(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】熱交換器及び空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20250418BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20250418BHJP
【FI】
F28F9/02 301Z
F28D1/053 A
(21)【出願番号】P 2023568865
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2021047498
(87)【国際公開番号】W WO2023119468
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤岩 良太
(72)【発明者】
【氏名】尾中 洋次
(72)【発明者】
【氏名】足立 理人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 寧彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 武巳
(72)【発明者】
【氏名】宮川 幸大
(72)【発明者】
【氏名】大谷 優紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 央平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勇太
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/207838(WO,A1)
【文献】特開2011-85343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02-9/18
F28D 1/00-1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に間隔を空けて配置された複数の伝熱管と、
前記上下方向に延びるように形成されており、前記複数の伝熱管に冷媒を分配する第1分配器と、
を備え、
前記第1分配器は、
前記複数の伝熱管が挿入される挿入面部と、
前記複数の伝熱管の延びる方向において、前記挿入面部と対向する対向面部と、
前記第1分配器の長手方向に対する垂直断面である軸直角断面において、前記挿入面部と前記対向面部との間に延びる壁であって、前記対向面部と接合される側面部と、
を有し、
前記対向面部は、
前記側面部と接続する平板部と、前記軸直角断面において、前記第1分配器の内部空間を形成する内壁の一部が前記挿入面部に向かって前記平板部から膨出する膨出部とを有し、
前記第1分配器は、
前記軸直角断面において、前記複数の伝熱管のそれぞれの先端部から前記膨出部までの最短距離を第1距離M1とし、前記複数の伝熱管の延びる方向における前記複数の伝熱管のそれぞれの先端部から前記平板部の位置までの距離を第2距離M2とした場合に、第2距離M2≧1.5×第1距離M1の関係を満たしている熱交換器。
【請求項2】
前記挿入面部は、
前記軸直角断面において、前記複数の伝熱管の配置側に凸となるように少なくとも一部が湾曲している請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1分配器は、
前記第1分配器の長手方向の両端部を塞ぎ、前記挿入面部と、前記対向面部と、前記側面部と共に前記内部空間を形成する蓋を有する請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1分配器は、
前記第1分配器の長手方向において前記内部空間を上方に位置する上部空間と下方に位置する下部空間とに隔てる少なくとも1つ以上のオリフィス板を有し、
前記オリフィス板には、貫通孔であって前記上部空間と前記下部空間とを連通させるオリフィス孔が形成されている請求項1~3のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1分配器は、
前記第1分配器の軸方向に投影した場合に、前記複数の伝熱管と前記オリフィス孔とが重ならない位置に配置されている請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記対向面部には、前記内部空間に冷媒が流入する流入口が少なくとも1つ以上形成されており、
前記流入口は、
前記内部空間において、前記複数の伝熱管の中で最下部に位置する伝熱管と対向する位置に形成されているか、又は、前記複数の伝熱管の中で前記最下部に位置する伝熱管よりも下方に位置するように形成されている請求項1~5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第1分配器は、
前記挿入面部と前記側面部とを有する第1部品と、
前記対向面部である第2部品と、
を備え、
前記第1部品と前記第2部品とを組み合わせることにより筒状に形成されている請求項1~6のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記膨出部は、
前記軸直角断面において、1つの半円形状、1つの四角形状、1つの三角形状、複数の半円形が連続する形状、複数の四角形が連続する形状、又は、複数の三角形が連続する形状のいずれか1つの断面形状に形成されている請求項1~7のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記複数の伝熱管の内、半分以上の伝熱管を有する主熱交換部と、
前記複数の伝熱管の内、前記主熱交換部を構成しない残りの伝熱管を有する補助熱交換部と、
前記補助熱交換部に接続される前記第1分配器と、
前記主熱交換部に接続され、前記主熱交換部を構成する前記複数の伝熱管に前記補助熱交換部から流出した冷媒を分配する第2分配器と、
を備え、
前記第1分配器と前記第2分配器とは、前記上下方向に延びるように一体に形成されており、前記第1分配器の内部の空間と前記第2分配器の内部の空間とを隔てる仕切板を有する請求項1~8のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記複数の伝熱管の内、半分以上の伝熱管を有する主熱交換部と、
前記複数の伝熱管の内、前記主熱交換部を構成しない残りの伝熱管を有する補助熱交換部と、
前記補助熱交換部に接続される前記第1分配器と、
前記主熱交換部に接続され、前記主熱交換部を構成する前記複数の伝熱管に前記補助熱交換部から流出した冷媒を分配する複数の第2分配器と、
を備え、
前記主熱交換部は、
前記主熱交換部の前記上下方向において上部に位置する上側主熱交換部と、
前記主熱交換部の前記上下方向において下部に位置する下側主熱交換部と、
前記主熱交換部の前記上下方向において前記上側主熱交換部と前記下側主熱交換部との間に配置された中央側主熱交換部と、
を有し、
前記第1分配器には、
前記オリフィス板の上方の空間を形成する前記上部空間と、前記オリフィス板の下方の空間を形成する前記下部空間とが形成されており、
前記上部空間は、
前記補助熱交換部と前記複数の第2分配器の1つ以上とを介して、前記中央側主熱交換部を構成する前記複数の伝熱管と連通しており、
前記下部空間は、
前記補助熱交換部と前記中央側主熱交換部と連通しない他の前記複数の第2分配器の1つ以上とを介して、前記上側主熱交換部及び前記下側主熱交換部を構成する前記複数の伝熱管と連通している請求項4又は5に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記第1分配器は、
前記第1分配器の長手方向の中心軸が鉛直向きの状態、又は、前記第1分配器の長手方向の中心軸が鉛直向きのベクトル成分を有する範囲で傾いた状態で設置される請求項1~10のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項12】
請求項4又は5に記載の熱交換器と、
前記熱交換器に空気を供給する送風機と、
を有し、
前記複数の伝熱管のそれぞれは、内部に複数の冷媒流路穴が形成されており、
前記複数の冷媒流路穴は、前記送風機によって形成される空気の流れる方向に並んで配置されており、
前記オリフィス板において前記オリフィス孔の形成位置は、前記第1分配器の中心位置よりも風上側に偏った位置に形成されている空気調和装置。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の熱交換器と、
前記熱交換器に空気を供給する送風機と、を有する空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伝熱管を有する熱交換器及び空気調和装置に関するものであり、特に冷媒を分岐して伝熱管へ供給する分配器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に空気調和装置等のヒートポンプ装置で広く用いられる蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置は、圧縮機、凝縮器として機能する熱交換器、膨張弁、及び、蒸発器として機能する熱交換器等の4つの要素部品で構成される。この冷凍サイクル装置は、第一の作動流体である冷媒が状態変化を伴いながらこの4つの要素部品を流れている。従来、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置が備える蒸発器として、流動損失を低減するために複数の伝熱管と、この複数の伝熱管に対して冷媒を分配する分配器(ヘッダ)とを備えたものがある。そして、蒸発器を高効率に機能させるためには、例えば冷媒と熱交換をする空気等の第二の作動流体との熱量に応じて複数の伝熱管の各伝熱管に冷媒を分配する必要がある。
【0003】
一方、膨張弁から流出される冷媒は、低温低圧のガス冷媒と液冷媒とが混在した気液二相冷媒状態であるため、蒸発器への冷媒の分配が不均等になりやすい。特に分配器の長手方向を鉛直向きに配置した場合に、冷媒が鉛直方向に進む過程において、密度の低いガス冷媒と密度の高い液冷媒とが重力の影響を受けて分離しやすくなる。また、冷媒が鉛直方向に進む過程において、分配器に流入する際の慣性力の影響を受けて密度の高い液冷媒が進行方向に偏る場合がある。
【0004】
そこで、冷媒の分配配分を改善するため、長手方向に複数の流出管接続口を有した円筒管内に壁部材を備えた分配器を有する熱交換器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の熱交換器では、複数の伝熱管の流路穴から流れてきた冷媒が、分配器の下部に位置する内部空間において集合する第1空間と、分配器の上部に位置して第1空間で集合した気液二相冷媒を複数の伝熱管の流路穴へと分配する第2空間を有している。特許文献1の熱交換器は、第1空間と第2空間との間に壁部材と呼ぶ孔付きの仕切り板を備えることで、第1空間に気液二相冷媒が流出した際に慣性の影響で対向する壁面に偏る液冷媒を孔まで導き、第2空間における分配の偏りを改善するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された分配器では、流速が低下して液冷媒とガス冷媒とが分離しやすい分配器内の下流部において液冷媒がガス冷媒と分離して落下し、分配器上部への液冷媒の供給が不足してしまい、熱交換器性能が低下する恐れがある。
【0007】
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、分配器上部への液冷媒の供給不足を抑制する熱交換器及び空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る熱交換器は、上下方向に間隔を空けて配置された複数の伝熱管と、上下方向に延びるように形成されており、複数の伝熱管に冷媒を分配する第1分配器と、を備え、第1分配器は、複数の伝熱管が挿入される挿入面部と、複数の伝熱管の延びる方向において、挿入面部と対向する対向面部と、第1分配器の長手方向に対する垂直断面である軸直角断面において、挿入面部と対向面部との間に延びる壁であって、対向面部と接合される側面部と、を有し、対向面部は、側面部と接続する平板部と、軸直角断面において、第1分配器の内部空間を形成する内壁の一部が挿入面部に向かって平板部から膨出する膨出部とを有し、第1分配器は、軸直角断面において、複数の伝熱管のそれぞれの先端部から膨出部までの最短距離を第1距離M1とし、複数の伝熱管の延びる方向における複数の伝熱管のそれぞれの先端部から平板部の位置までの距離を第2距離M2とした場合に、第2距離M2≧1.5×第1距離M1の関係を満たしているものである。
【0009】
本開示に係る空気調和装置は、本開示に係る熱交換器と、熱交換器に空気を供給する送風機と、を有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る熱交換器は、第2距離M2≧1.5×第1距離M1の関係を満たす第1分配器を備えている。第1分配器は、第2距離M2が第1距離M1の1.5倍以上の大きさであることによって、第1分配器の内部空間の断面積を最小限の大きさにすることができる上に、濡れぶち長さを大きくすることができる。そのため、第1分配器は、水力相当直径を小さくすることができ、結果としてフラッディング定数も大きくすることができる。その結果、第1分配器は、第1分配器内の気液二相冷媒において液冷媒とガス冷媒とが分離して液冷媒が落下しない流速を保つことができ、第1分配器の上部への液冷媒の供給不足を抑制できる。
【0011】
本開示に係る空気調和装置は、上記構成の熱交換器を備えるため第1分配器内の気液二相冷媒において液冷媒とガス冷媒とが分離して液冷媒が落下しない流速を保つことができ、第1分配器の上部への液冷媒の供給不足を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係る空気調和装置の構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る熱交換器の概略図である。
【
図3】実施の形態1に関する第1分配器の概要図である。
【
図4】実施の形態1に係る第1分配器の斜視図である。
【
図5】
図3に示すA-A線における本体部の延びる方向に対して垂直な断面図である。
【
図6】
図3に示すB-B線における本体部の延びる方向に対して垂直な断面図である。
【
図7】
図3に示すC-C線における本体部の延びる方向に対して垂直な断面図である。
【
図8】膨出部の作用を説明するための説明図である。
【
図9】分配器内高さに対するフラッディング定数の関係を示した図である。
【
図10】実施の形態1の熱交換器において、第1分配器内の冷媒の流れを示した模式図である。
【
図11】実施の形態2に係る膨出部の概念的な断面図である。
【
図12】実施の形態2に係る膨出部の第1の別形態の概念的な断面図である。
【
図13】実施の形態2に係る膨出部の第2の別形態の概念的な断面図である。
【
図14】実施の形態2に係る膨出部の第3の別形態の概念的な断面図である。
【
図15】実施の形態2に係る膨出部の第4の別形態の概念的な断面図である。
【
図16】実施の形態2に係る膨出部の第5の別形態の概念的な断面図である。
【
図17】実施の形態2に係る第1分配器の本体部の斜視図である。
【
図18】実施の形態3に係る第1分配器に用いられるオリフィス板の第1の別形態の概念的な断面図である。
【
図19】実施の形態3に係る第1分配器に用いられるオリフィス板の第2の別形態の概念的な断面図である。
【
図20】実施の形態3に係る第1分配器に用いられるオリフィス板の第3の別形態の概念的な断面図である。
【
図21】実施の形態4に係る第1分配器において、オリフィス孔と伝熱管との関係を説明する概念図である。
【
図22】実施の形態5に係る熱交換器の概略図である。
【
図23】実施の形態5に係る熱交換器の冷媒流路の説明図である。
【
図24】実施の形態5に係る熱交換器の変形例の概略図である。
【
図25】実施の形態1~5に係る熱交換器と室外送風機との関係を示す第1の概要図である。
【
図26】実施の形態1~5に係る熱交換器と室外送風機との関係を示す第2の概要図である。
【
図27】実施の形態1~5に係る熱交換器と室内送風機との関係を示す第1の概要図である。
【
図28】実施の形態1~5に係る熱交換器と室内送風機との関係を示す第2の概要図である。
【
図29】実施の形態1~5に係る熱交換器と室内送風機との関係を示す第3の概要図である。
【
図30】実施の形態1~5に係る熱交換器と室内送風機との関係を示す第4の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照して説明する。ここで、
図1を含めた、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定するものではない。
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和装置10の構成図である。
図1において、点線で示す矢印は、空気調和装置10の冷房運転時における冷媒の流れる方向を示すものであり、実線で示す矢印は、空気調和装置10の暖房運転時における冷媒の流れる方向を示すものである。
図1を用いて、家庭用のルームエアコンあるいは店舗用もしくはオフィス用のパッケージエアコンのような、1つの室外熱交換器5と1つの室内熱交換器3とを有する空気調和装置10の構成及び動作について説明する。
【0015】
[空気調和装置10の構成]
空気調和装置10は、圧縮機1と、流路切替装置2と、室内熱交換器3と、減圧装置4と、室外熱交換器5とを有し、これらが配管で接続されて第一の作動流体である冷媒が循環する冷媒回路を構成している。空気調和装置10は更に、室内熱交換器3に送風する室内送風機7と、室外熱交換器5に送風する室外送風機6とを有している。
【0016】
圧縮機1は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する流体機械である。流路切替装置2は、例えば四方弁であり、制御装置(図示は省略)の制御により、空気調和装置10の冷房運転時と暖房運転時とにおいて冷媒の流路を切り替える装置である。室内熱交換器3は、内部を流通する冷媒と、室内送風機7により供給される室内空気と、の熱交換を行う熱交換器である。室内熱交換器3は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。
【0017】
減圧装置4は、例えば膨張弁であり、冷媒を減圧させる装置である。減圧装置4は、制御装置(図示は省略)の制御により開度が調節される電子膨張弁を用いることができる。室外熱交換器5は、内部を流通する冷媒と、室外送風機6により供給される第二の作動流体である空気と、の熱交換を行う熱交換器である。室外熱交換器5は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器として機能する。
【0018】
[空気調和装置10の動作]
次に、
図1を用いて空気調和装置10の暖房運転時の運転状態を冷媒の流れに沿って説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、流路切替装置2を通過して点Aに到達する。そして、ガス冷媒は、点Aを通過した後、室内熱交換器3を通過する際、室内熱交換器3を凝縮器として作用させ、室内送風機7によって流れる空気により冷却され液化した状態で点Bに到達する。
【0019】
液化された液冷媒は、減圧装置4を通過することで低温低圧のガス冷媒と液冷媒とが混在した二相冷媒状態となり点Cに到る。その後、点Cを通過した二相冷媒は、室外熱交換器5内を流れて室外熱交換器5を蒸発器として作用させ、室外送風機6によって流れる空気により加熱されてガス化した状態で点Dに到る。点Dを経たガス冷媒は、流路切替装置2を通過して圧縮機1に戻る。空気調和装置10は、この冷媒のサイクルにより、室内空気を加熱する暖房運転を行う。
【0020】
次に、
図1を用いて空気調和装置10の冷房運転時の運転状態を冷媒の流れに沿って説明する。空気調和装置10の冷房運転時には、上記の冷媒の流れが逆方向に流れるように流路切替装置2を用いて冷媒の流れる方向が切り替えられる。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、流路切替装置2を通過して点Dに到達する。そして、ガス冷媒は、点Dを通過した後、室外熱交換器5を通過する際、室外熱交換器5を凝縮器として作用させ、室外送風機6によって流れる空気により冷却され液化した状態で点Cに到達する。
【0021】
液化された液冷媒は、減圧装置4を通過することで低温低圧のガス冷媒と液冷媒とが混在した二相冷媒状態となり点Bに到る。その後、点Bを通過した二相冷媒は、室内熱交換器3内を流れて室内熱交換器3を蒸発器として作用させ、室内送風機7によって流れる空気により加熱されてガス化した状態で点Aに到る。点Aを経たガス冷媒は、流路切替装置2を通過して圧縮機1に戻る。空気調和装置10は、この冷媒のサイクルにより、室内空気を冷却する冷房運転を行う。
【0022】
[熱交換器50]
図2は、実施の形態1に係る熱交換器50の概略図である。
図2に示す矢印は、冷媒の流れる方向を示している。また、
図2の左側に示す図において、横軸は、熱交換器50を通過する空気の風速を示し、縦軸は、熱交換器50の高さを示している。また、
図2の実線は、空気の熱量を示している。次に
図2を用いて実施の形態1に係る熱交換器50について説明する。以下の説明では、熱交換器50は、空気調和装置10を用いて暖房運転を行う際に、蒸発器として機能する室外熱交換器5に使用された場合の構成として説明する。なお、熱交換器50は、空気調和装置10において、室外熱交換器5として使用されるものに限定されるものではなく、室内熱交換器3として使用することもできる。
【0023】
図2に示すように、熱交換器50は、熱交換部50aと、第1分配器20と、第2分配器30と、ヘッダ80と、を有する。なお、第1分配器20及び第2分配器30は、ヘッダと称してもよい。
【0024】
(熱交換部50a)
熱交換部50aは、熱交換部50aの周囲に存在する空気と熱交換部50aの内部を流れる冷媒とを熱交換させる。熱交換部50aは、熱交換器50を流れる冷媒の流れの中において、第1分配器20と第2分配器30との間に配置されている。また、熱交換部50aは、熱交換器50を流れる冷媒の流れの中において、第2分配器30とヘッダ80との間に配置されている。熱交換部50aは、複数の伝熱管12と、隣り合う伝熱管12同士を接続する伝熱促進部材13とを有する。
【0025】
複数の伝熱管12のそれぞれは、管状に形成されており、内部に冷媒を流通させる。複数の伝熱管12のそれぞれは、第1方向(X軸方向)に延びるように形成されている。複数の伝熱管12のそれぞれは、互いに間隔をあけて配列され、第1分配器20及び第2分配器30の延伸方向である軸方向(Z軸方向)に並列している。
【0026】
第1分配器20及び第2分配器30の延伸方向である軸方向(Z軸方向)は、第2方向であり、第2方向は第1方向と交わる方向である。複数の伝熱管12は、第2方向において、互いに上下方向に間隔を空けて配置されている。複数の伝熱管12のうち隣り合う伝熱管12は、互いに対向するように配置されている。複数の伝熱管12のうち隣り合う2つの伝熱管12の間には、空気の流路となる隙間が形成されている。
【0027】
熱交換器50は、第1方向である複数の伝熱管12の延伸方向を水平方向としている。ただし、第1方向である複数の伝熱管12の延伸方向は、水平方向に限定されるものではなく、水平方向に対して傾いた方向でもよい。また、熱交換器50は、第2方向である複数の伝熱管12の配列方向を鉛直方向としている。ただし、複数の伝熱管12の配列方向は、鉛直方向に限定されるものではなく、鉛直方向に対して傾いた方向でもよい。
【0028】
伝熱管12は、例えば、断面形状が円形の円管、あるいは、楕円形状の楕円管である。なお、伝熱管12は、円管及び楕円管に限定されるものではなく、内部に複数の流路が形成された扁平管でもよい。
【0029】
複数の伝熱管12の中で隣り合う伝熱管12は、互いの伝熱管12同士が伝熱促進部材13によって接続されている。伝熱促進部材13は、例えば、プレートフィン、あるいは、コルゲートフィン等である。伝熱促進部材13は、空気と冷媒との熱交換効率を向上させるものである。複数の伝熱促進部材13は、熱交換部50aにおいて、互いに間隔をあけて配列され、伝熱管12の延伸方向(X軸方向)に並列している。伝熱促進部材13がプレートフィンの場合には、複数の伝熱管12のそれぞれが複数の伝熱促進部材13を貫通している。
【0030】
なお、熱交換部50aは、伝熱管12と、伝熱促進部材13とを有するものに限定されるものではない。例えば、熱交換部50aは、複数の伝熱管12を有し、隣り合う伝熱管12同士を接続する伝熱促進部材13を有さない構成でもよい。
【0031】
熱交換部50aは、
図2に示すように、流通する冷媒の上流側に位置する補助熱交換部5aと、流通する冷媒の下流側に位置する主熱交換部5bと、を有する。
【0032】
補助熱交換部5aは、複数の伝熱管12の内、主熱交換部5bを構成しない残りの伝熱管12を有する。補助熱交換部5aは、伝熱管12の延伸方向(X軸方向)の一端側が第1分配器20と接続され、他端側が第2分配器30と接続されている。なお、補助熱交換部5aと第2分配器30とは配管300によって接続されている。すなわち、補助熱交換部5aを構成する複数の伝熱管12のそれぞれは、第1方向(X軸方向)において、一方の端部が第1分配器20と接続しており、他方の端部が配管300を介して第2分配器30と接続している。
【0033】
主熱交換部5bは、複数の伝熱管12の内、半分以上の伝熱管12を有する。主熱交換部5bは、伝熱管12の延伸方向(X軸方向)の一端側が第2分配器30と接続され、他端側がヘッダ80と接続されている。より詳細には、主熱交換部5bを構成する複数の伝熱管12のそれぞれは、第1方向(X軸方向)において、一方の端部が第2分配器30と接続されており、他方の端部がヘッダ80と接続されている。
【0034】
主熱交換部5bは、上側主熱交換部5b1、中上側主熱交換部5b2、中下側主熱交換部5b3、及び下側主熱交換部5b4を含む。主熱交換部5bは、上側主熱交換部5b1、中上側主熱交換部5b2、中下側主熱交換部5b3、及び下側主熱交換部5b4の総称でもある。
【0035】
上側主熱交換部5b1は、主熱交換部5bの上下方向(Z軸方向)において、上部に位置する部分であり、重力方向で中央部分に位置する中上側主熱交換部5b2及び中下側主熱交換部5b3よりも上方に位置する部分である。上側主熱交換部5b1は、上側主熱交換部5b1を構成する伝熱管12が後述する上側第2分配器31と接続する主熱交換部5bの部分である。なお、主熱交換部5bの上下方向(Z軸方向)は、重力方向でもある。
【0036】
中上側主熱交換部5b2は、主熱交換部5bの上下方向(Z軸方向)において、中央部分に位置する部分であり、重力方向で上側主熱交換部5b1よりも下方に位置し、重力方向で中下側主熱交換部5b3よりも上方に位置する部分である。中上側主熱交換部5b2は、中上側主熱交換部5b2を構成する伝熱管12が後述する中上側第2分配器32と接続する主熱交換部5bの部分である。
【0037】
中下側主熱交換部5b3は、主熱交換部5bの上下方向(Z軸方向)において、中央部分に位置する部分であり、重力方向で中上側主熱交換部5b2よりも下方に位置し、重力方向で下側主熱交換部5b4よりも上方に位置する部分である。中下側主熱交換部5b3は、中下側主熱交換部5b3を構成する伝熱管12が後述する中下側第2分配器33と接続する主熱交換部5bの部分である。
【0038】
中上側主熱交換部5b2及び中下側主熱交換部5b3は、中央側主熱交換部ともいう。中央側主熱交換部は、主熱交換部5bの上下方向(Z軸方向)において上側主熱交換部5b1と下側主熱交換部5b4との間に配置されている。中央側主熱交換部は、主熱交換部5bの上下方向(Z軸方向)において中央側に位置しており、重力方向(Z軸方向)において中央側に位置している。
【0039】
下側主熱交換部5b4は、主熱交換部5bの上下方向(Z軸方向)において、下部に位置する部分であり、重力方向で中上側主熱交換部5b2及び中下側主熱交換部5b3よりも下方に位置する部分である。下側主熱交換部5b4は、下側主熱交換部5b4を構成する伝熱管12が後述する下側第2分配器34と接続する主熱交換部5bの部分である。そして、主熱交換部5bと補助熱交換部5aとは空間を有して熱的に分離されている。
【0040】
(第1分配器20)
第1分配器20は、熱交換器50が蒸発器として機能する場合に、補助熱交換部5aの冷媒の流入側に設けられている。第1分配器20は、補助熱交換部5aを構成する複数の伝熱管12の延伸方向(X軸方向)において、一方の端部に接続されている。第1分配器20は、第1分配器20の内部と伝熱管12の管路内とが連通するように、補助熱交換部5aの伝熱管12に接続されている。第1分配器20は、冷媒の流れにおいて、補助熱交換部5aを構成する複数の伝熱管12を介して第2分配器30の反対側に配置されている。
【0041】
第1分配器20は、複数の伝熱管12の配列方向(Z軸方向)に沿って延伸するように長尺に形成されている。第1分配器20は、上下方向(Z軸方向)に延びるように形成されており、複数の伝熱管12に冷媒を分配する。第1分配器20は、熱交換器50において、熱交換部50aの補助熱交換部5aに流入する冷媒を、複数の伝熱管12に分配する分配機構として機能する。
【0042】
第1分配器20には、流入管201が設けられている。流入管201は、複数の伝熱管12に分配される冷媒を熱交換器50に流入させるための配管である。なお、流入管201は、熱交換器50と減圧装置4との間の冷媒の流路を構成する配管である。第1分配器20の詳細な構造については後述する。
【0043】
(第2分配器30)
第2分配器30は、熱交換器50が蒸発器として機能する場合に、主熱交換部5bの冷媒の流入側に設けられている。第2分配器30は、熱交換器50が蒸発器として機能する場合に、補助熱交換部5aの冷媒の流出側に設けられている。第2分配器30は、主熱交換部5bに接続され、主熱交換部5bを構成する複数の伝熱管12に補助熱交換部5aから流出した冷媒を分配する。
【0044】
第2分配器30は、主熱交換部5bを構成する複数の伝熱管12の延伸方向(X軸方向)において、一方の端部に接続されている。第2分配器30は、第2分配器30の内部と伝熱管12の管路内とが連通するように、主熱交換部5bの伝熱管12に接続されている。第2分配器30は、冷媒の流れにおいて、主熱交換部5bを構成する複数の伝熱管12を介してヘッダ80の反対側に配置されている。また、第2分配器30は、配管300を介して補助熱交換部5aを構成する複数の伝熱管12と接続されている。
【0045】
第2分配器30は、複数の伝熱管12の配列方向(Z軸方向)に沿って延伸するように長尺に形成されている。第2分配器30は、上下方向(Z軸方向)に延びるように形成されており、複数の伝熱管12に冷媒を分配する。第2分配器30は、熱交換器50において、熱交換部50aの主熱交換部5bに流入する冷媒を、複数の伝熱管12に分配する分配機構として機能する。
【0046】
第2分配器30は、上側第2分配器31、中上側第2分配器32、中下側第2分配器33、下側第2分配器34を含む。第2分配器30は、上側第2分配器31、中上側第2分配器32、中下側第2分配器33、下側第2分配器34の総称でもある。なお、
図2では、上側第2分配器31~下側第2分配器34の4つの第2分配器30から構成されているが、第2分配器30の数は複数であればよく4つに限定されるものではない。
【0047】
上側第2分配器31は、第2分配器30の上下方向(Z軸方向)において、上部に位置しており、重力方向で中央部分に位置する中上側第2分配器32及び中下側第2分配器33よりも上方に位置している。上側第2分配器31は、上側主熱交換部5b1を構成する伝熱管12と接続する。
【0048】
中上側第2分配器32は、第2分配器30の上下方向(Z軸方向)において、中央部分に位置しており、重力方向で上側第2分配器31よりも下方に位置し、重力方向で中下側第2分配器33よりも上方に位置している。中上側第2分配器32は、中上側主熱交換部5b2を構成する伝熱管12と接続する。
【0049】
中下側第2分配器33は、第2分配器30の上下方向(Z軸方向)において、中央部分に位置しており、重力方向で中上側第2分配器32よりも下方に位置し、重力方向で下側第2分配器34よりも上方に位置している。中下側第2分配器33は、中下側主熱交換部5b3を構成する伝熱管12と接続する。
【0050】
下側第2分配器34は、第2分配器30の上下方向(Z軸方向)において、下部に位置しており、重力方向で中央部分に位置する中上側第2分配器32及び中下側第2分配器33よりも下方に位置している。下側第2分配器34は、下側主熱交換部5b4を構成する伝熱管12と接続する。
【0051】
補助熱交換部5aと第2分配器30とは、上述したように配管300で接続されている。配管300は、上側配管301、中上側配管302、中下側配管303及び下側配管304を含む。配管300は、上側配管301、中上側配管302、中下側配管303及び下側配管304の総称でもある。
【0052】
上側配管301は、補助熱交換部5aと上側第2分配器31とを接続する配管である。上側配管301は、伝熱管12を介して第1分配器20の下部空間21aと、上側第2分配器31の内部とを連通させる。中上側配管302は、補助熱交換部5aと中上側第2分配器32とを接続する配管である。中上側配管302は、伝熱管12を介して第1分配器20の上部空間21bと、中上側第2分配器32の内部とを連通させる。
【0053】
中下側配管303は、補助熱交換部5aと中下側第2分配器33とを接続する配管である。中下側配管303は、伝熱管12を介して第1分配器20の上部空間21bと、中下側第2分配器33の内部とを連通させる。下側配管304は、補助熱交換部5aと下側第2分配器34とを接続する配管である。下側配管304は、伝熱管12を介して第1分配器20の下部空間21aと、下側第2分配器34の内部とを連通させる。配管300の数は、4本に限定されるものではなく、第2分配器30の数と同じ数であればよい。
【0054】
(ヘッダ80)
ヘッダ80は、主熱交換部5bを構成する複数の伝熱管12の、延伸方向(X軸方向)の他方の端部に接続されている。ヘッダ80は、ヘッダ80の内部と伝熱管12の管路内とが連通するように、主熱交換部5bの伝熱管12に接続されている。ヘッダ80は、複数の伝熱管12の配列方向(Z軸方向)に沿って延伸するように長尺に形成されている。
【0055】
ヘッダ80は、熱交換器50において、主熱交換部5bの複数の伝熱管12から流出する冷媒が合流する際の合流機構として機能する。ヘッダ80は、熱交換器50において、熱交換部50aから流出する冷媒が合流する際の合流機構として機能する。
【0056】
ヘッダ80には、流出管801が設けられている。流出管801は、複数の伝熱管12から流出して合流した冷媒を熱交換器50から排出させるための配管である。
【0057】
[熱交換器50の動作例]
実施の形態1に係る熱交換器50の動作について、熱交換器50が空気調和装置10の蒸発器として機能する際の動作を例に挙げて説明する。蒸発器として機能する熱交換器50には、減圧装置4で減圧された気液二相冷媒が流入する。この際、冷媒は、熱交換器50の第1分配器20から流入し、複数の伝熱管12内の通路を流通して吸熱及び蒸発する。その後、冷媒は、ヘッダ80から流出し、流路切替装置2を経由して圧縮機1に吸入される。
【0058】
図2を用いて更に詳細に熱交換器50の動作例を説明する。熱交換器50は、冷媒が第1分配器20、補助熱交換部5a、第2分配器30、主熱交換部5b、ヘッダ80の順に流れる。気液二相冷媒の全質量速度に占める気体の質量速度比を示す表現の乾き度xを用いた場合、室外熱交換器5を構成する熱交換器50に流れる冷媒は、乾き度xがx=0.05~0.30の範囲程度の気液二相状態で図中の流入管201から第1分配器20に流入する。
【0059】
流入管201を通過した気液二相冷媒は、伝熱管12が挿入される挿入面部25、伝熱管12の端面と対向する対向面27a(
図4参照)、蓋41、蓋42、及び、オリフィス板91によって構成される第1分配器20に流入する。なお、第1分配器20の詳細な構成は後述する。第1分配器20の内部では、オリフィス板91によって、オリフィス板91の下方に位置する下部空間21aではガスリッチの気液二相冷媒が存在するように冷媒の流れが調整される。また、第1分配器20の内部では、オリフィス板91によって、オリフィス板91の上方に位置する上部空間21bでは液リッチの気液二相冷媒が存在するように冷媒の流れが調整される。気液二相冷媒は、下部空間21aに連通する伝熱管12と、上部空間21bに連通する伝熱管12とへ分配され、室外熱交換器5の一部である補助熱交換部5aの内部を流れる。
【0060】
この際、補助熱交換部5aの伝熱管12を流れる気液二相冷媒と、室外送風機6(
図1参照)によって流れる空気とが熱交換を行う。気液二相冷媒と空気とが熱交換を行うことによって、気液二相冷媒は、気液二相冷媒のうち液冷媒が蒸発し、全質量速度のうち気体の質量速度が占める割合を変化させながら補助熱交換部5aを通過し終える。
【0061】
補助熱交換部5aを通過した気液二相冷媒は、配管300を介して第2分配器30へ流れる。より詳細には、第1分配器20の下部空間21aを通過した一部の冷媒は、補助熱交換部5aを構成する伝熱管12と上側配管301とを通り、上側第2分配器31の内部へ流れる。また、第1分配器20の下部空間21aを通過した一部の冷媒は、補助熱交換部5aを構成する伝熱管12と下側配管304とを通り、下側第2分配器34の内部へ流れる。また、第1分配器20の上部空間21bを通過した一部の冷媒は、補助熱交換部5aを構成する伝熱管12と中上側配管302とを通り、中上側第2分配器32の内部へ流れる。また、第1分配器20の上部空間21bを通過した一部の冷媒は、補助熱交換部5aを構成する伝熱管12と中下側配管303とを通り、中下側第2分配器33の内部へ流れる。
【0062】
この際、上側配管301、中上側配管302、中下側配管303、及び、下側配管304を流れる気液二相冷媒の乾き度xは、乾き度x=0.05~0.60の範囲程度にまで成り得る。乾き度xの値は、熱交換部50aの全体において補助熱交換部5aが占める割合、補助熱交換部5aを通過する風量、あるいは、流入管201から配管300までの圧力損失等の影響によって変化する。
【0063】
上側第2分配器31~下側第2分配器34に流入した気液二相冷媒は、それぞれ4分岐ずつに分配され、主熱交換部5b全体として合計16分岐に分配されて各伝熱管12へ流入する。16分岐に分配された気液二相冷媒は、主熱交換部5bを流れ、室外送風機6(
図1参照)によって流れる空気と気液二相冷媒とが熱交換を行う。
【0064】
上側第2分配器31で4分岐に分配された気液二相冷媒は、上側主熱交換部5b1を流れ、室外送風機6(
図1参照)によって流れる空気と気液二相冷媒とが熱交換を行う。中上側第2分配器32で4分岐に分配された気液二相冷媒は、中上側主熱交換部5b2を流れ、室外送風機6(
図1参照)によって流れる空気と気液二相冷媒とが熱交換を行う。中下側第2分配器33で4分岐に分配された気液二相冷媒は、中下側主熱交換部5b3を流れ、室外送風機6(
図1参照)によって流れる空気と気液二相冷媒とが熱交換を行う。下側第2分配器34で4分岐に分配された気液二相冷媒は、下側主熱交換部5b4を流れ、室外送風機6(
図1参照)によって流れる空気と気液二相冷媒とが熱交換を行う。
【0065】
ここで、上側主熱交換部5b1~下側主熱交換部5b4を通過する空気は、
図2の左側に示すように高さ方向に分布された風速の大きさによって熱量が異なる。空気の熱量が他の部分より大きい中上側主熱交換部5b2及び中下側主熱交換部5b3は、空気の熱量が中上側主熱交換部5b2及び中下側主熱交換部5b3よりも小さい上側主熱交換部5b1及び下側主熱交換部5b4と比較して多くの液冷媒を蒸発させられる。
【0066】
そのため、熱交換器50は、中上側主熱交換部5b2が中上側第2分配器32と接続されており、中上側第2分配器32が液リッチの気液二相冷媒へと調整する第1分配器20の上部空間21bと接続されている。すなわち、熱交換器50は、中上側第2分配器32を介して多くの液冷媒を蒸発させる中上側主熱交換部5b2と、液リッチの気液二相冷媒を含む第1分配器20の上部空間21bとを接続させている。
【0067】
また、熱交換器50は、中下側主熱交換部5b3が中下側第2分配器33と接続されており、中下側第2分配器33が液リッチの気液二相冷媒へと調整する第1分配器20の上部空間21bと接続されている。すなわち、熱交換器50は、中下側第2分配器33を介して多くの液冷媒を蒸発させる中下側主熱交換部5b3と、液リッチの気液二相冷媒を含む第1分配器20の上部空間21bとを接続させている。
【0068】
主熱交換部5bを通過する冷媒は、空気との熱交換によって、液冷媒が全て気化したガス冷媒の状態、もしくは、多くの液冷媒が気化して乾き度x=0.85以上の気液二相冷媒の状態となり、ヘッダ80へと流出する。主熱交換部5bにおいて16分岐していた冷媒は、ヘッダ80においてそれぞれ合流して流出管801を通って熱交換器50から流出する。
【0069】
熱交換器50は、例として、冷媒が第1分配器20で4分岐して蒸発器の一部(補助熱交換部5a)を流れ、次に上側第2分配器31~下側第2分配器34を経由して16分岐した後に蒸発器の一部(主熱交換部5b)を流れる構成としている。なお、熱交換器50は、当該構成に限定されるものではない。熱交換器50は、補助熱交換部5a及び主熱交換部5bの分岐数が上記形態と異なってもよい。
【0070】
(第1分配器20の詳細な構成)
図3は、実施の形態1に関する第1分配器20の概要図である。
図4は、実施の形態1に係る第1分配器20の斜視図である。
図5は、
図3に示すA-A線における本体部20aの延びる方向に対して垂直な断面図である。
図6は、
図3に示すB-B線における本体部20aの延びる方向に対して垂直な断面図である。
図7は、
図3に示すC-C線における本体部20aの延びる方向に対して垂直な断面図である。
【0071】
図4は、第1分配器20の内部構造を説明するために蓋41の図示を省略している。
図4に示すX軸方向は、伝熱管12の延びる方向であり、Z軸方向は第1分配器20の本体部20aの延びる方向である。また、Z軸方向は、伝熱管12の配列方向でもある。
図4に示すY軸方向は、X軸方向及びZ軸方向に垂直な方向である。
図3~
図7を用いて第1分配器20について説明する。第1分配器20は、
図3に示すように、本体部20aと、本体部20aに取り付けられた流入管201とを有する。
【0072】
(本体部20a)
本体部20aは、両端が閉塞された長尺の筒状に形成された部材であり、内部に空間が形成されている。第1分配器20の本体部20aは、第1分配器20の長手方向(Z軸方向)の中心軸が鉛直向きの状態、又は、第1分配器20の長手方向の中心軸が鉛直向きのベクトル成分を有する範囲で傾いた状態で設置される。本体部20aには、流入口44と、内部空間21とが形成されている。
【0073】
流入口44は、流入管201と接続し、流入管201から冷媒が流入する流入口である。内部空間21は、伝熱管12の管内空間と連通し、並びに、流入管201の管内空間と連通し、流入管201を介して流入口44から流入した冷媒が上方向に流れる空間である。
【0074】
本体部20aは、第1部品23と、第2部品24と、蓋41及び蓋42と、オリフィス板91と、を有する。第1部品23と第2部品24とは、伝熱管12の延びる方向(X軸方向)において、互いに対向するように配置されている。第1分配器20の本体部20aは、後述する挿入面部25と側面部26とを有する第1部品23と、対向面部である第2部品24と、を備え、第1部品23と第2部品24とを組み合わせることにより筒状に形成されている。
【0075】
本体部20aは、
図4に示すように、第1部品23と第2部品24との組み合わせにより筒状に形成され、
図3に示すように、筒状に形成された第1部品23及び第2部品24の長手方向(Z軸方向)の両端が蓋41及び蓋42によって閉塞されている。本体部20aは、第1部品23と、第2部品24と、蓋41及び蓋42とを組み合わせることによって柱状に形成されている。
【0076】
第1部品23は、長尺に形成された部材であり、長手方向(Z軸方向)に対する垂直断面がU字形状に形成されている。なお、第1部品23を含む第1分配器20の長手方向(Z軸方向)に対する垂直断面を軸直角断面と称する場合がある。第1部品23は、
図4及び
図5に示すように、U字形状に湾曲した部分を形成する挿入面部25と、平板状に形成された部分を形成する側面部26とを有する。なお、側面部26は、平板状に形成された部分に限定されるものではなく、例えば、軸直角断面において挿入面部25よりも緩やかな曲線を描く円弧状に形成された板状の部分でもよい。挿入面部25と2つの側面部26とは一体に形成されている。
【0077】
第1部品23の長手方向(Z軸方向)に対する垂直断面において、挿入面部25は、円弧状に形成されており、側面部26は略直線状に形成されている。挿入面部25は、軸直角断面において、複数の伝熱管12の配置側に凸となるように少なくとも一部が湾曲している。第1部品23は、対向面部である第2部品24とは反対側に凸となるように少なくとも一部が湾曲して形成されている。
【0078】
第1部品23は、Y軸方向において2つの側面部26が対向するように形成されており、第1部品23の長手方向(Z軸方向)に対する垂直断面における円弧状に形成された挿入面部25の両端部にそれぞれ側面部26が設けられている。側面部26は、第2部品24の後述する平板部28と接続される。側面部26は、本体部20aにおいて、挿入面部25と第2部品24である対向面部の平板部28との間に延びる壁であって、挿入面部25と平板部28とをつなぐ部分である。側面部26は、挿入面部25と一体に形成されており、第2部品24である対向面部の平板部28と接合される。
【0079】
第1部品23の挿入面部25は、複数の伝熱管12が挿入される。第1部品23の挿入面部25には、
図3及び
図4に示すように、伝熱管12が挿入される接続口43が形成されている。接続口43は、貫通孔であり第1部品23の長手方向(Z軸方向)に沿って複数形成されている。本体部20aには、複数の伝熱管12が挿入される複数の接続口43が上下方向に間隔をあけて形成されている。伝熱管12は、接続口43に挿入されて第1部品23の壁を貫通している。接続口43に挿入された伝熱管12は、第1部品23によって保持される。
【0080】
第2部品24は、
図3及び
図6に示すように、複数の伝熱管12の延びる方向において、挿入面部25と対向する対向面部である。第2部品24は、長尺に形成された部材であり、長手方向(Z軸方向)に対する垂直断面が略Ω字状に形成されている。対向面部である第2部品24は、側面部26と接続する平板部28と、第1分配器20の軸直角断面において、第1分配器20の内部空間21を形成する内壁の一部が挿入面部25に向かって前記平板部28から膨出する膨出部27とを有する。換言すれば、対向面部である第2部品24は、湾曲した部分を形成する膨出部27と、平板状に形成された部分を形成する平板部28とを有する。膨出部27と、第2部品24の長手方向(Z軸方向)に対する垂直断面において膨出部27の両側に位置する2つの平板部28とは一体に形成されている。
【0081】
第2部品24の長手方向(Z軸方向)に対する垂直断面において、膨出部27は、円弧状に形成されており、平板部28は直線状に形成されている。第2部品24は、2つの平板部28の平板面が同一平面Fを形成しており、第2部品24の長手方向(Z軸方向)に対する垂直断面における膨出部27の両端部にそれぞれ平板部28が設けられている。同一平面Fは、
図4に示すように、Z軸方向とY軸方向とによって形成される平面である。なお、平板部28は、膨出部27の両端部にそれぞれ設けられている構成に限定されるものではなく、例えば、膨出部27の両端部に位置する平板部28が一体に形成された1枚の平板状の部材として形成されてもよい。
【0082】
膨出部27は、第1分配器20の軸直角断面において、対向面部である第2部品24のうち少なくとも一部が挿入面部25に向かって膨出している部分である。膨出部27は、2つの平板部28の間に設けられており、平板部28から挿入面部25の形成側、すなわち、伝熱管12の配置側に突出するように膨出している。膨出部27は、1枚の平板部28のうち少なくとも一部が挿入面部25に向かって膨出している部分として構成されてもよい。膨出部27は、本体部20aの長手方向、すなわち、第2部品24の長手方向に沿って形成されている。
【0083】
膨出部27は、挿入面部25の内壁と対向する対向面27aを有する。なお、
図4では、膨出部27は、U字状に形成されているが、膨出部27の形状は、当該形状に限定されるものではない。膨出部27は、平板部28から挿入面部25の形成側、すなわち、伝熱管12の配置側に突出するように形成されていればよく、例えば、中実の半円状に形成されてもよい。
【0084】
対向面部である第2部品24の膨出部27には、内部空間21に冷媒が流入する流入口が少なくとも1つ以上形成されている。流入口44は、貫通孔であり、流入管201が挿入される。流入管201は、流入口44に挿入されて第2部品24の壁を貫通している。流入口44に挿入された流入管201は、第2部品24によって保持される。
【0085】
流入口44は、本体部20aの内部空間21において、複数の伝熱管12の中で最下部に位置する伝熱管12と対向する位置に形成されている。または、
図3に示すように、流入口44は、本体部20aの内部空間21において、複数の伝熱管12の中で最下部に位置する伝熱管12よりも下方に位置するように形成されている。
【0086】
本体部20aは、対向する2つの側面部26の間に膨出部27が位置するように形成されている。本体部20aは、挿入面部25、2つの側面部26、膨出部27、2つの平板部28、蓋41、及び、蓋42の内壁面によって内部空間21が形成されている。本体部20aの長手方向(Z軸方向)に対する垂直断面において、内部空間21は、
図4に示すように、略U字形状に形成されている。
【0087】
本体部20aの代表的な製造方法は次のようなものである。第1部品23は、伝熱管12の挿入口となる接続口43を形成した上で、長手方向に対する垂直断面が円弧状になるように形成する。そのため、第1部品23は、接続口43を形成するためのプレス加工と、曲面を形成するための曲げ加工とによって成型され、半円状のプレス板部品として成型される。
【0088】
第2部品24は、流入管201の接続口となる流入口44を形成した上で、長手方向に対する垂直断面が円弧状の膨出部27を形成する。そのため、第2部品24は、流入口44を形成するためのプレス加工と、曲面を形成するための曲げ加工とによって成型され、膨出部27のあるプレス板部品として成型される。
【0089】
なお、本体部20aの製造方法は、上記成型方法に限定されるものではない。例えば、第1部品23と第2部品24とが一体化した本体部20aを押出成型した後に、本体部20aに穴加工を行い接続口43及び流入口44を形成して本体部20aを製造してもよい。あるいは、本体部20aは、第1部品23及び第2部品24をそれぞれプレス加工と押出加工とによって成型したものを組み合わせて製造してもよく、電縫管加工など別の手段を用いて製造してもよい。
【0090】
第1分配器20は、第1分配器20の長手方向(Z軸方向)の両端部を塞ぎ、挿入面部25と、対向面部である第2部品24と、側面部26と共に、内部空間21を形成する蓋41及び蓋42を有する。蓋41及び蓋42は、筒状に形成された第1部品23及び第2部品24の両端を塞ぐ部材である。蓋41及び蓋42は、板状に形成されている。蓋41及び蓋42は、本体部20aに内部空間21を形成するように、本体部20aの長手方向(Z軸方向)の両端部を閉塞する。
【0091】
本体部20aの内部には、
図3及び
図7に示すように、本体部20aの内部空間21を上下の空間に隔てる少なくとも1つ以上のオリフィス板91が設けられている。本体部20aの内部には、オリフィス板91によってオリフィス板91の下方に位置する下部空間21aと、オリフィス板91の上方に位置する上部空間21bとが形成されている。本体部20aは、内部にオリフィス板91が設けられており、内部空間21が、オリフィス板91によって下部空間21aと上部空間21bとに隔てられている。本体部20aの内部空間21において、下部空間21aはオリフィス板91の下方に形成された空間であり、上部空間21bはオリフィス板91の上方に形成された空間である。
【0092】
図3及び
図7に示すように、オリフィス板91には、オリフィス孔92が形成されている。オリフィス孔92は、オリフィス板91に形成された貫通孔であり、オリフィス板91の上下の空間を連通させる。本体部20aの内部空間21は、オリフィス板91のオリフィス孔92によって、下部空間21aと上部空間21bとが連通している。本体部20aは、オリフィス板91のオリフィス孔92の中を冷媒が流れ、オリフィス孔92を介して、下方の下部空間21aから上方の上部空間21bへ冷媒が移動する。第1分配器20は、このような形態のオリフィス板91を用いることによって低流量時におけるガス冷媒の不均等を抑制することができる。
【0093】
第1分配器20の上部空間21bは、補助熱交換部5aと複数の第2分配器30の1つ以上とを介して、中上側主熱交換部5b2及び中下側主熱交換部5b3等の中央側主熱交換部を構成する複数の伝熱管12と連通している。第1分配器20の下部空間21aは、補助熱交換部5aと中央側主熱交換部と連通しない他の複数の第2分配器30の1つ以上とを介して、上側主熱交換部5b1及び下側主熱交換部5b4を構成する複数の伝熱管12と連通している。
【0094】
オリフィス板91は、
図7ではオリフィス板91の中央付近に円形状のオリフィス孔92が1つ形成されている。しかし、オリフィス孔92の形成位置は、オリフィス板91の中央付近に限定されるものではない。また、オリフィス孔92の形成数は1つに限定されるものではなく、オリフィス板91には、2つ以上のオリフィス孔92が形成されてもよい。また、オリフィス孔92の穴形状は円形状に限定されるものではなく、例えば長方形の形状に形成されてもよく楕円形状に形成されてもよい。
【0095】
図3に示すように、本体部20aにおいて、下部空間21aを形成する部分が下部本体部20a1であり、上部空間21bを形成する部分が上部本体部20a2である。下部本体部20a1及び上部本体部20a2にはそれぞれ接続口43が形成されている。
図2に示すように、上部本体部20a2及び下部本体部20a1にはそれぞれ2つの接続口43が形成されており、本体部20a全体としては4つの接続口43が形成されている。
【0096】
複数の伝熱管12は、下部本体部20a1に取り付けられ、他の複数の伝熱管12は、上部本体部20a2に取り付けられている。複数の伝熱管12は、下部本体部20a1の接続口43を貫通し、他の複数の伝熱管12は、上部本体部20a2の接続口43を貫通している。なお、本体部20aの接続口43の形成数は、4つに限定されるものではない。接続口43の形成数は、熱交換部50aが有する伝熱管12の本数によって規定される。
【0097】
(流入管201)
本体部20aには、流入管201が取り付けられている。流入管201は、下部本体部20a1に取り付けられている。流入管201は、本体部20aの内部空間21と連通している。流入管201は下部空間21aと連通する。流入管201には、熱交換器50が蒸発器として機能する際に本体部20aの内部空間21を流れる気液二相冷媒が流入する。
【0098】
次に、
図3を用いて流入管201の取り付け位置について説明する。流入管201は、下部空間21aの最下段に位置する伝熱管12と対向する位置、又は、最下段に位置する伝熱管12よりも下方の空間に気液二相冷媒が流入する位置において、伝熱管12の延びる方向(X軸方向)に沿って取り付けられるのが望ましい。
【0099】
流入管201の取り付け位置を、下部空間21a内において、伝熱管12同士の間の中間地点にしてしまうと冷媒の上向きの流れと冷媒の下向きの流れとが発生してしまい、気液二相冷媒を上向きに流す流速が低下してしまう。そして、気液二相冷媒を上向きに流す流速が低下してしまうと、ガス冷媒と液冷媒との分離が発生しやすくなる。そのため、流入管201は、上述した位置に取り付けられるのが望ましい。
【0100】
次に本実施の形態の第1分配器20を用いた際の作動流体の特徴を示す。流入管201から流入する気液二相冷媒は、第1分配器20内の下部空間21aを鉛直上方へと流れる際、第1部品23に接続された複数の伝熱管12へ順次排出されるため、上向きの流速が段階的に低下する。
【0101】
ここで、
図5に示すA-A線断面図における第1分配器20の内部空間21の断面積を断面積A
1[m
2]と定義する。また、
図6に示すB-B線断面図における第1分配器20の内部空間21の断面積を断面積A
2[m
2]と定義する。
【0102】
また、断面積A1を形成する第1分配器20の断面における周長を濡れぶち長さL1[m]と定義する。また、断面積A2を形成する第1分配器20の断面における周長を濡れぶち長さL2[m]と定義する。また、断面積A1を形成する第1分配器20の断面における水力相当直径を水力相当直径D1[m]とする。また、断面積A2を形成する第1分配器20の断面における水力相当直径を水力相当直径D2[m]とする。そして、内部空間21を流れる気液二相冷媒の循環量を循環量Gr[kg/s]と定義し、乾き度を乾き度x[-]と定義し、密度を密度ρ[kg/m3]と定義し、見かけの速度を速度u[m/s]と定義する。各値を以上のように定義した場合、以下の関係式により無次元フラッディング速度j*[-]と、フラッディング定数CN[-]とを算出する。下記式において、添え字[_N]はN=1or2or3であり、添え字[_G]はガスであり、添え字[_L]は液である。
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
ここで、断面積A2におけるフラッディング定数C2[-]が0.4を下回るとガス冷媒と液冷媒との分離が生じやすい。そのため、フラッディング定数C2[-]が0.4以上の流速を持つように内部空間21を構成するのがよい。
【0110】
図5及び
図6に示すように、第1分配器20の本体部20aには、隅部21c及び隅部21dが形成されている。なお、第1分配器20は、隅部21c及び隅部21dのいずれか一方のみが形成されてもよく、あるいは、隅部21c及び隅部21dの両方が形成されてもよい。隅部21c及び隅部21dは、平板部28と膨出部27と側面部26とによって囲われた空間であり、内部空間21の一部である。隅部21c及び隅部21dは、内部空間21において、平板部28付近の空間である。隅部21c及び隅部21dは、平板部28と膨出部27と側面部26とによって構成される周囲の壁面によって、液冷媒との間に表面張力が働く。そのため、第1分配器20は、隅部21c及び隅部21dに働く表面張力によって液冷媒の落下を抑えることができる。
【0111】
また、第1分配器20は、隅部21c及び隅部21dを設けることによって、側面部26と平板部28との接合部28aと伝熱管12との距離を遠ざけることができる。そのため、側面部26と平板部28との接続をロウ付けにより行う場合に、接合部28aに供給されるロウ材が過剰になったとしても、接合部28aと伝熱管12との距離が遠ざけられているため、伝熱管12内の冷媒流路をロウ材によって塞いでしまうことがない。なお、側面部26と平板部28との接合強度を向上させるために、側面部26と平板部28との接合部28aにロウ材のフィレットを形成してもよい。ロウ材のフィレットとは、部材同士の接続部分の角にロウ材が厚く付着して、そこから裾を引くように広がった形状の凝固したロウ材である。
【0112】
図8は、膨出部27の作用を説明するための説明図である。本体部20aの長手方向(Z軸方向)に対する軸直角断面において、伝熱管12のうち対向面部である第2部品24と最も接近した部分の接線を第1接線Pとする。第1接線Pは、第1分配器20及び本体部20aの長手方向(Z軸方向)と平行な方向に見た場合に、複数の伝熱管12の延びる方向(X軸方向)と直角な関係となる。
【0113】
本体部20aの長手方向(Z軸方向)に対する軸直角断面において、膨出部27のうち最頂部27bと接する接線を第2接線Qと定義する。第2接線Qは、第1分配器20及び本体部20aの長手方向(Z軸方向)と平行な方向に見た場合に、膨出部27のうち伝熱管12に最も接近した部分の接線である。第2接線Qは、第1分配器20及び本体部20aの長手方向(Z軸方向)と平行な方向に見た場合に、複数の伝熱管12の延びる方向(X軸方向)と直角な関係となる。第1分配器20及び本体部20aの長手方向(Z軸方向)と平行な方向に見た場合に、第1接線Pと第2接線Qとは平行である。
【0114】
最頂部27bは、伝熱管12の延びる方向(X軸方向)において、最も伝熱管12に近い部分であり、平板部28から最も突出した部分である。すなわち、最頂部27bは、伝熱管12の延びる方向(X軸方向)において、第2部品24の中で最も接続口43に近い部分である。
【0115】
そして、本体部20aの長手方向(Z軸方向)に対する軸直角断面において、挿入面部25から最も離れた第2部品24における内部空間21を形成する部分との接線を第3接線Rと定義する。第3接線Rは、第1分配器20及び本体部20aの長手方向(Z軸方向)と平行な方向に見た場合に、平板部28であって内部空間21の内壁を構成する部分と接する線であり、第1接線P及び第2接線Qと平行な線である。
【0116】
伝熱管12の延びる方向(X軸方向)において、第1接線Pと第2接線Qとの間の距離を第1距離M1とし、第1接線Pと第3接線Rとの間の距離を第2距離M2とした場合、第2距離M2は、第1距離M1の1.5倍以上の大きさである。第1分配器20は、本体部20aの長手方向(Z軸方向)に対する軸直角断面において、第2距離M2≧1.5×第1距離M1の関係を満たすように形成されている。
【0117】
換言すれば、第1分配器20は、軸直角断面において、複数の伝熱管12のそれぞれの先端部12bから膨出部27までの最短距離を第1距離M1とする。また、第1分配器20において、複数の伝熱管12の延びる方向における複数の伝熱管12のそれぞれの先端部12bから平板部28の位置までの距離を第2距離M2とする。このような場合に、第1分配器20は、第2距離M2≧1.5×第1距離M1の関係を満たすように形成されている。
【0118】
第1分配器20は、第2距離M2が第1距離M1の1.5倍以上の大きさであることによって、内部空間21の断面積A2を最小限の大きさにすることができる上に、濡れぶち長さL2を大きくすることができる。そのため、第1分配器20は、水力相当直径D2を小さくすることができ、結果としてフラッディング定数C2も大きくすることができる。
【0119】
図9は、分配器内高さに対するフラッディング定数C
Nの関係を示した図である。
図9に示す「従来」は本開示の第1分配器20を有さない分配器を示し、「実施の形態」は本実施の形態の第1分配器20を示している。なお、「従来」の分配器は、本体部の長手方向(Z軸方向)に対する軸直角断面において、本体部が真円形状の断面を有する分配器である。
図9に示すように、第1分配器20内の高さの位置が上部に行くにつれ、伝熱管12へと順次気液二相冷媒が排出されるためフラッディング定数C
Nは低下していく。
【0120】
従来の分配器は、内部空間21の水力相当直径D2が大きくなってしまうため、フラッディング定数C2が小さくなりフラッディング定数C2が0.4を下回ることでガス冷媒と液冷媒との分離が生じる。そのため、従来の分配器は、分配器内の高さの最上部にはガス冷媒のみしか供給されないことが起き、気液二相冷媒の分配が不均等になることで熱交換器性能が低下しやすい。
【0121】
一方、本開示の第1分配器20では、第2距離M2が第1距離M1の1.5倍以上の大きさであることによって、上述したようにフラッディング定数C2を大きくすることができ、フラッディング定数C2を0.4以上にした状態で気液二相冷媒を分配できる。そのため、第1分配器20は、ガス冷媒と液冷媒との分離を防ぐことができ、第1分配器の上部への液冷媒の供給不足を抑制できる。また、第1分配器20は、ガス冷媒と液冷媒との分離を防ぐことができ、第1分配器20の下流に位置する熱交換部50aにおいて、熱交換部50aの上部にも液冷媒を供給することができる。熱交換器50は、第1分配器20を有することによって、熱交換部50aの上部にも液冷媒を供給することができ、熱交換器50の熱交換器性能の低下を抑えることができる。
【0122】
図10は、実施の形態1の熱交換器50において、第1分配器20内の冷媒の流れを示した模式図である。
図10を用いて、第1分配器20におけるオリフィス板91の役割を説明する。流入管201から供給された気液二相冷媒35は、下部空間21aにおいて、下部本体部20a1の内壁面に付着しながら上昇する液冷媒の状態になり、内壁面に付着せずに上昇するガス冷媒の状態及び飛散した液冷媒の粒子の状態になる。
【0123】
図9で説明したように、第1分配器20内のフラッディング定数C
2が0.4以上に大きいと壁面に付着しながら上昇する液冷媒は落下することなく上部へと進むことができ、オリフィス板91へと到達する。オリフィス板91に到達した液冷媒及びガス冷媒は、オリフィス孔92を通過する流れと、オリフィス孔92を通過するための圧力損失の影響でオリフィス孔92を通過しない流れとに分けられる。
【0124】
オリフィス孔92のようなノズル空間を通過する際、同一質量で比較すると液冷媒よりも体積の大きいガス冷媒は圧力損失が大きく生じてしまう。そのため、オリフィス孔92を通過する冷媒は、圧力損失が小さい液冷媒の質量流量が多く配分され、上部空間21bに占める気液二相冷媒は、気液二相冷媒のうち約50.1%~58.0%の質量流量が液冷媒となる液リッチの冷媒となりやすい。そのため、第1分配器20では、本体部20aにおいて、
図8に示すように4つの伝熱管12によって冷媒の流れが4分岐に分岐された構成の内、下から3本目と4本目の伝熱管12へ流入する気液二相冷媒は、液冷媒の含有量が多い液リッチの冷媒となりやすい。下から3本目と4本目の伝熱管12は、上部空間21bと連通している。
【0125】
オリフィス孔92を通過しない液冷媒及びガス冷媒は、本体部20aにおいて、
図8に示すように4つの伝熱管12によって冷媒の流れが4分岐に分岐された構成の内、下から1本目と2本目の伝熱管12へ流入する。オリフィス孔92を通過するための圧力損失の影響でオリフィス孔92を通過しにくいガス冷媒は、
図8のように本体部20aにおいて、4つの伝熱管12によって冷媒の流れが4分岐に分岐された構成では、下から1本目と2本目の伝熱管12へ流入しやすい。そのため、第1分配器20では、下から1本目と2本目の伝熱管12へ流入する気液二相冷媒は、ガス冷媒の含有量が多いガスリッチの冷媒となりやすい。下から1本目と2本目の伝熱管12は、下部空間21aと連通する。
【0126】
オリフィス板91に形成されているオリフィス孔92は、バルブ等の容量係数として一般的に扱われるCv値が0.05~2.0程度の大きさに相当する穴である。オリフィス孔92の穴の大きさを決定するにあたり、例えば、第1分配器20において、質量流量が140[kg/h]及び乾き度が0.10の気液二相冷媒として、R32冷媒が流入管201から内部空間21に流入する場合について検討する。また、第1分配器20において、4つの伝熱管12によって冷媒の流れが4分岐に分岐された構成の内、下から2本目の伝熱管12と3本目の伝熱管12との間にオリフィス板91を備えた場合について検討する。上述したR32冷媒を用い、4分岐の内、下から2本目の伝熱管12と3本目の伝熱管12との間にオリフィス板91を備えた場合、オリフィス孔92は、直径Φ2.2[mm]~Φ6.0[mm]程度の大きさの穴が望ましい。
【0127】
[熱交換器50の作用効果]
本開示に係る熱交換器50は、第2距離M2≧1.5×第1距離M1の関係を満たす第1分配器20を備えている。第1分配器20は、第2距離M2が第1距離M1の1.5倍以上の大きさであることによって、第1分配器20の内部空間21の断面積A2を最小限の大きさにすることができる上に、濡れぶち長さL2を大きくすることができる。そのため、第1分配器20は、水力相当直径D2を小さくすることができ、結果としてフラッディング定数C2も大きくすることができる。その結果、第1分配器20は、第1分配器20内の気液二相冷媒において液冷媒とガス冷媒とが分離して液冷媒が落下しない流速を保つことができ、第1分配器20の上部への液冷媒の供給不足を抑制できる。
【0128】
また、挿入面部25は、軸直角断面において、複数の伝熱管12の配置側に凸となるように少なくとも一部が湾曲している。第1分配器20の本体部20aは、円形に近いほど第1分配器20内の耐圧が強くなるため、熱交換器50は、挿入面部25が上記の構造で形成されることによって第1分配器20の耐圧を向上させることができる。
【0129】
また、第1分配器20は、第1分配器20の長手方向(Z軸方向)の両端部を塞ぎ、挿入面部25と、対向面部である第2部品24と、側面部26と共に、内部空間21を形成する蓋41及び蓋42を有する。第1分配器20の上下に蓋41及び蓋42が無いと冷媒が外部へと漏れ出て閉じた空間にできないため、第1分配器20は、蓋41及び蓋42を有している。第1分配器20は、第1分配器20の上下端を直角に折り曲げて端部を潰して閉空間を形成するよりも、蓋41及び蓋42によって上下の端部を閉じることによって簡易に閉空間を形成できる。
【0130】
また、第1分配器20は、第1分配器20の長手方向(Z軸方向)において内部空間21を上方に位置する上部空間21bと下方に位置する下部空間21aとに隔てる少なくとも1つ以上のオリフィス板91を有する。オリフィス板91には、貫通孔であって上部空間21bと下部空間21aとを連通させるオリフィス孔92が形成されている。オリフィス孔92のようなノズル空間を通過する際、同一質量で比較すると液冷媒よりも体積の大きいガス冷媒は圧力損失が大きく生じてしまう。そのため、オリフィス孔92を通過する冷媒は、圧力損失が小さい液冷媒の質量流量が多く配分され、上部空間21bに占める気液二相冷媒は、液リッチの冷媒となりやすい。その結果、第1分配器20は、第1分配器20の上部への液冷媒の供給不足を抑制できる。
【0131】
また、流入口44は、本体部20aの内部空間21において、複数の伝熱管12の中で最下部に位置する伝熱管12と対向する位置に形成されている。または、
図3に示すように、流入口44は、本体部20aの内部空間21において、複数の伝熱管12の中で最下部に位置する伝熱管12よりも下方に位置するように形成されている。流入口44に接続される流入管201の取り付け位置を、内部空間21において、伝熱管12同士の間の中間地点にしてしまうと冷媒の上向きの流れと冷媒の下向きの流れとが発生してしまい、気液二相冷媒を上向きに流す流速が低下してしまう。そして、気液二相冷媒を上向きに流す流速が低下してしまうと、ガス冷媒と液冷媒との分離が発生しやすくなる。そのため、流入管201が接続される流入口44の形成位置は、上述した位置に形成されることが望ましく、冷媒の上向きの流れと冷媒の下向きの流れとに分かれる冷媒の流れの発生を抑制できる。
【0132】
また、第1分配器20は、挿入面部25と側面部26とを有する第1部品23と、対向面部である第2部品24と、を備え、第1部品23と第2部品24とを組み合わせることにより筒状に形成されている。第1分配器20は、挿入面部25、側面部26及び対向面部の全てが一体となっている筒を押出成型で作ることも可能であるが、接続口43及び流入口44を押出成型後に切削する必要があるため製造コストがかかる。第1分配器20は、半割れの第1部品23及び第2部品24の2部品で構成されているため、第1部品23及び第2部品24のそれぞれをプレス加工で製造でき、製造コストを安く抑えることができる。
【0133】
また、第1分配器20の本体部20aは、第1分配器20の長手方向(Z軸方向)の中心軸が鉛直向きの状態、又は、第1分配器20の長手方向の中心軸が鉛直向きのベクトル成分を有する範囲で傾いた状態で設置される。第1分配器20は、上下方向(Z軸方向)に延びる分配器であるが、上述した構成を備えることにより、第1分配器20の上部への液冷媒の供給不足を抑制できる。
【0134】
また、第1分配器20の上部空間21bは、補助熱交換部5aと複数の第2分配器30の1つ以上とを介して、中上側主熱交換部5b2及び中下側主熱交換部5b3等の中央側主熱交換部を構成する複数の伝熱管12と連通している。第1分配器20の下部空間21aは、補助熱交換部5aと中央側主熱交換部と連通しない他の複数の第2分配器30の1つ以上とを介して、上側主熱交換部5b1及び下側主熱交換部5b4を構成する複数の伝熱管12と連通している。
【0135】
ここで、熱交換器は、分配器の下流側に位置する熱交換器における第一の作動流体と第二の作動流体との熱交換において、第二の作動流体の熱量に対して第一の作動流体の非効率な分配の配分を生じてしまい熱交換器の効率を低下させてしまう場合がある。例えば、特許文献1の熱交換器は、分配器の下流に位置する熱交換器において第二の作動流体である空気の熱量に対して第一の作動流体である冷媒が適切な液冷媒の配分にならない場合がある。このため、特許文献1の熱交換器は、均等に液冷媒が供給されることで熱交換量に対して液冷媒が過剰な伝熱管が生じ、熱交換器性能が低下する恐れがある。
【0136】
第1分配器20は、オリフィス板91のオリフィス孔92を通過する液リッチの気液二相冷媒の特徴を活かし、
図2で示したように熱量が大きい中上側主熱交換部5b2及び中下側主熱交換部5b3等の熱交換部50aへの液冷媒の供給量を増やすことができる。そのため、第1分配器20を有する熱交換器50は、第二の作動流体の熱量に対して適切な液冷媒の配分に分配することで熱交換器性能を向上させることができる。熱交換器50は、第1分配器20内の気液二相冷媒において液冷媒とガス冷媒とが分離して液冷媒が落下しない流速を保ちつつ、第1分配器20の下流に位置する主熱交換部5bにおいて第二の作動流体との熱量に対して適切な液冷媒の配分に分配することができる。
【0137】
以上のように、第1分配器20は、簡素な構成要素のみにより気液二相冷媒を熱交換器50における熱量に応じて適切な液冷媒の配分に分配器の上部であっても供給することができ、材料費を抑えながらも熱交換器性能の向上に貢献できる。
【0138】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る膨出部27の概念的な断面図である。なお、実施の形態1に係る第1分配器20等と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図11は、本体部20aの長手方向(Z軸方向)に対する膨出部27の垂直断面であって、実施の形態1で示した膨出部27を概念的に示した断面図である。膨出部27は、
図11に示すように、半円形状に形成されてもよい。
【0139】
図12は、実施の形態2に係る膨出部27の第1の別形態の概念的な断面図である。
図13は、実施の形態2に係る膨出部27の第2の別形態の概念的な断面図である。本体部20aの長手方向(Z軸方向)に対する膨出部27の垂直断面の形状は、半円形状に限定されるものはない。本体部20aの長手方向(Z軸方向)に対する膨出部27の垂直断面の形状は、
図12に示すように四角形状に形成されてもよく、
図13に示すように三角形状に形成されてもよい。
【0140】
図14は、実施の形態2に係る膨出部27の第3の別形態の概念的な断面図である。
図15は、実施の形態2に係る膨出部27の第4の別形態の概念的な断面図である。
図16は、実施の形態2に係る膨出部27の第5の別形態の概念的な断面図である。本体部20aの長手方向(Z軸方向)に対する膨出部27の垂直断面の形状は、
図14に示すように、小さな半円形状の円形凸部27cが複数連続するように形成されてもよい。また、膨出部27の垂直断面の形状は、
図15に示すように、小さな四角形状の四角状凸部27dが複数連続するように形成されてもよい。また、膨出部27の垂直断面の形状は、
図16に示すように、小さな三角形状の山状凸部27eが複数連続した鋸歯状に形成されてもよい。
【0141】
膨出部27は、軸直角断面において、1つの半円形状、1つの四角形状、1つの三角形状、複数の半円形が連続する形状、複数の四角形が連続する形状、又は、複数の三角形が連続する形状のいずれか1つの断面形状に形成されている。また、膨出部27は、軸直角断面において、1つの半円形状、1つの四角形状、1つの三角形状、複数の半円形が連続する形状、複数の四角形が連続する形状、あるいは、複数の三角形が連続する形状の断面形状を有する溝を形成する。なお、膨出部27の断面形状は、これらの形状に限定されるものではなく、例えば、上述した形状が組み合わされて形成されてもよい。
【0142】
図17は、実施の形態2に係る第1分配器20の本体部20aの斜視図である。第1分配器20の1例として、
図17を用いて、
図15で示した第4の別形態の膨出部27を有する第1分配器20について説明する。
図17に示す第1分配器20は、実施の形態1で説明した半円形状の膨出部27と異なり、小さな四角形状の四角状凸部27dが複数連続するように形成された膨出部27を有している。そのため、
図17に示す第1分配器20は、内部空間21に突出する複数の四角状凸部27dによって複数の突出面を形成している。
【0143】
[熱交換器50の作用効果]
一般的に、分配器の内部空間を上昇しながら流れる気液二相冷媒は、分配器内の壁面に液冷媒が集中し、分配器内の空洞中央部にガス冷媒が集中しやすい。
図17の第1分配器20は、膨出部27を構成する複数の四角状凸部27dにより複数の突出面を形成することによって、膨出部27の壁面と気液二相冷媒との接する面積を増加させることができる。そのため、膨出部27が複数の突出面を有する第1分配器20は、実施の形態1のように1つの半円形状の膨出部27の構成と比較して、気液二相冷媒の表面張力が働く部分が増加し、更に液冷媒の落下を抑制できる。
【0144】
また、
図17の第1分配器20は、膨出部27を構成する複数の四角状凸部27dにより複数の突出面を形成することによって、実施の形態1のように1つの半円形状の膨出部27の構成と比較して濡れぶち長さL
2が大きくなる。そのため、膨出部27が複数の突出面を有する第1分配器20は、実施の形態1のように1つの半円形状の膨出部27の構成と比較してフラッディング定数C
2が大きくなりガス冷媒と液冷媒との分離を抑制できる。
【0145】
図17に示すように膨出部27が複数の突出面を有する第1分配器20は、液冷媒の落下を抑制でき、また、ガス冷媒と液冷媒との分離を抑制できるため、実施の形態1の第1分配器20よりも、第1分配器20の上部への液冷媒の供給が増加しやすい。そのため、第1分配器20は、複数の伝熱管12を有して冷媒の分岐数が増え、第1分配器20の下部から上部に向かうほど気液二相冷媒の質量流量が低下する場合でも、第1分配器20の上部から液冷媒の供給がしやすくなる。
【0146】
また、第2部品24を押出成型による製作とした場合、実施の形態2に係る第1分配器20は、
図14~
図16で示すように複数の凸部によって形成された膨出部27の形状であっても実施の形態1と同様に安価に製造することができる。
【0147】
また、膨出部27は、軸直角断面において、1つの半円形状、1つの四角形状、1つの三角形状、複数の半円形が連続する形状、複数の四角形が連続する形状、又は、複数の三角形が連続する形状のいずれか1つの断面形状に形成されている。第1分配器20は、当該構成の膨出部27を有することによって、膨出部27を有していない場合と比較してフラッディング定数C2を大きくすることができる。その結果、第1分配器20は、第1分配器20内の気液二相冷媒において液冷媒とガス冷媒とが分離して液冷媒が落下しない流速を保つことができ、第1分配器20の上部への液冷媒の供給不足を抑制できる。
【0148】
以上のことから、実施の形態2に係る第1分配器20は、第2部品24が備える膨出部27の周長を増加させることにより第1分配器20の上部への液冷媒の供給量を増加させるができる。そのため、実施の形態2に係る第1分配器20は、冷媒の分配経路が実施の形態1の第1分配器20以上に多分岐の場合でも液冷媒を第1分配器20の上部まで供給することができる。
【0149】
実施の形態3.
図18は、実施の形態3に係る第1分配器20に用いられるオリフィス板91の第1の別形態の概念的な断面図である。
図19は、実施の形態3に係る第1分配器20に用いられるオリフィス板91の第2の別形態の概念的な断面図である。
図20は、実施の形態3に係る第1分配器20に用いられるオリフィス板91の第3の別形態の概念的な断面図である。なお、
図18~
図20の断面図は、
図3に示す第1分配器20のC-C線位置の断面図である。
図18~
図20を用いて実施の形態1とは別形態のオリフィス板91について説明する。なお、実施の形態1及び実施の形態2に係る第1分配器20等と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0150】
オリフィス板91のオリフィス孔92は、
図18及び
図19に示すオリフィス孔92a及びオリフィス孔92bのように2つ形成されてもよい。
図18及び
図19ではオリフィス板91には、オリフィス孔92a及びオリフィス孔92bのように2つのオリフィス孔92が形成されているが、オリフィス板91には少なくとも1つ以上のオリフィス孔92が形成されていればよい。例えば、オリフィス板91には、
図18及び
図19に示すオリフィス孔92a又はオリフィス孔92bのいずれか一方のオリフィス孔92のみが形成されていてもよい。
【0151】
本体部20aの長手方向と平行な方向に見た場合に、オリフィス孔92の穴形状は、
図18のオリフィス孔92に示すように円形状に形成されてもよく、
図20に示すように、長方形の形状に形成されてもよい。また、オリフィス孔92の穴形状は、本体部20aの長手方向と平行な方向に見た場合に、楕円形状(図示は省略)に形成されてもよい。
【0152】
また、オリフィス孔92の形成位置は、
図7及び
図20に示すように、オリフィス板91の中央部分に形成されてもよく、
図18及び
図19に示すように、オリフィス板91の端部部分に形成されてもよい。
図19に示すように、オリフィス板91は、オリフィス孔92a及びオリフィス孔92bの2つのオリフィス孔92のそれぞれが、側面部26と、平板部28と、膨出部27と、オリフィス板91とで囲われる空間となるように形成されてもよい。換言すれば、オリフィス孔92は、上述した隅部21c及び隅部21dに形成されてもよい。
【0153】
図18~
図20に示すように、オリフィス孔92は、オリフィス板91において、本体部20aの長手方向と平行な方向に見た場合に伝熱管12と重ならない位置に形成されている。すなわち、第1分配器20は、第1分配器20を第1分配器20の軸方向に投影した場合に、複数の伝熱管12とオリフィス孔92とは重ならない位置に配置されている。第1分配器20の内部空間21を上昇しながら流れる気液二相冷媒の進行方向(Z軸方向)において、伝熱管12とオリフィス孔92とは重ならない位置に配置されている。
【0154】
第1分配器20の内部空間21を上昇しながら流れる気液二相冷媒は、流路断面が伝熱管12と重ならないX-Y断面を通過すると考えられる。この場合、オリフィス孔92の形成位置が伝熱管12と重なる部分に配置されると、気液二相冷媒の流路は、伝熱管12の存在によって進行方向から迂回してオリフィス孔92へと進む流れとなる。
【0155】
分配器は、このように伝熱管12を迂回する気液二相冷媒の流れにすると、オリフィス孔92を通過するための圧力損失が過剰に発生しやすくガス冷媒の供給が減少するだけでなく液冷媒の供給も減少しやすくなる。そのため、第1分配器20は、
図18~
図20に示すように、第1分配器20の軸方向に投影した場合に、複数の伝熱管12とオリフィス孔92とが重ならない位置に配置されている。
【0156】
[熱交換器50の作用効果]
第1分配器20は、オリフィス孔92と伝熱管12とが重ならない位置に形成されていることで、伝熱管12を迂回する気液二相冷媒の流れが生じにくく、第1分配器20の内部空間21を上昇しながら流れる気液二相冷媒がオリフィス孔92を通過しやすくなる。そのため、第1分配器20は、オリフィス孔92と伝熱管12とが重ならない位置に形成されていることで、上部空間21bに流入する液リッチな気液二相冷媒の供給量を十分に確保することができ、熱交換器50の熱交換器性能の低下を抑えることができる。
【0157】
実施の形態4.
図21は、実施の形態4に係る第1分配器20において、オリフィス孔92と伝熱管12との関係を説明する概念図である。
図21(a)は、
図3に示すC-C線における本体部20aの延びる方向に対して垂直な断面模式図である。
図21(b)は、
図21(a)のE-E線における本体部20aの断面模式図である。
図21(c)は、
図21(b)白抜き矢印で示す空気の流れ方向において、「空気の流れ方向」に対する「空気の温度分布」を示した図である。なお、実施の形態1~実施の形態3に係る第1分配器20等と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0158】
図21を用いて、オリフィス孔92の形成位置と、伝熱管12との関係について説明する。
図21に示す伝熱管12は、空気の流れ方向に対して扁平状に形成されている。伝熱管12は、本体部20aの軸方向となるZ軸に対して、本体部20aの軸方向となるZ軸と伝熱管12が延びる方向であるX軸方向とに垂直な方向であるY軸方向に長軸を有する扁平形状に形成されている。空気の流れは、例えば、
図1に示す室外送風機6又は室内送風機7等によって形成される。室外送風機6又は室内送風機7等は、熱交換器50に空気を供給する。
【0159】
複数の伝熱管12のそれぞれは、扁平管である。複数の伝熱管12のそれぞれは、内部に複数の冷媒流路穴12aが形成されており、複数の冷媒流路穴12aは、空気の流れ方向となるY軸方向に並んで配置されている。オリフィス板91においてオリフィス孔92の形成位置は、第1分配器20の中心位置よりも風上側に偏った位置に形成されている。すなわち、第1分配器20は、複数の冷媒流路穴12aが空気の流れ方向に並んで配置されている伝熱管12に対し、オリフィス孔92が相対的に風上側に位置するように形成されている。
【0160】
図21(c)に示すように、空気は流れ方向に対して徐々に熱交換をして温度降下が生じてしまう。そのため、伝熱管12は、空気の下流に位置する冷媒流路穴12aでは熱交換するための熱量が不足しやすくなる。オリフィス孔92から最短距離にある冷媒流路穴12aには、オリフィス孔92を通過した液冷媒が最も集中しやすい。第1分配器20は、オリフィス孔92を通過した液冷媒が最も集中しやすいオリフィス孔92から最短距離にある冷媒流路穴12aが、空気の風上側となるように伝熱管12に対してオリフィス孔92の形成位置を偏らせている。
【0161】
[熱交換器50の作用効果]
複数の伝熱管12のそれぞれは、内部に複数の冷媒流路穴12aが形成されており、複数の冷媒流路穴12aは、室外送風機6又は室内送風機7等の送風機によって形成される空気の流れる方向に並んで配置されている。第1分配器20は、オリフィス板91においてオリフィス孔92の形成位置が、第1分配器20の中心位置よりも風上側に偏った位置に形成されている。そのため、第1分配器20は、複数の冷媒流路穴12aを備える伝熱管12の熱量に応じた液冷媒の配分を可能とすることで熱交換器50の熱交換器性能を向上させることができる。
【0162】
また、第1分配器20は、オリフィス孔92から最短距離にある冷媒流路穴12aが、空気の風上側となるように伝熱管12に対してオリフィス孔92の形成位置を偏らせている。そのため、第1分配器20は、複数の冷媒流路穴12aを備える伝熱管12の熱量に応じた液冷媒の配分を可能とすることで熱交換器50の熱交換器性能を向上させることができる。
【0163】
実施の形態5.
図22は、実施の形態5に係る熱交換器50の概略図である。なお、実施の形態1~実施の形態4に係る熱交換器50等と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図22に示す実線矢印は、冷媒の流れる方向を示している。また、
図22に示す白抜矢印は、空気の流れる方向を示している。以下の説明では、熱交換器50は、空気調和装置10を用いて暖房運転を行う際に、蒸発器として機能する室外熱交換器5に使用された場合の構成として説明する。
【0164】
図22に示すように、熱交換器50は、熱交換部50aと、第1分配器20と、第2分配器30と、ヘッダ80と、を有する。なお、第1分配器20及び第2分配器30は、ヘッダと称してもよい。
【0165】
(熱交換部50a)
熱交換部50aは、熱交換部50aの周囲に存在する空気と熱交換部50aの内部を流れる冷媒とを熱交換させる。熱交換部50aは、熱交換器50を流れる冷媒の流れの中において、第1分配器20と第2分配器30との間に配置されている。また、熱交換部50aは、熱交換器50を流れる冷媒の流れの中において、第2分配器30とヘッダ80との間に配置されている。熱交換部50aは、複数の伝熱管12と、隣り合う伝熱管12同士を接続する伝熱促進部材13とを有する。
【0166】
実施の形態5の熱交換部50aは、2列以上の熱交換部50aを有している。熱交換部50aは、
図22に示すように、空気の流れる方向において、上流側に位置する第1熱交換部51と下流側に位置する第2熱交換部52とを有する。第1熱交換部51及び第2熱交換部52はそれぞれ、XZ平面を形成するように形成されている。第1熱交換部51及び第2熱交換部52は、空気の流れる方向となるY軸方向において、互いに対向するように配置されている。
【0167】
熱交換器50が室外熱交換器5(
図1参照)である場合には、空気調和装置10は、室外送風機6によって熱交換器50を通過する空気の流れが形成される。この場合、熱交換部50aは、室外送風機6によって形成される空気の流れる方向において、上流側に位置する第1熱交換部51と下流側に位置する第2熱交換部52とを有する。すなわち、第1熱交換部51は第2熱交換部52に対して風上側に配置され、第2熱交換部52は第1熱交換部51に対して風下側に配置されている。
【0168】
例えば、室外送風機6によって形成される空気の流れる方向において、室外送風機6が熱交換器50の風上側に位置する場合には、第1熱交換部51は第2熱交換部52に対して室外送風機6に近い側に配置される。あるいは、室外送風機6によって形成される空気の流れる方向において、室外送風機6が熱交換器50の風下側に位置する場合には、第1熱交換部51は第2熱交換部52と比較して室外送風機6から遠い側に配置される。
【0169】
熱交換器50が室内熱交換器3(
図1参照)である場合には、空気調和装置10は、室内送風機7によって熱交換器50を通過する空気の流れが形成される。この場合、熱交換部50aは、室内送風機7によって形成される空気の流れる方向において、上流側に位置する第1熱交換部51と下流側に位置する第2熱交換部52とを有する。
【0170】
例えば、室内送風機7によって形成される空気の流れる方向において、室内送風機7が熱交換器50の風上側に位置する場合には、第1熱交換部51は第2熱交換部52に対して室内送風機7に近い側に配置される。あるいは、室内送風機7によって形成される空気の流れる方向において、室内送風機7が熱交換器50の風下側に位置する場合には、第1熱交換部51は第2熱交換部52と比較して室内送風機7から遠い側に配置される。
【0171】
第1熱交換部51は、
図22に示すように、流通する冷媒の上流側に位置する第1補助熱交換部51aと、流通する冷媒の下流側に位置する第1主熱交換部51bと、を有する。同様に、第2熱交換部52は、
図22に示すように、流通する冷媒の上流側に位置する第2補助熱交換部52aと、流通する冷媒の下流側に位置する第2主熱交換部52bと、を有する。熱交換部50aは、第1補助熱交換部51a、第2補助熱交換部52a、第1主熱交換部51b、第2主熱交換部52bの順に冷媒が流れる。
【0172】
第1補助熱交換部51aは、伝熱管12の延伸方向(X軸方向)の一端側が第1分配器20と接続され、また、同じ一旦側がジョイント401を介して第2補助熱交換部52aと接続されている。第1補助熱交換部51aは、複数の伝熱管12の内、一部が第1分配器20と接続されており、他の一部がジョイント401と接続されている。第1補助熱交換部51aは、伝熱管12の延伸方向(X軸方向)の他端側にU字形状に形成されたヘアピン部202を有している。
【0173】
第1補助熱交換部51aは、第1分配器20を流出して伝熱管12を流れる冷媒がヘアピン部202で流れる向きを変える。第1補助熱交換部51aは、第1分配器20からヘアピン部202に向かって冷媒が流れ、異なる他の伝熱管12を通りヘアピン部202から第1分配器20の配置側に向かうように形成されている。ヘアピン部202から、第1分配器20の配置側に向かう冷媒はジョイント401を介して第2補助熱交換部52aへ流入する。
【0174】
第2補助熱交換部52aは、伝熱管12の延伸方向(X軸方向)の一端側がジョイント401を介して第1補助熱交換部51aと接続され、また、同じ一端側が配管300を介して第2分配器30と接続されている。第2補助熱交換部52aは、複数の伝熱管12の内、一部が配管300と接続されており、他の一部がジョイント401と接続されている。第2補助熱交換部52aは、伝熱管12の延伸方向(X軸方向)の他端側にU字形状に形成されたヘアピン部202(図示は省略)を有している。
【0175】
第2補助熱交換部52aは、ジョイント401を流出して伝熱管12を流れる冷媒がヘアピン部202で流れる向きを変え、ヘアピン部202に向かう伝熱管12とは異なる他の伝熱管12を通り配管300に向かうように形成されている。第2補助熱交換部52aと第2分配器30とは配管300によって接続されている。
【0176】
第1主熱交換部51bは、上側主熱交換部5b1、中上側主熱交換部5b2、中下側主熱交換部5b3、及び下側主熱交換部5b4を含む。上側主熱交換部5b1は、上側主熱交換部5b1を構成する伝熱管12が上側第2分配器31と接続する第1主熱交換部51bの部分である。中上側主熱交換部5b2は、中上側主熱交換部5b2を構成する伝熱管12が中上側第2分配器32(
図2参照)と接続する第1主熱交換部51bの部分である。
【0177】
中下側主熱交換部5b3は、中下側主熱交換部5b3を構成する伝熱管12が中下側第2分配器33(
図2参照)と接続する第1主熱交換部51bの部分である。下側主熱交換部5b4は、下側主熱交換部5b4を構成する伝熱管12が下側第2分配器34と接続する第1主熱交換部51bの部分である。第1主熱交換部51bは、上側主熱交換部5b1、中上側主熱交換部5b2、中下側主熱交換部5b3、及び下側主熱交換部5b4の総称でもある。
【0178】
第1主熱交換部51bは、伝熱管12の延伸方向(X軸方向)の一端側が第2分配器30と接続され、また、同じ一旦側がジョイント401を介して第2主熱交換部52bと接続されている。第1主熱交換部51bは、複数の伝熱管12の内、一部が第2分配器30と接続されており、他の一部がジョイント401と接続されている。第1主熱交換部51bは、伝熱管12の延伸方向(X軸方向)の他端側にU字形状に形成されたヘアピン部202を有している。
【0179】
第1主熱交換部51bは、第2分配器30を流出して伝熱管12を流れる冷媒がヘアピン部202で流れる向きを変える。第1主熱交換部51bは、第2分配器30からヘアピン部202に向かって冷媒が流れ、異なる他の伝熱管12を通りヘアピン部202から第2分配器30の配置側に向かうように形成されている。ヘアピン部202から、第2分配器30の配置側に向かう冷媒はジョイント401を介して第2主熱交換部52bへ流入する。
【0180】
第2主熱交換部52bは、伝熱管12の延伸方向(X軸方向)の一端側がジョイント401を介して第1主熱交換部51bと接続され、また、同じ一旦側がヘッダ80と接続されている。第2主熱交換部52bは、複数の伝熱管12の内、一部がヘッダ80と接続されており、他の一部がジョイント401と接続されている。第2主熱交換部52bは、伝熱管12の延伸方向(X軸方向)の他端側にU字形状に形成されたヘアピン部202(図示は省略)を有している。
【0181】
第2主熱交換部52bは、ジョイント401を流出して伝熱管12を流れる冷媒がヘアピン部202で流れる向きを変え、ヘアピン部202に向かう伝熱管12とは異なる他の伝熱管12を通りヘッダ80に向かうように形成されている。
【0182】
(第1分配器20)
第1分配器20は、熱交換器50が蒸発器として機能する場合に、第1補助熱交換部51aの冷媒の流入側に設けられている。第1分配器20は、第1補助熱交換部51aを構成する複数の伝熱管12の延伸方向(X軸方向)において、一方の端部に接続されている。第1分配器20は、第1分配器20の内部と伝熱管12の管路内とが連通するように、第1補助熱交換部51aの伝熱管12に接続されている。
【0183】
第1分配器20は、複数の伝熱管12の配列方向(Z軸方向)に沿って延伸するように形成されている。第1分配器20は、複数の伝熱管12に冷媒を分配する。第1分配器20は、熱交換器50において、熱交換部50aの第1補助熱交換部51aに流入する冷媒を、複数の伝熱管12に分配する分配機構として機能する。
【0184】
(第2分配器30)
第2分配器30は、熱交換器50が蒸発器として機能する場合に、第1主熱交換部51bの冷媒の流入側に設けられている。第2分配器30は、熱交換器50が蒸発器として機能する場合に、第2補助熱交換部52aの冷媒の流出側に設けられている。
【0185】
第2分配器30は、第1主熱交換部51bを構成する複数の伝熱管12の延伸方向(X軸方向)において、一方の端部に接続されている。第2分配器30は、第2分配器30の内部と伝熱管12の管路内とが連通するように、第1主熱交換部51bの伝熱管12に接続されている。第2分配器30は、配管300を介して第2補助熱交換部52aを構成する複数の伝熱管12と接続されている。
【0186】
第2分配器30は、複数の伝熱管12の配列方向(Z軸方向)に沿って延伸するように形成されている。第2分配器30は、複数の伝熱管12に冷媒を分配する。第2分配器30は、熱交換器50において、熱交換部50aの第1主熱交換部51bに流入する冷媒を、複数の伝熱管12に分配する分配機構として機能する。
【0187】
第2補助熱交換部52aと第2分配器30とは、上述したように配管300で接続されている。より詳細には、第2補助熱交換部52aは、上側配管301、中上側配管302、中下側配管303、及び、下側配管304と接続されている。
【0188】
上側配管301は、第2補助熱交換部52aと上側第2分配器31とを接続する配管である。上側配管301は、伝熱管12を介して第1分配器20の下部空間21a(
図2参照)と、上側第2分配器31の内部とを連通させる。中上側配管302は、第2補助熱交換部52aと中上側第2分配器32とを接続する配管である。中上側配管302は、伝熱管12を介して第1分配器20の上部空間21b(
図2参照)と、中上側第2分配器32の内部とを連通させる。
【0189】
中下側配管303は、第2補助熱交換部52aと中下側第2分配器33とを接続する配管である。中下側配管303は、伝熱管12を介して第1分配器20の上部空間21b(
図2参照)と、中下側第2分配器33の内部とを連通させる。下側配管304は、第2補助熱交換部52aと下側第2分配器34とを接続する配管である。下側配管304は、伝熱管12を介して第1分配器20の下部空間21a(
図2参照)と、下側第2分配器34の内部とを連通させる。
【0190】
(ヘッダ80)
ヘッダ80は、第2主熱交換部52bを構成する複数の伝熱管12の、延伸方向(X軸方向)の一方の端部に接続されている。ヘッダ80は、ヘッダ80の内部と伝熱管12の管路内とが連通するように、第2主熱交換部52bの伝熱管12に接続されている。ヘッダ80は、熱交換器50において、第2主熱交換部52bの複数の伝熱管12から流出する冷媒が合流する際の合流機構として機能する。なお、ヘッダ80は、ガスヘッダと称する場合がある。
【0191】
実施の形態5に示す熱交換器50は、
図22に示すように、空気の流れる方向において、上流側に第2分配器30が配置され、下流側にヘッダ80が配置されている。また、実施の形態5に示す熱交換器50は、
図22に示すように、空気の流れる方向において、上流側に第1分配器20が配置され、下流側にヘッダ80が配置されている。
【0192】
また、実施の形態5に示す熱交換器50は、
図22に示すように、第1分配器20の上方に第2分配器30が配置されており、第2分配器30の下方に第1分配器20が配置されている。実施の形態5に示す熱交換器50は、第1分配器20、下側第2分配器34、中下側第2分配器33、中上側第2分配器32、上側第2分配器31が、上下方向に並んで配置されている。実施の形態5に示す熱交換器50は、第1分配器20、下側第2分配器34、中下側第2分配器33、中上側第2分配器32、上側第2分配器31が、下方から上方に向かってこの順番に並んで配置されている。
【0193】
図23は、実施の形態5に係る熱交換器50の冷媒流路の説明図である。
図23の「分配器側」は、熱交換器50の第1分配器20の配置側の端部を表し、「ヘアピン側」は、熱交換器50のヘアピン部202の配置側の端部を表している。
図23の点線矢印及び実線矢印は冷媒の流れを示している。
図23を用いて第1熱交換部51と第2熱交換部52とを通過する冷媒流路の流れを説明する。なお、流入口A1、開口部A2、開口部A3、流出口A4、流入口B1、開口部B2、開口部B3、流出口B4は、伝熱管12の端部の開口部を概念的に示したものである。
【0194】
流入口A1、開口部A2、開口部A3、流出口A4、流入口B1、開口部B2、開口部B3、流出口B4は、第1分配器20の下部本体部20a1と接続し、下部空間21aに連通している(
図3参照)。また、流入口A1、開口部A2、開口部A3、流出口A4、流入口B1、開口部B2、開口部B3、流出口B4は、第1分配器20の上部本体部20a2と接続し、上部空間21bに連通している(
図3参照)。
【0195】
例えば、
図23に示す第1熱交換部51が第1補助熱交換部51aであり、第2熱交換部52が第2補助熱交換部52aである場合の冷媒の流れについて説明する。第1分配器20によって分配された冷媒RAが、第1熱交換部51の流入口A1から第1熱交換部51内に流入した場合、冷媒RAは、流入口A1からヘアピン部202(
図22参照)まで流れる。
【0196】
第1熱交換部51において、ヘアピン部202に到達した冷媒RAは、ヘアピン部202でUターンし、流入口A1からヘアピン部202まで流れた伝熱管12の1段上の伝熱管12を流れ、ヘアピン部202から開口部A2に向かう。開口部A2は、流入口A1よりも一段上に位置している。
【0197】
第1熱交換部51の開口部A2と、第2熱交換部52の開口部A3とは、U字形状の管であるUベント402によって接続されている。より詳細には、開口部A2及び開口部A3には、ジョイント401(
図22参照)が設けられており、開口部A2のジョイント401と、開口部A3のジョイント401とを接続するようにUベント402が設けられている。
【0198】
冷媒RAは、Uベント402によって、第1熱交換部51から第2熱交換部52へと列を移動する。第1熱交換部51の開口部A2から流出した冷媒RAは、Uベント402を通り、第2熱交換部52の開口部A3に流入する。開口部A3から第2熱交換部52内に流入した冷媒RAは、開口部A3からヘアピン部202(
図22参照)まで流れる。
【0199】
第2熱交換部52において、ヘアピン部202に到達した冷媒RAは、ヘアピン部202でUターンし、開口部A3からヘアピン部202まで流れた伝熱管12の1段下の伝熱管12を流れ、ヘアピン部202から流出口A4に向かう。流出口A4は、開口部A3よりも一段下に位置している。流出口A4から第2熱交換部52を流出する冷媒RAは、配管300(
図22参照)を通り、第2分配器30へ流入する。
【0200】
また、第1分配器20によって分配された冷媒RBが、第1熱交換部51の流入口B1から第1熱交換部51内に流入した場合、冷媒RBは、流入口B1からヘアピン部202(
図22参照)まで流れる。流入口B1は、流入口A1よりも一段下に位置している。
【0201】
第1熱交換部51において、ヘアピン部202に到達した冷媒RBは、ヘアピン部202でUターンし、流入口B1からヘアピン部202まで流れた伝熱管12の1段下の伝熱管12を流れ、ヘアピン部202から開口部B2に向かう。開口部B2は、流入口B1よりも一段下に位置している。
【0202】
第1熱交換部51の開口部B2と、第2熱交換部52の開口部B3とは、U字形状の管であるUベント402によって接続されている。より詳細には、開口部B2及び開口部B3には、ジョイント401(
図22参照)が設けられており、開口部B2のジョイント401と、開口部B3のジョイント401とを接続するようにUベント402が設けられている。
【0203】
冷媒RBは、Uベント402によって、第1熱交換部51から第2熱交換部52へと列を移動する。第1熱交換部51の開口部B2から流出した冷媒RBは、Uベント402を通り、第2熱交換部52の開口部B3に流入する。開口部B3から第2熱交換部52内に流入した冷媒RBは、開口部B3からヘアピン部202(
図22参照)まで流れる。
【0204】
第2熱交換部52において、ヘアピン部202に到達した冷媒RBは、ヘアピン部202でUターンし、開口部B3からヘアピン部202まで流れた伝熱管12の1段上の伝熱管12を流れ、ヘアピン部202から流出口B4に向かう。流出口B4は、開口部B3よりも一段上に位置している。流出口B4から第2熱交換部52を流出する冷媒RBは、配管300(
図22参照)を通り、第2分配器30へ流入する。なお、流出口B4は、流出口A4よりも一段下に形成されている。
【0205】
上記の冷媒RA及び冷媒RBの流れの説明は、第1熱交換部51が、第1補助熱交換部51aであり、第2熱交換部52が第2補助熱交換部52aである場合の冷媒の流れについて説明したものである。第1熱交換部51が、第1主熱交換部51bであり、第2熱交換部52が第2主熱交換部52bである場合、冷媒RAは、第2分配器30から流入口A1に流入し、冷媒RBは、第2分配器30から流入口B1に流入する。
【0206】
また、第1熱交換部51が、第1主熱交換部51bであり、第2熱交換部52が第2主熱交換部52bである場合、冷媒RAは、第2熱交換部52の流出口A4からヘッダ80内に流入し、冷媒RBは、第2熱交換部52の流出口B4からヘッダ80内に流入する。流入口A1から流出口A4へ向かう冷媒RAの流れ、及び、流入口B1から流出口B4へ向かう冷媒RBの流れは、上述した第1熱交換部51が、第1補助熱交換部51aであり、第2熱交換部52が第2補助熱交換部52aである場合と同じである。
【0207】
図24は、実施の形態5に係る熱交換器50の変形例の概略図である。実施の形態5に係る熱交換器50の変形例は、分配器120を有している。分配器120は、第1分配器20と、第2分配器30とが一体に形成されている。より詳細には、分配器120は、第1分配器20と、上側第2分配器31と、中上側第2分配器32と、中下側第2分配器33と、下側第2分配器34とが一体に形成されている。実施の形態5に係る熱交換器50の変形例は、第2分配器30が第1分配器20と同じ形状に形成されている。すなわち、第2分配器30は、第1分配器20と共に第1部品23及び第2部品24で形成されている。
【0208】
分配器120は、第1分配器20、下側第2分配器34、中下側第2分配器33、中上側第2分配器32、上側第2分配器31を構成する部分が、上下方向(Z軸方向)に並んで配置されている。分配器120は、第1分配器20、下側第2分配器34、中下側第2分配器33、中上側第2分配器32、上側第2分配器31を構成する部分が、下方から上方に向かってこの順番に並んで配置されており、これらの部分が一体に形成されている。
【0209】
第1分配器20と第2分配器30とは、上下方向(Z軸方向)に延びるように一体に形成されており、第1分配器20の内部の空間と第2分配器30の内部の空間とを隔てる仕切板94を有している。
【0210】
第1分配器20と第2分配器30との間、すなわち、第1分配器20と下側第2分配器34との間は仕切板94によって仕切られている。第1分配器20の空間と下側第2分配器34の空間とは、仕切板94によって隔てられている。同様に、下側第2分配器34と中下側第2分配器33との間、中下側第2分配器33と中上側第2分配器32との間、中上側第2分配器32と上側第2分配器31との間も仕切板94によって仕切られている。
【0211】
下側第2分配器34の空間と中下側第2分配器33の空間とは仕切板94によって隔てられている。また、中下側第2分配器33の空間と中上側第2分配器32の空間とは仕切板94によって隔てられている。また、中上側第2分配器32の空間と上側第2分配器31の空間とは仕切板94によって隔てられている。
【0212】
[熱交換器50の作用効果]
実施の形態5に係る熱交換器50の変形例は、第1分配器20と第2分配器30とが上下方向(Z軸方向)に延びるように一体に形成されており、第1分配器20の内部の空間と第2分配器30の内部の空間とを隔てる仕切板94を有している。実施の形態5に係る熱交換器50の変形例は、第1部品23(
図4参照)を構成する部品と、第2部品24を構成する部品とを長物で作れば仕切板94のような小部品を用いることで第1分配器20と第2分配器30とを構成することができる。
【0213】
また、分配器120は、第1分配器20、下側第2分配器34、中下側第2分配器33、中上側第2分配器32、上側第2分配器31を構成する部分のそれぞれの間が仕切板94によって仕切られている。分配器120は、第1部品23を構成する部品と、第2部品24を構成する部品とを長物で作れば仕切板94のような小部品を用いることで第1分配器20、下側第2分配器34、中下側第2分配器33、中上側第2分配器32、上側第2分配器31を構成できる。
【0214】
実施の形態5に係る熱交換器50の変形例は、分配器120を有し、仕切板94を用いることで分配器120内に第1分配器20、下側第2分配器34、中下側第2分配器33、中上側第2分配器32、上側第2分配器31を構成することができる。熱交換器50は、簡素な構成要素によって第1分配器20、下側第2分配器34、中下側第2分配器33、中上側第2分配器32、上側第2分配器31を構成することができ、これらの部分を別々に作る場合と比較して材料コストと製造コストとを低減できる。
【0215】
また、熱交換器50は、簡素な構成要素によって第1分配器20、下側第2分配器34、中下側第2分配器33、中上側第2分配器32、上側第2分配器31を構成することができ、これらの部分を別々に作る場合と比較してコンパクト化を図ることができる。
【0216】
また、熱交換器50は、簡素な構成要素によって第1分配器20、下側第2分配器34、中下側第2分配器33、中上側第2分配器32、上側第2分配器31を構成することができる。そのため、熱交換器50は、これらの部分を別々に作る場合と比較して部品数が少ないことでの組立性の向上に貢献することができる。
【0217】
[熱交換器50の利用例]
図25は、実施の形態1~5に係る熱交換器50と室外送風機6との関係を示す第1の概要図である。
図25に示す矢印は空気の流れを示している。また、
図25に示す室外送風機6は、室外熱交換器5を構成する熱交換器50の複数の伝熱管12に空気を供給する送風機である。
【0218】
図25に示すように、室外機111は、室外熱交換器5と、室外送風機6とを有する。室外機111は、空気調和装置10に用いられる。室外機111は、例えば家庭用もしくは業務用の室外機であって、サイドフロー型の室外送風機6を有している。室外機111に用いられる室外熱交換器5には、上述した熱交換器50が用いられる。なお、室外機111は、室内機でもよく、この場合、室外熱交換器5は室内熱交換器3(
図1参照)であり、室外送風機6は室内送風機7である。
【0219】
図26は、実施の形態1~5に係る熱交換器50と室外送風機6との関係を示す第2の概要図である。
図26に示す矢印は空気の流れを示している。また、
図26に示す室外送風機6は、室外熱交換器5を構成する熱交換器50の複数の伝熱管12に空気を供給する送風機である。
【0220】
図26に示すように、室外機112は、室外熱交換器5と、室外送風機6とを有する。室外機112は、空気調和装置10に用いられる。室外機112は、例えばビル用室外機であって、トップフロー型の室外送風機6を搭載している。室外機112に用いられる室外熱交換器5には、上述した熱交換器50が用いられる。なお、室外機112は、室内機でもよく、この場合、室外熱交換器5は室内熱交換器3(
図1参照)であり、室外送風機6は室内送風機7である。
【0221】
図27は、実施の形態1~5に係る熱交換器50と室内送風機7との関係を示す第1の概要図である。
図27に示す矢印は空気の流れを示している。また、
図27に示す室内送風機7は、室内熱交換器3を構成する熱交換器50の複数の伝熱管12に空気を供給する送風機である。
【0222】
図27に示すように、室内機113は、室内熱交換器3と、室内送風機7とを有する。室内機113は、空気調和装置10に用いられる。室内機113は、例えばカセット型の業務用の室内機であって、ターボファンを室内送風機7として搭載している。室内機113に用いられる室内熱交換器3には、上述した熱交換器50が用いられる。なお、室内機113は、室外機でもよく、この場合、室内熱交換器3は室外熱交換器5(
図1参照)であり、室内送風機7は室外送風機6である。
【0223】
図28は、実施の形態1~5に係る熱交換器50と室内送風機7との関係を示す第2の概要図である。
図28に示す矢印は空気の流れを示している。また、
図28に示す室内送風機7は、室内熱交換器3を構成する熱交換器50の複数の伝熱管12に空気を供給する送風機である。
【0224】
図28に示すように、室内機114は、室内熱交換器3と、室内送風機7とを有する。室内機114は、空気調和装置10に用いられる。室内機114は、例えば家庭用室内機であって、クロスフローファンを室内送風機7として搭載している。室内機114に用いられる室内熱交換器3には、上述した熱交換器50が用いられる。なお、室内機114は、室外機でもよく、この場合、室内熱交換器3は室外熱交換器5(
図1参照)であり、室内送風機7は室外送風機6である。
【0225】
図29は、実施の形態1~5に係る熱交換器50と室内送風機7との関係を示す第3の概要図である。
図30は、実施の形態1~5に係る熱交換器50と室内送風機7との関係を示す第4の概要図である。
図29及び
図30に示す矢印は空気の流れを示している。また、
図29及び
図30に示す室内送風機7は、室内熱交換器3を構成する熱交換器50の複数の伝熱管12に空気を供給する送風機である。
図29及び
図30に示すように、室内機115及び室内機116は、室内熱交換器3と、室内送風機7とを有する。
【0226】
室内機115は、室内送風機7によって形成される空気の流れる方向において、室内送風機7が室内熱交換器3に対して上流側に配置され、室内熱交換器3が室内送風機7に対して下流側に配置されている。室内機116は、室内送風機7によって形成される空気の流れる方向において、室内送風機7が室内熱交換器3に対して下流側に配置され、室内熱交換器3が室内送風機7に対して上流側に配置されている。
【0227】
室内機115及び室内機116は、空気調和装置10に用いられる。室内機115及び室内機116は、例えば天井埋込型の室内機であって、シロッコファンを室内送風機7として搭載している。室内機115及び室内機116に用いられる室内熱交換器3には、上述した熱交換器50が用いられる。なお、室内機115及び室内機116は、室外機でもよく、この場合、室内熱交換器3は室外熱交換器5(
図1参照)であり、室内送風機7は室外送風機6である。
【0228】
なお、
図29及び
図30のように室内熱交換器3が重力方向に対して傾斜して設置される際、課題としている液冷媒とガス冷媒との分離による液冷媒の落下は生じにくくなる。しかし、冷媒の流量が少ない場合の分配器上部への液冷媒の不足を抑えるために実施の形態1~5の分配器を有する熱交換器50を用いてもよい。
【0229】
[空気調和装置10の作用効果]
空気調和装置10は、上述した実施の形態1~5のいずれかに係る熱交換器50を備えたものである。したがって、空気調和装置10は、実施の形態1~5に係る熱交換器50のいずれかと同様の効果を得ることができる。
【0230】
上記の各実施の形態1~5は、互いに組み合わせて実施することが可能である。また、以上の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。本開示に係る熱交換器50は、上記の空気調和装置10以外にも、例えば、ヒートポンプ装置、給湯装置又は冷凍装置等に適用することができる。また、熱交換器50は、補助熱交換部5aを必要としない形態の上流側分配器として用いる場合でもよい。また、第2分配器30がオリフィス板91を有していてもよい。
【符号の説明】
【0231】
1 圧縮機、2 流路切替装置、3 室内熱交換器、4 減圧装置、5 室外熱交換器、5a 補助熱交換部、5b 主熱交換部、5b1 上側主熱交換部、5b2 中上側主熱交換部、5b3 中下側主熱交換部、5b4 下側主熱交換部、6 室外送風機、7 室内送風機、10 空気調和装置、12 伝熱管、12a 冷媒流路穴、12b 先端部、13 伝熱促進部材、20 第1分配器、20a 本体部、20a1 下部本体部、20a2 上部本体部、21 内部空間、21a 下部空間、21b 上部空間、21c 隅部、21d 隅部、23 第1部品、24 第2部品、25 挿入面部、26 側面部、27 膨出部、27a 対向面、27b 最頂部、27c 円形凸部、27d 四角状凸部、27e 山状凸部、28 平板部、28a 接合部、30 第2分配器、31 上側第2分配器、32 中上側第2分配器、33 中下側第2分配器、34 下側第2分配器、35 気液二相冷媒、41 蓋、42 蓋、43 接続口、44 流入口、50 熱交換器、50a 熱交換部、51 第1熱交換部、51a 第1補助熱交換部、51b 第1主熱交換部、52 第2熱交換部、52a 第2補助熱交換部、52b 第2主熱交換部、80 ヘッダ、91 オリフィス板、92 オリフィス孔、92a オリフィス孔、92b オリフィス孔、94 仕切板、111 室外機、112 室外機、113 室内機、114 室内機、115 室内機、116 室内機、120 分配器、201 流入管、202 ヘアピン部、300 配管、301 上側配管、302 中上側配管、303 中下側配管、304 下側配管、401 ジョイント、402 Uベント、801 流出管、A1 流入口、A2 開口部、A3 開口部、A4 流出口、B1 流入口、B2 開口部、B3 開口部、B4 流出口。