(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス配索構造、リンク式スライドドア、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 11/00 20060101AFI20250418BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20250418BHJP
【FI】
H02G11/00
B60R16/02 620C
(21)【出願番号】P 2022028837
(22)【出願日】2022-02-28
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】木暮 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 光
(72)【発明者】
【氏名】角谷 誠一
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-176233(JP,A)
【文献】特開2008-005589(JP,A)
【文献】特開平10-088896(JP,A)
【文献】特開2007-196987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
B60R 16/02
B60J 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が第1車体側連結部を介して車体に回動可能に連結され且つ他端が第1ドア側連結部を介してドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第1リンクアームと、
前記第1リンクアームの鉛直方向の下側に設けられ、一端が第2車体側連結部を介して前記車体に回動可能に連結され且つ他端が第2ドア側連結部を介して前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記第1リンクアームと共に前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第2リンクアームと、
前記第2リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の接続対象と前記ドア本体側の接続対象とを接続する配索線と、を備え、
前記第2リンクアームは、当該第2リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成され前記配索線を収容可能な溝部を含み、
前記溝部は、前記鉛直方向及び前記延在方向と交差する幅方向における一方側に位置して前記延在方向に沿って長尺状かつ平板状に形成される底面部と、前記底面部における前記鉛直方向の両端から前記幅方向に沿って立設し、それぞれが前記延在方向に沿って長尺状かつ平板状に形成される一対の側壁部により囲われて形成され、
前記第1リンクアーム側の一対の前記側壁部には、切り欠き部が形成され、
前記配索線は、当該配索線が前記溝部に収容された状態で、前記切り欠き部を介して前記第2車体側連結部の前記第1リンクアーム側を通って配索されることを特徴とするワイヤハーネス配索構造。
【請求項2】
前記車体は、当該車体の骨格を形成する車体フレームと、前記車体フレームから車室側に突出して設けられ前記第1車体側連結部を支持する第1突出支持部と、前記車体フレームから前記車室側に突出して設けられ前記第2車体側連結部を支持する第2突出支持部と、を含み、
前記配索線は、前記第2突出支持部の前記第1リンクアーム側を通って配索される請求項1に記載のワイヤハーネス配索構造。
【請求項3】
車体に組み付けられるドア本体と、
一端が第1車体側連結部を介して車体に回動可能に連結され且つ他端が第1ドア側連結部を介してドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第1リンクアームと、
前記第1リンクアームの鉛直方向の下側に設けられ、一端が第2車体側連結部を介して前記車体に回動可能に連結され且つ他端が第2ドア側連結部を介して前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記第1リンクアームと共に前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第2リンクアームと、
前記第2リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の接続対象と前記ドア本体側の接続対象とを接続する配索線と、を備え、
前記第2リンクアームは、当該第2リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成され前記配索線を収容可能な溝部を含み、
前記溝部は、前記鉛直方向及び前記延在方向と交差する幅方向における一方側に位置して前記延在方向に沿って長尺状かつ平板状に形成される底面部と、前記底面部における前記鉛直方向の両端から前記幅方向に沿って立設し、それぞれが前記延在方向に沿って長尺状かつ平板状に形成される一対の側壁部により囲われて形成され、
前記第1リンクアーム側の一対の前記側壁部には、切り欠き部が形成され、
前記配索線は、当該配索線が前記溝部に収容された状態で、前記切り欠き部を介して前記第2車体側連結部の前記第1リンクアーム側を通って配索されることを特徴とするリンク式スライドドア。
【請求項4】
一端が第1車体側連結部を介して車体に回動可能に連結され且つ他端が第1ドア側連結部を介してドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第1リンクアームの鉛直方向の下側に設けられ、一端が第2車体側連結部を介して前記車体に回動可能に連結され且つ他端が第2ドア側連結部を介して前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記第1リンクアームと共に前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第2リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の接続対象と前記ドア本体側の接続対象とを接続する配索線を備え、
前記第2リンクアームは、当該第2リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成され前記配索線を収容可能な溝部を含み、
前記溝部は、前記鉛直方向及び前記延在方向と交差する幅方向における一方側に位置して前記延在方向に沿って長尺状かつ平板状に形成される底面部と、前記底面部における前記鉛直方向の両端から前記幅方向に沿って立設し、それぞれが前記延在方向に沿って長尺状かつ平板状に形成される一対の側壁部により囲われて形成され、
前記第1リンクアーム側の一対の前記側壁部には、切り欠き部が形成され、
前記配索線は、当該配索線が前記溝部に収容された状態で、前記切り欠き部を介して前記第2車体側連結部の前記第1リンクアーム側を通って配索されることを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネス配索構造、リンク式スライドドア、及び、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、スライドドア用の配索構造が記載されている。このスライドドア用の配索構造は、車体側に設けられたガイド部によってガイドされるスライド部を有するスライドドアと、スライドドアと車体側とを電気的に接続し、かつスライド部が通過する軌跡空間を横断している可撓性の導電体と、当該導電体に沿って配置された板状の弾性体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スライドドアの構成として、スライド部を有するものではなく、車体に対してスライドドアをスライド移動可能に支持する2本のリンクアームを備えるリンク式スライドドアを構成する場合、例えば、それぞれのリンクアームによってスライドドアを安定して支持した状態で、車体とスライドドアとの間に配索線を配索することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、配索線を適正に配索することができるワイヤハーネス配索構造、リンク式スライドドア、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネス配索構造は、一端が第1車体側連結部を介して車体に回動可能に連結され且つ他端が第1ドア側連結部を介してドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第1リンクアームと、前記第1リンクアームの鉛直方向の下側に設けられ、一端が第2車体側連結部を介して前記車体に回動可能に連結され且つ他端が第2ドア側連結部を介して前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記第1リンクアームと共に前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第2リンクアームと、前記第2リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の接続対象と前記ドア本体側の接続対象とを接続する配索線と、を備え、前記配索線は、前記第2車体側連結部の前記第1リンクアーム側を通って配索されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るリンク式スライドドアは、車体に組み付けられるドア本体と、一端が第1車体側連結部を介して車体に回動可能に連結され且つ他端が第1ドア側連結部を介してドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第1リンクアームと、前記第1リンクアームの鉛直方向の下側に設けられ、一端が第2車体側連結部を介して前記車体に回動可能に連結され且つ他端が第2ドア側連結部を介して前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記第1リンクアームと共に前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第2リンクアームと、前記第2リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の接続対象と前記ドア本体側の接続対象とを接続する配索線と、を備え、前記配索線は、前記第2車体側連結部の前記第1リンクアーム側を通って配索されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るワイヤハーネスは、一端が第1車体側連結部を介して車体に回動可能に連結され且つ他端が第1ドア側連結部を介してドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第1リンクアームの鉛直方向の下側に設けられ、一端が第2車体側連結部を介して前記車体に回動可能に連結され且つ他端が第2ドア側連結部を介して前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記第1リンクアームと共に前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第2リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の接続対象と前記ドア本体側の接続対象とを接続する配索線を備え、前記配索線は、前記第2車体側連結部の前記第1リンクアーム側を通って配索されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るワイヤハーネス配索構造、リンク式スライドドア、及び、ワイヤハーネスは、配索線が、第2車体側連結部の第1リンクアーム側を通って配索されるので、例えば、配索線を第2車体側連結部の第1リンクアーム側とは反対側を通して配索する場合と比較して、第1車体側連結部と第2車体側連結部との鉛直方向の間隔を広くすることができるのでドア本体が安定して支持され、この結果、車体とドア本体との間で配索線を適正に配索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るワイヤハーネス配索構造の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るワイヤハーネス配索構造の構成例を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るメインリンク機構の構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るサブリンク機構の構成例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るワイヤハーネス配索構造の構成例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態〕
図面を参照しながら実施形態に係るワイヤハーネス配索構造1、リンク式スライドドアSD、及び、ワイヤハーネスWHについて説明する。
【0013】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「延在方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z(交差方向Z)」という。延在方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に交差し、典型的には直交する。延在方向Xは、例えば、後述するメインリンクアーム11が延在する方向(長手方向)に沿った方向である。幅方向Yは、例えば、メインリンクアーム11の短手方向に沿った方向である。高さ方向Zは、車両の車両高さ方向(車高方向)に沿った方向であり、また鉛直方向に沿った方向でもある。ドア本体Dのスライド方向Sは、ドア本体Dを閉じた状態におけるメインリンクアーム11の延在方向Xに沿う方向であり、ここでは、車体Bの全長方向に沿った方向に相当する。言い換えれば、ドア本体Dのスライド方向Sは、メインリンクアーム11の回動軸(後述の回動軸部121、131)に交差する方向であり、典型的には当該回動軸に直交する方向である。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
【0014】
ワイヤハーネス配索構造1は、車両に適用され、車両の車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持すると共に、車体B側に設けられた機器やコネクタ等の接続対象と、ドア本体D側に設けられた機器やコネクタ等の接続対象とを電気的に接続するものである。この例では、車体B側には、車体B側の接続対象としての車体側コネクタBCが設けられ、ドア本体D側には、ドア側の接続対象としてのドア側コネクタDCが設けられている。車体側コネクタBCは、後述のメインリンク機構10よりも後述のサブリンク機構20の近傍に設けられ、この例では、サブリンク機構20の高さ方向Zの上側に設けられている。言い換えれば、車体側コネクタBCは、サブリンク機構20のメインリンク機構10側に設けられている。ドア側コネクタDCは、メインリンク機構10とサブリンク機構20と間(この例では、高さ方向Zにおいてメインリンク機構10とサブリンク機構20との略中間)に設けられている。
【0015】
ここで、車体Bは、上述の車体側コネクタBCに加えてさらに、車体フレームBbと、第1突出支持部Bb1と、第2突出支持部Bb2とを備えている。車体フレームBbは、車体Bの骨格を形成し、例えば、エンジン、トランスミッション、サスペンション、車輪等を支持する。第1突出支持部Bb1は、ドア本体Dにより開閉される乗降口Baの近傍に位置する車体フレームBbに設けられ、当該車体フレームBbから車室側に突出して形成されている。第1突出支持部Bb1は、例えば、金属平板を折り曲げて枠形状に形成され、後述するメインリンク機構10の第1連結部12を内側に保持することで当該第1連結部12を支持する。また、第2突出支持部Bb2は、高さ方向Zに沿って第1突出支持部Bb1と並んで設けられ、第1突出支持部Bb1の高さ方向Zの下側に位置し、車体フレームBbから車室側に突出して形成されている。第2突出支持部Bb2は、例えば、金属平板を折り曲げて枠形状に形成され、後述するサブリンク機構20の第1連結部22を内側に保持することで当該第1連結部22を支持する。第2突出支持部Bb2の高さ方向Zの上側には、車体側コネクタBCが設けられている。
【0016】
ワイヤハーネス配索構造1は、
図1~
図4に示すように、メインリンク機構10と、サブリンク機構20と、配索線Wとを備える。配索線Wは、ワイヤハーネスWHを構成する。言い換えれば、ワイヤハーネスWHは、配索線Wを備えるものであるということもできる。また、ドア本体Dと、メインリンク機構10と、サブリンク機構20と、配索線Wとは、リンク式スライドドアSDを構成する。言い換えれば、リンク式スライドドアSDは、ドア本体Dと、メインリンク機構10と、サブリンク機構20と、配索線Wとを備えるものであるということもできる。
【0017】
ここで、ワイヤハーネス配索構造1は、メインリンク機構10及びサブリンク機構20によってドア本体Dを支持し、後述するメインリンクアーム11及びサブリンクアーム21を回動させることによって、一般的なスライド用のガイドレールを用いずに、車体Bに対してドア本体Dをスライド方向Sに沿ってスライド移動させるものである。ドア本体Dは、例えば、後部座席用ドアとして車体Bに組み付けられ、車体Bに対して全閉位置から全開位置までスライド方向Sに沿ってスライド移動することで、乗員が乗降する乗降口Baを開口し、一方で、車体Bに対して全開位置から全閉位置までスライド方向Sに沿ってスライド移動することで乗降口Baを閉口する。以下、ワイヤハーネス配索構造1について詳細に説明する。
【0018】
メインリンク機構10は、
図1、
図2に示すように、サブリンク機構20と共に車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持する機構である。メインリンク機構10は、メインリンクアーム11と、第1連結部12と、第2連結部13とを含んで構成される。
【0019】
メインリンクアーム11は、車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持する部材である。メインリンクアーム11は、
図3に示すように、第1アーム111と、第2アーム112とを含んで構成される。
【0020】
第1アーム111は、延在方向Xに沿って延在し長尺状に形成された金属部材である。第1アーム111は、例えば、車体B側からドア本体D側に屈曲した屈曲部を有した形状に形成されている。なお、第1アーム111は、車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持できるものであれば、このような屈曲した形状に限定されない。第1アーム111は、柱状に形成され、この例では四角柱状に形成されている。第1アーム111は、柱状に形成されることで、例えば筒状に形成される場合と比較して、ドア本体Dを強固に支持することができる。
【0021】
第2アーム112は、上述の第1アーム111と同等に構成されている。すなわち、第2アーム112は、延在方向Xに沿って延在し長尺状に形成された金属部材である。第2アーム112は、例えば、車体B側からドア本体D側に屈曲した屈曲部を有した形状に形成されている。なお、第2アーム112は、車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持できるものであれば、このような屈曲した形状に限定されない。第2アーム112は、第1アーム111と高さ方向Zに沿って並んで配置されている。第2アーム112は、柱状に形成され、この例では四角柱状に形成されている。第2アーム112は、柱状に形成されることで、例えば筒状に形成される場合と比較して、ドア本体Dを強固に支持することができる。
【0022】
次に、第1連結部12について説明する。第1連結部12は、
図2に示すように、メインリンクアーム11の延在方向Xの一端を車体Bの第1突出支持部Bb1に回動可能に連結するものであり、回動軸部121と、軸受け部122とを含んで構成される。
【0023】
回動軸部121は、メインリンクアーム11の延在方向Xの一端を回動可能に支持するものである。回動軸部121は、棒状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、メインリンクアーム11の延在方向Xの一端の孔部(筒状の孔部)に挿通されている。具体的には、回動軸部121は、メインリンクアーム11において、第1アーム111の延在方向Xの一端の孔部と、第2アーム112の延在方向Xの一端の孔部とに挿通されている。回動軸部121は、高さ方向Zにおいて第1アーム111と第2アーム112との間隔を一定に保つためのストッパー(図示省略)が設けられている。このストッパーは、高さ方向Zにおいて第1アーム111と第2アーム112とが位置ずれすることを防止する。高さ方向Zに沿って延在する回動軸部121は、当該回動軸部121の軸回りに回動可能に第1アーム111の一端と第2アーム112の一端とを支持する。なお、第1アーム111と第2アーム112とが位置ずれすることを防止する構成は、上記ストッパー以外の構成であってもよい。
【0024】
軸受け部122は、回動軸部121を車体Bに連結するものである。軸受け部122は、固定プレート122aと、一対の支持プレート122bとを含んで構成される。
【0025】
固定プレート122aは、車体Bの第1突出支持部Bb1に固定される部分である。固定プレート122aは、平板状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、枠形状に形成された車体Bの第1突出支持部Bb1の内側に固定される。
【0026】
一対の支持プレート122bは、回動軸部121を支持するものである。一対の支持プレート122bは、それぞれが平板状に形成され、固定プレート122aの高さ方向Zの両端から幅方向Yに沿って立設し、高さ方向Zに沿って一定の間隔をあけて位置している。一対の支持プレート122bは、一方の支持プレート122bと他方の支持プレート122bとの間に回動軸部121が設けられている。一対の支持プレート122bは、それぞれが回動軸部121を挿通するための孔部を有し、一方の支持プレート122bの孔部には回動軸部121の一端が挿通され、他方の支持プレート122bの孔部には回動軸部121の他端が挿通されている。一対の支持プレート122bに挿通された回動軸部121は、その両端部に抜け止め部が設けられている。上述のように構成された軸受け部122は、第1アーム111及び第2アーム112に挿通された回動軸部121の両端を、一対の支持プレート122bにより支持した状態で、固定プレート122aが車体Bの第1突出支持部Bb1に固定されている。
【0027】
次に、第2連結部13について説明する。第2連結部13は、
図3に示すように、メインリンクアーム11の延在方向Xの他端をドア本体Dに回動可能に連結するものであり、第1連結部12と同等に構成されている。すなわち、第2連結部13は、回動軸部131と、軸受け部132とを含んで構成される。
【0028】
回動軸部131は、メインリンクアーム11の延在方向Xの他端を回動可能に支持するものである。回動軸部131は、棒状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、メインリンクアーム11の延在方向Xの他端の孔部(筒状の孔部)に挿通されている。具体的には、回動軸部131は、メインリンクアーム11において、第1アーム111の延在方向Xの他端の孔部と、第2アーム112の延在方向Xの他端の孔部とに挿通されている。回動軸部131は、高さ方向Zにおいて第1アーム111と第2アーム112との間隔を一定に保つためのストッパー(図示省略)が設けられている。このストッパーは、高さ方向Zにおいて第1アーム111と第2アーム112とが位置ずれすることを防止する。高さ方向Zに沿って延在する回動軸部131は、当該回動軸部131の軸回りに回動可能に第1アーム111の他端と第2アーム112の他端とを支持する。なお、第1アーム111と第2アーム112とが位置ずれすることを防止する構成は、上記ストッパー以外の構成であってもよい。
【0029】
軸受け部132は、回動軸部131をドア本体Dに連結するものである。軸受け部132は、固定プレート132aと、一対の支持プレート132bとを含んで構成される。
【0030】
固定プレート132aは、ドア本体Dに固定される部分である。固定プレート132aは、平板状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、ドア本体Dに固定される。
【0031】
一対の支持プレート132bは、回動軸部131を支持するものである。一対の支持プレート132bは、それぞれが平板状に形成され、固定プレート132aの高さ方向Zの両端から幅方向Yに沿って立設し、高さ方向Zに沿って一定の間隔をあけて位置している。一対の支持プレート132bは、一方の支持プレート132bと他方の支持プレート132bとの間に回動軸部131が設けられている。一対の支持プレート132bは、それぞれが回動軸部131を挿通するための孔部を有し、一方の支持プレート132bの孔部には回動軸部131の一端が挿通され、他方の支持プレート132bの孔部には回動軸部131の他端が挿通されている。一対の支持プレート132bに挿通された回動軸部131は、その両端部に抜け止め部が設けられている。上述のように構成された軸受け部132は、第1アーム111及び第2アーム112に挿通された回動軸部131の両端を、一対の支持プレート132bにより支持した状態で、固定プレート132aがドア本体Dに固定されている。
【0032】
上述のように構成されたメインリンクアーム11は、車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動しつつ、サブリンク機構20と共に車体Bに対してドア本体Dをスライド方向Sに沿ってスライド移動可能に支持する。
【0033】
次に、サブリンク機構20について説明する。サブリンク機構20は、高さ方向Zに沿ってメインリンク機構10と並んで設けられ、この例では、メインリンク機構10の高さ方向Zの下側に設けられ、メインリンク機構10と共に車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持するものである。サブリンク機構20は、サブリンクアーム21と、第1連結部22と、第2連結部23とを含んで構成される。
【0034】
サブリンクアーム21は、高さ方向Zに沿ってメインリンクアーム11と並んで設けられ、
図4に示すように、第1アーム211を含んで構成される。
【0035】
第1アーム211は、延在方向Xに沿って延在し長尺状に形成された金属部材である。第1アーム211は、例えば、延在方向Xに沿って直線状に形成されている。なお、第1アーム211は、車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持できるものであれば、このような直線状の形状に限定されない。第1アーム211は、底面部211aと、一対の側壁部211bとを含んで構成される。底面部211aは、幅方向Yの一方側(ドア本体Dとは反対側)に位置する部分であり、延在方向Xに沿って長尺状かつ平板状に形成されている。一対の側壁部211bは、それぞれが延在方向Xに沿って長尺状かつ平板状に形成され、底面部211aの高さ方向Zの両端から幅方向Yに沿って立設し、高さ方向Zに沿って一定の間隔をあけて位置している。第1アーム211は、底面部211aの幅方向Yの他方側(ドア本体D側)が開口され、延在方向Xの両端部が閉塞されている。第1アーム211は、底面部211aと一対の側壁部211bとにより囲われて形成された後述の溝部211cに、車体B側とドア本体D側との間に配索される配索線Wを収容する。
【0036】
ここで、一対の側壁部211bのうち一方側の側壁部211b(メインリンクアーム11側の側壁部211b)は、第1切り欠き部211dと、第2切り欠き部211eとが形成されている。第1切り欠き部211dは、側壁部211bの延在方向Xの一方側に設けられ、側壁部211bの一部を矩形状に切り欠くことで形成されている。第1切り欠き部211dは、溝部211cに収容された配索線Wの一端側を、当該溝部211cの外側に導くための開口である。溝部211cに収容された配索線Wは、当該配索線Wの一端が第1切り欠き部221dを介して溝部211cの内側から外側に延在して車体側コネクタBCに接続される。また、第2切り欠き部211eは、側壁部211bの延在方向Xの他方側に設けられ、側壁部211bの一部を矩形状に切り欠くことで形成されている。第2切り欠き部211eは、溝部211cに収容された配索線Wの他端側を、当該溝部211cの外側に導くための開口である。溝部211cに収容された配索線Wは、当該配索線Wの他端が第2切り欠き部211eを介して溝部211cの内側から外側に延在してドア側コネクタDCに接続される。
【0037】
次に、第1連結部22について説明する。第1連結部22は、
図4に示すように、サブリンクアーム21の延在方向Xの一端を車体Bに回動可能に連結するものであり、回動軸部221と、軸受け部222とを含んで構成される。
【0038】
回動軸部221は、サブリンクアーム21の延在方向Xの一端を回動可能に支持するものである。回動軸部221は、棒状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、サブリンクアーム21の延在方向Xの一端の孔部(筒状の孔部)に挿通されている。具体的には、回動軸部221は、サブリンクアーム21において、第1アーム211の延在方向Xの一端の孔部に挿通されている。高さ方向Zに沿って延在する回動軸部221は、当該回動軸部221の軸回りに回動可能に第1アーム211の一端を支持する。
【0039】
軸受け部222は、回動軸部221を車体Bに連結するものである。軸受け部222は、固定プレート222aと、一対の支持プレート222bとを含んで構成される。
【0040】
固定プレート222aは、車体Bの第2突出支持部Bb2に固定される部分である。固定プレート222aは、平板状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、枠形状に形成された車体Bの第2突出支持部Bb2の内側に固定される。
【0041】
一対の支持プレート222bは、回動軸部221を支持するものである。一対の支持プレート222bは、それぞれが平板状に形成され、固定プレート222aの高さ方向Zの両端から幅方向Yに沿って立設し、高さ方向Zに沿って一定の間隔をあけて位置している。一対の支持プレート222bは、一方の支持プレート222bと他方の支持プレート222bとの間に回動軸部221が設けられている。一対の支持プレート222bは、それぞれが回動軸部221を挿通するための孔部を有し、一方の支持プレート222bの孔部には回動軸部221の一端が挿通され、他方の支持プレート222bの孔部には回動軸部221の他端が挿通されている。一対の支持プレート222bに挿通された回動軸部221は、その両端部に抜け止め部が設けられている。上述のように構成された軸受け部222は、第1アーム211に挿通された回動軸部221の両端を、一対の支持プレート222bにより支持した状態で、固定プレート222aが車体Bの第2突出支持部Bb2に固定されている。
【0042】
次に、第2連結部23について説明する。第2連結部23は、
図4に示すように、サブリンクアーム21の延在方向Xの他端をドア本体Dに回動可能に連結するものであり、第1連結部22と同等に構成されている。すなわち、第2連結部23は、回動軸部231と、軸受け部232とを含んで構成される。
【0043】
回動軸部231は、サブリンクアーム21の延在方向Xの他端を回動可能に支持するものである。回動軸部231は、棒状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、サブリンクアーム21の延在方向Xの他端の孔部(筒状の孔部)に挿通されている。具体的には、回動軸部231は、サブリンクアーム21において、第1アーム211の延在方向Xの他端の孔部に挿通されている。高さ方向Zに沿って延在する回動軸部231は、当該回動軸部231の軸回りに回動可能に第1アーム211の他端を支持する。
【0044】
軸受け部232は、回動軸部231をドア本体Dに連結するものである。軸受け部232は、固定プレート232aと、一対の支持プレート232bとを含んで構成される。
【0045】
固定プレート232aは、ドア本体Dに固定される部分である。固定プレート232aは、平板状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、ドア本体Dに固定される。
【0046】
一対の支持プレート232bは、回動軸部231を支持するものである。一対の支持プレート232bは、それぞれが平板状に形成され、固定プレート232aの高さ方向Zの両端から幅方向Yに沿って立設し、高さ方向Zに沿って一定の間隔をあけて位置している。一対の支持プレート232bは、一方の支持プレート232bと他方の支持プレート232bとの間に回動軸部231が設けられている。一対の支持プレート232bは、それぞれが回動軸部231を挿通するための孔部を有し、一方の支持プレート232bの孔部には回動軸部231の一端が挿通され、他方の支持プレート232bの孔部には回動軸部231の他端が挿通されている。一対の支持プレート232bに挿通された回動軸部231は、その両端部に抜け止め部が設けられている。上述のように構成された軸受け部232は、第1アーム211に挿通された回動軸部231の両端を、一対の支持プレート232bにより支持した状態で、固定プレート232aがドア本体Dに固定されている。
【0047】
上述のように構成されたサブリンクアーム21は、車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動しつつ、メインリンクアーム11と共に車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持する。
【0048】
ワイヤハーネス配索構造1は、上述のようなリンク式スライドドアSDに配索線Wを配索する構造として、サブリンクアーム21に設けられた溝部211cを備える。
【0049】
溝部211cは、サブリンクアーム21の第1アーム211に設けられ、第1アーム211の底面部211aと一対の側壁部211bとにより囲われて形成された領域である。溝部211cは、第1アーム211において延在方向Xに沿って溝状に形成され、溝部211cの断面が矩形状に形成されている。溝部211cは、配索線Wを収容可能な収容空間部を有し、車体B側とドア本体D側との間において第1アーム211に沿って配索される配索線Wを収容空間部に収容可能であり、配索線Wを収容空間部に収容している。
【0050】
次に、サブリンクアーム21に沿って配索される配索線Wについて説明する。配索線Wは、電力を供給するための電力線や通信を行うための通信線等を含んで構成され、一端にコネクタWC1が設けられ、他端にコネクタWC2が設けられている。配索線Wは、サブリンクアーム21に沿って配索されて設けられ、この例ではサブリンクアーム21の溝部211cに収容された状態で配索されている。溝部211cに収容された配索線Wは、当該配索線Wの一端が第1切り欠き部2
11dを介して溝部211cの内側から外側(車体側コネクタBC側)に延在し、かつ、当該配索線Wの他端が第2切り欠き部211eを介して溝部211cの内側から外側(ドア側コネクタDC側)に延在する。そして、車体側コネクタBC側に延在した配索線Wは、
図4、
図5に示すように、サブリンクアーム21の一端に連結された第1連結部22のメインリンクアーム11側を通って配索されると共に、第1連結部22を支持する第2突出支持部Bb2のメインリンクアーム11側を通って配索される。言い換えれば、配索線Wは、サブリンクアーム21の一端に連結された第1連結部22の高さ方向Zの上側を通って配索されると共に、第1連結部22を支持する第2突出支持部Bb2の高さ方向Zの上側を通って配索される。また、ドア側コネクタDC側に延在した配索線Wは、サブリンクアーム21の他端に連結された第2連結部23のメインリンクアーム11側を通って配索される。第1連結部22及び第2突出支持部Bb2のメインリンクアーム11側を通って配索された配索線WのコネクタWC1は、車体B側に設けられた車体側コネクタBCに接続される。第2連結部23のメインリンクアーム11側を通って配索された配索線WのコネクタWC2は、ドア本体D側に設けられたドア側コネクタDCに接続される。このように、配索線Wは、第1連結部22及び第2突出支持部Bb2のメインリンクアーム11側を通って配索された状態で車体側コネクタBCに接続される。
【0051】
上述のように構成されたワイヤハーネス配索構造1は、車体Bに設けられたモータ等を含む駆動部(図示省略)によってメインリンクアーム11が回動されることで、メインリンクアーム11及びサブリンクアーム21が車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動し、車体Bに対してドア本体Dを全閉位置から全開位置、又は、全開位置から全閉位置までスライド方向Sに沿ってスライド移動させる。つまり、メインリンクアーム11は、駆動部によって回動されることで、第1連結部12の回動軸部121と第2連結部13の回動軸部131とを回動軸として、車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動する。このとき、サブリンクアーム21は、メインリンクアーム11が駆動部によって回動されることで、第1連結部22の回動軸部221と第2連結部23の回動軸部231とを回動軸として、車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動する。サブリンクアーム21に沿って配索され溝部211cに収容された配索線Wは、サブリンクアーム21が回動している間も、車体側コネクタBCとドア側コネクタDCとを電気的に接続している。
【0052】
以上のように、実施形態に係るワイヤハーネス配索構造1は、メインリンクアーム11と、サブリンクアーム21と、配索線Wとを備える。メインリンクアーム11は、一端が第1連結部12を介して車体Bに回動可能に連結され且つ他端が第2連結部13を介してドア本体Dに回動可能に連結され、車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動しつつ、車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持する。サブリンクアーム21は、メインリンクアーム11の高さ方向Zの下側に設けられ、一端が第1連結部22を介して車体Bに回動可能に連結され且つ他端が第2連結部23を介してドア本体Dに回動可能に連結され、車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動しつつ、メインリンクアーム11と共に車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持する。配索線Wは、サブリンクアーム21に沿って配索されて設けられ、車体側コネクタBCとドア側コネクタDCとを接続する。そして、配索線Wは、サブリンク機構20に設けられた第1連結部22のメインリンクアーム11側を通って配索される。
【0053】
ここで、車両は、サブリンク機構20の第1連結部22のメインリンクアーム11側とは反対側には、車両の構成上、必要不可欠であり且つ他の場所に移動不可な構造物である障害物Pが設けられている。例えば、この障害物Pとして、ドア本体Dが後部座席用ドアとして用いられる場合、サブリンク機構20の第1連結部22のメインリンクアーム11側とは反対側に、
図5に示すようにタイヤハウスを形成するボデー壁体等が設けられている。比較例のワイヤハーネス配索構造として、例えば、配索線Wを第1連結部22のメインリンクアーム11側とは反対側に通して配索した場合、第1連結部22と障害物Pとの間に配索スペースを設ける必要があり、この場合に、第1連結部22をメインリンク機構10の第1連結部12側に寄せる必要がある。このため、比較例のワイヤハーネス配索構造は、メインリンク機構10の第1連結部12とサブリンク機構20の第1連結部22との高さ方向Zの間隔が狭くなり、ドア本体Dを安定して支持することが困難になる。これに対して、本実施形態のワイヤハーネス配索構造1は、配索線Wを第1連結部22のメインリンクアーム11側を通して配索するので、比較例のように配索線Wを第1連結部22のメインリンクアーム11側とは反対側を通して配索する場合と比較して、メインリンク機構10の第1連結部12とサブリンク機構20の第1連結部22との高さ方向Zの間隔を広くすることができるので、ドア本体Dを安定して支持することができ、ドア本体Dをスライド方向Sに沿って安定してスライド移動させることができる。このように、ワイヤハーネス配索構造1は、ドア本体Dの安定性を確保した上で、車体Bとドア本体Dとの間で配索線Wを適正に配索することができる。上述したように、ドア本体Dが後部座席用ドアとして用いられる場合、サブリンク機構20の第1連結部22のメインリンクアーム11側とは反対側には、タイヤハウスを形成するボデー壁体等の障害物Pが設けられている。そして、タイヤハウスを形成するボデー壁体等の障害物Pと乗降口Baの縁部との間に余分なスペースを確保することが困難なことから、配索線Wをサブリンク機構20の第1連結部22の障害物P側に通して配索した場合、障害物Pを移動させることができないのでサブリンク機構20の第1連結部22をメインリンク機構10の第1連結部12側に寄せる必要がある。本実施形態のワイヤハーネス配索構造1は、このような車体Bの構造上、配索スペースが限られている場合に特に有効である。
【0054】
ワイヤハーネス配索構造1において、車体Bは、当該車体Bの骨格を形成する車体フレームBbと、車体フレームBbから車室側に突出して設けられ第1連結部12を支持する第1突出支持部Bb1と、車体フレームBbから車室側に突出して設けられ第1連結部22を支持する第2突出支持部Bb2とを含んで構成される。配索線Wは、第2突出支持部Bb2のメインリンクアーム11側を通って配索される。この構成により、ワイヤハーネス配索構造1は、車体Bの第1突出支持部Bb1と車体Bの第2突出支持部Bb2との高さ方向Zの間隔を広くすることができるので、ドア本体Dを安定して支持できるようにメインリンク機構10とサブリンク機構20とを車体Bに組み付けることができる。
【0055】
ワイヤハーネス配索構造1において、サブリンクアーム21は、当該サブリンクアーム21が延在する延在方向Xに沿って溝状に形成され配索線Wを収容可能な溝部211cを含んで構成される。配索線Wは、当該配索線Wが溝部211cに収容された状態で配索される。この構成により、ワイヤハーネス配索構造1は、サブリンクアーム21の溝部211cによって、車体Bとドア本体Dとの間において配索線Wを配索する配索スペースを確保することができる。また、ワイヤハーネス配索構造1は、車体Bとドア本体Dとの間に配索される配索線Wを、サブリンクアーム21の溝部211cに収容して配索することで、当該配索線Wが外部に露出することを抑制することができ、従来のように配索線Wが外部に露出する場合と比較して配索線Wに引っ掛かることを抑制することができる。また、ワイヤハーネス配索構造1は、配索線Wを外部から隠すことができ、見映えをよくすることができる。このように、ワイヤハーネス配索構造1は、車体Bとドア本体Dとの間で配索線Wを適正に配索することができる。
【0056】
リンク式スライドドアSDは、車体Bに組み付けられるドア本体Dと、メインリンクアーム11と、サブリンクアーム21と、配索線Wとを備え、当該配索線Wは、第1連結部22のメインリンクアーム11側を通って配索される。この構成により、リンク式スライドドアSDは、メインリンク機構10の第1連結部12とサブリンク機構20の第1連結部22との高さ方向Zの間隔を広くすることができるので、ドア本体Dを安定して支持することができ、ドア本体Dをスライド方向Sに沿って安定してスライド移動させることができ、この結果、ドア本体Dの安定性を確保した上で、車体Bとドア本体Dとの間で配索線Wを適正に配索したスライドドアを実現できる。
【0057】
ワイヤハーネスWHは、車体側コネクタBCとドア側コネクタDCとを接続する配索線Wを備え、当該配索線Wは、第1連結部22のメインリンクアーム11側を通って配索される。この構成により、ワイヤハーネスWHは、メインリンク機構10の第1連結部12とサブリンク機構20の第1連結部22との高さ方向Zの間隔を広くすることができるので、メインリンク機構10及びサブリンク機構20によってドア本体Dを安定して支持することができ、この結果、ドア本体Dの安定性を確保した上で、車体Bとドア本体Dとの間で配索線Wを適正に配索することができる。
【0058】
〔変形例〕
配索線Wは、車体Bの第2突出支持部Bb2のメインリンクアーム11側を通って配索される例について説明したが、これに限定されず、例えば、配索線Wが第2突出支持部Bb2のメインリンクアーム11側とは反対側を通って配索されてもよい。
【0059】
ドア本体Dは、後部座席用ドアとして車体Bに組み付けられる例について説明したが、これに限定されず、例えば、運転席用ドア、助手席用ドア等のその他のドアとして車体Bに組み付けられてもよい。
【0060】
ワイヤハーネス配索構造1は、駆動部によってメインリンクアーム11が回動されることで、メインリンクアーム11及びサブリンクアーム21が車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動する例について説明したが、これに限定されず、例えば、駆動部を備えずに、車両の乗員によるドア本体Dのスライド操作によって、メインリンクアーム11及びサブリンクアーム21が車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動するようにしてもよい。
【0061】
溝部211cは、その断面が矩形状に形成される例について説明したが、これに限定されず、例えば、その断面が、底面が湾曲したU字状、C字状、H字状等に形成されてもよい。
【0062】
溝部211cは、底面部211aが幅方向Yの一方側(ドア本体Dとは反対側)に位置し、底面部211aの幅方向Yの他方側(ドア本体D側)が開口される例について説明したが、これに限定されず、例えば、底面部211aが高さ方向Zの一方側(例えば上側)に位置し、当該底面部211aの高さ方向Zの他方側(例えば下側)が開口されてもよい。この場合、1対の側壁部211bは、底面部211aの幅方向Yの両側に設けられる。
【0063】
メインリンクアーム11は、1本のアーム部材において両端の回動軸部121、131を回動軸として回動する例について説明したが、これに限定されず、例えば、延在方向Xに分割された上でそれぞれの分割アームをリンクにより接続する構成としてもよい。
【0064】
サブリンクアーム21は、1本のアーム部材において両端の回動軸部221、231を回動軸として回動する例について説明したが、これに限定されず、例えば、延在方向Xに分割された上でそれぞれの分割アームをリンクにより接続する構成としてもよい。この場合、それぞれの分割アームには溝部が形成され、それぞれの溝部は、各分割アームに渡って連続し、配索線Wは、この各分割アームに渡って連続した溝部に配索されればよい。
【0065】
メインリンク機構10は、メインリンクアーム11に沿って配索線Wを配索しない例について説明したが、これに限定されず、例えば、サブリンクアーム21に沿って配索線Wを配索した場合に、さらにメインリンクアーム11にも沿って別途、配索線を配索してもよい。
【0066】
メインリンクアーム11は、柱状に形成される例について説明したが、これに限定されず、例えば、溝部を有する形状に形成し、当該溝部に配索線Wを収容してもよい。また、メインリンクアーム11は、筒状に形成し、内側に配索線Wを挿通させて配索してもよい。
【0067】
サブリンクアーム21は、溝部211cを含んで構成される例について説明したが、これに限定されず、溝部211cを含まなくてもよい。この場合、サブリンクアーム21は、例えば、筒状、棒状(柱状)等に形成され、筒状に形成された場合には内側に配索線Wを挿通させて配索し、棒状(柱状)に形成された場合には当該アームに並んで配索線Wを配索する。
【符号の説明】
【0068】
1 ワイヤハーネス配索構造
11 メインリンクアーム(第1リンクアーム)
12 第1連結部(第1車体側連結部)
13 第2連結部(第1ドア側連結部)
21 サブリンクアーム(第2リンクアーム)
211c 溝部
22 第1連結部(第2車体側連結部)
23 第2連結部(第2ドア側連結部)
B 車体
Bb 車体フレーム
Bb1 第1突出支持部
Bb2 第2突出支持部
BC 車体側コネクタ(車体側の接続対象)
D ドア本体
DC ドア側コネクタ(ドア本体側の接続対象)
SD リンク式スライドドア
W 配索線
WH ワイヤハーネス
Z 高さ方向(鉛直方向)