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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】通信制御方法、基地局、及びプロセッサ
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/34 20090101AFI20250418BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20250418BHJP
【FI】
H04W40/34
H04W8/00 110
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023534825
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(86)【国際出願番号】 JP2022027460
(87)【国際公開番号】W WO2023286783
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2021118338
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/002993(WO,A1)
【文献】特表2015-503259(JP,A)
【文献】国際公開第2016/163430(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/146721(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
H04B 7/24-7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザ装置が、第2ユーザ装置と互いに発見状態にあり、前記第2ユーザ装置を識別する第2識別情報を取得するとともに、前記第2ユーザ装置が、前記第1ユーザ装置を識別する第1識別情報を取得することと、
前記第1ユーザ装置が、前記第2識別情報を通信装置へ送信するとともに、前記第2ユーザ装置が、前記第1識別情報を前記通信装置へ送信することと、
前記通信装置が、前記第2識別情報を受信したことに応じて、前記第1ユーザ装置に対して、第1データ無線ベアラを設定するとともに、前記第1識別情報を受信したことに応じて、前記第2ユーザ装置に対して、第2データ無線ベアラを設定することと、
前記通信装置が、前記第1データ無線ベアラを利用して前記第1ユーザ装置から受信した第1データを、コアネットワークへ転送することなく、前記第2データ無線ベアラを利用して前記第2ユーザ装置へ転送することと、を有する
通信制御方法。
【請求項2】
前記通信装置は基地局であって、前記第1ユーザ装置は前記基地局と接続され、前記コアネットワークは前記基地局と接続される、請求項1記載の通信制御方法。
【請求項3】
前記通信装置は第3ユーザ装置である、請求項1記載の通信制御方法。
【請求項4】
前記転送することは、前記通信装置が、前記第2データ無線ベアラを利用して前記第2ユーザ装置から受信した第2データを、前記コアネットワークへ転送することなく、前記第1データ無線ベアラを利用して前記第1ユーザ装置へ転送することを含む、請求項1記載の通信制御方法。
【請求項5】
更に、前記コアネットワークに接続されたコアネットワーク装置が、前記第1ユーザ装置と前記第2ユーザ装置とが前記コアネットワークを介することなく前記基地局を介して通信を行うペアであることを示すペアリング情報を前記基地局へ送信することと、を有し、
前記設定することは、前記基地局が、前記ペアリング情報と前記第2識別情報とを受信したことに応じて、前記第1データ無線ベアラを設定することを含む、
請求項2記載の通信制御方法。
【請求項6】
前記基地局が、前記第1データのデータ量を、前記コアネットワークへ送信することと、を更に有する
請求項記載の通信制御方法。
【請求項7】
第1ユーザ装置及び第2ユーザ装置と通信可能な基地局であって、
前記第2ユーザ装置と互いに発見状態にある前記第1ユーザ装置から、前記第2ユーザ装置を識別する第2識別情報を受信するとともに、前記第2ユーザ装置から前記第1ユーザ装置を識別する第1識別情報を受信する受信部と、
前記第2識別情報を受信したことに応じて前記第1ユーザ装置に対して第1データ無線ベアラを設定するとともに、前記第1識別情報を受信したことに応じて前記第2ユーザ装置に対して第2データ無線ベアラを設定する制御部と、
前記第1データ無線ベアラを利用して前記第1ユーザ装置から受信した第1データをコアネットへ転送することなく、前記第2データ無線ベアラを利用して前記第2ユーザ装置へ転送する送信部と、を有する
基地局。
【請求項8】
第1ユーザ装置及び第2ユーザ装置と通信可能な基地局のプロセッサであって、
前記第2ユーザ装置と互いに発見状態にある前記第1ユーザ装置から、前記第2ユーザ装置を識別する第2識別情報を受信するとともに、前記第2ユーザ装置から前記第1ユーザ装置を識別する第1識別情報を受信する処理と、
前記第2識別情報を受信したことに応じて前記第1ユーザ装置に対して第1データ無線ベアラを設定するとともに、前記第1識別情報を受信したことに応じて前記第2ユーザ装置に対して第2データ無線ベアラを設定する処理と、
前記第1データ無線ベアラを利用して前記第1ユーザ装置から受信した第1データをコアネットへ転送することなく、前記第2データ無線ベアラを利用して前記第2ユーザ装置へ転送する処理と、を実行する
プロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セルラ通信システムに用いる通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(Third Generation Partnership Project)において、ユーザデータについての様々なルーティング技術が検討されている。例えば、第5世代(5G)のセルラ通信システムでは、UPF(User Plane Function)と呼ばれる機能ブロックが、ユーザデータのルーティングを行っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】3GPP TS 38.300 V16.6.0 (2021-06)
【発明の概要】
【0004】
第1の態様に係る通信制御方法は、第1ユーザ装置が、第2ユーザ装置と互いに発見状態にあり、第2ユーザ装置を識別する第2識別情報を取得するとともに、第2ユーザ装置が、第1ユーザ装置を識別する第1識別情報を取得することを含む。また、前記通信制御方法は、第1ユーザ装置が、第2識別情報を通信装置へ送信するとともに、第2ユーザ装置が、第1識別情報を通信装置へ送信することを含む。更に、前記通信制御方法は、通信装置が、第2識別情報を受信したことに応じて、第1ユーザ装置に対して、第1データ無線ベアラを設定するとともに、第1識別情報を受信したことに応じて、第2ユーザ装置に対して、第2データ無線ベアラを設定することを含む。更に、前記通信制御方法は、通信装置が、第1データ無線ベアラを利用して第1ユーザ装置から受信した第1データを、コアネットワークへ転送することなく、第2データ無線ベアラを利用して第2ユーザ装置へ転送することを含む。
【0005】
第2の態様に係る通信制御方法は、第1ユーザ装置が、第2ユーザ装置を発見した際に取得した第2ユーザ装置のディスカバリ識別子を、基地局へ送信するステッを含む。また、前記通信制御方法は、基地局は、ディスカバリ識別子の受信に応じて、ディスカバリ識別子を有しているか否かを基地局配下のユーザ装置へ問い合わせることを含む。更に、前記通信制御方法は、第2ユーザ装置が、問い合わせに応答することを含む。更に、前記通信制御方法は、基地局が、応答に応じて、前記第1ユーザ装置に対して第1データ無線ベアラを設定するとともに、第2ユーザ装置に対して第2データ無線ベアラを設定することを含む。更に、前記通信制御方法は、基地局が、第1データ無線ベアラを利用して第1ユーザ装置から受信した第1データを、コアネットワークへ転送することなく、第2データ無線ベアラを利用して第2ユーザ装置へ転送することを含む。
【0006】
第3の態様に係る通信制御方法は、基地局が、データ無線ベアラを利用して前記第1ユーザ装置から受信したデータを、コアネットワークへ転送することなく、第2ユーザ装置へ転送することを含む。前記通信制御方法は、基地局が、データのデータ量を、コアネットワークへ送信することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係るセルラ通信システムの構成例を表す図である。
図2図2は、一実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成例を表す図である。
図3図3は、一実施形態に係るgNB(基地局)の構成例を表す図である。
図4図4は、一実施形態に係るユーザプレーンに関するプロトコルスタックの構成例を表す図である。
図5図5は、一実施形態に係る制御プレーンに関するプロトコルスタックの構成例を表す図である。
図6図6(A)と図6(B)は、第1実施形態に係るルーティングの例を表す図である。
図7図7は、第1実施形態に係るローカルルーティングの例を表す図である。
図8図8は、第1実施形態に係るプロトコルスタックの例を表す図である。
図9図9は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
図10図10は、第2実施形態に係る動作例を表す図である。
図11図11は、第3実施形態に係る動作例を表す図である。
図12図12は、第4実施形態に係る動作例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、ルーティングが適切に行われる通信制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
図面を参照しながら、実施形態に係るセルラ通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0010】
(セルラ通信システム)
まず、一実施形態に係るセルラ通信システムの構成について説明する。一実施形態に係るセルラ通信システムは3GPPの5Gシステムであるが、セルラ通信システムには、LTEが少なくとも部分的に適用されてもよい。また、セルラ通信システムは、6Gなど、将来のセルラ通信システムも適用されてよい。
【0011】
図1は、一実施形態に係るセルラ通信システムの構成例を表す図である。
【0012】
図1に示すように、セルラ通信システム1は、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、5Gの無線アクセスネットワーク(NG-RAN:Next Generation Radio Access Network)10と、5Gのコアネットワーク(5GC:5G Core Network)20とを有する。
【0013】
UE100は、移動可能な装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればどのような装置であっても構わないが、例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
【0014】
NG-RAN10は、基地局(5Gシステムにおいて「gNB」と呼ばれる)200を含む。gNB200は、NG-RANノードと呼ばれることもある。gNB200は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。gNB200は、1又は複数のセルを管理する。gNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。
【0015】
なお、gNBがLTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)に接続されてもよいし、LTEの基地局が5GC20に接続されてもよい。また、LTEの基地局とgNBとが基地局間インターフェイスを介して接続されてもよい。
【0016】
5GC20は、AMF(Access and Mobility Management Function)301(301-1,301-2)及びUPF(User Plane Function)302(302-1,302-2)を含む。AMF301は、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMF301は、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100が在圏するエリアの情報を管理する。UPF302は、データの転送制御を行う。AMF301及びUPF302は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してgNB200と接続される。AMF301及びUPF302は、5GC(コアネットワーク)20に接続されたコアネットワーク装置の一例である。
【0017】
図2は、一実施形態に係るUE100(ユーザ装置)の構成例を表す図である。
【0018】
図2に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を有する。
【0019】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部130に出力する。
【0020】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0021】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続された少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)と、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。制御部130は、以下に示す各実施形態において、UE100が実行する各種処理を行ってもよい。
【0022】
図3は、一実施形態に係るgNB200(基地局)の構成例を表す図である。
【0023】
図3に示すように、gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を有する。
【0024】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0025】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部230に出力する。
【0026】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続された少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUと、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。制御部230は、以下に示す各実施形態において、gNB200が実行する各種処理を行ってもよい。
【0027】
バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスを介して隣接基地局と接続される。バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスを介してAMF301及び/又はUPF302と接続される。なお、gNBは、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され、両ユニット間がF1インターフェイスで接続されてもよい。
【0028】
図4は、一実施形態に係るユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成例を表す図である。
【0029】
図4に示すように、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0030】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとgNB200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0031】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとgNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0032】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとgNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0033】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。UE100のPDCPレイヤと、gNB200のPDCPレイヤとの間では、無線ベアラを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0034】
SDAPレイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるQoSフローと、AS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
【0035】
図5は、一実施形態に係る制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成例を表す図である。
【0036】
図5に示すように、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、図4に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNASレイヤを有する。
【0037】
UE100のRRCレイヤとgNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。また、RRC接続が中断(サスペンド)されている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0038】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとAMF301のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0039】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0040】
[第1実施形態]
次に、第1実施形態について説明する。
【0041】
第1実施形態は、ルーティングに関する実施形態である。ここで、第1実施形態に係るルーティングの例について説明する。
【0042】
(ルーティングの例)
図6(A)は、第1実施形態に係るルーティングの一例を表す図である。ルーティングは、例えば、送信元から送信されたデータ(パケット)を正しく宛先(又は送信先)へ送信できるよう経路を選択することである。一般的には、ルーティングは、IP(Internet Protocol)レイヤで行われる。
【0043】
5Gシステムにおいては、UPF302が、IPレイヤに対する処理を行うことができる。そのため、図6(A)に示すように、UPF302がルーティングを行う。なお、UPF302がルーティングを行うことから、図6(A)の例では、MEC(Mobile Edge Computing)サーバ400がUPF302に接続される例を表している。
【0044】
図6(B)は、第1実施形態に係るルーティングの一例を表す図である。図6(B)に示すように、セルラ通信システム1では、コアネットワークを介することなく、インターネットに接続させる技術も提案されている。このような技術を、ローカルブレイクアウト(local breadout)と称する場合がある。ローカルブレイクアウトもルーティングの一例でもある。なお、図6(B)の例では、gNB200に接続されたGWにより、ルーティングが行われる例を表している。
【0045】
また、近接する複数のUE100がコアネットワークを介さずに直接的にデータ通信を行うD2D(Device to Device)通信において、locally routedモードがある。locally routedモードは、データパスがeNB(evolved Node B)を経由しない直接通信モードとは異なり、データパスがeNBを経由するモードである。
【0046】
図6(A)と図6(B)に示す例は、主に、レイヤ3(IPレイヤ)においてルーティングが行われる例を表している。
【0047】
しかしながら、5Gシステムの通信は、図6(A)に示すように、UE100-1とUE100-2が同じgNB200のカバレッジ内に存在する場合でも、UE100-1から送信されたデータをコアネットワーク(UPF302)まで到達させて、同じ経路で折り返すようにしている。
【0048】
このような場合、コアネットワークを介することなく、データをルーティングすることができれば、コアネットワークのトラフィック量を低減させたり、コアネットワーク内の通信で発生する遅延を少なくさせたりすることが可能となる。このように、コアネットワークを介さないルーティングを、ローカルルーティングと称する場合がある。
【0049】
図7は、第1実施形態に係るローカルルーティングの一例を表す図である。図7に示すように、gNB200が、ローカルルーティングを行うことも考えられる。しかし、gNB200では、レイヤ2(SDAPレイヤ(又はPDCPレイヤ))に対する処理を行うことができるものの、レイヤ3(IPレイヤ)に対する処理を行うことはできない。
【0050】
そのため、gNB200においてレイヤ2によるローカルルーティングを行う場合に、どのように行えばよいのか、という課題がある。
【0051】
そこで、第1実施形態では、UE100-1とUE100-2とが発見状態となった場合、UE100-1はRAN(Radio Access Network)識別情報をgNB200へ送信する。そして、gNB200が、RAN識別情報の受信に応じて、UE100-1に対して、ローカルルーティング用のデータ無線ベアラ(DRB)を設定する。gNB200は、UE100-1から当該DRBを利用して送信されたデータを、コアネットワークへ転送することなく、UE100-2へ転送する。
【0052】
具体的には、第1に、第1ユーザ装置(例えば、UE100-1)が、第2ユーザ装置(例えば、UE100-2)と互いに発見状態にあり、第2ユーザ装置を識別する第2識別情報を取得するとともに、第2ユーザ装置が、第1ユーザ装置を識別する第1識別情報を取得する。第2に、第1ユーザ装置が、第2識別情報を通信装置(例えば、gNB200)へ送信するとともに、第2ユーザ装置が、第1識別情報を通信装置へ送信する。第3に、通信装置が、第2識別情報を受信したことに応じて、第1ユーザ装置に対して、第1データ無線ベアラを設定するとともに、第1識別情報を受信したことに応じて、第2ユーザ装置に対して、第2データ無線ベアラを設定する。第4に、通信装置が、第1データ無線ベアラを利用して第1ユーザ装置から受信した第1データを、コアネットワークへ転送することなく、第2データ無線ベアラを利用して第2ユーザ装置へ転送する。
【0053】
図8は、第1実施形態に係るプロトコルスタックの例を表す図である。SDAPレイヤ又はPDCPレイヤ(レイヤ2)は、データ無線ベアラ(DRB)に関する処理を行うことができるレイヤである。図8に示すように、gNB200は、SDAPレイヤ(又はPDCPレイヤ)を取り扱うことができる。gNB200は、UE100-1(とUE100-2)に対して、ローカルルーティング用のDRBを設定することで、当該DRBを利用してUE100-1から送信されたデータを、コアネットワークへ転送することなく、UE100-2へ転送することができる。従って、gNB200は、レイヤ2によるルーティングが可能となる。なお、当該プロトコルスタックにおいては、SDAPサブレイヤは無くてもよい。この場合、PDCPサブレイヤの上にLocal routingレイヤが位置する。
【0054】
(第1実施形態の動作例)
図9は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
【0055】
図9に示す動作例は、図7に示すセルラ通信システム1の構成例と同様に、gNB200が、UE100-1から送信されたデータを、UPF302へ転送することなく、UE100-2へ転送するローカルルーティングの例を表している。
【0056】
なお、UE100-1は、gNB200と接続されているが、UE100-2は、gNB200と接続されていなくてもよい。UE100-2がgNB200と接続されていない場合、UE100-2は、他のgNBに接続されているものとする。
【0057】
また、以下では、UE#1をUE100-1と標記し、UE#2をUE100-2と標記する場合がある。
【0058】
図9に示すように、ステップS10において、UE100-1とUE100-2は互いに発見状態にある。UE100-1は、ディスカバリ機能を用いて、UE100-2を発見し、UE100-2も、ディスカバリ機能を用いて、UE100-1を発見することで、互いに発見状態になってもよい。ディスカバリ機能は、近接サービス(Prose(Proximity-based services))通信の直接発見(Direct Discovery)を利用した機能でもよい。また、ディスカバリ機能は、Open Connectivity Foundationを利用した機能であってもよい。
【0059】
ステップS11において、UE100-1は、UE100-2に対して、RAN識別情報の共有を要求してもよい。例えば、UE100-1は、UE100-2に対して、近接サービスの直接通信(Direct Communication)を利用して、当該要求を送信してもよい。
【0060】
ここで、RAN識別情報は、RAN上におけるUE100の識別情報である。
【0061】
第1に、RAN識別情報は、PLMN ID(Public Land Mobile Network ID)、gNB ID、セルID、及びC-RNTI(Cell radio-Radio Network Temporary Identifier)を含む。RAN識別情報にこれらの4つの識別情報が含まれることで、特定の事業者の特定の基地局における特定のセル内において、UE100を識別することが可能となる。
【0062】
第2に、RAN識別情報は、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、5g-S-TMSI(Temporary Mobile Subscriber Identity)であってもよい。
【0063】
第3に、RAN識別情報は、サイドリンク通信のProse ID(Proximity-based services ID)でもよい。Prose IDの例として、例えば、Destination Layer-2 ID及び/又はSource Layer-2 IDがある。
【0064】
第4に、RAN識別情報は、IPアドレスを含んでもよいし、アプリケーションレイヤ(プラットフォームレイヤを含む)のIDを含んでもよい。
【0065】
ステップS12において、UE100-1は、UE100-2との間でRAN識別情報を共有する。例えば、UE100-1は、近接サービスの直接通信(Direct Communication)を利用して、UE100-2のRAN識別情報をUE100-2から取得してもよい。また、UE100-2についても、近接サービスの直接通信を利用して、UE100-1のRAN識別情報をUE100-1から取得してもよい。UE100-1とUE100-2は、互いに相手方のRAN識別情報を取得することで、RAN識別情報を共有する。
【0066】
ステップS13において、UE100-1は、UE100-2のRAN識別情報を、gNB200へ送信する。当該RAN識別情報の送信が、ローカルルーティングの要求として機能してもよい。
【0067】
ステップS14において、gNB200は、当該RAN識別情報の受信に応じて、UE100-1に対して、ローカルルーティング用のDRBを設定する。gNB200は、UE100-1に対して、無線ベアラ設定情報(radioBearerConfig)などを含むRRCメッセージを送信することで、ローカルルーティング用のDRBを設定してもよい。
【0068】
当該DRBは、UE100-1が、UE100-2宛てのデータを送信する場合に用いるDRBである。当該DRBは、UE100-1が、UE100-2から送信されたデータを受信する場合に用いるDRBであってもよい。UE100-1では、UE100-2宛てのデータを当該DRBにマッピングすることで、UE100-2宛てにデータを送信することができる。そのため、当該DRBには、制限情報として、UE100-2のRAN識別情報が紐づけられてもよい。
【0069】
なお、gNB200は、UE100-2が他のgNBの配下となっている場合、当該他のgNBに対して、データフォワーディング用のトンネルセッションを確立してもよい。
【0070】
ステップS15において、UE100-2は、ステップS13と同様に、UE100-1のRAN識別情報をgNB200へ送信する。
【0071】
ステップS16において、gNB200は、ステップS14と同様に、当該RAN識別情報を受信したことに応じて、UE100-2に対して、ローカルルーティング用のDRBを設定する。この場合、gNB200は、UE100-1に設定したDRBと、UE100-2に設定したDRBとを紐づける。これにより、gNB200は、UE100-1とgNB200との間の通信路と、UE100-2とgNB200との間の通信路と、をルーティングすることも可能となる。
【0072】
ステップS17において、UE100-1は、UE100-2宛てのデータを送信する。UE100-1は、ステップS14により設定された、ローカルルーティング用のDRBに、当該データをマッピングすることで、ローカルルーティング用のDRB上で当該データを送信することができる。
【0073】
ステップS18において、gNB200は、UE100-1から受信したデータに対して、ローカルルーティングを行う。gNB200は、当該データをコアネットワークへ転送することなく、UE100-2へ転送する。例えば、以下のようにして、ローカルルーティングが行われてもよい。
【0074】
gNB200は、UE100-2に対してローカルルーティング用のDRB(ステップS16)と、UE100-1に対して設定したローカルルーティング用のDRB(ステップS14)とを紐づけている。そのため、gNB200は、UE100-1に対して設定したローカルルーティング用のDRBを利用して送信されたデータを、UE100-2に対して設定したローカルルーティング用のDRBへマッピングすることで、UE100-2へ転送することができる。
【0075】
なお、図9の例では、UE100-1から送信されたデータに対して、ローカルルーティングが行われて、UE100-2へ転送される例を表している。例えば、gNB200が、UE100-2に対して、ローカルルーティング用のDRBを設定する(ステップS15とS16)。これにより、例えば、UE100-1から送信されたデータがUE100-2へ転送されるだけではなく、UE100-2から送信されたデータがUE100-1へ転送させることが可能となる。すなわち、UE100-1とUE100-2は、コアネットワークを介することなく、gNB200を介して、データの送受信が互いに可能となる。
【0076】
ステップS20において、UE100-2は、UE100-2自身のRAN識別情報が変更された場合、変更後の新たなRAN識別情報をUE100-1へ送信してもよい。
【0077】
ここで、RAN識別情報が変更される場合とは、例えば、UE100-2が移動することで、接続先のセルIDが変更された場合である。また、ステップS20において、UE100-2は、UE100-1へ新たなRAN識別情報を送信しているが、移動先のgNBへ、新たなRAN識別情報を送信してもよい。この場合、UE100-2は、ローカルルーティング用のDRBがある旨を示す情報を移動先のgNBへ送信してもよい。移動先のgNBへのUE100-2による新たなRAN識別情報の送信が行われた場合、移動先のgNBは、移動元であるgNB200へ、新たなRAN識別情報を送信してもよい。
【0078】
ステップS21において、UE100-1は、UE100-2の新たなRAN識別情報を、gNB200へ送信してもよい。
【0079】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
【0080】
第1実施形態において、UE100-1は、UE100-2を発見した発見状態(ステップS10)にあることについて説明した。例えば、UE100-1は、UE100-2を発見したものの、UE100-2が移動することで、UE100-2を発見できなくなる場合がある。この場合、UE100-1は、UE100-2について発見できないことを示す情報を、gNB200へ送信してもよい。当該情報は、gNB200から設定されたローカルルーティング用のDRBを取り除く要求であってもよい。gNB200は、当該情報を受信することに応じて、UE100-1に設定したローカルルーティング用のDRBを取り除き、可能であれば、UE100-2に設定したローカルルーティング用のDRBも取り除く。
【0081】
また、第1実施形態では、gNB200がローカルルーティングを行うものとして説明した。gNB200に代えて、UE100-3がローカルルーティングを実施してもよい。この場合、UE100-3が、2つのUE100-1,100-2と、gNB200との間の中継UEとして機能する。中継UE100-3は、第1実施形態のgNB200と同様に、UE100-1からUE100-2のRAN識別情報を受信すると、UE100-1に対してローカルルーティング用のDRBを設定する。また、中継UE100-3は、UE100-2からUE100-1のRAN識別情報を受信すると、UE100-2に対してローカルルーティング用のDRBを設定する。そして、中継UE100-3は、これらのDRBを用いて、gNB200へ転送させることなく、UE100-1から送信されたデータをUE100-2へ、UE100-から送信されたデータをUE100-2へそれぞれ転送することができる。この場合、DRBは、SL-DRB(Side Link DRB)であってもよい。また、RAN識別情報は、Destination Layer-2 ID及び/又はSource Layer-2 IDが用いられてもよい。
【0082】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
【0083】
第1実施形態では、RAN識別情報が用いられる例について説明した。第2実施形態では、RAN識別情報に代えて、ディスカバリ識別子が用いられる例である。
【0084】
具体的には、第1に、第1ユーザ装置(例えば、UE100-1)が、第2ユーザ装置(例えば、UE100-2)を発見した際に取得した第2ユーザ装置のディスカバリ識別子を、基地局(例えば、gNB200)へ送信する。第2に、基地局は、ディスカバリ識別子の受信に応じて、ディスカバリ識別子を有しているか否かを基地局配下のユーザ装置へ問い合わせる。第3に、第2ユーザ装置が、問い合わせに応答する。第4に、基地局が、応答に応じて、第1ユーザ装置に対して第1データ無線ベアラを設定するとともに第2ユーザ装置に対して第2データ無線ベアラを設定する。第5に、基地局が、第1データ無線ベアラを利用して第1ユーザ装置から受信したデータを、コアネットワークへ転送することなく、第2データ無線ベアラを利用して第2ユーザ装置へ転送する。
【0085】
このように、gNB200は、UE100-1が発見したUE100-2を、ディスカバリ識別子を用いて自ら探し出すことで、UE100-1に対してローカルルーティング用のDRBを設定し、ローカルルーティングを行うようにしている。これにより、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、gNB200は、レイヤ2によるローカルルーティングを適切に行うことが可能となる。
【0086】
図10は、第2実施形態に係る動作例を表す図である。
【0087】
図10に示すように、ステップS30において、UE100-1は、ディスカバリ機能を用いて、UE100-2を発見する。ディスカバリ機能は、第1実施形態と同様に、近接サービス通信の直接発見(Direct Discovery)を利用した機能であってもよい。ディスカバリ機能は、上位レイヤ(例えば、Open Connectivity Foundation)を利用した機能であってもよい。UE100-1は、当該発見に代えて、又は当該発見とともに、UE100-2と通信を行うことを決定してもよい。
【0088】
ステップS31において、UE100-1は、アクセス層(AS)へ、ディスカバリ識別子を通知する。例えば、UE100-1の上位レイヤ(例えば、アプリケーションレイヤ)は、ディスカバリ機能を実行することで、UE100-2のディスカバリ識別子を取得する。
【0089】
ここで、ディスカバリ識別子は、UE100-1が、ディスカバリ機能の実行により、相手方のUE100-2を発見した場合に、UEを識別する識別子として機能する。UE100-2のディスカバリ識別子が、UE100-1にとって、データ送信先のUEを識別する識別子をなり得る。また、UE100-1のディスカバリ識別子は、データ送信元のUEを識別する識別子となり得る。UE100-1は、UE100-2の発見により、UE100-2からUE100-2のディスカバリ識別子を取得してもよい。また、UE100-2も、当該発見により、UE100-1からUE100-2のディスカバリ識別子を取得してもよい。
【0090】
ステップS32において、UE100-1は、ディスカバリ識別子をgNB200へ送信する。送信するディスカバリ識別子には、UE100-2のディスカバリ識別子を含む。送信するディスカバリ識別子には、UE100-1のディスカバリ識別子を含んでもよい。
【0091】
ステップS33において、gNB200は、ディスカバリ識別子の受信に応じて、配下のUEに対して、UE100-2のディスカバリ識別子を有しているか否かを問い合わせる。この場合、gNB200は、他のgNBに対して、UE100-2のディスカバリ識別子を有しているか否かを当該他のgNBに問い合わせてもらうことを依頼してもよい。gNB200は、UE100-2のディスカバリ識別子を含むSIB(System Information Block)メッセージを報知することで、問い合わせを行ってもよい。
【0092】
ステップS34において、UE100-2は、当該問い合わせに応答する。UE100-2は、gNB200の配下に属しているため、gNB200からの問い合わせに対して応答する。例えば、UE100-2は、応答メッセージとしてRRCメッセージをgNB200へ送信することで、当該応答が行われてもよい。UE100-2が他のgNB配下に属している場合、他のgNBは、gNB200へ、自局にUE100-2が存在することを示す情報を送信してもよい。
【0093】
ステップS35において、gNB200は、UE100-1に対して、ローカルルーティング用のDRBを設定する。当該DRBは、第1実施形態のDRB(図10のステップS14)と同様に、UE100-1がUE100-2宛てのデータを送信する場合に用いられてもよいし、UE100-2から送信された自身宛てのデータをUE100-1が受信する場合に用いられてもよい。UE100-1は、UE100-2宛てのデータを、当該DRBにマッピングすることで、当該データの送信が行われる。また、当該DRBは、制限情報として、UE100-2のディスカバリ識別子が紐づけられてもよい。
【0094】
ステップS36において、gNB200は、UE100-2に対して、ローカルルーティング用のDRBを設定する。この場合、gNB200は、第1実施形態と同様に、UE100-1に対して設定したローカルルーティング用のDRBと、UE100-2に対して設定したローカルルーティング用のDRBとを紐づけて、通信路としてルーティングを行う。
【0095】
ステップS37において、UE100-1は、gNB200へ、ローカルルーティング用のDRBを利用して、UE100-2宛てのデータを送信する。
【0096】
ステップS38において、gNB200は、当該DRBを利用して送信されたUE100-2宛てのデータを受信し、受信した当該データを、コアネットワークへ転送することなく、UE100-2へ転送する。gNB200は、UE100-1に対して設定したローカルルーティング用のDRB(ステップS35)と、UE100-2に対して設定したローカルルーティング用のDRB(ステップS36)とを用いて、受信した当該データを、UE100-2へ転送する。この場合、gNB200は、UE100-1に対して設定したDRB(ステップS35)と、UE100-2に対して設定したDRB(ステップS36)とが紐づけられているため、UE100-1から送信されたデータを、UE100-2へ転送できる。
【0097】
なお、第1実施形態と同様に、gNB200が、UE100-2に対して、ローカルルーティング用のDRBを設定する(ステップS36)ことで、UE100-1からUE100-2へのデータ転送だけではなく、UE100-2からUE100-1へのデータ転送も可能となってもよい。
【0098】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
【0099】
第3実施形態は、AMF301がgNB200へ、UE100-1とUE100-2とがP2P(Peer to Peer)通信のペアであることを通知する例である。ここで、P2P通信とは、UE100-1とUE100-2とが、コアネットワークを介することなく、gNB200を介して、通信を行うことである。第3実施形態では、P2P通信とローカルルーティングを区別しないで用いる場合がある。
【0100】
具体的には、第1に、コアネットワークに接続されたコアネットワーク装置(例えば、AMF301)が、第1ユーザ装置(例えば、UE100-1)と第2ユーザ装置(例えば、UE100-2)とがコアネットワークを介することなく基地局を介して通信を行うペアであることを示すペアリング情報を基地局(例えば、gNB200)へ送信する。第2に、基地局が、ペアリング情報と第2識別情報(例えば、UE100-2のRAN識別情報)とを受信したことに応じて、第1データ無線ベアラを設定する。
【0101】
これにより、gNB200は、P2P通信を行うペアが存在することを知ることができる。そして、gNB200は、当該ペアに対して、第1実施形態で説明したローカルルーティングの設定を行うことが可能となる。
【0102】
図11は、第3実施形態に係る動作例を表す図である。
【0103】
図11に示すように、ステップS40において、UE100-1は、ディスカバリ機能を用いて、UE100-2を発見してもよい。ディスカバリ機能は、第1実施形態と同様に、近接サービス通信の直接発見(Direct Discovery)を利用した機能でもよいし、Open Connectivity Foundationを利用した機能でもよい。UE100-1は、UE100-2を発見した場合、UE100-2とP2P通信を行うことを決定してもよい。
【0104】
ステップS41において、UE100-1は、UE100-2との間でP2P通信を行うことを示す情報を、AMF301へ送信する。UE100-1は、当該情報を含むNASメッセージを送信することで、当該情報を送信してもよい。当該情報は、前記RAN識別情報であってもよい。
【0105】
ステップS42において、AMF301は、ペアリング情報をgNB200へ送信する。ペアリング情報は、UE100-1とUE100-2とがコアネットワークを介することなくgNB200を介してP2P通信を行うペアであることを示す情報である。AMF301は、ペアリング情報を含むNASメッセージを送信することで、当該情報の送信が行われてもよい。当該情報は、P2P通信用の通信路を確立するための要求であってもよい。当該ペアリング情報は、前記RAN識別情報を含んでもよい。
【0106】
ステップS43において、gNB200と、UE100-1,100-2とは、P2P通信を確立するための処理を行う。P2P通信を確立するための処理は、第1実施形態のステップS10からステップS21の処理であってもよい。この場合、gNB200は、UE100-1からUE100-2のRAN識別情報を受信し、更にAMF301からペアリング情報を受信すると、UE100-1に対して、ローカルルーティング用のDRBを設定(ステップS14)してもよい。また、P2P通信を確立するための処理は、第2実施形態のステップS30からステップS38の処理であってもよい。この場合、gNB200は、UE100-2から応答を受信し(ステップS34)、更にAMF301からペアリング情報を受信すると、UE100-1に対して、ローカルルーティング用のDRBを設定(ステップS35)してもよい。
【0107】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。
【0108】
第1実施形態から第3実施形態では、gNB200において、ローカルルーティングを行う例について説明した。この場合、データは、UPF302まで到達しない。そのため、セルラ通信システム1では、ユーザ毎のデータ量(又は通信量)を取得することができない場合がある。そこで、第4実施形態では、gNB200は、ローカルルーティングにより転送したデータのデータ量を記録し、記録したデータ量をコアネットワークへ送信する。
【0109】
具体的には、第1に、基地局(例えば、gNB200)が、データ無線ベアラを利用して第1ユーザ装置(例えば、UE100-1)から受信したデータを、コアネットワークへ転送することなく、第2ユーザ装置(例えば、UE100-2)へ転送する。第2に、基地局が、データのデータ量を、コアネットワーク(例えば、AMF301)へ送信する。
【0110】
これにより、コアネットワークでは、gNB200においてローカルルーティングにより転送したデータのデータ量を把握することができ、チャージング(又は課金処理)を適切に行うことが可能となる。
【0111】
図12は、第4実施形態に係る動作例を表す図である。
【0112】
図12に示すように、ステップS50において、UE100-1は、UE100-2宛てのデータをgNB200へ送信する。
【0113】
ステップS51において、gNB200は、ローカルルーティングにより、UE100-2宛てのデータをコアネットワークへ転送することなく、UE100-2へ転送する。
【0114】
ステップS52において、gNB200は、転送したデータ(ステップS51)のデータ量をメモリに記録する。gNB200は、SDAP SDUのペイロード部分のデータ量を記録してもよい。また、gNB200は、PDCP SDUのペイロード部分のデータ量を記録してもよい。gNB200は、UE100毎に、データ量を記録してもよい。gNB200は、ライセンスバンドを利用して無線通信を行ったデータのデータ量のみ記録してもよい。この場合、アンライセンスバンドを利用して無線通信を行ったデータに対しては課金がされない。
【0115】
ステップS53において、gNB200は、記録したデータ量を、コアネットワークへ送信する。図12では、コアネットワークとして、AMF301の例を表している。
【0116】
[その他の実施形態]
UE100又はgNB200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0117】
また、UE100又はgNB200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又はgNB200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0118】
本開示で使用されている「に基づいて(based on)」、「に応じて(depending on)」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」、「のみに応じて」を意味しない。「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」及び「に少なくとも部分的に基づいて」の両方を意味する。同様に、「に応じて」という記載は、「のみに応じて」及び「に少なくとも部分的に応じて」の両方を意味する。また、「取得する(obtain/acquire)」は、記憶されている情報の中から情報を取得することを意味してもよく、他のノードから受信した情報の中から情報を取得することを意味してもよく、又は、情報を生成することにより当該情報を取得することを意味してもよい。「含む(include)」、「備える(comprise)」、及びそれらの変形の用語は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。また、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。さらに、本開示で使用されている「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。本開示において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0119】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、矛盾しない範囲で、各実施形態の全部又は一部を組み合わせることも可能である。
【0120】
本願は、日本国特許出願第2021-118338号(2021年7月16日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0121】
1 :移動通信システム
10 :5GC
100(100-1,100-2) :UE
110 :無線通信部
120 :制御部
200(200-1~200-3) :gNB
210 :無線通信部
220 :ネットワーク通信部
230 :制御部
301 :AMF
302 :UPF
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12