(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-17
(45)【発行日】2025-04-25
(54)【発明の名称】研磨用分散液
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20250418BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20250418BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20250418BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20250418BHJP
【FI】
C09K3/14 550D
B24B37/00 H
C09G1/02
C09K3/14 550Z
H01L21/304 622B
(21)【出願番号】P 2025506221
(86)(22)【出願日】2024-10-07
(86)【国際出願番号】 JP2024035804
【審査請求日】2025-02-04
(31)【優先権主張番号】P 2023177602
(32)【優先日】2023-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208662
【氏名又は名称】第一稀元素化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】高崎 史進
(72)【発明者】
【氏名】朝日 聖晶
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-105892(JP,A)
【文献】特開2005-170700(JP,A)
【文献】特開2023-147178(JP,A)
【文献】特表2014-504324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
B24B 37/00
C09G 1/02
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム及び研磨助剤を含む、研磨用分散液。
【請求項2】
前記酸化ジルコニウムの各結晶面の結晶子径が2.0~100.0nmである、請求項1に記載の研磨用分散液。
【請求項3】
前記酸化ジルコニウムが更に正方晶相を含有する、請求項1に記載の研磨用分散液。
【請求項4】
前記酸化ジルコニウムにおける正方晶相の含有率が体積分率で2.0~90.0%である、請求項3に記載の研磨用分散液。
【請求項5】
前記酸化ジルコニウムにおける単斜晶(-111)面と正方晶(101)面の結晶子径の比((-111)面/(101)面)が0.30~1.20である、請求項3に記載の研磨用分散液。
【請求項6】
前記研磨助剤が、過酸化物、硝酸化合物、過硫酸化合物、塩素化合物、臭素化合物、ヨウ素化合物、鉄酸類、過マンガン酸類、クロム酸類、バナジン酸類、ルテニウム酸類、モリブデン酸類、レニウム酸類、及びタングステン酸類からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の研磨用分散液。
【請求項7】
SiCウエハの研磨に用いられる、請求項1に記載の研磨用分散液。
【請求項8】
単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム及び研磨助剤を用いて分散液を調製する工程を含む、前記酸化ジルコニウム及び研磨助剤を含む研磨用分散液の製造方法。
【請求項9】
単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム及び研磨助剤を用いて研磨する、研磨レートの向上方法。
【請求項10】
単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム及び研磨助剤を用いて研磨する、表面粗さRaの低減方法。
【請求項11】
単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム粉末を含む、研磨用粉末。
【請求項12】
前記酸化ジルコニウム粉末の各結晶面の結晶子径が2.0~100.0nmである、請求項11に記載の研磨用粉末。
【請求項13】
前記酸化ジルコニウム粉末の平均2次粒子径が0.002~5μmである請求項11又は12に記載の研磨用粉末
【請求項14】
前記酸化ジルコニウム粒子の平均2次粒子径が0.1μm以下である、請求項13に記載の研磨用粉末
【請求項15】
前記酸化ジルコニウム粉末の純度が97質量%以上である、請求項11に記載の研磨用粉末。
【請求項16】
前記酸化ジルコニウム粉末が湿式法により製造されたものである、請求項11に記載の研磨用粉末。
【請求項17】
前記酸化ジルコニウム粉末の比表面積が20m
2/g以上である、請求項11に記載の研磨用粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化ジルコニウムを含む研磨用分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
研磨はマイクロエレクトロニクス産業に幅広く使用されている。SiC(炭化ケイ素)などは絶縁破壊強度がSiの10倍、バンドギャップがSiの3倍と優れており、高温、省エネ効果も高いパワー半導体として近年注目をあつめている。同様の理由からGaN(窒化ガリウム)、ダイヤモンド、サファイアなども注目され活発な開発がなされている。高性能なデバイス歩留まりよく製造するには、基板の原子レベルの平坦・平滑化が必要であるが、これらの基板はSiに比べて硬くて脆く、化学的にも安定で加工が難しいことから、生産性が低く基板加工コストの上昇の一因となっている。従来、結晶をスライス後、ダイヤモンド粒子やコロイダルシリカ粒子を用いたCMP(ChemicalMecanical Polishing)加工で多段・長時間研磨を施しているが、消耗品価格・設備面において多大なコストがかかり、Si基板に比べ数倍のコスト高を招く結果となっている。パワー半導体の普及にはこの加工コストの低減が強く求められている。また、砥粒として酸化ジルコニウムを用いた分散液がいくつか提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、結晶子サイズ10~1,000nm、平均粒子径30~2,000nmの単斜晶酸化ジルコニウムを1~20質量%含有し、さらに、分子内にカルボキシ基を3個以上有するカルボン酸と、水酸化第4級アルキルアンモニウムとを含有し、pH9~12を有することを特徴とする研磨スラリーが開示されている。
【0004】
特許文献2には、酸化ジルコニウム粒子を含有する研磨剤であって、粉末X線回折法により測定される2θが28.0°付近での回折X線強度及び31.0°付近での回折X線強度に基づいて算出される前記酸化ジルコニウム粒子の結晶子サイズが共に330Å以上であり、かつ前記酸化ジルコニウム粒子の平均一次粒子径が0.2μm以上であることを特徴とする研磨用粉末が開示されている。
【0005】
特許文献3には、水性液体担体、オキシ-ニトレート、オキシ-クロライド、オキシ-サルフェート、オキシ-カーボネート、及びC2~C10オキシ-アルカノエートから選択される遷移金属オキシ化合物、並びにパー系酸化剤を含む、化学機械研磨(CMP)するためのスラリーが開示されており、ジルコニア粒子を用いたSiC研磨剤スラリーが開示されている。
【0006】
特許文献4には、酸化ジルコニウムゾルを含む研磨用組成物の製造方法であって、ジルコニウム化合物のスラリーをレーザー回折法で測定したときのジルコニウム化合物粒子のd50(ただし、d50は、この粒子径以下の粒子数が全粒子数の50%であることを意味する粒子径を表わす。)が5~25μmであり、かつジルコニウム化合物粒子のd99(ただし、d99は、この粒子径以下の粒子数が全粒子数の99%であることを意味する粒子径を表わす。)が60μm以下である該ジルコニウム化合物を、400~1000℃の温度範囲で焼成する工程と、得られた酸化ジルコニウム粉末を水性媒体中で、該酸化ジルコニウムスラリーをレーザー回折法で測定したときの酸化ジルコニウム粒子のd50が80~150nm、及び酸化ジルコニウム粒子のd99が150~500nmになるまで湿式粉砕する工程とからなる方法、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-324639号公報
【文献】WO2012/169515
【文献】特開2023-512216号公報
【文献】WO2006/123562
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、SiC等は硬く加工が難しいことから、生産効率等の更なる改善が求められる。
【0009】
本発明は、研磨レートに優れ且つ研磨後の表面の平滑性に優れる研磨用分散液を提供することに関する。また、該研磨用分散液の製造方法、研磨レートの向上方法、表面粗さRaの低減方法、研磨用粉末についても提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記[1]~[5]に関する。
[1] 単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム及び研磨助剤を含む、研磨用分散液。
[2] 単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム及び研磨助剤を用いて分散液を調製する工程を含む、前記酸化ジルコニウム及び研磨助剤を含む研磨用分散液の製造方法。
[3] 単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム及び研磨助剤を用いて研磨する、研磨レートの向上方法。
[4] 単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム及び研磨助剤を用いて研磨する、表面粗さRaの低減方法。
[5] 単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム粉末を含む、研磨用粉末。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、研磨レートに優れ且つ研磨後の表面の平滑性に優れる研磨用分散液を提供することができる。また、該研磨用分散液の製造方法、研磨レートの向上方法、表面粗さRaの低減方法、研磨用粉末についても提供することができる。高研磨レートと低表面粗さを両立させることにより、従来のSiC等の研磨工程を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
従来、研磨用粉末による研磨速度は一般に、研磨用粉末の平均粒子径に比例することが知られている。一方表面粗さが小さくかつ表面欠陥の少ない研磨表面を得るには研磨剤の平均粒子径ができるだけ小さいことが望ましいと考えられている。それに対し、本発明者らが上記課題について検討したところ、特定の酸化ジルコニウム粒子を含有する研磨用粉末を用いることにより、上記目的が達成されることを新たに見出した。より具体的には、単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95の酸化ジルコニウム粒子を砥粒として用いることで、研磨レート及び研磨後の表面の平滑性の両方を改善できることを新たに見出した。中でも、更に正方晶相を体積分率で2.0~90.0%含有し、各結晶面の結晶子径が2.0~100.0nmである酸化ジルコニア粒子が、好適態様として例示される。これらはすべて湿式環境下で合成し、高温処理を不要とするプロセスにより構成することができる。このメカニズムは定かではないが、以下の理由によるものと推定される。単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が1.0に近い場合は単斜晶の結晶が方向性なく均等に成長した状態、即ち球形に近い形になっていると推測される。一方、単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が1よりも小さくなるにつれて、単斜晶の結晶はよりアスペクト比の大きい直方体、ロッド状になると推測される。後者の直方体、ロッド状結晶は、前者の球形結晶と比較して転回し難く、その結果、被研磨面との摩擦抵抗が増加し、基板の研磨レートを向上させる効果を発揮すると考えられる。また、球状の粒子よりも直方体およびロッド状のほうが被研磨面への衝突時に線または面接触になることで衝撃が分散するため、平滑性にも優れる(表面粗さを低減できる)ものと考えられる。
【0013】
本発明の研磨用分散液は、単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム及び研磨助剤を含む。
【0014】
本発明に係る酸化ジルコニウムは、通常不可避不純物として酸化ハフニウムを数%含んでいるものを指し、一般的には1.0~3.0%を含んでいるものを指すが、精製され酸化ハフニウムが除去されたものでもよい。また、酸化ジルコニウムは安定化酸化ジルコニウムであってもよく、その場合は、カルシウム、マグネシウム、イットリウム、セリウムおよびその他希土類等が固溶していてもよい。また、酸化ジルコニウムに固溶可能な他の元素が含まれていてもよい。また、酸化ジルコニウムと他の酸化物の粒子が複合化してひとつの粒子を形成していてもよい。酸化ジルコニウムは砥粒として機能し、上記要件を満たすことで、高研磨レートおよび低表面粗さを実現できる。上記要件については、本発明の研磨用分散液を乾燥させて得た粉末の、粉末X線回折測定およびその測定で得た回折チャートの解析により特定する。粉末X線回折測定および解析の条件詳細は後述する。
【0015】
酸化ジルコニウムの結晶相としては、単斜晶相、正方晶相、立方晶相などが知られているが、本発明に係る酸化ジルコニウムは少なくとも単斜晶相を含有するものである。本発明に係る酸化ジルコニウム中の単斜晶相比率は、研磨レート及び平滑性の観点から、体積分率で好ましくは10~100%、より好ましくは10~90%、更に好ましくは20~80%、更に好ましくは30~70%である。結晶相の含有率は、後述の実施例に記載の方法で測定する。
【0016】
単斜晶相における単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)は、研磨レート及び平滑性の観点から、0.50~0.95であり、好ましくは0.52~0.93、より好ましくは0.54~0.91、更に好ましくは0.56~0.89、更に好ましくは0.58~0.87である。結晶子径は、後述の実施例に記載の方法で測定する。
【0017】
本発明に係る酸化ジルコニウムは、平滑性の観点から、更に正方晶相を含有することが好ましい。本発明に係る酸化ジルコニウム中の正方晶相比率は、平滑性の観点から、体積分率で好ましくは2.0~90.0%、より好ましくは3.0~80.0%、更に好ましくは4.0~70.0%、更に好ましくは5.0~60.0%である。
【0018】
上記の正方晶相を含有する態様において、単斜晶(-111)面と正方晶(101)面の結晶子径の比((-111)面/(101)面)は、研磨レート及び平滑性の観点から、好ましくは0.30~1.20、より好ましくは0.35~1.15、更に好ましくは0.40~1.10、更に好ましくは0.45~1.05である。
【0019】
上記の正方晶相を含有する態様において平滑性に特に優れるメカニズムは定かではないが、以下の理由によるものと推定される。正方晶相は圧力によって単斜晶相へ相転移する性質があり、その時に数%の体積膨張を伴う。おそらく、研磨パッドと被研磨面の界面で圧力に曝されると少なくとも一部の正方晶相が単斜相に相転移し、その時の体積膨張で結晶子同士の凝集が開裂し、凝集がほぐれることによって前記の暴露圧力を緩和するように機能すると考えらえる。その結果、研磨中に断続的に発生するであろう研磨砥粒による被研磨面への瞬間過圧が抑制されて表面粗さの低下につながっていると推察される。また、単斜晶(-111)面と正方晶(101)面の結晶子径の比((-111)面/(101)面)が0.30~1.20の比のときには、この正方晶の相転移効果がより効率的に発現すると推測される。
【0020】
単斜晶相における単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)や、単斜晶(-111)面と正方晶(101)面の結晶子径比((-111)面/(101)面)の調整方法は限定されるものではないが、後述の実施例に記載する酸化ジルコニウムゾルの製造態様における調整について説明する。本態様の酸化ジルコニウムゾルの製造方法は、オキシ塩化ジルコニウム水溶液にアンモニア水を滴下添加して中和させる工程A、及び工程Aで得られた水酸化ジルコニウムを酸性下で加熱熟成処理する工程Bを含む。工程Aにおいてアンモニア水の滴下添加は複数回、例えば、2段階に分けて行われ、第1段階ではNH3換算でZrに対して等モルのアンモニア水滴下添加後に所定時間保持し、次いで第2段階としてアンモニア水を滴下添加後に所定時間保持する。ここで、オキシ塩化ジルコニウム水溶液の温度が高いほど、結晶子径は大きくなり、単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径比((-111)面/(111)面)を高くすることができる。上記第1段階における保持時間を長くすることで前記結晶子径比((-111)面/(111)面)を低くすることができる。上記第2段階における保持時間を長くすることで正方晶比率および単斜晶(-111)面と正方晶(101)面の結晶子径比((-111)面/(101)面)を低くすることができる。
【0021】
本発明に係る酸化ジルコニウムの各結晶面(単斜晶(-111)面、単斜晶(111)面、正方晶(101)面、立方晶(111)面)の結晶子径は、研磨レート及び平滑性の観点から、好ましくは2.0~100.0nm、より好ましくは3.0~80.0nm、更に好ましくは4.0~60.0nm、更に好ましくは5.0~40.0nmである。なお、酸化ジルコニウムの結晶面として単斜晶(-111)面をm(-111)、単斜晶(111)面をm(111)、正方晶(101)面をt(101)および立方晶(111)面をc(111)と表記することがある。また、t(101)とc(111)は粉末X線回折測定におけるピーク位置が同じであるため、区別せず同意義として扱う。即ち、本発明においては、t(101)とc(111)のピークはt(101)のピークとして扱う。
【0022】
本発明の研磨用分散液における酸化ジルコニウムのメディアン径(粒子径D50)は、研磨レート及び平滑性の観点から、好ましくは2.0~5000.0nm、より好ましくは3.0~1000.0nm、更に好ましくは4.0~500.0nm、更に好ましくは5.0~100.0nmである。メディアン径(粒子径D50)は、後述の実施例に記載の方法で測定する。なお、本発明の機能発現は、上記のとおり、酸化ジルコニウムの結晶子に関係する性質によるものが主であると考えられるため、その凝集粒子径が特に限定されるものではない。
【0023】
本発明の研磨用分散液中の酸化ジルコニウムの含有量は研磨対象および研磨条件によって適宜選択できるが、通常は0.1~20質量%、好ましくは1~15質量%である。また、本発明の研磨性能を損ねない限り、酸化ジルコニウム以外の砥粒が共存してもよい。酸化ジルコニウム以外の砥粒としては、公知の無機粒子、有機粒子、有機無機複合粒子が挙げられ、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化鉄粒子等の酸化物粒子; 窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子; 炭化ケイ素粒子、緑色炭化ケイ素(GC)粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子; ダイヤモンド粒子; 炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩;などが挙げられる。
【0024】
上記の酸化ジルコニウム以外の砥粒が含まれる態様において、酸化ジルコニウム以外の砥粒濃度は全砥粒濃度に対して好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0025】
本発明に係る研磨助剤は、ポリシングによる効果を増進する成分であり、水溶性のものが好ましく用いられる。研磨助剤としては、過酸化水素等の過酸化物;硝酸鉄、硝酸銀、硝酸アルミニウム、その錯体である硝酸セリウムアンモニウム等の硝酸化合物; ペルオキソ一硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸等の過硫酸、その塩である過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸化合物; 塩素酸やその塩、過塩素酸、その塩である過塩素酸カリウム等の塩素化合物; 臭素酸、その塩である臭素酸カリウム等の臭素化合物; ヨウ素酸、その塩であるヨウ素酸アンモニウム、過ヨウ素酸、その塩である過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム等のヨウ素化合物; 鉄酸、その塩である鉄酸カリウム等の鉄酸類; 過マンガン酸、その塩である過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸類; クロム酸、その塩であるクロム酸カリウム、ニクロム酸カリウム等のクロム酸類; バナジン酸、その塩であるバナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム等のバナジン酸類; 過ルテニウム酸またはその塩等のルテニウム酸類; モリブデン酸、その塩であるモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸二ナトリウム等のモリブデン酸類; 過レニウムまたはその塩等のレニウム酸類; タングステン酸、その塩であるタングステン酸二ナトリウム等のタングステン酸類; が挙げられ、1種又は2種以上で用いることができる。なかでも、研磨効率等の観点から、酸化剤が好ましく、特に、過マンガン酸カリウム、過マンガンナトリウム、過ヨウ素酸、過硫酸カリウム、過酸化水素水などが好ましい。
【0026】
本発明の研磨用分散液中の研磨助剤の含有量は研磨対象および研磨条件によって適宜選択できるが、通常は0.1~20.0質量%、好ましくは1.0~10.0質量%である。
【0027】
本発明の研磨用分散液の分散媒としては研磨性能を担保できる限り限定されないが、通常は水であり、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水等を用いることができる。また、必要に応じて、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)をさらに含有してもよい。分散媒中の水の含有量は、好ましくは90体積%以上、より好ましくは95体積%以上、更に好ましくは100体積%である。
【0028】
本発明の研磨用分散液のpHは限定されず、砥粒と被研磨面の電位調整のために適宜任意に調整できる。例えば、pH0.5~13.5、pH1.0~13.0、pH1.5~12.5などとすることができる。pH調整は、研磨用分散液に対して一般的な酸(塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸等)、一般的な塩基(水酸化ナトリウム、アンモニア、アミン等)を添加して調整することができる。
【0029】
本発明の研磨用分散液には、上記以外の各種添加剤が任意に含まれていてもよい。公知の添加剤としては、例えば、キレート剤、増粘剤、分散剤、表面保護剤、濡れ剤、pH調整剤、界面活性剤、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、防錆剤、防腐剤、防カビ剤などが挙げられる。これら任意の添加物は、本発明の研磨性能を担保する限り何ら種類および濃度を限定されない。
【0030】
本発明の研磨用分散液中には、不純物として硝酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオン等無機イオン、ナトリウム、カリウム、鉄、チタン等の金属イオンおよび酢酸イオン、テトラメチルアンモニウムイオン等の有機イオン等が存在する場合があるが、本発明の研磨性能を担保する限り特に問題としない。
【0031】
本発明の研磨用分散液は、研磨レートに優れ且つ研磨後の表面の平滑性に優れることから、Si、SiC、GaN、サファイア等の基板、酸化物被膜、W、Cu等金属被膜等の研磨に好適に使用でき、特にSiCウエハの研磨に好適に使用できる。従って、本発明では、単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム及び研磨助剤を用いて研磨する、研磨レートの向上方法及び表面粗さRaの低減方法についても提供するものである。ここで、酸化ジルコニウム及び研磨助剤を用いた研磨とは、酸化ジルコニウム及び研磨助剤を予め混合した研磨用分散液を用いる態様の他、これらを別々に使用して研磨する態様を含むものである。
【0032】
本発明の研磨用分散液の研磨性能について、例えば、後述の実施例の条件(SiCウエハのSi面研磨)における研磨レートは、好ましくは0.5μm/h以上、より好ましくは0.6μm/h以上、更に好ましくは0.7μm/h以上である。表面粗さが一定を超えない限り研磨レートは高いほど良いが、例えば、5μm/h以下、3μm/h以下などとすることができる。
【0033】
本発明の研磨用分散液を用いて研磨した後の平滑性は、例えば、後述の実施例の条件(SiCウエハのSi面研磨)における表面粗さRaは、好ましくは1.0Å以下、より好ましくは0.9Å以下、更に好ましくは0.8Å以下である。被研磨面の表面粗さRaは、小さいほど好ましいが、例えば、0.1Å以上、0.2Å以上などとすることができる。
【0034】
本発明の研磨用分散液の製造方法は、特に限定されないが、単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム及び研磨助剤を用いて分散液を調製する工程を含む製造方法が例示される。即ち、所定の酸化ジルコニウム、研磨助剤、分散媒、及び任意の添加剤を混合することで、本発明の研磨用分散液を製造することができる。これらの混合の仕方および順序等は、研磨用分散液の物性が達成される限り特に限定されない。研磨用分散液製造のための混合手順の一例を示す。第一の工程として、分散媒に所定の酸化ジルコニウムを分散質として分散させる。必要に応じてビーズミルなどの粉砕処理をしてもよい。このとき酸化ジルコニウムの濃度は研磨対象および研磨条件によって適宜選択できる。また第一の工程において、酸化ジルコニウムの分散を補助するため、酸、塩基および分散剤等を添加することも可能である。第一の工程によって得られた分散液の動的光散乱法による粒度分布測定において、D50の値が2.0~5000.0nmであれば第一の工程が完了したとみなせる。次に、第二の工程として、第一の工程で得た分散液に対して過マンガン酸カリウム、過酸化水素等の酸化剤(研磨助剤)、必要に応じて、酸化ジルコニウム以外の砥粒、pH調整を主目的とした一般的な酸(塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸等)、一般的な塩基(水酸化ナトリウム、アンモニア、アミン等)、分散剤およびその他目的の薬剤等を添加して、研磨用分散液を製造することができる。
【0035】
本発明の研磨用粉末は上記で説明した所定の酸化ジルコニウムの粉末、即ち、単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム粉末を含むものであり、正方晶相比率等についても上記と同様である。
【0036】
本発明の研磨用粉末に係る酸化ジルコニウム粉末は、湿式法により製造することができ、純度が好ましくは97~100質量%、より好ましくは98~100質量%、更に好ましくは99~100質量%である。
【0037】
本発明の研磨用粉末に係る酸化ジルコニウム粉末の平均2次粒子径は、研磨レート及び平滑性の観点から、好ましくは0.002~5μm、より好ましくは0.003~1μm、更に好ましくは0.004~0.5μm、更に好ましくは0.005~0.1μmである。平均2次粒子径は、一般的な動的光散乱法により測定する。
【0038】
本発明の研磨用粉末に係る酸化ジルコニウム粉末の比表面積は、研磨レート及び平滑性の観点から、好ましくは20~200m2/g、より好ましくは30~180m2/g、更に好ましくは40~170m2/g、更に好ましくは50~160m2/gである。比表面積は、一般的な窒素吸着によるBET法により測定する。
【0039】
本発明の研磨用粉末に係る酸化ジルコニウム粉末の含有量は、好ましくは97.0~99.9質量%、より好ましくは98.0~99.5質量%、更に好ましくは98.5~99.0質量%である。
【0040】
本発明の研磨用粉末には、上記酸化ジルコニウム以外の砥粒や、表面修飾剤等が任意に含まれていてもよい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
[粒子径D50測定]
各実施例・比較例で得られた研磨用分散液をZrO2換算で1.0質量%に希釈し、装置(動的光散乱法粒子径分布測定装置(「ゼータサイザーナノZS」Malvern Panalytical製))に投入して、粒子径D50(体積頻度分布基準)を測定した。
<測定条件>
測定温度:25℃
散乱角度:173°
分散質:ZrO2
分散媒:水
セル:純正ディスポセル
繰り返し回数:3(D50は3回の平均値)
【0043】
[粉末X線回折測定および解析]
各実施例・比較例で得られた研磨用分散液の100℃乾燥物をX線回折装置(「RINT2500」リガク製)で測定し、X線回折チャートを得た。Powder XRD, SmartLab Studio II (RIGAKU) でそのチャートの2θ=20~40°の範囲を解析し結晶子径および結晶相比を算出した。この算出には回折チャートの27.5~28.5°、29.5~30.5°および31.0~32.0°の範囲にピークトップが位置する3つのピークを対象とした。27.5~28.5°はm(-111)、29.5~30.5°はt(101)またはc(111)、31.0~32.0°はm(111)に帰属される。なお、上記のとおり、t(101)とc(111)のピークはt(101)のピークとして扱う。酸化ジルコニウムへの他元素固溶による格子定数の変化によって、このピーク角度が上記範囲から外れる場合、ピークがスプリットする場合があっても、上記結晶面に帰属することが妥当であれば本解析に供することができる。正方晶相比率は上記の解析で得られた各結晶面の回折ピーク強度Iに基づき、下記式より算出した。また、同様にして単斜晶相比率についても算出することができる。
【0044】
[粉末X線回折解析詳細]
SmartLab Studio II内のソフトウェアPowder XRDにおいて粉末X線回折測定データを読み込んだ後、ピーク処理を実行する。
ピークプロファイリング条件は以下の通り設定する。
ピークサーチ:チェックボックスON
前処理:カスタマイズ
方法:2次微分法
σカット値:3(明らかに視認されるピークが検出されない場合は、0.5~3の間で調整)
プロファイルフィッティング:チェックボックスON
ピーク形状:分割型擬Voigt関数
バックグラウンドタイプ:B-スプライン
フィッティング条件:自動
バックグラウンドを精密化する:チェックボックスON
結晶子径および結晶子径比の算出には、ピークリストタブで表示された結晶子サイズ(Å)の列に表示された値(( )書きの値は無視する。)を使用する。
正方晶比率の算出には、前記ピークリストタブで表示された積分強度(count°)の列に表示された値(( )書きの値は無視する。)を使用する。
正方晶相比率 (%) = It(101) / {It(101)+Im(-111)+Im(111)} ×100
測定装置:X線回折装置(リガク製、RINT2500)
線源:CuKα線源
管電圧:50kV
管電流:300mA
走査確度:2Θ=10~50°
走査速度:1°/分
【0045】
[研磨性能評価]
実施例、比較例の研磨用分散液を用いて、SiCウエハの研磨を行い、研磨速度、被研磨面の表面粗さRaを測定した。研磨速度の測定方法は、研磨前後の基板の重量を測定し、その差から算出した。研磨対象物の研磨後の被研磨面の表面粗さRaを視野角が5.0μm×5.0μmとなる条件で測定した。表面粗さRaは、JIS B 0601-2001に準じて、原子間力顕微鏡(AFM)(Bruker社製、Dimension Edge)を用いて測定した。
研磨条件は以下の通りとした。
基板(研磨対象物):4H-SiCウエハ 4インチ Si面 Off4度 ノンドープ(表面粗さRa約1Å)
研磨装置:片面研磨装置(ENGIS社製 EJ-380N)
研磨パッド:SUBA600 (ニッタデュポン)
研磨荷重:280g/cm2
定盤の回転速度:80rpm(線速度:9.5m/分)
研磨時間:2時間
研磨用組成物の供給速度:10mL/分
研磨対象物の測定面積:5.0μm×5.0μm(表面粗さ)
【0046】
[表面欠陥評価]
研磨対象物の研磨後の表面欠陥について、偏光顕微鏡(キーエンス、VHX-7100)を用いて視野1.0×1.0mmの範囲をランダムに5点測定した平均値により、以下の評価基準で評価を行った。
(評価基準)
◎:検出しない
○:0超1以下
△:1超2以下
×:2超
【0047】
(実施例1)
マントルヒーターで60℃に調整したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2換算で10質量%)8000gに対して、アンモニア水の滴下添加による中和を2段階に分けて行った。第1段階では25℃に調整したアンモニア水(10質量%)1104gを10分かけて滴下投入した。このとき、アンモニア水の液滴の容量は0.1~0.5mlの範囲となるように送液管の本数および滴下速度を調整した。その後、60分攪拌を継続した。その後、第2段階では25℃に調整したアンモニア水(10質量%)9936gを30分かけて滴下投入し、10分攪拌を継続して水酸化ジルコニウムの沈殿を得た。アンモニア水滴下中および滴下後の攪拌中もオキシ塩化ジルコニウム水溶液は初期温度±5℃以内を維持するように調整した。水酸化ジルコニウムを濾別し再びイオン交換水で分散する洗浄操作を繰り返し行った。前記操作は、Cl濃度が0.01%以下になるまで行った。洗浄後の水酸化ジルコニウムの濃度はZrO2換算で24.0質量%であった。得られた水酸化ジルコニウム3328gにイオン交換水4448g、および、硝酸(60質量%)224gを混合して、調製したスラリーをセパラブルフラスコに入れて攪拌しながら還流下100℃で120時間保持し、得られた酸化ジルコニウム前駆体を限外濾過を用いて精製することで、実施例1に係る酸化ジルコニウムゾルを得た。該ゾルのZrO2濃度は20%、pH3.3およびD50は51nmであった。また、該ゾルを乾燥して得た粉末の比表面積は175m2/gであった。次に、この酸化ジルコニウムゾル3000gに対して、イオン交換水952g、過マンガン酸カリウム48gを添加して30分攪拌し、研磨用分散液を得た。粉末X線回折測定および解析ならびに研磨性能評価は他の実施例および比較例を合わせて表1に示す。
【0048】
(実施例2)
マントルヒーターで75℃に調整したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2換算で10質量%)8000gを使用した以外は実施例1と同様にして水酸化ジルコニウムを得た。洗浄後の水酸化ジルコニウムの濃度はZrO2換算で22.8質量%であった。得られた水酸化ジルコニウム3512gにイオン交換水4264gを使用した以外は実施例1と同様に酸化ジルコニウムゾルを得た。該ゾルのZrO2濃度は20%、pH3.1およびD50は73nmであった。次に、この酸化ジルコニウムゾルを用いて実施例1と同様にして研磨用分散液を得た。
【0049】
(実施例3)
マントルヒーターで90℃に調整したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2換算で10質量%)8000gを使用した以外は実施例1と同様にして水酸化ジルコニウムを得た。洗浄後の水酸化ジルコニウムの濃度はZrO2換算で21.3質量%であった。得られた水酸化ジルコニウム3752gにイオン交換水4024gを使用した以外は実施例1と同様に酸化ジルコニウムゾルを得た。該ゾルのZrO2濃度は20%、pH3.4およびD50は95nmであった。次に、この酸化ジルコニウムゾルを用いて実施例1と同様にして研磨用分散液を得た。
【0050】
(実施例4)
マントルヒーターで75℃に調整したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2換算で10質量%)8000gを使用し、第2段階で25℃に調整したアンモニア水(10質量%)1104gを10分かけて滴下投入した後、90分攪拌を継続した以外は実施例1と同様にして水酸化ジルコニウムを得た。洗浄後の水酸化ジルコニウムの濃度はZrO2換算で22.9質量%であった。得られた水酸化ジルコニウム3496gにイオン交換水4280gを使用した以外は実施例1と同様に酸化ジルコニウムゾルを得た。該ゾルのZrO2濃度は20%、pH3.1およびD50は44nmであった。次に、この酸化ジルコニウムゾルを用いて実施例1と同様にして研磨用分散液を得た。
【0051】
(実施例5)
マントルヒーターで75℃に調整したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2換算で10質量%)8000gを使用し、第2段階で25℃に調整したアンモニア水(10質量%)9936gを30分かけて滴下投入した後、30分攪拌を継続した以外は実施例1と同様にして水酸化ジルコニウムを得た。洗浄後の水酸化ジルコニウムの濃度はZrO2換算で23.8質量%であった。得られた水酸化ジルコニウム3360gにイオン交換水4280gを使用した以外は実施例1と同様に酸化ジルコニウムゾルを得た。該ゾルのZrO2濃度は20%、pH3.3およびD50は43nmであった。次に、この酸化ジルコニウムゾルを用いて実施例1と同様にして研磨用分散液を得た。
【0052】
(実施例6)
マントルヒーターで75℃に調整したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2換算で10質量%)1000gを使用し、第2段階で25℃に調整したアンモニア水(10質量%)9936gを30分かけて滴下投入した後、60分攪拌を継続した以外は実施例1と同様にして水酸化ジルコニウムを得た。洗浄後の水酸化ジルコニウムの濃度はZrO2換算で23.2質量%であった。得られた水酸化ジルコニウム3448gにイオン交換水4328gを使用した以外は実施例1と同様に酸化ジルコニウムゾルを得た。該ゾルのZrO2濃度は20%、pH3.2およびD50は39nmであった。次に、この酸化ジルコニウムゾルを用いて実施例1と同様にして研磨用分散液を得た。
【0053】
(実施例7)
マントルヒーターで75℃に調整したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2換算で10質量%)1000gを使用し、第2段階で25℃に調整したアンモニア水(10質量%)9936gを30分かけて滴下投入した後、120分攪拌を継続した以外は実施例1と同様にして水酸化ジルコニウムを得た。洗浄後の水酸化ジルコニウムの濃度はZrO2換算で22.6質量%であった。得られた水酸化ジルコニウム3536gにイオン交換水4240gを使用した以外は実施例1と同様に酸化ジルコニウムゾルを得た。該ゾルのZrO2濃度は20%、pH3.3およびD50は34nmであった。次に、この酸化ジルコニウムゾルを用いて実施例1と同様にして研磨用分散液を得た。
【0054】
(比較例1)
25℃に調整したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2換算で10質量%)1000gを使用し、25℃に調整したアンモニア水(10質量%)11040gを40分かけて滴下投入した。このとき、アンモニア水の液滴の容量は0.1~0.5mlの範囲となるように送液管の本数および滴下速度を調整した。その後、10分攪拌を継続して水酸化ジルコニウムの沈殿を得た。洗浄後の水酸化ジルコニウムの濃度はZrO2換算で28.4質量%であった。得られた水酸化ジルコニウム2816gにイオン交換水4960gを使用した以外は実施例1と同様に酸化ジルコニウムゾルを得た。該ゾルのZrO2濃度は20%、pH3.3およびD50は72nmであった。次に、この酸化ジルコニウムゾルを用いて実施例1と同様にして研磨用分散液を得た。
【0055】
(比較例2)
実施例1と同様にして得た水酸化ジルコニウム3000gをコージェライト製のさやに充填して、バッチ式電気炉により、400℃で10時間保持し焼成し、酸化ジルコニウムを得た。その酸化ジルコニウム600g、イオン交換水1400gおよび60%硝酸12.0gの混合物を直径0.3mmの酸化ジルコニウム製の粉砕メディアを用いてビーズミルで粉砕し酸化ジルコニウムゾルを得た。該ゾルのZrO2濃度は20%、pH3.1およびD50は121nmであった。次に、この酸化ジルコニウムゾルを用いて実施例1と同様にして研磨用分散液を得た。
【0056】
(比較例3)
実施例1と同様にして得た水酸化ジルコニウム3000gをコージェライト製のさやに充填して、バッチ式電気炉により、1150℃で10時間保持し焼成し、酸化ジルコニウムを得た。その酸化ジルコニウム600g、イオン交換水1400gおよび60%硝酸5.0gの混合物を直径0.3mmの酸化ジルコニウム製の粉砕メディアを用いてビーズミルで粉砕し酸化ジルコニウムゾルを得た。該ゾルのZrO2濃度は20%、pH3.2およびD50は236nmであった。次に、この酸化ジルコニウムゾルを用いて実施例1と同様にして研磨用分散液を得た。
【0057】
【0058】
【0059】
表1、2に示すように、各実施例の研磨用分散液を用いた研磨では、研磨レート及び研磨後の表面の平滑性に優れるものであったことが分かる。また、各実施例では、いずれも表面欠陥もなく良好な研磨であったことが理解できる。また、正方晶相を含む実施例5~7では、いずれも正方晶相を含まない実施例2に比べて表面粗さが低くなっており、より平滑性に優れていたことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の研磨用分散液及び研磨用粉末は、SiCウエハ等の化学機械研磨(CMP)に使用することができ、半導体の製造プロセス等に利用することができる。
【要約】
単斜晶相を含有し単斜晶(-111)面と単斜晶(111)面の結晶子径の比((-111)面/(111)面)が0.50~0.95である酸化ジルコニウム及び研磨助剤を含む、研磨用分散液。本発明の研磨用分散液及び研磨用粉末は、SiCウエハ等の化学機械研磨(CMP)に使用することができ、半導体の製造プロセス等に利用することができる。