(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】マクロ観察装置
(51)【国際特許分類】
G02B 21/02 20060101AFI20250418BHJP
G02B 13/22 20060101ALI20250418BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20250418BHJP
【FI】
G02B21/02
G02B13/22
G02B21/00
(21)【出願番号】P 2021087637
(22)【出願日】2021-05-25
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】322004393
【氏名又は名称】株式会社エビデント
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 幸成
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/072245(WO,A1)
【文献】特開2017-223891(JP,A)
【文献】特開2010-032622(JP,A)
【文献】特開2017-215492(JP,A)
【文献】特開昭62-069979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/00 - 21/36
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
試料を縮小倍率で前記撮像素子へ投影するマクロ光学系
と、
1倍以上の倍率を有するミクロ光学系と、を備え、
前記マクロ光学系は、物体側から順に、
正の屈折力を有する第1レンズ群と、
負の屈折力を有する第2レンズ群であって、前記第2レンズ群における最大光線高は、前記第1レンズ群における最大光線高の半分以下である、という第2レンズ群と、
開口絞りと、
正の屈折力を有する第3レンズ群と、からなり、
前記マクロ光学系は、0.1倍以下の倍率を有し、
マクロ観察装置は、以下の条件式を満たす
ことを特徴とするマクロ観察装置。
1.0<d/L<4.0 (1)
|tan(α)|<0.23 (2)
|Dt×I|<ls/(2×βs) (7)
-1.3<(d12+d2s)/f1+d2s/f2+d3s/f3<0.2 (8)
ここで、dは前記マクロ光学系の全長である。Lは前記マクロ光学系の視野の直径である。αは前記マクロ光学系の最軸外の主光線の物体面における入射角度である。
Dtは、前記マクロ光学系の光学ディストーションである。Iは、前記マクロ光学系の撮影範囲内での最大物体高である。βsは、前記ミクロ光学系の倍率である。lsは、前記撮像素子の撮像面の対角長である。f1は、前記第1レンズ群の焦点距離である。f2は、前記第2レンズ群の焦点距離である。f3は、前記第3レンズ群の焦点距離である。d12は前記第1レンズ群の最も像側のレンズ面から前記第2レンズ群の最も物体側のレンズ面までの光軸上における距離である。d2sは前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面から前記開口絞りまでの前記光軸上における距離である。d3sは前記開口絞りから前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面までの前記光軸上における距離である。
【請求項2】
請求項1に記載のマクロ観察装置において、
前記マクロ観察装置は、以下の条件式を満たす
ことを特徴とするマクロ観察装置。
0.4<(d12+d2s)/f1<1.0 (3)
ここで、f1は、前記第1レンズ群の焦点距離である。d12は前記第1レンズ群の最も像側のレンズ面から前記第2レンズ群の最も物体側のレンズ面までの光軸上における距離である。d2sは前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面から前記開口絞りまでの前記光軸上における距離である。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のマクロ観察装置において、
前記マクロ観察装置は、以下の条件式を満たす
ことを特徴とするマクロ観察装置。
0.35<(d12+d2s)/d<0.65 (4)
ここで、d12は前記第1レンズ群の最も像側のレンズ面から前記第2レンズ群の最も物体側のレンズ面までの光軸上における距離である。d2sは前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面から前記開口絞りまでの前記光軸上における距離である。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のマクロ観察装置において、
前記マクロ観察装置は、以下の条件式を満たす
ことを特徴とするマクロ観察装置。
0.6<|f23/(f1×β)|<1.2 (5)
ここで、f1は、前記第1レンズ群の焦点距離である。f23は、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の合成焦点距離である。βは前記マクロ光学系の倍率である。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のマクロ観察装置において、
前記第3レンズ群は、
正の屈折力を有する正レンズと、
負の屈折力を有する負レンズと、を含み、
前記マクロ観察装置は、以下の条件式を満たす
ことを特徴とするマクロ観察装置。
15<ν3p-ν3n<50 (6)
ここで、ν3pは、前記正レンズのアッベ数である。ν3nは、前記負レンズのアッベ数である。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のマクロ観察装置において、
前記第1レンズ群は、少なくとも2枚のレンズからなり、
前記第1レンズ群に含まれる前記少なくとも2枚のレンズのうちの少なくとも1枚のレンズは、
像側の面と、
前記像側の面よりも大きな屈折力を有し、且つ、凸面である物体側の面と、を含む
ことを特徴とするマクロ観察装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のマクロ観察装置において、
前記第2レンズ群は、少なくとも2枚のレンズからなり、
前記第2レンズ群に含まれる前記少なくとも2枚のレンズのうちの少なくとも1枚のレンズは、
物体側の面と、
前記物体側の面よりも大きな屈折力を有し、且つ、凹面である像側の面と、を含む
ことを特徴とするマクロ観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、マクロ観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ライフサイエンスリサーチの分野では、顕微鏡のデジタル化によって、複雑な顕微鏡操作の機会を減らし、ユーザの負担を低減することが求められている。ユーザに負担を強いる典型的な作業の一つにサンプル探しがある。また、サンプル探しに有効な手段としてマクロ観察が知られている。
【0003】
マクロ観察が可能なデジタル顕微鏡を提供することでサンプルを効率良く探すことが可能であり、ユーザの負担軽減が図れるものと期待されている。なお、特許文献1にはコンパクトに構成されたマイクロプレート画像化システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、顕微鏡の光学系は、一般に、テレセントリック光学系として構成される。しかしながら、広い視野に対応するマクロ観察では、テレセントリシティとレンズ径は概してトレードオフの関係にあるため、広い視野を確保しながら、コンパクトな装置で高いテレセントリシティを確保することは難しい。
【0006】
マクロ観察装置において、装置のコンパクトさを優先してテレセントリシティを犠牲にすると、サンプル探しにおいて試料を収容する容器の壁面が写り込んでしまうなどの問題が生じてしまう。この点は、マクロ観察がユーザの作業負担軽減手段として利用されることを踏まえると望ましくない。
【0007】
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、テレセントリシティと装置のコンパクトさとを高いレベルで両立するマクロ観察装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るマクロ観察装置は、撮像素子と、試料を縮小倍率で前記撮像素子へ投影するマクロ光学系と、1倍以上の倍率を有するミクロ光学系と、を備える。前記マクロ光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群であって、前記第1レンズ群における最大光線高は、前記第1レンズ群における最大光線高の半分以下である、という第2レンズ群と、開口絞りと、正の屈折力を有する第3レンズ群と、からなる。前記マクロ光学系は、0.1倍以下の倍率を有する。マクロ観察装置は、以下の条件式を満たす。ここで、dは前記マクロ光学系の全長である。Lは前記マクロ光学系の視野の直径である。αは前記マクロ光学系の最軸外の主光線の物体面における入射角度である。Dtは、前記マクロ光学系の光学ディストーションである。Iは、前記マクロ光学系の撮影範囲内での最大物体高である。βsは、前記ミクロ光学系の倍率である。lsは、前記撮像素子の撮像面の対角長である。f1は、前記第1レンズ群の焦点距離である。f2は、前記第2レンズ群の焦点距離である。f3は、前記第3レンズ群の焦点距離である。d12は前記第1レンズ群の最も像側のレンズ面から前記第2レンズ群の最も物体側のレンズ面までの光軸上における距離である。d2sは前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面から前記開口絞りまでの前記光軸上における距離である。d3sは前記開口絞りから前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面までの前記光軸上における距離である。
1.0<d/L<4.0 (1)
|tan(α)|<0.23 (2)
|Dt×I|<ls/(2×βs) (7)
-1.3<(d12+d2s)/f1+d2s/f2+d3s/f3<0.2 (8)
【発明の効果】
【0009】
上記の態様によれば、テレセントリシティと装置のコンパクトさとを高いレベルで両立するマクロ観察装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るマクロ観察装置1の構成を説明する図である。
【
図2】マクロ光学系30の構成を説明する図である。
【
図3】マクロ光学系30が満たすべき条件を説明する図である。
【
図4】実施例1に係るマクロ光学系31の断面図である。
【
図5】
図4に示すマクロ光学系31の収差図である。
【
図6】実施例2に係るマクロ光学系32の断面図である。
【
図7】
図6に示すマクロ光学系32の収差図である。
【
図8】実施例3に係るマクロ光学系33の断面図である。
【
図9】
図8に示すマクロ光学系33の収差図である。
【
図10】実施例4に係るマクロ光学系34の断面図である。
【
図12】実施例5に係るマクロ光学系35の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、一実施形態に係るマクロ観察装置1の構成を説明する図である。マクロ観察装置1は、光学装置10と、光学装置10を制御する制御装置100と、を備えている。マクロ観察装置1は、例えば、顕微鏡装置である。光学装置10は、例えば、光学顕微鏡であり、制御装置100は、例えば、光学顕微鏡を制御する顕微鏡制御装置である。
【0012】
なお、
図1では、光学装置10は、倒立顕微鏡であるが、光学装置10は、倒立顕微鏡に限らず、正立顕微鏡であってもよい。また、光学装置10は、任意の検鏡法に対応した光学顕微鏡であってもよく、例えば、蛍光観察、明視野観察、暗視野観察、微分干渉観察、位相差観察法などの1つ以上に対応してもよい。
【0013】
制御装置100は、少なくともプロセッサとメモリを含むコンピュータであり、制御プログラムを実行することで、光学装置10を制御してもよい。また、制御装置100は、表示装置を含んでもよく、光学装置10で取得したデジタル画像を表示装置に表示してもよい。表示装置は、特に限定しないが、例えば、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどである。
【0014】
光学装置10は、
図1に示すように、ステージ20と、マクロ光学系30と、ミクロ光学系40と、撮像素子50を備えている。光学装置10は、図示しないその他の構成を含んでもよい。
【0015】
ステージ20には、試料を収容する容器が配置される。ステージ20は、例えば、電動ステージであり、少なくともマクロ光学系30の光軸上とミクロ光学系40の光軸上とを行き来可能に移動する。ステージ20は、ボールネジに接続されたステッピングモータを駆動することによって、移動してもよい。なお、ステージ20のアクチュエータは、ボールネジとステッピングモータの組み合わせに限らない。例えば、ステッピングモータの代わりに超音波モータなどが使用されてもよい。また、アクチュエータには、移動量を検出するためのエンコーダが設けられていてもよい。また、ステージ20は、電動ステージ限らず、手動ステージであってもよい。
【0016】
ステージ20に配置される試料の容器は、例えば、
図1に示すような、複数のウェル22を有するマルチウェルプレート21である。ただし、容器は、マルチウェルプレート21に限らず、例えば、ディッシュ、フラスコなどの任意の容器が採用し得る。また、試料は、スライドガラスに置かれてもよく、スライドガラスとカバーガラスに挟まれてプレパラートを構成してもよい。この場合、スライドガラスやカバーガラスを試料の容器と見做すことができる。
【0017】
マクロ光学系30は、試料を縮小倍率で撮像素子50へ投影する。マクロ光学系30は、1倍未満の倍率を有し、望ましくは0.1倍以下の倍率を有する。一方、ミクロ光学系40は、1倍以上の倍率を有する。ミクロ光学系40は、試料を等倍又は拡大倍率で撮像素子50へ投影する。なお、
図1では、撮像素子50がマクロ光学系30を用いたマクロ観察とミクロ光学系40を用いたミクロ観察において共用される例を示したが、撮像素子50は、マクロ観察用とミクロ観察用にそれぞれ設けられてもよい。
【0018】
撮像素子50は、入射した光を電気信号に変換する。撮像素子50は、例えば、二次元イメージセンサであり、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などが用いられてもよい。光学装置10は、撮像素子50から出力される信号に基づくデジタル画像を制御装置100へ出力する。
【0019】
以上のように構成されたマクロ観察装置1では、マクロ光学系30を用いたマクロ観察で観察位置について当たりを付けたのちに、ミクロ光学系40を用いたミクロ観察で試料を詳細に観察することができる。従って、ユーザは高い作業効率で試料を観察することが可能となる。
【0020】
さらに、マクロ観察装置1では、マクロ光学系30がコンパクトな構成で高いテレセントリシティを有している。このため、マクロ観察装置1は、テレセントリシティと装置のコンパクトさとを高いレベルで両立することができる。
【0021】
図2は、マクロ光学系30の構成を説明する図である。
図3は、マクロ光学系30が満たすべき条件を説明する図である。以下、
図2及び
図3を参照しながら、マクロ光学系30についてさらに詳細に説明する。
【0022】
マクロ光学系30は、
図2に示すように、正-負-正の3群構成を有している。マクロ光学系30は、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りASと、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、からなり、物体側からこの順番で配置されている。第2レンズ群G2における最大光線高は、第1レンズ群G1における最大光線高の半分以下である。なお、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の境界は、この特徴によって特定することができる。
【0023】
第1レンズ群G1は、1枚のレンズで構成されてもよく、2枚以上のレンズで構成されてもよい。第1レンズ群G1には、非球面レンズが用いられてもよい。非球面レンズを用いることで収差の発生を抑えたり,テレセントリシティを向上させたりすることができる。また、第1レンズ群G1には、フレネルレンズが用いられてもよい。フレネルレンズを用いることで各レンズの厚さを薄くすることができる。
【0024】
第1レンズ群G1は、少なくとも2枚のレンズで構成することが望ましい。さらに、第1レンズ群G1に含まれる少なくとも2枚のレンズの内の少なくとも1枚のレンズは、物体側に強い正の屈折力を有することが望ましい。より具体的には、この少なくとも1枚のレンズは、像側の面と、凸面である物体側の面を含み、物体側の面は像側の面よりも大きな屈折力を有することが望ましい。像側の面は、例えば、平面であるが、凸面であっても凹面であってもよい。この構成は、瞳収差を良好に補正してマクロ光学系30を物体側テレセントリック光学系として構成する上で有効である。なお、ここで、物体側テレセントリック光学系とは、後述する条件式(2)を満たす光学系をいう。
【0025】
第2レンズ群G2は、少なくとも2枚のレンズで構成することが望ましい。さらに、第2レンズ群G2に含まれる少なくとも2枚のレンズの内の少なくとも1枚のレンズは、像面側に強い負の屈折力を有することが望ましい。より具体的には、この少なくとも1枚のレンズは、物体側の面と、凹面である像側の面を含み、像側の面は物体側の面よりも大きな屈折力を有することが望ましい。物体側の面は、例えば、平面であるが、凸面であっても凹面であってもよい。この構成は、瞳収差を良好に補正してマクロ光学系30を物体側テレセントリック光学系として構成する上で有効である。
【0026】
第3レンズ群G3は、正の屈折力を有するレンズ(正レンズ)と、負の屈折力を有するレンズ(負レンズ)を含む、少なくとも2枚のレンズで構成することが望ましい。
【0027】
マクロ観察装置1は、以下の条件式(1)及び条件式(2)を満たしている。
1.0<d/L<4.0 (1)
|tan(α)|<0.23 (2)
【0028】
但し、dはマクロ光学系30の全長である。Lはマクロ光学系30の視野の直径である。αは物体面におけるマクロ光学系30の最軸外の主光線とマクロ光学系30の光軸との成す角度である。なお、マクロ光学系30の全長は、マクロ光学系を構成するレンズを一列に並べて配置した場合における物体面から像面までの光軸上の距離をいう。また、最軸外の主光線とは、マクロ光学系30の視野の端を通過する光線のうち開口絞りASの中心を通る光線のことである。
【0029】
条件式(1)はマクロ光学系をコンパクトに構成するための条件を規定したものである。d/Lが4.0以上になると、マクロ光学系の視野に対して全長が長くなりすぎる。このため、装置が光軸方向に長くなりすぎるか、光路上での折り返しのため装置構成が複雑化してしまう。一方で、d/Lが1.0以下になると、Lが小さくなりマクロ観察で必要な視野を確保することが困難になる。条件式(1)を満たすことで、コンパクトなマクロ光学系を構成することができる。
【0030】
条件式(2)はマクロ光学系が有するテレセントリシティを規定したものである。|tan(α)|が0.23以上になると、主光線の角度が付きすぎてしまう。このため、容器の壁面が視野内に大きく映り込んでしまう。特に、ウェル径が比較的小さいマルチウェルプレートの場合には、ウェルサイズに対して壁面が写り込んでしまう割合が大きくなりすぎてしまうため、試料の観察に支障を来してしまう。条件式(2)を満たすことで、視野内に容器壁面が映り込んでしまう割合を抑えることができる。より具体的には、96ウェルのマルチウェルプレート(例えば、
図3に示すように、ウェル直径tが5.17mm、壁面の高さhが11.4mm)を用いた場合であっても、ウェルの画像内に映り込む壁面の割合を半分以下に抑えることができる。
【0031】
上述した条件式(1)及び条件式(2)を満たすことで、マクロ観察装置1は、テレセントリシティと装置のコンパクトさとを高いレベルで両立することができる。
【0032】
なお、マクロ観察装置1は、条件式(1)の代わりに条件式(1-1)を満たしてもよい。これにより、更に高いレベルで、テレセントリシティと装置のコンパクトさを両立することが可能となる。
1.5<d/L<2.5 (1-1)
【0033】
マクロ観察装置1は、さらに、以下の条件式(3)から条件式(5)の少なくとも1つを満たしてもよい。
0.4<(d12+d2s)/f1<1.0 (3)
0.35<(d12+d2s)/d<0.65 (4)
0.6<|f23/(f1×β)|<1.2 (5)
【0034】
但し、f1は、第1レンズ群G1の焦点距離である。f23は、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の合成焦点距離である。βはマクロ光学系30の倍率である。d12は第1レンズ群G1の最も像側のレンズ面から第2レンズ群G2の最も物体側のレンズ面までの光軸上における距離である。d2sは第2レンズ群G2の最も像側のレンズ面から開口絞りASまでの光軸上における距離である。
【0035】
条件式(3)は、マクロ光学系30の構成要素間の距離と第1レンズ群G1の焦点距離との関係を規定したものである。なお、近軸領域において、完全な物体側テレセントリックな光学系は(d12+d2s)/f1=1.0を満たす。(d12+d2s)/f1が小さくなるほどテレセントリシティが劣化し、0.4以下になると広い視野と装置のコンパクトさを犠牲にすることなく十分なテレセントリシティを確保することが難しくなる。条件式(2)を満たすことで、広視野、テレセントリシティ、装置のコンパクトさがバランスよく実現することができる。
【0036】
条件式(4)は、マクロ光学系30の全長と構成要素間の距離との関係を規定したものである。(d12+d2s)/dが0.35以下になると第1レンズ群G1から開口絞りASまでを過度にコンパクトに構成する必要があり、テレセントリシティを確保するレンズ設計が難しくなる。(d12+d2s)/dが0.65以上になると開口絞りASから第3レンズ群G3までを過度にコンパクトに構成する必要があり、レンズ設計が難しくなる。条件式(4)を満たすことで、第1レンズ群G1から第3レンズ群G3までを比較的高い自由度で配置することができるため、広視野、テレセントリシティ、装置のコンパクトさをよりバランスよく実現することができる。
【0037】
条件式(5)は、マクロ光学系30の倍率と前群(第1レンズ群G1)の焦点距離と後群(第2レンズ群G2、第3レンズ群G3)の焦点距離との関係を規定したものである。なお、近軸領域において、完全な両側テレセントリックな光学系は|f23/(f1×β)|=1.0を満たす。|f23/(f1×β)|が0.6以下又は1.2以上になると物体側と像側ともにテレセントリシティが劣化し、高い結像性能を得ることも難しくなる。条件式(5)を満たすことで、広視野、テレセントリシティ、装置のコンパクトさをよりバランスよく実現することができる。
【0038】
なお、マクロ観察装置1は、条件式(3)から条件式(5)の代わりに条件式(3-1)から条件式(5-1)を満たしてもよい。これにより、広視野、テレセントリシティ、装置のコンパクトさが更にバランスよく実現することができる。
0.62<(d12+d2s)/f1<0.79 (3-1)
0.38<(d12+d2s)/d<0.5 (4-1)
0.75<|f23/(f1×β)|<0.95 (5-1)
【0039】
マクロ観察装置1は、第3レンズ群G3が、正レンズと負レンズを含む少なくとも2枚のレンズで構成される場合、以下の条件式(6)を満たしてもよい。
15<ν3p-ν3n<50 (6)
【0040】
但し、ν3pは、第3レンズ群G3に含まれる任意の正レンズのアッベ数である。ν3nは、第3レンズ群G3に含まれる任意の負レンズのアッベ数である。
【0041】
条件式(6)は、第3レンズ群G3に含まれる正レンズと負レンズのアッベ数の差について望ましい範囲を規定したものである。レンズに対して条件式(6)を満たすことで、低分散(高アッベ数)の正レンズと高分散(低アッベ数)の負レンズの組み合わせによる色消し作用により軸上色収差と倍率色収差を良好に補正することができる。
【0042】
なお、マクロ観察装置1は、条件式(6)の代わりに条件式(6-1)を満たしてもよい。これにより、さらに良好に色収差を補正することができる。
24.26<ν3p-ν3n<46.45 (6-1)
【0043】
マクロ観察装置1は、さらに、以下の条件式(7)及び条件式(8)の両方を満たしてもよい。
|Dt×I|<ls/(2×βs) (7)
-1.3<(d12+d2s)/f1+d2s/f2+d3s/f3<0.2 (8)
【0044】
但し、Dtは、マクロ光学系30の光学ディストーションである。なお、光学ディストーションは理想像高Yと実際の像高yとの差を理想像高で割った値(Y-y/Y)で表される。Iは、マクロ光学系30の撮影範囲内での最大物体高である。βsは、ミクロ光学系40の倍率である。lsは、撮像素子50の撮像面の対角長である。f2は、第2レンズ群G2の焦点距離である。f3は、第3レンズ群G3の焦点距離である。d3sは開口絞りASから第3レンズ群G3の最も物体側のレンズ面までの光軸上における距離である。
【0045】
条件式(7)は、マクロ光学系30で許容し得るディストーションの大きさを定義したものである。条件式(7)を満たすことで、マクロ光学系30で生じるディストーションの大きさがミクロ光学系の視野よりも小さくなる。このため、マクロ光学系30からミクロ光学系40へ切り替えたときに、マクロ光学系30を用いた指定した注目点がミクロ光学系40の視野範囲から逸れてしまうことを避けることができる。
【0046】
条件式(8)は、開口絞りAS前後のレンズ群で生じるパワーのバランスを規定したものである。条件式(8)を満たすことで、像高の低い領域から高い領域までディストーション量を抑えることができる。
【0047】
なお、マクロ観察装置1は、条件式(8)の代わりに条件式(8-1)を満たしてもよい。これにより、ディストーションをさらに抑えることができる。
-1.02<(d12+d2s)/f1+d2s/f2+d3s/f3<0.10 (8-1)
【0048】
マクロ観察装置1は、試料をウェルに収容して観察する場合、以下の条件式(9)を満たしてもよい。
|h×tan(α)|<t/2 (9)
【0049】
但し、hは、試料を収容するウェル22の壁面の高さである。tは、ウェル22の直径である。
【0050】
条件式(9)は、マクロ光学系が有するテレセントリシティを試料の容器との関係で規定したものである。条件式(9)を満たすことで、ウェル22の壁面が視野の半分以上に渡って映り込むことを避けることができる。
【0051】
以下、上述したマクロ光学系30の実施例について具体的に説明する。
[実施例1]
図4は本実施例に係るマクロ光学系31の断面図である。マクロ光学系31は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りASと、正の屈折力を有する第3レンズ群G3からなる。なお、マクロ光学系31は、物体面(面番号s1)の像を像面(面番号s10)に投影する光学系である。
【0052】
第1レンズ群G1は、物体側に凸面を有する平凸レンズであるレンズL1からなる。第2レンズ群G2は、物体側に平面を有する平凹レンズであるレンズL2からなる。第3レンズ群G3は、接合レンズCL1からなり、接合レンズCL1は、物体側から順に並んだ、両凸レンズであるレンズL3と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL4と、からなる。
【0053】
マクロ光学系31の各種データは、以下のとおりである。
f1=161mm、f2=-15.7mm、f3=16.4mm、d12=87.31mm、d23=24.86 2mm、d2s=2.862mm、d3s=2mm、f23=9.51mm、Dt=0.69%、d=219.57mm、L=119.3901998mm、β=0.074713、第1レンズ群G1の最大光線高=51.70457mm、第2レンズ群G2の最大光線高=5.99998mm、開口数NA=0.0041
【0054】
マクロ光学系31のレンズデータは、以下のとおりである。なお、レンズデータ中のINFは無限大(∞)を示している。
マクロ光学系31
s r d n vd
1 INF 45.0000
2 83.4862 27.0000 1.51633 64.14
3 INF 87.3064
4 INF 3.5000 1.48749 70.23
5 7.6640 22.8620
6 INF 2.0000
7 19.5000 4.0000 1.56883 56.36
8 -4.7288 2.5000 1.67270 32.10
9 -11.7818 25.3984
10 INF
【0055】
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、νdはアッベ数を示す。これらの記号は、以降の実施例でも同様である。なお、面番号s1,s6,s10が示す面は、それぞれ物体面、開口絞りASの面、像面である。
【0056】
マクロ光学系31は、以下で示されるように、条件式(1)から条件式(9)を満たしている。なお、条件式(7)及び条件式(9)については、I=59.69509mm、ls=8.92mm、βs=4、h=11.4mm、t=5.17mmの条件で計算している。
(1) d/L=1.839095674
(2) tan(α)=-0.08745
(3) (d12+d2s)/f1=0.684298137
(4) (d12+d2s)/d=0.500781818
(5) |f23/(f1×β)|=0.790603014
(6) ν3p-ν3n=24.26
(7)左辺 |Dt×I|=0.232213mm
(7)右辺 ls/(2×βs)=1.115mm
(8) (d12+d2s)/f1+d2s/f2+d3s/f3=-0.893831427
(9)左辺 |h×tan(α)|=0.9804mm
(9)右辺 t/2=2.585mm
【0057】
図5は、
図4に示すマクロ光学系31の収差図であり、像面における収差を示している。
図5(a)は球面収差図である。
図5(b)は非点収差図である。
図5(c)は歪曲収差図である。
図5(d)は倍率色収差図である。
図5(e)及び
図5(f)はそれぞれ像高3.13mmの位置におけるコマ収差図、像高4.48mmの位置におけるコマ収差図である。なお、図中の“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。また、以降の実施例でも、同様の収差図を示す。
図5には、諸収差を良好に補正されていることが示されている。
【0058】
[実施例2]
図6は本実施例に係るマクロ光学系32の断面図である。マクロ光学系32は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りASと、正の屈折力を有する第3レンズ群G3からなる。なお、マクロ光学系32は、物体面(面番号s1)の像を像面(面番号s16)に投影する光学系である。
【0059】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、レンズL1とレンズL2を含む。レンズL1は、物体側に凸面を有する平凸レンズである。レンズL2は、物体側に凸面を有する平凸レンズである。第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、レンズL3とレンズL4を含む。レンズL3は、像側に凹面を向けたメニスカスレンズである。レンズL4は、像側に凹面を向けたメニスカスレンズである。第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、レンズL5と接合レンズCL1を含む。レンズL5は、物体側に平面を向けた平凸レンズである。接合レンズCL1は、物体側から順に並んだ、両凸レンズであるレンズL6と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL7と、からなる。
【0060】
マクロ光学系32の各種データは、以下のとおりである。
f1=154mm、f2=-12.5mm、f3=14.54mm、d12=88.62mm、d23=17.89mm、d2s=13.89mm、d3s=4mm、f23=9.45mm、Dt=-2.69%、d=219.63mm、L=119.0698668mm、β=0.074914、第1レンズ群G1の最大光線高=52.46471mm、第2レンズ群G2の最大光線高=6.77301mm、開口数NA=0.0044
【0061】
マクロ光学系32のレンズデータは、以下のとおりである。なお、レンズデータ中のINFは無限大(∞)を示している。また、面番号s1,s10,s16が示す面は、それぞれ物体面、開口絞りASの面、像面である。
マクロ光学系32
s r d n vd
1 INF 45.0000
2 157.0946 13.0000 1.51633 64.14
3 INF 0.0
4 157.0946 13.0000 1.51633 64.14
5 INF 88.6232
6 15.0000 3.5000 1.48749 70.23
7 7.1993 2.0000
8 26.1050 3.5000 1.48749 70.23
9 7.1993 13.8888
10 INF 4.0000
11 INF 4.5000 1.51633 64.14
12 -10.8040 0.2000
13 18.6950 4.0000 1.48749 70.23
14 -10.9230 2.5000 1.72825 28.46
15 -41.1550 21.9100
16 INF
【0062】
マクロ光学系32は、以下で示されるように、条件式(7)を除き、条件式(1)から条件式(9)を満たしている。なお、条件式(7)及び条件式(9)については、I=59.53493mm、ls=8.92mm、βs=4、h=11.4mm、t=5.17mmの条件で計算している。
(1) d/L=1.844547289
(2) tan(α)=-0.08894
(3) (d12+d2s)/f1=0.665649351
(4) (d12+d2s)/d=0.465954545
(5) |f23/(f1×β)|=0.819121077
(6) ν3p-ν3n=41.77
(7)左辺 |Dt×I|=1.488373mm
(7)右辺 ls/(2×βs)=1.115mm
(8) (d12+d2s)/f1+d2s/f2+d3s/f3=-0.720653813
(9)左辺 |h×tan(α)|=1.0032mm
(9)右辺 t/2=2.585mm
【0063】
図7は、
図6に示すマクロ光学系32の収差図であり、像面における収差を示している。
図7(a)は球面収差図である。
図7(b)は非点収差図である。
図7(c)は歪曲収差図である。
図7(d)は倍率色収差図である。
図7(e)及び
図7(f)はそれぞれ像高3.13mmの位置におけるコマ収差図、像高4.48mmの位置におけるコマ収差図である。
図7には、諸収差を良好に補正されていることが示されている。
【0064】
[実施例3]
図8は本実施例に係るマクロ光学系33の断面図である。マクロ光学系33は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りASと、正の屈折力を有する第3レンズ群G3からなる。なお、マクロ光学系33は、物体面(面番号s1)の像を像面(面番号s17)に投影する光学系である。
【0065】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、レンズL1とレンズL2を含む。レンズL1は、物体側に凸面を有する平凸レンズである。レンズL2は、物体側に凸面を有する平凸レンズである。第2レンズ群G2は、像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL3からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、レンズL4と接合レンズCL1と接合レンズCL2を含む。レンズL4は、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズである。接合レンズCL1は、物体側から順に並んだ、物体側に平面を向けた平凹レンズであるレンズL5と、両凸レンズであるレンズL6と、からなる。接合レンズCL2は、物体側から順に並んだ、両凸レンズであるレンズL7と、物体側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL8と、からなる。
【0066】
マクロ光学系33の各種データは、以下のとおりである。
f1=129mm、f2=-9mm、f3=12mm、d12=95.12mm、d23=9.8mm、d2s=6.34mm、d3s=3.47mm、f23=9.2mm、Dt=-1.27%、d=220.01mm、L=118.9333333mm、β=0.075、第1レンズ群G1の最大光線高=47.81166mm、第2レンズ群G2の最大光線高=1.96287mm、開口数NA=0.0053
【0067】
マクロ光学系33のレンズデータは、以下のとおりである。なお、レンズデータ中のINFは無限大(∞)を示している。また、面番号s1,s8,s17が示す面は、それぞれ物体面、開口絞りASの面、像面である。
マクロ光学系33
s r d n vd
1 INF 35.0000
2 128.9891 20.0000 1.51633 64.14
3 INF 1.0000
4 128.9891 20.0000 1.51633 64.14
5 INF 95.1214
6 INF 3.0000 1.48749 70.23
7 4.4276 6.3390
8 INF 3.4781
9 -76.1313 4.0064 1.57135 52.95
10 -9.5614 0.4000
11 INF 2.5000 1.67270 32.10
12 12.8867 4.5000 1.56883 56.36
13 -21.2939 0.4000
14 21.2939 4.5000 1.56883 56.36
15 -12.8867 2.5000 1.67270 32.10
16 INF 17.2648
17 INF
【0068】
マクロ光学系33は、以下で示されるように、条件式(1)から条件式(9)を満たしている。なお、条件式(7)及び条件式(9)については、I=59.46666mm、ls=8.92mm、βs=4、h=11.4mm、t=5.17mmの条件で計算している。
(1) d/L=1.849859865
(2) tan(α)=0.00873
(3) (d12+d2s)/f1=0.786511628
(4) (d12+d2s)/d=0.461181818
(5) |f23/(f1×β)|=0.950904393
(6) ν3p-ν3n=24.26
(7)左辺 |Dt×I|=0.74928mm
(7)右辺 ls/(2×βs)=1.115mm
(8) (d12+d2s)/f1+d2s/f2+d3s/f3=-0.207099483
(9)左辺 |h×tan(α)|=0.057mm
(9)右辺 t/2=2.585mm
【0069】
図9は、
図8に示すマクロ光学系33の収差図であり、像面における収差を示している。
図9(a)は球面収差図である。
図9(b)は非点収差図である。
図9(c)は歪曲収差図である。
図9(d)は倍率色収差図である。
図9(e)及び
図9(f)はそれぞれ像高3.36mmの位置におけるコマ収差図、像高4.03mmの位置におけるコマ収差図である。
図9には、諸収差を良好に補正されていることが示されている。
【0070】
[実施例4]
図10は本実施例に係るマクロ光学系34の断面図である。マクロ光学系34は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りASと、正の屈折力を有する第3レンズ群G3からなる。なお、マクロ光学系34は、物体面(面番号s1)の像を像面(面番号s12)に投影する光学系である。
【0071】
第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けた平凸レンズであるレンズL1からなる。第2レンズ群G2は、物体側に平面を向けた平凹レンズであるレンズL2からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、レンズL3と接合レンズCL1からなる。レンズL3は、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズである。接合レンズCL1は、物体側から順に並んだ、両凸レンズであるレンズL4と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズあるレンズL5と、からなる。
【0072】
マクロ光学系34の各種データは、以下のとおりである。
f1=130mm、f2=-15mm、f3=14mm、d12=77.36mm、d23=18.7mm、d2s=12mm、d3s=6.74mm、f23=9.04mm、Dt=4.08%、d=179.8mm、L=104.2056075mm、β=0.0856、第1レンズ群G1の最大光線高=46.91435mm、第2レンズ群G2の最大光線高=3.0925mm、開口数NA=0.0063
【0073】
マクロ光学系34のレンズデータは、以下のとおりである。なお、レンズデータ中のINFは無限大(∞)を示している。また、面番号s1,s6,s12が示す面は、それぞれ物体面、開口絞りASの面、像面である。
マクロ光学系34
s r d n vd
1 INF 30.0000
2 67.3610 21.8000 1.51633 64.14
3 INF 77.3628
4 INF 2.0000 1.84666 23.78
5 12.7582 11.9990
6 INF 6.7384
7 -12.0245 2.5000 1.66672 48.32
8 -8.0393 0.4000
9 15.4211 5.0000 1.48749 70.23
10 -8.7816 2.0000 1.84666 23.78
11 -18.2080 20.0000
12 INF
【0074】
マクロ光学系34は、以下で示されるように、条件式(1)から条件式(9)を満たしている。なお、条件式(7)及び条件式(9)については、I=52.10280mm、ls=8.92mm、βs=4、h=11.4mm、t=5.17mmの条件で計算している。
(1) d/L=1.725434978
(2) tan(α)=-0.04637
(3) (d12+d2s)/f1=0.687384615
(4) (d12+d2s)/d=0.406181818
(5) |f23/(f1×β)|=0.812365205
(6) ν3p-ν3n=46.45
(7)左辺 |Dt×I|=1.609976mm
(7)右辺 ls/(2×βs)=1.115mm
(8) (d12+d2s)/f1+d2s/f2+d3s/f3=-0.594043956
(9)左辺 |h×tan(α)|=0.6156mm
(9)右辺 t/2=2.585mm
【0075】
図11は、
図10に示すマクロ光学系34の収差図であり、像面における収差を示している。
図11(a)は球面収差図である。
図11(b)は非点収差図である。
図11(c)は歪曲収差図である。
図11(d)は倍率色収差図である。
図11(e)及び
図11(f)はそれぞれ像高3.60mmの位置におけるコマ収差図、像高4.50mmの位置におけるコマ収差図である。
図11には、諸収差を良好に補正されていることが示されている。
【0076】
[実施例5]
図12は本実施例に係るマクロ光学系35の断面図である。マクロ光学系35は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りASと、正の屈折力を有する第3レンズ群G3からなる。なお、マクロ光学系35は、物体面(面番号s1)の像を像面(面番号s12)に投影する光学系である。
【0077】
第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けた平凸レンズであるレンズL1からなる。第2レンズ群G2は、物体側に平面を向けた平凹レンズであるレンズL2からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、レンズL3と接合レンズCL1からなる。レンズL3は、物体側に平面を向けた平凸レンズである。接合レンズCL1は、物体側から順に並んだ、両凸レンズであるレンズL4と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズあるレンズL5と、からなる。
【0078】
マクロ光学系35の各種データは、以下のとおりである。
f1=134mm、f2=-15.95mm、f3=11.5mm、d12=79.59mm、d23=6.72mm、d2s=2.72mm、d3s=4mm、f23=11.53mm、Dt=1.06%、d=180mm、L=83.74564607mm、β=0.106513、第1レンズ群G1の最大光線高=35.17873mm、第2レンズ群G2の最大光線高=2.81192mm、開口数NA=0.0091
【0079】
マクロ光学系35のレンズデータは、以下のとおりである。なお、レンズデータ中のINFは無限大(∞)を示している。また、面番号s1,s6,s12が示す面は、それぞれ物体面、開口絞りASの面、像面である。
マクロ光学系35
s r d n vd
1 INF 35.0000
2 69.3684 26.0000 1.51633 64.14
3 INF 79.5861
4 INF 3.5000 1.48749 70.23
5 7.7760 2.7154
6 INF 4.0000
7 INF 4.5000 1.51633 64.14
8 -8.1173 0.2000
9 49.7571 4.0000 1.48749 70.23
10 -6.2192 2.5000 1.72825 28.46
11 -12.0622 18.0000
12 INF
【0080】
マクロ光学系35は、以下で示されるように、条件式(1)から条件式(9)を満たしている。なお、条件式(7)及び条件式(9)については、I=41.87282mm、ls=8.92mm、βs=4、h=11.4mm、t=5.17mmの条件で計算している。
(1) d/L=2.149365471
(2) tan(α)=-0.06887
(3) (d12+d2s)/f1=0.614253731
(4) (d12+d2s)/d=0.457277778
(5) |f23/(f1×β)|=0.807833561
(6) ν3p-ν3n=41.77
(7)左辺 |Dt×I|=0.35968mm
(7)右辺 ls/(2×βs)=1.115mm
(8) (d12+d2s)/f1+d2s/f2+d3s/f3=0.095894729
(9)左辺 |h×tan(α)|=0.7866mm
(9)右辺 t/2=2.585mm
【0081】
図13は、
図12に示すマクロ光学系35の収差図であり、像面における収差を示している。
図13(a)は球面収差図である。
図13(b)は非点収差図である。
図13(c)は歪曲収差図である。
図13(d)は倍率色収差図である。
図13(e)及び
図13(f)はそれぞれ像高3.13mmの位置におけるコマ収差図、像高4.48mmの位置におけるコマ収差図である。
図13には、諸収差を良好に補正されていることが示されている。
【符号の説明】
【0082】
1 マクロ観察装置
10 光学装置
20 ステージ
21 マルチウェルプレート
22 ウェル
30~35 マクロ光学系
40 ミクロ光学系
50 撮像素子
100 制御装置
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
AS 開口絞り