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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】空気調和機、及び空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20250418BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20250418BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20250418BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20250418BHJP
   G16Y 10/80 20200101ALI20250418BHJP
   G16Y 10/35 20200101ALI20250418BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/86
F24F11/89
F24F11/56
G16Y10/80
G16Y10/35
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024500887
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2022006811
(87)【国際公開番号】W WO2023157267
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】坪井 優介
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-041315(JP,A)
【文献】特開2017-198428(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017005(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/214858(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0134872(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
G16Y 10/80
G16Y 10/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機を有する室外機と室外機に接続された室内機とを備える空気調和機であって、
電力会社に対応するサーバから送信される電力規制信号を受信する無線機器と、
前記無線機器が受信した前記電力規制信号に基づいて前記圧縮機の周波数の上限を規制し、前記サーバから前記無線機器までの通信経路上に通信障害が発生した場合には、前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除する制御部と、
を備え
前記制御部は、
前記通信障害が発生した場合、前記通信障害が発生してから予め設定された時間が経過しても前記通信障害が継続している場合には、前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除し、
前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除した後、前記通信障害が復旧した場合、前記通信障害が復旧してから予め設定された時間が経過した後に、前記圧縮機の周波数の上限の規制を再開する、
空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記通信障害が復旧してから予め設定された時間が経過するまでの間に前記無線機器が前記電力規制信号を受信した場合、受信した前記電力規制信号に基づいて前記圧縮機の周波数の上限を規制する、
請求項に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記通信障害が復旧してから予め設定された時間が経過するまでの間に前記無線機器が前記電力規制信号を受信していない場合、前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除する前の規制に戻す、
請求項に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記通信障害が復旧してから予め設定された時間が経過するまでの間に前記無線機器が前記電力規制信号を受信していない場合、前記無線機器を介してクラウドから最新の前記電力規制信号を取得し、取得した前記電力規制信号に基づいて前記圧縮機の周波数の上限を規制する、
請求項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、
前記無線機器が2種類以上の前記電力規制信号を所定時間内に受信した場合には、受信した前記電力規制信号の中で最も低い周波数の規制値に、前記圧縮機の周波数の上限を規制する、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記無線機器が2種類以上の前記電力規制信号を所定時間内に受信した場合には、受信した前記電力規制信号の中で最も高い周波数の規制値に、前記圧縮機の周波数の上限を規制する、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記無線機器は、前記サーバから送信される前記電力規制信号をクラウド経由で中継器を介して受信する、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項8】
圧縮機を有する室外機と室外機に接続された室内機とを備える空気調和機と、クラウドと、前記クラウドと通信可能な携帯端末とを備える空調システムであって、
前記空気調和機は、
電力会社に対応するサーバから送信される電力規制信号を前記クラウド経由で中継器を介して受信する無線機器と、前記無線機器が受信した前記電力規制信号に基づいて前記圧縮機の周波数の上限を規制し、前記サーバから前記無線機器までの通信経路上に通信障害が発生した場合には、前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記通信障害が発生した場合、前記通信障害が発生してから予め設定された時間が経過しても前記通信障害が継続している場合には、前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除し、
前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除した後、前記通信障害が復旧した場合、前記通信障害が復旧してから予め設定された時間が経過した後に、前記圧縮機の周波数の上限の規制を再開し、
前記クラウドは、
前記サーバから前記無線機器へ前記電力規制信号が送信される通信を監視し、
前記無線機器が前記電力規制信号を受信した場合、前記空気調和機が規制運転中であることを前記携帯端末へ通知する、
空調システム。
【請求項9】
前記クラウドは、
前記通信障害が発生した場合、前記通信障害が発生したこと又は前記空気調和機において前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除したことを前記携帯端末へ通知する、
請求項に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機、及び空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバから無線通信を介して遠隔操作される空気調和機などの電子機器が、サーバとの通信経路に通信障害が発生した場合、なるべく安全を確保できるように機能を制限したモードへ切り替え、なるべく安全を確保する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-169969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力会社から電力の使用を規制する電力規制信号を受信した場合、受信した電力規制信号に基づいて電力を制限した規制運転を行う空気調和機では、通信経路に障害が発生して通信できなくなると、規制が不要な状態になっても規制運転が継続してしまうため、ユーザにとって快適な運転を行えなくなる懸念がある。例えば、上述した特許文献1に開示されている技術を適用したとしても、通信障害が発生した場合には、空気調和機は、安全を確保するために機能が制限されてしまうため、同様に、ユーザにとって快適な運転を行えなくなる懸念がある。
【0005】
本開示は、上記した事情に鑑みてなされたもので、電力会社からの電力規制信号に基づいて運転を制御する空気調和機において、電力会社からの通信経路に通信障害が発生した場合の制御を適切に行う空気調和機、及び空調システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る空気調和機は、圧縮機を有する室外機と室外機に接続された室内機とを備える空気調和機であって、電力会社に対応するサーバから送信される電力規制信号を受信する無線機器と、前記無線機器が受信した前記電力規制信号に基づいて前記圧縮機の周波数の上限を規制し、前記サーバから前記無線機器までの通信経路上に通信障害が発生した場合には、前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除する制御部と、を備え、前記制御部は、前記通信障害が発生した場合、前記通信障害が発生してから予め設定された時間が経過しても前記通信障害が継続している場合には、前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除し、前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除した後、前記通信障害が復旧した場合、前記通信障害が復旧してから予め設定された時間が経過した後に、前記圧縮機の周波数の上限の規制を再開する
【0007】
また、本開示に係る空調システムは、圧縮機を有する室外機と室外機に接続された室内機とを備える空気調和機と、クラウドと、前記クラウドと通信可能な携帯端末とを備える空調システムであって、前記空気調和機は、電力会社に対応するサーバから送信される電力規制信号を前記クラウド経由で中継器を介して受信する無線機器と、前記無線機器が受信した前記電力規制信号に基づいて前記圧縮機の周波数の上限を規制し、前記サーバから前記無線機器までの通信経路上に通信障害が発生した場合には、前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除する制御部と、を備え、前記制御部は、前記通信障害が発生した場合、前記通信障害が発生してから予め設定された時間が経過しても前記通信障害が継続している場合には、前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除し、前記圧縮機の周波数の上限の規制を解除した後、前記通信障害が復旧した場合、前記通信障害が復旧してから予め設定された時間が経過した後に、前記圧縮機の周波数の上限の規制を再開し、前記クラウドは、前記サーバから前記無線機器へ前記電力規制信号が送信される通信を監視し、前記無線機器が前記電力規制信号を受信した場合、前記空気調和機が規制運転中であることを前記携帯端末へ通知する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電力会社からの電力規制信号に基づいて運転を制御する空気調和機において、電力会社からの通信経路に通信障害が発生した場合の制御を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る電力規制システムの概要を示すシステム図。
図2】実施形態に係る空気調和機における空調の基本動作の説明図。
図3】実施形態に係る通信障害発生時の規制運転制御の一例を示すタイムチャート。
図4】実施形態に係る空気調和機の構成例を示すブロック図。
図5】実施形態に係る室内機制御部が実行する電力規制処理の一例を示すフローチャート。
図6】実施形態に係る規制復旧時の規制値を選択する規制値選択処理の一例を示すフローチャート。
図7】実施形態に係る室外機制御部が実行する電力規制処理の一例を示すフローチャート。
図8】実施形態に係る携帯端末に表示される規制運転中の通知例を示す図。
図9】実施形態に係る携帯端末に表示される規制解除中の通知例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
まず、図1を参照して、電力会社からの電力規制信号に基づいて空気調和機の電力を規制する空調システムの概要について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る電力規制システムの概要を示すシステム図である。
図示する空調システムSYSは、空気調和機1、ルーター2、電力会社に対応するサーバ4、クラウド6、及び携帯端末7を備えている。
【0012】
電力会社に対応するサーバ4とは、電力会社自身が運営するサーバであってもよいし、電力会社から委託されたサーバ(電力会社以外が運営するサーバ)であってもよい。以下では、単に「電力会社のサーバ4」と称する。携帯端末7は、スマートフォン、ノートパソコンなど、ユーザが所持する携帯型の機器であり、インターネットまたは携帯電話通信網などを介してクラウド6と通信可能である。
【0013】
空気調和機1は、室外機10と室内機20とリモコン30と無線機器40とを備えている。室内機20、リモコン30、及び無線機器40は、室内3に設置されている。室外機10は、室内3の外側の屋外に設置されている。空気調和機1は、図2に示すように室外機10と室内機20とにおいて冷媒を循環させることにより、暖房運転または冷房運転を行う。
【0014】
図2は、本実施形態に係る空気調和機1における空調の基本動作の説明図である。室外機10と室内機20とは、冷媒配管51、52によって接続されている。室外機10に備えられた四方弁15を切り替えて冷媒の循環方向を切り替えることにより、暖房運転と冷房運転とが切り替わる。
【0015】
暖房運転の場合、圧縮機13により圧縮された気体状態の冷媒が、四方弁15を通って冷媒配管51を経由して室内機熱交換器25に流れる。室内機熱交換器25内の冷媒は周囲の空気と熱交換して周囲の空気を暖める。熱交換によって液体状態となった冷媒は、冷媒配管52を経由して膨張弁16を通って室外機熱交換器14に流入する。室外機熱交換器14内の冷媒は周囲の空気と熱交換する。熱交換によって気体状態となった冷媒が四方弁15を通って圧縮機13に戻る。
【0016】
冷房運転の場合、圧縮機13により圧縮された気体状態の冷媒が、四方弁15を通って室外機熱交換器14に流入する。室外機熱交換器14内の冷媒は周囲の空気と熱交換する。熱交換により液体状態となった冷媒は膨張弁16を通って冷媒配管52を経由して室内機熱交換器25に流入する。室内機熱交換器25内の冷媒は周囲の空気と熱交換して周囲の空気を冷やす。熱交換により気体状態となった冷媒は冷媒配管51を経由して四方弁15を通って圧縮機13に戻る。
【0017】
図1に戻り、室内機20は、タイマー212が組み込まれた室内機制御部21を備えている。また、室外機10は、室外機制御部11を備えている。室内機制御部21は、無線機器40と室外機制御部11とのそれぞれと有線通信などにより接続されている。
【0018】
無線機器40は、室内3に設けられているルーター2及びリモコン30とWi-Fi(登録商標)などの無線通信により接続される。ルーター2は、インターネットまたは携帯電話通信網などの公衆回線と室内3のLAN(Local Area Network)との通信を中継する中継器の一例であって、ここでは、無線LANルーターである。
【0019】
リモコン30は、ユーザの操作により空気調和機1の運転開始・停止、運転モード、設定温度などを受け付けるリモートコントローラーである。無線機器40は、ユーザの操作に応じてリモコン30から送信される信号を受信し、受信した信号を室内機制御部21に送る。室内機制御部21は、リモコン30から送信される信号に基づいて、暖房運転または冷房運転を制御する。
【0020】
また、無線機器40は、ルーター2を経由してインターネットなどを介してクラウド6と通信接続される。例えば、無線機器40は、電力会社のサーバ4などから送信される電力規制信号を、クラウド6及びルーター2を介して受信する。無線機器40は、電力規制信号を受信すると、受信した電力規制信号を室内機制御部21へ送信する。室内機制御部21は、無線機器40から送信された電力規制信号を受信すると、受信した電力規制信号を室外機制御部11へ送信する。室外機制御部11は、この電力規制信号に基づいて圧縮機13の周波数の上限を規制する。圧縮機13の周波数の上限を規制するのは、空気調和機1の消費電力の大半を圧縮機13の消費電力が占めているためである。
【0021】
電力規制信号とは、電力の使用を制限するための規制信号であり、電力の使用の上限を示す規制値を含む信号である。例えば、規制値には、「50%」などの使用の上限を示す値が設定される。規制なしの場合には、例えば、規制値「100%」の電力規制信号が送信される。なお、規制なしの場合、規制値が無いことを示す電力規制信号が送信されてもよい。この電力規制信号は、例えば、電力会社のサーバ4から一定の時間間隔(例えば、10分間隔)で送信される。
【0022】
例えば、室外機制御部11は、規制値「50%」の電力規制信号を受信すると、圧縮機13の周波数が、制御仕様の最大値の50%を超えないように制限して運転を制御する。なお、規制値「50%」の電力規制信号に対する圧縮機13の周波数の上限は、50%に限らず、50%に基づいて所定の割合を加算または減算した値であってもよい。以下の説明において、電力規制信号に基づいて圧縮機13の周波数の上限を規制する運転のことを、「規制運転」と称する。
【0023】
ここで、電力会社のサーバ4から無線機器40までの通信経路上に通信障害が発生して通信ができない場合、空気調和機1は、電力規制信号を受信することができなくなる。通信障害は、無線機器40とルーター2との間で発生する場合がある。また、クラウド6とルーター2との間でも発生する場合がある。なお、電力会社のサーバ4とクラウド6との間で通信障害が発生した場合も、クラウド6が異常時の場合も、同様に、電力会社のサーバ4から無線機器40までの通信経路上の通信障害となる。
【0024】
規制運転中に通信障害が発生した場合には、規制が不要な状態になったとしても、空気調和機1は、その情報を受取ることができない。それにより、規制運転が継続されてしまうと、ユーザにとって快適な運転を行えなくなる懸念がある。そこで、空気調和機1は、通信障害が発生した場合には、圧縮機13の周波数の上限の規制を解除する。
【0025】
図3を参照して、規制運転中に通信障害が発生したときの規制運転の動作について説明する。図3は、本実施形態に係る通信障害発生時の規制運転制御の一例を示すタイムチャートである。この図において、上段のタイムチャートは、通信状態(「通信障害あり」、「通信障害なし」)を示す。下段のタイムチャートは、圧縮機13の周波数の規制の有無を示す。電力規制信号に基づいて圧縮機13の周波数の上限が規制されている場合、即ち規制運転中の場合が「規制あり」、規制が解除された場合が「規制なし」を示す。
【0026】
まず、通信障害の発生時の動作について説明する。通信障害がなく、電力規制信号に基づいて規制運転中の状態(規制あり)から時刻t1において通信障害が発生したとする。室内機制御部21は、通信障害が発生したと判定した場合、タイマー212を用いてカウントを開始し、通信障害が発生してからの経過時間を計時する。室内機制御部21は、通信障害が発生してから「待機時間A」が経過した時刻t2においても通信障害が継続している場合には、規制解除信号を室外機制御部11へ送信する。室外機制御部11は、規制解除信号を受信すると、圧縮機13周波数の上限の規制を解除する(規制なし)。ここで、「待機時間A」は、通信障害が発生してから規制を解除するまでのバッファとして予め設定された時間(例えば10分)である。
【0027】
なお、通信障害の発生中にリモコン30から信号を受け付けた場合、室内機制御部21は、リモコン30の信号(指令)に基づいて運転を制御する。
【0028】
次に、通信障害から復旧したときの動作について説明する。時刻t3において、通信障害から復旧したとする。室内機制御部21は、通信障害から復旧したと判定した場合、タイマー212を用いてカウントを開始し、通信障害が復旧してからの経過時間を計時する。室内機制御部21は、通信障害が復旧してから「待機時間B」が経過した時刻t4において、規制復旧信号を室外機制御部11へ送信する。室外機制御部11は、規制復旧信号を受信すると、圧縮機13周波数の上限の規制を再開し、電力規制信号に基づいて規制運転を行う(規制あり)。ここで、「待機時間B」は、通信障害が復旧してから規制を再開するまでのバッファとして予め設定された時間(例えば10分)である。
【0029】
「待機時間A」と「待機時間B」とは、同じ時間が設定されてもよいし、異なる時間が設定されてもよい。例えば、なるべく電力会社の規制に従うように制御する場合、「待機時間A」より「待機時間B」の方が短い時間に設定されてもよい。
【0030】
次に、図4を参照して、空気調和機1の構成について詳しく説明する。
図4は、本実施形態に係る空気調和機1の構成例を示すブロック図である。この図では、空気調和機1の構成のうち主な構成を示しており、構成の一部を省略している。なお、この図において、図1及び図2の各部に対応する構成には、同一の符号を付している。
【0031】
室内機20は、室内機制御部21、室内機ファン22、フラップ23、室内機センサー24、室内機熱交換器25、及び室内機通信部28を備えている。室内機制御部21は、室内機20の各部を制御する。例えば、室内機制御部21は、リモコン30からの信号(司令)に基づいて、風量及び風向の制御を行うために、室内機ファン22の回転数及びフラップ23の向きなどを制御する。また、室内機制御部21は、室内機センサー24の出力を取得し、室内機熱交換器25の冷媒温度、室内温度、室内湿度などを検出する。室内機センサー24は、室内機熱交換器25の温度に応じた信号を出力する温度センサー、室内温度に応じた信号を出力する温度センサー、室内湿度に応じた信号を出力する湿度センサーなどを含む。
【0032】
また、室内機制御部21は、通信状態判定部211、タイマー212、及び規制指示部213を備えている。室内機制御部21は、室内機通信部28を介して、無線機器40と通信を行う。通信状態判定部211は、電力会社のサーバ4との通信経路上に通信障害が発生しているか否かを判定する。
【0033】
例えば、通信状態判定部211は、正常に通信が行えるか否かを判定するための通信確認信号(例えば、ハートビート信号)を定期的に、室内機通信部28を介して無線機器40から電力会社のサーバ4へ送信する。電力会社のサーバ4は、通信確認信号を取得すると、通信確認信号の送信元に対して応答信号を送信する。
【0034】
通信状態判定部211は、電力会社のサーバ4から送信された応答信号を、通信確認信号を送信してから所定時間以内に室内機通信部28を介して取得できれば、電力会社のサーバ4から無線機器40までの通信経路上に通信障害が発生していないと判定する。
【0035】
一方、通信状態判定部211は、電力会社のサーバ4から送信された応答信号を、通信確認信号を送信してから所定時間以内に室内機通信部28を介して取得できない場合には、電力会社のサーバ4から無線機器40までの通信経路上のどこかに通信障害が発生していると判定する。
【0036】
なお、クラウド6が電力会社のサーバ4から受け取った信号をルーター2を介して無線機器40へ定期的に送信しており、通信状態判定部211は、この信号を無線機器40を介して室内機制御部21が受信したか否かによって正常に通信が行えるか否かを判定してもよい。例えば、通信状態判定部211は、クラウド6が電力会社のサーバ4から受け取った信号を、無線機器40を介して室内機制御部21が受信した場合には通信障害が発生していないと判定してもよい。また、通信状態判定部211は、クラウド6が電力会社のサーバ4から受け取った信号を、無線機器40を介して室内機制御部21が受信しなかった場合には通信障害が発生していると判定してもよい。
【0037】
規制指示部213は、通信障害が発生していない場合には、電力会社のサーバ4から送信された電力規制信号を室内機通信部28を介して受信すると、受信した電力規制信号を室内機通信部28を介して室外機制御部11へ送信する。
【0038】
また、規制指示部213は、通信状態判定部211により通信障害が発生したと判定された場合、タイマー212を用いてカウントを開始し、待機時間A(図3参照)が経過しても通信障害が継続している場合には、規制の解除を指示する規制解除信号を、室内機通信部28を介して室外機制御部11へ送信する。
【0039】
また、規制指示部213は、通信状態判定部211により通信障害が復旧したと判定された場合、タイマー212を用いてカウントを開始し、待機時間B(図3参照)が経過した後に、規制の再開を指示する規制復旧信号を、室内機通信部28を介して室外機制御部11へ送信する。
【0040】
ここで、規制指示部213は、規制復旧信号を送信する場合、規制値を以下のように設定してもよい。例えば、規制指示部213は、待機時間Bの間に電力規制信号を受信した場合、受信した電力規制信号に含まれる規制値を規制復旧信号の規制値として設定する。この場合、室外機制御部11は、待機時間Bの間に受信した電力規制信号の規制値に基づいて圧縮機13の周波数の上限の規制を再開させる。
【0041】
また、規制指示部213は、待機時間Bの間に電力規制信号を受信していない場合、規制を解除する前の規制値を規制復旧信号の規制値として設定する。この場合、室外機制御部11は、規制解除前の元の規制値に基づいて圧縮機13の周波数の上限の規制を再開させる。
【0042】
また、規制指示部213は、待機時間Bの間に電力規制信号を受信していない場合、クラウド6に対して最新の電力規制信号を問い合わせてもよい。規制指示部213は、クラウド6から最新の電力規制信号を取得することにより、取得した電力規制信号に含まれる規制値を規制復旧信号の規制値として設定してもよい。この場合、室外機制御部11は、クラウド6から取得した電力規制信号の規制値に基づいて圧縮機13の周波数の上限の規制を再開させる。
【0043】
室外機10は、室外機制御部11、室外機ファン12、圧縮機13、室外機熱交換器14、四方弁15、膨張弁16、室外機センサー17、及び室外機通信部18を備えている。室外機制御部11は、室外機10の各部を制御する。例えば、室外機制御部11は、室外機センサー17の出力を取得し、室外機熱交換器14の冷媒温度、外気温などを検出する。室外機センサー17は、室外機熱交換器14の温度に応じた信号を出力する温度センサー、外気温に応じた信号を出力する湿度センサーなどを含む。室外機制御部11は、運転モード、冷媒の状態、外気温などに基づいて、圧縮機13の周波数、四方弁15の冷媒の流れの向き、膨張弁16の開度などを制御する。
【0044】
また、室外機制御部11は、規制制御部111を備えている。規制制御部111は、室内機制御部21から送信される電力規制信号に基づいて、圧縮機13の周波数の上限を規制する。また、規制制御部111は、室内機制御部21から送信される規制解除信号に基づいて、圧縮機13の周波数の上限の規制を解除する。また、規制制御部111は、室内機制御部21から送信される規制復旧信号に基づいて、圧縮機13の周波数の上限の規制を再開する。
【0045】
次に、空気調和機1が実行する電力規制処理の動作について、図5、6及び7のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
図5は、本実施形態に係る室内機制御部21が実行する電力規制処理の一例を示すフローチャートである。
【0047】
室内機制御部21は、電力会社のサーバ4との通信状態を判定する。例えば、室内機制御部21は、電力会社のサーバ4から無線機器40までの通信経路上に通信障害が発生したか否かを判定する(ステップS101)。
【0048】
室内機制御部21は、ステップS101において通信障害が発生していないと判定した場合、電力会社のサーバ4から送信された電力規制信号を受信すると、受信した電力規制信号を室外機制御部11へ送信する(ステップS103)。そして、ステップS101へ戻る。
【0049】
室内機制御部21は、ステップS101において通信障害が発生したと判定した場合、規制解除信号を室外機制御部11へ送信する。例えば、室内機制御部21は、ステップS101において通信障害が発生したと判定した場合、タイマー212を用いてカウントを開始し、待機時間A(図3参照)が経過しても通信障害が継続している場合には、規制解除信号を室外機制御部11へ送信する(ステップS105)。そして、ステップS101へ戻る。
【0050】
室内機制御部21は、ステップS101において通信障害が復旧したと判定した場合、規制復旧信号を室外機制御部11へ送信する。例えば、室内機制御部21は、ステップS101において通信障害が復旧したと判定した場合、タイマー212を用いてカウントを開始し、待機時間B(図3参照)が経過した後に、規制復旧信号を室外機制御部11へ送信する(ステップS107)。そして、ステップS101へ戻る。
【0051】
図6は、本実施形態に係る室内機制御部21が規制復旧時の規制値を選択する規制値選択処理の一例を示すフローチャートである。
【0052】
室内機制御部21は、ステップS101(図5)において通信障害が復旧したと判定した場合、待機時間Bの間に電力規制信号を受信したか否かを判定する(ステップS151)。
【0053】
室内機制御部21は、ステップS151において待機時間Bの間に電力規制信号を受信したと判定した場合(YES)、受信した電力規制信号に基づいて規制復旧信号の規制値を設定する。例えば、室内機制御部21は、規制復旧信号の規制値を、待機時間Bの間に受信した電力規制信号に含まれる規制値に設定する(ステップS153)。
【0054】
なお、室内機制御部21は、待機時間Bの間に複数種類の電力規制信号を受信した場合には、規制復旧信号の規制値を最新の電力規制信号に含まれる規制値に設定する。
【0055】
また、室内機制御部21は、ステップS151において待機時間Bの間に電力規制信号を受信していないと判定した場合(NO)、クラウド6に対して最新の電力規制信号を問い合わせる(ステップS155)。そして、室内機制御部21は、クラウド6から最新の電力規制信号を取得したか否かを判定する(ステップS157)。
【0056】
室内機制御部21は、ステップS157において、クラウド6から最新の電力規制信号を取得したと判定した場合(YES)、取得した最新の電力規制信号に基づいて規制復旧信号の規制値を設定する。例えば、室内機制御部21は、規制復旧信号の規制値を、クラウド6から取得した電力規制信号に含まれる規制値に設定する(ステップS159)。
【0057】
一方、室内機制御部21は、ステップS157において、クラウド6から最新の電力規制信号を取得していないと判定した場合(NO)、規制を解除する前の電力規制信号に基づいて規制復旧信号の規制値を設定する。例えば、室内機制御部21は、規制復旧信号の規制値を、規制を解除する前の元の規制値に設定する(ステップS161)。
【0058】
なお、室内機制御部21は、待機時間Bの間に電力規制信号を受信したか否かの判定、及びクラウド6から最新の電力規制信号を取得したか否かの判定を行わずに、規制復旧信号の規制値を、規制を解除する前の元の規制値に設定してもよい。
【0059】
また、室内機制御部21は、クラウド6から最新の電力規制信号を取得したか否かの判定を行わずに、待機時間Bの間に電力規制信号を受信していない場合には、規制復旧信号の規制値を、規制を解除する前の元の規制値に設定してもよい。
【0060】
図7は、本実施形態に係る室外機制御部11が実行する電力規制処理の一例を示すフローチャートである。
【0061】
室外機制御部11は、室内機制御部21から電力規制信号を受信したか否かを判定する(ステップS201)。
【0062】
室外機制御部11は、ステップS201において、室内機制御部21から電力規制信号を受信したと判定した場合(YES)、受信した電力規制信号に基づいて、圧縮機13の周波数の上限を規制する。例えば、室外機制御部11は、受信した電力規制信号に含まれる規制値で圧縮機13の周波数の上限を規制する(ステップS203)。そして、ステップS201へ戻る。
【0063】
一方、室外機制御部11は、ステップS201において、室内機制御部21から電力規制信号を受信していないと判定した場合(NO)、規制解除信号を受信したか否かを判定する(ステップS205)。
【0064】
室外機制御部11は、ステップS205において、室内機制御部21から規制解除信号を受信したと判定した場合(YES)、圧縮機13の周波数の上限の規制を解除する(ステップS207)。そして、ステップS201へ戻る。
【0065】
一方、室外機制御部11は、ステップS205において、室内機制御部21から規制解除信号を受信していないと判定した場合(NO)、規制復旧信号を受信したか否かを判定する(ステップS209)。
【0066】
室外機制御部11は、ステップS209において、室内機制御部21から規制復旧信号を受信したと判定した場合(YES)、受信した規制復旧信号に基づいて、圧縮機13の周波数の上限の規制を再開する。例えば、室外機制御部11は、受信した規制復旧信号に含まれる規制値で圧縮機13の周波数の上限の規制を再開する(ステップS211)。そして、ステップS201へ戻る。
【0067】
一方、室外機制御部11は、ステップS209において、室内機制御部21から規制復旧信号を受信していないと判定した場合(NO)、ステップS201へ戻る。
【0068】
以上説明してきたように、本実施形態に係る空気調和機1は、圧縮機13を有する室外機110と、室外機10に接続された室内機20と、電力会社のサーバ4から送信される電力規制信号を受信する無線機器40とを備えている。また、空気調和機1は、無線機器40が受信した電力規制信号に基づいて圧縮機13の周波数の上限を規制する。そして、電力会社のサーバ4から無線機器40までの通信経路上に通信障害が発生した場合には、圧縮機13の周波数の上限の規制を解除する。
【0069】
これにより、空気調和機1は、電力会社からの通信経路に通信障害が発生して電力規制信号を受取れなくなった場合には規制を解除するため、規制が不要な状態になっても規制運転が継続してしまうことが無く、ユーザにとって快適性が損なわれてしまわないようにすることができる。よって、空気調和機1は、電力会社からの通信経路に通信障害が発生した場合の制御を適切に行うことができる。
【0070】
例えば、空気調和機1は、通信障害が発生した場合、通信障害が発生してから予め設定された時間(例えば、待機時間A)が経過しても通信障害が継続している場合には、圧縮機13の周波数の上限の規制を解除する。
【0071】
これにより、空気調和機1は、通信障害が発生してから規制を解除するまでにバッファとして待機時間Aを設けたため、瞬時的に(例えば、3~4分以内の)通信障害が発生した場合には規制を継続できる。
【0072】
また、空気調和機1は、圧縮機13の周波数の上限の規制を解除した後、通信障害が復旧した場合、通信障害が復旧してから予め設定された時間(例えば、待機時間B)が経過した後に、圧縮機13の周波数の上限の規制を再開する。
【0073】
これにより、空気調和機1は、通信障害が復旧した場合には、電力会社からの電力規制信号に基づいて、正しく規制運転を行うことができる。また、空気調和機1は、通信障害が復旧してから規制運転を再開するまでにバッファとして待機時間Bを設けたため、通信状態が不安定な場合に、短時間の間に規制運転と規制の解除が繰り返されて圧縮機13の周波数が変動してしまわないようにできる。よって、空気調和機1は、ユーザにとって快適性が損なわれてしまうことを防止できる。
【0074】
例えば、空気調和機1は、通信障害が復旧してから予め設定された時間(例えば、待機時間B)が経過するまでの間に無線機器40が電力規制信号を受信した場合、受信した電力規制信号に基づいて圧縮機13の周波数の上限を規制する。
【0075】
これにより、空気調和機1は、通信障害が復旧して規制を再開する際には、最新の電力規制信号に基づいて、圧縮機13の周波数の上限の規制を再開することができる。
【0076】
一方、空気調和機1は、通信障害が復旧してから予め設定された時間(例えば、待機時間B)が経過するまでの間に無線機器40が電力規制信号を受信していない場合、圧縮機13の周波数の上限の規制を解除する前の規制に戻す。
【0077】
これにより、空気調和機1は、通信障害の復旧後に電力規制信号を受信できていない場合でも、圧縮機13の周波数の上限の規制を、規制解除前の元の規制で再開することができる。
【0078】
なお、空気調和機1は、通信障害が復旧してから予め設定された時間(例えば、待機時間B)が経過するまでの間に無線機器40が電力規制信号を受信していない場合、無線機器40を介してクラウド6から最新の電力規制信号を取得し、取得した電力規制信号に基づいて圧縮機13の周波数の上限を規制してもよい。
【0079】
これにより、空気調和機1は、通信障害が復旧して規制を再開する際には、最新の電力規制信号に基づいて、圧縮機13の周波数の上限の規制を再開することができる。
【0080】
また、空気調和機1は、無線機器40が2種類以上の電力規制信号を所定時間内(例えば、10分以内)に受信した場合には、受信した電力規制信号の中で最も低い周波数の規制値に、圧縮機13の周波数の上限を規制してもよい。
【0081】
例えば、無線機器40が受信する電力規制信号は、電力会社のサーバ4以外にも、携帯端末7などの他のデバイスから送信される場合もある。複数種類の電力規制信号を所定時間内(例えば、10分以内)に受信した場合、受信する度に規制値を変更すると、圧縮機13の周波数が変動して快適性を損なう可能性がある。そのため、空気調和機1は、複数種類の電力規制信号のうち最も低い周波数の規制値に固定することで快適性を損なうことなく、電力会社からの規制要求に応えることができる。
【0082】
なお、空気調和機1は、無線機器40が2種類以上の電力規制信号を所定時間内(例えば、10分以内)に受信した場合には、受信した電力規制信号の中で最も高い周波数の規制値に、圧縮機13の周波数の上限を規制してもよい。
【0083】
この場合、空気調和機1は、複数種類の電力規制信号のうち最も高い周波数の規制値に固定することで、空調性能を優先し、ユーザにとって快適性が損なわれてしまうことを防止できる。
【0084】
また、無線機器40は、電力会社のサーバ4から送信される電力規制信号をクラウド6経由でルーター2(中継器の一例)を介して受信する。
【0085】
これにより、空気調和機1は、特別な設備を必要とせず、宅内に設置されている一般的なLANを用いて電力会社のサーバ4から電力規制信号を受信して規制運転を行うことができる。
【0086】
また、本実施形態に係る空調システムSYSにおいて、クラウド6は、電力会社のサーバ4から無線機器40へ電力規制信号が送信される通信を監視し、無線機器40が電力規制信号を受信した場合、空気調和機1が規制運転中であることを携帯端末7へ通知してもよい。
【0087】
携帯端末7は、クラウド6から通知を受けると、通知内容を表示する。
図8は、本実施形態に係る携帯端末7に表示される規制運転中の通知例を示す図である。図示するように、携帯端末7の表示部には、「50%に規制しています。」、「規制運転中です。」などのように、規制運転中であることを示す情報が表示される。なお、この図に示す通知例は、一例であって通知内容は任意に決めることができる。
【0088】
これにより、空調システムSYSは、空気調和機1が規制運転中であることを、携帯端末7に表示させることによりユーザに容易に知らせることができる。
【0089】
また、クラウド6は、電力会社のサーバ4から無線機器40までの通信経路上に通信障害が発生した場合、通信障害が発生したこと又は空気調和機1において圧縮機13の周波数の上限の規制を解除したことを携帯端末7へ通知してもよい。
【0090】
携帯端末7は、クラウド6から通知を受けると、通知内容を表示する。
図9は、本実施形態に係る携帯端末7に表示される規制解除中の通知例を示す図である。図示するように、携帯端末7の表示部には、「通信障害が発生しています。」、「電力規制信号が途絶えています。ルーターを確認してください。」、「10分後に復旧予定です。」、「電力規制を解除しました。」、「10分後に復旧予定です。」などの情報が表示される。復旧予定の時間は、例えば、通信障害が復旧したときの待機時間Bの残り時間に応じて表示される。なお、この図に示す通知例は、一例であって通知内容は任意に決めることができる。
【0091】
これにより、携帯端末7は、空調システムSYSは、通信障害が発生したこと又は空気調和機1において圧縮機13の周波数の上限の規制を解除したことを、携帯端末7に表示させることによりユーザに容易に知らせることができる。
【0092】
以上、各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、各実施形態を組み合わせたり、各実施形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0093】
また、上記実施形態に係る空気調和機1は、1台の室外機10に接続される室内機20が1台である構成例を示したが、1台の室外機10に複数台の室内機20が接続される構成であってもよい。その場合、複数台の室内機20のうちの1台が、電力規制信号、規制解除信号、及び規制復旧信号を室外機10に送信する制御を行う。
【0094】
また、上記実施形態において、室内機制御部21は、通信障害が発生した際に、待機時間Aが経過してから規制解除信号を室外機制御部11へ送信する例を説明したが、待機時間Aの長さは任意に設定してもよいし、待機時間Aを待たずに通信障害が発生したことに応じて規制解除信号を室外機制御部11へ送信してもよい。
【0095】
また、上記実施形態において、室内機制御部21は、通信障害が復旧した際に、待機時間Bが経過してから規制復旧信号を室外機制御部11へ送信する例を説明したが、待機時間Bの長さは任意に設定してもよいし、待機時間Bを待たずに通信復旧が発生したことに応じて規制復旧信号を室外機制御部11へ送信してもよい。
【0096】
なお、各機器の制御部(例えば、室外機制御部11、室内機制御部21)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機器の制御部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0097】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものを含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上記のプログラムを所定のサーバに記憶させておき、他の装置からの要求に応じて、当該プログラムを通信回線を介して配信(ダウンロード等)させるようにしてもよい。
【0098】
また、各機器の制御部(例えば、室外機制御部11、室内機制御部21)の機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 空気調和機
2 ルーター
3 室内
4 電力会社のサーバ
6 クラウド
7 携帯端末
10 室外機
11 室外機制御部
111 規制制御部
12 室外機ファン
13 圧縮機
14 室外機熱交換器
15 四方弁
16 膨張弁
17 室外機センサー
18 室外機通信部
20 室内機
21 室内機制御部
211 通信状態判定部
212 タイマー
213 規制指示部
22 室内機ファン
23 フラップ
24 室内機センサー
25 室内機熱交換器
28 室内機通信部
30 リモコン
40 無線機器
51 冷媒配管
52 冷媒配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9