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特許7668737生物学的および生物工学的用途向けに最適化された受容スプライス部位モジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】生物学的および生物工学的用途向けに最適化された受容スプライス部位モジュール
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20250418BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20250418BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/864 100Z
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021534372
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2019086454
(87)【国際公開番号】W WO2020127831
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】18214415.4
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520128255
【氏名又は名称】ビゲネロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】スタイリアノス ミヒャラキス
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ビエル
(72)【発明者】
【氏名】エルビール ベツィロビク
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-000120(JP,A)
【文献】特表2016-516424(JP,A)
【文献】特表2005-518211(JP,A)
【文献】特表2002-539797(JP,A)
【文献】特表2002-539764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレmRNAトランススプライシング分子であって、
(i)配列番号3または配列番号4の配列と少なくとも90%同一である配列を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)であって、さらに以下を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)、
(ia)以下を含むピリミジン域(pyrimidine tract)、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;および
(iac)ここで前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の前記5~25ヌクレオチドはTTTTTTまたはTCTTTTの配列を含む;および
(ib)受容スプライス部位(acceptor splice site)、
(iba)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は、5’から3’にCAGGの配列を含み;
(ii)目的のヌクレオチド配列ここで前記受容スプライス領域(acceptor splice region)は、前記目的のヌクレオチド配列3’側または5’側に位置している;および
(iii)前記目的の核酸配列3’側または5’側に位置するプレmRNAを標的とする結合ドメイン、
を含む、プレmRNAトランススプライシング分子。
【請求項2】
スペーサー配列、ここで該スペーサーは、結合ドメインと前記受容スプライス領域(acceptor splice region)との間に位置している、
を含む、請求項1に記載のプレmRNAトランススプライシング分子。
【請求項3】
前記受容スプライス領域(acceptor splice region)は、前記目的のヌクレオチド配列5’側に位置しており、前記結合ドメインは前記受容スプライス領域(acceptor splice region)の5’側に位置している、請求項1または2に記載のプレmRNAトランススプライシング分子。
【請求項4】
終止配列、好ましくはポリA配列をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプレmRNAトランススプライシング分子。
【請求項5】
前記受容スプライス領域(acceptor splice region)は、配列番号3または4の配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプレmRNAトランススプライシング分子。
【請求項6】
前記受容スプライス領域(acceptor splice region)は、
(a)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有する前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;または
(b)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有する前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプレmRNAトランススプライシング分子。
【請求項7】
プロモーターおよび請求項1~6のいずれか一項に記載のプレmRNAトランススプライシング分子をコードする配列を含む、DNA分子。
【請求項8】
核酸配列を作製する方法であって、当該方法は、
(A)一つまたは複数の供与スプライス部位(donor splice site)配列を含む第一の核酸配列を提供する工程;
(B)以下を含む第二の核酸配列を提供する工程;
(i)配列番号3または配列番号4の配列と少なくとも90%同一である配列を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)配列であって、さらに以下を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)配列、
(ia)以下を含むピリミジン域(pyrimidine tract)、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;および
(iac)ここで前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の前記5~25ヌクレオチドはTTTTTTまたはTCTTTTの配列を含む;および
(ib)受容スプライス部位(acceptor splice site)、
(iba)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は、5’から3’にCAGGの配列を含み;
(C)前記一つまたは複数の供与スプライス部位(donor splice site)配列で前記第一の核酸配列を切断し、前記受容スプライス部位(acceptor splice site)の前記第二の核酸配列を切断する工程、
(D)切断された前記第一の核酸配列を切断された前記第二の核酸配列に連結し、それによって核酸配列を得る工程、
を含む、方法。
【請求項9】
前記第一の核酸配列は目的のヌクレオチド配列さらに含み、ここで該目的のヌクレオチド配列の少なくとも一部分は、前記供与スプライス部位(donor splice site)の5’側に位置しており、ここで前記第二の核酸配列は目的のヌクレオチド配列さらに含み、ここで該目的のヌクレオチド配列の少なくとも一部分は、前記受容スプライス領域(acceptor splice region)の3’側に位置している、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第一および前記第二の核酸配列は宿主細胞に導入され、好ましくは前記第一および前記第二の核酸配列は組換え核酸配列である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
目的の核酸配列を作製する方法であって、当該方法は、
(A)プレmRNAトランススプライシング分子配列を含む第一の核酸配列または前記プレmRNAトランススプライシング分子をコードする核酸配列を宿主細胞に導入する工程であって、ここで前記第一のプレmRNAトランススプライシング分子は5’から3’に以下を含む工程、
(a)目的のヌクレオチド酸配列の5’部分;
(b)供与スプライス部位(donor splice site);および
(c)第一の結合ドメイン;および
(d)終止配列、好ましくはポリA配列、および
(B)プレmRNAトランススプライシング分子配列を含む第二の核酸配列または前記プレmRNAトランススプライシング分子をコードする核酸配列を宿主細胞に導入する工程であって、ここで前記第二のプレmRNAトランススプライシング分子は5’から3’に以下を含む工程;
(i)前記第一の核酸配列の前記第一の標的ドメインに相補的な第二の結合ドメイン;
(ii)配列番号3または配列番号4の配列と少なくとも90%同一である配列を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)配列であって、さらに以下を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)配列;
(iia)以下を含むピリミジン域(pyrimidine tract)、
(iiaa)5~25ヌクレオチド;
(iiab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;および
(iiac)ここで前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の前記5~25ヌクレオチドはTTTTTTまたはTCTTTTの配列を含む;および
(iib)受容スプライス部位(acceptor splice site)、
(iiba)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)はピリミジン域(pyrimidine tract)の3’側に位置しており;および
(iibb)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は、5’から3’にAGGの配列を含
(iii)前記目的のヌクレオチド配列の3’部分、および
(iv)終止配列、好ましくはポリA配列、
(C)前記供与スプライス部位(donor splice site)配列で前記第一の核酸配列を切断し、前記受容スプライス部位(acceptor splice site)の前記第二の核酸配列を切断する工程、
(D)前記目的のヌクレオチド配列の5’部分を含む切断された前記第一の核酸配列を、前記目的のヌクレオチド配列の3’部分を含む切断された前記第二の核酸配列に連結し、それによって前記目的の核酸配列を得る工程、
を含む、方法。
【請求項12】
少なくとも2つの逆方向末端反復を含み、これら2つの逆方向末端反復間に核酸配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであって、ここで前記核酸配列は5’から3’に、
(i)プロモーター;
(ii)結合ドメイン;
(iii)配列番号3または配列番号4の配列と少なくとも90%同一である配列を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)配列であって、さらに以下を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)配列
(a)以下を含むピリミジン域(pyrimidine tract)、
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;および
ac)ここで前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の前記5~25ヌクレオチドはTTTTTTまたはTCTTTTの配列を含む;
(b)受容スプライス部位(acceptor splice site)、
(ba)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)はピリミジン域(pyrimidine tract)の3’側に位置しており;および、
(bb)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は、5’から3’にCAGGの配列を含み;
(iv)目的のヌクレオチド配列および
(v)ポリA配列
を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター。
【請求項13】
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系であって、
(I)少なくとも2つの逆方向末端反復を含み、これら2つの逆方向末端反復間に核酸配列を含む第一のAAVベクターであって、ここで前記これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列が5’から3’に、
(a)プロモーター、
(b)目的のポリペプチドのN末端部分をコードするヌクレオチド配列;
(c)供与スプライス部位(donor splice site);
(d)第一の結合ドメイン;および
(e)終止配列、好ましくはポリA配列;
を含む、第一のAAVベクター、
(II)少なくとも2つの逆方向末端反復を含み、これら2つの逆方向末端反復間に核酸配列を含む第二のAAVベクターであって、ここで前記これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列が5’から3’に
(i)プロモーター;
(ii)前記第一のAAVベクターの前記第一の結合ドメインに相補的な、第二の結合ドメイン;
(iii)配列番号3または配列番号4の配列と少なくとも90%同一である配列を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)配列であって、さらに以下を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)配列、
(a)以下を含むピリミジン域(pyrimidine tract)、
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;および
(ac)ここで前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の前記5~25ヌクレオチドはTTTTTTまたはTCTTTTの配列を含む;および
(b)受容スプライス部位(acceptor splice site)、
(ba)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)はピリミジン域(pyrimidine tract)の3’側に位置しており;および
(bb)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は、5’から3’にAGGの配列を含
(iv)前記目的のポリペプチドのC末端部分をコードするヌクレオチド配列;
(iva)ここで前記目的のポリペプチドのC末端部分および前記目的のポリペプチドのN末端部分は前記目的のポリペプチドを再構成する;および
(v)終止配列、好ましくはポリA配列
を含む、第二のAAVベクター、
を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系。
【請求項14】
前記ポリペプチドは全長ポリペプチドであって、前記第一のAAVベクターは目的の全長ポリペプチドのN末端部分を含み、前記第二のAAVベクターは前記目的のポリペプチドのC末端部分を含む、請求項13に記載のAAVベクター系。
【請求項15】
核酸分子であって、
(i)配列番号3または配列番号4の配列と少なくとも90%同一である配列を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)配列であって、さらに以下を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)配列、
(ia)以下を含むピリミジン域(pyrimidine tract)、
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ac)ここで前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の前記5~25ヌクレオチドはTTTTTTまたはTCTTTTの配列を含む;
(ib)受容スプライス部位(acceptor splice site)、
(ba)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の3’側に位置しており;および
(bb)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は、5’から3’にCAGGの配列を含み;および、
(ii)目的のヌクレオチド配列、ここで該目的のヌクレオチド配列は、
(iia)前記受容スプライス領域(acceptor splice region)の3’側または5’側に位置している、
を含む、核酸分子。
【請求項16】
(a)前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の前記5~25ヌクレオチドはTTTTTTまたはTCTTTTの配列を含む;
(b)前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は、CAGGの配列を有する;
(c)前記受容スプライス領域(acceptor splice region)は、配列番号3または4の配列を含む;および/または
(d)前記第一のAAVベクターは、前記供与スプライス部位(donor splice site)と第一の結合ドメインとの間にスペーサー配列をさらに含む、および/または前記第二のAAVベクターは、前記第二の結合ドメインと前記受容スプライス部位(acceptor splice site)との間にスペーサー配列をさらに含む、
請求項13または1記載のAAVベクター系。
【請求項17】
請求項1~6のいずれか一項に記載のプレmRNAトランススプライシング分子、請求項12に記載のアデノ随伴ウイルスベクター、または請求項13、1および16のいずれか一項に記載のアデノ随伴ウイルスベクター系を含む、医薬組成物。
【請求項18】
(a)前記核酸配列が、前記結合ドメインと前記受容スプライス領域(acceptor splice region)との間に局在しているスペーサー配列を含み;および/または
(b)前記受容スプライス領域(acceptor splice region)が、配列番号3または4の配列を含む、
請求項12に記載のAAVベクター。
【請求項19】
記第一のプレmRNAトランススプライシング分子は、前記供与スプライス部位(donor splice site)と前記第一の結合ドメインとの間にスペーサーをさらに含む、および/または前記第二のプレmRNAトランススプライシング分子は、前記第二の結合ドメインと前記受容スプライス部位(acceptor splice site)との間にスペーサーをさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記受容スプライス領域(acceptor splice region)が、配列番号3または4の配列を含む、請求項8~11および19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
プレmRNAトランススプライシング分子であって、
(i)配列番号3または配列番号4の配列と少なくとも90%同一である配列を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)であって、さらに以下を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)、
(ia)以下を含むピリミジン域(pyrimidine tract)、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;および
(iac)ここで前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の前記5~25ヌクレオチドはTTTTTTまたはTCTTTTの配列を含む;および
(iad)前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の5’側の7ヌクレオチドはCAACGAGの配列を有する;および
(ib)受容スプライス部位(acceptor splice site)、
(iba)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は、5’から3’にCAGGの配列を含み;
(ii)目的のヌクレオチド配列ここで前記受容スプライス領域(acceptor splice region)は、前記目的のヌクレオチド配列3’側または5’側に位置している;および
(iii)前記目的の核酸配列3’側または5’側に位置するプレmRNAを標的とする結合ドメイン、
を含む、プレmRNAトランススプライシング分子。
【請求項22】
少なくとも2つの逆方向末端反復を含み、これら2つの逆方向末端反復間に核酸配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであって、ここで前記核酸配列は5’から3’に、
(i)プロモーター;
(ii)結合ドメイン;
(iii)配列番号3または配列番号4の配列と少なくとも90%同一である配列を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)配列であって、さらに以下を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)配列
(a)以下を含むピリミジン域(pyrimidine tract)、
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
ac)ここで前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の前記5~25ヌクレオチドはTTTTTTまたはTCTTTTの配列を含む;
ad)前記ピリミジン域(pyrimidine tract)の5’側の7ヌクレオチドはCAACGAGの配列を有する;および
(b)受容スプライス部位(acceptor splice site)、
(ba)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)はピリミジン域(pyrimidine tract)の3’側に位置しており;および、
(bb)ここで前記受容スプライス部位(acceptor splice site)は、5’から3’にCAGGの配列を含み;
(iv)目的のヌクレオチド配列および
(v)ポリA配列
を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の受容スプライス領域(novel acceptor splice region)、ならびにその使用および用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの真核生物遺伝子はノンコーディングイントロンを含んでいる。「スプライシング」と呼ばれるプロセスで翻訳可能な成熟メッセンジャーRNA(mRNA)を生成するには、これらを前駆体メッセンジャーRNA(プレmRNA)から除去する必要がある。スプライシングは、5つの保存された核内低分子リボ核タンパク質(snRNP)、すなわちU1、U2、U4、U5、およびU6 snRNPからなる大きなリボ核タンパク質複合体(large ribonucleoprotein complex)、スプライソソーム、ならびに300超のタンパク質を介して媒介される。スプライソソームは、非常に動的なプロセスで各イントロンの構築および分解を行う。この目的のために、特定のスプライシング配列を認識する必要があるため、エクソンとイントロンの境界は、mRNAスプライシングの調節に関与するリボ核タンパク質の結合位置として機能する異なる配列モチーフによって明確化される。
【0003】
最も関連性の高いスプライスモチーフは、エクソン-イントロン境界を明確化する、標準的な供与スプライス部位および受容スプライス部位である。5’供与スプライス部位(DSS)は、エクソンの3’末端および下流のイントロンの5’末端にあり、3’受容スプライス部位(ASS)は、イントロンの3’末端および下流のエクソンの5’末端にある。機能的な受容スプライス部位(ASS)は、通常約50bpの範囲に位置する3つの異なる配列(element)、分岐点(BP)、ポリピリミジン域(PPT)、および標準的なASS配列を必要とする。
【0004】
いわゆるGT-AGスプライシングは、哺乳類のmRNAスプライシングの最も一般的なタイプであり、DNAレベルでイントロンの最初の2ヌクレオチドと最後の2ヌクレオチドを明確化する。したがって、標準的なDSS配列の一部は、DNA配列のグアニンおよびそれに続くチミン(GT)である(RNA配列のGUに対応する)、5’イントロン配列の最初の2つの塩基、ならびにアデニンおよびそれに続くグアニン(AG)である、最後の2塩基(コンセンサスASSの最も保存された部分を表す)を表す。GT-AGヌクレオチドは、効果的なスプライス反応に不可欠であり、それらの破損または置換は機能的なスプライス部位の損失につながる。
【0005】
各スプライシングサイクルは、2つのエステル交換反応で構成される。分岐点として知られる第一の反応では、分岐点ヌクレオシド(通常はアデノシン)が5’エクソン-イントロン接合部のリン酸結合を攻撃する。これにより、イントロンのラリアット-3’エクソン中間体(スプライス部位の下流のエクソンおよびイントロンを含む)および遊離の5’エクソン末端(スプライス部位の上流のエクソンを含む)が形成される。エクソンライゲーションと呼ばれる第二の反応では、5’エクソンの遊離端がイントロン-3’エクソン接合部のリン酸を攻撃し、2つのエクソンのライゲーションおよびイントロンラリアット構造の放出を引き起こす。スプライシング反応は最大10個のヌクレオチドで構成されるプレmRNAの補助的なシス作用性スプライシング調節エレメントによって制御される。それらは、その機能および位置によって、エクソン内スプライシング促進配列(ESE)、エクソン内スプライシング促進配列(ESS)、イントロン内スプライシング促進配列(ISE)、およびイントロン内スプライシング抑制配列(ISS)に分類することができる。これらのエレメントは、エクソン包含の促進または防止のためにトランス作用タンパク質を動員することができるため、選択的スプライシングにおいて重要な役割を果たすことが提唱されている。
【0006】
特定のエクソンのスプライシング効率は、供与スプライス部位および受容スプライス部位の強度に依存すると予想される。このDSSまたはASSの強度は、GTまたはAGの上流または下流のイントロン配列エレメントまたはエクソン配列エレメントに依存する。機能的なDSSの強度は、標準のin silico予測ソフトウェアを使用して確実に予測できる(たとえば、NNSplice: http://www.fruitfly.org/seq_tools/splice.htmlまたはHuman Splice Finder: http://www.umd.be/HSF3/)。対照的に、その複雑さのために、ASS強度のin silico予測は、信頼性の低い結果につながる(たとえば、Koller et al., (2011) “A novel screening system improves genetic correction by internal exon replacement.” Nucleic acids research. 39:e108; Lorain et al., (2013) “Dystrophin rescue by trans-splicing: a strategy for DMD genotypes not eligible for exon skipping approaches.” Nucleic acids research. 41:8391-8402)。したがって、実際のASS強度は、実験的に検証する必要がある。多くの生物学的、生物工学的および治療的アプリケーションは、古典的なGT-AG mRNAスプライシングの効率に依存しており、したがって、強力なスプライス部位の使用に依存している。
【0007】
ノンコーディングイントロンを除去することによってプレmRNAから翻訳可能な成熟mRNAを生成する通常のシススプライシングイベントとは別に、スプライシングはトランスでも発生し、それによって2つの別々のプレmRNA分子を組み合わせて非共線性(non-co-linear)キメラRNAを作成する(Lei et al., (2016) “Evolutionary insights into RNA trans-splicing in vertebrates”, Genome Biol. Evol. 8(3):562-577)。このプロセスは、トリパノソーマで最初に見出された。それ以来、トランススプライシングイベントは、マウス(Hirano M and Noda T., (2004) “Genomic organization of the mouse Msh4 gene producing bicistronic chimeric and antisense mRNA”, Gene 342: 165-177)やヒト細胞(Chuang et al., (2018) “Integrative transcriptome sequencing reveals extensive alternative trans-splicing and cis-back splicing in human cells”. Nucleic Acids Research, 46(7): 3671-3691)を含む多くの種でも確認されているが、トランススプライシングは高等脊椎動物でのみ発生する頻度は低いようである。
【0008】
遺伝子治療のためにトランススプライシングを利用する試みがなされてきた。ウイルスベクターは遺伝子治療の魅力的な媒体であるが、多くの場合、負荷容量が制限されているため、交換できる遺伝子には制限がある。たとえば、アデノ随伴ウイルスベクターは、最大約5.0kbのパッケージング能力を有し、これにより、約4kb以下の導入遺伝子が可能になる。トランススプライシング、すなわち物理的に離れた2つのプレmRNAを結合して成熟mRNAを形成することは、これらの制限を克服する1つの方法でありうる。たとえば、例えば、突然変異した内因性プレmRNAの一部のみを置換するために標的細胞に導入される外因性プレmRNAトランススプライシング分子を含む、スプライソソームを介したRNAトランススプライシング(SMaRT)は、遺伝子治療のためのツールとして使用できる。これにより、ウイルスベクターでのより短いコード配列の送達が可能になる可能性がある。
【0009】
ウイルスベクター、特にアデノ随伴ウイルス(AAV)ベースのベクターのサイズ制限に対処する別の方法は、組換えAAV(rAAV)デュアルベクター技術の使用である。AAVは一本鎖DNAウイルスである。rAAVデュアルベクターテクノロジーの場合、導入遺伝子(目的の遺伝子)のコード配列は少なくとも2つの部分に分割され、2つ以上の個別のrAAVベクターにパッケージ化される。分割ゲノムベクターによる標的細胞の同時形質導入後、完全長コード配列が再構成される。網膜の光受容細胞等の多くの細胞は、90%を超える高い同時形質導入効率を示すため、同一の標的細胞への両方のrAAVの効率的な送達は制限的ではないようである。ただし、2つの導入遺伝子の半分の効率的な再構成は困難なままである。rAAVデュアルベクター系の開発後数年間、再構成はDNAレベルでのみ対処されており、このアプローチを改善するためにいくつかの戦略が検討されている(McClements and MacLaren, (2017) “Adeno-associated virus (AAV) dual vector strategies for gene therapy encoding large transgenes, Yale Journal of Biology and Medicine 90: 611-623)。
【0010】
これらのrAAVデュアルベクター系は、紛らわしく「トランススプライシングデュアルベクター」と呼ばれることがよくあるが、これらのアプローチにおけるmRNAのスプライシングは実際にはトランスで行われない。むしろ、前述のrAAVデュアルベクター系での再構成は、ITR構造のコンカテマー化および/または重複する配列の相同組換えに依存しており、コンカテマー化されたITRエレメントおよび/または人工的な組換えエレメントを除去するためにシスにスプライシングされた単一のプレmRNAが生成される。このようなrAAVデュアル ベクター系は、たとえばTrapaniらによって開示されている(“Effective delivery of large genes to the retina by dual AAV vectors”, (2014) EMBO Molecular Medicine, 6(2): 194-211)。DNAレベルでのrAAVデュアルベクター系の再構成は、第一のAAVベクターのコード配列の5’部分の発現を駆動するプロモーターの存在、および第二のAAVベクターのコード配列の3’部分の発現を駆動するプロモーターの不在によって認識できる。このようなrAAVデュアルベクター系の再構成について報告されているin vivoでの効率は比較的低く、10%未満である(Carvalho et al., “Evaluating efficiencies of dual AAV approaches for retinal targeting”, (2017) Frontiers in Neuroscience, 11(503): 1-8)。対照的に、プレmRNAスプライシングがトランス配置で起こるためには、rAAVデュアルベクター系の両方のベクターは、2つの別々のプレmRNA分子を生成するためのプロモーターを必要とする。
【0011】
mRNAスプライシング、特にmRNAトランススプライシングの最適なパフォーマンスのために、最適化され、実験的に検証された強力なASSの同定に対する満たされていないニーズがある。特に、強力なASS領域に対するニーズがあり、この強力なASS領域は特に、次世代のrAAVデュアルベクター系または高度に特異的かつ効率的なプレmRNAトランススプライシング分子を送達するAAV等のさらなるAAVベクターの開発に使用することができ、遺伝子治療に使用することができる。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、本明細書に記載され、実施例、図および特許請求の範囲に記載されているように、このニーズに適合する。
【0013】
本明細書で提供しているのは、以下を含むプレmRNAトランススプライシング分子である: (i)以下を含む受容スプライス領域(acceptor splice region)、(ia)以下を含むピリミジン域、(iaa)5~25ヌクレオチド;(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;(ib)受容スプライス部位(acceptor splice site)、(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;(ii)目的のヌクレオチド配列またはその一部分;ここで受容スプライス領域は、目的のヌクレオチド配列またはその一部分の3’側または5’側に局在している;(iii)目的の核酸配列またはその一部分の3’側または5’側に局在するプレmRNAを標的とする結合ドメイン;および(iv)任意選択でスペーサー配列、ここで該スペーサー配列は結合ドメインおよび受容スプライス領域の間に局在している。一つの実施形態では、請求項1のプレmRNAトランススプライシング分子は、以下を含む: (ii)目的のヌクレオチド配列またはその一部分、ここで該受容スプライス領域は、目的のヌクレオチド配列またはその一部分の3’側または5’側に局在している;(iii)供与スプライス部位、ここで該供与スプライス部位は、目的のヌクレオチド配列またはその一部分の3’側に局在している;(iv)目的のヌクレオチド配列またはその一部分の5’側に位置するプレmRNAを標的とする第一の結合ドメイン;(v)目的のヌクレオチド配列またはその一部分の3’側に位置するプレmRNAを標的とする第二の結合ドメイン;(vi)任意選択で、第一のスペーサー配列、ここで該第一のスペーサーは、第一の結合ドメインと受容スプライス領域との間に局在している;(vii)任意選択で、第二のスペーサー配列、ここで第二のスペーサーは、第二の結合ドメインと供与スプライス部位との間に局在している、
【0014】
好ましくは、受容スプライス領域は、目的のヌクレオチド配列またはその部分の5’側に局在しており、結合ドメインは受容スプライス領域の5’側に局在している。プレmRNAトランススプライシング分子は、終止配列、好ましくはポリA配列をさらに含んでもよい。好ましくは、本発明によるプレmRNAトランススプライシング分子は、ピリミジン域を含み、ここでピリミジン域の5~25ヌクレオチドは、TTTTTTまたはTCTTTTの配列によってコードされる配列を含む。付加的にまたは代替的に、ピリミジン域の最後のピリミジンと受容スプライス部位との間の配列は、10塩基未満、好ましくは5塩基未満、より好ましくは3塩基未満である。付加的にまたは代替的に、受容スプライス部位は、CAGGの配列を有する。
【0015】
受容スプライス領域は、以下を含んでもよい: (a)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;(b)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;(c)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;または(d)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである。一つの実施形態では、受容スプライス領域は、配列番号:3または4の配列を有するヌクレオチド配列または配列番号:3または4に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一なヌクレオチド配列によってコードされる。プロモーター、および本発明によるプレmRNAトランススプライシング分子をコードする配列を含むDNA分子も提供される。ここでDNA分子は好ましくはベクターまたはプラスミドである。
【0016】
本発明の別の態様は、核酸配列を作製する方法に関し、該方法は以下を含む: (A)一つまたは複数の供与スプライス部位配列を含む第一の核酸配列を提供する工程;(B)以下を含む第二の核酸配列を提供する工程 (i)以下を含む受容スプライス領域 (ia)以下を含むピリミジン域、(iaa)5~25ヌクレオチド;(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;(ib)受容スプライス部位、(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;(C)一つまたは複数の供与スプライス部位配列で第一の核酸配列を切断し、受容スプライス部位で第二の核酸配列を切断する工程、(D)第一の切断された核酸配列を第二の切断された核酸配列に連結し、それによって核酸配列を得る工程。第一の核酸配列は、目的のヌクレオチド配列またはその一部分をさらに含み、ここで目的のヌクレオチド配列の少なくとも一部は供与スプライス部位の5’側に位置しており、ここで第二の核酸配列は、目的のヌクレオチド配列またはその一部分をさらに含み、ここで目的のヌクレオチド配列の少なくとも一部は受容スプライス領域の3’側に位置している。好ましくは、第一および第二の核酸配列は宿主細胞に導入され、好ましくは第一および第二の核酸配列は組換え核酸配列である。
【0017】
本発明の方法の一つの実施形態の別の態様では、方法は以下の工程を含む: 工程(A)プレmRNAトランススプライシング分子配列を含む第一の核酸配列または該プレmRNAトランススプライシング分子をコードする核酸配列を宿主細胞に導入する工程であって、ここで第一のプレmRNAトランススプライシング分子は5’から3’に以下を含む工程、(a)目的のヌクレオチド酸配列の5’部分;(b)供与スプライス部位;(c)任意選択でスペーサー配列;(d)第一の結合ドメイン;および(e)任意選択で終止配列、好ましくはポリA配列;工程(B)プレmRNAトランススプライシング分子配列を含む第二の核酸配列または該プレmRNAトランススプライシング分子をコードする核酸配列を宿主細胞に導入する工程であって、ここで第二のプレmRNAトランススプライシング分子は5’から3’に以下を含む工程、(i)第一の核酸配列の第一の標的ドメインに相補的な第二の結合ドメイン;(ii)以下を含む受容スプライス領域配列;(iia)以下を含むピリミジン域;(iiaa)5~25ヌクレオチド;(iiab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;(iib)受容スプライス部位、(iiba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および(iibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここで、NはA、C、T/U、またはGである;(iii)目的のヌクレオチド配列の3’部分、および(iv)終止配列、好ましくはポリA配列;工程(C)供与スプライス部位配列で第一の核酸配列を切断し、受容スプライス部位で第二の核酸配列を切断する工程;および工程(D)目的のヌクレオチド配列の5’部分を含む第一の切断された核酸配列を、目的のヌクレオチド配列の3’部分を含む第二の切断された核酸配列に連結し、それによって目的の核酸配列を得る工程。
【0018】
さらに別の態様では、本発明は少なくとも2つの逆方向末端反復を含み、これら2つの逆方向末端反復間に核酸配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであって、ここで該核酸配列は5’から3’に以下を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する: (i)プロモーター;(ii)結合ドメイン;(iii)任意選択でスペーサー配列;(iv)以下を含む受容スプライス領域配列 (a)以下を含むピリミジン域、 (aa)5~25ヌクレオチド;(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;(b)受容スプライス部位、ここで該受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;およびここで該受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;(v)目的のヌクレオチド配列またはその一部分;および(vi)任意選択でポリA配列。AAVベクターはまた、以下を含むAAVベクター系の一部であってもよい: (I)これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列を含む少なくとも2つの逆方向末端反復を含む第一のAAVベクターであって、ここで該これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列が5’から3’に (a)プロモーター、(b)目的のポリペプチドのN末端部分をコードするヌクレオチド配列;(c)供与スプライス部位;(d)任意選択でスペーサー配列;(e)第一の結合ドメイン;および(f)任意選択で終止配列、好ましくはポリA配列;を含む、第一のAAVベクター; (II)これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列を含む少なくとも2つの逆方向末端反復を含む核酸配列を含む第二のAAVベクターであって、ここで該これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列が5’から3’に (i)プロモーター;(ii)第一のAAVベクターの第一の結合ドメインに相補的な、第二の結合ドメイン;(ii)任意選択でスペーサー配列 (iii)以下を含む受容スプライス領域配列 (a)以下を含むピリミジン域、(aa)5~25ヌクレオチド;(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;(b)受容スプライス部位、ここで該受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;およびここで該受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;(iv)目的のポリペプチドのC末端部分をコードするヌクレオチド配列;(iva)ここで目的のポリペプチドのC末端部分および目的のポリペプチドのN末端部分は目的のポリペプチドを再構成する;および(v)終止配列、好ましくはポリA配列。一つの実施形態では、ポリペプチドは全長ポリペプチドであって、第一のAAVベクターは目的の全長ポリペプチドのN末端部分を含み、第二のAAVベクターは目的のポリペプチドのC末端部分を含む。
【0019】
以下を含む受容スプライス領域配列 (ia)以下を含むピリミジン域、(aa)5~25ヌクレオチド;(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;(ib)受容スプライス部位、ba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;およびbb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;および(ii)目的のヌクレオチド配列、ここで該目的のヌクレオチド配列(iia)は受容スプライス領域の3’側または5’側に位置している、を含む、核酸配列もまた提供される。
【0020】
本発明による特定の実施形態では、本明細書に記載される受容スプライス領域はピリミジン域を含み、ここで該ピリミジン域の5~25ヌクレオチドはTTTTTTまたはTCTTTTの配列によってコードされる配列を含む。ピリミジン域の最後のピリミジンと受容スプライス部位との間の配列は、10塩基未満、好ましくは5塩基未満、より好ましくは3塩基未満である。さらに、受容スプライス部位は、好ましくは、CAGGの配列を有する。受容スプライス領域は、配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチドをさらに含み、ここで第一の5’ヌクレオチドはCである。好ましい実施形態では、スプライス受容領域は、配列番号:3、または4の配列を含むもしくはからなる、または配列番号:3、または4の配列を含むもしくはからなる核酸配列によってコードされている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】HEK293細胞および形質導入光受容体におけるRHOミニ遺伝子のmRNAスプライシング。A,RHO遺伝子の縮尺通りの模式図。ボックスはエクソンを表し、その間の太い線はイントロンを表し、それぞれの開始コドンと停止コドンを示す。アスタリスクは、エクソン3のc.620T>G変異を表す。BおよびC,エクソンのコーディング部分および隣接するイントロンを含むロドプシンミニ遺伝子は、HEK293細胞での発現のためのCMVプロモーター(B)または光受容体での発現のためのヒトロドプシン(hRHO)プロモーター(C)のいずれかによって駆動された。RHOミニ遺伝子のAAVベクターへのパッケージングを可能にするために、イントロン1を示しているように短縮した。タンパク質の視覚化および検出のために、RHOをC末端でシトリン(Bの場合)またはmycタグ(Cの場合)に融合した。BおよびCの矢印として示されるプライマーは、HEK293細胞(D)または形質導入された光受容体(E)に由来する野生型(WT)または変異型のスプライシング産物の特異的検出に使用した。D,WTおよび変異RHOミニ遺伝子を一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞からのRT-PCR分析。E,左、生後14日目(P14)のマウス網膜への網膜下RHOミニ遺伝子送達の模式図。右、それぞれのWTまたは変異型RHOミニ遺伝子を含む注入されたマウス網膜からのRT-PCR。RT-PCRは、注射の4週間後に行った。すべての実験は1回繰り返した。
図2】最も効率的なASS_620配列の同定。A,機能的なASSの単一エレメント(single element)の構成。分岐点(BP)には、ヒトの分岐点のコンセンサス配列を表す下線を付し、分岐点のヌクレオシドアデノシンを太字で強調表示している。ポリピリミジン域(Poly-C/T)は空のボックスとして表し、イントロン-エクソン境界にまたがるASSは灰色の塗りつぶされたボックスで表す。B,野生型(WT、上部パネル)およびc.620T>G変異型(下部パネル)のヒトRHO遺伝子のエクソン-イントロン構成およびヒトRHO遺伝子のエクソン3のDNA配列の拡大図。イントロン配列は小文字で示し、エクソン配列は大文字(太字)で示す。単一のASS要素はAに示すスキームに従って強調表示し、BP配列に下線を付し(太線)、Poly-C/T配列は空のボックスでマークし、ASS配列は塗りつぶされた灰色のボックスでマークしている。c.620T>G変異型のAGG配列に変換されたWTのATG配列は、細い下線でマークしている。c.620T>G変異型は、新しい標準的なASS配列を生成することに注意されたい。機能的なASSに必要な他の2つの要素(BPおよびPoly-C/T)は、WT RHOエクソン3にすでに存在する。C,スプライシング実験に使用したヒトリボソームタンパク質27(RPS27)ミニ遺伝子の構造。(D)に示すRT-PCRに使用されるプライマーを矢印で示す。以下に示すRHO_E3a-gと呼ばれるASS_620の潜在的なエレメントを含む個々の配列を、示したようにRPS27遺伝子のエクソン3に挿入した。RHO_E3aは、機能的なASSがないWT RHO配列である。潜在的なBP、Poly-C/TまたはASS配列を上記のように示す。D,示されているように、単一のキメラRPS27ミニ遺伝子でトランスフェクトされたHEK293細胞からのRT-PCR。CS,正しくスプライスされたRPS27ミニ遺伝子(すなわち、ネイティブのエクソン3 ASSを使用)。AS,以上にスプライスされたRPS27ミニ遺伝子(すなわち、ASS_620を使用)。
図3】ASS_620は強力な受容スプライス部位である。A,2つの一般的に利用可能な予測ツール、NNSplice(0.9 version; January 1997)(http://www.fruitfly.org/seq_tools/splice.html)またはhuman splicing finder(version 3.1)(HSF, http://www.umd.be/HSF3/)を使用したin silico受容スプライス部位(ASS)強度予測。B,ASS、PolyC/T、およびPolyC/Tの5’に7つの追加のヌクレオチドを含むvgASS_620と呼ばれる26bpの配列の単一エレメントの構成および配列。C,vgASS_620の強度を決定するために使用されるさまざまなミニ遺伝子の模式図。単一のミニ遺伝子内のvgASS_620挿入の位置を、アスタリスクおよび破線で表す。Dに示したRT-PCRに用いたプライマーの結合位置を矢印で示す。D,ネイティブ(nat)受容スプライス部位のみ、またはネイティブ受容スプライス部位およびvgASS_620(620)の両方を含むそれぞれのミニ遺伝子でトランスフェクトされたHEK293細胞からのRT-PCR。すべてのバンドは、シーケンシングによって確認した。
図4】様々な結合ドメインを試験するセルリアン再構成分析(Cerulean reconstitution assay)。A,mRNAのトランススプライシングによるセルリアンの再構成のための結合ドメインとして使用されるRHOイントロン2配列の概略図。RHOイントロン2配列全体(a)、および異なる5’(b、d、f、h)および3’(c、e、g、i)部分、またはイントロン2の小さな3’部分(h+i)に融合した小さな5’部分を試験し、B~Gに示す結果を得た。BおよびC,Aに示す異なる結合ドメインを含む単一の構築物のmRNAレベルを比較するためのトランスフェクトしたHEK293細胞からのコントロールqRT-PCR(n=3)。ハウスキーパーのアミノレブリン酸シンターゼ(ALAS)に関連したデルタCT(ΔCT)値を示す。プライマーの結合位置(Bのp1+p2およびCのp3+p4)をDに表す。統計分析(各トランスフェクションについてn=3)は、一元配置分散分析およびそれに続く多重比較のためのテューキー検定によって行った。D,h+i結合ドメイン、供与スプライス部位(DSS)および受容スプライス部位ASS_620の例を使用したセルリアン再構成アッセイの原理。セルリアンは、破線で示すように、完全長セルリアン配列(c1)の開始コドンの下流のヌクレオチド位置154で分割された。対照構築物(c2)では、2つの人工セルリアンエクソンを作成するために、人工イントロンをセルリアンコード配列の示された位置154に導入した。ウエスタンブロッティングに使用される抗体(α-cerNT)は、N末端のセルリアンの半分に結合する。対照構築物(c2)は、共焦点イメージングおよびウエスタンブロッティング実験における定量化の参照として機能した。(A)に示されている様々な配列は、デュアルベクターアプローチを使用して結合ドメインとして試験した。セルリアン再構成のためのデュアルベクターアプローチのスキームは、vgASS_620(c3)またはネイティブのRHOエクソン3(RHO_E3)受容スプライス部位(c4)と組み合わせたh+i結合ドメインについて例示的に示される。E,異なる結合ドメインのセルリアン再構成効率(CRE)は、3つの独立したトランスフェクションから得られたウエスタンブロットバンド強度から計算した。定量化のために、バンド強度は最初に内部チューブリン対照に対して正規化した。正規化された値は、参照構築物強度(c2)のパーセンテージとして与えられる。F,CMVプロモーターによって駆動されるc1、c2、c3、またはc4構築物でトランスフェクトされた生きているHEK293細胞の代表的な共焦点イメージング。イメージングには、セルリアン固有のレーザーおよびフィルターの設定を使用した。スケールバー、50μm。G,トランスフェクトしたHEK293細胞のタンパク質溶解物からの代表的なウエスタンブロット(φ、非トランスフェクト細胞;IB、イムノブロッティング;α-Tub、ベータチューブリン特異的抗体)。
図5】ABCA4の5’コード配列を含む第一のデュアルAAVの配列(配列番号:19): 5’末端および3’末端のITR配列は、下線なしで灰色で強調表示されている(NNN)。スペーサー配列は小文字で表記されている。CMVプロモーターは灰色で強調表示され、実線を使用して下線が付されている(NNN)。ABCA4タンパク質の5’コード配列には、点線の下線が付されている(NNN)。DSSはイタリック体で示され、下線が付されている(Nnn、大文字はコード配列を表し、小文字は非コード配列を表す)。結合ドメインは灰色で強調表示され、中断線で下線が付されている(NNN)。
図6】ABCA4の3’コード配列を含む第二のデュアルAAVの配列(配列番号:20): 5’末端および3’末端のITR配列は、下線なしで灰色で強調表示されている(NNN)。スペーサー配列は小文字で表記されている。CMVプロモーターは灰色で強調表示され、実線を使用して下線が付されている(NNN)。結合ドメインは灰色で強調表示され、中断線で下線が付されている(NNN)。受容スプライス部位はイタリック体で示され、下線が付されている(NNN)。ABCA4タンパク質の3’コード配列には、点線(NNN)を使用して下線が付されている。ポリA配列は濃い灰色で強調表示され、波の下線が付されている(NNN)。
図7】ABCA4の5’コード配列およびABCA4プロモーターを含む第一のデュアルAAVの配列(配列番号:21): 5’末端および3’末端のITR配列は、下線なしで灰色で強調表示されている(NNN)。スペーサー配列は小文字で表記されている。ABCA4プロモーターは灰色で強調表示され、実線を使用して下線が付されている(NNN)。ABCA4タンパク質の5’コード配列には、点線を使用して下線が付されている(NNN)。DSSはイタリック体で示され、下線が付されている(Nnn、大文字はコード配列を表し、小文字は非コード配列を表す)。結合ドメインには、中断線を使用して下線が付されている(NNN)。
図8】ABCA4の3’コード配列およびABCA4プロモーターを含む第二のデュアルAAVの配列(配列番号:22): 5’末端および3’末端のITR配列は、下線なしで灰色で強調表示されている(NNN)。スペーサー配列は小文字で表記されている。ABCA4プロモーターは灰色で強調表示され、実線を使用して下線が付されている(NNN)。結合ドメインには、中断線を使用して下線が付されている(NNN)。ASSはイタリック体で示され、下線が付されている(NNN)。ABCA4タンパク質の 3’コード配列は灰色で強調表示され、点線を使用して下線が付されている(NNN)。ポリA配列は濃い灰色で強調表示され、波の下線が付されている(NNN)。
図9】セルリアン再構成効率に対する受容スプライス部位および結合ドメインの影響。A,この実験では、結合ドメイン(BD)および受容スプライス部位(ASS)を試験した。すべてのBD配列は、ヒトRHO遺伝子に由来している。高い効率が期待できるBDおよびASSを、太字と斜体で示す。B,3つのBDおよびAに示す3つのASSの異なる組み合わせを含む構築物をトランスフェクトしたHEK293細胞の共焦点ライブ画像。それぞれのBDおよびASSの強度を示す。スケールバー、50μm。C,上のパネル、異なるBDおよびASSの組み合わせのRT-PCR。下のパネル、異なるBDおよびASSの組み合わせのウエスタンブロット。GAPDHおよびベータチューブリンは、ローディング参照として機能した。D,cis-ctrl(n=3~8)に関連したセルリアンタンパク質バンドの放射分析による再構成効率の定量化。すべてのタンパク質バンドは、定量化の前にベータチューブリンに対して正規化された。
図10】in vivoでのmRNAトランススプライシングrAAVデュアルベクターアプローチ。A,in vivo発現で使用した5’ベクター構築物および3’ベクター構築物。発現参照として、シトリンおよびmCherry配列を、セルリアン5’コード配列(CDS)の5’およびセルリアン3’ CDSの3’にそれぞれ融合した。B,BD_h+iを含む構築物を発現する注入後2週間の網膜切片の代表的な共焦点画像。フルオロフォアの発現は、網膜色素上皮(RPE)に存在する。ONL、外顆粒層。スケールバー、20μm。C,514nmレーザーを使用したシトリンおよびmCherryフルオロフォアの選択的光退色の前(上部パネル)および後(下部パネル)の網膜色素上皮細胞の共焦点画像。スケールバー、2μm。
図11】lacZ遺伝子由来の好適なBDの同定。A,細菌のlacZ遺伝子から取得され、ヒトゲノムに対して検出可能な相同性を持たないように改変された結合ドメイン(BD)。B,Aに示すBDを含む構築物で一過的に共トランスフェクトされたHEK293細胞の共焦点ライブ画像。スケールバー、50μm。C,トランスフェクトされた HEK293細胞溶解物から得られたウエスタンブロット。D,ウエスタンブロットバンド強度のレシオメトリック分析に基づくセルリアン再構成効率の定量化(n=3~8)。BD_g効率は、これまでに得られた最高の再構成の尺度として機能した(図9を参照)。
図12】調節エレメントの除去およびmRNAスプライシング効率への影響。A,示されているように、BD_k.5’polyAdel、ポリAシグナルのない5’ベクター.3’promdel、プロモーター配列のない3’ベクターを含むセルリアン構築物で一過性に共トランスフェクトされたHEK293細胞の共焦点ライブ画像。スケールバー、50μm。B,Aに示されているトランスフェクトされたHEK293細胞から得たウエスタンブロット。ベータチューブリンはローディング参照として機能した。
図13】SpCas9-VPRの再構成。A,HEK293細胞のSpCas9-VPRのmRNAトランススプライシングに使用したプラスミド(5’および3’ベクター)。陽性対照として、全長(FL) SpCas9-VPR CDS(FLベクター)を含むプラスミドを使用した。接続にまたがるプライマーペアをRT-PCRに使用した(黒い矢印)。B,BD_k(n=3)またはFLベクター(n=3)を含む5’および3’ベクターで共トランスフェクトしたHEK293細胞からのRT-PCR。C,再構成されたSpCas9-VPR産物の代表的なシーケンシング結果。D,それぞれのトランスフェクションからのタンパク質溶解物のウエスタンブロット。φ、トランスフェクトされていない細胞。ベータチューブリンは、ローディング対照として機能した。
図14】ABCA4の再構成。A,HEK293細胞のABCA4のmRNAトランススプライシングに使用したプラスミド(5’および3’ベクター)。さらに、6つの異なる遺伝子の6つの短いイントロンがABCA4のCDS内に組み込まれた。すなわち、3つが5’CDS(イントロンを有する5’ベクター、5’wi)に、3つが3’CDS(イントロンを有する3’ベクター、3’wi)に、それぞれ組み込まれた。接続にまたがるプライマーペアをRT-PCRに使用した(黒い矢印)。myc、mycタグ。B,示されているように、それぞれの構築物で共トランスフェクトしたHEK293細胞から、様々なサイクル数でRT-PCRを行う。GAPDHはローディング対照として機能した。φ、トランスフェクトされていない細胞。C,再構成されたABCA4の代表的なシーケンシング結果。
図15】in vivoのABCA4のrAAVデュアルベクターmRNAトランススプライシング。A,in vivo発現に使用されるBD_kを含む5’ベクターおよび3’ベクター構築物。hRho、ヒトロドプシンプロモーター。B,RT-PCRは、C54Bl/6J野生型マウスの網膜溶解物から異なるサイクル数で行われ、示されているように、それぞれの構築物で同時形質導入されている。陰性対照として、注射されていない野生型(WT)マウスを使用した。NN/GL、AAV2のキャプシドバリアント。-RT、逆転写酵素を含まない陰性対照。GAPDHをローディング対照として使用した。C,再構成したABCA4の代表的なシーケンシング結果。D,Bに示すのと同じ網膜からqRT-PCRを実施した予備的な結果。同時形質導入時に得られたABCA4発現は、非注射WT網膜に対して正規化した。E,B~Dに示す同じマウスの網膜溶解物からのウエスタンブロット。ヒトABCA4タンパク質は抗myc抗体で検出され、矢印で示される。 ベータチューブリンをローディング対照として使用した。
図16】セルリアンの5’コード配列および結合ドメインBD_gをコードするミニ遺伝子の配列(配列番号35)。CMVプロモーターは灰色で強調表示されている。セルリアンタンパク質の5’コード配列(太字)は灰色で強調表示され、太い実線を使用して下線が付されている(NNN)。DSSには、波線を使用して下線が付されている(NNN)。結合ドメインは斜体でマークされ、点線を使用して下線が付され(NNN)、ポリアデニル化シグナルは二重線を使用して下線が付されている(NNN)。
図17】セルリアンの3’コード配列および結合ドメインBD_gをコードするミニ遺伝子の配列 (配列番号36)。CMVプロモーターは灰色で強調表示されている。結合ドメインは斜体でマークされ、点線を使用して下線が付されている(NNN)。ASSには、波線と太字を使用して下線が付されている(NNN)。セルリアンタンパク質の3’コード配列は灰色で強調表示され、太い実線を使用して下線が付され(NNN)、ポリアデニル化信号は二重線を使用して下線が付されている(NNN)。
図18】SpCas9-VPRの5’コード配列および結合ドメインBD_kをコードするミニ遺伝子の配列(配列番号37)。CMVプロモーターは灰色で強調表示されている。SpCas9-VPRタンパク質の5’コード配列は太字で強調表示され、太い実線を使用して下線が付されている(NNN)。DSSには、波線を使用して下線が付されている(NNN)。斜体でマークされ、点線を使用して下線が付されている結合ドメイン(NNN)、二重線を使用してポリアデニル化シグナルに下線が付されている(NNN)。
図19】SpCas9-VPRの3’コード配列および結合ドメインBD_kをコードするミニ遺伝子の配列(配列番号38)。CMVプロモーターは灰色で強調表示されている。斜体でマークされ、点線を使用して下線が引かれている結合ドメイン(NNN)。ASSには、波線および太字を使用して下線が付されている(NNN)。SpCas9-VPRタンパク質の3’コード配列は灰色で強調表示され、太い実線を使用して下線が付され(NNN)、ポリアデニル化シグナルは二重線を使用して下線が付されている(NNN)。
図20】イントロンを含むABCA4の5’コード配列を含む第一のデュアルAAVの配列(配列番号39): 5’末端および3’末端のITR配列は下線なしで灰色で強調表示されている(NNN)。スペーサー配列は小文字で表記されている。CMVプロモーターは灰色で強調表示され、実線を使用して下線が付されている(NNN)。ABCA4タンパク質の5’コード配列には、波線の下線で示されたイントロンによって中断された点線の下線が付されている(NNNNNNNNN)。DSSは斜体で示され、下線が付されている(Nnn、大文字はコード配列を表し、小文字は非コード配列を表す)。結合ドメインは灰色で強調表示され、中断線で下線が付されている(NNN)。ポリA配列は濃い灰色で強調表示され、波の下線が付されている(NNN)。
図21】ABCA4の3’コード配列を含む第二のデュアルAAVの配列(配列番号40): 5’末端および3’末端のITR配列は、下線なしで灰色で強調表示されている(NNN)。スペーサー配列は小文字で表記されている。CMVプロモーターは灰色で強調表示され、実線を使用して下線が付されている(NNN)。結合ドメインは灰色で強調表示され、中断線で下線が付されている(NNN)。受容スプライス部位は斜体で示され、下線が付されている(NNN)。ABCA4タンパク質の3’コード配列には、波状の下線で示されたイントロンによって中断された点線を使用して下線が付されている(NNNNNNNNN)。ポリA配列は濃い灰色で強調表示され、波の下線が付されている(NNN)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明者らは、実施例に記載されているように、新規な受容スプライス領域を見出した。この受容スプライス領域は非常に効率的であり、スプライシングが利用される様々なアプリケーションで使用できる。したがって、本発明の受容スプライス領域は、とりわけ、分割AAVベクターの再構成、2つのAAVベクターおよび/またはトラップベクターを含むAAVベクター系のために、プレmRNAトランススプライシング分子を使用するトランススプライシング、シススプライシング、SMaRT技術(スプライソソーム媒介RNAトランススプライシング)に使用することができる。しかしながら、本明細書に記載の受容スプライス領域は、スプライシングが目的であるさらなる用途に使用することもできる。
【0023】
本発明は、
(i)以下を含む受容スプライス領域、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
ba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
bb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列;ここで目的のヌクレオチド配列は
(iia)受容スプライス領域の3’側または5’側に、好ましくは受容スプライス領域の3’側に局在している;
を含む核酸配列に関し、ここで本発明による核酸配列は、好ましくは受容スプライス領域で切断され、それにより目的のヌクレオチド配列を受容スプライス領域配列から分離する。
本発明は、本発明はさらに、受容スプライス領域を切断し、それにより目的のヌクレオチド配列を受容スプライス領域配列から分離するための上記核酸配列の使用に関する。
【0024】
用語「核酸分子」、「核酸配列」、または「ヌクレオチド配列」は、本明細書において同義語として使用され、上記核酸分子/配列に含まれるプリン塩基およびピリミジン塩基を含むヌクレオチド配列を有する任意の核酸分子を包含し、それによって上記塩基は核酸分子の一次構造を表す。核酸配列は、DNA、cDNA、ゲノムDNA、RNA、センス鎖およびアンチセンス鎖を含んでもよい。RNAは、たとえばプレmRNA、mRNA、tRNA、またはrRNAであってもよい。本発明のポリヌクレオチドは、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドで構成することができ、未修飾のRNAまたはDNA、または修飾されたRNAまたはDNAであってもよい。当業者は、ポリデオキシヌクレオチド中のチミン(T)がポリリボヌクレオチド中のウラシル(U)に転写されることを理解するであろう。本明細書で言及される配列は、典型的には、(スプライシングイベントの前に)対応するRNA配列に転写されうるDNA配列として提供される。したがって、Tを含む核酸配列は、対応する(転写された)RNA配列、好ましくはUを含むプレmRNA配列も開示する。
【0025】
DNAおよびRNAには様々な修飾を加えることができる。したがって、用語「核酸分子」または「ヌクレオチド」は、化学的、酵素的、または代謝的に修飾された形態を含んでもよい。「修飾」塩基/ヌクレオチドは、たとえば、トリチル化塩基およびイノシン等の異常な塩基を含む。
【0026】
本発明の受容スプライス領域配列は、受容スプライス部位およびピリミジン域という2つの特徴を含む。ピリミジン域は5~25ヌクレオチドを含み、これら(合計)5~25ヌクレオチド内の少なくとも60%のヌクレオチドは、シトシン(C)、チミン(T)および/またはウラシル(U)等のピリミジン塩基である。ピリミジン域が5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25ヌクレオチド、好ましくは10~18ヌクレオチド、より好ましくは12~16ヌクレオチドを含むことも想定されている。追加的にまたは代替的に、これら(合計)5~25ヌクレオチド内の少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%のヌクレオチドは、シトシン(C)、チミン(T)および/またはウラシル(U)等のピリミジン塩基である。たとえば、ピリミジン域は6ヌクレオチドを含んでもよい。ピリミジン域は、配列TTTTTTを含むか、またはそれからなることがさらに想定される。ピリミジン域は、配列TCTTTTを含むか、またはそれからなることがさらに企図される。ピリミジン域は、配列TTTTTTGTCATTT(配列番号:11)を含むか、またはそれからなることがさらに企図される。ピリミジン域は、配列TCTTTTGTCATCTA(配列番号:12)を含むか、またはそれからなることがさらに企図される。さらに、ピリミジン域の前に、配列CAACGAGTCTTTTGTCATCTA(配列番号:13)を含むか、またはそれからなる7ヌクレオチドが先行することが企図されている。ピリミジン域はまた、TCTTTTGTCATCT(配列番号:1)の配列を含むか、またはそれからなっていてもよい。本明細書に記載のピリミジン域は、配列番号:1、11、12、または13の配列、または配列TTTTTT、またはTCTTTTと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であることも企図されている。一つの実施形態では、ピリミジン域の5~25ヌクレオチドは、配列TTTTTT、またはTCTTTTを含む。好ましくは、ピリミジン域の最後のピリミジンと受容スプライス部位との間の配列は、10塩基未満、好ましくは5塩基未満、より好ましくは3塩基未満である。用語「ピリミジン域」は、本明細書において「ポリピリミジン域」と互換的に使用され、PPTまたはPolyC/Tと略される。「ピリミジン域の最後のピリミジン」は、ピリミジン域の5~25ヌクレオチドの最も3’側のピリミジンを指す。
【0027】
本発明によれば、2つ以上の核酸分子の文脈における用語「同一である(identical)」または「パーセント同一性(percent identity)」は、比較ウィンドウ全体、または当技術分野で既知の配列比較アルゴリズムを使用して測定される指定領域にわたって、または手動アラインメントおよび目視検査によって測定された指定領域にわたって、最大の対応を得るために比較およびアラインメントしたときの、同一であるか、または同一のヌクレオチドの特定のパーセンテージ(たとえば、少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一性)を有する2つ以上の配列または部分配列を指す。たとえば、80%から95%以上の配列同一性を有する配列は、実質的に同一であると考えられる。このような定義は、テスト配列の補数(complement)にも適用される。当業者は、当技術分野で知られているように、たとえばCLUSTALWコンピュータプログラム(Thompson Nucl. Acids Res. 2 (1994), 4673-4680)、またはFASTDB(Brutlag Comp. App. Biosci. 6 (1990), 237-245)に基づくアルゴリズム等を使用して、配列間/配列間で(between/among sequences)パーセント同一性を決定する方法を知っているであろう。
【0028】
BLASTおよび BLAST2.0アルゴリズム(Altschul Nucl. Acids Res. 25 (1977), 3389-3402)も当業者に利用可能である。核酸配列のBLASTNプログラムは、デフォルトとして、ワードサイズ(W)28、期待しきい値(E)10、一致/不一致スコア1、-2、ギャップコスト線形、および両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムはデフォルトとしてワードサイズ(W)6、期待しきい値(E)10を使用し、ギャップコストはExistence:11および Extension:1です。さらに、BLOSUM62スコアリングマトリックスを使用することもできる(Henikoff Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 89, (1989), 10915)。
【0029】
たとえば、BLAST2.0は、Basic Local Alignment Search Tool(Altschul, Nucl. Acids Res. 25 (1997), 3389-3402; Altschul, J. Mol. Evol. 36 (1993), 290-300; Altschul, J. Mol. Biol. 215 (1990), 403-410)の略で、ローカル配列アラインメントを検索するために使用することができる。
【0030】
本明細書で概説するように、ピリミジン域に加えて、本発明の受容スプライス領域配列は、受容スプライス部位を含む。本明細書で使用する「受容スプライス部位」は、当業者に既知であり、とりわけ「DNAからRNAへ」という見出しの下にAlberts B, Johnson A, Lewis J, et al. (2002) “Molecular Biology of the Cell. 4th edition.” ニューヨーク:Garland Scienceに記載されている意味を有する。本発明の受容スプライス部位は、ヌクレオチドNAGG、好ましくはCAGGまたはCAGGT(またはRNA中のCAGGまたはCAGGU)を含むかまたはそれらからなる。受容スプライス部位は、通常、「受容スプライス領域」として定義される配列内に位置する。本明細書で使用する用語「受容スプライス部位」(略してASS)は、コンセンサス受容スプライス配列を指し、「スプライス受容部位」(SASと略称)とも呼ばれる。本発明の文脈において、用語「受容スプライス領域」および「受容スプライス部位」は、この領域とコンセンサス受容スプライス部位とを区別するために別個の用語として使用され、受容スプライス領域は受容スプライス部位を含む。文献では、受容スプライス領域および受容スプライス部位は、ASSまたはSASと呼ばれることがある。
【0031】
受容スプライス部位は、この部位で核酸がいわゆるスプライソソームまたはその人工バリアントによって切断されるため、受容スプライス部位と呼ばれる。スプライソソームおよびそれがどのように機能するかは、当業者にも知られている。ヒトのスプライソソームの構造は、たとえばZhang et al. (2017) “An atomic structure of the human spliceosome” Cell 169, 918-926に記載されている。人工スプライソソームは、たとえば、スプライソソームと同じ切断をスプライス部位に仲介する酵素を含む。Coppins and Silvermann (2005) “Mimicking the First Step of RNA Splicing: An Artificial DNA Enzyme Can Synthesize Branched RNA Using an Oligonucleotide Leaving Group as a 5’-Exon Analogue” Biochemistry, 44 (41), pp 13439-13446およびMuller (2017) “Design and Experimental Evolution of trans-Splicing Group I Intron Ribozymes.” Molecules. 22(1). pii: E75. doi: 10.3390/molecules22010075に記載されているように、人工スプライソソームはDNA酵素を含でもよい。本明細書に記載の受容スプライス部位は、NAGGの配列を有し、Nは任意のヌクレオチドであってもよい。たとえば、Nは、A、C、T、GまたはUから選択されるヌクレオチドである。本明細書に記載される受容スプライス部位は、CAGGの配列を有してもよい。本明細書に記載の受容スプライス部位はまた、CAGGT(またはRNAの場合はCAGGU)の配列を有してもよい。
【0032】
本発明の受容スプライス部位での切断は、NAGGおよび/またはNAGGTスプライス部位のNAG、又はCAGGスプライス部位および/またはCAGGTスプライス部位のCAGを含む2つの断片をもたらす。NAGGまたはCAGGスプライス部位の最後のG、またはNAGGTまたはCAGGTスプライス部位の最後のGTを含む他の断片。したがって、本明細書に記載の使用、核酸配列、AAVベクター、AAVベクター系、および方法において、(切断/スプライシング後に)最終的に得られる(目的の)ヌクレオチド配列は、NAGGまたはCAGG配列の最後のG、またはNAGGTまたはCAGGT配列のGTを含むことが想定される。当業者は、本明細書で言及されるスプライシングがRNAレベルで起こり、したがって(切断/スプライシング後に)最終的に得られる(目的の)RNAヌクレオチド配列がNAGGまたはCAGG配列の最後のG、またはプレmRNAヌクレオチド配列のCAGGU配列のGUを含むことを理解するだろう。しかしながら、本方法および使用において、(目的の)最終核酸配列は、NAGGスプライス部位配列のNAG、および/またはCAGGまたはCAGGTスプライス部位配列のCAGを含むことも企図される。したがって、受容スプライス部位での切断は、NAGG、CAGGおよび/またはCAGGT(またはCAGGU)の受容スプライス部位配列GとGの間の切断を含み、それによって(目的の)ヌクレオチド配列をイントロン受容スプライス領域配列から分離することが想定される。
【0033】
本発明の受容スプライス領域は、とりわけ、トランススプライシングだけでなくシススプライシングまたは他のスプライシングを含む用途に使用することができる。たとえば、Berger et al. (2016) “mRNA trans-splicing in gene therapy for genetic diseases” WIREs RNA 7: 487-498に記載されているように、スプライシングの発生を測定することができる。たとえば、スプライシングされたヌクレオチド配列は、特定のプライマーおよびプローブを使用してエンドポイント定量的RT-PCRによって定量化でき、目的のスプライシングされた産物を識別できる。スプライシングのさらなる測定は、本明細書の実施例に記載されているように行うことができる。たとえば、スプライシングは、Orengo et al. (2006) “A bichromatic fluorescent reporter for cell-based screens of alternative splicing.” Nucleic Acids Research 34(22):e148に記載されているマーカー遺伝子を使用して測定することができる。Berger et al., (2016) “Repair of rhodopsin mRNA by spliceosome-mediated RNA trans-splicing: a new approach for autosomal dominant retinitis pigmentosa.”, Mol Ther.; 23(5):918-930に記載されているように、制限酵素分析を使用して、さらなるスプライシングを検出することができる。
【0034】
プレmRNAに存在する場合の受容スプライス部位は、通常、イントロンの3’末端および次のエクソンの5’末端に対応する。受容スプライス部位、好ましくは受容スプライス領域を人工的に導入する場合、受容スプライス部位がイントロン-エクソン境界に位置することは必ずしも必要ではなく、オープンリーディングフレーム内、イントロン内、または完全または部分的なオープンリーディングフレームの5’末端に位置していてもよい。また、受容スプライス部位がイントロンの5’末端に位置することも想定されている。受容スプライス部位は、プレmRNA分子ではなく、任意の核酸分子等の人工分子内に位置することがさらに想定される。
【0035】
本発明の受容スプライス部位は、受容スプライス領域に含まれる。特に、本発明の受容スプライス部位は、ピリミジン域の3’側に位置する。
【0036】
受容スプライス領域 (または受容スプライス部位モジュール) は、分岐点および/または分岐点配列をさらに含んでもよい。原則として、本発明は、任意の好適な分岐点または分岐点配列を想定している。例示的な分岐点または分岐点配列は、とりわけ、Gao et al. (2008) “Human branch point consensus sequence is yUnAy” Nucleic Acid Research, vol. 36, no.7, pp.2257-2267; Mercer et al. (2016) “Genome-wide discovery of human splicing branch points” Genome Research 25: 290-303に記載されている。
【0037】
たとえば、分岐点配列は、配列UACUACを含むか、またはそれからなっていてもよい。追加的にまたは代替的に、分岐点配列は、YがUまたはCであり、RがAまたはGである配列YNYURYを含むか、またはそれからなっていてもよい。追加的にまたは代替的に、分岐点配列は、YがUまたはCであり、RがAまたはGである配列YNCURYを含むか、またはそれからなっていてもよい。追加的にまたは代替的に、分岐点配列は、YがUまたはCであり、RがAまたはGである配列CURYを含むか、またはそれからなっていてもよい。追加的にまたは代替的に、分岐点配列は、YがUまたはCであり、RがAまたはGであり、VがA、CまたはGである配列YUVYを含むか、またはそれからなっていてもよい。追加的にまたは代替的に、分岐点配列は、YがUまたはCであり、SがGまたはCである配列CUSYを含むか、またはそれからなっていてもよい。追加的にまたは代替的に、分岐点配列は、配列CUGCを含むか、またはそれからなっていてもよい。追加的にまたは代替的に、分岐点配列は、配列CUACを含むか、またはそれからなっていてもよい。分岐点は、C/U-U-N--C/U、CAACGAまたはCUCAまたはGUCAの分岐点シーケンス内に存在していてもよい(ここで、分岐点配列は、C/T-T-N--C/T、CAACGAまたはCTCAまたはGTCAのそれぞれのDNA配列によってコードされている。)。すべての各配列において下線を引いたアデノシンは、分岐点ヌクレオチドを表す。
【0038】
本発明の受容スプライス領域は、分岐点ヌクレオチド配列(c)をさらに含んでもよく、分岐点ヌクレオチド配列は、
(ca)1~15ヌクレオチドを含む;
(cb)分岐点ヌクレオチド、好ましくはアデノシン(A)を含む;および
(cc)ピリミジン域および受容スプライス部位の5’側に位置する。
【0039】
分岐点配列が約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15以上のヌクレオチドを含むことも企図される。分岐点配列は、6~8ヌクレオチドを含むことがさらに企図される。分岐点配列が8ヌクレオチドを含むことも想定される。しかしながら、特に、分岐点配列のヌクレオチドは連続して存在することができ、そのため、合計で15を超えるヌクレオチド、たとえば例として合計で30(15+15)、40、50、100、200以上のヌクレオチドを含んでもよい。
【0040】
分岐点ヌクレオチドは、任意のヌクレオチドであってもよい。したがって、分岐点ヌクレオチドは、A(アデノシン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)、およびU(ウラシル)のいずれかであってもよい。好ましくは、分岐点ヌクレオチドはA(アデノシン)である。分岐点ヌクレオチドは、分岐点配列内に位置している。
【0041】
受容スプライス領域は、追加または代替として、イントロンスプライスエンハンサーを含んでもよい。そのようなスプライスエンハンサーは当業者に知られており、とりわけWang et al. (2012) “Intronic splicing enhancers, cognate splicing factors and context-dependent regulation rules” Nature Structural & Molecular Biology, vol. 19, no. 10, pp. 1044-1053に記載されている。2つの例は、スプライスエンハンサー配列「AACG」(グループF)および「CGAG」(グループD)である。ただし、この用語は、任意の好適なイントロンスプライス領域を含む。
【0042】
例示的なイントロンスプライスエンハンサーは、TGGGGGGAGG(配列番号:2)の配列を有する。別の例示的なイントロンスプライスエンハンサーは、GTAACGGCの配列を有する。イントロンスプライスエンハンサーは、AACGの配列を有することがさらに企図される。本明細書に記載の受容スプライス領域は、配列番号:2、GTAACGGCまたはAACGの配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を有することも企図される。
【0043】
本発明の受容スプライス領域は、好ましくは、ポリピリミジン域の5’側に約7ヌクレオチド(たとえば、5~12ヌクレオチド、好ましくは6~10ヌクレオチド、より好ましくは6~8ヌクレオチド)をさらに含む。好ましい実施形態では、受容スプライス領域は、(a)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;(b)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;(c)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;(d)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;(e)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;(f)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;(g)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;(h)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;(i)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである、または(j)配列CAACGAGを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチドをさらに含む。理論に拘束されるものではないが、この配列はスプライスエンハンサーとして機能する可能性がある。
【0044】
受容スプライス領域は、1、2、3、4、5、またはそれ以上の異なる/同一の分岐点配列を含むことがさらに想定される。受容スプライス領域は、1、2、3、4、5、またはそれ以上の異なるまたは同一のイントロンスプライスエンハンサー(配列)を含むことがさらに想定される。
【0045】
ピリミジン域、受容スプライス部位、および任意でさらに分岐点配列および/またはイントロンスプライスエンハンサーが想定され、したがって、受容スプライス領域全体は、合計で約1000、500、250、100、50、45、40、35、30、25、20、15以下のヌクレオチド、好ましくは26ヌクレオチドを含む。
【0046】
一部の実施形態では、特定の受容スプライス部位によって使用される分岐点配列または分岐点ヌクレオチドは、フレキシブルであってもよい。これは、3以上、5以上、7以上、9以上、または11以上等、様々な分岐点を使用できることを意味する。一つの実施形態では、各分岐点の使用頻度は、30%未満または20%未満である。特定の受容スプライス部位によって使用される分岐点配列または分岐点ヌクレオチドの選択がフレキシブルである場合、受容スプライス領域の強度は、含まれる特定の分岐点配列または分岐点ヌクレオチドの存在に由来せず、その存在に依存しない(is not dependent from)。任意の分岐点配列または分岐点ヌクレオチドを使用するフレキシビリティにより、受容スプライス領域が非常に効率的かつ用途が広くなり、配列に依存しない方法で効率的なスプライシングを誘導するために、様々な核酸配列での使用に特に適している可能性がある。
【0047】
本明細書に記載され、核酸、プレmRNAトランススプライシング分子、AVVベクター、AVVベクター系、および本発明による方法で使用されるものの中に存在する受容スプライス領域は、受容スプライス部位およびポリピリミジン域に加えて、さらにポリピリミジン域の5’側にヌクレオチドを含む。好ましい実施形態では、受容スプライス領域は、ポリピリミジン域の5’側に約7ヌクレオチド(たとえば、5~12ヌクレオチド、好ましくは6~10ヌクレオチド、より好ましくは6~8ヌクレオチド)を含む。特に好ましい実施形態では、受容スプライス領域は、ポリピリミジン域の5’側に配列CAACGAGを含む。受容スプライス部位を含む受容スプライス領域、ポリピリミジン域、およびさらなるポリピリミジン域の5’側のヌクレオチド、好ましくはポリピリミジン域の5’側のさらなる約7ヌクレオチドは、最小受容スプライス領域として機能し、非常に強力な機能的受容スプライス領域を導入するために、任意の核酸配列に挿入することができる。
【0048】
本発明の受容スプライス領域は、CAACGAGTCTTTTGTCATCTACAGGT(配列番号:3)の配列を含むか、またはそれからなることがさらに想定される。本発明の受容スプライス領域は、CAACGAGTTTTTTGTCATCTACAGGT(配列番号:4)の配列を含むか、またはそれからなることがさらに企図される。本発明の受容スプライス領域は、CTACACGCTCAAGCCGGAGGTCAACAACGAGTCTTTTGTCATCTACAGGT(配列番号:5)、GCCGGAGGTCAACAACGAGTCTTTTGTCATCTACAGGT(配列番号:6)、GTCTTTTGTCATCTACAGGT(配列番号:7)、GTCTTTTGTCATCTACAGGTGTTCGTG(配列番号:26)、またはGTCTTTTGTCATCTACAGGTGTTCGTGGTTCGTGGTCCA(配列番号:8)のいずれかの配列を含むか、またはそれからなることもまた想定される。好ましくは、本発明の受容スプライス領域は、CAACGAGTCTTTTGTCATCTACAGGT(配列番号:3)またはCAACGAGTTTTTTGTCATCTACAGGT(配列番号:4)の配列を含むか、またはそれからなる(または、配列番号:3または配列番号:4の配列を含むか、またはそれからなる核酸配列によってコードされる)。
【0049】
本明細書に記載の受容スプライス領域は、配列番号:3、4、5、6、7、26、または8のいずれか一つの任意の配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を有することも企図される。好ましくは、受容スプライス領域は、配列番号:3、4、5、6、7、26、または8のいずれか一つの任意の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。より好ましくは、受容スプライス領域は、配列番号:3または4の任意の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。さらにより好ましくは、受容スプライス領域は、配列番号:3または4の任意の配列に対して少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0050】
本発明による核酸配列は、受容スプライス部位に加えて、目的のヌクレオチド配列をさらに含んでもよい。目的のヌクレオチド配列は、任意の好適なヌクレオチド配列であってもよい。用語「目的のヌクレオチド配列」および「目的の核酸配列」は、本明細書において互換的に使用する。典型的には、この用語を本発明による核酸配列または核酸分子とよりよく区別するために、「目的ヌクレオチド配列」と呼ばれる。たとえば、目的のヌクレオチド配列は、イントロンまたはエクソンのヌクレオチド配列であってもよく、またはイントロンおよびエクソン(すなわち、非コードおよびコード)配列の両方を含んでもよい。目的のヌクレオチド配列は、cDNA、mRNA、rRNA、又はtRNAであることがさらに企図される。目的のヌクレオチド配列またはその一部分は、受容スプライス領域の3’または5’、好ましくは3’に位置していてもよい。特定の実施形態では、核酸配列、プレmRNAトランススプライシング分子、AAVベクター、AAVベクター系のいずれかに含まれる、または本発明による方法のいずれかで使用される目的のヌクレオチド配列またはその一部分は、導入遺伝子またはその一部分であってもよい。スプライシング効率、特にトランススプライシング効率は、目的のヌクレオチド配列またはその一部分にイントロンが存在することによって改善できることが見出されている。特に、目的のヌクレオチド配列またはその一部分が1000bpを超える場合、配列にイントロンを導入または保持することが有利である可能性がある。好ましくは、イントロンは、目的のヌクレオチド配列またはその一部分の約200~1000bpごとに存在するが、より低いまたはより高い配列間隔で発生することもある。イントロンは、目的のヌクレオチド配列および/または異なる遺伝子のヌクレオチド配列および/または人工のヌクレオチド配列に由来してもよい。
【0051】
本明細書で使用する目的のヌクレオチド配列(目的の核酸配列とも呼ばれる)は、コード配列、たとえば目的のポリペプチドをコードする配列、またはその部分であってもよい。好ましい実施形態では、目的のヌクレオチド配列はコード配列であり、より好ましくは導入遺伝子、目的のポリペプチドをコードする配列またはその一部分である。
【0052】
目的のヌクレオチド配列が治療用ポリペプチド、治療用核酸(たとえば治療用RNA)またはその一部分をコードすることが本発明によってさらに想定される。
【0053】
治療用核酸または治療用ポリペプチドは、眼疾患、たとえば常染色体劣性重症早発性網膜変性[autosomal recessive severe early-onset retinal degeneration](レーバー先天黒内障)、先天性色覚異常、シュタルガルト病、ベスト病(卵黄様黄斑変性症)、Doyne病(Doyne’s disease)、網膜色素変性症(特に、常染色体優性、常染色体劣性、X連鎖、2遺伝子性または多遺伝子性網膜色素変性症)、(X連鎖)網膜分離症、黄斑変性症(AMD)、加齢性黄斑変性症、萎縮性加齢黄斑変性症、血管新生AMD、糖尿病黄斑症、増殖糖尿病網膜症(PDR)、類嚢胞黄斑浮腫、中心性漿液性網膜症、網膜剥離、眼内炎、緑内障、後部ぶどう膜炎、先天性停止性夜盲症、全脈絡膜萎縮、早発性網膜ジストロフィー、錐体ジストロフィー、桿体錐体ジストロフィーまたは錐体桿体ジストロフィー[rod-cone or cone-rod dystrophy]、模様黄斑ジストロフィー[pattern dystrophies]、アッシャー症候群および他の症候性繊毛関連疾患[syndromic ciliopathies]、たとえばバルデ・ビードル症候群、ジュベール症候群、セニオール・ローケン症候群[Senior-Loken syndrome]またはアルストレーム症候群[Alstrom syndrome]を治療するために使用できる。
【0054】
核酸、治療用核酸、治療用タンパク質/ポリペプチドまたは治療用分子は、桿体および/または錐体等の視細胞に影響を及ぼす障害(視細胞疾患)を治療するために使用することができる。光受容細胞疾患の非限定的な例は、色覚異常、加齢性黄斑変性症、網膜変性症、網膜ジストロフィー、網膜色素変性症、錐体ジストロフィー、桿体錐体ジストロフィー、色覚障害[color blindness]、黄斑変性症、夜盲症、網膜分離症、全脈絡膜萎縮、糖尿病性網膜症、遺伝性視神経症、I型小口病、白点状網膜炎(RPA)、進行性網膜萎縮症(PRA)、白点状眼底(FA)、または先天性停止性夜盲症(CSNB)を含む。
【0055】
治療用核酸または治療用ポリペプチドは、遺伝性網膜疾患(IRD)を治療するために使用することができる。IRDは、遺伝的にも表現型的にも不均一な障害の群である。IRDは、15歳から45歳の人の失明の主な原因であり、推定有病率は1,500人に1人から 3,000人に1人である。IRDは、主に影響を受ける網膜細胞の種類、すなわち、桿体または錐体光受容体、および疾患の状態に従って分類することができる。IRDの非限定的な例は、色覚異常、加齢性黄斑変性症、網膜変性症、網膜ジストロフィー、網膜色素変性症、錐体ジストロフィー、桿体錐体ジストロフィー、色覚障害[color blindness]、黄斑変性症、網膜分離症、全脈絡膜萎縮、糖尿病性網膜症、遺伝性視神経症、I型小口病、白点状網膜炎(RPA)、進行性網膜萎縮症(PRA)、白点状眼底(FA)、または先天性停止性夜盲症(CSNB)である。
【0056】
主に錐体に影響を及ぼす最も一般的な進行性IRDは、シュタルガルト黄斑ジストロフィーである。これは常染色体劣性遺伝形式で遺伝し、主に網膜トランスポーターABCRをコードするABCA4遺伝子の変異によって引き起こされる。一つの実施形態では、治療用核酸はABCA4またはその一部分をコードし、治療用核酸はシュタルガルト黄斑ジストロフィーを治療するために使用される。
【0057】
主に桿体に影響を及ぼす最も一般的な進行性IRDは、網膜色素変性症(RP)である。RPは、夜盲症および視野狭窄につながる進行性疾患である。後の段階では、二次錐体光受容体細胞死が誘導され、最終的に完全な視力喪失が引き起こされる。網膜色素変性症の一部の形態は、ロドプシンをコードする遺伝子の変異に関連している。一つの実施形態では、治療用核酸はロドプシンまたはその一部分をコードし、治療用核酸は網膜色素変性症を治療するために使用される。
【0058】
本発明による核酸配列はまた、供与スプライス部位を含んでもよく、ここで、供与スプライス部位は、目的のヌクレオチド配列またはその一部分の3’に局在している。用語「供与スプライス領域」は、本明細書では「供与スプライス部位」(DSSと略される)または「スプライス供与部位」(SDSと略される)と交換可能に使用される。したがって、本発明の核酸配列は、供与スプライス部位も含んでもよい。供与スプライス部位は当業者に既知であり、とりわけBuckley et al. (2009) “A method for identifying alternative or cryptic donor splice sites within gene and mRNA sequences. Comparisons among sequences from vertebrates, echinoderms and other groups” BMC Genomics 10: 318およびQu et al. (2017) “A Bioinformatics-Based Alternative mRNA Splicing Code that May Explain Some Disease Mutations Is Conserved in Animals” Front. Genet., vol. 8 Art. 38に記載されている。ここで、任意の適切な供与スプライス部位がこの用語によって企図される。供与スプライス部位は通常、エクソンの3’末端と隣接するイントロンの5’末端に位置する。しかしながら、本発明の文脈において、供与スプライス部位はまた、目的のヌクレオチド配列内のどこかに位置していてもよい。受容スプライス部位と同様に、供与スプライス部位はスプライソソームがその部位で切断することを可能にする。
【0059】
原則として、本明細書に記載の供与スプライス部位は、核酸分子の任意の位置に位置していてもよい。供与スプライス部位が(第一の)核酸配列の3’末端に位置することも想定されている。たとえば、供与スプライス部位配列は、AAGGTAAGT、AAGGTGAGT、CAGGTAAGT、CAGGTGAGT、AAGGTAAG、AAGGTGAG、CAGGTAAG、またはCAGGTGAGの配列を含むか、またはそれからなっていてもよい。供与スプライス部位配列は、AAGGTAAGT、AAGGTGAGT、CAGGTAAGT、CAGGTGAGT、AAGGTAAG、AAGGTGAG、CAGGTAAG、またはCAGGTGAGの配列に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を有することも想定される。
【0060】
同様に、本明細書に記載の受容スプライス領域は、核酸分子の任意の位置に位置していてもよい。受容スプライス部位が(第二の)核酸配列の5’末端に位置することも想定されている。
【0061】
目的のヌクレオチド配列は、本明細書に記載のポリアデニル化シグナルおよび/またはプロモーターを追加的または代替的に含んでいてもよい。
【0062】
本発明はまた、
(A)一つまたは複数の供与スプライス部位配列を含む第一の核酸配列を提供する工程;
(B)以下を含む第二の核酸配列を提供する工程;
(i)以下を含む受容スプライス領域、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
を含み、それによって核酸配列を得る、核酸配列を作製する方法にも関する。方法は、(C)一つまたは複数の供与スプライス部位配列で第一の核酸配列を切断し、受容スプライス部位で第二の核酸配列を切断する工程、および(D)第一の切断された核酸配列を第二の切断された核酸配列に連結する工程も含んでいてもよい。
【0063】
この方法は、いわゆるトランススプライシングを反映している。特に、トランススプライシングは、2つの別々の核酸分子(好ましくはプレmRNA分子)由来のエクソンが一緒に結合されて1つの核酸分子を形成するタイプのスプライシングである。たとえば、プレmRNAが最終的なmRNA、tRNA、またはrRNAにスプライシングされる場合のである。このプロセスは当業者にも既知であり、とりわけ「DNAからRNAへ」という見出しの下にAlberts B, Johnson A, Lewis J, et al. (2002) “Molecular Biology of the Cell. 4th edition.” ニューヨーク:Garland Scienceに記載されている。したがって、スプライシングされた核酸配列は、好ましくは、mRNA、rRNA、またはtRNA配列である。したがって、目的のヌクレオチド配列はプレmRNAであってもよい。
【0064】
第一および第二の核酸配列は、DNAまたはRNA配列であってもよい。第一および第二の核酸配列がDNA配列である場合、第一および第二の核酸配列の両方はさらにプロモーターを含み、少なくとも第二の、好ましくは両方の核酸配列はポリA配列等の転写終結配列も含む。第一および第二の核酸配列がRNA配列である場合、少なくとも第二の、好ましくは両方の核酸配列は、ポリA配列等の終結配列を含む。好ましくは、核酸配列は、DNA配列であり、より好ましくは、DNA配列を含むベクターまたはプラスミドである。
【0065】
一つの実施形態では、第一および第二の核酸配列は、結合ドメインをさらに含む。さらに別の実施形態では、第一および第二の核酸配列は、本明細書に記載のプレmRNAトランススプライシング分子またはプレmRNAトランススプライシング分子をコードするDNA配列である。
【0066】
理論に拘束されることなく、一つまたは複数の供与スプライス部位配列での第一の核酸配列の切断、および受容スプライス領域配列での第二の核酸配列の切断、および第一の切断された核酸配列と第二の切断された核酸配列との連結は、シススプライシングおよびトランススプライシングにおける2つのエステル交換反応を使用して行われ、本明細書では「スプライシング」と呼ばれる。本明細書で使用する用語「トランススプライシング」は、RNAスプライシング、特に、最終mRNA、tRNAまたはrRNA等の成熟RNAを形成するための2つの別個のRNAまたはプレRNA分子のプレRNAスプライシングを指す。
【0067】
用語「in vitro法」は、体、すなわち、ヒトまたは動物の体の外の方法を指すが、体外の細胞株または一次細胞を含む。
【0068】
本明細書に記載の方法および使用は、細胞溶解物等の任意の好適な無細胞系または任意の好適な宿主細胞で実施することができる。
【0069】
そのような好適な宿主細胞は当業者に既知である。たとえば、好適な宿主細胞はスプライシング機構、すなわちスプライソソームを含む。当業者は適切な宿主、たとえば哺乳動物またはヒト宿主細胞における使用のための調節エレメントを選択することができる。調節エレメントは、たとえば、プロモーター、終結配列(たとえば、転写終結配列、翻訳終結配列)、エンハンサー、およびポリアデニル化エレメントを含む。さらに、導入遺伝子(目的の核酸配列)の発現レベルは、エンハンサー配列またはウッドチャック肝炎ウイルスの転写後応答エレメント(WPRE)等の調節エレメントを使用することによって増強することができる。ただし、これらのエレメントにより、rAAVのパッケージ容量がさらに制限される。したがって、場合によっては、特にサイズ制限が重要な場合は、そのような任意のエレメントを省略し、好ましくは、本発明によるAAVベクター、および特にデュアルrAAVベクター系の終止配列として短いポリアデニル化シグナル等の小さな必須の調節エレメントを使用することが推奨される。宿主細胞は、真核細胞、またはヒトまたはげっ歯類の細胞株等の哺乳動物細胞であってもよい。宿主細胞は、HEK細胞、たとえばHEK293(T)細胞、Cos7細胞、CHO細胞、線維芽細胞、たとえばヒトまたはマウス由来の線維芽細胞、網膜芽細胞腫細胞、661W細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、たとえばヒトiPSC、光受容体細胞、たとえば脊椎動物由来の光受容体細胞、神経細胞、またはグリア細胞から得られる。
【0070】
一つの実施形態では、方法はin vitroで(すなわち、体外で)宿主細胞で行われ、上記第一の核酸配列を導入すること、および上記第二の核酸配列を導入することを含む。上記第一の核酸配列および上記第二の核酸配列は、トランスフェクションまたは形質導入によって導入されてもよく、より具体的には共トランスフェクトまたは同時形質導入によって導入されてもよい。
【0071】
したがって、一つの実施形態では、方法は
(A)一つまたは複数の供与スプライス部位配列を含む第一の核酸配列を提供する工程;
(B)以下を含む第二の核酸配列を提供する工程;
(i)以下を含む受容スプライス領域、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列、ここで該目的のヌクレオチド配列
(iia)は受容スプライス領域の3’側に位置している、
を含み、それによって核酸配列を得る。方法は、(C)一つまたは複数の供与スプライス部位配列で第一の核酸配列を切断し、受容スプライス部位で第二の核酸配列を切断する工程、および(D)第一の切断された核酸配列を第二の切断された核酸配列に連結し、それによって核酸配列を得る工程も含んでいてもよい。
【0072】
両方の核酸配列が目的のヌクレオチド配列を含む場合、この方法は、第一のヌクレオチド配列が(ii)目的のヌクレオチド配列を含み、ここで、目的のヌクレオチド配列が供与スプライス部位の5’側に位置しているという特徴をさらに含む。
【0073】
第二および第一の核酸配列の両方は、本明細書に記載されるように、目的のヌクレオチド配列を含んでもよい。そのような目的のヌクレオチド配列は、供与スプライス部位の5’に位置していてもよい。目的のヌクレオチド配列は、追加的または代替的に、受容スプライス領域の3’に位置していてもよい。本発明の別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、以下の配置順序を含む:好ましくは、5’-(目的の配列)-(供与スプライス部位)-3’と5’の結合-(受容スプライス領域)-(目的の配列)-3’。あるいは、5’-(目的の配列)-(受容スプライス領域)-3’と5’の結合-(供与スプライス部位)-(目的の配列)-3’。
【0074】
好ましい実施形態では、目的のヌクレオチド配列は、ポリペプチドをコードする配列であり、第一の核酸配列は、ポリペプチドをコードする配列の5’部分を含み、第二の核酸配列は、第二の核酸配列は、ポリペプチドをコードする配列の3’部分を含み、トランススプライシングは、ポリペプチドをコードする配列の5’部分および3’部分を再構成する。
【0075】
切断された核酸配列のライゲーションは、当業者に既知のプロセスである。たとえば、このライゲーションプロセスは、ライゲーション分子(ligating molecule)によって実行することができる。たとえば、ライゲーション分子は、RNAリガーゼまたはRNAリガーゼ機能を有するタンパク質であってもよい。そのようなRNAリガーゼは当業者に既知であり、とりわけたとえばChambers and Patrick (2015) “Archaeal Nucleic Acid Ligases and Their Potential in Biotechnology” Hindawi Publishing Corporation Archaea Volume 2015, 論文ID 170571, 10ページに記載されている。いくつかの(t)RNAリガーゼは、たとえばPopow et al. (2012) “Diversity and roles of (t)RNA ligases” Cell Mol Life Sci. 69(16):2657-70に記載されている。したがって、ライゲーション工程を含む方法は、RNAリガーゼの添加の工程をさらに含んでもよい。RNAリガーゼは、たとえば、mRNAリガーゼ、tRNAリガーゼ、またはrRNAリガーゼであってもよい。ライゲーションされたmRNA分子をたとえばどのように分析できるかを説明する方法を実施例に示す。
【0076】
好ましい実施形態では、方法は宿主細胞内で行われ、より好ましくは、in vitro(すなわち、対外)で行われる。したがって、第一および第二の核酸配列は、宿主細胞に導入され、ここで第一および第二の核酸配列は組換え核酸配列および/または宿主細胞に対して異種である。第一および第二の核酸配列を宿主細胞に導入することは、トランスフェクトまたは形質導入を含む。トランスフェクトはDNAまたはRNAトランスフェクトであってもよく、DNAまたはRNAをトランスフェクトする方法は当業者に既知である。好ましくは、核酸配列はDNA配列であり、DNA配列は、該DNA配列を含むプラスミドまたはベクターの形態でトランスフェクトされる。本明細書で言及される形質導入は、核酸をウイルスベクターを使用して導入することを意味し、ここでウイルスベクターはDNAまたはRNAを含んでもよい。好ましい実施形態では、ウイルスベクターはDNAウイルスベクターであり、一本鎖DNA(たとえばAAV)または二本鎖DNAを含んでもよい。
【0077】
一つの実施形態では、本発明による方法は、以下を含む: (A)プレmRNAトランススプライシング分子配列を含む第一の核酸配列または上記プレmRNAトランススプライシング分子をコードする核酸配列を宿主細胞に導入する工程であって、ここで第一のプレmRNAトランススプライシング分子は5’から3’に以下を含む工程 (a)目的のヌクレオチド酸配列の5’部分;(b)供与スプライス部位;(c)任意選択でスペーサー配列;(d)第一の結合ドメイン;および(e)任意選択で終止配列、好ましくはポリA配列、および(B)プレmRNAトランススプライシング分子配列を含む第二の核酸配列または上記プレmRNAトランススプライシング分子をコードする核酸配列を宿主細胞に導入する工程であって、ここで第二のプレmRNAトランススプライシング分子は5’から3’に以下を含む工程;(i)第一の核酸配列の第一の結合ドメインに相補的な第二の結合ドメイン;(ii)以下を含む受容スプライス領域配列;(iia)以下を含むピリミジン域、(iiaa)5~25ヌクレオチド;(iiab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;(iib)受容スプライス部位、(iiba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および(iibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここで、NはA、C、T/U、またはGである;および(iii)目的のヌクレオチド配列の3’部分。該方法は、(C)供与スプライス部位配列で第一の核酸配列を切断し、受容スプライス部位で第二の核酸配列を切断する工程;(D)目的のヌクレオチド配列の5’部分を含む第一の切断された核酸配列を、目的のヌクレオチド配列の3’部分を含む第二の切断された核酸配列に連結し、それによって目的の核酸配列を得る工程をさらに含んでもよい。好ましい実施形態では、第一および第二の核酸配列は、上記プレmRNAトランススプライシング分子をコードするDNA配列であり、第一の核酸配列は目的の核酸配列の5’部分のプロモーター5’をさらに含み、第二の核酸配列は第二の結合ドメインのプロモーター5’をさらに含む。
【0078】
本発明は、以下を含む核酸配列にも関し、ここで、目的のヌクレオチド配列は、配列番号:9のロドプシン遺伝子のエクソン3ではないか、または目的のヌクレオチド配列は、配列番号:9および/または10で定義される配列を含まないか、または目的の核酸配列は、配列番号:9のロドプシン遺伝子のエクソン3を含まない:
(i)以下を含む受容スプライス領域配列、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列、ここで該目的のヌクレオチド配列
(iia)は受容スプライス領域の3’側または5’側に位置している、
【0079】
本発明は、以下を含む核酸配列にも関し、ここで、目的のヌクレオチド配列は、配列番号:10のロドプシンmRNAではない:
(i)以下を含む受容スプライス領域配列、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列、ここで該目的のヌクレオチド配列
(iia)は受容スプライス領域の3’側または5’側に位置している。
【0080】
本発明の核酸配列は最大で5800ヌクレオチドの長さを有することが想定される。さらに、本発明の核酸配列は、最大で5500、5000、4500、4000、3500、3000、2500、2000、1500、1000、500、400、300、200、または最大で150ヌクレオチドの長さを有することが想定される。
【0081】
本発明の受容スプライス領域を核酸分子で使用することができるさらなる用途は、Smart技術のためのいわゆる外因性プレmRNAトランススプライシング分子である。本発明の受容スプライス領域を導入することができるそのようなプレmRNAトランススプライシング分子は、とりわけ、国際公開第2011/042556号、国際公開第2013/025461号、ならびにBerger et al. (2016) “mRNA trans splicing in gene therapy for genetic diseases” WIREs RNA, 7:487-498, Puttaraju et al. (1999) “Spliceosome-mediated RNA trans-splicing as a tool for gene therapy” Nature Biotechnology, vol. 17, pp. 246-252;およびMansfield et al. (2003) “5’ Exon replacement and repair by spliceosome-mediated RNA trans-splicing” RNA, vol. 9: 1290-1297に記載されている。これらの参考文献から、当業者はまた、そのようなプレmRNAトランススプライシング分子を構築する方法を知っている。いくつかの例示的なプレmRNAトランススプライシング分子核酸分子も本明細書に記載されている。
【0082】
本発明はまた、以下を含むプレmRNAトランススプライシング分子に関する:
(i)以下を含む受容スプライス領域配列、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列;ここで受容スプライス領域は目的のヌクレオチド配列の5’側に局在している;
(iii)目的の核酸配列の5’側に局在する、プレmRNAを標的とする結合ドメイン;および
(vi)任意選択でスペーサー配列、ここで該スペーサー配列は結合ドメインおよび受容スプライス領域の間に局在している。
【0083】
好ましい実施形態では、受容スプライス領域は目的のヌクレオチド配列の5’側に局在しており、結合ドメインは受容スプライス領域の5’に局在している。好ましくは、核酸配列またはプレmRNAトランススプライシング分子は終止配列、好ましくはポリA配列をさらに含む。
【0084】
本発明はさらに、以下を含むプレmRNAトランススプライシング分子に関する。
(i)以下を含む受容スプライス領域配列、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列、ここで受容スプライス領域は目的のヌクレオチド配列の5’側に局在している;
(iii)供与スプライス部位、ここで該供与スプライス部位は目的のヌクレオチド配列の3’側に局在している;
(iv)目的のヌクレオチド配列の5’側に位置するプレmRNAを標的とする第一の結合ドメイン;
(v)目的のヌクレオチド配列の3’側に位置するプレmRNAを標的とする第二の結合ドメイン;
(vi)任意選択で第一のスペーサー配列、ここで該第一のスペーサーは第一の結合ドメインと受容スプライス領域の間に局在している;
(vii)任意選択で第二のスペーサー配列、ここで第二のスペーサーは第二の結合ドメインと供与スプライス部位の間に局在している。
【0085】
一つの実施形態では、第一の結合ドメインは受容スプライス領域の5’側に局在しており、第二の結合ドメインは供与スプライス部位の3’側に局在している。当業者は、プレmRNAトランススプライシング分子をコードするDNA配列が、RNA分子であるプレmRNAトランススプライシング分子を転写するためのプロモーターを含むことを理解するであろう。用語「プレmRNAを標的とする結合ドメイン」は、「プレmRNA標的結合ドメイン」と呼ばれることもあり、これは、目的のヌクレオチド配列の5’または3’に位置していてもよい。
【0086】
本明細書に記載の核酸配列は、プレmRNAトランススプライシング分子を反映することができる。当業者は、本明細書に記載される核酸配列およびプレmRNAトランススプライシング分子は組換え配列または組み換え分子であることを理解するであろう。これらのプレmRNAトランススプライシング分子は当技術分野で既知であり、とりわけ国際公開第2011/042556号、国際公開第2013/025461号、ならびにBerger et al. (2016) “mRNA trans splicing in gene therapy for genetic diseases” WIREs RNA, 7:487-498, Puttaraju et al. (1999) “Spliceosome-mediated RNA trans-splicing as a tool for gene therapy” Nature Biotechnology, vol. 17, pp. 246-252;Mansfield et al. (2003) “5’ Exon replacement and repair by spliceosome-mediated RNA trans-splicing” RNA, vol. 9: 1290-1297、およびBerger et al. (2016) “mRNA trans-splicing in gene therapy for genetic diseases” WIREs RNA, 7:487-498に記載されている。したがって、当業者はそれらのプレmRNAトランススプライシング分子を構築する方法を知っている。プレmRNAトランススプライシング分子が標的プレmRNAに結合することが想定され、ここでプレmRNAは天然のプレmRNA、特に宿主細胞に内因性のプレmRNA、または組換えプレmRNA、特に別のプレmRNAトランススプライシング分子であってもよい。プレmRNAトランススプライシング分子は、シススプライシング反応よりも効率的にトランススプライシング反応を優先的に誘導することも企図されている。
【0087】
本明細書で使用される用語「プレmRNAを標的とする結合ドメイン」は、任意の好適な「プレmRNAを標的とする結合ドメイン」であってもよく、これは目的のヌクレオチド配列の5’側または3’側に位置する標的プレmRNAの配列に対して相補的であることを意味する。本明細書で使用される「プレmRNAを標的とする結合ドメイン」は、「標的結合ドメイン」、「結合ドメイン」(BDと略される)、または「結合配列」と呼ばれることもある。たとえば、結合ドメインは、塩基対形成によって標的プレmRNAまたはmRNAを認識することができる。たとえば、mRNAのターゲットはイントロンであってもよい。本明細書に記載のプレmRNAトランススプライシング分子の標的結合ドメインは、少なくとも15~30ヌクレオチド、好ましくは80~120ヌクレオチド、より好ましくは約100ヌクレオチドの1つまたは2つの結合ドメインを含んでもよい;または米国特許公開第US 2006-0194317 A1に記載されるように、選択された(たとえば内因性の)プレmRNAの標的領域に相補的であり、アンチセンス配向である最大数百ヌクレオチドの長い標的結合ドメインを有してもよい。これにより、結合の特異性が付与され、内因性のプレmRNAが空間に密接に固定されるため、たとえば宿主細胞の核のスプライソソームは、プレmRNAトランススプライシング分子の一部分を(たとえば、内因性の)プレmRNAの一部分にトランススプライシングすることができる。あるいは、結合ドメインは、別のプレmRNAトランススプライシング分子等の別の組換えプレmRNAの結合ドメインに逆相補的であってもよい。これにより、結合の特異性が付与され、2つのプレmRNAトランススプライシング分子が空間に密接に固定されるため、たとえば宿主細胞の核のスプライソソームは、1つのプレmRNAトランススプライシング分子の一部分を他のプレmRNAトランススプライシング分子の一部分にトランススプライシングすることができる。したがって、結合ドメインは約15~250ヌクレオチドの間、約15~200ヌクレオチドの間、約100~200ヌクレオチドの間、または500、400、300、または200ヌクレオチド未満を含むことが想定される。一つの実施形態では、結合ドメインは、50~150ヌクレオチド、好ましくは80~120ヌクレオチド、さらにより好ましくは90~110ヌクレオチドまたは約100ヌクレオチドを含む。代替的には、またはさらにより好ましくは、効率的な結合ドメインは、45~65%のGC含量を有し、および/またはイントロン真核生物配列または細菌配列に由来し、および/または最後の30bpに少なくとも一つの分岐点を含む(たとえばhuman splicing finder 3.1 (http://www.umd.be/HSF/index.html)を使用して評価するように)。
【0088】
宿主細胞内で、結合ドメインは、内因性プレmRNAまたは第二の異種性または組換えプレmRNAが標的結合ドメインに逆相補的な配列を含む限り、内因性プレmRNAまたは第二の異種性または組換えプレmRNA(宿主細胞に提供または導入される)に結合しうる。したがって、第二の異種性または組換えプレmRNAに関して、それは第一の異種性のプレmRNAの結合ドメインに逆相補的な結合ドメインを含む。用語「内因性」および「異種性」は、本明細書においては宿主細胞に関して使用される。内因性プレmRNAを標的とすることは、スプライソソームを介したRNAトランススプライシングとも呼ばれ、通常、内因性プレmRNAの一部を置換するために使用される。第二の異種性または組換えプレmRNAを標的とすることもまた、トランススプライシングと呼ばれ、一つのプレmRNAトランススプライシング分子由来の第一のヌクレオチド配列またはその一部分(5’)を別のプレmRNAトランススプライシング分子の第二のヌクレオチド配列またはその一部分(3’)と連結する新規の組換えmRNAを生成する。本明細書で使用する用語「組換え」は、分子クローニング等の遺伝子組換えの実験的方法によって形成されたDNA分子または配列、ならびに上記組換えDNA分子または配列によってコードされるRNAまたはポリペプチド分子/配列を指す。
【0089】
用語「プレmRNA」または「プレRNA」は、トランススプライシング前のRNAを指し、通常、シススプライシング前のRNA分子(たとえば、イントロンおよびエクソンを含む)を表すが、結合ドメインがエクソン-エクソン境界にまたがる配列を標的とする場合等、シススプライシング後のRNA分子(たとえば、エクソンのみを含む)を指す場合もある。
【0090】
本明細書で使用する用語「異種」は、実験的に細胞に移行(transfer)または導入され、したがってこの細胞に内因性ではないタンパク質または核酸分子または配列を指す。異種タンパク質または核酸分子または配列が、レシピエントとは異なる細胞型または異なる種に由来しうる場合、それがレシピエント宿主細胞に導入される限り、それは、レシピエントと同じ細胞型または種に由来してもよい。本明細書で言及されるように、「異種」および「組換え」という用語は交換可能に使用される。
【0091】
本発明における使用のために好適な例示的な結合ドメインは、それに限定されることなく、配列番号:27、28、32、33または18の配列によってコードされるRNA配列を有する結合ドメインである。さらなる標的結合ドメインは、実施例2および5に記載および使用されるか、またはRiedmayr LM. (2020, SMaRT for Therapeutic Purposes. Methods Mol Biol 2079:219-32. doi: 10.1007/978-1-4939-9904-0_17)またはDallinger G. et al. (2003, Development of spliceosome-mediated RNA trans-splicing (SMaRT) for the correction of inherited skin diseases. Exp Dermatol 12:37-46)に記載されるように、再構成効率を決定するためのセルリアン再構成アッセイ等のレポーター再構成アッセイを使用して同定することができる。
【0092】
第二の結合領域は、分子の3’'末端に配置されてもよく、そして本発明のプレmRNAトランススプライシング分子に組み込むことができる。絶対的な相補性は望ましいが、必須ではない。本明細書で言及される、内因性プレmRNAの一部分に対して「相補的」な配列は、内因性プレmRNAとハイブリダイズして安定な二重鎖を形成することができるのに十分な相補性を有する配列を意味する。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度および核酸の長さの両方に依存する(たとえば、Sambrook et ah, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.を参照のこと)。
【0093】
したがって、プレmRNAを標的とする結合ドメインに関して使用される相補性は、結合ドメインが、プレmRNA上の標的配列に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%相補的であることを意味し、好ましくはプレmRNA上の標的配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、または100%相補的であることを意味する
【0094】
スプライス部位を結合ドメインから分離するためのスペーサー領域もまた、好ましくは、プレmRNAトランススプライシング分子に含まれる。スペーサー配列は、プレmRNAトランススプライシング分子の領域であり、比較的弱い相補性によってプレmRNAトランススプライシング分子の3’および/または5’スプライス部位のエレメントをカバーし、それによって非特異的トランススプライシングを防止することができる。
【0095】
5’供与スプライス部位および3’末端結合ドメインを分離するスペーサーは、約10~100ヌクレオチドの間、好ましくは約10~70ヌクレオチドの間、約20~70ヌクレオチドの間、約20~50ヌクレオチドの間、より好ましくは約30~50ヌクレオチドの間を含んでもよい。このスペーサーは、下流イントロンスプライスエンハンサー(DISE)を含んでもよい。3’受容スプライス領域を5’末端結合ドメインから分離するスペーサー配列は、約2~100ヌクレオチドの間、または約10~100ヌクレオチドの間、好ましくは約2~50ヌクレオチドの間、より好ましくは約5~20ヌクレオチドの間を含んでもよい。
【0096】
スペーサーは非コード配列でありうるが、スプライシングされたプレmRNAトランススプライシング分子の翻訳をブロックする終止コドン等の特徴を含むように設計されてもよい。プレmRNAトランススプライシング分子に追加の特徴を追加することができ、上記のように当業者に知られている。本明細書に記載の核酸配列またはプレmRNAトランススプライシング分子が(組換え)ベクターに含まれることがさらに想定される。そのようなベクターは同様に当業者に知られている。目的のプレmRNAトランススプライシング分子等の本発明のヌクレオチド配列を含むベクターは、哺乳動物細胞での複製および発現に使用されるプラスミド、ウイルス、または当技術分野で知られている他のものであってもよい。
【0097】
目的のヌクレオチド配列または本明細書に記載のヌクレオチド配列、たとえばプレmRNAトランススプライシング分子の発現は、哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞において作用することが当技術分野で知られている、任意のプロモーター/エンハンサー配列によって調節することができる。そのようなプロモーター/エンハンサー配列は誘導性、または構成的であってもよい。そのようなプロモーターは、本明細書の他の場所にも記載されている。一つの例示的なプロモーターは、ヒトロドプシンプロモーターまたはマウスロドプシンプロモーターまたは短波長感受性オプシンプロモーターまたは中波長感受性オプシンプロモーターまたは長波長感受性オプシンプロモーター等である。任意のタイプのプラスミド、コスミド、YAC、またはウイルスベクターを使用して、組織部位に直接導入できる組換えDNA構築物を調製することができる。あるいは、所望の標的細胞に選択的に感染するウイルスベクターを使用することができる。本発明の実施において使用するためのベクターは、レトロウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスのクラスに由来するもの等のウイルス発現ベクターを含むがこれらに限定されない、任意の真核生物発現ベクターを含む。好ましい実施形態では、本発明の組換えベクターは、真核生物発現ベクターである。
【0098】
別の特定の実施形態では、本発明は、本発明のプレmRNAトランススプライシング分子、または本発明のプレmRNAトランススプライシング分子をコードする核酸配列等の核酸配列を標的細胞に送達することを含む。様々な送達システムが知られており、本発明の組成物を細胞に移行するために使用することができる。たとえば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへのカプセル化、組成物を発現することができる組換え細胞、受容体を介したエンドサイトーシス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築、DNAの注入、エレクトロポレーション、リン酸カルシウムを介したトランスフェクション等。本発明はまた、本発明のプレmRNAトランススプライシング分子、プレmRNAトランススプライシング分子をコードする核酸配列、または本発明のプレmRNAトランススプライシング分子をコードする核酸配列を含む組換えベクター等の核酸配列を含む細胞にも関する。
【0099】
目的の核酸配列または本明細書に開示される核酸配列を使用して、機能的な生物学的に活性な分子をコードする遺伝子を、欠損遺伝子産物または変異遺伝子産物の発現は、正常な表現型を生成する遺伝性遺伝性疾患(inherited genetic disorder)を有する個体の細胞に提供することができる。これは、とりわけ、本明細書にも開示されているように、アデノ随伴ウイルスベクターによって達成することができる。
【0100】
本発明はまた、プロモーターおよび本明細書に記載のプレmRNAトランススプライシング分子をコードする配列を含むデオキシリボ核酸(DNA)分子に関する。好ましくは、DNA分子は、ベクターまたはプラスミドであり、ここで、ベクターは、AAV、アデノウイルス、またはレンチウイルスベクターまたはプラスミド等のウイルスベクターであってもよい。プレmRNAトランススプライシング分子またはウイルスベクター等のDNA分子は、治療、具体的には遺伝子治療、より具体的には眼疾患を治療する遺伝子治療に使用することができる。
【0101】
本発明の受容スプライス部位を使用することができるさらなる用途は、任意のAAVベクターまたはAAVベクター系にある。そのようなベクター系およびそれらがどのように構築されうるかは、当業者に知られており、とりわけ、Carvalho et al. (2017) “Evaluating efficiencies of dual AAV approaches for retinal targeting” Frontiers in Neuroscience, vol. 11, Article 503、米国特許出願第2014/0256802号、またはTrapani et al. (2013) “Effective delivery of large genes to the retina by dual AAV vectors” EMBO Molecular Medicine, vol. 6, no. 2, pp. 194-211に記載されている。一部の例示的なAAVベクターおよびAAVベクター系もまた本明細書に記載されている。
【0102】
本発明はまた、これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列を含む少なくとも2つの逆方向末端反復を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関し、ここで該核酸配列は、5’から3’に
(i)プロモーター;
(ii)結合ドメイン;
(iii)任意選択でスペーサー配列;
(iv)以下を含む受容スプライス領域
(a)以下を含むピリミジン域
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(b)受容スプライス部位、
ba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
bb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(v)目的のヌクレオチド配列
(vi)任意選択で終止配列、たとえばポリA配列
を含む。
【0103】
構造的に、AAVは小さい(25nm)、二十面体キャプシドを有する一本鎖DNA非エンベロープウイルスである。キャプシド(cap)タンパク質の組成および構造が異なる天然または改変AAVバリアント(AAVセロタイプも)は、様々な指向性、すなわち異なる(網膜)細胞型を形質導入する能力を有する(Boye et al. (2013) “A comprehensive review of retinal gene therapy” Molecular therapy 21 509-519)。遍在的に活性なプロモーターと組み合わせると、この指向性は遺伝子発現の部位を明確化する。一方、細胞型特異的プロモーターとの組み合わせでは、部位特異性の程度(すなわち、桿体または錐体光受容体でのみ導入遺伝子の発現)は、AAVセロタイプの指向性およびプロモーターの特異性の両方の組み合わせによって明確化される(Schon et al. (2015) “Retinal gene delivery by adeno-associated virus (AAV) vectors: Strategies and applications” Eur J Pharm Biopharm. 95(Pt B):343-52)。
【0104】
すべて互換的に使用される用語「アデノ随伴ウイルスベクター」または「組換えAAV」または「rAAV」は、そのウイルスゲノム中に異種ポリヌクレオチド配列(本明細書において目的のヌクレオチド配列とも呼ばれる)を含む任意のAAVを含むことを意味する。一般に、目的の異種ポリヌクレオチド/ヌクレオチド配列には、少なくとも1つ、一般に2つの天然またはバリアントのAAV逆方向末端反復配列(ITR)が隣接している。用語rAAVベクターは、rAAVベクター粒子およびrAAVベクタープラスミドの両方を包含する。したがって、たとえば、異種ポリヌクレオチドを含むrAAVは、天然に存在する野生型AAVに通常含まれない核酸配列、たとえば導入遺伝子(たとえば、非AAVRNAコードポリヌクレオチド配列、非AAVタンパク質コードポリヌクレオチド配列)、非AAVプロモーター配列、非AAVポリアデニル化配列等を含むrAAVであってもよい。
【0105】
そのような組換えAAVベクターは当技術分野における技術常識であり、当業者はそのような組換えAAVの構築方法も知っている。
【0106】
「rAAVベクターゲノム」または「rAAVゲノム」は、一つまたは複数の異種核酸配列を含むAAVゲノム(すなわち、vDNA)である。rAAVベクターは通常、ウイルスを生成するために末端反復(TR)のみを必要とする。他のすべてのウイルス配列は不要と見なされ、トランスで供給される場合がある(Muzyczka, (1992) Curr Topics Microbiol. Immunol. 158:97)。通常、rAAVベクターゲノムは、ベクター/キャプシドによって効率的にパッケージ化できる導入遺伝子/目的のヌクレオチド配列/異種核酸配列のサイズを最大化するために、一つまたは複数のTR配列のみを保持している。構造的および非構造的タンパク質コード配列は、(たとえば、プラスミド等のベクターから、または配列をパッケージング細胞に安定して組み込むことによって)トランスで提供される場合がある。本発明の実施形態では、rAVVベクターゲノムは、少なくとも1つのTR配列(たとえば、AAV TR配列)、任意選択で2つのTR(たとえば、2つのAAV TR)を含み、これらは通常、ベクターゲノムの5’末端および3’末端にあり、異種核酸に隣接しているが、それに隣接している必要はない。TRは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0107】
すべて互換的に使用される用語「逆方向末端反復」、「末端反復」または「TR」は、ヘアピン構造を形成し、逆方向末端反復として機能する(すなわち、複製、ウイルスパッケージング、組み込み(integration)および/またはプロウイルスレスキュー等の所望の機能を介する場合)任意のウイルス末端反復または合成配列を含む。TRはAAV TRまたは非AAV TRであってもよい。たとえば、他のパルボウイルス(たとえば、イヌパルボウイルス(CPV)、マウスパルボウイルス(MVM)、ヒトパルボウイルスB-19)のような非AAV TR配列、または任意の他の好適なウイルス配列(たとえば、SV40複製の起点として機能するSV40ヘアピン)をTRとして使用することができ、さらにトランケーション、置換、欠失、挿入、および/または付加により改変することができる。さらに、TRは米国特許第5,478,745号に記載される「ダブルD配列」のように、部分的にまたは完全に合成であってもよい。末端反復は、約50、100、150、200、250、300以上の長さのヌクレオチドを有してもよい。たとえば、末端反復は約145ヌクレオチドを有する。たとえば、逆方向末端反復は、配列番号:14および/または15の配列を有してもよい。逆方向末端反復は、配列番号:14および/または15の配列と少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%の配列同一性を有しうることも想定される。好ましくは、AAVベクターは配列番号:14および15の両方、または配列番号:14および15に対して少なくとも60%の配列同一性を有する配列を含む。
【0108】
「AAV末端反復」または「AAV TR」は、現在知られている、または今後見出される任意のAAV由来であってよく、セロタイプ1、2、3、3B、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13または任意の他のAAVを含むが、これらに限定されない。末端反復が所望の機能、たとえば複製、ウイルスパッケージング、組み込み(integration)および/またはプロウイルスレスキュー等を媒介する限り、AAV末端反復はネイティブな末端反復配列を有する必要はない(たとえば、ネイティブなAAV TR配列は挿入、欠失、トランケーションおよび/またはミスセンス変異によって変更されてもよい)。本発明のウイルスベクターは、さらに国際特許公開第00/28004に記載されているように、「標的とする」ウイルスベクター(たとえば、定方向の指向性を有する)および/または「ハイブリッド」パルボウイルス(すなわち、ウイルスTRおよびウイルスキャプシドが異なるパルボウイルスに由来する)であってもよい。
【0109】
組換えAAVまたはAAVベクターは、天然に存在するAAV type 1(AAV-1)、AAV type 2(AAV-2)、AAV type 3(AAV-3)、AAV3B、AAV type 4(AAV-4)、AAV type 5(AAV-5)、AAV type 6(AAV-6)、AAV type 7(AAV-7)、AAV type 8(AAV-8)、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、rh10、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、およびヒツジAAVと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むか、またはそれを有することも想定される。
【0110】
本発明によると、2つの逆方向末端反復の間の核酸配列は、本明細書に記載のプロモーターをさらに含む。AAVで使用されるプロモーターの選択は、所望の標的細胞において目的の選択された導入遺伝子/ヌクレオチド配列を発現することができる多数の構成的または誘導性プロモーターの中からすることができる。プロモーターは、ヒトを含む任意の種由来であってよい。
【0111】
本明細書に記載のプロモーターは「細胞特異的」であってもよい。用語「細胞特異的」は、組換えベクターのために選択された特定のプロモーターが、特定の細胞または眼細胞型における目的の選択された導入遺伝子/ヌクレオチド配列の発現を指示できることを意味する。有用なプロモーターは、桿体オプシンプロモーター、赤緑オプシンプロモーター、青オプシンプロモーター、cGMP-P-ホスホジエステラーゼプロモーター、マウスオプシンプロモーター(Beltran et al. (2010) “rAAV2/5 gene-targeting to rods:dose-dependent efficiency and complications associated with different promoters.” Gene Ther. 17(9):1162-74)、ロドプシンプロモーター(Mussolino et al, Gene Ther, July 2011, 18(7):637-45);錐体トランスデューシンのアルファサブユニット(Morrissey et al, BMC Dev, Biol, Jan 2011,11:3);ベータホスホジエステラーゼ(PDE)プロモーター;網膜色素変性症(RP1)プロモーター(Nicord et al, J. Gene Med, Dec 2007, 9(12): 1015-23);NXNL2/NXNL1プロモーター(Lambard et al, PLoS One, Oct. 2010, 5(10):el3025)、PE65プロモーター;retinal degeneration slow/peripherin 2 (Rds/perph2)プロモーター(Cai et al, Exp Eye Res. 2010 Aug;91(2): 186-94);およびVMD2プロモーター(Achi et al, Human Gene Therapy, (2009) 20:3-9)を含むが、これらに限定されない。
【0112】
本発明で使用される有用なプロモーターはまた、桿体オプシンプロモーター(RHO)、赤緑オプシンプロモーター、青オプシンプロモーター、cGMP-ホスホジエステラーゼプロモーター、SWSプロモーター(青短波長感受性(SWS)オプシンプロモーター)、マウスオプシンプロモーター(上記のBeltran et al. 2010)、ロドプシンプロモーター(Mussolino et al, Gene Ther, July 2011, 18(7):637-45);錐体トランスデューシンのアルファサブユニット(Morrissey et al, BMC Dev, Biol, Jan 2011,11:3);錐体アレスチン(ARR3)プロモーター(Kahle NA et al., Hum Gene Ther Clin Dev, September 2018, 29(3):121-131)、ベータホスホジエステラーゼ(PDE)プロモーター;網膜色素変性症(RP1)プロモーター(Nicord et al, J. Gene Med, Dec 2007, 9(12): 1015-23);NXNL2/NXNL1プロモーター(Lambard et al, PLoS One, Oct. 2010, 5(10):el3025)、RPEプロモーター;retinal degeneration slow/peripherin 2 (Rds/perph2)プロモーター(Cai et al, Exp Eye Res. 2010 Aug;91(2): 186-94);VMD2プロモーター(Achi et al, Human Gene Therapy, 2009 (20:3-9))、およびABCA4プロモーターまたは少なくとも2つの異なるプロモーターからなる任意のハイブリッドプロモーターを含むが、これらに限定されない。
【0113】
2つの逆方向末端反復の間の核酸配列は、目的の核酸配列の3’側に位置するポリアデニル化シグナル等の終結シグナルをさらに含むことも企図される。プレRNAは内因性プレRNAまたはさらなる組換えプレRNAにトランススプライシングされて、成熟mRNA等の成熟RNAの5’末端を形成する可能性があるため、目的の核酸配列の3’側に位置するポリアデニル化シグナル等の終結シグナルは任意選択である。しかし、トランススプライシングの有効性は、ポリアデニル化シグナルの存在下でより高いことが示されている。
【0114】
プレRNAを転写するためにプロモーターが必要であるが、核酸配列は必ずしもATG(翻訳開始)および/またはコザックコンセンサス配列を必要としない。プレRNAが内因性プレRNAまたはさらなる組換えプレRNAにトランススプライシングされて、成熟mRNAなどの成熟RNAの3’末端を形成しうる場合、ATGの欠如および/またはコザックコンセンサス配列は、トランススプライシングの前のプレRNAからの望ましくない翻訳を回避するのに有利な場合がある。
【0115】
これらおよび他の一般的なベクターおよび調節エレメントの選択は従来通りであり、そのような配列の多くが利用可能である。たとえば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, 1989を参照されたい。もちろん、すべてのベクターおよび発現調節配列が、本明細書に記載されるように、すべての導入遺伝子を発現するために等しくうまく機能するわけではない。しかしながら、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、これらおよび他の発現調節配列の中から選択を行うことができる。
【0116】
本発明はまた、以下を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系にも関する:
(I)これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列を含む核酸配列少なくとも2つの逆方向末端反復を含む第一のAAVベクターであって、ここで上記これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列が5’から3’に
(a)プロモーター、
(b)目的のポリペプチドのN末端部分をコードするヌクレオチド配列;
(c)供与スプライス部位;
(d)任意選択でスペーサー配列;
(e)第一の結合ドメイン;および
(f)任意選択で終止配列、好ましくはポリA配列;
を含む、第一のAAVベクター、
(II)これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列を含む少なくとも2つの逆方向末端反復を含む核酸配列を含む第二のAAVベクターであって、
ここで上記これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列が5’から3’に
(i)プロモーター;
(ii)第一のAAVベクターの第一の結合ドメインに相補的な、第二の結合ドメイン;
(iii)任意選択でスペーサー配列、
(iv)以下を含む受容スプライス領域配列、
(a)以下を含むピリミジン域、
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(b)受容スプライス部位、
(ba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(bb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(v)目的のポリペプチドのC末端部分をコードするヌクレオチド配列;
(vb)ここで目的のポリペプチドのC末端部分および目的のポリペプチドのN末端部分は目的のポリペプチドを再構成する;および
(vi)終止配列、好ましくはポリA配列
を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系。
【0117】
したがって、目的のポリペプチドのC末端部分は、第一のAAVベクターに含まれるポリペプチドのN末端部分から欠損している目的のポリペプチドの部分に対応する。一つの実施形態では、ポリペプチドは完全長ポリペプチドであり、第一のAAVベクターは、目的の完全長ポリペプチドのN末端部分を含み、第二のAAVベクターは、目的の完全長ポリペプチドのC末端部分を含み、目的の完全長ポリペプチドのC末端部分および目的の完全長ポリペプチドのN末端部分は、目的のポリペプチドを再構成する。したがって、目的の完全長ポリペプチドのC末端部分は、第一のAAVベクターに含まれる完全長ポリペプチドのN末端部分から欠損している目的の完全長ポリペプチドの部分に対応する。より具体的には、トランススプライシングに続いて、mRNAは、目的のポリペプチドのN末端部分および目的のポリペプチドのC末端部分を(フレーム内に)コードする配列を含み、ここで、mRNAは、目的の(完全長)ポリペプチドをコードし、したがって、目的のポリペプチドが再構成される。
【0118】
特に、rAAVまたはAAVベクターゲノムのパッケージング容量には約5kbまでのサイズ制限がある。多くの治療用タンパク質のcDNAは大きいため、rAAVベクターを使用して大きな導入遺伝子を送達する戦略を考案することで、rAAVを介した遺伝子治療の臨床応用を大幅に拡大することができる。したがって、一つの実施形態では、目的のポリペプチドは、導入遺伝子によってコードされるポリペプチドである。すでにAAVパッケージング容量を超えている導入遺伝子を提供するために、トランススプライシングアプローチが開発された。簡単に言えば、2つの別々のrAAVベクターが導入遺伝子の2つの部分を標的細胞に送達する。1つの部分は導入遺伝子の5’部分の3’末端にスプライシング供与シグナルを含み、他の部分は導入遺伝子の3’部分の5’末端にスプライシング受容シグナルを含む。従来の系では、2つのベクターゲノム間の分子間組換えにより、介在するITRジャンクションまたは組換え遺伝子配列を含む介在配列が生成される。これは、次の工程で、単一のプレmRNA分子から細胞のシススプライシング機構によって切り出されて完全な完全長の導入遺伝子カセットを形成する。本発明によるAAVベクター系において、2つのベクターゲノムは別々に転写され、プレmRNAはそれらの相補的結合ドメインを介して相互作用し、2つのプレmRNAはトランスでスプライシングされて完全な(完全長の)導入遺伝子転写物を形成する。
【0119】
ベクター系の効率は、(完全長の)目的のタンパク質またはデュアルAAVベクターアプローチによって提供される目的のタンパク質をコードするmRNAの発現を測定することによって、たとえば本明細書に記載されているか、または当業者に知られている手段および技術によって、評価することができる。
【0120】
第二の結合ドメインは、第一のAAVベクターの第一の結合ドメインに相補的である。完全な相補性は、好ましいが、要求はされない。本明細書で言及される、第一の結合ドメインの一部に対して「相補的」な配列は、第一の結合ドメインとハイブリダイズして安定な二重鎖を形成することができるのに十分な相補性を有する配列を意味する。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度および核酸の長さの両方に依存する(たとえば、Sambrook et ah, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.を参照のこと)。したがって、第二の結合ドメインに関して使用される相補性は、第二の結合ドメインが、第一のAAVに含まれる第一の結合ドメインに少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%相補的であり、好ましくは第一のAAVに含まれる第一の結合ドメインに少なくとも90%、95%、98%、99%、または100%相補的である配列を含むことを意味する。
【0121】
第一の結合ドメインは、配列番号:17に示される配列、または配列番号:17の配列に対し60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を有し、または含んでもよい。第二の結合ドメインは、配列番号:18に示される配列、または配列番号:18の配列に対し60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を有し、または含んでもよい。当業者は、第二の結合ドメインが第一の結合ドメインに相補的である限り、第一の結合ドメインおよび第二の結合ドメインは交換可能であることを理解するだろう。したがって、第一の結合ドメインは、配列番号:18に示される配列、または配列番号:17に対し60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を有し、または含んでもよい。第一の結合ドメインは、配列番号:17に示される配列、または配列番号:18に対し60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を有し、または含んでもよい。
【0122】
あるいは、第二の結合ドメインは、配列番号:18、27、28、32、および33のいずれか一つの配列、または配列番号:18、27、28、32、および33のいずれか一つの配列に対し60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を有し、または含み、第一の結合ドメインは、第二の結合ドメインに相補的な配列、好ましくは第二の結合ドメインに相補的な配列、好ましくは第二の結合ドメインに少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%相補的な配列、より好ましくは第二の結合ドメインに少なくとも90%、95%、98%、99%、または100%相補的な配列、さらにより好ましくは第二の結合ドメインに98%、99%、または100%相補的な配列を有する、または含む。当業者は、結合ドメインが互いに相補的である限り、第一および第二の結合ドメインが交換されてもよいことを理解するであろう。したがって、第一の結合ドメインは、配列番号:18、27、28、32、および33のいずれか一つの配列、または配列番号:18、27、28、32、および33のいずれか一つの配列に対して60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を有してもよく、または含んでもよく、第二の結合ドメインは、第一の結合ドメインに対して相補的な配列、好ましくは第一の結合ドメインに少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%相補的な配列、より好ましくは第一の結合ドメインに少なくとも90%、95%、98%、99%、または100%相補的な配列、さらにより好ましくは第一の結合ドメインに98%、99%、または100%相補的な配列を有する、または含む。
【0123】
さらに、配列番号:27または28のヌクレオチド50~100が結合ドメインとして有効であることが示されている。したがって、一つの実施形態では、第二または第一の結合ドメインは、配列番号:27または28のヌクレオチド50~100の配列、または配列番号:27または28のヌクレオチド50~100の配列に対して80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。好ましくは、結合ドメインは、配列番号:27または28のヌクレオチド50~100の配列、または配列番号:27または28のヌクレオチド50~100の配列に対して80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む少なくとも80ヌクレオチドを有する。当業者は、他の結合ドメインが、それぞれ、第一または第二の結合ドメインに相補的である、好ましくは、それぞれ、第一または第二の結合ドメインに少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%相補的である、より好ましくは、それぞれ第一または第二の結合ドメインに少なくとも90%、95%、98%、99%、または100%相補的である、さらにより好ましくは、それぞれ第一または第二の結合ドメインにそれぞれ98%、99%、または100%相補的である配列を有する、または含むことを理解するであろう。
【0124】
別の実施形態では、第二または第一の結合ドメインは、配列番号:18、32、または33のヌクレオチド1~50、または配列番号:18、32、または33のヌクレオチド1~50に対して80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。好ましくは、結合ドメインは、配列番号:18、32、または33のヌクレオチド1~50、または配列番号:18、32、または33のヌクレオチド1~50に対して80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む少なくとも80ヌクレオチドを有する。当業者は、他の結合ドメインが、それぞれ、第一または第二の結合ドメインに相補的である、好ましくは、それぞれ、第一または第二の結合ドメインに少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%相補的である、より好ましくは、それぞれ第一または第二の結合ドメインに少なくとも90%、95%、98%、99%、または100%相補的である、さらにより好ましくは、それぞれ第一または第二の結合ドメインにそれぞれ98%、99%、または100%相補的である配列を有する、または含むことを理解するであろう。
【0125】
結合ドメインは、約15~250ヌクレオチドの間、約15~200ヌクレオチドの間、約100~200ヌクレオチドの間、または500、400、300、または未満を有していてもよい。一つの実施形態では、結合ドメインは、50~150ヌクレオチド、好ましくは80~120ヌクレオチド、さらにより好ましくは90~110ヌクレオチド、または約100ヌクレオチドを含む。本明細書に記載の結合ドメインはまた、プレmRNAトランススプライシング分子または本発明による方法において使用することができる。
【0126】
本発明に従って使用される第一および第二の結合ドメインは、ヒト配列または細菌配列等の非ヒト配列に由来していてもよい。治療(特に遺伝子治療)等におけるヒトでの使用では、ヒト細胞でのオフターゲット効果を回避するために、非ヒト配列が好ましい。
【0127】
本明細書に記載の第二のAAVベクターおよび任意選択で第一のAAVベクターは、核酸配列の3’側に位置するポリアデニル化(ポリA)シグナルなどの終結シグナルを含んでもよい。ポリAシグナル/配列は当業者に知られており、SV-40、ヒトおよびウシを含むがこれらに限定されない多くの好適な種に由来してもよい。「ポリA」(A=アデニル酸)は、プロセスされた転写物のポリアデニル化を可能にするAAUAAAコンセンサス配列を含む核酸配列等、複数のアデノシン一リン酸を含む核酸配列を指す。遺伝子破壊または選択カセット(GDSC)では、ポリA配列はレポーターおよび/または選択可能なマーカー遺伝子の下流に位置し、転写産物の終わりをRNAポリメラーゼにシグナル伝達する。AAVベクターは、配列番号:16のポリA配列、または配列番号:16に示される配列に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または100%の配列同一性を有する配列を含みうることが想定される。
【0128】
本発明のAAVベクターまたは他のベクターは、任意選択で一つまたは複数の転写終結配列、一つまたは複数の翻訳終結配列、一つまたは複数のシグナルペプチド配列、一つまたは複数の配列内リボソーム進入部位(IRES)、および/または一つまたは複数のエンハンサーエレメント、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含んでもよい。転写終結領域は、通常、真核生物またはウイルスの遺伝子配列の3’'非翻訳領域から取得できる。転写終結配列は、コード配列の下流に配置して、効率的な終結を提供することができる。シグナルペプチド配列は、たとえば、特定のオルガネラコンパートメントを含む一つまたは複数の翻訳後細胞目的地、またはタンパク質合成および/または活性の部位、さらには細胞外環境への作動可能に連結されたポリペプチドの位置に関与する情報をコードするアミノ末端ペプチド配列である。
【0129】
エンハンサー-遺伝子転写を増加させるシス作用性調節エレメント-は、開示されたAAVベクターまたはベクターの一つに含まれていてもよい。種々のエンハンサーエレメントは当業者に公知であり、CaMV 35Sエンハンサーエレメント、サイトメガロウイルス(CMV)初期プロモーターエンハンサーエレメント、SV40エンハンサーエレメント、ならびにそれらの組み合わせおよび/またはそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。目的の構造遺伝子によってコードされるmRNAのポリアデニル化を指示または調節する一つまたは複数の核酸配列もまた、本発明の一つまたは複数のベクターに任意選択でてもよい。
【0130】
開示されたデュアルベクター系は、遺伝子治療および/またはウイルス技術の当業者に知られている方法のいずれか一つまたは複数を使用して、一つまたは複数の選択された哺乳動物細胞に導入されうる。そのような方法は、トランスフェクション、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポフェクション、細胞融合、およびリン酸カルシウム沈殿、ならびに微粒子銃法を含むが、これらに限定されない。一つの実施形態では、本発明のベクターは、たとえば、リポフェクション(すなわち、一つまたは複数のカチオン性脂質から調製されたリポソームを介したDNAトランスフェクション)を含む、in vivoで導入してもよい。合成カチオン性脂質(LIPOFECTIN、Invitrogen Corp.、ラホヤ、カリフォルニア州、米国)を使用して、ベクターをカプセル化し、一つまたは複数の選択された細胞への導入を容易にするリポソームを調製することができる。本発明のベクター系はまた、当業者に知られている方法を使用して、「ネイキッドな」DNAとしてin vivoで導入することができる。
【0131】
本発明はまた、本発明の核酸配列および/またはAAVベクターおよび/またはAAVベクター系を含むキットにも関する。
【0132】
本発明はまた、目的の核酸配列を作製する方法にも関し、該方法は以下の工程を含む:
(A)核酸配列を宿主細胞と接触させる工程であって、該核酸配列は以下を含む工程
(i)一つまたは複数の供与スプライス部位配列;
(ii)以下を含む受容スプライス領域配列
(a)以下を含むピリミジン域;
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(b)受容スプライス部位、
ba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
bb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(III)目的の核酸配列またはその一部分であって、該目的のヌクレオチド配列またはその一部
(a)は供与スプライス部位の3’側および受容スプライス領域の5’側に位置しており;および
(B)(i)の一つまたは複数の供与スプライス部位配列、および(ii)の受容スプライス領域で核酸配列を切断し、それによって目的のヌクレオチド配列またはその一部を供与スプライス部位および受容スプライス領域から分離する工程。
【0133】
当業者には知られているように、スプライシングは様々な方法で行われうる。当業者に知られているのは、たとえば、シススプライシングおよびトランススプライシングである。シススプライシングは、シスのRNA転写産物(mRNAまたはその他のRNA)からイントロン配列を切り出すプロセスである。宿主細胞におけるこのプロセスは核内で起こる。シススプライシングは当業者に知られており、とりわけ「DNAからRNAへ」という見出しの下にAlberts B, Johnson A, Lewis J, et al. (2002) “Molecular Biology of the Cell. 4th edition.” ニューヨーク:Garland Scienceに記載されている。
【0134】
一般に、疾患の治療(therapy)または治療(treatment)または予防は、それを必要とする哺乳動物対象に、有効量のAAVベクター、AAVベクター系、ベクター、または本明細書に記載の核酸分子、たとえば眼細胞等の対象の標的細胞において遺伝子産物を発現する調節配列の制御下で、目的の導入遺伝子/ヌクレオチド配列またはその断片をコードする核酸配列を保有するプレmRNAトランススプライシング分子等、および任意選択でさらに薬学的に許容される担体を含む組成物を投与することを含む。
【0135】
本発明は、したがって、本発明に記載のAAVベクター、AAVベクター系、ベクターまたは核酸配列(たとえば、プレmRNAトランススプライシング分子)を含む医薬組成物にも関する。そのような医薬組成物は、担体、好ましくは薬学的に許容される担体をさらに含んでもよい。
【0136】
医薬組成物は、注射可能な溶液の形態であってもよい。注射可能な溶液または懸濁液は、マンニトール、1,3-ブタンジオール、水、リンゲル液または等張塩化ナトリウム溶液等の好適な非毒性の薬学的に許容される希釈剤または溶媒、または好適な分散剤または湿潤剤および懸濁剤、たとえば滅菌の、無菌の、合成モノグリセリド、合成ジグリセリド、オレイン酸を含む脂肪酸を含む固定油を使用して、既知の技術に従って製剤化することができる。
【0137】
注射可能な製剤の場合、医薬組成物は、好適なバイアルまたはチューブ内の好適な賦形剤と混合した凍結乾燥粉末にすることができる。クリニックで使用する前に、凍結乾燥粉末を好適な溶媒系に溶解して、静脈内または筋肉内注射、または網膜下、硝子体内または結膜下注射に好適な組成物を形成することにより、薬物を再構成することができる。
【0138】
本発明の医薬組成物は、点眼薬として製剤化/投与されることも想定されている。
【0139】
本発明に記載のAAVベクター、AAVベクター系、ベクター、または核酸配列(たとえば、プレmRNAトランススプライシング分子)、または本発明の医薬組成物は、治療有効量で投与することができる。AAVベクター、AAVベクター系、プレmRNAトランススプライシング分子等の核酸配列またはベクターの「治療有効量」は、当業者に明らかであるように、患者の体内の活性化合物の安定性、軽減される状態の重症度、治療される患者の総重量、投与経路、身体による活性化合物の吸収、分配、および排泄の容易さ、治療される患者の年齢および感受性、有害事象等を含むがこれらに限定されない要因によって変化しうる。
【0140】
原則として、本発明のAAVベクター、AAVベクター系、ベクター、またはプレmRNAトランススプライシング分子等の核酸配列、または本発明の医薬組成物は、任意の好適な方法で投与することができる。たとえば光受容細胞の標的管使用するための所望のトランス遺伝子(すなわち、目的のヌクレオチド配列)を含む本発明のAAVベクター、AAVベクター系、ベクター、核酸配列または医薬組成物は、網膜下または硝子体内注射を目的とした医薬組成物に製剤化することができる。本明細書に記載の方法において有用でありうる他の投与形態は、所望の器官への直接送達(たとえば、眼、たとえば点眼薬)、経口、吸入、鼻腔内、気管内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、および他の非経口経路を含むが、これらに限定されない。投与経路は必要に応じて組み合わせることができる。
【0141】
さらに、治療の対象となる特定の眼細胞の領域を特定するために、非侵襲的網膜画像および機能的研究を行うことが望ましい場合もある。
【0142】
本明細書に記載のAAVベクター、AAVベクター系、ベクター、またはプレmRNAトランススプライシング分子等の核酸配列、または本発明の医薬組成物は、本明細書に記載されるように、生理学的に許容される担体で対象に投与することができる。医薬組成物中または投与時のAAVの濃度は、1μlあたり10E8~10E12の総ベクターゲノム、好ましくは1μlあたり6×10E8から6×0E10の間でありうる。AAVベクターは、1μlあたり約10E9ベクターゲノムの濃度で投与することもできる。
【0143】
本発明のAAVベクター、AAVベクター系、ベクター、または核酸配列(たとえば、プレmRNAトランススプライシング分子)または医薬組成物は、担体で、または他の治療と組み合わせて投与してもよい。したがって、医薬組成物はまた追加的にまたは代替的に一つまたは複数のさらなる活性成分を含んでもよい。
【0144】
本発明の使用のための医薬組成物、AAVベクター、AAVベクター系、ベクター、プレmRNAトランススプライシング分子、または核酸配列は、対象に投与することができる。本明細書に記載のAAVベクター、AAVベクター系、ベクター、プレmRNAトランススプライシング分子、核酸配列、または医薬組成物は、ヒト治療および動物用用途の両方に、好ましくは眼疾患の治療、特に眼疾患の遺伝子治療に適用可能である。好適な眼疾患の例は、常染色体劣性重症早発性網膜変性[autosomal recessive severe early-onset retinal degeneration](レーバー先天黒内障)、先天性色覚異常、シュタルガルト病、ベスト病(卵黄様黄斑変性症)、Doyne病(Doyne’s disease)、網膜色素変性症(特に、常染色体優性、常染色体劣性、X連鎖、2遺伝子性または多遺伝子性網膜色素変性症)、(X連鎖)網膜分離症、黄斑変性症(AMD)、加齢性黄斑変性症、萎縮性加齢性黄斑変性症、血管新生AMD、糖尿病黄斑症、増殖糖尿病網膜症(PDR)、類嚢胞黄斑浮腫、中心性漿液性網膜症、網膜剥離、眼内炎、緑内障、後部ぶどう膜炎、先天性停止性夜盲症、全脈絡膜萎縮、早発性網膜ジストロフィー、錐体ジストロフィー、桿体錐体ジストロフィーまたは錐体桿体ジストロフィー[rod-cone or cone-rod dystrophy]、模様黄斑ジストロフィー[pattern dystrophies]、アッシャー症候群および他の症候性繊毛関連疾患[syndromic ciliopathies]、たとえばバルデ・ビードル症候群、ジュベール症候群、セニオール・ローケン症候群[Senior-Loken syndrome]またはアルストレーム症候群[Alstrom syndrome]であるが、これらに限定されない。
【0145】
対象は、哺乳動物、または任意の他の脊椎動物である。好適な哺乳動物の例は、マウス、ラット、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ(dog)、ネコ、ウマ、モルモット、イヌ(canine)、ハムスター、ミンク、アザラシ、クジラ、ラクダ、チンパンジー、アカゲザル、およびヒトを含むがこれらに限定されず、ヒトが好ましい。他の脊椎動物の例は、ゼブラフィッシュ、サンショウウオ、シチメンチョウ、ニワトリ、ガチョウ、アヒル、コガモ、マガモ、ムクドリ、オナガガモ、カモメ、ハクチョウ、ホロホロチョウ、またはいくつかの例を挙げる水鳥を含むが、これらに限定されない。
【0146】
本発明はまた、光受容体細胞疾患の治療における使用のための本発明のAAVベクター、AAVベクター系、ベクター、核酸配列(たとえばプレmRNAトランススプライシング分子)または医薬組成物にも関する。これらの実施形態では、AAVベクター(たとえばrAAV)AAVベクター、AAVベクター系、ベクター、核酸配列(たとえばプレmRNAトランススプライシング分子)、または医薬組成物は治療用ポリペプチドまたはその一部、治療用核酸またはその一部、治療用タンパク質/ポリペプチドまたはその一部、または治療用分子またはその一部をコードする異種核酸である目的のヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0147】
非コードRNA配列を除去するために進化したmRNAスプライシングと同様に、タンパク質スプライシングとして知られるプロセス中に、不要なタンパク質配列を切除することができる。これに関連して、エクステイン(エクソンのアナログ)と呼ばれるタンパク質断片は、いわゆるインテイン(イントロンのアナログ)の除去時に一緒にスプライシングすることができる。複雑なスプライシング機構を必要とするmRNAスプライシングとは対照的に、タンパク質スプライシングは自己触媒化学プロセスである。タンパク質のスプライシングは、2つの異なるタンパク質間でも発生する可能性がある。これは、タンパク質のトランススプライシングとして知られるプロセスである。この目的のために、インテインは2つの部分に分割され、これらの各部分は融合されるタンパク質にタグ付けされる。このアプローチは、追加の因子を必要とせずに、2つのタンパク質またはポリペプチドまたはそれらの一部の傷のない融合をもたらす。スプリットインテイン技術は、タンパク質の再構成効率をさらに高めるために、mRNAトランススプライシングとさらに組み合わせることができる。したがって、一つの実施形態では、第一の核酸配列または第一のAAVベクターは、目的のポリペプチドのN末端部分をコードするヌクレオチド配列の間のインテインのN末端部分をコードする核酸配列(または目的の核酸の5’部分)および供与スプライス部位をさらに含み、ならびに第二の核酸配列または第二のAAVベクターは、目的のポリペプチドのC末端部分をコードするヌクレオチド配列間のインテインのC末端部分をコードする核酸配列(または目的の核酸の3’部分)および受容スプライス領域をさらに含む。
【0148】
本発明のASSについて記載されたすべての可能な実施形態が、本明細書に記載の方法、プレmRNAトランススプライシング分子等の核酸配列、キット、AAVベクター、AAVベクター系、および使用において必要な変更を加えて使用することができることは明らかである。
【0149】
本発明は、以下の項目によってさらに特徴づけられる:
【0150】
1. 受容スプライス領域の切断によって目的のヌクレオチド配列を受容スプライス領域配列から分離させるための、以下を含む核酸配列の使用
(i)以下を含む受容スプライス領域配列、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
ba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
bb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列;ここで目的のヌクレオチド配列は、
(iia)スプライス領域の3’側または5’側に局在している。
【0151】
2. 任意選択で受容スプライス領域の切断によって目的のヌクレオチド配列を受容スプライス領域配列から分離させるための、以下を含む核酸配列:
(i)以下を含む受容スプライス領域配列、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
ba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
bb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである。
【0152】
3. 受容スプライス領域は分岐点ヌクレオチド、好ましくはアデノシンおよび/またはイントロンスプライスエンハンサーをさらに含む、項目1の核酸配列または項目2の核酸配列の使用。
【0153】
4. 受容スプライス領域は分岐点ヌクレオチド配列(c)をさらに含み、分岐点ヌクレオチド配列は、
(ca)1~15ヌクレオチドを含む;
(cb)分岐点ヌクレオチド、好ましくはアデノシン(A)を含む;および
(cc)ピリミジン域および受容スプライス部位の5’側に位置する、
項目1~3のいずれか一つに記載の使用または核酸配列。
【0154】
5. ピリミジン域、受容スプライス領域、および任意でさらに分岐点配列および/またはイントロンスプライスエンハンサーは、全体で約200、150、1000、500、250、100、50、45、40、35、30、25、20、15以下のヌクレオチド、好ましくは26ヌクレオチドを含む、項目1~4のいずれか一つに記載の核酸配列の使用または核酸配列。
【0155】
6. (a)ピリミジン域の5~25ヌクレオチドは、TTTTTTまたはTCTTTTの配列を含む;
(b)ピリミジン域の最後のピリミジンと受容スプライス部位との間の配列は、10塩基未満、好ましくは5塩基未満、より好ましくは3塩基未満である;および/または
(c)受容スプライス部位は、CAGGの配列を有する、
項目1~5のいずれか一つに記載の核酸配列の使用または核酸配列。
【0156】
7. 受容スプライス領域は以下をさらに含む、項目1~6のいずれか一つに記載の核酸配列の使用または核酸配列:
(a)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(b)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(c)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(d)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;
(e)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
(f)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;
(g)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
(h)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;または
(i)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである。
【0157】
8. 受容スプライス領域は配列番号:3または4の配列を有する、項目1~7のいずれか一つに記載の核酸配列の使用または核酸配列。
【0158】
9. 核酸配列は、供与スプライス部位をさらに含む、項目1~8のいずれか一つに記載の核酸配列の使用または核酸配列。
【0159】
10. 核酸配列はプロモーターをさらに含み、好ましくはここで核酸配列はDNA配列であり、プロモーターをさらに含む、項目1~9のいずれか一つに記載の核酸配列の使用または核酸配列。
【0160】
11. 核酸配列は以下を含む、項目1~10のいずれか一つに記載の核酸配列の使用または核酸配列:
(i)以下を含む受容スプライス領域配列、
(iia)以下を含むピリミジン域、
(iiaa)5~25ヌクレオチド;
(iiab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(iib)受容スプライス部位、
(iiba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(iibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列;ここで受容スプライス領域は目的のヌクレオチド配列の3’側または5’側に局在している;
(iii)目的のヌクレオチド配列の3’側または5’側に局在している、プレmRNAを標的とする結合ドメイン;および
(iv)任意選択でスペーサー配列、ここでスペーサー配列は結合ドメインと受容スプライス領域の間に局在している。
【0161】
12. 核酸配列は以下を含む、項目1~11のいずれか一つに記載の核酸配列の使用または核酸配列:
(i)以下を含む受容スプライス領域配列、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iiiaa)5~25ヌクレオチド;
(iiiab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列;ここで受容スプライス領域は目的のヌクレオチド配列の5’側に局在している;
(iii)目的のヌクレオチド配列の3’側に局在している供与スプライス部位;
(iv)目的の核酸配列の5’側に位置している、プレmRNAを標的とする第一の結合ドメイン;
(v)目的の核酸配列の3’側に位置している、プレmRNAを標的とする第二の結合ドメイン;
(vi)任意選択で第一のスペーサー配列、ここで第一のスペーサー配列は第一の結合ドメインと受容スプライス領域の間に局在している;および
(vii)任意選択で第二のスペーサー配列、ここで第二のスペーサー配列は第二の結合ドメインと受容スプライス領域の間に局在している。
【0162】
13. 核酸配列は、少なくとも2つの逆方向末端反復を含み、これら2つの逆方向末端反復間に核酸配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、ここで上記核酸配列は5’から3’に
(i)プロモーター;
(ii)任意選択で結合ドメイン;
(iii)以下を含む受容スプライス領域配列
(a)以下を含むピリミジン域、
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(b)受容スプライス部位、
ba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
bb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(v)目的のヌクレオチド配列;
(vi)任意選択で終結配列、好ましくはポリA配列
を含む、項目1~12のいずれか一つに記載の核酸配列の使用または核酸配列。
【0163】
14. 受容スプライス領域はベクター内、AAVベクター内、またはプレmRNAトランススプライシング分子内に局在している、項目1~13のいずれか一つに記載の核酸配列の使用または核酸配列。
【0164】
15. 受容スプライス領域はトランススプライシングのために使用される、項目1~14のいずれか一つに記載の核酸配列の使用または核酸配列。
【0165】
16. 以下を含む、核酸配列の作製方法:
(A)一つまたは複数の供与スプライス部位配列を含む第一の核酸配列を提供する工程;
(B)以下を含む第二の核酸配列を提供する工程;
(i)以下を含む受容スプライス領域配列、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列、ここで目的のヌクレオチド配列は
(iia)受容スプライス領域の3’側に位置している;および
(C)核酸配列を得る工程。
【0166】
17. 以下の工程をさらに含む、項目16に記載の方法:
(D)一つまたは複数の供与スプライス部位配列で第一の核酸配列を切断し、受容スプライス部位の第二の核酸配列を切断する工程、
(E)第一の切断された核酸配列を第二の切断された核酸配列に連結し、それによって核酸配列を得る工程。
【0167】
18. 第一の核酸配列は目的のヌクレオチド配列またはその一部分をさらに含み、ここで目的のヌクレオチド配列の少なくとも一部分は、供与スプライス部位の5’側に位置しており、ここで第二の核酸配列は目的のヌクレオチド配列またはその一部分をさらに含み、ここで目的のヌクレオチド配列の少なくとも一部分は、スプライス受容スプライス領域の3’側に位置している、項目16または17に記載の方法。
【0168】
19. 第一および第二の核酸配列は宿主細胞に導入され、好ましくは第一および第二の核酸配列は組換え核酸配列である、項目16~18のいずれか一つに記載の方法。
【0169】
20. 以下を含む、核酸配列の作製方法:
(A)一つまたは複数の供与スプライス部位配列を含む第一の核酸配列を提供する工程;
(B)以下を含む第二の核酸配列を提供する工程;
(i)以下を含む受容スプライス領域配列、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(C)一つまたは複数の供与スプライス部位配列で第一の核酸配列を切断し、受容スプライス部位の第二の核酸配列を切断する工程、
(D)第一の切断された核酸配列を第二の切断された核酸配列に連結し、それによって核酸配列を得る工程。
【0170】
21. 第一の核酸配列は目的のヌクレオチド配列またはその一部分をさらに含み、ここで目的のヌクレオチド配列の少なくとも一部分は、供与スプライス部位の5’側に位置しており、ここで第二の核酸配列は目的のヌクレオチド配列またはその一部分をさらに含み、ここで目的のヌクレオチド配列の少なくとも一部分は、スプライス受容スプライス領域の3’側に位置している、項目16~20のいずれか一つに記載の方法。
【0171】
22. 以下を含む、核酸配列の作製方法または項目16~21のいずれか一つに記載の方法:
(A)プレmRNAトランススプライシング分子配列を含む第一の核酸配列または上記プレmRNAトランススプライシング分子をコードする核酸配列を宿主細胞に導入する工程であって、ここで第一のプレmRNAトランススプライシング分子は5’から3’に以下を含む工程
(a)目的のヌクレオチド酸配列の5’部分;
(b)供与スプライス部位;
(c)任意選択でスペーサー配列;
(d)第一の結合ドメイン;および
(e)任意選択で終止配列、好ましくはポリA配列、および
(B)プレmRNAトランススプライシング分子配列を含む第二の核酸配列または上記プレmRNAトランススプライシング分子をコードする核酸配列を宿主細胞に導入する工程であって、ここで第二のプレmRNAトランススプライシング分子は5’から3’に以下を含む工程;
(i)第一の核酸配列の第一の標的ドメインに相補的な第二の結合ドメイン;
(ii)以下を含む受容スプライス領域配列;
(iia)以下を含むピリミジン域、
(iiaa)5~25ヌクレオチド;
(iiab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(iib)受容スプライス部位、
(iiba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(iibb)ここ記受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここで、NはA、C、T/U、またはGである;
(iii)目的のヌクレオチド配列の3’部分、および
それにより目的の核酸配列を取得する工程、任意選択で
(C)供与スプライス部位配列で第一の核酸配列を切断し、受容スプライス部位の第二の核酸配列を切断する工程;および
(D)目的のヌクレオチド配列の5’部分を含む第一の切断された核酸配列を、目的のヌクレオチド配列の3’部分を含む第二の切断された核酸配列に連結し、それによって目的の核酸配列を得る工程、
をさらに含む。
【0172】
23. (a)ピリミジン域の5~25ヌクレオチドは、TTTTTTまたはTCTTTTの配列を含む;
(b)ピリミジン域の最後のピリミジンと受容スプライス部位との間の配列は、10塩基未満、好ましくは5塩基未満、より好ましくは3塩基未満である;および/または
(c)受容スプライス部位は、CAGGの配列を有する、
項目16~22のいずれか一つに記載の方法。
【0173】
24. 受容スプライス領域は以下をさらに含む、項目16~23のいずれか一つに記載の方法:
(a)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(b)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(c)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(d)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;
(e)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
(f)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;
(g)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
(h)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;または
(i)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである。
【0174】
25. 以下を含む核酸配列:
(i)以下を含む受容スプライス領域配列、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列;ここで目的のヌクレオチド配列は、
(iia)受容スプライス領域の3’側または5’側に局在している。
【0175】
26. 以下を含み:
(i)以下を含む受容スプライス領域配列、
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列;ここで目的のヌクレオチド配列は、
(iia)受容スプライス領域の3’側または5’側に局在している;
および任意選択でここで目的のヌクレオチド配列は配列番号:10のロドプシン遺伝子ではない、および/または配列番号:9のロドプシン遺伝子のエクソン3ではない、および/または配列番号:9のロドプシン遺伝子のエクソン3ではない、および/またはここで目的のヌクレオチド配列は配列番号:9および/または配列番号:10に示される配列を含まない、核酸配列。
【0176】
27. 核酸配列は最大150ヌクレオチドの長さを有する、項目25または26に記載の核酸配列。
【0177】
28. 核酸配列は、最大5500ヌクレオチドの長さを有する、項目25~27のいずれか一つに記載の核酸配列。
【0178】
29. (a)ピリミジン域の5~25ヌクレオチドは配列TTTTTTまたはTCTTTTを含む、および/または(b)ピリミジン域の最後のピリミジンと受容スプライス部位の間の配列は、10塩基未満、好ましくは5塩基未満、より好ましくは3塩基未満である、項目25~28のいずれか一つに記載の核酸配列。
【0179】
30. 以下を含む受容スプライス領域配列:
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである。
【0180】
31. (a)ピリミジン域の5~25ヌクレオチドは、配列TTTTTTまたはTCTTTTを含む;
(b)ピリミジン域の最後のピリミジンと受容スプライス部位との間の配列は、10塩基未満、好ましくは5塩基未満、より好ましくは3塩基未満である;および/または
(c)受容スプライス部位は、CAGGの配列を有する、
項目25~30のいずれか一つに記載の核酸または受容スプライス領域配列。
【0181】
32. 受容スプライス領域は、以下をさらに含む、項目25~31のいずれか一つに記載の核酸または受容スプライス領域配列:
(a)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(b)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(c)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(d)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;
(e)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
(f)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;
(g)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
(h)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;または
(i)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである。
【0182】
33. 以下を含む、プレmRNAトランススプライシング分子:
(i)以下を含む受容スプライス領域
(iia)以下を含むピリミジン域、
(iiaa)5~25ヌクレオチド;
(iiab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(iib)受容スプライス部位、
(iiba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(iibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列またはその一部分;ここで受容スプライス領域は、目的のヌクレオチド配列またはその一部分の3’側または5’側に局在している;
(iii)目的の核酸配列またはその一部分の5’側に局在するプレmRNAを標的とする結合ドメイン;および
(iv)任意選択でスペーサー配列、ここで該スペーサー配列は結合ドメインおよび受容スプライス領域の間に局在している。
【0183】
34. 核酸分子および受容スプライス領域の3’側に供与スプライス部位をさらに含む、項目33に記載のプレmRNAトランススプライシング分子。
【0184】
35. 以下を含む項目33または34に記載のプレmRNAトランススプライシング分子:
(i)以下を含む受容スプライス領域
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iiiaa)5~25ヌクレオチド;
(iiiab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(ii)目的のヌクレオチド配列、ここで受容スプライス領域は、目的のヌクレオチド配列の5’側に局在している;
(iii)目的のヌクレオチド配列の3’側に局在する供与スプライス部位;
(iv)目的のヌクレオチド配列の5’側に位置しているプレmRNAを標的とする第一の結合ドメイン;
(v)目的のヌクレオチド配列の3’側に位置しているプレmRNAを標的とする第二の結合ドメイン;
(vi)任意選択で第一のスペーサー配列、ここで該第一のスペーサーは第一の結合ドメインおよび受容スプライス領域の間に局在している;
(vii)任意選択で第二のスペーサー配列、ここで該第二のスペーサーは第二の結合ドメインおよび受容スプライス領域の間に局在している。
【0185】
36. 受容スプライス領域は目的のヌクレオチド配列またはその一部分の5’側に局在している、および結合ドメインは受容スプライス領域の5’側に局在している、項目33~35のいずれか一つに記載のプレmRNAトランススプライシング分子。
【0186】
37. 終止配列、好ましくはポリA配列をさらに含む、項目33~36のいずれか一つに記載のプレmRNAトランススプライシング分子。
【0187】
38. (a)ピリミジン域の5~25ヌクレオチドは、配列TTTTTTまたはTCTTTTを含む;
(b)ピリミジン域の最後のピリミジンと受容スプライス部位との間の配列は、10塩基未満、好ましくは5塩基未満、より好ましくは3塩基未満である;および/または
(c)受容スプライス部位は、CAGGの配列を有する、
項目33~37のいずれか一つに記載のプレmRNAトランススプライシング分子。
【0188】
39. 受容スプライス領域は以下をさらに含む、項目33~38のいずれか一つに記載のプレmRNAトランススプライシング分子:
(a)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(b)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(c)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(d)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;
(e)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
(f)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;
(g)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
(h)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;または
(i)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである。
【0189】
40. プロモーターおよび項目33~39のいずれか一つに記載のプレmRNAトランススプライシング分子をコードする配列を含むDNA分子。
【0190】
41. 以下を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系:
(I)これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列を含む少なくとも2つの逆方向末端反復を含む第一のAAVベクターであって、ここで上記これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列が5’から3’に
(a)プロモーター、
(b)目的のポリペプチドのN末端部分をコードするヌクレオチド配列;
(c)供与スプライス部位;
(d)任意選択でスペーサー配列;
(e)第一の結合ドメイン;および
(f)任意選択で終止配列、好ましくはポリA配列;
を含む、第一のAAVベクター、
(II)これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列を含む少なくとも2つの逆方向末端反復を含む核酸配列を含む第二のAAVベクターであって、ここで上記これら2つの逆方向末端反復間の核酸配列が5’から3’に
(i)プロモーター;
(ii)第一のAAVベクターの第一の結合ドメインに相補的な、第二の結合ドメイン;
(iii)以下を含む受容スプライス領域配列、
(a)以下を含むピリミジン域、
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(b)受容スプライス部位、
(ba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(bb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(iv)目的のポリペプチドのC末端部分をコードする目的のヌクレオチド配列;
(iva)ここで目的のポリペプチドのC末端部分および目的のポリペプチドのN末端部分は目的のポリペプチドを再構成する;および
(v)終止配列、好ましくはポリA配列。
【0191】
42. ポリペプチドは全長ポリペプチドである、および第一のAAVベクターは目的の全長ポリペプチドのN末端部分を含む、および第二のAAVベクターは目的の全長ポリペプチドのC末端部分を含む、項目41に記載のAAVベクター系。
【0192】
43. 目的のポリペプチドのC末端部分は、目的のポリペプチドの一部分、任意選択で第一のAAVベクターに含まれるN末端部分から欠失している目的の全長タンパク質に対応する、項目41または42に記載のAAVベクター系。
【0193】
44. 第一および第二のAAVベクターは終止配列、好ましくはポリA配列を含む、項目41~43のいずれか一つに記載のAAVベクター系。
【0194】
45. これら2つの逆方向末端反復間に核酸配列を含む、少なくとも2つの逆方向末端反復を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであって、上記核酸配列は5’から3’に
(i)プロモーター;
(ii)任意選択でスペーサー配列;
(III)結合ドメイン;
(iv)以下を含む受容スプライス領域配列
(a)以下を含むピリミジン域、
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(b)受容スプライス部位、
ba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
bb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;
(iv)目的のヌクレオチド配列;および
(v)任意選択で終止配列、好ましくはポリA配列
を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター。
【0195】
46. (a)ピリミジン域の5~25ヌクレオチドは、配列TTTTTTまたはTCTTTTを含む;
(b)ピリミジン域の最後のピリミジンと受容スプライス部位との間の配列は、10塩基未満、好ましくは5塩基未満、より好ましくは3塩基未満である;および/または
(c)受容スプライス部位は、CAGGの配列を有する、
項目41~45のいずれか一つに記載のAAVベクターまたはAAVベクター系。
【0196】
47. 受容スプライス領域は以下をさらに含む、項目41~46のいずれか一つに記載のAAVベクターまたはAAVベクター系:
(a)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(b)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(c)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(d)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;
(e)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
(f)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;
(g)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
(h)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;または
(i)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである。
【0197】
48. 以下を含む、受容スプライス領域:
(ia)以下を含むピリミジン域、
(iaa)5~25ヌクレオチド;
(iab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
(iba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
(ibb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである。
【0198】
49. 本発明によるベクター、AAVベクター、またはプレmRNAトランススプライシング分子における使用のための項目1~48のいずれか一つに記載の受容スプライス領域。
【0199】
50. (a)ピリミジン域の5~25ヌクレオチドは、配列TTTTTTまたはTCTTTTを含む;
(b)ピリミジン域の最後のピリミジンと受容スプライス部位との間の配列は、10塩基未満、好ましくは5塩基未満、より好ましくは3塩基未満である;および/または
(c)受容スプライス部位は、CAGGの配列を有する、
項目48または49のいずれか一つに記載の受容スプライス領域配列。
【0200】
51. 受容スプライス領域は以下をさらに含む、項目48~50のいずれか一つに記載の受容スプライス領域配列:
(a)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(b)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(c)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCである;
(d)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;
(e)配列CAACGAGの少なくとも4ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
(f)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;
(g)配列CAACGAGの少なくとも5ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである;
(h)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAAである;または
(i)配列CAACGAGの少なくとも6ヌクレオチドを有するピリミジン域の5’側の7ヌクレオチド、ここで最初の5’ヌクレオチドはCAACである。
【0201】
52. 本発明による受容スプライス領域、AAVベクター、AAVベクター系、ベクター、DNA、核酸配列、またはプレmRNAトランススプライシング分子を含むキット。
【0202】
53. 以下を含む、目的の核酸配列の作製方法:
(A)核酸配列は以下を含む、核酸配列を宿主細胞に提供する工程
(i)一つまたは複数の供与スプライス部位配列;
(ii)以下を含む受容スプライス領域配列
(a)以下を含むピリミジン域、
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(b)受容スプライス部位、
ba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
bb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである
(iii)目的のヌクレオチド配列、ここで目的のヌクレオチド配列;
(a)は供与スプライス部位の3’側および受容スプライス領域の5’側に位置している;および
(B)(i)の一つまたは複数の供与スプライス部位配列で、およびNAGGのスプライス受容配列(部位)のGとGの間で核酸配列を切断し、それによって目的のヌクレオチド配列を供与スプライス部位および受容スプライス領域から分離する工程。
【0203】
54. 以下を含む、目的の核酸配列の作製方法/切断方法:
(a)以下を含む核酸配列を提供する工程
(i)以下を含む受容スプライス領域配列
(ia)以下を含むピリミジン域、
(aa)5~25ヌクレオチド;
(ab)ここでこれらの5~25ヌクレオチド内のヌクレオチドの少なくとも60%はピリミジン塩基、たとえばシトシン(C)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)である;
(ib)受容スプライス部位、
ba)ここで受容スプライス部位はピリミジン域の3’側に位置しており;および
bb)ここで受容スプライス部位は、5’から3’にNAGGの配列を含み、ここでNはA、C、T/U、またはGである;および
(ii)目的のヌクレオチド配列、ここで目的のヌクレオチド配列は
(iia)スプライス領域の3’側または5’側に位置している;
(b)受容スプライス領域を切断し、それによって目的のヌクレオチド配列を受容スプライス領域配列から分離する工程。
【0204】
55. 項目1~54のいずれかに記載の核酸分子、プレmRNAトランススプライシング分子、AAVベクター、AAVベクター系、ベクターを含む医薬組成物。
【0205】
56. 治療、好ましくは眼疾患の治療における使用のための、項目1~54のいずれかに記載の核酸分子、プレmRNAトランススプライシング分子、AAVベクター、AAVベクター系、ベクター、DNA分子、または医薬組成物。
【0206】
57. 以下を含む、目的の核酸配列の¥について対象を治療する方法:
(a)(それを必要とする)対象に対して(治療有効量の)項目1~56のいずれかに記載の核酸分子、プレmRNAトランススプライシング分子、AAVベクター、AAVベクター系、ベクター、DNA分子または医薬組成物を投与する工程。
【0207】
58. 医薬の製造のための、項目1~57のいずれかに記載の核酸分子、プレmRNAトランススプライシング分子、AAVベクター、AAVベクター系、ベクター、DNA分子、または医薬組成物。
【0208】
59. 眼疾患は、常染色体劣性重症早発性網膜変性[autosomal recessive severe early-onset retinal degeneration](レーバー先天黒内障)、先天性色覚異常、シュタルガルト病、ベスト病(卵黄様黄斑変性症)、Doyne病(Doyne’s disease)、網膜色素変性症(特に、常染色体優性、常染色体劣性、X連鎖、2遺伝子性または多遺伝子性網膜色素変性症)、(X連鎖)網膜分離症、黄斑変性症(AMD)、加齢性黄斑変性症、萎縮性加齢黄斑変性症、血管新生AMD、糖尿病黄斑症、増殖糖尿病網膜症(PDR)、類嚢胞黄斑浮腫、中心性漿液性網膜症、網膜剥離、眼内炎、緑内障、後部ぶどう膜炎、先天性停止性夜盲症、全脈絡膜萎縮、早発性網膜ジストロフィー、錐体ジストロフィー、桿体錐体ジストロフィーまたは錐体桿体ジストロフィー[rod-cone or cone-rod dystrophy]、模様黄斑ジストロフィー[pattern dystrophies]、アッシャー症候群および他の症候性繊毛関連疾患[syndromic ciliopathies]、たとえばバルデ・ビードル症候群、ジュベール症候群、セニオール・ローケン症候群[Senior-Loken syndrome]またはアルストレーム症候群[Alstrom syndrome]からなる群から選択される、項目1~58のいずれかに記載の使用のための核酸分子、プレmRNAトランススプライシング分子、AAVベクター、AAVベクター系、ベクター、DNA分子、医薬組成物、または方法。
【0209】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の参照を含むことに留意されたい。したがって、たとえば、「試薬」への言及は、一つまたは複数のそのような異なる試薬を含み、「方法」への言及は、本明細書に記載の方法に改変または置換することができる当業者に知られている同等の工程または方法への言及を含む。
【0210】
さらに、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の量または長さ、用量、時間、温度等の測定可能な値を指すときに本明細書で使用する用語「約」は、指定量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、または±0.1%の変動を包含することを意味する。また、本明細書で使用する場合、「および/または」は、関連する列挙された項目、ならびに代替(「または」)で解釈される場合の組み合わせの欠如を指し、および包含する。
【0211】
文脈が明らかに他のことを示さない限り、本明細書に記載の発明の様々な特徴を任意の組み合わせで使用できることを特に意図している。
【0212】
さらに、本発明はまた、本発明の一部の実施形態において、本明細書に記載の任意の特徴または特徴の組み合わせを除外または省略できることを企図する。
【0213】
本開示で引用されているすべての刊行物および特許は、参照によりその全体が組み込まれる。参照により組み込まれた資料が本明細書と矛盾または矛盾する場合、本明細書はそのような資料に優先する。
【0214】
特に明記しない限り、一連の要素に先行する用語「少なくとも」は、一連の要素のすべての要素を指すと理解されるべきである。当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に相当する多くの同等物を認識し、または日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。そのような同等物は、本発明に包含されることを意図している。
【0215】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上別段の定めがない限り、単語「含む(comprise)」、および「含む(comprises)」および「含む(comprising)」等の変形は、記載された整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を含むが、任意の他の整数もしくは工程または整数もしく工程の群を除外しないことを意味すると理解される。本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」は、用語「含む(containing)」で置換することができ、または本明細書で使用される場合、用語「有する」で置換することができる。ただし、本明細書で使用する「からなる(comprising of)」または同等の用語は、以下に定義される「からなる(consisting of)」または「本質的にからなる(consisting essentially of)」を包含し、したがって、用語「からなる(consisting of)」または「本質的にからなる(consisting essentially of)」に置換することができる。
【0216】
本明細書で使用する場合、「からなる(comprising of)」は、特許請求の範囲要素で指定されていない要素、工程、または成分を除外する。本明細書で使用する場合、「本質的にからなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料または工程を除外するものではない。
【0217】
本発明で使用する配列:
【0218】
10ヌクレオチドを超える以下の配列が本明細書で参照されている:
【0219】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
表1: 推定分岐点配列には下線を付し、分岐点には2回下線を付し、太字で示している。ピリミジン領域配列は斜体で示し、受容スプライス部位は太字で示されている。配列番号:9および10で下線を付しているのは、620T>Gからの突然変異および開始コドンおよび終止コドンである。
【実施例
【0220】
以下の実施例は、本発明を説明する。これらの実施例は、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。実施例は、例示の目的で含まれており、本発明は、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0221】
材料および方法
細胞培養およびトランスフェクション
ヒト胎児由来腎臓293(HEK293)細胞(DMSZ)を、37℃および10% CO2でCO2インキュベーター(Heraeus, Thermo Fisher Scientific)内で、DMEM培地+GlutaMAX+1g/lグルコース+ピルビン酸塩+10% FBS(Biochrom)+1% ペニシリン/ストレプトマイシン(Biochrom)で維持した。HEK293由来Lenti-X 293T (HEK293T)細胞(Clontech, Takara)を、同一の条件下でDMEM培地+GlutaMAX+4.5g/lグルコース+10% FBS+1% ペニシリン/ストレプトマイシンで培養した。両方の細胞株を約90%のコンフルエンスで週に2回継代した。
【0222】
一過性のトランスフェクションはリン酸カルシウム法を使用して行った。この目的のために、細胞を6cmの細胞培養プレートに播種した。ウエスタンブロッティングのためにSpCas9を含むプラスミドをトランスフェクトする場合、10cmの細胞培養プレートを使用した。細胞を、約70%の所望のコンフルエンスに達するまで一晩インキュベートした。トランスフェクションミックス成分を、示された順序で15mlのファルコンチューブに加えた。ボルテックス中に2×BBSを滴下した。
【0223】
トランスフェクションミックスを室温で3~4分間インキュベートし、培地に滴下した。最初の実験(実施例2、図4)では、細胞を5% CO2設定で24時間インキュベートし、培地を交換せずに細胞を回収した。最適化されたプロトコル(実施例3、5~8;図9および11~14)では、細胞を5% CO2設定で3~4時間インキュベートし、培地を交換して、細胞を10% CO2で約48時間維持した。フルオロフォアを含むプラスミドをトランスフェクトした場合、トランスフェクションおよび発現の成功は、EVOS(登録商標)FL細胞イメージングシステム(Life Technologies、Thermo Fisher Scientific)を介して評価した。
【0224】
661W細胞は、Muayyad Al-Ubaidi教授(ヒューストン大学)から提供された。この細胞株は、マウス網膜腫瘍からクローン化され、錐体光受容体の分子特性を示すことが見出された(al-Ubaidi et al., 1992, Tan et al., 2004)。661W細胞を、37℃および10% CO2でCO2インキュベーター(Heraeus, Thermo Fisher Scientific)内で、DMEM培地+GlutaMAX+1g/lグルコース+ピルビン酸塩+10% FBS(Biochrom)+1% 抗生物質-抗真菌薬で維持した。それらは約90%のコンフルエンスで週に2回継代された。一過性のトランスフェクションは、上記のリン酸カルシウム法を使用して行った。
【0225】
マウス胎仔線維芽細胞(MEF)は、記載されているように生成された(Jat et al., 1986, Xu, 2005)。細胞を、37℃および5% CO2でCO2インキュベーター(Heraeus, Thermo Fisher Scientific)内で、DMEM培地+GlutaMAX+1g/lグルコース+ピルビン酸塩+10% FBS(Biochrom)+1% ペニシリン/ストレプトマイシン(Biochrom)で維持した。それらは約90%のコンフルエンスで週に1回継代された。MEFは、TurboFectTMトランスフェクション試薬(Thermo Fisher Scientific)を使用して一過的にトランスフェクトされた。細胞を6cmの細胞培養プレートに播種し、70~90%のコンフルエンスに達するまでインキュベートした。反応混合物は以下の順序で調製した。
【0226】
各成分の添加後、溶液をボルテックスにより激しく混合した。トランスフェクションミックスを室温で15~20分間インキュベートした後、培養プレートに滴下した。3時間後に培地を交換し、トランスフェクションの48時間後に細胞を回収した。フルオロフォアを含むプラスミドをトランスフェクトした場合、トランスフェクションおよび発現の成功は、EVOS(登録商標)FL細胞イメージングシステム(Life Technologies、Thermo Fisher Scientific)を介して評価した。
【0227】
組換えアデノ随伴ウイルスの産生
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)は、目的の遺伝子、pADを含むpAAV2.1プラスミドの三重リン酸カルシウムトランスフェクションによって産生された。ヘルパープラスミドおよび所望のキャプシドをコードするプラスミド。マウス網膜への網膜下注射のために、光受容体およびRPEの伝達効率が高いため(Petrs-Silva et al., 2009, Mol. Ther, 17, 463-71)、2/8Y733Fキャプシドバリアントが選択された。HEK293T細胞を15×15cm細胞培養プレートに播種し、60~80%のコンフルエンスに達するまで一晩インキュベートした。トランスフェクションの前に、FBSを含む培地を無血清培地に交換した。トランスフェクション試薬を50mlのファルコンチューブに示された順序で添加した: pAAV2.1プラスミド270μg、pADヘルパープラスミドXμg、キャプシドプラスミドYμg、H2O ad 11.85ml、ポリブレン(8mg/ml) 15μl、デキストラン(10mg/ml) 1.5ml、CaCl2(2.5M) 1.5ml、2×BBS 15ml。必要な量のpADヘルパーおよびキャプシドプラスミドは、以下の式を使用して計算された: Xμg=270μg×pAAV2.1のpADヘルパーMMのMM Yμg=270μg×pAAV2.1のキャプシドプラスミドMMのMM。ボルテックス中にCaCl2および2×BBSを滴下した。2mlのトランスフェクションミックスを15枚の培養プレートのそれぞれに滴下した。プレートを穏やかに揺り動かし、続いて5% CO2設定で24時間置いた。その後、培地を交換し、プレートをさらに48時間10% CO2設定に置いた。
【0228】
ウイルスを含む培地を2回回収した。1回目の回収は、すべてのプレートの培地全体を収集し、新鮮な培地を追加することにより、トランスフェクションの72時間後に行われた。2回目の回収は、さらに72時間の培養期間の後に行われた。培地を500mlの遠心分離管に収集した。4,000rpm、4℃で15分間遠心分離し(JA-10ローター、J2-MC高速遠心分離機、Beckman Coulter)、0.45μm PESフィルターユニット(Nalgene、Thermo Fisher Scientific)で上清をろ過することにより、残留細胞を培地から除去した。40%ポリエチレングリコール(PEG)溶液をフロースルーに添加して、最終濃度を8%にし4℃で一晩保持してウイルス粒子を沈殿させた。続いて、溶液を4,000rpm、4℃で15分間遠心分離した(JA-10ローター、J2-MC高速遠心分離機、Beckman Coulter)。上清を廃棄し、ウイルスを含むペレットをさらに処理するまで-20℃で保存した。
【0229】
イオジキサノール密度勾配遠心分離では、ペレットを7.5mlの滅菌ろ過PBSに再懸濁し、残留したパッケージされていないDNAを除去するため、最終濃度50U/mlのBenzonase(登録商標)(VWR)および37℃のウォーターバス(Haake)で30分間インキュベートした。次に、ウイルス懸濁液をピペットでクイックシールポリプロピレンチューブ(39ml、Beckman Coulter)に入れ、ウイルス懸濁液よりも低いイオジキサノール濃度の溶液を次の順序で添加することにより、密度勾配を確立した: 7mlの15%、6mlの25%、5mlの40%、および6mlの60%イオジキサノール溶液。この目的のために、MINIPULS 3蠕動ポンプ(Gilson)および長いガラスピペットを使用した。続いて、チューブをベックマンチューブトッパーで密封し、Optima L-80K超遠心分離機(70 Tiローター、Beckman Coulter)で70,000rpm、18℃で1時間45分間遠心分離した。その後、空気の流れを確保するために、チューブの上部にカニューレを開けた。ウイルス粒子が豊富な40%イオジキサノール相を、20Gカニューレおよび20mlシリンジを使用して、40%相と60%相の境界でチューブを横方向に穿刺することにより、グラジエントから収集した。ウイルスを含む溶液を、さらに処理するまで-80℃で保存した。
【0230】
ウイルスをさらに精製するために、AKTAprimeplusクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare)、5ml HiTrapTM Q FF陰イオン交換クロマトグラフィーカラム(GE Healthcare)、およびPrimeView 5.31ソフトウェア(GE Healthcare)を使用して陰イオン交換クロマトグラフィーを行った。開始する前に、カラムをバッファーA(20mM Tris、15mM NaCl、pH8.5)で平衡化し、ウイルス含有溶液をこのバッファーで1:1の比率で希釈した。溶液をループインジェクター(50ml Superloop、GE Healthcare)を介してカラムにロードした。収集した画分のUV光吸収およびコンダクタンス特性をモニターして、含まれているウイルスの量に関する情報を提供した。残りの結合分子は、2.5M NaCl溶液を使用してカラムから除去した。すべてのウイルス含有画分をプールし、その後の処理に使用した。3.5.4 rAAV濃度の増加
【0231】
ウイルス濃度を増加させるために、分子量カットオフが100kDaのAmicon(登録商標)Ultra-4遠心分離フィルターユニット(Merck)を使用した。ウイルス含有溶液をフィルターユニットの上部にロードし、容量が500μlに減少するまで、4,000rpm(JA-10ローター、J2-MC高速遠心分離機、Beckman Coulter)および4℃で20分間隔で遠心分離した。続いて、フィルターユニットを1mlの0.014%Tween/PBS-MK(10×PBS 50ml、1M MgCl 500μl、2.5M KCl 500μl、500mlの水を添加する)で洗浄した。容量が100μlの濃縮ウイルス溶液に減少するまで、溶液を同じ条件下でさらに遠心分離した。10μlのアリコートを調製し、使用するまで-80℃で保存した。
【0232】
生成されたrAAVの力価を決定するために、StepOnePlusリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems、Thermo Fisher Scientific)を使用してqPCRを実行した。参照として使用するために検量線を作成した。この目的のために、ITRの一部を含む断片を以下のプライマーを使用したPCRによって増幅した。
ITR2 forward: 5’ GGAACCCCTAGTGATGGAGTT 3’ (配列番号:30)
ITR2 reverse: 5’ CGGCCTCAGTGAGCGA 3’ (配列番号:31)
【0233】
次に、増幅産物を精製し、NanodropTM 2000c分光光度計(Thermo Fisher Scientific)を使用して濃度を決定した。濃度cの標準溶液を調製した後、1010~101コピーの範囲の希釈系列を作成した。検量線を達成するために、標準希釈系列の3つの技術的複製を使用してqPCRを実行した。この目的のために、MicroAmp(商標)高速光学96ウェル反応プレート(Applied Biosystems、Thermo Fisher Scientific)およびPowerUpTM SYBRTM Green Master Mix(Thermo Fisher Scientific)を使用した。ウイルス溶液をH2Oで100倍に希釈し、3回の技術的複製で同じ反応プレート上で行った。反応混合物は以下のように調製した。得られたデータは、StepOnePlusリアルタイムPCRシステムソフトウェア(Applied Biosystems、Thermo Fisher Scientific)を使用して分析した。ベースライン設定およびサイクリング閾値位置は、必要に応じて手動で調整した。検量線は、得られたサイクル閾値(Ct)値を希釈の対数に対してプロットすることによって得られた。生成されたrAAVのμlあたりのウイルスゲノム数(vg/μl)は、検量線から推測することができる。
【0234】
網膜下注射
網膜下注射の場合、生後21日目(P21)のC57Bl6/Jマウスを、ケタミン(40mg/kg体重)およびキシラジン(20mg/kg体重)の腹腔内注射によって麻酔した。足引っ込め反射(paw withdrawal reflex)が完全になくなった後、瞳孔は、アトロピン(1%)およびトロピカミド(0.5%)を含む点眼薬(Mydriaticum Stulln、Pharma Stulln GmbH)の投与によって拡張された。眼底は、手術用顕微鏡(OPMI 1 FR pro、Zeiss)を使用して焦点を合わせた。1010 rAAV粒子を含む1μlを、NANOFIL 10μlシリンジ(World Precision Instruments)および34 Gベベル針(beveled needle; World Precision Instruments)を使用した1回の注射によって網膜下に注射した。注射された眼は、5mg/gのゲンタマイシンおよび0.3mg/gのデキサメタゾンを含む眼軟膏で処置した。マウスは、麻酔から完全に回復するまで、37℃の加熱プレート(Leica HI1120、Leica Biosystems)上に置いた。注射の2~4週間後、注射されたすべての網膜を採取し、RT-PCR分析または免疫組織化学のために処理した。
【0235】
免疫組織化学
免疫組織化学のために、網膜下注射されたマウスは、頸椎脱臼を介して安楽死させられた。眼を除去し、0.1Mリン酸緩衝液(PB)に入れた。続いて、21 Gカニューレを用いて鋸状縁で眼球を穿刺し、4%パラホルムアルデヒド(PFA、Sigma Aldrich、pH7.4に調整)で5分間固定した。次に、0.1M PBを含ませたろ紙上の実体顕微鏡(Stemi 2000、Zeiss)の下に眼を配置した。外科用ハサミ(SuperFine Vannas、World Precision Instruments)を使用して鋸状縁と一緒に切断することにより、角膜、水晶体、および硝子体を除去した。網膜を含む眼球の残りの部分を4%PFAで45分間、室温で固定し、続いて0.1M PBで5分間3回洗浄した。凍結保存のために、眼球を30%ショ糖溶液(w/v)に4℃で一晩入れた。
【0236】
翌日、眼球を組織凍結培地(Sakura)に包埋し、培地が固化するまでドライアイス上で冷却した。クリオスタット(Leica CM3050 S、Leica Biosystems)を使用して網膜を10μmの厚さのスライスに切断し、コーティングされたガラスオブジェクトスライド(Superfrost Plus顕微鏡スライド、Thermo Fisher Scientific)に収集し、-20℃で保存した。
【0237】
免疫組織化学的染色のために、網膜切片を室温で解凍し、Super PAP Pen Liquid Blocker(Science Services)を使用して取り囲んだ。続いて、切片を0.1M PBで5分間再水和し、4%PFAで10分間固定した。切片を0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4(PB)で5分間ずつ3回洗浄した後、0.1MPB中の一次抗体、5% ChemiBLOCKER(Merck)、および0.3%TritonX-100を含む溶液を適用した。凍結切片を一次抗体溶液とともに4℃で一晩インキュベートした。翌日、網膜を0.1M PBで5分間3回洗浄し、0.1M PB中の二次抗体および2% ChemiBLOCKERを含む溶液と室温で1.5時間インキュベートした。続いて0.1M PBで5分間3回洗浄した後、細胞核を5μg/mlHoechst 33342溶液(Invitrogen)で染色した。最後に、切片を0.1M PBで洗浄し、Fluoromount-G Mounting Medium(Thermo Fisher Scientific)に包埋し、カバーガラスで覆い、4℃で保存した。
【0238】
共焦点顕微鏡
染色された網膜の画像は、それぞれHoechst 33342、Cy3、およびCy5の励起に適した405nmのダイオードならびに552nmおよび633nmの光ポンピングされた半導体レーザーを備えたLeica TCS SP8倒立共焦点レーザー走査顕微鏡(Leica Microsystems)を使用して得られた。フィルター設定は、それぞれの色素の発光スペクトルに従って選択された。画像は、LAS Xソフトウェア(Leica Microsystems)を使用して、HC PL APO 40×/1.30オイルCS2対物レンズ(Leica Microsystems)およびタイプF浸漬液(Leica Microsystems)でzスタック(1μmステップ)として取得された。同じソフトウェアを使用して、最大強度の投影を適用することにより、zスタックを2D画像に凝縮した。画像は、ImageJ 1.48vソフトウェア(米国国立衛生研究所)でさらに処理された。
【0239】
一過的にトランスフェクトされた生細胞の画像は、それぞれセルリアン、シトリン、およびmCherryの励起に適した448nm、514nm、および552nmの光ポンピングされた半導体レーザーを備えたLeica TCS SP8スペクトル共焦点レーザー走査顕微鏡(Leica Microsystems)を使用して取得した。フィルター設定は、それぞれのフルオロフォアの発光スペクトルに従って選択された。画像は、HCX APO 20×/1.00W対物レンズ(Leica Microsystems)を使用して取得した。すべての画像はImageJ 1.48vソフトウェアで処理された。
【0240】
RNA抽出
注射された網膜由来のRNA抽出のために、マウスは頸椎脱臼を介して安楽死させられた。鈍い鉗子を眼の下に置き、滅菌メス(Swann-Morton)を使用して眼球を切開し、鉗子を徐々に上方に動かすことによって網膜を収集した。コンストラクトごとに3つの網膜をプールし、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を製造元の指示に従って使用してRNAを抽出した。破砕のために、350μlのRLTバッファー(Qiagen、キットに付属)+3.5μlのβ-メルカプトエタノール(β-ME、Sigma Aldrich)を添加し、少なくとも5回、滅菌シリンジに取り付けられた20 Gの針に通して組織をホモジナイズした。残りの工程はプロトコルに従って行った。RNAは30μlのRNAseフリーH2Oで溶出した。
【0241】
一過的にトランスフェクトされた細胞由来のRNA抽出には、RNeasy Mini Kit Plus(Qiagen)を使用した。この目的のために、培地を6cmの培養プレートから除去し、16cmのセルスクレーパー(Sarstedt)を使用して細胞をそぎ落とした。細胞を500μlの培地に2mlのセーフロックチューブ(エッペンドルフ)に回収し、3,000×g、4℃で10分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを600μlのRLT Plusバッファー(Qiagen、キットに付属)+6μlのβ-ME(Sigma Aldrich)に再懸濁した。鋼のボールを各チューブに入れ、ミキサーミルMM400(Retsch)を使用して30Hzで1分間細胞を破砕した。その後、ボールを取り除き、懸濁液を21,000×gおよび室温で5分間遠心分離した。残りの工程は、gDNAエリミネータースピンカラムを介してゲノムDNAを除去するオプションの工程を含むプロトコルに従って行った。RNAは30μlのRNAseフリーH2Oで溶出した。
【0242】
RNA濃度は、NanodropTM 2000c分光光度計(Thermo Fisher Scientific)を使用して測定した。RNAは、さらに使用するまで氷上に保持するか、短期保存の場合は-20℃、長期保存の場合は-80℃で保存した。
【0243】
cDNA合成
cDNA合成のために、Revert Aid First Strand cDNA合成キット(Thermo Fisher Scientific)は、製造元の指示に従って使用した。実験ごとに等量のRNAを使用した。cDNA反応ミックスをMastercycler(登録商標)ネクサスグラジエントでインキュベートした。cDNAは、さらに使用するまで氷上に保持するか、短期保存の場合は-20℃、長期保存の場合は-80℃で保存した。
【0244】
逆転写PCR
逆転写PCR(RT-PCR)は、Herculase II fusion DNAポリメラーゼ(Agilent Technologies)またはVWR Taq DNAポリメラーゼ(VWR)を使用して行った。
【0245】
分岐点解析
Nested Lariat RT-PCRの場合、RNAは上記のように抽出された。製造元の指示に従って、10μgのRNAをRNase R(Lucigen)とインキュベートし、非環状RNAをすべて除去した。その後のcDNA合成(Revert Aid First Strand cDNA Sythesis Kit、Life Technologies)は、上記のように行った。この反応では、ランダムヘキサマープライマーのみを使用しました。次に、ラリアットは、Herculase II fusion DNAポリメラーゼ(Agilent Technologies)を使用したnested RT-PCRによって増幅された。1回目の増幅では、3.12に記載されているように反応ミックスを調製した。2回目の増幅では、cDNAの代わりに5μlの最初のPCRを反応ミックスに添加した。さらに、第一のプライマーペアの25~30bp下流に結合する第二のプライマーペアを使用した。適用されたサイクリング条件を表11に示す。
【0246】
TOPOクローニングおよびラリアット分析では、nested RT-PCRの産物をプラスミドにサブクローニングした。この目的のために、1ユニットのTaqポリメラーゼ(VWR)をPCR反応とともに72℃で10分間インキュベートすることにより、増幅後に3’-アデニンオーバーハングをDNA断片に追加した。続いて、ラリアットを製造元の指示に従ってTOPOベクター(TOPO TAクローニングキット、Thermo Fisher Scientific)にサブクローニングした。プラスミドをバクテリアに形質転換し、小規模なプラスミド調製を行った。得られたプラスミドの配列を決定し(Eurofins Genomics)、得られたラリアット配列を、DNAMANソフトウェア(Lynnon Biosoft)を使用して調べたイントロンとアラインメントすることにより分析した。
【0247】
タンパク質抽出
タンパク質抽出のために、培地を6cmまたは10cmの培養プレートから除去した。16cmのセルスクレーパー(Sarstedt)を使用して細胞をそぎ落とし、500μlの培地に2mlのセーフロックチューブ(エッペンドルフ)に回収した。細胞懸濁液を3,000×g、4℃で10分間遠心分離し、上清を廃棄し、ペレットを150μlおよび250μlのTritonX-100(TX)溶解バッファー(2.5ml TritonX-100、15ml 5mM NaCl ml、0.4ml 2.5M CaCl2、500ml水を添加する; c0mplete(商標) ULTRAプロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤(Roche)を使用直前に6cmおよび10cmプレートにそれぞれ添加した(1錠/10ml))。鋼のボールを各セーフロックチューブに加え、ミキサーミルMM400(Retsch)を使用して30Hzで1分間細胞を破砕した。その後、ボールを含むチューブを4℃で20分間逆さまに回転させた(VWRTMチューブローテーター)。続いて、ボールを取り出し、ライセートを5,000×gで10分間、4℃Cで遠心分離した。タンパク質を含む上清を新しい反応チューブに移し、-20℃で保存した。
【0248】
総タンパク質濃度は、ブラッドフォードアッセイを使用して定量された。5μlのタンパク質溶解物を95μlの0.15M NaCl溶液と混合し、PMMA標準ディスポーザブルキュベット(BRAND)に移動した。続いて、1mlのクマシーブルー溶液を添加し、ピペッティングにより完全に混合し、室温で2分間インキュベートした。BioPhotometer(エッペンドルフ)を使用して、5μlのTX溶解バッファーを含むブランク対照に対して溶液の吸収を測定した。得られた値は、5μlのライセートに含まれるタンパク質の総量を表す。
【0249】
実施例1:最適化されたASSモジュールの識別
mRNAスプライシングに対する疾患関連ロドプシン変異の影響は、HEK293細胞および形質導入されたマウス光受容体におけるヒトロドプシン(RHO)ミニ遺伝子を使用して分析されている。その中で、RHO遺伝子のエクソン3に1つの変異(c.620T>G)があり、これが新しいASSを生み出している(図1)。ASSの配列および予測されたASSエレメントを図2AおよびBに示す。
【0250】
in silico予測は、c.620T>G変異によって形成された受容スプライス部位(以下、ASS_620と呼ぶ)が、エクソン3のネイティブロドプシン受容スプライス部位と同様のスプライススコアを有することを示した(図3Aを参照)。これは、両方のスプライス部位がスプライシング機構によって代替的に使用できることを示唆している。しかし、実験データは、ASS_620がHEK293細胞(図1D)およびマウス光受容体(図1E)の両方で排他的に使用されたことを示した。これは、ASS_620が強力な受容スプライス部位であることを示している。
【0251】
生物工学的用途での有望な使用法については、ASSの強度および機能は遺伝子環境から独立している必要がある。ASS_620が別の非ネイティブ環境で機能するかどうかを試験し、最も効率的なスプライシングに必要なASS_620エレメントを決定するために、c.620T>G変異に隣接する可変長の配列をRPS27遺伝子のエクソン3に導入した(図2C)。単一の配列により、ASS_620の位置でスプライシング効率が変動した(図2D)。最高のスプライシング効率(100%に近い)は、RPS27ミニ遺伝子を含むRHO-E3d、すなわち、5’末端に7bpの配列からなる26bpの配列(CAACGAGTCTTTTGTCATCTACAGGT;配列番号3)、ポリ微塵行き、および標準的なASSを含むミニ遺伝子を使用した場合に得られた。驚くべきことに、この配列は、RHOエクソン3に存在する予測分岐点が含んでいなかった。5’末端の7bp配列(CAACGAG)は、現在特性が明らかにされていない有効な分岐点配列、またはASSの効率的な使用に必要なイントロンスプライスエンハンサー認識部位を含む可能性がある。26bpの配列(配列番号:3)は、本明細書では「vgASS_620」と呼ばれる。
【0252】
vgASS_620のスプライシング効率をさらに確認するために、ランダムに選択された、受容スプライス部位の強度が可変である4つの追加遺伝子(HBQ1、S100A12、CLRN1、およびCNGB1)に導入された(図3C)。vgASS_620と比較して、ネイティブエクソン受容スプライス部位の予測強度は、RPS27の場合に高く、S100A12、CLRN1、およびHBQ1の場合と同様であり、CNGB1の場合に低くなった(図3A)。その後のRT-PCR実験では、vgASS_620がRPS27でのみ使用されるだけでなく、ここで試験されたすべての追加遺伝子でも使用されることが示された(図3D~E)。これらの結果は、vgASS_620が遺伝子環境に依存しない非常に強力な受容スプライス部位であることを示している。したがって、vgASS_620を利用して、SMaRTまたはデュアルアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターハイブリッド技術における現在かなり低いトランススプライシング効率を改善できるとの仮説が立てられた。
【0253】
実施例2:in vitro用途のためのセルリアンレポーターアッセイ
この仮説を試験するために、セルリアンのコード配列を人工イントロンによって中断された2つの人工エクソンに分割することにより、スプライスレポーターアッセイが生成された(図4D)。このイントロンは、vgASS_620、および人工的な145bpで互いに分離された強力な供与スプライス部位を含んでいた。トランスフェクトされたHEK293細胞の共焦点イメージングにより、両方のスプライス部位がシスで提供された場合、強力で(strong)強力な(robust)セルリアン蛍光が明らかになった(図4F(c1))。RT-PCR実験および対応するバンドのシーケンシングにより、この構成では両方のセルリアンエクソンが効率的にスプライシングされていることが確認された(データは示していない)。図4Gに示すように、セルリアンのN末端部分に対する特異抗体を使用したウエスタンブロッティング実験は、予想されるサイズ(27kDa)で特異的な免疫シグナルを検出した。まとめると、これらの発見は、レポーターアッセイが機能的であり、シス配置において非常に効率的であることを示唆している。したがって、その後の実験では、この構築物を参照として使用して、2つのセルリアンスプライス断片がトランスで(つまり、別々のプラスミドで)提供された場合のセルリアン再構成効率を決定した。この実験で使用されたDSSは、AAGGTAAGの配列を有する。
【0254】
次に、セルリアン再構成効率に対する結合ドメインおよび受容スプライス部位強度の影響を、レポーターアッセイを使用して分析した。ここで、レポーターの再構成には、mRNAトランススプライシングが必要である。
【0255】
この目的のために、シアン蛍光タンパク質「セルリアン」のコード配列が154位で再び2つに分割された蛍光レポーターベースのアッセイが開発された(図4D)。図4D(c3)に示すように、CMVプロモーターの制御下にある5’部分を含む第一のDNA構築物は、強力なDSS(AAGGTAAG)およびそれに続く結合ドメインをさらに備え、CMVプロモーターの制御下にある3’部分を含む第二のDNA構築物は第一のDNA構築物の結合ドメインに相補的な結合ドメインに続くASSとしてvgASS_620がを備えていた。転写後、BDの塩基対形成により、スプライシングエレメントが近接し、トランススプライシングが容易になり、完全長の成熟セルリアンmRNAが得られる。セルリアンの再構成は、光学的に、たとえば、顕微鏡検査(図4Fのように)またはフローサイトメトリーによって、mRNAレベル(たとえば、RT-PCRを使用)またはタンパク質レベル(たとえば、図4Gのようにウエスタンブロットを使用し)で検出することができる。
【0256】
結合ドメインの最適化のための例示的なテンプレートとして、ヒトロドプシン遺伝子のイントロン2が2つの理由で選択された: (1)c.620T>Gスプライス変異はエクソン3に局在しているため、最適化されたタイプのRHOイントロン2結合ドメインをc.620T>Gスプライス変異のSMaRTベースの置換に使用できる(図1)。 (2)RHOイントロン2配列は、マウスゲノム内のどの配列とも相同ではないため(データは示していない)、オフターゲット効果を引き起こすとは予想されていない。その結果、最適化されたRHOイントロン2結合ドメインは、デュアルAAVベクターアプローチを使用して、マウス網膜内の他の大きなヒト遺伝子の再構成にも利用できる。
【0257】
HEK293細胞は、上記のように第一および第二のDNA構築物で一過性にコトランスフェクトされ、図4D(c3)のBD_h+iの例として示され、セルリアン蛍光の存在が共焦点生細胞イメージングによって評価された。同じスプライシングエレメントを含む人工イントロンが介在するシスの両方のセルリアン部分を含む構築物を、シススプライシング参照対照(cis-ctrl)として使用した。2つの半分を別々にトランスフェクトした場合、蛍光は検出できなかった。両方の構築物をコトランスフェクトすると、蛍光細胞が観察され、セルリアンコード配列のトランススプライシングと再構成が成功したことを示している。
【0258】
RHOイントロン2結合ドメインは、そのサイズと位置を変えることによって最適化された(図4A)。さらに、人工BDは、BD_h+iと同様に、イントロンの5’および3’末端に由来する配列を融合することによって作成および試験された。
【0259】
HEK293細胞のコトランスフェクトに続いて、5’構築物のプライマーp1およびp2ならびに3’構築物のプライマーp3およびp4を使用して、プレmRNAレベルでの小さな差のみを示し、ハウスキーピング遺伝子ALASと比較して2つの構築物のmRNA発現を分析した(図4BおよびC)。再構成効率は、cis-ctrlと比較したセルリアンタンパク質バンドの放射分析によって決定され、さまざまなBDを使用して大きく変化した(図4E)。すべてのタンパク質バンドは、定量化の前にベータチューブリンに正規化された。2つの結合ドメインBD_g(配列番号:27)およびBD_h+i(配列番号:28)は、両方とも長さが約100bpであり、>30%に達する高いセルリアン再構成効率をもたらした。重要なことに、この高効率は、ゲノムレベルでの分割遺伝子の再構成に基づく代替アプローチ(ハイブリッド、オーバーラップ、およびゲノム「トランス」スプライシングアプローチ)を使用した以前の研究から知られているものをはるかに上回った(Carvalho et al., 2017, Frontiers in Neurosciences, 11, Article 503)。3つの戦略はすべて、レポーター遺伝子lacZを使用してin vitroで試験されました。この設定でレポートされた最高の再構成効率は17.7%であった。
【0260】
最近の研究では、トランススプライシングの効率はスプライス部位の強度に影響されないと仮定されている(Lorain et al., 2013)。この仮定を試験するために、vgASS_620のセルリアン再構成効率を、最も効率的な結合ドメインBD_h+i(配列番号:28)と組み合わせたRHOエクソン3のネイティブ受容スプライス部位と比較した。図4Eからわかるように、vgASS_620と比較して、ネイティブASSに由来する再構成効率は著しく低かった(35.7±4.6%対0.7±0.1%)。この知見は、デュアルベクターアプローチにおけるトランススプライシング効率が受容スプライス部位の強度に強く依存するという明確な証拠を提供する(図4D~G)。
【0261】
再構成効果は、後の実験で増加する可能性がある(たとえば、実施例3、図9Dを参照)。まず第一に、独立したサンプルの数(n)は、最初の実験ではまだ非常に少ない。独立したサンプルの数(n)を増やし、トランスフェクションプロトコルを最適化することにより、再構成効率をより確実に定量することができ、そしてコトランスフェクト効率の向上によって60%またはさらに高い再構成効率(図9)等のより高い値に達することができる。
【0262】
HEK293細胞に加えて、トランススプライシングの再構成効果も661W細胞およびMEF細胞で試験されている。結合ドメインを使用すると、661W細胞で>40%、MEF細胞で>50%のBD_g再構成効果が観察された(データは示していない)。2つの細胞株を比較した場合、トランススプライシング効果に有意差は検出できなかった。これは、mRNAトランススプライシングアプローチが細胞型に依存しないことを示唆している。
【0263】
まとめると、in vitroの結果は、結合ドメインの配列および長さを変えることによってだけでなく、受容スプライス部位の強度を最適化することによっても、トランススプライシング効率を著しく増加させることができることを示している。これらの有望な知見は、トランススプライシングベースの技術をさらに最適化するための新しい道を開く。
【0264】
vgASS_620と組み合わせて、図4に示す結合ドメイン「g」を使用して、エクソン3内またはその下流のロドプシン変異のSMaRTベースの遺伝子治療アプローチを確立することができる。さらに、vgASS_620を他の様々な結合ドメインと組み合わせて、SMaRTまたはデュアルAAVベクターアプローチを介して他の遺伝性網膜疾患(IRD)遺伝子を治療することもできる。本明細書で提供される開示は、その天然に存在する状況とは別に(すなわち、c.620T>G変異を有する患者におけるロドプシン遺伝子とは別に)、vgASS_620スプライスモジュールを含む任意のDNAまたはRNA配列の使用に適用される。配列番号:3のvgASS_620または配列番号:3に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド酸配列は、以下の用途に使用することができる:
1)ミニ遺伝子のデザイン(たとえば、mRNAスプライシングの変異の解析のため)
2)(たとえば、SMaRT技術を使用して)生物学的または治療的文脈で内因性mRNAを標的にする
3)トランスでの2つのmRNA断片の再構成。これは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの限られたゲノムパッケージング容量(約5.0kb、好ましくは<4.7kb)を克服する上で特に重要である。図5~8は、本明細書に記載のデュアルAAVベクター系で使用することができるAAVベクターの配列を示す。
4)弱いASS部位を含む選択的スプライシング遺伝子における特定のスプライス産物の存在を選択的に増加させるための遺伝子発現またはターゲティングカセットの設計。
【0265】
実施例3:再構成効果に対する受容スプライス部位および結合ドメイン(BD)の影響。
BDの長さおよび配列は、再構成効率の重要な決定要因を表している。BDは、mRNAの緊密な結合、および場合によってはフォールディングに影響を与える可能性が最も高いが、後続のスプライシングプロセスの効率または精度を直接促進することは期待されていない。上記のように、DSSは十分に特性が明らかにされており、その強度の予測は実験性能とよく一致している。したがって、分割フルオロフォア再構成アッセイの枠組みにおいて、このスプライス部位を最適化する必要は明らかではない。対照的に、それらの複雑さのために、ASSの強度は確実に予測することができない。結果は、vgASS_620が非常に強力な受容スプライス部位であることを示唆している。スプライス部位の強度が分割フルオロフォアアッセイの再構成効率に影響を与える可能性があることを考えると、vgASS_620は、他の受容スプライス部位と比較した場合に高い値をもたらすはずである。
【0266】
これを分析するために、vgASS_620または他の2つのASS、すなわちRHOエクソン3のネイティブASS(S3、図9)およびvgASS_620のポリピリミジン域(PPT)をネイティブRHOエクソン3ASSのPPTで置換することによって作成されたハイブリッドASS(S2)の存在下での再構成効率を比較した。さらに、各ASSを、3つの異なる結合ドメインと組み合わせた: この研究に由来する強い(BD_g、B1;配列番号:27)および弱い(BD_f、B3)結合ドメイン、およびRHOイントロン1(配列番号:29)から得られた公開されたBD配列(PTM1、B2)。この配列は、スプライソソームを介したmRNAトランススプライシングを介した変異RHO転写物の修復に高い効率をもたらすことが示された(Berger et al., “Repair of rhodopsin mRNA by spliceosome-mediated RNA trans-splicing: A new approach for autosomal dominant retinitis pigmentosa”, (2015) Mol. Ther. 23(5):918-930)。すべての組み合わせは、共焦点生細胞イメージング、RT-PCR、およびウエスタンブロッティングによって分析された(図9)。この実験の結果、いくつかの重要な知見が得られた。まず、BDおよびASSの両方が再構成効率を決定する重要な要素であることを明らかにした。第二に、この研究で特定された最も強力なBD(BD_g、B1)は、公開されているRHO結合ドメイン(B2)よりも優れている。第三に、最強のBDと最強のASSを組み合わせると(B3+S1)、検出可能なトランススプライシングが得られるのに対し、最強のBDと最弱のASS( B1+S3)は、コード配列の検出可能な再構成を引き起こさない。
【0267】
vgASS_620は、ASS、PPT、および上流の追加の7bp配列でからなり、これらを削除するとASS_620の認識が損なわれる。したがって、この7bpの配列には、遺伝子環境に依存しないvgASS_620の普遍的かつ効率的な認識を説明する可能性のある非常に強力な分岐点を含む可能性があると推測されている。しかし、この配列内で予測される強力な分岐点はなかった。代わりに、他のいくつかの配列は、c.620T>GASSの最大40bp上流に配置された分岐点として機能すると予測された。それにもかかわらず、PPTの上流の7bp配列に含まれるすべての予測分岐点ヌクレオチドおよびすべての可能性のある分岐点アデニンを同時に変異させると、c.620T>G変異体のスプライシングを変更できなかった(データは示していない)。この知見は、分岐点が他の場所にあるか、c.620T>GASSが分岐点の選択において高い柔軟性を持っていることを示している。c.620T>GASSでのスプライシングに利用される分岐点をより直接的に特定するために、RHO c.620T>Gミニ遺伝子を一過的に発現するHEK293細胞を使用してネストされたラリアットRT-PCRを実行した。RHO WTミニ遺伝子でトランスフェクトされたHEK293細胞が参照として機能した。ラリアットRT-PCRを実行すると、WTと変異ミニ遺伝子でそれぞれ1つのバンドが得られ、どちらもサイズが異なった。両方のバンドはやや拡散しているように見え、対応するラリアットのサイズが異なることを示唆していた。これらの拡散バンドに含まれる単一の配列を特定するために、ラリアットRT-PCR産物をTOPOベクターにサブクローニングし、得られたクローンをシーケンシングによって個別に分析した。RHO WTラリアットを研究すると、2つの主要な分岐点(42%および33%のケースで使用)および3つのマイナーな分岐点(それぞれ8%のケース)が特定された(表2)。2つの主要な分岐点はコンセンサス配列に非常に類似しており、高い予測スコアが得られた。すべてのRHO WT分岐点は、イントロン-エクソンジャンクションの57~184bp上流で見出された。ヒトの分岐点の90%以上がASS配列の50bp上流にあるため、RHOエクソン3のmRNAスプライシングは特殊なようである(Corvelo et al., 2010, PLoS Comput. Biol., 6(11): e1001016)。
【0268】
【表2】
【0269】
それにもかかわらず、WTミニ遺伝子と比較した場合、RHO c.620T>Gで得られた分岐点プロファイルは著しく異なっていた。第一に、c.620T>G変異体の様々な分岐点が特定されている。しかし、主要な分岐点は検出できず、WTミニ遺伝子で得られたものと同一のものはなかった。第二に、分岐点は、使用されたASSのさらに上流、つまり、ネイティブエクソン3 ASSの21~159bp上流に対応する107~245bpに位置していた。第三に、検出された分岐点のほぼ半分はコンセンサス配列にほとんど類似しておらず、したがって、ヒトスプライスファインダー(HSF)スプライス予測ツールを使用して予測されなかった。全体として、これらのデータは、vgASS_620の強度が、含まれている非常に強力な分岐点の存在に起因するのではなく、分岐点の選択における高い柔軟性によって部分的に引き起こされる可能性があることを示唆している。これは、その異常に効率的な性能を説明することができ、効率的なスプライシングを必要とする生物工学的用途にとって非常に魅力的なツールになる。
【0270】
実施例4:in vivoにおけるmRNAトランススプライシングベースのrAAVデュアルベクターの研究
前のセクションで評価されたmRNAトランススプライシングベースのアッセイの最も強力な用途は、デュアルrAAVベクターのフレームワークでの大きな遺伝子の再構成である。その結果、mRNAトランススプライシングアプローチは、rAAVを使用してマウス網膜で試験された。この目的のために、分割フルオロフォアアッセイのわずかに修正されたバージョンが使用された。単一ウイルスで形質導入された細胞におけるrAAVベクター由来の発現を制御するために、両方のデュアルrAAVベクターカセットにフルオロフォア配列、すなわち5’ベクターのコード配列の5’末端にあるシトリンおよび3’'ベクターのコード配列の3’末端にあるmCherryを備えた。in vitroで最高の再構成効率をもたらすBDの1つ、すなわちBD_h+iをin vivoで使用した(図10A)。この実験設定では、セルリアン蛍光は、シトリンならびにmCherryを発現する細胞にも存在するはずである。
【0271】
力価が一致したウイルスは、生後21日目(P21)に網膜下にWT C57Bl6/Jマウスに注射された。注射の2週間後に網膜を採取した後、RPEで固形のフルオロフォアの発現を検出できた(図10B)。さらに、セルリアン蛍光は、シトリンおよびmCherryが発現したすべての領域で観察でき、両方のAAVで同時形質導入された細胞でのmRNAトランススプライシングの成功を示している。しかし、シトリンおよびセルリアンは、部分的に重複する励起スペクトルおよび発光スペクトルを有している。セルリアン蛍光がたとえばシトリンまたはmCherryのブリードスルーによって引き起こされるアーチファクトである可能性を排除するために、両方のフルオロフォアは、高強度514nmレーザーでフルオロフォアを励起することにより、RPEの小さな領域で選択的にブリーチされた。この手順により、シトリンおよびmCherryの蛍光を完全に除去することができた(図10C)。それにもかかわらず、セルリアン蛍光は変化せず、トランススプライシングされたセルリアンmRNAのみに由来することを示している。この実験は、in vivoでAAVから発現された遺伝子の再構成のためのmRNAトランススプライシングの有用性の原理の証明を提供する。
【0272】
実施例5:ヒト遺伝子治療に適した強力な結合ドメインの同定
これまでのところ、すべての結合ドメイン(BD)配列はヒトイントロン領域から得られた。したがって、ヒト遺伝子治療に使用される場合、それらは内因性mRNAに結合し、これらの転写物とのトランススプライシングを誘発する可能性もある。したがって、ヒト遺伝子治療にmRNAトランススプライシングを適用するには、ヒトゲノムに相同な配列を含まないBDを特定する必要がある。この目的のために、細菌のlacZ遺伝子からランダムな100bpの配列を取得し、ランダムな挿入、欠失、および置換を介して改変して、ヒトゲノムとの相同性のない4つの配列を取得した(図11A)。
【0273】
HEK293細胞をそれぞれの結合ドメインを含む5’ベクターおよび3’ベクター構築物でコトランスフェクトすると、BDの1つで78.3%±2.1%の非常に高いセルリアン再構成効率が観察された(BD_k、図11B~D)。したがって、BD_kは、図4に示す最高のパフォーマンスを発揮するヒトBDよりも効率的であったため、mRNAトランススプライシングによる大きな遺伝子の再構成を評価する予備実験に使用された。
【0274】
実施例6:再構成効率に対するポリアデニル化シグナルの影響およびin vitroアッセイにおけるDNAベースの再構成の関与
5’および3’ベクターに由来する2つのプレmRNA分子の再構成は核内で行われるはずであるので、成熟したmRNAの安定化および翻訳に必要なポリアデニル化シグナル(pA)は、理論的には5’ベクターでは除去できる。この欠失の利点は、スプライシングされていない残りの5’プレmRNAがトランケートされたタンパク質の翻訳を引き起こさないことである。したがって、セルリアン再構成効率に対する5’ベクターのpAの欠失の影響を研究した。この目的のために、pAを欠失する5’ベクターを通常の3’ベクターとコトランスフェクトした。コトランスフェクトされた両方ともpAを含むベクターと比較して、再構成はわずかに減少しているようである(図12AおよびB)。しかし、この実験では、必要に応じてpAシグナルを除去できることが示されている。さらに、これまでに観察された成功した再構成は、すべての必要な構成要素、すなわち、シススプライシングを介してこの配列を除去するための組換え配列およびスプライシングエレメントが、mRNAトランススプライシングベクターに存在するため、理論的には、従来技術のハイブリッドデュアルベクターアプローチのように、DNAレベルでの相同組換えによって媒介される可能性もある(Carvalho et al., 2017)。この可能性を排除するために、3’ベクターのプロモーターを欠失させてプレmRNAへの転写を防止し、よってこれまでに知られているハイブリッドデュアルベクターアプローチに使用される3’ベクターに類似している。この構築物を通常の5’ベクターでコトランスフェクトした後、再構成は観察できなかった。この結果は、セルリアンの観察されたすべての再構成が、mRNAトランススプライシングを介してのみ媒介されることを確認している。
【0275】
実施例7:mRNAトランススプライシングを介した大きな遺伝子の再構成の原理の証明
AAVセルリアン分割レポーターアッセイに加えて、治療的に有望なタンパク質をトランススプライシングするmRNAを評価するためのアッセイが試験されている。転写活性化因子ドメインVP64-p65-Rta(VPR)に融合した触媒的に不活性なヌクレアーゼである転写活性化因子SpCas9-VPRは、遺伝子治療のために最近開発された新しいツールである。サイズが大きい(5.8kb)ため、in vivo用途ではデュアルベクターを介して送達する必要がある。したがって、SpCas9-VPRは、mRNAトランススプライシングを介した再構成に好適な候補である。SpCas9-VPRのコード配列はc.2185で2つに分割され、コード配列の2つの半分には、BD_kまたはその相補配列、および適切なスプライシングエレメント、すなわちDSSまたはvgASS_620が備えられていた。全長(FL)SpCas9-VPR構築物を陽性対照として使用した。分割構築物でコトランスフェクトされたHEK293細胞からのRT-PCRにより、SpCas9-VPR mRNAが正常に再構成され、不要な副産物が生成されなかったことが明らかになった(図13B)。PCR産物のシーケンシングにより、リーディングフレームの正確な回復が確認された(図13C)。さらに、FL SpCas9-VPRタンパク質はウエスタンブロッティングで検出できた(図13D)。SpCas9-VPRの再構成効率は13.2%±0.9%であった。これは、大きな遺伝子の再構成のためのmRNAトランススプライシングアプローチの適用可能性の原理の証明を提供する。
【0276】
実施例8:ABCA4の再構成(図14
最後に、ヒト由来の大きな遺伝子の再構成も研究するために、網膜ATP結合カセットトランスポーターをコードするABCA4遺伝子(6.8kb)を選択した。この遺伝子は、その変異が遺伝性網膜ジストロフィーのシュタルガルト黄斑ジストロフィーを引き起こすため、遺伝子治療の好適な候補である。ABCA4はc.3243で2つに分割され、BD_k、DSS、およびvgASS_620が備えられていた(図14A)。両方の半分は、エクソンおよびイントロンで構成されるネイティブのプレmRNAに類似していない長いイントロンのないABCA4コード配列(CDS)を含む。したがって、これはプレmRNAへのスプライス因子の動員を妨げる可能性があり、その結果、mRNAトランススプライシング効率も低下させる可能性がある。分割された遺伝子が内因性のヒトプレmRNAにより類似するように、両方の半分のCDSに3つの短い(80bp)介在イントロンを含む追加の構築物を設計した。HEK293細胞は、in vitroでの再構成能力を調べるために、イントロンのないまたはイントロンを含む構築物で一過的にコトランスフェクトした。
RT-PCRにより、イントロンが介在する場合としない場合で、分割構築物のmRNAレベルでABCA4が正常に再構成されたことが明らかになった(図14B)。興味深いことに、イントロンを含む分割構築物はより効率的にトランススプライシングされているように見える。この場合も、不特定のスプライス産物は検出できず、リーディングフレームは正しく復元された(図14C)。
【0277】
実施例9:in vivoにおけるABCA4のrAAVデュアルベクターmRNAトランススプライシング(図15
最後の実験では、ABCA4の再構成がin vivoでさらに試験された。この目的のために、CMVプロモーターをヒトロドプシン(hRHO)プロモーターに置換して、光受容体特異的発現を確保した(図15A)。AAVは、国際公開第2019/076856号に記載されているように、野生型AAV2キャプシドに由来するインハウスで最適化されたNNおよびGLキャプシドバリアントを使用して生成された。ABCA4の5’または3’CDSを含む力価が一致したウイルスを、1ヶ月齢のC57Bl6/J野生型マウスに網膜下に同時注射した。4週間後、網膜を採取し、再構成の成功をmRNAおよびタンパク質レベルで評価した。ジャンクションスパニングプライマーペアを使用して実行されたRT-PCRにより、両方のキャプシドバリアント、すなわちNNおよびGLが、NNキャプシドとの再構成に成功し、おそらくより高い(共)形質導入効率のために、より高いレベルの再構成されたmRNAが得られることが明らかになった(図15B)。2つの別々のプレmRNA分子のシームレスなライゲーションは、シーケンシングによって確認された(図15C)。より正確な定量化のために、qRT-PCRを行った。これらの予備的な結果(n=1)は、注入されていないC57Bl6/J野生型網膜と比較して10倍から42倍の範囲の相対的なABCA4発現に達したことを示しており、mRNAレベルでの再構成が成功して効率的であることを再度確認している(図15D)。最後に、タンパク質レベルでABCA4の再構成を研究するために、注入された網膜のタンパク質ライセートをウエスタンブロッティングに使用した。導入遺伝子由来タンパク質の特異的検出を確実にするために、抗myc抗体が使用された。結果は、両方の場合において、再構成されたmRNAがin vivoタンパク質発現の成功をもたらしたことを示している(図15E)。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6-1】
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図7-1】
図7-2】
図8-1】
図8-2】
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15-1】
図15-2】
図16
図17
図18-1】
図18-2】
図19-1】
図19-2】
図20-1】
図20-2】
図20-3】
図21-1】
図21-2】
図21-3】
【配列表】
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