(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】ストレス情報に基づきアプリケーションの使用を制限させるプログラム、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250418BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20250418BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20250418BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16H20/00
G06F3/01 510
G06F3/01 515
(21)【出願番号】P 2022044659
(22)【出願日】2022-03-18
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【氏名又は名称】早原 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141313
【氏名又は名称】辰巳 富彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】米山 暁夫
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-157232(JP,A)
【文献】特開2021-099826(JP,A)
【文献】特開2009-032167(JP,A)
【文献】特開2011-167323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる端末でのアプリケーションの使用を制限させるコンピュータを機能させる使用制限プログラムであって、
当該ユーザの生理的状態の測定結果から決定されるストレス情報を取得又は決定し、当該ストレス情報から当該ユーザのストレス
の度合いを判断し、当該ストレスが所定以上に高いと
判断した際に使用されている起動中のアプリケーション
、又は、起動したアプリケーションであって該アプリケーションの使用時におけるストレス情報の履歴情報から当該ストレスが所定以上に高いと判断された起動中のアプリケーションを特定して、特定した起動中のアプリケーションにおける起動中での使用の制限を決定する使用制限決定手段と、
アプリケーション毎に若しくはアプリケーションの種別毎に予め設定された使用制限の内容に基づき、及び/又は、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーション若しくは該アプリケーションと同じ種別の該アプリケーションを含むアプリケーション群における使用の内容の履歴情報に基づき、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションに対する
起動中での使用の制限の内容を決定する制限内容決定手段と、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションに係る情報、及び決定された
起動中での使用の制限の内容に係る情報を含む使用制限指示情報であって、当該端末におけるアプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段に対する使用制限指示情報を生成する使用制限指示手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする使用制限プログラム。
【請求項2】
前記使用制限決定手段は、当該ストレス情報に係るストレス値が所定閾値を超えるとの条件を含む第1の所定条件が満たされる
か否かを判断し、満たされると判断した際に使用されている起動中のアプリケーションを過剰ストレスアプリケーションとして、当該過剰ストレスアプリケーションの
起動中での使用の制限を決定し、当該端末でのアプリケーションの使用時間が所定閾値を超え且つ当該ストレス値が増加したとの条件を含む第2の所定条件が満たされる
か否かを判断し、満たされると判断した際に使用されている起動中のアプリケーションを過剰使用アプリケーションとして、当該過剰使用アプリケーションの
起動中での使用の制限を決定し、
前記制限内容決定手段は、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションが当該過剰ストレスアプリケーションである場合、目標の使用制限状態への移行までにかかる時間をより長時間にする旨の
起動中での使用の制限の内容を決定し、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションが当該過剰使用アプリケーションである場合、目標の使用制限状態への移行までにかかる時間をより短時間にする旨の
起動中での使用の制限の内容を決定する
ことを特徴とする請求項
1に記載の使用制限プログラム。
【請求項3】
当該予め設定された使用制限の内容は、通信により取得した映像、画像若しくは音声の提示を主とする第1アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、少なくとも当該端末の通信速度の制限を行うこと、及び/又は、操作可能なテキスト、画像若しくは映像の表示を主とする第2アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、少なくとも当該端末の操作感度の制限を行うことを含むことを特徴とする請求項1
又は2に記載の使用制限プログラム。
【請求項4】
前記制限内容決定手段は、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーション、又は該アプリケーションと同じ種別の該アプリケーションを含むアプリケーション群についての過去の通信量が所定条件を満たすまでに大きい場合、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションは過剰通信量アプリケーションであるとして、当該端末の通信速度の制限を行う旨の
起動中での使用の制限の内容を決定し、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーション、又は該アプリケーションと同じ種別の該アプリケーションを含むアプリケーション群についての過去の所定操作の回数が所定条件を満たすまでに大きい場合、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションは過剰操作アプリケーションであるとして、当該端末の操作感度の制限を行う旨の
起動中での使用の制限の内容を決定する
ことを特徴とする請求項
1に記載の使用制限プログラム。
【請求項5】
前記制限内容決定手段は、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションの使用が停止した場合、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションの使用中において当該ストレス情報から当該ユーザのストレスが所定条件を満たすまでに低いとされる場合、または、
起動中での使用の制限が開始されてから所定時間の経過後に、いずれのアプリケーションも使用されていない場合、
起動中での使用の制限を解除する旨の
起動中での使用の制限の内容を決定することを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の使用制限プログラム。
【請求項6】
前記制限内容決定手段は、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションを表示する当該端末の画面の輝度及び/又は彩度を低下させる旨を含む使用の制限の内容を決定することを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の使用制限プログラム。
【請求項7】
ユーザによる自らにおけるアプリケーションの使用を制限させる使用制限装置であって、
当該ユーザの生理的状態の測定結果から決定されるストレス情報を取得又は決定し、当該ストレス情報から当該ユーザのストレス
の度合いを判断し、当該ストレスが所定以上に高いと
判断した際に使用されている起動中のアプリケーション
、又は、起動したアプリケーションであって該アプリケーションの使用時におけるストレス情報の履歴情報から当該ストレスが所定以上に高いと判断された起動中のアプリケーションを特定して、特定した起動中のアプリケーションにおける起動中での使用の制限を決定する使用制限決定手段と、
アプリケーション毎に若しくはアプリケーションの種別毎に予め設定された使用制限の内容に基づき、及び/又は、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーション若しくは該アプリケーションと同じ種別の該アプリケーションを含むアプリケーション群における使用の内容の履歴情報に基づき、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションに対する
起動中での使用の制限の内容を決定する制限内容決定手段と、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションに係る情報、及び決定された
起動中での使用の制限の内容に係る情報を含む使用制限指示情報を生成する使用制限指示手段と、
当該使用制限指示情報を受けて、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションの使用を、決定された
起動中での使用の制限の内容をもって制限する制御手段と
を有することを特徴とする使用制限装置。
【請求項8】
ユーザによる端末でのアプリケーションの使用を制限させるコンピュータによって実施される使用制限方法であって、
当該ユーザの生理的状態の測定結果から決定されるストレス情報を取得又は決定し、当該ストレス情報から当該ユーザのストレス
の度合いを判断し、当該ストレスが所定以上に高いと
判断した際に使用されている起動中のアプリケーション
、又は、起動したアプリケーションであって該アプリケーションの使用時におけるストレス情報の履歴情報から当該ストレスが所定以上に高いと判断された起動中のアプリケーションを特定して、特定した起動中のアプリケーションにおける起動中での使用の制限を決定するステップと、
アプリケーション毎に若しくはアプリケーションの種別毎に予め設定された使用制限の内容に基づき、及び/又は、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーション若しくは該アプリケーションと同じ種別の該アプリケーションを含むアプリケーション群における使用の内容の履歴情報に基づき、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションに対する
起動中での使用の制限の内容を決定するステップと、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションに係る情報、及び決定された
起動中での使用の制限の内容に係る情報を含む使用制限指示情報であって、当該端末におけるアプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段に対する使用制限指示情報を生成するステップと
を有することを特徴とする使用制限方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによる端末でのアプリケーション・プログラムの使用を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
種々様々なアプリケーション・プログラム(以下、アプリケーションと略称)を利用可能な端末、特にスマートフォンでは、ユーザによるアプリケーションの使用への過度な依存が問題になっている。極端な場合、1日の使用時間が十数時間となるような例もあり、適切な対策が急務となっている。
【0003】
このような対策を講じる技術として、例えば特許文献1には、携帯端末における使用履歴とアプリケーションの遷移状況とに基づき、使用依存の種類を含む通知情報をユーザに通知する通知装置が開示されている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、ユーザの利用実績と基準値との比較結果に基づいて、ユーザの利用に関する適正化促進情報を生成し通知する技術が開示されている。この技術は例えば、スマートフォンの利用時間が一般的な時間と比べてどの程度かけ離れたものであるかをユーザに通知し、ユーザに「みんなの平均から離れたくない」という思いを喚起させて、利用の適正化を図るものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-045939号公報
【文献】特開2015-150781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、以上に説明したような従来技術では、使用時間や利用実績に焦点を当てて、アプリケーション使用の適正化を促すための情報を通知するにとどまっている。したがって、アプリケーションの使用が実際にどの程度の悪影響をユーザに及ぼすかについては勘案できていない。
【0007】
その結果例えば、アプリケーションによってはある程度の長時間の使用がユーザに好影響を及ぼすことも有り得るところ、従来技術では、その使用時間や利用実績次第で使用の停止を促す事態も生じてしまう。
【0008】
また、実際にアプリケーションの使用を制限する場合、単に使用時間を考慮するのではなく、その使用の内容に合った使用制限の行われることが望まれる。例えば、アプリケーションの種別によっては、急な使用制限を行うことによりかえってユーザのストレスを高めてしまう可能性も考えられる。しかしながら従来、このような使用の内容に応じた使用制限を実施することについては何ら検討されてこなかったのである。
【0009】
そこで、本発明は、その使用のユーザへの影響やその使用の内容も考慮した、アプリケーションの使用の制限を実施可能な使用制限プログラム、装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、ユーザによる端末でのアプリケーションの使用を制限させるコンピュータを機能させる使用制限プログラムであって、
当該ユーザの生理的状態の測定結果から決定されるストレス情報を取得又は決定し、当該ストレス情報から当該ユーザのストレスの度合いを判断し、当該ストレスが所定以上に高いと判断した際に使用されている起動中のアプリケーション、又は、起動したアプリケーションであってこのアプリケーションの使用時におけるストレス情報の履歴情報から当該ストレスが所定以上に高いと判断された起動中のアプリケーションを特定して、特定した起動中のアプリケーションにおける起動中での使用の制限を決定する使用制限決定手段と、
アプリケーション毎に若しくはアプリケーションの種別毎に予め設定された使用制限の内容に基づき、及び/又は、起動中での使用の制限が決定されたアプリケーション若しくはこのアプリケーションと同じ種別の(このアプリケーションを含む)アプリケーション群における使用の内容の履歴情報に基づき、起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションに対する起動中での使用の制限の内容を決定する制限内容決定手段と、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションに係る情報、及び決定された起動中での使用の制限の内容に係る情報を含む使用制限指示情報であって、当該端末におけるアプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段に対する使用制限指示情報を生成する使用制限指示手段と
してコンピュータを機能させる使用制限プログラムが提供される。
【0012】
また、本発明による使用制限プログラムの一実施形態として、
使用制限決定手段は、
(a1)当該ストレス情報に係るストレス値が所定閾値を超えるとの条件を含む第1の所定条件が満たされるか否かを判断し、満たされると判断した際に使用されている起動中のアプリケーションを過剰ストレスアプリケーションとして、当該過剰ストレスアプリケーションの起動中での使用の制限を決定し、
(b1)当該端末でのアプリケーションの使用時間が所定閾値を超え且つ当該ストレス値が増加したとの条件を含む第2の所定条件が満たされるか否かを判断し、満たされると判断した際に使用されている起動中のアプリケーションを過剰使用アプリケーションとして、当該過剰使用アプリケーションの起動中での使用の制限を決定し、
制限内容決定手段は、
(a2)起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションが当該過剰ストレスアプリケーションである場合、目標の使用制限状態への移行までにかかる時間をより長時間にする旨の起動中での使用の制限の内容を決定し、
(b2)起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションが当該過剰使用アプリケーションである場合、目標の使用制限状態への移行までにかかる時間をより短時間にする旨の起動中での使用の制限の内容を決定する
ことも好ましい。
【0013】
また、本発明による使用制限プログラムの他の実施形態として、当該予め設定された使用制限の内容は、
(a)通信により取得した映像、画像若しくは音声の提示を主とする第1アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、少なくとも当該端末の通信速度の制限を行うこと、及び/又は、
(b)操作可能なテキスト、画像若しくは映像の表示を主とする第2アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、少なくとも当該端末の操作感度の制限を行うこと
を含むことも好ましい。
【0014】
さらに、本発明による使用制限プログラムの更なる他の実施形態として、制限内容決定手段は、
(a)起動中での使用の制限が決定されたアプリケーション、又はこのアプリケーションと同じ種別の(このアプリケーションを含む)アプリケーション群についての過去の通信量が所定条件を満たすまでに大きい場合、起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションは過剰通信量アプリケーションであるとして、当該端末の通信速度の制限を行う旨の起動中での使用の制限の内容を決定し、
(b)起動中での使用の制限が決定されたアプリケーション、又はこのアプリケーションと同じ種別の(このアプリケーションを含む)アプリケーション群についての過去の所定操作の回数が所定条件を満たすまでに大きい場合、起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションは過剰操作アプリケーションであるとして、当該端末の操作感度の制限を行う旨の起動中での使用の制限の内容を決定する
ことも好ましい。
【0015】
また、本発明による使用制限プログラムにおいて、制限内容決定手段は、起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションの使用が停止した場合、起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションの使用中において当該ストレス情報から当該ユーザのストレスが所定条件を満たすまでに低いとされる場合、または、起動中での使用の制限が開始されてから所定時間の経過後に、いずれのアプリケーションも使用されていない場合、起動中での使用の制限を解除する旨の起動中での使用の制限の内容を決定することも好ましい。
【0016】
さらに、本発明による使用制限プログラムにおいて、制限内容決定手段は、起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションを表示する当該端末の画面の輝度及び/又は彩度を低下させる旨を含む使用の制限の内容を決定することも好ましい。
【0017】
本発明によれば、また、ユーザによる自らにおけるアプリケーションの使用を制限させる使用制限装置であって、
当該ユーザの生理的状態の測定結果から決定されるストレス情報を取得又は決定し、当該ストレス情報から当該ユーザのストレスの度合いを判断し、当該ストレスが所定以上に高いと判断した際に使用されている起動中のアプリケーション、又は、起動したアプリケーションであってこのアプリケーションの使用時におけるストレス情報の履歴情報から当該ストレスが所定以上に高いと判断された起動中のアプリケーションを特定して、特定した起動中のアプリケーションにおける起動中での使用の制限を決定する使用制限決定手段と、
アプリケーション毎に若しくはアプリケーションの種別毎に予め設定された使用制限の内容に基づき、及び/又は、起動中での使用の制限が決定されたアプリケーション若しくはこのアプリケーションと同じ種別の(このアプリケーションを含む)アプリケーション群における使用の内容の履歴情報に基づき、起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションに対する起動中での使用の制限の内容を決定する制限内容決定手段と、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションに係る情報、及び決定された起動中での使用の制限の内容に係る情報を含む使用制限指示情報を生成する使用制限指示手段と、
当該使用制限指示情報を受けて、起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションの使用を、決定された起動中での使用の制限の内容をもって制限する制御手段と
を有する使用制限装置が提供される。
【0018】
本発明によれば、さらに、ユーザによる端末でのアプリケーションの使用を制限させるコンピュータによって実施される使用制限方法であって、
当該ユーザの生理的状態の測定結果から決定されるストレス情報を取得又は決定し、当該ストレス情報から当該ユーザのストレスの度合いを判断し、当該ストレスが所定以上に高いと判断した際に使用されている起動中のアプリケーション、又は、起動したアプリケーションであってこのアプリケーションの使用時におけるストレス情報の履歴情報から当該ストレスが所定以上に高いと判断された起動中のアプリケーションを特定して、特定した起動中のアプリケーションにおける起動中での使用の制限を決定するステップと、
アプリケーション毎に若しくはアプリケーションの種別毎に予め設定された使用制限の内容に基づき、及び/又は、起動中での使用の制限が決定されたアプリケーション若しくはこのアプリケーションと同じ種別の(このアプリケーションを含む)アプリケーション群における使用の内容の履歴情報に基づき、起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションに対する起動中での使用の制限の内容を決定するステップと、
起動中での使用の制限が決定されたアプリケーションに係る情報、及び決定された起動中での使用の制限の内容に係る情報を含む使用制限指示情報であって、当該端末におけるアプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段に対する使用制限指示情報を生成するステップと
を有する使用制限方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の使用制限プログラム、装置及び方法によれば、その使用のユーザへの影響やその使用の内容も考慮した、アプリケーション使用の制限を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による使用制限装置の一実施形態における機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】本発明による使用制限方法における一具体例の概要を示すフローチャートである。
【
図3】本発明による使用制限方法における他の具体例の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
[使用制限装置]
図1は、本発明による使用制限装置の一実施形態における機能構成を示す機能ブロック図である。
【0023】
図1に示したスマートフォン1は、本発明による使用制限装置の一実施形態であって、ユーザの「生理的状態」の測定結果から決定される「ストレス情報」に基づき、ユーザによる自らにおけるアプリケーション・プログラム(以下、アプリケーションと略称)の使用(視聴や操作等)を制限させることの可能な装置となっている。ここで使用されるアプリケーションには、その起動・使用中に(アプリケーションの配信やアプリケーションに係るデータ通信を行う)アプリケーション(AP)サーバ3との間でデータをやり取りするものも含まれる。
【0024】
また本実施形態においてユーザは、上記の「生理的状態」を測定可能な生理的状態測定デバイスであるスマートウォッチ2を手首に装着している。スマートフォン1は、このスマートウォッチ2から「生理的状態」の測定結果を取得してこれに基づき「ストレス情報」を決定している。なお変更態様として、スマートウォッチ2が「ストレス情報」を決定し、スマートフォン1はこれを取得(受信)してもよい。
【0025】
具体的にスマートフォン1(使用制限装置)は、その特徴として、
(A)決定又は取得された「ストレス情報」から、ユーザのストレスが所定以上に高いとされる場合、この「ストレス情報」に係るアプリケーションの使用の制限を決定する使用制限決定部111と、
(B)(b1)アプリケーション毎に若しくはアプリケーションの種別毎に予め設定された使用制限の内容に基づき、及び/又は、(b2)使用の制限が決定されたアプリケーション若しくはこのアプリケーションと同じ種別の(このアプリケーションを含む)アプリケーション群における使用の内容の履歴情報に基づき、使用の制限が決定されたアプリケーションに対する使用の制限の内容(使用制限内容)を決定する制限内容決定部112と、
(C)使用の制限が決定されたアプリケーションに係る情報、及び決定された使用制限内容に係る情報を含む使用制限指示情報を生成する使用制限指示部113と
を有している。
【0026】
ここで本実施形態では、上記(C)の使用制限指示情報は、スマートフォン1におけるアプリケーションの動作に係る制御を行う制御部(通信速度制御部121a,画面感度制御部122a,画面輝度・彩度制御部122b)へ出力される指示情報となっている。すなわち本実施形態のスマートフォン1は、
(D)使用制限指示部113から使用制限指示情報を受けて、使用の制限が決定されたアプリケーションの使用を、決定された使用制限内容をもって制限する制御部(121a,122a,122b)
を更に有しているのである。
【0027】
このようにスマートフォン1は、上記(A)に示したようにユーザの「ストレス情報」から使用制限を行うアプリケーションを決定し、また上記(B)に示したように使用制限対象となるアプリケーション(の種別)やその使用履歴に応じた使用制限内容を決定して、これらの決定事項を反映した使用制限を実施することができる。すなわち、その使用のユーザへの影響やその使用の内容も考慮した、アプリケーションの使用の制限を実施することが可能となっている。
【0028】
したがって例えば、あるアプリケーションにつき例え使用時間が長くとも、ストレスの観点から問題がないと判断されれば、このアプリケーションの使用制限を行わない、といったような適切な処置を施すことも可能となるのである。
【0029】
ここで上記(A)の「ストレス情報」は、上述したように「生理的状態」の測定結果から決定される情報であり、具体的には、
(a)(例えばスマートウォッチ2で測定された)ユーザの心拍に係る情報、例えば心拍変動(HRV,Heart Rate Variability)に係るRMSSD(Root Mean Square of Successive Differences)を用いて算出されるストレス値、
(b)(例えばスマートフォン1の内蔵カメラで測定された)ユーザの瞳孔の動きに係る情報から算出されるストレス値、
(c)(例えばスマートウォッチ2で測定された又はスマートフォン1の内蔵カメラに当てられた例えばユーザの指について測定された)皮膚の輝度に係る情報から算出されるストレス値や、
(d)(例えばユーザの装着するHMD(Head Mounted Display)で測定された)ユーザの脳波に係る情報から算出されるストレス値
とすることができる。また、これらのうちの複数を合わせて(例えば加算又は乗算して)ストレス値を決定してもよい。
【0030】
このうち上記(a)のストレス値は、例えば特開2021-137438号公報に開示された技術を用いて算出することができる。この技術では、対象者の心拍間隔の時系列データに含まれる低周波数帯のパワースペクトルであるLF(Low Frequency)を、この時系列データに含まれる高周波数帯のパワースペクトルであるHF(High Frequency)で除算することによって第1指標を算出し、またこの時系列データに含まれる心拍間隔の標準偏差であるSDNN(Standard deviation of NN interval)を、この時系列データに連続して含まれる2つの心拍間隔の差の2乗の平均値の平方根であるRMSSDで除算することによって第2指標を算出し、算出した第1指標と第2指標とを乗算することによって、ユーザのストレスの状態を示す値を算出している。
【0031】
また同じく上記(a)のストレス値は、例えば国際公開第2018/100719号に開示された技術を用いて算出してもよい。この技術では、心拍間隔(RRIn)の標準偏差(SDn)と、時間的に隣接する心拍間隔(RRIn)どうしの差(RDn)の二乗平均平方根(RMn)との比(SDn/RMn)を算出して、さらに二乗平均平方根(RMn)とこの比(SDn/RMn)との相関であって時刻に対応付けられる相関である積率相関係数(rn)を算出している。ここでこの積率相関係数(rn)は、メンタルストレスの程度を示す値となっていて、具体的には、積率相関係数(rn)が判定閾値(-0.2)以上である場合にメンタルストレスは高いと判定している。
【0032】
さらに同じく上記(a)のストレス値は、例えば特開2007-167091号公報に開示された技術を用いて算出することもできる。この技術では、心拍間隔の変動をフーリエ変換して得られるパワースペクトルから、特定周波数よりも高い高周波帯域の積分値(HFpower)と、特定周波数よりも低い低周波帯域の積分値(LFpower)とを算出して、HFpower、及びLFpower/HFpowerをそれぞれ、所定のテーブルを用いてストレス指数に変換し、さらに、HFpowerから換算されたストレス指数と、LFpower/HFpowerから換算されたストレス指数とを加算して、この加算値からストレス度を決定している。ここで変換用のテーブルは、HFpowerが小さいほどより大きなストレス指数が決定され、 またLFpower/HFpowerFが大きいほどより大きなストレス指数が決定されるように設定されている。
【0033】
またさらに同じく上記(a)のストレス値は、非特許文献:「Garminのストレスモニタリング機能」,[online],[2022年3月7日検索]、インターネット<URL: https://www.garmin.co.jp/minisite/health/guide/stress/>や、非特許文献:「スマホ(携帯)で自律神経系機能を評価」,[online],[2022年3月7日検索]、インターネット<URL: https://www.fmcc.co.jp/const.html>に開示された技術をもって決定することも可能となっている。
【0034】
また、上記(b)のストレス値は、例えば特開2021-049367号公報に開示された技術を用いて算出することができる。この技術では、携帯端末の動画撮影機能をONにし、携帯端末の撮影側面に備えられているライトをONにして、撮影中の像の中から人を含む動物の目の瞳孔を認識し、ここで瞳孔を認識するまでライトの照度を低くし、瞳孔の認識が完了したときに、認識するまでよりもライトの照度を高く変化させて、縮瞳速度が一定の速度以下となったときに、ライトの照度を低くし、これにより認識した瞳孔の開き具合の時間変化である瞳孔変化を算出している。ここでこの瞳孔変化が、ストレスと相関関係を有するとしているのである。
【0035】
さらに上記(c)のストレス値は、例えば特開2014-140587号公報に開示された技術を用いて算出することができる。この技術では、血流に応じて変化する皮膚の輝度データをカメラにより取得して、この輝度データからRR間隔時系列データを検出し、フーリエ変換処理されたRR間隔時系列データの高周波成分と低周波成分とを分離し、高周波成分に対応する副交感神経の活動と低周波成分に対応する交感神経の活動とを表示している。ここで、交感神経の活動と副交感神経の活動との比率が、ストレスの度合いを示す値になっていると考えられる。
【0036】
また上記(d)のストレス値は、例えば特開2021-118908号公報に開示された技術を用いて算出することができる。この技術では、被験者の前頭部又は側頭部の表面の3つの異なる位置に取り付けられたセンサを用いて被験者の脳電位信号を取得し、取得した脳電位信号の各々から脳深部の活動に起因する特定の周波数帯の時系列データを抽出し、抽出されたこれらの時系列データの位相関係に基づいて上記取得された脳電位信号の相関関係を示す相関値を算出し、この相関値に基づいて被験者のストレス状態を判定している。ここでこの相関値が被験者のストレスの状態を示す値となっているのである。
【0037】
さらに、上記(a)~(d)以外の技術によってストレス値を算出することも可能である。例えば、(スマートウォッチ2で測定された又はスマートフォン1の内蔵カメラにその部分が当てられることにより測定された)皮膚の温度に係る情報、例えば手首若しくは掌と指との温度差の情報から所定の変換式を用いてストレス値を算出することもできる。また、掌の発汗量、心拍波形、血圧、体温や、血中酸素飽和度とストレスの度合いとの間も相関関係の存在することが知られており、これらの測定量を所定の変換式に代入してストレス値を算出することも可能である。
【0038】
ちなみに本実施形態においては、いずれにしてもストレス値として、0(ストレス最小又はリラックス状態)から1(ストレス最大)までの値に規格化されたものを用いている。また変更態様として、以上に説明したストレス値を算出するのに必要となる「生理的状態」の測定結果は、個人情報として外部の管理サーバに逐次、保存・管理され、スマートフォン1はこの管理サーバから適宜、「生理的状態」の測定結果を取得するものであってもよい。
【0039】
またさらに本発明による使用制限装置は、ユーザがまさにアプリケーションを使用している端末(例えばスマートフォン)とは別の装置とすることも可能である。すなわち本使用制限装置は、上記(A)~(C)の機能構成部を備えていて、ユーザがアプリケーションを使用している端末(スマートフォン等)に対し適宜、使用制限指示情報を送信し、当該端末におけるアプリケーションの使用を制限させる装置、例えば使用制限指示サーバであってもよい。なおこの場合、本装置は、「生理的状態」の測定結果又は「ストレス情報」を外部の装置(例えば生理的状態測定デバイス2や上記の管理サーバ等)から取得・収集したり、アプリケーションの使用内容・使用履歴を、指示先の端末(スマートフォン等)や別途設けられた使用履歴管理サーバから取得・収集したりすることになる。
【0040】
[装置機能構成,使用制限プログラム]
以下、本発明による使用制限装置の一実施形態としてのスマートフォン1の機能構成について、より具体的に説明を行う。同じく
図1の機能ブロック図において、スマートフォン1は、通信インタフェース部101と、生理的情報保存部102と、アプリケーション(AP)使用履歴保存部103と、タッチパネル・ディスプレイ104と、プロセッサ・メモリ(メモリ機能を備えた演算処理系)とを有する。
【0041】
ここで、このプロセッサ・メモリは、本発明による使用制限プログラムの一実施形態を保存しており、また、コンピュータ機能を有していて、この使用制限プログラムを実行することによって、アプリケーション使用制限処理を実施する。このことから、本発明による使用制限装置は、本実施形態のようにスマートフォン(携帯端末)であってもよいが、本発明による使用制限プログラムを搭載した、例えばタブレット型コンピュータ、ノート型コンピュータや、パーソナルコンピュータ(PC)、さらにはHMD(Head Mounted Display)、スマートグラスや、スマートウォッチといったようなウェアラブル装置であってもよい。また、上述したように、非クラウドサーバや、クラウドサーバとすることも可能である。
【0042】
また、上記のプロセッサ・メモリは、ストレス値決定部111aを備えた使用制限決定部111と、制限内容決定部112と、使用制限指示部113と、通信速度制御部121aを備えた通信制御部121と、画面感度制御部122a及び画面輝度・彩度制御部122bを備えた入出力制御部122と、アプリケーション(AP)部123とを有する。なお、これらの機能構成部は、プロセッサ・メモリに保存された本発明による使用制限プログラムの実行によって具現する機能と捉えることができる。また、
図1の機能ブロック図におけるスマートフォン1の機能構成部間を矢印で接続して示した処理の流れは、本発明による使用制限方法の一実施形態としても理解される。
【0043】
同じく
図1の機能ブロック図において、AP部123は、スマートフォン1に搭載された多数のアプリケーションを格納しており、例えばタッチパネル・ディスプレイ104及び入出力制御部122を介しユーザによる起動/停止指示入力や各種操作入力を受け入れて所定のアプリケーションを起動/停止させたり動作させたりし、また起動したアプリケーションの出力としての映像や画像等を、入出力制御部122を介してタッチパネル・ディスプレイ104に表示させる。さらに起動したアプリケーションとAPサーバ3との間の通信データの(通信制御部121及び通信インタフェース部101を介しての)やり取りを制御して実施させる。
【0044】
同じく
図1の機能ブロック図において、使用制限決定部111は本実施形態において、ストレス値決定部111aを備えている。このストレス値決定部111aは、スマートウォッチ2から通信インタフェース部101及び通信制御部121を介して受信され、生理的情報保存部102に保存・管理されたユーザの生理的状態の測定結果を取得し、定期的に又は指示を受けて適宜、上述したようなストレス値(ストレス情報)を決定する。
【0045】
使用制限決定部111は、このように決定されたストレス値から、「ユーザのストレスが所定以上に高いか否か」を判定し、高いと判定した場合、判定に係るストレス値についてのアプリケーション、本実施形態では、判定の際に使用されているアプリケーションを、使用の制限を行うアプリケーションに決定する。ここで変更態様として、アプリケーションにおけるストレス値の履歴情報から当該判定を行い、この判定に係るアプリケーションが起動した際、このアプリケーションを使用制限対象とすることも可能である。なお、使用制限決定部111は、当該判定の際に使用されているアプリケーションの情報を、AP部123や入出力制御部122から取得してもよい。
【0046】
また、上記の「ユーザのストレスが所定以上に高いか否か」の判定について、本実施形態では、第1使用制限条件及び第2使用制限条件の2つが設定されている。このうち第1使用制限条件は、ストレス値が所定閾値を超えるとの条件を含む条件であり、具体的には、
<第1使用制限条件>(当該アプリケーションを使用中での)ストレス値が「ストレス閾値」(例えば0.9)を超えている
ものとすることができる。この第1使用制限条件が満たされた場合、ユーザのストレスは所定以上に高いと判定し、その際に使用されているアプリケーションを使用制限対象に決定するのである。なお以下、当該アプリケーションを「過剰ストレスアプリケーション」と称する場合もある。
【0047】
ここで、第1使用制限条件の「ストレス閾値」は、使用制限対象に決定されたアプリケーション(又はこれと同じ種別(例えば後述する第1/第2種別)のアプリケーション群)におけるその後のストレスへの影響の度合いに応じて、変更することも好ましい。例えば、使用制限対象に決定されたアプリケーション(又は同種のアプリケーション群)が、この決定の翌日及び翌々日でも使用制限対象に決定された場合、その次の日(3日目)における「ストレス閾値」を当初の例えば0.9倍の値に変更し、アプリケーションの使用をより厳しく管理してもよい。
【0048】
一方、第2使用制限条件は、アプリケーションの使用時間が所定閾値を超え且つストレス値が増加したとの条件を含む条件であり、具体的には、
<第2使用制限条件>スマートフォン1におけるアプリケーションの使用時間が所定時間閾値(例えば3.5時間)を超え、且つ(当該アプリケーションの使用中での)ストレス値が、(スマートフォン1の)画面の直近の点灯時点での値を上回っている又は所定値(例えば0.1)を超えて上回っている(当該点灯時点からみて(所定以上)増加している)
ものとすることができる。この第2使用制限条件が満たされた場合、ユーザのストレスは所定以上に高いと判定し、その際に使用されているアプリケーションを使用制限対象に決定するのである。なお以下、当該アプリケーションを「過剰使用アプリケーション」と称する場合もある。
【0049】
ちなみに使用制限決定部111は、AP使用履歴保存部103から必要な情報を適宜、取得して、以上に述べたような判定を行う。ここでAP使用履歴保存部103は、通信制御部121、入出力制御部122や、ストレス値決定部111aから、各アプリケーションの使用内容の履歴情報や決定されたストレス値の情報を適宜、収集し、アプリケーション毎の
(a)使用開始日時及び使用終了日時(使用時間)、(b)(APサーバ3との間の)データ通信量、(c)行われた操作の種別、操作日時及び回数(例えばタップ回数やスクロール回数等)等を含む操作履歴、(d)当該アプリケーションの種別、(e)スマートフォン1の起動中(若しくは画面の点灯中)におけるストレス値の時系列データを含むストレス値履歴
の情報を保存・管理している。
【0050】
同じく
図1の機能ブロック図において、制限内容決定部112は、
(α)アプリケーション毎に若しくはアプリケーションの「種別」毎に予め設定された使用制限の内容に基づき、使用の制限が決定されたアプリケーションに対する使用制限内容を決定してもよく、
(β)使用の制限が決定されたアプリケーション、又はこのアプリケーションと同じ「種別」の(このアプリケーションを含む)アプリケーション群における(AP使用履歴保存部103から取得される)使用内容の履歴情報に基づき、使用の制限が決定されたアプリケーションに対する使用制限内容を決定してもよい。
【0051】
ここで本実施形態では、上記(α)(及び上記(β))の「種別」は、予め分類された種別であってよく、例えば、
(ア)SNS(Social Networking Service)に係るアプリケーション、動画提供に係るアプリケーション、カメラ画像(写真)・映像に係るアプリケーション、ゲームアプリケーション、音楽提供に係るアプリケーション、ウェブ(Web)閲覧アプリケーション(ブラウザ)、・・・
(イ)電子書籍に係るアプリケーション、カレンダー・スケジュール管理アプリケーション、電子メールに係るアプリケーション、・・・
における個々のアプリケーションを一種別として予め分類しておいてもよい。ただし本実施形態では、ストレスを高める度合いの観点からアプリケーションの種別を大別し、具体的には、
・上記(ア)の種別(以下、第1アプリケーション種別とする)、及び
・上記(イ)の種別(以下、第2アプリケーション種別とする)
の2つを、上記(α)(及び上記(β))の「種別」としている。
【0052】
なお、第1アプリケーション種別(上記(ア)の種別)は、通信により取得した映像、画像若しくは音声の提示を主とするアプリケーションを含む種別となっている。一方、第2アプリケーション種別(上記(イ)の種別)は、操作可能なテキスト、画像若しくは映像の表示を主とするアプリケーションを含む種別となっているのである。
【0053】
ここで本実施形態の制限内容決定部112は、上記(α)の場合として、第1アプリケーション種別(上記(ア)の種別)に対しては、少なくとも、当該種別のアプリケーション使用中におけるスマートフォン1の通信速度の制限を行う(通信速度を低減させる)旨の使用制限内容を決定する。これは、通信により取得した映像、画像若しくは音声の提示を主とする第1アプリケーション種別に対しては、通信速度の制限を行うことがユーザのストレス低減に有効であると判断した故の設定となっている。
【0054】
一方、第2アプリケーション種別(上記(イ)の種別)に対しては、少なくとも、当該種別のアプリケーション使用中におけるスマートフォン1の操作感度、すなわちタッチパネル・ディスプレイ104の画面感度の制限を行う(画面感度を低減させる)旨の使用制限内容を決定する。これは、操作可能なテキスト、画像若しくは映像の表示を主とする第2アプリケーション種別に対しては、操作感度(画面感度)の制限を行うことがユーザのストレス低減に有効であると判断した故の設定となっているのである。
【0055】
また本実施形態の制限内容決定部112は、上記(β)の場合として、使用の制限が決定されたアプリケーション、又はこのアプリケーションと同じ種別の(このアプリケーションを含む)アプリケーション群についての過去の所定期間におけるデータ通信量が所定条件を満たすまでに大きい場合、使用の制限が決定されたアプリケーションは「過剰通信量アプリケーション」であるとして、当該アプリケーションの使用中におけるスマートフォン1の通信速度の制限を行う(通信速度を低減させる)旨の使用制限内容を決定する。これは、「過剰通信量アプリケーション」の使用に対してはデータ通信量を制限することがユーザのストレス低減に有効であると判断した故の設定となっている。
【0056】
一方、使用の制限が決定されたアプリケーション、又はこのアプリケーションと同じ種別の(このアプリケーションを含む)アプリケーション群についての過去の所定期間における所定操作の回数(例えばタップやスクロールの回数)が所定条件を満たすまでに大きい場合、使用の制限が決定されたアプリケーションは「過剰操作アプリケーション」であるとして、当該アプリケーションの使用中におけるスマートフォン1の操作感度、すなわちタッチパネル・ディスプレイ104の画面感度の制限を行う(画面感度を低減させる)旨の使用制限内容を決定する。これは、「過剰操作アプリケーション」の使用に対しては操作感度を制限することがユーザのストレス低減に有効であると判断した故の設定となっている。
【0057】
さらに、制限内容決定部112は本実施形態において、
(I)使用の制限が決定されたアプリケーションが、上記の<第1使用制限条件>が満たされた場合に決定される「過剰ストレスアプリケーション」である場合、目標の使用制限状態への移行までにかかる時間をより長時間にする(例えば1時間にする)旨の使用制限内容を決定し、
(II)使用の制限が決定されたアプリケーションが、上記の<第2使用制限条件>が満たされた場合に決定される「過剰使用アプリケーション」である場合、目標の使用制限状態への移行までにかかる時間をより短時間にする(例えば1秒間にする)旨の使用制限内容を決定する。
【0058】
このうち上記(I)は、過剰ストレスアプリケーションを使用しているユーザに対し、急激な使用制限をすれば、かえってユーザのストレスをさらに高めてしまう場合が少なくないとの配慮に基づく設定となっている。例えばオンラインゲームに興じているユーザは、通信速度がいきなり大幅に低減して実質的にゲームを続けられない状況になれば、非常に高い不満を感じてストレスをより高めてしまうことが考えられるのである。一方、上記(II)は、過剰使用アプリケーションを使用しているユーザについて、長時間使用による悪影響を排除することを優先した設定となっている。例えばメーラー(電子メールアプリケーション)を長時間使用しているユーザは、タップやスクロール等の操作の感度(画面感度)が急激に低下した場合、それに応じて一先ず休憩をとることも十分に考えられるのである。
【0059】
また、制限内容決定部112は本実施形態において、使用の制限が決定されたアプリケーションに対し使用の制限が発動している状況において、
(a)当該アプリケーションの使用が停止した場合、
(b)当該アプリケーションの使用中において、ストレス情報からユーザのストレスが所定条件を満たすまでに低いとされる場合(例えばストレス値が所定閾値(例えば0.7)を下回った場合)、又は
(c)使用の制限が開始されてから所定時間(例えば3時間)の経過後に、いずれのアプリケーションも使用されていない場合、
使用の制限を解除する旨の使用制限内容を決定することも好ましい。ちなみに後に
図2及び
図3を用いて説明する本発明の使用制限方法の具体例では、上記(c)を採用している。
【0060】
さらに、制限内容決定部112は、制限する項目として、スマートフォン1(タッチパネル・ディスプレイ104)の画面の輝度及び/又は彩度を採用してもよい。すなわち、使用の制限が決定されたアプリケーションを表示する画面の輝度及び/又は彩度を低下させる旨を含む使用制限内容を決定することも好ましいのである。
【0061】
以上、制限内容決定部112でのアプリケーション使用制限内容の決定処理について説明したが、(アプリケーション種別毎に予め設定された使用制限の内容に基づき使用制限内容を決定する)上記(α)の場合の具体例は、後に
図2を用いて説明する。また、(AP使用履歴保存部103から取得される使用内容の履歴情報に基づき使用制限内容を決定する)上記(β)の場合の具体例は、後に
図3を用いて説明する。ちなみに、これらの具体例(
図2及び
図3)の説明においても言及するが、上記(α)と上記(β)とをともに採用した形の使用制限内容の決定処理を行うことも可能となっている。
【0062】
同じく
図1の機能ブロック図において、使用制限指示部113は、使用の制限が決定されたアプリケーションの情報、及び決定された使用制限内容の情報を含む使用制限指示情報を生成する。さらに生成した使用制限指示情報を、スマートフォン1におけるアプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段、本実施形態では、
(a)(AP部123と情報のやり取りをしている)通信制御部121の通信速度制御部121a、
(b)(AP部123と情報のやり取りをしている)入出力制御部122の画面感度制御部122a、及び
(c)(AP部123と情報のやり取りをしている)入出力制御部122の画面輝度・彩度制御部122b
のうちの使用制限内容に対応した制御手段へ出力する。
【0063】
ここで、通信速度制御部121aは本来、(APサーバ3との間の)通信インタフェース部101を介したデータ通信の通信速度(単位時間当たりのデータ受信量及び/又はデータ送信量)を制御・管理する機能構成部である。本実施形態では、使用制限指示部113から、通信速度を制限する内容を含む使用制限指示情報を受け取った際、当該内容に応じた通信速度の制限を実施する。なお、通信速度制御部121による通信速度の設定は公知技術であり、例えば非特許文献:「「高速モード(ターボON)」と「節約モード(ターボOFF)」の切り替え」,[online],[2022年3月7日検索]、<https://www.uqwimax.jp/mobile/support/faq/pages/000001359/>に開示されている。
【0064】
また、画面感度制御部122aは本来、タッチパネル・ディスプレイ104に対するユーザの入力操作結果を入力指示データに変換する際の感度を制御・管理する機能構成部である。例えば、ユーザの指の画面への接触の度合い(接触面積、接触による容量・抵抗変化や圧力変化等)の閾値であって、当該接触を入力指示データに変換するか否かの判定に用いる閾値を調整したり、また、スクロールの速度を設定したりして画面感度を制御・管理する。画面感度制御部122aは本実施形態では、使用制限指示部113から、画面感度を制限する内容を含む使用制限指示情報を受け取った際、当該内容に応じた画面感度の制限を実施する。
【0065】
なお、画面感度制御部122aによる画面感度の設定は公知技術であり、例えば非特許文献:「スクロールオートの設定と操作方法は?」,[online],[2022年3月7日検索]、<https://sharpmobile.zendesk.com/hc/ja/articles/115000519972--AQUOS-R-%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E8%A8%AD%E5%AE%9A%E3%81%A8%E6%93%8D%E4%BD%9C%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%AF->に開示されている。
【0066】
さらに、画面輝度・彩度制御部122bは本来、タッチパネル・ディスプレイ104の画面を構成する全画素の輝度や彩度を制御・管理する機能構成部である。本実施形態では、使用制限指示部113から、画面の輝度・彩度を制限する内容を含む使用制限指示情報を受け取った際、当該内容に応じた輝度・彩度の制限を実施する。例えば、画面全体(各画素)の輝度・彩度を、所定の割合(例えば30%)にまで低下させたり、所定値まで一律に低下させたりしてもよい。
【0067】
[使用制限方法]
図2は、本発明による使用制限方法における一具体例の概要を示すフローチャートである。ここで、同フローチャートで示した本使用制限方法は、上記(α)の場合に相当するものとなっている。
【0068】
(S101)(ユーザがあるアプリケーションを使用している状況において)現時点で使用されているアプリケーションは何であるかを確認、決定する。
(S102)スマートウォッチ2での心拍変動の測定結果から、現時点でのストレス値を決定する。
(S103)スマートフォン1における現時点までの使用時間を確認、決定する。
【0069】
(S104)決定したストレス値(及び決定した使用時間とストレス値の履歴情報)から、ステップS101で決定されたアプリケーションを使用制限対象とするか否かを判定する。
ここでこのステップS104では、
・上述した<第1使用制限条件>が満たされているか否か、すなわちステップS101で決定されたアプリケーションが「過剰ストレスアプリケーション」(使用制限対象)であるか否かを判定するとともに、
・上述した<第2使用制限条件>が満たされているか否か、すなわちステップS101で決定されたアプリケーションが「過剰使用アプリケーション」(使用制限対象)であるか否かも判定する。
ここで、「過剰ストレスアプリケーション」でも「過剰使用アプリケーション」でもないと判定された場合、使用制限は実施されない。
【0070】
(S105)ステップS104において「過剰ストレスアプリケーション」(使用制限対象)であると判定された場合、次いで、この使用制限対象のアプリケーションは、「第1アプリケーション種別」(上記(ア)の種別)であるか「第2アプリケーション種別」(上記(イ)の種別)であるかの判定を行う。
【0071】
(S106)ステップS105で「第1アプリケーション種別」であると判定された場合、現在使用されている使用制限対象のアプリケーションに対し、通信速度、並びに画面輝度及び/又は画面彩度を「徐々に下げる」使用制限を実施する。
ここで「徐々に下げる」とは、ステップS104の判定時点から通信速度を連続的に(例えば線形的に)又は段階的に下げ、例えば1時間かけて例えば125kbps(ビット/秒)にまで低減させることである。また、ステップS104の判定時点から画面輝度及び/又は画面彩度を連続的に(例えば線形的に)又は段階的に下げ、例えば1時間かけて例えば設定最低値にまで低減させることとなっている。
【0072】
(S107)一方、ステップS105で第2アプリケーション種別であると判定された場合、現在使用されている使用制限対象のアプリケーションに対し、画面感度、並びに画面輝度及び/又は画面彩度を「徐々に下げる」使用制限を実施する。
ここで画面感度を「徐々に下げる」とは、ステップS104の判定時点から画面感度を連続的に(例えば線形的に)又は段階的に下げ、例えば1時間かけて例えば初期設定値の1/10(0.1倍)にまで低減させることとなっている。
【0073】
(S108)ステップS104において「過剰使用アプリケーション」(使用制限対象)であると判定された場合、次いで、この使用制限対象のアプリケーション種別は、「第1アプリケーション種別」(上記(ア)の種別)であるか「第2アプリケーション種別」(上記(イ)の種別)であるかの判定を行う。
【0074】
(S109)ステップS108で「第1アプリケーション種別」であると判定された場合、現在使用されている使用制限対象のアプリケーションに対し、通信速度、並びに画面輝度及び/又は画面彩度を「急速に下げる」使用制限を実施する。
ここで「急速に下げる」とは、ステップS104の判定時点から通信速度を、例えば1秒後に例えば125kbpsにまで低減させることである。また、ステップS104の判定時点から画面輝度及び/又は画面彩度を、例えば1秒後に例えば設定最低値にまで低減させることとなっている。
【0075】
(S110)一方、ステップS108で「第2アプリケーション種別」であると判定された場合、現在使用されている使用制限対象のアプリケーションに対し、画面感度、並びに画面輝度及び/又は画面彩度を「急速に下げる」使用制限を実施する。
ここで、画面感度を「急速に下げる」とは、ステップS104の判定時点から画面感度を、例えば1秒後に例えば初期設定値の1/10(0.1倍)にまで低減させることとなっている。
【0076】
次いで、ステップS104において「過剰ストレスアプリケーション」でも「過剰使用アプリケーション」でもないと判定された場合や、ステップS106、S107、S109又はS110での処理が開始された場合、所定時間(例えば3時間)経過後に次のステップS111へ移行する。ただし、その間に使用しているアプリケーションが変更された場合(例えば別のアプリケーションが起動されてそのデータ通信や操作が開始された場合)、ステップS101へ戻って以上説明した処理を再度実施する。
【0077】
(S111)ユーザは(何らかの)アプリケーションを使用しているか否かの判定を行う。ここで、使用しているとの判定を行った場合、ステップS101へ戻って以上説明した処理を再度実施する。一方、使用していないとの判定を行った場合、本アプリケーション使用制限処理(の1回分)を終了する。
【0078】
図3は、本発明による使用制限方法における他の具体例の概要を示すフローチャートである。ここで、同フローチャートで示した本使用制限方法は、上記(β)の場合に相当するものとなっている。また、同フローチャートのステップS201~S203は、
図1のステップS101~S103と同様の処理を行うステップとなっており、以下説明を省略する。
【0079】
(S204)決定したストレス値(及び決定した使用時間とストレス値の履歴情報)から、ステップS201で決定されたアプリケーションを使用制限対象とするか否かを判定する。
ここでこのステップS204では、上述した<第1使用制限条件>が満たされているか否か(過剰ストレスアプリケーション(使用制限対象)であるか否か)の判定を行う。ただし代わりに、上述した<第2使用制限条件>が満たされているか否か(過剰使用アプリケーション(使用制限対象)であるか否か)の判定を行うことも可能である。
【0080】
(S205)ステップS204において、ステップS201で決定されたアプリケーションを使用制限対象とすると判定された場合、次いで、この使用制限対象のアプリケーション種別は、「過剰通信量アプリケーション」であるか否か及び「過剰操作アプリケーション」であるか否かの判定を行う。
【0081】
ここで、使用制限対象のアプリケーションと同じ種別の(このアプリケーションを含む)アプリケーション群についての本処理当日における1時間当たりのデータ通信量が例えば50MB(Mega Byte)以上であれば、「過剰通信量アプリケーション」との判定を行う。また、使用制限対象のアプリケーションと同じ種別の(このアプリケーションを含む)アプリケーション群についての本処理当日における1時間当たりのタップ・スクロール回数(タップ回数及びスクロール回数の合計)が例えば500回以上であれば、「過剰操作アプリケーション」との判定を行う。
【0082】
(S206)ステップS205で「過剰通信量アプリケーション」であると判定された場合、現在使用されている使用制限対象のアプリケーションに対し、通信速度を「データ通信量に応じて下げる」使用制限を実施する。また、画面輝度及び/又は画面彩度は例えば線形的に、例えば1時間かけて設定最低値にまで低減させる。
【0083】
ここで、通信速度を「データ通信量に応じて下げる」とは、使用制限対象のアプリケーション種別についての本処理当日における1時間当たりのデータ通信量が例えば100MB以上である場合、通信速度を連続的に(例えば線形的に)又は段階的に下げ、例えば1時間かけて例えば125kbpsにまで低減させ、一方、当該データ通信量がCd MB(<100MB)である場合、通信速度を125kbpsにまで低減させる時間を延長することとなっている。後者の場合、例えば100/Cd時間(>1時間)かけて125kbpsにまで低減させてもよい。
【0084】
(S207)また、ステップS205で「過剰操作アプリケーション」であると判定された場合、現在使用されている使用制限対象のアプリケーションに対し、画面感度を「操作回数に応じて下げる」使用制限を実施する。また、画面輝度及び/又は画面彩度は例えば線形的に、例えば1時間かけて設定最低値にまで低減させる。
【0085】
ここで、画面感度を「操作回数に応じて下げる」とは、使用制限対象のアプリケーション種別についての本処理当日における1時間当たりのタップ・スクロール回数が例えば1000回以上である場合、画面感度を連続的に(例えば線形的に)又は段階的に下げ、例えば1時間かけて例えば初期設定値の1/10(0.1倍)にまで低減させ、一方、当該タップ・スクロール回数がCd回(<1000回)である場合、画面感度を初期設定値の1/10(0.1倍)にまで低減させる時間を延長することとなっている。後者の場合、例えば1000/Cd時間(>1時間)かけて初期設定値の1/10(0.1倍)にまで低減させてもよい。
【0086】
(S208)さらに、ステップS205で「過剰通信量アプリケーション」及び「過剰操作アプリケーション」であると判定された場合、現在使用されている使用制限対象のアプリケーションに対し、上述した通信速度を「データ通信量に応じて下げる」使用制限も、上述した画面感度を「操作回数に応じて下げる」使用制限もともに実施する。また、画面輝度及び/又は画面彩度は例えば線形的に、例えば1時間かけて設定最低値にまで低減させる。
(S209)またさらに、ステップS205で「過剰通信量アプリケーション」でも「過剰操作アプリケーション」でもないと判定された場合、現在使用されている使用制限対象のアプリケーションに対し、画面輝度及び/又は画面彩度を例えば線形的に、例えば1時間かけて設定最低値にまで低減させる使用制限を実施する。
【0087】
次いで、ステップS204においてステップS201で決定されたアプリケーションを使用制限対象とはしないと判定された場合(使用制限を実施しない場合)や、ステップS206、S207、S208又はS209での処理が開始された場合、所定時間(例えば3時間)経過後に次のステップS210へ移行する。ただし、その間に使用しているアプリケーションが変更された場合(例えば別のアプリケーションが起動されてそのデータ通信や操作が開始された場合)、ステップS201へ戻って以上説明した処理を再度実施する。
【0088】
(S210)ユーザは(何らかの)アプリケーションを使用しているか否かの判定を行う。ここで、使用しているとの判定を行った場合、ステップS201へ戻って以上説明した処理を再度実施する。一方、使用していないとの判定を行った場合、本アプリケーション使用制限処理(の1回分)を終了する。
【0089】
以上、
図2(上記(α)の場合)及び
図3(上記(β)の場合)を用いて本発明による使用制限方法の具体例を説明した。ここで変更態様として、
図2のステップS106において、さらに(使用制限対象のアプリケーションが)過剰通信量アプリケーションであるか否かの判定を行い、過剰通信量アプリケーションであるとの判定を行った場合、通信速度を例えば1時間かけて「徐々に下げる」使用制限を行い、一方、過剰通信量アプリケーションではないとの判定を行った場合、通信速度を例えば2時間かけて「徐々に下げる」使用制限を行ってもよい。
【0090】
また変更態様として、
図2のステップS107において、さらに(使用制限対象のアプリケーションが)過剰操作アプリケーションであるか否かの判定を行い、過剰操作アプリケーションであるとの判定を行った場合、画面感度を例えば1時間かけて「徐々に下げる」使用制限を行い、一方、過剰操作アプリケーションではないとの判定を行った場合、画面感度を例えば2時間かけて「徐々に下げる」使用制限を行ってもよい。
【0091】
さらに変更態様として、
図3のステップS206やステップS208において、さらに(使用制限対象のアプリケーションが)第2アプリケーション種別であるか否かの判定を行い、第2アプリケーション種別であるとの判定を行った場合、これらのステップにおける通信速度の低減時間(例えば1時間)をより短く設定する(例えば0.5時間に設定する)ことも可能である。さらに、
図3のステップS207やステップS208において、さらに(使用制限対象のアプリケーションが)第1アプリケーション種別であるか否かの判定を行い、第1アプリケーション種別であるとの判定を行った場合、これらのステップにおける画面感度の低減時間(例えば1時間)をより長く設定してもよい(例えば2時間に設定してもよい)。
【0092】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ユーザのストレス情報から使用制限を行うアプリケーションを決定し、またアプリケーション(の種別)やその使用履歴に応じた使用制限内容を決定して、これらの決定事項を反映した使用制限を実施することができる。すなわち、その使用のユーザへの影響やその使用の内容も考慮した、アプリケーションの使用の制限を実施することが可能となるのである。
【0093】
また、例えば世界中の子供達に対し質の高い、且つ個々の性格・能力に合った教育を提供するに当たり、教育用アプリケーションを搭載したPC等の端末を使ったオンライン教育は、非常に有効な手法といえる。しかしながら、このようなオンライン教育を行う場合、子供たちに過剰なストレスを与えないように配慮する必要がある。この点、オンライン教育に使用するPC等の端末に本発明による使用制限プログラムを搭載すれば、子供達が過剰なストレスを受けずにオンライン教育を享受することも可能となる。すなわち本発明によれば、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標4「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」に貢献することも可能となるのである。
【0094】
さらに、所定の業務用のアプリケーションを搭載したPC等の端末を使用して行うような仕事は、世界各国において今後ますます増大することが考えられる。しかしながらこのようなPC等の端末を用いた仕事を遂行させるに当たり、従事者に過剰なストレスを与えないように配慮する必要がある。この点、このような仕事に使用するPC等の端末に本発明による使用制限プログラムを搭載すれば、従事者が過剰なストレスを受けずに仕事を効率的に遂行することも可能となる。すなわち本発明によれば本発明によれば、国連が主導するSDGsの目標8「すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する」に貢献することも可能となるのである。
【0095】
以上に述べた本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0096】
1 スマートフォン(使用制限装置)
101 通信インタフェース部
102 生理的情報保存部
103 アプリケーション(AP)使用履歴保存部
104 タッチパネル・ディスプレイ
111 使用制限決定部
111a ストレス値決定部
112 制限内容決定部
113 使用制限指示部
121 通信制御部
121a 通信速度制御部
122 入出力制御部
122a 画面感度制御部
122b 画面輝度・彩度制御部
2 スマートウォッチ(生理的状態測定デバイス)
3 アプリケーション(AP)サーバ