IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本碍子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電気化学セル 図1
  • 特許-電気化学セル 図2
  • 特許-電気化学セル 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】電気化学セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/1213 20160101AFI20250418BHJP
   H01M 4/90 20060101ALI20250418BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20250418BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20250418BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20250418BHJP
   C25B 11/047 20210101ALI20250418BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20250418BHJP
【FI】
H01M8/1213
H01M4/90 M
H01M4/90 X
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/23
C25B11/047
H01M8/12 101
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024514170
(86)(22)【出願日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2023005685
(87)【国際公開番号】W WO2023195246
(87)【国際公開日】2023-10-12
【審査請求日】2024-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2022062957
(32)【優先日】2022-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】小原 隆平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 真司
(72)【発明者】
【氏名】大森 誠
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-008914(JP,A)
【文献】特開2006-024545(JP,A)
【文献】特開平08-213029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86- 4/98
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
C25B 1/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリウムを含むイオン伝導性材料を含有する水素極と、
酸素極と、
前記水素極及び前記酸素極の間に配置される電解質と、
を備え、
前記水素極は、前記電解質と反対側の表面から8μm以内の第1部分と、前記表面から8μm超の第2部分とを有し、
前記第1部分のイオン伝導度は、前記第2部分のイオン伝導度より低
前記第2部分は、前記電解質と直接的に接触しており、
前記第1部分は、Niと、イットリア、セリア及びガドリアの固溶体を含有し、
前記第2部分は、Niと、希土類元素が添加されたセリア系酸化物とを含有する、
電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気化学セルの一例として燃料電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。燃料電池は、水素極と、酸素極と、水素極及び酸素極の間に配置される電解質とを備える。水素極は、電子伝導体として主に機能するニッケル(Ni)と、酸素イオン伝導体として主に機能する希土類元素が固溶したセリア系酸化物とによって構成される。希土類元素が固溶したセリア系酸化物としては、ガドリニウムドープセリアが代表的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-241644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水素極に供給されるガスに被毒物質(例えば、シリコンなど)が含まれている場合、被毒物質の付着によって水素極が劣化してしまう。
【0005】
本発明の課題は、水素極の劣化を抑制可能な電気化学セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気化学セルは、セリウムを含むイオン伝導性材料を含有する水素極と、酸素極と、水素極及び酸素極の間に配置される電解質とを備える。水素極は、電解質と反対側の表面から8μm以内の第1部分と、表面から8μm超の第2部分とを有する。第1部分のイオン伝導度は、第2部分のイオン伝導度より低い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水素極の劣化を抑制可能な電気化学セルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、燃料電池セルの斜視図である。
図2図2は、燃料電池セルの断面図である。
図3図3は、図2の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(燃料電池セル10)
電気化学セルの一例として燃料電池セル10について説明する。図1は、燃料電池セル10の斜視図である。図2は、後述するガス流路21に沿って切断した燃料電池セル10の断面図である。
【0010】
図1及び図2に示すように、燃料電池セル10は、支持基板20及び複数の発電素子部30を備える。
【0011】
[支持基板20]
図1に示すように、支持基板20は、扁平な板状に形成される。本実施形態に係る支持基板20では、長さ方向(x軸方向)の寸法が、幅方向(y軸方向)の寸法より長いが、長さ方向より幅方向の寸法の方が長くてもよい。
【0012】
図2に示すように、支持基板20は、第1主面S1と、第2主面T1とを有する。第1主面S1と第2主面T1とは、支持基板20の厚さ方向(z軸方向)において互いに反対を向いている。第1主面S1及び第2主面T1は、各発電素子部30を支持する。
【0013】
支持基板20は、電子伝導性を有さない多孔質材料によって構成される。支持基板20は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)によって構成される。或いは、支持基板20は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(イットリア安定化ジルコニア)とによって構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とによって構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とによって構成されてもよい。支持基板20の気孔率は、例えば、20%以上60%以下とすることができる。本明細書において、気孔率とは、SEM(走査電子顕微鏡)を用いた断面観察における固相と気相の総面積に対する気相の面積の割合である。
【0014】
支持基板20の内部には、複数のガス流路21が形成されている。各ガス流路21には、水素ガスなどの燃料ガスが供給される。本実施形態において、各ガス流路21は、支持基板20内を長さ方向(x軸方向)に延びる。各ガス流路21は、支持基板20を貫通する。各ガス流路21は、実質的に等間隔に配置されることが好ましい。
【0015】
図1に示すように、支持基板20は、緻密層22によって覆われている。緻密層22は、支持基板20の表面のうち各発電素子部30によって覆われていない領域を覆う。緻密層22は、支持基板20内に拡散されたガスが外部に排出されることを抑制する。緻密層22は、例えば、MgO(酸化マグネシウム)、CaZrO(カルシウムジルコネート)、YO(イットリア)、MgAlO(マグネシアアルミナスピネル)CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、LSGM(ランタンガレート)、GDC(ガドリニウムドープセリア)又はLaCrO(ランタンクロマイト)などによって構成される。緻密層22は、支持基板20よりも緻密である。緻密層22の気孔率は、例えば、0%以上7%以下とすることができる。
【0016】
[発電素子部30]
図1に示すように、各発電素子部30は、支持基板20の第1主面S1又は第2主面T1に支持されている。第1主面S1に配置される発電素子部30の数と第2主面T1に配置される発電素子部30の数とは、互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。また、各発電素子部30の大きさは、互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0017】
各発電素子部30は、ガス流路21が延びる長さ方向(x軸方向)に沿って間隔をあけて配置される。各発電素子部30は、互いに電気的に直列に接続される。
【0018】
発電素子部30は、第1集電部1、水素極2、電解質3、反応防止層4、酸素極5、第2集電部6、及びインターコネクタ7を備える。
【0019】
第1集電部1は、支持基板20の凹部23内に配置される。第1集電部1は、第1凹部11及び第2凹部12を有する。第1凹部11内には、水素極2が配置される。第2凹部12内には、インターコネクタ7が配置される。
【0020】
第1集電部1は、電子伝導性を有する多孔質材料によって構成される。第1集電部1は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とによって構成することができる。或いは、第1集電部1は、NiO(酸化ニッケル)と8YSZ(イットリア安定化ジルコニア)とによって構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とによって構成されてもよい。
【0021】
第1集電部1の気孔率は、例えば、10%以上50%以下とすることができる。第1集電部1の厚さは、例えば、50μm以上500μm以下とすることができる。
【0022】
水素極2は、第1集電部1の第1凹部11内に配置される。水素極2には、支持基板20及び第1集電部1を介して、ガス流路21から燃料ガスが供給される。水素極2では、次の式(1)で表される電極反応が起こる。
+O2-→HO+2e …(1)
【0023】
水素極2は、電子伝導性及びイオン伝導性を有する多孔質材料によって構成される。水素極2は、セリウムを含むイオン伝導性材料を含有する。水素極2の気孔率は、例えば、10%以上50%以下とすることができる。水素極2の厚さは、例えば、8μm超30μm以下とすることができる。水素極2の構成については後述する。
【0024】
電解質3は、水素極2を覆うように配置される。長さ方向(x軸方向)における電解質3の両端部それぞれは、インターコネクタ7に接続される。
【0025】
電解質3は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密質材料によって構成される。電解質3は、例えば、YSZ(8YSZ)、LSGM(ランタンガレート)などによって構成される。電解質3は、水素極2よりも緻密である。電解質3の気孔率は、例えば、0%以上7%以下とすることができる。電解質3の厚さは、例えば、3μm以上50μm以下とすることができる。
【0026】
反応防止層4は、電解質3上に配置される。反応防止層4は、電解質3を介して水素極2と対応する位置に配置される。反応防止層4は、電解質3の構成材料と酸素極5の構成材料とが反応して電気抵抗の大きい反応層が形成されることを抑制するために設けられている。反応防止層4は、イオン伝導性材料によって構成することができる。反応防止層4は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)によって構成することができる。反応防止層4の気孔率は、例えば、0.1%以上50%以下とすることができる。反応防止層4の厚さは、例えば、1μm以上50μm以下とすることができる。
【0027】
酸素極5は、反応防止層4上に配置される。酸素極5には、第2集電部6を介して、酸素を含むガス(例えば、空気)が供給される。酸素極5では、次の式(2)で表される電極反応が起こる。
(1/2)・O+2e→O2- …(2)
【0028】
酸素極5は、電子伝導性を有する多孔質材料によって構成される。酸素極5は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等によって構成することができる。酸素極5の気孔率は、例えば、10%以上50%以下とすることができる。酸素極5の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下とすることができる。
【0029】
第2集電部6は、酸素極5及びインターコネクタ7に接続される。第2集電部6は、電子伝導性を有する多孔質材料によって構成される。第2集電部6は、酸素イオン伝導性を有していてもよいし、有していなくてもよい。第2集電部6は、例えば、LSCF、LSC、Ag(銀)、Ag-Pd(銀パラジウム合金)等によって構成することができる。第2集電部6の気孔率は、例えば、25%以上50%以下とすることができる。第2集電部6の厚さは、例えば、50μm以上500μm以下とすることができる。
【0030】
インターコネクタ7は、第1集電部1の第2凹部12内に配置される。長さ方向(x軸方向)におけるインターコネクタ7の両端部それぞれは、電解質3に接続される。インターコネクタ7は、電子伝導性を有する緻密質材料によって構成される。インターコネクタ7は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)等によって構成することができる。インターコネクタ7の気孔率は、例えば、0%以上7%以下とすることができる。インターコネクタ7の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下とすることができる。
【0031】
(水素極2の構成)
次に、水素極2の構成について説明する。図3は、図2の部分拡大図である。
【0032】
図3に示すように、水素極2は、第1部分101と、第2部分102とを有する。
【0033】
第1部分101は、水素極2のうち電解質3と反対側の領域である。具体的には、第1部分101は、水素極2のうち電解質3と反対側の表面S2から8μm以内の領域である。従って、第1部分101の厚さは、8μmである。本実施形態において、第1部分101は、第1集電部1に接続される。
【0034】
なお、水素極2の表面S2(すなわち、第1集電部1と水素極2との界面)は、Ce(セリウム)の含有率が3%となるラインによって特定される。Ceの含有率は、後述する原子濃度プロファイルによるライン分析によって得られる。
【0035】
第2部分102は、水素極2のうち電解質3側の領域である。具体的には、第2部分102は、水素極2のうち表面S2から8μm超の領域である。すなわち、第2部分102は、水素極2のうち第1部分101を除いた領域である。第2部分102は、第1部分101と一体的に形成される。本実施形態において、第2部分102は、電解質3に接続される。
【0036】
ここで、第1部分101のイオン伝導度は、第2部分102のイオン伝導度より低い。すなわち、第1部分101の電極反応抵抗は、第2部分102の電極反応抵抗より大きい。そのため、燃料電池セル10の作動中、第2部分102に比べて第1部分101の方が反応熱によって高温になる。従って、水素極2に供給される燃料ガスに被毒物質(例えば、シリコンなど)が含まれている場合、第1部分101に被毒物質を効率的に吸着させることができる。よって、水素極2のうち電極反応が活発な三相界面(反応場)を構成する第2部分102に被毒物質が付着することを抑制できるため、水素極2の劣化(例えば、電極反応の低下)を抑制できる。
【0037】
第1部分101のイオン伝導度は、次のように測定される。まず、厚さ方向(z軸方向)に沿った水素極2の断面において、電解質3と反対側の表面S2から8μm以内の領域である第1部分101を確定する。次に、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)を用いて第1部分101の元素マッピングを取得することによって、第1部分101の組成と各組成の含有率を特定する。次に、特定された組成を特定された含有率で混合、焼成(1300℃5時間)した測定対象ペレットを作製する。次に、YSZによって構成され、焼成(1300℃5時間)した端子取付け用ペレットを2つ準備する。次に、2つの端子取付け用ペレットで測定対象ペレットを挟み、電流線を端子取付け用ペレットに白金ペーストで接合するとともに、電位線を測定対象ペレットに白金ペーストで接合する。次に、4端子法にて測定対象ペレットのイオン伝導度を測定する。このように測定された測定対象ペレットのイオン伝導度が、第1部分101のイオン伝導度である。
【0038】
第2部分102のイオン伝導度は、第1部分101のイオン伝導度と同様に測定される。
【0039】
第1部分101及び第2部分102それぞれは、Ce(セリウム)を含むイオン伝導性材料と、Ni(ニッケル)とを含有する。第1部分101が含有するイオン伝導性材料のイオン電導度は、第2部分102が含有するイオン伝導性材料のイオン電導度より低くてよい。
【0040】
第1部分101が含有するイオン伝導性材料としては、Y(イットリア)、CeO(セリア)及びGd(ガドリア)の固溶体(以下、「Y(Ce,Gd)固溶体」という。)や、Y、CeO及びSm(サマリア)の固溶体(以下、「Y(Ce,Sm)固溶体」という。)などが挙げられる。第1部分101がY(Ce,Gd)固溶体を含有する場合、Yを含有する第1集電部1との熱膨張係数差を小さくすることができるため、熱膨張係数差に起因して第1部分101と第1集電部1との界面付近にクラックが発生することを抑制することができる。よって、第1部分101が含有するイオン伝導性材料としては、Y(Ce,Gd)固溶体が好適である。なお、Y(Ce,Gd)固溶体とは、Y、CeO及びGdが互いに溶け合って、全体が均一の固相となっているものをいう。
【0041】
第2部分102が含有するイオン伝導性材料としては、希土類元素が添加されたセリア系酸化物が挙げられる。希土類元素が添加されたセリア系酸化物を第2部分102が含有する場合、高いイオン導電性と電子伝導性により水素極2の反応抵抗を下げることができる。よって、第2部分102が含有するイオン伝導性材料としては、希土類元素が添加されたセリア系酸化物が好適である。希土類元素が添加されたセリア系酸化物としては、例えば、ガドリニウムドープセリア(GDC)、サマリウムドープセリア(SDC)、イットリウムドープセリア(YDC)などが挙げられるが、これらには限られない。GDCとしては、5mol%以上20mol%以下のGd(ガドリニウム)の酸化物がドープされたCeO(セリア)を用いることができる。
【0042】
第1部分101のイオン伝導度は、第1部分101が含有するイオン伝導性材料の組成と、イオン伝導性材料の含有率とによって調整することができる。第1部分101におけるCeを含むイオン伝導性材料の含有率は、35mol%以上65mol%以下とすることができる。
【0043】
第2部分102のイオン伝導度は、第2部分102が含有するイオン伝導性材料の組成と、イオン伝導性材料の含有率とによって調整することができる。第2部分102におけるCeを含むイオン伝導性材料の含有率は、35mol%以上65mol%以下とすることができる。
【0044】
第1部分101及び第2部分102におけるCeを含むイオン伝導性材料の含有率は、原子濃度プロファイルによるライン分析、すなわちEPMAを用いた元素マッピングによって得られる。具体的には、厚さ方向(図3のz軸方向)に沿った断面において、EPMAを用いてz軸方向にライン分析を行うことにより、各元素の濃度分布データが取得される。なお、EPMAは、EDS(Energy Dispersive x-ray Spectroscopy)を含む概念である。
【0045】
第1部分101におけるNiの含有率は、35mol%以上65mol%以下とすることができる。第2部分102におけるNiの含有率は、35mol%以上65mol%以下とすることができる。
【0046】
第1部分101及び第2部分102におけるNiの含有率は、上述した原子濃度プロファイルによるライン分析によって得られる。Niは、燃料ガスが供給された還元雰囲気において金属Niとして存在していることが好ましいが、燃料ガスが供給されない場合にはNiOとして存在していてもよい。
【0047】
(実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0048】
[変形例1]
上記実施形態では、燃料電池の一例として、いわゆる横縞型の燃料電池セルについて説明したが、電気化学セルはこれに限られない。本発明は、電解質層の両側に水素極と酸素極とが配置された電気化学セルに適用可能である。
【0049】
電気化学セルとは、電気エネルギーを化学エネルギーに変えるため、全体的な酸化還元反応から起電力が生じるように一対の電極が配置された素子と、化学エネルギーを電気エネルギーに変えるための素子との総称である。
【0050】
電気化学セルとしては、横縞型の燃料電池セルのほか、縦縞型の燃料電池セル、平板型の燃料電池セル、筒型の燃料電池セル、更に、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う電解セルなどが挙げられる。また、上記実施形態では、O2-(酸素イオン)をキャリアとしたが、OH(水酸化物イオン)やプロトンをキャリアとしてもよい。
【0051】
[変形例2]
上記実施形態において、発電素子部30は、反応防止層4を備えることとしたが、反応防止層4を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 燃料電池セル
20 支持基板
30 発電素子部
1 第1集電部
2 水素極
101 第1部分
102 第2部分
3 電解質
4 反応防止層
5 酸素極
6 第2集電部
7 インターコネクタ
図1
図2
図3