(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 25/02 20060101AFI20250418BHJP
【FI】
F25D25/02 M
(21)【出願番号】P 2023573786
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2022001313
(87)【国際公開番号】W WO2023135787
(87)【国際公開日】2023-07-20
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和貴
(72)【発明者】
【氏名】西岡 孝真
(72)【発明者】
【氏名】大石 浩之
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-050647(JP,A)
【文献】実開昭57-174990(JP,U)
【文献】特開2017-146030(JP,A)
【文献】特開2021-099196(JP,A)
【文献】実公昭45-033738(JP,Y1)
【文献】実開平03-000580(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102011078316(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0024006(US,A1)
【文献】国際公開第2017/163295(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口が設けられ、貯蔵空間となる貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室内において、高さ方向に対して異なる位置に配置される複数の収納棚と、
前記貯蔵室の側壁面に設置され、前記収納棚を支持する貯蔵室側レール構造体と、
前記複数の収納棚のうち、第1の収納棚の下部に設置され、前記第1の収納棚より下方に延びて、前記貯蔵室内を幅方向に複数に区画する壁となる仕切り本体および前記仕切り本体の両側面
に設置され、前記貯蔵室側レール構造体と対になって前記収納棚を支持する仕切り側レール構造体を有する仕切りと
を備え
、
前記仕切りは、前記第1の収納棚と着脱可能に設置される冷蔵庫。
【請求項2】
前記貯蔵室側レール構造体および前記仕切り側レール構造体は、前記高さ方向に1または複数段設置される請求項1
に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵室は、内壁背面に吹出口を有し、
幅方向に区画された複数の前記貯蔵空間の1つに前記吹出口が位置し、前記仕切りは、前面から見て前記吹出口と重ならない位置に設置される請求項1
または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記仕切りは、幅方向に区画された複数の前記貯蔵空間を連通する連通口を有する請求項1~請求項
3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前面に開口が設けられ、貯蔵空間となる貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室内において、高さ方向に対して異なる位置に配置される複数の収納棚と、
前記貯蔵室の側壁面に設置され、前記収納棚を支持する貯蔵室側レール構造体と、
前記複数の収納棚のうち、第1の収納棚の下部に設置され、前記第1の収納棚より下方に延びて、前記貯蔵室内を幅方向に複数に区画する壁となる仕切り本体および前記仕切り本体の両側面に設置され、前記貯蔵室側レール構造体と対になって前記収納棚を支持する仕切り側レール構造体を有する仕切りと
を備え、
前記第1の収納棚は、平面板
と前記平面板の縁部分に開口する嵌合部
とを有し、
前記仕切りは、前記仕切り本体における上面の前端部および後端部に、それぞれ取付け部を有し、
前記取付け部のうち、
前記第1の収納棚に前記仕切りが取付けられる挿入方向において前側となる前記取付け部は、前記第1の収納棚の前記嵌合部に差し込まれる突出部を有する前方取付け部であり、
前記第1の収納棚に前記仕切りが取付けられる前記挿入方向において後側となる前記取付け部は、上面から見たときに先端が前記平面板と重なり、前記第1の収納棚の上面に引っ掛かる係止部を有する後方取付け部である
、冷蔵庫。
【請求項6】
前記後方取付け部は、前記仕切りより上方に向かって伸びる台座部を有し、
前記台座部より前記係止部が前方に延伸し、
前記第1の収納棚は、前記台座部が差し込まれ、前記仕切りの幅方向への動きを規制する係止用凹部を有し、
前記係止部は、前記後方取付け部が挿入されたときに前記係止用凹部よりも上側に位置し、前記係止用凹部よりも幅方向の長さが長い請求項
5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記平面板は、上面および下面が樹脂枠で覆われており、かつ、前記後方取付け部が有する前記係止部が引っ掛けられる部分に、前記平面板の上面を覆う樹脂と前記下面を覆う樹脂とを連結させる樹脂が充填された開口部を有する請求項
5または請求項
6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記平面板は
樹脂枠で覆われたガラス板であり、前記嵌合部は、前記平面板の前端付近で、前記平面板の下面を覆う
樹脂よりも下方に突出し、後方に折れ曲がり、設定された高さの隙間を有して、前記第1の収納棚の後方に向かって開口する請求項
7に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記仕切りは、前記第1の収納棚の幅方向の面に沿って、前記仕切り本体の両側面から幅方向に延びる壁面部を有する請求項1~請求項
8のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記貯蔵室は、前記仕切り本体の両側面に突き出され、前記仕切りの前記幅方向への動きを規制するパネル係止部を内壁背面に有する請求項1~請求項
9のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記収納棚は、下面側の前記仕切り側レール構造体に支持される部分に凸形状の棚突起部を有し、
前記仕切り側レール構造体は、上面側の一部に、前記棚突起部が挿入される凹形状のレール穴を有し、
前記レール穴は、前記仕切りが幅方向に設定量移動すると、前記棚突起部が接触する側壁を有する請求項1~請求項
10のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項12】
前記収納棚は、下面側に爪部を有し、
前記爪部は、下方に向かって延びる爪支持部と、前記爪支持部より前記仕切り本体側に延伸し、前記仕切り側レール構造体よりも下側にある係止部とを有し、
前記爪部の前記係止部は、前記仕切り側レール構造体と重なる領域を有する請求項
11に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、冷蔵庫に関するものである。特に、貯蔵室内に配置する収納棚による貯蔵空間の高さ方向の変更に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来の冷蔵庫として、貯蔵室内の側面に、複数の食品収納棚(以下、収納棚という)を支持する支持部を備えたものが知られている。このような冷蔵庫は、貯蔵室内において、収納棚を載せる支持部における高さ方向の位置を変更することで、収納する食品の高さに合わせて収納棚の位置を変更することができ、食品の収納性の自由度を高めることができる。
【0003】
ただし、このような冷蔵庫では、収納棚の高さ方向における位置を変える場合、収納棚の全幅にわたって高さを変更する必要がある。このため、このような冷蔵庫では、一部の背の高い食品をいれるような場合でも、貯蔵空間の全体の高さの調整が必要となる。したがって、食品収納スペースの無駄が発生する可能性がある。
【0004】
そこで、貯蔵室を上下に延びる仕切り板で左右に分割し、仕切り板の左右で貯蔵空間の高さを変更できる冷蔵庫がある(たとえば、特許文献1参照)。この冷蔵庫は、上下段に分かれた貯蔵室を有する。そして、上段の貯蔵室は、冷蔵室および野菜室を備え、下段の貯蔵室は、冷凍室を備える。また、上段の貯蔵室は、貯蔵室の床面から天井までを上下に仕切る仕切り板を有する。そして、この冷蔵庫は、仕切り板の左右の両側面と貯蔵室の内壁面の仕切り板の両側面に対応する高さ方向とに複数の棚支持形状を備える。このようにして、特許文献1の冷蔵庫は、仕切り板と貯蔵室の内壁面との間に収納棚を設置することで、仕切り板と貯蔵室の内壁面の間に設置する収納棚の高さを調整することができる。
【0005】
また、貯蔵室の天井に取付けられた固定具により、天井から任意の高さのところまで棚支えにより収納棚を分割することができる冷蔵庫がある(たとえば、特許文献2参照)。このため、特許文献2の冷蔵庫により、収納棚の高さ方向における使用者の自由度があがる。
【0006】
さらに、貯蔵室の棚の上に上下方向に延材する側壁部を備えた第一の棚と、側壁部と貯蔵室の内側の壁面の間に配置され、上下方向について複数の位置で指示される棚面を有する第二の棚を備える冷蔵庫がある(たとえば、特許文献3参照)。特許文献3の冷蔵庫は、任意の高さの食品を収納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-099563号公報
【文献】実開平03-000580号公報
【文献】特開2001-050647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の冷蔵庫は、貯蔵室の床面から仕切り板が延びている場合、仕切り板で左右に分割された空間は、幅方向に狭くなる。このため、特許文献1の冷蔵庫は、大皿および取っ手付きの鍋など幅が広いものを収納するには不向きである。特に、上段の貯蔵室の床面に近いところは、比較的身長の低いユーザにとって使い勝手がよい。身長の低いユーザは、重い鍋および食品の盛られた大皿などを、上段の収納棚に収納するより、貯蔵室床面もしくは床近傍にある収納棚に収納する方が姿勢が楽になる。上段の貯蔵室の床面が、仕切り板で左右に分割されていると、幅が大きいものを収納できなくなる。特許文献1には、貯蔵室床面ではなく貯蔵室床面よりも高い位置において、貯蔵室の左右に仕切り板が延びる冷蔵庫もあるが、上下に延びる仕切り板の下を支持するように収納棚を配置することになる。このため、仕切り板の下と接触する収納棚は、高さ方向の位置を変更することができない。したがって、下の収納棚は、高さ調整の自由度が悪くなってしまう。
【0009】
また、特許文献2の冷蔵庫は、棚支えに複数段の収納棚を配置する場合、分割しようとする収納棚だけでなく、分割しようとする収納棚よりも上方に位置する収納棚もすべて左右に分割されてしまう。このため、広く使いたい場合の使用が困難になってしまう。また、特許文献2の冷蔵庫は、固定具が天井部に取付けられているため、取り外して清掃することができない、部品が破損した場合に取り換えが困難であるなどの課題もある。さらに、特許文献2の冷蔵庫は、固定具が下方まで伸びることで、固定具自体の体積が大きくなってしまうため、食品収納スペースを損なう課題もある。
【0010】
さらに、特許文献3の冷蔵庫は、構造的に、第一の収納棚および第二の収納棚のそれぞれに、収納棚を支持する側壁が必要になる。このため、特許文献3の冷蔵庫では、貯蔵室内の収納容量を減らしてしまう課題がある。また、特許文献3の冷蔵庫は、貯蔵室の高さを変更するには第1の収納棚があることが必須になる。したがって、高さを変更しつつ、底面積の広い食品を収納することができない。
【0011】
そこで、上記の課題に鑑み、貯蔵室内における収納棚の高さ方向における位置調整の自由度が高い冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この開示に係る冷蔵庫は、前面に開口が設けられ、貯蔵空間となる貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、貯蔵室内において、高さ方向に対して異なる位置に配置される複数の収納棚と、貯蔵室の側壁面に設置され、収納棚を支持する貯蔵室側レール構造体と、複数の収納棚のうち、第1の収納棚の下部に設置され、第1の収納棚より下方に延びて、貯蔵室内を幅方向に複数に区画する壁となる仕切り本体および仕切り本体の両側面に設置され、貯蔵室側レール構造体と対になって収納棚を支持する仕切り側レール構造体を有する仕切りとを備え、仕切りは、第1の収納棚と着脱可能に設置されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本開示の冷蔵庫によれば、下段側の収納棚を分割することなく、仕切りにより区画された貯蔵空間のそれぞれの高さを異ならせることができる。このため、貯蔵室における床面を広く使用することができ、自由度に優れた冷蔵庫を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る冷蔵庫100の前面図である。
【
図2】実施の形態1に係る冷蔵室101の構成を説明する前面図である。
【
図3】
図2に示すX-X断面から冷蔵室101の左側面を見た図である。
【
図4】実施の形態1の冷蔵室101における仕切り10を中心とした周辺の配置関係を示す前面図である。
【
図5】実施の形態1の仕切り10を示す前面図である。
【
図6】実施の形態1の仕切り10を示す側面図である。
【
図7】実施の形態1における仕切り10の斜視図である。
【
図8】実施の形態1に係る下段左棚5および下段右棚6を示す下面図である。
【
図10】実施の形態1に係る下段左棚5、下段右棚6および仕切り10の位置関係を示す下面図である。
【
図15】実施の形態1に係る冷蔵庫100に取付けられた仕切り10が斜めに傾いた状態の冷蔵室101を示す前面図である。
【
図18】実施の形態1に係る中段棚4を示す下面図である。
【
図19】
図18のF-F線における実施の形態1に係る中段棚4の断面図である。
【
図20】実施の形態1に係る中段棚4を示す上面図である。
【
図22】仕切り10が取付けられた状態の中段棚4と仕切り10との関係を示す上面図である。
【
図26】実施の形態1に係る中段棚4のガラス面部4aと樹脂枠4bとの関係を示す上面図である。
【
図27】ガラス面部4aに開口部19を有する実施の形態1に係る中段棚4と仕切り10との関係を示す図である。
【
図28】ガラス面部4aに開口部19を有していない中段棚4と仕切り10との関係を示す図である。
【
図29】実施の形態1に係る冷蔵室101の中段棚4、仕切り10および風路化粧パネル20aの位置関係を示す正面図である。
【
図30】実施の形態1に係る冷蔵室101の風路化粧パネル20aを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態に係る冷蔵庫について図面などを参照しながら説明する。以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定するものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。また、冷蔵庫の正面を前面とし、前面の反対面を背面とする。冷蔵庫を前面側から見て上側の面を上面とし、上面の反対面を下面とする。冷蔵庫を前面側から見て左右側の面を側面とする。さらに、以下の説明において、図における上方を「上側」とし、下方を「下側」として説明する。さらに、理解を容易にするために、主として冷蔵庫を前面側から見た場合の方向を表す用語(たとえば「右」、「左」、「前」、「後」など)などを適宜用いるが、説明のためのものであって、これらの用語によって開示内容を限定するものではない。また、冷蔵庫を前面側から見て上下となる方向を高さ方向、左右となる方向を幅方向、前後となる方向を奥行き方向とする。そして、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る冷蔵庫100の前面図である。
図1は、冷蔵庫100が有する各室を開閉する扉を除いたものである。
図1において、本実施の形態における冷蔵庫100は、被冷却物である食品などの貯蔵物を収納し、たとえば、10℃以下で冷蔵、-12℃以下で冷凍などを行う。冷蔵庫100は、外郭を構成する冷蔵庫本体100aを備える。冷蔵庫本体100aは、内部に貯蔵空間を有する。貯蔵空間は、冷蔵庫本体100a内に設けられた複数の仕切り板により、複数の貯蔵室に区画される。複数の貯蔵室は、それぞれ冷蔵室101、製氷室102、切替室103、冷凍室104および野菜室105となる。
【0017】
冷蔵室101は、貯蔵物を冷蔵する。冷蔵室101は、前面が開口しており、前面に取付けられた扉を開閉することで、貯蔵物を出し入れすることができる。冷蔵室101内の構成などについては、後述する。製氷室102は、製造した氷を貯蔵する貯蔵室である。切替室103は、たとえば、-18℃程度の冷凍温度帯、3℃程度の冷蔵温度帯、0℃程度のチルド温度帯、-7℃程度のソフト冷凍温度帯などの各種温度帯となるように切り換え可能な貯蔵室である。冷凍室104は、貯蔵物を冷凍する貯蔵室である。また、野菜室105は、たとえば、野菜などの青果物を収納する貯蔵室である。ここで、冷蔵庫100が備える貯蔵室の種類および数は、これらに限定されるものではない。また、貯蔵物は、食品であるものとして、以下の説明を行う。
【0018】
図2は、実施の形態1に係る冷蔵室101の構成を説明する前面図である。また、
図3は、
図2に示すX-X断面から冷蔵室101の左側面を見た図である。冷蔵室101は、貯蔵物を冷蔵する。冷蔵室101の床面は、高さ方向において、冷蔵庫100の接置面から90~100cmの間にあり、成人女性の腰の高さ近傍に位置する。実施の形態1の冷蔵庫100は、複数の収納棚が冷蔵室101内部に設置される。収納棚は、冷蔵室101内の貯蔵空間を上下に仕切り、食品が載置されるなどして収納する板である。実施の形態1の冷蔵室101は、上段棚3、中段棚4、下段左棚5および下段右棚6を収納棚として備える。また、実施の形態1の冷蔵室101は、下段引出し式ケース1と上段引出し式ケース2とを備える。下段引出し式ケース1および上段引出し式ケース2は、下段左棚5と下段右棚6の下に、2段に重ねて配置された引出しケースである。下段引出し式ケース1は、冷蔵室101の床面上に配置される。また、上段引出し式ケース2は、下段引出し式ケース1の上側に配置される。そして、上段引出し式ケース2の上側に床棚7が配置される。床棚7は、上段引出し式ケース2の開口部分を覆う。床棚7は、下段左棚5と下段右棚6の下に位置する。上段棚3、中段棚4、下段左棚5、下段右棚6および床棚7は、それぞれ、中心部分に剛性の高い平面板であるガラス板(ガラス面部)が配置され、周囲を樹脂枠で覆う構造である。
【0019】
冷蔵庫100は、
図3に示すように、冷蔵室101の内壁背面を形成する意匠パネル20を備える。意匠パネル20は、風路化粧パネル20aを一部に有する。そして、風路化粧パネル20aは、冷却用ダクト21と冷蔵室101とを連通する冷気の吹出口20bを有する。風路化粧パネル20aは、後述する。また、冷蔵庫100は、意匠パネル20と冷蔵庫本体100aとの間に、冷蔵室101を冷却する冷気を通過させる冷却用ダクト21を備える。
【0020】
仕切り10は、第1の収納棚である中段棚4の下面に脱着可能に取付けられる。このとき、仕切り10は、冷蔵庫100の背面側から前面側に向かって仕切り10と吹出口20bとを投影したときに、仕切り10と吹出口20bとが重ならない位置に取付けられる。したがって、冷蔵室101を前面側から見て、仕切り10は、吹出口20bとは重ならない。冷気は、吹出口20bから、背面側から前面側に向かって吹き出される。このため、仕切り10は、吹出口20bを塞がず、吹出口20bから吹き出される冷気の流れを妨げない。
図2では、仕切り10は、冷蔵室101の幅方向における略中央よりもやや左側となる位置に取付けられている。仕切り10は、第2の収納棚である下段左棚5と第3の収納棚である下段右棚6とを仕切る。そして、仕切り10は、下段左棚5および下段右棚6と中段棚4との間の貯蔵空間を、幅方向において左右に2つの貯蔵空間に区画する。
【0021】
図4は、実施の形態1の冷蔵室101における仕切り10を中心とした周辺の配置関係を示す前面図である。また、
図5は、実施の形態1の仕切り10を示す前面図である。さらに、
図6は、実施の形態1の仕切り10を示す側面図である。そして、
図7は、実施の形態1における仕切り10の斜視図である。
図6および
図7は、右仕切り側面10e側から仕切り10を見たときの図である。
【0022】
仕切り本体10aは、長方形状の壁を有し、仕切り10の本体を構成する。仕切り本体10aは、中段棚4の取付け面となる下面側に着脱可能に取付けられ、取付け面から中段棚4より略垂直に、下方に延伸する。そして、仕切り本体10aの下端10cは、床棚7の上面から設定された高さに位置する。
【0023】
また、仕切り本体10aは、
図6に示すように、連通口10bを複数有する。連通口10bは、2つの貯蔵空間を連通する。このため、前述した風路化粧パネル20aの吹出口20bからの冷気が連通口10bを通じて隣の貯蔵空間に流れ込み、仕切り10によって幅方向に区画された2つの貯蔵空間の温度分布を均一化することができる。したがって、
図3に示すように、冷蔵室101が、2つの貯蔵空間において、右側の貯蔵空間の背面に吹出口20bがあり、左側の貯蔵空間の背面に吹出口20bがない構造でも、両貯蔵空間の温度の偏りを抑制することができる。
【0024】
仕切り10は、冷蔵庫100の奥行き方向に水平となるように延伸する仕切り側レール構造体11を有する。仕切り側レール構造体11は、下端10cから設定された高さにおいて、仕切り本体10aから設定された長さで冷蔵庫100の幅方向に突出する部材である。仕切り側レール構造体11は、下段左棚5および下段右棚6を奥行き方向に案内し、下段左棚5および下段右棚6を支持する。仕切り側レール構造体11a1および仕切り側レール構造体11b1は、第1のレール構造体となる。また、仕切り側レール構造体11a2および仕切り側レール構造体11b2は、第2のレール構造体となる。仕切り側レール構造体11a1および仕切り側レール構造体11b1は、仕切り本体10aの左仕切り側面10dに設置される。仕切り側レール構造体11a2および仕切り側レール構造体11a2は、仕切り本体10aの右仕切り側面10eに設置される。また、仕切り側レール構造体11b1および仕切り側レール構造体11b2は、それぞれ仕切り側レール構造体11a1および仕切り側レール構造体11a2よりも、高さ方向において上側に設置される。ここで、
図6および
図7では、仕切り側レール構造体11a2および仕切り側レール構造体11b2は、中程で分割され、二連構成となっているが、これに限定するものではない。仕切り側レール構造体11は、一連または三連以上で構成されてもよい。
【0025】
一方、
図4に示すように、左右の左仕切り側面10dおよび右仕切り側面10eと相対する冷蔵室101の左右の内壁左側面101aおよび内壁右側面101bは、貯蔵室側レール構造体106を有する。貯蔵室側レール構造体106は、仕切り10が有する仕切り側レール構造体11と対になって、下段左棚5および下段右棚6を奥行き方向に案内し、下段左棚5および下段右棚6を支持する。貯蔵室側レール構造体106a1は、第1の貯蔵室側レール構造体となる。また、貯蔵室側レール構造体106a2および貯蔵室側レール構造体106b2は、第2の貯蔵室側レール構造体となる。貯蔵室側レール構造体106a1および貯蔵室側レール構造体106a2は、それぞれ、内壁左側面101aおよび内壁右側面101bにおいて、仕切り側レール構造体11a1および仕切り側レール構造体11a2の高さと同じまたは近傍の位置に設置される。また、貯蔵室側レール構造体106b2は、内壁右側面101bにおいて、仕切り側レール構造体11b2の高さと同じまたは近傍の位置に設置される。そして、冷蔵室101の左右の内壁左側面101aおよび内壁右側面101bは、中段棚4を奥行き方向に案内し、支持する中段棚レール構造体107を有する。
【0026】
図6に示すように、仕切り10は、右仕切り側面10eの後部に、押さえ部11c2および押さえ部11d2を有する。押さえ部11c2および押さえ部11d2は、設定された長さで冷蔵庫100の幅方向に突出する部材である。押さえ部11c2および押さえ部11d2は、それぞれ、仕切り側レール構造体11a2および仕切り側レール構造体11a2とともに、仕切り側レール構造体11上に配置された下段左棚5および下段右棚6の高さ方向における移動を規制する。そして、
図5に示すように、仕切り10は、左仕切り側面10dの後部にも、押さえ部11c2および押さえ部11d2と同様の押さえ部11c1および押さえ部11d1を有する。
【0027】
以上のような構造の仕切り10を有することで、
図4に示すように、下段左棚5および下段右棚6のうち、一方の収納棚を設置する高さを変更するまたは一方の収納棚だけを取り外すことができる。このため、冷蔵庫100の使用者は、貯蔵したい食品の大きさに合わせて、下段左棚5および下段右棚6と中段棚4との間の貯蔵空間並びに下段左棚5および下段右棚6と床棚7との間の貯蔵空間の容積を調整し、自由度に優れた冷蔵庫100を得ることができる。特に、冷蔵室101下部の床棚7周辺の貯蔵空間は、幅方向において区画されない。したがって、冷蔵室101は、下段左棚5および下段右棚6と床棚7との間の貯蔵空間を、収納性を維持しつつ、食品に合わせて収納高さが必要な部分と収納高さが低い部分とにすることができる。
【0028】
ここで、
図4などに示す仕切り10の構成は、左仕切り側面10dおよび右仕切り側面10eに配置される仕切り側レール構造体11が、仕切り側レール構造体11aおよび仕切り側レール構造体11bの2段である。そして、仕切り本体10aの左右にいて、仕切り側レール構造体11aおよび仕切り側レール構造体11bが、それぞれ同じ高さに配置されている。ただし、これに限定するものではない。たとえば、仕切り10が備える仕切り側レール構造体11が3段以上であってもよい。また、実施の形態1の冷蔵庫100では、仕切り本体10aの両側面の仕切り側レール構造体11が同じ高さに配置されているが、それぞれの側面で異なる高さに配置されていてもよい。
【0029】
また、
図7に示すように、仕切り側レール構造体11は、収納棚を支持する上面側の一部に、下方に凹形状となるレール穴12を有する。このため、レール穴12となる部分は、面を構成しない。ここで、レール穴12の凹形状は、仕切り側レール構造体11の下面を貫通する貫通穴でもよい。仕切り側レール構造体11a2および仕切り側レール構造体11b2は、それぞれ、レール穴12a2およびレール穴12b2を有する。また、
図7では示していないが、仕切り側レール構造体11a1および仕切り側レール構造体11b1にも、レール穴12a1およびレール穴12b1を有する。
【0030】
図6および
図7に示すように、仕切り10は、仕切り本体10aにおける上面の前端部および後端部に、それぞれ前方取付け部13および後方取付け部14を有する。前方取付け部13および後方取付け部14は、仕切り10が中段棚4に取付けられるときの取付け部となる。後方取付け部14は、仕切り10の背面に沿って上方に向かって伸びる台座部14aおよび台座部14aの上端より前方に延伸する係止部14bを有する。また、仕切り10は、壁面部15を有する。壁面部15は、仕切り本体10aの上端における前側と後側との2箇所に設置される。壁面部15は、仕切り10が中段棚4に取付けられる部分の近傍に、中段棚4の下面に沿って、仕切り本体10aから幅方向に突出する部材である。前方取付け部13、後方取付け部14および壁面部15は後述する。
【0031】
図8は、実施の形態1に係る下段左棚5および下段右棚6を示す下面図である。また、
図9は、
図8の領域C1の拡大図である。
図8の領域C1は、下段左棚5および下段右棚6の下面において、仕切り側レール構造体11上に配置される領域である。
図8および
図9に示すように、下段左棚5および下段右棚6が仕切り10の仕切り側レール構造体11上に配置されたとき、各収納棚の樹脂枠が仕切り側レール構造体11と高さ方向で重なる領域に棚突起部8が設けられる。棚突起部8は、樹脂枠の下面において、下方に延伸する向きに設けられる。さらに、棚突起部8は、奥行き方向において、樹脂枠の中央より前側となる位置に設けられる。したがって、
図8および
図9に示すように、棚突起部8は、下段左棚5および下段右棚6の下面において、仕切り側レール構造体11に載せられる領域に下方に凸形状に設けられる。そして、棚突起部8は、下段左棚5および下段右棚6が前述した仕切り側レール構造体11に正常な状態で支持されているときに、仕切り側レール構造体11が有するレール穴12に嵌る位置に設けられる。
【0032】
図10は、実施の形態1に係る下段左棚5、下段右棚6および仕切り10の位置関係を示す下面図である。
図10は、下段左棚5および下段右棚6が、仕切り10の仕切り側レール構造体11上に配置され、仕切り側レール構造体11と嵌合状態にある場合を示す。A-A線は、仕切り側レール構造体11と下段右棚6とが重なる位置を通り、奥行き方向に延ばした線である。また、B-B線は、レール穴12と棚突起部8とを通る線である。そして、領域C2は、棚突起部8および爪部9の周辺を示す領域である。
図10は、下面側から下段左棚5、下段右棚6および仕切り10を見たものである。このため、
図10では、下段左棚5および下段右棚6よりも手前側に、仕切り10の仕切り側レール構造体11(仕切り側レール構造体11a1および仕切り側レール構造体11a2)を確認することができる。また、爪部9は、下段左棚5および下段右棚6の樹脂枠とともに、仕切り側レール構造体11を上下に挟む部材である。爪部9は、下段左棚5および下段右棚6の樹脂枠の下面となる位置に設けられ、外方に折れ曲がるフック状の形状を有する。爪部9は、後述する。
【0033】
図11は、
図10のA-A線における断面図である。ここで、
図11は、A-A線における断面のうち、棚突起部8と仕切り側レール構造体11との関係を示す領域を示している。
図11に示すように、棚突起部8を側面から見たときに、棚突起部8は、前方側には略垂直の前壁面を有し、後方側には傾斜面を有する。棚突起部8の前壁面は、仕切り側レール構造体11が有するレール穴12の凹部の側壁面の近傍に位置する。下段左棚5または下段右棚6が前方に動こうとすると、それぞれが備える棚突起部8の前壁面とレール穴12の側壁面とが接触し、下段左棚5または下段右棚6の動きを規制する。また、棚突起部8は、後方に傾斜面を有する。使用者が下段左棚5または下段右棚6を冷蔵室101の後方に移動させて仕切り10に取付けるとき、棚突起部8の後側の傾斜面が仕切り側レール構造体11の前端と接触し、下段左棚5または下段右棚6は、仕切り側レール構造体11の上面に乗り上げる。したがって、使用者は、仕切り側レール構造体11に棚突起部8を引っ掛けることなく、取付けようとする下段左棚5または下段右棚6を、後方に移動させることができる。
【0034】
図12は、
図10の領域C2における拡大図である。
図12は、仕切り側レール構造体11上に下段左棚5および下段右棚6が配置された状態における棚突起部8および爪部9の周辺を示す。また、
図13は、
図10のB-B線における断面図である。
図13は、仕切り10が中段棚4に取付けられ、下段左棚5および下段右棚6が仕切り側レール構造体11上に配置され、レール穴12の空間に棚突起部8が落ち込んで挿入されている状態を示す図である。領域Dは、レール穴12および棚突起部8の周辺を示す領域である。そして、
図14は、
図13における領域Dの拡大図である。
【0035】
図12および
図14に示すように、仕切り側レール構造体11の上面に備えられたレール穴12に、下段左棚5および下段右棚6の下面に備えられた凸形状の棚突起部8がそれぞれ嵌合され、係止される。このため、取付けられた下段左棚5および下段右棚6は、仕切り側レール構造体11に対する奥行き方向の移動が規制される。このように、下段左棚5および下段右棚6の奥行き方向に対する移動を規制することで、収納棚が移動して仕切り側レール構造体11と棚とが上面視して重なる領域である重なり代が減少しないように、重なり代を余分に確保する必要がなくなる。このため、レール穴12と棚突起部8を設けない場合と比べて、仕切り側レール構造体11に対する下段左棚5および下段右棚6の重なり代を減らすことができる。たとえば、下段右棚6を外して冷蔵室101を使用しているとき、仕切り10の左側から食品が当たると、仕切り10が右側に押され、仕切り10が中段棚4に取付けられた箇所を軸に反時計回りに移動する。下段左棚5は、慣性の法則でその場にとどまろうとするため、このような動作では、仕切り側レール構造体11が下段左棚5より離れる方向(右方向)に移動し、下段左棚5の仕切り10への重なり代が小さくなる。実施の形態1の冷蔵庫100においては、仕切り10が幅方向に設定量移動すると、仕切り側レール構造体11が有するレール穴12の側壁と下段左棚5および下段右棚6の下面に備えられた凸形状の棚突起部8とが接触する。そして、最小の重なり代を確保するように、仕切り10の動きに合わせて、仕切り側レール構造体11に支持された収納棚が動く(後述する
図17参照)。このため、重なり代を小さくしつつ、仕切り10が設定量を超えて移動しようとするのを規制することができる。
【0036】
また、
図12~
図14に示すように、下段左棚5および下段右棚6は、下段左棚5および下段右棚6の樹脂枠の下面において、仕切り側レール構造体11の端に沿って仕切り側レール構造体11の外側に設けられる。そして、前述したように、下段左棚5および下段右棚6は、爪部9を有する。
図14に示すように、爪部9は、下方に向かって延びる爪支持部9aと、爪支持部9aの後端より仕切り本体10a側に延伸し、仕切り側レール構造体11よりも下側にあって、仕切り側レール構造体11と重なる領域を有する係止部9bとを有する。
【0037】
このように、下段左棚5および下段右棚6は、樹脂枠の下面にそれぞれ爪部9を設ける。このため、下段左棚5および下段右棚6の前端近傍の下面に食品などが接触して、下段左棚5および下段右棚6の前端が上向きに持ちあがっても、爪部9の係止部9bが仕切り側レール構造体11の下面に接触する。したがって、実施の形態1における冷蔵庫100では、下段左棚5および下段右棚6の上下方向の動きを規制することができる。下段左棚5および下段右棚6が爪部9を有する構造とすることで、下段左棚5および下段右棚6が下から押し上げられたときに、係止部9bの上面と仕切り側レール構造体11の下面との距離以上に上下に移動することを抑制することができる。したがって、下段左棚5および下段右棚6の破損および変形などを抑制することができる。また、
図14に示すように、係止部9bの上面から仕切り側レール構造体11の下面までの距離は、下段左棚5および下段右棚6に備えられた棚突起部8の高さよりも大きい。このため、使用者は、下段左棚5および下段右棚6を、仕切り10から容易に取り外すことができる。
【0038】
図15は、実施の形態1に係る冷蔵庫100に取付けられた仕切り10が斜めに傾いた状態の冷蔵室101を示す前面図である。また、
図16は、
図15の領域E1を示す拡大図である。
図17は、
図15の領域E2を示す図である。さらに、
図18は、実施の形態1に係る中段棚4を示す下面図である。F-F線は、中段棚4において、仕切り10が取付けられる奥行き方向に延ばした線である。また、
図19は、
図18のF-F線における実施の形態1に係る中段棚4の断面図である。
図20は、実施の形態1に係る中段棚4を示す上面図である。
図21は、
図20の中段棚4における領域Gの拡大図である。また、
図22は、仕切り10が取付けられた状態の中段棚4と仕切り10との関係を示す上面図である。
図23は、
図22の領域Hの拡大図である。ここで、領域Hは、
図21の領域Gと同じ領域である。また、J-J線は、幅方向における後方取付け部14の中心を通る線である。
図24は、
図23のL-L線における中段棚4の断面図である。そして、
図25は、
図23のK-K線における中段棚4の断面図である。
【0039】
図16に示すように、仕切り10は、仕切り10が中段棚4に取付けられる仕切り本体10aの上端近傍の2箇所に、前述した壁面部15を有する。壁面部15は、仕切り本体10aから幅方向に突出し、中段棚4が有するガラス面部4aの下面と接触またはガラス面部4aの下面と略平行となる面を有する。壁面部15は、冷蔵室101を前面から見ると、斜め上方に延びて見える。
【0040】
図15に示すように、仕切り10は、幅方向の力が加わると、後述する差込部となる前方取付け部13および後方取付け部14を軸に回転するように動き、高さ方向に対して、斜めに傾く場合がある。そこで、実施の形態1の仕切り10は、
図16に示すように、仕切り本体10aから幅方向に突出した壁面部15を有することで、仕切り10が回転しようとすると、仕切り10が嵌合している中段棚4の下面と壁面部15とが接触して、回転動作を邪魔する。このため、実施の形態1の冷蔵庫100は、仕切り10の回転を抑制し、過度な傾きを防止することができる。また、仕切り10は、仕切り本体10aの上端における前側と後側との2箇所に壁面部15を有することで、仕切り10におけるどの位置に幅方向の力がかかっても、仕切り10の動きを抑制することができる。
【0041】
また、前述したように、中段棚4は、剛性の高い平面板のガラス板であるガラス面部4aと樹脂を材料とする樹脂枠4bとを有する。
図19に示すように、実施の形態1における中段棚4は、ガラス面部4aの枠となる前後左右の端部および上面の縁部分だけでなく、ガラス面部4aの下面も樹脂で覆われている。ここでは、下面の樹脂も含めて樹脂枠4bとする。そして、中段棚4の樹脂枠4bは、仕切り10を取付けるための嵌合部16を有する。嵌合部16は、ガラス面部4aの前端付近でガラス面部4aの下面を覆う樹脂よりも、下方に突出し、後方に折れ曲がって設定された高さの隙間を有する。嵌合部16は、中段棚4の後方に向かって開口し、仕切り10の前方取付け部13が差し込まれる袋形状となっている。また、中段棚4は、後側の樹脂枠4bに、後方取付け部14が取付けられる係受部23を有する。そして、中段棚4は、係受部23の前方となる位置に、後方取付け部14が樹脂枠4bに取付けられたとき、後方取付け部14の前面よりも前側に位置する意匠面部24を有する。
【0042】
前述した
図6および
図7に示したように、仕切り10は、前方取付け部13および後方取付け部14を有する。ここで、前方取付け部13は、仕切り本体10aの上面部分において、仕切り本体10aの前面より前方に突出する突出部13aを有し、中段棚4が有する嵌合部16に差し込まれる差込部となる。また、後方取付け部14は、仕切り本体10aの上面よりも上方に突出し、上側から中段棚4を引っ掛ける固定用爪部となる。後方取付け部14は、前述したように、台座部14aおよび係止部14bを有する。
図20および
図22に示すように、中段棚4は、中段棚4の後方部分の樹脂枠4bに係止用凹部17を有する。台座部14aは、仕切り10が中段棚4に取付けられるとき、係止用凹部17に挿入される部分である。そして、係止部14bは、中段棚4の後方における樹脂枠4bの上面よりも上側に位置する。ここで、
図23に示すように、係止部14bは、上面視したときに、幅方向と奥行き方向において、
図23において破線で示す係止用凹部17よりも大きい。実施の形態1の冷蔵庫100においては、仕切り10は、中段棚4に取付けられる際、後側から前側に挿入されるため、突出部13aを有する前方取付け部13は仕切り10の前側にあり、係止部14bを有する後方取付け部14は仕切り10の後側にある。ここで、仕切り10が後側から前側に挿入される場合には、差込部となる前方取付け部13は仕切り10の後側に位置することとなり、固定用爪部である後方取付け部14は仕切り10の前側に位置することとなる。
【0043】
そして、
図21、
図23、
図24および
図25に示すように、係止用凹部17の縁に沿って、係止部14bに対する重なり代17aが奥行き方向および幅方向に確保される。
図23における破線が、係止用凹部17に相当する。
【0044】
係止部14bの下面と仕切り本体10aの上面との間には隙間がある。使用者は、仕切り10を取付ける際、仕切り本体10aの上面を中段棚4の下面側から樹脂枠4bに押し当てて、後ろから前へスライドさせるようにして、台座部14aを係止用凹部17に差し込入れる。隙間は、中段棚4のガラス面部4aの下面、後端および上面の後端縁部を覆うように取付けられる樹脂枠4bの後端部が差し込める幅に設計される。
【0045】
また、重なり代17aについて、仕切り10の挿入方向における重なり代17aが大きい方が、取付けられた状態の仕切り10が抜けにくく、仕切り10並びに下段左棚5および下段右棚6の落下防止の効果がある。ここで、後方取付け部14は、下段左棚5および下段右棚6に食品が収納されてかかった荷重による力を受ける。挿入方向において重なり代17aを拡大するために、後方取付け部14の係止部14bの先端を伸ばすと、後方取付け部14には、受けた力によって、係止部14bの突き出し形状の根元が開くように大きくモーメントがかかり、破断しやすくなる。そこで、
図24に示すように、後方取付け部14の係止部14bにおける前面の位置が、上面視において、強度の高い中段棚4のガラス面部4aと重なるようにする。そして、
図25に示すように、係止部14bの幅が、中段棚4の係止用凹部17よりも大きくなる構成にすることで、幅方向にも重なり代17aを確保する。挿入方向にも重なり代17aを確保することで、強度的に優れた嵌合を実現することができる。
【0046】
図26は、実施の形態1に係る中段棚4のガラス面部4aと樹脂枠4bとの関係を示す上面図である。中段棚4は、前述したように、長方形状のガラス面部4aおよびガラス面部4aの外周部分と下面とを覆う樹脂枠4bとを有する。
図26では、樹脂枠4bとガラス面部4aとが重なる領域を示すために、樹脂枠4bを破線で示し、ガラス面部4aを実線で示している。
図26に示すように、ガラス面部4aは、樹脂枠4bに挟持され、ガラス面部4aと樹脂枠4bとが、高さ方向において重なる領域(ガラス面部4aが樹脂枠4bに覆われる外縁)に、補強用の開口部19を設ける。開口部19は、ガラス面部4aを上下に貫通する貫通孔である。開口部19は、仕切り10が樹脂枠4bに取付けられたとき、上面後部に設けられた後方取付け部14によって、中段棚4に荷重がかかる領域に設けられる。具体的には、開口部19は、後方取付け部14が中段棚4に取付けられた状態で、後方取付け部14の前方部分または後方取付け部14の前方部分の左右近傍に設けられる。開口部19の内部は、樹脂枠4bと同様の樹脂材料により充填される。ガラス面部4aを覆う樹脂枠4bにおいて、ガラス面部4aの上面を覆う樹脂と下面を覆う樹脂とが、開口部19を充填する樹脂材料により連結される。
【0047】
図27は、ガラス面部4aに開口部19を有する実施の形態1に係る中段棚4と仕切り10との関係を示す図である。また、
図28は、ガラス面部4aに開口部19を有していない中段棚4と仕切り10との関係を示す図である。
図27および
図28は、
図23のJ-J線の断面図である。
【0048】
たとえば、下段左棚5または下段右棚6に食品が置かれた場合などに、後方取付け部14を介して、中段棚4に荷重がかかることがある。このとき、樹脂枠4bのうち、ガラス面部4aの上面または下面を覆っていない樹脂枠4bの側面部分に荷重がかかる場合がある。このような場合に、ガラス面部4aが開口部19を有していない
図28に示す構造では、後方取付け部14の周辺においてガラス面部4aの上面を覆う樹脂枠4bが、ガラス面部4aの後端部により力を受けて変形する。このため、ガラス面部4aの後端部とは離れた位置にあるガラス面部4aの上面を覆う樹脂枠4bの前端が、ガラス面部4aの上面から浮き上がって、意匠性が下がることになる。
【0049】
そこで、
図27のように、中段棚4のガラス面部4aは、開口部19を有し、ガラス面部4aの上面を覆う樹脂と下面を覆う樹脂とが、開口部19に充填された樹脂材料により連結させておく。このため、後方取付け部14の周辺においてガラス面部4aの上面を覆う樹脂枠4bの変形を抑え、ガラス面部4aの上面を覆う樹脂枠4bの前端が、ガラス面部4aの上面から浮き上がるのを抑制することができる。
【0050】
図29は、実施の形態1に係る冷蔵室101の中段棚4、仕切り10および風路化粧パネル20aの位置関係を示す正面図である。また、
図30は、実施の形態1に係る冷蔵室101の風路化粧パネル20aを示す斜視図である。そして、
図31は、
図30に示す領域Mの拡大図である。
【0051】
冷蔵室101は、前述したように、内壁背面となる意匠パネル20および冷却用ダクト21を有する。
図29、
図30および
図31に示すように、意匠パネル20の一部である風路化粧パネル20aは、パネル係止部20cを有する。パネル係止部20cは、仕切り10の両側面が位置するパネルの前面において、仕切り10の両側面となる位置に突き出され、立設されている。
【0052】
これにより、冷蔵室101内において、仕切り10に幅方向に力がかかった場合でも、仕切り本体10aの左仕切り側面10dまたは右仕切り側面10eがパネル係止部20cに接触して、仕切り10の幅方向への動きが規制され、変形を抑制することができる。
【0053】
実施の形態2.
上述の実施の形態1の冷蔵庫100においては、仕切り10は、仕切り本体10aの両側面に仕切り側レール構造体11を有する構成とした。仕切り10は、両側面に仕切り側レール構造体11を有し、下段左棚5および下段右棚6を支持すると安定する。ただし、これに限定するものではない。どちらか一方の側面に仕切り側レール構造体11を有する構成としても、仕切り10によって区画された貯蔵空間を高さ方向に異ならせることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 下段引出し式ケース、2 上段引出し式ケース、3 上段棚、4 中段棚、4a ガラス面部、4b 樹脂枠、5 下段左棚、6 下段右棚、7 床棚、8 棚突起部、9 爪部、9a 爪支持部、9b 係止部、10 仕切り、10a 仕切り本体、10b 連通口、10c 下端、10d 左仕切り側面、10e 右仕切り側面、11,11a,11a1,11a2,11b,11b1,11b2 仕切り側レール構造体、11c1,11c2,11d1,11d2 押さえ部、12,12a1,12a2,12b1,12b2 レール穴、13 前方取付け部、13a 突出部、14 後方取付け部、14a 台座部、14b 係止部、15 壁面部、16 嵌合部、17 係止用凹部、17a 重なり代、19 開口部、20 意匠パネル、20a 風路化粧パネル、20b 吹出口、20c パネル係止部、21 冷却用ダクト、23 係受部、24 意匠面部、100 冷蔵庫、100a 冷蔵庫本体、101 冷蔵室、101a 内壁左側面、101b 内壁右側面、102 製氷室、103 切替室、104 冷凍室、105 野菜室、106,106a1,106a2,106b2 貯蔵室側レール構造体、107 中段棚レール構造体。