を表している。
【0130】
図13に示すように、プロセッサ150は、ドローン200-1に対して、ドローン200-1に設置されているカメラ機能のパラメータを変更する制御を行ってもよい。例えば、プロセッサ150は、カメラ機能が室内モードとなるようにパラメータを変更するようにしてもよい。具体的には、プロセッサ150は、カメラ機能の露光量を多くとるように露光量パラメータを変更したり、撮影時間を短くするように撮影時間パラメータを変更したりしてもよい。
【0131】
また、プロセッサ150は、ドローン200-1の速度を「屋外」の場合よりも遅くするようにドローン200-1に対して速度制御を行ってもよい。さらに、プロセッサ150は、ドローン200-1の飛行の高さが所定の高さとなるように高さ制御を行ってもよい。プロセッサ150は、アクセスポイント#1(AP#1)600-1からのAP信号の受信信号強度が強くなるにつれて、速度を遅くするように速度制御を行ってもよい。
【0132】
図14は、第1実施形態に係る半屋外環境に対応する制御の例を表す図である。図14は、協働ロボット200-2と自動運転車両200-3における制御の例を表している。
【0133】
図14に示すように、プロセッサ150は、協働ロボット200-2に対して、ドローン200-1と同様に、速度制御を行ってもよい。また、プロセッサ150は、協働ロボット200-2に対して、倉庫#1の作業プログラムを実行させるように制御してもよい。
【0134】
また、図14に示すように、プロセッサ150は、自動運転車両200-3に対して、ドローン200-1と同様に、屋外よりも速度を遅くする速度制御を行ってもよい。また、プロセッサ150は、自動運転車両200-3に設置されたカメラの前方センサをオンにしてもよい。カメラの前方センサをオンにすることで、自動運転車両200-3は、その前方方向の状況をカメラで撮影することが可能となる。
【0135】
(屋内環境における制御例)
プロセッサ150が、周囲環境を「屋内」と推定した場合の移動機200に対する制御例を説明する。
【0136】
図13に示すように、プロセッサ150は、ドローン200-1に対して、「半屋内」の場合よりも更に速度が遅くなるように速度制御を行ってもよい。また、プロセッサ150は、ドローン200-1に対して、飛行高さが、「半屋内」の場合よりも更に低く飛行するように高さ制御を行ってもよい。プロセッサ150は、ドローン200-1のカメラに対して、「半屋外」の場合よりも、更に露光量を多くしたり、撮影時間を短くしたりするなどの制御を行ってもよい。
【0137】
図15は、第1実施形態に係る制御例を表す図である。図15は、ドローン200-1が屋内に位置する場合の制御例を表している。
【0138】
例えば、図15に示すように、屋内の天井にアクセスポイント#2(AP#2)600-2乃至アクセスポイント#5(AP#5)600-5が設置されたケースを考える。このようなケースでは、プロセッサ150は、WiFi RTTを利用して、各アクセスポイント#2(AP#2)600-2乃至アクセスポイント#5(AP#5)600-5に対する距離を測位できる。そのため、プロセッサ150は、測位した距離に基づいて、ドローン200-1に対して、天井に近づかないように、飛行の高さを制御することが可能である。
【0139】
図14に示すように、プロセッサ150は、協働ロボット200-2に対して、倉庫#2の作業プログラムを実行させるように制御してもよい。また、プロセッサ150は、協働ロボット200-2に対して、ドローン200-1と同様に速度制御を行ってもよい。
【0140】
また、図14に示すように、プロセッサ150は、自動運転車両200-3に対して、ドローン200-1と同様に、更に速度を遅くする速度制御を行ってもよい。また、プロセッサ150は、自動運転車両200-3に設置されたカメラの障害物センサをオンにする制御を行ってもよい。カメラの障害物センサがオンになることで、自動運転車両200-3は、カメラで撮影された画像に障害物が映っていると判定したとき、障害物を回避するように移動することが可能となる。プロセッサ150は、自動運転車両200-3の運転動作について、左右のブレをなくし、水平を保つモードとなるように、自動運転車両200-3を制御してもよい。
【0141】
(屋外環境における制御例)
プロセッサ150が、周囲環境を「屋外」と推定した場合の移動機200に対する制御例を説明する。
【0142】
図13に示すように、プロセッサ150は、ドローン200-1に設置されたカメラに対して、「半屋外」又は「屋内」の場合よりも、露光量を少なくしたり、撮影時間を短くしたりしてもよい。また、プロセッサ150は、ドローン200-1に対して、「半屋外」又は「屋内」の場合よりも、速度を早くしたり、高さを高くしたりするよう制御してもよい。
【0143】
図14に示すように、プロセッサ150は、協働ロボット200-2又は自動運転車両200-3に対して、ドローン200-1と同様の速度制御を行ってもよい。
【0144】
(動作例2-4)
動作例2-4は、半屋外領域の境界に対応するジオフェンスの境界を前記地図に表示する動作例である。
【0145】
プロセッサ150は、第1品質及び第2品質に基づいて、半屋外領域を地図上に表示することが可能である(動作例1-4)。その場合の表示例が、図9(A)である。この場合、プロセッサ150は、半屋外領域115の境界線をジオフェンスとして、地図上に表示させることも可能である。ジオフェンスとは、現実世界の地理的境界における仮想的な境界線のことである。プロセッサ150は、半屋外領域115の境界線を地図上に表示させる。これにより、表示部110には、半屋外領域115のジオフェンスが表示できる。
【0146】
動作例2-4では、半屋外領域115に対応するジオフェンスの境界が地図上に表示される。そのため、ユーザは、移動機200が半屋外領域内に位置するか否かを容易に判別することができる。従って、動作例1-4では、ユーザに対して利便性を向上させることができる。
【0147】
[その他の実施形態]
第1実施形態に係る電子機器100は、上述したように、セルラ通信と無線LAN通信とをルーティングするルータであってもよい。そのため、図3に示す電子機器100は、プロセッサ150と接続されたセルラ通信部を有してもよい。
【0148】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、上述した各実施形態は、矛盾しない範囲で組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0149】
100 :電子機器 110 :表示部
111,112,113,114:アイコン 115 :半屋外領域
120 :GNSS受信部 130 :無線LAN通信部
140 :メモリ 150 :プロセッサ
200 :移動機 200-1:ドローン
200-2:協働ロボット 200-3:自動運転車両
500 :測位衛星
600-1,600-2,600-3:アクセスポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15