IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許-トリガー式液体噴出器 図1
  • 特許-トリガー式液体噴出器 図2
  • 特許-トリガー式液体噴出器 図3
  • 特許-トリガー式液体噴出器 図4
  • 特許-トリガー式液体噴出器 図5
  • 特許-トリガー式液体噴出器 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20250418BHJP
【FI】
B65D47/34 100
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021160786
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023050601
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-022209(JP,U)
【文献】特開2007-069116(JP,A)
【文献】特開平08-224509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延びる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部を通じて前記噴出孔に向けて液体を送り出すポンプ部と、
前記縦供給筒部の前方で前後方向に移動可能に設けられ、前記ポンプ部を動作させるトリガー部と、
前記トリガー部を前方に付勢する付勢部材と、を備え、
前記ポンプ部は、前記トリガー部の前後動に伴って内部容積を増減変化させる容積可変部を有し、
前記容積可変部は、弾性変形可能に構成され、前記トリガー部の後方移動時に前記トリガー部を前方に付勢し、
前記容積可変部は、複数のひだ形状が前後方向に並ぶ蛇腹形状とされ、
前記蛇腹形状の少なくとも一部は、連続した螺旋状のひだによって構成されていることを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記容積可変部は、
前後方向の一端側に配置される蛇腹形状の第1周壁と、
前後方向の他端側に配置される蛇腹形状の第2周壁と、を有し、
前記第1周壁と前記第2周壁の各蛇腹形状は、夫々の前記ひだが逆向きに旋回して延びていることを特徴とする請求項に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記噴出器本体は、
前記容器体の内部空間と外部を連通する連通路と、
前記トリガー部が前端部位置にあるときに前記連通路を閉じ、前記トリガー部が後退位置にあるときに前記連通路を開く開閉体と、をさらに備え、
前記開閉体は、前記連通路を閉じる方向に、前記容積可変部によって付勢されていることを特徴とする請求項1または2に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器は、上下方向に延びる縦供給筒部と、縦供給筒部の上端部から前方に延びる射出筒部と、射出筒部の前方に配置された噴出孔を有するノズル部材と、縦供給筒部の前方で前後動可能に設けられたトリガー部と、トリガー部の前後動に伴い噴出孔に向けて液体を送り出すポンプ部と、を備えている(例えば、下記特許文献1参照)。下記特許文献1の構成において、トリガー部は、樹脂ばね等の付勢部材によって前方に向けて付勢されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-82042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のトリガー式液体噴出器は、トリガー部が一の付勢部材の付勢力のみによって前方に付勢されている。このため、トリガー部の操作時に大きな操作荷重が付勢部材と当該付勢部材の係止部に集中し、付勢部部材や係止部にへたり等の劣化が生じることが懸念される。
【0005】
本発明は、付勢部材や、付勢部材の係止部への大荷重の集中を抑制し、部品耐久性の向上を図ることができるトリガー式液体噴出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
本開示の一態様に係るトリガー式液体噴出器は、液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延びる縦供給筒部と、前記縦供給筒部を通じて前記噴出孔に向けて液体を送り出すポンプ部と、前記縦供給筒部の前方で前後方向に移動可能に設けられ、前記ポンプ部を動作させるトリガー部と、前記トリガー部を前方に付勢する付勢部材と、を備え、前記ポンプ部は、前記トリガー部の前後動に伴って内部容積を増減変化させる容積可変部を有し、前記容積可変部は、弾性変形可能に構成され、前記トリガー部の後方移動時に前記トリガー部を前方に付勢し、前記容積可変部は、複数のひだ形状が前後方向に並ぶ蛇腹形状とされ、前記蛇腹形状の少なくとも一部は、連続した螺旋状のひだによって構成されている。
【0007】
本構成では、ポンプ部の容積可変部が弾性変形可能に構成され、トリガー部の後方移動時に容積可変部がトリガー部を前方に付勢する。このため、トリガー部を前方の初期位置に戻す付勢力は、付勢部材による付勢力と容積可変部の弾性による付勢力を合成したものとなる。したがって、例えば、付勢部材の操作反力を小さく設定することができ、付勢部材の小型・軽量化や材質変更等を図ることができる。また、上記の構成により、トリガー部の操作に伴う操作荷重は、付勢部材だけでなく、ポンプ部の容積可変部の弾性よっても受けとめられる。したがって、本構成を採用した場合には、トリガー部の操作時における付勢部材やその係止部への大荷重の入力が抑制される。
【0009】
この場合、容積可変部の蛇腹形状の少なくとも一部が連続した螺旋状のひだによって構成されているため、螺旋状のひだ部分がコイル状のばねとして機能するようになる。このため、容積可変部が容積可変機能を発揮しつつも、充分なばね反力(付勢力)をトリガー部に作用させることができる。したがって、本構成を採用した場合には、トリガー部の操作時に付勢部材に作用する荷重をより低減することができる。
【0010】
前記容積可変部は、前後方向の一端側に配置される蛇腹形状の第1周壁と、前後方向の他端側に配置される蛇腹形状の第2周壁と、を有し、前記第1周壁と前記第2周壁の各蛇腹形状は、夫々の前記ひだが逆向きに旋回して延びるようにしても良い。
【0011】
この場合、第1周壁と第2周壁の各蛇腹形状が伸縮変形すると、各蛇腹形状の旋回したひだの一端側と他端側で伸縮方向に応じた向きの捩じれが生じる。本構成では、第1周壁と第2周壁の各蛇腹形状のひだの旋回する向きが逆向きに設定されているため、第1周壁と第2周壁の突合せ部側の捩じれが相互に相殺される。したがって、本構成を採用した場合には、第1周壁と第2周壁の過剰な捩じれを抑制し、容積可変部の耐久性を高めることができる。
【0012】
前記噴出器本体は、前記容器体の内部空間と外部を連通する連通路と、前記トリガー部が前端部位置にあるときに前記連通路を閉じ、前記トリガー部が後退位置にあるときに前記連通路を開く開閉体と、をさらに備え、前記開閉体は、前記連通路を閉じる方向に、前記容積可変部によって付勢されるようにしても良い。
【0013】
この場合、容積可変部の容積が拡大してトリガー部が前方側に変位すると、開閉体が容積可変部から付勢力を受けて連通路を閉じるようになる。この結果、容器体の内部空間は外部と遮断されることになる。また、この状態からトリガーが後方側に操作されて容積可変部の容積が縮小すると、開閉体が連通路を開くようになる。この結果、容器体の内部空間が外部と連通し、液体の吸い上げに伴って減圧される容器体の内部の圧力が大気圧に近い圧力に戻される。
特に、本構成では、トリガー部が前方側の初期位置にあるときに、開閉部が容積可変部の弾性力を受けて連通路を確実に閉塞する。このため、容器体が倒れたとき等に、容器体の内部の液体が連通路を通して外部に漏出するのを確実に防止することができる。また、容器体に収容する液体が気化し易い液体である場合には、トリガー部を操作しないときに、容器体の内部で気化した液体が連通路を通して外部に放散されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の態様によれば、付勢部材や、付勢部材の係止部への大荷重の集中を抑制し、部品耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
図2】実施形態に係るトリガー式液体噴出器の図1のII部の拡大図である。
図3】実施形態に係るトリガー式液体噴出器の噴出操作時における縦断面図である。
図4】実施形態に係るトリガー式液体噴出器の図3のIV部の拡大図である。
図5】他の実施形態に係るトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
図6】他の実施形態に係るトリガー式液体噴出器の噴出操作時における縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する各実施形態において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、容器体A内に収容される液体を噴出可能とするものである。トリガー式液体噴出器1は、噴出器本体10と、ノズル部材11と、カバー13と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、オレフィン系樹脂等、合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0018】
噴出器本体10は、縦供給筒部20を有する流路部材15と、装着キャップ16と、パイプ17と、トリガー部18と、を備えている。
【0019】
以下、縦供給筒部20の軸線O1に沿う方向(軸方向)を上下方向とし、上下方向に沿って容器体Aの底部(不図示)側を下側、その反対側を上側とする。上下方向から見て、軸線O1に交差する方向を径方向とする。径方向のうち、縦供給筒部20とノズル部材11とが並ぶ方向を前後方向とする。前後方向のうち、縦供給筒部20に対してノズル部材11側を前側、その逆側を後側とする。また、径方向のうち、上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向とする。
【0020】
流路部材15は、パイプ17を通じて容器体Aから吸い上げられた液体が、ノズル部材11に向けて流通する部分である。流路部材15は、縦供給筒部20と、横供給筒部21と、ポンプ部22と、を備えている。
縦供給筒部20は、容器体Aの口部A1内を通じて容器体A内の液体を吸上げる。縦供給筒部20は、上方に位置するものほど径が縮小する多段筒状に形成されている。具体的には、縦供給筒部20は、上方に位置する小径部20aと、段差部20bを介して小径部20aの下方に連なる大径部20cと、を備えている。なお、図示の例において、縦供給筒部20は、外筒と、外筒の内側に配設された内筒と、を備える二重筒構造になっている。
【0021】
大径部20cには、径方向の外側に張り出すフランジ部20dが設けられている。
小径部20a内における上下方向の中間部分には、ボール弁28が設けられている。ボール弁28は、小径部20a内に突出する下弁座部20eに上方から接離する。ボール弁28は、小径部20a内において、縦供給筒部20を通じた容器体A内とポンプ部22との連通及び遮断を切り替える。具体的には、ボール弁28は、下弁座部20eから上方に離れた状態において容器体A内からポンプ部22への縦供給筒部20を通じた液体の流通を許容する。また、ボール弁28は、下弁座部20eに着座した状態において、ポンプ部22から容器体A内への縦供給筒部20を通じた液体の流通を規制する。
【0022】
小径部20a内の上端部(ボール弁28よりも上方に位置する部分)には、切替弁29が設けられている。切替弁29は、LDPE(低密度ポリエチレン)等の弾性変形可能な材料によって一体に形成されている。切替弁29は、下方付勢状態で上方移動可能に小径部20a内に嵌め込まれている。切替弁29は、小径部20a内に突出する上弁座部20fに上方から接離する。切替弁29は、小径部20a内において、縦供給筒部20を通じたポンプ部22と横供給筒部21との連通及び遮断を切り替える。具体的には、切替弁29は、上弁座部20fから上方に離れた状態においてポンプ部22から横供給筒部21への縦供給筒部20を通じた液体の流通を許容する。また、切替弁29は、上弁座部20fに着座した状態において、横供給筒部21からポンプ部22への縦供給筒部20を通じた液体の流通を規制する。
【0023】
小径部20aの前方には、後述する伸縮筒ユニット34が取り付けられる装着凹部20gが設けられている。装着凹部20gは、前方に向けて開口する有底筒状に形成されている。装着凹部20gの周壁部20pにおいて、下端部の一部は、段差部20bに連なっている。装着凹部20gの周壁部20pにおいて、上端部は、縦リブ20hを介して横供給筒部21(後述する射出筒部31)に連なっている。縦リブ20hは、左右方向を厚さ方向として、前後方向に延びている。
【0024】
図2に拡大して示すように、装着凹部20gの周壁部20pのうちの下部領域には、周壁部20pを径方向に貫通する貫通孔40が設けられている。貫通孔40の下部側は、流路部材15の大径部20cに設けられた連通空間41を通して容器体Aの内部空間に連通している。貫通孔40の上部側は、周壁部20pと伸縮筒ユニット34との隙間42を通して外部(大気)と連通している。この隙間42と、貫通孔40、及び連通空間41は、容器体Aの内部空間と外部を連通する連通路43を構成している。
【0025】
横供給筒部21は、縦供給筒部20内を通過した液体がノズル部材11に向けて流れる部分である。横供給筒部21は、縦供給筒部20の上端部から前方に向けて直線状に延びている。横供給筒部21は、射出筒部31と、中継部材32と、を備えている。
射出筒部31は、縦供給筒部20(外筒部分)に一体で形成されている。射出筒部31は、縦供給筒部20の上端部において、上弁座部20fよりも上方に位置する部分から前方に向けて延びている。
中継部材32は、射出筒部31とノズル部材11との間を接続する。中継部材32は、射出筒部31に前方から組み付けられている。
【0026】
ポンプ部22は、トリガー部18の移動に応じて動作する(容器体A内の液体の吸い込みと、吸い込んだ液体の吐出を行う)。ポンプ部22は、容積可変部である伸縮筒ユニット34を備えている。伸縮筒ユニット34は、前後方向に伸縮変形可能な周壁44f,44rを備えている。伸縮筒ユニット34は、周壁44f,44rの前後方向の伸縮動作に応じて内部容積を増減変化させる。伸縮筒ユニット34は、全体が有頂筒状に形成され、前端側に位置される頂部壁には、トリガー部18に回動可能に連結される連結片45が設けられている。なお、本実施形態では、周壁44f,44rが容積可変部における第1周壁と第2周壁を構成している。
伸縮筒ユニット34の後方側に向かって開口する後端部は、装着凹部20gの内周面における底壁部20q側に形成された嵌合部20rに嵌合固定されている。
【0027】
装着凹部20gの底壁部20qには、連通路36が形成されている。連通路36は、伸縮筒ユニット34の内部と、縦供給筒部20の小径部20aのうちの、ボール弁28及び切替弁29間の位置と、を連通している。伸縮筒ユニット34は、延び方向の動作に伴って内部が減圧され、縮み方向の動作に伴って内部が加圧される。
伸縮筒ユニット34のさらなる詳細構造については後に説明する。
【0028】
装着キャップ16は、上下方向に延びる筒状に形成されている。装着キャップ16は、容器体Aのうち口部A1の上端開口縁との間に、フランジ部20dを、パッキンを介して挟み込んだ状態で口部A1に着脱可能に締め付けられる。なお、装着キャップ16と口部A1との固定方法は、ねじ以外の方法(例えば、嵌合等)であってもよい。
【0029】
パイプ17は、大径部20cの内側を通じて縦供給筒部20内に挿入され、小径部20a内に下方から嵌め込まれている。パイプ17は、トリガー式液体噴出器1が容器体Aに装着された状態において、容器体A内を下方に延びている。
【0030】
ノズル部材11は、中継部材32に対して前方から装着されている。ノズル部材11は、後方に開口する有頂筒状に形成されている。ノズル部材11の頂部壁(前壁部)には、前後方向に延びる噴出孔11aが形成されている。噴出孔11aは、ノズル部材11内及び中継部材32内を通じて射出筒部31内に連通している。
【0031】
カバー13は、噴出器本体10のうち、装着キャップ16よりも上方に位置する部分を上方、後方及び側方から取り囲んでいる。カバー13は、噴出器本体10が前方から挿入されることで、噴出器本体10に装着される。
【0032】
トリガー部18は、縦供給筒部20の前方に後方移動可能に設けられている。トリガー部18は、後方側に開口する略U字状、乃至は、略コ字状の断面形状が長手方向(上下方向)に延びる操作アーム18aと、操作アーム18aの左右の側壁から上方に延びる左右一対の支持片18bと、を備えている。左右の支持片18bには、左右方向の外側に突出する枢支軸46が突設されている。一方、中継部材32の左右の側壁には、側面視が略U字状の軸支持片47が設けられている。軸支持片47は、後方側に向かって開口し、その内側の円弧面に左右の支持片18bの枢支軸46が夫々回動可能に受容されている。したがって、トリガー部18の操作アーム18aは、左右の枢支軸46が軸支持片47に受容された状態で、中継部材32に回動可能に支持されている。
【0033】
また、中継部材32の左右の側壁のうちの、軸支持片47よりも前方位置には、下方、かつ後方に向かって円弧状に延びるばね板部48が延設されている。ばね板部48は、左右方向に貫通する円弧状の長孔部を有する。ばね板部48は、中継部材32の本体部分に連結される基端(連結点)を中心として、全体が左右方向と直交する方向に撓み変形(弾性変形)可能とされている。左右の各ばね板部48の下端には、下方に向かって直線的に延びる係合爪49が延設されている。係合爪49は、トリガー部18の操作アーム18aの左右の側壁に設けられたポケット部50に上方側から挿入されている。ポケット部50は、上方側と後方側に開口した凹形状部とされ、係合爪49が上下方向に摺動可能に挿入される。
【0034】
ここで、トリガー部18は、操作アーム18aに後退方向の操作力が入力されると、中継部材32の軸支持片47の内周の円弧中心を中心として後方側(図中半時計周り方向)に回動する。このとき、下端が係合爪49でポケット部50と係合したばね板部48は、中継部材32のうちの軸支持片47よりも前方の基端(連結点)を中心として回動しようとする。このため、トリガー部18とばね板部48の回動中心の位置のずれに起因して、ばね板部48は基端(連結点)を中心として左右方向と直交する方向に撓み変形し、係合爪49はポケット部50内を摺動する。この結果、トリガー部18には、ばね板部48の撓み変形に伴う付勢力が前方側に向かって作用する。
本実施形態においては、ばね板部48がトリガー部18を前方に付勢する付勢部材を構成している。
【0035】
また、操作アーム18aの長手方向(上下方向)の中間部(ポケット部50とほぼ同位置)には、操作アーム18aの前壁から後方に延びる縦長の連結筒51が設けられている。連結筒51の後端部の左右の内面には、左右方向内側に突出する連結軸52が設けられている。左右の連結軸52は、伸縮筒ユニット34の前端部の連結片45に回動可能に連結されている。トリガー部18の操作アーム18aの動作(前後方向の動作)は、連結軸52を通して伸縮筒ユニット34に伝達される。
【0036】
つづいて、ポンプ部22における伸縮筒ユニット34の詳細構造について説明する。
伸縮筒ユニット34は、有頂円筒状の第1筒34Aと、円筒状の第2筒34Bとを備えている。第1筒34Aは、周壁44fを有し、第2筒34Bは、周壁44rを有する。
第1筒34Aは、頂部壁の外側(前側)に前記の連結片45が一体に設けられるとともに、頂部壁の内側(後側)に円筒状の外ガイド筒55が一体に設けられている。外ガイド筒55は、頂部壁の内面(後面)の中心部から後方側に向かって前後方向に延びている。装着凹部20gの底壁部20qの中心部には、円筒状の内ガイド筒60が前方に突出している。内ガイド筒60は、底壁部20qの前面から前後方向に延び、先端部が外ガイド筒55に後方側から摺動可能に挿入されている。第1筒34Aは、外ガイド筒55が内ガイド筒60に案内されることにより、伸縮筒ユニット34の作動時における傾斜が規制される。
また、第1筒34Aの周壁44fの後端部には、第2筒34Bの前端端に嵌合固定される接続筒部44cが設けられている。
【0037】
第1筒34Aの周壁44fの主要部は、複数のひだ形状が前後方向に並ぶ蛇腹形状とされている。第1筒34Aは、周壁44fの蛇腹形状によって前後方向に弾性変形が可能とされている。周壁44fの蛇腹形状は、連続した螺旋状のひだ53(図2図4参照)によって構成されている。周壁44fは、ひだ53による連続した螺旋がコイルばねとして機能する。
なお、本実施形態の場合、周壁44fのひだ53は、左右方向からの断面視にて波形状に形成されている。
【0038】
第2筒34Bは、周壁44rの前端部に、第1筒34Aの接続筒部44cと嵌合固定される接続筒部44dが設けられている。接続筒部44dは、図2図4に示すように、前方側に開口する環状溝56を有し、その環状溝56に第1筒34Aの接続筒部44cが嵌合されている。第1筒34Aと第2筒34Bの接続筒部44c,44d同士は、嵌合状態で相互の気密が維持されている。二つの接続筒部44c,44d同士は、溶着や接着等によって接合するようにしても良い。
【0039】
また、第2筒34Bは、周壁44rの後端部に、装着凹部20gの嵌合部20rに嵌合固定される嵌合筒部44eが設けられている。
第2筒34Bの周壁44rの主要部は、複数のひだ形状が前後方向に並ぶ蛇腹形状とされている。第2筒34Bは、第1筒34Aと同様に、周壁44rの蛇腹形状によって前後方向に弾性変形が可能とされている。周壁44rの蛇腹形状は、第1筒34Aと同様に、連続した螺旋状のひだ53(図2図4参照)によって構成されている。周壁44rのひだ53は、左右方向からの断面視にて波形状に形成されている。ただし、第2筒34Bの周壁44rのひだ53の螺旋の延びる向きは、第1筒34Aの周壁44fのひだ53の螺旋の延びる向きと逆向きとなっている。
第2筒34Bの周壁44rの場合も、ひだ53による連続した螺旋がコイルばねとして機能する。
【0040】
ここで、第1筒34Aと第2筒34Bの各周壁44f,44rのひだ53は、図2図4に示すように、波形形状の屈曲部分が薄肉に形成され、屈曲部分同士を連結する部分(ストレート部分)が肉厚に形成されている。したがって、第1筒34Aと第2筒34Bは、この構成により、周壁44f,44rの圧縮変形時に曲がるべき屈曲部分がより変形し易くなる。
【0041】
また、第2筒34Bの接続筒部44dの後面には、周壁44rよりも径方向外側位置にて、後方側に向かって突出する複数の突起部57が設けられている。隣接する突起部57の間には隙間が設けられている。各突起部57の先端部は、嵌合筒部44eの外周縁部の前面70に対向している。突起部57は、伸縮筒ユニット34を装着凹部20gに組み付ける際に、嵌合筒部44eを装着凹部20g側の嵌合部20rに押し込むための加重を嵌合筒部44eに直接伝達する。
即ち、伸縮筒ユニット34の組付け時に、第2筒34Bが装着凹部20g内に挿入され、その状態で第1筒34Aから第2筒34Bの接続筒部44dに軸方向の押し付け荷重が入力されると、第2筒34Bの周壁44rが圧縮方向に変形して突起部57の先端部が嵌合筒部44eの前面70に当接する。この状態でさらに押し込み荷重が入力されると、突起部57から嵌合筒部44eに直接荷重が伝達されるようになる。この結果、伸縮筒ユニット34の嵌合筒部44eが装着凹部20g側の嵌合部20rに容易に嵌合固定されることになる。
【0042】
また、図2図4に示すように、装着凹部20gの前端部寄りの内周面には、径方向内側に膨出する環状の内側膨出部58が設けられている。これに対し、第2筒34Bの接続筒部44dの外周面には、径方向外側に膨出する環状の外側膨出部59が設けられている。接続筒部44dの外側膨出部59は、伸縮筒ユニット34が装着凹部20g内に組付けられた後に、装着凹部20g内の内側膨出部58よりも後方側に位置される。外側膨出部59と内側膨出部58とは、径方向で相互に重なる膨出高さとされている。外側膨出部59は、第2筒34Bの周壁44rの弾発力を受けて内側膨出部58に後方側から当接可能とされている。外側膨出部59は、トリガー部18から伸縮筒ユニット34に後退方向の操作荷重を受けない初期状態では、周壁44rの弾発力を受けて内側膨出部58に当接している(図2参照)。一方、外側膨出部59は、トリガー部18から伸縮筒ユニット34に後退方向の操作荷重を受けると、周壁44rの圧縮変形に伴って内側膨出部58から離間する(図4参照)。これにより、外側膨出部59と内側膨出部58の間に空気の流通が可能な隙間ができる。
本実施形態では、第2筒34Bの外側膨出部59が連通路43を開閉する開閉体を構成している。開閉体である外側膨出部59は、伸縮筒ユニット34(可変容積部)の周壁44rの弾性によって連通路43を閉じる方向に付勢されている。なお、トリガー部18の引き込み操作が解除される際には、ばね板部48がトリガー部18を介して伸縮筒ユニット34を前方に引っ張るように作用するため、ばね板部48の付勢力も外側膨出部59が連通路43を閉じる力として寄与する。
【0043】
次に、上述のしたトリガー式液体噴出器1を容器体Aに装着して使用する場合について説明する。
なお、トリガー部18の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部20内に液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
【0044】
トリガー部18が後方に操作されない初期状態では、図1図2に示すように、ポンプ部22の伸縮筒ユニット34は、周壁44f,44rが前後方向に延び、内部容積が最大になっている。この状態では、第2筒34Bの開閉体である外側膨出部59は、装着凹部20gの内側膨出部58に密着している。これにより連通路43は閉じられている。
【0045】
この状態からトリガー部18の操作アーム18aが後方に引かれると、図3に示すように、操作アーム18aが上端側の支持部を起点として後方側に移動する。このとき、付勢部材であるばね板部48が弾性変形し、操作アーム18aに前方側に向く付勢力を作用させる。一方、操作アーム18aが後方側に移動すると、図3図4に示すように、操作アーム18aに連結された伸縮筒ユニット34の前端部(連結片45)が後方側に押される。これにより、伸縮筒ユニット34の周壁44f,44rが軸長を縮めるように弾性変形する。このとき、伸縮筒ユニット34の周壁44f,44rから操作アーム18aには、操作アーム18aの後退変位に応じた反力(付勢力)が作用する。
したがって、トリガー部18の操作時には、ばね板部48の付勢力と、伸縮筒ユニット34の周壁44f,44rの弾性反力とが合成された力で操作アーム18aが前方側に付勢される。
【0046】
また、伸縮筒ユニット34の周壁44rが縮み側に弾性変形すると、第2筒34Bの開閉体である外側膨出部59が、装着凹部20gの内側膨出部58から後方側に離れる。これにより、連通路43が外部に開放され、容器体Aの内部空間が外部(外気)と連通するようになる。
【0047】
トリガー部18の後方移動に伴って伸縮筒ユニット34の周壁44f,44rが縮み方向に変形すると、その変形に伴って伸縮筒ユニット34内の液体が加圧される。これにより、伸縮筒ユニット34内の液体が連通路36を通じて縦供給筒部20(小径部20a)内に供給される。すると、小径部20aに供給された液体の圧力により、ボール弁28が下弁座部20eに向けて押し付けられることで、容器体A内と縦供給筒部20内との連通が遮断される。その結果、小径部20a内の液体は、縦供給筒部20を上方に向けて流通する。
【0048】
小径部20a内に液体が流入することで、小径部20a内のうちボール弁28と切替弁29とで囲まれた空間が加圧される。すると、切替弁29が上方に押し上げられることで、切替弁29が上弁座部20fから離間する。これにより、小径部20a内と射出筒部31内とが連通することで、小径部20a内の液体が射出筒部31に向けて流通する。射出筒部31内を流通する液体は、中継部材32を通じてノズル部材11に到達し、噴出孔11aを通じて噴出される。
【0049】
一方、トリガー部18の操作を解除すると、ばね板部48と、伸縮筒ユニット34の周壁44f,44rの復元力によって操作アーム18aが前方に移動する。これに伴い、伸縮筒ユニット34の内部が減圧される。この結果、ボール弁28が下弁座部20eから浮き上がり、伸縮筒ユニット34の内部が小径部20a内を通じて容器体Aの内部と連通する。一方、切替弁29は、上弁座部20fに着座した状態を維持することで、小径部20a内を通じた伸縮筒ユニット34と射出筒部31内との連通が遮断される。この結果、容器体A内の液体が縦供給筒部20内に吸い上げられる。縦供給筒部20内に流入した液体は、連通路36を通じて伸縮筒ユニット34内に導入されることで、次の噴出操作に備えることができる。
なお、トリガー部18の操作解除に伴って容器体A内の液体が縦供給筒部20内に吸い上げられると、連通路43を通して外気が容器体Aの内部に流入する。これにより、容器体Aの内部が負圧になるのが防止される。
【0050】
以上のように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、ポンプ部22の伸縮筒ユニット34(容積可変部)が弾性変形可能に構成され、トリガー部18の後方移動時に伸縮筒ユニット34がトリガー部18を前方に付勢する。このため、トリガー部18を前方の初期位置に戻す付勢力は、ばね板部48(付勢部材)の付勢力と伸縮筒ユニット34(容積可変部)の弾性による付勢力を合成したものとなる。したがって、本実施形態のトリガー式液体噴出器1を採用した場合には、ばね板部48の操作反力を小さく設定することができ、ばね板部48の小型・軽量化を図ることができる。
また、上記の構成により、トリガー部18の操作に伴う操作荷重は、ばね板部48(付勢部材)だけでなく、ポンプ部22の伸縮筒ユニット34の弾性よっても受けとめられる。したがって、本実施形態のトリガー式液体噴出器1を採用した場合には、トリガー部18の操作時におけるばね板部48やその係止部(係合爪49等)への大荷重の入力が抑制され、部品の耐久性が向上する。
【0051】
そして、本構成を採用した場合には、ばね板部48(付勢部材)のへたりを抑制できるので、ばね板部48(付勢部材)としてオレフィン系樹脂等の低コストで成形性に優れた材料を用いることができる。そのため、例えば、POM(ポリアセタール)等の硬質な樹脂材料をばね板部48(付勢部材)に用いる場合に比べ、材料選択の自由度を向上させ、低コストで形状精度に優れたトリガー式液体噴出器1を提供することができる。また、本実施形態のように、付勢部材にもオレフィン系樹脂を採用することで、トリガー式液体噴出器1の全体をオレフィン系樹脂で形成することができ、環境負荷の低減を図ることができる。
【0052】
さらに、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、ポンプ部22に伸縮筒ユニット34(容積可変部)を採用しているため、シリンダ内をピストンが摺動するタイプのポンプに比較して摺動部の摺動性を維持するため潤滑剤の使用が不要になる、という利点もある。
【0053】
また、本実施形態のトリガー式液体噴出器1では、伸縮筒ユニット34の周壁44f,44rが蛇腹形状とされ、蛇腹形状が連続した螺旋状のひだ53によって構成されている。このため、伸縮筒ユニット34の周壁44f,44rの螺旋状のひだ部分がコイル状のばねとして機能するようになる。したがって、本構成を採用した場合には、伸縮筒ユニット34が容積可変機能を発揮しつつも、充分なばね反力(付勢力)をトリガー部18に作用させることが可能になる。よって、本構成を作用した場合には、トリガー部18の操作時にばね板部48やその係止部(係合爪49)に作用する荷重をより低減することができる。
さらに、本構成では、伸縮筒ユニット34の周壁44f,44rが螺旋状の連続したひだ53によって構成されているため、第1筒34Aと第2筒34Bを夫々型成形によって形成するときに、型を回転させながら成形体から抜くことにより、容易に型抜きを行うことができる。したがって、本構成を採用した場合には、伸縮筒ユニット34の成形が容易になる。
なお、本実施形態では、周壁44f,44rのほぼ全域が螺旋状のひだ53によって構成されているが、螺旋状のひだ53は周壁44f,44rの一部にのみ形成するようにしても良い。
【0054】
また、本実施形態のトリガー式液体噴出器1の場合、第1筒34Aの周壁44fに形成される蛇腹形状のひだ53と、第2筒34Bの周壁44rに形成される蛇腹形状のひだ53は、螺旋の旋回方向が逆向きに設定されている。トリガー部18の操作に伴って第1筒34Aと第2筒34Bの周壁44f,44rが伸縮変形すると、各周壁44f,44rの螺旋状に旋回したひだ53の螺旋方向の一端側と他端側で伸縮方向に応じた捩じれが発生し易くなる。しかし、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、上記のように各周壁44f,44rのひだ53の旋回する向きが逆向きに設定されているため、二つの周壁44f,44rの突合せ部側の捩じれが相互に相殺される。したがって、本構成を採用した場合には、周壁44f,44rの過剰な捩じれを抑制し、伸縮筒ユニット34の耐久性を高めることができる。また、第2筒34Bの嵌合筒部44eに周壁44f,44rの捩じれに伴う回転負荷が作用しにくくなるため、装着凹部20gからの伸縮筒ユニット34の外れや、嵌合筒部44e周りからの液漏れ等も未然に防止することができる。
【0055】
さらに、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、容器体Aの内部空間と外部を連通する連通路43の途中に、伸縮筒ユニット34の第2筒34Bが配置され、第2筒34Bの接続筒部44dに形成された外側膨出部59がトリガー部18の操作位置に応じて装着凹部20g側の内側膨出部58と離接する。そして、開閉体である外側膨出部59は、連通路43を閉じる方向に、伸縮筒ユニット34の周壁44rによって付勢されている。このため、トリガー部18が前端部まで変位すると、接続筒部44dが伸縮筒ユニット34の周壁44rから付勢力を受けて接続筒部44dの外側膨出部59が内側膨出部58と当接し、連通路43を確実に閉塞するようになる。
したがって、容器体Aが倒れたとき等に、容器体Aの内部の液体が連通路43を通して外部に漏出するのを確実に防止することができる。また、容器体Aに収容する液体が気化し易い液体である場合には、トリガー部18を操作しないときに、容器体Aの内部で気化した液体が連通路43を通して外部に放散されるのを防止することができる。
【0056】
つづいて、図5図6に示す他の実施形態について説明する。図5は、トリガー部が操作されない初期状態を示し、図6は、トリガー部が後方に操作されたときの状態を示している。
図5図6に示す実施形態は、ポンプ部の伸縮筒ユニット134の構造のみが上記の実施形態と異なっている。本実施形態の伸縮筒ユニット134は、全体が単一部品によって構成されている。
【0057】
即ち、本実施形態の伸縮筒ユニット134は全体が有頂筒状に形成されている。伸縮筒ユニット134は、前周壁144fと後周壁144rが中間フランジ80を介して一体に接続されている。前周壁144fと後周壁144rは、いずれも螺旋状に連続して延びるひだ53によって構成されている。前周壁144fの前端部を閉塞する頂部壁の前面側には連結片45が一体に形成され、頂部壁の後面側に外ガイド筒55が一体に形成されている。そして、後周壁144rの後部には、装着凹部20gの嵌合部20rに嵌合固定される嵌合筒部144eが一体に形成されている。
【0058】
中間フランジ80は、前周壁144f及び後周壁144rよりも径方向外側に張り出し、その外周面には、装着凹部20g側の内側膨出部58に対して離接可能な外側膨出部59が形成されている。また、中間フランジ80の後面には、嵌合筒部144eの前面70に対して当接可能な突起部57が突設されている。
【0059】
本実施形態のトリガー式液体噴出器は、基本構成は上記の実施形態と同様であるため、上記の実施形態とほぼ同様の基本的な効果を得ることができる。ただし、本実施形態のトリガー式液体噴出器は、伸縮筒ユニット134の全体が単一部品によって構成されているため、部品点数を削減して部品の組付け工数を減らすことができる、というさらなる利点を有する。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、トリガー部18が上端部を支点として回動可能な構成について説明したが、この構成に限らない。トリガー部18は、前後方向に移動可能な構成であれば、スライド可能に構成されていても良い。
上述した実施形態では、トリガー部18を付勢する付勢部材として円弧状のばね板部48が用いられているが、この構成に限らない。付勢部材は、トリガー部18を前方に付勢し得るものであれば、形状や材質はどのようなものであっても良い。
上述した実施形態では、ポンプ部22の容積可変部として、螺旋状に連続して延びるひだ53が周壁44f,44r(144f,144r)に設けられた伸縮筒ユニット34(134)が用いられているが、この構成に限らない。容積可変部は、弾性変形可能で、容積の減少とともに弾性反力を蓄積し得るものであれば、どのような形状であっても良い。例えば、容積可変部は風船状のものであっても良い。ただし、この場合、容積可変部の変形を規制するためにガイド部を追加することが望ましい。
【符号の説明】
【0061】
1:トリガー式液体噴出器
10:噴出器本体
11:ノズル部材
11a:噴出孔
18:トリガー部
20:縦供給筒部
22:ポンプ部
34,134:伸縮筒ユニット(可変容積部)
43:連通路
44f:周壁(第1周壁)
44r:周壁(第2周壁)
48:ばね板部(付勢部材)
53:ひだ
59:外側膨出部(開閉体)
A:容器体
図1
図2
図3
図4
図5
図6