(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-18
(45)【発行日】2025-04-28
(54)【発明の名称】化粧品の試用システム、試用方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20250421BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20250421BHJP
G06T 7/90 20170101ALI20250421BHJP
【FI】
G06T7/00 660A
G06Q50/10
G06T7/90 A
(21)【出願番号】P 2024074049
(22)【出願日】2024-04-30
【審査請求日】2024-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100163452
【氏名又は名称】南郷 邦臣
(74)【代理人】
【識別番号】100180312
【氏名又は名称】早川 牧子
(72)【発明者】
【氏名】増子 洋介
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/143886(WO,A1)
【文献】特開2018-63681(JP,A)
【文献】国際公開第2014/167831(WO,A1)
【文献】特開2021-184245(JP,A)
【文献】特開2007-213623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06Q 50/10
G06T 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが試用する第1アイテムを選択する選択入力を受け付ける選択受付部と、
第2アイテムを塗布した前記ユーザの様子が撮影された塗布画像を取得する塗布画像取得部と、
前記取得された塗布画像において、前記第2アイテムが塗布されている領域を特定する特定部と、
前記第1アイテムに対応付けられる第1色彩を取得する第1色彩取得部と、
前記第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得する第2色彩取得部と、
前記取得された第2色彩を前記特定された領域の画素の色彩へ変換する変換を求める変換算出部と、
前記取得された塗布画像における前記特定された領域の画素の色彩を、前記求められた変換を前記取得された第1色彩に対して適用した色彩に置き換えることにより、試用画像を取得する試用画像取得部と、
前記取得された試用画像を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする化粧品の試用システム。
【請求項2】
前記特定部は、前記第1アイテムが塗布されるべき領域を、前記塗布画像において、前記第2アイテムが塗布されている領域として特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の化粧品の試用システム。
【請求項3】
前記第2色彩取得部は、前記ユーザの購入履歴から前記第2アイテムの候補となる候補アイテムを取得し、前記候補アイテムの色彩のうち、前記特定された領域の画素の色彩に最も近い色彩を前記第2色彩として取得し、
前記最も近い色彩を有する候補アイテムを、前記第2アイテムとする
ことを特徴とする請求項2に記載の化粧品の試用システム。
【請求項4】
前記ユーザの購入履歴から前記第2アイテムの候補となる候補アイテムを取得し、前記候補アイテムのリストを提示し、前記リストにおいていずれかの候補アイテムを指定する指定入力を受け付ける指定受付部をさらに備え、
前記指定入力に係る候補アイテムを、前記第2アイテムとする
ことを特徴とする請求項1に記載の化粧品の試用システム。
【請求項5】
前記特定部は、前記第2アイテムが塗布されるべき領域を、前記塗布画像において、前記第2アイテムが塗布されている領域として特定する
ことを特徴とする請求項4に記載の化粧品の試用システム。
【請求項6】
前記第1色彩取得部は、アイテムに対応付けられた色彩の情報が登録されたカタログデータベースを参照して、前記第1アイテムに対応付けられる第1色彩を取得し、
前記第2色彩取得部は、前記カタログデータベースを参照して、前記第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の化粧品の試用システム。
【請求項7】
前記カタログデータベースには、異なるメーカのアイテムが登録され、
前記第1アイテムと前記第2アイテムとは、前記異なるメーカのアイテムである
ことを特徴とする請求項6に記載の化粧品の試用システム。
【請求項8】
前記塗布画像取得部が取得する試用画像は、静止画像であり、
前記変換算出部は、前記取得された第2色彩を前記特定された領域の画素の色彩に画素単位で変換するフィルタを作成することにより、前記変換を求め、
前記試用画像取得部は、前記取得された第1色彩を前記フィルタを用いて画素単位で変換し、前記取得された塗布画像における前記特定された領域の画素のそれぞれの色彩を、前記画素単位で変換された色彩に置き換えることにより、前記試用画像を取得する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の化粧品の試用システム。
【請求項9】
前記塗布画像取得部が取得する試用画像は、動画に含まれるフレーム画像であり、
前記変換算出部は、前記特定された領域について代表色を求め、前記取得された第2色彩を前記代表色に変換するフィルタを作成することにより、前記変換を求め、
前記塗布画像取得部は、前記取得された第1色彩を前記フィルタを用いて変換し、前記取得された塗布画像における前記特定された領域に、前記変換された色彩を塗りつけることにより、前記試用画像を取得し、
前記出力部は、前記取得された試用画像を動画に含まれるフレーム画像として出力する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の化粧品の試用システム。
【請求項10】
前記変換算出部は、前記特定された領域の画素値の平均値、中央値又は最頻値により表される色を、前記代表色として求める
ことを特徴とする請求項9に記載の化粧品の試用システム。
【請求項11】
前記変換算出部は、前記特定された領域の画素値をクラスタリングし、最も大きいクラスタの平均値、中央値又は最頻値により表される色を、前記代表色として求める
ことを特徴とする請求項9に記載の化粧品の試用システム。
【請求項12】
化粧品の試用システムが実行する試用方法であって、
前記試用システムが、
ユーザが試用する第1アイテムを選択する選択入力を受け付け、
第2アイテムを塗布した前記ユーザの様子が撮影された塗布画像を取得し、
前記取得された塗布画像において、前記第2アイテムが塗布されている領域を特定し、
前記第1アイテムに対応付けられる第1色彩を取得し、
前記第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得し、
前記取得された第2色彩を前記特定された領域の画素の色彩へ変換する変換を求め、
前記取得された塗布画像における前記特定された領域の画素の色彩を、前記求められた変換を前記取得された第1色彩に対して適用した色彩に置き換えることにより、試用画像を取得し、
前記取得された試用画像を出力する、
ことを特徴とする化粧品の試用
方法。
【請求項13】
コンピュータを、
ユーザが試用する第1アイテムを選択する選択入力を受け付ける選択受付部、
第2アイテムを塗布した前記ユーザの様子が撮影された塗布画像を取得する塗布画像取得部、
前記取得された塗布画像において、前記第2アイテムが塗布されている領域を特定する特定部、
前記第1アイテムに対応付けられる第1色彩を取得する第1色彩取得部、
前記第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得する第2色彩取得部、
前記取得された第2色彩を前記特定された領域の画素の色彩へ変換する変換を求める変換算出部、
前記取得された塗布画像における前記特定された領域の画素の色彩を、前記求められた変換を前記取得された第1色彩に対して適用した色彩に置き換えることにより、試用画像を取得する試用画像取得部、
前記取得された試用画像を出力する出力部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品の試用システム、試用方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧を仮想的にユーザの顔画像に適用する技術が知られている。例えば、特許文献1には、化粧が塗布されたユーザの顔画像から化粧が除去された顔画像を生成し、化粧が除去された顔画像に選択された化粧スタイルを適用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような技術では、実際に化粧を除去せずに様々なアイテムを仮想的に試用することができるが、化粧が除去された顔画像を生成する処理が必要となる。一方、化粧が除去された顔画像の生成といった処理を要せずに、より簡易な手法で、様々な化粧のアイテムを仮想的に試用した様子を確認したいという要望がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、あるアイテムを塗布した様子を撮影した撮影環境において、塗布したものを除去せずに他のアイテムを仮想的に試用した様子を確認することが可能な化粧品の試用システム、試用方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る化粧品の試用システムは、
ユーザが試用する第1アイテムを選択する選択入力を受け付ける選択受付部と、
第2アイテムを塗布した前記ユーザの様子が撮影された塗布画像を取得する塗布画像取得部と、
前記取得された塗布画像において、前記第2アイテムが塗布されている領域を特定する特定部と、
前記第1アイテムに対応付けられる第1色彩を取得する第1色彩取得部と、
前記第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得する第2色彩取得部と、
前記取得された第2色彩を前記特定された領域の画素の色彩へ変換する変換を求める変換算出部と、
前記取得された塗布画像における前記特定された領域の画素の色彩を、前記求められた変換を前記取得された第1色彩に対して適用した色彩に置き換えることにより、試用画像を取得する試用画像取得部と、
前記取得された試用画像を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記観点に係る化粧品の試用システムにおいて、
前記特定部は、前記第1アイテムが塗布されるべき領域を、前記塗布画像において、前記第2アイテムが塗布されている領域として特定する
ことを特徴とする。
【0008】
また、上記観点に係る化粧品の試用システムにおいて、
前記第2色彩取得部は、前記ユーザの購入履歴から前記第2アイテムの候補となる候補アイテムを取得し、前記候補アイテムの色彩のうち、前記特定された領域の画素の色彩に最も近い色彩を前記第2色彩として取得し、
前記最も近い色彩を有する候補アイテムを、前記第2アイテムとする
ことを特徴とする。
【0009】
また、上記観点に係る化粧品の試用システムにおいて、
前記ユーザの購入履歴から前記第2アイテムの候補となる候補アイテムを取得し、前記候補アイテムのリストを提示し、前記リストにおいていずれかの候補アイテムを指定する指定入力を受け付ける指定受付部をさらに備え、
前記指定入力に係る候補アイテムを、前記第2アイテムとする
ことを特徴とする。
【0010】
また、上記観点に係る化粧品の試用システムにおいて、
前記特定部は、前記第2アイテムが塗布されるべき領域を、前記塗布画像において、前記第2アイテムが塗布されている領域として特定する
ことを特徴とする。
【0011】
また、上記観点に係る化粧品の試用システムにおいて、
前記第1色彩取得部は、アイテムに対応付けられた色彩の情報が登録されたカタログデータベースを参照して、前記第1アイテムに対応付けられる第1色彩を取得し、
前記第2色彩取得部は、前記カタログデータベースを参照して、前記第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得する
ことを特徴とする。
【0012】
また、上記観点に係る化粧品の試用システムにおいて、
前記カタログデータベースには、異なるメーカのアイテムが登録され、
前記第1アイテムと前記第2アイテムとは、前記異なるメーカのアイテムである
ことを特徴とする。
【0013】
また、上記観点に係る化粧品の試用システムにおいて、
前記塗布画像取得部が取得する試用画像は、静止画像であり、
前記変換算出部は、前記取得された第2色彩を前記特定された領域の画素の色彩に画素単位で変換するフィルタを作成することにより、前記変換を求め、
前記試用画像取得部は、前記取得された第1色彩を前記フィルタを用いて画素単位で変換し、前記取得された塗布画像における前記特定された領域の画素のそれぞれの色彩を、前記画素単位で変換された色彩に置き換えることにより、前記試用画像を取得する
ことを特徴とする。
【0014】
また、上記観点に係る化粧品の試用システムにおいて、
前記塗布画像取得部が取得する試用画像は、動画に含まれるフレーム画像であり、
前記変換算出部は、前記特定された領域について代表色を求め、前記取得された第2色彩を前記代表色に変換するフィルタを作成することにより、前記変換を求め、
前記塗布画像取得部は、前記取得された第1色彩を前記フィルタを用いて変換し、前記取得された塗布画像における前記特定された領域に、前記変換された色彩を塗りつけることにより、前記試用画像を取得し、
前記出力部は、前記取得された試用画像を動画に含まれるフレーム画像として出力する
ことを特徴とする。
【0015】
また、上記観点に係る化粧品の試用システムにおいて、
前記変換算出部は、前記特定された領域の画素値の平均値、中央値、又は、最頻値により表される色を、前記代表色として求める
ことを特徴とする。
【0016】
また、上記観点に係る化粧品の試用システムにおいて、
前記変換算出部は、前記特定された領域の画素値をクラスタリングし、最も大きいクラスタの平均値、中央値、又は、最頻値により表される色を、前記代表色として求める
ことを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の観点に係る試用方法は、
化粧品の試用システムが実行する試用方法であって、
前記試用システムが、
ユーザが試用する第1アイテムを選択する選択入力を受け付け、
第2アイテムを塗布した前記ユーザの様子が撮影された塗布画像を取得し、
前記取得された塗布画像において、前記第2アイテムが塗布されている領域を特定し、
前記第1アイテムに対応付けられる第1色彩を取得し、
前記第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得し、
前記取得された第2色彩を前記特定された領域の画素の色彩へ変換する変換を求め、
前記取得された塗布画像における前記特定された領域の画素の色彩を、前記求められた変換を前記取得された第1色彩に対して適用した色彩に置き換えることにより、試用画像を取得し、
前記取得された試用画像を出力する、
ことを特徴とする。
【0018】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
ユーザが試用する第1アイテムを選択する選択入力を受け付ける選択受付部、
第2アイテムを塗布した前記ユーザの様子が撮影された塗布画像を取得する塗布画像取得部、
前記取得された塗布画像において、前記第2アイテムが塗布されている領域を特定する特定部、
前記第1アイテムに対応付けられる第1色彩を取得する第1色彩取得部、
前記第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得する第2色彩取得部、
前記取得された第2色彩を前記特定された領域の画素の色彩へ変換する変換を求める変換算出部、
前記取得された塗布画像における前記特定された領域の画素の色彩を、前記求められた変換を前記取得された第1色彩に対して適用した色彩に置き換えることにより、試用画像を取得する試用画像取得部、
前記取得された試用画像を出力する出力部、
として機能させることを特徴とする。
【0019】
上記プログラムは、非一時的な(non-transitory)記録媒体に記録されてもよい。非一時的な記録媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。ここで、非一時的な記録媒体とは、有形な(tangible)記録媒体をいう。非一時的な記録媒体は、例えば、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等である。また、一時的な(transitory)記録媒体とは、伝送媒体(伝搬信号)それ自体を示す。一時的な記録媒体は、例えば、電気信号、光信号、電磁波等である。なお、一時的な(temporary)記憶領域とは、データやプログラムを一時的に記憶するための領域であり、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、あるアイテムを塗布した様子を撮影した撮影環境において、塗布したものを除去せずに他のアイテムを仮想的に試用した様子を確認することが可能な化粧品の試用システム、試用方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態1に係る化粧品の試用システムと、カタログデータベースと、電子市場サーバと、の関係を示す図である。
【
図2】実施形態1に係る情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】実施形態1に係る化粧品の試用システムの機能構成を示す図である。
【
図4】実施形態1に係る塗布画像の例を示す図である。
【
図5】実施形態1に係る試用画像の例を示す図である。
【
図6】実施形態1に係る化粧品の試用システムが実行する試用処理を説明するための図である。
【
図7】実施形態2に係る化粧品の試用システムの機能構成を示す図である。
【
図8】実施形態2に係るリストの例を示す図である。
【
図9】実施形態2に係る化粧品の試用システムが実行する試用処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(1.全体構成)
本発明の実施形態に係る化粧品の試用システム1は、ユーザに化粧を仮想的に試用した様子を提示するシステムである。化粧品の試用システム1は、
図1に示すように、サーバ装置100と端末装置200とを含み、サーバ装置100、端末装置200、カタログデータベース300及び電子市場サーバ400は、それぞれ、インターネット等のコンピュータ通信網500を介して通信可能に接続する。
【0023】
サーバ装置100は、化粧を仮想的に試用した様子を提示するための種々の処理を実行する装置である。サーバ装置100は、端末装置200からの要求に応じて、様々な情報を提供する。
【0024】
端末装置200は、化粧を試用するユーザの様子を撮影し、ユーザが化粧を仮想的に試用した様子を提示する端末である。例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ等である。例えば、端末装置200には、化粧を仮想的に試用するためのアプリ(以下、単に「アプリ」という)がインストールされている。端末装置200は、ユーザ自身により操作されたり、店頭で利用される場合は、店舗スタッフにより操作される。
【0025】
カタログデータベース300は、アイテムに関する情報が登録されたデータベースである。アイテムとは、ユーザが顔又は身体に塗布する化粧品である。例えば、アイテムは、リップ、チーク、アイシャドウ、ヘアカラー、ネイルカラー等である。カタログデータベース300には、アイテムに関する情報として、アイテムに対応付けられた色彩の情報が登録される。また、カタログデータベース300に情報が登録されるアイテムは、電子市場サーバ400が管理する電子市場において取り扱われるアイテムである。したがって、カタログデータベース300には、異なるメーカのアイテムが登録される。なお、アイテムに対応付けられた色彩の情報は、カタログデータベース300とは別のデータベースに登録されてもよい。
【0026】
電子市場サーバ400は、電子市場を管理するサーバである。電子市場サーバ400は、化粧品の試用システム1からの要求に応じて、ユーザの購入履歴に関する情報を化粧品の試用システム1に提供する。
【0027】
(2.情報処理装置のハードウェア構成)
図2は、サーバ装置100及び端末装置200が実現される情報処理装置10のハードウェア構成の例を示す。
【0028】
情報処理装置10は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM13と、記録媒体14と、出力デバイス15と、通信デバイス16と、入力デバイス17と、を備える。各構成要素は、バス18により接続されている。
【0029】
CPU11は、情報処理装置10全体の動作を制御し、各構成要素と接続され、制御信号やデータをやりとりする。
【0030】
ROM12には、情報処理装置10全体の動作制御に必要なオペレーティングのプログラムや各種のデータが記録される。
【0031】
RAM13は、データやプログラムを一時的に記録するためのもので、記録媒体14から読み出したプログラムやデータ、その他、通信に必要なデータ等が保持される。
【0032】
記録媒体14は、ハードディスクやフラッシュメモリ等から構成され、情報処理装置10で処理するデータを記録する。
【0033】
出力デバイス15は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置や、スピーカ等の音声出力装置を備える。出力デバイス15は、CPU11による制御の下、例えば、CPU11から出力されたデータを出力する。
【0034】
通信デバイス16は、情報処理装置10をインターネット等のコンピュータ通信網に接続するための通信インターフェースを含み、通信デバイス16を介して他の情報処理装置等とやりとりをする。
【0035】
入力デバイス17は、ボタン、キーボード、タッチパネル、カメラ、マイク等の入力装置を備える。入力デバイス17は、情報処理装置10の使用者からの操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に対応する信号をCPU11に出力する。
【0036】
(3.実施形態1の化粧品の試用システムの機能構成)
実施形態1の化粧品の試用システム1の機能構成について、
図3を用いて説明する。
【0037】
実施形態1の化粧品の試用システム1は、機能的には、選択受付部101と、塗布画像取得部102と、特定部103と、第1色彩取得部104と、第2色彩取得部105と、変換算出部106と、試用画像取得部107と、出力部108と、を備える。これらの機能部は、サーバ装置100及び端末装置200が協働して実現してもよいし、サーバ装置100又は端末装置200が単独で実現してもよし、サーバ装置100単独で実現されてもよい。
【0038】
以下では、上記機能部をサーバ装置100及び端末装置200が協働して実現し、オンラインサービスとしてアイテムを仮想的に試用した様子を提示する場合を例に説明する。具体的には、サーバ装置100が、特定部103、第2色彩取得部105、変換算出部106及び試用画像取得部107の機能を実現し、端末装置200が、選択受付部101、塗布画像取得部102、第1色彩取得部104及び出力部108の機能を実現する。
【0039】
図4に、端末装置200において動作するアプリの例を示す。アプリ600には、後述する塗布画像又は試用画像が表示される領域601と、ユーザが選択した第1アイテムを表示するための欄602と、第1アイテムの色彩を表示するための欄603と、ユーザに塗布された第2アイテムを表示するための欄604と、第2アイテムの色彩を表示するための欄605と、が含まれる。
【0040】
第1アイテムとは、ユーザが仮想的に試用するアイテムである。また、第2アイテムとは、ユーザに塗布されたアイテムであり、第1アイテムと同じ領域に塗布されるアイテムである。アプリ600は、第2アイテムを塗布したユーザの領域に、第1アイテムを仮想的に試用した様子を示す。
【0041】
ここで、第1アイテムと第2アイテムとは、カタログデータベース300に色彩の情報が登録されているアイテムであれば、異なるメーカのアイテムでもよい。
【0042】
例えば、ユーザは、アプリ600を用いて、“メーカX”のリップを塗布した自身の画像において、“メーカY”のリップを仮想的に試用した様子を確認することができる。
【0043】
選択受付部101は、ユーザが試用する第1アイテムを選択する選択入力を受け付ける。選択受付部101は、CPU11、出力デバイス15、通信デバイス16及び入力デバイス17により実現される。
【0044】
例えば、選択受付部101は、ユーザ700がアプリ600において第1アイテムが表示される欄602をタップ等により選択すると、カタログデータベース300に登録されているアイテムのリストを表示する。そして、選択受付部101は、ユーザ700がリストの“リップ1”を選択すると、“リップ1”の選択入力を受け付け、サーバ装置100に第1アイテムとして“リップ1”の情報を送信する。また、選択受付部101は、アプリ600の第1アイテムが表示される欄602に“リップ1”を表示する。
【0045】
塗布画像取得部102は、第2アイテムを塗布したユーザの様子が撮影された塗布画像を取得する。塗布画像取得部102は、CPU11、通信デバイス16及び入力デバイス17により実現される。
【0046】
塗布画像とは、第2アイテムが塗布されたユーザを撮影した画像である。
【0047】
図4の領域601に塗布画像の例を示す。塗布画像601-1は、ユーザ700の唇701に第2アイテムであるリップが塗布された様子を示す。
【0048】
例えば、ユーザ700が端末装置200のカメラを用いて、
図4に示すように、領域601に塗布画像601-1表示させ、撮影すると、塗布画像取得部102は、塗布画像601-1を取得し、サーバ装置100に塗布画像601-1の情報を送信する。
【0049】
ここで、塗布画像取得部102が取得する塗布画像は、静止画像、又は、動画に含まれるフレーム画像である。塗布画像取得部102は、静止画像、又は、動画を、アプリ起動中に取得してもよいし、過去に取得したライブラリから取得してもよい。
【0050】
例えば、塗布画像取得部102は、ユーザが、自宅で手持ちのアイテムを塗布した様子を自撮りしているライブ動画を取得する。或いは、塗布画像取得部102は、店頭でアイテムを塗布した様子を撮影しているライブ動画を取得する。或いは、塗布画像取得部102は、アイテムを塗布した様子を撮影した静止画像を端末装置200のライブラリから取得する。
【0051】
特定部103は、取得された塗布画像において、第2アイテムが塗布されている領域を特定する。特定部103は、CPU11により実現される。
【0052】
具体的には、特定部103は、第1アイテムが塗布されるべき領域を、塗布画像において、第2アイテムが塗布されている領域として特定する。
【0053】
例えば、特定部103は、端末装置200から送信された塗布画像について顔認識を行い、塗布画像における第2アイテムが塗布されている領域を特定する。例えば、特定部103は、第1アイテムがリップの場合、塗布されるべき領域は唇なので、塗布画像601-1における唇701の領域を、第2アイテムが塗布されている領域として特定する。或いは、特定部103は、第1アイテムがアイシャドウの場合、塗布されるべき領域は瞼なので、塗布画像601-1における瞼の領域を、第2アイテムが塗布されている領域として特定する。
【0054】
第1色彩取得部104は、第1アイテムに対応付けられる第1色彩を取得する。第1色彩取得部104は、CPU11、出力デバイス15、通信デバイス16及び入力デバイス17により実現される。
【0055】
第1色彩とは、ユーザが仮想的に試用する第1アイテムの色彩である。
【0056】
具体的には、第1色彩取得部104は、カタログデータベース300を参照して、第1アイテムに対応付けられる第1色彩を取得する。
【0057】
例えば、第1色彩取得部104は、ユーザ700がアプリ600において第1色彩が表示される欄603をタップ等により選択すると、カタログデータベース300に登録されている“リップ1”の色彩のバリエーションのリストを表示する。例えば、リストには、“色彩1-1”~“色彩1-7”が含まれるとする。第1色彩取得部104は、ユーザ700がリストの“色彩1-3”を選択すると、“色彩1-3”の選択入力を受け付け、サーバ装置100に第1色彩として“色彩1-3”の情報を送信する。また、第1色彩取得部104は、アプリ600の第1色彩が表示される欄603に“色彩1-3”を表示する。
【0058】
第2色彩取得部105は、第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得する。第2色彩取得部105は、CPU11及び通信デバイス16により実現される。
【0059】
第2色彩とは、ユーザが自身に塗布した第2アイテムの色彩である。
【0060】
具体的には、第2色彩取得部105は、ユーザの購入履歴から第2アイテムの候補となる候補アイテムを取得し、候補アイテムの色彩のうち、特定された領域の画素の色彩に最も近い色彩を第2色彩として取得する。ここで、第2色彩取得部105は、カタログデータベース300を参照して、第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得する。
【0061】
例えば、第2色彩取得部105は、電子市場サーバ400からユーザ700の購入履歴を取得する。第2色彩取得部105は、取得したユーザ700の購入履歴に含まれるアイテムのうち、第1アイテムと同じカテゴリのアイテムを、候補アイテムとして取得する。第2色彩取得部105は、“リップ1”と同じカテゴリのアイテムの“リップ2”、“リップ3”及び“リップ4”を候補アイテムとして取得したとすると、次に、カタログデータベース300を参照して、複数の候補アイテムのそれぞれに対応付けられる色彩を取得する。第2色彩取得部105は、“リップ2”に対応付けられる“色彩2-1”~“色彩2-5”、“リップ3”に対応付けられる“色彩3-1”~“色彩3-4”及び“リップ4”に対応付けられる“色彩4-1”~“色彩4-6”を取得したとすると、“色彩2-1”~“色彩2-5”、“色彩3-1”~“色彩3-4”及び“色彩4-1”~“色彩4-6”のうち、塗布画像601-1の唇701の画素の色彩に最も近い色彩を、第2色彩として特定する。
【0062】
例えば、塗布画像601-1の唇701の画素の色彩に最も近い色彩が“色彩2-1”であるとすると、第2色彩取得部105は、“色彩2-1”を第2色彩として特定する。
【0063】
そして、サーバ装置100は、最も近い色彩を有する候補アイテムを、第2アイテムとする。
【0064】
例えば、サーバ装置100は、第2色彩である“色彩2-1”が対応付けられた“リップ2”を第2アイテムとする。この場合、
図4に示すように、アプリ600の第2アイテムが表示される欄604に“リップ2”が表示され、第2色彩が表示される欄605に“色彩2-1”が表示される。
【0065】
なお、ユーザは、自動で設定された第2アイテム及び第2色彩を修正することができる。欄604は、タップ等により選択されると、カタログデータベース300に登録されているアイテムであって、第1アイテムと同じカテゴリのアイテムのリストを表示する。ユーザは、リストから第2アイテムを選択することができる。また、欄605は、タップ等により選択されると、欄604に表示されているアイテムについてカタログデータベース300に登録されている色彩のリストを表示する。ユーザは、リストから第2色彩を選択することができる。
【0066】
変換算出部106は、取得された第2色彩を特定された領域の画素の色彩へ変換する変換を求める。変換算出部106は、CPU11により実現される。
【0067】
例えば、変換算出部106は、第2アイテム“リップ2”の第2色彩“色彩2-1”を塗布画像601-1において特定された唇701の領域の画素の色彩へ変換する変換を求める。
【0068】
具体的には、塗布画像取得部102が取得する塗布画像が、静止画像の場合、変換算出部106は、取得された第2色彩を特定された領域の画素の色彩に画素単位で変換するフィルタを作成することにより、変換を求める。
【0069】
例えば、塗布画像601-1が静止画像の場合、変換算出部106は、第2色彩“色彩2-1”を、唇701の領域の画素i(iは1以上N以下。Nは領域に含まれる画素数)の色彩iに変換するフィルタ、すなわち、R値、G値、及びB値をk_ri倍、k_gi倍及びk_bi倍するフィルタを作成する。
【0070】
或いは、塗布画像取得部102が取得する塗布画像が、動画に含まれるフレーム画像の場合、変換算出部106は、特定された領域について代表色を求め、取得された第2色彩を代表色に変換するフィルタを作成することにより、変換を求める。
【0071】
例えば、塗布画像601-1が動画に含まれるフレーム画像の場合、変換算出部106は、まず、唇701の領域の代表色を求める。
【0072】
具体的には、変換算出部106は、特定された領域の画素値の平均、中央値又は最頻値により表される色を、代表色として求める。
【0073】
例えば、変換算出部106は、唇701の領域の画素iについて、R値、G値及びB値のそれぞれの平均値、中央値又は最頻値を算出する。変換算出部106は、算出されたR値、G値及びB値の平均、中央値又は最頻値を組み合わせた色を、特定された領域の代表色とする。または、変換算出部106は、画素iのR値、G値及びB値の組合せのうち、最頻値を代表色とする。
【0074】
或いは、変換算出部106は、特定された領域の画素値をクラスタリングし、最も大きいクラスタの平均値、中央値又は最頻値により表される色を、代表色として求める。
【0075】
例えば、変換算出部106は、唇701の領域の画素iについて、R値、G値及びB値により表される3次元ベクトルを、k-means法によりクラスタリングし、最も大きいクラスタに含まれる3次元ベクトルのR値、G値及びB値のそれぞれの平均値、中央値、又は、最頻値により表される色を、代表色として求める。または、最も大きいクラスタの重心のR値、G値及びB値により表される色を代表色として求める。
【0076】
変換算出部106は、第2色彩“色彩2-1”を、唇701の領域の代表色に変換するフィルタ、すなわち、R値、G値及びB値を、k_r倍、k_g倍及びk_b倍するフィルタを作成する。
【0077】
試用画像取得部107は、取得された塗布画像における特定された領域の画素の色彩を、求められた変換を取得された第1色彩に対して適用した色彩に置き換えることにより、試用画像を取得する。試用画像取得部107は、CPU11及び通信デバイス16により実現される。
【0078】
具体的には、塗布画像取得部102が取得する塗布画像が、静止画像の場合、試用画像取得部107は、取得された第1色彩をフィルタを用いて画素単位で変換し、取得された塗布画像における特定された領域の画素のそれぞれの色彩を、画素単位で変換された色彩に置き換えることにより、試用画像を取得する。
【0079】
例えば、試用画像取得部107は、塗布画像601-1が静止画像の場合、第1色彩“色彩1-3”のR値、B値及びG値を、k_ri倍、k_gi倍及びk_bi倍するフィルタを用いて、画素iについて変換後の色彩iを求める。そして、試用画像取得部107は、塗布画像601-1における唇701の領域の画素iの色彩iを、変換後の色彩iで置き換えた試用画像601-2を生成し、端末装置200に試用画像601-2の情報を送信する。
【0080】
塗布画像取得部102が取得する塗布画像が、動画に含まれるフレーム画像の場合、試用画像取得部107は、取得された第1色彩をフィルタを用いて変換し、取得された塗布画像における特定された領域に、変換された色彩を塗りつけることにより、試用画像を取得する。
【0081】
例えば、試用画像取得部107は、塗布画像601-1が動画に含まれるフレーム画像の場合、第1色彩“色彩1-3”のR値、B値及びG値を、k_r倍、k_g倍及びk_b倍するフィルタを用いて、変換後の色彩を求める。そして、試用画像取得部107は、塗布画像601-1における唇701の領域の画素iの色彩iを、変換後の色彩で置き換えた試用画像601-2を生成し、端末装置200に試用画像601-2の情報を送信する。
【0082】
出力部108は、取得された試用画像を出力する。出力部108は、選択受付部101は、CPU11、出力デバイス15及び通信デバイス16により実現される。
【0083】
例えば、出力部108は、サーバ装置100が送信した試用画像601-2を、
図5に示すように、アプリ600の領域601に表示する。例えば、塗布画像601-1が、ユーザ700が“リップ2”を塗布した様子を示す静止画像である場合、試用画像601-2は、塗布画像601-1のユーザ700の唇701に“リップ1”の“色彩1-3”が仮想的に塗布された様子を示す画像である。例えば、ユーザが、手持ちの“リップ2”を塗布した様子を示す画像をライブラリから選択し、“色彩1-3”の“リップ1”を選択すると、ライブラリの画像の“リップ2”を塗布した領域に、“色彩1-3”の“リップ1”が塗布されているような画像が領域601に表示される。
【0084】
また、塗布画像取得部102が取得する塗布画像が、動画に含まれるフレーム画像の場合、出力部108は、取得された試用画像を動画に含まれるフレーム画像として出力する。
【0085】
例えば、出力部108は、サーバ装置100が送信した試用画像601-2を、動画のフレーム画像として、アプリ600の領域601に表示する。塗布画像601-1が、ユーザ700が“リップ2”を塗布した様子を示すライブ動画のフレーム画像である場合、試用画像601-2は、塗布画像601-1のユーザ700の唇701に“リップ1”の“色彩1-3”が仮想的に塗布された様子を示すフレーム画像である。例えば、ユーザが、手持ちの“リップ2”を塗布した様子を動画で自撮りして、“色彩1-3”の“リップ1”を選択すると、“リップ2”を塗布した領域に、“色彩1-3”の“リップ1”が塗布されているような動画がリアルタイムで領域601に表示される。
【0086】
(4.実施形態1の化粧品の試用システムの動作)
本実施形態の化粧品の試用システム1の動作について、
図6を用いて説明する。例えば、化粧品の試用システム1は、端末装置200においてアプリ600が起動されると、
図6に示す試用処理を開始する。
【0087】
選択受付部101は、ユーザが試用する第1アイテムを選択する選択入力を受け付ける(ステップS101)。
【0088】
例えば、選択受付部101は、ユーザ700がアプリ600において第1アイテムが表示される欄602をタップ等により選択すると、カタログデータベース300に登録されているアイテムのリストを表示し、ユーザ700がリストの“リップ1”を選択すると、“リップ1”の選択入力を受け付け、サーバ装置100に第1アイテムとして“リップ1”の情報を送信する。
【0089】
塗布画像取得部102は、第2アイテムを塗布したユーザの様子が撮影された塗布画像を取得する(ステップS102)。
【0090】
例えば、ユーザ700が端末装置200のカメラを用いて、
図4に示すように、領域601に塗布画像601-1表示させ、撮影すると、塗布画像取得部102は、塗布画像601-1を取得し、サーバ装置100に塗布画像601-1の情報を送信する。
【0091】
特定部103は、取得された塗布画像において、第1アイテムが塗布されるべき領域を、第2アイテムが塗布されている領域として特定する(ステップS103)。
【0092】
例えば、特定部103は、端末装置200から送信された塗布画像601-1について顔認識を行い、第1アイテム“リップ1”が塗布されるべき領域である唇701の領域を、第2アイテムが塗布されている領域として特定する。
【0093】
第1色彩取得部104は、カタログデータベース300を参照して、第1アイテムに対応付けられる第1色彩を取得する(ステップS104)。
【0094】
例えば、第1色彩取得部104は、ユーザ700がアプリ600において第1色彩が表示される欄603をタップ等により選択すると、カタログデータベース300に登録されている“リップ1”の色彩のバリエーションのリストを表示し、ユーザ700がリストの“色彩1-3”を選択すると、“色彩1-3”の選択入力を受け付け、サーバ装置100に第1色彩として“色彩1-3”の情報を送信する。
【0095】
第2色彩取得部105は、カタログデータベース300を参照して、第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得する(ステップS105)。
【0096】
例えば、第2色彩取得部105は、電子市場サーバ400から取得したユーザ700の購入履歴に基づいて第2アイテムの候補となる候補アイテム“リップ2”、“リップ3”及び“リップ4”を取得し、カタログデータベース300に登録された候補アイテムの“色彩2-1”~“色彩2-5”、“色彩3-1”~“色彩3-4”及び“色彩4-1”~“色彩4-6”を取得したとすると、“色彩2-1”~“色彩2-5”、“色彩3-1”~“色彩3-4”及び“色彩4-1”~“色彩4-6”のうち、塗布画像601-1の唇701の画素の色彩に最も近い色彩“色彩2-1”を、第2色彩として自動で特定する。
【0097】
変換算出部106は、取得された第2色彩を特定された領域の画素の色彩へ変換する変換を求める(ステップS106)。
【0098】
例えば、変換算出部106は、第2色彩“色彩2-1”を塗布画像601-1において特定された唇701の領域の画素の色彩へ変換する変換を求める。
【0099】
試用画像取得部107は、取得された塗布画像における特定された領域の画素の色彩を、求められた変換を取得された第1色彩に対して適用した色彩に置き換えることにより、試用画像を取得する(ステップS107)。
【0100】
例えば、試用画像取得部107は、第1色彩“色彩1-3”のR値、B値及びG値を、k_ri倍、k_gi倍及びk_bi倍するフィルタを用いて、画素iについて変換後の色彩iを求め、塗布画像601-1における唇701の領域の画素iの色彩iを、変換後の色彩iで置き換えた試用画像601-2を生成し、端末装置200に試用画像601-2の情報を送信する。
【0101】
出力部108は、取得された試用画像を出力する(ステップS108)。
【0102】
例えば、出力部108は、サーバ装置100が送信した試用画像601-2を、
図5に示すように、アプリ600の領域601に表示する。
【0103】
本実施形態によれば、第2アイテムを塗布した撮影環境において、第2アイテムを塗布した部分を拭き取らずに、第1アイテムを仮想的に試用した様子を確認することができる。これにより、実際に塗布したアイテムの色味と、実際に塗布していないアイテムの色味とを同じ撮影環境で、簡単に比較することができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、ユーザの購入履歴に基づいて、ユーザが塗布したアイテム及び色彩を特定することができる。これにより、ユーザが現在又は過去に塗布したアイテムを検索する手間を省くことができる。
【0105】
また、本実施形態によれば、カタログデータベースに登録されている異なるメーカのアイテムを仮想的に試用することができる。これにより、同じ領域に塗布する異なるメーカのアイテムの色味を比較することができる。また、カタログデータベースに登録されているアイテムは、電子市場で扱われているアイテムであるので、ユーザは、様々なメーカのアイテムを仮想的に試用して購入の検討を行うことができる。
【0106】
また、本実施形態によれば、過去に撮影した静止画像又は動画像、或いは、ライブ撮影した動画像のアイテムの色彩と、実際に塗布していないアイテムの色彩とを比較することができる。これにより、ユーザは、様々な撮影環境における実際に塗布したアイテムの色味と、実際に塗布していないアイテムの色味とを比較することができる。
【0107】
また、本実施形態によれば、ライブ動画のような動画像には、代表色を塗りつけることにより、リアルタイムで、アイテムを仮想的に試用した様子を確認することができる。さらに、本実施形態によれば、クラスタリングにより、代表色を求めることにより、例えば、つやのあるリップを塗布した領域のうち、ハイライト部分を除いて代表色を定めることができ、代表色として適当な色を求めることができる。
【0108】
(5.実施形態2の化粧品の試用システムの機能構成)
実施形態2の化粧品の試用システム1の機能構成について、
図7を用いて説明する。
【0109】
実施形態2の化粧品の試用システム1は、機能的には、選択受付部101と、塗布画像取得部102と、特定部103と、第1色彩取得部104と、第2色彩取得部105と、変換算出部106と、試用画像取得部107と、出力部108と、指定受付部109と、を備える。以下では、上記機能部をサーバ装置100及び端末装置200が協働して実現し、オンラインサービスとしてアイテムを仮想的に試用した様子を提示する場合を例に説明する。具体的には、サーバ装置100が、特定部103、第2色彩取得部105、変換算出部106及び試用画像取得部107の機能を実現し、端末装置200が、選択受付部101、塗布画像取得部102、第1色彩取得部104、出力部108及び指定受付部109の機能を実現する。また、以下では、実施形態1の試用システム1の機能と異なる機能について説明する。
【0110】
指定受付部109は、ユーザの購入履歴から第2アイテムの候補となる候補アイテムを取得し、候補アイテムのリストを提示し、リストにおいていずれかの候補アイテムを指定する指定入力を受け付ける。指定受付部109は、CPU11、出力デバイス15、通信デバイス16及び入力デバイス17により実現される。
【0111】
例えば、指定受付部109は、ユーザ700がアプリ600において第2アイテムが表示される欄604をタップ等により選択すると、電子市場サーバ400からユーザ700の購入履歴を取得する。次に、指定受付部109は、取得したユーザ700の購入履歴に含まれるアイテムを候補アイテムとして取得する。指定受付部109は、
図8に示すように、候補アイテムのリスト606を表示する。そして、指定受付部109は、ユーザ700がリストから第2アイテムとして“リップ2”を選択すると、“リップ2”の指定入力を受け付け、サーバ装置100に“リップ2”の情報を受け付ける。
【0112】
サーバ装置100は、指定入力に係る候補アイテムを、第2アイテムとする。
【0113】
例えば、サーバ装置100は、“リップ2”を第2アイテムとする。また、指定受付部109は、アプリ600の第2アイテムが表示される欄604に“リップ2”を表示する。
【0114】
特定部103は、第2アイテムが塗布されるべき領域を、塗布画像において、第2アイテムが塗布されている領域として特定する。
【0115】
例えば、特定部103は、端末装置200から送信された塗布画像601-1について顔認識を行い、第2アイテム“リップ2”が塗布されるべき領域である唇701の領域を、第2アイテムが塗布されている領域として特定する。
【0116】
第2色彩取得部105は、カタログデータベース300を参照して、ユーザにより指定された第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得する。
【0117】
例えば、第2色彩取得部105は、カタログデータベース300を参照して、第2アイテム“リップ2”に対応付けられる“色彩2-1”~“色彩2-5”を取得する。そして、第2色彩取得部105は、“色彩2-1”~“色彩2-5”のうち、塗布画像601-1の唇701の画素の色彩に最も近い色彩を、第2色彩として特定する。
【0118】
(6.実施形態2の化粧品の試用システムの動作)
本実施形態の化粧品の試用システム1の動作について、
図9を用いて説明する。例えば、化粧品の試用システム1は、端末装置200においてアプリ600が起動されると、
図9に示す試用処理を開始する。なお、ステップS201、S205~S209の処理は、
図6のフローチャートのステップS102、S106、S101、S104、S107、S108の処理と同じである。
【0119】
ステップS201において、塗布画像取得部102が塗布画像を取得すると、指定受付部109は、ユーザの購入履歴から第2アイテムの候補となる候補アイテムを取得し、候補アイテムのリストを提示し、リストにおいていずれかの候補アイテムを指定する指定入力を受け付ける(ステップS202)。
【0120】
例えば、指定受付部109は、
図8に示すように、候補アイテムのリスト606を、端末装置200のアプリ600に表示させ、端末装置200のアプリ600から“リップ2”の指定入力の情報を受け付ける。
【0121】
特定部103は、第2アイテムが塗布されるべき領域を、塗布画像において、第2アイテムが塗布されている領域として特定する(ステップS203)。
【0122】
例えば、特定部103は、端末装置200から送信された塗布画像601-1について顔認識を行い、第2アイテム“リップ2”が塗布されるべき領域である唇701の領域を、第2アイテム“リップ2”が塗布されている領域として特定する。
【0123】
第2色彩取得部105は、第2アイテムに対応付けられる第2色彩を取得する(ステップS204)。
【0124】
例えば、第2色彩取得部105は、カタログデータベース300を参照して、“リップ2”に対応付けられる“色彩2-1”~“色彩2-5”を取得すると、“色彩2-1”~“色彩2-5”のうち、塗布画像601-1の唇701の画素の色彩に最も近い色彩“色彩2-1”を、第2色彩として自動で特定する。
【0125】
ステップS204において、第2色彩取得部105が第2色彩を取得すると、ステップS205以降の処理が実行される。
【0126】
本実施形態によれば、ユーザの購入履歴に基づいて、ユーザが塗布したアイテムの候補のリストを提示することにより、ユーザが現在又は過去に塗布したアイテムを検索する手間を省くことができる。また、購入履歴に基づいて生成されたアイテムのリストからユーザに選択させることにより、塗布したアイテムをユーザに正確に選択させることができる。
【0127】
(7.変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0128】
上記実施形態において、サーバ装置100と端末装置200とが協働して各機能部を実現し、オンラインサービスとしてアイテムを仮想的に試用した様子を提示する場合を示したが、これに限らない。例えば、端末装置200で動作するアプリが単独で各機能部を実現し、オフラインでアイテムを仮想的に試用した様子を提示してもよい。この場合、アプリは、カタログデータベース300の情報を、予めダウンロードしておく。また、特定部103は、端末装置200が有するAR(Augmented Reality)ライブラリ、AI(Artificial Intelligence)ライブラリ、又は、画像認識ライブラリ等のライブラリを用いて、顔認識を行い、塗布画像における第2アイテムが塗布される領域を特定する。
【0129】
また、上記実施形態において、サーバ装置100が、特定部103、第2色彩取得部105、変換算出部106及び試用画像取得部107の機能を実現し、端末装置200が、選択受付部101、塗布画像取得部102、第1色彩取得部104及び出力部108の機能を実現するとしたが、これに限らない。サーバ装置100及び端末装置200が実現する機能部は、適宜変更することができる。
【0130】
また、上記実施形態1において、
図6に試用処理のフローチャートを示したが、処理の順序はこれに限らない。例えば、ステップS104の処理は、ステップS101の処理の後であって、ステップS107の処理より前であれば、どの順番であってもよい。
【0131】
また、上記実施形態2において、第2色彩取得部105が、カタログデータベース300を参照して、ユーザにより指定された第2アイテムに対応付けられる第2色彩を自動で特定する例を示したが、これに限らない。例えば、第2色彩取得部105は、カタログデータベース300に登録されている第2アイテムに対応付けられた色彩のバリエーションのリストをユーザに提示し、リストから選択された色彩を第2色彩として取得してもよい。
【0132】
また、上記実施形態2において、
図9に試用処理のフローチャートを示したが、処理の順序はこれに限らない。例えば、ステップS206及びステップS207の処理は、ステップS202の処理の前に行われてもよい。
【0133】
また、上記実施形態に係る化粧品の試用システム1の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置に適用することで、当該パーソナルコンピュータ又は情報端末装置を実施形態に係る化粧品の試用システム1として機能させることも可能である。
【0134】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明によれば、あるアイテムを塗布した様子を撮影した撮影環境において、塗布したものを除去せずに他のアイテムを仮想的に試用した様子を確認することが可能な化粧品の試用システム、試用方法及びプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0136】
1 化粧品の試用システム
10 情報処理装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 記録媒体
15 出力デバイス
16 通信デバイス
17 入力デバイス
18 バス
100 サーバ装置
101 選択受付部
102 塗布画像取得部
103 特定部
104 第1色彩取得部
105 第2色彩取得部
106 変換算出部
107 試用画像取得部
108 出力部
109 指定受付部
200 端末装置
300 カタログデータベース
400 電子市場サーバ
500 コンピュータ通信網
600 アプリ
601 領域
601-1 塗布画像
601-2 試用画像
602~605 欄
606 リスト
700 ユーザ
701 唇
【要約】
【課題】あるアイテムを塗布した様子を撮影した撮影環境において、塗布したものを除去せずに他のアイテムを仮想的に試用した様子を確認することが可能な化粧品の試用システム、試用方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】化粧品の試用システムの選択受付部101は、ユーザが試用する第1アイテムを選択する選択入力を受け付ける。塗布画像取得部102は、第2アイテムを塗布したユーザが撮影された塗布画像を取得する。特定部103は、取得された塗布画像において、第2アイテムが塗布されている領域を特定する。変換算出部106は、第2アイテムに対応付けられる第2色彩を特定された領域の画素の色彩へ変換する変換を求める。試用画像取得部107は、特定された領域の画素の色彩を、求められた変換を第1アイテムに対応付けられる第1色彩に対して適用した色彩に置き換えることにより、試用画像を取得する。出力部108は、試用画像を出力する。
【選択図】
図3