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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-21
(45)【発行日】2025-04-30
(54)【発明の名称】液体注入ポート
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/02 20060101AFI20250422BHJP
   A61M 37/00 20060101ALI20250422BHJP
【FI】
A61M39/02 102
A61M39/02 114
A61M37/00 560
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021033310
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134275
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 偉師
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-029935(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0105688(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0199220(US,A1)
【文献】欧州特許第03459585(EP,B1)
【文献】特表2013-531999(JP,A)
【文献】特表2017-507764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61M 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部を構成する凹部を有するハウジング部と、
前記凹部の開口を塞いでいる栓体と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
前記ハウジング部に埋設されている発光部と、
を備え、
前記ハウジング部は、前記栓体の周囲を囲んでおり、
前記ハウジング部は、光透過性の樹脂材料により構成されている光透過部と、遮光性の樹脂材料により構成されている遮光部と、を有し、
前記発光部が発光することにより、その光が前記光透過部の内部を通過して前記ハウジング部の少なくとも上面から放射され、
前記光透過部は光散乱材を含有する液体注入ポート。
【請求項2】
体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部を構成する凹部を有するハウジング部と、
前記凹部の開口を塞いでいる栓体と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
前記ハウジング部に埋設されている発光部と、
を備え、
前記ハウジング部は、前記栓体の周囲を囲んでおり、
前記ハウジング部は、光透過性の樹脂材料により構成されている光透過部と、遮光性の樹脂材料により構成されている遮光部と、を有し、
前記発光部が発光することにより、その光が前記光透過部の内部を通過して前記ハウジング部の少なくとも上面から放射され、
前記光透過部は光を散乱させるボイドを内部に有する液体注入ポート。
【請求項3】
体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部を構成する凹部を有するハウジング部と、
前記凹部の開口を塞いでいる栓体と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
前記ハウジング部に埋設されている発光部と、
を備え、
前記ハウジング部は、前記栓体の周囲を囲んでおり、
前記ハウジング部は、光透過性の樹脂材料により構成されている光透過部と、遮光性の樹脂材料により構成されている遮光部と、を有し、
前記発光部が発光することにより、その光が前記光透過部の内部を通過して前記ハウジング部の少なくとも上面から放射され、
前記ハウジング部の上面に露出している前記光透過部の上面の少なくとも一部分は、光を乱反射する凹凸面となっている液体注入ポート。
【請求項4】
体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部を構成する凹部を有するハウジング部と、
前記凹部の開口を塞いでいる栓体と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
前記ハウジング部に埋設されている発光部と、
を備え、
前記ハウジング部は、前記栓体の周囲を囲んでおり、
前記ハウジング部は、光透過性の樹脂材料により構成されている光透過部と、遮光性の樹脂材料により構成されている遮光部と、を有し、
前記発光部が発光することにより、その光が前記光透過部の内部を通過して前記ハウジング部の少なくとも上面から放射され、
前記発光部と前記光透過部との間に、光を乱反射する乱反射構造が配置されている液体注入ポート。
【請求項5】
非接触給電により受電するコイルを備え、
前記コイルが受電した電力が前記発光部に供給されて、前記発光部が発光する請求項1から4のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項6】
前記光透過部と前記遮光部との双方の外面が、前記ハウジング部の外面の一部分ずつを構成している請求項1から5のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項7】
前記光透過部と前記遮光部との双方の外面が、前記ハウジング部の上面の一部分ずつを構成している請求項6に記載の液体注入ポート。
【請求項8】
前記ハウジング部の上面において、前記遮光部の外面が、前記光透過部の外面の周囲を囲んでいる請求項7に記載の液体注入ポート。
【請求項9】
前記光透過部は、前記ハウジング部の上面に向けて平断面積が狭まっている請求項1から8のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項10】
前記光透過部は、前記ハウジング部の上面に向けて平断面積が広がっている請求項1からのいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項11】
前記光透過部は、少なくとも前記発光部の直上の位置に配置されている請求項1から10のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項12】
前記光透過部は蛍光材を含有する請求項1から11のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体注入ポートに関する。
【背景技術】
【0002】
体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートが知られている。液体注入ポートは、体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部を内部に有している。体外から液体供給用の針を液溜り部に刺して、液溜り部に液体を供給すると、液体は液体導入コネクタを介してカテーテルに導かれ、カテーテルから体内の所望の箇所に供給される。
そのような液体注入ポートとしては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-10563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等は、体外から液体注入ポートの位置を認識することについて、ニーズがあると考えた。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、体外から液体注入ポートの位置を認識することが可能な液体注入ポートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部を構成する凹部を有するハウジング部と、
前記凹部の開口を塞いでいる栓体と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
前記ハウジング部に埋設されている発光部と、
を備え、
前記ハウジング部は、前記栓体の周囲を囲んでおり、
前記ハウジング部は、光透過性の樹脂材料により構成されている光透過部と、遮光性の樹脂材料により構成されている遮光部と、を有し、
前記発光部が発光することにより、その光が前記光透過部の内部を通過して前記ハウジング部の少なくとも上面から放射される液体注入ポートを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、体外から液体注入ポートの位置を認識することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る液体注入ポートの斜視図である。
図2】実施形態に係る液体注入ポートの平面図である。
図3図3(a)は実施形態に係る液体注入ポートの側断面図であり、図3(b)は図3(a)に示すA部の部分拡大図である。
図4図4(a)は実施形態の変形例1に係る液体注入ポートの側断面図であり、図4(b)は図4(a)に示すA部の部分拡大図である。
図5図5(a)は実施形態の変形例2に係る液体注入ポートの側断面図であり、図5(b)は図5(a)に示すA部の部分拡大図である。
図6図6(a)は実施形態の変形例3に係る液体注入ポートの側断面図であり、図6(b)は図6(a)に示すA部の部分拡大図である。
図7図7(a)は実施形態の変形例4に係る液体注入ポートの側断面図であり、図7(b)は図7(a)に示すA部の部分拡大図である。
図8図8(a)は実施形態の変形例5に係る液体注入ポートの側断面図であり、図8(b)は図8(a)に示すA部の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、以下の説明において、上方および下方とは、液体注入ポート100の天面側(図3(a)における上側)および底面側(図3(a)における下側)をいう。また、環状とは、上方または下方から視たとき、一定領域を包囲している形状(円形や方形等)、又は、一定領域を包囲している輪郭が一部欠落している形状(C形やコの字形等)をいう。
【0010】
図1から図3(b)のいずれかに示すように、本実施形態に係る液体注入ポート100は、体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部50を構成する凹部52を有するハウジング部10と、凹部52の開口56を塞いでいる栓体20と、液溜り部50と連通しており、カテーテル(不図示)と接続される液体導入コネクタ(コネクタ部36)と、ハウジング部10に埋設されている発光部91と、を備えている。
ハウジング部10は、栓体20の周囲を囲んでおり、ハウジング部10は、光透過性(可視光に対して光透過性)の樹脂材料により構成されている光透過部18と、遮光性(可視光に対して遮光性)の樹脂材料により構成されている遮光部19と、を有し、発光部91が発光することにより、その光が光透過部18の内部を通過してハウジング部10の少なくとも上面11から放射される。
ここで、「光が光透過部18の内部を通過してハウジング部10の少なくとも上面11から放射される」とは、ハウジング部10の上面11側から視て発光を視認可能であることを意味する。
【0011】
本実施形態によれば、発光部91が発光することにより、その光が光透過部18の内部を通過してハウジング部10の少なくとも上面11から放射される。よって、ハウジング部10の上面11から放射される光を視認することによって、体外から液体注入ポート100の位置を認識することが可能となる。よって、術者は、液体注入ポート100における穿刺針(図示せず)の穿刺位置を、体外から容易に認識することができる。
【0012】
本実施形態の場合、液体注入ポート100は、ハウジング部10、液溜り部50、コネクタ部36及び栓体20に加えて、栓体20の周囲を囲んでいる金属製の環状の枠体(上方フレーム60および下方フレーム70)を備えている。
液溜り部50は、ハウジング部10に内包されている。液溜り部50は、開口56を有しており、液体を貯留する。
コネクタ部36は、液溜り部50からハウジング部10の外方に連通している。
上方フレーム60および下方フレーム70は、それぞれハウジング部10より高い剛性を有しており、互いに組み合わされて環状の枠体を構成している。
栓体20は、隔膜部とも称されるものであり、弾性体によって構成されている。栓体20は、枠体の中に押し込められており、開口56を覆っている。
【0013】
金属製の環状の枠体は、上方に位置する環状の上方フレーム60と、下方に位置する環状の下方フレーム70と、を含んでいる。
上方フレーム60は、軸方向における寸法(上下寸法)が小さい筒状に形成されている筒状部61と、筒状部61の上端部から内方に張り出している内フランジ部62と、を有する。
下方フレーム70は、軸方向における寸法(上下寸法)が小さい筒状に形成されている筒状部71と、筒状部71の下端部から内方に張り出している内フランジ部72と、を有する。
例えば、上方フレーム60の筒状部61の内径と下方フレーム70の筒状部71の外径とは互いに同等の寸法に設定されており、上方フレーム60の筒状部61内に下方フレーム70の筒状部71が嵌入している。
上方フレーム60の内フランジ部62と下方フレーム70の内フランジ部72とは互いに対向している。上方フレーム60の内フランジ部62と下方フレーム70の内フランジ部72とが栓体20を上下から挟み込むことによって栓体20に押圧力を与えている。
上方フレーム60および下方フレーム70は、高剛性の材料で形成されることが好ましい。その材料としては、一例として、チタニウムやステンレス等の金属が挙げられる。なお、上方フレーム60および下方フレーム70は、単一の材料で形成される態様に限らず、複数種の材料で形成されていてもよい。
なお、本実施形態において、栓体20の周囲を囲んでいる環状の枠体は、上方フレーム60および下方フレーム70の2つの剛性フレームにより構成され、栓体20の上下方向から押圧力を与えているが、この態様は一例であり、必ずしもこの態様に限られない。例えば、3つ以上の剛性フレームにより環状の枠体を構成してもよいし、複数の円弧状の剛性フレームを組み合わせて側方から押圧力を与えてもよい。
【0014】
例えば、上方フレーム60の内フランジ部62の内径は、下方フレーム70の内フランジ部72の内径よりも小さい寸法に設定されている。これにより、栓体20に穿刺針(図示せず)を刺すときに、下方フレーム70の内フランジ部72に対する穿刺針の衝突を抑制することができる。ただし、この態様は一例であって、上方フレーム60の内フランジ部62の内径は、下方フレーム70の内フランジ部72の内径と等しくなっている態様であっても、同様の効果を奏する。
【0015】
栓体20は、液溜り部50の開口56を覆う部材であり、穿刺針(図示せず)で突き刺し可能な弾性体で形成される。また、栓体20には上方フレーム60および下方フレーム70により強い押圧力が与えられており、穿刺針を抜いて生じる孔が自然と塞がるようになっている。栓体20を形成する材料としては、例えば、シリコーン、イソプレーン等のゴムが挙げられる。
本実施形態の場合、栓体20は遮光性の樹脂材料により構成されている。これにより、栓体20とハウジング部10とのうちハウジング部10から選択的に光が放射される構成とすることができる。すなわち、栓体20の周囲においては、発光部91から出力された光が良好に放射される一方で、栓体20においては当該光が実質的に放射されない構成とすることができる。これにより、液体注入ポート100における穿刺針(図示せず)の穿刺位置を体外から認識することが更に容易となる。
遮光性の樹脂材料は、カーボンブラックやチタン等の顔料や着色材などを含有することにより、遮光性となっている。
なお、本実施形態の場合、上述のように、液体注入ポート100は、栓体20の周囲を囲んでいる金属製の環状の枠体を備えている。よって、金属製の環状の枠体によっても、発光部91から発生した光が栓体20の内部に入射することを抑制し、栓体20とハウジング部10とのうち少なくともハウジング部10の上面11から選択的に光を放射させる構成を実現することができる。
【0016】
本実施形態の場合、金属製の環状の枠体は、栓体20の周囲を直に囲んでいる。よって、下方フレーム70の内周面は、栓体20の外周面に接触している。
より詳細には、栓体20は、例えば、液溜り部50の開口56に嵌入している嵌入部20aと、環状の枠体によって囲まれている主部20bと、相対的に小径に形成されており、当該枠体の上側の開口から上方に突出している小径部20cと、を備えており、このうち小径部20cの上面が栓体20の上面22となっている。
また、栓体20は上方フレーム60または下方フレーム70と一体成形されていることが好ましい。これにより、強い押圧力が作用した場合にも、栓体20が枠体から剥離し難いようにできる。
一例として、栓体20は下方フレーム70と一体成形されている。より詳細には、下方フレーム70の内フランジ部72には、当該内フランジ部72の幅寸法よりも小径の小孔が複数設けられており、栓体20は、これら小孔を通じて当該内フランジ部72の上方および下方で相互に繋がっており、これにより、下方フレーム70と共に一体化されている。
栓体20を下方フレーム70と一体成形する際に、栓体20の一部分である環状の凸部28や環状の凹部26が内フランジ部72の下面よりも下方に形成されている。
栓体20の下面24は、例えば、凹部26や凸部28よりも僅かに下方に突出している。
環状の凸部28は、栓体20の下面24に栓体20と一材で形成されており、液溜り部50の開口56の周囲に当接している。環状の凸部28は、いわゆるOリングのように作用し、開口56から液溜り部50に貯留される液体が漏れることを抑制する。環状の凸部28は、下方フレーム70の中心軸周りの全方位にわたって延在し、欠落部分が存在しない閉じた環状に形成されていることが望ましい。
なお、本発明は、栓体20と環状の凸部28とが一体成形されている態様に限らず、凸部28の代わりに、栓体20とは別部材で形成されたOリングが栓体20の下面24に設けられている態様であってもよい。
【0017】
ハウジング部10は、例えば、栓体20の上部の周囲を囲む上側部分12と、凹部の周囲を囲む下側部分14と、を有し、上側部分12と下側部分14とが相互に組み付けられることによって、ハウジング部10が構成されている。
上側部分12及び下側部分14は、例えば、樹脂材料により構成されている。
液溜り部50は、ハウジング部10に内包され、開口56を有しており、液体を貯留する。穿刺針が栓体20を介して液溜り部50に到達した状態で、穿刺針を介して液溜り部50に薬液等の液体が供給される。コネクタ部36は、液溜り部50からハウジング部10の外方に連通している。
【0018】
上側部分12には、外部から栓体20に穿刺針を刺すための開口12aが形成されている。
図3(a)に示すように、例えば、開口12aの内径は、上方フレーム60の内フランジ部62の内径と同等の寸法に設定されている。栓体20の小径部20cは、上方フレーム60の内フランジ部62の内側領域と上側部分12の開口12aの内側領域とに亘って配置されている。栓体20の上面22(小径部20cの上面)は、開口12aを介して外部に露出している。より詳細には、平面視において、開口12aは、液体注入ポート100の全体の中央部に形成されており、上面22において外部に露出している部分の周囲が上側部分12の上面によって取り囲まれている。術者は、開口12aを通して、上面22における外部に露出している領域に穿刺針を刺すことによって、栓体20を通して液溜り部50に穿刺針を到達させることができる。
また、例えば、上側部分12において、開口12aの周囲の部分は、上方に突出した環状の凸部となっている。
【0019】
液溜り部50は、栓体20に刺した穿刺針(図示せず)を介して注液された薬液等の液体を貯留する部位である。
液溜り部50は、下側部分14に形成された凹部52により構成されている。従って、液溜り部50の底面は樹脂材料で形成されており、その側面54も樹脂材料で形成されている。すなわち、液溜り部50を囲っている壁面(底面及び側面54)が樹脂材料で形成されている。
なお、本発明は、この例に限らず、液溜り部50は、下側部分14とは別個の部材により構成されていてもよい。この場合に、液溜り部50は、樹脂材料により構成されていてもよいし、その他の材料により構成されていてもよい。また、液溜り部50は、下方フレーム70の一部分により構成されていてもよい。
例えば、下側部分14において、液溜り部50の開口56の周囲の部分は、上方に突出した環状の凸部となっている。また、上述のように、栓体20の下面において、環状の凹部26が環状の凸部28に隣接している。そして、下側部分14における開口56の周囲の環状の凸部は、環状の凹部26に嵌合している。これにより、環状の凸部28とともに開口56の周縁もいわゆるOリングとして機能し、開口56からの液漏れをより確実に抑制することができる。
なお、本実施形態においては、環状の凹部26が環状の凸部28よりも内径側に形成されている態様を例示するが、環状の凹部26が環状の凸部28よりも外径側に形成される態様であっても同様の効果を奏する。
【0020】
コネクタ部36は、液溜り部50に貯留される液体を液体注入ポート100の外方、より詳細には、コネクタ部36の先端に接続されるカテーテル(図示せず)に排出する流路として機能する部材である。
コネクタ部36の基端は、図3(a)に示すように、液溜り部50の側面54に設けられている連通孔58に嵌合されている。そして、コネクタ部36の内径と連通孔58の内径は略等しくなっており、液溜り部50に貯留される液体が連通孔58を介してコネクタ部36へと円滑に流動するようになっている。
コネクタ部36は液体の流路となるので、耐薬品性の材料で形成されることが好ましい。また、長尺のカテーテル(図示せず)が接続され、カテーテルに付与される負荷がコネクタ部36にも与えられるので、一定の強度(剛性)を有することが望ましい。
コネクタ部36を構成する材料としては、例えばチタニウムやステンレス等の金属や硬質の樹脂材料、セラミックス等が挙げられる。
コネクタ部36の外周面の形状は、先端から基端にかけて拡大するテーパー状の部分を含む形状になっており、テーパー状の部分の基端において、不連続に(急峻に)外径が縮小している。このため、コネクタ部36に嵌め込まれた(外嵌された)カテーテル(図示せず)がコネクタ部36から脱落することが抑制されるようになっている。
【0021】
ハウジング部10は、他の構成要素を収容して保護する部位である。
上述のように、ハウジング部10は、上方に位置する上側部分12と下方に位置する下側部分14とを含んでいる。
図3(a)に示すように、上方フレーム60および下方フレーム70は、上側部分12と下側部分14とにより上下から挟み込まれている。なお、上側部分12と下側部分14とが上方フレーム60および下方フレーム70に与えている押圧力が、上方フレーム60の内フランジ部62と下方フレーム70の内フランジ部72とが栓体20に与えている押圧力よりも小さくなっている。
上側部分12と下側部分14とが上方フレーム60および下方フレーム70に与えている押圧力は、環状の凸部28や環状の凹部26が当接する箇所にも伝達される。このため、当該箇所における液密性が向上する。
【0022】
ハウジング部10は生体組織に接触するので生体適合性を有することが好ましい。また、液体注入ポート100は長期間にわたって皮膚下に埋設されるので、ハウジング部10は一定の強度を有しており体熱で変形しないことが好ましい。さらに、ハウジング部10は加工が容易な材料で形成されることが好ましい。
以上の条件を満たす材料として、例えば、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0023】
ここで、本実施形態の場合、図3(b)に示すように、光透過部18は、少なくとも発光部91の直上の位置に配置されている。
これにより、発光部91から出力された光が効率的に光透過部18の内部に入光するようにできる。
【0024】
より詳細には、図1から図3(a)に示すように、液体注入ポート100は、例えば、複数(例えば、4つ)の発光部91と、複数の発光部91と対応する数の光透過部18と、を備えており、ひとつずつの光透過部18が各発光部91の直上の位置に配置されている。
各発光部91は、例えば、上側部分12(遮光部19)における開口12aの周囲縁部に配置されている。各発光部91は、栓体20の中心軸AX(図3(a)参照)の軸回りに等角度間隔で配置されている。同様に、各光透過部18は、上側部分12における開口12aの周囲縁部に配置されているとともに、栓体20の中心軸AXの軸回りに等角度間隔で配置されている。
これにより、液体注入ポート100の穿刺位置の周囲における複数箇所が発光することとなるので、術者は、液体注入ポート100において、複数の発光箇所により取り囲まれている領域の内側(穿刺位置)に穿刺針を刺すことによって、より確実に、栓体20を通して液溜り部50に穿刺針を到達させることができる。
より詳細には、図2及び図3(b)に示すように、上側部分12には、当該上側部分12の上面に開口した複数(例えば、4つ)の凹部16が形成されており、各凹部16の内部には、ひとつずつの発光部91が配置されている。発光部91の発光面92は、ハウジング部10の上面11側(上方)を向いており、水平に配置されている。
各凹部16の開口は、ひとつずつの光透過部18によって封止されており、例えば、光透過部18の下面は、発光部91の発光面92と面接触している。すなわち、発光部91から出力された光は直に光透過部18に入光するように構成されている。
ただし、例えば、発光部91と光透過部18との間に、別の光透過性の部材が配置されており、発光部91から出力された光の一部は、当該光透過性の部材の内部を通過して光透過部18に入光するように構成されていてもよい。また、例えば、発光部91と光透過部18との間に空隙が介在していてもよい。
平面視において、発光部91の発光面92の少なくとも一部分が、光透過部18と重なっていることが好ましい。本実施形態の場合、平面視において、発光部91及び光透過部18の各々は、円形状に形成されている。光透過部18の下面の外径は、例えば、発光面92の外径と略同等に設定されており、平面視において、発光部91の発光面92の全体が、光透過部18の下面と重なっている。本実施形態の場合、光透過部18の外径は、当該光透過部18の軸方向における位置にかかわらず略一定となっている。
また、本実施形態の場合、各発光部91及び各光透過部18の各々は、下方フレーム70の筒状部71よりも内側(筒状部71の径方向内側)に配置されているとともに、上方フレーム60の上面よりも上方に配置されている。
ただし、例えば、各発光部91及び各光透過部18の各々は、環状の枠体よりも外側(枠体の径方向外側)に配置されていてもよいし、上方フレーム60の内フランジ部62よりも下方に配置されていてもよい。
【0025】
発光部91は特に限定されないが、一例として、LED(light Emitting Diode)であることが挙げられ、発光部91からは可視光が出力される。また、液体注入ポート100が備える発光部91の数は特に限定されず、1つでもよいし、本実施形態のように複数でもよい。
【0026】
更に、液体注入ポート100は、非接触給電により受電するコイル96を備え、コイル96が受電した電力が発光部91に供給されて、発光部91が発光する。
コイル96を構成する線材の巻回数は特に限定されないが、複数であることが好ましい。コイル96の軸方向は、例えば、上下方向と一致している。
本実施形態の場合、液体注入ポート100への非接触給電の給電方式は、電磁誘導方式である。ただし、本発明は、この例に限らず、液体注入ポート100への非接触給電の給電方式は、その他の方式であってもよい。
コイル96は、図示しない配線を介して各発光部91と電気的に接続されており、外部機器(不図示)によってコイル96に誘導起電力が生じると、コイル96から各発光部91に電力が供給される。
コイル96は、例えば、上側部分12に埋設されており、環状の枠体よりも上方に配置されている。コイル96は、平面視において、液溜り部50を囲むように配置されている。より詳細には、コイル96は、栓体20の嵌入部20a及び主部20bの各々よりも上方に配置されており、栓体20の小径部20cの周囲に配置されている。
【0027】
ここで、光透過部18と遮光部19との双方の外面が、ハウジング部10の外面の一部分ずつを構成している。
より詳細には、本実施形態の場合、光透過部18と遮光部19との双方の外面が、ハウジング部10の上面11の一部分ずつを構成している。
これにより、発光部91が発光することにより、上面11における一部分(光透過部18の外面)から局所的に光が放射される一方で、当該上面11におけるその他の部分(遮光部19の外面)からは光が実質的に放射されない構成とすることができる。よって、術者は、液体注入ポート100において、光が放射されている部分と光が放射されてない部分とを区別して視認することができる。
【0028】
また、図2及び図3(a)に示すように、本実施形態の場合、ハウジング部10の上面11において、遮光部19の外面が、光透過部18の外面の周囲を囲んでいる。
これにより、発光部91から出力された光が、光透過部18の外面から放射される一方で、光透過部18の外面の周囲からは当該光が実質的に放射されない構成とすることができる。これにより、液体注入ポート100において、光が放射されている部分と光が放射されていない部分との視覚的な違いがより明瞭となる。
【0029】
更に、光透過部18が遮光部19よりも高屈折率であることが好ましい。
このようにすることにより、光透過部18の内部に入光して当該光透過部18と遮光部19との界面に到達した光が、遮光部19の内部に入光することを抑制し、更には当該光が光透過部18の内部に反射されやすくすることができる。よって、光透過部18と遮光部19との界面に到達した光のうち外部に放射される光の割合を向上させることができるので、光透過部18の外面において、当該光をより広範囲且つ均一に放射させることができる。
【0030】
図3(a)及び図3(b)に示すように、一例として、ハウジング部10の上面11は、光透過部18の上面18aと、遮光部19の上面19aと、によって構成されており、発光部91が発光することにより、光透過部18の上面18aから光が放射される。
より詳細には、本実施形態の場合、上側部分12が遮光部19を構成しており、上側部分12の上面が、遮光部19の上面19aとなっている。したがって、遮光部19は、栓体20の上部の周囲を囲んでおり、栓体20の上面22において外部に露出している部分の周囲が遮光部19の上面19aによって取り囲まれている。これにより、遮光部19によって、発光部91から出力された光が栓体20の内部に入射することを抑制し、栓体20とハウジング部10とのうちハウジング部10から選択的に光を放射させる構成を実現することができる。
遮光部19(上側部分12)は、例えば、不透明(可視光に対して不透明)な樹脂材料によって構成されていることが好ましい。本実施形態の場合、遮光部19は、例えば、カーボンブラックやチタン等の顔料や着色材などを含有する樹脂材料によって構成されており、これにより遮光性となっている。なお、下側部分14は、光透過性の樹脂によって構成されていてもよいし、遮光性の樹脂材料によって構成されていてもよい。
光透過部18は、上述のように、上側部分12(遮光部19)に形成されている複数の凹部16の開口を封止している。光透過部18の上面18aは、上側部分12の上面(遮光部19の上面19a)に露出しており、ハウジング部10の上面11の一部分を構成している。光透過部18の上面18aは、例えば、遮光部19の上面19aと面一に配置されている。
また、光透過部18の側周面の周囲は、遮光部19によって囲まれており、当該側周面は遮光部19に対して直に接している。これにより、発光部91から出力された光は、光透過部18を光導波路としてハウジング部10の上面11に導かれる。
ただし、必ずしも光透過部18の側周面の全周が遮光部19によって囲まれていなくてもよく、例えば、光透過部18の側周面の一部分が枠体によって囲まれていてもよい。
【0031】
ここで、光透過部18は、光散乱材を含有することが好ましい。
このようにすることにより、光透過部18の各所において、光散乱材によって、光を様々な方向に散乱させることができるので、発光部91としてLED等の指向性が高い光源を用いた場合でも、光透過部18の上面18aの全面から均一に光を放射させることができる。
光散乱材は特に限定されないが、例えば、酸化チタン、ジルコニア、マイカ、アルミナ、シリカ等の無機粒子(顔料、着色材及び金属粉等を含む)、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の有機粒子(顔料、着色材等を含む)などであることが挙げられる。
光散乱材の粒子径(円相当径)は、可視光の波長領域と同等かそれよりも大きいものを含む。これにより、より確実に、光散乱材によって、光を様々な方向に反射させることができる。光散乱材の平均粒子径は、例えば、0.4μm以上であることが好ましい。
【0032】
液体注入ポート100は、被験者の皮下に埋め込まれた状態で留置される。以下、穿刺針を用いて液体注入ポート100に薬液等の液体を供給する動作の例を説明する。なお、薬液としては、抗がん剤や栄養剤が挙げられる。
先ず、上述のように、外部機器からコイル96へと非接触給電がなされることによって、コイル96から発光部91に電力が供給され、当該発光部91が発光する。そして、栓体20とハウジング部10とのうち栓体20の上面22の周囲における複数箇所(光透過部18の上面18a)から選択的に光が放射される。よって、術者は、液体注入ポート100において、複数の発光箇所により取り囲まれている領域の内側(穿刺位置)に穿刺針を刺すことによって、より確実に、栓体20を通して液溜り部50に穿刺針を到達させることができる。
更に、本実施形態の場合、上述のように、発光部91が発光することにより、上面11における一部分(光透過部18の外面)から局所的に光が放射される一方で、当該上面11におけるその他の部分(遮光部19の外面)からは光が実質的に放射されない構成である。よって、術者は、液体注入ポート100において、光が放射されている部分と光が放射されていない部分との視覚的な違いがより明瞭となる。
【0033】
<変形例1>
次に、図4(a)及び図4(b)を用いて実施形態の変形例1を説明する。
本実施形態に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の実施形態に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の実施形態に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0034】
本変形例の場合、図4(a)及び図4(b)に示すように、光透過部18は、ハウジング部10の上面11に向けて平断面積が狭まっている。
これにより、光透過部18の内部に入光した光を、当該光透過部18の上面18aに向けて集光することができるので、当該上面18aから放射される光の強度を向上させることができる。
本変形例の場合、各光透過部18は、上下方向を軸方向とする略円錐台形状である。
【0035】
<変形例2>
次に、図5(a)及び図5(b)を用いて実施形態の変形例2を説明する。
本実施形態に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の実施形態及び変形例1に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の実施形態及び変形例1に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0036】
本変形例の場合、光透過部18は光を散乱させるボイドを内部に有する。
これにより、光透過部18の各所において、ボイドによって光を様々な方向に散乱させることができるので、発光部91としてLED等の指向性が高い光源を用いた場合でも、光透過部18の上面18aの全面から均一に光を放射させることができる。
例えば、ボイドは、発泡剤が混合された光透過性の樹脂材料を加熱することにより形成することができる。また、例えば、光透過部18を成形するに際して、光透過性の樹脂材料を攪拌し気体(空気等)と混合(混練)することによって、ボイドを形成してもよい。
ボイドの外径(円相当径)は、可視光の波長領域と同等かそれよりも大きいことが好ましい。これにより、より確実に、ボイドによって、光を様々な方向に反射させることができる。
【0037】
<第1実施形態の変形例3>
次に、図6(a)及び図6(b)を用いて実施形態の変形例3を説明する。
本実施形態に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の実施形態及び変形例1、2に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の実施形態及び変形例1、2に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0038】
本変形例の場合、図6(a)及び図6(b)に示すように、光透過部18は、ハウジング部10の上面11に向けて平断面積が広がっている。
これにより、発光部91から出力された光において、遮光部19に吸収されて熱として消費される割合を低減できるので、当該光のうち光透過部18の内部を通過して上面18aから放射される光の割合を向上させることができる。
本変形例の場合、各光透過部18は、天地逆転した略円錐台形状である。
【0039】
<第1実施形態の変形例4>
次に、図7(a)及び図7(b)を用いて実施形態の変形例4を説明する。
本変形例に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の実施形態及び変形例1~3に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の実施形態及び変形例1~3に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0040】
本変形例の場合、図7(a)及び図7(b)に示すように、光透過部18と遮光部19との境界が、ハウジング部10の上面11ではなく、ハウジング部10の側面にある。
より詳細には、光透過部18の上面18aがハウジング部10の上面11の全体を構成しており、光透過部18と遮光部19との双方の側面が、ハウジング部10の側面の一部分ずつを構成している。
より詳細には、例えば、上側部分12が、上下に2分割されており、光透過部18が、上側部分12における上側の部分を構成しており、遮光部19が、上側部分12における下側の部分を構成している。
遮光部19には、当該遮光部19の上面19aに開口している凹部16が形成されており、発光部91は、例えば、当該凹部16の内部に配置されている。発光部91の発光面92は、遮光部19の上面19aと面一に配置されている。光透過部18の下面は、発光面92及び遮光部19の上面19aの各々と面接触している。
光透過部18において、発光面92と対向している面の面積は、発光面92の面積よりも大きくてもよいし、当該面積よりも小さくてもよい。本変形例の場合、光透過部18の下面(発光面92と対向している面)の面積は、発光面92の面積よりも大きい。
【0041】
<変形例5>
次に、図8(a)及び図8(b)を用いて実施形態の変形例5を説明する。
本変形例に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の実施形態及び変形例1~4に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の実施形態及び変形例1~4に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0042】
本変形例の場合、図8(a)及び図8(b)に示すように、発光部91と光透過部18との間に、光を乱反射する乱反射構造80が配置されている。
これにより、乱反射構造80によって様々な方向に散乱された光が、光透過部18の内部に入光することとなるので、発光部91としてLED等の指向性が高い光源を用いた場合でも、光透過部18の上面18aから均一に光を放射させることができる。
本変形例の場合、乱反射構造80は、発光部91の発光面92に対して直に接触しているとともに、光透過部18の下面に対して直に接触している。
より詳細には、乱反射構造80は、遮光部19の凹部16において、光透過部18と発光面92との間に配置されている。また、乱反射構造80の周囲(側周面)が遮光部19によって囲まれている。
乱反射構造80は、例えば、当該乱反射構造80の表面によって光が乱反射するように構成されていてもよいし、当該乱反射構造80の内部において光が乱反射するように構成されていてもよい。
乱反射構造80がその表面によって光が乱反射するように構成されている場合、乱反射構造80の表面の少なくとも一部分は凹凸面となっている。乱反射構造80の凹凸面は特に限定されないが、例えば、その断面形状が曲線状となることが好ましい。このようにすることにより、光をより様々な方向に散乱させることができる。乱反射構造80の凹凸面の凸部の形状及び凹部の形状は、特に限定されないが、例えば、半球状、ドーム状、円錐形状、ピラミッド形状(四角錐形状)、その他の角錐形状、円錐台形状、角錐台形状等の形状とすることができる。凹凸面の凸部及び凹部は、規則的に(周期的に)配置されていても良いし、不規則に配置されていても良い。また、乱反射構造80の凹凸面は、例えば、ダイヤカット面、クリスタルカット面、プリズム面及び粗面等であってもよい。また、乱反射構造80の凹凸面の凹部及び凸部の径(円相当径)は、それぞれ可視光の波長領域と同等かそれよりも大きいことが好ましい。
乱反射構造80の内部において光が乱反射するように構成されている場合、乱反射構造80は、例えば、光散乱材を含んだ光透過性の樹脂材料によって構成されている。光散乱材は特に限定されてないが、例えば、酸化チタン、ジルコニア、マイカ、アルミナ、シリカ等の無機粒子(顔料、着色材及び金属粉等を含む)、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の有機粒子(顔料、着色材等を含む)などであることが挙げられる。また、乱反射構造80の内部において、ボイドを含有していてもよいし、2つの凹凸面が互いに組み合わされて形成された凹凸構造部を有していてもよい。
【0043】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
また、上記の各実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜に組み合わせることができる。
【0044】
例えば、上述においては、光透過部18が光散乱材を含有する例を説明したが、光透過部18は、例えば、蛍光材を含有することも好ましい。
このようにすることにより、光透過部18に光が照射されることによって、光透過部18に含まれる蛍光材が点光源となる。このため、光透過部18の内部において、点光源となる蛍光材が点在することとなり、各蛍光材間において光が伝達される。このようにして、光透過部18の内部において光の連鎖が生じることとなるので、光透過部18の全体が光るようにできる。
【0045】
また、例えば、ハウジング部10の上面11に露出している光透過部18の上面18aの少なくとも一部分は、光を乱反射する凹凸面となっていてもよい。
このようにすることにより、凹凸面によって、光をより様々な方向に散乱させることができるので、発光部91としてLED等の指向性が高い光源を用いた場合でも、光透過部18の上面18aの全面から均一に光を放射させることができる。
凹凸面は特に限定されないが、例えば、その断面形状が曲線状となることが好ましい。このようにすることにより、光をより様々な方向に散乱させることができる。凸面の凸部の形状及び凹部の形状は、特に限定されないが、例えば、半球状、ドーム状、円錐形状、ピラミッド形状(四角錐形状)、その他の角錐形状、円錐台形状、角錐台形状等の形状とすることができる。凹凸面の凸部及び凹部は、規則的に(周期的に)配置されていても良いし、不規則に配置されていても良い。また、凹凸面は、例えば、ダイヤカット面、クリスタルカット面、プリズム面及び粗面等であってもよい。また、凹凸面の凹部及び凸部の径(円相当径)は、それぞれ可視光の波長領域と同等かそれよりも大きいことが好ましい。
例えば、光透過部18の上面18aの少なくとも一部分が凹凸面となっている場合、当該凹凸面によって、上面18aにおいて全反射が生じることを抑制できるので、光透過部18に入光した光の方のうち外部に放射される光の割合をより向上させることができる。
また、例えば、光透過部18の上面18a以外の外面が凹凸となっていてもよい。
例えば、光透過部18の下面が凹凸面となっている場合、当該凹凸面によって様々な方向に散乱された光が、光透過部18の内部に入光することとなるので、当該光を光透過部18の上面18aに万遍なく到達させることができる。なお、この場合、光透過部18の下面における凹凸面の形成領域の近傍に、発光部91が配置されることが好ましい。
また、例えば、光透過部18の側周面が凹凸面となっている場合、光透過部18の側周面に到達した光を当該凹凸面によって様々な方向に散乱させることができるので、当該光が光透過部18の内部に反射されやすくすることができる。よって、光透過部18の上面18aから放射される光の割合を向上させることができる。
なお、本発明において、光透過部18は、例えば、上述した光散乱材、蛍光材、ボイド、乱反射構造80、凹凸構造部29及び凹凸面のうち2つ以上を含んでいてもよい。
【0046】
また、例えば、上記においては、液体注入ポート100が、栓体20の周囲を囲んでいる金属製の環状の枠体を備えている例を説明したが、例えば、液体注入ポート100は、当該金属製の環状の枠体を備えていなくてもよい。
これにより、液体注入ポート100が体内に埋め込まれた生体に対して、例えば、磁気共鳴画像診断装置(不図示)を用いた検査を行う際に、液体注入ポート100の発熱を抑制することができる。
この場合、例えば、ハウジング部10が、栓体20の側周面に対して直に当接して、当該栓体20を保持している。より詳細には、栓体20は、金属製の環状の枠体を介さずに、上側部分12と下側部分14とにより上下から挟み込まれている。
【0047】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部を構成する凹部を有するハウジング部と、
前記凹部の開口を塞いでいる栓体と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
前記ハウジング部に埋設されている発光部と、
を備え、
前記ハウジング部は、前記栓体の周囲を囲んでおり、
前記ハウジング部は、光透過性の樹脂材料により構成されている光透過部と、遮光性の樹脂材料により構成されている遮光部と、を有し、
前記発光部が発光することにより、その光が前記光透過部の内部を通過して前記ハウジング部の少なくとも上面から放射される液体注入ポート。
(2)非接触給電により受電するコイルを備え、
前記コイルが受電した電力が前記発光部に供給されて、前記発光部が発光する(1)に記載の液体注入ポート。
(3)前記光透過部と前記遮光部との双方の外面が、前記ハウジング部の外面の一部分ずつを構成している(1)又は(2)に記載の液体注入ポート。
(4)前記光透過部と前記遮光部との双方の外面が、前記ハウジング部の上面の一部分ずつを構成している(3)に記載の液体注入ポート。
(5)前記ハウジング部の上面において、前記遮光部の外面が、前記光透過部の外面の周囲を囲んでいる(4)に記載の液体注入ポート。
(6)前記光透過部は、前記ハウジング部の上面に向けて平断面積が狭まっている(1)から(5)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(7)前記光透過部は、前記ハウジング部の上面に向けて平断面積が広がっている(1)から(5)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(8)前記光透過部は、少なくとも前記発光部の直上の位置に配置されている(1)から(7)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(9)前記光透過部は光散乱材を含有する(1)から(8)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(10)前記光透過部は蛍光材を含有する(1)から(9)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(11)前記光透過部は光を散乱させるボイドを内部に有する(1)から(10)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(12)前記ハウジング部の上面に露出している前記光透過部の上面の少なくとも一部分は、光を乱反射する凹凸面となっている(1)から(11)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(13)前記発光部と前記光透過部との間に、光を乱反射する乱反射構造が配置されている(1)から(12)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【符号の説明】
【0048】
10 ハウジング部
12 上側部分
12a 開口
14 下側部分
15a 外側部分
15b 内側部分
16 凹部
18 光透過部
18a 上面
19 遮光部
19a 上面
20 栓体
20a 嵌入部
20b 主部
20c 小径部
22 上面
24 下面
26 凹部
28 凸部
36 コネクタ部
50 液溜り部
52 凹部
54 側面
56 開口
58 連通孔
60 上方フレーム
61 筒状部
62 内フランジ部
70 下方フレーム
71 筒状部
72 内フランジ部
80 乱反射構造
91 発光部
92 発光面
96 コイル
100 液体注入ポート
AX 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8