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特許7668973除菌・ウイルス不活化装置、これを搭載した空気調和機、および、除菌・ウイルス不活化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】除菌・ウイルス不活化装置、これを搭載した空気調和機、および、除菌・ウイルス不活化方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/20 20210101AFI20250418BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20250418BHJP
   F24F 11/79 20180101ALI20250418BHJP
   F24F 1/0071 20190101ALI20250418BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20250418BHJP
   F24F 8/30 20210101ALI20250418BHJP
   F24F 8/26 20210101ALI20250418BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20250418BHJP
   A61L 9/22 20060101ALI20250418BHJP
   F24F 120/14 20180101ALN20250418BHJP
【FI】
F24F8/20
F24F8/80 130
F24F11/79
F24F1/0071
F24F11/64
F24F8/30
F24F8/26
A61L9/00 Z
A61L9/22
F24F120:14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024563059
(86)(22)【出願日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2024018345
【審査請求日】2024-10-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 亜加音
(72)【発明者】
【氏名】清水 彰則
(72)【発明者】
【氏名】生沼 学
(72)【発明者】
【氏名】弓削 政郎
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/047508(WO,A1)
【文献】特開2019-150564(JP,A)
【文献】特開2016-114283(JP,A)
【文献】特許第7471518(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 8/20
F24F 8/80
F24F 11/79
F24F 1/0071
F24F 11/64
F24F 8/30
F24F 8/26
A61L 9/00
A61L 9/22
F24F 120/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が出入りする対象空間内における微生物が付着した箇所である微生物付着部を特定する微生物付着部特定部と、
前記微生物の除菌処理または不活化処理を行う特定物質を発生する物質発生部と、
前記対象空間内に空気流を発生させ、前記特定物質を対象微生物に向けて輸送する輸送部と、
を備え、
前記微生物付着部特定部は、動体ではなく、前記対象空間内の前記箇所である前記微生物付着部を特定するように構成してあり、
前記対象空間内の除菌処理または不活化処理を行うものであり、
前記微生物付着部特定部は、
前記微生物を構成する物質が発する蛍光により前記微生物を検知し、
前記微生物が付着した期間である微生物付着期間において、前記微生物付着期間の開始時に前記微生物が検知された箇所と、前記微生物付着期間の終了時に前記微生物が検知された箇所と、の差分解析の結果により、前記微生物付着部を特定する
除菌・ウイルス不活化装置。
【請求項2】
前記微生物付着部特定部は、
250nm~450nmの波長の光を照射する発光部と、
前記光から生じた蛍光を受信する受光部と、
を備え、
前記微生物の発光を検知する
請求項に記載の除菌・ウイルス不活化装置。
【請求項3】
前記微生物付着部特定部は、
前記対象空間が消灯された後に前記微生物の発光の検知を行う
請求項1または請求項2に記載の除菌・ウイルス不活化装置。
【請求項4】
前記対象空間内の人の在不在に関する情報を取得する感知部をさらに備え、
前記微生物付着部特定部は、
前記感知部で取得された人の在室前後における前記微生物が検知された箇所の差分解析の結果より、前記微生物付着部を特定する
請求項1または請求項2に記載の除菌・ウイルス不活化装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の除菌・ウイルス不活化装置と、
前記対象空間の空気と、内部を流れる冷媒とを熱交換させる熱交換器と、
を備え、
前記熱交換器を通過して温調された空気流であって、前記特定物質を含む空気流が、前記輸送部により前記微生物付着部に輸送される
空気調和機。
【請求項6】
人が出入りする対象空間内における前記人が触った、または、飛沫物が飛散した箇所である微生物付着部を特定する微生物付着部特定工程と、
空気流を発生させる輸送部により、特定物質を発生させる物質発生部で発生された前記特定物質を、前記微生物付着部に輸送する除菌・不活化工程と、
を備え、
前記微生物付着部特定工程は、動体ではなく、前記対象空間内の前記箇所である前記微生物付着部を特定するように構成してあり、
前記対象空間内の除菌処理または不活化処理を行うものであり、
前記微生物付着部特定工程は、
微生物を構成する物質が発する蛍光により前記微生物を検知し、
前記微生物が付着した期間である微生物付着期間において、前記微生物付着期間の開始時に前記微生物が検知された箇所と、前記微生物付着期間の終了時に前記微生物が検知された箇所と、の差分解析の結果により、前記微生物付着部を特定する
除菌・ウイルス不活化方法。
【請求項7】
前記微生物付着部特定工程は、
前記対象空間内への人の入室が感知されると開始され、前記人の退室が感知されると終了され、
前記除菌・不活化工程は、
前記人の退室が感知されると開始される
請求項に記載の除菌・ウイルス不活化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、除菌・ウイルス不活化装置、これを搭載した空気調和機、および、除菌・ウイルス不活化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌、カビ、または、ウイルスなどを除菌・不活化できる物質として、イオン、オゾンガス、次亜塩素酸水および二酸化塩素などが存在する。イオンまたはオゾンガスは、放電により発生する。次亜塩素酸水または二酸化塩素は、電気分解または薬剤調合などで生成される。これらの特定物質がファンにより室内に送り込まれることにより、室内の空気中に浮遊する細菌を除菌したり、ウイルスを不活化したりできる。
【0003】
特許文献1は、放電により発生するイオンを室内の所定領域に放出し、その領域内を除菌する技術を提案している。特許文献1は、軌跡検知部により空間内に配置された什器において、人が接触した部分である移動軌跡部を検知し、室内に人がいない間にその移動軌跡部を除菌している構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2023/047508号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、移動軌跡部を感染リスクが高い場所として、その部分を重点的に除菌・ウイルス不活化処理することで、効率的に室内の除菌を実施している。しかし、感染リスクが発現する場所は、室内における細菌、カビ、ウイルスなどの微生物が存在する箇所であるため、飛沫物飛散場所なども含み、人が接触した部分でだけではない。このため、特許文献1では、感染リスクが発現する微生物が存在するすべての箇所を特定し、什器などに付着する微生物を十分に除菌ウイルス不活化できない。
【0006】
本開示は、対象空間内の除菌またはウイルスの不活化を効率的に行うことが可能な除菌・ウイルス不活化装置、これを搭載した空気調和機、および、除菌・ウイルス不活化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る除菌・ウイルス不活化装置は、人が出入りする対象空間内における微生物が付着した箇所である微生物付着部を特定する微生物付着部特定部と、前記微生物の除菌処理または不活化処理を行う特定物質を発生する物質発生部と、前記対象空間内に空気流を発生させ、前記特定物質を対象微生物に向けて輸送する輸送部と、を備え、前記微生物付着部特定部は、動体ではなく、前記対象空間内の前記箇所である前記微生物付着部を特定するように構成してあり、前記対象空間内の除菌処理または不活化処理を行うものであり、前記微生物付着部特定部は、前記微生物を構成する物質が発する蛍光により前記微生物を検知し、前記微生物が付着した期間である微生物付着期間において、前記微生物付着期間の開始時に前記微生物が検知された箇所と、前記微生物付着期間の終了時に前記微生物が検知された箇所と、の差分解析の結果により、前記微生物付着部を特定するものである。
【0008】
また、本開示に係る空気調和機は、上記の除菌・ウイルス不活化装置と、前記対象空間の空気と、内部を流れる冷媒とを熱交換させる熱交換器と、を備え、前記熱交換器を通過して温調された空気流であって、前記特定物質を含む空気流が、前記輸送部により前記微生物付着部に輸送されるものである。
【0009】
また、本開示に係る除菌・ウイルス不活化方法は、人が出入りする対象空間内における前記人が触った、または、飛沫物が飛散した箇所である微生物付着部を特定する微生物付着部特定工程と、空気流を発生させる輸送部により、特定物質を発生させる物質発生部で発生された前記特定物質を、前記微生物付着部に輸送する除菌・不活化工程と、を備え、前記微生物付着部特定工程は、動体ではなく、前記対象空間内の前記箇所である前記微生物付着部を特定するように構成してあり、前記対象空間内の除菌処理または不活化処理を行うものであり、前記微生物付着部特定工程は、微生物を構成する物質が発する蛍光により前記微生物を検知し、前記微生物が付着した期間である微生物付着期間において、前記微生物付着期間の開始時に前記微生物が検知された箇所と、前記微生物付着期間の終了時に前記微生物が検知された箇所と、の差分解析の結果により、前記微生物付着部を特定するものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る除菌・ウイルス不活化装置、これを搭載した空気調和機、および、除菌・ウイルス不活化方法は、微生物付着部を特定する微生物付着部特定部を備え、微生物が付着した箇所である微生物付着部に対し、除菌処理または不活化処理が行われる。このため、感染リスクの高い場所に対し、集中的且つ効率的に処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置の外観図である。
図2】実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置の概略断面図である。
図3】実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置の利用形態を示す模式図である。
図4】実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置のグリル体を示す側面図である。
図5】実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置の機能ブロック図である。
図6】イオン濃度と除菌・不活化効果との関係を示すグラフである。
図7】実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置の微生物付着部特定運転を説明する模式図である。
図8】実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置の除菌・不活化運転を説明する模式図である。
図9】実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置の制御フローチャートである。
図10】実施の形態1の変形例に係る除菌・ウイルス不活化装置の利用形態を示す模式図である。
図11】実施の形態2に係る除菌・ウイルス不活化装置の利用形態を示す模式図である。
図12】実施の形態2に係る除菌・ウイルス不活化装置の機能ブロック図である。
図13】実施の形態2に係る除菌・ウイルス不活化装置の制御フローチャートである。
図14】実施の形態3に係る除菌・ウイルス不活化装置の機能ブロック図である。
図15】実施の形態4に係る除菌・ウイルス不活化装置の制御フローチャートである。
図16】実施の形態4に係る除菌・ウイルス不活化装置が搭載された空気調和機の概略断面図である。
図17】実施の形態4に係る除菌・ウイルス不活化装置が搭載された空気調和機の下面図である。
図18】実施の形態4に係る除菌・ウイルス不活化装置が搭載された空気調和機による除菌・不活化運転を説明する模式図である。
図19】実施の形態4に係る除菌・ウイルス不活化装置が搭載された空気調和機による制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の各実施の形態に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、一の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。また、図面に示す構成は、本開示の構成の一例を示すものであり、図面に示された構成によって本開示が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これらは説明のためのものであって、本開示を限定するものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0013】
実施の形態1.
実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置1は、例えば、事務所、または、オフィス等での空間で使用されるものである。
【0014】
始めに、菌またはウイルスの感染経路について説明する。本開示において除菌または不活化の対象となるのは、病原性微生物を含む微生物であって、細菌またはウイルスなどである。感染経路には、飛沫感染、接触感染および空気感染などがある。飛沫感染とは、咳またはくしゃみなどで飛び散った唾液などの「飛沫(ひまつ)」に含まれた細菌またはウイルスが、口または鼻の粘膜に触れて感染することである。接触感染とは、感染者がくしゃみまたは咳を手で押さえたあと、その手で触れた周りのものを他の人が触り、口または鼻の粘膜を通じて感染することである。
【0015】
空気感染とは、空気中に存在する飛沫よりもさらに小さな細菌またはウイルスからなる微粒子、具体的には、咳またはくしゃみで生成した微粒子、または、飛沫の水分が蒸発して生成する粒子を通じて感染することである。つまり、空気感染とは、飛沫よりも小さな微粒子体からなる細菌またはウイルスによる感染のことである。飛沫よりもさらに小さな細菌またはウイルスからなる微粒子には、咳またはくしゃみ時に、もともと小さな微粒子として生成した粒子もあれば、空気中に飛散した飛沫において水分が蒸発して生成する粒子もある。
【0016】
また、飛沫は重いため、咳またはくしゃみの後、飛沫は速やかに床面に落下する。また、マスクの利用により飛散は防止できる。空気中に存在する細菌またはウイルスは、床面への落下、壁への付着、また乾燥による失活などが原因で失活しやすい(篠原 直秀,新型コロナウイルスの感染対策に有用な室内環境に関連する研究事例の紹介(第一版),室内環境学会(2020))。
【0017】
その一方で、人が接触したり、人から発せられる飛沫が落下したりして室内の什器91(図3参照)などに付着した細菌またはウイルスは、空気中に存在する細菌またはウイルスよりも少なくとも2倍以上の時間、活性を保つことが確認されている。これらのことより、細菌またはウイルスからの感染リスクを低減するためには、接触感染を防止する技術、具体的には、室内の什器91などに付着した細菌を除菌またはウイルスを不活化する技術が重要と考えられ、現在、これらの技術が求められている。なお、什器91とは、所定空間内に存在する器具および備品を示し、一般家庭などの室内空間ではテーブルおよびカウンターを指し、オフィスなどの室内空間では作業台、机および棚をはじめとする空間内に存在する日常生活で使用する道具のことを指す。
【0018】
図1は、実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置1の外観図である。図2は、実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置1の概略断面図である。図3は、実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置1の利用形態を示す模式図である。以下において、上、下といった方向は図1図3に示す除菌・ウイルス不活化装置1の設置姿勢を基準とする。
【0019】
除菌・ウイルス不活化装置1は、細菌の除菌またはウイルスの不活化の対象空間S内の天井など高所に設置され、除菌処理または不活化処理を行うための特定物質を対象空間Sに輸送する装置である。対象空間Sは、人が出入りする閉じた空間、たとえばパーティションで仕切られ、入室退室用のドア90のある空間であり、たとえばオフィスなどである。対象空間S内には、作業机またはいすなどの什器91が配置されている。
【0020】
[除菌・ウイルス不活化装置の構造]
図1図3に示すように、除菌・ウイルス不活化装置1の筐体1aは、第1ケース2と、第1ケース2の上方に着脱自在に取り付けられた第2ケース3と、第1ケース2の下方に着脱自在に取り付けられたグリル体4と、を有する。筐体1aの上端部には、天井などの高所に取り付けられている固定治具部に接続される口金7が取り付けられている。除菌・ウイルス不活化装置1は、固定治具部に口金7が接続されることにより、口金7を介して商用電力が電源装置に供給されるようになっている。筐体1aの外壁であって、図1においてグリル体4の外壁には、除菌・ウイルス不活化装置1の運転状態を表示する表示部36が取り付けられている。
【0021】
除菌・ウイルス不活化装置1はさらに、第1ケース2内の微生物付着期間受信部81と通信可能に接続された微生物付着期間入力部82を有する。微生物付着期間入力部82は、筐体1aとは別体に配置されている。
【0022】
第1ケース2は、円筒状の筒状部21と、筒状部21の上端開口を覆う環状の上面部23とを有する。上面部23には、外部から空気を吸気する吸気口23aが周方向に間隔を空けて複数形成されている。吸気口23aの内面側には、フィルタ(図示せず)が着脱可能に設けられている。第1ケース2内には、吸気口23aに連通する筒状の風路形成部材27が固定されており、風路形成部材27の内部が通風路24となっている。通風路24の上流側は、吸気口23aに連通している。通風路24の下流側は、グリル体4内に位置し、通風路24の出口から流出した空気流は、グリル体4内に流入し、グリル体4のグリル4aから外部に吹出されるようになっている。なお、筐体1aの外形形状は上記の形状に限られたものではなく、第1ケース2の筒状部21が断面矩形状の筒状に構成されるなど、外形形状は任意である。
【0023】
第1ケース2の上面部23には、第1ケース2を第2ケース3に接続するためのコネクタ25が設けられている。コネクタ25は、第1ケース2の一部を構成する。第1ケース2は、コネクタ25に設けられたフック部25aが第2ケース3の下端部に設けられた係止部26に係止されることで第2ケース3に着脱可能に取り付けられている。
【0024】
第2ケース3は、グリル体4から吹出される空気流の向きを変更するための部分であり、可撓性を有する蛇腹状の部材で構成されている。図1は、グリル体4から吹出される空気流の向きが、垂直下向きから斜め方向に変更された状態を示している。
【0025】
グリル体4は、第1ケース2の通風路24の出口側の開口を覆うように配置され、通風路24の中心軸上に位置している。グリル体4は、第1ケース2の内壁に支持されている。グリル体4は下部にグリル4aを備えている。グリル4aは、輸送部33の一部を構成する部分である。
【0026】
筐体1aの内部には、微生物付着期間受信部81と、微生物付着部特定部83と、物質発生部32と、輸送部33と、物質計測部34と、メイン基板35と、が配置されている。以下、除菌・ウイルス不活化装置1を構成する各構成部について説明する。
【0027】
[微生物付着期間入力部82および微生物付着期間受信部81]
微生物付着期間入力部82は、微生物が付着する時間帯、および、除菌・ウイルス不活化処理する時間を除菌・ウイルス不活化装置1に送信する部分である。微生物が付着する時間帯は、微生物付着が開始する時間から、微生物付着が終了する時間までであり、この期間が微生物付着期間である。微生物付着期間は、人50が対象空間Sに存在しており、人50が什器91などに接触し、または、飛沫物が飛散し得る時間、すなわち、人50が対象空間Sに滞在する期間と想定される。
【0028】
微生物付着期間入力部82は、例えば、タイマーコントローラ基盤で構成されている。微生物付着期間入力部82には、微生物付着が開始する時間、微生物付着が終了する時間、または、処理する時間を入力することができる。微生物付着期間入力部82は、筐体1aの内部に設けられている微生物付着期間受信部81と通信可能である。微生物付着期間入力部82で設定された微生物付着が開始する時間、微生物付着が終了する時間、または、処理する時間は、微生物付着期間受信部81に送信することができる。微生物付着期間入力部82と微生物付着期間受信部81との通信には、無線LAN、ブルートゥース(登録商標)またはZigBee(登録商標)などの無線通信が用いられる。なお、微生物付着期間入力部82は、リモコン形状で対象空間S内を持ち運びできる形状であってもよく、また、対象空間S内に備え付け状態に担っていてもよい。さらに、微生物付着期間入力部82は、除菌・ウイルス不活化装置1に装備されていてもよい。
【0029】
[微生物付着部特定部83]
微生物付着部特定部83は、対象空間S内における微生物が付着する場所である微生物付着部Mの特定を行う。微生物付着部特定部83は、グリル体4の下端の中央部に配置されている。微生物付着部特定部83の構成および動作の詳細については以下で改めて説明する。
【0030】
[物質発生部32の説明]
物質発生部32は、人50が保有する病原性微生物を含む微生物を殺菌または不活化できるイオン、オゾンガス、二酸化塩素または次亜塩素酸水などの特定物質を発生させる。物質発生部32は、風路形成部材27の内壁に取り付けられている。物質発生部32は、例えば、イオンを発生する放電機構を備える。放電機構は、第1ケース2内の通風路24に面するように配置されている。放電機構は、放電部と、放電部を覆う電極カバーと、がケース内に配置されてユニット化された構成を有する。さらに、放電機構は、高電圧発生回路などを搭載した制御回路基板を内蔵する。制御回路基板には、外部から電力を供給するコネクタが設けられている。
【0031】
放電部は、放電電極と接地電極とを有する。放電電極はワイヤ電極で構成され、設置電極は板電極で構成されている。放電部は、複数のワイヤ電極と複数の板電極とが交互に配置された構成を有する。放電部には高電圧発生回路から高電圧が供給される。高電圧発生回路は、商用電源の電力を受電する受電部を有し、コネクタおよび電線を通じて受電部で受電した電力を高電圧に変換して放電部に供給する。放電部は、高電圧発生回路から供給された高電圧を放電電極と接地電極との間にかけることで放電を起こし、空気中にイオンが発生させる。放電部は、ここでは放電電極がワイヤ電極で構成され、設置電極が板電極で構成されているとしたが、これは一例に過ぎず、放電電極および接地電極ともに、ワイヤ電極、針電極、板電極およびブラシ電極のいずれかで形成されていてもよい。
【0032】
[輸送部33]
輸送部33は、直進性および指向性の高い空気流を発生させる。輸送部33は、空気流を発生させる送風装置37と、空気流に直進性および指向性を与えるグリル4aと、第1ケース2を駆動する駆動装置39と、を備えている。駆動装置39は、第1ケース2を、グリル4aで直進性および指向性の与えられた空気流が微生物付着部特定部83に向かい輸送されるように駆動する。
【0033】
(送風装置37)
送風装置37は、送風用のファンと、ファンを駆動するファンモーターとを備える。ファンは、通風路24の出口側に配置され、通風路24の中心軸上に位置するように第1ケース2の内壁に支持されている。ファンには、大風量の空気流を発生させるため、軸流式のプロペラファンが採用されている。また、ファン用のファンモーターには、ACコンデンサモーターが採用されている。送風装置37においてファンが駆動されると、第1ケース2の周囲の空気が吸気口から半径方向に第1ケース2内に吸い込まれて通風路24の入口に流入する。通風路24の入口に流入した空気流は、半径方向の流れから軸方向の流れに向きを変える。そして、通風路24を軸方向に流れた空気は、通風路24の出口からグリル4aを介して筐体1a外に吹出される。
【0034】
送風装置37は、通風路24内において物質発生部32の下流側に配置されている。これにより、物質発生部32で発生した特定物質が送風装置37のファン内で空気と混合し、空気中のイオン濃度が均一化された状態で筐体1a外に吹出される。
【0035】
(グリル4a)
図4は、実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置1のグリル体4を示す側面図である。図4に示すように、グリル4aは、グリル体4が有する送風口5に設けられている。グリル4aは、渦巻状の複数のフィン6を有する。グリル4aは、複数のフィン6の渦巻きの中心部Oに近い内端部6aが、送風口5に連続するフィン6の外端部6bより送風方向に突出している構造を備える。換言すると、グリル4aは、フィン6の外端部6bに比べてフィン6の内端部6aが送風方向に突出している。内端部6aとは、渦巻きの中心部Oに近い内端側であり、内端近くを含む。外端部6bとは、送風口5に連続する外端側の部分である。
【0036】
この構成により、グリル4aは、通風路24の出口から流出してグリル体4に流入した空気流を中央に集めて収束させ、送風方向の中央に於ける風速を向上させることができる。また、グリル4aは、送風口5から吹出されるスパイラル空気流の到達距離を伸長できる。以上により、グリル4aは、送風装置37で発生した空気流に直進性および指向性を与えることができる。
【0037】
(駆動装置39)
図1および図2の説明に戻る。駆動装置39は、グリル4aから吹き出される空気流が微生物付着部特定部83で検知された微生物付着部Mに向かうように、第1ケース2を駆動してグリル4aの向きを変更し、空気流の送風方向を制御する。駆動装置39が第1ケース2を駆動することで、蛇腹状に構成された第2ケース3が変形して送風方向が変化する。駆動装置39は、直交する2軸に対して駆動することができるモーター(図示は省略)を備えている。モーターは、一般的なサーボモーター、あるいは、ステッピングモーターである。これらのモーターは、第1ケース2を支持する軸の角度を制御し、また、第1ケース2を支持する軸を特定の位置で停止することができる。このため、駆動装置39は、送風口5に設けられたグリル4aを、微生物付着部Mに向けて正確に停止させることができる。
【0038】
輸送部33は、以上の構成を有することで、送風装置37により発生した空気流をグリル4aによって直進性および指向性を高めた空気流にし、微生物付着部Mを狙って輸送することができる。
【0039】
[物質計測部34]
物質計測部34は、空気中の放電生成物を計測するイオンセンサーを備える。イオンセンサーは、通風路24における空気の流れ方向において物質発生部32の下流側に配置されている。イオンセンサーには、空気中のプラスイオンまたはマイナスイオンを計測する同軸二重円筒式のセンサーが採用されている。これにより、イオンセンサーは、プラスイオンとマイナスイオンとを同時に計測できるとともに、10万~300万(ions/cm)といった広い濃度範囲で、精度高く計測することができる。物質計測部34の計測結果は、制御装置40に出力される。なお、物質計測部34は、物質発生部32で発生する特定物質がオゾンである場合は、空気中のオゾンを計測するオゾンガスセンサーで構成される。
【0040】
[表示部36]
表示部36は、情報を発信するための電子部品として、グリル体4の外壁面に取り付けられている。表示部36は、各種の情報を報知する発光ダイオード(LED)などで構成されている。表示部36は、発光ダイオードの点灯状態によって除菌・ウイルス不活化装置1の動作状態を表示する。表示部36は、発光ダイオードの発光色と、点滅または点灯といった点灯形式とを適宜組み合わせて点灯状態を変えることができる。表示部36は、発光ダイオードの点灯状態を変えることで、微生物付着部Mを特定する動作中、除菌・ウイルス不活化処理中であることを表示したり、異常を報知したりできる。
【0041】
[メイン基板35]
メイン基板35には、除菌・ウイルス不活化装置1の全体を制御する制御装置40(図5参照)と、各部に電源を供給する電源装置などとが搭載されている。メイン基板35は、第1ケース2の風路形成部材27の側壁に固定されている。制御装置40は、マイクロプロセッサユニットなどにより構成され、CPU、RAMおよびROMなどを備えており、ROMには制御プログラムなどが記憶されている。
【0042】
制御装置40は、微生物付着期間入力部82からの信号である微生物付着が開始する時間、微生物付着が終了する時間、および、処理する時間の結果に基づいて、微生物付着部特定部83、物質発生部32、送風装置37および駆動装置39を制御する。制御装置40は、微生物付着部特定運転と、除菌・不活化運転とを行う。これらの運転については改めて説明する。また、制御装置40は、物質計測部34の計測結果に基づいて表示部36を制御する。具体的には、制御装置40は、物質計測部34の計測結果に基づいて、特定物質が予め設定された設定濃度以下であることを検知すると、物質計測部34の動作を停止させて表示部36を点灯させる。制御装置40は、物質計測部34に異常が発生すると物質計測部34の異常を示す点灯状態となるように表示部36を制御する。これにより、除菌・ウイルス不活化装置1は異常の発生を報知できる。
【0043】
図5は、実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置1の機能ブロック図である。図5に示すように、制御装置40には、微生物付着部特定部83、物質計測部34、送風装置37、駆動装置39、物質計測部34、および表示部36がリード線により電気的に接続されている。また、制御装置40には、微生物付着期間受信部81がリード線により電気的に接続されている。微生物付着期間受信部81は、無線LAN、ブルートゥース(登録商標)またはZigBee(登録商標)などの無線通信を行う機能を有し、微生物付着期間入力部82と無線通信を行う。
【0044】
[微生物付着期間入力部82からのデータ取得]
除菌・ウイルス不活化装置1は、微生物付着期間受信部81を通じて微生物付着期間入力部82と無線通信を行うことで、微生物付着が開始する時間、微生物付着が終了する時間、および処理時間データを取得する。
【0045】
[微生物付着部特定部83の構成および特定方法]
微生物付着部特定部83は、対象空間S内における微生物が付着する場所である微生物付着部Mの特定を行う部分である。微生物が付着する場所とは、人50の手が触れたり、飛沫物が飛んだりした場所であり、細菌・カビ・ウイルスなどが付着し、接触すると感染する可能性のある物質が存在する場所のことである。
【0046】
除菌・ウイルス不活化装置1は、細菌またはウイルスを蛍光観察により特定する。細菌またはウイルスを構成するアミノ酸類は、280nm近傍にピークを有する励起光が照射された場合に、320nm近傍にピークを有する蛍光を発する。この作用を利用して、細菌またはウイルスの有無は、励起光の波長と蛍光の波長との組み合わせに基づいて、細菌またはウイルス中のアミノ酸類を蛍光発色させることで判定することができる。
【0047】
微生物付着部特定部83は、発光部831と、受光部832と、受光部832で撮影したデータに基づいて微生物付着部Mを特定する画像処理部833と、を備えている。
【0048】
(発光部831の構成)
発光部831は、細菌・カビ・ウイルスなどに励起光を照射するためのものである。発光部831は、半導体レーザ若しくはLED(Light Emitting Diode)などの固体発光素子、またはハロゲンランプなどの放電ランプを備える。発光部831は、すなわち、光源部である。発光部831は、光出射側に分光素子を有してもよく、特定の波長帯域の光を励起光として出射してもよい。
【0049】
励起光の波長は、例えば、220nm以上550nm以下の範囲であるが、これに限定されない。一例として、励起光は、紫外光であり、その波長は250nm以上350nm以下である。励起光は、パルス光であるが、連続光であってもよい。発光部831は、例えば、280nm近傍にピークを有する励起光を照射するUV-LEDを用いることが望ましい。このように発光部831が設定されることで、細菌・ウイルスの発光強度が強くなるため、感度を高くすることができる。発光部831は、例えば、400nm近傍にピークを有する励起光を照射する可視光領域のLEDを用いることが望ましい。可視光領域のLEDは安価で出力が高いため、安価に感度を高くすることができる。
【0050】
(受光部832の構成)
受光部832は、発光部831から出射された励起光が細菌・ウイルス中のアミノ酸に照射された場合に当該アミノ酸から発生する蛍光を受光するためのものである。受光部832は、対象空間S内を撮影する撮影部832aと、撮影部832aに設けられた分光部832bとを備える。撮影部832aは、画像データを取得できるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーまたはCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーなどの固体撮像素子を備える。撮影部832aは、CCDを用いることが望ましい。この場合、微弱な発光でも感度よく撮影することができる。
【0051】
分光部832bは、入射する光を特定の波長に分光する。撮像部の光入射側に設けることで、撮影部832aに特定の波長の光のみを撮影部832aに受光させ、撮影感度を高めることができる。当該特定の波長とは、細菌・ウイルス中のアミノ酸に照射された場合に当該アミノ酸から発生する蛍光のことを指す。細菌・ウイルス中のアミノ酸からの蛍光波長は、励起光の波長よりも長波長側となり、250nm以上1000nm以下の範囲程度となるがこれに限定されない。発光部831により、例えば、280nm近傍にピークを有する励起光を照射された場合、細菌・ウイルスからの蛍光は320nm近傍の光となるため、これらを分光する分光部832bを選択するのが望ましい。
【0052】
分光部832bは、例えば回折格子、プリズムまたはバンドパスフィルタを備えることが望ましい。分光部832bとして、バンドパスフィルタを用いた場合、回折格子やプリズムに比べ、小さくて薄いため、受光部832を小型化することができる。なお、撮影部832aは、分光部832bを備えていなくてもよい。
【0053】
(画像処理部833の構成)
画像処理部833は、演算制御部833aと、第1記憶部833bと、第2記憶部833cと、を備えている。演算制御部833aは、撮影部832aが撮像して生成した画像データを演算処理する。演算制御部833aは、FPGA(Field Programmable Gate Array)と、DSP(Digital Signal Processor)と、を用いて構成される。演算制御部833aは、DSPの代わりに、高度イメージプロセッサなどのデジタル画像処理を高速に処理することが可能な半導体素子を用いて構成されていてもよい。第1記憶部833bは、背景データを記憶する部分であり、微生物付着が開始する時に撮影部832aが撮像して生成した画像データを記憶する。第2記憶部833cは、微生物付着が終了する時に撮影部832aが撮像して生成した画像データを記憶する。画像データを高速に演算制御部833aに転送できるように、第1記憶部833bおよび第2記憶部833cは、SDRAM(Synchronous DRAM)などの不揮発性メモリで構成されるのが望ましい。
【0054】
[動作方法]
演算制御部833aは、第2記憶部833cに記憶された画像データと、第1記憶部833bに記憶された画像データとを用いて画像差分処理を行う。第2記憶部833cに記憶された画像データは、微生物付着が終了する時に撮影部832aが撮像して生成した画像データである。第1記憶部833bに記憶された画像データは、微生物付着が開始する時に撮影部832aが撮像して生成した画像データまたは背景データである。
【0055】
画像差分処理は、微生物付着期間前後の画像データを比較し、背景データを差し引く形で、画素ごとの差分を取った差分画像を生成し、生成した差分画像を、予め設定した閾値を用いて2値化処理して2値化画像を生成し、差分解析を行う処理である。微生物付着終了時の画像データと、微生物付着開始時の画像データまたは背景データとの間で変化のない画素は、その画素における差分の輝度値が、予め設定した閾値を下回る。一方、微生物付着終了時の画像データと、微生物付着開始時の画像データまたは背景データとの間で変化のある画素は、その画素における差分の輝度値が、予め設定した閾値を上回る。微生物付着期間前後で変化のある画素は、つまり、微生物付着期間内に細胞・ウイルスなどが付着しアミノ酸が発光する部分の画素である。よって、演算制御部833aは、微生物付着終了時の画像データと微生物付着開始時の画像データまたは背景データとの差分画像を、閾値を用いて2値化処理する。これにより、演算制御部833aは、アミノ酸が発光する部分、すならち、微生物付着期間内に細胞・ウイルスなどが付着した部分を抽出する。
【0056】
[上記のように動作させる根拠および効果]
細菌またはウイルスを構成するアミノ酸類は、280nm近傍にピークを有する励起光が照射された場合に、320nm近傍にピークを有する蛍光を発する。細菌またはウイルスは、アミノ酸が存在するかぎり、蛍光を発する。つまり、死菌や不活化されたウイルスであっても発光する。細菌・ウイルスが付着すると、細菌・ウイルスは、空間から除去されない限り、つまり、什器91の上に付着したのであれば、拭き取られない限り、蛍光を発し続ける。
【0057】
微生物付着部特定部83は、微生物付着期間を設け、微生物付着終了時の画像データに対して、微生物付着開始時の画像データまたは背景データを差分処理する。これより、微生物付着期間に付着した細菌・ウイルスなどの微生物のみをターゲットとして微生物付着部Mの画像データを取得し、その画像データに基づき、除菌・ウイルス不活化することで、効率的に除菌・ウイルス不活化処理を行うことができる。微生物付着期間としては、対象空間Sにおいて、什器91などの清掃が終了した時を微生物付着開始時とし、人50が対象空間Sを使用し終えた時を微生物付着終了時として設定してもてよい。このように設定することで、清掃後に対象空間Sを使用したことにより付着した微生物のみをターゲットとして、除菌・ウイルス不活化することができ、効率的に除菌・ウイルス不活化処理を行うことができる。
【0058】
対象空間Sの什器91などを清掃し終えた時を微生物付着開始時とした場合、微生物付着開始時の画像データまたは背景データは、微生物による汚れが取り除かれた状態での画像であるため、いつ取得しても同じ画像データとなる。そのため、微生物付着開始時の画像データまたは背景データは、清掃後の画像データを取得し、繰り返し使用してもよい。すなわち、微生物付着部特定部83は、微生物付着期間の微生物付着終了時の画像データのみを取得し、第1記憶部833bに記憶された前もって取得しておいた清掃後の画像データまたは背景データを差分処理すればよい。
【0059】
これにより、微生物付着期間に付着した、つまり、清掃後に付着した細菌・ウイルスなどの微生物のみをターゲットとして除菌・ウイルス不活化を行うことができる。微生物付着開始時の画像データまたは背景データをあらかじめ取得できるため、開始時に画像データを取得する必要がなくなり、画像処理時のバグが発生しにくいという効果が得られる。また、第1記憶部833bにおいてデータの消去および書き込みが繰り返し行われることを抑制することができる。
【0060】
なお、除菌・ウイルス不活化装置1は、微生物付着が終了する時の画像データを記憶する第2記憶部833cを備えているが、演算制御部833aがデータの受信後すぐさま画像差分処理を行うよう制御する構成であれば、第2記憶部833cを設ける必要はない。第2記憶部833cを設けないことにより、除菌・ウイルス不活化装置1をよりコンパクトな構成にすることができる。
【0061】
[除菌・不活化効果向上メカニズム]
次に、除菌・ウイルス不活化装置1による対象空間S内の什器91に対する効率的な細菌の除菌またはウイルスの不活化について説明する。一般的に、特定物質は、ある閾値以上の濃度になると、細菌の除菌またはウイルスを不活化する効果を発現する。以下、細菌の除菌またはウイルスを不活化する効果を、除菌・不活化効果という。特定物質は、濃度がさらに高くなると急激に殺菌効果が向上する。
【0062】
図6は、イオン濃度と除菌・不活化効果との関係を示すグラフである。図6において、横軸は、イオン濃度(ions/cm)を示し、縦軸は微生物の生存率(-)を示している。イオン濃度が103(ions/cm)以上になると除菌・不活化効果が現れ、さらにイオン濃度が高くなるに連れ、除菌・不活化効果がより向上する。このため、物質発生部32は、イオン濃度が103(ions/cm)以上のイオンを発生させるようになっている。
【0063】
[動作説明]
除菌・ウイルス不活化装置1は、微生物付着部特定運転と、除菌・不活化運転とを行う。以下に、まずは微生物付着部特定運転について説明し、続いて除菌・不活化運転について説明する。
【0064】
(微生物付着部特定運転)
微生物付着部特定運転は、微生物付着期間入力部82からの微生物付着が開始する時間、および、微生物付着が終了する時間に従い、微生物付着期間内に、細菌・ウイルスなどの微生物が付着し、存在している場所を特定する運転である。
【0065】
図7は、実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置1の微生物付着部特定運転を説明する模式図である。図7に点線部で示すように、微生物付着部Mは、人50が接触し、または飛沫物が飛散した箇所である。微生物付着部特定運転では、まず、微生物付着期間入力部82において微生物付着が開始する時間、および、微生物付着が終了する時間に対する信号が入力される。その信号に従い、受光部832と発光部831とにより、微生物付着期間における微生物付着の開始時の画像データまたは背景データと、微生物付着の終了時の画像データとが取得される。その後、画像処理部833で、微生物付着終了時の画像データに対して、微生物付着開始時の画像データまたは背景データを差分処理することにより、微生物付着期間に付着した細菌・ウイルスなどの微生物付着部Mが特定される。除菌・ウイルス不活化装置1は、微生物付着部特定運転中であることを示す点灯形態で表示部36を点灯させる。これにより、除菌・ウイルス不活化装置1は、動作内容を報知することができる。
【0066】
(除菌・不活化運転)
除菌・不活化運転は、接触感染リスクの低減を目的として、対象空間S内の細菌の除菌またはウイルスの不活化を行う運転である。図8は、実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置1の除菌・不活化運転を説明する模式図である。図8に示すように、除菌・ウイルス不活化装置1は、対象空間Sから人50が退室した際に行われる除菌・不活化運転を実施し、物質計測部34で発生させた特定物質を微生物付着部Mに輸送する。除菌・不活化運転は、微生物付着期間入力部82から受信した処理時間が完了するまで行われる。
【0067】
除菌・ウイルス不活化装置1は、微生物付着部特定部83が微生物付着部Mを特定すると、速やかに、物質計測部34および輸送部33を駆動して除菌・不活化運転を開始する。具体的には、制御装置40は、物質計測部34を駆動して特定物質を発生させるとともに、送風装置37の運転を開始させることで、除菌・不活化運転を開始する。物質計測部34で発生した特定物質であるイオンは、送風装置37の運転により空気流とともに通風路24の出口に向かって運ばれる。同時に、制御装置40は、駆動装置39を制御して、グリル体4のグリル4aを微生物付着部特定部83が特定した微生物付着部Mの方向に向ける。
【0068】
これにより、物質計測部34で発生した特定物質が、グリル4aによって直進性および指向性の高められた空気流に乗って、対象空間S内の微生物付着部Mに向かって輸送される。除菌・ウイルス不活化装置1は、特定物質を対象空間S内に拡散させることなく、直進性および指向性の高い空気流に乗せて、微生物付着部Mを狙って特定物質を輸送できる。つまり、除菌・ウイルス不活化装置1は、細菌またはウイルスが多く存在する箇所を狙って特定物質を送り込むことができる。このため、除菌・ウイルス不活化装置1は、濃度が高い状態で微生物付着部Mに特定物質を送り届けることができ、微生物付着部Mに存在する細菌の除菌またはウイルスの不活化を効率的に行うことができる。
【0069】
また、除菌・ウイルス不活化装置1は、天井など対象空間S内の高い位置に配置されている。このため、除菌・ウイルス不活化装置1を床面に配置した場合に比べて、什器91表面において、人50が触れやすく、かつ飛沫物が飛散しやすい表面部分に容易に特定物質を輸送することができる。
【0070】
ところで、除菌・不活化運転中、物質計測部34は、物質発生部32から発生する特定物質を計測している。物質計測部34は特定物質の有無を検知し、特定物質が有る場合にはその濃度を計測している。制御装置40は、物質計測部34で計測された特定物質の濃度が予め設定された設定濃度以下であることを検知した場合、物質発生部32の動作を停止させて、特定物質の発生不足であることを示す点灯状態で表示部36を動作させる。これにより、除菌・ウイルス不活化装置1は、異常の発生を報知することができる。
【0071】
図9は、実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置1の制御フローチャートである。図9に示すように、除菌・ウイルス不活化装置1は、微生物付着部特定工程と除菌・不活化工程とにより、対象空間S内の細菌の除菌またはウイルスの不活化を実施する。制御装置40は、例えば、対象空間S内に設置された不図示のリモートスイッチが操作されることで、除菌・ウイルス不活化装置1の電源がオンされることで起動し、制御装置40による処理が開始される。処理が開始されると、制御装置40は、ステップS01において、微生物付着期間受信部81により、微生物付着期間入力部82からの信号を受信し、ステップS02に移行する。
【0072】
制御装置40は、ステップS02において、微生物付着期間入力部82において入力された微生物付着が開始する時間および微生物付着が終了する時間に従い、微生物付着部Mを特定する微生物付着部特定運転を開始させ、ステップS03に移行する。制御装置40は、ステップS03において、微生物付着開始時および終了時の画像データの取得までの時間のカウントを開始し、ステップS04に移行する。制御装置40は、ステップS04において、微生物付着開始時の画像データの取得信号を受け取ると、ステップS05に移行する。微生物付着開始時の画像データは、撮影部832aにより撮像されて生成され、画像処理部833の第1記憶部833bに記憶される。
【0073】
制御装置40は、ステップS05において、微生物付着終了時の画像データの取得信号を受信すると、ステップS06に移行する。微生物付着開始時の画像データは、撮影部832aにより撮像されて生成され、画像処理部833の第2記憶部833cに記憶される。
【0074】
制御装置40は、ステップS06において、微生物付着部特定画像データの取得信号を取得したか否かを判断し、取得していないと判断すると(ステップS06のNO)、処理を繰り返す。制御装置40は、ステップS06において、取得したと判断すると(ステップS06のYES)、ステップS07に移行する。微生物付着部特定画像データは、微生物付着部Mの画像データであって、微生物付着終了時の画像データに対して、微生物付着開始時の画像データまたは背景データを差分処理することで取得されるデータである。
【0075】
制御装置40は、ステップS07において、微生物付着部特定運転を終了し、次いで、ステップS08において、除菌・不活化運転を開始し、ステップS09に移行する。つまり、制御装置40は、微生物付着部特定運転から除菌・不活化運転に運転を切り替える。除菌・不活化運転において、制御装置40は、上述したように物質計測部34を駆動させて特定物質を発生させるとともに、送風装置37の運転を開始させる。
【0076】
制御装置40は、ステップS09において、運転時間のカウントを開始させ、次いで、ステップS10に移行して、所定の時間が経過したか否かを判断し、所定の時間が経過していないと判断すると(ステップS10のNO)、ステップS10の処理を繰り返す。除菌・不活化運転は、微生物付着期間入力部82からの処理時間信号に従い、運転時間が予め決められた処理時間になるまで行われる。
【0077】
制御装置40は、ステップS10において、運転時間が所定の時間を経過したと判断すると(ステップS10のYES)、ステップS11に移行し、除菌・不活化運転を停止する。制御装置40は、除菌・不活化運転開始後、微生物付着期間入力82部から入力された処理時間が経過したと判断した場合に、除菌・不活化運転を停止する。すなわち、制御装置40は、物質計測部34の駆動を停止して特定物質の発生を停止させるとともに、送風装置37の運転を停止させる。そして、制御装置40は、除菌・不活化運転の停止後、除菌・ウイルス不活化装置1の電源をオフする。
【0078】
以上の工程により、除菌・ウイルス不活化装置1による対象空間S内の細菌の除菌またはウイルスの不活化の処理が完了する。
【0079】
なお、上記では、制御装置40は、微生物付着部特定運転から除菌・不活化運転へ切り替える際の切り替えタイミングを、微生物付着部特定運転の停止から、速やかに除菌・不活化運転を実施する形態とした。制御装置40は、微生物付着部特定運転から除菌・不活化運転へ切り替える際の切り替えタイミングを、ある一定時間が経過したタイミングとする形態であってもよい。この場合、微生物付着期間は、人50が対象空間Sに滞在する時間を想定しているが、対象空間Sに入室した人50が全員退出しないうちに、微生物付着終了画像データを取得し、さらに除菌・不活化運転に切り替えてしまうことをより確実に防止することができる。
【0080】
[効果]
以上説明したように、実施の形態1の除菌・ウイルス不活化装置1は、微生物付着部特定部83と、除菌処理または不活化処理を行う特定物質を発生する物質計測部34と、空気流を発生させ、特定物質を輸送する輸送部33と、を備える。微生物付着部特定部83は、対象空間S内における人50が接触したまたは飛沫物が飛散したなど微生物が付着した微生物付着部Mを特定し、微生物付着部特定部83が特定した微生物付着部Mに、物質計測部34が発生した特定物質が輸送される。このように、除菌・ウイルス不活化装置1は、対象空間S内における微生物が付着する場所である微生物付着部Mに特定物質を輸送するので、対象空間S内の除菌またはウイルスの不活性化を効率的に行うことができる。
【0081】
微生物付着部特定部83は、微生物付着期間を設け、微生物付着期間の終了時の画像データに対して、微生物付着期間の開始時の画像データまたは背景データを差分処理し、微生物付着期間に付着した細菌・ウイルスなどの微生物が付着する箇所を特定する。これにより、除菌・ウイルス不活化装置1は、死菌または不活化したウイルスなど除菌・ウイルス不活化の対象外の微生物を除外し、微生物付着期間に付着した対象微生物のみを特定することができる。このため、感染リスクの高い場所に集中して除菌またはウイルスの不活性化を行うことができる。
【0082】
微生物付着部特定部83は、微生物付着期間の開始時の画像データと、微生物付着期間の終了時の画像データと、を用いて微生物付着部Mを特定する。このように、除菌・ウイルス不活化装置1は、2枚の画像データの差分処理により微生物付着部Mを特定するため、記憶部の容量が少なく、コンパクトで軽量な装置構成で、除菌・ウイルス不活化が行える。
【0083】
輸送部33は、空気流を発生させる送風装置37と、送風装置37の下流に配置され、送風装置37からの空気流に直進性および指向性を与えるグリル4aと、グリル4aの向きを変更して空気流の送風方向を制御する駆動装置39とを備える。輸送部33は、駆動装置39によりグリル4aの向きを変更して微生物付着部Mに空気流を輸送する。このように、除菌・ウイルス不活化装置1は、グリル4aによって直進性および指向性の与えられた空気流を、微生物付着部Mに輸送するので、感染リスクの高い場所に集中して除菌またはウイルスの不活性化を行うことができる。
【0084】
<変形例>
図10は、実施の形態1の変形例に係る除菌・ウイルス不活化装置1の利用形態を示す模式図である。図10に示すように、除菌・ウイルス不活化装置1は、微生物付着部特定画像データから輝度を算出し、輝度が高い部分に対し、除菌・不活化を優先的に実施する構成であってもよい。微生物付着部特定部83は、例えば、微生物付着部特定画像データに基づき、輝度が最も低い第1微生物付着部M1と、輝度が最も高い第3微生物付着部M3と、輝度が中程度の第2微生物付着部M2と、を特定する。
【0085】
上述のように、細菌またはウイルスが付着している箇所は、細菌またはウイルス中のアミノ酸類を蛍光発色させ、蛍光観察することにより特定することができる。アミノ酸類からの発光量が他の部分と比較して高い箇所は、細菌またはウイルスが他の部分よりも多量に存在していることを表している。そのため、対象空間S内において、取得した微生物付着期間の終了時の画像データに対する微生物付着期間の開始時の画像データまたは背景データの差分画像、すなわち微生物付着部特定画像データの輝度が高いほど、付着微生物が多く存在しているといえる。つまり、微生物付着部特定画像データの輝度が最も高い第3微生物付着部M3は、感染リスクが高い場所である可能性がある。そのため、除菌・ウイルス不活化装置1は、微生物付着部特定画像データの輝度が高い部分に存在する箇所に対して、除菌・不活化を優先的に実施し、または、除菌・不活化効果を向上させた運転を行うようにしてもよい。
【0086】
除菌・不活化効果を向上させる運転には、送風量を増加させる、発生させる特定物質の量を増加させる、または、特定物質の輸送時間を長くする、といった3つの運転がある。除菌・ウイルス不活化装置1は、これらの3つの運転の一部または全部を行って除菌・不活化効果を向上させる運転を行う。つまり、物質発生部32および輸送部33の一方または両方は、除菌・不活化効果を向上させる運転として、上記3つの運転の一部または全部を行う。具体的な制御としては、制御装置40は、物質発生部32および輸送部33の一方または両方を以下のように制御して、上記3つの運転の一部または全部を行う。
【0087】
送風量を増加させるためには、制御装置40は、輸送部33の送風装置37の回転数を増加させればよい。
【0088】
発生させる特定物質の量を増加させるためには、制御装置40は、物質発生部32がイオン発生装置である場合、電極に印加する電圧を増大させればよい。電極に印加する電圧を増大させることで、物質発生部32から発生するイオン量が増加するため、微生物付着画像データの輝度が高い部分に輸送される特定物質の量を増加させることができる。
【0089】
微生物付着画像データの輝度が高い部分に対する特定物質の輸送時間を長くするためには、制御装置40は、たとえば、以下の制御を行えばよい。制御装置40は、第1ケース2を駆動してグリル4aの向きを変更しながら微生物付着部Mに特定物質を輸送する。そのため、制御装置40は、輝度の高い微生物付着部Mに対しては、グリル4aの向きを変更する速度を、輝度の低い微生物付着部Mに対して輸送する場合に比べて遅くすればよい。
【0090】
(その他の構成例)
微生物付着部特定部83は、対象空間Sにおける照明器具と連動して動作する構成であってもよい。微生物付着部特定部83は、細菌またはウイルス中のアミノ酸類を蛍光発色させることで、細菌またはウイルスの箇所を特定するが、照明が点灯していると、微生物からの発光以外の光が外乱ノイズとなり、測定感度を低下させる。そのため、照明器具と連動させ、照明器具が消灯している際に、微生物付着開始時の画像データまたは背景データと、微生物付着終了時の画像データとを取得することで、外乱ノイズによる感度低下を抑制し、微生物付着部Mを特定しやすくなる。
【0091】
微生物付着部特定部83に微生物発光増強部を設け、細菌またはウイルスと結合するグルコース酸化酵素、または、ルミノール化学発光触媒活性増強アプタマーなどの微生物発光増強剤を散布して、細菌またはウイルスが付着した箇所を特定する構成であってもよい。細菌またはウイルスは、細菌またはウイルス中のアミノ酸類が、グルコース酸化酵素またはルミノール化学発光触媒活性増強アプタマーなどと結合することで、蛍光発色した際の発光強度が向上する。微生物付着部特定部83は、微生物発光増強剤を散布して得られた細菌・ウイルスなどの発光状況を、微生物付着期間の開始時の画像データまたは背景データと、微生物付着期間の終了時の画像データとを取得し、差分処理することで、微生物付着部Mを特定する。これにより、細菌・ウイルスによる発光感度を向上し、微生物付着部Mを特定することが容易になる。
【0092】
微生物付着期間入力部82は、人50の入室時間を微生物付着が開始する時間として、人50の退室時間を微生物付着が終了する時間として入力される構成である。しかし、微生物付着期間入力部82は、微生物付着期間の開始時と付着時間とを微生物が付着する時間帯として入力される構成であってもよい。微生物付着期間受信部81は、毎週、または、毎日同じスケジュールで微生物が付着する時間帯が決定される構成であってもよく、毎日異なる時間を微生物が付着する時間帯として入力される構成であってもよい。要するに、微生物付着期間入力部82は、対象空間S内での什器91等への微生物付着期間を設定できればよい。
【0093】
微生物付着部特定部83は、グリル体4の下端中央部に配置された構成ではなくてもよく、微生物付着部特定部83の配置位置は、筐体1a内に限らず、筐体1aの外壁または筐体1aから離れた位置に配置されてもよい。要するに、微生物付着部特定部83は、対象空間S内の什器91の配置などに応じて、什器91表面に付着する微生物を特定しやすい位置に配置してよい。
【0094】
対象空間Sは、たとえばパーティションで仕切られるなどして閉じられた空間であってもよいが、閉じられていない空間であってもよい。閉じられていない空間とは、たとえば宴会場などの大空間の一部を仮想的に仕切った空間などが該当する。対象空間Sを閉じられていない空間とすることで、除菌・ウイルス不活化装置1は、たとえば大空間を物理的に仕切って閉空間を形成することなく大空間の一部の空間を対象空間Sと見なして除菌・不活化運転を行うことができる。このように、閉じられていない空間を対象空間Sとする場合、除菌・ウイルス不活化装置1は、物質発生部32で発生した特定物質を、輸送部33を用いて対象空間Sに輸送できる位置に設置される。
【0095】
輸送部33には、プロペラファンを採用してもよく、シロッコファンを採用してもよい。シロッコファンは静圧で大風量を送風できるため、効果的に細菌の除菌またはウイルスの不活化を行える。
【0096】
物質発生部32は、送風装置37の上流側に配置されていたが、下流側に配置してもよい。これにより、除菌・ウイルス不活化装置1は、物質発生部32で発生した特定物質が送風装置37を通過しない構造となり、特定物質による送風装置37の劣化を防止できる。
【0097】
グリル体4が取り付けられた第1ケース2と、第1ケース2を駆動する駆動装置39を備えた第2ケース3とは、別体としてもよく、一体型としてもよい。第1ケース2と、第2ケース3とが、別体である場合、第2ケース3を変形させてグリル体4のグリル4aを微生物付着部Mに向けるように構成されるが、一体型である場合、グリル体4自体が駆動するように構成される。これにより、一体型とすることで部品数が低減し、除菌・ウイルス不活化装置1が安価に製作できる。
【0098】
物質計測部34を構成するイオンセンサーとしては、同軸二重円筒式のイオンセンサーを採用してもよく、平行平板式のイオンセンサーを採用してもよい。平行平板式は、平行に配置された平板電極間を流れるイオンを、平板電極間の電流量から測定する方式である。平行平板式のイオンセンサーは、コンパクトであり、また、簡便にイオン量を計測することができる。
【0099】
微生物付着期間の開始時の画像データまたは背景データを記憶する第1記憶部833bと、微生物付着期間の終了時の画像データを記憶する第2記憶部833cとは、分けて構成したが、1つの記憶部にまとめて記憶するようにしてもよい。これにより、除菌・ウイルス不活化装置1の構成要素を削減することができ、簡便な構成とすることができる。
【0100】
除菌・ウイルス不活化装置1は、ユーザーからの設定入力によって物質発生量または風量を変更できるようにしてもよい。処理時間が短くなると、除菌・不活化運転の運転時間は短くなる。この場合、ユーザーは、物質発生量または風量を、デフォルトの通常設定よりも増加させるように設定の変更を行う。これにより、除菌・ウイルス不活化装置1は、通常設定の制御とした場合よりも速やかに、細菌の除菌またはウイルスの不活化を行うことができる。設定の変更は、ユーザーが行ってもよいし、除菌・ウイルス不活化装置1が自動的に行っても良い。設定の変更を除菌・ウイルス不活化装置1が自動的に行う場合は、処理時間と高速処理条件の関係データを取得しておき、処理時間に合わせて、物質発生量または風量を変化させる設定に変更すればよい。また、新型コロナウイルス感染症拡大時のように、ウイルスが変異し、人体への影響が深刻であり、対策が通常以上に必要であると感じる場合、ユーザーは、物質発生量または風量を、デフォルトの通常設定よりも増加させる設定を行う。これにより、除菌・不活化効果が高まるため、感染予防効果を高めることができる。
【0101】
以上説明した、実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化装置1は、微生物付着部を特定する微生物付着部特定部83と、物質発生部32と、輸送部33とを備え、対象空間Sにおける除菌または不活化処理が行われる。除菌処理または不活化処理は、微生物が付着した箇所である微生物付着部に対して行われ、処理の対象ではない死菌または不活化したウイルスが処理の対象から除外される。このため、感染リスクの高い場所に対し、集中的且つ効率的に処理を行うことができる。
【0102】
また、微生物付着部特定部83は、微生物付着期間の開始時に微生物が検知された箇所と、微生物付着期間の終了時に微生物が検知された箇所と、の差分解析結果により、微生物付着部Mを特定する。このため、微生物付着期間内で付着した微生物をターゲットとして、除菌・ウイルス不活化の処理が行われるため、効率的に除菌・ウイルス不活化処理を行うことができる。
【0103】
また、微生物付着部特定部83は、微生物を構成する物質が発する蛍光を検知するため、人50の移動にかかわらず、空間内において、微生物が付着している箇所を特定することができる。
【0104】
また、微生物付着部特定部83は、250nm~450nmの波長の光を照射する発光部831と、蛍光を受信する受光部832とにより微生物の発光を検知する構成である。このため、発光部831から照射された励起光の波長と、受光部832で受信した蛍光の波長との組み合わせに基づいて、細菌またはウイルス中のアミノ酸類を蛍光発色させることで、細菌またはウイルスの有無を判定することができる。
【0105】
また、微生物付着部特定部83は、対象空間Sが消灯された後に微生物の発光の検知を行う構成とすることで、外乱ノイズによる感度の低下が抑制され、微生物付着部Mが特定しやすくなる。
【0106】
また、実施の形態1に係る除菌・ウイルス不活化方法は、微生物付着部特定工程と、除菌・不活化工程と、を備えている。微生物付着部特定工程において微生物付着部として、微生物が付着した箇所が特定され、微生物付着部に対して、除菌・不活化工程において特定物が輸送されて除菌処理または不活化処理が行われる。このため、感染リスクの高い場所に集中的、且つ、効率的に処理を行うことができる。
【0107】
また、微生物付着部特定工程は、対象空間S内で人50の入室が感知されると開始し、退室が感知されると終了し、除菌・不活化工程は、人50の退室が感知されると開始される。このため、対象空間Sに人50がいない間に、集中的に除菌またはウイルスの不活化を行うことができる。
【0108】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る除菌・ウイルス不活化装置1の利用形態を示す模式図である。実施の形態2は、感知部30を備える点で、実施の形態1と異なり、その他の構成については実施の形態1と同一または同等である。実施の形態2では、実施の形態1と異なる構成を中心に説明するものとし、実施の形態2で説明されていない構成は実施の形態1と同様である。
【0109】
図11に示すように、感知部30は、対象空間Sに備えられており、対象空間S内への人50の入室および対象空間Sからの人50の退室(以下、入室/退室と記載する。)を感知するものである。感知部30により、人50の在不在に関する情報を取得することができる。感知部30は、微生物付着期間入力部82と同様の機能を有する。感知部30は、たとえば赤外線センサーで構成されている。感知部30は、筐体1a内に設けられている通信部と通信可能であり、人50の検知結果を通信部に送信できるようになっている。この通信には、無線LAN、ブルートゥース(登録商標)またはZigBee(登録商標)などの無線通信が用いられる。なお、感知部30には、対象空間S内に装備されている既設のものを利用してもよい。
【0110】
除菌・ウイルス不活化装置1は、微生物付着期間受信部81を通じて感知部30と無線通信を行うことで、人50の入室/退室を検知する。具体的には、除菌・ウイルス不活化装置1は、感知部30から送信される、人50の入室/退室の感知信号を、通信部を介して取得し、感知信号に基づいて人50の入室/退室を検知する。除菌・ウイルス不活化装置1は、感知部30から送信される感知信号に基づいて、最初の1人が対象空間Sに入室したこと、および、全員が対象空間Sから退室したことを検知する。
【0111】
感知部30を構成する赤外線センサーは、赤外線を送信する送信部30aと、赤外線を受信する受信部30bとを有する。送信部30aと受信部30bとは、対象空間Sのドア90の近傍に設置されている。具体的には、送信部30aと受信部30bとが、入口の上下に離間して配置され、送信部30aと受信部30bとの間で赤外線を送受信する。
【0112】
送信部30aと受信部30bとの間に人50が通過しないときは、受信部30bで受信される赤外線の受信量には変化が無く略一定量となるが、人50が通過すると受信量が低下する。赤外線センサーは、受信部30bにおける赤外線の受信量が規定値を下回ると、人50が移動したと検知する。また、赤外線センサーを用いて人50の入室/退室を検知する方式は、画像データを用いた入室/退室の検知方式よりも、簡便でかつ装置構成としても安価に構成できる。
【0113】
本構造においては、微生物付着期間は、微生物が付着する可能性がある期間であり、すなわち、人50が存在する期間に相当する。そのため、微生物付着期間受信部81は、感知部30が対象空間Sに最初の1人が入室したと検知した時を微生物付着期間の開始時とし、対象空間Sから全員が退室したと検知した時を微生物付着期間の終了時として判断する。
【0114】
図12は、実施の形態2に係る除菌・ウイルス不活化装置1の機能ブロック図である。図12に示すように、微生物付着期間受信部81は、感知部30から検知結果が入力される構成である。感知部30において、対象空間Sにおける人50の入室/退室が検知され、検知された結果が微生物付着期間受信部81に送信され、微生物付着期間受信部81において受信される。微生物付着期間受信部81は、感知部30の検知結果に基づいて、対象空間S内の人50の入室/退室時を判断する。
【0115】
図13は、実施の形態2に係る除菌・ウイルス不活化装置1の制御フローチャートである。図13に示すように、制御装置40は、感知部30による検知結果に基づいて、微生物付着部特定工程と除菌・不活化工程とを実施する。
【0116】
制御装置40は、処理が開始されると、ステップS101において、微生物付着期間受信部81を駆動させ、次いで、ステップS102において、微生物付着部特定運転を開始し、ステップS103に移行する。制御装置40は、ステップS103において、感知部30が対象空間Sへの最初の人50の入室を検知したかを判断し、検知していなければ処理を繰り返し(ステップS103のNO)、検知していればステップS104に移行する(ステップS103のYES)。感知部30が対象空間Sへの最初の人50の入室を検知したか否かの判断は、微生物付着期間受信部81で受信した、感知部30の検知結果に基づいて行われる。
【0117】
制御装置40は、ステップS104において、微生物付着期間の開始時の画像データを取得し、ステップS105に移行する。微生物付着期間の開始時の画像データを取得は、感知部30において対象空間Sへの最初の人50の入室が検知された際、微生物付着部特定部83により行われる。
【0118】
制御装置40は、ステップS105において、感知部30が対象空間Sから全員が退室したことを検知したかを判断し、検知していなければ処理を繰り返し(ステップS105のNO)、検知していればステップS106に移行する(ステップS105のYES)。感知部30が対象空間Sから全員が退室したことを検知したか否かの判断は、微生物付着期間受信部81で受信した、感知部30の検知結果に基づいて行われる。
【0119】
制御装置40は、ステップS106において、微生物付着期間の終了時の画像データを取得し、ステップS107に移行する。微生物付着期間の終了時の画像データを取得は、感知部30において対象空間Sから全員が退室したことが検知された際、微生物付着部特定部83により行われる。制御装置40は、ステップS107において、微生物付着部Mの画像データを取得し、ステップS108に移行し、微生物付着部特定運転を終了する。微生物付着部Mの画像データは、微生物付着期間の終了時の画像データに対して、微生物付着期間の開始時の画像データを差分処理することで取得されるデータである。
【0120】
制御装置40は、次いで、ステップS109に移行し、除菌・ウイルス不活化運転を開始し、ステップS110において、運転時間のカウントを開始する。除菌・ウイルス不活化運転は、除菌・ウイルス不活化するのに必要な時間処理される。
【0121】
制御装置40は、次いで、ステップS111において、対象空間Sへの人50の入室があるかを判断する。制御装置40は、ステップS111において、入室がないと判断すると(ステップS111のNO)、ステップS112に移行し、運転時間が所定の時間を経過したかを判断し、所定の時間を経過するまで処理を続行する(ステップS112のNO)。
【0122】
一方、ステップS111において、人50の入室があると判断した場合(ステップS111のYES)、制御装置40は、ステップS113に移行し、不活化運転を停止する。また、ステップS112において、運転時間が所定の時間を経過した場合(ステップS112のYES)、ステップS113に移行し、不活化運転を停止する。ステップS113において制御装置40により不活化運転が停止されると、制御装置40による処理が終了する。
【0123】
つまり、制御装置40は、除菌・不活化運転開始後、除菌・ウイルス不活化するのに必要な時間処理が経過したと判断した場合に、除菌・不活化運転を停止する。すなわち、制御装置40は、物質計測部34の駆動を停止して特定物質の発生を停止させるとともに、送風装置37の運転を停止させる。また、制御装置40は、対象空間Sへの人50の入室を感知部30が検知した場合にも、除菌・ウイルス不活化運転を停止することができる。
【0124】
[効果]
実施の形態2は、微生物付着期間受信部81が感知部30と通信する構成である。感知部30は、対象空間Sに最初の1人が入室したと検知した時を微生物付着期間の開始時とし、対象空間Sから全員が退室したと検知した時を微生物付着期間の終了時として判断し、対象空間Sにおける人50の在不在に関する情報を取得する。微生物付着部特定部83は、感知部30で取得された人50の在室前後の情報から微生物付着期間を判別し、微生物が検知された箇所の差分解析の結果から微生物付着部Mを特定する。このため、対象空間Sの中でも、特に微生物付着部Mに対して、効率的に、除菌・ウイルス不活化することができる。
【0125】
また、実施の形態2の除菌・ウイルス不活化装置1では、人50が存在する期間が微生物付着期間に相当する。微生物付着期間受信部81は、感知部30が対象空間Sに最初の1人が入室したと検知した時を微生物付着期間の開始時とし、対象空間Sから全員が退室したと検知した時を微生物付着期間の終了時と判断する。そのため、対象空間Sから全員が退室したと検知したときに、微生物付着部特定部83は、微生物付着期間の終了時の画像データを取得し、微生物付着部特定運転を終了し、その後、除菌・ウイルス不活化運転が開始する。すなわち、除菌・ウイルス不活化運転は、対象空間Sに人50が存在しない、人50が不在の時に実施される。このように、除菌・ウイルス不活化装置1は、人50の対象空間S内からの退室が感知された後に、物質発生部32および輸送部33を駆動して特定物質の微生物付着部Mへの輸送、つまり除菌・不活化運転を開始する。従って、対象空間Sに人50がいない間に、集中的に除菌またはウイルスの不活化を行うことができる。
【0126】
また、感知部30は、対象空間S内への人50の入室を感知する。そのため、除菌・ウイルス不活化運転中に、感知部30が対象空間Sへの人50の入室を感知したら、すぐさま、除菌・ウイルス不活化運転を停止することができる。このように、除菌・ウイルス不活化装置1は、人50が対象空間S内にいる間は除菌・不活化運転を行わないので、対象空間Sの人50の快適さを保ちながら効果的に除菌・不活化運転を行うことができる。
【0127】
なお、微生物付着期間受信部81は、感知部30と通信するのみではなく、微生物付着期間入力部82と感知部30との両方と通信する構成にしてもよい。具体的には、微生物付着期間入力部82に自動判断部のボタンを設け、ボタンをオンすると、自動的に感知部30が作動し、微生物付着部Mを特定するようにしてよい。このように制御することにより、人50の入退室が定期的に行われる場合は、微生物付着期間入力部82からの信号により、微生物付着期間を判断し、人50の入退室が不定期な場合等には、感知部30により自動で微生物付着期間を判断する構成を採用できる。感知部30による構成は、例えば、急に人50が入室、または退室する可能性がある場合にも有効である。このような構成により、対象空間Sに人50が入退室することをより正確に判断することができる。
【0128】
除菌・ウイルス不活化装置1は、除菌・ウイルス不活化運転が終了した後、電源がオフになるように制御されもよいが、再度微生物付着特定運転を開始してもよい。このように制御することにより、対象空間Sへの人50の入退室を常に検知し、人50が退室した後速やかに除菌ウイルス不活化処理を実施することができる。
【0129】
以上説明した、実施の形態2に係る除菌・ウイルス不活化装置1によれば、対象空間S内における人50の入退室を検知する感知部30を備えている。このため、人50が存在する期間を、微生物が付着する可能性がある期間として、感知部30により対象空間に人50が入室した時と、対象空間から人50が退室した時とが検知され、微生物付着部を特定し、除菌またはウイルス不活化の処理を集中的に行うことができる。
【0130】
実施の形態3.
図14は、実施の形態3に係る除菌・ウイルス不活化装置1の機能ブロック図である。実施の形態3は、軌跡検知部31を備える構成が、実施の形態1および2と異なる。その他の構成については、実施の形態1または2と同一または同等である。以下、実施の形態3が実施の形態1および2と異なる構成を中心に説明するものとし、実施の形態3で説明されていない構成は実施の形態1および2と同様である。図14に示すように、軌跡検知部31は、対象空間Sを撮影する軌跡撮影部31aと、軌跡撮影部31aの撮影データに基づいて軌跡検知を行う軌跡画像処理部31bと、を備えている。軌跡検知部31は、人50が接触した部分の移動軌跡の検知処理を行う部分である。
【0131】
(軌跡撮影部31a)
軌跡撮影部31aは、対象空間S内を撮影する部である。画像データを取得できるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーまたはCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーなどの固体撮像素子を備える。
【0132】
(軌跡画像処理部31b)
軌跡画像処理部31bは、軌跡演算制御部311と、第1軌跡記憶部312と、第2軌跡記憶部313と、を備えている。軌跡演算制御部311は、軌跡撮影部31aが撮像して生成した画像データを演算処理する。軌跡演算制御部311は、FPGA(Field Programmable Gate Array)と、DSP(Digital Signal Processor)と、を用いて構成される。軌跡演算制御部311は、DSPの代わりに、高度イメージプロセッサなどのデジタル画像処理を高速に処理することが可能な半導体素子を用いてもよい。
【0133】
第1軌跡記憶部312は、対象空間S内に人50が存在しない時に、あらかじめ軌跡撮影部31aが撮像して生成した画像データを記憶する。人50が存在しない時にあらかじめ撮影された画像データは、人50と人50以外とを識別する人検知処理時の背景データとして用いられる。
【0134】
第2軌跡記憶部313は、対象空間S内に存在する人50の追跡データを画像データとして記憶する。第2軌跡記憶部313は、データ量が多い画像データを記憶できるように大容量記憶装置で構成されている。大容量記憶装置としては、たとえば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの記憶容量が比較的に大きな揮発性メモリが該当する。
【0135】
軌跡画像処理部31bは、背景データを第1軌跡記憶部312に記憶させる。軌跡画像処理部31bは、第1軌跡記憶部312に記憶された背景データを適宜に軌跡演算制御部311へ読み込む。軌跡画像処理部31bは、定期的に軌跡撮影部31aが撮像して生成した現在の画像データを軌跡演算制御部311へ読み込む。軌跡演算制御部311は、読み込んだ現在の画像データと背景データとを比較して、異なる箇所を抽出する。異なる箇所は、人50が存在する部分となる。比較データの時間的経過を追跡することで、対象空間S内に存在する人50の移動軌跡を検知することができる。
【0136】
軌跡演算制御部311は、背景データに基づいて什器91の配置場所を予め認識しておき、その什器91の配置場所と人50の存在場所との位置関係から、人50の什器91に対する接触場所を検知することができる。具体的には、軌跡演算制御部311は、什器91を設置していない状態の画像データと什器91を設置した状態の画像データとの差分画像、つまり什器91を抽出した差分画像を取得しておく。そして、軌跡演算制御部311は、什器91を抽出した差分画像と人50の存在部分を抽出した部分で重なる部分を、人50の什器91に対する接触場所として検知する。
【0137】
以上より、軌跡検知部31は、対象空間S内において人50が接触した部分の移動軌跡を検知できる。除菌・ウイルス不活化装置1は、対象空間S内に存在する人50の移動軌跡がわかる。移動軌跡の交わりが多い場所ほど、対象空間S内でも人50が長くまたは繰り返し存在していた場所に相当する。複数の微生物付着部Mが存在する場合、移動軌跡の交わりが多い部分を感染力の高い部分として判断し、移動軌跡の交わりの多い部分から除菌・ウイルス不活化処理を開始することで、感染力の高い部分から優先的に除菌またはウイルスの不活化を行うことができる。
【0138】
図15は、実施の形態4に係る除菌・ウイルス不活化装置1の制御フローチャートである。図15に示すように、制御装置40は、処理が開始されると、ステップS201において、微生物付着期間受信部81を駆動させ、ステップS202に移行する。微生物付着期間受信部81は、感知部30の検知結果に基づいて対象空間S内の人50の入室/退室時を判断する。
【0139】
制御装置40は、ステップS202において、感知部30による軌跡検知運転と、微生物付着部特定部83による微生物付着部特定運転と、を開始させ、ステップS203に移行する。制御装置40は、ステップS203において、感知部30により対象空間Sへの最初の人50の入室が検知されたかを判断し、検知されていない場合は処理を繰り返す(ステップS203のNO)。最初の人50の入室が検知されている場合は、ステップS204およびステップS205に移行する。
【0140】
制御装置40は、ステップS204において、微生物付着期間の開始時の画像データを取得し、同時に、ステップS205において、移動軌跡の追跡を開始し、ステップS206に移行する。感知部30は、対象空間Sへの最初の人50の入室を検知した際、微生物付着期間の開始時と判断し、微生物付着部特定部83が微生物付着期間の開始時の画像データを取得する。軌跡検知部31は、対象空間Sに存在する人50の移動軌跡の追跡を開始する。
【0141】
制御装置40は、ステップS206において、感知部30により対象空間Sから全員が退室したことが検知されたかを判断し、検知されていない場合は処理を繰り返す(ステップS206のNO)。
【0142】
制御装置40は、ステップS206において、全員が退室されたことが検知されたと判断すると(ステップS206のYES)、ステップS207およびステップS208に移行する。制御装置40は、ステップS207において、微生物付着期間の終了時の画像データを取得し、同時に、ステップS208において、移動軌跡の追跡を終了して、ステップS209に移行する。感知部30は、対象空間Sから全員が退室したことを検知した際、微生物付着期間の終了時と判断し、微生物付着部特定部83が微生物付着期間の最終時の画像データを取得する。軌跡検知部31は、対象空間Sに存在する人50の移動軌跡の追跡を終了する。
【0143】
制御装置40は、ステップS209において、微生物付着部画像データが取得されたかを判断し、取得されていない場合は処理を繰り返し(ステップS209のNO)、取得されていると判断すると、ステップS210に移行する(ステップS209のYES)。制御装置40は、ステップS210において、微生物付着部特定運転を終了する。微生物付着部特定運転は、移動軌跡も参考に微生物付着部Mの画像データが解析されると、同時に終了し、除菌・ウイルス不活化運転が開始される。
【0144】
制御装置40は、ステップS210以降、図9のステップS08~S11と同様の処理により除菌・ウイルス不活化運転を行う。
【0145】
[効果]
実施の形態3によれば、微生物付着期間受信部81が感知部30からの検知信号を受信する構成であるため、以下の効果を有する。感知部30は、対象空間Sに最初の1人が入室したと検知した時を微生物付着き期間の開始時とし、対象空間Sから全員が退室したと検知した時を微生物付着期間の終了時として判断し、微生物付着部Mを特定する。これにより、対象空間Sの中でも、微生物付着部Mに対して、効率的に、除菌・ウイルス不活化することができる。
【0146】
また、除菌・ウイルス不活化装置1が、微生物付着部特定部83に加え、軌跡検知部31を備えることにより、以下の効果を発現することができる。軌跡検知部31により、対象空間S内に存在する人50の移動軌跡がわかる。移動軌跡の交わりが多い場所は、対象空間S内でも人50が長くまたは繰り返し存在していた場所に相当する。軌跡検知部31を備えることで、微生物付着部Mの中でも、移動軌跡の交わりが多い部分を感染力の高い部分として、集中的に除菌またはウイルスの不活化を行える。
【0147】
なお、感知部30、軌跡検知部31、および、微生物付着部特定部83は、それぞれ個別に設ける構造であってもよく、微生物付着部Mに感知部30、および、軌跡検知部31の構成がまとめて配置されていてもよい。すなわち、微生物付着部特定部83の撮影部832aにより、蛍光画像とともに可視画像も取得する構成とする。この場合、微生物付着部特定運転が開始すると、対象空間Sの可視画像が定期的に取得され、人50の入退出を検知するとともに、移動軌跡の追跡が検出され、これにより、複数ある構成要素が一つとなり、コンパクトで軽量、安価な構成とすることができる。
【0148】
また、軌跡撮影部31aおよび軌跡画像処理部31bは、実施の形態1および2における撮影部832aおよび画像処理部833とは個別に設けてもよく、撮影部832aおよび画像処理部833により機能を実現させてもよい。軌跡撮影部31aおよび軌跡画像処理部31bの機能を撮影部832aおよび画像処理部833で実現することで、除菌・ウイルス不活化装置1の構成要素を削減できて簡便な構成とすることができる。
【0149】
実施の形態4.
図16は、実施の形態4に係る除菌・ウイルス不活化装置1が搭載された空気調和機60の概略断面図である。図17は、実施の形態4に係る除菌・ウイルス不活化装置1が搭載された空気調和機60の下面図である。実施の形態4は、除菌・ウイルス不活化装置1を備えた空気調和機60に関する。以下、実施の形態4が実施の形態1~3と異なる構成および処理を中心に説明するものとし、本実施の形態4で説明されていない構成および処理は実施の形態1~3と同様である。
【0150】
空気調和機60は、オフィスなどの空調対象空間内に配置される室内機であって、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで、空調対象空間に温調空気を供給するものである。空気調和機60は、通常運転として暖房運転および冷房運転の一方または両方を行う。空気調和機60は、空調対象空間の空調を行うとともに、除菌・ウイルス不活化装置1を備え、空調対象空間を対象空間Sとして対象空間S内における細菌の除菌またはウイルスの不活化を行う。空気調和機60が備える除菌・ウイルス不活化装置1は、例えば、実施の形態2の除菌・ウイルス不活化装置1である。
【0151】
空気調和機60の外郭を構成する空気調和機筐体61は、天井に埋め込まれ、下面が開口した空気調和機本体62と、空気調和機本体62の開口を塞ぐ化粧パネル63とを有する。化粧パネル63は、中心部に矩形状の吸込みグリル64を有する。吸込みグリル64の周囲には、吸込みグリル64の4辺に沿って4つの吹出し口65が形成されている。各吹出し口65には、吹出し口65からの空気流の吹出し方向を制御する風向板66が設けられている。空気調和機60は、風向板66として、上下方向の風向を制御する上下風向板66aと、左右方向の風向を制御する左右風向板66bとを備えている。また、空気調和機筐体61内には、上下風向板66aおよび左右風向板66bをそれぞれ駆動するモーター(図示せず)が備えられている。
【0152】
空気調和機筐体61内には、遠心送風機67と、遠心送風機67を駆動するモーター68と、内部を流れる冷媒と空気との間で熱交換を行う熱交換器69と、が配置されている。遠心送風機67は、空気調和機筐体61内の中央部に配置されており、空気調和機筐体61の天板に固定されたモーター68から下方に延びる軸に接続されている。熱交換器69は、遠心送風機67の周囲に配置されている。また、空気調和機筐体61内には、熱交換器69の下方に、熱交換器69で生じる結露水を受けるドレンパン70が配置されている。空気調和機筐体61内にはさらに、電気品箱71が配置されている。電気品箱71は、空気調和機60の運転を制御するための制御基板71aを収納している。なお、図16には、空気調和機60が天井吊り下げ型の室内機である例を示しているが、これに限られたものではなく、壁掛け型の室内機でもよい。
【0153】
空気調和機60には、除菌・ウイルス不活化装置1が備えられている。具体的には、除菌・ウイルス不活化装置1を構成する、例えば、微生物付着期間受信部81、微生物付着部特定部83、および、感知部30は、化粧パネル63に配置され、物質発生部32は、化粧パネル63の吹出し口65付近に配置されている。輸送部33は、遠心送風機67と、風向板66と、風向板66を駆動するモーター(図示せず)と、を含んで構成されている。遠心送風機67は、輸送部33の送風装置37との兼用となっている。風向板66は、輸送部33のグリル4aの機能を有する。表示部36は、化粧パネル63の外面に配置されている。微生物付着期間受信部81は、電気品箱71の外面に設置されている。制御装置40の機能は、電気品箱71内の制御基板71aに搭載されている。
【0154】
図18は、実施の形態4に係る除菌・ウイルス不活化装置1が搭載された空気調和機60による除菌・不活化運転を説明する模式図である。
【0155】
図18に示すように、空気調和機60は、什器91に向けて空気流を輸送できる位置に設置されている。空気調和機60は、実際には什器91よりも先に部屋に据付けられていることが多いため、空気調和機60からの空気流が届く位置に什器91を設置することになる。または、空気調和機60の据付段階で、対象空間S内の什器91の設置レイアウトに応じて据付けるようにしてもよい。いずれにしろ、空気調和機60は、空気調和機60からの空気流の送風範囲内に微生物が付着する微生物付着部Mが位置するようにして設置される。
【0156】
空気調和機60において、遠心送風機67がモーター68により回転すると、吸込みグリル64から空気が空気調和機筐体61内に吸い込まれ、遠心送風機67および熱交換器69を通って、吹出し口65から吹出される。吹出し口65から吹出される空気流は、熱交換器69によって温調された空気流であって、物質発生部32で発生した特定物質を含む空気流である。このような空気流が、吹出し口65から吹出され、風向板66によって吹出し方向が制御される。
【0157】
図18では、吹出し口65から微生物付着部Mに空気流を輸送している状態が示されている。さらに詳しくは、吹出し口65から、微生物付着部Mの輝度の高い部分から低い部分に順番に空気流を輸送している状態が示されている。吹出し口65から微生物付着部Mの輝度の高い部分への空気流の輸送が終了した後は、吹出し口65から順次、残りの微生物付着部Mに向けて空気流が輸送される。空気調和機60は、空気流の吹出し方向を風向板66によって制御するため、直進性および指向性の高い空気流を空調対象空間内の人50による微生物付着部Mに向けて輸送できる。
【0158】
図19は、実施の形態4に係る除菌・ウイルス不活化装置1が搭載された空気調和機60による制御フローチャートである。空気調和機60による制御は、実施の形態2に係る除菌・ウイルス不活化装置1による制御と同様であるため、以下では、図19のフローチャートが、実施の形態2の図13のフローチャートと異なる部分を中心に説明する。
【0159】
制御装置40は、対象空間S内に設置されたリモートスイッチ(図示せず)が操作されて、除菌・ウイルス不活化装置1の電源がオンされることで起動する。制御装置40は、起動すると、ステップS301において、通常運転を開始するとともに、微生物付着部特定運転と感知部30を動作させ、ステップS102に移行する。通常運転とは、暖房運転または冷房運転など、リモコン(図示せず)から設定された運転である。これ以降の動作は図13と同様である。つまり、空気調和機60による制御は、電源がオンされると通常運転を開始する点のみが図13のフローチャートと異なり、それ以外の処理は図13のフローチャートと同様である。
【0160】
実施の形態4の空気調和機60は、実施の形態1および実施の形態2と同様の効果が得られるとともに、以下の効果が得られる。空気調和機60は、オフィスなどの空調対象空間にもともと配置されている既存の空気調和機を改造し、除菌・ウイルス不活化装置1を構成する構成部を適宜組み込む構成である。よって、空気調和機60により、空調対象空間内の景観を変えることなく、空調対象空間内の除菌またはウイルスの不活化を効率的に行うことができる。既存の空気調和機を改造する場合には、アシストルーバーを取り付け、通風の指向性・直進性を高めると、除菌・不活化効果が向上する。
【0161】
また、オフィスなどの空調対象空間にもともと配置されている既存の空気調和機を、除菌・ウイルス不活化装置1が搭載された空気調和機60に置き換えてもよい。この場合も、既存の空気調和機を改造する場合と同様に、対象空間S内の景観を変えることなく対象空間S内の除菌またはウイルスの不活化を効率的に行うことができる。
【0162】
なお、実施の形態1~4は、適宜組み合わせることができる。例えば、上記の説明では、実施の形態2の除菌・ウイルス不活化装置1を搭載した空気調和機60を一例として説明したが、空気調和機60は、感知部30を削除し、例えば、実施の形態1の除菌・ウイルス不活化装置1が搭載された構成としてもよい。
【0163】
また、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で上記実施の形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。除菌・ウイルス不活化装置1が設置される対象空間Sとして、上記ではオフィスを例に挙げたが、他にたとえば、一般家屋、保管室または浴室などであってもよい。さらに、対象空間Sは、冷蔵庫または冷凍庫などの庫内であってもよい。
【0164】
以上説明した、実施の形態4に係る空気調和機60によれば、除菌・ウイルス不活化装置1と熱交換器69とを備えているため、熱交換器69を通過して温調されるともに特定物質を含んだ空気流を微生物付着部Mに輸送することができる。このため、空調対象空間内の景観を変えることなく、空調対象空間内の除菌またはウイルスの不活化を効率的に行うことができる。
【0165】
なお、本開示は、広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態および変形が可能である。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内およびそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0166】
1 除菌・ウイルス不活化装置、1a 筐体、2 第1ケース、3 第2ケース、4 グリル体、4a グリル、5 送風口、6 フィン、6a 内端部、6b 外端部、7 口金、21 筒状部、23 上面部、23a 吸気口、24 通風路、25 コネクタ、25a フック部、26 係止部、27 風路形成部材、30 感知部、30a 送信部、30b 受信部、31 軌跡検知部、31a 軌跡撮影部、31b 軌跡画像処理部、32 物質発生部、33 輸送部、34 物質計測部、35 メイン基板、36 表示部、37 送風装置、39 駆動装置、40 制御装置、50 人、60 空気調和機、61 空気調和機筐体、62 空気調和機本体、63 化粧パネル、64 吸込みグリル、65 吹出し口、66 風向板、66a 上下風向板、66b 左右風向板、67 遠心送風機、68 モーター、69 熱交換器、70 ドレンパン、71 電気品箱、71a 制御基板、81 微生物付着期間受信部、82 微生物付着期間入力部、83 微生物付着部特定部、90 ドア、91 什器、311 軌跡演算制御部、312 第1軌跡記憶部、313 第2軌跡記憶部、831 発光部、832 受光部、832a 撮影部、832b 分光部、833 画像処理部、833a 演算制御部、833b 第1記憶部、833c 第2記憶部。
【要約】
除菌・ウイルス不活化装置は、人が出入りする対象空間内における微生物が付着した箇所である微生物付着部を特定する微生物付着部特定部と、微生物の除菌処理または不活化処理を行う特定物質を発生する物質発生部と、対象空間内に空気流を発生させ、特定物質を対象微生物に向けて輸送する輸送部と、を備え、対象空間内の除菌処理または不活化処理を行うものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図19