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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-21
(45)【発行日】2025-04-30
(54)【発明の名称】マークを有するゴルフボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 37/00 20060101AFI20250422BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20250422BHJP
【FI】
A63B37/00 210
A63B69/36 504Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021106394
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2023004590
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐嶌 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】井上 英高
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2028671(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0102416(US,A1)
【文献】特開2008-022940(JP,A)
【文献】特開2007-190177(JP,A)
【文献】登録実用新案第3158647(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00 - 47/04
A63B 69/00 - 69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アシストマーク及びガイドマークを備えたゴルフボールであって、
上記ゴルフボールが地球儀と見なされたときの北極点に上記アシストマークが位置するとき、上記ガイドマークの鉛直方向に対する中心角度βが5°以上40°以下であり、
平面視において曲線状であり、かつその視線の鉛直方向に対する角度αが上記中心角度βと一致するようにプレーヤーがこのゴルフボールをゴルフクラブで打撃するときにこのプレーヤーの視線方向視においてこのプレーヤーによって直線状と錯視されうる形状を、上記ガイドマークが有するゴルフボール。
【請求項2】
上記ガイドマークの前端及び後端の中心角度θが90°以上である請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記ガイドマークが方向性を有している請求項1又は2に記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記ガイドマークが、上記ゴルフボールの球の大円に沿っている請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
【請求項5】
アシストマーク、第一ガイドマーク及び第二ガイドマークを備えたゴルフボールであって、
上記ゴルフボールが地球儀と見なされたときの北極点に上記アシストマークが位置するとき、上記第一ガイドマークの鉛直方向に対する中心角度β1が5°以上40°以下であり、上記第二ガイドマークの鉛直方向に対する中心角度β2が5°以上40°以下であり、上記角度β1が上記角度β2よりも大きく、
平面視において曲線状であり、かつその視線の鉛直方向に対する角度α1が上記中心角度β1と一致するようにプレーヤーがこのゴルフボールを第一ゴルフクラブで打撃するときにこのプレーヤーの第一視線方向視においてこのプレーヤーによって直線状と錯視されうる形状を、上記第一ガイドマークが有しており、
平面視において曲線状であり、かつその視線の鉛直方向に対する角度α2が上記中心角度β2と一致するようにプレーヤーがこのゴルフボールを第二ゴルフクラブで打撃するときにこのプレーヤーの第二視線方向視においてこのプレーヤーによって直線状と錯視されうる形状を、上記第二ガイドマークが有するゴルフボール。
【請求項6】
上記角度β1が20°以上35°以下であり、上記角度β2が10°以上25°以下である請求項5に記載のゴルフボール。
【請求項7】
上記角度β1と上記角度β2との差(β1-β2)が5°以上ある請求項5又は6に記載のゴルフボール。
【請求項8】
上記第一ガイドマークの前端及び後端の中心角度θ1が90°以上であり、
上記第二ガイドマークの前端及び後端の中心角度θ2が90°以上である請求項5から7のいずれかに記載のゴルフボール。
【請求項9】
上記第一ガイドマークが方向性を有しており、上記第二ガイドマークが方向性を有している、請求項5から8のいずれかに記載のゴルフボール。
【請求項10】
上記第一ガイドマークが、上記ゴルフボールの球の大円に沿っており、
上記第二ガイドマークが、上記の球の他の大円に沿っている請求項5から9のいずれかに記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、ゴルフボールのマークの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボールには、マークが印刷されている。文字のマーク、図形のマーク、文字と図形が組み合わされたマーク等がある。典型的には、そのゴルフボールのブランドが印刷される。ブランドが表されたマークは、メインマークと称されている。メインマークと共に、サイドマークを有するゴルフボールも存在する。メインマーク又はサイドマークを手がかりとして、プレーヤーはゴルフボールの銘柄を特定する。
【0003】
ゴルフボールにはまた、ユーザーに応じたマークが印刷されることもある。このマークは、オウンネームマークと称されている。オウンネームマークの具体例として、ユーザーの氏名、会社名、社章及びキャッチフレーズが挙げられる。オウンネームにより、プレーヤーは、ラウンド中に自らのゴルフボールを認識できる。オウンネームは、誤球を防止しうる。特開2018-038575公報に、マークを有するゴルフボールが開示されている。
【0004】
特開2008-022940公報には、いわゆるガイドマークを有するゴルフボールが開示されている。プレーヤーは、ゴルフボールのセットのとき、このガイドマークの方向と目標方向とを一致させる。プレーヤーは、このガイドマークに案内されつつ、スイング軌道を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-038575公報
【文献】特開2008-022940公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的なガイドマークは、直線状である。ゴルフボールは、球形状を有する。従って、平面視において直線状であるガイドマークは、スイング中のプレーヤーには、曲線状に見える。このガイドマークは、スイング軌道の調整に寄与しにくい。
【0007】
本発明の目的は、スイング軌道を調整しやすいゴルフボールの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るゴルフボールは、ガイドマークを有する。このガイドマークは、平面視において歪曲しており、かつプレーヤーがゴルフボールをゴルフクラブで打撃するときにこのプレーヤーの視線方向視(sight line view)においてこのプレーヤーによって非歪曲と錯視されうる形状を、有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るゴルフボールを打撃するプレーヤーは、容易にスイング軌道を調整しうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された平面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面の一部が示された拡大図である。
図3図3は、図1のゴルフボールがプレーヤー及びゴルフクラブと共に示された左側面図である。
図4図4は、図3のゴルフボールがティと共に示された拡大図である。
図5図5は、図1のゴルフボールが示された視線方向視の図である。
図6図6は、図4のゴルフボールが示された矢視図である。
図7図7は、本発明の他の実施形態に係るゴルフボールが示された平面図である。
図8図8は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールが示された平面図である。
図9図9は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールが示された平面図である。
図10図10は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールが示された平面図である。
図11図11は、図10のゴルフボールがティと共に示された左側面図である。
図12図12は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールが示された平面図である。
図13図13は、図12のゴルフボールがティと共に示された左側面図である。
図14図14は、図12のゴルフボールがティと共に示された右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0012】
図1及び2に示されたゴルフボール2は、コア4、カバー6、ペイント層8、アシストマーク10及びガイドマーク12を有している。コア4は、球形状を有している。コア4の材質は、架橋されたゴム組成物である。コア4が、2以上の層を有してもよい。カバー6は、コア4を覆っている。カバー6の材質は、樹脂組成物である。カバー6が、2以上の層を有してもよい。ペイント層8は、カバー6を覆っている。ペイント層8の材質は、樹脂組成物である。本実施形態では、ペイント層8は、透明である。ゴルフボール2が、中間層を有してもよい。この中間層は、コア4とカバー6との間に位置する。図示されていないが、このゴルフボール2は、表面に多数のディンプルを有している。このゴルフボール2の直径は、40mm以上45mm以下である。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下である。
【0013】
図2に示されるように、アシストマーク10は、カバー6とペイント層8とに挟まれている。アシストマーク10の材質は、樹脂組成物である。この樹脂組成物は、基材樹脂と着色剤とを含んでいる。前述の通りペイント層8が透明なので、アシストマーク10は、ペイント層8を通して視認されうる。アシストマーク10が、ペイント層8の上に形成されてもよい。
【0014】
図示されていないが、アシストマーク10と同様に、ガイドマーク12も、カバー6とペイント層8とに挟まれている。ガイドマーク12の材質は、樹脂組成物である。この樹脂組成物は、基材樹脂と着色剤とを含んでいる。前述の通りペイント層8が透明なので、ガイドマーク12は、ペイント層8を通して視認されうる。ガイドマーク12が、ペイント層8の上に形成されてもよい。
【0015】
このゴルフボール2が、メインマークを有してもよい。このメインマークは、ゴルフボール2の銘柄を表す。ゴルフボール2が、サイドマークを有してもよい。このサイドマークも、ゴルフボール2の銘柄を表す。
【0016】
図1には、ティグラウンドにおいてティの上に置かれたゴルフボール2が示されている。図1は、ゴルフボール2の平面図である。換言すれば、鉛直方向の上から見られたゴルフボール2が、図1に示されている。図1における左方向は、目標方向である。プレーヤーは、ゴルフボール2を目標方向に打ち出すことを、望む。
【0017】
図1から明らかなように、平面視において、アシストマーク10は直線状である。アシストマーク10は、テーパーなヘッド14を有している。換言すれば、アシストマーク10は、全体として、矢印形状を有している。アシストマーク10の方向(矢印の方向)は、図1における左向きである。換言すれば、アシストマーク10の方向は、目標方向と一致している。
【0018】
図1から明らかなように、ガイドマーク12は、平面視において歪曲している。本実施形態では、ガイドマーク12は、ゴルフボール2の大円に沿っている。大円は、ゴルフボール2の球表面に画かれうる円の中で、最も大きい円である。大円の直径は、ゴルフボール2の球の直径と等しい。ゴルフボール2は、無数の大円を有している。ガイドマーク12が大円に沿っているので、平面視におけるガイドマーク12の形状は、概ね円弧である。ガイドマーク12は、前端16、中間点18及び後端20を有している。ガイドマーク12は、テーパーなヘッド22を有している。換言すれば、ガイドマーク12は、全体として、矢印形状を有している。従ってこのガイドマーク12では、前端16が後端20と区別されうる。このガイドマーク12は、方向性を有している。ゴルフボール2が、方向性を有さないガイドマークを有してもよい。
【0019】
図1における二点鎖線ILは、前端16及び後端20を通過する。この二点鎖線ILは、左右方向に延在している。換言すれば、この二点鎖線ILの方向は、目標方向と一致している。前端16と中間点18との左右方向距離は、中間点18と後端20との左右方向距離と等しい。
【0020】
図3は、図1のゴルフボール2がプレーヤー24及びゴルフクラブ26と共に示された左側面図である。図3には、グラウンド28及びティ30も示されている。ティ30は、グラウンド28から起立している。ゴルフボール2は、ティ30に載っている。プレーヤー24は、ゴルフクラブ26をグリップしている。本実施形態では、ゴルフクラブ26は、ドライバー(W#1)である。図3における二点鎖線SLは、プレーヤー24の視線(sight line)である。視線SLは、プレーヤー24の目と、ゴルフボール2の中心とを結ぶ。図3において符号αは、鉛直方向に対する視線SLの角度である。
【0021】
図4は、図3のゴルフボール2がティ30と共に示された拡大図である。図4から明らかなように、視線SLはガイドマーク12を通過している。
【0022】
図5は、図1のゴルフボール2が示された、視線方向視(sight line view)の図である。図5は、ゴルフクラブ26をスイングしているときのプレーヤー24のビューである。図5では、ガイドマーク12は、直線状である。換言すれば、ガイドマーク12は、プレーヤー24によって、非歪曲であると錯視されている。このガイドマーク12には、アナモルフォーシスが利用されている。
【0023】
ティグラウンド28に到達したプレーヤー24は、このグラウンド28にティ30を刺す。プレーヤー24は、このティ30にゴルフボール2を載せる。プレーヤー24は、ティ30の上のゴルフボール2の姿勢(attitude)を調整する。具体的には、プレーヤー24は、ゴルフボール2が下記の(1)及び(2)を満たすように、その姿勢を調整する。
(1)ゴルフボール2が地球儀と見なされたときの北極点に、アシストマーク10が位置する。
(2)アシストマーク10の矢印が目標方向を向く。
アシストマーク10は、プレーヤー24がゴルフボール2を正しくセットすることを、アシストする。このセットが終了した後のゴルフボール2が、図4及び5に示されている。このセットが、ティ30ではなく、グラウンドの上になされてもよい。
【0024】
このセットの後、プレーヤー24は、ゴルフクラブ26をスイングする。スイングにおいてプレーヤー24は、ガイドマーク12を見る。プレーヤー24は、ガイドマーク12の方向に沿ってクラブヘッドを移動させる。換言すれば、プレーヤー24は、ガイドマーク12を利用してスイング軌道を調整する。このクラブヘッドと衝突したゴルフボール2は、目標方向に向かって打ち出される。ガイドマーク12は、プレーヤー24の正しいスイングをアシストする。ガイドマーク12を有するゴルフボール2は、プレーヤー24の好スコアに寄与しうる。
【0025】
図4において符号βは、ガイドマーク12の、鉛直方向に対する中心角度を表す。中心角度βは、ガイドマーク12の中間点18において測定される。図4に示されるように、この中心角度βは、プレーヤー24の視線SLの角度αと一致している。従ってプレーヤー24は、ガイドマーク12を正面に見ることができる。前述の通り、ガイドマーク12が大円に沿っているので、プレーヤー24は、ガイドマーク12を直線状と錯視する。中心角度βが角度αと、多少異なってもよい。好ましい中心角度βは、5°以上40°以下である。
【0026】
角度αは、プレーヤー24の体格及びポスチャー、並びにゴルフクラブ26の仕様に応じて変動する。中心角度βが角度αと概ね一致するゴルフボール2が、プレーヤー24によって選択される。
【0027】
アドレスにてプレーヤー24のポスチャーが正しくないとき、プレーヤー24が直線状と認識すべきであるゴルフボール2が選択されているにもかかわらず、このガイドマーク12がプレーヤー24によって歪曲して見える。例えば、プレーヤー24がゴルフボール2に近すぎる位置に立っているとき、ガイドマーク12は下向きに凸な曲線に見える。プレーヤー24の膝が曲がりすぎているとき、ガイドマーク12は上向きに凸な曲線に見える。ガイドマーク12が曲線に見えたプレーヤー24は、ポスチャーを修正する。このゴルフボール2は、プレーヤー24の正しいスイングの習得に、寄与しうる。
【0028】
図6には、図4の矢印A1の方向から見られたゴルフボール2が示されている。この矢印A1は、視線SLと直交している。図6には、ガイドマーク12の前端16及び後端20が示されている。図4において符号θは、前端16と後端20との中心角度である。プレーヤー24の正しいスイングをアシストしうるとの観点から、中心角度θは90°以上が好ましく、110°以上がより好ましく、120°以上が特に好ましい。中心角度の上限は、360°である。
【0029】
一般的なプレーヤー24の、パッティングのときの視線の角度αは、ほぼゼロである。パッティングのときプレーヤー24は、アシストマーク10にアシストされつつ、ゴルフボール2を目標方向に向かって打ち出しうる。ゴルフボール2が、アシストマーク10を有さなくてもよい。
【0030】
図7は、本発明の他の実施形態に係るゴルフボール32が示された平面図である。このゴルフボール32は、アシストマーク34及びガイドマーク36を有している。このゴルフボール32の、ガイドマーク36の形状以外の仕様は、図1及び2に示されたゴルフボール2のそれと同じである。
【0031】
このガイドマーク36は、第一カーブ38、第二カーブ40及び第三カーブ42を有している。第一カーブ38は、前端44を含んでいる。第二カーブ40は、中間点46を含んでいる。第三カーブ42は、後端48を含んでいる。3つのカーブの全体形状は、概ね円弧である。ガイドマーク36は、全体として、矢印形状を有している。このガイドマーク36は、方向性を有している。
【0032】
このガイドマーク36は、スイング中のプレーヤーによって、非歪曲であると錯視されうる。このガイドマーク36には、アナモルフォーシスが利用されている。プレーヤーは、ガイドマーク36の方向に沿ってクラブヘッドを移動させる。このクラブヘッドと衝突したゴルフボール32は、目標方向に向かって打ち出される。ガイドマーク36は、プレーヤーの正しいスイングをアシストする。このガイドマーク36はさらに、プレーヤーの正しいスイングの習得に、寄与しうる。このガイドマーク36の、鉛直方向に対する中心角度β(図4参照)は、5°以上40°以下が好ましい。このガイドマーク36の、前端44と後端48との中心角度θ(図6参照)は、90°以上が好ましく、110°以上がより好ましく、120°以上が特に好ましい。中心角度θの上限は、360°である。
【0033】
図8は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボール50が示された平面図である。このゴルフボール50は、アシストマーク52及びガイドマーク54を有している。このゴルフボール50の、アシストマーク52の形状以外の仕様は、図1及び2に示されたゴルフボール2のそれと同じである。
【0034】
アシストマーク52は、円形状である。プレーヤーは、ゴルフボール50が地球儀と見なされたときの北極点にアシストマーク52が位置するように、ゴルフボール50の姿勢を調整する。プレーヤーはさらに、ガイドマーク54の矢印が目標方向を向くように、ゴルフボール50の姿勢を調整する。そしてプレーヤーは、ガイドマーク54に案内されつつ、スイングを行う。スイング中、プレーヤーは、ガイドマーク54を非歪曲であると錯視する。このゴルフボール50は、プレーヤーの正しいスイングをアシストする。このゴルフボール50はさらに、プレーヤーの正しいスイングの習得に、寄与しうる。
【0035】
図9は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボール56が示された平面図である。このゴルフボール56は、アシストマーク58及びガイドマーク60を有している。このゴルフボール56の、アシストマーク58の形状以外の仕様は、図1及び2に示されたゴルフボール2のそれと同じである。
【0036】
アシストマーク58は、円形部62と矢印部64とを有している。プレーヤーは、ゴルフボール56が地球儀と見なされたときの北極点に円形部62が位置するように、ゴルフボール56の姿勢を調整する。プレーヤーはさらに、矢印部64が目標方向を向くように、ゴルフボール56の姿勢を調整する。そしてプレーヤーは、ガイドマーク60に案内されつつ、スイングを行う。スイング中、プレーヤーは、ガイドマーク60を非歪曲であると錯視する。このゴルフボール56は、プレーヤーの正しいスイングをアシストする。このゴルフボール56はさらに、プレーヤーの正しいスイングの習得に、寄与しうる。
【0037】
図10は本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボール66が示された平面図であり、図11はその左側面図である。このゴルフボール66は、アシストマーク68、第一ガイドマーク70及び第二ガイドマーク72を有している。このゴルフボール66の、ガイドマーク以外の仕様は、図1及び2に示されたゴルフボール2のそれと同じである。
【0038】
図10から明らかなように、第一ガイドマーク70は、平面視において歪曲している。本実施形態では、第一ガイドマーク70は、ゴルフボール66の大円に沿っている。この第一ガイドマーク70の形状は、概ね円弧である。第一ガイドマーク70は、前端74、中間点76及び後端78を有している。第一ガイドマーク70は、テーパーなヘッド80を有している。第一ガイドマーク70は、方向性を有している。
【0039】
この第一ガイドマーク70は、スイング中のプレーヤーによって、直線状(非歪曲)であると錯視される。この第一ガイドマーク70には、アナモルフォーシスが利用されている。プレーヤーは、第一ガイドマーク70の方向に沿ってクラブヘッドを移動させる。このクラブヘッドと衝突したゴルフボール66は、目標方向に向かって打ち出される。第一ガイドマーク70は、プレーヤーの正しいスイングをアシストする。この第一ガイドマーク70はさらに、プレーヤーの正しいスイングの習得に、寄与しうる。この第一ガイドマーク70の、鉛直方向に対する中心角度β1(図11参照)は、5°以上40°以下が好ましい。この第一ガイドマーク70の、前端74と後端78との中心角度θ1は、90°以上が好ましく、110°以上がより好ましく、120°以上が特に好ましい。中心角度θ1の上限は、360°である。
【0040】
第二ガイドマーク72は、平面視において歪曲している。第二ガイドマーク72の湾曲の程度は、第一ガイドマーク70のそれよりも小さい。本実施形態では、第二ガイドマーク72は、第一ガイドマーク70の大円とは異なる大円に沿っている。この第二ガイドマーク72の形状は、概ね円弧である。第二ガイドマーク72は、前端82、中間点84及び後端86を有している。第二ガイドマーク72は、テーパーなヘッド88を有している。第二ガイドマーク72は、方向性を有している。
【0041】
この第二ガイドマーク72は、スイング中のプレーヤーによって、直線状(非歪曲)であると錯視される。この第二ガイドマーク72には、アナモルフォーシスが利用されている。プレーヤーは、第二ガイドマーク72の方向に沿ってクラブヘッドを移動させる。このクラブヘッドと衝突したゴルフボール66は、目標方向に向かって打ち出される。第二ガイドマーク72は、プレーヤーの正しいスイングをアシストする。この第二ガイドマーク72はさらに、プレーヤーの正しいスイングの習得に、寄与しうる。この第二ガイドマーク72の、鉛直方向に対する中心角度β2(図11参照)は、5°以上40°以下が好ましい。中心角度β2は、中心角度β1よりも小さい。この第二ガイドマーク72の、前端82と後端86との中心角度θ2は、90°以上が好ましく、110°以上がより好ましく、120°以上が特に好ましい。中心角度θ2の上限は、360°である。
【0042】
中心角度β1が大きいので、第一ガイドマーク70は、視線SL1の角度α1が大きいスイングに適している。例えば、第一ガイドマーク70は、ドライバー(W#1)によるスイングに適している。この観点から、中心角度β1は20°以上35°以下が特に好ましい。
【0043】
中心角度β2が小さいので、第二ガイドマーク72は、視線SL2の角度α2が小さいスイングに適している。例えば、第二ガイドマーク72は、アイアンゴルフクラブによるスイングに適している。この観点から、中心角度β2は10°以上25°以下が特に好ましい。
【0044】
種々のゴルフクラブでのスイングに適用されうるとの観点から、中心角度β1と中心角度β2との差(β1-β2)は5°以上が好ましく、10°以上がより好ましく、13°以上が特に好ましい。差(β1-β2)は、25°以下が好ましい。ゴルフボール66が、互いに中心角度βが異なる3以上のガイドマークを有してもよい。
【0045】
図12は本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボール90が示された平面図であり、図13はその左側面図であり、図14はその右側面図である。このゴルフボール90は、アシストマーク92、第一ガイドマーク94及び第二ガイドマーク96を有している。このゴルフボール90の、ガイドマーク以外の仕様は、図1及び2に示されたゴルフボール2のそれと同じである。
【0046】
図12から明らかなように、第一ガイドマーク94は、平面視において歪曲している。本実施形態では、第一ガイドマーク94は、ゴルフボール90の大円に沿っている。この第一ガイドマーク94の形状は、概ね円弧である。第一ガイドマーク94は、前端98、中間点100及び後端102を有している。第一ガイドマーク94は、テーパーなヘッド104を有している。第一ガイドマーク94は、方向性を有している。
【0047】
この第一ガイドマーク94は、スイング中のプレーヤーによって、直線状(非歪曲)であると錯視される。この第一ガイドマーク94には、アナモルフォーシスが利用されている。プレーヤーは、第一ガイドマーク94の方向に沿ってクラブヘッドを移動させる。このクラブヘッドと衝突したゴルフボール90は、目標方向に向かって打ち出される。第一ガイドマーク94は、プレーヤーの正しいスイングをアシストする。この第一ガイドマーク94はさらに、プレーヤーの正しいスイングの習得に、寄与しうる。この第一ガイドマーク94の、鉛直方向に対する中心角度β1(図13参照)は、5°以上40°以下が好ましい。この第一ガイドマーク94の、前端98と後端102との中心角度θ1は、90°以上が好ましく、110°以上がより好ましく、120°以上が特に好ましい。中心角度θ1の上限は、360°である。
【0048】
第二ガイドマーク96は、アシストマーク92を挟んで、第一ガイドマーク94と反対のサイドに位置している。第二ガイドマーク96は、平面視において歪曲している。第二ガイドマーク96の湾曲の程度は、第一ガイドマーク94のそれよりも小さい。本実施形態では、第二ガイドマーク96は、第一ガイドマーク94の大円とは異なる大円に沿っている。この第二ガイドマーク96の形状は、概ね円弧である。第二ガイドマーク96は、前端106、中間点108及び後端110を有している。第二ガイドマーク96は、テーパーなヘッド112を有している。第二ガイドマーク96は、方向性を有している。第二ガイドマーク96の方向は、第一ガイドマーク94の方向と、逆である。
【0049】
この第二ガイドマーク96は、スイング中のプレーヤーによって、直線状(非歪曲)であると錯視される。この第二ガイドマーク96には、アナモルフォーシスが利用されている。プレーヤーは、第二ガイドマーク96の方向に沿ってクラブヘッドを移動させる。このクラブヘッドと衝突したゴルフボール90は、目標方向に向かって打ち出される。第二ガイドマーク96は、プレーヤーの正しいスイングをアシストする。この第二ガイドマーク96はさらに、プレーヤーの正しいスイングの習得に、寄与しうる。この第二ガイドマーク96の、鉛直方向に対する中心角度β2(図14参照)は、5°以上40°以下が好ましい。中心角度β2は、中心角度β1よりも小さい。この第二ガイドマーク96の、前端106と後端110との中心角度θ2は、90°以上が好ましく、110°以上がより好ましく、120°以上が特に好ましい。中心角度θ1の上限は、360°である。
【0050】
中心角度β1が大きいので、第一ガイドマーク94は、視線の角度α1が大きいスイングに適している。例えば、第一ガイドマーク94は、ドライバー(W#1)によるスイングに適している。この観点から、中心角度β1は20°以上35°以下が特に好ましい。図12に示されるように、ゴルフボール90は「W#1」との文字を有している。この文字は、第一ガイドマーク94の近くに位置している。
【0051】
中心角度β2が小さいので、第二ガイドマーク96は、視線の角度α2が小さいスイングに適している。例えば、第二ガイドマーク96は、アイアンゴルフクラブによるスイングに適している。この観点から、中心角度β2は10°以上25°以下が特に好ましい。図12に示されるように、ゴルフボール90は「I#7」との文字を有している。この文字は、第二ガイドマーク96の近くに位置している。
【0052】
種々のゴルフクラブでのスイングに適用されうるとの観点から、中心角度β1と中心角度β2との差(β1-β2)は5°以上が好ましく、10°以上がより好ましく、13°以上が特に好ましい。差(β1-β2)は、25°以下が好ましい。ゴルフボール90が、互いに中心角度βが異なる3以上のガイドマークを有してもよい。
【0053】
「W#1」との文字は、適用されるゴルフクラブの番手をプレーヤーに知らせる。プレーヤーは、ドライバー(第一ゴルフクラブ)でのショットに先立ち、「W#1」との文字を有するゴルフボールを選択する。さらにプレーヤーは、「W#1」との文字を参考にして第一ガイドマーク94を選択する。プレーヤーは、この第一ガイドマーク94の矢印が目標方向を向くように、ゴルフボール90をセットする。
【0054】
「I#7」との文字は、適用されるゴルフクラブの番手をプレーヤーに知らせる。プレーヤーは、7番アイアンクラブ(第二ゴルフクラブ)でのショットに先立ち、「I#7」との文字を有するゴルフボールを選択する。さらにプレーヤーは、「I#7」との文字を参考にして第二ガイドマーク96を選択する。プレーヤーは、この第二ガイドマーク96の矢印が目標方向を向くように、ゴルフボール90をセットする。このときのゴルフボール90の向きは、ドライバーでのショットの向きと反対である。
【0055】
図12に示されるように、アシストマーク92は、両矢印の形状を有している。このアシストマーク92は、ドライバーでのショットに先立つゴルフボール90の姿勢の調整に、役立つ(図13)。さらにこのアシストマーク92は、アイアンでのショットに先立つゴルフボール90の姿勢の調整に、役立つ(図14)。
【0056】
適用されるゴルフクラブの番手をプレーヤーに知らせる目的で、ゴルフボールが他の文字を有してもよい。他の文字として、「W#2」、「W#3」、「W#4」、「W#5」、「W#6」、「W#7」、「W#8」、「W#9」、「U#1」、「U#2」、「U#3」、「U#4」、「U#5」、「U#6」、「U#7」、「U#8」、「U#9」、「I#1」、「I#2」、「I#3」、「I#4」、「I#5」、「I#6」、「I#7」、「I#8」、「I#9」、「PW」、「AW」、「SW」及び「P」が例示される。ゴルフクラブのロフト角を表示する文字を、ゴルフボールが有してもよい。
【0057】
以下の項目は、本ゴルフボールの実施形態の開示である。本発明の効果が奏される限りにおいて、本発明の範囲が、この実施形態の記載によって限定して解釈されることはない。
【0058】
[項目1]
ガイドマークを備えたゴルフボールであって、
平面視において歪曲しており、かつプレーヤーがこのゴルフボールをゴルフクラブで打撃するときにこのプレーヤーの視線方向視(sight line view)においてこのプレーヤーによって非歪曲と錯視されうる形状を、上記ガイドマークが有するゴルフボール。
【0059】
[項目2]
上記ガイドマークが、平面視において曲線状であり、かつ上記視線方向視において直線状である形状を有する請求項1に記載のゴルフボール。
【0060】
[項目3]
上記ガイドマークの鉛直方向に対する中心角度βが、5°以上40°以下である、請求項1又は2に記載のゴルフボール。
【0061】
[項目4]
上記ガイドマークの前端及び後端の中心角度θが90°以上である請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
【0062】
[項目5]
上記ガイドマークが方向性を有している請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
【0063】
[項目6]
上記ガイドマークが、上記ゴルフボールの球の大円に沿っている請求項1から5のいずれかに記載のゴルフボール。
【0064】
[項目7]
上記プレーヤーによって上記ゴルフボールがセットされるときの、このゴルフボールの姿勢を示すアシストマークを、さらに備えた請求項1から6のいずれかに記載のゴルフボール。
【0065】
[項目8]
第一ガイドマーク及び第二ガイドマークを備えたゴルフボールであって、
平面視において歪曲しており、かつプレーヤーがこのゴルフボールを第一ゴルフクラブで打撃するときにこのプレーヤーの第一視線方向視においてこのプレーヤーによって非歪曲と錯視されうる形状を、上記第一ガイドマークが有しており、
平面視において歪曲しており、かつプレーヤーがこのゴルフボールを第二ゴルフクラブで打撃するときにこのプレーヤーの第二視線方向視においてこのプレーヤーによって非歪曲と錯視されうる形状を、上記第二ガイドマークが有するゴルフボール。
【0066】
[項目9]
上記第一ガイドマークが、平面視において曲線状であり、かつ上記第一視線方向視において直線状である形状を有しており、
上記第二ガイドマークが、平面視において曲線状であり、かつ上記第二視線方向視において直線状である形状を有する請求項8に記載のゴルフボール。
【0067】
[項目10]
上記第一ガイドマークの鉛直方向に対する中心角度β1が、5°以上40°以下であり、
上記第二一ガイドマークの鉛直方向に対する中心角度β2が、5°以上40°以下であり、
上記角度β1が上記角度β2よりも大きい請求項8又は9に記載のゴルフボール。
【0068】
[項目11]
上記角度β1が20°以上35°以下であり、上記角度β2が10°以上25°以下である請求項10に記載のゴルフボール。
【0069】
[項目12]
上記角度β1と上記角度β2との差(β1-β2)が5°以上ある請求項10又は11に記載のゴルフボール。
【0070】
[項目13]
上記第一ガイドマークの前端及び後端の中心角度θ1が90°以上であり、
上記第二ガイドマークの前端及び後端の中心角度θ2が90°以上である請求項8から12のいずれかに記載のゴルフボール。
【0071】
[項目14]
上記第一ガイドマークが方向性を有しており、上記第二ガイドマークが方向性を有している、請求項8から13のいずれかに記載のゴルフボール。
【0072】
[項目15]
上記第一ガイドマークが、上記ゴルフボールの球の大円に沿っており、
上記第二ガイドマークが、上記の球の他の大円に沿っている請求項8から14のいずれかに記載のゴルフボール。
【0073】
[項目16]
上記プレーヤーによって上記ゴルフボールがセットされるときの、このゴルフボールの姿勢を示すアシストマークを、さらに備えた請求項8から15のいずれかに記載のゴルフボール。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係るゴルフボールは、ゴルフコースでのプレイ、ドライビングレンジでのプラクティス等に適している。
【符号の説明】
【0075】
2・・・ゴルフボール
10・・・アシストマーク
12・・・ガイドマーク
14・・・アシストマークのヘッド
16・・・ガイドマークの前端
18・・・ガイドマークの中間点
20・・・ガイドマークの後端
22・・・ガイドマークのヘッド
24・・・プレーヤー
26・・・ゴルフクラブ
28・・・グラウンド
30・・・ティ
32・・・ゴルフボール
34・・・アシストマーク
36・・・ガイドマーク
38・・・ガイドマークの第一カーブ
40・・・ガイドマークの第二カーブ
42・・・ガイドマークの第三カーブ
44・・・ガイドマークの前端
46・・・ガイドマークの中間点
48・・・ガイドマークの後端
50・・・ゴルフボール
52・・・アシストマーク
54・・・ガイドマーク
56・・・ゴルフボール
58・・・アシストマーク
60・・・ガイドマーク
62・・・アシストマークの円形部
64・・・アシストマークの矢印部
66・・・ゴルフボール
68・・・アシストマーク
70・・・第一ガイドマーク
72・・・第二ガイドマーク
90・・・ゴルフボール
92・・・アシストマーク
94・・・第一ガイドマーク
96・・・第二ガイドマーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14