(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
G09F 13/12 20060101AFI20250418BHJP
G09F 13/04 20060101ALI20250418BHJP
G09F 13/18 20060101ALI20250418BHJP
【FI】
G09F13/12
G09F13/04 Z
G09F13/18 Z
(21)【出願番号】P 2024001606
(22)【出願日】2024-01-10
(62)【分割の表示】P 2022561806の分割
【原出願日】2020-11-13
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100203677
【氏名又は名称】山口 力
(72)【発明者】
【氏名】山田 旭洋
(72)【発明者】
【氏名】寺島 遥
(72)【発明者】
【氏名】島田 昌明
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3124179(JP,U)
【文献】特開2001-30698(JP,A)
【文献】特開2012-13843(JP,A)
【文献】特開2002-297070(JP,A)
【文献】特開平9-147293(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0232146(US,A1)
【文献】特開2013-100652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00-13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明表示板と、
前記透明表示板に備えられた表示部と、
光源と、
人を検知する検知部と、
前記検知部から出力された検知信号に基づいて、前記光源の点灯動作を制御する制御部と、
を備え、
前記表示部は、前記光源から出射し前記透明表示板の内部に入射した光が前記表示部を介して出射することによって発光し、
前記制御部は、前記検知部に人が近づくにしたがって前記表示部の点滅速度を遅くする
ことを特徴とする表示システム。
【請求項2】
透明表示板と、
前記透明表示板に備えられた表示部と、
光源と、
走行する車両を検知して、検知信号を出力する車両用の検知部と、
前記光源の点灯動作を制御する制御部と、
を備え、
前記表示部は、前記光源から出射し前記透明表示板の内部に入射した光が前記表示部を介して出射することによって発光し、
前記透明表示板が道路上又は道路の近傍に配置され、
前記制御部は、前記車両の検知信号に基づいて、前記光源の点灯動作を制御し、
前記制御部は、時刻情報及び交通状況情報の少なくとも一方に基づいて、前記光源の点灯動作を変更する
ことを特徴とする表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ショーケースに設けられた透明ディスプレイパネルに広告を表示する表示システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この表示システムを用いれば、人は、透明ディスプレイパネルを介してショーケースの内部を見ることができると同時に透明ディスプレイパネルに表示された広告を見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2014-503835号公報(例えば、
図1、要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示システムに表示される情報を見る対象者が存在しない場合に、表示システムに情報を表示するのは、表示システムの消費電力が無駄に嵩むことになる。そのため、情報を伝える対象者が存在する場合に情報を表示する表示システムが望まれている。
【0005】
本開示は、情報を伝える対象者が存在する場合に情報を表示することができる表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示システムは、透明表示板と、前記透明表示板に備えられた表示部と、光源と、人を検知する検知部と、前記検知部から出力された検知信号に基づいて、前記光源の点灯動作を制御する制御部と、を備え、前記表示部は、前記光源から出射し前記透明表示板の内部に入射した光が前記表示部を介して出射することによって発光し、前記制御部は、前記検知部に人が近づくにしたがって前記表示部の点滅速度を遅くすることを特徴とする表示システム。
【発明の効果】
【0007】
本開示の表示システムによれば、情報を伝える対象者が存在する場合に情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)及び(b)は、実施の形態1に係る表示システムの構成を概略的に示す正面図及び側面図である。
【
図2】(a)及び(b)は、実施の形態1に係る表示システムの構成(主表示部を備えた場合)を概略的に示す正面図及び側面図である。
【
図3】
図2(a)及び(b)に示される表示システムの制御系の構成例を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図4】(a)及び(b)は、実施の形態1の変形例1に係る表示システムの構成を概略的に示す正面図及び側面図である。
【
図5】
図4(a)及び(b)に示される表示システムの制御系の構成例を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図6】(a)及び(b)は、実施の形態1の変形例2に係る表示システムの構成を概略的に示す正面図及び側面図である。
【
図7】(a)及び(b)は、実施の形態1の変形例3に係る表示システムの構成を概略的に示す正面図及び側面図である。
【
図8】(a)及び(b)は、
図7(a)及び(b)に示される第1の副表示部及び第2の副表示部の表示例を示す図である。
【
図9】(a)及び(b)は、実施の形態1の変形例4に係る表示システムの構成を概略的に示す正面図及び側面図である。
【
図10】(a)及び(b)は、実施の形態2に係る表示システムと発信機の構成を概略的に示す図である。
【
図11】
図10に示される表示システムの制御系の構成例を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図12】
図10に示される表示システムが適用された案内システムを示す概略図である。
【
図13】
図10に示される表示システムの動作を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態3に係る表示システムの制御系の構成例を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図15】
図14に示される表示システムが適用された案内システムを示す概略図である。
【
図16】
図14に示される表示システムの動作を示すフローチャートである。
【
図17】実施の形態4に係る表示システムの構成を概略的に示す図である。
【
図18】実施の形態5に係る表示システムの構成を概略的に示す図である。
【
図19】実施の形態6に係る表示システムの構成を概略的に示す図である。
【
図20】実施の形態7に係る表示システムの構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態に係る表示システムを、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、実施の形態を適宜組み合わせること及び実施の形態を適宜変更することが可能である。
【0010】
図には、XYZ直交座標系の座標軸が示されている。図において、X軸は、表示システムの透明表示板の短辺方向の座標軸であり、Y軸は、透明表示板の長辺方向の座標軸であり、Z軸は、透明表示板の厚み方向の座標軸である。また、図において、同一又は同様の構成には、同じ符号が付されている。
【0011】
《実施の形態1》
<表示システム>
図1(a)及び(b)は、実施の形態1に係る表示システム100の構成を概略的に示す正面図及び側面図である。表示システム100は、透明表示板3と、透明表示板3に備えられた副表示部10bと、光源1とを備えている。副表示部10bは、予め決められた領域に備えられた主表示部10aに重ねて又は主表示部10aが備えられた領域以外の領域に設けられている。副表示部10bは、光源1から出射し、透明表示板3に入射した光が副表示部10bを介して出射することによって発光する。例えば、透明表示板3の側面3t、3uから入射した光が副表示部10bで散乱又は屈折(反射を含む)により偏向(少なくとも一部の光の進行方向が変化)した結果、透明表示板3の外部に出射されることにより、副表示部10bが発光状態となる。副表示部10bが発光状態となると、副表示部10bに備えられている文字、記号、図形、絵、などの表示パターンが表示状態になり、観察者は副表示部10bの表示パターンを発光体として視認する。光源1が消灯しているときには、表示パターンが非表示状態になり、観察者は副表示部10bの表示パターンを発光体としては視認しない。
【0012】
表示システム100は、複数の光源1をX軸方向に配列した光源群1a、1bを有している。本例において、光源群1aは、透明表示板3の+Y軸方向の端面である側面3tに向き合うように配置されている。本例において、光源群1bは、透明表示板3の-Y軸方向の端面である側面3uに向き合うように配置されている。透明表示板3は、光源群1aと光源群1bとの間に配置されている。光源群1aの+Y軸方向には、光源群1aを囲うようにフレーム2aが配置されている。光源群1bの-Y軸方向には、光源群1bを囲うようにフレーム2bが配置されている。また、表示システム100は、光源群1a及び光源群1bの点灯動作を制御する点灯制御回路としての制御部(後述の
図3に示される。)を備えている。2つの光源群1a、1bが示されているが、光源群の数は、1つでもよく、又は3つ以上であってもよい。また、光源群は、透明表示板3の側面に向き合うように配置されているものに限らず、透明表示板3内部に光を入射し、入射した光が透明表示板3内部を所定の方向に向かって導光するように配置されるものであれば、特に限定されない。一例として、透明表示板3の前面3f又は裏面3bの端部に内部に光を入射して導光するための導光部を設け、その導光部に向き合うように配置されてもよい。また、制御部は、処理回路で構成される。この処理回路は、ソフトウェアとしてのプログラムを記憶するメモリと、このプログラムを実行する情報処理装置であるプロセッサとによって構成されてもよい。
【0013】
<副表示部>
図の例において、透明表示板3は、+Z軸方向の面である裏面3bに副表示部10bを備えている。透明表示板3の材質は、PMMA(polymethyl methacrylate)又はPC(poly carbonate)などのプラスチックであることが好ましい。副表示部10bは、例えば、光散乱粒子を含む透明のインクの塗布によって形成される表示パターンである。インクは、例えば、樹脂インクであり、印刷方法としてはシルク印刷が好適である。
【0014】
また、副表示部10bは、例えば、光散乱粒子を含む表示パターンを有するシート状のプラスチックなどのフィルムを透明表示板3の裏面3bに貼合することによって形成されてもよい。
【0015】
また、副表示部10bは、透明表示板3の-Z軸方向の位置から観察することを想定した場合は、透明表示板3の+Z軸方向を向く面である裏面3bにプリズム加工で形成されたプリズム形状部分であってもよい。
【0016】
透明表示板3の厚みT1は、例えば、3mmあるいは5mmである。透明表示板3の厚みT1は、光源1から出射した光を取り込み可能な程度の厚みであれば、他の値であってもよい。なお、透明表示板3の材質は、ガラスであってもよい。ただし、樹脂製の透明インクはガラスに対する密着性が悪いので、透明インクを用いて透明表示板3に直接副表示部10bを形成する場合、透明表示板3の材質は、プラスチックであることが好ましい。透明表示板3の材質がガラスである場合には、透明表示板3に表示パターンを有するプラスチックフィルムを貼合することで、透明表示板3における光線の振る舞いをプラスチック製の透明表示板3と同等にすることが可能である。また、ガラスとプラスチックフィルムの接着界面の屈折率差をなくすように接着剤を選定する必要がある。また、プラスチックフィルムの厚みは、例えば、0.1mmであるが、厚みはこの値に限定されない。
【0017】
図1(a)及び(b)には、副表示部10bが透明表示板3の裏面3bに設けられた例が示されているが、副表示部10bは、例えば、透明表示板3の-Z軸方向を向く面である前面3fに備えられてもよい。ただし、プリズム加工で副表示部10bを形成する場合は、副表示部10bは、観察者が向き合わない面である透明表示板3の裏面3bに形成することが好ましい。実施の形態1において、副表示部10bは、側面3t、3uから入射されて透明表示板3の内部を導光する光の一部を、散乱又は偏向(反射を含む)作用により透明表示板3の前面3fから出射させるものであれば、副表示部10bの具体的構成は、特に限定されない。
【0018】
<光源>
光源1は、例えば、発光ダイオード(LED)である。光源1は、1mm角又は3mm角の発光サイズを有する。光源群1aの光源1は、概ね-Y軸方向に光を出射し、光源群1bの光源1は、概ね+Y軸方向に光を出射する。透明表示板3の厚みT1は、光利用効率を考慮すると、光源1の発光サイズより大きいことが好ましい。
【0019】
<光源の振る舞い>
副表示部10bがシルク印刷で形成された場合において、光源1から出射した光線L10及び光線L11の振る舞いを説明する。光線L10は、透明表示板3の側面3tに入射し、屈折して透明表示板3の内部を導光する。導光した光線L10は、全反射して副表示部10bに到達すると、±Z軸方向に光線が散乱し、発光する。これにより、透明表示板3の±Z軸方向の位置から副表示部10bを観察することが可能である。また、光源1を出射した光線L11は、透明表示板3の側面3tに入射し、屈折して透明表示板3の内部を導光する。導光した光線L11は、全反射を繰り返して透明表示板3の-Y軸方向の端面である側面3uを屈折して出射後、フレーム2bで反射され、再び透明表示板3の側面3uに入射し、透明表示板3の内部を導光後、副表示部10bで散乱し、発光する。ここで、副表示部10b以外のXY平面内に光線が到達する場合は、光線は全反射する。このように、副表示部10bに到達しない光線は、透明表示板3の内部の導光を繰り返すため、フレーム2a及びフレーム2bは、反射素材で形成されることが光利用効率上、好ましい。なお、フレーム2a及びフレーム2bの透明表示板3側の面は、アルミニウム又は銀でコーティングされた光反射面を有してもよい。
【0020】
<実施の形態1の構成>
図2(a)及び(b)は、実施の形態1に係る表示システム100の構成(主表示部10aが備えられた場合)を概略的に示す正面図及び側面図である。
図2(a)及び(b)では、透明表示板3の+Z軸方向の面である裏面3b上に主表示部10aが配置されている。主表示部10aは、例えば、情報表示媒体としての広告媒体である。広告媒体は、例えば、紙である。
図2(a)では、点線で囲われた領域である主表示部10aより外側に副表示部10bが形成されている。このような構造の表示システム100を、透明表示板3より-Z軸方向の位置から観察者が観察すると、透明表示板3を通して主表示部10aの情報を明確に認識することが可能である。ここで、主表示部10aは、透明表示板3に隣接して重なっているが、透明表示板3からZ軸方向に距離が空いた位置に配置されてもよい。
【0021】
具体的には、表示システム100では、透明表示板3の-Z軸方向の位置から観察した際の主表示部10aと副表示部10bの位置関係が、
図2(a)に示されるように、重なり合わない位置関係に保たれていればよい。また、主表示部10aに表示されている主要情報と干渉しなければ、主表示部10aの領域内に副表示部10bの一部又は全部を表示してもよい。
【0022】
また、
図2(a)に示されるように、主表示部10aの額縁と見做せる位置に副表示部10bの表示パターンを表示することにより、意匠性を向上させることが可能である。
【0023】
また、主表示部10aとして、液晶ディスプレイの表示部(すなわち、画面)が備えられてもよい。人の視線を誘導するためには、従来、液晶ディスプレイの画面の輝度を高める必要があったが、副表示部10bを備えることにより、人の視線誘導を副表示部10bの発光によりスムーズに行うことができる。したがって、表示システム100を用いれば、主表示部10aの液晶ディスプレイの輝度を上げずに、副表示部10bの発光により人の視線誘導を効果的に行うことができる。
【0024】
<システムの一例>
図3は、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100の制御系の構成例を概略的に示す機能ブロック図である。
図3に示されるように、表示システム100は、主表示部10aを強調するように配置された副表示部10bを備える透明表示板3に光を入射する光源群1a、1bと、人を検出するセンサを備えた検知部102と、副表示部10bの動作を制御する制御回路を含む制御部101とを有している。
【0025】
副表示部10bは、主表示部10aの前方(すなわち、観察者側)に配置されており、主表示部10aを強調するために配置されている。観察者は、透明表示板3を見たときに主表示部10aを視認する。また、観察者は、光源群が点灯して副表示部10bが表示状態のとき、主表示部10aを視認するとともに副表示部10bによる強調表示を見る。
【0026】
表示システム100の制御部101は、検知部102から出力される検知信号に基づいて副表示部10bの光源の点灯・消灯を制御して、副表示部10bの表示動作を制御する。表示システム100は、副表示部10b用の光源1(光源群1a、1b)の点灯・消灯を制御して、副表示部10bの表示動作を制御することで、観察者は、副表示部10bと同時に主表示部10aを視認するので、一層強い注意喚起を受けることができる。
【0027】
また、表示システム100は、既存の道路標識の前方に副表示部10bを配置することで、新設することが可能である。
【0028】
例えば、商業施設、駅及び空港などにおいて、紙の広告が設置されている際に、副表示部10bを表示させることによって視認性を高め、不特定多数の人の視線を広告に誘導することが可能である。また、視線誘導された人が広告を見た際に、副表示部10bが主表示部10aに干渉しないため、広告を明確に認識することが可能となり、広告価値を高めることが可能である。
【0029】
また、制御部101は、表示システム100から、例えば、10m以上離れた位置にいる人の視線を誘導するために、副表示部10bを点滅制御してもよい。その際、人が表示システム100に近づくに従って点滅速度を遅くしてもよい。これにより、人の視線の誘導ができると共に、主表示部10aを観察する際に、観察者は、違和感なく観察することが可能である。
【0030】
また、上記副表示部10bは、紙又は液晶ディスプレイなどである場合を説明したが、例えば、店舗のショーウィンドウにシルク印刷を施したシート状の透明表示板3を設置し、透明表示板3の側面から光源の光を入光して副表示部10bの表示パターンを発光させることにより、ショーウィンドウ内に設置されているマネキン又は商品などを強調することが可能である。言い換えれば、商品を展示している既存の設備又は容器の透明な壁面又は扉面などに、既存の設備の変更をせずに、本開示の表示システムを取り付けることが可能である。
【0031】
《実施の形態1の変形例1》
図4(a)及び(b)は、実施の形態1の変形例1に係る表示システム110の構成を概略的に示す正面図及び側面図である。表示システム110は、反射部30aを設けた点において、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100と異なる。反射部30aは、主表示部10aの外周であって、副表示部10bの裏面に設けられている。反射部30aは、主表示部10aの外側の領域である外周部に配置され、透明表示板3から出射された光を反射する。これにより、透明表示板3の内部から+Z軸方向に向かって進む光を、-Z軸方向に反射させることができ、光利用効率を高めることが可能である。なお、反射部30aは、主表示部10aと一体で形成されてもよい。
【0032】
図5は、表示システム110の制御系の構成例を概略的に示す機能ブロック図である。
図5は、主表示部10aが、液晶ディスプレイ、電子ペーパーディスプレイ、有機ELディスプレイなどのデジタルサイネージの表示部である場合を示す。表示システム110の制御部101は、光源群1a、1bの点灯動作の制御と、主表示部10aの表示動作の制御とを行う。
【0033】
反射部30aは、主表示部10aであるデジタルサイネージの保持領域(「ベゼル」又は「目地」とも呼ばれる。)であってもよい。このように構成した場合には、反射の効果は、保持領域の反射特性(例えば、反射率)に依存するが、主表示部10aの情報を干渉することなく、額縁のように保持領域を表示させることが可能となり、高い視認性と意匠性を確保することができる。
【0034】
上記以外の点については、
図4(a)及び(b)に示される表示システム110は、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100と同じである。
【0035】
《実施の形態1の変形例2》
図6(a)及び(b)は、実施の形態1の変形例2に係る表示システム120の構成を概略的に示す正面図及び側面図である。表示システム120は、副表示部40bの点において、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100と異なる。つまり、表示システム120では、副表示部40bは、主表示部10aの一部に重ねて又は主表示部10aの一部又は全部を囲うように配置されている。
【0036】
具体的には、
図6(a)に示されるように、副表示部40bは、実線で示しており、主表示部10aの外周領域40b1と主表示部10aの太陽のパターンを強調するように太陽のパターンの領域40b2とを形成している。これにより、主表示部10aの強調したい領域を副表示部40bで形成し、誇張することが可能である。例えば、強調したい主表示部10aの情報(日時、商品、意匠など)と重畳するように副表示部40bを形成することにより、情報の注目度をさらに向上させることが可能である。なお、副表示部40bは、主表示部10aの領域以外の領域では、
図2(a)及び(b)の副表示部10bと同様の機能を持つ。なお、副表示部40bは、領域40b2のみで形成されていてもよい。この場合は、主表示部10aの視認性を向上させ、情報の注目度を向上させる効果がある。
【0037】
上記以外の点については、
図6(a)及び(b)に示される表示システム120は、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100又は110と同じである。
【0038】
《実施の形態1の変形例3》
図7(a)及び(b)は、実施の形態1の変形例3に係る表示システム130の構成を概略的に示す正面図及び側面図である。
図7(a)には、副表示部50bに観察されるモアレの拡大図が含まれている。表示システム130は、副表示部50b(すなわち、第1の副表示部50b1及び第2の副表示部50b2)を有する点において、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100と異なる。具体的に言えば、表示システム130は、透明表示板53の-Z軸方向を向く面である前面(第2の面)53fに第2の副表示部50b2を形成し、透明表示板53の+Z軸方向を向く面である裏面(第1の面)53bに第1の副表示部50b1を形成している点で、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100と異なる。
【0039】
第1の副表示部50b1及び第2の副表示部50b2は、周期構造のパターンで形成される。周期構造のパターンは、例えば、ストライプ、ボーダー、ドットパターンなどである。光源群1a及び光源群1bを点灯させると、第1の副表示部50b1及び第2の副表示部50b2が重畳して表示される。そのため、表示システム130より-Z軸方向の位置から表示システム130を観察すると、モアレが確認され副表示部50bのパターンがより強調され、視認性が高くなる。これにより、視線誘導効果が高まる。ここで、モアレとは、視覚的に発生する縞模様である。モアレは、周期的なパターンを重畳した際に、周期がずれることにより発生する。
【0040】
図8(a)及び(b)は、
図7(a)及び(b)に示される第1の副表示部50b1及び第2の副表示部50b2の表示例を示す図である。
図8(a)に第1の副表示部50b1の一例である線状のパターン、
図8(b)に第2の副表示部50b2の一例である線状のパターンを示す。第1の副表示部50b1及び第2の副表示部50b2がドットパターンの場合であってもモアレは、観察される。
図8(a)及び(b)では、透明表示板53の両面に第1の副表示部50b1及び第2の副表示部50b2を形成しているが、副表示部が印刷された透明表示板53を2枚用いてモアレを発生させてもよい。
【0041】
制御部101は、表示システム130から、予め決められた距離(例えば、10m)以上離れた位置にいる人の視線を誘導するために、光源群1a、1bを点灯して第1の副表示部50b1及び第2の副表示部50b2によってモアレを表示させ、モアレによって観察者の視線を主表示部10aの設置された方向に誘導する。人が主表示部10aに近づいた際には、光源群1a、1bを消灯し、透明インクで形成された第1の副表示部50b1及び第2の副表示部50b2は、視認されなくなるため、モアレによる違和感なく主表示部10aを観察することが可能である。
【0042】
上記以外の点については、
図7(a)及び(b)に示される表示システム130は、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100、110又は120と同じである。
【0043】
《実施の形態1の変形例4》
図9(a)及び(b)は、実施の形態1の変形例4に係る表示システム140の構成を概略的に示す正面図及び側面図である。表示システム140は、副表示部70bが主表示部10aの領域内に存在する点において、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100と異なる。
【0044】
主表示部10aは、例えば、液晶ディスプレイなどの周期構造を有するディスプレイである。副表示部70bに周期構造を持たせたパターンを形成することにより、主表示部10aと重畳した際にモアレが発生し、視認性を向上させることが可能である。なお、副表示部70bは、主表示部10aの主要な情報を妨げない箇所(例えば、隅部近傍)に形成することが好ましい。なお、主表示部10aの領域外に副表示部70bを形成してもよい。つまり、副表示部70bは、主表示部10aの領域内と領域外とにわたって形成されてもよい。
【0045】
上記以外の点については、
図9(a)及び(b)に示される表示システム140は、上記表示システム100、110、120、又は130と同じである。
【0046】
《実施の形態2》
実施の形態2は、実施の形態1に係る表示システムが適用された案内システムに関する。実施の形態2は、施設利用客などのユーザに端末としての発信機を貸与する。
図10(a)及び(b)は、実施の形態2に係る表示システム200の表示装置(後述の
図11、
図12における250又は260)と発信機210の構成を概略的に示す図である。表示システム200における表示装置250又は260としては、実施の形態1に係る表示システム(100、110、120、130又は140等)を用いることができる。
【0047】
表示システム200は、例えば、タッチパネル式の操作入力部を備えた経路設定用表示板(後述の
図11、12における250)と案内用表示板(後述の
図11、12における260)とを併用した案内システムである。ユーザが、経路設定用表示板上の目的地をタッチすると、目的地までの経路を案内・誘導するための案内情報が表示され、ユーザに発信機210が貸与される。発信機210は、表示システム200に備えられた発信機の収納部から提供されてもよい。発信機210は、例えば、4色のマークの組み合わせ表示が可能であり、4色のマークと各マークの点灯・消灯との組み合わせによって、16種類の識別情報に対応した表示パターンである識別パターンを表示することが可能である。なお、発信機210として、予め識別パターンが印刷されている発信機をユーザに貸与してもよい。なお、マークの組み合わせの数は上記に限定されない。
【0048】
発信機210には、目的地情報と、発信機210の識別パターンとが記録されている。発信機210を携行したユーザが表示システム200の案内用表示板(後述の
図11、
図12における260)に近づくと、検知部が発信機210から発信されている電波を検知し、制御部の点灯回路が発信機210の表示と同等の表示(本例では、発信機210が表示している4色のマークの組み合わせによる16種類の識別情報のうちのいずれか)を副表示部200bに表示するとともに、主表示部10aは、目的地までの経路案内の表示を行う。目的地までの経路案内の表示は、例えば、目的地までの経路を示す矢印である。
【0049】
発信機210を携行したユーザが目的地に到着すると、経路案内が終了する。目的地には、発信機210を収納する発信機回収部(図示せず)があり、発信機回収部に発信機210を入れると、目的地に応じたクーポンが発行される。クーポンは、例えば、目的地の店舗で使用できる割引クーポンなどである。これにより、ユーザは、スムーズに目的地まで到着できると共に、クーポンによる割引を利用できる。また、クーポンにより発信機210の返却の確実性が増加する。
【0050】
このように、経路設定用表示板又は案内用表示板の主表示部200aに表示される案内表示を阻害せずに、副表示部200bに16種類の識別パターンのいずれかを表示することにより、主表示部200aでの案内表示が誰向けのものであるかを知らせることができ、主用表示200aと副表示部200bとを組み合わせることで、複数人が携行する複数の発信機に対する表示が可能となる。つまり、利用客は、自身が携行する発信機210に表示されている認識パターンと、副表示部200bに表示されている識別パターンとが一致するときに、主表示部10aの案内情報が自身の目的地の案内情報であることを認識することができるので、目的地への移動をスムーズに行うことができる。
【0051】
また、表示システム200の案内用表示板(後述の
図11、
図12における260)が発信機210の電波を検知した際に、表示システム200の案内用表示板が、光源群を制御して副表示部200bを点滅表示させてもよい。この機能により、近くを通る利用客への表示であることを認識させ易くなる。また、発信機210の電波を検知するまで、透明表示板3(主表示部200a及び副表示部200bを含む)を表示状態としないことにより、他の利用者の困惑を回避することが可能である。
【0052】
図10(a)において、副表示部200bの黄色を点灯させる場合は、光源1dyを点灯させ、緑を点灯させる場合は、光源1dgを点灯させ、赤を点灯させる場合は、光源1drを点灯させ、青を点灯させる場合は、光源1dbを点灯させる。光源1dは、Y軸方向に光が広がらないように光の指向性が高い方が好ましい。指向性を向上させるために、光源1dの+X軸方向の位置にコリメータレンズを配置してもよい、また、主表示部10aは、光源群1cから出射した光で点灯する。
【0053】
主表示部200a及び副表示部200bは、例えば、光散乱粒子を含む透明の樹脂インクを用いてシルク印刷でパターンを形成している。なお、
図10(a)では、同一平面上に各色を分割して配置しているが、透明表示板3を複数枚重ねて、各色を表示してもよい。その場合、各透明表示板3に対応する光源を配置するため、光の指向性を考慮する必要性はない。さらに、副表示部200bをカラー印刷することにより、光源の発光色を白色としてもよい。
【0054】
図10(a)には、4色表示の場合を示しているが、記号又は画像を表示してもよい。なお、簡易な構成で安価なシステムを実現するためには、動画ではなく、固定パターンを表示することが好ましい。また、上記の案内用表示システムにおいて、発信機は必ずしも必要でなく、例えば、発信機がなくても誰向けの情報かがわかるような表示パターンであれば発信機を省略してもよい。一例として、主表示部200aにおいて男性用のレストルームへの案内と女性用のレストルームへの案内とを切り替えて表示するような案内表示板に、副表示部200bの表示パターンとして男性用か女性用かを識別可能な文字、記号又は画像等の識別情報を用意しておき、主表示部200aの案内と同期させて副表示部200bの識別情報の表示を切り替えてもよい。
【0055】
図11は、実施の形態2に係る表示システム200の構成を概略的に示す機能ブロック図である。また、
図12は、
図10及び
図11に示される表示システム200が適用された案内システムを示す概略図である。
図11、
図12に示されるように、表示システム200は、発信機210と通信可能に接続された表示装置250、260を有する。なお、表示システム200は表示装置250又は表示装置260のいずれかのみを備える構成であってもよい。表示装置250及び表示装置260は、副表示部200bを発光させるための光を発する光源1を有する光源群1a、1bと、液晶ディスプレイなどの主表示部200aと、発信機210との通信を行う通信部203と、タッチパネルなどのユーザ操作を行う操作入力部204と、光源群1a、1bの点灯動作の制御及び主表示部200aの表示動作を制御する制御回路を含む制御部201とを有している。なお、
図11では図示省略しているが、表示装置250、260は、光源群1a、1bが発する光の入射先として、副表示部200bが備えられた透明表示板3を含んでいる。なお、説明の簡便化のため、表示装置250と表示装置260とが同じ構成の場合を例にして説明をしているが、表示装置250と表示装置260とは異なる構成であってもよい。
【0056】
例えば、表示装置250を上述の経路設定用表示板として設置する場合、表示装置250は、制御部201と、通信部203と、操作入力部204とを備えていればよい。すなわち、光源群1a,1b、主表示部200a及び副表示部200bなどといった上述した表示システム(実施の形態1の表示システム)の構成を備えていなくてもよい。換言すると、経路設定用表示板としての表示装置250では、ユーザ操作を受け付けて、目的地を設定するとともにそのユーザに応じた識別情報を決定し、目的地の情報とともに識別情報を発信機210に通知して保持させる機能を有していればよい。例えば、表示装置250の制御部201は、操作入力部204を介してユーザに目的地を設定させる処理、そのユーザに応じた識別情報を決定する処理、及び目的地の情報とともに決定した識別情報を通信部203を介して発信機210に通知する処理を実行する。なお、目的地の情報は必ずしも必須ではなく、表示装置250では、発信機210に保持させる識別情報と、表示装置260の主表示部200aで表示させる内容とを対応づけられればよく、必ずしも上記構成に限定されない。例えば、施設内などで目的地が限られている場合、目的地に応じた識別情報を決定することで、発信機210が目的地の情報を保持しないようにできる。この場合において、識別情報に目的地の情報が含まれていると解釈してもよい。なお、経路設定用表示板としての表示装置250が、さらに、光源群1a、1bと、主表示部200aと、副表示部200b(図示せず)を備えることで、実際に副表示部200bにそのユーザの識別情報に対応した識別パターンを表示しながら主表示部200aで今後の経路案内の方法を説明するなどすれば、発信機210に保持させた識別情報と、以降出現する案内表示に表示される識別パターンとの関係(自分に向けての情報か否か)を、ユーザによりわかりやすく説明できる。
【0057】
また、例えば、表示装置260を上述の案内用表示板として設置する場合、表示装置260は、制御部201と、通信部203と、光源群1a、1bと、主表示部200aと、副表示部200b(図示せず)とを備えていればよい。すなわち、表示装置260では、操作入力部204を省略してもよい。換言すると、案内用表示板としての表示装置260では、発信機210から識別情報と目的地の情報を受け取って、主表示部200aに目的地に応じた案内表示をするとともに、副表示部200bに識別情報に対応した識別パターンを表示させる機能を有していればよい。例えば、表示装置260の制御部201は、発信機210から識別情報と目的地の情報とを受信すると、受信した情報を基に、副表示部200bの表示動作に対応する光源群1a、1bの点灯動作の制御及び主表示部200aの表示動作を制御する処理を実行する。なお、目的地の情報は必ずしも必須ではなく、識別情報から主表示部200aで表示させる内容を特定できれば、目的地の情報を省略可能である。
【0058】
通信部203は、例えば、発信機210から発信されている電波を受信して発信機210からデータを読み取る機能を備える。また、通信部203は、発信機210に電波を送信して発信機210にデータを書き込む機能をさらに備えていてもよい。主表示部200aは、実施の形態1における主表示部10aと同じである。光源群1a、1bは、副表示部200bを具備した透明表示板3に光を入射する。副表示部200bは、実施の形態1における副表示部10bと同じである。ただし、実施の形態2において、表示装置250と表示装置260の副表示部200bには、発信機210から取得したユーザの識別情報に対応した識別パターン(
図10(b)における210b)が表示される。なお、上述したように、識別情報は、必ずしもユーザを識別するものでなくてもよく、行先など主表示部200aで表示する内容を識別できるものであってもよい。
【0059】
図12に示す例では、表示システム200は、表示装置250と表示装置260とを有している。表示装置250は、例えば、ユーザ220から目的地の情報を受け付け、そのユーザ220(ある目的地に向かっているユーザ)の識別情報を決定し、決定した識別情報と目的地の情報とを発信機210に保持させた上で、その発信機210をユーザ220に携行させる。表示装置260は、例えば、目的地の情報と識別情報とを保持する発信機210を携行するユーザ220が近づくと、発信機210から情報を受信し、受信した情報に基づいて、目的地までの経路を示す表示を主表示部200aに表示するとともに、識別情報に対応した識別パターンを副表示部200bに表示する。ユーザは、自身の発信機210に表示されている識別パターン210bと同じ識別パターンが副表示部200bに表示されているときに、主表示部200aに表示されている案内情報(例えば、矢印)を見て、目的地へ向けて移動することができる。なお、
図12では、表示装置260を十字路の一箇所にのみ設置しているが、複数箇所に設置してもよい。経路が複雑な場合などでは、ユーザ220が近づいた際に、各表示装置260が点灯又は点滅するなどして対象のユーザに対する注意喚起を行うことで、スムーズに目的地への誘導が可能となる。また、表示装置250及び表示装置260は、スタンドタイプでもよいし、壁面、床面などに設置あるいは埋め込められていてもよい。床面に設置されていると、表示装置250及び表示装置260が経路の妨げになることなく、ユーザ220が表示内容を認識することが可能となる。なお、上述した例では、主表示部200aが液晶ディスプレイで構成される場合を説明しているが、主表示部200aは、実施の形態1と同様、透明パネルや紙媒体などであってもよい。
【0060】
図13は、
図10に示される表示システム200の動作を示すフローチャートである。先ず、目的地を入力するシステムである表示装置250に目的地を入力することで、ユーザに対応した識別情報を保持する発信機210が貸し出される(ステップS11)。発信機210には、保持している識別情報に対応した識別パターン210bが表示される(ステップS12)。また、発信機210の貸し出しと同時に、表示装置250は、光源1の点灯制御によって、発信機210に保持させたユーザの識別情報に対応した識別パターン210bを副表示部200bに表示させ、主表示部200aには目的に向かう経路を示す矢印などの案内情報を表示させてもよい。ユーザ220が表示装置260に近づくと、表示装置260の通信部303が、発信機210から識別情報と目的地の情報とを受信する。表示装置260の制御部201は、発信機210から受信した情報に基づいて、光源1の点灯制御によって識別パターン210bを副表示部200bに表示させ、主表示部200aには目的に向かう経路を示す矢印などの案内情報を表示させる(ステップS13)。発信機210を携行したユーザが目的地に到着して発信機210を返却すると、クーポンが発行される。
【0061】
これにより、施設利用者が多い場合などにおいて、副表示部200bにユーザの識別情報に対応した識別パターンを表示しつつ、主表示部10aでそのユーザに対応した案内表示を行うことで、不特定多数の施設利用者がある状態でも適切に利用酌を誘導することができ、不特定多数の混雑緩和及び安全性を確保することが可能である。なお、施設利用者が少ない場合には、ユーザの識別を行わずに、実施の形態1と同様、主表示部200aで不特定多数向けの表示を行いつつ、副表示部200bでその主表示部200aを強調表示する表示方法に切り替えることも可能である。
【0062】
また、
図10(a)の透明表示板3は、1枚で主表示部10aと副表示部200bを表示しているが、主表示部10aのみを備えた透明表示板3をZ軸方向に複数枚積層させることにより、複数の方向の矢印を表示させることが可能である。また、主表示部10a上に複数の矢印パターン(
図10(a)は1つの矢印パターン)を形成し、点灯制御により、目的の矢印を点灯させてもよい。この点は、他の実施の形態においても同様である。
【0063】
《実施の形態3》
実施の形態3は、実施の形態1に係る表示システムが適用された案内システムに関する。実施の形態3は、実施の形態2における発信機の代りの端末としてスマートフォン、携帯電話などの携帯端末を用いた点において、実施の形態2と異なる。
【0064】
図14は、実施の形態3に係る表示システム300の制御系の構成例を概略的に示す機能ブロック図である。また、
図15は、
図14に示される表示システム300が適用された案内システムを示す概略図である。
図14、
図15に示されるように、表示システム300は、携帯端末310と通信可能に接続された表示装置350、360を有する。なお、表示システム300は表示装置350又は表示装置360のいずれかのみを備える構成であってもよい。表示装置350及び表示装置360は、副表示部300bを発光させるための光を発する光源1を有する光源群1a、1bと、液晶ディスプレイなどの主表示部300aと、ユーザが携行する携帯端末310との通信を行う通信部303と、タッチパネルなどのユーザ操作を行う操作入力部304と、光源群1a、1bの点灯動作の制御及び主表示部300aの表示動作を制御する制御回路を含む制御部301とを有している。なお、
図14では図示省略しているが、表示装置350、360は、光源群1a、1bが発する光の入射先として、副表示部300bが備えられた透明表示板3を含んでいる。なお、説明の簡便化のため、表示装置350と表示装置360とが同じ構成の場合を例にして説明をしているが、表示装置350と表示装置360とは異なる構成であってもよい。表示装置350は、実施の形態2の表示装置250の通信部203が通信部303に置き換わったものととらえてもよい。また、表示装置360は、実施の形態2の表示装置260の通信部203が通信部303に置き換わったものととらえてもよい。ただし、本実施形態では、表示装置350は、目的地が入力された場合にユーザの識別情報を決定して、発信機210にユーザの識別情報を保持する処理に代えて、携帯端末310から入力されたユーザの識別情報と目的地の情報とを対応づけた情報を、携帯端末310に保持させるか、他の通信ネットワークを介して表示装置360又は表示装置360がアクセス可能なサーバ装置に保持させる。
【0065】
通信部303は、例えば、携帯端末310から発信されている電波を受信して携帯端末310からデータを読み取る機能を備える。また、通信部303は、携帯端末310に電波を送信して携帯端末310にデータを書き込む機能をさらに備えていてもよい。主表示部300aは、実施の形態1における主表示部10aと同じである。光源群1a、1bは、副表示部300bを具備した透明表示板3に光を入射する。副表示部300bは、実施の形態1における副表示部10bと同じである。ただし、実施の形態3において、表示装置350と表示装置360の副表示部300bには、携帯端末310から取得したユーザの識別情報に対応した識別パターン(
図10(b)における210bと同様)が表示される。なお、上述したように、識別情報は、必ずしもユーザを識別するものでなくてもよく、行先など主表示部200aで表示する内容を識別できるものであってもよい。本例において、携帯端末310には、表示装置350及び表示装置360との間で少なくとも識別情報をやりとりする機能を備えた本システムのアプリケーションがインストールされているものとする。
【0066】
図15に示す例では、表示システム300は、表示装置350と表示装置360とを有している。表示装置350は、例えば、ユーザ320から目的地の情報を受け付け、そのユーザ320(ある目的地に向かっているユーザ)の識別情報を受信し、受信した識別情報と目的地の情報とを対応づけて携帯端末301又はネットワーク上の他の装置に保持させる。表示装置360は、例えば、目的地の情報と対応づけられた識別情報を保持する携帯端末310を携行するユーザ320が近づくと、携帯端末310から情報を受信し、受信した情報に基づいて、目的地までの経路を示す表示を主表示部300aに表示するとともに、識別情報に対応した識別パターン(
図10(a)における200bと同様)を副表示部300bに表示する。ユーザは、自身の携帯端末310に表示されている識別パターン310bと同じ識別パターンが副表示部300bに表示されているときに、主表示部300aに表示されている案内情報(例えば、矢印)を見て、目的地へ向けて移動することができる。なお、
図15では、表示装置360を十字路の一箇所にのみ設置しているが、複数箇所に設置してもよい。経路が複雑な場合などでは、ユーザ320が近づいた際に、各表示装置360が点灯又は点滅するなどして対象のユーザに対する注意喚起を行うことで、スムーズに目的地への誘導が可能となる。表示装置350及び床面に設置されていると、表示装置350及び表示装置360が経路の妨げになることなく、ユーザ320が主表示部300aと副表示部300bを認識することが可能となる。なお、上述した例では、主表示部300aが液晶ディスプレイで構成される場合を説明しているが、主表示部300aは、実施の形態1と同様、透明パネルや紙媒体などであってもよい。
【0067】
また、例えば、ユーザとして大勢の利用客がいる建物(例えば、施設)内において、目的地が同一のユーザが大勢存在する場合、ユーザが床面又は壁面に設置された表示装置360の透明表示板3の前を通過する際に、特定のユーザに対する副表示部300bの点灯を中止すれば、目的地における過度な混雑の発生を回避することができる。また、主表示部10aを点灯させることにより、不特定多数のユーザの誘導を行えば、施設の混雑を緩和することができる。
【0068】
図16は、
図14に示される表示システム300の動作を示すフローチャートである。先ず、携帯端末310から、目的地を示す情報と識別情報とが表示システム300の表示装置350に送信される(ステップS21)。なお、情報の入力は携帯端末310から行う方法に限定されず、例えば、実施の形態2と同様、操作入力部を介して行うことも可能である。次に、携帯端末310は、その表示画面に識別パターン310bを表示する(ステップS22)。また、表示装置350の制御部301は、ユーザの識別情報と目的地の情報とを対応づけて、携帯端末310又はネットワーク上の他の装置に保持させる。ユーザ330が近づくと、表示装置360は、携帯端末310から携帯端末の識別情報と、あれば目的地を示す情報を受信する。表示装置360の制御部301は、携帯端末310から受信した情報に基づいて、光源1の点灯制御によって識別パターン310bを副表示部300bに表示させ、主表示部300aには目的に向かう経路を示す矢印などの案内情報を表示させる(ステップS23)。
【0069】
これにより、施設利用者が多い場合などにおいて、副表示部200bにユーザの識別情報に対応した識別パターンを表示しつつ、主表示部10aでそのユーザに対応した案内表示を行うことで、不特定多数の施設利用者がある状態でも適切に利用酌を誘導することができ、不特定多数の施設利用者の混雑緩和及び安全性を確保することが可能である。なお、施設利用者が少ない場合には、ユーザの識別を行わずに、実施の形態1と同様、主表示部300aで不特定多数向けの表示を行いつつ、副表示部300bでその主表示部300aを強調表示する表示方法に切り替えることも可能である。
【0070】
また、主表示部300aのみを備えた透明表示板3をZ軸方向に複数枚積層させることにより、複数の方向の矢印を表示させることが可能である。また、主表示部300a上に複数の矢印パターンを形成し、点灯制御により、目的の矢印を点灯させてもよい。
【0071】
上記以外の点については、実施の形態2は、上記実施の形態3と同じである。
【0072】
《実施の形態4》
図17は、実施の形態4に係る表示システム400の構成を概略的に示す図である。
図17に示されるように、表示システム400は、車両が走行する道路801において、走行中の車両の運転者に車線(進路)変更を誘導する。表示システム400は、走行する車両を検出するセンサを備えた検知部402と、道路801の車両走行車線上に配置された複数の表示装置403、404、405と、表示装置403、404、405の動作を制御する制御回路を含む制御部401とを有している。表示装置403、404、405は、例えば、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100と同様に、主表示部403a、404a、405aとしての矢印と、副表示部403b、404b、405bとしての強調表示とを有している。検知部402は、カメラ又はレーダーを用いてもよい。
【0073】
また、
図17における矢印のみを副表示部として表示させてもよい。この場合には、透明表示板の全面であって、副表示部が設けられた領域以外の領域が主表示部となる。言い換えれば、この場合の主表示部は、車線変更を促す誘導表示とは別に、車線変更が促される実際の道路状況又は周囲環境といった人が認識すべき情報を視認可能とした、透明表示板上の透明領域である。
【0074】
表示システム400の制御部401は、検知部402から出力される検知信号に基づいて表示装置403、404、405の光源の点灯・消灯を制御して、副表示部の表示動作を制御する。
【0075】
透明表示板の表示領域の全面積に対して車線変更を促す誘導表示の領域を限定する(例えば、表示領域の全面積に対して誘導表示の表示領域を50%以下とする)、誘導表示を点滅表示又は車両がある程度近づいたときに限定して点灯することで、誘導表示を強調しつつ、透明表示板の背後を視認できる領域又は時間を確保できるようにしてもよい。このような工夫により、本来認識させたい情報の視認性とアイキャッチ(eye-catching)効果、すなわち、人の注意を対象に向けさせる効果とを両立させてもよい。
【0076】
また、検知部402から出力される検知信号に基づいて副表示部を点灯制御することにより、車線変更の誘導がより効果的になる。また、車両が近づいていない場合は、副表示部を点灯させないことで、省エネ化を図ることができる。
【0077】
《実施の形態5》
図18は、実施の形態5に係る表示システム500の構成を概略的に示す図である。
図18に示されるように、表示システム500は、車両が走行する道路801の上部に、車両の運転者に注意喚起を促す道路標識灯(すなわち、主表示部503a)が設置されている場合に、主表示部503aを強調するように配置された副表示部503bと、走行する車両を検出するセンサを備えた検知部502と、副表示部503bの動作を制御する制御回路を含む制御部501とを有している。
【0078】
副表示部503bは、例えば、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100の副表示部10bと同様に、主表示部503aの前方(すなわち、観察者側)に配置されており、主表示部503aを強調する。車両の運転者である観察者は、道路801の上部の道路標識灯を見たときに、主表示部503aを視認するとともに、副表示部503bによる強調表示を見る。主表示部503aには、運転者に対し、例えば、「速度注意」、「追い越し禁止」、「車間距離注意」などの注意喚起を促す表示がなされる。副表示部503bは、主表示部503aの表示情報の認識の障害にならないように設置される。
【0079】
表示システム500の制御部501は、検知部502から出力される検知信号に基づいて副表示部503bの光源の点灯・消灯を制御して、副表示部503bの表示動作を制御する。制御部501は、時間帯(すなわち、時刻情報)、道路801の交通量(すなわち、交通状況情報)などに基づいて、点灯内容を変更してもよい。時刻情報及び交通状況情報は、例えば、外部情報として外部から取得される。
【0080】
表示システム500は、副表示部503bの光源の点灯・消灯を制御して、副表示部503bの表示動作を制御することで、車両の運転者は、副表示部503bと同時に主表示部503aを視認するので、一層強い注意喚起を受けることができる。
【0081】
また、表示システム500は、既存の道路標識の前方に副表示部503bを配置することで、新設することが可能である。
【0082】
《実施の形態6》
図19は、実施の形態6に係る表示システム600の構成を概略的に示す図である。
図19に示されるように、表示システム600は、車両が走行する道路801に、車両の運転者に注意喚起を促す道路標識灯(すなわち、主表示部603a)が設置されている場合に、主表示部603aを強調するように配置された副表示部603bと、走行する車両を検出するセンサを備えた検知部602と、副表示部603bの動作を制御する制御回路を含む制御部601とを有している。
【0083】
副表示部603bは、例えば、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100の副表示部10bと同様に、主表示部603aの前方(すなわち、観察者側)に配置されており、主表示部603aを強調する。車両の運転者である観察者は、視線604に沿って、副表示部603bを見たときに、副表示部603bに備えられている開口605を介して主表示部603aを視認する。同時に、観察者は、副表示部603bによる強調表示を見る。
【0084】
表示システム600の制御部601は、検知部602から出力される検知信号に基づいて副表示部603bの光源の点灯・消灯を制御して、副表示部603bの表示動作を制御する。
【0085】
表示システム600は、副表示部603bの光源の点灯・消灯を制御して、副表示部603bの表示動作を制御することで、車両の運転者は、副表示部603bと同時に主表示部603aを視認するので、一層強い注意喚起を受けることができる。
【0086】
また、表示システム600は、既存の道路標識の前方に副表示部603bを配置することで、新設することが可能である。
【0087】
《実施の形態7》
図20は、実施の形態7に係る表示システム700の構成を概略的に示す図である。
図20に示されるように、表示システム700は、車両が走行する道路801のカーブにおいて、走行中の車両の運転者に誘導方向を矢印で示す。表示システム700は、走行する車両を検出するセンサを備えた検知部702と、道路801のフェンス802に道路801に沿って配置された複数の表示装置703、704、705と、表示装置703、704、705の動作を制御する制御回路を含む制御部701とを有している。
【0088】
表示装置703、704、705は、例えば、
図2(a)及び(b)に示される表示システム100と同様に、主表示部703a、704a、705aと、副表示部703b、704b、705bとを有している。ただし、表示装置703、704、705として、上記した他の表示システムの構造を採用してもよい。
【0089】
表示システム700の制御部701は、検知部702から出力される検知信号に基づいて表示装置703、704、705の光源の点灯・消灯を制御して、副表示部703b、704b、705bの表示動作を制御する。
【0090】
主表示部703a、704a、705aが、透明表示板に印刷された矢印である場合、表示装置703、704、705の光源の点灯・消灯を制御して、副表示部703b、704b、705bの表示動作を制御することで、車両の運転者は、道路801のカーブで誘導方向を示す矢印が、空中に表示されているように感じることができる。さらに、車両の運転者は、副表示部703b、704b、705bの表示動作により強調された主表示部703a、704a、705aの矢印を視認するので、一層強い注意喚起を受けることができる。
【0091】
また、表示装置703、704、705の透明表示板のサイズを、設置場所の空間に合わせて大きくすることにより、表示された表示パターンに浮遊感を感じさせることができる。
【0092】
また、表示システム700は、既存の道路標識である矢印の前方に副表示部703b、704b、705bを配置することで、新設することが可能である。
【0093】
なお、上記実施の形態(変形例を含む)を適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 光源、 1a、1b 光源群、 2a、2b フレーム、 3、53 透明表示板、 3f、53f 前面、 3b、53b 裏面、 3t、3u、53t、53u 側面、 10a、200a、300a、403a、404a、405a、503a、603a、703a、704a、705a 主表示部、 10b、40b、50b、70b、200b、300b、403b、404b、405b、503b、603b、703b、704b、705b 副表示部、 50b1 第1の副表示部、 50b2 第2の副表示部、 30a 反射部、 100、110、120、130、140、200、300、400、500、600、700 表示システム、 101、201、301、401、501、601、701 制御部、 102、402、502、602、702 検知部、 203、303 通信部、 210 発信機、 310 携帯端末。