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特許7669867タイヤの搬送方法、縦置きタイヤの横置き方法及び姿勢変化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-21
(45)【発行日】2025-04-30
(54)【発明の名称】タイヤの搬送方法、縦置きタイヤの横置き方法及び姿勢変化装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/90 20060101AFI20250422BHJP
   B29D 30/08 20060101ALI20250422BHJP
【FI】
B65G47/90 D
B29D30/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021131281
(22)【出願日】2021-08-11
(65)【公開番号】P2023025869
(43)【公開日】2023-02-24
【審査請求日】2024-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早嵜 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大村 秋兵
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-079731(JP,U)
【文献】特開平06-262700(JP,A)
【文献】特開2003-039573(JP,A)
【文献】特開2018-188260(JP,A)
【文献】特開2014-148393(JP,A)
【文献】特開平03-182417(JP,A)
【文献】特開平08-040547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 - 47/96
B29D 30/00 - 30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦置きのタイヤを横置きにして、トロリーラインに吊り下げられこのトロリーラインによって目的地まで案内されるラックを用いて前記タイヤを搬送する方法であって、
前記タイヤの内周面から径方向内向きに所定距離、離れた位置である待機位置と、前記内周面に接触して前記タイヤを保持する保持位置との間を往来しシャフトを中心に回転するローラを、前記待機位置に配置し、
前記タイヤの内周面の内側に前記ローラを配置し、
前記シャフトの周方向位置と径方向位置とを変えながら、前記ローラを前記内周面に接触させ転がし、前記ローラを前記保持位置に到達させ、
前記ローラで保持した前記タイヤを旋回させ、前記タイヤを横置きにし、
移動する前記ラックが前記タイヤを載せる積載位置を通過するタイミングで、前記ローラを前記保持位置から前記待機位置に移動させ、前記タイヤを解放する、
タイヤの搬送方法。
【請求項2】
前記タイヤを解放する前に、前記ローラが前記内周面を押し付ける力を弱める、
請求項1に記載のタイヤの搬送方法。
【請求項3】
前記ローラが、円柱状の本体と、前記本体の中心に位置する前記シャフトとを備え、
前記本体が、前記タイヤのビード部を載せる台部を備え、
前記台部が、径方向外向きに拡がる鍔部を備える、
請求項1又は2に記載の、タイヤの搬送方法。
【請求項4】
前記台部の材料がフッ素樹脂である、
請求項3に記載の、タイヤの搬送方法。
【請求項5】
複数の前記ローラが周方向に間隔をあけて配置される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の、タイヤの搬送方法。
【請求項6】
前記タイヤが未加硫状態のタイヤである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の、タイヤの搬送方法。
【請求項7】
縦置きのタイヤを横置きにする姿勢変化装置であって、
タイヤを保持する保持ユニットと、
前記保持ユニットを旋回させる旋回ユニットと
を備え、
前記保持ユニットが、拡縮機能を有する保持部と、前記拡縮機能を発揮させる駆動部とを備え、
前記保持部が、ローラと、前記ローラのシャフトが回転可能に取り付けられるリンク機構とを備え、
前記駆動部が、回転シャフトと、前記回転シャフトを回転させる原動機とを備え、
前記リンク機構が、前記ローラを支持する一対の支持フレームを備え、
前記各支持フレームが、アームと、回転プレートと、固定プレートとを備え、
前記アームが、その一端部において、前記ローラがシャフトを中心に回転できるように前記ローラを支持し、
前記アームが、その他端部において、回転ピンを介して前記回転プレートに取り付けられ、前記回転ピンを中心に回転できるように前記回転プレートに支持され、
前記回転プレートが、前記回転シャフトを中心に回転できるように前記回転シャフトに固定され、
前記固定プレートが、基準ピンによって前記旋回ユニットに固定され、
前記アームが、前記基準ピンを案内するガイド溝を有し、
前記回転プレートが回転することで、前記アームの他端部が周方向に動きながら前記回転ピンを中心に回転し、前記基準ピンによって前記アームの動きが規制される、
姿勢変化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの搬送方法、縦置きタイヤの横置き方法及び姿勢変化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生タイヤ(未加硫状態のタイヤであり、ローカバーとも称される。)を加硫することで、タイヤは得られる。成形機で成形した生タイヤは加硫機まで搬送される。生タイヤの搬送には、搬送装置が用いられる。下記の特許文献1は、搬送装置の一例を開示する
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-182417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成形機において生タイヤは縦置きの状態で得られる。加硫工程において、生タイヤは、横置きの状態でモールドに投入される。タイヤの製造では、成形機で得た生タイヤを加硫機に搬送する過程で生タイヤの向きが変えられる。
【0005】
前述の特許文献1が開示する搬送装置のように、トロリーコンベアで生タイヤを搬送する場合、生タイヤはハンガーに吊り下げられる。生タイヤは軟質である。ハンガーに生タイヤが吊り下げられると、自重により生タイヤの形状が円から楕円に変化する。生タイヤの形状が大きく変わると、タイヤの均一性が損なわれる。生タイヤを横置きした状態で搬送すれば、自重による生タイヤの変形を防止できる見込みがある。
【0006】
生タイヤを横置きできるラックを用いて生タイヤを搬送する場合、ラックは生タイヤを面で支持する。搬送中のラックのバランス保持の観点から、ラックに構成される生タイヤの載置面の中心に生タイヤの中心を合わせて、生タイヤをラックに載せることが求められる。
【0007】
トロリーコンベアで生タイヤを搬送するタイヤの製造ラインにおいて、高品質なタイヤを安定に生産するために、生タイヤの中心を把握しながらこの生タイヤの向きを縦置きから横置きに変えることができる技術の確立が求められている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高品質なタイヤの安定した生産に貢献できる、縦置きタイヤの横置き方法及びタイヤの搬送方法並びに姿勢変化装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るタイヤの搬送方法は、縦置きのタイヤを横置きにして、トロリーラインに吊り下げられこのトロリーラインによって目的地まで案内されるラックを用いて前記タイヤを搬送する方法であって、
(1)前記タイヤの内周面から径方向内向きに所定距離、離れた位置である待機位置と、前記内周面に接触して前記タイヤを保持する保持位置との間を往来しシャフトを中心に回転するローラを、前記待機位置に配置し、
(2)前記タイヤの内周面の内側に前記ローラを配置し、
(3)前記シャフトの周方向位置と径方向位置とを変えながら、前記ローラを前記内周面に接触させ転がし、前記ローラを前記保持位置に到達させ、
(4)前記ローラで保持した前記タイヤを旋回させ、前記タイヤを横置きにし、そして、
(5)移動する前記ラックが前記タイヤを載せる積載位置を通過するタイミングで、前記ローラを前記保持位置から前記待機位置に移動させ、前記タイヤを解放する。
【0010】
好ましくは、このタイヤの搬送方法は、前記タイヤを解放する前に、前記ローラが前記内周面を押し付ける力を弱める。
【0011】
好ましくは、このタイヤの搬送方法では、前記ローラは、円柱状の本体と、前記本体の中心に位置する前記シャフトとを備える。前記本体は、前記タイヤのビード部を載せる台部を備える。前記台部は、径方向外向きに拡がる鍔部を備える。
【0012】
好ましくは、このタイヤの搬送方法では、前記台部の材料はフッ素樹脂である。
【0013】
好ましくは、このタイヤの搬送方法では、複数の前記ローラが周方向に間隔をあけて配置される。
【0014】
好ましくは、このタイヤの搬送方法では、前記タイヤは未加硫状態のタイヤである。
【0015】
本発明の一態様に係る縦置きタイヤの横置き方法は、縦置きのタイヤを横置きにする方法であって、
(1)前記タイヤの内周面から径方向内向きに所定距離、離れた位置である待機位置と、前記内周面に接触して前記タイヤを保持する保持位置との間を往来しシャフトを中心に回転するローラを、前記待機位置に配置し、
(2)前記タイヤの内周面の内側に前記ローラを配置し、
(3)前記シャフトの周方向位置と径方向位置とを変えながら、前記ローラを前記内周面に接触させて転がし、前記ローラを前記保持位置に到達させ
(4)前記ローラで保持した前記タイヤを旋回させ、前記タイヤを横置きにし、そして、
(5)前記ローラを前記保持位置から前記待機位置に移動させ、前記タイヤを解放する。
【0016】
本発明の一態様に係る姿勢変化装置は、縦置きのタイヤを横置きにするタイヤの姿勢変化装置であって、前記タイヤを保持する保持ユニットと、前記保持ユニットを旋回させる旋回ユニットとを備える。前記保持ユニットは、拡縮機能を有する保持部と、前記拡縮機能を発揮させる駆動部とを備える。前記保持部は、ローラと、前記ローラのシャフトが回転可能に取り付けられるリンク機構とを備える。前記駆動部は、回転シャフトと、前記回転シャフトを回転させる原動機とを備える。前記リンク機構は、前記ローラを支持する一対の支持フレームを備える。前記各支持フレームは、アームと、回転プレートと、固定プレートとを備える。前記アームは、その一端部において、前記ローラがシャフトを中心に回転できるように前記ローラを支持する。前記アームは、その他端部において、回転ピンを介して前記回転プレートに取り付けられ、前記回転ピンを中心に回転できるように前記回転プレートに支持される。前記回転プレートは、前記回転シャフトを中心に回転できるように前記回転シャフトに固定される。前記固定プレートは、基準ピンによって前記旋回ユニットに固定される。前記アームは、前記基準ピンを案内するガイド溝を有する。前記回転プレートが回転することで、前記アームの他端部が周方向に動きながら前記回転ピンを中心に回転し、前記基準ピンによって前記アームの動きが規制される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高品質なタイヤの安定した生産に貢献できる、縦置きタイヤの横置き方法及びタイヤの搬送方法並びに姿勢変化装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤの搬送方法が実行される搬送装置を示す一部切り欠き側面図である。
図2図2は、搬送装置の一部をなす姿勢変化装置を示す側面図である。
図3図3は、姿勢変化装置を示す正面図である。
図4図4は、保持部を示す平面図である。
図5図5は、保持部を示す正面図である。
図6図6は、保持部の動作を説明する平面図である。
図7図7は、ラックを示す側面図である。
図8図8は、ラックを示す平面図である。
図9図9は、搬送装置の動作を説明する側面図である。
図10図10は、搬送装置の動作を説明する側面図である。
図11図11は、搬送装置の動作を説明する側面図である。
図12図12は、搬送装置の動作を説明する側面図である。
図13図13は、搬送装置の動作を説明する側面図である。
図14図14は、搬送装置の動作を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0020】
[搬送装置]
図1には、本発明の一実施形態に係るタイヤの搬送方法が実行される搬送装置2が示される。この搬送装置2は、成形機(図示されず)において成形した生タイヤTを加硫機(図示されず)に搬送するために用いられる。この搬送装置2は、姿勢変化装置4と、トロリーコンベア6とを備える。
【0021】
[姿勢変化装置4]
図2-6を用いて、姿勢変化装置4の概要が説明される。
この姿勢変化装置4は、縦置きの生タイヤTを横置きにする装置である。この姿勢変化装置4は、保持ユニット8と、旋回ユニット10と、昇降ユニット12とを備える。
詳述しないが、この姿勢変化装置4は、複数の枠片を組み合わせた骨組みとしてのメインフレーム14を備える。このメインフレーム14に、保持ユニット8、旋回ユニット10及び昇降ユニット12が組付けられ、この姿勢変化装置4は構成される。
【0022】
保持ユニット8は、生タイヤTを保持する。保持ユニット8は、保持部16と、駆動部18とを備える。保持部16及び駆動部18は、旋回ユニット10に固定される。保持ユニット8は、保持部16及び駆動部18を旋回ユニット10に固定するための固定部20をさらに備える。
【0023】
保持部16は、円盤状である。保持部16は、ローラ22と、リンク機構24とを備える。この搬送装置2では、保持部16は複数のローラ22を備える。具体的には、この保持部16は5本のローラ22を備える。これらローラ22は保持部16の径方向外縁部分を構成する。これらローラ22は、保持部16の周方向において、等間隔に配置される。これらローラ22(具体的には、ローラ22の中心)は、同一円周上に位置する。保持部16の外径は、これらローラ22(詳細には、後述する、ローラ22の本体26)に外接する円の直径により表される。
この搬送装置2では、保持部16に設けられるローラ22の本数は3本以上が好ましく、7本以下が好ましい。
【0024】
保持部16において、各ローラ22は円柱状の本体26の中心にシャフト28を備え、このシャフト28がリンク機構24に回転可能に取り付けられる。保持部16は、その径方向外側部分に複数のローラ22を備える。各ローラ22は、シャフト28を中心に回転できる。
ローラ22の本体26はその一方の端部に、このローラ22の径方向において外向きに拡がる鍔部30を備える。後述するが、この鍔部30に生タイヤTのビード部Bが載せられる。
【0025】
リンク機構24は、保持部16に設けられる複数のローラ22を同一円周上に配置しつつ、これらローラ22の位置を同時に変えることができる。
リンク機構24は、ローラ22を支持する一対の支持フレーム32を備える。この搬送装置2では、ローラ22は、一方の支持フレーム32と他方の支持フレーム32との間に挟まれ、これら支持フレーム32に保持される。
【0026】
この搬送装置2では、一対の支持フレーム32のうち、一方の支持フレーム32が固定フレーム34を介して旋回ユニット10に固定される。
固定フレーム34は、前述の固定部20の一部をなす。この搬送装置2の固定フレーム34は、一対のサイドプレート片36と、トッププレート片38とを備える。各サイドプレート片36は、その一端において旋回ユニット10に固定され、その他端においてトッププレート片38に固定される。トッププレート片38は、両サイドプレート片36の他端を架け渡す。このトッププレート片38に、支持フレーム32の一部が固定される。
【0027】
この搬送装置2では、固定フレーム34に固定される一方の支持フレーム32が内側支持フレーム32Uとも称され、他方の支持フレーム32が外側支持フレーム32Sとも称される。内側支持フレーム32Uと外側支持フレーム32Sとは略同様の構成を有する。
支持フレーム32は、アーム40と、回転プレート44と、固定プレート46とを備える。
【0028】
アーム40は、その一端部40aにおいて、ローラ22がシャフト28を中心に回転できるようにこのローラ22を支持する。具体的には、内側支持フレーム32Uにおけるアーム40がその一端部40aにおいてシャフト28の一端を支持し、外側支持フレーム32Sにおけるアーム40がその一端部40aにおいてシャフト28の他端を支持する。
アーム40は、その他端部40bにおいて、回転ピン48を介して回転プレート44に取り付けられる。アーム40は、回転ピン48を中心に回転できるように回転プレート44に支持される。内側支持フレーム32Uのアーム40における回転ピン48の周方向及び径方向位置は、外側支持フレーム32Sのアーム40における回転ピン48の周方向及び径方向位置と一致する。
前述したように、保持部16は5本のローラ22を備える。それぞれの支持フレーム32は5本のアーム40を備える。
【0029】
この搬送装置2では、アーム40はL字状の平面形状を有する。このアーム40は、L字状のプレート片42と規制プレート50とを組み合わせて構成される。プレート片42は、一端部40aを含む内側プレート片42uと、他端部40bを含む外側プレート片42sとを備える。プレート片42は、内側プレート片42uと外側プレート片42uとの境界において屈曲する。内側プレート片42uには、この内側プレート片42uをその厚さ方向に貫通し、この内側プレート片42uの長さ方向にのびる溝54が刻まれる。
【0030】
規制プレート50は、プレート片42の内側プレート片42uに積層され、この内側プレート片42uに取り付けられる。規制プレート50には、この規制プレート50をその厚さ方向に貫通し、この規制プレート50の長さ方向にのびる溝56が刻まれる。
この搬送装置2では、規制プレート50の溝56と内側プレート片42uの溝54とが組み合わされることで、後述する基準ピン58を案内するガイド溝60が構成される。
アーム40は、基準ピン58を案内するガイド溝60を有する。
【0031】
回転プレート44は、後述する駆動部18の回転シャフト62に固定される。回転シャフト62が回転することで、回転プレート44が回転シャフト62を中心に回転する。この搬送装置2では、内側支持フレーム32Uにおける回転プレート44と、外側支持フレーム32Sにおける回転プレート44とは、一体となって回転シャフト62を中心に回転する。
回転プレート44は円盤状である。ローラ22との干渉が考慮され、回転ピン48が取り付けられる部分以外は、外縁から径方向内向きに窪んだ凹み64で構成される。回転プレート44は星形の平面形状を有する。
【0032】
固定プレート46は、軸受66を介して回転シャフト62に支持される。固定プレート46は、基準ピン58によって旋回ユニット10に固定される。具体的には、固定プレート46は、固定部20の固定フレーム34を介して基準ピン58によって旋回ユニット10に固定される。
この搬送装置2では、内側支持フレーム32Uの固定プレート46は、固定フレーム34(具体的には、この固定フレーム34の一部をなすトッププレート片38)に基準ピン58によって固定される。外側支持フレーム32Sの固定プレート46は、スペーサリング68を介して内側支持フレーム32Uの固定プレート46に固定される。内側支持フレーム32Uの固定プレート46と外側支持フレーム32Sの固定プレート46とは、一体となって固定フレーム34に固定される。回転シャフト62が回転しても、固定プレート46は回転しない。
固定プレート46は円盤状である。ローラ22との干渉が考慮され、基準ピン58が取り付けられる部分以外は、外縁から径方向内向きに窪んだ凹み70で構成される。固定プレート46は星形の平面形状を有する。
【0033】
外側支持フレーム32Sの固定プレート46にも、内側支持フレーム32Uの固定プレート46と同様、基準ピン58が取り付けられる。外側支持フレーム32Sの固定プレート46における基準ピン58の周方向及び径方向位置は、内側支持フレーム32Uの固定プレート46における基準ピン58の周方向及び径方向位置と一致する。
【0034】
保持部16においては、前述したように、アーム40の他端部40bは回転ピン48を介して回転プレート44に取り付けられ、回転プレート44は回転シャフト62を中心に回転する。回転プレート44が回転することで、回転ピン48は周方向に動く。この回転ピン48が動くことで、アーム40の他端部40bが周方向に動かされる。
前述したように、回転プレート44が回転しても、基準ピン58が取り付けられる固定プレート46は回転しない。回転プレート44が回転しても基準ピン58は動かない。この搬送装置2では、アーム40に設けられるガイド溝60に基準ピン58のヘッド58hが嵌め合わされる。内側支持フレーム32Uにおける基準ピン58には、ガイド溝60の位置に相当する部分にヘッド58hに対応する凸部58tが設けられ、この凸部58tがガイド溝60に嵌め合わされる。回転プレート44が回転することでアーム40の他端部40bが周方向に動かされるが、この基準ピン58によってアーム40の動きが規制される。この搬送装置2では、回転プレート44が回転することで、アーム40の他端部40bは周方向に動きながら回転ピン48を中心に回転する。これにより、アーム40の一端部40aに支持されるシャフト28の周方向位置及び径方向位置が変化する。
この搬送装置2では、リンク機構24によって、シャフト28の周方向位置及び径方向位置が変えられる。
【0035】
図4において、二点鎖線TLは、回転プレート44が回転することで移動するシャフト28の中心の軌跡である。符号TSは軌跡TLの一端であり、符号TUはこの軌跡TLの他端である。図4に示された保持部16では、シャフト28の中心は軌跡TLの一端TSに位置する。
軌跡TLの一端TSは、径方向において、他端TUの外側に位置する。図4に示された保持部16では径方向においてローラ22は外側に位置し、この保持部16は拡径状態にある。これに対して図6に示された保持部16では、シャフト28の中心は軌跡TLの他端TUに位置する。この図6には、ローラ22が内側に位置する縮径状態の保持部16が示される。
【0036】
図4に示された保持部16、すなわち、拡径状態にある保持部16において、回転プレート44が矢印Aで示される方向に回転すると、シャフト28の中心は軌跡TL上を一端TSから他端TUに向かって移動する。ローラ22は、周方向においては回転プレート44の回転方向とは逆向きに移動し、径方向においては内向きに移動する。これにより、保持部16の外径は縮径していく。この搬送装置2では、保持部16のローラ22は、シャフト28の周方向位置と径方向位置とを変えながら径方向内向きに移動できる。
【0037】
図6に示された保持部16、すなわち、縮径状態にある保持部16において、回転プレート44が矢印Bで示される方向に回転すると、シャフト28の中心は軌跡TL上を他端TUから一端TSに向かって移動する。ローラ22は、周方向においては回転プレート44の回転方向とは逆向きに移動し、径方向においては外向きに移動する。これにより、保持部16の外径は拡径していく。この搬送装置2では、保持部16のローラ22は、シャフト28の周方向位置と径方向位置とを変えながら径方向外向きに移動できる。
【0038】
保持部16は拡径及び縮径できる機能(以下、拡縮機能とも称される。)を有する。駆動部18は、この保持部16が有する拡縮機能を発揮させる。
駆動部18は、原動機72を備える。後述するが、この搬送装置2の原動機72は取付プレート74を介して旋回ユニット10に固定される。この取付プレート74は、前述の固定部20の一部をなす。
【0039】
原動機72が前述の回転シャフト62を回転させる。原動機を駆動させることで、回転シャフト62が回転する。これにより、前述の保持部16の一部なす回転プレート44が回転する。
この搬送装置2では、電動機が原動機72として用いられる。保持部16の拡縮機能を効果的に制御できる観点から、電動機としては、サーボモータが好ましい。この場合、この搬送装置2は、保持する生タイヤTのサイズに合わせて、回転プレート44の回転量を高い精度でコントロールできる。
【0040】
前述したように、保持ユニット8の保持部16が生タイヤTを保持する。この搬送装置2では、生タイヤTの保持のために、保持部16は生タイヤTの内側に通される。このとき、保持部16は図6に示されるように縮径される。縮径状態にある保持部16のローラ22は、生タイヤTの内周面から径方向内向きに所定距離、離れた位置に配置される。本開示においては、縮径状態の保持部16におけるローラ22の位置が、このローラ22の待機位置である。
この搬送装置2では、保持部16が拡径すると、保持部16のローラ22が生タイヤTの内周面に接触する。これにより、保持部16が生タイヤTを保持する。本開示においては、保持部16が拡径状態にあって、ローラ22が内周面に接触して生タイヤTを保持できる位置が、ローラ22の保持位置である。このローラ22の保持位置は、保持する生タイヤTの大きさによって変更される。
この搬送装置2では、保持部16のローラ22は、生タイヤTの内周面から径方向内向きに所定距離、離れた位置である待機位置と、生タイヤTの内周面に接触してこの生タイヤTを保持する保持位置との間を往来する。
【0041】
旋回ユニット10は、保持ユニット8を旋回させる。この旋回ユニット10は、昇降ユニット12に支持される。旋回ユニット10は、支持枠片76と、一対の旋回部78とを備える。
【0042】
支持枠片76は、幅方向にのびる部材である。支持枠片76は略長方形の断面形状を有する。支持枠片76の4つの側面80は、対向して配置される一対の幅広の側面80wと、対向して配置される一対の幅狭の側面80nとで構成される。
この搬送装置2では、支持枠片76の幅方向中央部分に保持ユニット8の保持部16及び駆動部18が固定される。一対の幅広側面80wのうち一方の幅広側面80wに固定フレーム34を介して保持部16が固定され、他方の幅広側面80wに取付プレート74を介して駆動部18が取り付けられる。駆動部18は回転シャフト62を有するので、支持枠片76には、両幅広側面80w間を貫通する孔(図示されず)が設けられ、この貫通孔に回転シャフト62が通される。
【0043】
一対の旋回部78は、幅方向において、支持枠片76の外側に位置する。
各旋回部78は、回転フレーム82と、支持部材84とを備える。前述の支持枠片76は、その両端において、回転フレーム82に固定される。回転フレーム82は回転シャフト86を備える。回転シャフト86は幅方向において外向きにのびる。
支持部材84は、上下にのびる部材である。図示されないが、この支持部材84は、その上部において、軸受を介して回転フレーム82の回転シャフト86を支持する。この支持部材84は、回転シャフト86が回転できるようにこの回転シャフト86を支持する。この支持部材84の下側部分は、後述する、昇降ユニット12のフレーム片として用いられる。
【0044】
図3に示されるように、一対の旋回部78のうち、一方の旋回部78は原動機88をさらに備える。原動機88は、この旋回部78の一部をなす回転フレーム82の回転シャフト86を回転させる。原動機88は電動機である。この搬送装置2では、電動機としてはサーボモータが好ましい。
【0045】
この搬送装置2では、回転シャフト86が回転することにより、支持枠片76がこの回転シャフト86を中心に回転する。支持枠片76には、前述の保持ユニット8が固定される。原動機88を駆動させることで回転フレーム82の回転シャフト86が回転し、支持枠片76とともに保持ユニット8がこの回転シャフト86を中心に回転する。
【0046】
昇降ユニット12は、旋回ユニット10が上下に移動できるようにこの旋回ユニット10を支持する。旋回ユニット10には、保持ユニット8が固定される。この昇降ユニット12は保持ユニット8を昇降させる。
【0047】
昇降ユニット12は、一対の昇降部90を備える。各昇降部90は各旋回部78を支持する。昇降部90は旋回部78の略下側に位置する。
昇降部90は、ガイド部92と、シリンダ部94とを備える。
ガイド部92は、上下にのびる案内プレート96と、この案内プレート96を案内するスライダ98とを備える。案内プレート96は、旋回ユニット10の支持部材84に固定される。スライダ98は、メインフレーム14の一部をなす高さ枠片100に固定される。この搬送装置2では、スライダ98に対して案内プレート96が上下に動く。
【0048】
シリンダ部94は、上下にのびる。シリンダ部94は、スライダ98と同じ、高さ枠片100に固定される。シリンダ部94のロッド102はその先端部において連結プレート104を介して旋回ユニット10の支持部材84に固定される。
この搬送装置2では、ロッド102が伸びるとガイド部92によって案内されながら支持部材84が上昇する。ロッド102が縮むとガイド部92によって案内されながら支持部材84が下降する。支持部材84を含む旋回ユニット10には保持ユニット8が固定されるので、ロッド102が伸びると保持ユニット8が上昇し、ロッド102が縮むと保持ユニット8は下降する。
【0049】
[トロリーコンベア6]
次に、トロリーコンベア6の概要が説明される。
図1に示されるように、トロリーコンベア6は、トロリーライン106と、このトロリーライン106に吊り下げられこのトロリーライン106によって目的地まで案内されるラック108とを備える。この搬送装置2のトロリーライン106は、ガイドレール110と、このガイドレール110に嵌め込まれ、このガイドレール110に案内される台車112とを備える。この台車112に、ラック108が吊り下げられる。
このトロリーコンベア6では、図示されないチェーンによって台車112が牽引される。これにより、ラック108がガイドレール110に案内されて移動する。
【0050】
この搬送装置2では、横置きの生タイヤTがラック108に載せられる。ラック108は横置きの生タイヤTを載せることができればよく、このラック108の構成に特に制限はない。図7-8には、ラック108の一例が示される。図7-8を用いて、このラック108の概要が説明される。
【0051】
この搬送装置2のラック108は、本体フレーム114と、一対の台座プレート116とを備える。本体フレーム114は、幅枠片、奥行き枠片そして高さ枠片を組み合わせたフレーム構造体からなる。この本体フレーム114は、その下側に、ラック108の幅方向に離して構成される一対の支持フレーム118を備える。
台座プレート116はそれぞれ、円弧状の平面形状を有する。台座プレート116は、その外周面が外側に位置するように、支持フレーム118に載せられ、この支持フレーム118に固定される。
図1に示されるように、左右の台座プレート116に横置きの生タイヤTが載せられる。この搬送装置2では、左右の台座プレート116によって、生タイヤTが載せられる載置面120が構成される。
【0052】
台座プレート116の載置面120は、非粘着処理されていることが好ましい。これにより、生タイヤTが台座プレート116に付着することが防止される。好ましい非粘着処理としては、表面に凹凸を形成するコーティング加工、例えば、トシコ社製「トシカルコーティング(TS-1080)」などが挙げられる。
【0053】
[搬送方法]
次に、図9-14を用いて、本発明の一実施形態に係るタイヤの搬送方法が説明される。このタイヤの搬送方法は、縦置きのタイヤを横置きにして、トロリーライン106に吊り下げられこのトロリーライン106によって目的地まで案内されるラック108を用いてタイヤを搬送する方法である。この搬送方法では、前述の姿勢変化装置4及びトロリーコンベア6が用いられる。以下に、搬送対象物を生タイヤTとしてこの搬送方法が説明されるが、この搬送方法は生タイヤTを加硫して得られるタイヤに対しても適応できる。
【0054】
図9には、検査台122にセットされた生タイヤTが示される。この生タイヤTは、縦置き状態で検査台122にセットされる。この生タイヤTは、所定の検査が終了し、次工程の加硫工程が行われる加硫機に搬送される。この生タイヤTは、搬送前の状態にある。
【0055】
この搬送方法では、姿勢変化装置4は検査台122の隣に配置される。この姿勢変化装置4は、生タイヤTがセットされる設備の隣に配置されればよく、生タイヤTがセットされるのであれば検査台122以外の設備の隣に配置されてもよい。
【0056】
この搬送方法では、保持部16は、その中心が検査台122の生タイヤTの中心軸と一致するように配置される。図9に示されるように、保持ユニット8の保持部16を縮径させて、姿勢変化装置4は待機する。待機状態では、保持部16のローラ22は待機位置に配置される。この搬送方法は、ローラ22を待機位置に配置するステップを含む。
【0057】
この搬送方法では、生タイヤTが搬送可能な状態になると、姿勢変化装置4は、図示されない前後移動手段によって生タイヤTに向かって動かされる。これにより、生タイヤTの内周面の内側にローラ22が配置される。この搬送方法は、生タイヤTの内周面の内側にローラ22を配置するステップを含む。
【0058】
この搬送方法では、図10に示されるように、姿勢変化装置4側のビード部Bの径方向内側にローラ22の側面が到達すると、保持ユニット8の原動機72が駆動される。原動機72が回転シャフト62を回転させることで、回転プレート44が回転する。シャフト28の周方向位置と径方向位置とを変えながら、ローラ22が生タイヤTの内周面に近づけられる。やがてローラ22は内周面に接触する。
【0059】
図6に示されるように、ローラ22の軌跡TLは保持部16の径方向に対して傾斜する。この軌跡TLが径方向に対してなす角度(以下、軌跡TLの傾斜角度)は、シャフト28の中心が軌跡TL上を他端TUから一端TSに向かって移動するに伴い、増加する。ローラ22は生タイヤTの内周面上を転がり、保持位置に到達する。言い換えれば、ローラ22は生タイヤTの内周面と接触後、内周面上を転がり保持位置に到達する。保持位置に到達したローラ22は生タイヤTの内周面を押し付ける。これにより、生タイヤTの内周面には一定の張力が発生し、生タイヤTが保持部16に保持される。
【0060】
この搬送方法は、ローラ22を内周面に接触させて転がし、このローラ22を保持位置に到達させる。この搬送方法は、シャフト28の周方向位置と径方向位置とを変えながら、ローラ22を内周面に接触させて転がし、ローラ22を前記保持位置に到達させるステップを含む。
【0061】
この搬送方法では、ローラ22が回転しながら保持位置に到達するので、生タイヤTの中心軸と保持部16の中心とを一致させることと、保持部16が生タイヤTを保持することとがほぼ同時に行われる。この搬送方法では、タイヤTの中心軸と保持部16の中心とを一致させることと、保持部16がタイヤTを保持することとを分けて実行する従来の搬送方法に比べて、生タイヤTの中心軸と保持部16の中心とを一致させて、生タイヤTを保持ユニット8に保持するために要する時間の短縮化が図れる。
軌跡TLの傾斜角度は径方向外側の一端TSに近いほど大きいので、保持位置が一端TSの近くに設定されることで、ローラ22は内周面と接触して保持位置に到達するまでの距離がより長い距離で設定される。この場合、生タイヤTの中心軸と保持部16の中心とを十分に一致させた状態で、生タイヤTは保持ユニット8に保持される。
【0062】
保持部16、すなわち、保持ユニット8が生タイヤTを保持すると、旋回ユニット10の原動機88が駆動される。原動機88が回転シャフト86を回転させることで、支持枠片76とともに保持ユニット8がこの回転シャフト86を中心に回転する。これにより、図11に示されるように、ローラ22で保持した生タイヤTが旋回され、生タイヤTが横置きにされる。この搬送方法は、ローラ22で保持した生タイヤTを旋回させ、この生タイヤTを横置きにするステップを含む。
【0063】
前述したように、生タイヤTの中心軸と保持部16の中心とを一致させて、生タイヤTは保持ユニット8に保持される。この搬送方法は、生タイヤTの中心を把握しながら生タイヤTの向きを縦置きから横置きに変えることができる。
【0064】
この搬送方法では、ローラ22で保持した生タイヤTを旋回させ、この生タイヤTを横置きにすると、ラック108の通過位置を考慮し、生タイヤTの高さが調整される。具体的には、昇降ユニット12のシリンダ部94のロッド102を伸ばし、図12に示されるように、生タイヤTを保持した保持ユニット8が上昇させられる。この搬送方法は、生タイヤTの高さを調整するステップを含む。
この搬送方法では、旋回後の生タイヤTの高さがラック108の通過位置にある場合は、生タイヤTの高さは調整されない。この場合、この搬送方法は、生タイヤTの高さを調整するステップを含まない。
【0065】
トロリーコンベア6のラック108は、生タイヤTの積載位置と目的地との間を行き来する。この搬送方法では、姿勢変化装置4は、生タイヤTの高さを調整すると、移動を続けるラック108が到着するまで高さを調整した状態で待機する。図13に示されるように、移動するラック108が積載位置を通過するタイミングで、保持ユニット8の原動機72を駆動し、保持部16が縮径される。これにより、ローラ22が保持位置から待機位置に移動させられ、生タイヤTが解放される。この搬送方法は、移動するラック108が生タイヤTを載せる積載位置を通過するタイミングで、ローラ22を保持位置から待機位置に移動させ、生タイヤTを解放するステップを含む。
保持ユニット8から解放された生タイヤTは、図14に示されるように、ラック108に載せられる。生タイヤTの解放と同時に、昇降ユニット12のシリンダ部94のロッド102が縮められ、保持ユニット8が下降させられる。これにより、生タイヤTのラック108への積載は完了する。ラック108に載せられた生タイヤTは、トロリーライン106に案内されて目的地である加硫機まで搬送される。
【0066】
前述したように、この搬送方法では、生タイヤTの中心軸と保持部16の中心とを一致させて、保持ユニット8に生タイヤTは保持され、生タイヤTの中心を把握して、生タイヤTは横置きにされる。この搬送方法では、ラック108に構成される生タイヤTの載置面120に生タイヤTを載せるとき、生タイヤTの中心を載置面120の中心に合わせやすい。この搬送方法は、載置面120の中心に生タイヤTの中心を合わせて、生タイヤTをラック108に載せることができる。この搬送方法では、ラック108はバランスを取りやすいので、生タイヤTが安定に搬送される。
【0067】
この搬送方法は、生タイヤTを横置きにしてこの生タイヤTを搬送できる。自重による生タイヤTの変形が防止されるので、良好な均一性を有するタイヤが得られる。この搬送方法は、高品質なタイヤの安定した生産に貢献できる。
【0068】
この搬送方法では、ローラ22は本体26とシャフト28とを備える。この本体26のうち、ビード部Bが載せられる部分が台部124と称される。この本体26は、ビード部Bを載せる台部124を備える。この台部124が前述の鍔部30を備える。
この搬送方法では、保持ユニット8が生タイヤTを保持すると、生タイヤTのビード部Bは台部124に密着する。この台部124にビード部Bが付着することが懸念される。
【0069】
この搬送方法では、保持部16から生タイヤTを解放する前に、生タイヤTの内径に応じて保持部16をわずかに縮径させてローラ22が内周面を押し付ける力が弱められる。これにより、生タイヤTは自重により下降し、ローラ22の鍔部30に載せられる。その後、保持部16を一気に縮径させることで、生タイヤTをローラ22に付着させることなく、ラック108に生タイヤTを載せることができる。この搬送方法は、高品質なタイヤの安定した生産に効果的に貢献できる。この観点から、この搬送方法は、生タイヤTを解放する前に、ローラ22が内周面を押し付ける力を弱めることが好ましい。言い換えれば、この搬送方法は、生タイヤTを解放する前に、ローラ22が内周面を押し付ける力を弱めるステップを含むのが好ましい。この場合、生タイヤTの保持の観点から、ローラ22の台部124は鍔部30を備えるのがより好ましい。
【0070】
この搬送方法では、台部124の材料はフッ素樹脂である。ビード部Bが台部124に密着してもビード部Bは台部124に付着しにくい。この搬送方法は、高品質なタイヤの安定した生産に効果的に貢献できる。この観点から、台部124の材料はフッ素樹脂であるのが好ましい。
【0071】
台部124の材料として用いることができるフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、及び、ポリフッ化ビニルが挙げられる。これらの中でも、台部124の材料として用いることができるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
【0072】
タイヤの搬送方法について、生タイヤTを例にして、説明がなされたが、この搬送方法は、生タイヤTを加硫して得られるタイヤをトロリーコンベア6で搬送する場合にも適用することができる。この場合においても、タイヤの中心軸と保持部16の中心とを一致させて、保持ユニット8にタイヤは保持される。タイヤの中心を把握して、タイヤは横置きにされるので、この搬送方法では、ラック108の載置面120にタイヤを載せるとき、タイヤの中心を載置面120の中心に合わせやすい。この搬送方法は、載置面120の中心にタイヤの中心を合わせて、タイヤをラック108に載せることができる。この搬送方法では、ラック108はバランスを取りやすいので、タイヤが安定に搬送される。この場合においても、この搬送方法は、高品質なタイヤの安定した生産に貢献できる。
【0073】
[縦置きタイヤの横置き方法]
前述の搬送方法は、待機位置と保持位置との間を往来しシャフト28を中心に回転するローラ22を待機位置に配置させる。この搬送方法は、タイヤの内周面の内側にローラ22を配置させる。この搬送方法は、シャフト28の周方向位置と径方向位置とを変えながら、ローラ22を内周面に接触させ転がし、そしてこのローラ22を保持位置に到達させる。さらにこの搬送方法は、ローラ22で保持したタイヤを旋回させ、タイヤを横置きにする。そしてこの搬送方法は、ローラ22を保持位置から待機位置に移動させ、このタイヤを解放する。これにより、縦置きのタイヤが横置きにされる。この搬送方法は、縦置きのタイヤを横置きにする方法、縦置きタイヤの横置き方法を含む。
この縦置きタイヤの横置き方法は、生タイヤT又はタイヤの中心を把握して、生タイヤT又はタイヤを横置きにすることができる。この縦置きタイヤの横置き方法は、生タイヤT又はタイヤを所定の位置に正確に横置きできる。これにより、次工程において生タイヤT又はタイヤの位置が正確にしかも容易に設定される。この縦置きタイヤの横置き方法は、高品質なタイヤの安定した生産に貢献できる。
【0074】
以上説明したように、本発明によれば、高品質なタイヤの安定した生産に貢献できる、縦置きタイヤの横置き方法及びタイヤの搬送方法並びに姿勢変化装置が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上説明された、縦置きタイヤを横置きにする技術は、種々のタイヤに適用できる。
【符号の説明】
【0076】
2・・・搬送装置
4・・・姿勢変化装置
6・・・トロリーコンベア
8・・・保持ユニット
10・・・旋回ユニット
12・・・昇降ユニット
16・・・保持部
18・・・駆動部
22・・・ローラ
24・・・リンク機構
28・・・シャフト
30・・・鍔部
40・・・アーム
48・・・回転ピン
58・・・基準ピン
60・・・ガイド溝
76・・・支持枠片
78・・・旋回部
90・・・昇降部
106・・・トロリーライン
108・・・ラック
124・・・ローラ22の台部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14