IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エックス デベロップメント エルエルシーの特許一覧

特許7668959ワイヤレス光通信端末のための光学追跡モジュールチップ
<>
  • 特許-ワイヤレス光通信端末のための光学追跡モジュールチップ 図1
  • 特許-ワイヤレス光通信端末のための光学追跡モジュールチップ 図2
  • 特許-ワイヤレス光通信端末のための光学追跡モジュールチップ 図3
  • 特許-ワイヤレス光通信端末のための光学追跡モジュールチップ 図4A
  • 特許-ワイヤレス光通信端末のための光学追跡モジュールチップ 図4B
  • 特許-ワイヤレス光通信端末のための光学追跡モジュールチップ 図5
  • 特許-ワイヤレス光通信端末のための光学追跡モジュールチップ 図6A
  • 特許-ワイヤレス光通信端末のための光学追跡モジュールチップ 図6B
  • 特許-ワイヤレス光通信端末のための光学追跡モジュールチップ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】ワイヤレス光通信端末のための光学追跡モジュールチップ
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/112 20130101AFI20250418BHJP
   G02F 1/01 20060101ALN20250418BHJP
【FI】
H04B10/112
G02F1/01 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2024517509
(86)(22)【出願日】2022-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(86)【国際出願番号】 US2022032348
(87)【国際公開番号】W WO2023048785
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2024-05-16
(31)【優先権主張番号】17/698,224
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/246,605
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/246,599
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】エルクメン,バリス,イブラヒム
(72)【発明者】
【氏名】ブリンクリー,デビン
(72)【発明者】
【氏名】テラー,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】プラトー,ジャン-ローラン
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/026207(WO,A1)
【文献】特開2017-147622(JP,A)
【文献】国際公開第2019/207756(WO,A1)
【文献】特開平08-172215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/112
G02F 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学追跡モジュールであって、
光フェーズドアレイ(OPA)であって、
複数のアレイ素子と、
複数の位相シフタと、を含む、光フェーズドアレイ(OPA)と、
前記複数の位相シフタを調整するように構成されたアナログドライブと、
前記OPAから光を受容するように構成された集積光検出器と、
1つ以上のプロセッサであって、
前記OPAを介して入射ビームの信号情報を抽出することと、
前記信号情報に基づいて、前記アナログドライブを使用して出射ビームを制御することと、を行うように構成されている、1つ以上のプロセッサと、を備え、
前記OPA、前記アナログドライブ、前記集積光検出器、及び前記1つ以上のプロセッサが、集積回路内にあり、
前記光学追跡モジュールが、1つ以上のファイバを介してコンピューティングデバイスに接続するように構成されている、光学追跡モジュール。
【請求項2】
前記コンピューティングデバイスが、モデムである、請求項1に記載の光学追跡モジュール。
【請求項3】
第1のファイバから信号を受信するように構成された第1のポートと、前記集積回路に信号を送信し、前記集積回路から信号を受信するように構成された第2のポートと、第2のファイバに信号を送信するように構成された第3のポートと、を含む、サーキュレータを更に備える、請求項2に記載の光学追跡モジュール。
【請求項4】
電圧レギュレータを更に備える、請求項1に記載の光学追跡モジュール。
【請求項5】
前記電圧レギュレータが、前記集積回路に電力を提供するように構成されている、請求項4に記載の光学追跡モジュール。
【請求項6】
前記光学追跡モジュールが、前記光学追跡モジュールの外部にある1つ以上の別個のプロセッサに遠隔測定データを通信するように構成されている、請求項1に記載の光学追跡モジュール。
【請求項7】
光学追跡モジュールであって、
光フェーズドアレイ(OPA)であって、
複数のアレイ素子と、
複数の位相シフタと、を含む、光フェーズドアレイ(OPA)と、
前記複数の位相シフタを調整するように構成されたアナログドライブと、
前記OPAから光を受容するように構成された集積光検出器と、
1つ以上のプロセッサであって、
前記OPAを介して入射ビームの信号情報を抽出することと、
前記信号情報に基づいて、前記アナログドライブを使用して出射ビームを制御することと、を行うように構成されている、1つ以上のプロセッサと、を備え、
前記OPA、前記アナログドライブ、前記集積光検出器、及び前記1つ以上のプロセッサが、集積回路内にあり、
前記光学追跡モジュールが、開口利得を増加させる別個の光学レンズアセンブリに接続するように構成されている、光学追跡モジュール。
【請求項8】
前記光学追跡モジュールが、1つ以上のトランシーバ及び1つ以上の増幅器を含む、別個のトランシーバモジュールに接続するように構成されている、請求項7に記載の光学追跡モジュール。
【請求項9】
前記光学追跡モジュールが、体積が1000cm未満である、請求項1に記載の光学追跡モジュール。
【請求項10】
前記光学追跡モジュールが、任意の面の表面積が100cm未満である、請求項9に記載の光学追跡モジュール。
【請求項11】
前記複数のアレイ素子が、32×32の配列である、請求項1に記載の光学追跡モジュール。
【請求項12】
前記アナログドライブが、デジタルアナログ変換器(DAC)及び増幅器を含み、
前記1つ以上のプロセッサが、前記DACに接続されており、
前記DACがまた、前記増幅器に接続されており、
前記増幅器がまた、前記OPAに接続されている、請求項1に記載の光学追跡モジュール。
【請求項13】
前記集積光検出器が、増幅器及びアナログデジタル変換器(ADC)を介して前記1つ以上のプロセッサに接続されている、請求項1に記載の光学追跡モジュール。
【請求項14】
システムであって、
複数のポイントツーポイントリレーリンクを含むネットワーク配列内に複数の通信端末を備え、
前記複数の通信端末の各々が、光学追跡モジュールを含み、前記光学追跡モジュールが、
光フェーズドアレイ(OPA)であって、
複数のアレイ素子と、
複数の位相シフタと、を含む、光フェーズドアレイ(OPA)と、
前記複数の位相シフタを調整するように構成されたアナログドライブと、
前記OPAから光を受容するように構成された集積光検出器と、
1つ以上のプロセッサであって、
前記OPAを介して入射ビームの信号情報を抽出することと、
前記信号情報に基づいて、前記アナログドライブを使用して出射ビームを制御することと、を行うように構成されている、1つ以上のプロセッサと、を有し、
前記複数の通信端末の各々が、前記OPAを除いてレンズレスであり、
前記光学追跡モジュールが、1つ以上のファイバを介してコンピューティングデバイスに接続するように構成されている、システム。
【請求項15】
前記複数の通信端末の各通信端末が、前記複数の通信端末の別の通信端末から100メートル以内に配置されており、
前記複数の通信端末の各通信端末が、前記複数の通信端末の別の通信端末に対して少なくとも10Gbpsのスループットを有する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ネットワーク配列がまた、1つ以上のポイントツーマルチポイントリンクを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記ネットワーク配列が、メッシュ配列を少なくとも部分的に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記ネットワーク配列が、リング配列を少なくとも部分的に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数のポイントツーポイントリレーリンクが、少なくとも1つの建物間リンクを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
光フェーズドアレイを制御するための方法であって、
集積回路内の前記光フェーズドアレイにおいて第1の光通信ビームを受信することであって、前記光フェーズドアレイは、1つ以上のファイバを介してコンピューティングデバイスに接続するように構成されている、第1の光通信ビームを受信することと、
前記集積回路内の光検出器において前記第1の光通信ビームを受信することと、
前記光検出器において、前記第1の光通信ビームに基づいて第1の信号を生成することと、
前記集積回路内の1つ以上のプロセッサによって、前記第1の信号に従って前記第1の光通信ビームの信号情報を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、第2の信号を送信して、前記決定された信号情報に基づいて前記集積回路内の1つ以上の位相シフタを調整することであって、前記1つ以上の位相シフタはアナログドライブによって調整される、1つ以上の位相シフタを調整することと、
前記光フェーズドアレイ及び前記1つ以上の位相シフタを使用して第2の光通信ビームを送信することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月21日に出願された米国特許仮出願第63/246,605号及び2021年9月21日に出願された米国特許仮出願第63/246,599号の利益を主張する、2022年3月18日に出願された米国特許出願公開第17/698,224号の継続出願である。これらの出願の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス光通信は、送信ビームの狭い角度幅によって提供される高い利得に部分的に起因して、高スループット及び長距離通信を可能にする。しかしながら、狭いビームはまた、遠隔端で端末開口に位置合わせされたままにするために、正確かつ能動的に向けられなければならないことを必要とする。このポインティングは、ビームをステアリングするように作動される小型ミラー(例えば、MEMS又はボイスコイルベースの高速ステアリングミラー機構)によって達成され得る。他の実装形態では、可動部品のないビームの電気光学ステアリングが、ビームをステアリングするために使用され、これは、コスト、寿命、及び性能の利点を提供する。光フェーズドアレイ(Optical Phased Array、OPA)は、適応光学、ポイントツーマルチポイントサポート、及びメッシュネットワークトポロジに対して追加の利点を有する重要な技術構成要素である。OPA内の各能動素子は、電気光学位相シフト能力を必要とする。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、自由空間光通信システム、すなわち光学追跡モジュールを提供する。光学追跡モジュールは、光フェーズドアレイ(OPA)、アナログドライブ、集積光検出器、及び1つ以上のプロセッサを含む。OPAは、複数のアレイ素子、及び複数の位相シフタを含む。アナログドライブは、複数の位相シフタを調整するように構成されている。集積光検出器は、OPAから光を受容するように構成されている。1つ以上のプロセッサは、OPAを介して入射ビームの信号情報を抽出し、信号情報に基づいて、アナログドライブを使用して出射ビームを制御するように構成されている。OPA、アナログドライブ、集積光検出器、及び1つ以上のプロセッサは、集積回路内にある。
【0004】
一例では、光学追跡モジュールは、1つ以上のファイバを介してモデムに接続するように構成されている。この例では、光学追跡モジュールは、任意選択的に、第1のファイバから信号を受信するように構成された第1のポートと、集積回路に信号を送信し、集積回路から信号を受信するように構成された第2のポートと、第2のファイバに信号を送信するように構成された第3のポートと、を含む、サーキュレータを含む。別の例では、光学追跡モジュールは、電圧レギュレータを含む。この例では、電圧レギュレータは、任意選択的に、集積回路に電力を提供するように構成されている。
【0005】
更なる例では、光学追跡モジュールは、光学追跡モジュールの外部にある1つ以上の別個のプロセッサに遠隔測定データを通信するように構成されている。更に別の例では、光学追跡モジュールは、開口利得を増加させる別個の光学レンズアセンブリに接続するように構成されている。この例では、光学追跡モジュールはまた、任意選択的に、1つ以上のトランシーバ及び1つ以上の増幅器を含む別個のトランシーバモジュールに接続するように構成されている。なお更なる例では、光学追跡モジュールは、体積が300cm未満である。この例では、光学追跡モジュールは、任意選択的に、任意の面の表面積が100cm未満である。
【0006】
別の例では、複数のアレイ素子は、32×32の配列である。更なる例では、アナログドライブは、デジタルアナログ変換器(digital-to-analog converter、DAC)及び増幅器を含み、1つ以上のプロセッサは、DACに接続されており、DACはまた、増幅器に接続されており、増幅器はまた、OPAに接続されている。更に別の例では、集積光検出器は、増幅器及びアナログデジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)を介して1つ以上のプロセッサに接続されている。
【0007】
本開示の他の態様は、複数のポイントツーポイントリレーリンクを含むネットワーク配列内に複数の通信端末を含むシステムを提供する。複数の通信端末の各々は、複数のアレイ素子と、複数の位相シフタと、を含む、光フェーズドアレイ(OPA)と、複数の位相シフタを調整するように構成されたアナログドライブと、OPAから光を受容するように構成された集積光検出器と、OPAを介して入射ビームの信号情報を抽出し、信号情報に基づいて、アナログドライブを使用して出射ビームを制御するように構成された1つ以上のプロセッサと、を有する、光学追跡モジュールを含み、複数の通信端末の各々は、OPAを除いてレンズレスである。
【0008】
一例では、複数の通信端末の各通信端末は、複数の通信端末の別の通信端末から100メートル以内に配置されており、複数の通信端末の各通信端末は、複数の通信端末の別の通信端末に対して少なくとも10Gbpsのスループットを有する。別の例では、ネットワーク配列はまた、1つ以上のポイントツーマルチポイントリンクを含む。更なる例では、ネットワーク配列は、メッシュ配列を少なくとも部分的に含む。更に別の例では、ネットワーク配列は、リング配列を少なくとも部分的に含む。なお更なる例では、複数のポイントツーポイントリレーリンクは、少なくとも1つの建物間リンクを含む。
【0009】
本開示の更なる態様は、光フェーズドアレイを制御するための方法を提供する。本方法は、集積回路内の光フェーズドアレイにおいて第1の光通信ビームを受信することと、集積回路内の光検出器において第1の光通信ビームを受信することと、光検出器において、第1の光通信ビームに基づいて第1の信号を生成することと、集積回路内の1つ以上のプロセッサによって、第1の信号に従って第1の光通信ビームの信号情報を決定することと、1つ以上のプロセッサによって、第2の信号を送信して、決定された信号情報に基づいて集積回路内の1つ以上の位相シフタを調整することと、光フェーズドアレイ及び1つ以上の位相シフタを使用して第2の光通信ビームを送信することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の態様による、光学追跡モジュールのブロック図100である。
図2】本開示の態様による、光学追跡モジュールの機能フロー図200である。
図3】本開示の態様による、第1の光学追跡モジュール及び第2の光学追跡モジュールのブロック図300である。
図4A】本開示の態様による、第1の通信システム及び第2の通信システムのブロック図である。
図4B】本開示の態様による、通信システムの絵図である。
図5】本開示の態様による、ネットワークのブロック図である。
図6A】本開示の態様による、ネットワークの一部の絵図である。
図6B】本開示の態様による、ネットワークの一部の絵図である。
図7】本開示の態様による、フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概要
本技術は、1つ以上のフォトニック集積チップ上に集積され得るワイヤレス光通信端末のための光学追跡モジュールに関する。光学追跡モジュールは、短距離の「ラストマイル」ネットワーク接続用に構成され得る。例えば、光学追跡モジュールは、可動部品なしでビーム制御及び波面抽出を実行し得る。加えて、追跡モジュールは、別個の光学アセンブリ、トランシーバモジュール、及び/又はモデムを含む、より大きい光通信システムにおいて使用され得る。
【0012】
光学追跡モジュールは、出射ビームのフォトニックビーム制御を提供する光フェーズドアレイ(OPA)を含み得る。特に、OPAは、本明細書で説明される補正を実行する能力を維持しながら、よりコンパクトなモジュールを達成するために、64素子未満のなどの限られた数のアレイ素子を用いて設計され得る。OPAは、OPAのアレイ素子によって受信され、OPAのアレイ素子から送信される信号を制御するように構成された複数の位相シフタを含み得る。OPAはまた、光ビームを受信及び送信するためのトランシーバモジュールに接続するように構成された単一経路の完全相反光学設計を含み得、これにより、OPAを介した双方向通信が可能になる。光学追跡モジュールはまた、OPAを介して自由空間から入射するビームの信号情報を抽出し、OPAを介して自由空間から出射するビームを制御するためのドライブを提供するように構成されている、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)又は他のハードウェアベースのプロセッサなどの1つ以上のプロセッサを含み得る。
【0013】
出射ビームを制御するために、光学追跡モジュールは、集積光検出器、信号処理構成要素、及びアナログドライブを含み得る。1つ以上のプロセッサは、光検出器及び信号処理構成要素を使用して、入射ビームに関連するポインティング情報を検出及び/又は決定し得る。アナログドライブは、物理的可動部品なしで出射ビームをステアリングするように構成される。例えば、アナログドライブは、OPA内の位相シフタをドライブして、出射ビームを電子的にステアリングするように構成され得る。電子ステアリングは、出射ビームの先端及び傾斜のためのものであり得る。1つ以上のプロセッサは、フィードバックループにおいて提供され得るポインティング情報に従ってアナログドライブを制御し得る。
【0014】
光学追跡モジュールはまた、光検出器及び信号処理構成要素を使用して波面情報を抽出するように構成され得る。抽出された波面情報は、先端及び傾斜の項、並びに入射ビームにおける推定された到来角又は他の変動に関連付けられた高次の項を含み得る。例えば、ビームにおける変動は、環境外乱、大気の乱れ、又は他の外部要因によって引き起こされ得る。
【0015】
光学追跡モジュールの構成は、低コストかつコンパクトな設計を可能にし得る。例えば、光学追跡モジュールの面は、100cm未満であり得、光学追跡モジュールの深さは、3cm未満であり得る。
【0016】
光学追跡モジュールは、光学アセンブリ、トランシーバモジュール、及びモデムを含む、より大きい光通信システムのための全体的なシステムアーキテクチャにおいて使用され得る。光学アセンブリは、開口利得を増加させるための望遠鏡光学系及び標的ビームステアリング範囲を維持するためのステアリング可能ミラーを含み得る。トランシーバモジュールは、フィルタ、マルチプレクサ、デマルチプレクサ、光増幅器、可変光減衰器、及び電子回路などのフォトニクスを含み得る。トランシーバモジュールの構成要素は、単一チップ上に集積され得る。トランシーバチップは、より大きい光通信システムによって受信され、より大きい光通信システムから送信される光ビームを受信し、処理するように構成される。モデムは、トラフィック集約及び分解のための統合されたスイッチング能力を伴う適応レートモデムを含み得る。いくつかの実装形態では、トランシーバモジュールはモデムの一部であり得る。
【0017】
追加の光学系又はステアリングなしでそれ自体が端末又はノードとして使用される場合、光学追跡モジュールは、電磁干渉を低減し、スケーラビリティの容易性を増加させるラストマイルトポロジで使用することができる。例えば、ラストマイルトポロジは、「ファイバ状」構成でデータ容量を分配するように構成されたポイントツーポイントリンクのリレーを含み得る。ポイントツーポイントリンクの各々は、100メートル以下などの短距離及び10Gbps以上などの高スループットであり得、これはより高い可用性を提供し得る。例えば、より高い可用性は、99%以上の可用性であり得る。リンクは、人口の多いエリアにおいて自然な経路を形成する、道路に沿って配置され得る。他の例では、ラストマイルトポロジは、第1の建物上の送信場所から、第1の建物から通りを横切る1つ以上の建物上の複数の受信場所へのポイントツーマルチポイント構成を含み得る。ポイントツーマルチポイント構成は、複数のリンク間のポインティング又はビームフォーミングの時分割によって達成することができる。建物において、ネットワークは、建物間ワイヤレスリンク又はファイバリンクを使用して拡張され得る。
【0018】
本明細書で説明される特徴は、接続性の「ラストマイル」への大きいネットワーク容量の効率的な分配を可能にし、これは、通常、無線周波数ワイヤレス分配及び固定ファイバインフラストラクチャのコストを制限する容量ボトルネックを克服する。短距離のポイントツーポイント/マルチポイントリレー配列における光学追跡モジュールの使用は、ファイバを展開することに共通するロジスティック問題を回避し、リンク間の干渉を低減し、より高いスループットを可能にし得る。光学追跡モジュールのコンパクトなサイズは、より安価でより迅速な展開を可能にし得るとともに、光学追跡モジュールの位置の調整又は更新を容易にし得る。本明細書で説明される光学追跡モジュールからの出力の特性を考慮すると、短距離配列内のリンクは、装着構造の動き又は環境要因に対してよりロバストであり得る。
【0019】
例示的なシステム
図1は、短距離高スループット光通信リンクに使用され得る光学追跡モジュール102のブロック図100である。加えて、図2は、光学追跡モジュール102の機能フロー図200である。光学追跡モジュールは、光フェーズドアレイ、1つ以上のプロセッサ、アナログドライブ及び光検出器を含み得る。これらの構成要素は、集積回路の一部であり得るか、又は入射光ビームを受信し、入射光ビームを処理し、出射ビームを送信するように接続された個別部品であり得る。光学追跡モジュールの構成は、低コストかつコンパクトな設計を可能にし得る。例えば、光学追跡モジュールの面は、100cm未満であり得、光学追跡モジュールの深さは、3cm未満であり得る。
【0020】
図1に示されるように、光学追跡モジュール102は、出射ビームのフォトニックビーム制御を提供する光フェーズドアレイ(OPA)112を含む。OPAは、マイクロレンズアレイであり得る。OPA112の複数のアレイ素子は、隣接する素子間に一貫したピッチ又は距離を有するグリッドパターンで配列され得る。加えて、OPA112は、32×32光学アレイ以下など、限られた数のアレイ素子を有し得る。他の例では、アレイ素子は、異なる数の行及び列、異なる形状、及び/又は異なるピッチ(一貫性又は非一貫性)を有する異なる配列であり得る。
【0021】
OPA112は、OPA112のアレイ素子によって受信され、そこから送信される信号を制御するように構成された複数の位相シフタ113を含む。位相シフタ113は、入射光及び/又は出射光を変化させる。例えば、位相シフタは、各1つ以上の出射ビームについて振幅及び/又は位相の調整を提供するように設計され得る。位相シフタによって提供される調整は、マルチビーム形成及びポイントツーマルチポイント通信を可能にし得る。追加的又は代替的に、高帯域幅位相シフタ技術を使用して、ポイントツーマルチポイント通信における隣接するリンク間の高速ジャンプを可能にし得る。入射光は光検出器に提供され、出射光はOPA112のアレイ素子に提供される。複数の位相シフタのアーキテクチャは、複数のアレイ素子内の各アレイ素子に接続された1つの位相シフタを有する位相シフタのうちの少なくとも1つの層を含み得る。いくつかの例では、位相シフタアーキテクチャは位相シフタの複数の層を含み、第1の層内の位相シフタは、第2の層内の1つ以上の位相シフタと直列に接続され得る。光源に最も近い層内の各位相シフタはまた、光検出器に接続され得る。
【0022】
2つ以上の位相シフタからの出力は、コンバイナを用いて結合され得る。1つ以上のコンバイナを使用することにより、入射光ビームが狭められる。1つ以上のコンバイナは、2×2MMI又は方向性結合器であり得る。例えば、所与のコンバイナは、第1の入力において第1の光検出器から、及び第2の入力において第2の光検出器から2つの入射ビーム部分を受信し、ビームを出力ビームに合併し得る。出力ビームは、光検出器、エッジカプラ、及び/又は別のコンバイナに向けられ得る。特に、出力ビームの位相外れ部分は、光検出器に向けられ得、出力ビームの残りの部分は、エッジカプラ又は別のコンバイナに向けられ得る。エッジカプラは、出力ビームの残りの部分をフォトニック処理のために光ファイバに向けることができる。
【0023】
加えて、OPA112は、1つ以上の送信機構成要素から光を受信し、遠隔通信システムによって受信されるコヒーレント通信ビームとして光を出力するように構成され得る。OPA112はまた、第2の通信システムからの通信ビームなどの、自由空間からの光を受信し得、その光を1つ以上の受信機構成要素に提供する。例えば、OPAの構成要素は、必要なフォトニック処理を提供して、入射光ビームを単一モード導波路に結合し得、単一モード導波路は、ビームを光学追跡モジュールから、別個のトランシーバモジュール又はモデムなどに向ける。OPA112は、光ビームを受信及び送信するための別個のトランシーバモジュールに接続するように構成された単一経路の完全相反光学設計を含み得、これにより、OPA112を介した双方向通信が可能になる。
【0024】
光学追跡モジュール102は、1つ以上のプロセッサ114を追加的に含む。1つ以上のプロセッサ114は、市販のCPUなどの任意の従来のプロセッサであり得る。代替的に、1つ以上のプロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)などの他のハードウェアベースのプロセッサなどの専用のデバイスであり得る。1つ以上のプロセッサは、OPAを介して自由空間から入射するビームの信号情報を抽出し、OPAを介して自由空間から出射するビームを制御するためのドライブを提供するように構成され得る。
【0025】
光学追跡モジュール102は、アナログドライブ116を追加的に含む。アナログドライブ116は、1つ以上の位相シフタ113に提供される電圧を調整し得る。例えば、アナログドライブ116は、バイアス回路などの1つ以上のバイアス手段を含み得る。アナログドライブ116は、1つ以上のプロセッサ114によって決定された設定電圧に電圧を調整し得る。アナログドライブ116を使用して、出射ビームは、物理的可動部品なしでステアリングされ得る。例えば、アナログドライブ116は、OPA112内の位相シフタ113をドライブして、出射ビームを電子的にステアリングするように構成され得る。電子ステアリングは、出射ビームの先端及び傾斜のためのものであり得る。設定電圧は、フィードバックループにおいて提供され得る抽出された信号情報に従って、1つ以上のプロセッサによって決定され得る。
【0026】
光学追跡モジュール102は、光検出器118を追加的に含む。光検出器118は、1つ以上のフォトダイオード、フォトレジスタ、フォトトランジスタ、又は受信した光ビーム、若しくは光信号を電気信号に変換するための他のタイプのセンサであり得る。いくつかの実装形態では、光検出器118は、光検出器のアレイであり得る。光検出器のアレイ内の各光検出器は、複数の位相シフタ113の位相シフタのうちの1つに接続され得る。光検出器118は、光検出器118によって生成された電気信号が1つ以上のプロセッサ114に送信され得るように、1つ以上のプロセッサ114に接続され得る。光検出器118と1つ以上のプロセッサ114との間の信号処理構成要素は、信号情報を抽出するために、生成された電気信号を更に処理し得る。抽出された信号情報は、先端及び傾斜の項、並びに、パワー値、強度値、推定された到来角、又は入射ビームにおける他の変動に関連付けられた高次の項を含み得る。ビームにおける変動は、環境外乱、大気の乱れ、又は他の外部要因によって引き起こされ得る。
【0027】
OPA112、プロセッサ114、アナログドライブ116、及び光検出器118は、図1のOPA IC110などの集積回路であり得る。代替的に、それらは、本明細書で説明される機能を提供するように接続される個別構成要素であり得る。
【0028】
いくつかの実装形態では、光学追跡モジュールは、電圧レギュレータを含み得る。電圧レギュレータは、外部電源及び/又は別個のコンピューティングデバイスに接続され得る。他の実装形態では、光学追跡モジュールは、光学追跡モジュール又はその近くの温度を検出するための1つ以上の温度センサなどの熱管理構成要素を含み得る。図1及び図2に示されるように、光学追跡モジュール102は、電圧レギュレータ122及び温度センサ124を含む。電圧レギュレータ122及び温度センサ124は、図1において、OPA IC110と同じプリント回路基板(printed circuit board、PCB)120上に示されている。他の実装形態では、電圧レギュレータ及び温度センサは、OPA、プロセッサ、アナログドライブ、及び光検出器とは別の基板又は他の支持ベース上にあり得る。電圧レギュレータ122は、モジュールポート144を介して、外部電源及び/又は光学追跡モジュール102とは別個のコンピューティングデバイスに接続される。
【0029】
光学追跡モジュールは、任意選択的に、光学追跡モジュール102上のサーキュレータ130などのサーキュレータを含み得るか、又は外部サーキュレータに接続され得る。サーキュレータは、第1のファイバを介して光学追跡モジュールとは別個のコンピューティングデバイスから信号を受信するように構成された第1のポートと、OPAに信号を送信し、OPAから信号を受信するように構成された第2のポートと、第2のファイバを介して別個のコンピューティングデバイスに信号を送信するように構成された第3のポートと、を有し得る。図1に示されるように、サーキュレータ130の第1のポートに向けられる第1のモジュールポート140におけるファイバ入力が存在し得、第2のモジュールポート142からのファイバ出力は、サーキュレータ130の第3のポートに接続される。ファイバ入力及びファイバ出力は、モデムなどの別個のコンピューティングデバイスに接続され得る。
【0030】
図2に示されるように、光学追跡モジュールの構成要素は、いくつかのブロックに分割され得る。光学追跡モジュール102は、例えば、フォトニクスブロック202と、送信/受信ブロック204と、制御ブロック206と、デジタル制御インターフェース208と、を含み得る。フォトニクスブロック202は、少なくともOPA112と、位相シフタ113と、光検出器118と、温度センサ124と、を含む。送信/受信ブロック204は、フォトニクスブロック202からの入力又は出力信号を処理する集積回路の一部を備える。例えば、光検出器118によって生成された第1の信号は、制御ブロック206に向けられる前に、第1の増幅器212及びアナログデジタル変換器(ADC)222に向けられ得る。制御ブロック206からの第2の信号は、位相シフタ113に向けられる前に、デジタルアナログ変換器(DAC)220及び第2の増幅器210に向けられ得る。制御ブロック206は、図2に示されるようなデジタル信号プロセッサ、別のタイプの集積回路、又は1つ以上の個別構成要素などの、1つ以上のプロセッサ114を備え得る。デジタル制御インターフェース208は、図2に示されるような低速制御デジタルインターフェース230であり得る。デジタル制御インターフェース208は、遠隔測定データなどの光学追跡モジュールからのセンサ測定値を監視し、及び/又は初期化若しくは更新などの光学追跡モジュールのためのプログラミングを実行するように構成され得る。
【0031】
図3は、通信リンク22を介して別の光学追跡モジュール302と通信している光学追跡モジュール102を示す。描写されるように、本明細書で説明する光学追跡モジュール102は、追加の光学系又はステアリング構成要素なしに、短距離高スループット自由空間光通信リンクにおいて信号を送信及び受信することができる。図1に示されるように、光学追跡モジュール102は、ファイバ入力、ファイバ出力、及び電力に接続されたとき、そのように機能することができる。通信リンク22は、モジュール102によって光学追跡モジュール302に送信される第1の光ビーム20aと、光学追跡モジュール302によって光学追跡モジュール102に送信される第2の光ビーム20bと、を含むものとして図3に示されている。
【0032】
光学追跡モジュール302は、本明細書に説明されるように、光学追跡モジュール102と同じ又は同様に構成され得る。例えば、光学追跡モジュール302は、OPA IC110、OPA112、位相シフタ113、1つ以上のプロセッサ114、アナログドライブ116、及び光検出器118と同等であり得る、OPA312、位相シフタ313、1つ以上のプロセッサ314、アナログドライブ316、及び光検出器318を有するOPA IC310を含む。光学追跡モジュール302はまた、電圧レギュレータ122と同じ又は同様の電圧レギュレータ322と、温度センサ124と同じ又は同様の温度センサ324と、を含み得る。光学追跡モジュール302のこれらの構成要素は、PCB120と同じ又は同様のPCB320上に配置され得る。いくつかの実装形態では、光学追跡モジュール302はまた、サーキュレータ130と同じ又は同様の様態でサーキュレータを含み得る。
【0033】
第1の追跡モジュール102と第2の追跡モジュール302との間の通信リンク22は、追跡モジュールが位置合わせされるときに形成され得る。位置合わせは、光ビーム20a、20bを使用して、追跡モジュール102、302間に見通し線が確立されたときを決定することによって決定することができる。通信リンク22を使用して、1つ以上のプロセッサ114は、光ビーム20aを使用して自由空間を通して第2の追跡モジュール302に通信信号を送信することができ、1つ以上のプロセッサ314は、光ビーム20bを使用して自由空間を通して第1の追跡モジュール102に通信信号を送信することができる。第1及び第2の追跡モジュール102、302間の通信リンク22は、2つの追跡モジュール間のデータの双方向送信を可能にする。特に、これらの例における通信リンク22は、自由空間光通信(free-space optical communication、FSOC)リンクであり得る。他の実装形態では、通信リンク22のうちの1つ以上は、無線周波数通信リンク又は自由空間を通って移動することができる他のタイプの通信リンクであり得る。いくつかの他の実装形態では、通信リンク22は単方向であり得、及び/又は2つ以上のビームが1つの光学追跡モジュールから別の光学追跡モジュールに送信され得る。
【0034】
図4A及び図4Bに示されるように、光学追跡モジュールは、追加的又は代替的に、光学アセンブリ、トランシーバモジュール、及びモデムを含む長距離光通信システムのための全体的なモジュラシステムアーキテクチャにおいて使用され得る。このモデムは、それ自体で光学追跡モジュールに電力供給するために使用されるモデムよりも高い送信及び収集電力を提供するように構成され得る。図4A及び図4Bにおいて、光通信システム400のアーキテクチャは、光学アセンブリ404、トランシーバモジュール410、及びモデム416を含むものとして描示されている。別の光通信システム430が、光学アセンブリ434、トランシーバモジュール440、及びモデム446を含むものとして図4Aに描示されている。光通信システム400は、通信リンク22を介して光通信システム430と通信するように示されている。
【0035】
光学アセンブリ404は、開口利得を増加させるために望遠鏡光学系を含み得る。例えば、光通信システム400は、望遠鏡を形成する1つ以上のレンズ406を含む。望遠鏡は、コリメートされた光を受容し、コリメートされた光を出力し得る。望遠鏡は、対物部分、接眼部分、又はリレー部分を含み得る。図4Bに示されるように、システムは、対物レンズ470、接眼レンズ472、及びリレーレンズ474、476を含み得る。
【0036】
光学アセンブリ404はまた、標的ビームステアリング範囲を維持するために、作動/ステアリングミラー482などの1つ以上の追加のステアリング機構408を含み得る。作動/ステアリングミラー482は、MEMS2軸ミラー、2軸ボイスコイルミラー、又はピエゾ電子2軸ミラーであり得る。光学アセンブリ404が光学追跡モジュール102に接続されるとき、光学追跡モジュール102の1つ以上のプロセッサ114は、OPA IC110及び/又はミラー482を制御することによって出射ビームの指示方向及び/又は波面形状を調整するように構成され得る。いくつかの例では、1つ以上のプロセッサ114は、光学アセンブリ上に配置された1つ以上のセンサからなど、光学アセンブリ404から追加の信号を受信及び処理し得る。代替的な実装形態では、1つ以上の追加のプロセッサは、光学アセンブリ404のステアリングミラーの受信及び制御に専用であり得る。フィードバックループを使用して、ステアリング機構408は、高速ステアリングミラー又は粗いポインティングミラーとして制御され得る。
【0037】
トランシーバモジュール410は、出射ビームを提供するための光源などの送信機構成要素と、入射ビームを処理するためのセンサなどの受信機構成要素と、を含み得る。図4A及び図4Bに示されるように、トランシーバモジュール410は、シードレーザ412及びセンサ414を含む。シードレーザ412は、分布帰還型レーザ(distributed feedback laser、DFB)、発光ダイオード(light-emitting diode、LED)、レーザダイオード、ファイバレーザ、又は固体レーザであり得る。シードレーザ412の光出力又は光信号は、受信した電気信号を変調する変調器からなどの、シードレーザに直接印加される電流又は電気信号によって制御され得る。シードレーザ412から送信された光は、OPA112によって受信される。他の送信機構成要素は、高出力半導体光増幅器などの増幅器を含み得る。
【0038】
受信機構成要素は、少なくとも、追加の光検出器などのセンサ414を含み得る。光検出器118と同じ又は同様の様態で、センサ414は、受信した光又は光信号を、光学追跡モジュールの1つ以上のプロセッサ、モデム416、又は通信システム400の他の部分によって更に処理することができる電気信号に変換し得る。他の受信機構成要素は、可変光減衰器などの減衰器、半導体光増幅器などの増幅器、又はフィルタを含み得る。
【0039】
トランシーバモジュール410は、追加のフォトニクス、フォトニクスの異なる組み合わせ、及び/又は電子回路を含み得る。トランシーバモジュールの構成要素は、単一チップ上に集積され得る。代替的に、トランシーバモジュールは、2つ以上のチップ及び/又は個別構成要素を備え得る。トランシーバモジュール410は、光学追跡モジュール102を介して光ビームを送受信し、またモデム416と通信するように構成される。いくつかの実装形態では、トランシーバモジュールは、モデムモジュール全体の一部であり得る。
【0040】
モデム416は、トラフィック集約及び分解のための統合されたスイッチング能力を伴う適応レートモデムを含み得る。モデム416の構成要素は、物理レイヤ拡張、並びに通信プロトコル及びスイッチング論理のためのデジタル処理を提供するように構成され得る。例えば、構成要素は、異なる入力/出力トラフィックソースを集約/分解するための統合イーサネットスイッチ、イーサネットパケット及び他のデータソースをワイヤレス光リンクにわたる送信のために最適化されたフレームにカプセル化するためのフレーマ機能、レートがチャネル状態に基づいて選択され得る符号化レート選択性前方誤り訂正(forward error correction、FEC)符号化/復号機能、良好なDCバランスを提供し、クロック回復を助け得るデータのランダム化のためのスクランブリング/アンスクランブリング機能、再送信を使用することによる損失パケットの迅速な回復のための自動再送要求機能、チャネル状態に基づくボーレート及び/又は変調適応、又はスケジューラ及び媒体アクセス制御を通じたポイントツーマルチポイント通信サポートのための論理を含み得る。図4Aに示されるように、モデム416は、1つ以上のプロセッサ418、メモリ420、データ422、及び命令424を含み得る。
【0041】
1つ以上のプロセッサ418は、市販のCPUなどの任意の従来のプロセッサであり得る。代替的に、1つ以上のプロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの他のハードウェアベースのプロセッサなどの専用のデバイスであり得る。図4Aは、1つ以上のプロセッサ418及びメモリ420を、モデム416内などの同じブロック内にあるものとして機能的に例解しているが、1つ以上のプロセッサ418及びメモリ420は、モデム416及び別個の処理ユニットの両方内など、同じ物理的筐体内に格納される場合又は格納されない場合がある多数のプロセッサ及びメモリを実際に備え得る。したがって、プロセッサ若しくはコンピュータへの言及は、並列に動作する場合又は動作しない場合があるプロセッサ若しくはコンピュータ又はメモリの集合への言及を含むと理解されよう。
【0042】
1つ以上のプロセッサ418は、トランシーバモジュール410と通信し得る。特に、1つ以上のプロセッサ418は、入射光信号を受信及び処理し、光信号を送信するための命令をトランシーバモジュール410に提供するように構成され得る。したがって、1つ以上のプロセッサ418は、送信機構成要素を介して、信号でデータを送信するように構成され得、また、受信機構成要素を介して、信号で通信及びデータを受信するように構成され得る。受信された信号は、1つ以上のプロセッサ418によって処理されて、通信及びデータを抽出し得る。追加的又は代替的に、受信された信号は、1つ以上のプロセッサ418によって処理されて、受信された信号を次のホップ又はクライアントインターフェースに向けることができる。
【0043】
メモリ420は、1つ以上のプロセッサ418によって実行され得るデータ422及び命令424を含む、1つ以上のプロセッサ418によってアクセス可能な情報を格納し得る。メモリは、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、又は他の光ディスクなどのコンピュータ可読媒体、並びに他の書き込み可能及び読み取り専用メモリを含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を格納することができる任意のタイプであり得る。システム及び方法は、前述の異なる組み合わせを含み得、これにより、データ422及び命令424の異なる部分が異なるタイプの媒体に格納される。
【0044】
データ422は、命令424に従って、1つ以上のプロセッサ418によって検索、格納、又は修正され得る。例えば、システム及び方法は、いずれの特定のデータ構造によっても制限されないが、データ422は、複数の異なるフィールド及びレコード、XML文書又はフラットファイルを有するテーブルとして、リレーショナルデータベースのコンピュータレジスタ内に格納され得る。データ422は、バイナリ値又はユニコードなどであるが、これらに限定されない、任意のコンピュータ可読フォーマットでフォーマットされ得る。更なる単なる例として、画像データがビットマップとして格納され得、ビットマップは、圧縮又は非圧縮、無損失(例えば、BMP)又は損失(例えば、JPEG)、及びビットマップ又はベクトルベース(例えば、SVG)、並びにグラフィックスを描画するためのコンピュータ命令であるフォーマットに従って格納されるピクセルのグリッドからなる。データ422は、番号、記述テキスト、専用コード、同じメモリ若しくは異なるメモリの他のエリア(他のネットワーク場所を含む)に格納されたデータへの参照、又は関連データを計算するために関数によって使用される情報などの、関連情報を識別するのに十分な任意の情報を含み得る。いくつかの実装形態では、データ422は、信号を追跡するために決定された1つ以上のオフセット、通信プロトコルデータ、及び/又はスイッチング論理データなどの較正情報を含み得る。
【0045】
命令424は、1つ以上のプロセッサ418によって直接実行される命令(機械コードなど)又は間接的に実行される命令(スクリプトなど)の任意のセットであり得る。例えば、命令424は、コンピュータ可読媒体にコンピュータコードとして格納され得る。この点に関して、「命令」及び「プログラム」という用語は、本明細書では交換可能に使用され得る。命令424は、1つ以上のプロセッサ418による直接処理のためにオブジェクトコードフォーマットで格納され得、オンデマンドで解釈されるか若しくは事前にコンパイルされるスクリプト又は独立したソースコードモジュールの集合を含む任意の他のコンピュータ言語で格納され得る。命令424の関数、方法、及びルーチンについては、以下でより詳しく説明する。命令は、較正命令、通信プロトコル命令、及び/又はスイッチング論理命令を含み得る。
【0046】
システムは、通信端末の機能をサポートする追加の構成要素を含み得る。例えば、システムは、光学構成要素を接続し、トランシーバモジュール410、光学追跡モジュール102、及び光学アセンブリ404の間に経路を作成する光ファイバ又は導波路を含み得、逆も同様である。
【0047】
図4Aに示されるように、第2の通信システム430は、光学追跡モジュール302、光学アセンブリ434、トランシーバモジュール440、及びモデム446を含む。光学追跡モジュール302は、光学追跡モジュール102と同じ又は同様であり得る。光学アセンブリ434は、1つ以上のレンズ406及びステアリング機構408に匹敵する1つ以上のレンズ436及びステアリング機構438を含むなど、光学アセンブリ404と同じ又は同様であり得る。トランシーバモジュール440は、シードレーザ412及びセンサ414に匹敵するシードレーザ442及びセンサ444を含むなど、トランシーバモジュール410と同じ又は同様であり得る。モデム446は、1つ以上のプロセッサ418、メモリ420、データ422、及び424命令に匹敵する1つ以上のプロセッサ448、メモリ450、データ452、及び命令454を含むなど、モデム416と同じ又は同様であり得る。通信システム430の機能をサポートするための追加の構成要素が、通信システム400について上で説明される追加の構成要素と同様に含まれ得る。加えて、通信システム430は、図4Bに示される通信システム400のシステムアーキテクチャと同じ又は同様のシステムアーキテクチャを有し得る。
【0048】
第1の通信システム400と第2の通信システム430との間の通信リンク22は、第1及び第2の通信デバイスが位置合わせされたときに形成され得る。位置合わせは、光ビーム20a、20bを使用して、通信システム400、430間に見通し線が確立されたときを決定することによって決定することができる。特に、第1の通信システム400の光学アセンブリ404と第2の通信システム430の光学アセンブリ434との間に見通し線位置合わせが存在し得る。通信リンク22を使用して、1つ以上のプロセッサ114及び/又は418は、光ビーム20aを使用して自由空間を通して第2の通信システム430に通信信号を送信することができ、1つ以上のプロセッサ314及び/又は448は、光ビーム20bを使用して自由空間を通して第1の通信システム400に通信信号を送信することができる。第1及び第2の通信システム400、430の間の通信リンク22は、2つのシステム間でデータの双方向送信を可能にする。特に、これらの例における通信リンク22は、自由空間光通信(FSOC)リンクであり得る。他の実装形態では、通信リンク22のうちの1つ以上は、無線周波数通信リンク又は自由空間を通って移動することができる他のタイプの通信リンクであり得る。いくつかの他の実装形態では、通信22は単方向であり得、及び/又は2つ以上のビームが1つの光学追跡モジュールから別の光学追跡モジュールに送信され得る。
【0049】
図5及び図6Aは、ネットワークノード又は端末として複数の光学追跡モジュール102、302、520、522、524、526、528、及び530を備えるネットワーク部分500を示す。光学追跡モジュール520、522、524、526、528、及び530は、光学追跡モジュール102及び302と同じ又は同様の構成で構成され得る。ネットワーク部分500内の光学追跡モジュールは、図5の矢印及び図6Aのソリッド線によって示されるように、2つの隣接ノードと通信し得る。光学追跡モジュールは、光学追跡モジュール102と302との間の通信リンク22など、1つ以上の通信リンクを介して互いに通信し得る。ポイントツーポイントリンクの各々は、100メートル以下などの短距離及び10Gbps以上などの高スループットであり得、これはより高い可用性を提供し得る。他の実装形態では、需要がより少ない又は密度がより低いエリアなどにおいて、ポイントツーポイントリンクは、500メートルなどのより大きい距離、及び1~10Gbpsなどのより低いスループットを有し得る。
【0050】
ネットワーク部分500は、地理的エリアを通して「ファイバ状」構成でデータ容量を分配するように構成されたポイントツーポイントリンクのリレーを備えるラストマイルトポロジである。光学追跡モジュール524は、少なくともネットワーク部分500によってサービスされる地理的エリアへの接続性を提供するために、バックホールリンク546に接続され得る。ネットワーク部分500は、インターネットなどのより大きいネットワークに接続され得、より大きいコンピュータネットワーク上に格納された、又はより大きいコンピュータネットワークを通じて提供されるリソースへのアクセスをクライアントデバイスに提供するように構成され得る。光学追跡モジュール102、302、520、522、524、526、528、530のうちの1つ以上は、直接又はアクセスポイントを介してリモートデバイスに接続可能であり得る。例えば、光学追跡モジュール102は、クライアントデバイス540と直接通信し、光学追跡モジュール520は、サーバデバイス544と直接通信し、光学追跡モジュールは、クライアントデバイスがネットワーク部分500に接続され得るアクセスポイント542に接続される。
【0051】
いくつかの実装形態では、ネットワーク部分500は、携帯電話、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ウェアラブルデバイス、タブレットコンピュータなどのクライアントデバイスのためのアクセスネットワークとして機能し得る。他の実装形態では、ネットワーク部分500は、バックホールリンク546を通してサーバコンピューティングデバイスに、又はネットワーク部分500内の他のデバイスにアクセスを提供し得る。
【0052】
図6Aに示されるように、リンクは、人口の多いエリアにおいて自然な経路を形成する道路に沿って配置され得る。これらの自然な経路は、有効な自由空間光通信に必要とされる遮られていない見通し線経路を含む。光学追跡モジュール102、302、520、522、524、526、528、530の各々は、道路に沿った建物に装着されている。他の例では、ラストマイルトポロジは、第1の建物上の送信場所から、第1の建物から通りを横切る1つ以上の建物上の複数の受信場所へのポイントツーマルチポイント構成を含み得る。図6Bに示されるように、ポイントツーマルチポイント構成は、光学追跡モジュール526と528との間、及び光学追跡モジュール528と530との間であり得る。光学追跡モジュール526の1つ以上のプロセッサは、1つ以上の位相シフタの放射照度又は位相を修正して、光学追跡モジュール526と528との間のリンクを指し示すマルチポイントビームパターン又は時分割を形成し得る。光学追跡モジュール528の1つ以上のプロセッサは、1つ以上の位相シフタの放射照度又は位相を修正して、光学追跡モジュール528と530との間のリンクを指し示すマルチポイントビームパターン又は時分割を形成し得る。
【0053】
建物において、ネットワークは、建物内ワイヤレス又はファイバリンクを使用して拡張され得る。例えば、ネットワーク部分500内の所与の光学追跡モジュールは、ワイヤレス又はファイバリンクによって、それが装着されている建物のイーサネットスイッチ、ルータ、又はハブに接続され得る。次いで、スイッチ、ルータ、又はハブは、建物内のクライアントデバイスによってアクセス可能である建物内の建物内ノード及び/又はアクセスポイントに接続され得る。本明細書で説明される光学追跡モジュールはまた、そのような建物内ワイヤレスリンク又はアクセスポイントのために使用され得る。他の実装形態では、建物内ノード及び/又はアクセスポイントは、無線周波数技術などの非光通信技術を含む。
【0054】
いくつかの例では、追加の光学追跡モジュールが展開され、既存のネットワークに追加され得、既存のネットワークは、追加の光学追跡モジュールを含むように更新され得る。例えば、図6Aに示されるように、ネットワーク部分500が設置されて動作可能になった後に、追加の光学追跡モジュール620及び622が展開され得る。光学追跡モジュール620は、光学追跡モジュール302と520との間に位置しており、光学追跡モジュール622は、光学追跡モジュール520と522との間に位置している。1つ以上のプロセッサは、光学追跡モジュール302と620との間、光学追跡モジュール620と520との間、光学追跡モジュール520と622との間、及び光学追跡モジュール622と522との間のリンクを含むようにネットワークを再構成し得る。光学追跡モジュール302と520との間、及び光学追跡モジュール520と522との間のリンクは、除去、低減、又は維持され得る。ネットワーク内に展開された追加の光学追跡モジュールは、人口密度又は使用履歴に基づいて追加の帯域幅が必要とされるカバレッジを増加させ得る。追加的又は代替的に、追加の光学追跡モジュールを展開して、ネットワーク部分を道路に沿って、以前にカバーされていない地理的領域内に拡張することができる。
【0055】
図5図6A及び図6Bに示すネットワーク部分500は、単なる例解であり、いくつかの実装形態では、ネットワーク部分500は、追加の又は異なる通信端末を含み得る。例えば、他のネットワークでは、ノードのうちの1つ以上は、光学追跡モジュールがその一部である通信システム400若しくは430などの通信システム、又は他のタイプの光端末を備え得る。しかしながら、本明細書で説明される光学追跡モジュールを、追加の光学系又はステアリングなしにそれ自体で端末又はノードとして使用することは、ネットワークのラストマイルトポロジにおいて、より大きい又はより伝統的な光端末に勝る利点を提供する。すなわち、光学追跡モジュールは、電磁干渉を低減することができ、スケーラビリティの容易性を増加させることができる。
【0056】
例示的な方法
動作において、1つ以上のプロセッサ114は、自由空間光通信のための光フェーズドアレイを制御し得る。図7に、第1の光学追跡モジュール102の1つ以上のプロセッサ114及び/又は第2の光学追跡モジュール302の1つ以上のプロセッサ314によって実行され得る上で説明される態様のうちのいくつかに従って、フロー図700が示されている。追加的又は代替的に、フロー図700内の1つ以上のステップは、通信システム400又は430の一部であるモデム又は他の専用プロセッサの1つ以上のプロセッサ418又は448によって実行され得る。図7は、特定の順序でブロックを示しているが、順序は変更され得、複数の動作が同時に実行され得る。また、動作は、追加又は省略され得る。
【0057】
ブロック702において、第1の光通信ビームが、光学追跡モジュール102のOPA IC110などの集積回路内の光フェーズドアレイにおいて受信される。第1の光通信ビームは、遠隔光端末又はクライアントデバイスからのデータを搬送し得る。特に、第1の光通信ビームは、OPA112などのOPAの複数のアレイ素子において受信され、光検出器118などの集積回路内の光検出器に向けられ得る。いくつかの例では、第1の光通信ビームは、光検出器に向けられる前に、位相シフタ113などの1つ以上の位相シフタを通して最初に向けられる。いくつかの実装形態では、所与のアレイ素子において受信されたビーム部分は、少なくとも1つの位相シフタを通して向けられ得る。各ビーム部分の少なくとも一部は、光検出器に向けられ得る。追加的又は代替的に、各ビーム部分の少なくとも一部は、エッジカプラを介してなど、収集されたビーム部分を光検出器に向ける導波路に結合され得る。例えば、光ビーム20bは、光学追跡モジュール102のOPA112において光フェーズドアレイで受信され得る。光ビーム20bは、位相シフタ113を通って導かれ、光ビームを光検出器118に導く単一モード導波路に結合され得る。
【0058】
ブロック704において、第1の光通信ビームは、光検出器118などの集積回路の光検出器において受信される。ブロック706において、第1の光通信ビームに基づいて光検出器において第1の信号が生成される。第1の信号は、光検出器における第1の光通信ビームの位相、パワー、又は強度に関連し得る。いくつかの実装形態では、光検出器は、光検出器の異なる場所に対して信号を生成し得、各場所は、OPAの所与のアレイ素子において受信されたビーム部分に対応するか、又はそれに近似し得る。
【0059】
ブロック708において、1つ以上のプロセッサ114などの集積回路内の1つ以上のプロセッサは、第1の信号に従って第1の光通信ビームの信号情報を決定する。信号情報は、光検出器で受信された光通信ビームの位相値を含み得る。例えば、1つ以上のプロセッサ114は、光検出器118で生成された信号に基づいて、光検出器118上の様々な場所における位相値を決定し得る。位相値は、第1の光通信ビームの位相面を決定するために1つ以上のプロセッサによって使用され得る。位相面を決定することは、各位相シフタについての位相シフト設定を検出することを含み得る。代替的に、信号情報は、光検出器で受信された光通信ビームのパワー値又は強度値を含み得る。信号情報に基づいて、1つ以上のプロセッサ114は、第1の光通信ビームの到来角を決定し得る。到来角は、先端、傾斜、又はより高次の項を含む項で決定され得る。追加的又は代替的に、1つ以上のプロセッサ114は、光検出器で受信されたパワーの量を決定し得、これは、位相外れビーム部分の量に関連し得る。
【0060】
ブロック710において、1つ以上のプロセッサは、第2の信号を送信して、決定された信号情報に基づいて、位相シフタ113など、集積回路内の1つ以上の位相シフタを調整する。例えば、信号情報は、OPA112において受信される第1の通信ビームの結合効率を低減させる波面誤差が存在することを示し得、これはまた、OPA112から遠隔光端末に送信される第2の通信ビームの結合効率にも影響を及ぼし得る。1つ以上のプロセッサ114は、次いで、第2の信号を送信して、1つ以上の位相シフタ113を調整し得る。調整は、第1の光通信ビームの到来角に対して決定される先端、傾斜、及び/又は高次の項に対応し得る。いくつかの実装形態では、調整は、所与のコンバイナにおける出力ビームの同相部分を増加させる一方で、所与のコンバイナにおける出力ビームの位相外れ部分を減少させることによって、結合を改善し得る。出力ビームの位相外れ部分がゼロ強度に近ければ近いほど、出力ビームの同相部分への、したがって受信経路の残りの部分への結合が良好になる。
【0061】
代替的に、調整は、光検出器118上の第1の光通信ビームの最大パワー又は強度の場所と、光検出器118のゼロ点の場所との間の差に対応し得る。第2の信号は、アナログドライブ116などの集積回路のアナログドライブに送信され得、アナログドライブは次いで、1つ以上の位相シフタを調整するためのドライブを適用し得る。ドライブは、位相シフタを調整するために異なる量の電圧又は電流を印加することを含み得るか、又は別のバイアス手段を使用し得る。
【0062】
ブロック712において、1つ以上のプロセッサは、OPA及び1つ以上の位相シフタを使用して第2の光通信ビームを送信し得る。例えば、1つ以上のプロセッサ114は、位相シフタ113がアナログドライブ116によって調整された後に、OPA IC110のOPA112及び位相シフタ113を使用して光ビーム20aを送信し得る。局所的に調整された位相シフタに基づく波面及び指示方向のプレディストーションは、大気を通るビーム伝搬の相反性のために、通信リンクにわたる逆方向におけるパワー結合を最大化することを可能にし得る。いくつかの実装形態では、第2の光通信ビームは、この例示的な方法において説明される他のステップのうちの1つ以上が実行されている間に送信され得る。
【0063】
図7に示されるブロックは、光学追跡モジュール102において1つ以上の受信された光通信ビームの変化を追跡するためのフィードバックループを備え得る。変化は、大気擾乱によるものなど、ドリフト、フェージング又はシンチレーションなどの位置変化、又は他のタイプの変化を含み得る。追加的又は代替的に、フィードバックループは、光検出器において受信される位相外れ部分において測定されるパワーを最小化するように繰り返され得る。フィードバックループは、各サイクルにおいて位相シフタ調整を行うことを含み得る。
【0064】
本明細書で説明される特徴は、接続性の「ラストマイル」への大きいネットワーク容量の効率的な分配を可能にし、これは、通常、無線周波数ワイヤレス分配及び固定ファイバインフラストラクチャのコストを制限する容量ボトルネックを克服する。短距離のポイントツーポイントリレー配列における光学追跡モジュールの使用は、ファイバを展開することに共通するロジスティック問題を回避し、リンク間の干渉を低減し、より高いスループットを可能にし得る。光学追跡モジュールのコンパクトなサイズは、より安価でより迅速な展開を可能にし得るとともに、光学追跡モジュールの位置の調整又は更新を容易にし得る。本明細書で説明される光学追跡モジュールからの出力の特性を考慮すると、短距離配列内のリンクは、装着構造の動き又は環境要因に対してよりロバストであり得る。
【0065】
特に明記しない限り、前述の代替例は相互に排他的ではなく、独自の利点を達成するために様々な組み合わせで実施することができる。上で考察される特徴のこれら及び他の変形及び組み合わせは、特許請求の範囲によって定義される主題から逸脱することなく利用することができ、実施形態の前述の説明は、特許請求の範囲によって定義される主題の限定としてではなく、例解として解釈されるべきである。加えて、本明細書において説明される例の提供、並びに「など」、「含む」などの表現は、特許請求の範囲の主題を具体的な例に限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの例は、多くの可能な実施形態のうちの1つのみを例解することを意図している。更に、異なる図面の同じ参照符号は、同じ又は同様の要素を識別することができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7