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特許7668869キュビット制御線を多重化するための磁束調整可能キュビットアーキテクチャ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】キュビット制御線を多重化するための磁束調整可能キュビットアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/40 20220101AFI20250418BHJP
   H10N 60/12 20230101ALI20250418BHJP
   H10N 60/10 20230101ALI20250418BHJP
【FI】
G06N10/40 ZAA
H10N60/12 Z
H10N60/10 K
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023511840
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2021072978
(87)【国際公開番号】W WO2022038205
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2024-01-23
(31)【優先権主張番号】17/000,183
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンダーウッド、デヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ステーリク、ジリ
(72)【発明者】
【氏名】ザジャク、デイヴィッド
【審査官】渡辺 順哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-513249(JP,A)
【文献】特表2018-537841(JP,A)
【文献】国際公開第2020/068237(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/014021(WO,A1)
【文献】PAIK, Hanhee ほか,Experimental demonstration of a resonator-induced phase gate in a multi-qubit circuit QED system,arXiv[online],2016年06月02日,pp.1-13,[retrieved on 2025.01.10], Retrieved from the Internet: <URL: https://arxiv.org/pdf/1606.00685v1>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 10/00
H10N 60/10、60/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子コンピューティングシステムが単一ドライブラインにキュビット制御信号を適用する段階;
前記量子コンピューティングシステムが第1の共振器と第2の共振器との間で前記単一ドライブライン上の前記キュビット制御信号を分割する段階、ここで前記単一ドライブラインは、第1のキュビット、第2の調整可能キュビット、第3のキュビット、および第4の調整可能キュビットを制御するように動作可能である;
前記第1の共振器によって前記第1のキュビットを前記第2の調整可能キュビットに結合する段階;
前記第2の共振器によって前記第3のキュビットを前記第4の調整可能キュビットに結合する段階;および
前記量子コンピューティングシステムが前記第2の調整可能キュビットまたは前記第4の調整可能キュビットのうちの少なくとも1つの周波数を調節することによって、前記キュビット制御信号の振幅における変動を補償する段階
を備える、キュビットアレイの制御線を多重化する方法。
【請求項2】
前記単一ドライブラインは、共振器誘起位相(RIP)ゲートを駆動するように構成されている;
前記第1の共振器はRIP共振器である;および
前記第2の共振器はRIP共振器である
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記量子コンピューティングシステムがRIP周波数を変動しながら前記ゲートの忠実度を最大化することによって、前記第1のキュビットと前記第2の調整可能キュビットとの間における前記RIPゲートの較正を提供する段階をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の調整可能キュビットおよび前記第4の調整可能キュビットは、前記第1の共振器および前記第2の共振器の対応するRIP共振器上の量子状態依存の周波数シフトχを変更することによって、前記対応するRIP共振器間の周波数の差を修正するように動作可能な磁束調整可能アンシラキュビットである、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のキュビットおよび第2の調整可能キュビットの前記周波数シフトχの大きさは、前記第2の調整可能キュビットと前記第1のキュビットとの間の周波数の差に依存する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記量子コンピューティングシステムが前記第4の調整可能キュビットの周波数を調節することによって、前記キュビット制御信号の振幅における第2の変動を補償する段階をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記キュビット制御信号は、固定駆動振幅および固定周波数を有する無線周波数(RF)パルスである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記分割する段階は、抵抗パワースプリッタ、リアクティブパワースプリッタ、またはマルチポートカプラによって実行される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記分割する段階は、ウィルキンソン型抵抗パワースプリッタ、ワイパワースプリッタ、またはデルタパワースプリッタによって実行される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記量子コンピューティングシステムがX-パリティおよびZ-パリティのうちの少なくとも1つを循環的に実行することによって、表面コードアーキテクチャに対して誤り訂正を実行する段階をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記量子コンピューティングシステムが、前記第2の共振器から前記第1の共振器を離調する段階;および
前記量子コンピューティングシステムが、前記第1のキュビットおよび前記第2の調整可能キュビットのためのゲートレートが前記第3のキュビットおよび前記第4の調整可能キュビットのためのゲートレートと同じである周波数に前記キュビット制御信号の駆動周波数を移動させる段階
をさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第1のキュビット;
第1の共振器を介して前記第1のキュビットに結合された第2の調整可能キュビット;
第3のキュビット;
第2の共振器を介して前記第3のキュビットに結合された第4の調整可能キュビット;および
前記第1の共振器および前記第2の共振器に結合された固定ドライブライン、ここで前記第2の調整可能キュビットは、前記固定ドライブラインのキュビット制御信号の振幅における変動を補償するために調節されるように構成される
を備える、量子構造。
【請求項13】
制御線は、共振器誘起位相(RIP)ゲートを駆動するために共振器に信号を搬送する;
前記第1の共振器はRIP共振器である;および
前記第2の共振器はRIP共振器である
請求項12に記載の量子構造。
【請求項14】
前記第2の調整可能キュビットおよび前記第4の調整可能キュビットは、その対応するRIP共振器の量子状態依存の周波数シフトχを修正するように構成された磁束調整可能アンシラキュビットである、請求項12から13のいずれか一項に記載の量子構造。
【請求項15】
前記第1の共振器または第3の共振器のうちの少なくとも1つのχの修正は、前記キュビット制御信号のパルス振幅における障害を緩和するように動作可能である、請求項14に記載の量子構造。
【請求項16】
前記第4の調整可能キュビットの周波数の調節は、前記キュビット制御信号の振幅における第2の変動を補償するように動作可能である、請求項12から15のいずれか一項に記載の量子構造。
【請求項17】
前記キュビット制御信号は、固定駆動振幅および固定周波数を有する無線周波数(RF)パルスである、請求項12から16のいずれか一項に記載の量子構造。
【請求項18】
分割する段階は、抵抗パワースプリッタ、リアクティブパワースプリッタ、またはマルチポートカプラによって実行される、請求項12から17のいずれか一項に記載の量子構造。
【請求項19】
単一の前記固定ドライブライン上のキュビット制御信号を分割するように構成されたRFスプリッタをさらに備える、請求項12から18のいずれか一項に記載の量子構造。
【請求項20】
第1のキュビット;
第1の共振器を介して前記第1のキュビットに結合された第2の調整可能キュビット;
第3のキュビット;
第2の共振器を介して前記第3のキュビットに結合された第4の調整可能キュビット;および
前記第1の共振器および前記第2の共振器に結合された共有ドライブライン
を備え、ここで
前記第1の共振器は、前記第2の共振器から離調される;および
キュビット制御信号の駆動周波数は、前記第1のキュビットおよび前記第2の調整可能キュビットのためのゲートレートが、前記第3のキュビットおよび前記第4の調整可能キュビットのためのゲートレートと同じである周波数にある
量子構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、超伝導デバイス、より具体的には、キュビット制御に関する。
【背景技術】
【0002】
超伝導量子コンピューティングは、超伝導電子回路における量子コンピュータの実装である。量子計算は、情報処理および通信のための量子現象のアプリケーションを研究する。量子計算の様々なモデルが存在し、最も一般的なモデルは、キュビットおよび量子ゲートの概念を含む。キュビットは、2つの可能な状態を有するビットの一般化であるが、両方の状態の量子重ね合わせであり得る。量子ゲートは論理ゲートの一般化であるが、しかしながら、量子ゲートは、1または複数のキュビットが、それらの初期状態を考慮して、それらにゲートが適用された後に遭遇するであろう変換を説明する。重ね合わせおよびエンタングルメント(entanglement)などの様々な量子現象は、古典的コンピューティングの世界では類似体を有さず、従って、特別な構造、技術および材料を含み得る。
【発明の概要】
【0003】
様々な実施形態によると、キュビットアレイの制御線を多重化するために方法およびシステムが提供される。キュビット制御信号が、単一ドライブラインに適用される。単一ドライブライン上のキュビット制御信号は、第1の共振器と第2の共振器との間で分割され、ここで、第1のドライブラインは、第1のキュビット、第2の調整可能キュビット、第3のキュビットおよび第4の調整可能キュビットを制御するように動作可能である。第1のキュビットは、第1の共振器によって第2の調整可能キュビットに結合されている。第3のキュビットは、第2の共振器によって第4の調整可能キュビットに結合されている。キュビット制御信号の振幅における変動は、第2の調整可能キュビットの周波数もしくは第4の調整可能キュビットの周波数またはその組み合わせを調節することによって補償される。障害は、制限されることなく、第1のキュビットの周波数における変動もしくはパルス振幅における変動またはその組み合わせであり得る。
【0004】
1つの実施形態において、前記制御線は、共振器誘起位相(resonator induced phase,RIP)ゲートを駆動するように構成ており、前記第1の共振器はRIP共振器であり、前記第2の共振器はRIP共振器である。
【0005】
1つの実施形態において、前記第1のキュビットと前記第2のキュビットとの間における前記RIPゲートの較正は、RIP周波数を変動させながら前記ゲートの忠実度を最大化することによって提供される。
【0006】
1つの実施形態において、前記第2および第4の調整可能キュビットは、前記第1および第2のRIP共振器の対応するRIP共振器上の量子状態依存の周波数シフトχを変更することによって、前記対応するRIP共振器間の周波数の差を修正するように動作可能な磁束調整可能アンシラキュビット(flux-tunable Ancilla qubits)である。RIP共振器の周波数は、アンシラおよびデータキュビットといった量子状態に依存し得る。両方のキュビットが基底状態にある場合、次に、RIP共振器の周波数はシフトしないであろう。1つ、または両方のキュビットが励起状態にある場合、RIP共振器周波数はχだけシフトするであろう。
【0007】
χシフトの大きさは、アンシラキュビットとRIP共振器との間で異なる周波数に依存する。
【0008】
1つの実施形態において、第1のキュビットおよび第2の調整可能キュビットの周波数シフトχの大きさは、第2の調整可能キュビットと第1のキュビットとの間の周波数の差に依存する。
【0009】
1つの実施形態において、前記キュビット制御信号の振幅における第2の変動は、前記第4の調整可能キュビットの周波数を調節することによって、補償される。
【0010】
1つの実施形態において、前記キュビット制御信号は、固定駆動振幅および固定周波数を有する無線周波数(RF)パルスである。
【0011】
1つの実施形態において、前記分割する段階は、抵抗パワースプリッタ、リアクティブパワースプリッタ、またはマルチポートカプラによって実行される。
【0012】
1つの実施形態において、前記分割する段階は、ウィルキンソン型抵抗パワースプリッタ、ワイパワースプリッタ、またはデルタパワースプリッタによって実行される。
【0013】
1つの実施形態において、誤り訂正は、X-パリティおよびZ-パリティのうちの少なくとも1つを循環的に実行することによって、表面コードアーキテクチャに対して実行される。
【0014】
1つの実施形態において、前記第1の共振器は、前記第2の共振器から離調される。前記キュビット制御信号の駆動周波数は、前記第1のキュビットおよび前記第2の調整可能キュビットのためのゲートレートが、前記第3のキュビットおよび前記調整可能な第4のキュビットのためのゲートレートと同じである周波数に移動される。
【0015】
1つの実施形態によると、量子構造は、第1のキュビットと、第1の共振器を介して前記第1のキュビットに結合された第2の調整可能キュビットと、第3のキュビットと、第2の共振器を介して前記第3のキュビットに結合された第4の調整可能キュビットと、前記第1の共振器および前記第2の共振器に結合された固定ドライブラインとを含む。前記第2の調整可能キュビットは、前記固定ドライブラインのキュビット制御信号の振幅における変動を補償するために調節されるように構成されている。
【0016】
1つの実施形態において、前記制御線は、共振器に信号を搬送することで、共振器誘起位相(RIP)ゲートを駆動する。前記第1の共振器は、RIP共振器である。前記第2の共振器は、RIP共振器である。
【0017】
1つの実施形態において、前記第2および第4の調整可能キュビットは、その対応するRIP共振器の量子状態依存の周波数シフトχを修正するように構成された磁束調整可能アンシラキュビットである。
【0018】
1つの実施形態において、前記第1または第3の共振器のうちの少なくとも1つのχの修正は、前記キュビット制御信号のパルス振幅における障害を緩和するように動作可能である。
【0019】
1つの実施形態において、前記第4の調整可能キュビットの周波数の調節は、前記キュビット制御信号の振幅における第2の変動を補償するように動作可能である。
【0020】
1つの実施形態において、前記キュビット制御信号は、固定駆動振幅および固定周波数を有する無線周波数(RF)パルスである。
【0021】
1つの実施形態において、前記分割する段階は、抵抗パワースプリッタ、リアクティブパワースプリッタ、またはマルチポートカプラによって実行される。
【0022】
1つの実施形態において、前記固定された単一ドライブライン上のキュビット制御信号を分割するように構成されたRFスプリッタが存在する。
【0023】
1つの実施形態によると、量子構造は、第1のキュビットと、第1の共振器を介して前記第1のキュビットに結合された第2の調整可能キュビットと、第3のキュビットと、第2の共振器を介して前記第3のキュビットに結合された第4の調整可能キュビットと、前記第1の共振器および前記第2の共振器に結合された共有ドライブラインとを含む。前記第1の共振器は、前記第2の共振器から離調される。キュビット制御信号の駆動周波数は、前記第1のキュビットおよび前記第2の調整可能キュビットのためのゲートレートが、前記第3のキュビットおよび前記調整可能な第4のキュビットのためのゲートレートと同じである周波数にある。第2の共振器からの第1の共振器の離調は、異なる寸法を有する共振器を製造することによって実行され得る。
【0024】
これらの特徴および他の特徴は、それらの例示的な実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになり、これらは、添付図面に関連して読まれるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面は例示的な実施形態のものである。それらは、全ての実施形態を図示するものではない。他の実施形態が追加でまたは代わりに使用されてもよい。スペースの節約またはより効果的な図示のために、明らかまたは不要であり得る詳細は省略されることがある。いくつかの実施形態は、示された全てのコンポーネントまたはステップなしに、追加的な構成またはステップまたはその組み合わせを用いて実施され得る。同じ数字が異なる図面に表示されている場合、それは同じまたは同様のコンポーネントまたはステップを指す。
【0026】
図1A】例示的な実施形態と一致した、量子コンピューティングシステムの例示的なアーキテクチャを示す。
【0027】
図1B】例示的な実施形態と一致した、論理キュビットサイズに関する量子システムにおいて使用されるワイヤの数の例示的なグラフィック表現を提供する。
【0028】
図2】例示的な実施形態と一致した、磁束調整可能キュビットアーキテクチャの基本要素を示す。
【0029】
図3】例示的な実施形態と一致した、図2の基本要素の拡大図を提供する。
【0030】
図4A】χにおける変更およびεにおける変更のそれぞれの関数としてのθZZにおける変更を示す。
【0031】
図4B】離調Δにおける変更の関数としてのχにおける変更を示す。
【0032】
図5】例示的な実施形態と一致した、どのようにキュビットが調整されるかを説明する概念図を提供する。
【0033】
図6A】例示的な実施形態と一致した、複数のキュビットへの多元接続に対するノブとしてRIP周波数を使用することに関する図を提供する。
図6B】例示的な実施形態と一致した、複数のキュビットへの多元接続に対するノブとしてRIP周波数を使用することに関する図を提供する。
【0034】
図7】例示的な実施形態と一致した、図6Aの例のゲートレート対駆動周波数を示す。
【0035】
図8】例示的な実施形態と一致した、8個は調整可能キュビットであり、9個は固定キュビットである、17個のキュビットを有する例示的なアーキテクチャの概要を提供する。
【0036】
図9】例示的な実施形態と一致した第1のエンタングリングゲートを駆動する、多重化RIPバスを示す。
【0037】
図10】例示的な実施形態と一致した、第2のエンタングリングゲートを駆動する、多重化RIPバスを示す。
【0038】
図11】例示的な実施形態と一致した、第3のエンタングリングゲートを駆動する、多重化RIPバスを示す。
【0039】
図12】例示的な実施形態と一致した、第4のエンタングリングゲートを駆動する、多重化RIPバスを示す。
【0040】
図13A】例示的な実施形態と一致した、キュビット制御信号のパワースプリットを実行する異なる方法を提供する。
図13B】例示的な実施形態と一致した、キュビット制御信号のパワースプリットを実行する異なる方法を提供する。
図13C】例示的な実施形態と一致した、キュビット制御信号のパワースプリットを実行する異なる方法を提供する。
図13D】例示的な実施形態と一致した、キュビット制御信号のパワースプリットを実行する異なる方法を提供する。
【0041】
図14】例示的な実施形態と一致した、量子プロセッサから信号を読み出すことに関する例示的な処理を提示する。
【0042】
図15】例示的な実施形態と一致した、キュビット制御エンジンをホストし得る具体的に構成されたコンピューティングデバイスを実装するために使用され得る、コンピュータハードウェアプラットフォームの機能ブロック図の図示を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[概要]
以下の詳細な説明において、関連する教示の完全な理解を提供するべく、多くの具体的な詳細が例として記載される。しかしながら、本教示はそのような詳細なしで実施され得ることは明らかであるはずである。他の事例において、本教示の態様を不必要に不明瞭にすることを回避すべく、周知の方法、手順、コンポーネントもしくは回路またはその組み合わせは、比較的高いレベルで、詳細なしに説明されている。
【0044】
本技術の議論において、これは、様々な重要な用語(salient term)を説明するのに役立つ場合がある。本明細書において使用されるように、キュビットは量子ビットを表し、量子ゲートは、2つのキュビット間のスーパー・ポジショニングの制御などの、キュビット上で実行される演算である。
【0045】
本明細書において使用されるように、共振器誘起位相(RIP)ゲートは、マルチキュビットエンタングリング(entangling)ゲートである。これは、キュビット周波数における高度な柔軟性を可能にすることで、大規模のアーキテクチャにおける量子演算に対して適切になる。RIPゲートの利点は、それらが互いから実質的に離調されている場合でもキュビットを結合する能力である。それに応じて、RIPゲートは、より大きい量子アーキテクチャへのスケーラビリティを妨げ得るキュビットの周波数配置に対する制約に起因する課題を克服し得る。RIPゲートは、量子システム内のキュビットと共振器との間において強い結合を使用するCZゲートである。これは、離調されたパルス状(pulsed)マイクロ波ドライブを共有バスキャビティに適用することによって実現され得る。
【0046】
本明細書において使用されるように、「C相(C-phase)」という用語は、制御された位相ゲートに関しており、ここで、あるキュビットのZ回転は、別のキュビットの状態によって定義される。ZZは、C相ゲートを形成するのに使用され得る状態依存キュビット相互作用を指す。
【0047】
本明細書において使用されるように、「磁束調整可能(flux-tunable)」という用語は、その周波数が磁束に依存するデバイスに関する。
【0048】
本明細書において使用されるように、アンシラキュビットは、エンタングルされた(entangled)量子状態を記憶するべく、誤り訂正プロトコルにおいて使用され得る量子ビットに関する。アンシラは、エンタングル状態(entangled state)のパリティを抽出するべく、パリティ回路において使用され得る。パリティ回路は、データキュビットのエンタングル状態のパリティを決定するために使用される量子回路に関する。
【0049】
本明細書において使用されるように、トランスモンは、超伝導キュビットのタイプであり、ここで、チャージングエネルギーEcは、ジョセフソンエネルギーEjよりもはるかに小さい。
【0050】
本明細書において使用されるように、ドライブラインは、キュビットに信号を搬送するキュビット制御線に関する。「多重化(multiplexing)」という用語は、複数のキュビットに対して信号を搬送することが可能な単一制御線の意味を含む。
【0051】
「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、様々な要素を説明するべく本明細書において使用され得るが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、例示的な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の要素は第2の要素と称され得、同様に、第2の要素は第1の要素と称され得る。本明細書において使用されるように、「…もしくは…またはその組み合わせ(and/or)」という用語は、関連する列挙項目のうち1またはそれより多くの任意の全ての組み合わせを含む。
【0052】
例示的な実施形態は、理想化または簡略化された実施形態(および中間構造)の概略図を参照して本明細書に説明される。そのため、例えば、製造技術もしくは公差またはその組み合わせの結果としての図示の形状からの変動が予想され得る。したがって、図に示された領域は本質的に概略的であり、それらの形状は必ずしもデバイスの領域の実際の形状を示すものではなく、その範囲を限定しない。
【0053】
他の実施形態が使用され得、特許請求の範囲によって定義される趣旨および範囲から逸脱することなく、構造的または論理的変更が行われ得ることを理解されたい。実施形態の説明は非限定的である。特に、以下に説明される実施形態の要素は、異なる実施形態の要素と組み合わされ得る。
【0054】
本明細書において使用されるように、「無損失(lossless)」、「超伝導体(superconductor)」、「超伝導(superconducting)」、「絶対零度(absolute zero)」などの理想化された動作と考えられ得るものを示す特定の用語が使用され、これらは、正確に理想的ではない可能性があるが、所与の用途に対して許容可能な誤差限界内にある機能性を網羅することを意図している。例えば、特定のレベルの損失または公差は許容可能であり得、その結果、結果として得られる材料および構造は、これらの「理想化された(idealized)」用語によって依然として称され得る。
【0055】
本開示は、概して、超伝導デバイス、より具体的には、複数のキュビットを含む格子アレイとの効率的な相互作用に関する。キュビットに関連付けられた電磁エネルギーは、いわゆるジョセフソン接合内に、キュビットを形成するために使用される容量素子および誘導素子内に、格納され得る。1つの例において、キュビット状態を読み出すために、マイクロ波信号は、キャビティ周波数におけるキュビットに結合されたマイクロ波読み出しキャビティに適用される。送信された(または反映された)マイクロ波信号は、複数の熱隔離段階と、雑音を遮断または低減するとともに信号対雑音比を改善するために使用される低雑音増幅器とを経由する。代替的にまたは加えて、マイクロ波信号(例えば、パルス)は、1または複数のキュビットをエンタングル(entangle)するために使用され得る。この処理の多くは、低温の環境(例えば、極低温チャンバ)内で実行され、その一方、キュビットのマイクロ波信号は室温において最終的に測定される。返された/出力されたマイクロ波信号の振幅もしくは位相またはその組み合わせは、キュビットが基底状態または励起状態に位相を散逸させたかどうかなどの、キュビット状態についての情報を搬送する。キュビット状態についての量子情報を搬送するマイクロ波信号は、通常は弱い(例えば、数個のマイクロ波光子程度)。室温の電子機器(すなわち、冷蔵環境の外部)を用いてこの弱信号を測定するために、例えばジョセフソン増幅器および進行波パラメトリック増幅器(TWPA)などの低雑音量子制限増幅器(QLA)は、出力チェ―ンの信号対雑音比を改善するべく、量子力学によって規定された最小量の雑音を追加しながら、量子信号をブーストするための量子システムの出力における前置増幅器(すなわち、第1の増幅段階)として使用され得る。ジョセフソン増幅器に加えて、ジョセフソン増幅器、またはジョセフソンサーキュレータなどのジョセフソンミキサ、ジョセフソンアイソレータ、およびジョセフソンミキサを使用する特定のジョセフソンマイクロ波コンポーネントは、スケーリング可能な量子プロセッサにおいて使用され得る。
【0056】
キュビットシステムは、キュビットに結合された1または複数の読み出し共振器を含み得る。読み出し共振器は、一方の側のグランド上に容量接続を含むとともに、他方側(例えば、4分の1波長共振器など)のグランドに対して短絡されるか、または、伝送線内の振動を結果としてもたらすとともに当該振動の共振周波数はキュビットの周波数に近い半波長共振器などのグランドへの容量接続を有し得るかのいずれかである伝送線であり得る。例えば、読み出し共振器は、読み出し共振器周波数における制御/測定機器から来るパルスに影響を与える。当該パルスは、キュビットにデコヒーレンスを起こすとともにそれを「1」または「0」の状態に崩壊させ、それによって、その測定パルスに位相シフトを付与する測定として動作する。
【0057】
キュビット間には、場合によって本明細書ではカプラ共振器またはRIPバスと称される結合共振器が存在し得、これは、量子論理ゲートを実現すべく、異なるキュビットを共に結合することを可能にする。当該結合共振器は、典型的には、読み出し共振器と構造的に類似している。しかしながら、より複雑な設計が可能である。キュビットがトランスモンとして実装されたとき、当該結合共振器の各側は、キュビット(例えば、そのコンデンサ)に適切に近接していることによって、対応するキュビットに(例えば、容量的にまたは誘導的に)結合される。結合共振器の各側がそれぞれの異なるキュビットとの結合を有するので、2つのキュビットは結合共振器(例えば、RIPバス)を通じて共に結合されている。このように、結合されたキュビット間における状態には相互間の相互依存関係が存在し、それによって、結合共振器は、別のキュビットの状態を制御するために、あるキュビットの状態を使用することが可能になる。エンタングルメントは、2つのキュビット間の相互作用が、2つの状態を独立して指定することができず、システム全体に対してのみ指定できるようなときに生じる。このように、2つのキュビットの状態は、一方のキュビットの測定が他方のキュビットの状態を崩壊させるように共にリンクされる。
【0058】
より多くのキュビットを含む能力は、量子コンピュータの可能性を実現することを可能にするために重要である。概して、例えば残りの熱的に励起状態のキュビット集団を低減するとともにキュビット遷移周波数の熱的拡張を減少させることによって温度が低下するにつれて性能は増加する。それに応じて、温度が低いほど、量子プロセッサには良い。
【0059】
量子コンピュータの計算能力および信頼性を高めるためには、2つの主要次元に沿った改善が必要であることが決定されている。1つ目は、キュビットカウント自体である。量子プロセッサ内のキュビットが多いほど、操作および記憶される状態が原則的に多くなり得る。2つ目は、低い誤り率であり、これは、キュビット状態を正確に操作するとともに、単に信頼できないデータだけでなく、一貫した結果を提供する一連の処理を実行することに関連する。したがって、量子コンピュータの耐故障性を向上させるためには、多数の物理キュビットが、論理量子ビットを格納するために使用されるべきである。このように、ローカル情報はローカライズ解除され(delocalized)、その結果、量子コンピュータは、古典的コンピュータのパリティチェックと同様に、局所誤りとキュビットの固有基底における測定の性能との影響をより受けにくくなり、それによって、障害に対してより耐性を持つ量子ビットに進む。
【0060】
1つの態様において、本明細書の教示は、古典的コンピューティングアーキテクチャにおいて提示されていない量子回路によって提示された一意的な課題が原因で、コンピューティング要素と相互作用するための従来の集積回路技術を超伝導量子回路に直接的に適用することは効果的でない可能性があるという出願人の洞察に基づくものである。それに応じて、本開示の実施形態はさらに、超伝導量子回路を構築するための、特に、キュビットと効率的に相互作用するべく使用された方法およびアーキテクチャを選ぶための、従来の集積回路技術の適用可能性を評価するときに、量子回路固有の問題が考慮されたという認識に基づくものである。
[例示的なアーキテクチャ]
【0061】
図1Aは、例示的な実施形態と一致した、量子コンピューティングシステムの例示的なアーキテクチャ100を示す。アーキテクチャ100は、複数のキュビット114を含む量子プロセッサ112を含む。量子プロセッサ112は、希釈冷凍装置であり得る冷凍装置110に位置付けられている。希釈冷凍装置は、典型的には10mK前後の温度への連続冷却を提供する極低温デバイスである。アーキテクチャ100の物理ボリュームのほとんどは、冷凍装置110の大きなサイズに起因する。システムが動作する絶対零度近傍の温度に到達するために、冷凍装置110は、冷却剤として液体ヘリウムを使用し得る。
【0062】
冷凍装置110の外部には、測定および制御ユニット130が存在する。測定および制御ユニット130は、開口部116を通じて量子プロセッサと通信可能で、開口部116は、場合によっては希釈冷凍装置110のバルクヘッドと称され、オペレーション下のクライオスタットの真空圧から環境大気圧を分離する密封封止をさらに形成する。キュビット114を収納する既知の冷凍デバイスにおける実際的な課題は、冷凍装置内に収容され得るキュビットの数が、測定および制御ユニット130と、それによって測定/制御されるキュビット114との間のワイヤの数に起因して限定されることである。
【0063】
キュビット114の数が、例えば、数百、数千またはより大きい数に増加すると、開口部116は、希釈冷凍装置110内の量子プロセッサ112をサポートする全ての線120を収容するのに十分大きくない可能性がある。異なる述べ方をすると、希釈冷凍装置110の真空環境へのアクセスは、バルクヘッド開口部116を通じて適合し得るコネクタの数に限定される。バスが2つのキュビットゲートを生成するように駆動される既知のアーキテクチャは、典型的には、本明細書に議論された交差共鳴ゲートより2倍より多くの制御線を含み、それによって、より高いスケーリングを非現実的にする。
【0064】
それに応じて、1つの態様において、本明細書に提供されるのは、冷蔵環境に収納された測定および制御ユニット130と量子プロセッサ112との間の線の数を実質的に低減するアーキテクチャである。量子プロセッサ112の複数のキュビット114は、ドライブラインを多重化することによってアクセスされ得、これは、誤り訂正プロトコルを実行するためのキュビット制御線の数を低減する。本明細書に議論された当該概念は、量子プロセッサ112を制御するために使用されるドライブラインの数を最小限に抑えるアーキテクチャおよび方法を提供する。1つの態様において、2つのキュビットは共振器によって共に結合されている。RFパルスを用いて共振器を駆動することは、2つのキュビットC相ゲートを駆動する。これら2つのキュビットのうち1つは磁束調整可能であり、これは、キュビット周波数の調節を促進するとともに、当該周波数を、2キュビットゲート(two-qubit gate)を駆動する無線周波数(RF)パルスに整列させる。
【0065】
上述のように、本明細書の教示は、冷蔵環境110と測定および制御機器130との間で使用されるワイヤの数における実質的な低減を促進する。これに関して、図1Bは、例示的な実施形態と一致した、論理キュビットサイズに関する量子システムにおいて使用されるワイヤの数の例示的なグラフィック表現を提供する。バスが駆動トーン(例えば、RIPなど)を含むアーキテクチャの欠点は、図1Bにおいて破線で表された、各バスのために使用される余分のドライブラインが存在することである。例えば、距離d表面コードのためのバスラインの数は、以下の式によって提供される。
【0066】
【数1】
【0067】
それに応じて、1000キュビットシステムd~23の場合、線の総数は従来のシステムの場合は>3000である。対照的に、本明細書の教示に基づいてアンシラを使用することによって、調整度のためにさらなる線が提供されるが、図1Bにおいて一点鎖線で表された合計のRIP線は4つのみである。
【0068】
1つの実施形態において、RIP線の数の計算は、論理キュビットdのサイズに基づいている。以下の式は、異なるパラメータに対するいくつかの関係を提供する。
【0069】
物理キュビットの数は、
【0070】
【数2】
である。
【0071】
アンシラキュビットの数は、
【0072】
【数3】
である。
【0073】
データキュビットの数は、
【0074】
【数4】
である。
【0075】
バス接続の数は、
【0076】
【数5】
である。
【0077】
実質的にはより多くのバス接続が存在し、各バスは、それ自身のRIPドライブラインを含む。この例示的なアーキテクチャにおいて、バス接続の総数は4に低減される。しかしながら、アンシラドライブラインの数は、2倍増加する。各アンシラキュビットは、単一キュビットRFドライブラインを含み、これは、磁束調整のためのドライブラインを含む。アンシラキュビットよりも大幅に多いバス接続が存在する。
【0078】
ドライブラインを多重化した後の数は、
【0079】
【数6】
である。
【0080】
したがって、アンシラ線の数を2倍にした後でも、ドライブラインは、依然として、バス毎に1つのドライブラインが存在する場合より少ない。本明細書の教示を使用することによって、図1Bにおける実線によって表されたキュビット毎に1つのドライブラインが存在し、それによって、冷蔵環境への線の数を実質的に低減する。
【0081】
1つの態様において、本明細書において議論される概念は、場合によっては本明細書において磁束パルスまたはキュビット制御信号と称されるRFトーンを分割することと、同じRFトーンを用いて複数の共振器を駆動することとを、当該アーキテクチャが可能とするという点で、スケーリング可能である。RFトーンにおける変動は、磁束調整可能キュビット周波数を調節することによって緩和され得る。これらの概念は、以下においてより詳細に議論される。
[例示的な基本要素]
【0082】
ここで、例示的な実施形態と一致した、磁束調整可能キュビットアーキテクチャの基本要素を示す図2を参照する。特に、図2は、固定周波数キュビット202、ならびに、場合によって本明細書では単に調整可能キュビットと称される調整可能アンシラキュビット204を示す。図2はまた、第1の周波数fを有するRIPバス214によって共に結合されている固定周波数キュビットQ211と調整可能アンシラQtune213とを含む基礎磁束調整可能キュビット要素206を示す。第1のキュビットQと第2の調整可能キュビットQtuneとは、パルス220によってエンタングルされ得る。例えば、固定周波数RIP(例えば、無線周波数(RF))パルス220は、第1の周波数fを有するRIPバス214を介して、固定周波数キュビットQ(211)および調整可能キュビットQtune(213)によって2キュビットゲートを駆動し得る。このように、第1のキュビットQ211と第2の調整可能キュビットQtune213とはエンタングルされ得る。RIPデバイスについての理論は、各キュビットのχが同じであると仮定する以下の式を考慮してより良く理解され得る。
【0083】
【数7】
ここで、
【数8】
であって、
【数9】
はZZ回転レート(すなわち、他方のキュビットの状態に依存したあるキュビットの周波数オフセット)であって、
【数10】
は、固定駆動振幅である。
【0084】
出願人は、これらの基本要素206のうち2つが、多重化された基礎磁束調整可能キュビット要素208を提供するように組み合わされ得ると決定した。調整可能キュビットQtune(例えば、221もしくは219またはその組み合わせ)は、調整可能アンシラである。RIPパルス周波数もしくは固定周波数キュビットQ(例えば、209)の周波数またはその組み合わせにおける変動は、調整可能キュビットQtune(例えば、221)に対して補償され得る。異なる述べ方をすると、調整可能キュビットQtuneは、ゲートを固定RIPパルス222に校正するように調節され得る。
【0085】
多重化された基礎磁束調整可能要素208における提案されたアーキテクチャにおいて、磁束調整可能キュビットQtune(例えば、221もしくは219またはその組み合わせ)は、アンシラキュビットQtune221もしくは219またはその組み合わせに磁束パルス222を適用することによって、上記の式1のχを変動させるのに使用され得る。これは、2つのキュビット間の特定の所望の周波数の差を取得するようにアンシラキュビットQtune(例えば、221)を調整する。このシーケンスは、上記の式1のχを変更し、固定駆動振幅
【数11】
の較正を可能にする。それに応じて、固定ドライブライン230における信号伝搬(すなわち、第1のRIP共振器216および第2のRIP共振器218に向かう)における任意の変動は、対応する調整可能キュビットQtune221もしくはQtune219またはその組み合わせによって調節され得る。このように、キュビット(例えば、209)と、その対応する調整可能キュビット(例えば、221)との間のエンタングルメントの量は制御され得る。
【0086】
多重化された基礎磁束調整可能要素208は、Qtuneの磁束調整度による様々なタイプの障害の影響をより受けにくい。多重化された基礎磁束調整可能要素208によって緩和される例示的な障害は、RIP駆動
【数12】
の振幅における障害を含む。さらに、データキュビット周波数ωならびに、RIP共振器周波数ωにおける障害をもたらし得る製造プロセスは、本明細書の教示によって緩和される。
[基本要素の例示的な拡張]
【0087】
ここで、例示的な実施形態と一致した、図2の基本要素の拡大図を提供する図3を参照する。基礎磁束調整可能キュビット要素206と多重化された基礎磁束調整可能キュビット要素308とは、その上に拡張されてマルチプレックス機能を提供する構造の参照として図3において繰り返される。より具体的には、図3は、共通の調整可能キュビット310に結合された複数の固定キュビット322から328を含む単一パリティチェック306のための例示的な要素を示す。構造306において、各固定周波数キュビット(例えば、322から328)は、異なる周波数(例えば、fからf)を有するRIPバス(場合によっては本明細書において結合共振器と称される)を介して調整可能キュビット310に結合されている。例えば、キュビットQ322は、第1の周波数fを有するRIPバスに結合されており、キュビットQ324は、第2の周波数fを有するRIPバスに結合されており、キュビットQ326は、第3の周波数fを有するRIPバスに結合されており、キュビットQ328は、第4の周波数fを有するRIPバスに結合されている。1つの実施形態において、RIPバスfからfの周波数の間の差は、100Mhzまたはそれより大きい。
【0088】
キュビットQ322を有するゲートを実行し、次に、キュビットQ324を有するゲートを実行するように再調整され、次に、キュビットQ328を有するゲートを実行するように再調整され、以下同様であるように、調整可能キュビット310を順次的に調節し得る。4つの固定周波数キュビットデバイスが例として基本要素306内に示されているが、任意の数の固定周波数キュビットが調整可能キュビットQtuneに結合され得、その各々が異なる周波数のRIPバスを有することが理解されるであろう。単一パリティチェック306のための基本要素は、一定数のRIPバスを維持しながら複数のパリティチェックに拡張され得る。これに関して、図3は、複数のパリティチェック310のための多重化要素の拡大図を示しており、ここで、さらなる固定周波数キュビットQ330とQ332とが、共有Qtune352を介してアレイに含まれている。固定周波数キュビットQ324とQ328とは両方が、調整可能キュビットQtune310とQtune352との両方によって共有されている(例えば、アクセス可能である)。それに応じて、同じキュビット周波数を有する複数のキュビットは、同時にアクセスされ得る。例えば、第1の周波数fを有するRIPバスに結合されたキュビットは、全てが同時にアクセスされ得、これは、それらが同じRF線を共有するからであり、それによって、冷蔵環境内で使用されるワイヤの数を実質的に低減する。簡潔さのために且つ複雑さを回避するために、6つの固定キュビットQと2つの調整可能キュビットQtuneとの格子が、構造310に示されている。任意のサイズの格子が本明細書における教示によってサポートされることが理解されるであろう。
[例示的なグラフ]
【0089】
上記のように、本明細書における教示は、様々な障害を緩和し得る。その目的のために、図4Aおよび4Bは、RIPパルス振幅における1%の変更を、カイ(chi)において40%の変更によってどのように補償できるかを示す。各RIP共振器に向かう制御線がわずかに異なる伝送特性を有する場合、次に、各共振器は、異なる振幅電界をに遭遇するであろう。より具体的には、図4Aは、χにおける変更およびεにおける変更のそれぞれの関数としてのθZZにおける変更を示す。RIP共振器の周波数は、アンシラおよびデータキュビットといった量子状態に依存する。両方のキュビットが基底状態にある場合、次に、RIP共振器の周波数はシフトしないであろう。1つ、または両方のキュビットが励起状態にある場合、RIP共振器周波数はχだけシフトするであろう。
χシフトの大きさは、アンシラキュビットとRIP共振器との間で異なる周波数に依存する。
【0090】
図4Bは、離調Δにおける変更の関数としてのχにおける変更を示す。例えば、離調は30%だけ変更される。例えば、磁束調整可能キュビットは、RIP共振器の周波数から離調される。当該変更は、離調(すなわち、周波数における変更)に関連している。それに応じて、図4Aおよび4Bは、動作範囲を提供する。
【0091】
図5は、例示的な実施形態と一致した、どのようにキュビットが調整されるかを説明する概念図を提供する。より具体的には、グラフ500は、正規化された調整可能キュビット周波数を示す。キュビット周波数、共振器、分割されたときのパルスの振幅などからの障害を含む、本明細書に記載の障害を補償する調整可能キュビット502の調整段階中に適用されるRIPパルス504が存在する。RIPパルスは、2キュビットゲート(例えば、調整可能キュビットを実行するために適用される(例えば、アンシラ)を有する固定周波数キュビットをエンタングルする)。波形502を考慮すると、これは、時間の経過によるキュビットの周波数における変更を示す。キュビットがより高い周波数に調整されている間に、504に示されたRIPパルスに適用することでエンタングルメントを生成し得るウィンドウが存在する。波形502に表示されたキュビットの周波数における変更は、調整可能キュビットに磁束を適用することによって実際に実現され得る。それに応じて、502と500との間の破線は、周波数におけるこれらの変更が磁束における変更と繋がっていることを示す。
[さらなる実施形態]
【0092】
図6Aおよび図6Bは、例示的な実施形態と一致した、複数のキュビットへの多元接続に対するノブとしてRIP周波数を使用することに関する図を提供する。図6Aにおける、キュビットQ1からQ4をそれぞれ接続する2つの異なるRIP共振バス(すなわち、R1およびR2)が、共有ドライブライン602を使用して駆動される。図6Bは、RIP共振器R1およびR2が互いから意図的に離調されているのを示す。このように、2つの共振器610間で駆動することができる。異なる述べ方をすると、2キュビットゲートは、Q1とQ2との間で、Q3とQ4との間で、同時に適用され得る。このように、RFパルスは、2つの共振器の周波数間において同時に両方のRIP共振器に適用され得、それによって、位相蓄積を早める。
【0093】
この概念は、例示的な実施形態と一致した、図6Aの例のゲートレート対駆動周波数を示す図7を考慮してより良く理解され得る。曲線702は、図6AのキュビットQ1およびQ2を表しており、その一方、曲線704は、図6AのキュビットQ3およびQ4を表す。例えば、曲線702は、キュビットQ1とQ2との間におけるゲートレート、または、エンタングルメント生成のレートを表しており、曲線704は、R1およびR2に同時に適用されているRIP駆動の周波数の関数としてキュビットQ3とQ4との間のゲートレートを表す。当該ゲートレートは離調とともに低下するので、駆動周波数を移動させることで、Q1およびQ2のゲートレートがQ3およびQ4と同じである、図7において約7.11GHzにおける点706によって表されている配置を見つけることができる。
【0094】
示されたように、駆動周波数の関数としてのZZレートは、6GHzにおいてR1に、6.2GHzにおいてR2にプロットされる704。6.11GHz付近において、R1およびR2のゲート速度は等しい。それに応じて、2つのゲートは並列に駆動され得る。Q1およびQ2上のゲートのみを実行したい(が、Q3およびQ4は実行しない)と望む場合のシナリオにおいて、ゲートを2つの部分に分割して、エコーシーケンスを使用することで、Q3およびQ4上のZZ蓄積を除去することができることに留意されたい。前述のように、ZZは、Cphasegateを形成するために使用され得る状態依存キュビット相互作用を表す。本明細書において使用されるように、「ZZレート」、「ゲートレート」または「エンタングルメント生成のレート」という用語は、全てが交換可能であることに留意されたい。実現しようとしている2キュビット演算は、ある期間にわたって発生する。演算を完全するための時間の逆数は、演算の「レート」である。
[例示的な実施形態]
【0095】
図8は、例示的な実施形態と一致した、8個は調整可能キュビット(Qaで注釈付けられたキュビットによって表されている)であり、9個は固定キュビット(Qで注釈付けられたキュビットによって表されている)である17個のキュビットを有する例示的なアーキテクチャの概要を提供する。1つの実施形態において、図8のアーキテクチャは、Xパリティチェック802およびZパリティチェック804が実行される表面コードタイプデバイスの文脈で使用され得る。例えば、Xパリティチェック802は、位相をチェックし、その一方、Zパリティチェック804は、状態(例えば、アップまたはダウン)をチェックする。
【0096】
図8は、4つの個別のRIPバスfからfをサポートするアーキテクチャを示す。同じ周波数を有する全てのRIPバスは、誤り訂正サイクル中に同時に駆動され得る。その目的のために、図9から図12は、パリティチェック中に異なる段階(例えば、期間)においてアクティブ化される異なるRIPバスを示す。より具体的には、図9から図12は、例示的な実施形態と一致した、第1の、第2の、第3の、および第4のエンタングリングゲートをそれぞれ駆動する多重化RIPバスを示す。例えば、図9を参照すると、第1の周波数fのRIPパルス904が固定ドライブライン906上で生成されたとき、同じ周波数fを有する全てのRIPバスは、誤り訂正サイクル中に同時に駆動され得る。同様に、図10において、第2の周波数fのRIPパルス1004が別の固定ドライブライン1006上で生成されたとき、同じ周波数fを有する全てのRIPバスは、誤り訂正サイクル中に同時に駆動され得る。第3のエンタングリングゲートおよび第4のエンタングリングゲートをそれぞれ駆動する、図11および図12の多重化RIPバスのオペレーションは、図9および図10のそれに実質的に類似しており、従って、ここでは簡潔さのために繰り返さない。1つの実施形態において、図9から図12に図示されたオペレーションは、XパリティチェックおよびZパリティチェックを実行する文脈においてサイクル内で繰り返して実行され得る。
[例示的なパワースプリッタ]
【0097】
上記のように、RIP駆動信号の多重化に関する機能は、キュビット制御信号を2つまたはより多くのパスに分割することを含む。その目的のために、図13Aから図13Dは、キュビット制御信号を分割するために使用され得るパワースプリットを実行する異なる方法を提供する。より具体的には、図13Aは、2-wayウィルキンソン型パワースプリッタを示しており、図13Bは、3-wayウィルキンソン型パワースプリッタを示しており、図13Cは、N-wayウィルキンソン型パワースプリッタを示す。いくつかの実施形態において、電力は第1の段階では即座に分割されないが、図13Dに示されたように漸進的段階において分割される。
[例示的な処理]
【0098】
例示的なアーキテクチャの前述の概要によって、例示的な処理の高レベルな議論をここで考慮することが役立ち得る。その目的のために、図14は、量子プロセッサから信号を読み出すことに関する例示的な処理を提示する。処理1400は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせにおいて実装され得るオペレーションのシーケンスを表す論理フローチャートにおいて、ブロックの集合として示されている。ソフトウェアの文脈において、当該ブロックは、1または複数のプロセッサによって実行されたときに、述べられたオペレーションを実行するコンピュータ実行可能命令を表す。概して、コンピュータ実行可能命令は、機能を実行するまたは抽象データタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、およびデータ構造などを含み得る。各処理において、オペレーションが説明された順序は、限定として解釈されることを意図するものではなく、任意の数の説明されたブロックは、当該処理を実装するために、任意の順序で組み合わされることもしくは並列に実行されることまたはその組み合わせを行い得る。議論の目的のために、当該処理は、図2の多重化された基本要素208のアーキテクチャを参照して説明される。
【0099】
ブロック1402において、キュビット制御信号222は、単一ドライブライン223に適用される。
【0100】
ブロック1404において、単一ドライブライン上のキュビット制御信号は、第1の共振器216と第2の共振器218との間で分割され、ここで、単一ドライブライン223は、第1のキュビット209、第2の調整可能キュビット211、第3のキュビット217および第4の調整可能キュビット219を制御するように動作可能である。
【0101】
ブロック1406において、第1のキュビット209は、第1の共振器216によって第2の調整可能キュビット211に結合されている。
【0102】
ブロック1408において、第3のキュビット217は、第2の共振器218によって第4の調整可能キュビット219に結合されている。
【0103】
ブロック1410において、キュビット制御信号の振幅における変動は、第2の調整可能キュビット211の周波数を調節することによって、補償される。
【0104】
1つの実施形態において、ブロック1412において、第4の調整可能キュビット219の周波数を調節することによってキュビット制御信号の振幅を変動するためのさらなる補償が提供される。
【0105】
いくつかの実施形態において、処理1400のフローは、循環的に繰り返され得る。
[コンピュータプラットフォームの例]
【0106】
上記のように、測定および制御信号によるキュビットとの相互作用に関する機能は、図1Aに示されたように、測定および制御ユニットを含み得る。図15は、キュビット制御エンジン1540をホストし得る具体的に構成されたコンピューティングデバイスを実装するために使用され得る、コンピュータハードウェアプラットフォーム1500の機能ブロック図の図示を提供する。特に、図15は、図1Aの測定および制御ブロック130などの適切に構成されたコンピューティングデバイスを実装するために使用され得る、ネットワークまたはホストコンピュータプラットフォーム1500を示す。
【0107】
コンピュータプラットフォーム1500は、システムバス1502に接続された、中央処理装置(CPU)1504、ハードディスクドライブ(HDD)1506、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはリードオンリメモリ(ROM)あるいはその両方1508、キーボード1510、マウス1512、ディスプレイ1514、および通信インターフェース1516を含み得る。
【0108】
1つの実施形態において、HDD1506は、本明細書に説明された方式で、キュビット制御エンジン1540などの、様々なプロセスを実行し得るプログラムを格納する手順を含む能力を有する。キュビット制御エンジン1540は、異なる機能を実行するように構成された様々なモジュールを有し得る。例えば、制御信号をキュビットに送信するように動作可能な制御モジュール1542が存在し得る。本明細書に記載のキュビットからフィードバックを受信する機能を実行するように動作可能な測定モジュール1544が存在し得る。本明細書に記載の多重化された制御信号を提供するように構成された多重化モジュール1548が存在し得る。
【0109】
1つの実施形態において、Apache(登録商標)などのプログラムは、ウェブサーバとしてシステムを動作させるために格納され得る。1つの実施形態において、HDD1506は、JVM(Java(登録商標)仮想マシン)を実現するためのJava(登録商標)ランタイム環境プログラムのためのものなど、1または複数のライブラリソフトウェアモジュールを含む実行アプリケーションを格納し得る。
[結論]
【0110】
本教示の様々な実施形態の説明を例示の目的で提示してきたが、網羅的であることも、開示された実施形態に限定されることも意図されていない。記載された実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正および変形が、当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際の適用例、または市場で見られる技術を超える技術的な改良を最もよく説明するように、または本明細書で開示される実施形態を当業者が理解することが可能になるように選択されたものである。
【0111】
上記では最良の状態または他の例あるいはその両方であると考えられるものについて説明したが、その中で様々な修正を加えることができること、本明細書に開示された主題が様々な形態および例で実装され得ること、および教示を多くの用途に適用することができ、本明細書にはその用途の一部のみが記載されていることが理解される。以下の特許請求の範囲は、本教示の真の範囲内にある任意の全ての用途、修正、および変形を特許請求することを意図している。
【0112】
本明細書で説明したコンポーネント、ステップ、特徴、対象物、利益、および利点は、単なる例示にすぎない。それらのいずれも、それらに関連する説明も、保護の範囲を制限することを意図したものではない。本明細書において様々な利点を説明してきたが、全ての実施形態が必ずしも全ての利点を含むわけではないことが理解されるであろう。別様に明記しない限り、以下の特許請求の範囲を含め、本明細書に記載されている全ての測定値、値、定格、位置、大きさ、サイズ、および他の仕様は概算であり、正確ではない。それらは、それらが関連する機能およびそれらが関連する技術分野において慣習的であるものと一致する合理的な範囲を有することを意図している。
【0113】
他の多くの実施形態もまた企図される。これらには、より少ない、追加の、または異なる、またはその組み合わせのコンポーネント、ステップ、特徴、対象物、利益、および利点を有する実施形態が含まれる。これらには、コンポーネントもしくはステップまたはその組み合わせが、異なるように構成されるか、または順序付けされるか、またはその組み合わせである実施形態も含まれる。
【0114】
本開示の態様は、本開示の実施形態に記載の方法、装置(システム)ならびにコンピュータプログラム製品のフローチャート図もしくはブロック図、またはその組み合わせを参照して、本明細書に説明される。フローチャート図もしくはブロック図またはその組み合わせの各ブロックと、フローチャート図もしくはブロック図またはその組み合わせのブロックの組み合わせとは、コンピュータ可読プログラム命令により実装され得ることが理解されるであろう。
【0115】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、機械を生成するために適切に構成されたコンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され得、その結果、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される当該命令は、フローチャートもしくはブロック図の単数または複数のブロックまたはその組み合わせにおいて指定された機能/動作を実装するための手段を作成する。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置もしくは他のデバイスまたはその組み合わせに、ある方式で機能するように指示し得るコンピュータ可読記憶媒体に格納され得、その結果、その中に格納された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャートもしくはブロック図の単数または複数のブロックまたはその組み合わせにおいて指定された機能/動作の態様を実装する命令を含む製品を含む。
【0116】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させてコンピュータ実装プロセスを生成するように、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイス上にロードされ得、その結果、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実行する命令は、フローチャートもしくはブロック図またはその組み合わせの単数または複数のブロックで指定された機能/動作を実装する。
【0117】
本明細書の図面における呼び出しフロー、フローチャートおよびブロック図は、本開示の様々な実施形態に記載のシステム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性およびオペレーションを示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、指定される論理機能を実装する1または複数の実行可能命令を含む命令のモジュール、セグメント、または部分を表し得る。いくつかの代替的な実装において、ブロックに記載された機能は、図に記載された順序から外れて生じてもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行され得、または、ブロックは、場合により関与する機能に依存して逆の順序で実行され得る。ブロック図またはフローチャート図、またはその組み合わせの各ブロック、およびブロック図またはフローチャート図、またはその組み合わせにおけるブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を実行するか、または専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する専用ハードウェアベースシステムによって実装することができることにも留意されたい。
【0118】
前述の内容を例示的な実施形態と併せて説明してきたが、「例示的」という用語は、最良または最適ではなく単なる例を意味するものであることが理解される。すぐ上に述べた場合を除き、記載または図示されているものは、特許請求の範囲に記載されているかどうかにかかわらず、任意のコンポーネント、ステップ、特徴、対象物、利益、利点、または均等物を公衆へ提供することを意図するものではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0119】
本明細書で使用される用語および表現は、本明細書に特定の意味について別様の記載がある場合を除いて、それらの対応するそれぞれの調査および研究の分野に関してそのような用語および表現に与えられる通常の意味を有することが理解されるであろう。第1および第2などの関係語は、あるエンティティまたはアクションを、そのようなエンティティ間またはアクション間の任意の実際のそのような関係性または順序を必ずしも要求または暗示することなく、別のエンティティまたはアクションと区別するためにのみ使用されることがある。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が、それらの要素だけを含むのではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有ではない、または明示的に記載されていない他の要素を含み得るように、非排他的な包含を網羅することを意図している。「a」または「an」が先行する要素は、さらなる制約がない場合、その要素を含むプロセス、方法、物品、または装置における追加の同一要素の存在を排除するものではない。
【0120】
読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるようにするために、本開示の要約書が提供されている。要約書は、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または限定するためには使用されないとの理解に基づいて提出されるものである。また、前述の発明を実施するための形態では、本開示を合理化する目的で、様々な実施形態において様々な特徴がともにグループ化されていることが分かる。この開示方法は、特許請求された実施形態が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を有するという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が表しているように、発明の主題は、開示された単一の実施形態の全ての特徴より少ないところにある。したがって、以下の特許請求の範囲は、ここで発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は別個に特許請求される主題として独立している。
本明細書によれば、以下の各項目もまた開示される。
[項目1]
単一ドライブラインにキュビット制御信号を適用する段階;
第1の共振器と第2の共振器との間で前記単一ドライブライン上の前記キュビット制御信号を分割する段階、ここで前記単一ドライブラインは、第1のキュビット、第2の調整可能キュビット、第3のキュビット、および第4の調整可能キュビットを制御するように動作可能である;
前記第1の共振器によって前記第1のキュビットを前記第2の調整可能キュビットに結合する段階;
前記第2の共振器によって前記第3のキュビットを前記第4の調整可能キュビットに結合する段階;および
前記第2の調整可能キュビットまたは前記第4の調整可能キュビットのうちの少なくとも1つの周波数を調節することによって、前記キュビット制御信号の振幅における変動を補償する段階
を備える、キュビットアレイの制御線を多重化する方法。
[項目2]
前記制御線は、共振器誘起位相(RIP)ゲートを駆動するように構成されている;
前記第1の共振器はRIP共振器である;および
前記第2の共振器はRIP共振器である
項目1に記載の方法。
[項目3]
RIP周波数を変動しながら前記ゲートの忠実度を最大化することによって、前記第1のキュビットと前記第2の調整可能キュビットとの間における前記RIPゲートの較正を提供する段階をさらに備える、項目2に記載の方法。
[項目4]
前記第2の調整可能キュビットおよび前記第4の調整可能キュビットは、前記第1の共振器および前記第2の共振器の対応するRIP共振器上の量子状態依存の周波数シフトχを変更することによって、前記対応するRIP共振器間の周波数の差を修正するように動作可能な磁束調整可能アンシラキュビットである、項目2または3に記載の方法。
[項目5]
前記第1のキュビットおよび第2の調整可能キュビットの前記周波数シフトχの大きさは、前記第2の調整可能キュビットと前記第1のキュビットとの間の周波数の差に依存する、項目4に記載の方法。
[項目6]
前記第4の調整可能キュビットの周波数を調節することによって、前記キュビット制御信号の振幅における第2の変動を補償する段階をさらに備える、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
[項目7]
前記キュビット制御信号は、固定駆動振幅および固定周波数を有する無線周波数(RF)パルスである、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
[項目8]
前記分割する段階は、抵抗パワースプリッタ、リアクティブパワースプリッタ、またはマルチポートカプラによって実行される、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
[項目9]
前記分割する段階は、ウィルキンソン型抵抗パワースプリッタ、ワイパワースプリッタ、またはデルタパワースプリッタによって実行される、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
[項目10]
X-パリティおよびZ-パリティのうちの少なくとも1つを循環的に実行することによって、表面コードアーキテクチャに対して誤り訂正を実行する段階をさらに備える、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
[項目11]
前記第2の共振器から前記第1の共振器を離調する段階;および
前記第1のキュビットおよび前記第2の調整可能キュビットのためのゲートレートが、前記第3のキュビットおよび前記第4の調整可能キュビットのためのゲートレートと同じである周波数に前記キュビット制御信号の駆動周波数を移動させる段階
をさらに備える、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
[項目12]
第1のキュビット;
第1の共振器を介して前記第1のキュビットに結合された第2の調整可能キュビット;
第3のキュビット;
第2の共振器を介して前記第3のキュビットに結合された第4の調整可能キュビット;および
前記第1の共振器および前記第2の共振器に結合された固定ドライブライン、ここで前記第2の調整可能キュビットは、前記固定ドライブラインのキュビット制御信号の振幅における変動を補償するために調節されるように構成される
を備える、量子構造。
[項目13]
制御線は、共振器誘起位相(RIP)ゲートを駆動するために共振器に信号を搬送する;
前記第1の共振器はRIP共振器である;および
前記第2の共振器はRIP共振器である
項目12に記載の量子構造。
[項目14]
前記第2の調整可能キュビットおよび前記第4の調整可能キュビットは、その対応するRIP共振器の量子状態依存の周波数シフトχを修正するように構成された磁束調整可能アンシラキュビットである、項目12から13のいずれか一項に記載の量子構造。
[項目15]
前記第1の共振器または第3の共振器のうちの少なくとも1つのχの修正は、前記キュビット制御信号のパルス振幅における障害を緩和するように動作可能である、項目14に記載の量子構造。
[項目16]
前記第4の調整可能キュビットの周波数の調節は、前記キュビット制御信号の振幅における第2の変動を補償するように動作可能である、項目12から15のいずれか一項に記載の量子構造。
[項目17]
前記キュビット制御信号は、固定駆動振幅および固定周波数を有する無線周波数(RF)パルスである、項目12から16のいずれか一項に記載の量子構造。
[項目18]
分割する段階は、抵抗パワースプリッタ、リアクティブパワースプリッタ、またはマルチポートカプラによって実行される、項目12から17のいずれか一項に記載の量子構造。
[項目19]
単一の前記固定ドライブライン上のキュビット制御信号を分割するように構成されたRFスプリッタをさらに備える、項目12から18のいずれか一項に記載の量子構造。
[項目20]
第1のキュビット;
第1の共振器を介して前記第1のキュビットに結合された第2の調整可能キュビット;
第3のキュビット;
第2の共振器を介して前記第3のキュビットに結合された第4の調整可能キュビット;および
前記第1の共振器および前記第2の共振器に結合された共有ドライブライン
を備え、ここで
前記第1の共振器は、前記第2の共振器から離調される;および
キュビット制御信号の駆動周波数は、前記第1のキュビットおよび前記第2の調整可能キュビットのためのゲートレートが、前記第3のキュビットおよび前記第4の調整可能キュビットのためのゲートレートと同じである周波数にある
量子構造。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15