(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】ガラスセラミック材料を検出するための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/85 20060101AFI20250418BHJP
G01N 21/958 20060101ALI20250418BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20250418BHJP
【FI】
G01N21/85 Z
G01N21/958
G01N21/27 A
(21)【出願番号】P 2021561979
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 EP2020060247
(87)【国際公開番号】W WO2020212266
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-03-28
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ユーグ シュンヌビエール
(72)【発明者】
【氏名】エゼドディーヌ ウルジェミ
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-083153(JP,A)
【文献】特開平11-138109(JP,A)
【文献】特表2008-519755(JP,A)
【文献】特開2005-181075(JP,A)
【文献】特開昭63-165791(JP,A)
【文献】BONIFAZI,G.,Classical imaging and digital imaging spectrophotometric techniques in cullets (glass fragments) sorting,PROCEEDINGS OF SPIE,2004年,Volume 5608,pp.264-277,https://doi.org/10.1117/12.569515
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 7/90
G06V 10/00 - G06V 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
B07C 1/00 - B07C 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カレット(2)の中からの、ガラスセラミック型の材料の自動化された検出のための方法(32)であって、
カレット(2)中のガラスセラミック材料を検出する工程(33)であって、この工程の間に、前記カレットの中で、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片が識別される工程(33)、
前述のガラスセラミック材料を検出する工程から得られるデジタルイメージを取得する工程であって、前記イメージが、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応する少なくとも1つのピクセルの群を含む工程、
前記イメージを比色分析で処理する工程(34)であって、この工程の間に、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応する、前記イメージの少なくとも1つの前記ピクセルの群が、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュール(7)によって処理される比色分析イメージ処理工程(34)
を含
み、
前記カレット(2)中のガラスセラミックを検出する工程(33)が、比色分析イメージ処理によって行われ、前記イメージが、前記カレット(2)を白色光源及び紫外光源によって同時に放射される光線にさらすことによって得られることを特徴とする、検出方法(32)。
【請求項2】
カレット(2)の中からの、ガラスセラミック型の材料の自動化された検出のための方法(32)であって、
カレット(2)中のガラスセラミック材料を検出する工程(33)であって、この工程の間に、前記カレットの中で、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片が識別される工程(33)、
前述のガラスセラミック材料を検出する工程から得られるデジタルイメージを取得する工程であって、前記イメージが、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応する少なくとも1つのピクセルの群を含む工程、
前記イメージを比色分析で処理する工程(34)であって、この工程の間に、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応する、前記イメージの少なくとも1つの前記ピクセルの群が、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュール(7)によって処理される比色分析イメージ処理工程(34)
を含み、
前記カレット(2)中のガラスセラミックを検出する工程(33)が、HSVモデルによる比色分析イメージ処理によって行われ、前記イメージが、前記カレット(2)を白色光源及び紫外光源によって同時に放射される光線にさらすことによって得られる
ことを特徴とする、検出方法(32)。
【請求項3】
前記比色分析イメージ処理工程(34)の間に、前記RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュール(7)が、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応する前記ピクセルのみを処理する、請求項2に記載の検出方法(32)。
【請求項4】
前記RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールが、RGBモデルのうち赤データR及び青データBのみを考慮することによって、RGBデータに変換された前記ピクセル又はピクセルの群を処理する、請求項1~3のいずれか1項に記載の検出方法(32)。
【請求項5】
前記RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュール(7)が、ガラスセラミック材料の破片であるとみなされたカレットの破片に対応するそれぞれのピクセル又はピクセルの群について、青データBと赤データRとの比B/Rを計算する、請求項1~4のいずれか1項に記載の検出方法(32)。
【請求項6】
前記RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュール(7)が、先に計算された前記青データBと赤データRとの比B/Rを、ある閾値に対して比較する、請求項5に記載の検出方法(32)。
【請求項7】
前記閾値が0.5である、請求項6に記載の検出方法(32)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の検出方法(32)を実行するためのシステム(1)であって、ガラスセラミック材料を検出するためのモジュール(17)と、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュール(7)とを備える、システム(1)。
【請求項9】
ガラス繊維、中空ガラス又は板ガラスを製造するための設備であって、少なくとも1つのガラス炉及び成形ステーションを備え、前記設備において、カレットが前記ガラス炉に注がれて、前記成形ステーションに供給することが意図された溶融ガラスが得られ、前記設備が、請求項8に記載の検出方法(32)を実行するためのシステム(1)を備え、前記実行システム(1)が、前記ガラス炉に向かう前記カレットの経路に位置する、設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスの破片、又はカレットのサンプルの中から、ガラスセラミック型の材料を検出するための自動化された方法に関する。本発明は、ガラスベースの製品を製造する産業の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ガラスの破片、又はカレットのサンプルは、種々のガラス製品を製造するために使用される。例えば、絶縁体の分野において、主としてカレットから得られるガラス繊維が、一般に使用される。カレットは、ボトル及び他のガラス容器の製造においても使用される場合がある。
【0003】
繊維ガラスの製造は、最初に、ガラスを溶融させるのに十分な温度に、すなわち約1500℃に、ガラス炉においてカレットを加熱することを有する方法によって行われる。次いで、溶融ガラスは、繊維化プレート型の遠心装置に導かれ、繊維が作り出され、繊維は、コンベヤへの繊維の経路においてサイズ調整され、次いで、コンベヤ上で乾燥、硬化及び成形される。
【0004】
ユーザーの分類のエラーに起因して、カレットは、ガラスだけではなく、ガラスセラミック材料を含む他の材料をさらに含有する場合がある。ガラスの特性とは異なる特性を有するこれらのガラスセラミック材料は、機械を損傷させること及び/又は製品における欠陥を引き起こすことによって、カレットベースの製品の製造方法において、重大な問題を引き起こす場合がある。
【0005】
例えば、上に提示されるガラス繊維の製造において、約1700℃の融点を有するガラスセラミック材料は、ガラスが1500℃で溶融されるガラス炉において、溶融されない。ガラス繊維を得るために、炉を出る溶融材料が、繊維化プレート型の内部遠心装置に導入されるとき、溶融ガラス中に含有されるガラスセラミック材料の断片は、特には直径が1mm未満である場合がある、繊維化プレートの穴を塞ぐ。その場合、全体の製造ラインを停止しなければならない。
【0006】
カレットをベースとしてボトル及び容器を製造するとき、カレット中に存在するガラスセラミック材料の断片は、得られる製品に対して局所的な脆さ、及び/又は美観の問題を引き起こす場合がある。
【0007】
種々の方法で、カレットの中からガラスセラミック材料を検出するための、種々のシステム又は方法が存在する。カレットの破片が、ガラスセラミックの破片であるとして検出されるとき、それらは、カレットの所与の破片を排出するための装置によって、カレットから除去される。この種類のシステム又は方法の検出の正確さは完全ではなく、それらの構造又は視覚的な外観の類似のために、ときには、ガラスセラミックの破片ではないカレットの破片が、ガラスセラミックの破片であると検出される。次いで、偽陽性といわれる場合があるこれらの破片は、それらの特性が、例えばそれらの融点が、例えばガラス繊維、中空ガラス又は板ガラスを製造するために非常に適していたとしても、カレットから除去される。従って、これらの破片は不必要に排除され、このことは、産業の規模で、原材料の浪費をもたらす。現在、カレットの中からのガラスセラミック材料の検出の確実性を改善するための解決法は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ガラスセラミックの破片ではないガラスの破片の排除をもたらす場合があるエラーを是正することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
それは、カレットの中からガラスセラミック型の材料を検出するための自動化された方法プロセスからなり、以下の工程を含むことを特徴とする。
カレット中のガラスセラミック材料を検出する工程であって、この工程の間に、カレットの中で、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片が識別される工程。
前述のガラスセラミック材料を検出する工程から得られるデジタルイメージを取得する工程であって、特に、そのイメージが、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応する少なくとも1つのピクセルの群を含む工程。
イメージを比色分析で処理する工程であって、この工程の間に、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応する、イメージの少なくとも1つのピクセルの群が、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールによって処理される工程。
【0010】
本発明によれば、この比色分析処理工程は、ガラスセラミック材料の検出工程の検出の質を検査すること、及びガラスセラミック材料であるとみなされた破片が、確かに、ガラスセラミック材料に対応していて、別の種類のガラスに対応していないかを検査することを可能とする。
【0011】
カレット中のガラスセラミック材料を検出する工程は、任意の方法によって行うことができる。それは、比色分析の方法、シェーディングの方法又は他の方法であってよい。この検出工程の間に、カレットの一部が、ガラスセラミック材料であり得る破片であるとみなされ、方法の残りは、この先の識別を確認することを目的としている。
【0012】
従って、ガラスセラミック材料を検出する工程は、ガラスセラミック材料の破片であるとみなされたカレットの一部を識別することを可能とし、イメージを取得する工程は、あるイメージであって、その中で、1つ又は複数のピクセルが、破片であるとみなされたものに対応するピクセルとして識別されているイメージを取得することを可能とする。特に、カレットのイメージは、カメラによって取得することができ、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応するピクセルの位置に関する情報に関連づけることができる。代わりに、ガラスセラミック材料を検出する工程が、イメージを取得することを既に含んでいるとき、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片を識別しているデジタルイメージを取得することは、イメージを処理する工程に含まれて、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応するピクセルのアウトラインを形成することができる。
【0013】
全ての場合において、本発明によれば、デジタルイメージが、カレット中の、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片の存在に対応するピクセル又はピクセルの群の識別を伴って、RGBモデルによる比色分析処理モジュールに送られることが重要である。
【0014】
ピクセルは、デジタルイメージの質を定義するのに使用される基本的な単位である。言い換えれば、それはイメージの正確な点に対応する。イメージにおけるピクセルの数は、選択されて方法に組み込まれるイメージ取得装置の解像度に依存する。上で特定されたように、「ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応するピクセル」は、処理されたイメージにおいて、少なくとも1つの領域が、カレット中のガラスセラミック材料の破片に対応すると識別されたことを意味すると理解される。
【0015】
しかし、上で記載されるように、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片は、実際にはガラスセラミック材料の破片ではない場合がある。方法の第三の工程は、この検証を行うことを可能とする。従って、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応するピクセルの識別によって取得されるデジタルイメージは、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールによって再処理される。RGBモデルは、その頭字語が赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)を表す色の定義モデルである。RGBモデルは、可視範囲において色の色合いのそれぞれを規定する、明度の3つのデータに基づいている。それぞれの色は、この色を規定するのに使用される3つの原色のそれぞれの明度に対応するデータ、すなわち赤データR、緑データG及び青データB、によって規定される。RGBデータのそれぞれは、0~255である。方法のこの工程の進行は、下でより詳細に説明される。
【0016】
説明されてきたように、本発明によれば、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールは、ガラスセラミック材料の破片の検出から得られるイメージの少なくとも1つのピクセルを、RGBデータに変換する。RGBモデルの比色分析イメージ処理モジュールは、全体の処理されたイメージをRGBデータに変換することもできる。
【0017】
本発明の1つの特徴によれば、比色分析イメージ処理工程の間に、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールは、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応するピクセルのみを処理する。ここで、本発明による方法は、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片が、確かにガラスセラミック材料の破片であることを検証することを可能とするという意味で、カレット中のガラスセラミック材料の破片の先の検出を検査することを可能とすると理解される。本発明による方法は、必要な場合には、先の工程の間に検出システムを回避したガラスセラミック材料の破片を検出するために、第二の検出工程を行う必要がない。従って、この文脈において、有利には、方法は、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールが、本発明による先の検出を検査することが必要である、すなわち識別された破片が確かにガラスセラミック材料であることを検査する必要があるイメージの一部のみを、RGBデータに変換するように提供される。従って、ガラスセラミック材料の破片に対応するピクセルのみに対するこの検査工程に焦点を合わせることは、RGBモデルによるさらなる比色分析処理の期間を限定する。
【0018】
本発明の1つの特徴によれば、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールは、RGBモデルの赤Rデータ及び青Bデータのみを考慮することによって、RGBデータに変換されたピクセル又はピクセルの群を処理する。先に記載されるように、RGBモデルは、3つのデータの組に対応する。しかしながら、発明者らは、種々の試験によって、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応するピクセルを含むイメージの検証の間にRデータ及びBデータのみが注目されることを示した。このことは、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールが、故意に緑データGの計算を省いて、RGBモデルのうち赤Rデータ及び青Bデータのみを計算するように、従って3つのデータに代えて2つのデータのみを計算するように構成されることを可能とし、従って実行の速さを上昇させ、従って方法の効率を上昇させる。
【0019】
本発明の1つの特徴によれば、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールは、ガラスセラミック材料の破片であるとみなされたカレットの破片に対応するそれぞれのピクセル又はピクセルの群について、青データBと赤データRとの比B/Rを計算する。比B/Rは、取得されたイメージにおいて、又はガラスセラミック材料の破片であると明らかにされたカレットの破片において認められる青データと赤データとの比に対応する。青データと赤データとの比は、後に説明されるように、ガラスセラミック材料と、ガラスセラミックの破片ではないが、カレットにおける初期の検出工程によってガラスセラミックの破片であるとみなされた(偽陽性とも呼ばれる)破片とを区別することを可能とする。説明されたことを鑑みて、後にあまりに多くの比を計算することを回避するために、第一の処理工程の間のイメージの分析の後に、ガラスセラミック材料の破片であるとみなされた破片に対応する処理されたイメージのピクセルのみの、RGBデータへの変換を進めることが賢明であると理解される。
【0020】
本発明の1つの特徴によれば、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールは、先に計算された青データBと赤データRとの比B/Rを、閾値に対して比較する。発明者らは、その比を、慎重に選択された閾値と比較して、ガラスセラミック材料を、偽陽性のものから区別することができることを見出した。
【0021】
本発明の1つの特徴によれば、閾値は0.5である。この0.5の値は発明者らによって決定されたものであり、その根拠は、赤データRに対する青データBの比として0.5の閾値よりも大きい値を有するピクセル又はピクセルの群に関するカレットの破片は、ガラスセラミックの破片であることが確認されることは、疑いの余地がないためである。
【0022】
陽性として検出されたガラスの異なる種類の中で、ガラスセラミック材料は、0.5の閾値より大きい比B/Rを有する、透明なガラス以外のガラスの唯一の種類である。従来のクリアガラスもまた、比B/Rが1に近いため、0.5より大きい比B/Rを有するが、従来のクリアガラスは、方法の第一の工程の間にガラスセラミック材料の破片とみなすことはできない。従って、ガラスセラミック材料は、以下の2つの条件:方法の第一の工程の間に陽性であり、かつ0.5より大きい比B/Rを示す、を示すガラスの唯一の種類である。
【0023】
類推によって、青データBと赤データRとの比B/Rとして、0.5の閾値より小さい値を有するピクセル又はピクセルの群に関するカレットの破片は、もはやガラスセラミック材料の破片であるとはみなされず、むしろ偽陽性であるとみなされ、従って、カレットから取り除かれる必要はないと推測することができる。
【0024】
例として、ワイン又はシャンパンのボトルのために使用されるガラスの破片は、ガラスセラミック材料の光学特性に近い光学特性を有し、それらは、方法の第一の工程の間にガラスセラミック材料の破片であるとみなされる場合があり、偽陽性となる場合がある。しかし、偽陽性とみなされる場合があるガラスの破片、例えばワイン又はシャンパンのボトルのために使用されるガラスの破片は、0.07~0.23の比B/Rを有する。これらの破片に対応するピクセル又はピクセルの群の比B/Rを計算し、次いで0.5の閾値と比較することは、それらの本当の性質に関する疑いを排除することを可能とする。
【0025】
本発明の1つの特徴によれば、ガラスセラミック材料を検出する工程は、比色分析によって行われる。用語「比色分析」は、番号付け又は符号付けされたデータで、取得されたイメージに表れる色の色合いの対応を得ることを可能とする全ての種類の処理モジュールをいう。
【0026】
本発明の1つの特徴によれば、ガラスセラミック材料を検出する工程は、HSVモデルによる比色分析イメージ処理によって行われる。
【0027】
非限定的な例として、ガラスセラミック材料を検出する工程は、HSVモデルによる比色分析処理によってガラスセラミック材料を検出する方法であってよい。HSVモデルによる比色分析処理は、イメージ取得装置、例えばカメラによって取得されたカレットのイメージに対して行われる。
【0028】
HSV色空間(フランス語ではTSV)は、色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value)を意味する頭字語である。これらの3つの用語のそれぞれのデータは、可視範囲における色の任意の色合いを規定することを可能とする。
【0029】
「色相」は、円によって表すことができ、0~360°のデータ範囲によって規定される表現である。以下の表に従って、それぞれの角度は色相を表す。
【表1】
【0030】
「彩度」は0~1であり、色の量の観念を反映している表現である。0に近い彩度は、より薄い傾向があり、一方で、1に近い彩度は、より飽和色となる。
【0031】
明度もまた0~1であり、輝き又は輝度の観念を反映している表現である。0に等しい明度を有する任意のデータは、黒色に関連している。明度が1に近いほど、関連する色は明るくなる。
【0032】
全ての異なるHSVデータは、回転の円錐によって表すことができ、その中で、可視の色の全ての色合いは、HSV表現に変換することができ、この回転の円錐の領域上の点に全てが対応する。色相は円錐の円周であり、彩度は円錐の半径であり、明度は円錐の高さである。
【0033】
HSVモデルによる比色分析イメージ処理モジュールは、HSVモデルのうち1つのデータのみを、より具体的にはこのHSVモデルのうちデータHのみを考慮することによって、イメージ取得装置によって取得されるイメージを処理する。先に記載されたように、HSVモデルは3つのデータの組に対応する。しかしながら、発明者らは、種々の試験によって、本検出方法によるカレットの分析の間に、色相Hのみが注目すべきデータであることを示した。このことは、検出方法が、HSVモデルのうち色相Hについてのデータのみを計算するように、従って3つのデータに代えて1つのデータのみを計算するように構成されることを可能とし、従って実行の速さを上昇させ、従って方法の効率を上昇させる。
【0034】
HSVモデルによる比色分析処理は、分析されるイメージのピクセル又はピクセルの群ごとに単一のデータを決定することによって、次いでデータの範囲との比較によって行われる。
【0035】
処理の正確さは、カレットの要求及び/又はサイズに応じて変えることができる。従って、より良好な正確さを確実にするために、イメージ処理は、イメージ取得装置によってキャプチャされたイメージのそれぞれのピクセルについて行うことができる。
【0036】
処理はまた、より正確ではないが、より速い処理の速さでピクセルの組を処理するために、ピクセルの群ごとに行うことができる。分析モードのうち1つ又は他方の使用は、因子に、例えば、反射表面に堆積されたカレットにおける、カレットの破片のサイズ、破片の数、又は互いの上部への破片の積み重なりのリスクに依存する。
【0037】
HSVモデルによる比色分析処理は、S=1かつV=0.5で、約50°~70°のHSV色相データHを閾値とされる。HSVモデルによる比色分析処理は、カレットの破片を、ガラスセラミックの破片であるとみなすことを可能とする。光源が作動されてカレットの表面にそれらの照射を向けた後、イメージ取得装置によって、反射された光はキャプチャされ、この同じイメージは、HSVモデルによる比色分析処理を受け、処理されたイメージは分析され、カレットの破片は特定の色を呈するか、又は呈さなくてもよい。実際には、検出方法の実行の間の照明条件に応じて、ガラスセラミックの破片は、キャプチャされ、HSVモデルによって処理されたイメージにおいて特定の色を呈し、このことは、ガラスセラミックの破片をカレットの残りから区別する。理論的には、カレットに対する検出方法の実行の間に、ガラスセラミックは、それに固有の色を表す。
【0038】
比色分析処理の閾値処理は、2つの種類の光源によって同時に発された光線にさらされたときに、ガラスセラミックによって反射された色に基づく。その組成中の金属酸化物の存在に起因して、ガラスセラミック材料は、それが受ける紫外光線のうち幾らかを吸収する。これらの金属酸化物は紫外光線を吸収し、対応する結晶は青色光を散乱させ;これが、検出方法の間にカレットが分析されるときに、ガラスセラミック材料が、理論的には黄色を表すガラスの唯一の種類であり、従ってこの閾値が選択される理由である。従って、比色分析処理の後、計算モジュールは、色相Hが50°~70°である任意のピクセル又はピクセルの群をガラスセラミック材料であるとみなすように構成することができる。
【0039】
本発明はまた、上で説明された検出方法を実行するためのシステムであって、ガラスセラミック材料を検出するためのモジュールと、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールとを備えるシステムをカバーしている。方法と同様に、この方法を実行するためのシステムは、任意の性質であることができる、ガラスセラミック材料を検出するためのモジュールを備える。RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールは、ガラスセラミック材料を検出するためのモジュールの性質に関わらず、上で説明されたのと同じ手法で、陽性と検出された破片を検証する工程を行う。
【0040】
本発明はまた、ガラス繊維、中空ガラス又は板ガラスを製造するための設備であって、少なくとも1つのガラス炉と成形ステーションとを備え、その中で、カレットがガラス炉に注がれて、成形ステーションを供給することが意図された溶融ガラスが得られ、設備が、上で説明された検出方法を実行するためのシステムを備え、実行システムが、ガラス炉に向かうカレットの経路上に位置する、設備に関する。
【0041】
本発明の他の特徴及び利点は、例示の目的のために、かつ添付の模式図に関する限定されずに与えられる、以下の説明と、複数の例示的な実施態様との両方から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の1つの実施態様による検出システムの模式図である。
【
図2】通常のガラスの破片に対する、及びガラスセラミック材料の破片に対するシステムの光源の照射の挙動の模式図である。
【
図3】上で説明されるシステムによって実行される検出方法の模式図である。
【
図4】受け取られた光の波長の関数としての、異なる種類のガラスの光の透過の割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
非網羅的な例として、ここで例として採用される検出システムは、HSVモデルによる比色分析処理モジュールを備える。この処理モジュールが、ガラスセラミック材料を検出する。
【0044】
図1は、本発明による検出システム1を表している。このシステム1は、白色光源3に対応する第一の種類と、単色紫外型光源4に対応する第二の種類とを含む2つの種類の光源を備える。1つ又は複数の白色光源3と、1つ又は複数の紫外型光源4とは、光源を支持し、かつ電気エネルギーを供給するための手段を備える構造体13に取り付けられる。イメージ取得装置5は、構造体13の上に突き出ている。図示されている例において、イメージ取得装置5は、取り付け手段36によって支持されているが、構造体13に直接的に一体化されていてもよい。
【0045】
白色光源3によって発された光線は、光の強度を限定して、迷光反射を回避するために、偏光器16によって直接的にフィルタリングされ、光線は、次いで処理することができる。単色紫外型光源4によって発された光線は、純粋に単色紫外照射を得るために、365nmを中心としたバンドパスフィルター15によって、順にフィルタリングされる。図示された例において、光源及びフィルターの配置は、均一な全体の照明を得るために、構造体13の反対側に、同じ位置にある。
【0046】
白色光源3及び単色紫外型光源4は、放射区域11の方向に、光線12を発する。放射区域11は、イメージ取得装置5のキャプチャ範囲に一致する。白色光源3及び単色紫外型光源4によって発された光線12は、カレット2が配置される反射表面10に投射される。
【0047】
図示されている例において、反射表面10は、方向9に移動するコンベヤ8に配置されている。
図2に示されるように、白色光源3によって、及び単色紫外型光源4によって発された光線は、それらが、カレット2が配置される放射区域に到達するとき、変化する場合がある挙動を有する。
【0048】
光線14は、表面10によって、イメージ取得装置5の方向に反射される。これらの光線14は、偏光器16に対して交差した分析器18によってフィルタリングされる。偏光器16と分析器18とが共同してあることは、白色光源3によって発された光線に起因する、イメージの処理を解釈しづらくする迷光反射を限定することが意図されている。イメージ取得装置5は、反射表面10によって反射される光線14によって、カレット2のイメージをキャプチャする。
【0049】
イメージが取得された後、そのイメージは、イメージ取得装置5に電気的に接続されたイメージ処理装置6によって処理される。イメージ処理装置6は、ガラスセラミック材料を検出するためのモジュール17を備える。ここに示される非網羅的な例において、HSVモデルによる比色分析イメージ処理モジュールは、イメージのピクセルを、ピクセルごとに、又はピクセルの組ごとに分析して、これらのピクセルをHSVデータに変換するように構成されている。HSVモデルの比色分析イメージ処理モジュールは、それぞれのピクセル又はピクセルの組について、固定された彩度Sデータ及び明度Vデータについて、色相データHが決定されるように構成されている。ここで、これらの固定されたデータは、S=1及びV=0.5に等しい。
【0050】
次いで、それぞれの決定された色相データHは、少なくとも1つの閾値のデータと比較される。例えば、色相データHは、50°の最小の閾値及び70°の最大の閾値と比較される。言い換えれば、ピクセル又はピクセルの組が、S=1かつV=0.5で、50°≦H≦70°に等しいHSVデータを有する場合、このピクセル又はピクセルの組は、ガラスセラミック材料とみなされる破片に対応すると考えられる。この情報は、システム1のユーザーが主導で介在して、カレットからガラスセラミックの破片を除去することができるようにシステム1のユーザーに、又はガラスセラミック材料であるとみなされた破片が、目標とする方式で排出されることを可能とする自動化された装置に伝えられる。
【0051】
代わりに、さらなる比色分析処理を行うことができる。HSVモデルの比色分析イメージ処理モジュールによってガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応するピクセルのHSVデータは、次いで、イメージ処理装置6に含まれるRGBモデルの比色分析イメージ処理モジュール7によってRGBデータに変換され、RGBモデルの比色分析イメージ処理モジュール7は、ガラスセラミック材料を検出するためのモジュール17によって行われる処理に起因する潜在的な偽陽性を検出して、検出システム1の正確さを改善するために、回収されたRGBデータの青データBと赤データRとの比B/Rを計算する。その実施態様によれば、RGBモデルの比色分析処理モジュール7は、イメージ取得装置5によって取得された全体のイメージを変換することもできる。さらには、イメージは、RGBモデルの比色分析処理モジュール7に、直接伝送される。
【0052】
図2は、2つの異なる種類のガラスに対する、光源からの光の照射の模式図である。模式的な単純化のために、それぞれの光源からの2つの光線のみが示されているが、実際には、光源は、多数の方向に、例えば90°の放射角度に、放射している。さらに、これもまた図を単純化するために、ガラスの破片に対する光線の屈折現象は示されていない。
【0053】
図2は、白色光源3及び単色紫外型光源4を示していて、それぞれの光源は、それらの各々の光の照射を発している。白色光源3は、実線で示される白色光線26を発していて、単色紫外型光源4は、点線で示される365nmの波長を有する紫外光線25を発している。2つの光線は、反射表面10に配置されたカレットが存在する放射区域11で交わる。ここでは、通常のガラスの破片23及びガラスセラミックの破片24が、カレット中に存在する。
【0054】
通常のガラスの破片23は、全ての種類の光線を通過させる。従って、白色光線26及び紫外光線25は、通常のガラスの破片23を通過し、反射表面10によって反射され、再び通常のガラスの破片23の構造を、イメージ取得装置5に向かって通過する。
【0055】
ガラスセラミックの破片24は、通常のガラスの破片23とは異なる光学特性を示す。
図4を参照してより詳細に説明されるように、ガラスセラミック材料は、紫外光線の多くを吸収する特性を有する。従って、紫外光線25は、全てがガラスセラミックの破片24の構造を通過するわけではなく、大部分が吸収される。一般に、365nmの波長を有する紫外光線は、その軌道がガラスセラミック材料の破片を通過する場合、イメージ取得装置5の方向に、ほとんど反射しない。通常のガラスの破片23についてと同様に、白色光線26は、ガラスセラミックの破片24を通過し、イメージ取得装置5の方向に反射される。
【0056】
理論的には、イメージ取得装置5は、白色光源3からの全ての白色光線26と、1つ又は複数のガラスセラミックの破片24によって多く吸収された紫外光線25を除いた単色紫外型光源4からの紫外光線25とを受け取る。この2つの照明、及びガラスセラミック材料による紫外光線の部分的な削減は、ガラスセラミック材料が、カレットの残部とは異なり、黄色の色相を呈するため、取得されたイメージに対する可能な比色分析をもたらす。
【0057】
図3は、上で説明されたシステムによって実行される検出方法の模式図である。
【0058】
所与の速さでコンベヤをスクロールする工程27は、1つ又は複数のカレットの、それらの反射表面への、又は直接的にコンベヤの反射マットへの移動を含む。
【0059】
コンベヤのスクロール27は、カレットを放射区域に配置する工程29をもたらす。同時に、放射区域に存在するカレットを照らすために、光源からの光の照射を発する工程28が開始される。放射区域にカレットを配置する工程29と、光源からの光の照射を発する工程28との結合は、イメージ取得装置によってイメージを取得する工程30につながる。
【0060】
イメージがキャプチャされると、検出方法32が始まる。キャプチャされたイメージは、例えばHSVモデルによってイメージを比色分析処理する工程である、ガラスセラミック材料を検出する工程33を受ける。ガラスセラミック材料を検出する工程33は、イメージを取得する工程30の間に取得されたイメージを、ピクセルごとに、又はピクセルの群ごとに、規定されたデータS及びVについて50°≦H≦70°であるように、50°と70°との間のHの閾値を、このイメージに適用することによって、分析する。この閾値に該当するピクセル又はピクセルの群がない場合、検出方法32は終了し、コンベヤ上をスクロールする新たなカレットを用いて、新たなサイクルを再び始める。
【0061】
1つ若しくは複数のピクセル、又は1つ若しくは複数のピクセルの群が、このHの閾値処理に該当する場合、理論的には、これらのピクセル又はピクセルの群に対応する破片は、ガラスセラミックの破片であるとみなされる。従って、方法は続き、RGBモデルによってイメージを比色分析処理する工程34で終了する。
【0062】
この終了のために、ガラスセラミック材料を検出する先の工程から取得された処理されたデジタルイメージ、特にはガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応する少なくとも1つのピクセルの群を含むデジタルイメージに対して、RGBモデルの比色分析イメージ処理モジュール7を提供することが適している。検出工程がカレットから取得されたイメージの比色分析によって行われる説明された例において、イメージの処理は、取得されたイメージと、ガラスセラミック材料であるとみなされ得るものに対応するピクセル又はピクセルの群のデジタルマーキングとを結びつけることによって行われる。ガラスセラミック材料の検出が他の方法によって行われる、説明されていないが、本発明に含まれる例において、カレットのデジタルイメージは、この段階で取得され、処理されて、イメージ上で、ガラスセラミック材料であるとみなされ得るものを識別する。
【0063】
RGBモデルによってイメージを比色分析処理する工程34の間に、互いをフォローする複数のサブステップが連続する。すなわち、まず、イメージはRGBモデルによって処理され;これは、全体のイメージか、ガラスセラミック材料であるとみなされたピクセル、すなわちHSVモデルのデータHの閾値処理に該当するピクセルのみかのいずれかであってよい。これは、イメージのピクセル又はピクセルの群をRGBデータに変換するサブステップ36である。これらのピクセルのそれぞれについて、赤データR及び青データBが回収され、その2つのデータは0~255である。次いで、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールは、ピクセル又はピクセルの群の青データB/同じピクセル又はピクセルの群の赤データRに対応する比B/Rを、その比を計算するサブステップ37によって計算する。最後に、それぞれのピクセル又はピクセルの群から得られた比は、比の比較のサブステップ38の間に、0.5の閾値と比較される。B/Rの閾値は、0.5超に設定される。言い換えれば、1つ若しくは複数のピクセル又は1つ若しくは複数のピクセルの群の比B/Rが、この0.5の閾値より大きい場合、該当する破片は、ガラスセラミックの破片であると確認される。この同じ比が、0.5の閾値より小さい場合、該当する破片は偽陽性であり、ガラスセラミックの破片ではないと識別される。
【0064】
次いで、この情報の全ては、追跡計算工程31に伝送される。追跡計算工程31の間に、対象の破片、すなわち、カレットのガラスセラミック材料を検出する工程33に従ってガラスセラミックの破片であるとみなされ、RGBモデルによってイメージを比色分析処理する工程34の間にガラスセラミックの破片であると確認された破片がターゲットされる。これらの対象の破片は、コンベヤの速さに応じて、カレットの移動の速さを考慮に入れることによって追跡される。対象の破片は、時間tにおいて知られている位置から、システムが、時間t+Δtにおけるそれらの位置を正確に決定することができるという点で、ターゲットされると理解される。
【0065】
追跡計算工程31の間に、これらの対象の破片がターゲットされると、次いで、ガラスセラミックの破片を排除する工程35が次にきて、それらは検出システムの外部にあるため、図では点線で示されている。ガラスセラミックの破片を排除する工程35は、コンベヤに沿って、検出システムの下流に存在するブロワ装置によって行うことができる。追跡計算工程31のおかげで、計算モジュールから位置情報を受け取ったブロワ装置は、ガラスセラミックの破片が位置する位置で、及び適したときに作動される。そうして、ガラスセラミックの破片はカレットから排出される。
【0066】
図4は、発される光の波長の関数としての、異なる種類のガラスを通る光の透過の割合を示すグラフである。4つの異なる種類のガラスに対応する4つの曲線が:通常の、すなわち最も一般的なガラスに対応する曲線19、ガラスセラミック材料に対応する曲線20、一般的にワインボトルを製造するのに使用されるボトルガラスに対応する曲線21、及び一般的にシャンパンボトルを製造するのに使用されるシャンパンガラスに対応する曲線22が、このグラフ上に見られる。グラフの横座標について、400nmより小さい領域は紫外範囲に対応していて、一方で、400nmより大きい領域は可視範囲に対応している。
【0067】
通常のガラスの曲線19及びガラスセラミック材料の曲線20は、類似の挙動、すなわち、85~90%の透過のレベルに到達するまでの、光の透過の割合の強い増加に対応する曲線を有する。これらの2つの曲線の間の主要な違いは、通常のガラスの曲線19は、ガラスセラミック材料の曲線20の急な増加よりも短い波長において、鋭く増加することにある。従って、通常のガラスは、紫外光線において、ガラスセラミック材料の透過率よりも、かなり高い透過率を有する。この違いは、365nmの波長を有する単色紫外型光源の使用の根拠となるものである。なぜならば、この値において、通常のガラスの光の透過の割合は80%より高く(
図4の点P1)、一方で、ガラスセラミック材料の光の透過の割合は20%より低い(
図4の点P2)からである。従って、イメージ取得装置は、365nmの紫外光線と、全体の可視スペクトルの白色光線(例えば550nm)とを、それらが通常のガラスの破片を通過する場合にはキャプチャするが、ガラスセラミックの破片に当たった紫外光線の全てをキャプチャするわけではない。なぜなら、これらは、ガラスセラミック材料によって、多くが吸収されるからである。検出システムの照明条件は、ガラスセラミック材料が、その光学特性を通じて、選択されるHSV閾値のデータ、すなわち50°≦H≦70°に対応する黄色に色付けされた色相を呈するような条件である。ガラスセラミック材料に対応する色の色合いは、複数の因子に、特に光源に、又はイメージ取得装置の種類に依存する。
【0068】
先に説明されたように、この黄色の色は、ガラスセラミック材料の組成中の金属酸化物の存在によって説明される。他の2つの曲線、すなわちボトルガラスの曲線21及びシャンパンガラスの曲線22もまた、互いに対して類似の挙動を有する。これらは、2つの種類のガラスであって、それぞれの曲線が可変であり、かつかろうじて50%の光の透過を超過しない(
図4の点P3)光波を伝える2つの種類のガラスである。紫外光に関して、ボトルガラス及びシャンパンガラスは、特には単色紫外型光源の照射波長に対応する365nmで、ガラスセラミック材料の光の透過の割合に類似した光の透過の割合を有する。従って、ボトルガラス及びシャンパンガラスは、ガラスセラミック材料と同じように、単色紫外型光源によって発された紫外光線を吸収する。さらに、この2つの種類のガラスが光を最もよく透過させる波長の値は、約550~570nmである。可視スペクトルにおいて、この波長の範囲は、黄緑色に対応する。
【0069】
まとめると、ボトルガラス及びシャンパンガラスは、実質的に、ガラスセラミック材料と同じUV吸収特性を有し、それらの最も良い光の透過の割合は、イメージ取得装置によって取得されたイメージが、HSVモデルによる比色分析イメージ処理モジュールによって処理されるときに、ガラスセラミック材料の閾値処理の色相に非常に類似した色相である黄緑色に対応している。従って、ボトルガラス及びシャンパンガラスは偽陽性となりやすい2つの種類のガラスであり、すなわち、それらは、HSVモデルによる比色分析イメージ処理モジュールによる分析の間に、それらがガラスセラミック材料の破片でないときに、ガラスセラミック材料の破片であるとみなされやすい。RGBモデルの比色分析イメージ処理モジュールの存在の利点は、ボトルガラス及びシャンパンガラスの比B/Rが0.5より小さく、それらがガラスセラミック材料の破片であることを否定することができる場合に、十分に明らかになる。
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)
カレット(2)の中からの、ガラスセラミック型の材料の自動化された検出のための方法(32)であって、
カレット(2)中のガラスセラミック材料を検出する工程(33)であって、この工程の間に、前記カレットの中で、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片が識別される工程(33)、
前述のガラスセラミック材料を検出する工程から得られるデジタルイメージを取得する工程であって、特に、前記イメージが、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応する少なくとも1つのピクセルの群を含む工程、
前記イメージを比色分析で処理する工程(34)であって、この工程の間に、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応する、前記イメージの少なくとも1つの前記ピクセルの群が、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュール(7)によって処理される比色分析イメージ処理工程(34)
を含むことを特徴とする、検出方法(32)。
(付記2)
前記比色分析イメージ処理工程(34)の間に、前記RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュール(7)が、ガラスセラミック材料であるとみなされた破片に対応する前記ピクセルのみを処理する、付記1に記載の検出方法(32)。
(付記3)
前記RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュールが、RGBモデルのうち赤データR及び青データBのみを考慮することによって、RGBデータに変換された前記ピクセル又はピクセルの群を処理する、付記1又は2に記載の検出方法(32)。
(付記4)
前記RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュール(7)が、ガラスセラミック材料の破片であるとみなされたカレットの破片に対応するそれぞれのピクセル又はピクセルの群について、青データBと赤データRとの比B/Rを計算する、付記1~3のいずれか1項に記載の検出方法(32)。
(付記5)
前記RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュール(7)が、先に計算された前記青データBと赤データRとの比B/Rを、ある閾値に対して比較する、付記4に記載の検出方法(32)。
(付記6)
前記閾値が0.5である、付記5に記載の検出方法(32)。
(付記7)
前記ガラスセラミック材料を検出する工程(33)が比色分析によって行われる、付記1~6のいずれか1項に記載の検出方法(32)。
(付記8)
前記ガラスセラミック材料を検出する工程(33)が、HSVモデルによる比色分析イメージ処理によって行われる、付記7に記載の検出方法(32)。
(付記9)
付記1~8のいずれか1項に記載の検出方法(32)を実行するためのシステム(1)であって、ガラスセラミック材料を検出するためのモジュール(17)と、RGBモデルによる比色分析イメージ処理モジュール(7)とを備える、システム(1)。
(付記10)
ガラス繊維、中空ガラス又は板ガラスを製造するための設備であって、少なくとも1つのガラス炉及び成形ステーションを備え、前記設備において、カレットが前記ガラス炉に注がれて、前記成形ステーションを供給することが意図された溶融ガラスが得られ、前記設備が、付記9に記載の検出方法(32)を実行するためのシステム(1)を備え、前記実行システム(1)が、前記ガラス炉に向かう前記カレットの経路に位置する、設備。