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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-18
(45)【発行日】2025-04-28
(54)【発明の名称】中性子検出装置、核物質検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 3/00 20060101AFI20250421BHJP
   G01T 1/22 20060101ALI20250421BHJP
【FI】
G01T3/00 H
G01T1/22
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024203049
(22)【出願日】2024-11-21
【審査請求日】2024-12-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592083915
【氏名又は名称】警察庁科学警察研究所長
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】田辺 鴻典
(72)【発明者】
【氏名】土屋 兼一
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0224052(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0276810(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0038551(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子が媒質中で発するチェレンコフ光を検出することによって中性子を検出する中性子検出装置であって、
前記媒質が設けられた検出槽と、
前記検出槽から発せられた前記チェレンコフ光を検出する光検出器と、
前記光検出器が前記チェレンコフ光を検出して得られるパルス出力より、予め定められた電子エネルギー閾値よりも高いエネルギーをもつ電子が前記検出槽で発する前記チェレンコフ光に対応した前記パルス出力を認識することによって、エネルギーの高い前記中性子を認識する解析部と、
を具備することを特徴とする中性子検出装置。
【請求項2】
前記電子エネルギー閾値は、前記中性子が前記検出槽で中性子捕獲反応を起こして形成される電子の最大エネルギーに対応したエネルギーであり、
前記解析部は、前記電子エネルギー閾値よりも高いエネルギーをもつ電子が前記検出槽で発する前記チェレンコフ光に対応した前記パルス出力を認識することによって、前記中性子が前記検出槽で非弾性散乱反応を起こす閾値エネルギー以上のエネルギーをもつ前記中性子を認識することを特徴とする請求項1に記載の中性子検出装置。
【請求項3】
前記媒質は16Oを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の中性子検出装置。
【請求項4】
前記検出槽において、前記媒質は12Cを含む物質で構成された筺体中に収容されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の中性子検出装置。
【請求項5】
試料に含まれる核物質を検知する核物質検知装置であって、
前記核物質に二次中性子を放出させるような一次中性子を前記試料に発する中性子源と、
請求項1又は2に記載の中性子検出装置と、
を具備し、
前記解析部は、前記電子エネルギー閾値よりも高いエネルギーをもつ電子が前記媒質中で発する前記チェレンコフ光に対応した前記パルス出力を認識することによって、前記試料における前記核物質の存在を検知することを特徴とする核物質検知装置。
【請求項6】
前記中性子源は、オン・オフが繰り返されるパルス状に前記一次中性子を発し、
前記解析部は、前記一次中性子がオンの場合の前記中性子検出装置の測定結果と前記一次中性子がオフの場合の前記中性子検出装置の測定結果の差分を用いて前記核物質の存在を検知、あるいは前記核物質の量を算出することを特徴とする請求項5に記載の核物質検知装置。
【請求項7】
前記媒質は水であり、前記中性子源としてDD中性子源が用いられ、前記電子エネルギー閾値を1.994MeVとすることを特徴とする請求項6に記載の核物質検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中性子を検出する中性子検出装置、これを用いた核物質検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
核兵器等の拡散を防止するため、例えば隠匿された核物質(あるいは核分裂性物質)を検知する技術が求められる。このため、例えば非特許文献1に記載されるような様々な技術が提案されている。この中で、物質透過性の高い中性子を被測定試料に照射し、被測定試料中の核物質から発せられた中性子を検出する閾エネルギー中性子解析(TENA:Threshold Energy Neutron Analysis)法が有効である。
【0003】
図12は、TENA法における測定の構成を単純化して示す図である。ここでは、中性子源90から発せられた中性子(一次中性子N1)が被測定試料100中に入射すると、被測定試料100中の核物質が一次中性子N1によって核分裂反応を起こし、これによって新たに中性子(二次中性子N2)が発生する。中性子検出器91は、被測定試料100から発せられた中性子を検出すると、この中性子としては、被測定試料100を透過した又は散乱された一次中性子N1と、被測定試料100で発生した二次中性子N2がある。二次中性子N2が認識された場合には、この二次中性子N2を発生させた核物質が被測定試料100中に存在すると認識される。
【0004】
中性子検出器91では、一次中性子N1、二次中性子N2は中性子として区別なく検出されるため、これらを区別できるような構成が要求される。このため、ここでは、中性子源90として、重水素同士の反応を利用したDD中性子源が用いられ、この場合には、一次中性子N1のエネルギーは2.45MeV(単色)となる。この場合における二次中性子N2のエネルギースペクトルの例を図13に示す。ここで、2.45MeV以下の低いエネルギーの成分には、一次中性子N1(あるいは散乱されて減速した一次中性子N1)に加えて二次中性子N2が含まれるのに対して、2.45MeVよりも高いエネルギーの中性子は一次中性子N1には含まれないため、2.45MeVよりも高いエネルギーの中性子を有意に認識できれば、被測定試料100中における核物質の存在を認識することができる。ただし、図13より、このような高エネルギー側の中性子の量は、低エネルギー側の中性子よりも少なく、その積分量は全体の30%である。このためには、中性子検出器91として、特定の高エネルギー領域(図13の例では2.45MeVよりも高いエネルギー)の中性子を高感度で検出できることが要求される。
【0005】
これに対して、中性子を検出できる中性子検出器としては、例えばHe検出器、10B検出器、Li検出器が知られており、これらにおいては、He、10B、Liの中性子の反応断面積が大きいことを利用している。また、γ線等と同様に、有機シンチレーション検出器(プラスチックシンチレーション検出器、液体シンチレーション検出器)も中性子の検出のために用いられる。この場合には、中性子の入射によって蛍光を発する物質が用いられる。また、例えば非特許文献2に記載された張力準安定性流体検出器(TMFD:Tension Metastable Fluid Detector)は、張力が付与された流体が中性子の入射によって突沸することを利用して、中性子を検出する。この張力の設定によって検出すべき中性子のエネルギーを設定することもできるため、前記のような2.45MeVよりも高いエネルギーの中性子を選択的に検出することもできる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】「核セキュリティ入門 第3回 核セキュリティのための核物質検知技術」、高橋佳之、小泉光生、日本原子力学会誌、Vol.62、No.8(2020年)
【文献】「Nondestructive and active interrogation system for special nuclear material: proof of principle and initial results」、Mahmoud Bakr、Kai Masuda、Yoshiyuki Takahashi、Tsuyoshi Misawa、Norio Yamakawa and Tomas Scott、Nuclear Science Technology、volume 35, article number 87, (2024)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
He、10B、Li等の中性子の反応断面積が大きな材料を用いた中性子検出器においては、熱中性子(エネルギー~0.025eV程度)に対するこれらの材料の反応断面積が大きいことを利用している。このため、高エネルギーの中性子を検出する際には、これを減速する必要があるが、この場合、図13に示されたような、2.45MeVよりも高いエネルギーの中性子を選択的に検出することは困難となった。また、プラスチックシンチレーション検出器や液体シンチレーション検出器等の有機シンチレーション検出器においては、弾性散乱反応を用いて主に高エネルギーの中性子(エネルギー~1MeV以上)の検出が可能であるが、弾性散乱反応の反応断面積の低さ故に、このような高エネルギーの中性子の検出効率が低いという問題があった。さらに、上記のHe、10B、Li等を用いた検出器と同様に、これら有機シンチレーション検出器においても、2.45MeVよりも高いエネルギーの中性子を選択的に検出することは困難となった。TMFDにおいては、高エネルギー中性子の選択的な検出を良好に行うことができるが、やはりその検出効率自身は低いため、高精度の測定を行うためには、長時間の測定を要した。
【0008】
このため、高エネルギーの中性子を高感度で選択的に検出することができる中性子検出装置、これを用いた高感度の核物質検知装置が求められた。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明は、中性子が媒質中で発するチェレンコフ光を検出することによって中性子を検出する中性子検出装置であって、前記媒質が設けられた検出槽と、前記検出槽から発せられた前記チェレンコフ光を検出する光検出器と、前記光検出器が前記チェレンコフ光を検出して得られるパルス出力より、予め定められた電子エネルギー閾値よりも高いエネルギーをもつ電子が前記検出槽で発する前記チェレンコフ光に対応した前記パルス出力を認識することによって、エネルギーの高い前記中性子を認識する解析部と、を具備する。
前記電子エネルギー閾値は、前記中性子が前記検出槽で中性子捕獲反応を起こして形成される電子の最大エネルギーに対応したエネルギーであり、前記解析部は、前記電子エネルギー閾値よりも高いエネルギーをもつ電子が前記検出槽で発する前記チェレンコフ光に対応した前記パルス出力を認識することによって、前記中性子が前記検出槽で非弾性散乱反応を起こす閾値エネルギー以上のエネルギーをもつ前記中性子を認識してもよい。
前記媒質は16Oを含んでもよい。
前記検出槽において、前記媒質は12Cを含む物質で構成された筺体中に収容されていてもよい。
本発明は、試料に含まれる核物質を検知する核物質検知装置であって、前記核物質に二次中性子を放出させるような一次中性子を前記試料に発する中性子源と、前記中性子検出装置と、を具備し、前記解析部は、前記電子エネルギー閾値よりも高いエネルギーをもつ電子が前記媒質中で発する前記チェレンコフ光に対応した前記パルス出力を認識することによって、前記試料における前記核物質の存在を検知する。
前記中性子源は、オン・オフが繰り返されるパルス状に前記一次中性子を発し、前記解析部は、前記一次中性子がオンの場合の前記中性子検出装置の測定結果と前記一次中性子がオフの場合の前記中性子検出装置の測定結果の差分を用いて前記核物質の存在を検知、あるいは前記核物質の量を算出してもよい。
前記媒質は水であり、前記中性子源としてDD中性子源が用いられ、前記電子エネルギー閾値を1.994MeVとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上のように構成されているので、高エネルギーの中性子(非弾性散乱反応の閾値エネルギー以上の中性子)を高感度で選択的に検出することができる中性子検出装置、これを用いた高感度の核物質検知装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る核物質検知装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る核物質検知装置において用いられる中性子検出器の構成を示す図である。
図3】中性子と16Oの各種反応の反応断面積の中性子エネルギー依存性を示す。
図4】入射した中性子のエネルギーを変えて、0.264MeVよりも高いエネルギーの電子のフラックスの時間経過を算出した結果である
図5】中性子と12Cの各種反応の反応断面積の中性子エネルギー依存性を示す。
図6】非弾性散乱を考慮した際の、中性子の入射によって検出槽で生成される電子のエネルギースペクトルを、中性子のエネルギーを変えて算出した結果である。
図7】非弾性散乱を考慮した際の、中性子の入射によって検出槽から検出されるチェレンコフ光の光子数のヒストグラムを、中性子のエネルギーを変えて算出した結果である。
図8】光検出器からのパルス出力に対する閾値を用いて高エネルギーの電子を認識する手法を模式的に示す図である。
図9】パルス状(パルス幅50μs)の中性子を試料に照射した際の、検出槽における1.994MeVよりも高いエネルギーの電子のフラックスの時間経過を、試料中における235Uの存在量毎に算出した結果である。
図10図9の中性子照射時(0~50μs)に生成された1.994MeVよりも高いエネルギーの電子の量を合計5s間分(10パルス分)積算した量と試料中における235Uの存在量を算出した結果(検量線)である。
図11】入射した中性子のエネルギーを変えて、0.264MeVよりも高いエネルギーの電子のフラックスの時間経過を、図4よりも短いタイムスケールで示した図である
図12】核物質検知方法の一例であるTENA法における測定の構成を単純化して示す図である。
図13】TENA法において中性子検出器に入射する二次中性子のエネルギースペクトルの例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係る核物質検知装置1は、図12と同様のTENA法によって核物質を検知する。図1は、この構成を簡略化して示す。ここでは、図12と同様に、一次中性子N1を試料100に向けて発する中性子源10、試料100から発せられた中性子(一次中性子N1及び二次中性子N2)を検出する中性子検出器20が用いられる。また、中性子検出器20の検出結果を解析することにより、高エネルギーの中性子を認識する、更にこれによって試料100中の核物質の有無等を認識するコンピュータである解析部30が用いられる。中性子源10としては、2.45MeVの単色の中性子をパルス状に制御して発することができるDD中性子源が特に好ましく用いられる。
【0014】
ここで用いられる中性子検出器20は、図13における高エネルギー側の中性子を低エネルギー側の中性子と区別して検出できる構成とされ、解析部30は、中性子検出器20の特性に応じて高エネルギー側の中性子を高感度で検出する。このため、ここでは中性子検出器20と解析部30が組み合わされて中性子検出装置40が構成される。この中性子検出装置40を核物質の検知と無関係に用いることもできる。
【0015】
以下では、まず、この中性子検出器20の構成、及びこれに中性子が入射した際に起こる現象について説明する。図2は、この中性子検出器20の構成を模式的に示す。この中性子検出器20においては、入射した中性子Nが検出槽21中で発するチェレンコフ光Cが検出される。このため、この中性子検出器20は、検出すべき中性子が入射する検出槽21と、この検出槽21への中性子の入射によって発生したチェレンコフ光を検出する光検出器22を具備する。
【0016】
検出槽21は、筺体211中に、中性子の入射に伴いチェレンコフ光を発する液体(媒質212)が収容されて構成される。光検出器22としては、可視光や紫外光等であるチェレンコフ光を1回の発光毎に検出してパルス状の出力(パルス出力)を発する、例えば光電子増倍管やシリコン光電子増倍素子(SiPM)等を用いることができる。なお、図2においては、単一の検出槽21に対して一つの光検出器22が用いられているが、チェレンコフ光を高効率で検出するため、実際には光検出器22を複数配置して用いることが好ましい。また、筐体211の内面には、チェレンコフ光の集光効率を高めるためにPTFEシート等の反射材を貼り付けることが好ましく、光検出器22の光受光部は、チェレンコフ光の透過率の高いUV透過アクリル等と境界面での反射を低減させる光学グリス等を介して媒質212に接続することが好ましい。
【0017】
ここでチェレンコフ光を発する媒質212としては、周知のように屈折率が1よりも大きなものが用いられるが、特に16Oを多く含む水が特に好ましく用いられる。また、筺体211は、入射する中性子及び発せられたチェレンコフ光(主に可視、紫外域の光)の透過率が高い材料で構成されることが好ましいが、ここでは、特に12Cを多く含む材料として、アクリル等の樹脂材料が特に好ましく用いられる。
【0018】
ここで、中性子の入射によってチェレンコフ光が発せられる過程は主に2つある。1つ目は中性子が媒質212や筐体211で減速(散乱)された後、水素原子核の中性子捕獲反応によりγ線が放出され、そのγ線の媒質212や筐体211中でのコンプトン散乱の結果、高エネルギーの電子が発生し、この電子の媒質212又は筐体211中の速度が、媒質212、筐体211中の光の速度を越えた場合である。2つ目は、中性子が媒質212又は筐体211中で非弾性散乱反応を起こすことでγ線が発生し、そのγ線の媒質212、筐体211中でのコンプトン散乱の結果、高エネルギーの電子が発生し、この電子の媒質212、筐体211中の速度が、媒質212、筐体211中の光の速度を越えた場合である。いずれの場合も発せられた光子が光検出器22で検出され、前記のパルス出力が得られる。この場合、光検出器22で得られる前記のパルス出力のパルス波高やパルス面積は、この際の光子の数あるいは発光強度に対応する。この発光強度は、チェレンコフ光を発した高エネルギー電子のエネルギーに依存する。
【0019】
ここで、中性子のエネルギーが高い場合(16Oや12Cによる中性子の非弾性散乱の反応閾値以上のエネルギーである場合)には、16Oや12Cによる中性子の非弾性散乱によって特に高エネルギーの電子が発生する。この中性子検出装置40では、特に高いエネルギー(16Oや12Cによる中性子の非弾性散乱の反応閾値以上のエネルギー)の中性子が入射した場合に、このような高エネルギーの電子によるチェレンコフ光が光検出器22で検出され、これら非弾性散乱反応が閾値反応であることを利用して、高エネルギーの中性子(非弾性散乱の反応閾値エネルギー以上の中性子)を選択的に認識する。以下にこの点について説明する。
【0020】
ここで、媒質212、筐体211中でチェレンコフ光を発生させるのは、中性子によって生成された、チェレンコフ光を発生させるだけのエネルギーをもつ電子である。媒質212が水である場合には、このようにチェレンコフ光を発生させる電子のエネルギーの閾値は0.264MeVとなる。また、筐体211がアクリルである場合には、このようにチェレンコフ光を発生させる電子のエネルギーの閾値は0.178MeVとなる。このため、このような電子の生成の状況を主として、以下に説明する。
【0021】
まず、上記の非弾性散乱が発生しない程度の低エネルギーの中性子が上記の媒質212(水)や筐体211(アクリル)に入射した場合における、チェレンコフ光の発生に至るメカニズムについて説明する。この場合には、中性子が水中やアクリル中で減速されて水素原子核に捕獲される際に、捕獲γ線(エネルギー2.223MeV)が発せられる。このγ線の水中やアクリル中でのコンプトン散乱によって最大エネルギーが1.994MeVの電子が生成される。このエネルギーは前記の0.264MeVや0.178MeVよりも高いため、この電子によってチェレンコフ光が発せられ、これが光検出器22で検出される。これにより、中性子の入射を検出することができる。
【0022】
図3は、中性子(n)と16Oの各種反応((n、α)等と記載)の反応断面積(σ)の中性子エネルギー依存性を示す(出典:核データ研究グループ(日本原子力研究開発機構)HP(JENDL-5)より:https://wwwndc.jaea.go.jp/jendl/j5/fig3/n_008-O-016_f3.jpgを改変)。非弾性散乱の反応断面積σは、図示されるように、中性子のエネルギーに対する閾値を6.43MeVとし、これよりも低いエネルギーでは零であり、これよりも高エネルギー側で大きくなっている。
【0023】
この非弾性散乱によって、前記の捕獲γ線よりもよりエネルギーの高いγ線が発せられ、前記と同様に、このγ線のコンプトン散乱によって高エネルギーの電子が発生する。この電子のエネルギーとして、γ線のエネルギーに対応して、前記の中性子捕獲反応の際の1.994MeVよりも高いものが含まれる。従って、この電子によって発生するチェレンコフ光の発光強度として、前記の中性子捕獲反応の場合(非弾性散乱がない場合)におけるチェレンコフ光の発光強度よりも高いものが含まれる。このため、このような1.994MeVよりも高いエネルギーの電子が存在することは、16Oによる中性子の非弾性散乱があったことを意味する。この非弾性散乱を発生させる中性子のエネルギーの閾値(前記の6.43MeV)は、図13におけるAで示され、これは、検出すべき2.45MeVよりも高いエネルギーの中性子(二次中性子N2)に対応する。
【0024】
図4は、図3の特性を考慮して、中性子の入射直後から生成された、チェレンコフ光を発生しうる0.264MeVよりも高いエネルギーをもつ電子のフラックス(電子数密度)の時間分布を計算した結果である。ここで、中性子の入射時刻を時間0sとし、中性子のエネルギーを2.45MeV、6.5MeV、8.5MeV、14.1MeVとしている。また、筺体211の内部容積(媒質212となる水の体積)は、30cm×30cm×30cmとし、筺体211は5mm厚のアクリル板で構成されるものとした。この結果より、中性子のエネルギーが前記の6.43MeVよりも低い場合は、入射直後の時間(約0.5μs以内)において、このフラックスが少ないのに対して、エネルギーが6.43MeV以上となると、このフラックスが増大することが確認できる。このような高エネルギーの電子は、発光強度が大きなチェレンコフ光として認識することができる。なお、中性子捕獲反応に起因した電子の発生は、中性子の入射から、高エネルギー中性子が熱化するための減速時間分だけ遅れるため、図4に示す入射直後(約0.5μs以内)にはほとんど表れない。
【0025】
図5は、12Cに対する図3と同様の特性を示す(出典:核データ研究グループ(日本原子力研究開発機構)HP(JENDL-5)より:https://wwwndc.jaea.go.jp/jendl/j5/fig3/n_006-C-012_f3.jpgを改変)。この場合の中性子のエネルギーの閾値は4.812MeVとなる。この閾値となるエネルギーも、図13における2.45MeVよりも高いため、前記の16Oの場合と同様に、12Cによる非弾性散乱によって発生した高エネルギー電子を図13における2.45MeVよりも高いエネルギーの中性子の識別に用いることができる。この閾値エネルギーである4.812MeVは、図13におけるBで示される。
【0026】
図1において、中性子検出器20に入射する一次中性子N1の成分は上記の非弾性散乱を起こさず、二次中性子N2の成分は上記の非弾性散乱を起こす。このため、中性子の入射により1.994MeVよりも高いエネルギーの電子が発生した場合には、この中性子は二次中性子N2であると推定できる。すなわち、図1の構成において、解析部30が、このような高エネルギー電子によるチェレンコフ光を認識した場合には、試料100に核物質が存在すると推定することができる。
【0027】
上記の点を考慮して、図2の検出槽21において、特定のエネルギーの中性子の入射により生成される電子のエネルギースペクトル(電子のエネルギーとフラックスの関係)を算出した。ここで、筺体211の内部容積(媒質212となる水の体積)は、30cm×30cm×30cmとし、筺体211は5mm厚のアクリル板で構成されるものとした。図6は、エネルギーを(1)2.45MeV、(2)6.4MeV、(3)6.5MeVの単色の中性子を入射させた場合、及び(4)252Cfから自発核分裂により発せられる中性子のエネルギースペクトル(核分裂性物質から放出される核分裂中性子と同様の連続的な分布)をもつ中性子を入射させた場合における、この算出結果である。(1)2.45MeVは、一次中性子N1のエネルギーに対応する。
【0028】
この結果より、(1)~(4)の結果において、1.994MeV以下の分布は、ほぼ重複する。この1.994MeVという値は、中性子の水素原子核による捕獲の際に発生する捕獲γ線のコンプトン散乱によって生成される電子の最大エネルギーに対応する。また、1.994MeVよりもエネルギーの大きな領域では、(2)~(4)においては電子の存在が有意に認められるのに対し、(1)では認められない。このため、1.994MeVよりも大きなエネルギーの電子の発生は前記の中性子の非弾性散乱に起因し、非弾性散乱を起こさない一次中性子N1(1)によって生成された電子と識別することが可能である。
【0029】
また、6.4MeV(2)は、前記の12Cの非弾性散乱に対する中性子のエネルギーの閾値(4.812MeV)よりも大きいが、16Oの非弾性散乱に対する中性子のエネルギーの閾値(6.43MeV)よりも小さく、6.5MeV(3)は、このどちらの閾値よりも大きい。このため、図6において、約4.2MeV以上で、(2)と(3)の結果が乖離しているが、この差は、主に16Oによる非弾性散乱の影響を反映する。(4)においては、中性子のエネルギーがこれらの閾値を含む範囲で連続的に分布しているため、1.994MeVよりもエネルギーの大きな領域では(3)に近い緩やかな分布が得られている。
【0030】
以上の結果より、電子のエネルギーが1.994MeVよりも大きな領域では、12Cによる非弾性散乱、16Oによる非弾性散乱のどちらの影響も、中性子の入射後に生成される電子のエネルギー分布に反映される。すなわち、検出される対象となる電子のエネルギーに対する閾値(電子エネルギー閾値)を1.994MeVとし、これよりも高いエネルギーの電子は中性子の非弾性散乱によって発生した、すなわち、この場合は4.812MeV(あるいは6.43MeV)以上のエネルギーの中性子が入射したと推定できる。
【0031】
上記において算出されたのは、中性子の入射後に検出槽21で生成される電子のエネルギースペクトル(フラックスとエネルギーの関係)であったが、実際に観測されるのは、この電子自身ではなく、この電子によって発生するチェレンコフ光である。このため、光検出器22として、口径6.35cmの光電子増倍管を前記と同様の検出槽21の上面に4個設置した際に、中性子の入射毎に検出される光子数(発光強度)を算出した。この結果は、光検出器22で検出された光の発光強度のヒストグラムに対応する。図7は、エネルギーが(5)2.45MeV、(6)6.0MeV、(7)8.0MeV、(8)10MeVの単色の中性子(10個)の入射後に検出される上記の光子数(発光強度)の分布を算出した結果である。図6の結果を反映して、中性子のエネルギーが大きいほど発光強度が高い側に広がった分布が得られている。この結果より、例えば光子数40個程度を閾値として、これよりも光子数の多い側で有意に発光が検出された場合には、前記のような非弾性散乱に起因する高エネルギー電子が存在したと認識することができる。このような高エネルギー電子の存在は、図1において試料100から二次中性子N2(核分裂中性子)が発せられた、すなわち、試料100に核物質が存在することを意味する。
【0032】
図7は、一定の測定期間内において光検出器22で多数の発光を検出して得られる発光強度のヒストグラムに対応したが、光検出器22で1回の発光を検出して得られるパルス出力からも、上記の判定を行うことができる。図8は、この状況を模式的に示す図である。ここでは、光検出器22からのパルス出力(電圧)P1、P2が得られているものとする。前記の1回の発光の光子数は、このパルス出力P1、P2のパルス高あるいはパルス面積に対応する。ここで、パルス高を用いてこの判定を行う場合、前記の光子数の閾値(40個程度)に対応して、パルス高に対する閾値PHTを設定すれば、パルス高PH2がPHTを越える(発光強度が大きい)パルス出力P2は前記の高エネルギー電子に対応する(核物質が存在する)と推定できる。以上においてはパルス高を用いた識別について説明されたが、パルス面積を用いても同様に閾値を設定してこの識別を行うことができる。このようなパルス高やパルス面積は1回の発光の発光強度(1回の発光における光子数)に対応する。図7の結果より、この発光強度はこれを発生させた電子のエネルギーに対応する。すなわち、高エネルギーの中性子の存在は、これによって生成された高エネルギーの電子が発する高強度の発光によって検出することができる。
【0033】
なお、上記の光子数やパルス出力のパルス高は測定条件や光検出器22の出力回路等に依存するため、条件に応じて適宜設定できる。この際には、例えば標準試料(核物質のない場合、ある場合)を用いて測定を行い、これによって上記のような発光強度やパルス高に対する判定の閾値を適宜設定することができる。
【0034】
上記においては、試料100における核物質の有無の判定が上記の原理で行えることが示された。次に、試料100における核物質の存在量の推定を行うこと(定量分析)についても、同様にシミュレーションによって調べた結果について説明する。
【0035】
図9は、前記のような2.45MeVの単色の中性子をパルス状(パルス幅50μs)で一次中性子N1として試料100に対して照射した際の、検出槽21における高エネルギー(図6における電子エネルギー閾値である1.994MeVよりも高いエネルギー)の電子のフラックスの時間経過を算出した結果である。ここで、試料100は濃縮度93%の高濃縮ウラン試料とし、試料100中において235Uの存在量が(9)0g、(10)50g、(11)100g、(12)300g、(13)500gの場合について、一次中性子N1がオンの期間(0~50μs)からオフの期間(50~100μs)にかけての結果を算出した。この結果より、一次中性子N1のオン・オフに同期して高エネルギー電子が生成され、その生成量には、明確にウランの存在量に対する依存性があることが確認できる。
【0036】
このようにパルス状の一次中性子N1を用いた場合には、1.994MeVよりもエネルギーの高い高エネルギー電子の生成数として、例えば、一次中性子N1がオンの場合における生成数のみを用いることができる、あるいは一次中性子N1がオンの場合における生成数と一次中性子N1がオフの場合における生成数との間の差分を用いることにより、バックグラウンド等の影響を低減したより高精度な生成数を得ることができる。図10は、図9の結果における一次中性子N1がオンの期間(0~50μs)の電子の生成数の積分値を合計5s間分(10パルス分)積算したものを縦軸、235Uの存在量を横軸として示した結果(検量線)である。一次中性子N1の照射数は1sあたり10個とした。この結果より、両者は良好な比例関係にあり、上記の手法によれば、核物質の有無だけでなく、核物質の定量分析も行うことができることがシミュレーションによって示された。図10においては、縦軸が(高エネルギー)電子の生成数であるが、前記のように、実際にはこれは光検出器22で認識された発光強度あるいはその分布の一部として認識できる。このため、実際には、例えば、一次中性子N1がオンの期間の光強度の積分値や、この期間における一定値以上の発光強度のイベント数等を、電子の生成数の代わりに図10の縦軸として用いた検量線を得ることができる。この場合、前記のように検出される光強度は測定条件等によって変わるため、例えば標準試料を用いてこの検量線を作成することができる。
【0037】
図9においては、一次中性子N1がパルス状に発せられ、一次中性子N1がオンの期間とオフの期間が明確に識別できるものとした。この場合、例えば前記のようにパルスがオンの期間の平均生成数(または積分値)とパルスがオフの期間の平均生成数(または積分値)の差分を、定量化のために用いる電子の生成数(図10の縦軸に対応)として、定量分析の精度を高めることができる。また、パルス幅を一定として一次中性子N1が繰り返し発せられる構成とすれば、図9における周期毎のパルスがオンの期間、オフの期間の結果を積分することによって、各期間における測定結果の統計的誤差を小さくすることができるため、特に定量の精度を高めることができる。さらに、定常的に一次中性子N1を発する中性子源を用いた場合にも、あらかじめ核物質が存在しない場合(つまりは2.45MeVの中性子のみが中性子検出器に入射する場合)の生成数を把握しておくことで、それに比べ核物質が存在する場合に有意な生成数の増加を認識することで核物質の検知が可能となり、上記生成数の増加量から核物質量の定量も可能となる。すなわち、中性子源10として、定常的な(時間的に強度が一定である)、またはパルス状の一次中性子N1を発するものが定量分析の場合には特に有効である。
【0038】
図11は、図4の結果(中性子によって発生した電子フラックスの時間経過)を、より短いタイムスケールで拡大した結果である。前記のように、ここで6.5MeV以上のエネルギーの中性子によって発生した電子は主に中性子の非弾性散乱によって生成される。ここで示されるように、この電子は主に入射(原点)から10ns以内の短時間で生成される。このため、上記のように一次中性子N1をパルス状とした場合には、その遷移時間は10ns以上であればよく、こうしたパルス状の一次中性子N1を用いることによって、上記の測定を高精度で行うことができる。
【0039】
一方、図9の結果においては、235Uの存在量が多い場合には、オフの期間における電子の生成数は、オンの期間における電子の生成数と比べて無視できるため、オフの期間の測定結果を用いずに同様の結果を得ることもできる。また、バックグラウンド成分に対応する一定値を予め設定し、この一定値との間の差分を用いて、定量分析を行うこともできる。この場合、一次中性子N1がパルス状でなく上述したように連続的(または定常的に)に発せられていてもよい。この場合、中性子源10として、連続的(または定常的)に一次中性子N1を発するDD中性子源を用いることもできる。また、上記では核物質の例として235Uの結果について述べたが、235U同様に中性子の照射により核分裂反応を起こす核物質や核分裂性物質である239Pu、233U、241Am、237Np、243Am等についても、有無の判定や存在量の推定(定量分析)が同様に可能であることは明らかである。
【0040】
更に、上記の例では一次中性子N1として2.45MeVの単色の中性子が用いられるものとしたが、上記のような4.812MeV(あるいは6.43MeV)以上のエネルギーの中性子によるチェレンコフ光の検出結果を、これよりもエネルギーの低い非弾性散乱を起こさないエネルギーの中性子によるチェレンコフ光の検出結果から有意に区別することができる限りにおいて、一次中性子N1として、単色の中性子が用いられる必要はない。すなわち、同様の解析手法が適用できる限りにおいて、DD中性子源以外の中性子源を用いてもよい。
【0041】
上記の構成において用いられるのは、中性子によって発せられるチェレンコフ光を検出する中性子検出装置と、上記の解析によって高エネルギーの中性子あるいは核物質を検知する解析部である。ここで、この中性子検出装置の構成は、従来より知られているものと同様であり、ここで16Oや12Cを用いることについても同様であり、非特許文献1、2に記載の技術等と比べて、これによって中性子を高感度で検出できることは明らかである。
【0042】
また、上記の構成では、非弾性散乱によって発生した高エネルギー電子を検出するため、従来のHe、10B、Li等の中性子捕獲反応を用いた中性子検出器と異なり、高エネルギー中性子の検出に減速材は不要である。このため、上記の核物質検知装置を小型化、軽量化することが容易であり、これを運搬して様々な箇所で測定を行うこともできる。
【0043】
一方、上記の解析に要する処理時間は短く、上記の解析によって高エネルギーの中性子、核物質を検知する解析部は、通常のコンピュータを用いて容易に実現することができる。すなわち、前記の核物質検知装置1を容易に得ることができる。
【0044】
また、16Oや12Cに対する場合に限らず、中性子の非弾性散乱には中性子のエネルギーに対しては閾値が存在するため、このような非弾性散乱を起こす元素(核種)を適宜検出槽21(媒質212、筺体211)に添加することによって、同様の原理によって高エネルギー電子(高エネルギー中性子)を検出することができる。これに応じて、前記の一次中性子のエネルギー(2.45MeV)や、電子エネルギー閾値等も、適宜設定される。
【0045】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0046】
1 核物質検知装置
10、90 中性子源
20、91 中性子検出器
21 検出槽
22 光検出器
30 解析部
40 中性子検出装置
100 試料
211 筺体
212 媒質
C チェレンコフ光
N 中性子
N1 一次中性子
N2 二次中性子
【要約】
【課題】高エネルギーの中性子を高感度で検出することができる中性子検出装置、これを用いた高感度の核物質検知装置を得る。
【解決手段】この核物質検知装置1は、TENA法によって核物質を検知する。一次中性子N1を試料100に向けて発する中性子源10、試料100から発せられた中性子(一次中性子N1及び二次中性子N2)を検出する中性子検出器20が用いられる。また、中性子検出器20の検出結果を解析することにより、高エネルギーの中性子を認識する解析部30が用いられる。中性子のエネルギーが高い場合には、16Oや12Cによる中性子の非弾性散乱によって特に高エネルギーの電子が発生する。この中性子検出装置40では、特に高いエネルギーの中性子が入射した場合に、このような高エネルギーの電子によるチェレンコフ光が光検出器で検出されることを利用して、高エネルギーの中性子を認識する。
【選択図】図1
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