(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-21
(45)【発行日】2025-04-30
(54)【発明の名称】電磁弁及びブレーキ制御装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20250422BHJP
B60T 8/36 20060101ALI20250422BHJP
【FI】
F16K31/06 305K
F16K31/06 305A
F16K31/06 305L
F16K31/06 305J
F16K31/06 305S
B60T8/36
(21)【出願番号】P 2021087822
(22)【出願日】2021-05-25
【審査請求日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2020165770
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 秀宣
(72)【発明者】
【氏名】榎本 隆
(72)【発明者】
【氏名】杉谷 龍彦
(72)【発明者】
【氏名】五藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 慶太
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-152175(JP,U)
【文献】特表2004-505227(JP,A)
【文献】特開平08-105569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06-31/11
F16K 27/02
B60T 7/12- 8/1769; 8/32- 8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流路と、前記第1の流路から第1の方向に離間した収容室と、前記第1の流路と前記収容室との間に位置するとともに前記第1の流路に連通可能な第2の流路と、前記第2の流路と前記収容室とを連通する挿通孔と、前記挿通孔から離間するとともに前記第2の流路と前記収容室とを連通する第1の循環流路と、が設けられ、前記第1の流路が開口するシートを有する、筐体と、
電流を流されることで磁界を発生させるコイルと、
前記第1の方向に向く第1の端面と、前記第1の端面の反対側に位置して前記第1の方向の反対の第2の方向に向く第2の端面と、を有し、それぞれが前記第1の端面と前記第2の端面とを連通する複数の第2の循環流路が設けられ、前記収容室に位置し、前記磁界によって付勢される、プランジャと、
前記筐体の内部で前記シートと前記プランジャとの間に位置し、前記挿通孔を通り、前記シートに接触することで前記第1の流路を塞ぎ、前記シートから離間すること
で前記第2の流路に前記第1の流路を連通させ、前記磁界に付勢された前記プランジャによって前記第2の方向に付勢される、弁部材と、
前記弁部材を前記第1の方向に弾性力により付勢する付勢部材と、
を備え
、
前記筐体は、外筒と、前記外筒の内側に嵌め込まれた内筒と、を有し、
前記挿通孔は、前記内筒の内側に設けられ、
前記第1の循環流路は、前記外筒と前記内筒との間に設けられ、
前記内筒は、前記付勢部材を支持する支持面を有する、
電磁弁。
【請求項2】
第1の流路と、前記第1の流路から第1の方向に離間した収容室と、前記第1の流路と前記収容室との間に位置するとともに前記第1の流路に連通可能な第2の流路と、前記第2の流路と前記収容室との間に位置するとともに前記収容室に連通された第3の流路と、前記第2の流路及び前記第3の流路から離間するとともに前記収容室に連通する第4の流路と、前記第2の流路と前記第3の流路とを連通する第1の連通孔と、が設けられ、前記第1の流路が開口するシートを有する、筐体と、
電流を流されることで磁界を発生させるコイルと、
前記第1の方向に向く第1の端面と、前記第1の端面の反対側に位置して前記第1の方向の反対の第2の方向に向く第2の端面と、を有し、それぞれが前記第1の端面と前記第2の端面とを連通する複数の第5の流路が設けられ、前記収容室に位置し、前記磁界によって前記第1の方向及び前記第2の方向のうち一方に付勢される、プランジャと、
前記第3の流路及び前記第1の連通孔を通って前記シートと前記プランジャとの間に位置し、前記シートに接触することで前記第1の流路を塞ぎ、前記シートから離間することで前記第2の流路に前記第1の流路を連通させ、前記磁界によって付勢された前記プランジャによって前記第2の方向に付勢される、弁部材と、
前記弁部材を前記第1の方向及び前記第2の方向のうち他方に付勢する付勢部材と、
を備え
、
前記第2の流路は、前記第1の流路に連通可能な内室と、前記第2の流路の外部の空間と前記内室とを連通する貫通孔と、を有し、
前記第1の連通孔は、前記内室と前記第3の流路とを連通し、
前記貫通孔は、前記外部の空間を介して前記第4の流路に連通される、
電磁弁。
【請求項3】
前記プランジャは、前記第1の方向及び前記第2の方向に移動可能に前記収容室の内面に支持される側面を有し、
前記複数の第5の流路は、前記プランジャを貫通して前記第1の端面と前記第2の端面とに開口する第1の孔と、前記側面から窪むとともに前記第1の端面と前記第2の端面とに開口する溝と、を含み、
前記弁部材は、前記プランジャの前記第2の端面に向く第3の端面を有し、前記第3の端面に開口するとともに前記第3の流路と前記第1の孔とを連通する第2の孔が設けられた、
請求項2の電磁弁。
【請求項4】
第1の流路と、前記第1の流路から第1の方向に離間した収容室と、前記第1の流路と前記収容室との間に位置するとともに前記第1の流路に連通可能な第2の流路と、前記第2の流路と前記収容室との間に位置するとともに前記収容室に連通された第3の流路と、前記第2の流路及び前記第3の流路から離間するとともに前記収容室に連通する第4の流路と、前記第2の流路と前記第3の流路とを連通する第1の連通孔と、が設けられ、前記第1の流路が開口するシートを有する、筐体と、
電流を流されることで磁界を発生させるコイルと、
前記第1の方向に向く第1の端面と、前記第1の端面の反対側に位置して前記第1の方向の反対の第2の方向に向く第2の端面と、を有し、それぞれが前記第1の端面と前記第2の端面とを連通する複数の第5の流路が設けられ、前記収容室に位置し、前記磁界によって前記第1の方向及び前記第2の方向のうち一方に付勢される、プランジャと、
前記第3の流路及び前記第1の連通孔を通って前記シートと前記プランジャとの間に位置し、前記シートに接触することで前記第1の流路を塞ぎ、前記シートから離間することで前記第2の流路に前記第1の流路を連通させ、前記磁界によって付勢された前記プランジャによって前記第2の方向に付勢される、弁部材と、
前記弁部材を前記第1の方向及び前記第2の方向のうち他方に付勢する付勢部材と、
を備え、
前記プランジャは、前記第1の方向及び前記第2の方向に移動可能に前記収容室の内面に支持される側面を有し、
前記複数の第5の流路は、前記プランジャを貫通して前記第1の端面と前記第2の端面とに開口する第1の孔と、前記側面から窪むとともに前記第1の端面と前記第2の端面とに開口する溝と、を含み、
前記弁部材は、前記プランジャの前記第2の端面に向く第3の端面を有し、前記第3の端面に開口するとともに前記第3の流路と前記第1の孔とを連通する第2の孔が設けられた、
電磁弁。
【請求項5】
前記弁部材は、前記第1の方向及び前記第2の方向に移動可能に前記第3の流路の内面に支持される外面と、前記外面から窪む凹面と、を有し、
前記第2の孔は、前記凹面に開口する、
請求項3又は請求項4の電磁弁。
【請求項6】
前記筐体に、前記第3の流路と前記第4の流路とを連通する第2の連通孔が設けられる、
請求項2乃至
請求項4のいずれか一つの電磁弁。
【請求項7】
前記筐体は、前記シートが取り付けられたガイドを有し、
前記第3の流路及び前記第4の流路は、前記ガイドに設けられる、
請求項2乃至
請求項4のいずれか一つの電磁弁。
【請求項8】
マスタシリンダと、
ホイールシリンダと、
ブレーキ液が流れる流路を通じて前記第1の流路が前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとのうち一方に接続され、前記流路を通じて前記第2の流路が前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとのうち他方に接続された、請求項1乃至
請求項4のいずれか一つの電磁弁と、
を備えるブレーキ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電磁弁及びブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電磁弁において、通電されたコイルにより発生した磁界がプランジャを吸引する。吸引されたプランジャと弁部材とが変位することで、弁部材が流路を閉じる(特許文献1)。
【0003】
磁界により生じる吸引力が流路を閉じる方向にプランジャを付勢する一方、流路を流れるブレーキ液やスプリングにより生じる反力が流路を開く方向に弁部材を付勢する。弁部材は、吸引力と反力とが釣り合う位置へ移動する。このため、電磁弁は、コイルに流される電流に応じて、流路の開放度合いを調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、弁部材により遮断される流路と、弁部材が挿通される挿通孔とは、互いに向かい合っている。また、挿通孔と、プランジャが収容される収容室とは、互いに連通している。このため、流路を流れるブレーキ液が弁部材を伝って、挿通孔を通り、収容室に流入することがある。収容室に流入したブレーキ液は、収容室における圧力を増大させることで、流路を閉じる方向に弁部材を付勢してしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、収容室の圧力が増大することを抑制可能な電磁弁及びブレーキ制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る電磁弁は、一例として、第1の流路と、前記第1の流路から第1の方向に離間した収容室と、前記第1の流路と前記収容室との間に位置するとともに前記第1の流路に連通可能な第2の流路と、前記第2の流路と前記収容室とを連通する挿通孔と、前記挿通孔から離間するとともに前記第2の流路と前記収容室とを連通する第1の循環流路と、が設けられ、前記第1の流路が開口するシートを有する、筐体と、電流を流されることで磁界を発生させるコイルと、前記第1の方向に向く第1の端面と、前記第1の端面の反対側に位置して前記第1の方向の反対の第2の方向に向く第2の端面と、を有し、それぞれが前記第1の端面と前記第2の端面とを連通する複数の第2の循環流路が設けられ、前記収容室に位置し、前記磁界によって前記第2の方向に付勢される、プランジャと、前記筐体の内部で前記シートと前記プランジャとの間に位置し、前記挿通孔を通り、前記シートに接触することで前記第1の流路を塞ぎ、前記シートから離間することで前記第2の流路に前記第1の流路を連通させ、前記磁界に付勢された前記プランジャによって前記第2の方向に付勢される、弁部材と、前記弁部材を前記第1の方向に弾性力により付勢する付勢部材と、を備え、前記筐体は、外筒と、前記外筒の内側に嵌め込まれた内筒と、を有し、前記挿通孔は、前記内筒の内側に設けられ、前記第1の循環流路は、前記外筒と前記内筒との間に設けられ、前記内筒は、前記付勢部材を支持する支持面を有する。よって、一例としては、挿通孔を通って収容室に流入した流体は、複数の第2の循環流路のうち少なくとも一つを通って収容室を第1の方向に流れるとともに、複数の第2の循環流路のうち少なくとも他の一つを通って収容室を第2の方向に流れ、循環する。また、上記流体は、第1の循環流路を通って、収容室から第2の流路に戻る。これにより、本実施形態の電磁弁は、収容室の圧力が増大して収容室と第2の流路との間に圧力差が生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の電磁弁を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態のガイド及びプレートを分解して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第2の実施形態に係るブレーキ制御装置の電磁弁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、
図1及び
図2を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置10の電磁弁21を示す断面図である。ブレーキ制御装置10は、自動車のような車両1に搭載される。なお、ブレーキ制御装置10は、この例に限られない。
【0011】
図1に示すように、ブレーキ制御装置10は、マスタシリンダ(M/C)11と、ホイールシリンダ(W/C)12と、アクチュエータ13と、ECU(electronic control unit)15とを有する。なお、ブレーキ制御装置10は、この例に限られない。
【0012】
M/C11とW/C12との間に、ブレーキ液が流れる流路Cが設けられる。アクチュエータ13は、流路Cの経路においてM/C11とW/C12との間に設けられ、ブレーキ液の圧力を制御する。
【0013】
アクチュエータ13は、電磁弁21とポンプ22とを有する。電磁弁21は、例えばアクチュエータ13における差圧制御弁である。アクチュエータ13は、増圧制御弁、減圧制御弁、リザーバ、逆止弁、及び固定容量ダンパのような種々の部品をさらに有する。電磁弁21は、差圧制御弁に限られず、増圧制御弁、減圧制御弁、又は他の弁であっても良い。
【0014】
電磁弁21は、流路Cの経路において、M/C11とW/C12との間に設けられる。なお、流路Cは、電磁弁21を迂回する流路を有しても良い。電磁弁21は、筐体31と、プランジャ32と、弁部材33と、コイル34と、付勢部材35とを有する。
【0015】
電磁弁21は、例えば、連通状態と差圧状態とに制御可能である。電磁弁21は、ドライバが車両1のブレーキペダルの操作を行う通常時ではコイル34に電流が流されず、連通状態となる。一方、電磁弁21では、コイル34に電流が流されることで、当該コイル34が発生させた磁界によりプランジャ32及び弁部材33が閉弁方向に付勢される。これにより、電磁弁21は、リリーフ弁のように機能し、差圧状態となる。
【0016】
電磁弁21により生じる差圧値は、電磁弁21のコイル34に流される電流の電流値に応じて変化する。電磁弁21により生じる差圧値は、当該電流値が大きいほど大きくなる。
【0017】
差動状態の電磁弁21は、流路Cを介してW/C12に接続される部分(以下、W/C12側と称する)におけるブレーキ液の圧力(以下、W/C圧と称する)が、流路Cを介してM/C11に接続される部分(以下、M/C11側と称する)におけるブレーキ液の圧力(以下、M/C圧と称する)よりも所定値以上高くなった際に、W/C12側からM/C11側へブレーキ液を流動させる。このため、差動状態の電磁弁21は、W/C圧をM/C圧よりも所定値より高くならないように維持する。
【0018】
電磁弁21には、M/C11側からW/C12側へのブレーキ液の流動を許容する逆止弁21aが設けられる。逆止弁21aは、ドライバによりブレーキペダルが踏み込まれた場合に、M/C圧をW/C12に伝達可能とする。
【0019】
以下、電磁弁21の構造について詳述する。筐体31は、ガイド41と、プレート42と、シート43と、スリーブ44と、フィルタ45とを有する。すなわち、ガイド41、プレート42、シート43、スリーブ44、及びフィルタ45は、筐体31に設けられる。ガイド41は、外筒の一例である。プレート42は、内筒の一例である。
【0020】
ガイド41は、金属のような磁性体により作られる。ガイド41は、例えば、アクチュエータ13の筐体13aに設けられた略円柱状の凹部13bに加締められる。ガイド41の一部は、アクチュエータ13の筐体13aから外部に突出している。
【0021】
ガイド41は、中心軸Axに沿って延びる略円筒形に形成される。中心軸Axは、ガイド41の略中心を通り、ガイド41の長手方向に延びている。なお、中心軸Axは、ガイド41の中心とずれていても良い。
【0022】
以下、便宜上、中心軸Axに沿う方向が軸方向、中心軸Axと直交する方向が径方向、及び中心軸Axまわりに回転する方向が周方向と称される。軸方向は、ガイド41の長手方向である。
【0023】
軸方向は、
図1に示す第1の方向D1と第2の方向D2とを含む。第1の方向D1は、中心軸Axに沿う一方向であり、開弁方向とも称され得る。第2の方向D2は、第1の方向D1の反対方向であり、閉弁方向とも称され得る。
【0024】
略円筒状のガイド41の内側に、内孔50が設けられる。内孔50は、中心軸Axに沿って延び、ガイド41を軸方向に貫通している。このため、内孔50は、第1の方向D1におけるガイド41の端部41aと、第2の方向D2におけるガイド41の端部41bとに開口している。端部41aは、アクチュエータ13の筐体13aの外部に位置する。端部41bは、アクチュエータ13の凹部13bの内部に位置する。
【0025】
内孔50は、第1の嵌合孔51と、第2の嵌合孔52とを有する。第1の嵌合孔51と、第2の嵌合孔52とはそれぞれ、内孔50の一部である。第1の嵌合孔51及び第2の嵌合孔52は、互いに軸方向に連通している。
【0026】
第1の嵌合孔51は、ガイド41の端部41aに開口している。中心軸Axと直交する第1の嵌合孔51の断面は、例えば、略円形に形成される。なお、中心軸Axと直交する第1の嵌合孔51の断面は、他の形状であっても良い。
【0027】
第2の嵌合孔52は、ガイド41の端部41bに開口している。中心軸Axと直交する第2の嵌合孔52の断面は、例えば、略円形に形成される。なお、中心軸Axと直交する第2の嵌合孔52の断面は、他の形状であっても良い。
【0028】
中心軸Axと直交する第2の嵌合孔52の断面は、中心軸Axと直交する第1の嵌合孔51の断面よりも大きい。第1の嵌合孔51と第2の嵌合孔52とは、互いに連通する。このため、第1の嵌合孔51と第2の嵌合孔52との間に段が形成される。なお、第1の嵌合孔51及び第2の嵌合孔52は、この例に限られない。
【0029】
ガイド41に、複数の貫通孔55が設けられる。貫通孔55は、ガイド41を径方向に貫通し、第2の嵌合孔52に連通する。貫通孔55は、例えば、第1の嵌合孔51の近傍に位置する。
【0030】
図2は、第1の実施形態のガイド41及びプレート42を分解して示す斜視図である。
図2は、プレート42の断面を示す。プレート42は、金属のような磁性体により作られる。なお、プレート42は、他の材料により作られても良い。
図2に示すように、プレート42は、筒部61と、支持部62とを有する。
【0031】
筒部61は、中心軸Axに沿って延びる略円筒状の壁である。筒部61は、端面65,66と、外周面67と、内周面68とを有する。一方の端面65は、第1の方向D1における筒部61の端部に位置する。端面65は、略平坦に形成され、第1の方向D1に向く。他方の端面66は、第2の方向D2における筒部61の端部に位置する。言い換えると、端面66は、端面65の反対側に位置する。端面66は、略平坦に形成され、第2の方向D2に向く。
【0032】
外周面67は、径方向の外側に向く。内周面68は、外周面67の反対側に位置し、径方向の内側に向く。また、内周面68は、中心軸Axに向く。外周面67は、複数の曲面67aと、複数の平面67bとを有する。本実施形態では、外周面67は、四つの曲面67aと、四つの平面67bとを有する。なお、外周面67は、この例に限られない。
【0033】
曲面67aは、中心軸Axに沿って延びる略円筒状の曲面である。平面67bは、径方向に向く略平坦な面である。四つの平面67bは、中心軸Axまわりに90°毎に配置される。曲面67aと平面67bとは、周方向に交互に配置される。
【0034】
平面67bは、例えば、略円柱状の外周面67を切削することにより形成される。なお、平面67bは、他の方法により形成されても良い。また、外周面67は、平面67bの代わりに、曲面67aから中心軸Axに向かって窪む凹面、又は曲面67aよりも半径が大きい曲面を有しても良い。
【0035】
支持部62は、筒部61の内周面68から、中心軸Axに向かって突出した略円環状の壁である。軸方向において、支持部62の長さは、筒部61の長さよりも短い。支持部62は、端面66に隣接して設けられる。このため、第2の方向D2における筒部61の端面と、第2の方向D2における支持部62の端面とは、シート43の端面66を形成する。なお、支持部62は、この例に限られない。
【0036】
支持部62は、支持面69を有する。支持面69は、第1の方向D1における支持部62の端面である。支持面69は、略平坦な円環状に形成され、第1の方向D1に向く。支持面69は、プレート42の端面65から、第2の方向D2に離間している。
【0037】
プレート42の内側に、挿通孔70が設けられる。挿通孔70は、中心軸Axに沿って延び、プレート42を軸方向に貫通している。このため、挿通孔70は、プレート42の端面65,66に開口している。挿通孔70は、第1の挿通孔71と、第2の挿通孔72とを有する。
【0038】
第1の挿通孔71は、筒部61の内側に設けられた挿通孔70の一部である。第1の挿通孔71は、筒部61の内周面68により形成(規定)される。このため、内周面68は、第1の挿通孔71の内周面である。
【0039】
第1の挿通孔71は、端面65に開口している。中心軸Axと直交する第1の挿通孔71の断面は、略円形に形成される。なお、中心軸Axと直交する第1の挿通孔71の断面は、他の形状であっても良い。
【0040】
第2の挿通孔72は、支持部62の内側に設けられた挿通孔70の一部である。第2の挿通孔72は、端面66に開口している。中心軸Axと直交する第2の挿通孔72の断面は、略円形に形成される。なお、中心軸Axと直交する第2の挿通孔72の断面は、他の形状であっても良い。
【0041】
第1の挿通孔71と第2の挿通孔72とは、互いに連通する。中心軸Axと直交する第2の挿通孔72の断面は、中心軸Axと直交する第1の挿通孔71の断面よりも小さい。このため、第1の挿通孔71と第2の挿通孔72との間に、段としての支持面69が設けられる。
【0042】
図1に示すように、プレート42は、ガイド41の内側の第1の嵌合孔51に嵌め込まれる。軸方向において、第1の嵌合孔51の長さは、プレート42の長さと略等しい。プレート42の端面65は、ガイド41の端部41aと略同一平面上に位置する。プレート42の端面66は、ガイド41の第2の嵌合孔52に面する。
【0043】
図2に示すプレート42の外周面67の曲面67aは、ガイド41の第1の嵌合孔51の内周面51aに接触する。内周面51aは、ガイド41に設けられ、第1の嵌合孔51を形成する略円筒状の曲面である。曲面67aの半径は、内周面51aよりもわずかに大きい。プレート42は、ガイド41の第1の嵌合孔51に圧入されることで、ガイド41に固定される。なお、プレート42は、この例に限られない。
【0044】
図1に示すように、ガイド41とプレート42との間に、複数の第1の循環流路75が設けられる。複数の第1の循環流路75は、第1の循環流路及び複数の孔の一例である。複数の第1の循環流路75は、ガイド41の第1の嵌合孔51の内周面51aと、プレート42の外周面67の四つの平面67bと、により形成(規定)される。このため、本実施形態において、筐体31に四つの第1の循環流路75が設けられる。なお、第1の循環流路75の数は、この例に限られない。
【0045】
四つの第1の循環流路75は、中心軸Axまわりに90°毎に配置される。言い換えると、四つの第1の循環流路75は、周方向に略等間隔に配置される。すなわち、第1の循環流路75は、挿通孔70から離間するとともに、挿通孔70を囲むように配置される。
【0046】
上述のように、本実施形態では、第1の循環流路75は、ガイド41とプレート42との間に設けられる。なお、第1の循環流路75は、この例に限られない。例えば、第1の循環流路75は、筐体31に設けられた穴により形成されても良い。
【0047】
また、上述のように、本実施形態では、第1の循環流路75は、略円筒形の内周面51aと、外周面67の平面67bとによって形成される。しかし、第1の循環流路75は、この例に限られず、内周面51aから径方向の外側に窪む凹面と、略円筒状の外周面67とによって形成(規定)されても良い。
【0048】
シート43は、第1の嵌合孔51及び第2の挿通孔72から第2の方向D2に離間した位置で、第2の嵌合孔52に嵌め込まれる。これにより、軸方向において、シート43と第2の挿通孔72との間に、空間78が形成される。空間78は、第2の嵌合孔52に含まれる。貫通孔55は、空間78とガイド41の外部とを連通する。
【0049】
シート43は、金属により作られ、略円筒状に形成される。略円筒状のシート43の内部に、第1の流路81が設けられる。第1の流路81は、中心軸Axに沿って軸方向にシート43を貫通する。このため、第1の流路81、内孔50、第1の挿通孔71、及び第2の挿通孔72は、同軸上に配置される。第1の流路81と第2の挿通孔72とは、空間78を介して向かい合う。
【0050】
第1の流路81は、第1の方向D1におけるシート43の端面43aと、第2の方向D2におけるシート43の端面43bとに開口する。端面43aは、空間78に面し、第1の嵌合孔51及び第2の挿通孔72に向く。端面43bは、端面43aの反対側に位置する。第1の流路81は、空間78に連通可能である。
【0051】
第1の流路81に、オリフィス81aが設けられる。オリフィス81aは、第1の流路81の他の部分よりも中心軸Axと直交する断面が小さい部分である。さらに、シート43は、端面43aからオリフィス81aに向かうに従って先細る略円錐状の座面43cを有する。
【0052】
スリーブ44は、第2の方向D2に開放されるとともに底のある略円筒状に形成される。スリーブ44は、例えば、ステンレスのような非磁性の金属により作られる。なお、スリーブ44はこの例に限られない。
【0053】
スリーブ44の内部に、ガイド41の端部41aが挿入される。スリーブ44は、溶接又は他の手段により、ガイド41に固定される。これにより、スリーブ44の内部に、ガイド41の第1の嵌合孔51及び挿通孔70に連通する収容室82が設けられる。収容室82は、第1の流路81から第1の方向D1に離間している。
【0054】
スリーブ44は、内周面44aと、底面44bとを有する。内周面44aは、中心軸Axに沿って延びる略円筒状の面である。内周面44aは、中心軸Axに向く。例えば、内周面44aの一部は、ガイド41に溶接される。底面44bは、ガイド41の端部41aに向く略半球状の面である。なお、内周面44a及び底面44bの形状は、この例に限られない。
【0055】
内周面44a、底面44b、ガイド41の端部41a、及びスリーブ44の端面65が、収容室82を形成(規定)する。なお、収容室82は、この例に限られない。内周面44a、底面44b、ガイド41の端部41a、及びスリーブ44の端面65は、収容室82の内側に向く。
【0056】
フィルタ45は、中心軸Axに沿って延びる略円筒状に形成される。フィルタ45の内部に、ガイド41が嵌め込まれる。フィルタ45は、ガイド41に設けられた複数の貫通孔55を、当該ガイド41の外側から覆う。
【0057】
フィルタ45に、複数の貫通孔83が設けられる。複数の貫通孔83はそれぞれ、フィルタ45を径方向に貫通する。フィルタ45の複数の貫通孔83のそれぞれは、ガイド41の複数の貫通孔55のそれぞれよりも小さい。フィルタ45の貫通孔83は、ガイド41の貫通孔55に連通する。これにより、フィルタ45は、貫通孔83よりも大きい異物が空間78に流入することを抑制する。
【0058】
以上の筐体31の内部に、ブレーキ液が流れる内部流路Cvが設けられる。内部流路Cvは、上述の第1の流路81と、第2の流路85とを含む。第2の流路85は、貫通孔55,83、及び空間78を含む。このため、第1の流路81と第2の流路85とは、互いに連通可能である。
【0059】
内部流路Cvは、流路Cを通じてM/C11とW/C12とに接続される。第1の流路81は、流路Cを通じてW/C12に接続される。さらに、第1の流路81は、流路Cを通じてポンプ22に接続される。第2の流路85は、流路Cを通じてM/C11に接続される。このように、第1の流路81は内部流路CvのうちW/C12側であり、第2の流路85は内部流路CvのうちM/C11側である。なお、第1の流路81及び第2の流路85は、この例に限られない。
【0060】
第2の流路85は、第1の流路81と収容室82との間に位置する。また、挿通孔70は、第2の流路85と収容室82との間に位置し、第2の流路85と収容室82とを連通する。第1の挿通孔71は、収容室82に連通する。第2の挿通孔72は、第2の流路85に連通する。
【0061】
複数の第1の循環流路75のそれぞれも、第2の流路85と収容室82との間に位置し、第2の流路85と収容室82とを連通する。すなわち、挿通孔70と、複数の第1の循環流路75とは、並列に第2の流路85と収容室82とを連通する。このため、第2の流路85を流れるブレーキ液は、挿通孔70及び第1の循環流路75を通り、収容室82に流入する。このため、ブレーキ液は、収容室82に満たされる。
【0062】
例えば、シート43に、逆止弁21aが設けられる。逆止弁21aは、第1の流路81と並列に、第2の流路85と、W/C12及びポンプ22とを接続する。逆止弁21aは、W/C12及びポンプ22から第2の流路85へ向かうブレーキ液の流れを遮断する。一方、逆止弁21aは、第2の流路85からW/C12及びポンプ22へ向かうブレーキ液の流れを許容する。
【0063】
プランジャ32は、金属のような磁性体により作られ、中心軸Axに沿って延びる略円柱状に形成される。プランジャ32は、スリーブ44の収容室82に位置する。このため、プランジャ32は、シート43から第1の方向D1に離間している。プランジャ32は、第1の端面91と、第2の端面92と、側面93とを有する。
【0064】
第1の端面91は、第1の方向D1におけるプランジャ32の端面である。なお、第1の端面91は、この例に限られない。第1の端面91は、スリーブ44の底面44bに向く。
【0065】
第1の端面91は、平面91aと、曲面91bとを有する。平面91aは、略平坦に形成され、第1の方向D1に向く。曲面91bは、平面91aと側面93との間に設けられた略半球状の面である。曲面91bの少なくとも一部の半径は、スリーブ44の底面44bの半径と略等しい。
【0066】
第2の端面92は、第2の方向D2におけるプランジャ32の端面である。第2の端面92は、第1の端面91の反対側に位置する。なお、第2の端面92は、この例に限られない。例えば、プランジャ32は、第2の端面92から第2の方向D2に突出した部分を有しても良い。
【0067】
第2の端面92は、略平坦に形成され、第2の方向D2に向く。なお、第2の端面92は、この例に限られず、他の形状を有しても良い。第2の端面92は、間隔を介してガイド41の端部41a及びプレート42の端面65に向く。また、第2の端面92は、ガイド41及びプレート42を介してシート43の端面43aに向く。プランジャ32が第2の方向D2に移動することで、第2の端面92がガイド41の端部41a及びプレート42の端面65に当接可能であっても良い。
【0068】
側面93は、第1の端面91と第2の端面92との間で中心軸Axに沿って延びる略円筒状の面である。なお、側面93の中心は、中心軸Axから若干ずれていても良い。側面93は、スリーブ44の内周面44aに向く。側面93の直径は、スリーブ44の内周面44aの直径よりも僅かに小さい。このため、側面93の少なくとも一部と、内周面44aとの間に、僅かな隙間が設けられる。
【0069】
プランジャ32の側面93は、スリーブ44の内周面44aにより、筐体31に対して軸方向に移動可能に支持される。言い換えると、プランジャ32は、スリーブ44の内周面44aにより、軸方向にガイドされる。
【0070】
例えば、スリーブ44の内周面44aは、側面93の一部に当接することで、プランジャ32が径方向に移動することを制限する。さらに、内周面44aは、側面93の他の一部からわずかに離間することで、プランジャ32が軸方向に滑らかに移動することを許容する。
【0071】
プランジャ32に、複数の第2の循環流路95が設けられる。第2の循環流路95は、側面93から中心軸Axに向かって窪んだ溝である。なお、第2の循環流路95は、この例に限られず、例えば孔であっても良い。
【0072】
複数の第2の循環流路95はそれぞれ、第1の端面91の平面91aと、第2の端面92と、の間で略軸方向に延びている。このため、第2の循環流路95は、側面93と、第1の端面91と、第2の端面92とに開口する。言い換えると、複数の第2の循環流路95のそれぞれは、第1の端面91と第2の端面92とを連通する。
【0073】
本実施形態では、プランジャ32に、四つの第2の循環流路95が設けられる。なお、第2の循環流路95の数はこの例に限られず、二つ、三つ、又は五つ以上であっても良い。複数の第2の循環流路95は、周方向に略等間隔に配置される。
【0074】
電磁弁21は、中心軸Axが略水平方向に向くように配置される。このため、複数の第1の循環流路75のうち少なくとも一つは、ガイド41へのプレート42の組付け方(位相)に関わらず、挿通孔70よりも上方に位置する。また、複数の第2の循環流路95のうち少なくとも一つは、挿通孔70よりも上方に位置する。
【0075】
弁部材33は、筐体31の内部でシート43とプランジャ32との間に位置する。弁部材33は、挿通孔70を通り、シート43に対して軸方向に移動することができる。弁部材33は、シャフト101と弁体102を有する。
【0076】
シャフト101は、例えば、ステンレスのような非磁性の金属により作られる。シャフト101は、第1の摺動部105と、第2の摺動部106とを有する。第1の摺動部105及び第2の摺動部106は、中心軸Axに沿って延びる略円柱状に形成される。中心軸Axと直交する第1の摺動部105の断面は、中心軸Axと直交する第2の摺動部106の断面よりも大きい。
【0077】
第1の摺動部105は、第1の挿通孔71に収容される。第1の摺動部105は、第1の挿通孔71において、プレート42の内周面68により軸方向に移動可能に支持される。なお、第1の摺動部105と内周面68との間には、僅かな隙間が設けられる。
【0078】
第2の摺動部106は、第1の摺動部105から、第2の挿通孔72を通って、空間78まで突出する。第2の摺動部106は、第2の挿通孔72において、第2の挿通孔72の内周面72aにより軸方向に移動可能に支持される。内周面72aは、プレート42に設けられ、第2の挿通孔72を形成する略円筒状の曲面である。なお、第2の摺動部106と第2の挿通孔72の内周面72aとの間には、僅かな隙間が設けられる。
【0079】
弁体102は、例えば、略半球状に形成される。なお、弁体102の形状は、この例に限られない。弁体102は、空間78に位置し、第2の方向D2における第2の摺動部106の端部に設けられる。弁体102は、シャフト101と一体に軸方向に移動することができる。
【0080】
第1の方向D1におけるシャフト101の第1の摺動部105の端部は、プランジャ32の第2の端面92に当接する。シャフト101は、プランジャ32と一体的に軸方向に移動することができる。なお、シャフト101は、プランジャ32に固定されても良い。
【0081】
弁部材33の弁体102は、シート43の座面43cに当接することで、第1の流路81を塞ぐ。言い換えると、弁体102は、座面43cに当接することで、第1の流路81と第2の流路85との間を遮断する。
【0082】
一方、弁体102は、座面43cから離間することで、第1の流路81を開放し、第2の流路85に第1の流路81を連通させる。このように、弁部材33は、第1の流路81を塞ぐ位置と、第2の流路85に第1の流路81を連通させる位置と、の間で移動することができる。
【0083】
コイル34は、例えば、中心軸Axまわりに巻かれたソレノイドである。コイル34は、スリーブ44の外側に位置し、スリーブ44を囲んでいる。コイル34は、電流を流されることで磁界を発生させる。ECU15が、コイル34へ流される電流を制御する。
【0084】
コイル34は、例えば、樹脂のような非磁性体により作られた円筒状のスプールに収納される。さらに、磁性体により作られたヨークが、スプール及びコイル34を保持する。スプール及びヨークは、筐体31に含まれても良い。
【0085】
付勢部材35は、例えば、中心軸Axまわりに巻かれたコイルスプリングである。なお、付勢部材35は、他の弾性体であっても良い。付勢部材35は、第1の挿通孔71に収容され、プレート42の支持面69と、シャフト101の第1の摺動部105との間に位置する。
【0086】
付勢部材35は、支持面69と第1の摺動部105とに支持されるとともに、支持面69と第1の摺動部105との間で圧縮されている。このため、付勢部材35は、支持面69に支持され、第1の摺動部105を第1の方向D1に弾性力により付勢する。
【0087】
なお、付勢部材35は、支持面69に限らず、例えばシート43の端面43aに支持されても良い。この場合、例えば、プレート42が支持部62を省略し、付勢部材35が端面43aと第1の摺動部105とに支持される。
【0088】
付勢部材35により付勢されたシャフト101の第1の摺動部105が第1の方向D1に移動すると、弁体102及びプランジャ32もシャフト101と一体的に第1の方向D1に移動する。これにより、弁部材33がシート43から離間する。
【0089】
弁部材33がシート43から所定の位置(全開位置)まで離間すると、プランジャ32の第1の端面91の曲面91bが、スリーブ44の底面44bに当接する。底面44bは、弁部材33が全開位置に位置するとき、プランジャ32の曲面91bを支持して、プランジャ32がシート43からさらに離間することを制限する。
【0090】
弁部材33が全開位置に位置するとき、プランジャ32の第1の端面91の平面91aは、スリーブ44の底面44bから離間している。このため、平面91aと底面44bとの間に隙間が設けられる。また、上述のように、プランジャ32の側面93の少なくとも一部とスリーブ44の内周面44aとの間に、僅かな隙間が設けられる。
【0091】
ECU15は、電磁弁21及びポンプ22を制御することで、各W/C12に発生させられるW/C圧を制御できる。例えば、通常時において、ECU15は、コイル34に電流を流さない。弁部材33は、付勢部材35に付勢され、全開位置に位置する。これにより、弁部材33の弁体102がシート43の座面43cから離間し、電磁弁21が連通状態となる。
【0092】
連通状態の電磁弁21では、第2の流路85に第1の流路81が連通する。言い換えると、電磁弁21が開き、M/C11側の流路CとW/C12側の流路Cとが連通する。このため、M/C11側とW/C12側との間でブレーキ液が流れることができる。
【0093】
車両1のブレーキペダルが踏み込まれると、第1の流路81を通じてM/C11からW/C12へブレーキ液が流れる。一方、ブレーキペダルの踏み込みが中止されると、第1の流路81を通じてW/C12からM/C11へブレーキ液が速やかに戻される。
【0094】
一方、ECU15は、ポンプ22によりW/C12の圧力を増大させる場合、ポンプ22を駆動させるとともに、電磁弁21を差圧状態に制御する。ECU15は、コイル34に電流を流すことで、コイル34に磁界を発生させる。
【0095】
コイル34は、磁界を発生させることで、電磁力によりプランジャ32を第2の方向D2に吸引する。言い換えると、プランジャ32は、コイル34が発生させた磁界によって、シート43に向かって第2の方向D2に付勢される。
【0096】
磁界により吸引されたプランジャ32は、シャフト101を第2の方向D2に押し、弁体102をシート43の座面43cへ近づける。このように、弁部材33は、磁界に付勢されたプランジャ32によって第2の方向D2に付勢される。
【0097】
ポンプ22が吐出したブレーキ液は、W/C12側の流路Cから第1の流路81に流入する。ブレーキ液は、コイル34の磁界により付勢された弁部材33の弁体102を第1の方向D1に押す。ブレーキ液は、弁体102をシート43の座面43cから離間させ、弁体102と座面43cとの間の隙間を通って第1の流路81から第2の流路85の空間78に流入する。このように、ポンプ22は、第1の流路81から第2の流路85にブレーキ液を流す。
【0098】
磁界により生じる吸引力が弁部材33をシート43に近づく第2の方向D2(閉弁方向)に付勢する一方、ブレーキ液と付勢部材35とにより生じる反力が弁部材33をシート43から遠ざかる第1の方向D1(開弁方向)に付勢する。弁部材33は、吸引力と反力とが釣り合う位置へ移動し、第1の流路81の開放度合い(開弁度)を調整する。
【0099】
コイル34に流される電流の電流値によって、吸引力は変化する。このため、ECU15は、コイル34に流す電流を調整することで、弁部材33の位置を調整する。弁部材33の位置が調整されることで、第1の流路81から第2の流路85に流れるブレーキ液の流量と、第1の流路81及びW/C12における圧力とが調整される。
【0100】
以上のように、電磁弁21において、弁部材33がシート43に対して軸方向に移動させられる。また、プランジャ32は、弁部材33を第2の方向D2に付勢し、又は弁部材33により第1の方向D1に付勢され、弁部材33と一体的に移動する。
【0101】
上述のように、ポンプ22がブレーキ液を吐出し、電磁弁21が差圧状態に制御されている場合、ブレーキ液が、第1の流路81から第2の流路85に流れる。ブレーキ液の少なくとも一部は、弁部材33の弁体102に当たると、弁部材33を伝って流れる。
【0102】
図1の矢印で示すように、ブレーキ液の流れFlは、弁部材33を伝って、第2の摺動部106と第2の挿通孔72の内周面72aとの間の隙間を通過する。さらに、ブレーキ液の流れFlは、第1の挿通孔71を通過し、収容室82に流入する。
【0103】
一般的に、ブレーキ液が収容室82に流入すると、収容室82の圧力が増大する虞がある。この場合、収容室82と第2の流路85との間の圧力差により、弁部材33が第2の方向D2に付勢されてしまう。すなわち、弁部材33を付勢する流体力の方向が、第1の方向D1(開弁方向)から第2の方向D2(閉弁方向)に反転してしまう虞がある。
【0104】
しかし、本実施形態の電磁弁21は、以下のように、収容室82の圧力が増大することを抑制できる。まず、収容室82に流入したブレーキ液の流れFlは、複数の第2の循環流路95のうち少なくとも一つを通って、収容室82のうちプランジャ32とスリーブ44の底面44bとの間の奥部分82aへ到達する。
【0105】
ブレーキ液の流れFlは、奥部分82aから、複数の第2の循環流路95のうち少なくとも他の一つを通って、収容室82のうちプランジャ32とガイド41及びプレート42との間の開口部分82bへ戻る。このように、ブレーキ液の流れFlは、収容室82の内部で循環する。
【0106】
さらに、ブレーキ液の流れFlは、複数の第1の循環流路75を通って、第2の流路85へ戻る。このように、ブレーキ液の流れFlは、第2の流路85と、収容室82との間で、挿通孔70及び第1の循環流路75を通って循環する。
【0107】
収容室82は、行き止まりになっておらず、ブレーキ液の流れFlが第1の循環流路75を通って第2の流路85へ戻るように、第2の流路85に連通する。このため、ブレーキ液が流入する収容室82の圧力は、第2の流路85の圧力に近づく。従って、第1の循環流路75は、収容室82と第2の流路85との間で圧力差が生じることを抑制し、ひいては当該圧力差が弁部材33を第2の方向D2へ付勢することを抑制できる。
【0108】
また、内部流路Cvにおける圧力変動、又はポンプ22の吐出量の変化のような外乱が、プランジャ32及び弁部材33に入力されることがある。当該外乱は、プランジャ32及び弁部材33に自励振動を生じる虞がある。しかし、収容室82に満たされたブレーキ液は、流体抵抗による減衰力を生じ、プランジャ32及び弁部材33が自励振動することを抑制できる。
【0109】
一方、収容室82に空気が存在することがある。例えば、内部流路Cvでブレーキ液とともに流れる空気が、第2の挿通孔72の内周面72aとシャフト101の第2の摺動部106との間の隙間を通り、収容室82に流入することがある。また、収容室82を満たすブレーキ液に含有される空気が、例えば温度変化により析出することがある。収容室82のブレーキ液に空気が混入すると、収容室82における流体抵抗が低下する虞がある。
【0110】
上述のように、本実施形態の電磁弁21では、ブレーキ液の流れFlが、収容室82のうち奥部分82aを通って循環する。このため、奥部分82aに空気が存在したとしても、ブレーキ液の流れFlが、収容室82に存在する空気を、第1の循環流路75及び第2の循環流路95を通じて第2の流路85へ排出できる。
【0111】
複数の第1の循環流路75のうち少なくとも一つと、複数の第2の循環流路95のうち少なくとも一つとは、挿通孔70よりも上方に位置する。収容室82の空気は、浮力により、収容室82における上端に集まりやすい。このため、挿通孔70よりも上方に位置する第1の循環流路75及び第2の循環流路95を通るブレーキ液の流れFlは、当該空気を収容室82から排出することができる。
【0112】
以上のように、収容室82の空気がブレーキ液の流れFlにより排出されるため、空気によるブレーキ液の流体抵抗の低下が解消される。従って、電磁弁21は、流体抵抗による減衰力が空気により低下させられることを抑制し、プランジャ32及び弁部材33が自励振動することを抑制できる。
【0113】
以上説明された第1の実施形態に係るブレーキ制御装置10において、筐体31に、第1の流路81と、第1の流路81から第1の方向D1に離間した収容室82と、第1の流路81と収容室82との間に位置するとともに第1の流路81に連通可能な第2の流路85と、第2の流路85と収容室82とを連通する挿通孔70と、挿通孔70から離間するとともに第2の流路85と収容室82とを連通する第1の循環流路75と、が設けられる。筐体31は、第1の流路81が開口するシート43を有する。プランジャ32は、第1の方向D1に向く第1の端面91と、第1の端面91の反対側に位置して第2の方向D2に向く第2の端面92と、を有する。プランジャ32に、第1の端面91と第2の端面92とを連通する複数の第2の循環流路95が設けられる。プランジャ32は、収容室82に位置し、コイル34が発生させる磁界によって第2の方向D2に付勢される。弁部材33は、筐体31の内部でシート43とプランジャ32との間に位置し、挿通孔70を通る。弁部材33は、シート43に接触することで第1の流路81を塞ぎ、シート43から離間することで第2の流路85に第1の流路81を連通させる。弁部材33は、磁界に付勢されたプランジャ32によって第2の方向D2に付勢される。付勢部材35は、弁部材33を第1の方向D1に付勢する。
【0114】
第1の流路81から第2の流路85に流れるブレーキ液は、弁部材33を伝って流れることがある。この場合、ブレーキ液や、当該ブレーキ液に混入した空気が、挿通孔70の内周面と弁部材33との間の隙間を通り収容室82に流入する虞がある。しかし、本実施形態の電磁弁21では、筐体31に第2の流路85と収容室82とを連通する第1の循環流路75が設けられるとともに、プランジャ32に第1の端面91と第2の端面92とを連通する第2の循環流路95が設けられる。これにより、挿通孔70を通って収容室82に流入したブレーキ液は、複数の第2の循環流路95のうち少なくとも一つを通って収容室82を第1の方向D1に流れるとともに、複数の第2の循環流路95のうち少なくとも他の一つを通って収容室82を第2の方向D2に流れ、循環する。また、ブレーキ液は、第1の循環流路75を通って、収容室82から第2の流路85に戻る。これにより、本実施形態の電磁弁21は、収容室82の圧力が増大して収容室82と第2の流路85との間に圧力差が生じることを抑制でき、ひいては当該圧力差が弁部材33を第2の方向に付勢することを抑制できる。従って、電磁弁21は吸引力と反力との釣り合いを取りやすくなる。さらに、ブレーキ液は、循環することで、収容室82の空気を第2の流路85へ排出することができる。これにより、本実施形態の電磁弁21は、収容室82の空気が収容室82のブレーキ液による流体抵抗を低下させることを抑制し、弁部材33及びプランジャ32が外乱によって自励振動を生じることを抑制できる。
【0115】
筐体31は、ガイド41と、ガイド41の内側に嵌め込まれたプレート42と、を有する。挿通孔70は、プレート42の内側に設けられる。第1の循環流路75は、ガイド41とプレート42との間に設けられる。これにより、本実施形態の電磁弁21は、挿通孔70及び第1の循環流路75を筐体31に容易に設けることができる。
【0116】
プレート42は、付勢部材35を支持する支持面69を有する。これにより、付勢部材35は、第2の流路85の外部に配置される。従って、本実施形態の電磁弁21は、付勢部材35が第2の流路85におけるブレーキ液の流れに影響を及ぼすことを抑制できる。
【0117】
筐体31に、複数の第1の循環流路75が設けられる。複数の第1の循環流路75は、それぞれが第2の流路85と収容室82を連通するとともに、挿通孔70を囲むように配置される。第1の流路81が略水平となるように電磁弁21が配置された場合、複数の第1の循環流路75のうち少なくとも一つが挿通孔70より上方に位置する。収容室82の空気は、浮力により上方に移動するため、挿通孔70より上方に位置する第1の循環流路75の近傍へ移動する。ブレーキ液は、当該第1の循環流路75を通じて、収容室82から空気を排出する。これにより、本実施形態の電磁弁21は、挿通孔70より上方に位置する第1の循環流路75を通じて、収容室82の空気を第2の流路85へ排出することができる。
【0118】
第1の流路81及び第2の流路85は、流路Cを通じてM/C11とW/C12とに接続される。例えば、M/C11又はW/C12のブレーキ液が、第1の流路81及び第2の流路85のうち一方から他方へ流れる。当該ブレーキ液と、空気とは、上述のように弁部材33を伝って流れることがある。しかし、本実施形態のブレーキ制御装置10では、挿通孔70を通って収容室82に流入したブレーキ液は、収容室82で循環する。また、ブレーキ液は、第1の循環流路75を通って、収容室82から第2の流路85に戻る。これにより、本実施形態のブレーキ制御装置10は、収容室82と第2の流路85との間に圧力差が生じることを抑制でき、ひいては吸引力と反力との釣り合いを取りやすくなる。さらに、ブレーキ液は、循環することで、収容室82の空気を第2の流路85へ排出することができる。これにより、本実施形態のブレーキ制御装置10は、収容室82の空気が収容室82のブレーキ液による流体抵抗を低下させることを抑制し、弁部材33及びプランジャ32が外乱によって自励振動を生じることを抑制できる。
【0119】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、
図3を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0120】
図3は、第2の実施形態に係るブレーキ制御装置200の電磁弁211を示す断面図である。ブレーキ制御装置200は、車両1に搭載され、M/C11と、W/C12と、アクチュエータ201と、リザーバ202と、ECU15とを有する。
【0121】
アクチュエータ201は、第1の実施形態のアクチュエータ13と同様に、流路Cの経路においてM/C11とW/C12との間に設けられ、ブレーキ液の圧力を制御する。リザーバ202は、流路Cに設けられ、ブレーキ液を貯蔵する。リザーバ202は、例えば、大気中に開放されている。このため、リザーバ202におけるブレーキ液の圧力は、大気圧と略一致する。
【0122】
アクチュエータ201は、電磁弁211とポンプ22とを有する。電磁弁211は、第1の実施形態の電磁弁21と同様に、M/C11とW/C12との間に設けられる。電磁弁211は、筐体221と、プランジャ222と、弁部材223と、コイル34と、付勢部材35とを有する。
【0123】
筐体221は、ガイド231と、シート43と、スリーブ44と、フィルタ45とを有する。ガイド231は、金属のような磁性体により作られた一つの部材である。ガイド231は、中心軸Axに沿って延びる略円筒状に形成される。
【0124】
ガイド231の内側に、内孔240が設けられる。内孔240は、中心軸Axに沿って延び、ガイド231を軸方向に貫通している。このため、内孔240は、第1の方向D1におけるガイド231の端部231aと、第2の方向D2におけるガイド231の端部231bとに開口している。
【0125】
内孔240は、嵌合孔241と、挿通孔242とを有する。嵌合孔241と挿通孔242とはそれぞれ、内孔240の一部である。嵌合孔241と挿通孔242とは、互いに軸方向に連通している。
【0126】
嵌合孔241は、ガイド231の端部231bに開口している。筐体221は、嵌合孔241の内周面241a及び底面241bを有する。内周面241aは、径方向の内側に向く略円筒状の曲面である。底面241bは、第2の方向D2に向く略平坦な略円形の平面である。
【0127】
挿通孔242から第2の方向D2に離間した位置において、嵌合孔241に、シート43が嵌め込まれている。これにより、シート43は、ガイド231に取り付けられる。シート43は、嵌合孔241の内周面241aに接触する。シート43の端面43aは、間隔を介して嵌合孔241の底面241bに向く。
【0128】
第1の実施形態の筐体31と同じく、筐体221に、ブレーキ液が流れる内部流路Cvが設けられる。内部流路Cvは、第1の流路81と第2の流路250とを有する。第2の流路250は、内室251と複数の貫通孔252とを有する。
【0129】
内室251は、筐体221の内部に設けられた空間である。内室251は、嵌合孔241の一部であり、シート43の端面43aと、嵌合孔241の内周面241a及び底面241bと、によって形成(規定、区画)される。シート43の第1の流路81は、内室251に連通可能である。
【0130】
複数の貫通孔252は、ガイド231に設けられる。貫通孔252は、ガイド231を径方向に貫通し、嵌合孔241の内周面241aに開口する。貫通孔252は、内室251とガイド231の外部とを連通する。
【0131】
挿通孔242は、ガイド231の端部231aに開口している。挿通孔242は、第3の流路255と第1の連通孔256とを有する。第3の流路255と第1の連通孔256とは、互いに軸方向に連通している。
【0132】
第3の流路255は、ガイド231の端部231aに開口している。ガイド231は、第3の流路255の内周面255a及び底面255bを有する。内周面255aは、径方向の内側に向く略円筒状の曲面である。底面255bは、第1の方向D1に向く略平坦な略円形の平面である。第3の流路255の底面255bは、嵌合孔241の底面241bの反対側に位置する。
【0133】
第1の連通孔256は、嵌合孔241の底面241bと、第3の流路255の底面255bとに開口する。このため、第1の連通孔256は、第2の流路250の内室251と、第3の流路255と、を連通する。別の表現によれば、第1の連通孔256は、内室251と第3の流路255とを区切る。
【0134】
ガイド231は、第1の連通孔256の内周面256aを有する。内周面256aは、径方向の内側に向く略円筒状の曲面である。第1の連通孔256の内周面256aの直径は、嵌合孔241の内周面241aの直径よりも短く、且つ第3の流路255の内周面255aの直径よりも短い。このため、ガイド231において、内室251と第3の流路255との間に、支持部257が形成される。
【0135】
支持部257は、嵌合孔241の内周面241a及び第3の流路255の内周面255aから、径方向の内側に突出している。第3の流路255の底面255bは、第1の方向D1における支持部257の端部に設けられる。嵌合孔241の底面241bは、第2の方向D2における支持部257の端部に設けられる。第1の連通孔256は、径方向における支持部257の内側に設けられる。
【0136】
スリーブ44の内部に、ガイド231の端部231aが挿入される。これにより、スリーブ44の内部に、ガイド231の第3の流路255に連通する収容室258が設けられる。収容室258は、第1の流路81から第1の方向D1に離間している。
【0137】
スリーブ44の内周面44aは、ガイド231に溶接される。スリーブ44の底面44bは、ガイド231の端部231aに向く。スリーブ44の内周面44a及び底面44bと、ガイド231の端部231aとが、収容室258を形成(規定、区画)する。
【0138】
第2の流路250は、第1の流路81と収容室258との間に位置する。さらに、第3の流路255は、第2の流路250の内室251と、収容室258と、の間に位置する。内室251と収容室258とは、第3の流路255及び第1の連通孔256を介して互いに連通する。
【0139】
第2の実施形態のガイド231には、第4の流路261と第2の連通孔262とがさらに設けられる。第4の流路261は、縦排出穴265と横排出穴266とを有する。なお、第4の流路261は、この例に限られない。
【0140】
縦排出穴265は、第3の流路255から径方向に離間した位置で、軸方向に延びている。なお、縦排出穴265は、他の方向に延びていても良い。縦排出穴265の一方の端は、ガイド231の端部231aに開口する。このため、縦排出穴265は、収容室258に連通する。縦排出穴265の他方の端は、横排出穴266に連通する。
【0141】
横排出穴266は、第2の流路250と収容室258との間に位置する。さらに、横排出穴266は、第3の流路255から径方向の外側に離間している。このため、第4の流路261は、第2の流路250及び第3の流路255から離間している。横排出穴266は、径方向に延び、縦排出穴265とガイド231の外部とを連通する。
【0142】
横排出穴266は、ガイド231の外部で、第2の流路250の貫通孔252に連通される。例えば、フィルタ45とガイド231との間に、合流室267が設けられる。合流室267は、第2の流路の外部の空間の一例である。合流室267は、ガイド231及び第2の流路250の外部に位置する。貫通孔252と横排出穴266とは、ともに合流室267に連通する。このため、貫通孔252は、合流室267を介して横排出穴266に連通される。
【0143】
合流室267は、フィルタ45を介して流路Cに連通する。合流室267は、例えば、流路Cを通じて、リザーバ202に接続される。このため、合流室267におけるブレーキ液の圧力は、大気圧に略一致する。なお、合流室267におけるブレーキ液の圧力は、この例に限られない。合流室267とリザーバ202との間の接続は、弁によって遮断されても良い。
【0144】
第2の連通孔262は、第3の流路255と第4の流路261とを連通する。例えば、第2の連通孔262は、第4の流路261の横排出穴266から連続して、第3の流路255の内周面255aに開口する。これにより、第2の連通孔262は、第3の流路255と横排出穴266とを連通する。
【0145】
第2の連通孔262、横排出穴266、及び第2の流路250の貫通孔252の直径は、互いに略等しい。なお、第2の連通孔262、横排出穴266、及び貫通孔252の直径はこの例に限られない。
【0146】
電磁弁211は、中心軸Axが略水平方向に向くように配置される。第4の流路261は、第3の流路255よりも上方に位置する。なお、第4の流路261の位置は、この例に限られない。
【0147】
プランジャ222は、金属のような磁性体により作られ、中心軸Axに沿って延びる略円柱状に形成される。プランジャ222は、スリーブ44の収容室258に位置する。このため、プランジャ222は、シート43から第1の方向D1に離間している。プランジャ222は、第1の端面271と、第2の端面272と、側面273とを有する。
【0148】
第1の端面271は、第1の方向D1におけるプランジャ222の端面であり、第1の方向D1に向く。なお、第1の端面271は、この例に限られない。第1の端面271は、スリーブ44の底面44bに向く。
【0149】
第1の端面271は、略半球状に形成される。第1の端面271の少なくとも一部の半径は、スリーブ44の底面44bの半径と略等しい。なお、第1の端面271は、この例に限られない。
【0150】
第2の端面272は、第2の方向D2におけるプランジャ222の端面である。第2の端面272は、第1の端面271の反対側に位置する。なお、第2の端面272は、この例に限られない。例えば、プランジャ222は、第2の端面272から第2の方向D2に突出した部分を有しても良い。
【0151】
第2の端面272は、略平坦に形成され、第2の方向D2に向く。なお、第2の端面272は、この例に限られず、他の形状を有しても良い。第2の端面272は、間隔を介してガイド231の端部231aに向く。また、第2の端面272は、ガイド231を介してシート43の端面43aに向く。プランジャ222が第2の方向D2に移動することで、第2の端面272がガイド231の端部231aに当接可能であっても良い。
【0152】
側面273は、第1の端面271と第2の端面272との間で中心軸Axに沿って延びる略円筒状の曲面である。なお、側面273の中心は、中心軸Axから若干ずれていても良い。側面273は、スリーブ44の内周面44aに向く。側面273は、内周面44aにより、筐体221に対して軸方向(第1の方向D1及び第2の方向D2)に移動可能に支持される。
【0153】
プランジャ222に、複数の第5の流路275が設けられる。複数の第5の流路275は、第1の孔276と複数の溝277とを含む。すなわち、第1の孔276は、複数の第5の流路275のうち一つである。また、複数の溝277のそれぞれは、複数の第5の流路275のうち一つである。
【0154】
第1の孔276は、プランジャ222を軸方向に貫通する。第1の孔276は、第1の端面271と第2の端面272とに開口する。このため、第1の孔276は、第1の端面271と第2の端面272とを連通する。
【0155】
複数の溝277はそれぞれ、プランジャ222の第1の端面271及び側面273から窪んでいる。複数の溝277はそれぞれ、第1の端面271と第2の端面272との間で略軸方向に延びている。このため、溝277は、第1の端面271と、第2の端面272と、側面273とに開口する。言い換えると、溝277は、第1の端面271と第2の端面272とを連通する。
【0156】
本実施形態では、プランジャ222に、二つの溝277が設けられる。なお、溝277の数はこの例に限られず、一つ又は三つ以上であっても良い。複数の溝277は、周方向に略等間隔に配置される。
【0157】
弁部材223は、第3の流路255と第1の連通孔256とを通ってシート43とプランジャ222との間に位置する。弁部材223は、シート43に対して軸方向に移動することができる。弁部材223は、シャフト281と弁体282とを有する。
【0158】
シャフト281は、例えば、ステンレスのような非磁性の金属により作られる。シャフト281は、第1の摺動部285と、第2の摺動部286とを有する。第1の摺動部285及び第2の摺動部286は、中心軸Axに沿って延びる略円柱状に形成される。中心軸Axと直交する第1の摺動部285の断面は、中心軸Axと直交する第2の摺動部286の断面よりも大きい。
【0159】
第1の摺動部285は、第3の流路255に収容される。第1の摺動部285は、端面285a,285bと、外周面285cと、二つの凹面285dとを有する。端面285aは、第3の端面の一例である。
【0160】
端面285aは、第1の方向D1における弁部材223の端部に設けられる。端面285aは、第1の方向D1に向く。また、端面285aは、プランジャ222の第2の端面272に向き、第2の端面272に接触する。このため、シャフト281は、プランジャ222と一体的に軸方向に移動することができる。端面285bは、第2の方向D2における第1の摺動部285の端部に設けられる。
【0161】
外周面285cは、端面285a,285bの間で中心軸Axに沿って延び、径方向の外側に向く略円筒状の曲面である。外周面285cは、第3の流路255の内周面255aにより軸方向に移動可能に支持される。なお、外周面285cと内周面255aとの間には、僅かな隙間が設けられる。
【0162】
凹面285dは、外周面285cから窪み、径方向の外側に向く平面である。凹面285dは、端面285bに接続されるとともに、端面285aから離間している。すなわち、軸方向において、端面285aと凹面285dとの間に、略円筒状の外周面285cの一部が設けられる。
【0163】
凹面285dと内周面255aとの間には、隙間流路255cが形成(規定、区画)される。隙間流路255cは、第3の流路255の一部である。中心軸Axと直交する隙間流路255cの断面は、中心軸Axと直交する外周面285cと内周面255aとの間の隙間の断面よりも大きい。
【0164】
第1の摺動部285に、第2の孔290が設けられる。第2の孔290は、横穴291と縦穴292とを有する。横穴291は、第1の摺動部285を径方向に貫通し、二つの凹面285dに開口する。このため、横穴291は、第3の流路255の隙間流路255cに連通する。縦穴292は、軸方向に延び、第1の摺動部285の端面285aと、横穴291の内面とに開口する。
【0165】
端面285aに開口する縦穴292は、プランジャ222の第2の端面272に開口する第1の孔276に面する。縦穴292は、第1の孔276に連通する。このため、第2の孔290は、第3の流路255と第1の孔276とを連通する。
【0166】
第2の摺動部286は、第1の摺動部285の端面285bから、第1の連通孔256を通って、内室251まで突出する。第2の摺動部286は、第1の連通孔256において、内周面256aにより軸方向に移動可能に支持される。なお、第2の摺動部286と第1の連通孔256の内周面256aとの間には、僅かな隙間が設けられる。
【0167】
弁体282は、内室251に位置し、第2の方向D2における弁部材223の端部に設けられる。弁体282は、シート43の座面43cに向く。弁体282は、例えば、略半球状に形成される。なお、弁体282の形状は、この例に限られない。弁体282は、シャフト281と一体に軸方向に移動することができる。
【0168】
弁体282は、シート43の座面43cに当接することで、第1の流路81を塞ぐ。言い換えると、弁体282は、座面43cに当接することで、第1の流路81と第2の流路250との間を遮断する。
【0169】
一方、弁体282は、座面43cから離間することで、第1の流路81を開放し、第2の流路250に第1の流路81を連通させる。このように、弁部材223は、第1の流路81を塞ぐ位置と、第2の流路250に第1の流路81を連通させる位置と、の間で移動することができる。
【0170】
付勢部材35は、第3の流路255に収容され、第3の流路255の底面255bと、第1の摺動部285の端面285bと、の間に位置する。付勢部材35は、底面255bと端面285bとに支持されるとともに、底面255bと端面285bとの間で圧縮されている。このため、付勢部材35は、底面255bに支持され、第1の摺動部285を第1の方向D1に弾性力により付勢する。
【0171】
付勢部材35により付勢されたシャフト281の第1の摺動部285が第1の方向D1に移動すると、弁体282及びプランジャ222もシャフト281と一体的に第1の方向D1に移動する。これにより、弁部材223がシート43から離間する。
【0172】
例えば、ECU15は、ポンプ22によりW/C12の圧力を増大させる場合、ポンプ22を駆動させるとともに、電磁弁211を差圧状態に制御する。ECU15は、コイル34に電流を流すことで、コイル34に磁界を発生させる。
【0173】
プランジャ222は、コイル34が発生させた磁界によって、シート43に向かって第2の方向D2に付勢される。弁部材223は、磁界に付勢されたプランジャ222によって第2の方向D2に付勢される。
【0174】
ポンプ22が吐出したブレーキ液は、第1の流路81に流入し、コイル34の磁界により付勢された弁部材223の弁体282を第1の方向D1に押す。ブレーキ液は、弁体282をシート43の座面43cから離間させ、弁体282と座面43cとの間の隙間を通って第1の流路81から第2の流路250の内室251に流入する。
【0175】
弁部材223は、磁界により生じる吸引力と、ブレーキ液及び付勢部材35により生じる反力とが釣り合う位置へ移動し、第1の流路81の開放度合い(開弁度)を調整する。ECU15は、コイル34に流す電流を調整することで、弁部材223の位置を調整する。
【0176】
第1の流路81から内室251に流入したブレーキ液の一部は、貫通孔252を通ってリザーバ202に向かって流れる。一方、ブレーキ液の他の一部は、弁部材223の弁体282に当たると、弁部材223を伝って流れる。
【0177】
ブレーキ液は、弁部材223を伝って、第2の摺動部286と第1の連通孔256の内周面256aとの間の隙間を通過し、第3の流路255に流入する。なお、第2の摺動部286と第1の連通孔256の内周面256aとの間の隙間の大きさは、多量のブレーキ液が第3の流路255に流入することを抑制可能なように設定され、貫通孔252よりも小さい。
【0178】
第3の流路255において、ブレーキ液の流れは分岐し得る。例えば、第3の流路255において、ブレーキ液は、弁部材223を伝う流れFl1と、第2の連通孔262へ向かう流れFl2とに分岐する。
【0179】
ブレーキ液の流れFl1は、第3の流路255の隙間流路255cから、第2の孔290の横穴291に流入する。なお、ブレーキ液の一部が外周面285cと内周面255aとの間の隙間に流入しても良い。
【0180】
ブレーキ液の流れFl1は、横穴291から、第2の孔290の縦穴292と、プランジャ222の第1の孔276とを通過し、収容室258のうちプランジャ222とスリーブ44の底面44bとの間の奥部分258aへ到達する。
【0181】
ブレーキ液の流れFl1は、奥部分258aから、複数の溝277のうち少なくとも一つを通って、収容室258のうちプランジャ222とガイド231との間の空間258bへ流れる。このように、ブレーキ液の流れFl1は、奥部分258aを通過して折り返す。
【0182】
ブレーキ液の流れFl1は、空間258bから、第4の流路261の縦排出穴265に流入する。なお、溝277が縦排出穴265から離れていても、ブレーキ液の流れFl1は、空間258bを通って縦排出穴265に流入することができる。ブレーキ液の流れFl1は、縦排出穴265から、横排出穴266を通ってガイド231の外部の合流室267へ排出される。
【0183】
一方、ブレーキ液の流れFl2は、第3の流路255から、第2の連通孔262を通過して横排出穴266へ流入する。ブレーキ液の流れFl2は、流れFl1と合流し、合流室267へ排出される。
【0184】
以上のように、ブレーキ液の流れFl1,Fl2は、第2の流路250には戻らず、ガイド231の外部に排出される。ブレーキ液の流れFl1,Fl2は、合流室267において、貫通孔252から排出されたブレーキ液と合流し、リザーバ202へ向かって流れる。
【0185】
第2の流路250の内室251のブレーキ液が、貫通孔252、又は第2の摺動部286と第1の連通孔256の内周面256aとの間の隙間、を通過するとき、圧力損失が生じる。また、合流室267は、流路Cを通じてリザーバ202に接続される。このため、内室251におけるブレーキ液の圧力は、第3の流路255、収容室258、第4の流路261、及び合流室267のそれぞれにおけるブレーキ液の圧力よりも高くなる。
【0186】
上記圧力差により、内室251のブレーキ液は、第2の摺動部286と第1の連通孔256の内周面256aとの間の隙間を通過して、第3の流路255に流入することができる。なお、圧力差のみならず、弁部材223を伝って流れるブレーキ液の慣性やコアンダ効果のような他の要素によっても、ブレーキ液が第3の流路255に流入することができる。
【0187】
上述のように、収容室258の圧力が内室251の圧力よりも低い。さらに、第3の流路255のブレーキ液は、収容室258に向かう流れFl1と、第2の連通孔262に向かう流れFl2とに分岐する。すなわち、収容室258には、第3の流路255のブレーキ液の一部のみが流入する。これにより、電磁弁211は、収容室258の圧力が増大することを抑制でき、ひいては収容室258の圧力が弁部材223を第2の方向D2へ付勢することを抑制できる。
【0188】
また、上述のように、ブレーキ液の流れFl1が、収容室258のうち奥部分258aを通過する。このため、奥部分258aに空気が存在したとしても、ブレーキ液の流れFl1が、収容室258に存在する空気を、第5の流路275及び第4の流路261を通じてガイド231の外部へ排出できる。
【0189】
第4の流路261は、第3の流路255よりも上方に位置する。また、複数の溝277のうち少なくとも一つも、第3の流路255よりも上方に位置する。収容室258の空気は、浮力により、収容室258における上端に集まりやすい。このため、第3の流路255よりも上方に位置する溝277及び第4の流路261を通るブレーキ液の流れFl1は、当該空気を収容室258から排出することができる。
【0190】
以上のように、収容室258の空気がブレーキ液の流れFl1により排出されるため、空気によるブレーキ液の流体抵抗の低下が解消される。従って、電磁弁211は、流体抵抗による減衰力が空気により低下させられることを抑制し、プランジャ222及び弁部材223が自励振動することを抑制できる。
【0191】
第1の連通孔256から第3の流路255に流入したブレーキ液は、第2の流路250に戻らずにガイド231の外部へ排出される。このため、電磁弁211は、第2の流路250の圧力が収容室258の空気を排出するブレーキ液の流れFl1を妨げることを抑制できる。
【0192】
以上説明された第2の実施形態のブレーキ制御装置200において、筐体221に第2の流路250及び第3の流路255から離間するとともに収容室258に連通する第4の流路261が設けられるとともに、プランジャ222に第1の端面271と第2の端面272とを連通する複数の第5の流路275が設けられる。これにより、第1の連通孔256及び第3の流路255を通って収容室258に流入したブレーキ液は、複数の第5の流路275のうち少なくとも一つを通って収容室258を第1の方向D1に流れるとともに、複数の第5の流路275のうち少なくとも他の一つを通って収容室258を第2の方向D2に流れる。また、ブレーキ液は、第3の流路255及び第1の連通孔256を通って第2の流路250に戻ることなく、第4の流路261へ流入することができる。これにより、電磁弁211は、第2の流路250の圧力と、第3の流路255、収容室258、及び第4の流路261の圧力と、を異ならせることができる。電磁弁211は、第3の流路255、収容室258、及び第4の流路261の圧力を第2の流路250の圧力よりも低くすることで、収容室258の圧力が増大することを抑制でき、ひいては弁部材223の位置を調整しやすくなる。さらに、ブレーキ液は、収容室258におけるプランジャ222の第1の端面271の近傍を通過して、第4の流路261から排出されることができる。このため、電磁弁211は、収容室258の奥部分258aの空気を第4の流路261へ排出することができる。従って、電磁弁211は、収容室258の空気が収容室258のブレーキ液による流体抵抗を低下させることを抑制し、弁部材223及びプランジャ222が外乱によって自励振動を生じることを抑制できる。
【0193】
第2の流路250は、内室251と貫通孔252とを有する。貫通孔252は、外部の合流室267を介して第4の流路261に連通される。ブレーキ液は、内室251から合流室267へ流れるときに貫通孔252で圧力損失を生じ、内室251から第3の流路255へ流れるときに第1の連通孔256で圧力損失を生じる。このため、内室251における圧力は、第3の流路255、収容室258、及び第4の流路261における圧力よりも高くなり、且つ合流室267における圧力よりも高くなる。このため、内室251のブレーキ液の一部は、第1の連通孔256から第3の流路255、収容室258、及び第5の流路275を通って第4の流路261へ流れることができ、ひいては収容室258の奥部分258aの空気を第4の流路261へ排出することができる。
【0194】
複数の第5の流路275は、プランジャ222を貫通して第1の端面271と第2の端面272とに開口する第1の孔276と、側面273から窪むとともに第1の端面271と第2の端面272とに開口する溝277と、を含む。弁部材223に、第3の流路255と第1の孔276とを連通する第2の孔290が設けられる。例えば、第1の方向D1へ流れるブレーキ液は第2の孔290及び第1の孔276を通り、第2の方向D2へ流れるブレーキ液は溝277を通る。このように、第1の孔276と溝277とはそれぞれ、ブレーキ液を一定の方向に流すことができる。従って、電磁弁211は、第3の流路255、第2の孔290、第1の孔276、溝277、及び第4の流路261を通るブレーキ液の安定した流れを発生させることができ、収容室258の奥部分258aの空気を第4の流路261へ排出することができる。
【0195】
弁部材223は、外周面285cと、当該外周面285cから窪む凹面285dと、を有する。第2の孔290は、凹面285dに開口する。これにより、第2の孔290が弁部材223の側方に開口することができるとともに、第3の流路255の内周面255aと凹面285dとの間に第2の孔290に通じる隙間流路255cが形成される。従って、第2の孔290の設計の自由度が向上する。
【0196】
筐体221に、第3の流路255と第4の流路261とを連通する第2の連通孔262が設けられる。第2の流路250から第1の連通孔256を通って第3の流路255に流入したブレーキ液の一部は、第5の流路275を通って第4の流路261へ流れる。一方、ブレーキ液の他の一部は、第2の連通孔262を通って第4の流路261へ流れる。すなわち、電磁弁211は、多量のブレーキ液が収容室258へ流入することを抑制でき、ひいては収容室258の圧力が増大することを抑制できる。
【0197】
第3の流路255及び第4の流路261は、ガイド231に設けられる。すなわち、第3の流路255及び第4の流路261は、一つの部材に設けられる。これにより、例えば第3の流路255及び第4の流路261が複数の部材により形成される場合に比べ、本実施形態の電磁弁211は、部品点数及び組み立て工数を低減でき、ひいてはコストの増大を抑制できる。
【0198】
以上の実施形態において、コイル34が発生させる磁界がプランジャ32,222を第2の方向D2に付勢し、付勢部材35が弁部材33,223を第1の方向D1に付勢する。しかし、コイルが発生させる磁界がプランジャを第1の方向D1に付勢し、付勢部材が弁部材を第2の方向D2に付勢しても良い。
【0199】
以上説明された少なくとも一つの実施形態に係る電磁弁は、一例として、第1の流路と、前記第1の流路から第1の方向に離間した収容室と、前記第1の流路と前記収容室との間に位置するとともに前記第1の流路に連通可能な第2の流路と、前記第2の流路と前記収容室とを連通する挿通孔と、前記挿通孔から離間するとともに前記第2の流路と前記収容室とを連通する第1の循環流路と、が設けられ、前記第1の流路が開口するシートを有する、筐体と、電流を流されることで磁界を発生させるコイルと、前記第1の方向に向く第1の端面と、前記第1の端面の反対側に位置して前記第1の方向の反対の第2の方向に向く第2の端面と、を有し、それぞれが前記第1の端面と前記第2の端面とを連通する複数の第2の循環流路が設けられ、前記収容室に位置し、前記磁界によって前記第2の方向に付勢される、プランジャと、前記筐体の内部で前記シートと前記プランジャとの間に位置し、前記挿通孔を通り、前記シートに接触することで前記第1の流路を塞ぎ、前記シートから離間すること前記第2の流路に前記第1の流路を連通させ、前記磁界に付勢された前記プランジャによって前記第2の方向に付勢される、弁部材と、前記弁部材を前記第1の方向に弾性力により付勢する付勢部材と、を備える。よって、一例としては、挿通孔を通って収容室に流入した流体は、複数の第2の循環流路のうち少なくとも一つを通って収容室を第1の方向に流れるとともに、複数の第2の循環流路のうち少なくとも他の一つを通って収容室を第2の方向に流れ、循環する。また、上記流体は、第1の循環流路を通って、収容室から第2の流路に戻る。これにより、本実施形態の電磁弁は、収容室の圧力が増大して収容室と第2の流路との間に圧力差が生じることを抑制できる。
【0200】
上記電磁弁では、一例として、前記筐体は、外筒と、前記外筒の内側に嵌め込まれた内筒と、を有し、前記挿通孔は、前記内筒の内側に設けられ、前記第1の循環流路は、前記外筒と前記内筒との間に設けられる。よって、一例としては、本実施形態の電磁弁は、挿通孔及び第1の循環流路を筐体に容易に設けることができる。
【0201】
上記電磁弁では、一例として、前記内筒は、前記付勢部材を支持する支持面を有する。よって、一例としては、付勢部材は、第2の流路の外部に配置される。従って、本実施形態の電磁弁は、付勢部材が第2の流路におけるブレーキ液の流れに影響を及ぼすことを抑制できる。
【0202】
上記電磁弁では、一例として、前記第1の循環流路は、それぞれが前記第2の流路と前記収容室とを連通するとともに前記挿通孔を囲むように配置された複数の孔を含む。よって、一例としては、第1の流路が略水平となるように電磁弁が配置された場合、複数の孔のうち少なくとも一つが挿通孔より上方に位置する。これにより、本実施形態の電磁弁は、挿通孔より上方に位置する孔を通じて、収容室で浮力により上昇した空気を第2の流路へ排出することができる。
【0203】
以上説明された少なくとも一つの実施形態に係る電磁弁は、一例として、第1の流路と、前記第1の流路から第1の方向に離間した収容室と、前記第1の流路と前記収容室との間に位置するとともに前記第1の流路に連通可能な第2の流路と、前記第2の流路と前記収容室との間に位置するとともに前記収容室に連通された第3の流路と、前記第2の流路及び前記第3の流路から離間するとともに前記収容室に連通する第4の流路と、前記第2の流路と前記第3の流路とを連通する第1の連通孔と、が設けられ、前記第1の流路が開口するシートを有する、筐体と、電流を流されることで磁界を発生させるコイルと、前記第1の方向に向く第1の端面と、前記第1の端面の反対側に位置して前記第1の方向の反対の第2の方向に向く第2の端面と、を有し、それぞれが前記第1の端面と前記第2の端面とを連通する複数の第5の流路が設けられ、前記収容室に位置し、前記磁界によって前記第1の方向及び前記第2の方向のうち一方に付勢される、プランジャと、前記第3の流路及び前記第1の連通孔を通って前記シートと前記プランジャとの間に位置し、前記シートに接触することで前記第1の流路を塞ぎ、前記シートから離間することで前記第2の流路に前記第1の流路を連通させ、前記磁界によって付勢された前記プランジャによって前記第2の方向に付勢される、弁部材と、前記弁部材を前記第1の方向及び前記第2の方向のうち他方に付勢する付勢部材と、を備える。よって、一例としては、連通孔及び第3の流路を通って収容室に流入したブレーキ液は、複数の第5の流路のうち少なくとも一つを通って収容室を第1の方向に流れるとともに、複数の第5の流路のうち少なくとも他の一つを通って収容室を第2の方向に流れる。また、ブレーキ液は、第3の流路及び連通孔を通って第2の流路に戻ることなく、第4の流路へ流入することができる。これにより、電磁弁は、第2の流路の圧力と、第3の流路、収容室、及び第4の流路の圧力と、を異ならせることができる。電磁弁は、第3の流路、収容室、及び第4の流路の圧力を第2の流路の圧力よりも低くすることで、収容室の圧力が増大することを抑制でき、ひいては弁部材の位置を調整しやすくなる。さらに、ブレーキ液は、収容室におけるプランジャの第1の端面の近傍を通過して、第4の流路から排出されることができる。このため、電磁弁は、収容室の奥の空気を第4の流路へ排出することができる。従って、電磁弁は、収容室の空気が収容室のブレーキ液による流体抵抗を低下させることを抑制し、弁部材及びプランジャが外乱によって自励振動を生じることを抑制できる。
【0204】
上記電磁弁では、一例として、前記第2の流路は、前記第1の流路に連通可能な内室と、前記第2の流路の外部の空間と前記内室とを連通する貫通孔と、を有し、前記第1の連通孔は、前記内室と前記第3の流路とを連通し、前記貫通孔は、前記外部の空間を介して前記第4の流路に連通される。よって、一例としては、ブレーキ液は、内室から外部の空間へ流れるときに貫通孔で圧力損失を生じ、内室から第3の流路へ流れるときに第1の連通孔で圧力損失を生じる。このため、内室における圧力は、第3の流路、収容室、及び第4の流路における圧力よりも高くなり、且つ外部の空間における圧力よりも高くなる。このため、内室のブレーキ液の一部は、第1の連通孔から第3の流路、収容室、及び第5の流路を通って第4の流路へ流れることができ、ひいては収容室の奥の空気を第4の流路へ排出することができる。
【0205】
上記電磁弁では、一例として、前記プランジャは、前記第1の方向及び前記第2の方向に移動可能に前記収容室の内面に支持される側面を有し、前記複数の第5の流路は、前記プランジャを貫通して前記第1の端面と前記第2の端面とに開口する第1の孔と、前記側面から窪むとともに前記第1の端面と前記第2の端面とに開口する溝と、を含み、前記弁部材は、前記プランジャの前記第2の端面に向く第3の端面を有し、前記第3の端面に開口するとともに前記第3の流路と前記第1の孔とを連通する第2の孔が設けられる。よって、一例としては、第1の孔と溝とはそれぞれ、流れる方向が一定のブレーキ液を流すことができる。従って、電磁弁は、第3の流路、第2の孔、第1の孔、溝、及び第4の流路を通るブレーキ液の安定した流れを発生させることができ、収容室の奥の空気を第4の流路へ排出することができる。
【0206】
上記電磁弁では、一例として、前記弁部材は、前記第1の方向及び前記第2の方向に移動可能に前記第3の流路の内面に支持される外面と、前記外面から窪む凹面と、を有し、前記第2の孔は、前記凹面に開口する。よって、一例としては、第2の孔が弁部材の側方に開口することができるとともに、第3の流路の内面と凹面との間に第2の孔に通じる流路が形成される。従って、第2の孔の設計の自由度が向上する。
【0207】
上記電磁弁では、一例として、前記筐体に、前記第3の流路と前記第4の流路とを連通する第2の連通孔が設けられる。よって、一例としては、第2の流路から第1の連通孔を通って第3の流路に流入したブレーキ液の一部は、第5の流路を通って第4の流路へ流れる。一方、ブレーキ液の他の一部は、第2の連通孔を通って第4の流路へ流れる。すなわち、電磁弁は、多量のブレーキ液が収容室へ流入することを抑制でき、ひいては収容室の圧力が増大することを抑制できる。
【0208】
上記電磁弁では、一例として、前記筐体は、前記シートが取り付けられたガイドを有し、前記第3の流路及び前記第4の流路は、前記ガイドに設けられる。よって、一例としては、第3の流路及び第4の流路は、一つの部材に設けられる。これにより、例えば第3の流路及び第4の流路が複数の部材により形成される場合に比べ、本実施形態の電磁弁は、部品点数及び組み立て工数を低減でき、ひいてはコストの増大を抑制できる。
【0209】
以上説明された少なくとも一つの実施形態に係るブレーキ制御装置は、一例として、マスタシリンダと、ホイールシリンダと、ブレーキ液が流れる流路を通じて前記第1の流路が前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとのうち一方に接続され、前記流路を通じて前記第2の流路が前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとのうち他方に接続された、上記電磁弁と、を備える。よって、一例としては、本実施形態のブレーキ制御装置は、収容室のブレーキ液と第2の流路のブレーキ液との間に圧力差が生じることを抑制できる。
【0210】
以上の説明において、抑制は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。また、以上の説明において、制限は、例えば、移動若しくは回転を防ぐこと、又は移動若しくは回転を所定の範囲内で許容するとともに当該所定の範囲を超えた移動若しくは回転を防ぐこと、として定義される。
【0211】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0212】
10,200…ブレーキ制御装置、11…マスタシリンダ、12…ホイールシリンダ、21,211…電磁弁、31,221…筐体、32,222…プランジャ、33,223…弁部材、34…コイル、35…付勢部材、41,231…ガイド(外筒)、42…プレート(内筒)、43…シート、69…支持面、70…挿通孔、75…第1の循環流路、81…第1の流路、82…収容室、85…第2の流路、91,271…第1の端面、92,272…第2の端面、95…第2の循環流路、250…第2の流路、251…内室、252…貫通孔、255…第3の流路、255a…内周面(内面)、256…第1の連通孔、258の…収容室、261…第4の流路、262…第2の連通孔、267…合流室(外部の空間)、273…側面、275…第5の流路、276…第1の孔、277…溝、282…弁体(第3の端面)、285a…端面(第3の端面)、285c…外周面(外面)、285d…凹面、290…第2の孔、D1…第1の方向、D2…第2の方向、C…流路。