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特許7668797水素、石油化学製品、及び、パワーの一貫生産
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  • 特許-水素、石油化学製品、及び、パワーの一貫生産 図1
  • 特許-水素、石油化学製品、及び、パワーの一貫生産 図2A
  • 特許-水素、石油化学製品、及び、パワーの一貫生産 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】水素、石油化学製品、及び、パワーの一貫生産
(51)【国際特許分類】
   C10G 69/06 20060101AFI20250418BHJP
   C10G 9/36 20060101ALI20250418BHJP
   C10G 21/00 20060101ALI20250418BHJP
   C10G 45/00 20060101ALI20250418BHJP
   C01B 3/26 20060101ALI20250418BHJP
【FI】
C10G69/06
C10G9/36
C10G21/00
C10G45/00
C01B3/26
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022533661
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 US2020062723
(87)【国際公開番号】W WO2021113249
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】16/701,760
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハラル、アデシュ
(72)【発明者】
【氏名】アバ、イブラヒム
(72)【発明者】
【氏名】ジャマル、アキル
(72)【発明者】
【氏名】ブラン、アブデヌール
(72)【発明者】
【氏名】ユネス、ムーラッド
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-514489(JP,A)
【文献】特表2019-518817(JP,A)
【文献】特開2000-273467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合システムにおいてパワー及び石油化学製品を生産する方法であって:
供給流は原油又はコンデンセートを含み、
AM除去システムにおいて、
パワージェネレーション流形成するために、前記供給流の一部からアスファルテン及び金属(AM)を除去する工程
水素化処理供給流を形成するために、前記供給流の別の一部を脱アスファルト化する工程であって、前記水素化処理供給流には、ある量の金属が存在する、前記脱アスファルト化する工程と、
重油変換システム、コーカー、重金属抽出ユニット、又はそれらの任意の組合せにおいて処理するために、前記供給流の他の一部をアスファルト生成物流として提供する工程であって、前記AM除去システムは溶剤脱れきシステムを備える、前記アスファルト生成物流として提供する工程と;
前記パワージェネレーション流を前記AM除去システムからパワージェネレーションシステムに供給する工程と;
ガス流及び液体流を形成するために、水素化処理システムにおいて前記水素化処理供給流を処理する工程と;
前記ガス流を水素生成システムに提供する工程であって、前記水素生成システムは、前記ガス流から水素、一酸化炭素、及び二酸化炭素を生成するように構成されている、前記水素生成システムに提供する工程と;
前記液体流をクラッキングシステムに提供する工程と;を備える、
パワー及び石油化学製品を生産する方法。
【請求項2】
ブレンド流を形成するために、前記水素化処理供給流の少なくとも一部を前記パワージェネレーション流とブレンドする工程と;
前記ブレンド流を前記パワージェネレーションシステムに供給する工程と;を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ブレンド流を形成するために、前記液体流の少なくとも一部を前記パワージェネレーション流とブレンドする工程と;
前記ブレンド流を前記パワージェネレーションシステムに供給する工程と;を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
水素流を前記水素生成システムから前記水素化処理システムに提供する工程を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
水素を前記一酸化炭素及び前記二酸化炭素から分離する工程と;
前記一酸化炭素及び前記二酸化炭素を二酸化炭素変換システムに供給する工程と;を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水素生成システムから水素生成物流を、原料として、前記水素化処理システムに提供する工程を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記水素生成システムから二酸化炭素を二酸化炭素変換システムに提供する工程を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記二酸化炭素変換システムから合成生成物流を、燃料として又は下流プロセスにおいて使用するために提供する工程を備える、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記クラッキングシステムから流出物を生成物分離システムに供給する工程を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記AM除去システムからアスファルテン流を、前記重油変換システム(HOCS)に供給する工程を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記HOCSから軽質炭化水素流出物流を生成物分離システムに提供する工程を備える、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記HOCSから重油生成物流を、燃料として提供する工程を備える、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記AM除去システムからアスファルテン流を、前記コーカーに供給する工程を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記コーカーから石油コークス生成物流を、燃料として提供する工程を備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コーカーから軽質炭化水素流出物流を生成物分離システムに提供する工程を備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
生成物分離システムから軽質炭化水素流を前記水素生成システムに供給する工程を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
軽質炭化水素流は、前記コーカーにおいて、前記アスファルテン流を熱分解することによって生成され、前記軽質炭化水素流は、生成物分離システムに供給される、
請求項13に記載の方法。
【請求項18】
生成物分離システムから、水素及びメタンを含む原水素流を前記水素生成システムに送る工程を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記クラッキングシステムは、改質器を備え、
前記改質器は、前記液体流を改質物流に変換し、
芳香族抽出システムを有する生成物分離システムは、前記改質物流から芳香族を分離する
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記生成物分離システムにおいてベンゼン生成物流を生成する工程を備える、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記生成物分離システムにおいてトルエン生成物流を生成する工程を備える、
請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記生成物分離システムにおいてパラキシレン生成物流を生成する工程を備える、
請求項19に記載の方法。
【請求項23】
生成物分離システムにおいて重質芳香族生成物流を生成する工程を備える、
請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記重質芳香族生成物流を重油変換ユニットに提供する工程を備える、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記重質芳香族生成物流をコーカーに提供する工程を備える、
請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本出願は2019年12月3日に出願された米国特許出願第16/701,760号の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組込まれる。
【背景技術】
【0002】
エチレン、プロピレン、ブチレン、及びブタンなどのオレフィン、並びにベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族化合物は、石油化学産業及び化学産業において広く使用されている塩基性中間体である。スチームクラッキング(分解)及びスチームリフォーミング(改質)は、石油ガスなどの供給原料や、ナフサ、ケロシン及びガスオイル(軽油)などの蒸留物から、オレフィン及び芳香族化合物を形成するために使用される。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載の実施の形態は、処理施設を提供する。処理施設は、供給流を処理してパワージェネレーション流、水素化処理供給流、及びアスファルテン流を生成するように構成されたアスファルテン及び金属(AM、asphaltenes and metals)除去システムを含む。パワージェネレーションシステムは、パワージェネレーション供給流によって供給される。水素化処理システムは、水素化処理供給流を処理してガス流及び液体流を形成するように構成される。水素生成システムは、ガス供給流から水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を生成するように構成される。二酸化炭素変換システムは、二酸化炭素から合成炭化水素を生成するように構成され、クラッキングシステムは、液体供給流を処理するように構成される。
【0004】
本明細書に記載される別の実施の形態は、統合システムにおいてパワー(power、動力、電力)及び石油化学製品を生産するための方法を提供する。本方法は、AM除去システムにおいて供給流からアスファルテン及び金属(AM)を除去して、パワージェネレーション流、水素化処理供給流、及びアスファルテン流を形成することを含む。パワージェネレーション流は、パワージェネレーションシステムに供給される。水素化処理供給流は、水素化処理システム内で処理されてガス流及び液体流を形成し、ガス流は、水素生成システムに供給される。液体流は、クラッキングシステムに供給される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、パワージェネレータ(パワー発生装置)に直接供給するために、及び、供給流を芳香族石油化学製品を含む石油化学製品に変換するために、供給流を利用する処理施設の例である。
【0006】
図2A図2Aは、石油化学製品を生成しながら直接ジェネレーションシステムにパワーを供給するために、供給流を使用するプロセスのフローチャートである。
図2B図2Bは、石油化学製品を生成しながら直接ジェネレーションシステムにパワーを供給するために、供給流を使用するプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
パワージェネレーションシステムとの統合システムの一部である、水素化処理及びクラッキングのプロセスが、本明細書に記載される実施例で提供される。プロセスでは、原油又はコンデンセートを含む供給流を直接処理して、パワー、水素、及び、ベンゼン、トルエン、及びパラキシレンなどの芳香族石油化学製品を含む石油化学製品を生産する。パワーに加えて、これらの技術は、合成ガス及び潜在的に水素を生成するために使用することができる。低カーボンフットプリント燃料を対象とする場合、スチーム改質技術からのCOを捕捉、使用、又は貯蔵することができる。
【0008】
供給流は、アスファルト&金属除去システムで処理されて3つの流れを形成し、これには、脱アスファルト化及び脱金属化されてパワージェネレーション流を形成する第1の流れが含まれる。パワージェネレーション流は、タービンジェネレーションシステムにパワーを供給するために直接使用することができ、例えばディーゼル燃料と同様の性能を有する。従って、パワージェネレーション流は、製油所からのディーゼル流に取って代わり、精製プロセスのコストを下げることになる。
【0009】
供給流から形成された第2の流れは、脱アスファルト化されるが、ある量の金属が存在してもよく、水素化処理供給流に使用される。第3の流れは、アスファルト、及び金属の大部分を含み、アスファルト生成物流を供給するために使用されてもよく、又は重油変換システム、コーカー、重金属抽出ユニット、又はそれらの任意の組合せで処理されてもよい。実施の形態によっては、第3の流れは、水素生成、合成炭化水素生成、又はその両方のために、ガス化装置又は部分酸化ユニットに供給される。
【0010】
本明細書で使用される場合、原油という用語は、何らかの前処理を受けた原油を含む、従来の供給源からの全原油を指す。例えば、原油とは、水-油分離、ガス-油分離、脱塩、及び安定化のうちの1つ又は複数に供された材料をいうことができる。本明細書で使用される場合、ナフサ沸点範囲の材料は、約300℃未満の沸点を有し得る。ディーゼル以上の沸点範囲の材料は、約180℃を超える沸点を有し得る。
【0011】
本明細書で使用されるように、システム又は処理システムは、パワージェネレーション(生産)、分離、水素化処理、クラッキング、水素生成などの特定の機能を実行するように構成された、処理設備の統合された群である。更に、システムは多くの場合、複数の機能を実行するために、容器及び他の設備を含む。例えば、水素化処理システムは、流出物を複数の流れに分離するための分離容器を含むことができる。処理システムは、単一の容器、又は複数の容器、及び指定された機能を実行するために使用される全ての関連する触媒、ポンプ、バルブ、コンプレッサー、及び処理設備を含み得る。同様に、パワージェネレーションシステムは、1つ又は複数のタービン駆動ジェネレータを含んでもよく、その各々が1つ又は複数の、コンバスタ、空気供給システム、冷却システム等を含む。
【0012】
図1は、供給流102を利用して、パワージェネレータに直接燃料を供給し、及び、供給流を水素及び芳香族石油化学製品を含む石油化学製品に変換する、処理施設100の一例である。原油又はコンデンセート流であり得る供給流102は、アスファルテン及び重金属(AM)除去システム106に受け入れられる。一般に、供給流102は、約0℃~約900℃、又は約30℃~約600℃の範囲の蒸留曲線を有する。AM除去システム106は、より軽い炭化水素を可溶性にし、より溶解性の低いアスファルテン及び関連する金属を後に残す溶剤脱れき(solvent deasphalting)システムであってもよい。溶剤脱れきユニットは、典型的には45℃~250℃及び約15bar(1.5MPa)~約50bar(5.0MPa)の圧力で稼動する。原油に対する溶剤の比(溶剤:原油)は、約4:1~約13:1である。
【0013】
AM除去システムは、パワージェネレーションシステム104に送られ、コンバスタ110内で燃焼されてガスタービンにパワーを供給することができる、パワージェネレーション流108を提供する。様々な実施の形態において、タービンは、Eクラス、Fクラス、Hクラス、Jクラス、又はより高いタービン入口温度を有する先進的及び将来的なガスタービンである。パワージェネレーション流108は、アスファルテンが非常に少なく、又は全くなく、バナジウム及びニッケルなどの重金属の含有量が少ない高純度油流である。様々な実施の形態では、アスファルテンは、パワージェネレーション流108に存在しないか、又は約1ppm未満、約5ppm未満、又は約10ppm未満である。様々な実施の形態では、パワージェネレーション流108は、約0.5ppmv未満、又は約0.5ppmv~約0.7ppmv、又は約0.7ppmv~1.2ppmvを有する。
【0014】
パワージェネレーション流108内のバナジウムなどの重金属のレベルは、例えば、保守、注水、又は腐食を緩和するための化学薬品注入により、稼動コストを低減しながら、パワー生成を最大化するために、パワージェネレーションシステム104の要件に適合するように制御することができる。パワージェネレーションシステム104内のガスタービンにおけるより高い効率は、より重い油又は重金属を含む油と比較してコンバスタの焼成温度を上げることによって得ることができる。パワージェネレーション流108は、約260℃までの沸点を有する重質ナフサ又はケロシン範囲に対応する沸点までの軽質留分を含むことができる。
【0015】
更に、脱れき化及び脱金属化のプロセス中に、例えばパワージェネレーション流108及び水素化処理供給流112などの、処理された流れにおける硫黄レベルが低減される。削減は、典型的には供給流102と比較して約20%~約30%の範囲である。これにより、パワージェネレーションシステム104からのSOx排出が低減され、脱硫の必要性が低減される。
【0016】
水素化処理供給流112は、例えば、アスファルテンを含まないか、又は、約5wt%未満、約7wt%未満、又は約10wt%未満などの、低アスファルテン含有量を有する、中純度流である。更に、水素化処理供給流112は、中程度の重金属含有量を有することができる。例えば、重金属含有量は、約0.5ppmvから、供給流102の重金属含有量の約100%の範囲とすることができる。水素化処理供給流112は、例えば180℃を超える沸点を有する、中間留分及び重質留分を含み得る。
【0017】
水素化処理供給流112は、硫黄、金属、窒素、又は他の不純物などの不純物を除去するために、水素化処理システム114に送られる。実施の形態によっては、水素化処理システム114は、水素化分解(ハイドロクラッキング)機能を実行して、水素化処理供給流112から追加の生成物を形成する。図1に示すように、実施の形態によっては、水素化処理供給流112の一部をパワージェネレーション流108と組合せて、例えばパワージェネレーション流108中の不純物のレベルを制御することができる。これは、供給流102がより少量のアスファルテン又は金属含量を有し、供給流102のより多くをパワージェネレーションシステム104に送ることを可能にする場合に行うことができる。
【0018】
水素化処理システム114は、単一の触媒ゾーン又は複数の触媒ゾーンを有する単一の水素化処理容器を含むことができる。他の例では、水素化処理システムは、複数の容器を含むことができ、それぞれは、水素化脱硫、水素化脱金属、水素化分解などの異なる機能を実行するために異なる触媒及び条件を使用してもよい。水素化処理システム114は、本明細書で更に説明される。水素流116は、水素化処理システム114に供給される。
【0019】
いくつかの例では、選択的水素化処理又は水素化処理のプロセスは、供給原料の鉱山局相関指数(BMCI、Bureau of Mines Correlation Index)によって測定されるように、パラフィン含有量を増加させるか、又は粘度を減少させることができる。例えば、水素化処理供給流112は、複数の炭素-炭素結合を飽和するように水素化処理し、続いて芳香族化合物、特に多環芳香族化合物の穏やかな水素化分解を行うことによって改善され得る。原油を水素化処理する場合、金属、硫黄、及び窒素などの汚染物質は、脱金属、脱硫、及び脱窒素のうちの1つ又は複数の触媒機能を果たす一連の層状触媒に供給原料を通すことによって除去することができる。いくつかの例では、水素化脱金属(HDM、hydrodemetallization)及び水素化脱硫(HDS、hydrodesulfurization)を実施するための触媒のシーケンス(配列)は、水素化脱金属触媒、中間触媒、水素化脱硫触媒、及び最終触媒を含むことができる。
【0020】
HDMセクションの触媒は、約140m/g~約240m/gの表面積を有するガンマアルミナ担体に基づくことができる。この触媒は、約1cm/gを超える細孔容積などの、非常に大きな細孔容積を有する。細孔サイズは、主にマクロポーラスであり得、これは触媒の表面上の金属及び任意にドーパントの取込みのための大きな容量を提供する。触媒表面上の活性金属は、ニッケル(Ni)の硫化物、モリブデン(Mo)の硫化物、又はその両方であり得、Ni:(Ni+Mo)のモル比は、約0.15未満である。ニッケル及びバナジウムの一部は、供給原料自体から堆積して、結果として触媒として作用すると予想されるので、ニッケルの濃度は、HDM触媒上では他の触媒よりも低い。ドーパントは、リン、ホウ素、ケイ素、及びハロゲンのうちの1つ又は複数とすることができ、例えば、米国特許出願公開第2005/0211603号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組込まれる。いくつかの例において、触媒は、アルミナ押出物又はアルミナビーズの形態であり得る。例えば、アルミナビーズを使用して、反応器中の触媒HDM床の除荷(アンロード)を容易にすることができるが、これは金属の取込みが床の頂部で30~100%の範囲であり得るからである。
【0021】
中間触媒を使用して、水素化脱金属機能と水素化脱硫機能との間の移行を行うことができる。中間触媒は、中間金属の装填及び細孔径(pore size)の分布を有することができる。HDM/HDS反応器中の触媒は、押出物の形態のアルミナベースの担体、第VI群からの少なくとも1つの触媒金属(例えば、モリブデン、タングステン、又はその両方)、又は第VIII群からの少なくとも1つの触媒金属(例えば、ニッケル、コバルト、又はその両方)、又はそれらの任意の2つ又はそれを超える組合せであり得る。触媒は、ホウ素、リン、ハロゲン、及びケイ素のうちの1つ又は複数などの、少なくとも1つのドーパントを含有することができる。中間触媒は、約140m/g~約200m/gの表面積、少なくとも約0.6cm/gの細孔容積、及び約12nm~約50nmのサイズのメソポーラス細孔を有することができる。
【0022】
HDSセクションの触媒は、約180m/g~約240m/gのような、HDM範囲の上限に近い表面積を有するガンマアルミナベースの担体材料を含むことができる。HDS触媒のより大きな表面積は、約1cm/g未満の細孔容積のような、比較的より小さな細孔容積をもたらす。触媒は、モリブデンなどの第VI群からの少なくとも1つの元素と、ニッケルなどの第VIII群からの少なくとも1つの元素とを含む。触媒はまた、ホウ素、リン、ケイ素、及びハロゲンのうちの1つ又は複数などの、少なくとも1つのドーパントを含む。いくつかの例では、コバルト(Co)を使用して、比較的高レベルの脱硫を提供することができる。Ni:(Ni+Mo)のモル比が約0.1~約0.3であり、(Co+Ni):Moのモル比が約0.25~約0.85であるように、活性段階のための金属装填量は、所望の活性が高くなるにつれて高くなる。
【0023】
最終触媒は、水素化脱硫の主要な機能を有するのではなく、供給原料の水素化を行うことができる。いくつかの例では、最終触媒は、中間触媒及びHDSセクション中の触媒に取って代わることができる。最終触媒は、ニッケルによって促進することができ、担体は、広孔ガンマアルミナとすることができる。最終触媒は、約180m/g~約240m/gなどの、HDM範囲の上限に近い表面積を有することができる。最終触媒の表面積が大きいほど、細孔容積が比較的小さくなり、例えば細孔容積が約1cm/g未満となる。
【0024】
本明細書に記載されるように、水素化処理システム114は、水素流116からの水素で水素化処理供給流112を処理する。水素流116は、例えば、処理施設100の他のシステムで生成されて、水素化処理システム114に移送することができる。水素は、水素化処理供給流112の割合として、0.1mol%、0.5mol%、1mol%、5mol%、又はそれ以上で、添加してもよい。これは、より高い水素含有量を有する材料のクラッキングはより良好な生成物をもたらすので、クラッカーからの生成物を改善することができる。水素化処理システム114はまた、変換を介してのクラッキング又はパワー生成に利用可能な供給量を増加させる。
【0025】
本明細書に記載されるように、水素化処理システム114は、一般に別々の反応ゾーンにおいて、以下のプロセス:水素化脱金属、水素化脱芳香族、水素化脱窒素、水素化脱硫、及び水素化分解のうちの1つ又は複数を実施することができる。プロセス(複数)は、複数のゾーンを有する単一の反応器中で、又は複数の反応器中で行うことができる。水素化処理システム114は、有効量の水素化脱金属触媒を含有する1つ又は複数の床を含むことができる。水素化処理システム114は、水素化脱芳香族、水素化脱窒素、水素化脱硫、及び水素化分解の機能のうちの1つ又は複数を有する有効量の水素化処理触媒を含有する、1つ又は複数の床を含むことができる。いくつかの例では、水素化処理システム114は、2つ、3つ、4つ、5つ、又は別の数の触媒床などの、複数の触媒床を含むことができる。いくつかの例では、水素化処理システム114は、各々が同一又は異なる機能の1つ又は複数の触媒床を含む、複数の反応容器を含むことができる。
【0026】
水素化処理システム114は、約300℃~約450℃の温度、例えば、約300℃、約350℃、約400℃、約450℃、又は別の温度で稼動することができる。水素化処理システム114は、約30bar~約180bar、例えば、約30bar(3MPa)、約60bar(6MPa)、約90bar(9MPa)、約120bar(12MPa)、約150bar(15MPa)、約180bar(18MPa)、又は別の圧力で稼動することができる。水分処理システム114は、約0.1h-1~約10h-1の液空間速度、例えば、約0.1h-1、約0.5h-1、約1h-1、約2h-1、約4h-1、約6h-1、約8h-1、約10h-1、又は別の液空間速度で稼動することができる。液空間速度は、反応器を通る反応液の流量と反応器の容積との比である。
【0027】
水素化処理システム114からの生成物は、液体流118及びガス流120を含む。液体流118及びガス流120は、水素化処理された流出物から水素化処理システム114内の分離器によって生成されてもよい。分離器は、高圧低温又は高温分離器であってもよい。いくつかの例では、流出物を分離器の前に熱交換器で冷却することができる。分離器は、水素化処理された流出物を、一般に、約180℃までの沸点を有する、より低い炭素数の液体(例えば、C4及びそれ未満)を含むガス流120と、一般に、約180℃より高い沸点を有する液体流118(例えば、C5及びそれを超える炭素数を有する材料)とに分離する。実施の形態によっては、分離器は、フラッシュドラムなどのフラッシュ分離機器であり、熱交換器又はコンデンサが続く。実施の形態によっては、分離器は、フラッシュゾーンがない状態で稼動する。これらの実施の形態では、分離器は、サイクロン相分離器、スプリッタ、又は、気化ガス及び液体の物理的又は機械的分離に基づく別のタイプの分離機器を含むことができる。フラッシュ分離器に関しては、これらの機器に続いて、ガス流120を凝縮させるための熱交換器又はコンデンサを設けることができる。
【0028】
図1に示されているような構成の処理施設100では、ガス流120は、水素生成システム122に送られる。水素生成システム122において、ガス流120は、例えば、スチーム改質システム、ガス化システム、部分酸化システム、又はそれらの組合せを使用して、水素流124を生成するために使用することができる。水又はスチーム流126を添加して、水性シフト反応のための補給水を提供することができる。部分酸化又はガス化のために、空気又は酸素流を水素生成システム122の反応器に供給することもできる。スチーム改質法では、炭化水素は、例えばスチーム改質反応器中において、ニッケル触媒上で、約700℃~約1000℃でスチームと接触させられ、H、CO、及びCOを生成する。第2の容器、例えば分離容器では、水性シフト反応において、COをより多くのスチームと反応させて、H及びCOを形成する。実施の形態によっては、流れは水性シフト反応を経ずに、残りのCO及びCOから水素を効果的に分離する水素分離プロセスに供給される。次いで、CO/COを含有する流れは、CO及びCOを合成燃料又は化学物質に変換するユニット136に供給される。
【0029】
ガス化プロセスでは、ガス流120からの炭化水素もまた、H、CO、及びCOに変換される。ガス化又は部分酸化において、炭化水素は、ガス化反応器中で、例えば燃焼せずに、約700℃より高い温度で、制御された量の酸素、スチーム、又はその両方と反応する。プロセスは、発熱性であり、プロセスの他の部分で使用するために熱を発生させることができる。分離容器のような第2の容器において、COは、より多くのスチームと反応して、水性シフト反応でH及びCOを形成することができる。
【0030】
水素生成システム122がスチーム改質及びガス化システムの両方を含む実施の形態では、分離セクション及び水性シフトシステムは統合されてもよい。システムの統合は、水素選択性膜がニッケル触媒などの改質触媒と共に使用される膜改質器を使用して達成することができる。これは、改質と水性ガスシフト作用とを組合せることを可能にし、水素生成プロセスのプロセス強化を可能にする。実施の形態によっては、水素流124は、水素化処理システム114に供給される水素流116の供給源として使用される。
【0031】
水素生成システム122がガス化プロセスを含む実施の形態では、ガス化装置内で発生するガスは、膜反応器内で水性シフトされてもよく、膜反応器は、膜反応器内に統合された水素選択性膜及び水性ガスシフト触媒、例えばニッケル触媒を用いて、約250℃~約300℃で稼動することができる。これはまた、現場で形成されたCOの分離を可能にし、CO流128として除去される。
【0032】
従来の改質又はガス化プロセス構成では、圧力スイング吸着(PSA、pressure swing absorption)システムは、水素の精製のために水素生成システム122に含まれてもよく、改質器(リフォーマー)132などのクラッキングシステムで生成され、生成物分離システム134で分離される原水素流130を含む。原水素流130は、水素及びメタンを含み、生成物分離システム134内部の脱メタン器から供給される。原水素流130は、水素生成システム122内のPSAシステムに送られる。PSAシステムは、ゼオライト吸収剤で満たされた2つのカラムと、1つの活性カラムと、1つの再生カラムとを含むことができる。水素流は、一緒にされ、水素流から不純物を吸収する活性カラムを通って流れる。実施の形態では、水素流124中の水素の純度は、約80vol%を超える、約90vol%を超える、約95vol%を超える、又はそれ以上である。
【0033】
CO流128は、COを、合成炭化水素又は他の役に立つ生成物に変換するために、CO変換システム136に送られる。変換は、水素化によって、又はより軽質の炭化水素を用いた乾式又は湿式条件での更なる改質によって行うことができる。湿潤条件を使用する場合、スチーム流を添加してもよい。水素生成システム122内で形成されたCOは、COと共に又はその代わりに、CO変換システム136に送られてもよいことが理解され得る。CO変換反応には、必要に応じて、COをH及びCOに変換するためのスチーム反応が含まれる場合がある。次いで、供給原料をフィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)反応器に供給して、水素及び一酸化炭素を炭化水素に変換することができる。フィッシャー・トロプシュ反応器において、H及びCOは、約150℃~約300℃の温度で触媒上を流される。より低い温度は、より高い炭素数に有利である。触媒は、コバルト系触媒、鉄系触媒、ルテニウム系触媒、又はそれらの組合せであってもよい。
【0034】
実施の形態によっては、CO変換システム136は、とりわけ水素化処理システム114又は改質器132などの他のシステムのための炉(ファーネス)燃料としてメタン又は合成ガスを含む生成物流138を生成することができる。実施の形態によっては、生成物流138は、販売ガス(sales gas)パイプラインのための補給流として使用される。実施の形態によっては、生成物流138は、多くの他の化学物質又は合成燃料流のための供給原料として使用される。実施の形態によっては、COは、水素流116からの水素を使用して水素化され、例えば生成物流138の一部として、ジメチルエーテル(DME)、メタノール、又は他の酸素化化合物を形成する。実施の形態によっては、CO流128は、強化された石油回収又は隔離のためにCOパイプラインに提供される。
【0035】
水素化処理システム114からの液体流118の一部をパワージェネレーション流108にブレンドして、ブレンド流を形成することができる。水素化処理された液体流118のブレンドを用いて、パワージェネレーションシステム104に供給する燃料のウォッベ指数(Wobbe index)を調整し、その硫黄含有量を低減することができる。本明細書で使用されるように、ウォッベ指数は、燃料の燃焼から得られ得るエネルギー出力の尺度であり、燃料の燃焼から得られる発熱量を燃料の比重の平方根で割ることによって計算される。例えば、より少ない炭素数を有するより軽い炭化水素は、一般により重い炭化水素よりも低いウォッベ指数を有する。例えば、メタンのウォッベ指数は約50MJ/Nmであり、インブタンのウォッベ指数は約88MJ/Nmである。
【0036】
水素化処理システム114からの残りの液体流118は、ナフサ改質システムなどの改質器132に送られる。改質器132は、連続接触改質(CCR、continuous catalytic reforming)システムであってもよい。実施の形態によっては、改質器132は、例えばスチームクラッキング炉を含むクラッキングシステムに置き換えられる。液体流118は、改質器132の上流の水素化処理システム114で処理されたので、液体流118が改質器132に供給される前に、液体流118の更なる水素化処理は行われない。改質器132は、液体流118を、ベンゼン、トルエン、及びキシレン(BTX)などの芳香族化合物に富む改質物流140又は流出物に変換する。芳香族化合物に加えて、改質物流140は、水素、液体プロパンガス、及びパラフィン性ラフィネートを含むことができる。いくつかの例では、改質器132は、ベンゼンのより低い生成を犠牲にして、キシレンの高生成を可能にする。
【0037】
改質器132は、水素化分解、異性化、脱水素環化、及び脱水素化などの反応を使用して、液体流118を改質物流140に変換する1つ又は複数の反応器を含む。改質器132は、芳香族化合物の生成を最大にする触媒プロセスに適合する触媒を含むことができる。例えば、触媒は、白金、パラジウム、レニウム、スズ、ガリウム、ビスマス、又は他の金属触媒の1つ又は複数を含む、一官能性又は二官能性金属触媒であり得る。触媒は、ハロゲン含有触媒、ゼオライトL又はZSM-5ゼオライトなどのゼオライトを使用する触媒、アルミナ、シリカ、又はアルミナシリカ担体などの、メソポーラス又はマイクロポーラスである結晶性又は非晶質担体を使用する触媒、又は芳香族生成物を最大限にすることができる別のタイプの触媒であってもよい。更に、触媒は、本明細書に記載されるように、水素化処理触媒を含むことができる。
【0038】
改質器132の稼動条件は、芳香族生成物を最大にするように選択することができる。改質器132は、約0.01bar~約50bar、例えば、約0.01bar(0.001MPa)、約0.1bar(0.01MPa)、約0.5bar(0.05MPa)、約1bar(0.1MPa)、約5bar(0.5MPa)、約10bar(1MPa)、約20bar(2MPa)、約30bar(3MPa)、約40bar(4MPa)、約50bar(5MPa)、又は別の圧力で稼動することができる。改質器132中の炭化水素に対する水素のモル比は、約1:1~約10:1、例えば、約1:1、約2:1、約4:1、約6:1、約8:1、約10:1、又は別の比であり得る。改質器132は、約400℃~約600℃の温度、例えば、約400℃、約450℃、約500℃、約550℃、約600℃、又は別の温度で稼動することができる。改質器132は、約0.1h-1~約5h-1の液空間速度、例えば、約0.1h-1、約0.5h-1、約1h-1、約2h-1、約3h-1、約4h-1、約5h-1、又は別の液空間速度で稼動することができる。
【0039】
実施の形態によっては、生成物分離システム134は、溶媒抽出、抽出蒸留、又は他の抽出技術などの抽出技術を使用して、芳香族化合物を改質物流140から分離するための芳香族抽出システムを含む。芳香族抽出システムは、改質物流140、並びに本明細書において生産した他の生成物流を受け取り、芳香族及び非芳香族生成物流を生成する。種々の実施の形態において、芳香族生成物流は、ベンゼン生成物流142、トルエン生成物流144、パラキシレン生成物流146、及び重質芳香族生成物流148を含む。生成物分離システム134から生成され得る非芳香族流は、一般にエタン及びプロパンなどの完全飽和軽質炭化水素を含むリサイクル流150を含む。生成物分離システム134から生成され得る他の流れは、熱分解ガソリン流、重質燃料油流などを含み得る。リサイクル流150は、水素生成又は化学物質生成の経済性に応じて、改質器132、水素生成システム122に供給されてもよく、又は両者に分割されてもよい。
【0040】
様々な実施の形態では、改質器132は、液体流118を処理するための別のタイプのクラッキングシステムに置き換えられる。例えば、改質器132の代わりにスチームクラッキングシステムを使用することができる。スチームクラッキングシステムは、ガス炉と液体炉の組合せである。スチーム供給物は、スチームクラッキングシステムの1つ又は複数の炉に供給される。炉は、スチームクラッキングシステムに送られる供給物の一部に合わせて、フレキシブル(柔軟)であってもよく又はカスタマイズされてもよい。スチームクラッキングシステムのスチームクラッキング炉を通る流れは、約1ミリ秒(ms)、約2ms、約5ms、又は約10msの全暴露時間を提供することができる。スチームクラッキング炉の直後にクエンチタワー(急冷塔)を設けて、スチームクラッキング炉からの流出物を冷却し、更なる反応を止めることができる。改質器132に関して、スチームクラッキングシステムは、生成物分離システム134からのリサイクル流150を二次供給として使用することができる。
【0041】
改質器132からの改質物流140と同様に、スチームクラッキングシステムからの生成物流は、生成物分離システム134に供給される。スチームクラッキングシステムからの生成物流は、低炭素数化合物、例えばエタン及びプロパン、並びに芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン及びキシレンを含むことができる。
【0042】
AM除去システム106は、供給流102からアスファルテン及び重金属を含むアスファルテン流152を生産する。実施の形態によっては、アスファルテン流152は、処理施設100の他のユニットにおいて内部で使用され、例えば、ディーゼル又はケロシンとブレンドされて、180cSt(180mm/s)又は380cSt(380mm/s)などの比粘度(specific viscosity)を有する重油を生成する。更に、アスファルテン流152は、セメント産業への燃料として、又はアスファルト生成のための生成物流として提供することができる。実施の形態によっては、アスファルテン流152は、重油変換システム(HOCS、heavy oil conversion system)154又はコーカー156において他の生成物を形成するために使用されてもよい。アスファルテン流152は、約600℃を超える理論上の沸点を有するが、アスファルテンは、一般に使用される処理温度で固体又は軟化した固体である。
【0043】
HOCS154では、アスファルテン流152を水素流116と反応させて、アスファルテン流152よりも軽い炭化水素を含む分解生成物流158を形成することができる。分解生成物流158は、生成物分離システム134に供給される。分解生成物流158は、約150℃~約205℃の沸点を有することができる。分解生成物流158の一部は、図1に示すように、改質器132に供給することができる。重質芳香族生成物流148の少なくとも一部は、更なる処理のためにHOCS154に戻すことができる。HOCS154は、燃料油生成物流160を生産することができる。
【0044】
燃料油生成物流160は、水素生成システム122、改質器132で変換できないか、又は水素化処理システム114にリサイクルできない重質炭化水素を含むことができる。燃料油生成物流160はまた、パイオイル(pyoil、pyrolysis oil)流の一部がHOCS154にリサイクルされる場合、パージ流であってもよい。本明細書に記載される実施の形態では、燃料油生成物流160は、アスファルテン流152から生産されるので、高硫黄、低粘度、及び高密度燃料油とすることができる。燃料油生成物流160の芳香族性は、約200センチストークス(cSt)(200mm/s)未満、約180cSt未満、約150cSt(150mm/s)未満、又はそれ未満の粘度を提供する。したがって、燃料油生成物流160は、輸送用のバンカー油として使用することができる。しかし、この燃料油の経済的価値は、燃料油生成物流160を形成するために使用される流れを変化させることによって、及び異なるシステムでの稼動条件を調整することによって調整され得る。実施の形態によっては、生成物分離システム134からのより高い割合の重質芳香族生成物流148をHOCS154で使用して、硫黄含有量を低下させることができる。実施の形態によっては、燃料油生成物流160は、更なる処理のために、例えばより低分子量の炭化水素の収率を増加させるために、コーカー156に提供されてもよい。
【0045】
実施の形態によっては、アスファルテン流152は、コーカー156に供給される。本明細書中で使用される場合、コーカーは、アスファルテン流152などの重質炭化水素を、炭化水素ガス、ナフサ、軽質及び重質ガス油、及び石油コークスを含む低分子量炭化水素に変換する処理ユニットである。コーカー156は、ディレードコーカー又は流体コーカーなどの任意のタイプの市販のコーキングユニットを含むことができる。コーカー156では、軽質炭化水素流162は、アスファルテン流152の熱分解によって生成される。軽質炭化水素流162は、約150℃~約205℃の間の沸点を有する可能性がある。実施の形態によっては、反応を促進するために、コーカー156にスチームが注入されてもよい。軽質炭化水素流162は、生成物分離システム134に供給される。重質芳香族生成物流148の少なくとも一部は、更なる処理のためにコーカー156に戻すことができる。石油コークス生成物流164は、コーカー156から生成物流として供給される。本明細書に記載される実施の形態では、石油コークス生成物流164は、一般的に燃料グレードであり、例えば硫黄及び金属を多く含む。石油コークス生成物流164は、残留揮発性炭化水素を除去するために、例えばロータリーキルン中で更に処理されてもよい。石油コークス生成物流164の組成は、表1に示す通りであってよい。

表1 石油コークスの組成例
密度 :688kg/m3
C :85.9%wt dry
H :3.6%wt dry
N :0.94%wt dry
O(計算値):0.2%wt dry
S :9.18%wt dry
灰 :0.2%wt dry
金属 :800mg/kg dry
水分 :7.4%wt
【0046】
生成物分離システム134は、変換プロセスから化学的生成物を生成するためのすべてのシステムを含む。様々な実施の形態では、生成物分離システム134は、脱メタン器、クエンチカラム、水素化反応器、一次分留カラム、コンプレッサー、及びカラムのセットを含み、ベンゼン生成物流142、トルエン生成物流144、パラキシレン生成物流146、重質芳香族生成物流148、並びに、とりわけエチレン、プロピレン、混合C4s、及び熱分解ガソリン(pyrolysis gasoline、パイロリシスガソリン)を含む他の生成物流の生成を可能にする。生成物分離システム134は更に、高蒸留温度(HDT、high-distillation temperature)及び芳香族分離セクションを含み、パイガス(pygas、pyrolysis gasoline)を処理し、この流れからBTXを分離する。本発明はまた、スチームクラッキング炉で生成されたトリオレフィンを飽和させるための選択的水素化システムを含む。生成物分離システム134には、改質器132からの改質物流140が供給される。これにはまた、HOCS154からの分解生成物流158、及びコーカー156からの軽質炭化水素流162が供給される。本明細書に記載されるように、生成物分離システム134は、重質芳香族生成物流148を生成し、これは、HOCS154にリサイクルされ得るか、又は生成物流として他のプロセスに提供され得る。
【0047】
図2A及び図2Bは、石油化学製品を生成しながらパワージェネレーションシステムに直接パワーを供給するために、供給流を使用するプロセス200のフローチャートである。このプロセスは、原油又はコンデンセート供給物などの供給流がアスファルテン及び金属(AM)除去システムに供給されるブロック202で始まる。ブロック204において、高純度油流は、本明細書に記載されるように、AM除去システムからパワージェネレーションシステムに供給される。
【0048】
ブロック206では、中純度流は、水素化処理システムに供給される。ブロック208では、水素化処理システムからのガス流は、水素生成システムに供給される。ブロック210において、水素生成物流は、水素生成システムから供給される。水素生成物流の一部は、水素化処理システム、重油変換システム、又は二酸化炭素変換システムのための供給原料として使用することができる。
【0049】
ブロック208の水素生成システムからのCO及び二酸化炭素は、ブロック212の二酸化炭素変換システムで処理されて、合成燃料及び他の化学物質を形成する。ブロック214において、これらは合成生成物流として提供され、燃料として又は下流プロセスにおいて使用され得る。
【0050】
ブロック216では、水素化処理システムからの液体流は、クラッキングシステムに供給される。本明細書に記載されるように、クラッキングシステムは、改質器、スチームクラッカー、又は別のタイプのクラッキングシステムであってもよい。
【0051】
ブロック218では、クラッキングシステムからの流出物は、生成物分離システムに供給される。ブロック220において、ベンゼン生成物流は、生成物分離システムから供給される。ブロック222において、トルエン生成物流は、生成物分離システムから供給される。ブロック224において、パラキシレン生成物流は、生成物分離システムから供給される。ブロック226において、重質芳香族生成物流は、生成物分離システムから供給される。ブロック228では、軽質炭化水素を含むリサイクル流は、生成物分離システムから水素生成システム、クラッキングシステム、又はその両方に供給される。ブロック230において、生成物分離システムからの水素リッチガスは、水素生成システムに供給される。水素リッチガスは、例えば水素生成システムに組込まれた圧力スイング吸着(PSA、pressure swing absorption)システムにおいて、更に精製されてもよい。
【0052】
ブロック232において、アスファルテン生成物流は、AM除去システムから供給される。ブロック234において、アスファルテン生成物流を重油変換システムに供給する。ブロック236において、重油生成物流は、重油変換システムから供給される。ブロック238において、軽質炭化水素流出物流は、重油変換システムから生成物分離システムに提供される。
【0053】
ブロック240において、アスファルテン生成物流をコーカーに供給する。ブロック242において、石油コークス生成物流は、コーカーから供給される。ブロック238において、軽質炭化水素流出物流は、コーカーから生成物分離システムに提供される。
【0054】
原油流の成分、又はプロセスの経済性に応じて、重油変換システム、コーカー、又はその両方を省略することができる。例えば、原油又はコンデンセート流が、軽質原油などの高炭素数材料を高含有量で含まない場合、重油変換システムは必要とされない場合がある。更に、プロセスの経済性が燃料油生成物流に有利でない場合、重油変換システムは、バイパスされるか又は排除され得る。実施の形態によっては、重油変換システムは、存在するがバイパスされるように構成される。
【0055】
本明細書に記載の実施の形態は、処理施設を提供する。処理施設は、供給流を処理してパワージェネレーション流、水素化処理供給流、及びアスファルテン流を生成するように構成された、アスファルテン及び金属(AM)除去システムを含む。パワージェネレーションシステムは、パワージェネレーション供給流によって供給される。水素化処理システムは、水素化処理供給流を処理してガス流及び液体流を形成するように構成される。水素生成システムは、ガス供給流から水素、一酸化炭素、及び二酸化炭素を生成するように構成される。二酸化炭素変換システムは、二酸化炭素から合成炭化水素を生成するように構成され、クラッキングシステムは、液体供給流を処理するように構成される。
【0056】
一態様では、供給流は、原油を含む。一態様では、供給流は、コンデンセートを含む。
【0057】
一態様では、パワージェネレーションシステムは、ガスタービンを含む。一態様では、ガスタービンは、Eクラス、Fクラス、又はHクラス、又はそれを超えるクラスである。
【0058】
一態様では、水素生成システムは、スチーム改質反応器を含む。一態様では、水素生成システムは、ガス化反応器を含む。一態様では、水素生成システムは、圧力スイング吸着システムを含む。一態様では、水素生成システムは、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する水性シフトシステムを含む。
【0059】
一態様では、二酸化炭素変換システムは、フィッシャー・トロプシュ反応器を含む。一態様では、二酸化炭素変換システムは、乾式改質プロセスを含む。一態様では、処理施設は、水素を精製し、一酸化炭素及び二酸化炭素を二酸化炭素変換システムに送るように構成された、水素分離システムを含む。
【0060】
一態様では、水素化処理システムは、水素化脱金属ゾーン、水素化脱芳香族ゾーン、水素化脱窒素ゾーン、水素化脱硫ゾーン、又は水素化分解ゾーン、又はそれらの任意の組合せを含む。
【0061】
一態様では、クラッキングシステムは、改質器を含む。一態様では、水素生成システムで生成された水素の少なくとも一部は、改質器に供給される。一態様では、改質器は、異性化反応器、水素化分解反応器、脱水素環化反応器、又は脱水素化反応器、又はそれらの任意の組合せを含む。一態様では、クラッキングシステムは、スチームクラッカーを含む。
【0062】
一態様では、処理施設は、重油変換システムを含む。一態様では、処理施設は、コーカーを含む。
【0063】
一態様では、処理施設は、クラッキングシステム、重油変換システム、又はコーカー、又はそれらの任意の組合せからの生成物流を分離するように構成された生成物分離システムを含む。一態様では、生成物分離システムは、原水素流を水素生成システムに供給するように構成される。一態様では、生成物分離システムは、軽質炭化水素流をクラッキングシステム、又は水素生成システム、又はその両方に供給するように構成される。一態様では、生成物分離システムは、芳香族分離システムを含む。一態様では、生成物分離システムは、ベンゼン生成物流、トルエン生成物流、パラキシレン生成物流、又は重質芳香族流、又はそれらの任意の組合せを生成するように構成される。一態様では、生成物分離システムは、重質芳香族流の少なくとも一部を重油変換システム、又はコーカー、又はその両方に供給するように構成される。
【0064】
本明細書に記載される別の実施の形態は、統合システムにおいてパワー及び石油化学製品の生産のための方法を提供する。本方法は、AM除去システムにおいて供給流からアスファルテン及び金属(AM)を除去して、パワージェネレーション流、水素化処理供給流、及びアスファルテン流を形成することを含む。パワージェネレーション流は、パワージェネレーションシステムに供給される。水素化処理供給流は、水素化処理システム内で処理されて、ガス流及び液体流を形成し、ガス流は、水素生成システムに供給される。液体流は、クラッキングシステムに供給される。
【0065】
一態様では、本方法は、水素化処理供給流の少なくとも一部をパワージェネレーション流とブレンドしてブレンド流を形成するステップと、ブレンド流をパワージェネレーションシステムに供給するステップとを含む。一態様では、本方法は、液体流の少なくとも一部をパワージェネレーション流とブレンドしてブレンド流を形成するステップと、ブレンド流をパワージェネレーションシステムに供給するステップとを含む。
【0066】
一態様では、本方法は、水素生成システムから水素化処理システムに水素流を供給することを含む。一態様では、本方法は、一酸化炭素及び二酸化炭素から水素を分離するステップと、一酸化炭素及び二酸化炭素を二酸化炭素変換システムに供給するステップとを含む。一態様では、水素生成物流は、水素生成システムから提供される。一態様では、二酸化炭素は、水素生成システムから二酸化炭素変換システムに供給される。一態様では、合成生成物流は、二酸化炭素変換システムから提供される。一態様では、流出物は、クラッキングシステムから生成物分離システムに供給される。
【0067】
一態様では、本方法は、AM除去システムからアスファルテン流を供給することを含む。一態様では、アスファルテン流は、重油変換システム(HOCS)に供給される。一態様では、HOCSからの軽質炭化水素流出物流は、生成物分離システムに供給される。一態様では、HOCSから重油生成物流が提供される。
【0068】
一態様では、本方法は、アスファルテン流をコーカーに供給することを含む。一態様では、石油コークス生成物流は、コーカーから供給される。一態様では、軽質炭化水素流出物流は、コーカーから生成物分離システムに供給される。
【0069】
一態様では、本方法は、生成物分離システムから水素生成システムに軽質炭化水素流を供給することを含む。一態様では、本方法は、生成物分離システムからクラッキングシステムに軽質炭化水素流を供給することを含む。
【0070】
一態様では、本方法は、生成物分離システムから水素生成システムに原水素流を送るステップを含む。
【0071】
一態様では、芳香族抽出システムを含む生成物分離システムは、処理施設に含まれる。一態様では、ベンゼン生成物流は、生成物分離システムから提供される。一態様では、トルエン生成物流は、生成物分離システムから提供される。一態様では、生成物分離システムからパラキシレン生成物流が提供される。
【0072】
一態様では、重質芳香族生成物流は、生成物分離システムから提供される。一態様では、重質芳香族生成物流は、重油変換ユニットに供給される。一態様では、重質芳香族生成物流は、コーカーに供給される。
【0073】
他の実施もまた、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
[第1の局面]
処理施設であって:
供給流を処理してパワージェネレーション流、水素化処理供給流、及びアスファルテン流を生成するように構成されたアスファルテン及び金属(AM)除去システムと;
パワージェネレーション供給流が供給されるパワージェネレーションシステムと;
前記水素化処理供給流を処理してガス流及び液体流を形成するように構成された水素化処理システムと;
ガス供給流から水素、一酸化炭素、及び二酸化炭素を生成するように構成された水素生成システムと;
前記二酸化炭素から合成炭化水素を生成するように構成された二酸化炭素変換システムと;
液体供給流を処理するように構成されたクラッキングシステムと;を備える、
処理施設。
[第2の局面]
前記供給流は、原油を含む、
第1の局面に記載の処理施設。
[第3の局面]
前記供給流は、コンデンセートを含む、
第1の局面に記載の処理施設。
[第4の局面]
前記パワージェネレーションシステムは、ガスタービンを備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第5の局面]
前記ガスタービンは、Eクラス、Fクラス、又はHクラス、又はそれを超えるクラスである、
第4の局面に記載の処理施設。
[第6の局面]
前記水素生成システムは、スチーム改質反応器を備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第7の局面]
前記水素生成システムは、ガス化反応器を備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第8の局面]
前記水素生成システムは、圧力スイング吸着システムを備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第9の局面]
前記水素生成システムは、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する水性シフトシステムを備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第10の局面]
前記二酸化炭素変換システムは、フィッシャー・トロプシュ反応器を備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第11の局面]
前記二酸化炭素変換システムは、乾式改質プロセスを備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第12の局面]
前記水素を精製し、一酸化炭素及び二酸化炭素を前記二酸化炭素変換システムに送るように構成された水素分離システムを備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第13の局面]
前記水素化処理システムは、水素化脱金属ゾーン、水素化脱芳香族ゾーン、水素化脱窒素ゾーン、水素化脱硫ゾーン、又は水素化分解ゾーン、又はそれらの任意の組合せを備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第14の局面]
前記クラッキングシステムは、改質器を備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第15の局面]
前記水素生成システムにおいて生成された前記水素の少なくとも一部は、前記改質器に供給される、
第14の局面に記載の処理施設。
[第16の局面]
前記改質器は、異性化反応器、水素化分解反応器、脱水素環化反応器、又は脱水素化反応器、又はそれらの任意の組合せを備える、
第14の局面に記載の処理施設。
[第17の局面]
前記クラッキングシステムは、スチームクラッカーを備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第18の局面]
重油変換システムを備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第19の局面]
コーカーを備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第20の局面]
前記クラッキングシステム、重油変換システム、又はコーカー、又はそれらの任意の組合せからの生成物流を分離するように構成された生成物分離システムを備える、
第1の局面に記載の処理施設。
[第21の局面]
前記生成物分離システムは、原水素流を前記水素生成システムに提供するように構成される、
第20の局面に記載の処理施設。
[第22の局面]
前記生成物分離システムは、軽質炭化水素流を前記クラッキングシステム、又は前記水素生成システム、又はその両方に供給するように構成される、
第20の局面に記載の処理施設。
[第23の局面]
前記生成物分離システムは、芳香族分離システムを備える、
第20の局面に記載の処理施設。
[第24の局面]
前記生成物分離システムは、ベンゼン生成物流、トルエン生成物流、パラキシレン生成物流、又は重質芳香族流、又はそれらの任意の組合せを生成するように構成される、
第23の局面に記載の処理施設。
[第25の局面]
前記生成物分離システムは、前記重質芳香族流の少なくとも一部を、前記重油変換システム、又は前記コーカー、又はその両方に供給するように構成される、
第24の局面に記載の処理施設。
[第26の局面]
統合システムにおいてパワー及び石油化学製品を生産する方法であって:
パワージェネレーション流、水素化処理供給流、及びアスファルテン流を形成するために、供給流からアスファルテン及び金属(AM)を、AM除去システムにおいて除去する工程と;
前記パワージェネレーション流をパワージェネレーションシステムに供給する工程と;
ガス流及び液体流を形成するために、水素化処理システムにおいて前記水素化処理供給流を処理する工程と;
前記ガス流を水素生成システムに提供する工程と;
前記液体流をクラッキングシステムに提供する工程と;を備える、
パワー及び石油化学製品を生産する方法。
[第27の局面]
ブレンド流を形成するために、前記水素化処理供給流の少なくとも一部を前記パワージェネレーション流とブレンドする工程と;
前記ブレンド流を前記パワージェネレーションシステムに供給する工程と;を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第28の局面]
ブレンド流を形成するために、前記液体流の少なくとも一部を前記パワージェネレーション流とブレンドする工程と;
前記ブレンド流を前記パワージェネレーションシステムに供給する工程と;を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第29の局面]
水素流を前記水素生成システムから前記水素化処理システムに供給する工程を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第30の局面]
水素を一酸化炭素及び二酸化炭素から分離する工程と;
前記一酸化炭素及び二酸化炭素を二酸化炭素変換システムに供給する工程と;を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第31の局面]
前記水素生成システムから水素生成物流を提供する工程を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第32の局面]
前記水素生成システムから二酸化炭素を二酸化炭素変換システムに提供する工程を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第33の局面]
前記二酸化炭素変換システムから合成生成物流を提供する工程を備える、
第32の局面に記載の方法。
[第34の局面]
前記クラッキングシステムから流出物を生成物分離システムに供給する工程を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第35の局面]
前記AM除去システムからアスファルテン流を供給する工程を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第36の局面]
前記アスファルテン流を重油変換システム(HOCS)に供給する工程を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第37の局面]
前記HOCSから軽質炭化水素流出物流を生成物分離システムに提供する工程を備える、
第36の局面に記載の方法。
[第38の局面]
前記HOCSから重油生成物流を提供する工程を備える、
第36の局面に記載の方法。
[第39の局面]
前記アスファルテン流をコーカーに供給する工程を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第40の局面]
前記コーカーから石油コークス生成物流を提供する工程をそなえる、
第39の局面に記載の方法。
[第41の局面]
前記コーカーから軽質炭化水素流出物流を生成物分離システムに提供する工程を備える、
第39の局面に記載の方法。
[第42の局面]
生成物分離システムから軽質炭化水素流を前記水素生成システムに供給する工程を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第43の局面]
生成物分離システムから軽質炭化水素流を前記クラッキングシステムに供給する工程を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第44の局面]
生成物分離システムから原水素流を前記水素生成システムに送る工程を備える、
第26の局面に記載の方法。
[第45の局面]
芳香族抽出システムを有する生成物分離システムを備える、
第26の局面に記載の方法。
[第46の局面]
前記生成物分離システムからベンゼン生成物流を提供する工程を備える、
第45の局面に記載の方法。
[第47の局面]
前記生成物分離システムからトルエン生成物流を提供する工程を備える、
第45の局面に記載の方法。
[第48の局面]
前記生成物分離システムからパラキシレン生成物流を提供する工程を備える、
第45の局面に記載の方法。
[第49の局面]
生成物分離システムから重質芳香族生成物流を提供する工程を備える、
第45の局面に記載の方法。
[第50の局面]
前記重質芳香族生成物流を重油変換ユニットに提供する工程を備える、
第49の局面に記載の方法。
[第51の局面]
コーカーへの前記重質芳香族生成物流を備える、
第49の局面に記載の方法。
図1
図2A
図2B