(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-18
(45)【発行日】2025-04-28
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20250421BHJP
E02F 9/08 20060101ALI20250421BHJP
【FI】
E02F9/00 K
E02F9/08 Z
(21)【出願番号】P 2022087550
(22)【出願日】2022-05-30
【審査請求日】2024-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【氏名又は名称】森 昌康
(74)【代理人】
【識別番号】100175628
【氏名又は名称】仁野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】村井 雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 啓伍
【審査官】田所 彩花
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0251282(US,A1)
【文献】米国特許第9039344(US,B1)
【文献】特許第6738750(JP,B2)
【文献】特開2016-188557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 1/00-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両の高さに沿う高さ方向に延びる第1内フレームと、
前記高さ方向に垂直で、前記作業車両の幅に沿う幅方向において前記第1内フレームに対向し、前記高さ方向に延びる第1外フレームと、
前記第1内フレームと前記第1外フレームとを接続し、第1開口を含む第1接続フレームと、
を含む車体フレームと、
前記幅方向に延びる第1回転軸線周りに回動可能に前記第1内フレームと前記第1外フレームとに接続される第1アーム組立体と、
前記幅方向に延びる第2回転軸線周りに回動可能に前記第1内フレームと前記第1外フレームとに接続されて前記第1開口を通るように配置され、前記第2回転軸線に対する径方向に延びる第1シリンダ中心軸に沿う長さを変えることによって前記第1アーム組立体を駆動するように構成される第1アームシリンダと、
前記第1接続フレーム上に設けられ、前記第1シリンダ中心軸の周りの、前記第1アームシリンダの外周を取り囲み、前記第1開口を覆う第1カバーと、
を備え、
前記第1内フレームは、前記第1接続フレームよりも前記高さ方向上方に設けられる第1内突出部を含み、
前記第1外フレームは、前記第1接続フレームよりも前記高さ方向上方に設けられる第1外突出部を含み、
前記第1カバーは、前記第1内突出部と、前記第1外突出部と、前記第1接続フレームとに案内されて摺動可能である、
作業車両。
【請求項2】
前記第1カバーは、弾性部材のシートから成る、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記第1カバーは、
前記第1アームシリンダが貫通する第1シリンダ挿通孔と、
前記第1カバーの前記シートの端から前記第1シリンダ挿通孔まで延びる第1シリンダ挿通切込と、
を有し、
前記作業車両は、前記第1アームシリンダの前記外周と、前記第1シリンダ挿通孔の周りの前記第1カバーの前記弾性部材とを締結する第1クランプをさらに備える、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記第1アームシリンダに接続し、前記第1開口を貫通する少なくとも1つの第1アームシリンダ油圧ホースをさらに備え、
前記第1カバーは、
前記少なくとも1つの第1アームシリンダ油圧ホースが貫通する第1ホース挿通孔と、
前記第1カバーの前記シートの端から前記第1ホース挿通孔まで延びる第1ホース挿通切込と、
を有する、請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記第1アーム組立体によって揺動可能に支持される作業具と、
前記第1アーム組立体に対して前記作業具を傾けるように構成される第1作業具シリンダと、
前記第1作業具シリンダに接続し、前記第1開口を貫通する少なくとも1つの第1作業具シリンダ油圧ホースと、
をさらに備え、
前記第1カバーは、
前記第1内フレームに当接可能な第1内縁と、
前記第1内縁から凹んだ第1凹部と、
をさらに有し、
前記少なくとも1つの第1作業具シリンダ油圧ホースは、前記第1凹部を通るように配置される、請求項2から4のいずれかに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、アームを上下方向に動かす油圧シリンダの周囲を覆い、デブリが油圧シリンダを貫通させる貫通孔から侵入することを抑止するフレキシブルなブーツを備える作業車両を記述している。特許文献2は、車体フレームの側方パネルに外気を取り込み可能な開口がある作業車両を記述している。特許文献3は、車体フレームの側方パネルに開けられた開口を塞ぐ蓋プレートを記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2012/0251282号
【文献】米国特許第9039344号
【文献】特許第6738750号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1の課題は、特許文献1の方法では、ブーツの周囲にある多数のファスナー(取付けボタン)を留めなければならないため、取付けが困難であるということである。
【0005】
第2の課題は、特許文献2、3のいずれも、開口を油圧シリンダから遠い位置に設けられており、開口を油圧シリンダの周辺の清掃に利用できないことである。油圧シリンダの回転軸の周辺にデブリがたまると、油圧シリンダの回動の際にデブリが邪魔となり移動を阻害するばかりでなく、油圧シリンダを損傷してしまう恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る作業車両は、車体フレームと、第1アーム組立体と、第1アームシリンダと、第1カバーとを備える。車体フレームは、第1内フレームと、第1外フレームと、第1接続フレームとを含む。第1内フレームは、作業車両の高さに沿う高さ方向に延びる。第1外フレームは、高さ方向に垂直で、作業車両の幅に沿う幅方向において第1内フレームに対向し、高さ方向に延びる。第1接続フレームは、第1内フレームと第1外フレームとを接続し、第1開口を含む。第1アーム組立体は、幅方向に延びる第1回転軸線周りに回動可能に第1内フレームと第1外フレームとに接続される。第1アームシリンダは、幅方向に延びる第2回転軸線周りに回動可能に第1内フレームと第1外フレームとに接続されて第1開口を通るように配置され、第2回転軸線に対する径方向に延びる第1シリンダ中心軸に沿う長さを変えることによって第1アーム組立体を駆動するように構成される。第1カバーは、第1接続フレーム上に設けられ、第1シリンダ中心軸の周りの、第1アームシリンダの外周を取り囲み、第1開口を覆う。第1内フレームは、第1接続フレームよりも高さ方向上方に設けられる第1内突出部を含む。第1外フレームは、第1接続フレームよりも高さ方向上方に設けられる第1外突出部を含む。第1カバーは、第1内突出部と、第1外突出部と、第1接続フレームとに案内されて摺動可能である。
【0007】
本開示の第2態様に係る作業車両は、車体フレームと、第1サイドカバーと、第1アーム組立体と、第1アームシリンダとを備える。車体フレームは、第1内フレームと、第1外フレームと、第1接続フレームとを含む。第1内フレームは、作業車両の高さに沿う高さ方向に延びる。第1外フレームは、高さ方向に垂直で、作業車両の幅に沿う幅方向において第1内フレームに対向し、高さ方向に延びる。第1接続フレームは、第1内フレームと第1外フレームとを接続し、第1開口を含む。第1サイドカバーは、第1外フレームに着脱可能である。第1アーム組立体は、幅方向に延びる第1回転軸線周りに回動可能に第1内フレームと第1外フレームとに接続される。第1アームシリンダは、幅方向に延びる第2回転軸線周りに回動可能に第1内フレームと第1外フレームとに接続されて第1開口を通るように配置され、第2回転軸線に対する径方向に延びる第1シリンダ中心軸に沿う長さを変えることによって第1アーム組立体を駆動するように構成される。第1外フレームは、第1内フレームと第1外フレームとの間の第1内部空間と、第1外フレームに対して第1内部空間と反対の第1外部空間とを連通する第2開口を含む。内フレームは、第1内部空間と、第1内フレームに対して第1内部空間と反対のエンジン室とを連通する少なくとも1つの第3開口を含む。第2開口は、幅方向に見てアームシリンダと重畳する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の第1態様に係る作業車両では、第1アームシリンダを貫通させる第1開口からデブリが侵入することを抑止する第1カバーを備え、さらにその第1カバーの取り付けが容易である。本開示の第2態様に係る作業車両は、外気のエンジン室の取り入ればかりでなく、油圧シリンダの周辺の清掃にも活用できる第1サイドカバーを備えている。このような作業車両は、上部からデブリが侵入しやすいマルチャー作業(若木、灌木、樹木等を細かくしてチップを生成する作業)をする際に、油圧シリンダの中心軸の周辺を覆う第1カバーと、車体フレーム側面に空気取り込みの第1サイドカバーとを設け、側方からデブリが侵入しやすい作業においては、第1カバーを取り外して第1サイドカバーの代わりに蓋プレートを取り付けることによって側方からのデブリの侵入を抑止することが求められる多用途の作業車両にさらに有利である。ただし、多用途の作業車両に限らず、単に、第1アームシリンダを貫通させる貫通孔からデブリが侵入することを抑止する目的のみ、外気の取り入れと第1アームシリンダの周辺の清掃とのみを目的とする作業車両にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】
図3は、作業車両の一部を作業車両の前端から後方に向かって見たときの図である。
【
図4】
図4は、作業車両の一部の上面拡大図である。
【
図5】
図5は、作業車両の一部の上面拡大図である。
【0010】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、図中において同じ符号は、対応するまたは実質的に同一の構成を示している。
<実施形態>
<全体構成>
【0011】
図1及び
図2を参照すると、作業車両1、例えばコンパクトトラックローダは、車体フレーム2と、一対の走行装置3と、作業装置4とを備えている。車体フレーム2は、走行装置3、及び、作業装置4を支持する。図示の実施形態では、走行装置3は、履帯式の走行装置である。このため、一対の走行装置3のそれぞれは、油圧モータ装置30によって駆動される駆動輪31、従動輪32、33、及び、転輪34を含む。ただし、一対の走行装置3のそれぞれは、履帯式走行装置に限定されない。一対の走行装置3のそれぞれは、例えば、
図14に示されるように、前輪/後輪走行装置であってもよいし、前輪と後部クローラとを有する走行装置であってもよい。作業装置4は、作業装置4の末端(distal end)に作業具(work implement)41を含む。
図1及び
図2では作業具41がバケットとして図示されているが、作業具41は、バケットに限らず、マルチャー作業に利用される樹木粉砕機器であることがより好ましい。作業装置4の基端(proximal end)は、車体フレーム2の後部に取り付けられている。作業装置4は、作業具ピボット軸43を介して作業具41を揺動可能に支持するための一対のアーム組立体(arm assembly)42を含む。一対のアーム組立体42のそれぞれは、リフトリンク44とアーム45を含む。
【0012】
リフトリンク44は、支点軸(fulcrum shaft)46の周りで車体フレーム2に対して回転可能である。アーム45は、ジョイント軸(joint shaft)47の周りでリフトリンク44に対して回転可能である。作業装置4は、複数のアームシリンダ48と少なくとも1つの作業具シリンダ(work implement cylinder)49とをさらに含む。複数のアームシリンダ48のそれぞれは、車体フレーム2およびアーム45に幅方向D
Wに延びる第2回転軸線A
X48周りに回動可能に接続され、作業具41を昇降させる。少なくとも1つの作業具シリンダ49は、一対のアーム組立体42に対して作業具41を傾けるように構成される。車体フレーム2は、キャビン5を含む。キャビン5は、開閉自在な前窓51を備え、キャブフレーム53によってその外形が定義される。前窓51は、省略されてもよい。作業車両1は、キャビン5内に運転席54を含む。キャブフレーム53は、
図2に示されるように、車体フレーム2上の回転シャフト(rotational shaft)RSL及びRSR周りに回転可能である。
図1及び
図2では、回転シャフトRSL及びRSRによって規定される共通の旋回軸(pivot)A
XCを図示している。つまり、キャブフレーム53は、車体フレーム2に対して旋回軸A
XC周りに回動可能に取り付けられている。
【0013】
なお、本願に係る実施形態において、前後方向DFB(前方向DF/後方向DB)とは、キャビン5の運転席54に着座したオペレータから見て前後方向(前方向/後方向)を意味する。左方向DL、右方向DR、幅方向DWとは、当該オペレータから見てそれぞれ、左方向、右方向、左右方向を意味する。上方向DU、下方向DD、高さ方向DHとは、当該オペレータから見て上方向、下方向、高さ方向を意味する。高さ方向DHは、作業車両1の高さに沿う。作業車両1の前後/左右(幅)/上下(高さ)方向とは、それぞれ、当該オペレータから見た前後/左右(幅)/上下(高さ)方向と一致するものとする。幅方向DWは、高さ方向DHに垂直で、作業車両1の幅に沿う。前後方向DFBは、高さ方向DHと幅方向DWに対して垂直である。
【0014】
図1は、作業車両1の左側を示している。
図2に示すように、車体フレーム2は、車体中央面Mに対して概ね面対称である。一対の走行装置3のうち、左側に設けられた走行装置3が第1走行装置3Lとして、右側に設けられた走行装置3が第2走行装置3Rとして示されている。一対のアーム組立体42のうち、車体中央面Mに対して左側に設けられるアーム組立体42が第1アーム組立体42Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるアーム組立体42が第2アーム組立体42Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるリフトリンク44が第1リフトリンク44Lとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるアーム45が第1アーム45Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるアーム45が第2アーム45Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられる支点軸46が第1支点軸46Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられる支点軸46が第2支点軸46Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるジョイント軸47が第1ジョイント軸47Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるジョイント軸47が第2ジョイント軸47Rとして示されている。油圧モータ装置30のうち、車体中央面Mに対して左側に設けられる油圧モータ装置30が第1油圧モータ装置30Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられる油圧モータ装置30が第2油圧モータ装置30Rとして示されている。
図1において、複数のアームシリンダ48のうち、車体中央面Mに対して左側に設けられるアームシリンダ48が第1アームシリンダ48Lとして示されている。第1アームシリンダ48Lは、第2回転軸線A
X48に対する径方向に延びる第1シリンダ中心軸A
XCYLに沿う長さを変えることによって第1アーム組立体42Lを駆動して、作業具41を昇降させる。
図2において、少なくとも1つの作業具シリンダ49のうち、車体中央面Mに対して左側に設けられる作業具シリンダ49が第1作業具シリンダ49Lとして示されている。少なくとも1つの作業具シリンダ49のうち、車体中央面Mに対して右側に設けられる作業具シリンダ49が第2作業具シリンダ49Rとして示されている。第1作業具シリンダ49Lは、第1アーム組立体42Lに対して作業具41を傾けるように構成される。第2作業具シリンダ49Rは、第2アーム組立体42Rに対して作業具41を傾けるように構成される。
【0015】
図1及び
図2を参照すると、作業車両1は、車体フレーム2の後部に設けられたエンジン6、並びに、油圧ポンプ/バルブ部7をさらに備える。エンジン6は、油圧ポンプ/バルブ部7を駆動する。油圧ポンプ/バルブ部7は、駆動輪31を駆動する油圧モータ装置30等を駆動するために作動油を吐出するように構成されている。油圧ポンプ/バルブ部7は、作業装置4に接続された油圧アクチュエータ(複数のアームシリンダ48、少なくとも1つの作業具シリンダ49等)を駆動するために作動油を吐出するように構成されている。複数のアームシリンダ48と油圧ポンプ/バルブ部7とは、複数のアームシリンダ油圧ホース52によって接続される。複数のアームシリンダ48の油室には、複数のアームシリンダ油圧ホース52を介して油圧ポンプ/バルブ部7からの作動油が供給される。具体的には、第1アームシリンダ48Lと油圧ポンプ/バルブ部7とは、第1アームシリンダ油圧ホース52Lによって接続される。少なくとも1つの作業具シリンダ49と油圧ポンプ/バルブ部7とは、少なくとも1つの作業具シリンダ油圧ホース50によって接続される。具体的には、第1作業具シリンダ49Lと油圧ポンプ/バルブ部7とは、少なくとも1つの第1作業具シリンダ油圧ホース50Lによって接続される。第2作業具シリンダ49Rと油圧ポンプ/バルブ部7とは、少なくとも1つの第2作業具シリンダ油圧ホース50Rによって接続される。エンジン6は、作業車両1の幅方向D
Wにおいて、一対のアーム組立体42の間に設けられている。作業車両1は、エンジン6を覆うためのボンネットカバー8をさらに備える。作業車両1は、車体フレーム2の後端に設けられているリアカバー9をさらに備える。リアカバー9は、開閉可能であり、保守員がエンジン6などの保守作業を行うことができる。
【0016】
図3は、作業車両1の一部を作業車両1の前端から後方D
Bに向かって見たときの図である。
図3においては、一対の走行装置3、キャビン5、アーム45、及び、作業具41の図示を省略している。
図3を参照すると、車体フレーム2は、第1内フレーム21L、第2内フレーム21R、第1外フレーム22L、第2外フレーム22R、第1接続フレーム23L、第2接続フレーム23R、上フレーム24、下フレーム25、第1トラックフレーム28L、及び、第2トラックフレーム28Rを含む。
【0017】
第1内フレーム21L及び第2内フレーム21Rは、上フレーム24と下フレーム25とを接続し、高さ方向DHに延びる。第1外フレーム22Lは、幅方向DWにおいて第1内フレーム21Lと対向し、高さ方向DHに延びる。第2外フレーム22Rは、幅方向DWにおいて第2内フレーム21Rと対向し、高さ方向DHに延びる。第1内フレーム21L及び第1外フレーム22Lは、車体中央面Mに対して左側に位置する。第2内フレーム21R及び第2外フレーム22Rは、車体中央面Mに対して右側に位置する。第1内フレーム21Lは、幅方向DWにおいて第1外フレーム22Lと車体中央面Mとの間に位置する。第2内フレーム21Rは、幅方向DWにおいて第2外フレーム22Rと車体中央面Mとの間に位置する。
【0018】
第1接続フレーム23Lは、第1内フレーム21Lと第1外フレーム22Lとを接続する。第2接続フレーム23Rは、第2内フレーム21Rと第2外フレーム22Rを接続する。下フレーム25は、第1内フレーム21Lの下端と第2内フレーム21Rの下端とを接続する。上フレーム24は、第1内フレーム21Lの上端と第2内フレーム21Rの上端とを接続する。上フレーム24は、高さ方向DHにおいて下フレーム25と対向する。上フレーム24は、上述する回転シャフトRSLを回動可能に支持するための第1支持部27Lと、上述する回転シャフトRSRを回動可能に支持するための第2支持部27Rとを有している。ここで、キャビン5、第1内フレーム21L、第2内フレーム21R、上フレーム24、下フレーム25、ボンネットカバー8、及び、リアカバー9によって囲まれた空間をエンジン室55と呼ぶ。つまり、第2内フレーム21Rは、エンジン室55に対して第1内フレーム21Lと反対側に設けられる。
【0019】
第1アーム組立体42Lを構成する第1リフトリンク44L及び第1アーム45L、並びに、第1アーム組立体42Lを作動する第1アームシリンダ48Lは、幅方向DWにおいて第1内フレーム21Lと第1外フレーム22Lとの間に設けられ、第1内フレーム21Lと第1外フレーム22Lとに接続される。第1リフトリンク44Lを支持する第1支点軸46Lは、幅方向DWに延び、第1内フレーム21Lと第1外フレーム22Lとに接続する。つまり、第1アーム組立体42Lは、第1支点軸46Lの中心軸線であって幅方向DWに延びる第1回転軸線AX46周りに回動可能に第1内フレーム21Lと第1外フレーム22Lとに接続される。第2アーム組立体42Rを構成する第2リフトリンク44R及び第2アーム45R、並びに、第2アーム組立体42Rを作動する第2アームシリンダ48Rは、幅方向DWにおいて第2内フレーム21Rと第2外フレーム22Rとの間に設けられる。第2リフトリンク44Rを支持する第2支点軸46Rは、幅方向DWに延び、第2内フレーム21Rと第2外フレーム22Rとに接続する。つまり、第2アーム組立体42Rは、第2支点軸46Rの中心軸線であって幅方向DWに延びる第1回転軸線AX46周りに回動可能に第2内フレーム21Rと第2外フレーム22Rとに接続される。第2アームシリンダ48Rは、第2回転軸線AX48周りに回動可能に第2内フレーム21Rと第2外フレーム22Rとに接続される。
【0020】
第1トラックフレーム28Lは、下フレーム25に第1取付フレーム29Lを介して取り付けられている。第2トラックフレーム28Rは、下フレーム25に第2取付フレーム29Rを介して取り付けられている。第1トラックフレーム28L及び第2トラックフレーム28Rには、従動輪32、33及び転輪34が回転自在に取り付けられている。駆動輪31は、車体フレーム2によって支持される。エンジン6は図示しないダンパーを介して下フレーム25に支持される。
図3では、エンジン6の向きを規定するために、エンジン6のクランク軸A
XEを図示している。クランク軸A
XEは、実質的に車体中央面M上に前後方向D
FBに延びる。
【0021】
図4は、
図2における領域LAの拡大図である。
図5は、
図2における領域RAの拡大図である。
図4及び
図5において、第1リフトリンク44Lを除く第1アーム組立体42Lの部品の表示、第2リフトリンク44Rを除く第2アーム組立体42Rの部品の表示、一対の走行装置3の表示、作業具シリンダ油圧ホース50の表示、及び、キャビン5の表示は省略される。
図4を参照すると、第1接続フレーム23Lは、第1開口23LOを含む。作業車両1は、第1接続フレーム23L上に設けられ、第1開口23LOを覆う第1カバー60Lを備える。第1カバー60Lは、弾性部材のシートから成る。
図5を参照すると、第2接続フレーム23Rは、第4開口23ROを含む。作業車両1は、第2接続フレーム23R上に設けられ、第4開口23ROを覆う第2カバー60Rを備える。第2カバー60Rは、弾性部材のシートから成る。
【0022】
図6は、第1外フレーム22Lと第1アーム45Lとを取り除いた作業車両1の左側面図である。
図6を参照すると、第1アームシリンダ48Lは、第1開口23LOを通るように配置される。作業車両1は、第1アームシリンダ48Lに接続し、第1開口23LOを貫通する少なくとも1つの第1アームシリンダ油圧ホース52Lをさらに備える。少なくとも1つの第1作業具シリンダ油圧ホース50Lは、第1開口23LOを貫通する。第1内フレーム21Lは、第1接続フレーム23Lよりも高さ方向D
H上方に設けられる第1内突出部21LEを含む。
図4と
図6とを参照すると、第1カバー60Lは、第1シリンダ中心軸A
XCYLの周りの、第1アームシリンダ48Lの外周を取り囲む。
【0023】
図7は、第2外フレーム22Rと第2アーム45Rとを取り除いた作業車両1の右側面図である。
図7を参照すると、第2内フレーム21Rは、第2接続フレーム23Rよりも高さ方向D
H上方に設けられる第2内突出部21REを含む。作業車両1は、第2アームシリンダ48Rに接続し、第4開口23ROを貫通する少なくとも1つの第2アームシリンダ油圧ホース52Rをさらに備える。少なくとも1つの第2作業具シリンダ油圧ホース50Rは、第4開口23ROを貫通する。第2アームシリンダ48Rは、第4開口23ROを通るように配置される。第2アームシリンダ48Rは、第2回転軸線A
X48に対する径方向に延びる第2シリンダ中心軸A
XCYRに沿う長さを変えることによって第2アーム組立体42Rを駆動するように構成される。
図5と
図7とを参照すると、第2カバー60Rは、第2シリンダ中心軸A
XCYRの周りの、第2アームシリンダ48Rの外周を取り囲む。
【0024】
図8は、キャビン5と第1アーム45Lと第2アーム45Rとを取り除いた作業車両1の斜視図である。
図9は、
図8と異なる方向から見た、キャビン5と第1アーム45Lと第2アーム45Rとを取り除いた作業車両1の斜視図である。
図3、
図4、及び、
図9を参照すると、第1外フレーム22Lは、第1接続フレーム23Lよりも高さ方向D
H上方に設けられる第1外突出部22LEを含む。第1カバー60Lは、第1内突出部21LEと、第1外突出部22LEと、第1接続フレーム23Lとに案内されて摺動可能である。
図3、
図5、及び、
図8を参照すると、第2外フレーム22Rは、第2接続フレーム23Rよりも高さ方向D
H上方に設けられる第2外突出部22REを含む。第2カバー60Rは、第2内突出部21REと、第2外突出部22REと、第2接続フレーム23Rとに案内されて摺動可能である。
【0025】
図10は、第1カバー60Lの斜視図である。
図11は、
図10と別方向から見た、第1カバー60Lの斜視図である。
図10と
図11とを参照すると、第1カバー60Lは、第1管部61Lと、第1シリンダ挿通孔62Lと、第1シリンダ挿通切込63Lと、第1ホース挿通孔64Lと、第1ホース挿通切込65Lと、第1内縁66Lと、第1外縁67Lと、第1凹部68Lと、第1応力分散切込69Lとを有する。第1管部61Lは、管状の形状を有し、第1シリンダ中心軸A
XCYLの周りの、第1アームシリンダ48Lの外周を取り囲むように構成される。第1シリンダ挿通孔62Lは、第1管部61Lの内部に設けられる。
図4及び
図6に示すように、第1アームシリンダ48Lは、第1シリンダ挿通孔62Lを貫通する。第1シリンダ挿通切込63Lは、第1カバー60Lのシートの端60EL(第1外縁67L)から第1シリンダ挿通孔62Lまで延びる。第1アームシリンダ48Lは、第1シリンダ挿通切込63Lを介して第1シリンダ挿通孔62Lに挿入することができる。
【0026】
第1ホース挿通孔64Lは、第1管部61Lに近接して設けられる。
図4及び
図6に示すように、少なくとも1つの第1アームシリンダ油圧ホース52Lは、第1ホース挿通孔64Lを貫通する。第1ホース挿通切込65Lは、第1カバー60Lのシートの端60EL(第1外縁67L)から第1ホース挿通孔64Lまで延びる。少なくとも1つの第1アームシリンダ油圧ホース52Lは、第1ホース挿通切込65Lを介して第1ホース挿通孔64Lに挿入することができる。
図4を参照すると、第1内縁66Lは、第1内フレーム21Lに当接可能である。つまり、第1カバー60Lの装着時には第1内縁66Lが第1内突出部21LEと接触してもしなくてもよいものの、第1カバー60Lが摺動するときに、第1内縁66Lが第1内突出部21LEと接触するため、摺動時の第1カバー60Lの姿勢が維持される。第1外縁67Lは、第1外フレーム22Lに当接可能である。つまり、第1カバー60Lの装着時には第1外縁67Lが第1外突出部22LEと接触してもしなくてもよいものの、第1カバー60Lが摺動するときに、第1外縁67Lが第1外突出部22LEと接触するため、摺動時の第1カバー60Lの姿勢が維持される。第1凹部68Lは、第1内縁66Lから凹む。
図8を参照すると、少なくとも1つの第1作業具シリンダ油圧ホース50Lは、第1凹部68Lを通るように配置される。
【0027】
第1応力分散切込69Lは、第1リフトリンク44Lが前方に回動する際に、少なくとも1つの第1作業具シリンダ油圧ホース50Lが第1カバー60Lと接触した際に第1応力分散切込69Lから2つの部分に分かれて、第1作業具シリンダ油圧ホース50Lに接触する部分が前方に折れ曲がる。これによって、第1リフトリンク44Lが前方に回動する際に、少なくとも1つの第1作業具シリンダ油圧ホース50Lが第1カバー60Lを損傷することを抑止できる。
【0028】
図4及び
図6を参照すると、作業車両1は、第1アームシリンダ48Lの外周と、第1シリンダ挿通孔62Lの周りの第1カバー60Lの弾性部材(第1管部61L)とを締結する第1クランプ59Lをさらに備える。第1アームシリンダ48Lを第1シリンダ挿通切込63Lを介して第1シリンダ挿通孔62Lに挿入し、第1クランプ59Lによって第1管部61Lと第1アームシリンダ48Lとを固定することができる。
【0029】
図12は、第2カバー60Rの斜視図である。
図13は、
図12と別方向から見た、第2カバー60Rの斜視図である。
図12と
図13とを参照すると、第2カバー60Rは、第2管部61Rと、第2シリンダ挿通孔62Rと、第2シリンダ挿通切込63Rと、第2ホース挿通孔64Rと、第2ホース挿通切込65Rと、第2内縁66Rと、第2外縁67Rと、第2凹部68Rと、第2応力分散切込69Rとを有する。第2管部61Rは、管状の形状を有し、第2シリンダ中心軸A
XCYRの周りの、第2アームシリンダ48Rの外周を取り囲むように構成される。第2シリンダ挿通孔62Rは、第2管部61Rの内部に設けられる。
図5及び
図7に示すように、第2アームシリンダ48Rは、第2シリンダ挿通孔62Rを貫通する。第2シリンダ挿通切込63Rは、第2カバー60Rのシートの端60ER(第2外縁67R)から第2シリンダ挿通孔62Rまで延びる。第2アームシリンダ48Rは、第2シリンダ挿通切込63Rを介して第2シリンダ挿通孔62Rに挿入することができる。
【0030】
第2ホース挿通孔64Rは、第2管部61Rに近接して設けられる。
図5及び
図7に示すように、少なくとも1つの第2アームシリンダ油圧ホース52Rは、第2ホース挿通孔64Rを貫通する。第2ホース挿通切込65Rは、第2カバー60Rのシートの端60ER(第2外縁67R)から第2ホース挿通孔64Rまで延びる。少なくとも1つの第2アームシリンダ油圧ホース52Rは、第2ホース挿通切込65Rを介して第2ホース挿通孔64Rに挿入することができる。
図5を参照すると、第2内縁66Rは、第2内フレーム21Rに当接可能である。第2外縁67Rは、第2外フレーム22Rに当接可能である。第2凹部68Rは、第2内縁66Rから凹む。
図9を参照すると、少なくとも1つの第2作業具シリンダ油圧ホース50Rは、第2凹部68Rを通るように配置される。
【0031】
第2応力分散切込69Rは、第2リフトリンク44Rが前方に回動する際に、少なくとも1つの第2作業具シリンダ油圧ホース50Rが第2カバー60Rと接触した際に第2応力分散切込69Rから2つの部分に分かれて、第2作業具シリンダ油圧ホース50Rに接触する部分が前方に折れ曲がる。これによって、第2リフトリンク44Rが前方に回動する際に、少なくとも1つの第2作業具シリンダ油圧ホース50Rが第2カバー60Rを損傷することを抑止できる。
【0032】
図5及び
図7を参照すると、作業車両1は、第2アームシリンダ48Rの外周と、第2シリンダ挿通孔62Rの周りの第2カバー60Rの弾性部材(第2管部61R)とを締結する第2クランプ59Rをさらに備える。第2アームシリンダ48Rを第2シリンダ挿通切込63Rを介して第2シリンダ挿通孔62Rに挿入し、第2クランプ59Rによって第2管部61Rと第2アームシリンダ48Rとを固定することができる。
<エンジン室の冷却構造>
【0033】
つぎに、エンジン6が発生する熱を冷却するためのエンジン室55の冷却構造について説明する。
図4及び
図5に示されるように、ボンネットカバー8は上通気孔8aを含む有孔パネル(perforated panel)8bを複数有している。つまり、ボンネットカバー8は、エンジン室55の上方を覆い、上通気孔8aを有する。なお、
図4では、有孔パネル8bの領域Bの拡大図を領域B’に示しているが、有孔パネル8bの領域全体において領域B’に示された上通気孔8aが存在している。上通気孔8aは、有孔パネル8bの正面から(上通気孔8aが有孔パネル8bを貫通する有孔パネル8bの厚さ方向に)見て、好ましくは円の形状を有する。その円の直径は、マルチャー作業の主なデブリ(木の枝、葉、おがくず)のサイズよりも小さいことが望ましい。
【0034】
図1及び
図4を参照すると、作業車両1は、第1外フレーム22Lに着脱可能な第1サイドカバー58Lをさらに備える。
図1、
図4、及び
図6を参照すると、第1外フレーム22Lは、第1内フレーム21Lと第1外フレーム22Lとの間の第1内部空間56Lと、第1外フレーム22Lに対して第1内部空間56Lと反対の第1外部空間57Lとを連通する第2開口22LOを含む。
図1では、第1サイドカバー58Lの裏側にある第2開口22LOを点線で示している。
図6では、第1外フレーム22Lと第1サイドカバー58Lとの表示が省略されているため、第2開口22LOが二点鎖線で示されている。
図6に示されるように、第2開口22LOは、幅方向D
Wに見て第1アームシリンダ48Lと重畳する。
図1に示されるように、第1サイドカバー58Lは、有孔パネルから成り、第2開口22LOを覆うように取り付けられる。
図1では、領域Aの拡大図を領域A’に示している。第1サイドカバー58Lは、第2開口22LOと重畳する領域において、領域A’のように細孔58Hを含む。細孔58Hは、第1サイドカバー58Lの正面から(上通気孔8aが有孔パネル8bを貫通する有孔パネル8bの厚さ方向に)見て、好ましくは円形の形状を有する。その円の直径は、マルチャー作業の主なデブリ(木の枝、葉、おがくず)のサイズよりも小さいことが望ましい。
図6を参照すると、車体フレーム2は、第1接続フレーム23Lに対して高さ方向D
Hの下方において、第1内フレーム21Lと第1外フレーム22Lとを接続する第1底フレーム26Lをさらに含む。第2開口22LOは、高さ方向D
Hにおいて、第1接続フレーム23Lよりも第1底フレーム26Lに近くに設けられている。詳細には、第2開口22LOの下端と第1底フレーム26Lの上端との高さ方向D
Hの距離W1は、第1接続フレーム23Lの下端と第2開口22LOの上端との高さ方向D
Hの距離W2よりも短い。第1内フレーム21Lは、第1内フレーム21Lに対して第1内部空間56Lと反対のエンジン室55と第1内部空間56Lとを連通する少なくとも1つの第3開口21LOを含む。少なくとも1つの第3開口21LOは、幅方向D
Wに見て第2開口22LOの上方に設けられる第3上開口21LOTと、幅方向D
Wに見て第2開口22LOの下方に設けられる第3下開口21LOBとを含む。
【0035】
図9を参照すると、作業車両1は、第2外フレーム22Rに着脱可能な第2サイドカバー58Rをさらに備える。
図9、
図5、及び
図7を参照すると、第2外フレーム22Rは、第2内フレーム21Rと第2外フレーム22Rとの間の第2内部空間56Rと、第2外フレーム22Rに対して第2内部空間56Rと反対の第2外部空間57Rとを連通する第5開口22ROを含む。
図9では、第2サイドカバー58Rの裏側にある第5開口22ROを点線で示している。
図7では、第2外フレーム22Rと第2サイドカバー58Rとの表示が省略されているため、第5開口22ROが二点鎖線で示されている。
図7に示されるように、第5開口22ROは、幅方向D
Wに見て第2アームシリンダ48Rと重畳する。第2サイドカバー58Rは、有孔パネルから成り、
図9に示されるように第5開口22ROを覆うように取り付けられる。第2サイドカバー58Rは、第1サイドカバー58Lと同様に第5開口22ROと重畳する領域において細孔58Hを含む。細孔58Hは、第1サイドカバー58Lの正面から見て好ましくは円形の形状を有し、その円の直径は、マルチャー作業の主なデブリ(木の枝、葉、おがくず)のサイズよりも小さいことが望ましい。
図7を参照すると、車体フレーム2は、第2接続フレーム23Rに対して高さ方向D
Hの下方において、第2内フレーム21Rと第2外フレーム22Rとを接続する第2底フレーム26Rをさらに含む。第5開口22ROは、高さ方向D
Hにおいて、第2接続フレーム23Rよりも第2底フレーム26Rに近くに設けられている。詳細には、第5開口22ROの下端と第2底フレーム26Rの上端との高さ方向D
Hの距離W3は、第2接続フレーム23Rの下端と第5開口22ROの上端との高さ方向D
Hの距離W4よりも短い。第2内フレーム21Rは、第2内フレーム21Rに対して第2内部空間56Rと反対のエンジン室55と第2内部空間56Rとを連通する少なくとも1つの第6開口21ROを含む。少なくとも1つの第6開口21ROは、幅方向D
Wに見て第5開口22ROの上方に設けられる第6上開口21ROTと、幅方向D
Wに見て第5開口22ROの下方に設けられる第6下開口21ROBとを含む。
【0036】
図1、2、6、7に示されるように、作業車両1は、幅方向D
Wにおいて第1内フレーム21Lと第2内フレーム21Rとの間で、且つ、第1開口23LO、第2開口22LO、少なくとも1つの第3開口21LO、第4開口23RO、第5開口22RO、少なくとも1つの第6開口21RO、及び、上通気孔8aよりも、高さ方向D
Hと幅方向D
Wに対して垂直な前後方向D
FBの後方に設けられたファン71を備える。
図6~9を参照すると、リアカバー9は、ファン71よりも後方に設けられ、後通気孔9aを有する。このため、主なデブリが木の枝、葉、おがくずであるマルチャー作業をする際には、第1カバー60Lで第1開口23LOを覆い、第2カバー60Rで第4開口23ROを覆うことによって、木の枝、葉、おがくずのようなデブリよりも大きい第1開口23LOと第4開口23ROからのデブリの侵入を抑止する。また、木の枝、葉、おがくずのようなデブリよりも大きさが小さい上通気孔8aと細孔58Hとから外気を取り込み、エンジン室55を冷却し、温まった空気を後通気孔9aから排出することができる。このため、デブリの侵入を抑止しつつ、エンジン室55を冷却することができる。一方、通常の掘削作業をする際には、デブリが上方からエンジン室55に侵入する可能性は低く、代わりにデブリが土砂や小石など大きさが小さい。このため、通常の掘削作業においては、第1カバー60Lと第2カバー60Rとを取り外し、細孔58Hのない第1サイドカバー58Lと第2サイドカバー58Rとを装着する。これにより、第1開口23LO、第4開口23RO、上通気孔8aから外気を取り込み、エンジン室55を冷却し、温まった空気を後通気孔9aから排出することができる。このとき、細孔58Hのない第1サイドカバー58Lと第2サイドカバー58Rによって第2開口22LOと第5開口22ROからのデブリの侵入が抑止される。
【0037】
さらに、第1カバー60Lは、第1シリンダ挿通切込63Lと、第1ホース挿通切込65Lとを含み、第1クランプ59Lによって第1シリンダ挿通切込63Lを締結できるようにしている。このため、第1アームシリンダ48Lと少なくとも1つの第1アームシリンダ油圧ホース52Lとをそれらと連結する部材とが常に連結された状態であっても、第1サイドカバー58Lの取り付け、取り外しを行うことができる。同様に、第2カバー60Rは、第2シリンダ挿通切込63Rと、第2ホース挿通切込65Rとを含み、第2クランプ59Rによって第2シリンダ挿通切込63Rを締結できるようにしている。このため、第2アームシリンダ48Rと少なくとも1つの第2アームシリンダ油圧ホース52Rとをそれらと連結する部材とが常に連結された状態であっても、第2サイドカバー58Rの取り付け、取り外しを行うことができる。このため、第1サイドカバー58Lと第2サイドカバー58Rとの装着を作業に応じて容易に行うことができる。
<変形例>
【0038】
上述の実施形態では、車体中央面Mに対して左側に設けられる構成要素を第1…と呼び、車体中央面Mに対して右側に設けられる構成要素を第2…と呼んでいる。しかし、車体中央面Mに対して右側に設けられる構成要素を第1…と呼び、車体中央面Mに対して左側に設けられる構成要素を第2…と呼んでもよい。
【0039】
本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0040】
「~部材」、「~部」、「~要素」、「~体」、および「~構造」という文言は、単一の部分や複数の部分といった複数の意味を有し得る。
【0041】
「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在することを暗に意味するわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在することを暗に意味するわけではない。
【0042】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、実施形態に特段の説明がない限りにおいて、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0043】
本願において「A及びBの少なくとも一方」という文言は、Aだけ、Bだけ、及びAとBの両方を含むように解釈されるべきである。
【0044】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。