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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-21
(45)【発行日】2025-04-30
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20250422BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20250422BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250422BHJP
   G06F 1/3215 20190101ALI20250422BHJP
   G06F 1/3228 20190101ALI20250422BHJP
   G06F 1/3231 20190101ALI20250422BHJP
   G06F 1/3287 20190101ALI20250422BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20250422BHJP
【FI】
H04N1/00 885
B41J29/38 104
G03G21/00 398
G06F1/3215
G06F1/3228
G06F1/3231
G06F1/3287
G06F3/12 321
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021132408
(22)【出願日】2021-08-16
(65)【公開番号】P2023026946
(43)【公開日】2023-03-01
【審査請求日】2024-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三樹 正義
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-017139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G03G 21/00
G06F 1/32- 1/3296
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
制御プログラムを実行することにより装置の動作を制御し、
電源オフ状態へ移行する指示を受け付けた場合に、制御プログラムの再起動を実行することなく現在の動作状態を維持したまま動作を停止させる第1の電源オフ状態に移行可能か否かを判定し、
前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合、設定された時間経過後に前記第1の電源オフ状態への移行が可能か否かを判定する再判定を実行し、
前記再判定において前記第1の電源オフ状態に移行可能と判定された場合、前記第1の電源オフ状態に移行し、再判定において前記第1の電源オフ状態に移行可能ではないと判定された場合、制御プログラムの再起動を実行して初期化処理を行ってから動作を停止させる第2の電源オフ状態に移行する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記第1の電源オフ状態に移行できない理由が、時間経過に伴い解消するような理由の場合に、前記再判定を実行する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、設定された時間経過後に前記第1の電源オフ状態への移行が可能か否かを判定する再判定を複数回繰り返す請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記第1の電源オフ状態に移行できない理由の種類に応じて、前記再判定を実行するまでの時間を設定する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、ユーザにより予め設定された時間を、前記再判定を実行するまでの時間として設定する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第1の電源オフ状態に移行できない理由が、周辺機器における障害の発生である場合、前記周辺機器の再起動処理を実行後に再判定を行う請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、ユーザ操作により電源オフ状態への移行指示を受け付け前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合、前記再判定を実行することなく前記第2の電源オフ状態に移行する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、遠隔操作により電源オフ状態への移行指示を受け付け前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合、前記再判定を実行する請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、ユーザ操作により電源オフ状態への移行指示を受け付け前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合に実行する前記再判定の繰り返し回数を、遠隔操作により電源オフ状態への移行指示を受け付け前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合に実行する前記再判定の繰り返し回数よりも少なくする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項10】
ユーザが自装置の周囲に存在するか否かを検出する人感センサをさらに備え、
前記プロセッサは、ユーザ操作により電源オフ状態への移行指示を受け付けた後に、前記人感センサによりユーザの存在が検出されなくなった場合、前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合に実行する前記再判定の繰り返し回数を、前記人感センサによりユーザの存在が検出されている場合よりも多くする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項11】
制御プログラムを実行することにより装置の動作を制御するステップと、
電源オフ状態へ移行する指示を受け付けた場合に、制御プログラムの再起動を実行することなく現在の動作状態を維持したまま動作を停止させる第1の電源オフ状態に移行可能か否かを判定するステップと、
前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合、設定された時間経過後に前記第1の電源オフ状態への移行が可能か否かを判定する再判定を実行するステップと、
前記再判定において前記第1の電源オフ状態に移行可能と判定された場合、前記第1の電源オフ状態に移行し、再判定において前記第1の電源オフ状態に移行可能ではないと判定された場合、制御プログラムの再起動を実行して初期化処理を行ってから動作を停止させる第2の電源オフ状態に移行するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電源スイッチがオフされた場合に、起動手段がリブート処理を実行した上で、画像形成手段の調整処理を実行することなく画像形成装置の一部分を通電状態とした第2の電力モードに移行させるようにした画像形成装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、情報処理システムに対する電源オフ要求を受け付けた際に、情報処理システムの再起動の必要性を情報処理システムの状態から判断し、再起動の必要性がないと判断した場合、サスペンド処理を行い、再起動の必要性があると判断した場合、シャットダウン処理を行うように制御する情報処理装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、電源オフ時のシャットダウン処理においてリブートフラグをオンに設定し、再度ブート処理を行い、ブート処理においてリブートフラグがオンの場合、装置の再起動を行うための予め定められた処理のみを実行して省電力モードに移行し、省電力モードに移行後に電源スイッチがオンとされた場合に省電力モードを解除して、以降のブート処理を実行するようにした電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5885390号公報
【文献】特開2012-128705号公報
【文献】特開2012-155534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、電源オフ状態へ移行する指示を受け付けた際に、制御プログラムの再起動を実行することなく現在の動作状態を維持したまま動作を停止させる第1の電源オフ状態、又は制御プログラムの再起動を実行して初期化処理を行ってから動作を停止させる第2の電源オフ状態のいずれかに移行可能な場合に、第1の電源オフ状態に移行できない理由が存在する場合には直ちに第2の電源オフ状態に移行する場合と比較して、第1の電源オフ状態に移行できる可能性を高くすることが可能な情報処理装置およびプログラムを提供することである。
【0007】
本発明の第1態様の情報処理装置は、プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
制御プログラムを実行することにより装置の動作を制御し、
電源オフ状態へ移行する指示を受け付けた場合に、制御プログラムの再起動を実行することなく現在の動作状態を維持したまま動作を停止させる第1の電源オフ状態に移行可能か否かを判定し、
前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合、設定された時間経過後に前記第1の電源オフ状態への移行が可能か否かを判定する再判定を実行し、
前記再判定において前記第1の電源オフ状態に移行可能と判定された場合、前記第1の電源オフ状態に移行し、再判定において前記第1の電源オフ状態に移行可能ではないと判定された場合、制御プログラムの再起動を実行して初期化処理を行ってから動作を停止させる第2の電源オフ状態に移行する。
【0008】
本発明の第2態様の情報処理装置は、第1態様の情報処理装置において、前記プロセッサは、前記第1の電源オフ状態に移行できない理由が、時間経過に伴い解消するような理由の場合に、前記再判定を実行する。
【0009】
本発明の第3態様の情報処理装置は、第1態様の情報処理装置において、前記プロセッサは、設定された時間経過後に前記第1の電源オフ状態への移行が可能か否かを判定する再判定を複数回繰り返す。
【0010】
本発明の第4態様の情報処理装置は、第1態様の情報処理装置において、前記プロセッサは、前記第1の電源オフ状態に移行できない理由の種類に応じて、前記再判定を実行するまでの時間を設定する。
【0011】
本発明の第5態様の情報処理装置は、第1態様の情報処理装置において、前記プロセッサは、ユーザにより予め設定された時間を、前記再判定を実行するまでの時間として設定する。
【0012】
本発明の第6態様の情報処理装置は、第1態様の情報処理装置において、前記プロセッサは、前記第1の電源オフ状態に移行できない理由が、周辺機器における障害の発生である場合、前記周辺機器の再起動処理を実行後に再判定を行う。
【0013】
本発明の第7態様の情報処理装置は、第1態様の情報処理装置において、前記プロセッサは、ユーザ操作により電源オフ状態への移行指示を受け付け前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合、前記再判定を実行することなく前記第2の電源オフ状態に移行する。
【0014】
本発明の第8態様の情報処理装置は、第7態様の情報処理装置において、前記プロセッサは、遠隔操作により電源オフ状態への移行指示を受け付け前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合、前記再判定を実行する。
【0015】
本発明の第9態様の情報処理装置は、第3態様の情報処理装置において、前記プロセッサは、ユーザ操作により電源オフ状態への移行指示を受け付け前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合に実行する前記再判定の繰り返し回数を、遠隔操作により電源オフ状態への移行指示を受け付け前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合に実行する前記再判定の繰り返し回数よりも少なくする。
【0016】
本発明の第10態様の情報処理装置は、第3態様の情報処理装置において、ユーザが自装置の周囲に存在するか否かを検出する人感センサをさらに備え、
前記プロセッサは、ユーザ操作により電源オフ状態への移行指示を受け付けた後に、前記人感センサによりユーザの存在が検出されなくなった場合、前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合に実行する前記再判定の繰り返し回数を、前記人感センサによりユーザの存在が検出されている場合よりも多くする。
【0017】
本発明の第11態様のプログラムは、制御プログラムを実行することにより装置の動作を制御するステップと、
電源オフ状態へ移行する指示を受け付けた場合に、制御プログラムの再起動を実行することなく現在の動作状態を維持したまま動作を停止させる第1の電源オフ状態に移行可能か否かを判定するステップと、
前記第1の電源オフ状態に移行できないと判定した場合、設定された時間経過後に前記第1の電源オフ状態への移行が可能か否かを判定する再判定を実行するステップと、
前記再判定において前記第1の電源オフ状態に移行可能と判定された場合、前記第1の電源オフ状態に移行し、再判定において前記第1の電源オフ状態に移行可能ではないと判定された場合、制御プログラムの再起動を実行して初期化処理を行ってから動作を停止させる第2の電源オフ状態に移行するステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1態様の情報処理装置によれば、電源オフ状態へ移行する指示を受け付けた際に、制御プログラムの再起動を実行することなく現在の動作状態を維持したまま動作を停止させる第1の電源オフ状態、又は制御プログラムの再起動を実行して初期化処理を行ってから動作を停止させる第2の電源オフ状態のいずれかに移行可能な場合に、第1の電源オフ状態に移行できない理由が存在する場合には直ちに第2の電源オフ状態に移行する場合と比較して、第1の電源オフ状態に移行できる可能性を高くすることができる。
【0019】
本発明の第2態様の情報処理装置によれば、時間が経過しても解消しない理由によって第1の電源オフ状態に移行できない場合にまで再判定を行ってしまうことを防ぐことができる。
【0020】
本発明の第3態様の情報処理装置によれば、再判定を1回のみ行う場合と比較して、第1の電源オフ状態に移行できる可能性を高くすることができる。
【0021】
本発明の第4態様の情報処理装置によれば、第1の電源オフ状態に移行できない理由の種類関わらず一定の時間経過後に再判定を行う場合と比較して、不要な再判定を減らすことができる。
【0022】
本発明の第5態様の情報処理装置によれば、再判定を実行するまでの時間をユーザが設定することができる。
【0023】
本発明の第6態様の情報処理装置によれば、第1の電源オフ状態に移行できない原因が時間経過に伴って解消しない場合でも、第1の電源オフ状態に移行することが可能となる。
【0024】
本発明の第7態様の情報処理装置によれば、ユーザが自装置の操作を直接行っている場合には、最短時間で第2の電源オフ状態に移行することが可能となる。
【0025】
本発明の第8態様の情報処理装置によれば、ユーザに対する操作性を悪化させることなく、第1の電源オフ状態に移行する可能性を高くすることが可能となる。
【0026】
本発明の第9態様の情報処理装置によれば、ユーザが自装置の近くに存在しない場合には、自装置の近くに存在する場合と比較して、第1の電源オフ状態に移行する可能性を高くすることが可能となる。
【0027】
本発明の第10態様の情報処理装置によれば、ユーザが電源オフ状態への移行を指示した後に自装置から離れた場合には、自装置から離れていない場合と比較して、第1の電源オフ状態に移行する可能性を高くすることが可能となる。
【0028】
本発明の第11態様のプログラムによれば、電源オフ状態へ移行する指示を受け付けた際に、制御プログラムの再起動を実行することなく現在の動作状態を維持したまま動作を停止させる第1の電源オフ状態、又は制御プログラムの再起動を実行して初期化処理を行ってから動作を停止させる第2の電源オフ状態のいずれかに移行可能な場合に、第1の電源オフ状態に移行できない理由が存在する場合には直ちに第2の電源オフ状態に移行する場合と比較して、第1の電源オフ状態に移行できる可能性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態における画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態における画像形成装置10の電源オフ状態の種類を説明するための図である。
図4】高速起動可能モードの電源オフ状態の有効/無効を設定する際の操作パネルの表示画面例を示す図である。
図5】CPU25が電源オフ状態への移行が指示された際の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
図6図5のフローチャートのステップS102において示した、CPU25が高速起動可能モードの電源オフ状態へ遷移する際の遷移処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
図7図5のフローチャートのステップS103において示した、CPU25が副電源オフモードの電源オフ状態へ遷移する際の遷移処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
図8】高速起動モードの電源オフ状態に遷移可能か否かの再判定の実行を設定する際の操作パネルの表示画面例を示す図である。
図9】電源オフ状態への移行が指示された際に、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移することができない場合に、設定時間経過後に再判定を実行する際の動作を説明するためのフローチャートである。
図10】電源オフ状態への移行が指示された際に、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移することができない場合に、初期化処理を行ってから再判定を実行する際の動作を説明するためのフローチャートである。
図11】再判定処理管理テーブルの一例を示す図である。
図12】再判定パラメータ修正テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明の一実施形態の画像形成システムの構成を示す図である。
【0032】
本発明の一実施形態の画像形成システムは、図1に示されるように、ネットワーク30により相互に接続された画像形成装置10、および端末装置20により構成される。端末装置20は、印刷データを生成して、ネットワーク30経由にて生成した印刷データを画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、端末装置20から送信された印刷データを受け付けて、印刷データに応じた画像を用紙上に出力する。なお、画像形成装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。
【0033】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10のハードウェア構成を図2に示す。
【0034】
画像形成装置10は、図2に示されるように、装置全体の動作を制御しているコントローラ11と、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置12と、画像読取部13と、電源スイッチ14と、画像形成部15を有する。これらの構成要素は、制御バス16を介して互いに接続されている。
【0035】
また、コントローラ11は、ブートROM21と、HDD(Hard Dick Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成される不揮発性記憶装置22と、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであるNV-RAM23と、揮発性メモリであるRAM24と、CPU25と、イーサネット(登録商標)等の有線通信回線を介して外部装置との間でデータ送受信を行う有線通信IF26と、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信回線を介して外部装置との間でデータ送受信を行う無線通信IF27と、タイマ28から構成されている。
【0036】
CPU25は、起動時にはブートROM21に記憶されているブートプログラムをRAM24に展開して起動処理を実行し、NV-RAM243又は不揮発性記憶装置22に格納されている制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御するプロセッサである。つまり、CPU25は、所定の制御プログラムを実行することにより画像形成装置10の動作を制御している。
【0037】
UI装置12は、例えば、タッチパネルにより構成された操作パネルであり、ユーザに各種情報を表示するとともにユーザからの操作を入力する。画像読取部13は、コントローラ11による制御に基づいて、セットされた原稿から原稿画像を読み取る。画像形成部15は、コントローラ11による制御に基づいて、印刷用紙等の記録媒体上に画像を出力する。
【0038】
また、電源スイッチ14は、通常動作状態の画像形成装置10を電源オフ状態にしたり、電源オフ状態の画像形成装置10を通常動作状態としたりするために設けられている。
【0039】
なお、UI装置12により操作パネル内にも電源スイッチが設けられており、ユーザがこの操作パネル内の電源スイッチを操作することにより、画像形成装置10の動作状態は通常動作状態と電源オフ状態との間で切り替わる。
【0040】
次に、本実施形態における画像形成装置10の電源オフ状態の種類について図3を参照して説明する。
【0041】
本実施形態における画像形成装置10では、電源オフ状態として、完全電源オフモード、副電源オフモード、高速起動可能モードの3つの状態が存在する。
【0042】
[完全電源オフモード]
ここで、完全電源オフモードの電源オフ状態とは、コントローラ11、UI装置12、画像読取部13、画像形成部15等の全てのハードウェアの電源がオフの状態である。この完全電源オフモードの電源オフ状態から通常動作状態に復帰する際には、全てのハードウェアに対する電源がオンされ、CPU25も初期状態から起動されることになる。そのため、この完全電源オフモードの電源オフ状態から通常状態に復帰するまでには、他の2つの状態と比較して、最も起動時間が長くなる。
【0043】
[副電源オフモード]
次に、副電源オフモードの電源オフ状態について説明する。通常動作状態において電源オフの指示を受け付け、副電源オフモードの電源オフ状態に移行する場合、CPU25のシャットダウン処理を行った後に、ハードウェアリセットを行うことによりCPU25を再起動させる。そして、CPU25が所定の起動処理を行って起動すると、OS(Operating System)の一部のみを起動して、揮発性メモリであるRAM24の電源のみをオン状態にして、CPU25をサスペンド状態に移行させる。このサスペンド状態となることによりCPU25は、制御プログラムを実行中であっても、実行途中の箇所で動作停止して省エネ状態となる。つまり、副電源オフモードの電源オフ状態では、CPU25は、起動後に動作停止した状態で保持されることになる。そのため、通常動作状態の復帰の際にCPU25を再起動させる場合と比較して、復帰時間が短縮されることになる。
【0044】
なお、この副電源オフモードの電源オフ状態では、CPU25をサスペンド状態とした後に再度通常の動作状態に復帰させた場合、制御プログラムはサスペンド状態となる前の箇所から実行されるため、完全電源オフモードの電源オフ状態からCPU25を起動させた場合と比較して起動時間は短くなる。
【0045】
ただし、通常動作状態からこの副電源オフモードの電源オフ状態に移行する際には、CPU25のシャットダウン処理が行われるため、制御プログラムは冒頭から再実行される初期化されることになる。
【0046】
このように副電源オフモードの電源オフ状態とは、制御プログラムの再起動を実行して初期化処理を行ってから動作を停止させる電源オフ状態である。
【0047】
[高速起動可能モード]
次に、高速起動可能モードの電源オフ状態について説明する。通常動作状態において電源オフの指示を受け付け、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行する場合、CPU25のシャットダウン処理を行わずに、揮発性メモリであるRAM24以外の電源をオフ状態にして、CPU25をサスペンド状態に移行させる。つまり、高速起動可能モードの電源オフ状態とは、制御プログラムの再起動を実行することなく現在の動作状態を維持したまま動作を停止させる電源オフ状態である。
【0048】
このように電源オフ状態として3つの状態が存在するが、電源スイッチが操作されて電源オフ状態から電源オン状態に移行する際には、高速起動可能モードの電源オフ状態からの起動が最も起動時間が短くなり、完全電源オフモードの電源オフ状態からの起動が最も起動時間が長くなる。
【0049】
なお、ハードウェアにより構成されている電源スイッチ14の操作により電源オフ状態への移行が指示された場合には、動作状態は、通常動作状態から完全電源オフモードの電源オフ状態に移行する。そして、UI装置12による実現される操作パネル内に設けられたソフトウェア構成の電源スイッチが操作されて電源オフ状態への移行が指示された場合には、動作状態は、通常動作状態から副電源オフモードの電源オフ状態又は高速起動可能モードの電源オフ状態に移行する。
【0050】
ここで、ハードウェアにより構成されている電源スイッチ14が操作された場合に完全電源オフモードの電源オフ状態に移行するようにしているのは、ハードウェアの電源スイッチ14をユーザが操作したということは、ユーザが画像形成装置10を電源オフ状態にすぐに移行させたいという強い意図があると考えられるからである。
【0051】
そして、完全電源オフモードの電源オフ状態は、起動して通常動作状態に移行するまでに時間がかかるため、より頻繁に使用される操作パネル内のソフトウェア構成の電源スイッチが操作された場合、副電源オフモードの電源オフ状態または高速起動可能モードの電源オフ状態に移行する。そのため、以降の説明については完全電源オフモードの電源オフ状態については省略して説明する。
【0052】
なお、高速起動可能モードの電源オフ状態への移行を有効にするのか無効にするのかをユーザの選択に基づいて切り替えるようにしてもよい。例えば、図4に示すような表示画面を操作パネル上に表示させて、ユーザが高速起動を有効にする設定を選択した場合にのみ、高速起動可能モードの電源オフ状態へ移行するようにしてもよい。
【0053】
そして、上述したように、電源オフ状態への移行が指示された場合、通常動作状態から高速起動可能モードの電源オフ状態に移行して、電源オン状態への移行が指示された場合、高速起動可能モードの電源オフ状態から通常動作状態に復帰するようにすれば、通常動作状態に復帰するまでの起動時間が最も短くなる。
【0054】
しかし、装置状態によっては、電源オフ状態へ移行する指示を受け付けた際に常に高速起動可能モードの電源オフ状態に移行したのでは問題が発生する場合がある。
【0055】
例えば、操作パネル内の電源スイッチを操作して電源オフ状態への移行が指示された際に、ネットワークからパケットデータを受信している、印刷ジョブを実行中である、用紙つまり等のエラーが発生している、画像形成部15におけるウォームアップ中やセットアップ中である、暗号化処理や不具合箇所の診断処理等の特定の処理を実行中である等の場合には、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行することはできない。
【0056】
高速起動可能モードの電源オフ状態に移行する場合には、CPU25は、制御プログラムの再起動を実行することなくサスペンド状態に移行し、電源オン状態になると前の状態を継続したまま処理を再開するが、周囲のハードウェア装置では一旦電源が遮断された後に再度電源が投入されて再起動が行われるため正常な処理が実行されなくなってしまうからである。
【0057】
例えば、印刷処理の実行中にユーザが操作パネル内の電源スイッチを操作して電源オフ状態への移行が指示された場合、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行した後に通常動作状態に復帰すると、画像形成部15等のハードウェアには電源が再投入されて再起動中であるにもかかわらず、CPU25はすぐに動作を再開してしまい、印刷処理がエラーとなってしまう場合がある。
【0058】
さらに、画像形成装置10における装置構成によっては、そもそも高速起動可能モードの電源オフ状態に移行することができない場合がある。
【0059】
例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信回線が有効になっている場合や、USBケーブルを介してPC(Personal Computer)と接続されている場合、ユーザが高速起動可能モードの電源オフ状態への移行を無効に設定しているような場合、用紙詰まりや開閉扉が開状態のためエラーが発生しているような状態の場合には、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行することができない。
【0060】
ただし、副電源オフモードの電源オフ状態に移行する際には、CPU25はシャットダウン処理を行って制御プログラムを再起動するため、全ての状態が初期化される。そのため、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行することができない状態であっても、実行中の処理を停止後に副電源オフモードの電源オフ状態に移行した後に再度電源スイッチが操作されて通常動作状態に復帰したとしても問題は発生しない。
【0061】
そのため、電源スイッチが操作されて電源オフ状態への移行が指示された場合、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行することが可能な条件が満たされているか否かを判定して、条件が満たされている場合にのみ高速起動可能モードの電源オフ状態に移行する。
【0062】
このように、電源オフ状態への移行がユーザにより指示された場合、装置の動作状態によっては、副電源オフモードの電源オフ状態に移行することにより、制御プログラムを再起動した状態で電源オフ状態に移行しなければならない場合がある。
【0063】
つまり、CPU25では、電源オフ状態へ移行する指示を受け付けた際に、装置状態に基づいて、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行可能か否かを判定して、高速起動可能モードの電源オフ状態と、副電源オフモードの電源オフ状態のいずれかに移行するような制御が行われる。
【0064】
このような制御に基づいて、電源オフ状態への移行が指示された場合に、CPU25において行われる判定処理の概略について図5のフローチャートを参照して説明する。
【0065】
CPU25では、電源オフ状態へ移行する指示を受けた場合、ステップS101において、現在の装置状態が上述したような高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できない状態であるか否かを判定することにより、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移することが可能か否かを判定する。
【0066】
そして、ステップS101において、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能であると判定した場合には、CPU25は、ステップS102において、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移処理を実行して、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行する。
【0067】
また、ステップS101において、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能ではないと判定した場合には、CPU25は、ステップS103において、副電源オフモードの電源オフ状態への遷移処理を実行して、副電源オフモードの電源オフ状態に遷移する。
【0068】
次に、図5のフローチャートのステップS102において示した、CPU25が高速起動可能モードの電源オフ状態へ遷移する際の遷移処理の詳細について図6のフローチャートを参照して説明する。
【0069】
高速起動可能モードの電源オフ状態へ遷移する際には、コントローラ11では、ステップS201において、RAM24以外の電源がオフ状態となり、CPU25は、ステップS202において、サスペンド状態に遷移して、画像形成装置10は、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行する。
【0070】
次に、図5のフローチャートのステップS103において示した、CPU25が副電源オフモードの電源オフ状態へ遷移する際の遷移処理の詳細について図7のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
まず、副電源オフモードの電源オフ状態に移行する際に、CPU25は、ステップS301において、シャットダウン処理を行うとともに、コントローラ11では、ハードウェアリセットが行われる。
【0072】
そして、ステップS302においては、ブートローダが起動してCPU25は再起動され、OSの一部のみが起動される。
【0073】
その後、コントローラ11では、ステップS303において、RAM24の電源のみがオン状態となり、CPU25は、ステップS304において、サスペンド状態に遷移して、画像形成装置10は、副電源オフモードの電源オフ状態に移行する。
【0074】
このように、高速起動の設定が有効になっている場合には、ユーザにより電源スイッチが操作されて電源オフ状態への移行が指示された場合、特定の条件が満たされていれば、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行し、特定の条件が満たされていなければ、副電源オフモードの電源オフ状態に移行するような制御が行われる。
【0075】
そして、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行可能かどうかを判定する特定の条件には、装置の構成自体による構成条件と、装置のその時の状態による動的条件とが存在する。
【0076】
ここで、構成条件とは、上述したように、例えば、無線通信回線が有効になっていないこと等の条件であり、装置構成自体が変更されない限り変化しない条件である。そして、動的条件とは、例えば、用紙トレイがリフトアップ中でないこと、ネットワーク経由でパケットデータを受信中でないこと、印刷ジョブ等の各種ジョブの実行中でないこと、エラーが発生していないこと、画像出力部においてウォームアップ中やセットアップ中でないこと等の短時間で変化する条件である。
【0077】
そして、電源オフ状態への移行が指示された際に、上記の動的条件が満たされていないとの理由によって高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できない場合でも、少し時間が経過すれば動的条件が満たされるようになる場合もある。
【0078】
そのため、本実施形態におけるCPU25は、電源オフ状態へ移行する指示を受け付けた場合に、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行可能か否かを判定し、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できないと判定した場合でも、設定された時間経過後に高速起動可能モードの電源オフ状態への移行が可能か否かを判定する再判定を実行する。そして、CPU25は、この再判定において高速起動可能モードの電源オフ状態に移行可能と判定された場合、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行し、再判定において高速起動可能モードの電源オフ状態に移行可能ではないと判定された場合、副電源オフモードの電源オフ状態に移行する。
【0079】
なお、CPU25が、設定時間の経過を待ってから、高速起動可能モードの電源オフ状態への移行が可能か否かを再判定する処理を行っている間は、UI装置12の照明も消灯状態となり、画像読取部13、画像形成部15等の周辺機器の電源もオフ状態となる。そのため、ユーザにとっては、画像形成装置10が既に電源オフ状態となっているかのように見える。
【0080】
また、CPU25は、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できない理由が、時間経過に伴い解消するような理由の場合に、再判定を実行するようにしてもよい。例えば、電源オフ状態へ移行する指示を受け付けた際に、偶然ネットワーク経由でパケットデータを受信中であったような場合、数秒経過すればパケットデータの受信が完了して、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行可能な状態になる可能性もある。そのため、例えば、数秒経過後に高速起動可能モードの電源オフ状態に移行可能か否かを再度判定すれば、移行可能であるとの判定結果になる可能性がある。
【0081】
さらに、CPU25は、設定された時間経過後に高速起動可能モードの電源オフ状態への移行が可能か否かを判定する再判定を複数回繰り返すようにしてもよい。
【0082】
さらに、CPU25は、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できない理由の種類に応じて、再判定を実行するまでの時間を設定するようにしてもよい。例えば、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できない理由が、上述したような、偶然ネットワーク経由でパケットデータを受信中であることであるような場合、印刷ジョブを実行中である場合よりも、再判定を実行するまでの時間を短く設定する。
【0083】
また、CPU25は、ユーザにより予め設定された時間を、再判定を実行するまでの時間として設定するようにしてもよい。
【0084】
さらに、CPU25は、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できない理由が、周辺機器における障害の発生である場合、周辺機器の再起動処理を実行後に再判定を行うようにしてもよい。例えば、画像読取部13に何らかのエラーが発生していることにより高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できない場合、画像読取部13の電源を一旦オフ状態にして再度電源投入して再起動すればエラーが解消するような場合もある。そのため、周辺機器の再起動処理を実行後に再判定を行うようにすれば、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できるような状態となる可能性がある。
【0085】
なお、CPU25は、UI装置12においてユーザの直接操作により電源オフ状態への移行指示を受け付け高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できないと判定した場合、再判定を実行することなく副電源オフモードの電源オフ状態に移行するようにしてもよい。そして、CPU25は、遠隔操作により電源オフ状態への移行指示を受け付け高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できないと判定した場合には、再判定を実行するようにしてもよい。
【0086】
ユーザが画像形成装置10の前にいて操作パネル等のUI装置12を直接操作して電源オフ状態への移行を指示した場合、ユーザにとっては直ぐに電源オフ状態に移行して欲しい場合がある。例えば、画像形成装置10のコンセントプラグを外して別の場所に移動する作業を行う場合、ユーザにとっては、電源スイッチを操作した場合には直ぐに電源オフ状態に移行して欲しい。
【0087】
つまり、ユーザが画像形成装置10の前や周囲に存在する場合には、できるだけ再判定を行うことなく電源オフ状態に短時間で移行することが望ましい。
【0088】
そのため、CPU25は、ユーザ操作により電源オフ状態への移行指示を受け付け高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できないと判定した場合に実行する再判定の繰り返し回数を、遠隔操作により電源オフ状態への移行指示を受け付け前記高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できないと判定した場合に実行する再判定の繰り返し回数よりも少なくするようにしてもよい。
【0089】
例えば、操作パネル等のUI装置12を直接操作して電源オフ状態への移行を指示した場合には、再判定の回数を1回のみとし、ユーザが遠隔操作により電源オフ状態への移行を指示した場合には、再判定の回数を複数回とするようにしてもよい。
【0090】
また、画像形成装置10には、ユーザが自装置の周囲に存在するか否かを検出する人感センサを備えている場合がある。このような場合には、CPU25は、ユーザ操作により電源オフ状態への移行指示を受け付けた後に、人感センサによりユーザの存在が検出されなくなった場合、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行できないと判定した場合に実行する再判定の繰り返し回数を、人感センサによりユーザの存在が検出されている場合よりも多くするようにしてもよい。
【0091】
つまり、ユーザが操作パネル等のUI装置12を直接操作して電源オフ状態への移行を指示した場合でも、人感センサによりユーザの存在が検出されなくなった、つまり、ユーザが画像形成装置10から離れたことが検出された場合には、直ぐに電源オフ状態に移行する必要性が低くなり、再判定を実施する時間を長くしても問題が発生する可能性が低くなると考えられるからである。
【0092】
次に、本実施形態の画像形成装置10における動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0093】
まずは、再判定の回数や、再判定までに待機する設定時間をユーザが直接設定する場合について説明する。
【0094】
例えば、ユーザは、図8に示すような表示画面から再判定を実行する回数や、再判定を実行するまで待機する時間を設定する。図8に示した操作パネルの表示画面例では、5分毎に3回の再判定を実行するような設定をユーザが行った場合が示されている。
【0095】
次に、電源オフ状態への移行が指示された際に、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移することができない場合に、設定時間経過後に再判定を実行する際の動作について図9のフローチャートを参照して説明する。
【0096】
なお、図9のフローチャートにおけるステップS102、S103の処理は、図5のフローチャートにおいて示したものと同じ処理であるため、その説明は省略する。また、以降においては、電源オフ状態に移行することを電源オフ状態に遷移すると表現する場合があるが表現上の違いだけであり実質的な意味は同じである。
【0097】
まず、ユーザが電源スイッチを操作したことにより電源オフ状態への移行が指示された場合、CPU25は、ステップS401において、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移可能であるか否かを、構成条件に基づいて判定する。
【0098】
そして、ステップS401において、いずれかの構成条件が満たされておらず、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能ではない判定した場合には、CPU25は、ステップS103において、副電源オフモードの電源オフ状態への遷移処理を実行して、副電源オフモードの電源オフ状態に遷移する。
【0099】
このように無線通信回線が有効になっていない等の構成条件が満たされていない場合には、設定時間経過後に再判定を行っても条件が変化している可能性が低いため、構成条件が満たされていない場合には再判定を行うことなく副電源オフモードの電源オフ状態に遷移するようにしている。
【0100】
そして、ステップS401において、全ての構成条件が満たされており、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能であると判定した場合には、CPU25は、ステップS402において、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移可能であるか否かを、動的条件に基づいて判定する。
【0101】
そして、ステップS402において、全ての動的条件が満たされており、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能であると判定した場合には、CPU25は、ステップS102において、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移処理を実行して、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行する。
【0102】
そして、ステップS402において、いずれかの動的条件が満たされておらず、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能ではない判定した場合には、CPU25は、ステップS403において、満たされていない動的条件が時間経過により解消する可能性があるか否か、つまり時間経過により高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移可能になる可能性があるか否かを判定する。
【0103】
例えば、用紙トレイが画像形成装置10から一旦外されて再度用紙トレイが装着された場合、用紙をフィードできる位置まで用紙トレイを移動するリフトアップが行われる。高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能か否かの判定の際に、この用紙トレイのリフトアップ中であった場合には、時間経過により高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移可能になる可能性があると判定される。
【0104】
また、時間経過により高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移可能になる可能性があると判定される動的条件としては、画像形成部15等の画像出力部において画質調整を行うセットアップ中であるか否かという条件や、画像形成部15における定着装置においてウォームアップ中であるか否かという条件等がある。なお、画像形成装置10では、画像形成部15において定期的に画質の調整を自動で行うことにより画質の品質を維持するセットアップが行われている。また、画像形成装置10では、画像形成部15において定着装置の温度を一定に保つために定期的に定着装置のウォームアップを行ったり、結露防止のために定期的に定着装置を温めている場合もある。
【0105】
そして、ステップS403において、時間経過により高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移可能になる可能性がないと判定された場合、CPU25は、ステップS103において、副電源オフモードの電源オフ状態への遷移処理を実行して、副電源オフモードの電源オフ状態に遷移する。
【0106】
そして、ステップS403において、時間経過により高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移可能になる可能性があると判定された場合、CPU25は、ステップS404において、再判定を指定された繰り返し回数実行したか否かを判定され、まだ再判定を指定された繰り返し回数実行していない場合には、ステップS405において、設定された時間待機する。例えば、図8に示した操作画面例のように設定時間として5分が指定された場合には、CPU25は、5分間待機する。
【0107】
そして、CPU25は、指定された時間待機後に、ステップS402において、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移可能であるか否かを、動的条件に基づいて再度判定する。
【0108】
そして、ステップS402において、全ての動的条件が満たされており、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能であると判定した場合には、CPU25は、ステップS102において、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移処理を実行して、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行する。
【0109】
このようにして、スイッチ25は、設定された繰り返し回数だけステップS402~S405の処理を繰り返し、ステップS404において、実行した再判定の回数が設定された繰り返し回数に達した場合、CPU25は、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移を諦めて、ステップS103において、副電源オフモードの電源オフ状態への遷移処理を実行して、副電源オフモードの電源オフ状態に遷移する。
【0110】
次に、電源オフ状態への移行が指示された際に、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移することができない場合に、初期化処理を行ってから再判定を実行する際の動作について図10のフローチャートを参照して説明する。
【0111】
例えば、画像形成装置10においてシステムエラーや通信エラー等が発生している場合には、設定時間待機したとしてもこのようなエラーが解消する可能性が低い。そのため、CPU25は、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移することができない理由がシステムエラーや通信エラー等が発生しているという動的条件に基づく場合には、設定時間経過後に再判定するのではなく、初期化処理を行ってこのようなエラーの解消を試みて、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移することが可能になったか否かの再判定を行う。
【0112】
なお、図10のフローチャートにおいてもステップS102、S103の処理は、図5のフローチャートにおいて示したものと同じ処理であるため、その説明は省略する。
【0113】
まず、ユーザが電源スイッチを操作したことにより電源オフ状態への移行が指示された場合、CPU25は、ステップS501において、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移可能であるか否かを、構成条件に基づいて判定する。
【0114】
そして、ステップS501において、いずれかの構成条件が満たされておらず、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能ではない判定した場合には、CPU25は、ステップS502において、Nに0を設定して再判定回数を0とする。
【0115】
そして、CPU25は、ステップS503において、シャットダウン処理を行うとともに、コントローラ11では、ハードウェアリセットが行われる。
【0116】
そして、ステップS504においては、ブートローダが起動してCPU25は再起動される。さらに、CPU25は、ステップS505において、Nが0であるか否かを判定する。ここでは、Nは0に設定されているため、CPU25は、ステップS506において、OSの一部のみを起動する。
【0117】
その後、コントローラ11では、ステップS507において、RAM24の電源のみがオン状態となり、CPU25は、ステップS508において、サスペンド状態に遷移して、画像形成装置10は、副電源オフモードの電源オフ状態に移行する。
【0118】
そして、ステップS501において、全ての構成条件が満たされており、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能であると判定した場合には、CPU25は、ステップS509において、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移可能であるか否かを、動的条件に基づいて判定する。
【0119】
そして、ステップS509において、全ての動的条件が満たされており、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能であると判定した場合には、CPU25は、ステップS102において、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移処理を実行して、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行する。
【0120】
そして、ステップS509において、いずれかの動的条件が満たされておらず、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能ではない判定した場合には、CPU25は、ステップS510において、再判定回数をNに設定する。なお、初期化処理を行って再判定を実行する場合には、複数回繰り返しても判定結果は同じになる可能性が高いため、ここでは再判定回数として1回を設定する場合について説明する。
【0121】
そして、CPU25は、ステップS503において、シャットダウン処理を行うとともに、コントローラ11では、ハードウェアリセットが行われる。
【0122】
そして、ステップS504においては、ブートローダが起動してCPU25は再起動される。さらに、CPU25は、ステップS505において、Nが0であるか否かを判定する。ここでは、Nは1に設定されているため、CPU25は、ステップS511において、Nから1を減算する。その結果Nの値は0になる。
【0123】
そして、CPU25は、ステップS512において、OSを起動し、ステップS513において、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移可能であるか否かを、動的条件に基づいて再度判定する。なお、ステップS503、S504においてCPU25の初期化処理と画像形成装置10のハードウェアリセットが行われているため、高速起動可能モードへの電源オフ状態に遷移できない理由がシステムエラーの発生等である場合、この理由が解消されている可能性がある。
【0124】
その結果、ステップS513において、全ての動的条件が満たされており、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能であると判定した場合には、CPU25は、ステップS102において、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移処理を実行して、高速起動可能モードの電源オフ状態に移行する。
【0125】
そして、ステップS513において、いずれかの動的条件が満たされておらず、再判定においても高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能ではない判定した場合には、CPU25は、ステップS503の処理に戻ってシャットダウン処理及びハードウェアリセットを実行するが、ステップS505の判定処理においてNの値が0になっているため、以降においては、ステップS506~S508の処理が実行されて、副電源オフモードの電源オフ状態に移行する。
【0126】
なお、上記で説明した再判定の実行方法では、再判定を行うまで待機する設定時間や再判定の繰り返し回数がユーザにより予め設定されているものとして説明した。
【0127】
しかし、再判定を行うまで待機する設定時間つまり待機時間や再判定の繰り返し回数は、高速起動可能モードの電源オフ状態に遷移できない理由の種類に応じて設定するようにしてもよい。
【0128】
例えば、図11に示す再判定処理管理テーブルや図12に示す再判定パラメータ修正テーブルを不揮発性記憶装置22に格納しておき、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能ではないと判定した際に、遷移できない理由の種類に応じて再判定までの待機時間や再判定の繰り返し回数を決定すればよい。
【0129】
例えば、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能ではないと判定した際に、遷移できない理由が用紙トレイのリフトアップ中である場合には、再判定までの待機時間を10秒として、再判定の繰り返し回数を4回と設定する。
【0130】
また、その際に電源オフの指示が行われた方法に基づいて、図12に示した再判定パラメータ修正テーブルにより再判定までの待機時間や、再判定の繰り返し回数を修正してもよい。例えば、再判定の実行が「有効」に設定された状態で、操作パネルによる電源オフの指示が行われた場合には、テーブル値を半分にする。具体的には、遷移できない理由が用紙トレイのリフトアップ中である場合には、図11のテーブルに基づけば、再判定までの待機時間を10秒として、再判定の繰り返し回数を4回であるが、この値を半分にして再判定までの待機時間を5秒として、再判定の繰り返し回数を2回に修正する。
【0131】
なお、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能ではないと判定した理由がネットワークからのパケットデータの受信の場合には、受信するパケットデータのデータ量が多くないことが多く、パケットデータの受信を完了して、受信後に応答すれば処理が完了する。そのため、このような場合には、数秒の待機期間後に再判定を行うことにより、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能になる可能性が高い。
【0132】
また、タイマ割り込みで処理が行われている場合、処理の内容によってすぐに終了するものであれば、しばらく待ってから再判定を行うように制御することが好ましい。例えば、定期的に内容の状態を記憶しているだけのようなタイマ割り込みであれば、すぐに終了するため、一定時間待機した後に再判定を行うようにすればよい。タイマ割り込みで処理が行われるものとしては、他には、空いた時間でメモリリークの診断をする機能、空いた時間でHDDの不要なデータの上書き消去を行う機能、定期的に画像形成装置10の情報を外部のサーバに通知する機能等がある。
【0133】
ただし、タイマ割り込みで実行される処理であっても、時刻指定印刷や時刻指定FAXのようなジョブだと、処理が終了するまでにどれだけの時間がかかるのか分からないので、電源オフ状態への遷移が指示された場合、再判定を行うことなく直ちに副電源オフモードの電源オフ状態に遷移することが望ましい。
【0134】
なお、一般的に印刷ジョブの実行中や印刷ジョブの受信中に電源オフ状態への遷移を指示された場合には、印刷ジョブの実行や受信を中止して、直ちに副電源オフモードの電源オフ状態に遷移することが望ましい。これは、印刷ジョブの実行や受信の終了を待っていたのではどれだけ時間がかかるのか分からないため、電源オフ状態への移行を指示したユーザを長時間待たせてしまう可能性があるからである。
【0135】
ただし、リモート電源オフのように遠隔操作による電源オフ状態への移行指示や、時刻指定の電源オフの場合には、ユーザが装置の前にいるわけではないため、多少の待機時間後に再判定を行って、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移を行った方が良い場合もある。さらに、電源オフ状態の移行指示の際にFAX受信中のため高速起動可能モードの電源オフ状態へ遷移できない場合には、ユーザが装置の前にいるわけではなく外部からの着信に基づくジョブであるため、一定時間待機してから再判定を行って高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移を行うようにしてもよい。
【0136】
また、図11に示した再判定処理管理テーブルにより、高速起動可能モードの電源オフ状態への遷移が可能ではないと判定した理由の種類毎に、再判定を実行するか否か、設定時間後に再判定を行うのか、リブートして初期化処理後に再判定を行うのか等を設定することができる。
【0137】
さらに、図11図12のテーブルの遷移できない場合の対応の欄の属性値をユーザにより変更可能に設定すれば、遷移できない理由や電源オフの方法毎に、再判定を行うのか否かを画像形成装置10の利用形態に応じて切り替えることが可能である。例えば、画像形成装置10に対してリモート電源オフの処理を行った後に、電源ブレーカを落として画像形成装置10への電源供給を遮断するような運用を行っているユーザにとっては、リモート電源オフ後に再判定を実行する必要はない。そのため、このようなユーザは、リモート電源オフの場合の「遷移できない場合の対応」の属性値を「再判定を実行しない」と設定すればよいことになる。
【0138】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0139】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0140】
[変形例]
上記実施形態では、画像形成装置10において通常動作状態から電源オフ状態に移行する場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の携帯端末装置等の他の情報処理装置において通常動作状態から電源オフ状態に移行するような場合でも本発明を同様に適用することができるものである。
【0141】
また、上記実施形態では、ハードウェア構成の電源スイッチ14が操作された場合には、完全電源オフモードの電源オフ状態に移行し、操作パネル内のソフトウェア構成の電源スイッチが操作された場合には、副電源オフモードの電源オフ状態又は高速起動可能モードの電源オフ状態のいずれかに移行するものとして説明したが、本発明はこのような場合に限定されるものではない。
【0142】
本発明は、複数の電源スイッチが存在する場合に、特定の電源スイッチが操作された場合には、副電源オフモードの電源オフ状態又は高速起動可能モードの電源オフ状態のいずれかに移行するかを判断し、その特定の電源スイッチ以外の電源スイッチが操作された場合には、そのような判断をせずに特定の電源オフ状態に遷移するような制御を行うようにする場合でも適用可能である。
【符号の説明】
【0143】
10 画像形成装置
11 コントローラ
12 ユーザインタフェース(UI)装置
13 画像読取部
14 電源スイッチ
15 画像形成部
16 制御バス
20 端末装置
21 ブートROM
22 不揮発性記憶装置
23 NV-RAM
24 RAM
25 CPU
26 有線通信IF
27 無線通信IF
28 タイマ
30 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12