(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】遠隔操縦装置および遠隔操縦システム
(51)【国際特許分類】
B62D 1/28 20060101AFI20250418BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20250418BHJP
B62D 13/00 20060101ALI20250418BHJP
【FI】
B62D1/28
B62D6/00
B62D13/00
(21)【出願番号】P 2024534557
(86)(22)【出願日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2024005012
【審査請求日】2024-06-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】亀岡 翔太
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 勇一
(72)【発明者】
【氏名】横小路 泰義
(72)【発明者】
【氏名】永野 光
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-145651(JP,A)
【文献】特許第6938793(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0115571(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0052548(US,A1)
【文献】特表2022-510450(JP,A)
【文献】特表2007-503352(JP,A)
【文献】特開平09-136660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 99/00
B60W 30/06
B62D 1/28, 6/00,13/00,15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車両を遠隔操縦して被牽引車両に連結させる遠隔操縦装置であって、
予め定められた条件を満たした場合に前記遠隔操縦の制御に切り替えられた前記牽引車両に対するオペレータの操縦を操縦量として取得する操縦検出部と、
前記遠隔操縦を行うか否かの設定を含む遠隔操縦情報を受け付ける入力検出部と、
前記操縦量および前記遠隔操縦情報を送信する送信部と、
前記牽引車両の後方の後方画像情報と、内界センサが検出した前記牽引車両のセンサ情報とを受信する受信部と、
前記操縦量、前記センサ情報、および前記牽引車両の運動モデルに基づいて、前記牽引車両における予め定められた部分の予測軌道を軌道情報として演算する軌道演算部と、
前記後方画像情報に前記軌道情報を重畳して前記オペレータに提示する提示画像を生成する画像生成部と、
を備え、
前記後方画像情報に基づいて前記被牽引車両の連結部の位置を被牽引車両情報として認識する認識部をさらに備え、
前記画像生成部は、前記後方画像情報に前記被牽引車両情報をさらに重畳した前記提示画像を生成する、遠隔操縦装置。
【請求項2】
牽引車両を遠隔操縦して被牽引車両に連結させる遠隔操縦装置であって、
予め定められた条件を満たした場合に前記遠隔操縦の制御に切り替えられた前記牽引車両に対するオペレータの操縦を操縦量として取得する操縦検出部と、
前記遠隔操縦を行うか否かの設定を含む遠隔操縦情報を受け付ける入力検出部と、
前記操縦量および前記遠隔操縦情報を送信する送信部と、
前記牽引車両の後方の後方画像情報と、内界センサが検出した前記牽引車両のセンサ情報とを受信する受信部と、
前記操縦量、前記センサ情報、および前記牽引車両の運動モデルに基づいて、前記牽引車両における予め定められた部分の予測軌道を軌道情報として演算する軌道演算部と、
前記後方画像情報に前記軌道情報を重畳して前記オペレータに提示する提示画像を生成する画像生成部と、
を備え、
前記受信部は、前記牽引車両の前方の前方画像情報をさらに受信し、
前記軌道演算部は、前進時には前記牽引車両における予め定められた部分である車輪の予測軌道を前記軌道情報として演算し、後進時には前記牽引車両における予め定められた部分である連結部の予測軌道を前記軌道情報として演算し、
前記画像生成部は、前進時には前記前方画像情報に前記軌道情報である前記車輪の予測軌道を重畳した前記提示画像を生成し、後進時には前記後方画像情報に前記軌道情報である前記連結部の予測軌道を重畳した前記提示画像を生成する、遠隔操縦装置。
【請求項3】
牽引車両を遠隔操縦して被牽引車両に連結させる遠隔操縦装置であって、
前記遠隔操縦を行うオペレータの操舵および加減速を含む操縦を操縦量として取得する操縦検出部と、
前記操縦量を送信する送信部と、
前記牽引車両の後方の後方画像情報と、内界センサが検出した前記牽引車両のセンサ情報とを受信する受信部と、
前記操縦量、前記センサ情報、および前記牽引車両の運動モデルに基づいて、前記牽引車両における予め定められた部分の予測軌道を軌道情報として演算する軌道演算部と、
前記後方画像情報に前記軌道情報を重畳して前記オペレータに提示する提示画像を生成する画像生成部と、
を備え、
前記後方画像情報に基づいて前記被牽引車両の連結部の位置を被牽引車両情報として認識する認識部をさらに備え、
前記画像生成部は、前記後方画像情報に前記被牽引車両情報をさらに重畳した前記提示画像を生成する、遠隔操縦装置。
【請求項4】
牽引車両を遠隔操縦して被牽引車両に連結させる遠隔操縦装置であって、
前記遠隔操縦を行うオペレータの操舵および加減速を含む操縦を操縦量として取得する操縦検出部と、
前記操縦量を送信する送信部と、
前記牽引車両の後方の後方画像情報と、内界センサが検出した前記牽引車両のセンサ情報とを受信する受信部と、
前記操縦量、前記センサ情報、および前記牽引車両の運動モデルに基づいて、前記牽引車両における予め定められた部分の予測軌道を軌道情報として演算する軌道演算部と、
前記後方画像情報に前記軌道情報を重畳して前記オペレータに提示する提示画像を生成する画像生成部と、
を備え、
前記受信部は、前記牽引車両の前方の前方画像情報をさらに受信し、
前記軌道演算部は、前進時には前記牽引車両における予め定められた部分である車輪の予測軌道を前記軌道情報として演算し、後進時には前記牽引車両における予め定められた部分である連結部の予測軌道を前記軌道情報として演算し、
前記画像生成部は、前進時には前記前方画像情報に前記軌道情報である前記車輪の予測軌道を重畳した前記提示画像を生成し、後進時には前記後方画像情報に前記軌道情報である前記連結部の予測軌道を重畳した前記提示画像を生成する、遠隔操縦装置。
【請求項5】
前記軌道演算部は、前記操縦量、前記センサ情報、および前記牽引車両と
当該牽引車両に連結されている1台以上
の被牽引車両とを含む連結車両の運動モデルに基づいて、前記予測軌道を演算する、請求項1から4のいずれか1項に記載の遠隔操縦装置。
【請求項6】
前記条件は、前記牽引車両を自動制御から前記遠隔操縦に切り替えるための条件である、請求項1または2に記載の遠隔操縦装置。
【請求項7】
前記軌道情報および前記被牽引車両情報に基づいて、前記牽引車両における予め定められた部分である第1連結部と、前記被牽引車両の連結部である第2連結部との間の偏差を偏差情報として計算する偏差計算部をさらに備え、
前記画像生成部は、前記後方画像情報に前記偏差情報をさらに重畳した前記提示画像を生成する、請求項1または3に記載の遠隔操縦装置。
【請求項8】
前記後方画像情報および前記センサ情報を受信する際に使用するネットワークの通信遅延を計測する通信遅延計測部と、
前記軌道情報および前記通信遅延に基づいて、前記第1連結部の位置を予測位置として予測する位置予測部と、
をさらに備え、
前記画像生成部は、前記後方画像情報に前記予測位置をさらに重畳した前記提示画像を生成する、請求項7に記載の遠隔操縦装置。
【請求項9】
牽引車両を遠隔操縦して被牽引車両に連結させる遠隔操縦システムであって、
オペレータの操縦を操縦量として取得する操縦検出部と、
前記遠隔操縦を行うか否かの設定を含む遠隔操縦情報を受け付ける入力検出部と、
前記操縦量を、前記牽引車両を制御するための第1アクチュエータ指令値に変換する指令値変換部と、
前記牽引車両を自動制御するための第2アクチュエータ指令値を演算するとともに、予め定められた条件を満たしたか否かを判定する自動制御部と、
前記遠隔操縦情報に基づいて、前記第1アクチュエータ指令値または前記第2アクチュエータ指令値を選択して前記牽引車両のアクチュエータに出力する設定部と、
前記操縦量、内界センサが検出した前記牽引車両のセンサ情報、および前記牽引車両の運動モデルに基づいて、前記牽引車両における予め定められた部分の予測軌道を軌道情報として演算する軌道演算部と、
前記牽引車両の後方の後方画像情報に前記軌道情報を重畳して前記オペレータに提示する提示画像を生成する画像生成部と、
を備え、
前記後方画像情報に基づいて前記被牽引車両の連結部の位置を被牽引車両情報として認識する認識部をさらに備え、
前記画像生成部は、前記後方画像情報に前記被牽引車両情報をさらに重畳した前記提示画像を生成する、遠隔操縦システム。
【請求項10】
牽引車両を遠隔操縦して被牽引車両に連結させる遠隔操縦システムであって、
オペレータの操縦を操縦量として取得する操縦検出部と、
前記遠隔操縦を行うか否かの設定を含む遠隔操縦情報を受け付ける入力検出部と、
前記操縦量を、前記牽引車両を制御するための第1アクチュエータ指令値に変換する指令値変換部と、
前記牽引車両を自動制御するための第2アクチュエータ指令値を演算するとともに、予め定められた条件を満たしたか否かを判定する自動制御部と、
前記遠隔操縦情報に基づいて、前記第1アクチュエータ指令値または前記第2アクチュエータ指令値を選択して前記牽引車両のアクチュエータに出力する設定部と、
前記操縦量、内界センサが検出した前記牽引車両のセンサ情報、および前記牽引車両の運動モデルに基づいて、前記牽引車両における予め定められた部分の予測軌道を軌道情報として演算する軌道演算部と、
前記牽引車両の後方の後方画像情報に前記軌道情報を重畳して前記オペレータに提示する提示画像を生成する画像生成部と、
を備え、
前記軌道演算部は、前進時には前記牽引車両における予め定められた部分である車輪の予測軌道を前記軌道情報として演算し、後進時には前記牽引車両における予め定められた部分である連結部の予測軌道を前記軌道情報として演算し、
前記画像生成部は、前進時には前記牽引車両の前方の前方画像情報に前記軌道情報である前記車輪の予測軌道を重畳した前記提示画像を生成し、後進時には前記後方画像情報に前記軌道情報である前記連結部の予測軌道を重畳した前記提示画像を生成する、遠隔操縦システム。
【請求項11】
牽引車両を遠隔操縦して被牽引車両に連結させる遠隔操縦システムであって、
前記遠隔操縦を行うオペレータの操舵および加減速を含む操縦を操縦量として取得する操縦検出部と、
前記操縦量を、前記牽引車両を制御するためのアクチュエータ指令値に変換する指令値変換部と、
前記操縦量、内界センサが検出した前記牽引車両のセンサ情報、および前記牽引車両の運動モデルに基づいて、前記牽引車両における予め定められた部分の予測軌道を軌道情報として演算する軌道演算部と、
前記牽引車両の後方の後方画像情報に前記軌道情報を重畳して前記オペレータに提示する提示画像を生成する画像生成部と、
を備え、
前記後方画像情報に基づいて前記被牽引車両の連結部の位置を被牽引車両情報として認識する認識部をさらに備え、
前記画像生成部は、前記後方画像情報に前記被牽引車両情報をさらに重畳した前記提示画像を生成する、遠隔操縦システム。
【請求項12】
牽引車両を遠隔操縦して被牽引車両に連結させる遠隔操縦システムであって、
前記遠隔操縦を行うオペレータの操舵および加減速を含む操縦を操縦量として取得する操縦検出部と、
前記操縦量を、前記牽引車両を制御するためのアクチュエータ指令値に変換する指令値変換部と、
前記操縦量、内界センサが検出した前記牽引車両のセンサ情報、および前記牽引車両の運動モデルに基づいて、前記牽引車両における予め定められた部分の予測軌道を軌道情報として演算する軌道演算部と、
前記牽引車両の後方の後方画像情報に前記軌道情報を重畳して前記オペレータに提示する提示画像を生成する画像生成部と、
を備え、
前記軌道演算部は、前進時には前記牽引車両における予め定められた部分である車輪の予測軌道を前記軌道情報として演算し、後進時には前記牽引車両における予め定められた部分である連結部の予測軌道を前記軌道情報として演算し、
前記画像生成部は、前進時には前記牽引車両の前方の前方画像情報に前記軌道情報である前記車輪の予測軌道を重畳した前記提示画像を生成し、後進時には前記後方画像情報に前記軌道情報である前記連結部の予測軌道を重畳した前記提示画像を生成する、遠隔操縦システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、牽引車両を遠隔操縦して被牽引車両に連結させる遠隔操縦装置および遠隔操縦システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牽引車両(トラクタとも呼ばれる)と被牽引車両(トレーラとも呼ばれる)とを連結する連結作業を支援する技術が開示されている。
【0003】
例えば、後方に取り付けたカメラの画像情報に基づいてトラクタを制御することによって、トラクタとトレーラとの連結作業を自動化する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、操作者が入力装置を介してあたかもトレーラを単体車両として操舵するかのような感覚で操縦することが可能となるように、トレーラに対して仮想的な目標操舵角を設定し、この目標操舵角に追従するようにトラクタを制御する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6938793号公報
【文献】国際公開第2022/270322号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、省人化のためにトラクタを無人にして連結作業を完全無人化する際、自動制御による連結作業が失敗した場合は現場に補助員を派遣する必要があるため、省人化の効果が低くなる。また、特許文献2の技術は、トラクタとトレーラとが連結されている状態で操作することが前提となっており、トラクタとトレーラとを連結する連結作業には利用することができない。
【0006】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、自動制御による連結作業が失敗した場合であっても現場に補助員を派遣することなく牽引車両と被牽引車両との連結作業を行うことが可能な遠隔操縦装置および遠隔操縦システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示による遠隔操縦装置は、牽引車両を遠隔操縦して被牽引車両に連結させる遠隔操縦装置であって、予め定められた条件を満たした場合に遠隔操縦の制御に切り替えられた牽引車両に対するオペレータの操縦を操縦量として取得する操縦検出部と、遠隔操縦を行うか否かの設定を含む遠隔操縦情報を受け付ける入力検出部と、操縦量および遠隔操縦情報を送信する送信部と、牽引車両の後方の後方画像情報と、内界センサが検出した牽引車両のセンサ情報とを受信する受信部と、操縦量、センサ情報、および牽引車両の運動モデルに基づいて、牽引車両における予め定められた部分の予測軌道を軌道情報として演算する軌道演算部と、後方画像情報に軌道情報を重畳してオペレータに提示する提示画像を生成する画像生成部とを備え、後方画像情報に基づいて被牽引車両の連結部の位置を被牽引車両情報として認識する認識部をさらに備え、画像生成部は、後方画像情報に被牽引車両情報をさらに重畳した提示画像を生成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、自動制御による連結作業が失敗した場合であっても現場に補助員を派遣することなく牽引車両と被牽引車両との連結作業を行うことが可能となる。
【0009】
本開示の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る遠隔操縦システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る遠隔操縦システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る遠隔操縦装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係る連結車両の運動モデルを説明するための図である。
【
図5】実施の形態1に係る牽引車両の運動モデルを説明するための図である。
【
図6】実施の形態1に係る連結車両の運動モデルを説明するための図である。
【
図7】実施の形態1に係る牽引車両制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】実施の形態1に係る遠隔操縦装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態1に係る画像表示装置に表示される提示画像の一例を示す図である。
【
図10】実施の形態1に係る画像表示装置に表示される提示画像の一例を示す図である。
【
図11】実施の形態1に係る牽引車両制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図12】実施の形態2に係る遠隔操縦装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】実施の形態2に係る遠隔操縦装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態2に係る画像表示装置に表示される提示画像の一例を示す図である。
【
図15】実施の形態3に係る遠隔操縦装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】実施の形態3に係る偏差を説明するための図である。
【
図17】実施の形態3に係る遠隔操縦装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図18】実施の形態3に係る画像表示装置に表示される提示画像の一例を示す図である。
【
図19】実施の形態4に係る遠隔操縦装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図20】実施の形態4に係る遠隔操縦装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図21】実施の形態4に係る画像表示装置に表示される提示画像の一例を示す図である。
【
図22】実施の形態4に係る画像表示装置に表示される提示画像の一例を示す図である。
【
図23】実施の形態1~4に係る遠隔操縦装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図24】実施の形態1~4に係る遠隔操縦装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
<遠隔操縦システムの構成>
図1は、実施の形態1に係る遠隔操縦システムの構成の一例を示す図である。遠隔操縦システムは、遠隔操縦装置1、牽引車両制御装置7、および牽引車両8で構成されている。遠隔操縦装置1は、牽引車両8を遠隔操縦して被牽引車両12に連結させる。遠隔操縦装置1と牽引車両制御装置7とは、ネットワーク6を介して通信可能に接続されている。ネットワーク6は、複数の構成要素をケーブルや電波などで相互に接続し、データを送受信することができる。ネットワーク6には、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、電話回線、無線通信など様々な方式がある。
【0012】
例えば、牽引車両制御装置7は、牽引車両8に設置された後方カメラ10が撮影した画像情報(後方画像)を遠隔操縦装置1に送信する。遠隔操縦装置1は、牽引車両制御装置7から受信した画像情報を加工した提示画像を画像表示装置2に表示するよう制御する。オペレータ5は、画像表示装置2に表示された提示画像を見ながら操縦装置3を操縦する。遠隔操縦装置1は、オペレータ5が操縦装置3を操縦した操縦量を牽引車両制御装置7に送信する。牽引車両制御装置7は、遠隔操縦装置1から受信した操縦量に基づいて牽引車両8のアクチュエータを制御する。これにより、オペレータ5の遠隔操縦によって、牽引車両8のカプラ11を被牽引車両12のキングピン13に連結することができる。
【0013】
遠隔操縦装置1は、画像表示装置2、操縦装置3、および入力装置4に通信可能に接続されている。遠隔操縦装置1は、牽引車両制御装置7から受信した画像情報を加工した提示画像を画像表示装置2に表示するよう制御する。オペレータ5は、画像表示装置2に表示された提示画像を見て、操縦装置3を操縦(遠隔操縦)し、あるいは入力装置4を操作する。遠隔操縦装置1は、オペレータ5が操縦装置3を操縦した操縦量、およびオペレータ5が入力装置4を用いて設定した遠隔操縦情報を牽引車両制御装置7に送信する。
【0014】
操縦装置3は、例えば、ステアリング、アクセル、ブレーキ、およびシフトなど実際の車両の操縦機構を模したものである。また、操縦装置3は、タブレットまたはジョイスティックなどであってもよい。
【0015】
入力装置4は、タブレットまたはスイッチなどで構成され、オペレータ5が入力した遠隔操縦情報を検出する。遠隔操縦情報は、駐車、前進、および後退などを含むシフト操作と、遠隔操縦のオンまたはオフの情報とを含む。
【0016】
牽引車両8は、牽引車両8の前方を撮影する前方カメラ9と、牽引車両8の後方を撮影する後方カメラ10とを設置している。なお、前方カメラ9および後方カメラ10は、牽引車両8に設置せず、路側に設置されてもよい。前方カメラ9および後方カメラ10を路側に設置する場合は、視点変換などの技術を用いて牽引車両8の前方または後方の画像に変換する。なお、牽引車両8には、前方カメラ9および後方カメラ10に限らず、LiDAR(Light Detection and Ranging)またはレーダーなど、オペレータ5が連結部の周辺を認識できる外界センサを設置すればよい。
【0017】
牽引車両制御装置7は、牽引車両8に設置された前方カメラ9または後方カメラ10の画像情報を遠隔操縦装置1に送信する。また、牽引車両制御装置7は、遠隔操縦装置1から受信した操縦量に基づいて牽引車両8を制御する。なお、牽引車両制御装置7は、前方カメラ9または後方カメラ10の画像情報に基づいて牽引車両8を自動制御する場合もある。
【0018】
牽引車両8には、前方カメラ9、後方カメラ10、およびモータなどで構成される操舵アクチュエータと、エンジン、モータ、およびブレーキで構成される加減速アクチュエータとが設置されている。操舵アクチュエータおよび加減速アクチュエータは、操縦量に基づいて動作する。また、牽引車両8には、被牽引車両12との連結のために使用されるカプラ11(連結部)が設置されている。
【0019】
被牽引車両12には、牽引車両8との連結のために使用されるキングピン13(連結部)が設置されている。
図1に示すように、キングピン13は、被牽引車両12の下から覗き込まないと見えない場合がある。
【0020】
図2は、実施の形態1に係る遠隔操縦システムの構成の一例を示す図であり、被牽引車両が2台ある場合を示している。
【0021】
図2の例では、連結車両8に被牽引車両14が連結されている状態を示している。オペレータ5は、遠隔操縦することによって、被牽引車両14のヒッチレシーバ16を被牽引車両17のトレーラヒッチ18に連結させる。この場合、画像表示装置2に表示される提示画像には、被牽引車両14に設置された後方カメラ15が撮影した後方画像が含まれている。なお、牽引車両8に2台の被牽引車両14,17が連結された状態で被牽引車両17にさらに他の被牽引車両を連結させる場合も同様に、オペレータ5は、被牽引車両17に設置された後方カメラ(図示せず)が撮影した後方画像を含む提示画像を見ながら遠隔操縦すればよい。
【0022】
なお、牽引車両8としては、例えば、自動車、クロスオーバー、トラック、バン、スポーツユーティリティビークル(SUV)、レクリエーショナルビークル(RV)、あるいは、被牽引車両を牽引することが可能に構成された任意の車両などが挙げられる。
【0023】
また、被牽引車両12,14,17は、通常、牽引車両に牽引される無動力車両である。被牽引車両12,14,17としては、例えば、ユーティリティトレーラ、ポップアップキャンピングカー、旅行用トレーラ、家畜用トレーラ、フラットベッドトレーラ、密閉型自動車運搬車、およびボートトレーラなどが挙げられる。
【0024】
図1において、牽引車両8および被牽引車両12は連結車両を構成する。また、
図2において、牽引車両8および被牽引車両14,17は連結車両を構成する。連結車両は、牽引車両と1台以上の被牽引車両とを含む。連結車両には、ドーリが設置されていてもよい(
図5参照)。
【0025】
図1に示すカプラ11およびキングピン13は、牽引車両8と被牽引車両12とを連結する連結装置である。また、
図2に示すヒッチレシーバ16およびトレーラヒッチ18は、被牽引車両14と被牽引車両17とを連結する連結装置である。トレーラヒッチ18は、ボールおよびソケット、第5輪およびグースネック、あるいはトレーラジャックであってもよい。なお、牽引車両8および被牽引車両12,14,17は、
図1,2に示す連結装置以外の連結機構を設置してもよい。
【0026】
牽引車両8および被牽引車両12は、機械的に接続(連結)されるだけでなく、電気的に接続されてもよい。牽引車両8および被牽引車両12を電気的に接続することによって、被牽引車両12は、牽引車両8のリアライト回路から電力を受給することができる。従って、被牽引車両12は、牽引車両8のライトと同期するテールライト、ウインカ、およびブレーキライトを設置することが可能となる。
【0027】
<遠隔操縦装置の構成>
図3は、遠隔操縦装置1の構成の一例を示すブロック図である。遠隔操縦装置1は、操縦検出部19と、入力検出部20と、送信部21と、受信部22と、軌道演算部23と、画像生成部24とを備えている。また、遠隔操縦装置1は、画像表示装置2、操縦装置3、および入力装置4と通信可能に接続されている。
【0028】
操縦検出部19は、操縦装置3からオペレータ5の操縦に関する操縦データを取得し、操縦データに基づいてオペレータ5がどのような操縦をどれだけ行ったのかを示す操縦量を検出する。すなわち、操縦検出部19は、オペレータ5の操縦を操縦量として取得する。操縦検出部19は、操縦量を送信部21および軌道演算部23に出力する。
【0029】
入力検出部20は、入力装置4からオペレータ5が入力した遠隔操縦に関する入力データを取得し、入力データに基づいてオペレータ5が遠隔操縦についてどのような入力を行ったのかを示す遠隔操縦情報を検出する。すなわち、入力検出部20は、遠隔操縦情報を受け付ける。入力検出部20は、遠隔操縦情報を送信部21に出力する。
【0030】
送信部21は、ネットワーク6を介して、牽引車両制御装置7に操縦量および遠隔操縦情報を送信する。
【0031】
受信部22は、ネットワーク6を介して、牽引車両制御装置7から画像情報、センサ情報、および制御成否情報を受信する。画像情報は、牽引車両8に設置された前方カメラ9または後方カメラ10の画像情報である。センサ情報は、牽引車両に設置されたセンサ(内界センサ)が検出したセンサ情報である。制御成否情報は、牽引車両制御装置7が牽引車両8を自動制御することができるか否か(自動制御に成功または失敗したか)を示す情報である。受信部22は、センサ情報を軌道演算部23に出力し、画像情報および制御成否情報を画像生成部24に出力する。
【0032】
軌道演算部23は、操縦量、センサ情報、および牽引車両の運動モデルに基づいて、牽引車両8のカプラ11(予め定められた部分)の予測軌道を演算する。軌道演算部23は、演算した予測軌道を軌道情報として画像生成部24に出力する。なお、
図2に示すような牽引車両8および被牽引車両14で構成される連結車両に被牽引車両17を連結する場合、軌道演算部23は、連結車両の運動モデルを用いて連結車両の予め定められた部分(例えば、被牽引車両14のヒッチレシーバ16)の予測軌道を演算する。
【0033】
画像生成部24は、画像情報に軌道情報を重畳してオペレータ5に提示する提示画像を生成する。画像生成部24は、生成した提示画像を画像表示装置2に出力する。画像表示装置2では、提示画像が表示される。また、画像生成部24は、提示画像に制御成否情報を含めてもよい。この場合、オペレータ5は、画像表示装置2に表示された制御成否情報を見て、自身が牽引車両8を遠隔操縦する必要があるか否かを判断することができる。
【0034】
<運動モデル>
図4は、連結車両の運動モデルを説明するための図である。ここでは、牽引車両25に被牽引車両26~29を含むn台の被牽引車両が連結された連結車両を想定する。なお、以下の説明において、グローバル座標系とは、基準となる座標系のことをいい、地理座標系、地理座標系上に基準を定めて平面展開した平面直角座標系、設計者が定めた座標系などが採用される。また、車両座標系とは、牽引車両および被牽引車両のそれぞれに固定された座標系のことをいう。連結車両が移動した場合、車両座標系は、グローバル座標系に対してその位置および姿勢(角度)が変化する。
【0035】
グローバル座標系(X,Y)に対する車両座標系における第k被牽引車両の車軸中心位置を(x
k,y
k)とすると、幾何学的な関係より、下記の式(1)が得られる。ただし、式(1)において下記の式(2)が成り立つものとする。
【数1】
【数2】
【0036】
ここで、tは時間、k=0は牽引車両を表している。すなわち、(x0,y0)は牽引車両の後軸中心位置である。また、γkはグローバル座標系に対する姿勢(角度)であり(図示せず)、hk
fは被牽引車両の車軸中心と前方のヒッチ点30との距離(前ヒッチングオフセット)、hk
rは被牽引車両の車軸中心と後方のヒッチ点30との距離(後ヒッチングオフセット)である。
【0037】
また、横滑り角が生じないという仮定のもと、下記(3)で表される運動モデルが得られる。ただし、式(3)において下記の式(4)が成り立つものとする。
【数3】
【数4】
【0038】
ここで、ν0は牽引車両の並進速度、ζ0は牽引車両の角速度である。
【0039】
式(3),(4)に示す牽引車両の並進速度ν0および牽引車両の角速度ζ0から、被牽引車両の角速度γkを求めることができる。そして、角速度γkを積分することによって各時刻におけるγkを求めることができる。
【0040】
式(1),(2)から牽引車両の後軸中央位置(x0,y0)およびγkが与えられれば、被牽引車両の車軸中央位置(xk,yk)を求めることができる。
【0041】
図5は、牽引車両31に2つの荷台34,37が連結されている場合を示している。荷台34は、ドーリ32および被牽引車両33で構成されている。荷台37は、ドーリ35および被牽引車両36で構成されている。ドーリ32,35は、平面方向に回転自在な車軸を有するものである。
図5の例では、ドーリ32,35のそれぞれを1つの被牽引車両として扱うことによって、式(1)~(4)を用いて運動モデルを構築することが可能である。
【0042】
次に、牽引車両の運動モデルについて説明する。
【0043】
牽引車両の運動モデルとして、例えば、牽引車両の並進速度ν
0および牽引車両の角速度ζ
0を入力とする下記の式(5)で表されるモデルが考えられる。
【数5】
【0044】
ζ0=ν0/L0tanδ0の関係が成り立つため、この関係を用いて式(5)を修正してもよい。ここで、δ0は牽引車両の操舵角、L0は牽引車両のホイールベースである。
【0045】
その他、
図6に示すように、牽引車両の前後の左右輪をそれぞれ1つの車輪として扱うことが多い。このような運動モデルは、4輪車両を2輪車両として扱うため2輪モデルと呼ばれる。
【0046】
2輪モデルの場合、牽引車両の操舵角δ
0、および牽引車両の加速度α
0を入力として、牽引車両の重心(x
g0,y
g0)を基準とした運動方程式と幾何学的な関係とから、下記の式(6)で表される運動モデルが使用されることもある。
【数6】
【0047】
<牽引車両制御装置の構成>
図7は、牽引車両制御装置7の構成の一例を示すブロック図である。牽引車両制御装置7は、受信部38と、指令値変換部39と、画像取得部40と、センサ取得部41と、自動制御部42と、送信部43と、設定部44とを備えている。また、牽引車両制御装置7は、牽引車両8に設置された前方カメラ9、後方カメラ10、センサ45、およびアクチュエータ46と通信可能に接続されている。
【0048】
受信部38は、ネットワーク6を介して、遠隔操縦装置1から操縦量および遠隔操縦情報を受信する。受信部38は、操縦量を指令値変換部39に出力し、遠隔操縦情報を設定部44に出力する。
【0049】
指令値変換部39は、操縦量を第1アクチュエータ指令値に変換する。第1アクチュエータ指令値は、オペレータ5の遠隔操縦によってアクチュエータ46を制御するための指令値であり、例えば電流および電圧などが挙げられる。指令値変換部39は、第1アクチュエータ指令値を設定部44に出力する。
【0050】
画像取得部40は、前方カメラ9から牽引車両8の前方の画像データ(前方画像)を取得し、後方カメラ10から牽引車両8の後方の画像データ(後方画像)を取得する。画像取得部40は、画像データを画像情報として自動制御部42および送信部43のそれぞれに出力する。
【0051】
センサ取得部41は、センサ45からセンサデータを取得する。センサ45は、牽引車両8の状態を検出する内界センサであり、例えば、操舵角センサ、車速センサ、IMU(Inertial Measurement Unit)などで構成されている。
【0052】
自動制御部42は、画像情報およびセンサ情報に基づいて、牽引車両8を自動制御するための第2アクチュエータ指令値を演算する。また、自動制御部42は、画像情報およびセンサ情報のうち少なくとも一方に基づいて、牽引車両8の自動制御の成功または失敗を判定する。例えば、自動制御部42は、牽引車両8に被牽引車両を自動で連結する連結作業が失敗した場合、自動制御が失敗したと判定する。また、自動制御部42は、センサ45の異常状態である場合、自動制御が失敗したと判定する。その他に、自動制御部42は、連結車両の周辺に人がたくさんいるため制御できない場合、センサ45以外の異常を検知した場合に、自動制御が失敗したと判定してもよい。このように、自動制御部42は、予め定められた条件を満たしたか否か(自動制御が失敗したか否か)を判定する。自動制御部42は、判定結果を制御成否情報として送信部43に出力する。
【0053】
なお、自動制御部42は、自動制御が失敗したと判定すると、自動的に遠隔操縦をオンにしてもよい。この場合、制御成否情報には、遠隔操縦をオンにした旨が含まれることになる。
【0054】
送信部43は、ネットワーク6を介して、遠隔操縦装置1に画像情報、センサ情報、および制御成否情報を送信する。
【0055】
設定部44は、遠隔操縦情報に基づいて第1アクチュエータ指令値または第2アクチュエータ指令値を選択し、実アクチュエータ指令値としてアクチュエータ46に出力する。具体的には、設定部44は、遠隔操縦情報が遠隔操縦をオンする旨の情報を含む場合、第1アクチュエータ指令値を選択する。この場合、牽引車両8は、オペレータ5による遠隔操縦に従って動作する。また、設定部44は、遠隔操縦情報が遠隔操縦をオフする旨の情報を含む場合、第2アクチュエータ指令値を選択する。この場合、牽引車両8は、自動制御部42による自動制御に従って動作する。
【0056】
<遠隔操縦装置の動作>
図8は、遠隔操縦装置1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、
図8では、牽引車両8に被牽引車両12を連結する場合(
図1参照)について説明するが、牽引車両8および被牽引車両14で構成される連結車両に被牽引車両17を連結する場合(
図2参照)についても同様である。
【0057】
ステップS11において、受信部22は、ネットワーク6を介して、牽引車両制御装置7から画像情報、センサ情報、および制御成否情報を受信する。
【0058】
ステップS12において、画像生成部24は、画像情報を提示画像として画像表示装置2に出力する。画像表示装置2には提示画像が表示される。このとき、提示画像に制御成否情報を含めてもよい。
【0059】
ステップS13において、入力検出部20は、入力装置4から遠隔操縦情報を受け付ける。例えば、提示画像に制御成否情報が含まれている場合、オペレータ5は、自動制御が失敗したことを認識すると(予め定められた条件を満たすと)、入力装置4に対して遠隔操縦をオンする旨を入力する。また、牽引車両制御装置7の自動制御部42が自動的に遠隔操縦をオンにした場合、オペレータ5は、遠隔操縦がオンされたことを認識し、入力装置4に対して遠隔操縦をオンする旨を入力する。
【0060】
ステップS14において、操縦検出部19は、オペレータ5の操縦を操縦量として取得する。
【0061】
ステップS15において、軌道演算部23は、操縦量、センサ情報、および牽引車両の運動モデルに基づいて、牽引車両8の予測軌道を軌道情報として演算する。例えば、軌道演算部23は、牽引車両8のカプラ11の予測軌道を軌道情報として演算する。
【0062】
ステップS16において、画像生成部24は、画像情報に軌道情報を重畳して提示画像を生成し、画像表示装置2に出力する。
【0063】
図9は、画像表示装置2に表示される提示画像の一例を示す図である。
図9では、牽引車両8の後方カメラ10が撮影した後方画像に、軌道演算部23が演算したカプラ11の予測軌道47を重畳して表示する例を示している。また、
図10に示すように、牽引車両8の前方カメラ9が撮影した前方画像48をさらに提示画像に含めてもよい。
【0064】
ステップS17において、送信部21は、操縦量および遠隔操縦情報を牽引車両制御装置7に送信する。
【0065】
<牽引車両制御装置の動作>
図11は、牽引車両制御装置7の動作の一例を示すフローチャートである。なお、
図1では、牽引車両8に被牽引車両12を連結する場合(
図1参照)について説明するが、牽引車両8および被牽引車両14で構成される連結車両に被牽引車両17を連結する場合(
図2参照)についても同様である。
【0066】
ステップS21において、受信部38は、ネットワーク6を介して、遠隔操縦装置1から操縦量および遠隔操縦情報を受信する。
【0067】
ステップS22において、指令値変換部39は、操縦量を第1アクチュエータ指令値に変換する。
【0068】
ステップS23において、画像取得部40は、牽引車両8の後方カメラ10から画像データ(後方画像)を画像情報として取得する。なお、画像取得部40は、牽引車両8の前方カメラ9から画像データ(前方画像)を画像情報として取得してもよい。また、センサ取得部41は、牽引車両8のセンサ45からセンサデータをセンサ情報として取得する。
【0069】
ステップS24において、自動制御部42は、画像情報およびセンサ情報に基づいて第2アクチュエータ指令値を演算する。また、自動制御部42は、自動制御の成功または失敗を判定する。
【0070】
ステップS25において、設定部44は、遠隔操縦情報に基づいて、第1アクチュエータ指令値または第2アクチュエータ指令値を選択して牽引車両8のアクチュエータ46に出力する。
【0071】
ステップS26において、送信部43は、ネットワーク6を介して、遠隔操縦装置1に画像情報、センサ情報、および制御成否情報を送信する。
【0072】
<効果>
実施の形態1によれば、自動制御による連結作業が失敗した場合は、オペレータによる遠隔操縦に切り替えることができる。これにより、オペレータは、遠隔操縦によって連結作業を行うことができる。また、遠隔操縦時には画像表示装置に予測軌道が表示されるため、オペレータはスムーズに連結作業を行うことができる。このように、自動制御による連結作業が失敗した場合であっても現場では無人で牽引車両と被牽引車両との連結作業を行うことが可能となる。
【0073】
<変形例>
図7では、牽引車両制御装置7が自動制御部42を備える構成について説明したが、牽引車両制御装置7は自動制御部42を備えない構成としてもよい。この場合、牽引車両8の自動制御は行われず、第1アクチュエータ指令値または第2アクチュエータ指令値を選択する設定部44も不要となる。また、遠隔操縦装置1の入力検出部20は、オペレータ5から遠隔操縦をオンまたはオフの情報を受け付ける必要はない。
【0074】
実施の形態1では、軌道演算部23が牽引車両8のカプラ11の予測軌道を演算する場合について説明したが、これに限るものではない。軌道演算部23は、例えば車輪の軌道など、牽引車両8の任意の部分の予測軌道を演算してもよい。なお、
図2に示すような連結車両の場合は、被牽引車両14のヒッチレシーバ16に限らず、被牽引車両14の任意の部分の予想軌道を演算してもよい。
【0075】
オペレータ5が連結車両を遠隔操縦する場合において、軌道演算部23は連結車両が安定して動作するような操舵を演算し、画像生成部24は当該操舵に関する情報を提示画像に含めるようにしてもよい。人の運転によって連結車両を後退させると、連結車両が途中で折れ曲がって動かなくなる現象(ジャックナイフ現象)が生じることがある。連結車両が安定して動作するような操舵を予め演算して画像表示装置2に表示することによって、オペレータ5は当該操舵に関する情報を見ながら連結車両を遠隔操縦することができるため、上記現象の発生を回避することができる。
【0076】
オペレータ5が操縦装置3を用いて操縦するときにおける操舵方向は、後方画面に映っている牽引車両8の後輪の動きと合うようにしてもよい。これにより、オペレータ5は、あたかも牽引車両8の運転席から後方に振り向いて牽引車両8を運転するかのように、操縦装置3を操縦することができる。
【0077】
<実施の形態2>
<構成>
図12は、実施の形態2に係る遠隔操縦装置49の構成の一例を示すブロック図である。遠隔操縦装置49は、認識部50を備えることを特徴としている。その他の構成は、実施の形態1に係る遠隔操縦装置1(
図3参照)と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、実施の形態2に係る牽引車両制御装置は、実施の形態1に係る牽引車両制御装置7(
図7参照)と同様である。
【0078】
認識部50は、画像情報に基づいて被牽引車両12の連結部(例えば、キングピン13)の位置を被牽引車両情報として認識し、被牽引車両情報を画像生成部24に出力する。具体的には、認識部50は、画像情報について画像処理または機械学習などを実行して被牽引車両12を検出する。そして、認識部50は、検出した被牽引車両12の型番からキングピンの位置を取得する。なお、被牽引車両の型番と、当該被牽引車両のキングピンの位置との対応関係を示す情報は、遠隔操縦装置49が図示しない記憶部に保持している。
【0079】
画像生成部24は、画像情報に軌道情報および被牽引車両情報を重畳して提示画像を生成し、画像表示装置2に出力する。
【0080】
<動作>
図13は、遠隔操縦装置49の動作の一例を示すフローチャートである。なお、
図13のステップS31~ステップS35、およびステップS38は、
図8のステップS11~ステップS15、およびステップS17と同様であるため、ここでは説明を省略する。以下では、ステップS36およびステップS37について説明する。
【0081】
ステップS36において、認識部50は、画像情報に基づいて被牽引車両12の連結部の位置を被牽引車両情報として認識する。
【0082】
ステップS37において、画像生成部24は、画像情報に軌道情報および被牽引車両情報を重畳して提示画像を生成し、画像表示装置2に出力する。
【0083】
図14は、画像表示装置2に表示される提示画像の一例を示す図である。
図14では、牽引車両8の後方カメラ10が撮影した後方画像に、軌道演算部23が演算したカプラ11の予測軌道47と、認識部50が認識した被牽引車両12のキングピン13の位置とを重畳して表示する例を示している。
【0084】
<効果>
被牽引車両の連結部は車両の下部に設置されているため、牽引車両8の後方カメラ10で撮影することができない場合が多い。実施の形態2によれば、被牽引車両12の連結部の位置を表示するため、オペレータ5は被牽引車両12の連結部の位置を認識しやすくなり、遠隔操縦による連結作業が効率化される。
【0085】
<実施の形態3>
<構成>
図15は、実施の形態3に係る遠隔操縦装置51の構成の一例を示すブロック図である。遠隔操縦装置51は、偏差計算部52を備えることを特徴としている。その他の構成は、実施の形態2に係る遠隔操縦装置49(
図12参照)と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、実施の形態3に係る牽引車両制御装置は、実施の形態1に係る牽引車両制御装置7(
図7参照)と同様である。
【0086】
偏差計算部52は、軌道情報および被牽引車両情報に基づいて、牽引車両8における予め定められた部分である第1連結部(例えば、カプラ11)と、被牽引車両12の連結部である第2連結部(例えば、キングピン13)との間の偏差を偏差情報として計算する。
【0087】
図16は、偏差を説明するための図である。偏差計算部52は、軌道演算部23が演算した牽引車両8のカプラ11の予測軌道47と、被牽引車両12のキングピン13との間における横偏差および角度偏差を計算する。
【0088】
画像生成部24は、画像情報に軌道情報、被牽引車両情報、および偏差情報を重畳して提示画像を生成し、画像表示装置2に出力する。
【0089】
<動作>
図17は、遠隔操縦装置51の動作の一例を示すフローチャートである。なお、
図17のステップS41~ステップS46、およびステップS49は、
図13のステップS31~ステップS36、およびステップS38と同様であるため、ここでは説明を省略する。以下では、ステップS47およびステップS48について説明する。
【0090】
ステップS47において、偏差計算部52は、軌道情報および被牽引車両情報に基づいて、牽引車両8の連結部と、被牽引車両12の連結部との間の偏差を計算する。
【0091】
ステップS48において、画像生成部24は、画像情報に軌道情報、被牽引車両情報、および偏差情報を重畳して提示画像を生成し、画像表示装置2に出力する。
【0092】
図18は、画像表示装置2に表示される提示画像の一例を示す図である。
図18では、牽引車両8の後方カメラ10が撮影した後方画像に、軌道演算部23が演算したカプラ11の予測軌道47と、認識部50が認識した被牽引車両12のキングピン13の位置と、偏差計算部52が計算した偏差情報53とを重畳して表示する例を示している。なお、
図18において、オペレータ5が良好な操縦を行っている場合(偏差が小さい場合)は提示画像の枠線を強調し(枠線に色を付けるなど)、偏差が大きい場合は提示画面の背景を赤色にしてもよい。また、偏差の大小に関する情報を音声で通知してもよい。
【0093】
<効果>
実施の形態3によれば、オペレータ5は牽引車両8の連結部と、被牽引車両12の連結部との間の偏差を認識しやすくなるため、遠隔操縦による連結作業が効率化される。
【0094】
<実施の形態4>
<構成>
図19は、実施の形態4に係る遠隔操縦装置54の構成の一例を示すブロック図である。遠隔操縦装置54は、通信遅延計測部55および位置予測部56を備えることを特徴としている。その他の構成は、実施の形態3に係る遠隔操縦装置51(
図15参照)と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、実施の形態4に係る牽引車両制御装置は、実施の形態1に係る牽引車両制御装置7(
図7参照)と同様である。
【0095】
通信遅延計測部55は、遠隔操縦装置54と牽引車両制御装置7との間におけるネットワーク6の通信遅延を計測する。例えば、通信遅延計測部55は、RTT(Round Trip Time)などを用いてネットワーク6の通信遅延を計測する。
【0096】
位置予測部56は、軌道情報および通信遅延に基づいて、牽引車両8の連結部(例えば、カプラ11)の位置を予測位置として予測する。
【0097】
画像生成部24は、画像情報に軌道情報、被牽引車両情報、偏差情報、および予測位置を重畳して提示画像を生成し、画像表示装置2に出力する。
【0098】
<動作>
図20は、遠隔操縦装置54の動作の一例を示すフローチャートである。なお、
図20のステップS51~ステップS57、およびステップS61は、
図17のステップS41~ステップS47、およびステップS49と同様であるため、ここでは説明を省略する。以下では、ステップS58~ステップS60について説明する。
【0099】
ステップS58において、通信遅延計測部55は、遠隔操縦装置54と牽引車両制御装置7との間におけるネットワーク6の通信遅延を計測する。
【0100】
ステップS59において、位置予測部56は、軌道情報および通信遅延に基づいて、牽引車両8の連結部の位置を予測位置として予測する。
【0101】
ステップS60において、画像生成部24は、画像情報に軌道情報、被牽引車両情報、偏差情報、および予測位置を重畳して提示画像を生成し、画像表示装置2に出力する。
【0102】
図21は、画像表示装置2に表示される提示画像の一例を示す図である。
図21では、牽引車両8の後方カメラ10が撮影した後方画像に、軌道演算部23が演算したカプラ11の予測軌道47と、認識部50が認識した被牽引車両12のキングピン13の位置と、偏差計算部52が計算した偏差情報53と、位置予測部56が予測したカプラ11の予測位置57とを重畳して表示する例を示している。
【0103】
<効果>
実施の形態4によれば、オペレータ5は牽引車両8のカプラ11の位置が認識しやすくなるため、遠隔操縦による連結作業が効率化される。
【0104】
<実施の形態5>
実施の形態1~4では、画像表示装置2に後方画像を表示する場合について説明したが、画像表示装置2に前方画像を表示するようにしてもよい。具体的には、実施の形態5では、牽引車両8が前進する時は画像表示装置2に前方画像を表示し、牽引車両8が後進する時は画像表示装置2に後方画像を表示する。
【0105】
なお、実施の形態5に係る遠隔操縦装置の構成は、実施の形態1に係る遠隔操縦装置1(
図3参照)、実施の形態2に係る遠隔操縦装置49(
図12参照)、実施の形態3に係る遠隔操縦装置51(
図15参照)、および実施の形態4に係る遠隔操縦装置54(
図19参照)のいずれの構成であってもよい。また、実施の形態5に係る牽引車両制御装置は、実施の形態1に係る牽引車両制御装置7(
図7参照)と同様である。
【0106】
受信部22は、牽引車両8に設置された前方カメラ9が撮影した前方画像と、牽引車両8に設置された後方カメラ10が撮影した後方画像とを含む画像情報を受信する。
【0107】
軌道演算部23は、前進時には牽引車両8の車輪(予め定められた部分)の予測軌道を軌道情報として演算し、後進時には牽引車両8の連結部の予測軌道を軌道情報として演算する。なお、予測軌道の演算方法は、実施の形態1と同様である。また、軌道演算部23は、操縦検出部19または入力検出部20からシフト操作に関する情報を取得するようにしてもよい。
【0108】
画像生成部24は、前進時には前方画像に牽引車両8の車輪の予測軌道を重畳した提示画像を生成し、画像表示装置2に出力する。例えば
図22に示すように、画像表示装置2では、牽引車両8の前車輪の予測軌道58と、被牽引車両(例えば
図2の被牽引車両14)の後車輪の予測軌道59とを前方画像に重畳して表示している。なお、
図22の例では、連結車両が前進する時に画像表示装置2に表示される提示画像を示している。
【0109】
<効果>
実施の形態5によれば、後進時は連結部の予測軌道を表示し、前進時は車輪の予測軌道を表示するため、遠隔操縦による連結作業が効率化される。
【0110】
<ハードウェア構成>
実施の形態1で説明した遠隔操縦装置1における操縦検出部19、入力検出部20、送信部21、受信部22、軌道演算部23、および画像生成部24の各機能は、処理回路により実現される。すなわち、遠隔操縦装置1は、操縦量を取得し、遠隔操縦情報を取得し、操縦量および遠隔操縦情報を送信し、画像情報、センサ情報、および制御成否情報を受信し、軌道情報を演算し、軌道情報を含む提示画像を生成するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサ(CPU、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)であってもよい。
【0111】
処理回路が専用のハードウェアである場合、
図23に示すように、処理回路60は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。操縦検出部19、入力検出部20、送信部21、受信部22、軌道演算部23、および画像生成部24の各機能をそれぞれ処理回路60で実現してもよく、各機能をまとめて1つの処理回路60で実現してもよい。
【0112】
処理回路60が
図24に示すプロセッサ70である場合、操縦検出部19、入力検出部20、送信部21、受信部22、軌道演算部23、および画像生成部24の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ71に格納される。プロセッサ70は、メモリ71に記録されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、遠隔操縦装置1は、操縦量を取得するステップ、遠隔操縦情報を取得するステップ、操縦量および遠隔操縦情報を送信するステップ、画像情報、センサ情報、および制御成否情報を受信するステップ、軌道情報を演算するステップ、軌道情報を含む提示画像を生成するステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ71を備える。また、これらのプログラムは、操縦検出部19、入力検出部20、送信部21、受信部22、軌道演算部23、および画像生成部24の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリとは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、DVD(Digital Versatile Disc)等、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0113】
なお、操縦検出部19、入力検出部20、送信部21、受信部22、軌道演算部23、および画像生成部24の各機能について、一部の機能を専用のハードウェアで実現し、他の機能をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0114】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0115】
上記では、実施の形態1に係る遠隔操縦装置1(
図3)のハードウェア構成について説明したが、実施の形態2に係る遠隔操縦装置49(
図12参照)、実施の形態3に係る遠隔操縦装置51(
図15参照)、および実施の形態4に係る遠隔操縦装置54(
図19参照)のそれぞれのハードウェア構成についても同様である。また、実施の形態1に係る牽引車両制御装置7のハードウェア構成についても同様である。
【0116】
なお、本開示の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0117】
本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、限定的なものではない。例示されていない無数の変形例が想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0118】
1 遠隔操縦装置、2 画像表示装置、3 操縦装置、4 入力装置、5 オペレータ、6 ネットワーク、7 牽引車両制御装置、8 牽引車両、9 前方カメラ、10 後方カメラ、11 カプラ、12 被牽引車両、13 キングピン、14 被牽引車両、15 後方カメラ、16 ヒッチレシーバ、17 被牽引車両、18 トレーラヒッチ、19 操縦検出部、20 入力検出部、21 送信部、22 受信部、23 軌道演算部、24 画像生成部、25 牽引車両、26 被牽引車両、27 被牽引車両、28 被牽引車両、29 被牽引車両、30 ヒッチ点、31 牽引車両、32 ドーリ、33 被牽引車両、34 荷台、35 ドーリ、36 被牽引車両、37 荷台、38 受信部、39 指令値変換部、40 画像取得部、41 センサ取得部、42 自動制御部、43 送信部、44 設定部、45 センサ、46 アクチュエータ、47 予測軌道、48 前方画像、49 遠隔操縦装置、50 認識部、51 遠隔操縦装置、52 偏差計算部、53 偏差情報、54 遠隔操縦装置、55 通信遅延計測部、56 位置予測部、57 予測位置、58 予測軌道、59 予測軌道、60 処理回路、70 プロセッサ、71 メモリ。
【要約】
本開示は、自動制御による連結作業が失敗した場合であっても現場に補助員を派遣することなく牽引車両と被牽引車両との連結作業を行うことが可能な遠隔操縦装置および遠隔操縦システムを提供することを目的とする。本開示による遠隔操縦装置は、予め定められた条件を満たした場合に遠隔操縦の制御に切り替えられた牽引車両に対するオペレータの操縦を操縦量として取得する操縦検出部と、遠隔操縦を行うか否かの設定を含む遠隔操縦情報を受け付ける入力検出部と、操縦量および遠隔操縦情報を送信する送信部と、牽引車両の後方の後方画像情報と、内界センサが検出した牽引車両のセンサ情報とを受信する受信部と、操縦量、センサ情報、および牽引車両の運動モデルに基づいて、牽引車両における予め定められた部分の予測軌道を軌道情報として演算する軌道演算部と、後方画像情報に軌道情報を重畳してオペレータに提示する提示画像を生成する画像生成部とを備える。