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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】ガス絶縁開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 13/035 20060101AFI20250418BHJP
【FI】
H02B13/035 301H
H02B13/035 301B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022069939
(22)【出願日】2022-04-21
(65)【公開番号】P2023159975
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2024-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】伍井 唯乃
(72)【発明者】
【氏名】原田 孝
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 将広
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/111133(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/097681(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0014539(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 13/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガスが封入されたタンクと、
モータと、前記モータが回転させる駆動プーリとを備えた操作装置と、
前記タンク内において開閉動作を行う開閉動作部と、前記駆動プーリの回転に伴って回転し、前記開閉動作部に開閉動作の力を伝える従動プーリとを備えた開閉動作機器と、
前記モータによるトルクを前記駆動プーリから前記従動プーリに伝達するワイヤと、
前記タンク内の前記絶縁ガスの圧力を計測するガスゲージと、
前記タンクと前記ガスゲージとを接続するガス配管と、
前記ガス配管のうち第1の分岐部において分岐して、前記操作装置に繋がる第1のワイヤ配管とを有し、
前記ワイヤは、前記ガス配管及び前記第1のワイヤ配管を通して前記駆動プーリと前記従動プーリとに架け渡されていることを特徴とするガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
前記開閉動作機器は、前記従動プーリ及び前記従動プーリに間欠的に従動する従動車を有するゼネバ機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項3】
前記ゼネバ機構は、前記タンク外に設置されており、
前記ガス配管のうち前記第1の分岐部よりも前記開閉動作機器側で分岐する第2のワイヤ配管を備え、
前記ワイヤは、前記ガス配管及び前記第1のワイヤ配管に加え、前記第2のワイヤ配管を通して前記駆動プーリと前記従動プーリとに架け渡されていることを特徴とする請求項2に記載のガス絶縁開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、断路器及び接地開閉器を備えたガス絶縁開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス絶縁開閉装置においては、断路器及び接地開閉器といったタンク内に設置されて開閉動作を行う開閉動作機器を小型化する目的から、特許文献1に開示されるように、開閉動作機器にトルクを伝達して開閉動作を行わせる操作装置を、開閉動作機器から分離して別個に設置する構造が取られている。
【0003】
特許文献1に開示されるように、操作装置を断路器及び開閉器から分離したガス絶縁開閉装置において、断路器及び開閉器と操作装置とは、動力伝達用のワイヤを用いて接続されている。断路器及び開閉器の軸と操作装置のモータの出力軸とには、プーリが設置される。操作装置側のプーリをモータで回し、ワイヤによって動力を伝えて断路器及び開閉器側のプーリを回すことで、開閉動作が行われる。
【0004】
断路器及び開閉器のプーリと操作装置のプーリとに架け渡されるワイヤは、プリカチューブといった金属管を通すことで保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2015/111133号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来のガス絶縁開閉装置は、ワイヤの保護専用の金属管をタンクの外に設置する必要があるため、タンク外に設置される構造物が増加し、装置のレイアウト上の制約となる可能性があった。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、タンク外に設置される構造物の増加を抑制しつつ、動力伝達用のワイヤを保護したガス絶縁開閉装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るガス絶縁開閉装置は、絶縁ガスが封入されたタンクと、モータと、モータが回転させる駆動プーリとを備えた操作装置と、タンク内において開閉動作を行う開閉動作部と、駆動プーリの回転に伴って回転し、開閉動作部に開閉動作の力を伝える従動プーリとを備えた開閉動作機器と、モータによるトルクを駆動プーリから従動プーリに伝達するワイヤと、タンク内の絶縁ガスの圧力を計測するガスゲージと、タンクとガスゲージとを接続するガス配管と、ガス配管のうち第1の分岐部において分岐して、操作装置に繋がる第1のワイヤ配管とを有する。ワイヤは、ガス配管及び第1のワイヤ配管を通して駆動プーリと従動プーリとに架け渡されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、タンク外に設置される構造物の増加を抑制しつつ、動力伝達用のワイヤを保護したガス絶縁開閉装置を提供できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置の構成を示す図
図2】実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置のゼネバ機構を示す図
図3】実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置のゼネバ機構の従動プーリのピンがスロットの外径側に移動した状態を示す図
図4】実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置の開閉動作機器が閉状態となった時のゼネバ機構の状態を示す図
図5】実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置の操作装置と第1のワイヤ配管との接続部分の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施の形態に係るガス絶縁開閉装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置の構成を示す図である。実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置100は、絶縁ガスが封入されたタンク10を備えている。タンク10内には、不図示の遮断器に加え、断路器及び接地用開閉器といった開閉動作機器20が収容されている。また、ガス絶縁開閉装置100は、開閉動作機器20での開閉動作の動力源である操作装置30を備えている。操作装置30は、駆動プーリ31が設置されたモータ32を備えている。開閉動作機器20は、可動接触子25a及び固定接触子25bを備えた開閉動作部25と、連続回転を断続回転に変換するゼネバ機構21とを備えている。開閉動作機器20は、可動接触子25aが固定接触子25bに接触することで閉状態となり、可動接触子25aが固定接触子25bから離れることで開状態となる。開閉動作機器20は、操作装置30側の駆動プーリ31をモータ32によって回し、ワイヤ40によって伝えられた動力によりゼネバ機構21側の従動プーリ22を回すことで、開状態と閉状態とを切り替える開閉動作を行う。
【0013】
図2は、実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置のゼネバ機構を示す図である。ゼネバ機構21は、駆動プーリ31の回転に伴って同方向に回転する従動プーリ22と、従動プーリ22の回転に対して間欠的に回転する従動車23と、従動車23に設けられたシャフト24とを備える。従動プーリ22には、軸方向の一端面にピン27が設けられている。また、従動車23は、ゼネバ機構21の筐体に軸支されている。従動車23は、シャフト24が設けられた側面と反対側の側面が従動プーリ22のピン27が設けられた側面と対向するように配置されている。従動車23の半径は従動プーリ22の半径よりも大きい。従動車23には、ピン27が係合されるスロット28が設けられている。スロット28は、例えばV状であり、径方向に伸びる二つの部分が従動車23の中心でつながっている。ピン27は、従動プーリ22の回転に伴ってスロット28に案内されてスロット28内を移動する。従動車23は、ピン27がスロット28の中央部にあるときには従動プーリ22に従動せずに静止し、ピン27がスロット28の中央部以外の部分にあるときには従動プーリ22に従動する。従動車23は、開閉動作機器20の可動接触子25aを予め設定された駆動範囲内で動作させるように間欠動作する。換言すれば、このような従動車23の動作を実現するように、ピン27及びスロット28の位置関係が設定されている。シャフト24は、開閉動作機器20の可動接触子25aを駆動する軸であり、可動接触子25aに直接的又は間接的に連結されている。従動車23は、シャフト24を介して開閉動作機器20の可動接触子25aを駆動する。なお、図2は、開閉動作機器20が、可動接触子25aと固定接触子25bとが離れた開状態にある状態でのゼネバ機構21を示している。
【0014】
開閉動作機器20を開状態から閉状態にする場合の動作について説明する。開閉動作機器20が開状態にあるとき、ゼネバ機構21は、ピン27がスロット28の中央部に配置されて、従動車23が従動プーリ22に従動しない状態にある。この状態で、モータ32を順回転させ、駆動プーリ31を回転させると、ワイヤ40を介して従動プーリ22も順回転し、ピン27がスロット28内を外径側に移動する。図3は、実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置のゼネバ機構の従動プーリのピンがスロットの外径側に移動した状態を示す図である。従動プーリ22は、ピン27がスロット28のV字の中央部からスロット28内を径方向に一定距離移動するまで空転し、その後は、ピン27とスロット28とが噛み合って、従動プーリ22の回転が従動車23に伝達される。ピン27がスロット28内を外径側に移動しつつ従動車23を順回転させた後、ピン27は、スロット28内での移動方向を転換して内径側に移動しつつ従動車23をさらに順回転させる。これにより、可動接触子25aが固定接触子25bに接触して、開閉動作機器20は閉状態になる。図4は、実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置の開閉動作機器が閉状態となった時のゼネバ機構の状態を示す図である。開閉動作機器20が閉状態では、従動プーリ22は再び空転するため、従動車23は停止し、開閉動作機器20の可動接触子25aは固定接触子25bに接触した状態で停止する。モータ32は、開閉動作機器20が閉状態になった後の従動プーリ22の空転中に停止するように制御される。
【0015】
開閉動作機器20を閉状態から開状態にする場合の動作について説明する。開閉動作機器20が閉状態にあるとき、ゼネバ機構21は、ピン27がスロット28の中央部に配置されて、従動車23が従動プーリ22に従動しない状態にある。この状態で、モータ32を逆回転させ、駆動プーリ31を回転させると、ワイヤ40を介して従動プーリ22も逆回転し、ピン27がスロット28内を外径側に移動する。従動プーリ22は、ピン27がスロット28のV字の中央部からスロット28内を径方向に一定距離移動するまで空転し、その後は、ピン27とスロット28とが噛み合って、従動プーリ22の回転が従動車23に伝達される。ピン27がスロット28内を外径側に移動しつつ従動車23を逆回転させた後、ピン27は、スロット28内での移動方向を転換して内径側に移動しつつ従動車23をさらに逆回転させる。これにより、可動接触子25aが固定接触子25bから離れて、開閉動作機器20は開状態になる。開閉動作機器20が開状態では、従動プーリ22は再び空転するため、従動車23は停止し、開閉動作機器20の可動接触子25aは固定接触子25bから離れた状態で停止する。モータ32は、開閉動作機器20が開状態になった後の従動プーリ22の空転中に停止するように制御される。
【0016】
上記のように、ゼネバ機構21は、連続回転を断続回転に変換する機構であり、ワイヤ40特有の弱点である伸びによる動作不足を吸収する機能を持つ。開閉動作完了位置のスロット28には空転領域が設けられており、従動プーリ22が余分に回転しても従動車23は回転しない構造となっていることにより、開閉動作機器20は、ワイヤ40の伸びに影響されることなく一定の動作が可能となっている。
【0017】
ガス絶縁開閉装置100は、タンク10内の絶縁ガスの圧力を計測するガスゲージ50を備えている。ガスゲージ50は、ガス配管60でタンク10と接続されている。ガス配管60は、第1の分岐部61及び第2の分岐部62を有している。第1の分岐部61は、第1のワイヤ配管71で操作装置30と接続されている。第2の分岐部62は、第2のワイヤ配管72でゼネバ機構21と接続されている。ワイヤ40は、第1のワイヤ配管71と、ガス配管60のうち第1の分岐部61と第2の分岐部62との間の部分と、第2のワイヤ配管72とを通して、操作装置30の駆動プーリ31とゼネバ機構21の従動プーリ22とに架け渡されている。以下、ガス配管60のうち第1の分岐部61と第2の分岐部62との間の部分を、ガスワイヤ共用配管81という。第1のワイヤ配管71、第2のワイヤ配管72及びガス配管60は、金属製の管であり、可撓性を有していない。
【0018】
図5は、実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置の操作装置と第1のワイヤ配管との接続部分の拡大図である。操作装置30は、第1のワイヤ配管71との接続部分には、Oリング38及びXリング39が設置されている。第1のワイヤ配管71内の絶縁ガスは、Oリング38によってせき止められ、操作装置30と第1のワイヤ配管71との隙間から流出しない構造となっている。また、第1のワイヤ配管71内の絶縁ガスは、Xリング39によってせき止められ、操作装置30の内部へは流入しない構造となっている。なお、ゼネバ機構21と第2のワイヤ配管72との接続部分も同様であり、ゼネバ機構21の第2のワイヤ配管72との接続部分にOリング38及びXリング39が設置されている。したがって、第2のワイヤ配管72内の絶縁ガスは、Oリング38及びXリング39によってせき止められ、ゼネバ機構21と第2のワイヤ配管72との隙間から流出したり、ゼネバ機構21の内部へは流入したりしない構造となっている。
【0019】
ワイヤ40は、金属製のインナー41が樹脂製のアウター42で覆われた構造となっている。操作装置30の駆動プーリ31が回転すると、インナー41のみが駆動プーリ31の回転に伴って移動するが、アウター42の位置は変化しない。このため、Xリング39とワイヤ40との間には、ワイヤ40の移動に伴う摩擦は発生しない。したがって、Xリング39による気密性が低下しにくい。
【0020】
実施の形態1に係るガス絶縁開閉装置100は、操作装置30とゼネバ機構21とに架け渡されたワイヤ40が、第1のワイヤ配管71、ガスワイヤ共用配管81及び第2のワイヤ配管72によって覆われているため、ワイヤ40を保護することができる。ガスワイヤ共用配管81を用いてワイヤ40を保護することにより、ワイヤ40の保護のためのプリカチューブをガス配管60とは別個に設ける場合と比較して、タンク10外の構造物を少なくすることができ、装置レイアウト上の制約を小さくすることができる。
【0021】
また、第1のワイヤ配管71、第2のワイヤ配管72及びガス配管60は、可撓性を持たないため、第1のワイヤ配管71、第2のワイヤ配管72及びガス配管60を保持するための構造物は不要である。したがって、タンク10外の構造物を少なくすることができ、装置レイアウト上の制約を小さくすることができる。
【0022】
以上の実施の形態に示した構成は、内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0023】
10 タンク、20 開閉動作機器、21 ゼネバ機構、22 従動プーリ、23 従動車、24 シャフト、25 開閉動作部、25a 可動接触子、25b 固定接触子、27 ピン、28 スロット、30 操作装置、31 駆動プーリ、32 モータ、38 Oリング、39 Xリング、40 ワイヤ、41 インナー、42 アウター、50 ガスゲージ、60 ガス配管、61 第1の分岐部、62 第2の分岐部、71 第1のワイヤ配管、72 第2のワイヤ配管、81 ガスワイヤ共用配管、100 ガス絶縁開閉装置。
図1
図2
図3
図4
図5