(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-21
(45)【発行日】2025-04-30
(54)【発明の名称】センサアレイ
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20250422BHJP
G01L 1/18 20060101ALI20250422BHJP
H10D 86/40 20250101ALI20250422BHJP
【FI】
G01L5/00 101Z
G01L1/18 Z
H10D86/40 101Z
(21)【出願番号】P 2022511141
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(86)【国際出願番号】 JP2021014220
(87)【国際公開番号】W WO2021201247
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】P 2020067750
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020186570
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 守
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-220316(JP,A)
【文献】特開平02-059633(JP,A)
【文献】国際公開第2015/111633(WO,A1)
【文献】特表平10-508943(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0042887(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0170525(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0020296(US,A1)
【文献】特開平05-215625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0220129(US,A1)
【文献】特開平11-118635(JP,A)
【文献】国際公開第2008/007458(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/084284(WO,A1)
【文献】特開2005-156474(JP,A)
【文献】特表2000-517422(JP,A)
【文献】特開2015-212708(JP,A)
【文献】特開2001-088079(JP,A)
【文献】特開2011-053864(JP,A)
【文献】特開2013-127366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/14,1/18,5/00
G06F 3/041,3/044
H03M 1/00-1/88
H10D 30/67,86/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号配線と、
信号配線と交差する複数の走査配線と、
前記信号配線に並行する複数のリファレンス信号配線と、
前記信号配線と前記走査配線の交点のそれぞれに対応して設けられ、画素電極と第1薄膜トランジスタと第2薄膜トランジスタと第4薄膜トランジスタと第5薄膜トランジスタを含む複数の画素部と、
前記第1薄膜トランジスタのドレイン電極に給電するためのドレイン配線と、
前記画素電極に接続されるセンサ部と、
前記センサ部に接続される共通電極と、
前記第4薄膜トランジスタのゲート電極に給電するための共通配線とを備え、
前記画素電極は前記第1薄膜トランジスタのゲート電極に接続され、
前記第1薄膜トランジスタのドレイン電極は前記ドレイン配線に接続され、
前記第1薄膜トランジスタのソース電極は前記第2薄膜トランジスタのドレイン電極に接続され、
前記第2薄膜トランジスタのゲート電極は前記走査配線に接続され、
前記第2薄膜トランジスタのソース電極は前記信号配線に接続され、
前記第4薄膜トランジスタのゲート電極は前記共通配線に接続され、
前記第4薄膜トランジスタのドレイン電極は前記ドレイン配線に接続され、
前記第4薄膜トランジスタのソース電極は前記第5薄膜トランジスタのドレイン電極に接続され、
前記第5薄膜トランジスタのゲート電極は前記走査配線に接続され、
前記第5薄膜トランジスタのソース電極は前記リファレンス信号配線に接続されている、センサアレイ。
【請求項2】
前記画素部はさらに第3薄膜トランジスタを含み、
前記センサアレイは前記第3薄膜トランジスタのソース電極に給電するための共通配線と、前記第3薄膜トランジスタのゲート電極に給電するためのリセット配線とを有し、
前記第3薄膜トランジスタのドレイン電極は前記画素電極に接続され、前記第3薄膜トランジスタのソース電極は前記共通配線に接続され、前記第3薄膜トランジスタのゲート電極は前記リセット配線に接続されている、請求項
1に記載のセンサアレイ。
【請求項3】
前記センサ部が有機圧電体である、請求項
1または
2に記載のセンサアレイ。
【請求項4】
前記第1~第5の薄膜トランジスタは絶縁基板上に設けられ、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、半導体と、ソース電極と、ドレイン電極とを有し、前記第1~第5の薄膜トランジスタ上に層間絶縁膜を有し、前記画素電極は少なくとも第1の薄膜トランジスタ上の前記層間絶縁膜の上に設けられ、前記絶縁基板と前記ゲート絶縁膜と前記層間絶縁膜は有機絶縁物が主成分である、請求項
3に記載のセンサアレイ。
【請求項5】
前記画素電極は導電性粒子と有機バインダの混合体である、請求項
4に記載のセンサアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、信号検出回路、駆動検出回路、センサアレイおよびセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人々の健康への関心が高まり、ヘルスケア分野の進展が見込まれている。それに伴い、センサをアレイ状に配置して、圧力、温度等の外部刺激値の情報を2次元的に得ることが、人の体勢、動き、異常等を把握するために重要になっている。例えば、薄膜トランジスタアレイと感圧媒体を組み合わせた圧力センサアレイを用いて、面内の圧力分布を検出できる。感圧媒体としては、圧力によって抵抗が変化するものや(特許文献1)、圧力によって電位差が変化するものがある(特許文献2)。あるいは、薄膜トランジスタアレイと感温媒体を組み合わせた温度センサアレイを用いて、面内の温度分布を検出できる。
【0003】
センサアレイは通常、複数の走査配線と複数の信号配線の交点に対応する検知点(ここでは「画素」と呼ぶ)を有し、信号配線数が大きくなると、センサアレイからの信号を検出する回路も規模が大きくなる。最も容易に考えられる信号検出回路は、
図29のように信号配線115の数と同数の負荷抵抗122と電圧検出アンプ123およびADコンバータ124を設けるものであるが、大きな面積とコストが必要である。
【0004】
そこで、信号検出回路の規模を小さくする方法として、
図30のように、切替回路100を適用することによって下流側の回路の数を減らすことが提案されている。当該信号検出回路は、複数の信号配線115の出力を、電圧検出アンプ123を通した後で1個の切替回路100に入力し、1個の切替回路100の出力を1個のADコンバータ124に入力している。例えば、特許文献3に記載の回路は、複数の電極からの出力を、オペアンプを通した後で1個のマルチプレクサに入力し、当該1個のマルチプレクサの出力を1個のA/D変換器に入力している。また、
図30のような信号検出回路を含む駆動回路の例を
図31に示す。
図31の駆動検出回路は、
図30の信号検出回路に、制御回路125と、駆動回路126を加えたものであり、走査配線127にオン電圧を印加することで、センサ点の信号を検出する。特許文献4では、多数の信号配線出力を、電圧検出アンプを通した後で少数の切替回路に入力し、切替回路と同数のADコンバータに入力している。これらによれば、電圧検出アンプおよび負荷抵抗の数は減らないが、ADコンバータの数を減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-119375号公報
【文献】特許第2943437号公報
【文献】特許第4160251号公報
【文献】特許第3667058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの回路では、切替回路の下流側にあるADコンバータの数を減らせるものの、切替回路の上流側にある電圧検出アンプおよび負荷抵抗を信号配線と同数だけ用意しなければならず、信号検出回路全体の規模をあまり小さくできないという問題があった。
【0007】
本開示は、係る従来技術の状況に鑑みてなされたもので、規模の小さい信号検出回路を提供することを課題とする。また、信号検出回路に駆動回路および制御回路を含めた駆動検出回路の時、規模が小さく、誤差の少ない駆動検出回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
また、本開示の他の局面は、複数の信号配線と、信号配線と交差する複数の走査配線と、信号配線に並行する複数のリファレンス信号配線と、信号配線と走査配線の交点のそれぞれに対応して設けられ、画素電極と第1薄膜トランジスタと第2薄膜トランジスタと第4薄膜トランジスタと第5薄膜トランジスタを含む複数の画素部と、第1薄膜トランジスタのドレイン電極に給電するためのドレイン配線と、画素電極に接続されるセンサ部と、センサ部に接続される共通電極と、第4薄膜トランジスタのゲート電極に給電するための共通配線とを備え、画素電極は第1薄膜トランジスタのゲート電極に接続され、第1薄膜トランジスタのドレイン電極はドレイン配線に接続され、第1薄膜トランジスタのソース電極は第2薄膜トランジスタのドレイン電極に接続され、第2薄膜トランジスタのゲート電極は走査配線に接続され、第2薄膜トランジスタのソース電極は信号配線に接続され、第4薄膜トランジスタのゲート電極は共通配線に接続され、第4薄膜トランジスタのドレイン電極はドレイン配線に接続され、第4薄膜トランジスタのソース電極は第5薄膜トランジスタのドレイン電極に接続され、第5薄膜トランジスタのゲート電極は走査配線に接続され、第5薄膜トランジスタのソース電極はリファレンス信号配線に接続されているセンサアレイである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、規模の小さい信号検出回路を提供することができる。また、信号検出回路に駆動回路および制御回路を含めた駆動検出回路の時、規模が小さく、誤差の少ない駆動検出回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態に係る信号検出回路を例示的に示す回路図である。
【
図2】
図2は、
図1の信号検出回路を含む駆動検出回路を例示的に示す回路図である。
【
図3】
図3は、
図1の信号検出回路を含む駆動検出回路の他の実例を示す回路図である。
【
図4】
図4は、単純な信号検出方法を示す説明図である。
【
図5】
図5は、本開示の信号検出方法を例示的に示す説明図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に適用するセンサアレイを例示的に示す回路図である。
【
図7】
図7は、本開示の第2の実施形態に係る信号検出回路を例示的に示す説明図である。
【
図8】
図8は、
図7の信号検出回路を含む駆動検出回路を例示的に示す説明図である。
【
図9】
図9は、本開示の信号検出方法を例示的に示す説明図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に適用するセンサアレイを例示的に示す回路図である。
【
図11】
図11は、本開示の第3の実施形態に係る画素回路の一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、本開示の第4の実施形態に係る画素回路の一例を示す説明図である。
【
図15】
図15は、本開示の第5の実施形態に係る画素回路の一例を示す説明図である。
【
図17】
図17は、本開示の第6の実施形態に係る画素回路の一例を示す説明図である。
【
図19】
図19は、本開示の介護データ収集・判定システムを例示的に示すブロック図である。
【
図20】
図20は、本開示の介護センサ装置の配置例を示す説明図である。
【
図21】
図21は、第1の実施形態に適用するセンサアレイを例示的に示す回路図である。
【
図22】
図22は、第7の実施形態に適用する電流制限回路を例示的に示す回路図である。
【
図27】
図27は、従来の画素回路の一例を示す説明図である。
【
図28】
図28は、従来の画素回路の他の例を示す説明図である。
【
図29】
図29は、従来の信号検出回路を例示的に示す回路図である。
【
図30】
図30は、従来の信号検出回路の他の実例を示す回路図である。
【
図31】
図31は、従来の駆動検出回路を例示的に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の実施の形態について、以下に図面を使用して詳細に説明する。なお、以下に使用する図面では、説明を判り易くするために縮尺は正確には描かれていない。また、本開示の実施形態は、独自の単一の発明を元とする一群の実施形態である。また、本開示の各局面は、単一の発明を元とした一群の実施形態の局面である。本開示の各構成は、本開示の各局面を有しうる。本開示の各特徴は組み合わせ可能であり、各構成をなせる。したがって、本開示の各特徴、本開示の各構成、本開示の各局面、本開示の各実施形態は、組み合わせることが可能であり、その組み合わせは協同機能を発現し、相乗的な効果を発揮しうる。
【0014】
[第1の実施形態]
図1に本開示の第1の実施形態に係る信号検出回路の一例を示す回路図を示す。この信号検出回路を適用する対象のセンサアレイは、信号配線15をM本有する。
図1において、M本の信号配線15は、M
1本ずつM
2個のブロック(
図1の破線で囲まれた部分)に分けられる。各ブロックの信号配線15を信号配線A~M
1と呼ぶとき、本実施形態の信号検出回路は、信号配線A~M
1が第1の切替回路101の入力に接続され、第1の切替回路101の出力が負荷抵抗20および電圧検出アンプ53に接続されるブロックを、M
2個有する。第1の切替回路101の存在によって、必要な負荷抵抗20と電圧検出アンプ53の数はM個ではなく、M
2個となり、信号配線15の数より減らすことができる。
【0015】
さらに各ブロックの電圧検出アンプ53の出力は第2の切替回路102の入力に接続され、第2の切替回路102の出力はADコンバータ25の入力に接続される。1つの第2の切替回路102の入力数をLとすると、必要なADコンバータ25の数はM2個ではなく、(M2/L)個となり、電圧検出アンプ53の数より減らすことができる。第2の切替回路102の入力数LがM2に等しい場合、必要なADコンバータ25の数は1個である。
【0016】
このように、第1の切替回路101と第2の切替回路102を組み合わせることで、負荷抵抗20と電圧検出アンプ53の数を信号配線15の数より減らせ、かつADコンバータ25の数を電圧検出アンプ53の数より減らせるので、信号検出回路の規模を小さくでき、設置面積や製造コストを抑えられる。
【0017】
なお、
図1では電圧検出アンプ53をボルテージフォロワとして記載しているが、これに限定されず、増幅率が1以外の回路や、反転増幅回路でもよい。また電圧検出アンプ53は、既知の発振防止回路、位相補償回路、容量補正回路、保護回路を有してもよい。さらには、オペアンプを用いずにFET(Field EffectTransistor)等で代用してもよい。また、
図1では負荷抵抗20を信号線とGNDの間に設置するように記載しているが、電圧検出アンプ53が反転増幅回路の場合は、信号線と電圧検出アンプ53の出力との間に設置してもよい。
【0018】
また、第1の切替回路101は、アナログマルチプレクサであることが望ましい。アナログマルチプレクサを用いれば、アナログ信号の情報を失うことなく、高速で切り替えが可能である。ただし、信号電圧の範囲が大きくてアナログマルチプレクサで対応できない場合などでは、リレーを用いてもよい。
【0019】
第1の切替回路101の入力側でなく出力側に負荷抵抗20があることにより、第1の切替回路101に電流が流れてインピーダンスが低くなり、ノイズの影響を受けにくい回路となる。また、第1の切替回路101に接続された信号配線15のうち第1の切替回路101の出力に切り替えられた入力の信号線のみに、電流が流れるので、消費電力を抑えることができる。
【0020】
次に、
図1の信号検出回路を含む駆動検出回路の一例を示す回路図を
図2に示す。この駆動検出回路を適用する対象のセンサアレイは、信号配線15をM本と、走査配線12をN本有する。
図2の駆動検出回路は、本実施形態に係る信号検出回路に、制御回路5と、駆動回路6を加えたものであり、第1の切替回路101と、第2の切替回路102と、ADコンバータ25と、駆動回路6とは、制御回路5によって制御される。第1の切替回路101を制御するには、入力数M
1の切替回路を切り替えられるビット数n(ただし2
n-1<M
1≦2
n)のデジタル配線48が必要であり、例えば、各ブロックで必要なデジタル配線48の本数は、M
1=4なら2本、M
1=8なら3本、M
1=16なら4本となる。
【0021】
制御回路5のデジタル出力数が少ない場合、
図3のように、カウンタ49を用いて第1の切替回路101を制御するとよい。これにより、各ブロックの入力を切り替えるためのデジタル配線48を、1本ずつにすることができる。
【0022】
図2や
図3の駆動検出回路を適用する場合の、容易に考えられる信号検出方法を
図4に示す。
図4では、予め第2の切替回路102をブロック1に切り替えておく。走査配線12の1行目にオン電圧を印加した後、ブロック1の第1の切替回路101を信号Aにして、信号AのデータをADコンバータ25で読み込む。次に第1の切替回路101を信号Bにして、信号BのデータをADコンバータ25で読み込む。同様にして、信号M
1までのデータを順にADコンバータ25で読み込んだ後、第2の切替回路102をブロック2に切り替えて、ブロック1と同様に、ブロック2の信号A~M
1を順に読み込む。そして、ブロック1、2と同様にして、ブロックM
2までを読み込む。この場合、画素の配列順にデータを読み込むことができてわかりやすいが、以下の問題がある。
【0023】
第1の切替回路101を切り替えてすぐにそのデータをADコンバータ25で読み込むので、信号が安定しないうちに読み込むことになり、誤差が大きくなる。
【0024】
それを改善した、信号検出方法を
図5を用いて説明する。
図5では、予め全ての第1の切替回路101を信号Aに切り替えておく。走査配線12の1行目にオン電圧を印加した後、一定時間待つ。
【0025】
その後、第2の切替回路102をブロック1に切り替えて、ブロック1の信号AのデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロック1の第1の切替回路101を信号Bにする。次に、第2の切替回路102をブロック2に切り替えて、ブロック2の信号AのデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロック2の第1の切替回路101を信号Bにする。以下、ブロック3、ブロック4、・・・についても同様に行い、ブロックM2についても同様、即ち、第2の切替回路102をブロックM2に切り替えて、ブロックM2の信号AのデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロックM2の第1の切替回路101を信号Bにする。(以上が、「信号A読取・信号Bに切替工程」)
【0026】
その後、第2の切替回路102をブロック1に切り替えて、ブロック1の信号BのデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロック1の第1の切替回路101を信号Cにする。次に、第2の切替回路102をブロック2に切り替えて、ブロック2の信号BのデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロック2の第1の切替回路101を信号Cにする。以下、ブロック3、ブロック4、・・・についても同様に行い、ブロックM2についても同様、即ち、第2の切替回路102をブロックM2に切り替えて、ブロックM2の信号BのデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロックM2の第1の切替回路101を信号Cにする。(以上が、「信号B読取・信号Cに切替工程」)
【0027】
その後、「信号A読取・信号Bに切替工程」および「信号B読取・信号Cに切替工程」と同様にして、「信号C読取・信号Dに切替工程」、「信号D読取・信号Eに切替工程」、・・・と続き、「信号M1読取・信号Aに切替工程」を行う、即ち、第2の切替回路102をブロック1に切り替えて、ブロック1の信号M1のデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロック1の第1の切替回路101を信号Aにする。次に、第2の切替回路102をブロック2に切り替えて、ブロック2の信号M1のデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロック2の第1の切替回路101を信号Aにする。以下、ブロック3、ブロック4、・・・についても同様に行い、ブロックM2についても同様、即ち、第2の切替回路102をブロックM2に切り替えて、ブロックM2の信号M1のデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロックM2の第1の切替回路101を信号Aにする。ただし、この記載は分かり易くするために具体的に記載したものであって、信号M1が信号Eより後であると限定するものではなく、即ちM1>5と限定するものではなく、M1は2以上の整数であればよい。また、ブロックM2はブロック4より後であると限定するものではなく、即ちM2>4と限定するものではなく、M2は2以上の整数であればよい。
【0028】
続いて、走査配線12の1行目にオフ電圧を印加した後、走査配線12の2行目にオン電圧を印加し、「一定時間」待つ。走査配線12の1行目の時と同様に、「信号A読取・信号Bに切替工程」~「信号M1読取・信号Aに切替工程」を行う。
【0029】
以下同様の動作を、走査配線12のN行目まで行い、走査配線12のN行目にオフ電圧を印加する。ここまでで、1画面分のセンサ情報が得られる。さらに同じ動作を繰り返すことで、複数画面分のデータ、即ち、全画素の信号の時間依存データが得られる。(ただし、N>2と限定するものではなく、Nは1以上の整数であればよい。)
【0030】
図5の信号検出方法の特徴を、より一般的に示すと、第1の切替回路101によって選択されている信号配線を異なる他の信号配線に切り替えた後、その信号の測定を行う前に、他のブロックの第1の切替回路によって選択されている信号配線の信号の測定を1回以上行うことである。これにより、第1の切替回路101を切り替えてから、信号が安定するまでの時間を稼ぐことができ、信号測定の精度を高めることができる。特にブロック数がM
2個の場合、第1の切替回路101の信号の切り替えと、当該切り替えた信号の測定との間に、他の(M
2-1)回の測定を行うことが容易にできる。
【0031】
また、
図5の信号検出方法の特徴を、もう少し具体的に示す。制御回路5は、駆動回路6に、複数の走査配線12から選択された1本の走査配線にオン電圧を印加させる第1の処理を行う。オン電圧の印加後、一定時間待機する。そして、第2の切替回路によって選択された1つのブロックにおいて、第1の切替回路によって選択されている1つの信号配線の信号をADコンバータ25を介して読み出し、第1の切替回路101によって1つの信号配線とは異なる他の信号線を選択した後、選択された他の信号配線15の信号を読み出す前に、第2の切替回路102によって1つのブロックとは異なる他のブロックを選択する手順と、信号を読み出す手順と、他のブロックの第1の切替回路101を切替える手順と、の繰り返しと、第2の切替回路102によって1つのブロックを選択する手順を有し、これらのプロセスにより、選択された1本の走査配線12に対応する1行分のセンサ部の信号を順に読み出す第2の処理を行う。さらに、駆動回路6に、第2の処理の終了後に選択された1本の走査配線12にオフ電圧を印加させる第3の処理を行う。全ての走査配線12について、第1の処理、待機、第2の処理及び第3の処理を繰り返すことにより、全てのセンサ部の信号を読み出す。
【0032】
ただし、1つのブロックにおいて第1の切替回路101によって1つの信号配線15とは異なる他の信号線を選択する手順と、第2の切替回路102によって1つのブロックとは異なる他のブロックを選択する手順は、逆でもよい。即ち第2の処理は、第2の切替回路102によって選択された1つのブロックにおいて、第1の切替回路101によって選択されている1つの信号配線15の信号をADコンバータ25を介して読み出した後、第2の切替回路102によって1つのブロックとは異なる他のブロックを選択し、1つのブロックの第1の切替回路101を1つの信号配線15とは異なる他の信号線を選択した後、1つのブロックの他の信号配線15の信号を読み出す前に、他のブロックの信号を読み出す手順と、第2の切替回路102を切替える手順と、他のブロックの第1の切替回路101を切替える手順と、の繰り返しを有し、これらのプロセスにより、選択された1本の走査配線12に対応する1行分のセンサ部の信号を順に読み出すものでもよい。
【0033】
よって第2の処理は、1つのブロックの第1の切替回路101によって1つの信号配線15とは異なる他の信号配線15を選択した後、1つのブロックの他の信号配線15の信号を読み出す前に、少なくとも、他のブロックの信号を読み出す手順と、第2の切替回路102を切替える手順と、他のブロックの第1の切替回路101を切替える手順と、の繰り返しを有する。
【0034】
また、N本の走査配線12のうち1本にオン電圧を印加してから一定時間待つ、その「一定時間」は、ADコンバータ25の測定時間の(M2-1)倍以上が望ましい。そうすれば、1画面の最初の測定である、ブロック1の信号Aについても、第1の切替回路101を信号Aに切り替えた後、その信号Aの測定を行うまでに、ADコンバータ25の測定時間×(M2-1)以上を挟むことができて、他の信号の測定と同様に信号が安定するまでの時間を稼ぐことができ、信号測定の精度を他の信号と同程度まで高めることができる。
【0035】
本実施の形態の信号検出回路、駆動検出回路、信号検出方法に適したセンサアレイの実例を説明する。
図6は、第1の実施形態に適用するセンサアレイの一例を示す回路図である。センサアレイは、N本の走査配線12と、M本の信号配線15と、のマトリクスの交点に第1の薄膜トランジスタT1と第2の薄膜トランジスタT2による画素回路が組まれ、第1の薄膜トランジスタT1のゲート電極と、共通電極10の間に、センサ部109として例えば感圧媒体9を有する。第1の薄膜トランジスタT1のドレインにはドレイン配線14が接続され、第1の薄膜トランジスタT1のソースは第2の薄膜トランジスタT2のドレインに接続され、第2の薄膜トランジスタT2のゲートは走査配線12に接続され、第2の薄膜トランジスタT2のソースは信号配線15に接続されている。感圧媒体9には圧力に依存する電圧が発生する。走査配線12のうち1本をオンにした時、その行の画素の刺激(圧力等)に依存する電流が、信号配線15に流れる。センサ部109としては、感圧媒体9、例えばポリビニリデンジフロライド(PVDF)や、ポリ(ビニリデンジフロライド-トリフロロエチレン共重合体)が好適である。なお、
図6は一例であり、この構造のセンサアレイに限定されるものではない。
図21は、第1の実施形態に適用するセンサアレイの一例を示す回路図である。センサアレイは、N本の走査配線12と、M本の信号配線15と、のマトリクスの交点に薄膜トランジスタ38による画素回路が組まれ、薄膜トランジスタ38のドレイン電極と、電源配線36の間に、感圧媒体39を有する。薄膜トランジスタ38のゲートは走査配線12に接続され、薄膜トランジスタ38のソースは信号配線15に接続されている。感圧媒体39の抵抗値は圧力によって変化する。走査配線12のうち1本をオンにした時、その行の画素の圧力に依存する電流が、信号配線15に流れる。感圧媒体39としては、導電粒子を分散させたゴム等が好適である。あるいは他のセンサ部109を採用して、他の種類の圧力センサや、変位センサ、温度センサ等に用いてもよい。また、電源配線36は、第7の実施形態に後述する電流制限回路40を有してもよい。
【0036】
以上のように、第1の実施形態に係る信号検出回路では、負荷抵抗20および電圧検出アンプ53の上流側に第1の切替回路101を設けることで、負荷抵抗20および電圧検出アンプ53の数を減らすことができ、さらに、電圧検出アンプ53の下流側に第2の切替回路102を設けることで、ADコンバータ25の数も減らすことができ、信号検出回路の規模を小さくすることができる。また、当該信号検出回路を適用することで、駆動検出回路の規模も小さくすることができる。また、第1の切替回路101で信号を切り替えた後、その信号の測定を行う前に、他のブロックの切り替え済みかつ未測定の信号の測定を行うことで、切替信号が安定してから測定を行うことができる。
【0037】
[第2の実施形態]
図7を用いて本開示の第2の実施形態について説明する。
図7は、本開示の第2の実施形態に係る信号検出回路の一例を示す説明図である。この信号検出回路を適用する対象のセンサアレイは、信号配線15をM
1本と、リファレンス信号配線16をM
1
本有する。信号配線15とリファレンス信号配線16は、各M
1本ずつM
2個のブロックに分けられる。各ブロックの信号配線A~M
1は第1の切替回路101の入力に接続され、第1の切替回路101の出力は負荷抵抗20および電圧検出アンプ53に接続される。また、各ブロックのリファレンス信号配線A~M
1は第3の切替回路103の入力に接続され、第3の切替回路103の出力は負荷抵抗21および電圧検出アンプ54に接続される。よって、必要な負荷抵抗20と電圧検出アンプ53の数は信号配線15とリファレンス信号配線16との合計(M
1×2)ではなく、ブロックの数の二倍(M
2×2)となる。
【0038】
さらに信号の電圧検出アンプ53の出力と、その信号に対応するリファレンス信号の電圧検出アンプ54の出力は、差動増幅回路24に入力される。必要な差動増幅回路24の数はブロック数と同じM2個である。差動増幅回路24の出力は第2の切替回路102の入力に接続され、第2の切替回路102の出力はADコンバータ25の入力に接続される。第2の切替回路102の入力数をLとすると、必要なADコンバータ25の数はM2個ではなく、(M2/L)個となり、差動増幅回路24の数より減らすことができる。第2の切替回路102の入力数LがM2に等しい場合、必要なADコンバータ25の数は1個である。
【0039】
このように、第1の切替回路101、第3の切替回路103と、第2の切替回路102を組み合わせることで、負荷抵抗20と電圧検出アンプ53の数を信号配線15の数よりも減らせ、負荷抵抗21と電圧検出アンプ54の数をリファレンス信号配線16の数よりも減らせ、かつADコンバータ25の数を差動増幅回路24の数より減らせるので、信号検出回路の規模を小さくでき、設置面積やコストを抑えられる。
【0040】
なお、
図7では電圧検出アンプ53、54をボルテージフォロワとして記載しているが、これに限定されず、増幅率が1以外の回路や、反転増幅回路でもよい。また電圧検出アンプ53、54は、既知の発振防止回路、位相補償回路、容量補正回路、保護回路を有してもよい。さらには、オペアンプを用いずにFET等で代用してもよい。また、
図7では負荷抵抗20、21を信号線とGNDの間に設置するように記載しているが、電圧検出アンプ53および54が反転増幅回路の場合は、信号線と反転増幅回路の出力の間に設置してもよい。さらに、差動増幅回路24は、増幅率が1の、信号とリファレンス信号の差を見る回路であってもよいが、増幅率が1以外であってもよい。また差動増幅回路24は、ベース電圧Vbase分だけ出力電圧をシフトできる。差動増幅回路24では、信号配線出力-リファレンス出力にVbaseを加算することで、信号配線出力-リファレンス出力が小さい場合や負の場合でも、確実に検出できる。
【0041】
また、第1の切替回路101、第3の切替回路103は、アナログマルチプレクサであることが望ましい。アナログマルチプレクサなら、アナログ信号の情報を失うことなく、高速で切り替えが可能である。ただし、信号電圧の範囲が大きくてアナログマルチプレクサで対応できない場合などでは、リレーを用いてもよい。
【0042】
第1の切替回路101および第3の切替回路103の、入力側でなく出力側に負荷抵抗20および21があることにより、第1の切替回路101および第3の切替回路103に電流が流れてインピーダンスが低くなり、ノイズの影響を受けにくい回路となる。また、第1の切替回路101に接続された信号配線15のうち第1の切替回路101の出力に切り替えられた入力の信号線のみと、第3の切替回路103に接続されたリファレンス信号配線16のうち第3の切替回路103の出力に切り替えられた入力のリファレンス信号線のみに、電流が流れるので、消費電力を抑えることができる。
【0043】
次に、本実施形態に係る駆動検出回路について説明する。
図8は、
図5の信号検出回路を含む駆動検出回路の一例を示す説明図である。この駆動検出回路を適用する対象のセンサアレイは、信号配線15をM本と、リファレンス信号配線16をM本と、走査配線12をN本有する。
図8の駆動検出回路は、本実施形態に係る信号検出回路に、制御回路5と、駆動回路6を加えたものであり、第1の切替回路101と、第3の切替回路103と、第2の切替回路102と、ADコンバータ25と、駆動回路6と、は、制御回路5によって制御される。制御回路5のデジタル出力数が少ない場合、カウンタ49を用いて第1の切替回路101および第3の切替回路103を制御する。カウンタ49を用いれば、各ブロックの入力を切り替えるためのデジタル配線48を、1本ずつにすることができる。
【0044】
図8に示す駆動検出回路を適用する場合も、第1の実施形態と同様に、単純な信号検出方法ではなく
図9に示す信号検出方法が望ましい。
【0045】
図9では、予め全ての第1の切替回路101を信号Aに、第3の切替回路103をリファレンス信号Aに、第2の切替回路102をブロック1に切り替えておく。走査配線12の1行目にオン電圧を印加した後、「一定時間」待つ。
【0046】
その後、ブロック1の信号Aとリファレンス信号Aの差に対応するデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロック1の第1の切替回路101を信号Bに、ブロック1の第3の切替回路103をリファレンス信号Bにする。次に、第2の切替回路102をブロック2に切り替えて、ブロック2の信号Aとリファレンス信号Aの差に対応するデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロック2の第1の切替回路101を信号Bに、ブロック2の第3の切替回路103をリファレンス信号Bにする。以下、ブロック3、ブロック4、・・・についても同様に行い、ブロックM2についても同様、即ち、第2の切替回路102をブロックM2に切り替えて、ブロックM2の信号Aとリファレンス信号Aの差に対応するデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロックM2の第1の切替回路101を信号Bに、ブロックM2の第3の切替回路103をリファレンス信号Bにする。(以上が、「信号差A読取・信号Bに切替工程」)
【0047】
その後、第2の切替回路102をブロック1に切り替えて、ブロック1の信号Bとリファレンス信号Bの差に対応するデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロック1の第1の切替回路101を信号Cに、ブロック1の第3の切替回路103をリファレンス信号Cにする。次に、第2の切替回路102をブロック2に切り替えて、ブロック2の信号Bとリファレンス信号Bの差に対応するデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロック2の第1の切替回路101を信号Cに、ブロック2の第3の切替回路103をリファレンス信号Cにする。以下、ブロック3、ブロック4、・・・についても同様に行い、ブロックM2についても同様、即ち、第2の切替回路102をブロックM2に切り替えて、ブロックM2の信号Bとリファレンス信号Bの差に対応するデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロックM2の第1の切替回路101を信号Cに、ブロックM2の第3の切替回路103をリファレンス信号Cにする。(以上が、「信号差B読取・信号Cに切替工程」)
【0048】
その後、「信号差A読取・信号Bに切替工程」、「信号差B読取・信号Cに切替工程」
と同様にして、「信号差C読取・信号Dに切替工程」、「信号差D読取・信号Eに切替工程」、・・・と続き、「信号差M1読取・信号Aに切替工程」を行う、即ち、第2の切替回路102をブロック1に切り替えて、ブロック1の信号M1とリファレンス信号M1の差に対応するデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロック1の第1の切替回路101を信号Aに、ブロック1の第3の切替回路103をリファレンス信号Aにする。次に、第2の切替回路102をブロック2に切り替えて、ブロック2の信号M1とリファレンス信号M1の差に対応するデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロック2の第1の切替回路101を信号Aに、ブロック2の第3の切替回路103をリファレンス信号Aにする。以下、ブロック3、ブロック4、・・・についても同様に行い、ブロックM2についても同様、即ち、第2の切替回路102をブロックM2に切り替えて、ブロックM2の信号M1とリファレンス信号M1の差に対応するデータをADコンバータ25で読み込んでから、ブロックM2の第1の切替回路101を信号Aに、ブロックM2の第3の切替回路103をリファレンス信号Aにする。ただし、この記載は分かり易くするために具体的に記載したものであって、信号M1が信号Eより後であると限定するものではなく、即ちM1>5と限定するものではなく、M1は2以上の整数であればよい。また、ブロックM2はブロック4より後であると限定するものではなく、即ちM2>4と限定するものではなく、M2は2以上の整数であればよい。
【0049】
続いて、走査配線12の1行目にオフ電圧を印加した後、走査配線12の2行目にオン電圧を印加し、「一定時間」待つ。走査配線12の1行目の時と同様に、「信号差A読取・信号Bに切替工程」~「信号差M1読取・信号Aに切替工程」を行う。
【0050】
以下同様の動作を、走査配線12のN行目まで行い、走査配線12のN行目にオフ電圧を印加する。ここまでで、1画面分のセンサ情報が得られる。さらに同じ動作を繰り返すことで、複数画面分のデータ、即ち、全画素の信号差の時間依存データが得られる。(ただし、N>2と限定するものではなく、Nは1以上の整数であればよい。)
【0051】
図9の信号検出方法の特徴は、第1の切替回路101で選択されている信号配線と、当該信号配線に対応するリファレンス信号に切り替えた後、それらの信号差の測定を行う前に、他のブロックの第1の切替回路101で選択されている信号配線の信号と当該信号配線に対応するリファレンス信号配線の信号との差の測定を1回以上行うことである。これにより、第1の切替回路101および第3の切替回路103を切り替えてから、信号が安定するまでの時間を稼ぐことができ、信号測定の精度を高めることができる。特にブロック数がM
2個の場合、(M
2-1)回の測定を挟むことが容易にできる。
【0052】
また、
図9の信号検出方法の特徴を、もう少し具体的に示す。制御回路5は、駆動回路6に、複数の走査配線12から選択された1本の走査配線12にオン電圧を印加させる第1の処理を行う。オン電圧の印加後、一定時間待機する。そして、第2の切替回路102によって選択された1つのブロックにおいて、第1の切替回路101によって選択されている1つの信号配線15と第3の切替回路103によって選択されている1つの信号配線15に対応するリファレンス信号配線16の信号差をADコンバータ25を介して読み出し、第1および第3の切替回路によって1つの信号配線15およびリファレンス信号配線16とは異なる他の信号線およびリファレンス信号配線16を選択した後、選択された他の信号配線15およびリファレンス信号配線16の信号差を読み出す前に、第2の切替回路102によって1つのブロックとは異なる他のブロックを選択する手順と、信号差を読み出す手順と、他のブロックの第1および第3の切替回路を切替える手順と、の繰り返しと、第2の切替回路102によって1つのブロックを選択する手順を有し、これらのプロセスにより、選択された1本の走査配線12に対応する1行分のセンサ部の信号差を順に読み出す第2の処理を行う。さらに、駆動回路6に、第2の処理の終了後に選択された1本の走査配線12にオフ電圧を印加させる第3の処理を行う。全ての走査配線12について、第1の処理、待機、第2の処理及び第3の処理を繰り返すことにより、全てのセンサ部の信号を読み出す。
【0053】
ただし、1つのブロックにおいて第1および第3の切替回路によって1つの信号配線15およびリファレンス信号配線16とは異なる他の信号配線15およびリファレンス信号配線16を選択する手順と、第2の切替回路102によって1つのブロックとは異なる他のブロックを選択する手順は、逆でもよい。即ち第2の処理は、第2の切替回路102によって選択された1つのブロックにおいて、第1および第3の切替回路によって選択されている1つの信号配線15およびリファレンス信号配線16の信号差をADコンバータ25を介して読み出した後、第2の切替回路102によって1つのブロックとは異なる他のブロックを選択し、1つのブロックの第1および第3の切替回路を1つの信号配線15およびリファレンス信号配線16とは異なる他の信号配線15およびリファレンス信号配線16を選択した後、1つのブロックの他の信号配線15およびリファレンス信号配線16の信号差を読み出す前に、他のブロックの信号差を読み出す手順と、第2の切替回路102を切替える手順と、他のブロックの第1および第3の切替回路を切替える手順と、の繰り返しを有し、これらのプロセスにより、選択された1本の走査配線12に対応する1行分のセンサ部の信号を順に読み出すものでもよい。
【0054】
よって第2の処理は、1つのブロックの第1の切替回路101および第3の切替回路103によって1つの信号配線15およびリファレンス信号配線16とは異なる他の信号配線15およびリファレンス配線16を選択した後、1つのブロックの他の信号配線15およびリファレンス信号配線16の信号差を読み出す前に、少なくとも、他のブロックの信号差を読み出す手順と、第2の切替回路102を切替える手順と、他のブロックの第1の切替回路101および第3の切替回路103を切替える手順と、の繰り返しを有する。
【0055】
また、N本の走査配線12のうち1本にオン電圧を印加してから一定時間待つ、その「一定時間」は、ADコンバータ25の測定時間の(M2-1)倍以上が望ましい。そうすれば、1画面の最初の測定である、ブロック1の信号Aとリファレンス信号Aの差についても、第1の切替回路101と第3の切替回路103を信号Aに切り替えた後、その信号Aとリファレンス信号Aとの差の測定を行うまでに、ADコンバータ25の測定時間×(M2-1)以上を挟むことができて、他の信号差の測定と同様に信号とリファレンス信号が安定するまでの時間を稼ぐことができ、信号測定の精度を他の信号差と同程度まで高めることができる。また、信号とリファレンス信号が安定してから測定を行うので、信号が安定するまでの時定数と、リファレンス信号が安定するまでの時定数が、必ずしも一致していなくてもよい。
【0056】
本実施形態の信号検出回路、駆動検出回路、信号検出方法に適用できる好適なセンサアレイを説明する。
図10は、第2の実施形態に適用するセンサアレイの実例を示す回路図である。センサアレイは、N本の走査配線12と、M本の信号配線15と、のマトリクスの交点に第1の薄膜トランジスタT1と第2の薄膜トランジスタT2による画素回路が組まれ、第1の薄膜トランジスタT1のゲート電極と、共通電極10の間に、センサ部109として例えば感圧媒体9を有する。また、N本の走査配線12と、M本のリファレンス信号配線16の交点に第3の薄膜トランジスタT3と第4の薄膜トランジスタT4によるリファレンス回路が組まれ、第3の薄膜トランジスタT3は第1の薄膜トランジスタT1に隣接する。第3の薄膜トランジスタT3のチャネル長/チャネル幅は、第1の薄膜トランジスタT1のチャネル長/チャネル幅に等しく、第4の薄膜トランジスタT4のチャネル長/チャネル幅は、第2の薄膜トランジスタT2のチャネル長/チャネル幅に等しいことが望ましい。第1の薄膜トランジスタT1のドレインにはドレイン配線14が接続され、第1の薄膜トランジスタT1のソースは第2の薄膜トランジスタT2のドレインに接続され、第2の薄膜トランジスタT2のゲートは走査配線12に接続され、第2の薄膜トランジスタT2のソースは信号配線15に接続されている。センサ部109には刺激(圧力等)に依存する電圧が発生する。一方、第3の薄膜トランジスタT3のゲートには共通電極10が接続され、第3の薄膜トランジスタT3のドレインにはドレイン配線14が接続され、第3の薄膜トランジスタT3のソースは第4の薄膜トランジスタT4のドレインに接続され、第4の薄膜トランジスタT4のゲートは走査配線12に接続され、第4の薄膜トランジスタT4のソースはリファレンス信号配線16に接続されている。走査配線12のうち1本をオンにした時、その行の画素の圧力に依存する電流が信号配線15に流れ、その行の画素回路に特性が近く、かつ刺激(圧力等)に依存しない電流がリファレンス信号配線16に流れる。センサ部109としては、感圧媒体9、例えばポリビニリデンジフロライド(PVDF)や、ポリ(ビニリデンジフロライド-トリフロロエチレン共重合体)が好適である。なお、本実施形態に適用できるセンサアレイは、
図10に示す構造のセンサアレイに限定されるものではない。例えば、圧力によって抵抗が変わる感圧媒体を用い、圧力がかかる素子の信号と、圧力がかからない素子のリファレンス信号を用いてもよい。あるいは他のセンサ部109を採用して、他の種類の圧力センサや、変位センサ、温度センサ等に用いてもよい。また、ドレイン配線14は、第7の実施形態に後述する電流制限回路40を有してもよい。
【0057】
信号配線15からの検出電圧から、隣接するリファレンス信号配線16での検出電圧を差し引くことで、隣接する薄膜トランジスタの特性が似ていることにより、薄膜トランジスタアレイの面内分布をキャンセルすることができる。また、隣接する薄膜トランジスタの温度が同等であることにより、薄膜トランジスタの温度依存性の大部分をキャンセルすることができる。
【0058】
以上のように、第2の実施形態に係る信号検出回路では、負荷抵抗20および電圧検出アンプ53の上流側に第1の切替回路101を、負荷抵抗21および電圧検出アンプ54の上流側に第3の切替回路103を設けることで、負荷抵抗20、21および電圧検出アンプ53、54の数を減らすことができ、さらに、差動増幅回路24の下流側に第2の切替回路102を設けることで、ADコンバータ25の数も減らすことができ、信号検出回路の規模を小さくすることができる。また、当該信号検出回路を適用することで、駆動検出回路の規模も小さくすることができる。また、第1の切替回路101および第3の切替回路103で信号を切り替えた後、その信号差の測定を行う前に、他のブロックの切り替え済みかつ未測定の信号差の測定を行うことで、切替信号が安定してから測定を行うことができ、誤差の小さい信号検出方法を提供することができる。
【0059】
従来のセンサアレイにおいて、抵抗が変化する感圧媒体は、劣化しやすいという問題があった。そこで、特許文献2のように電位差が変化するタイプの感圧媒体を使うことが検討されている(
図28)。しかし、特許文献2のように画素内に負荷抵抗を有し電位を読み出す回路はノイズに弱いという問題があった。また、第1の薄膜トランジスタ41をソース接地回路として使っているので、薄膜トランジスタの移動度やしきい値のばらつきの影響を受けやすいという問題があった。さらに、特許文献2の感圧媒体は無機物であり、機械的衝撃に弱いという問題があった。
【0060】
そのため、薄膜トランジスタの移動度やしきい値のばらつきの影響が小さく、ノイズに強いセンサアレイを第3~6の実施形態で説明する。
【0061】
[第3の実施形態]
従来の画素回路の一例を、
図27に示す。
図27で、センサ部である感圧媒体130は圧力によって抵抗が変化するタイプであり、一端が共通電極に、他端が薄膜トランジスタ31のドレイン電極に接続されている。共通電極には電源が接続されている。走査配線32のうち1本に薄膜トランジスタ31がオンになるゲート電圧(オン電圧)を印加し、他の走査配線32には薄膜トランジスタ31がオフになるゲート電圧(オフ電圧)を印加する。オン電圧が印加された走査配線32に属する薄膜トランジスタ31を通して、該当する画素の感圧媒体130を流れる電流が信号配線33に流れる。オンにする走査配線32を順次1本ずつ変えることで、全行の圧力データを読み出す。
【0062】
従来の画素回路の他の例を、
図28に示す。
図28で、センサ部である感圧媒体140は圧力によって電位差が変化するタイプである。感圧媒体140の一端が第1の薄膜トランジスタ41のゲート電極に、他端が第1の薄膜トランジスタ41のソース電極に接続され、第1の薄膜トランジスタ41は画素内のドレイン抵抗43を介して電源に接続され、第1の薄膜トランジスタ41はソース接地回路になっている。走査配線44のうち1本に第2の薄膜トランジスタ42がオンになるゲート電圧(オン電圧)を印加し、他の走査配線44には第2の薄膜トランジスタ42がオフになるゲート電圧(オフ電圧)を印加する。そして、オン電圧が印加された走査配線44に属する第2の薄膜トランジスタ42を通して、該当する画素のドレイン電圧が信号配線45に引き出される。オンにする走査配線44を順次1本ずつ変えることで、全行の圧力データを読み出すことができる。
【0063】
しかし、電圧を読み出す回路は入力インピーダンスが高いので、信号配線45が長いと信号にノイズが混入しやすい。また、この回路で、仮にノイズが混入しにくいように検出回路のインピーダンスを下げると、ドレイン抵抗43に、第1の薄膜トランジスタ41を流れる(圧力に依存した)電流以外に、検出回路を流れる(必ずしも圧力に依存しない)電流が流れ、検出回路を流れる電流によるドレイン抵抗43の電圧降下分が誤差になってしまう。また、ソース接地回路は電圧・電流とも増幅するので感度は高いが、信号電圧は第1の薄膜トランジスタ41の移動度やしきい値のばらつきの影響を受け易い。
【0064】
そこで、本開示の第3の実施形態の画素回路を
図11に示す。
図11で、センサ部109(例えば感圧媒体9)は刺激(圧力等)によって電位差が変化するタイプである。センサ部109の一端が共通電極10に、他端が第1の薄膜トランジスタのゲート電極G1に接続され、第1の薄膜トランジスタのドレイン電極D1はドレイン配線14を介して電源Vddに接続され、第1の薄膜トランジスタのソース電極S1は第2の薄膜トランジスタのドレイン電極D2に接続され、第2の薄膜トランジスタのゲート電極G2は走査配線12に接続され、第2の薄膜トランジスタのソース電極S2は信号配線15に接続され、信号検出回路内の負荷抵抗20を含めると、第1の薄膜トランジスタはドレイン接地回路(ソースフォロワ)になっている。走査配線12のうち1本に第2の薄膜トランジスタがオンになるゲート電圧(オン電圧)を印加し、他の走査配線12には第2の薄膜トランジスタがオフになるゲート電圧(オフ電圧)を印加する。すると、オン電圧が印加された走査配線12に属する第2の薄膜トランジスタを通して、該当する画素のソース電極S1が信号配線15に接続され、信号検出回路内の負荷抵抗20に接続される。即ち、負荷抵抗20がアレイ外にあるため、信号配線15には電流が流れるので、インピーダンスが低く、信号にノイズが混入しにくい。また、ドレイン接地(ソースフォロワ)回路なので、電流のみが増幅され、ソース電位はゲート電位に近いので、信号電圧は第1の薄膜トランジスタの移動度のばらつきの影響を受けにくい。オンにする走査配線12を順次1本ずつ変えることで、各行の圧力データを読み出すことができる。
【0065】
なお、共通電極10の電位は、センサ部109の刺激(圧力等)に依存する電位差に加算されて、第1の薄膜トランジスタのゲート電極G1に印加されるので、共通電極10の電位によって動作点を調整できる。
【0066】
第3の実施形態におけるセンサアレイの検出方法は、例えば、第1の実施形態に係る信号検出回路、駆動検出回路、信号検出方法を好適に用いることができる。このとき、センサアレイの走査配線12はN本であり、信号配線15はM本である。
【0067】
センサ部109としては、感圧媒体9(電位差が変化するタイプ)が好適である。ただし、センサ部109として他の感圧媒体や、感変位媒体、感温媒体等を用いることも可能である。
【0068】
なお、測定を行う直前にドレイン配線14の電位を0→Vddにする場合、第1の薄膜トランジスタのゲート・ドレイン電極間容量(ゲート電極G1に接続された画素電極8、ドレイン電極D1に接続されたドレイン配線14を含む)をCgd1、画素電極8・共通電極10間容量をCpとすると、画素電極8の電位はΔVp=Vdd×Cgd1/(Cgd1+Cp)だけずれる。このずれが、センサ部109の最大電位変化量に比べて充分に小さい必要があり、例えば最大電位変化量の10%以内に抑える必要がある。上記ずれを最大電位変化量の10%以内に抑えるには、|Vdd×Cgd1/(Cgd1+Cp)|≦最大電位変化量×0.1にすればよい。ここで、最大電位変化量とは、センサに刺激(圧力等)を印加していない状態から、センサに設定された検出範囲の最大値の刺激を印加した時への、画素電極電位変化量である。例えば最大電位変化量が4[V]の場合、|Vdd×Cgd1/(Cgd1+Cp)|≦0.4とする。
【0069】
図11に示したセンサアレイの具体例を、
図12に示す。絶縁基板1上に、ゲート電極G1、G2を有し(G2は走査配線12に接続され)、その上にゲート絶縁膜3を有し、その上に半導体SC1、SC2を有し、その上にソース電極S1、S2とドレイン電極D1、D2を有し(S1は接続配線17を介してD2に接続され、D1はドレイン配線14に接続され、S2は信号配線15に接続され)、その上に層間絶縁膜7を有し、その上に画素電極8を有し(画素電極8は層間絶縁膜7の開口およびゲート絶縁膜3の開口に設けられたビア配線18U、18Lを介してゲート電極G1に接続され)ている。さらにセンサ部109および共通電極10を有している。センサ部109は、画素電極8に接触または接合している。
【0070】
半導体SC1、SC2の上には絶縁性のエッチングストッパ層を有してもよいし、半導体SC1、SC2とソース電極S1、S2の界面および半導体SC1、SC2とドレイン電極D1、D2の界面には半導体4よりも抵抗が低いコンタクト層を有してもよい。
【0071】
また、画素電極8が厚い場合、画素電極8のない部分には隙間があいていてもよいし、絶縁物で埋められていてもよい。
【0072】
なお、
図12では、画素電極8が第1の薄膜トランジスタのバックゲート電極にもなっている。これにより、画素電極8が第1の薄膜トランジスタのチャネル部を覆わずにゲート電極G1に接続されているだけの場合よりも、安定した動作になる。また、
図12には記載していないが、第2の薄膜トランジスタにバックゲート電極を設け、そこに共通電極電位またはGND電位または特定の一定電位を接続してもよい。これにより、第2の薄膜トランジスタの動作は、安定する。
【0073】
絶縁基板1は、ガラスでもよいが、有機物(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルスルホン)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等)が好適である。ゲート電極G1、G2は、金属(例えばAl、Ti、Mo、Ta等またはこれらを主成分とする合金)が好適である。ゲート絶縁膜3は、有機物(アクリル、エポキシ等)または無機物(SiO2、SiN等)またはそれらの積層または混合物が好適である。半導体SC1、SC2は、有機半導体、酸化物半導体、非晶質Siが好適である。ソース電極S1、S2、ドレイン電極D1、D2は金属(例えばAl、Ti、Mo、Ta等またはこれらを主成分とする合金)が好適である。層間絶縁膜7は有機物(アクリル、エポキシ等)または無機物(SiO2、SiN等)またはそれらの積層または混合物が好適である。画素電極8は、金属(例えばAl、Ti、Mo、Ta等またはこれらを主成分とする合金)または、金属粒子と樹脂の混合物(Agペースト等)が好適である。センサ部109としては、感圧媒体9、特に有機圧電体(ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン・3フッ化エチレン共重合体、ポリ乳酸、多孔性エレクトレット型等)が好適であるが、感変位媒体や感温媒体でもよい。共通電極10は、金属(例えばAl、Ti、Mo、Ta等またはこれらを主成分とする合金)が好適である。
【0074】
ただし、センサアレイはフレキシブル性が望まれる場合が多く、フレキシブル性を確保するために絶縁基板1・ゲート絶縁膜3・層間絶縁膜7・センサ部109(感圧媒体9等)は有機物が主成分であることが特に望ましい。
【0075】
また、画素電極8が金属ならば画素電極8を薄くすることが容易であり、画素電極8以外の部分の層間絶縁膜7とセンサ部109(感圧媒体9等)との隙間をなくすことができ、測定の均一性を向上できる。画素電極8が金属粒子と樹脂の混合物ならば画素電極8を厚くすることが容易であり、画素電極8以外の部分の層間絶縁膜7とセンサ部109(感圧媒体9等)との隙間を大きくすることができ、より小さい力で所定圧力が得られる、即ち感度を上げることができる。
【0076】
図12はボトムゲート・トップコンタクトの場合を示すが、本開示はこれに限定されず、トップゲートやボトムコンタクトでもよい。
【0077】
[第4の実施形態]
本開示の第4の実施形態の画素回路を
図13に示す。
図13では、
図11の画素回路にさらに第3の薄膜トランジスタを有し、第3の薄膜トランジスタのドレイン電極D3は画素電極8に接続され、ソース電極S3は共通配線11に接続され、ゲート電極G3はリセット配線13に接続されている。
【0078】
測定を行う前に、センサ部109に刺激(圧力等)が印加されていない状態で、リセット配線13に第3の薄膜トランジスタがオンになる電圧(オン電圧)を印加する。すると画素電極8が第3の薄膜トランジスタを介して共通配線11に接続され、画素電極8に蓄積されていた電荷を0にできる。ここで、共通配線11は共通電極10と同電位である。そして、リセット配線13に第3の薄膜トランジスタがオフになる電圧(オフ電圧)を印加し、かつドレイン配線14に電圧Vddを印加する。
【0079】
圧電素子のように圧力によって電位差が変化するタイプのセンサ部109は、定常では刺激(圧力等)が0の時に電位差は0であるが、過去の履歴によっては、例えば使用する直前まで刺激(圧力等)がかかり続けていた場合等には、刺激(圧力等)が0であっても電位差が0でないといった、センサ部109の残留電荷に起因する誤差が生じる。本実施形態に係るセンサアレイは、測定の直前に、第3の薄膜トランジスタをオンにして画素電極8の電荷をリセットできるので、センサ部109の残留電荷に起因する誤差をなくすことができる。
【0080】
第1の薄膜トランジスタのゲート・ドレイン電極間容量(ゲート電極G1に接続された
画素電極8、ドレイン電極D1に接続されたドレイン配線14を含む)をCgd1、第3の薄膜トランジスタのゲート・ドレイン間容量(ゲート電極G3に接続されたリセット配線13、ドレイン電極D3に接続された画素電極8の容量を含む)をCgd3、画素電極8・共通電極10間容量をCpとし、他の寄生容量は小さいので無視する。リセット配線13にオフ電圧を印加して第3の薄膜トランジスタをオフにする時、画素電極8の電位はΔVp=-{Vreset(on)-Vreset(off)}×Cgd3/(Cgd3+Cp+Cgd1)だけずれる。また、ドレイン配線14の電位を0→Vddにする時、画素電極8の電位はΔVp=Vdd×Cgd1/(Cgd1+Cp+Cgd3)だけずれる。nチャネルTFTの場合、前者は負、後者は正であり、pチャネルTFTの場合、前者は正、後者は負であり、いずれの場合も互いの電圧変化を打ち消す効果がある。また、この電圧変化が、感圧媒体9の最大電位変化量に比べて充分に小さい必要があり、例えば最大電位変化量の10%以内に抑える必要がある。上記電圧変化を最大電位変化量の10%以内に抑えるには、|Vdd×Cgd1/(Cgd1+Cp+Cgd3)-{Vreset(on)-Vreset(off)}×Cgd3/(Cgd3+Cp+Cgd1)|≦最大電位変化量×0.1にすればよい。ここで、最大電位変化量とは、圧力センサに圧力を印加していない状態から、圧力センサに設定された圧力検出範囲の最大値の圧力を印加した時への、画素電極電位変化量である。例えば最大電位変化量が4[V]の場合、|Vdd×Cgd1/(Cgd1+Cp+Cgd3)-{Vreset(on)-Vreset(off)}×Cgd3/(Cgd3+Cp+Cgd1)|≦0.4とする。
【0081】
測定の方法は、第3の実施形態と同様であり、第3の実施形態におけるセンサアレイの検出方法は、例えば、第1の実施形態に係る信号検出回路、駆動検出回路、信号検出方法を好適に用いることができる。
【0082】
図13の具体例を、
図14に示す。絶縁基板1上に、ゲート電極G1、G2、G3を有し(G2は走査配線12に接続され、G3はリセット配線13に接続され)、その上にゲート絶縁膜3を有し、その上に半導体SC1、SC2、SC3を有し、その上にソース電極S1、S2、S3とドレイン電極D1、D2、D3を有し(S1は接続配線17を介してD2に接続され、D3はゲート絶縁膜3の開口に設けられたビア配線18Lを介してゲート電極G1に接続され、D1はドレイン配線14に接続され、S2は信号配線15に接続され、S3は共通配線11に接続され)、その上に層間絶縁膜7を有し、その上に画素電極8を有し(画素電極8は層間絶縁膜7の開口に設けられたビア配線18Uを介してドレイン電極D3と接続され)ている。さらにセンサ部109(例えば感圧媒体9)および共通電極10を有している。センサ部109は、画素電極8に接触または接合している。
【0083】
半導体SC1、SC2、SC3の上には絶縁性のエッチングストッパ層を有してもよいし、半導体SC1、SC2、SC3とソース電極S1、S2、S3の界面および半導体SC1、SC2、SC3とドレイン電極D1、D2、D3の界面には半導体SC1、SC2、SC3よりも抵抗が低いコンタクト層を有してもよい。
【0084】
また、画素電極8が厚い場合、画素電極8のない部分には隙間があいていてもよいし、絶縁物で埋められていてもよい。
【0085】
なお、
図14では、画素電極8が第1の薄膜トランジスタのバックゲート電極にもなっている。これにより、画素電極8が第1の薄膜トランジスタのチャネル部を覆わずにゲート電極G1に接続されているだけの場合よりも、安定した動作になる。また、
図14には記載していないが、第2の薄膜トランジスタにバックゲート電極を設け、そこに共通電極電位またはGND電位または特定の一定電位を接続してもよい。これにより、第2の薄膜トランジスタの動作は、安定する。同様に、第3の薄膜トランジスタにバックゲート電極を設け、そこに画素電極電位または共通電極電位またはGND電位または特定の一定電位を接続してもよい。これにより、第3の薄膜トランジスタの動作は、安定する。
【0086】
各構成要素の材質は、第3の実施形態と同様である。
【0087】
図14はボトムゲート・トップコンタクトの場合を示すが、本開示はこれに限定されず、トップゲートやボトムコンタクトでもよい。
【0088】
[第5の実施形態]
本開示の第5の実施形態の画素回路を
図15に示す。
図15で、センサ部109(例えば感圧媒体9)は刺激(圧力等)によって電位差が変化するタイプである。センサ部109の一端が共通電極10に、他端が第1の薄膜トランジスタのゲート電極G1に接続され、第1の薄膜トランジスタのドレイン電極D1はドレイン配線14を介して電源Vddに接続され、第1の薄膜トランジスタのソース電極S1は第2の薄膜トランジスタのドレイン電極D2に接続され、第2の薄膜トランジスタのゲート電極G2は走査配線12に接続され、第2の薄膜トランジスタのソース電極S2は信号配線15に接続され、後述する検出回路内の負荷抵抗20を含めると、第1の薄膜トランジスタはドレイン接地回路(ソースフォロワ)になっている。負荷抵抗20がアレイ外にあるため、信号配線15には電流が流れるので、インピーダンスが低く、ノイズが混入しにくい。また、ドレイン接地(ソースフォロワ)回路なので電流のみが増幅され、電圧はほぼ不変なので、第1の薄膜トランジスタの移動度やしきい値のばらつきの影響を受けにくい。
【0089】
また、共通配線11が第4の薄膜トランジスタのゲート電極G4に接続され、第4の薄膜トランジスタのドレイン電極D4はドレイン配線14を介して電源Vddに接続され、第4の薄膜トランジスタのソース電極S4は第5の薄膜トランジスタのドレイン電極D5に接続され、第5の薄膜トランジスタのゲート電極G5は走査配線12に接続され、第5の薄膜トランジスタのソース電極S5はリファレンス信号配線16に接続され、信号検出回路内の負荷抵抗20を含めると、第4の薄膜トランジスタはドレイン接地回路(ソースフォロワ)になっている。
【0090】
センサ部109および第1~第2の薄膜トランジスタからなる信号回路と、第4~第5の薄膜トランジスタからなるリファレンス回路との差を見ることにより、第1の薄膜トランジスタの移動度ばらつきやしきい値変化を第4の薄膜トランジスタの移動度ばらつきやしきい値変化でキャンセルし、かつ第2の薄膜トランジスタの移動度ばらつきや移動度変化を第5の薄膜トランジスタの移動度ばらつきやしきい値変化でキャンセルすることができる。なぜなら、ばらつきや特性変化は面内分布の影響が大きいので、同一画素内に形成された薄膜トランジスタのばらつきや特性変化が似ているからである。特に、第1の薄膜トランジスタの形状(チャネル幅とチャネル長)と第4の薄膜トランジスタの形状(チャネル幅とチャネル長)を等しくし、第2の薄膜トランジスタの形状(チャネル幅とチャネル長)と第5の薄膜トランジスタの形状(チャネル幅とチャネル長)を等しくするとよい。
【0091】
第5の実施形態におけるセンサアレイの検出方法は、例えば、第2の実施形態に係る信号検出回路、駆動検出回路、信号検出方法を好適に用いることができる。このとき、センサアレイの走査配線12はN本であり、信号配線15はM本である。
【0092】
センサ部109としては、感圧媒体9(電位差が変化するタイプ)が好適である。ただし、センサ部109として他の感圧媒体や、感変位媒体、感温媒体等を用いることも可能である。
【0093】
なお、測定を行う直前にドレイン配線14の電位を0→Vddにする場合、画素電極8の電位ずれを|Vdd×Cgd1/(Cgd1+Cp)|≦最大電位変化量×0.1にすればよいことは、第3の実施形態と同様である。
【0094】
図15の具体例を、
図16に示す。絶縁基板1上に、ゲート電極G1、G2、G4、G5を有し(G2とG5は走査配線12に接続され)、その上にゲート絶縁膜3を有し、その上に半導体SC1、SC2、SC4、SC5を有し、その上にソース電極S1、S2、S4、S5とドレイン電極D1、D2、D4、D5を有し(S1は接続配線17を介してD2に接続され、S4は接続配線17を介してD5に接続され、D1とD4はドレイン配線14に接続され、S2は信号配線15に接続され、S5はリファレンス信号配線16に接続され)、その上に層間絶縁膜7を有し、その上に画素電極8と共通配線11を有し(画素電極8は層間絶縁膜7の開口およびゲート絶縁膜3の開口に設けられたビア配線18U、18Lを介してゲート電極G1に接続され、共通配線11は層間絶縁膜7の開口およびゲート絶縁膜3の開口に設けられたビア配線18U、18Lを介してゲート電極G4に接続され)ている。さらにセンサ部109(例えば感圧媒体9)および共通電極10を有している。センサ部109は、画素電極8に接触または接合している。
【0095】
半導体SC1、SC2、SC4、SC5の上には絶縁性のエッチングストッパ層を有してもよいし、半導体SC1、SC2、SC4、SC5とソース電極S1、S2、S4、S5の界面および半導体SC1、SC2、SC4、SC5とドレイン電極D1、D2、D4、D5の界面には半導体SC1、SC2、SC4、SC5よりも抵抗が低いコンタクト層を有してもよい。
【0096】
また、画素電極8が厚い場合、画素電極8のない部分には隙間があいていてもよいし、絶縁物で埋められていてもよい。共通配線11はセンサ部109に接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
【0097】
なお、
図16では、画素電極8が第1の薄膜トランジスタのバックゲート電極になっており、共通配線11が第4の薄膜トランジスタのバックゲート電極になっている。これにより、画素電極8が第1の薄膜トランジスタのチャネル部を覆わずにゲート電極G1に接続されているだけの場合や、共通配線11が第4の薄膜トランジスタのチャネル部を覆わずにゲート電極G4に接続されているだけの場合よりも、安定した動作になる。また、
図16には記載していないが、第2の薄膜トランジスタにバックゲート電極を設け、そこに画素電極電位または共通電極電位またはGND電位または特定の一定電位を接続してもよい。これにより、第2の薄膜トランジスタの動作は、安定する。同様に、第5の薄膜トランジスタにバックゲート電極を設け、そこに共通電極電位またはGND電位または特定の一定電位を接続してもよい。これにより、第5の薄膜トランジスタの動作は、安定する。
【0098】
各構成要素の材質は、第3の実施形態と同様である。
【0099】
図16はボトムゲート・トップコンタクトの場合を示すが、本開示はこれに限定されず、トップゲートやボトムコンタクトでもよい。
【0100】
[第6の実施形態]
本開示の第6の実施形態の画素回路を
図17に示す。
図17では、
図15の画素回路にさらに第3の薄膜トランジスタを有し、第3の薄膜トランジスタのドレイン電極D3は画素電極8に接続され、ソース電極S3は共通配線11に接続され、ゲート電極G3はリセット配線13に接続されている。
【0101】
圧力測定を行う前に、センサ部109に刺激(圧力等)が印加されていない状態で、リセット配線13に第3の薄膜トランジスタがオンになる電圧(オン電圧)を印加する。すると画素電極8が第3の薄膜トランジスタを介して共通配線11に接続され、画素電極8に蓄積されていた電荷を0にできる。そして、リセット配線13に第3の薄膜トランジスタがオフになる電圧(オフ電圧)を印加し、かつドレイン配線14に電源Vddを印加する。
【0102】
なお、リセット配線13にオフ電圧を印加して第3の薄膜トランジスタをオフにする時、画素電極8の電位はΔVp=(Vreset(off)-Vreset(on))×Cgd3/(Cgd3+Cp+Cgd1)だけずれ、ドレイン配線14の電位を0→Vddにする時、画素電極8の電位はΔVp=Vdd×Cgd1/(Cgd1+Cp+Cgd3)だけずれ、両者が打ち消しあう効果があることは、第2の実施形態と同様である。第2の実施形態と同様に、|Vdd×Cgd1/(Cgd1+Cp+Cgd3)-{Vreset(on)-Vreset(off)}×Cgd3/(Cgd3+Cp+Cgd1)|≦最大電位変化量×0.1であればよい。
【0103】
測定の方法は、第5の実施形態と同様であり、第6の実施形態におけるセンサアレイの検出方法は、例えば、第2の実施形態に係る信号検出回路、駆動検出回路、信号検出方法を好適に用いることができる。
【0104】
図17の具体例を、
図18に示す。絶縁基板1上に、ゲート電極G1、G2、G3、G4、G5を有し(G2とG5は走査配線12に接続され、G3はリセット配線13に接続され)、その上にゲート絶縁膜3を有し、その上に半導体SC1、SC2、SC3、SC4、SC5を有し、その上にソース電極S1、S2、S3、S4、S5とドレイン電極D1、D2、D3、D4、D5を有し(S1は接続配線17を介してD2に接続され、D3はゲート絶縁膜3の開口に設けられたビア配線18Lを介してゲート電極G1に接続され、S4は接続配線17を介してD5に接続され、D1とD4はドレイン配線14に接続され、S2は信号配線15に接続され、S5はリファレンス信号配線16に接続され、S3は共通配線11に接続され)、その上に層間絶縁膜7を有し、その上に画素電極8および共通配線11を有し(画素電極8は層間絶縁膜7の開口に設けられたビア配線18Uを介してドレイン電極D3に接続され、共通配線11は層間絶縁膜7およびゲート絶縁膜3の開口に設けられたビア配線18U、18Lを介してゲート電極G4に接続され)ている。さらにセンサ部109(例えば感圧媒体9)および共通電極10を有している。センサ部109は、画素電極8に接触または接合している。
【0105】
半導体SC1、SC2、SC3、SC4、SC5の上には絶縁性のエッチングストッパ層を有してもよいし、半導体SC1、SC2、SC3、SC4、SC5とソース電極S1、S2、S3、S4、S5の界面および半導体SC1、SC2、SC3、SC4、SC5とドレイン電極D1、D2、D3、D4、D5の界面には半導体SC1、SC2、SC3、SC4、SC5よりも抵抗が低いコンタクト層を有してもよい。
【0106】
また、画素電極8が厚い場合、画素電極8のない部分には隙間があいていてもよいし、絶縁物で埋められていてもよい。共通配線11はセンサ部109に接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
【0107】
各構成要素の材質は、第3の実施形態と同様である。
【0108】
なお、
図18では、画素電極8が第1の薄膜トランジスタのバックゲート電極になっており、共通配線11が第4の薄膜トランジスタのバックゲート電極になっている。これにより、画素電極8が第1の薄膜トランジスタのチャネル部を覆わずにゲート電極G1に接続されているだけの場合や、共通配線11が第4の薄膜トランジスタのチャネル部を覆わずにゲート電極G4に接続されているだけの場合よりも、安定した動作になる。また、
図12には記載していないが、第2の薄膜トランジスタにバックゲート電極を設け、そこに画素電極電位または共通電極電位またはGND電位または特定の一定電位を接続してもよい。これにより、第2の薄膜トランジスタの動作は、安定する。同様に、第3の薄膜トランジスタにバックゲート電極を設け、そこに画素電極電位または共通電極電位またはGND電位または特定の一定電位を接続してもよい。これにより、第3の薄膜トランジスタの動作は、安定する。同様に、第5の薄膜トランジスタにバックゲート電極を設け、そこに共通電極電位またはGND電位または特定の一定電位を接続してもよい。これにより、第5の薄膜トランジスタの動作は、安定する。
【0109】
図18はボトムゲート・トップコンタクトの場合を示すが、本開示はこれに限定されず、トップゲートやボトムコンタクトでもよい。
【0110】
また、センサ部109を、+の刺激(加圧等)の時に画素電極8側の電位が上がる向きにした場合、刺激なし時の信号電圧を0~+2[V]のどこかに調整するのがよい。そうすれば、信号検出において0~+5V入力のADコンバータを用いる場合に、5~3Vの検出範囲を使用できる。センサ部109を、+の刺激(加圧等)の時に画素電極8側の電位が下がる向きにした場合、刺激なし時の信号電圧を+3~+5[V]のどこかに調整するのがよい。そうすれば、0~+5V入力のADコンバータを用いる場合に、3~5Vの検出範囲を使用できる。
【0111】
また、センサ部109を、+の刺激(加圧等)の時に画素電極8側の電位が上がる向きにした場合、差動増幅回路24で加算する電圧Vbaseを0~+2[V]のどこかに調整するのがよい。そうすれば、0~+5V入力のADコンバータを用いる場合に、5~3Vの検出範囲を使用できる。センサ部109を、+の刺激(加圧等)の時に画素電極8側の電位が下がる向きにした場合、差動増幅回路24で加算する電圧Vbaseを+3~+5[V]のどこかに調整するのがよい。そうすれば、0~+5V入力のADコンバータを用いる場合に、3~5Vの検出範囲を使用できる。
【0112】
[第7の実施形態]
図19に基づいて、第1の実施形態の信号検出回路または駆動検出回路、あるいは第2の実施形態の信号検出回路または駆動検出回路を用いた、健康状態推定システムを説明する。
図19は本開示の介護データ収集・判定システムの実例を示すブロック図である。介護データ収集・判定システムは、介護センサ装置とデータ収集・判定装置を備える。介護センサ装置は、第1または第2の実施形態の信号検出回路に通信回路を追加したものであり、信号検出回路、通信回路、感圧センサアレイ、マイクロコンピュータ、駆動回路を備える。介護センサ装置の通信回路は、外部回路とデータ通信する回路であり、有線通信と無線通信が可能であるが、特にブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信が好適であり、さらにはインターネットに接続することが好適である。データ収集・判定装置は、通信回路とコンピュータとデータベースとを有し、(1)介護センサ装置で検出したデータをそのまま、あるいは加工して、データベースに保存する。その際、被介護者の病状もいっしょに保存することもできる。(2)人工知能を用いてデータベース内のビッグデータを機械学習等により解析し、体勢と病状との関係を明らかにする。(3)介護センサ装置で検出したデータをデータベースのデータと比較し、病状の判定を行う。という3つの動作を行うことができる。
【0113】
1つのデータ収集・判定装置が1つの介護センサ装置とのみ接続してもよいし、1つのデータ収集・判定装置が複数の介護センサ装置と接続してもよい。1つの介護センサ装置とのみ接続する場合、データのやりとりが容易であるが、介護センサ装置の応答速度が速い必要がある。あるいはデータ収集・判定装置の速度はあまり速くなくてよい。複数の介護センサ装置と接続する場合、データのやりとりは複雑になるが、各々の介護センサ装置の動作速度は遅くてもよい。あるいはデータ収集・判定装置の速度は速い必要がある。
【0114】
また、
図19でコンピュータとデータベースは1つのデータ収集・判定装置内にあるが、コンピュータとデータベースとが通信回路を介して通信してもよい。
【0115】
介護センサ装置の実例を、
図20に示す。
図20ではベッド201上に介護センサ装置200が見えるように記載しているが、実際にはこの上にシーツを乗せて、その上に被介護者に寝てもらう。
図20(a)と(b)の介護センサ装置200は、ベッド上に大型シート状のセンサアレイ200A(例えば圧力センサアレイ)を有する。200Gが駆動回路、200Sが信号検出回路、200Cが制御・通信回路である。
図20(a)のように短辺を駆動側にしてもよいし、(b)のように、長辺を駆動側にしてもよい。
【0116】
図20(c)の介護センサ装置200は、帯状のセンサアレイ200Aを複数有し、信号検出回路200Sに帯状のセンサアレイ200Aの短辺を全て接続し、帯状の長辺の隣同士を駆動配線間接続部品200WGで接続することで1つの駆動回路200Gに全てのゲート配線を接続し、1つの制御・通信回路200Cを有する。
図20(d)の介護センサ装置200は、小型シート状のセンサアレイ200Aを複数有し、小型シート状のセンサアレイ200Aの信号配線同士を信号配線間接続部品200WSで接続して信号検出回路200Sに接続し、小型シート状のセンサアレイ200Aの駆動配線同士を駆動配線間接続部品200WGで接続して1つの駆動回路200Gに接続し、1つの制御・通信回路200Cを有する。
図20(c)と
図20(d)は、
図20(a)の大型シート状のセンサアレイを、複数の帯状のセンサアレイ、または複数の小型シート状のセンサアレイで代替したものである。
図20(b)のように駆動側と信号側を入れ替えてもよい。これらは、1つの介護センサ装置200として動作する。
【0117】
図20(e)の介護センサ装置200は、帯状のセンサアレイ200Aを複数有し、信号検出回路200Sに帯状のセンサアレイ200Aの短辺を接続し、複数の駆動回路200Gに各々の帯状のセンサアレイ200Aの長辺を接続し、複数の制御・通信回路200Cを有する。
図20(f)の介護センサ装置200は、小型シート状のセンサアレイ200Aを複数有し、小型シート状のセンサアレイ200Aの信号配線同士を信号配線間接続部品200WSで接続して帯状セットを形成して信号検出回路200Sに接続し、複数の駆動回路200Gに各々の帯状セットを接続し、複数の制御・通信回路200Cを有する。
図20(e)と
図20(f)は、複数の介護センサ装置200として動作する。
【0118】
また、センサアレイを体勢の判定に適用する場合、全ての画素の刺激値(圧力等)が正確に測定される場合でなくても判定は可能である。1画素の検知部に不具合が発生して異常データとなっても、周囲の画素のデータから補間して判定することができる。また複数の画素の検知部に不具合が発生して異常データとなっても、周囲の画素のデータから補間して判定することができる。この場合は、不具合が生じる画素が分散している場合であれば、密集している場合と比べて、データを補間がしやすい。しかし密集している場合でも、一定の補間は可能である。尚、センサアレイは圧力センサに限らない。具体的には、変位センサや温度センサをセンサアレイとできる。つまり、変位センサアレイや温度センサアレイにも適用可能である。さらには、例えば温度センサと圧力センサの両方を備えた、複合センサアレイにも適用できる。
【0119】
さらに
図22のように、ドレイン配線14には電流制限回路40を設けることが好適である。アレイ内でドレイン配線14と他配線(走査配線12、信号配線15、リファレンス信号配線16、共通電極37等)との間に短絡が発生した場合に、過大電流が流れることを防止する。その際、
図22(a)のように電源が1つの電流制限回路40を通ってから分岐して、全てのドレイン配線14に接続されてもよいが、その場合には1か所の異常によって全てのドレイン配線14の電圧が低下し、センサアレイ全体が異常値を示す。そこで
図22(b)のように、電源を分岐して、分岐したそれぞれが電流制限回路40を通ってから、個々のドレイン配線14に接続されることが望ましい。通常は、ドレイン配線14を列毎または行毎に設けるので、そのドレイン配線14毎に1個ずつの電流制限回路40を設けることが好適である。この場合、1か所の異常によって1本のドレイン配線14の電圧が低下し、1列または1行のセンサが異常値を示すことになるが、1列や1行の異常は補間によって補正することができる。あるいは
図22(c)のように、複数の電流制限回路40のそれぞれに、複数の列配線または行配線を担当させることもできる。その際、
図22(d)のように1個の電流制限回路40が担当する列配線または行配線を隣接させず間に別の電流制限回路40が担当する列配線または行配線を設けることにより、1か所の異常が複数列または複数行の連続した異常になることを回避でき、補間が可能になる。なお、電流制限回路40は、
図22(a)に示す回路に限定されず、他の方式の電流制限回路でもよい。
【0120】
以上のように、第1の実施形態の信号検出回路または駆動検出回路、あるいは第2の実施形態の信号検出回路または駆動検出回路を適用することで、健康状態推定を行うことができる介護データ収集・判定システムを提供することができる。
【実施例】
【0121】
(実施例1)
図1の信号検出回路を作製した。第1の切替回路101は8入力1出力のアナログマルチプレクサ、負荷抵抗20は1MΩの金属皮膜抵抗、電圧検出アンプ53はオペアンプによるボルテージフォロワ、第2の切替回路102は8入力1出力のアナログマルチプレクサ、ADコンバータ25は0~+5V入力で0~255レベル(8bit)出力とした。この回路はM
1=8、M
2=8、L=8であり、M=64本の信号配線15を有するセンサアレイに対応する。電圧検出アンプ53には発振防止回路を組み込み、電圧検出アンプ53の出力側にはADコンバータ入力保護回路を設けた。
【0122】
マイコンと3bitカウンタを用いて第1の切替回路101を制御し、同マイコンで第2の切替回路102とADコンバータ25も制御し、1行64列の圧力センサアレイの信号を検出した。ADコンバータ25の測定時間を(準備時間104μs+実計測時間52μs)=156μsとし、第2の切替回路102の出力の応答の時定数は3μs程度、第1の切替回路101の出力の応答の時定数は500μs程度であった。第1の切替回路101の出力の応答の時定数が、(M
2-1)×ADコンバータ測定時間=1092μsに比べて小さいので、
図5の信号検出方法によって、信号が安定してからの高精度の測定ができた。
【0123】
(実施例2)
実施例1の信号検出回路に、実施例1で用いたマイコンおよびカウンタを制御回路5とカウンタ49として加え、さらに駆動回路6を追加して、
図3の駆動検出回路を作製した。駆動回路は、オン電圧として+15Vを、またはオフ電圧として-15Vを出力する。
【0124】
この駆動検出回路を用いて、
図5の信号検出方法によって、8行64列の圧力センサアレイの信号を検出した。ADコンバータ25の測定時間を(準備時間104μs+実計測時間52μs)=156μsとし、第2の切替回路102の出力の応答の時定数は3μs程度、第1の切替回路101の出力の応答の時定数は500μs程度であった。第1の切替回路101の出力の応答の時定数が、(M
2-1)×ADコンバータ測定時間=1092μsに比べて小さいので、
図5の信号検出方法によって、信号が安定してからの高精度の測定ができた。
【0125】
(実施例3)
図7の信号検出回路を作製した。第1の切替回路101および第3の切替回路103には(8入力1出力×2セット)のアナログマルチプレクサの各セットを用い、負荷抵抗20、21は1MΩの金属皮膜抵抗、電圧検出アンプ53、54はオペアンプによる非反転増幅回路、差動増幅回路24はオペアンプによる回路、第2の切替回路102は8入力1出力のアナログマルチプレクサ、ADコンバータ25は0~+5V入力で0~255レベル(8bit)出力とした。この回路はM
1=8、M
2=8、L=8であり、M=64本の信号配線と64本のリファレンス信号配線を有するセンサアレイに対応する。電圧検出アンプ53、54には発振防止回路を組み込み、電圧検出アンプ53、54の出力側にはADコンバータ入力保護回路を設けた。
【0126】
マイコンおよび3bitカウンタを用いて第1の切替回路101および第3の切替回路103を制御し、同マイコンで第2の切替回路102とADコンバータ25も制御し、1行64列の圧力センサアレイの信号を検出した。ADコンバータ25の測定時間を(準備時間104μs+実計測時間52μs)=156μsとし、第2の切替回路102の出力の応答の時定数は3μs程度、第1の切替回路101の出力の応答の時定数は500μs程度であった。第1の切替回路101の出力の応答の時定数が、(M
2-1)×ADコンバータ測定時間=1092μsに比べて小さいので、
図9の信号検出方法によって、信号が安定してからの高精度の測定ができた。
【0127】
(実施例4)
実施例3の信号検出回路に、実施例3で用いたマイコンおよびカウンタを加え、さらに駆動回路6を追加して、
図8の駆動検出回路を作製した。駆動回路6は、オン電圧として+15Vを、またはオフ電圧として-15Vを出力する。
【0128】
この駆動検出回路を用いて、
図9の信号検出方法によって、8行64列の圧力センサアレイの信号を検出した。ADコンバータ25の測定時間を(準備時間104μs+実計測時間52μs)=156μsとし、第2の切替回路102の出力の応答の時定数は3μs程度、第1の切替回路101および第3の切替回路103の出力の応答の時定数は500μs程度であった。第1の切替回路101および第3の切替回路103の出力の応答の時定数が、(M
2-1)×ADコンバータ測定時間=1092μsに比べて小さいので、
図9の信号検出方法によって、信号が安定してからの高精度の測定ができた。
【0129】
(実施例5)
図12のセンサアレイを作製した。絶縁基板1としてガラス基板上のPET膜を用い、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、ゲート電極G1、G2と走査配線12を形成した。次に、感光性アクリルを成膜・パターン露光・現像して、開口付きのゲート絶縁膜3を形成した。また、非晶質InGaZnOを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、半導体パターンSC1、SC2を形成した。そして、半導体パターンSC1、SC2の、チャネルとなる部分の上にエッチングストッパ層としてSiO
2パターンを形成した(図示せず)。
【0130】
さらに、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、ソース電極S1、S2、ドレイン電極D1、D2、接続配線17(S1-D2間)、信号配線15、ドレイン配線14、ビア配線18L(画素電極-G1間の下半分)を形成した。
【0131】
そして、感光性アクリルを成膜・パターン露光・現像して、開口付きの層間絶縁膜7を形成した。次に、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、画素電極8およびビア配線18U(画素電極8-G1間の上半分)を形成し
た。この時、画素電極8はビア配線18U、18Lによってゲート電極G1に接続された。
【0132】
さらに、片側全面にMoが付いた感圧媒体(ポリフッ化ビニリデン3フッ化エチレン共重合体、分極処理済)を、感圧媒体側が画素電極8に接触するように設置して、センサ部109(感圧媒体9)および共通電極10とした。そして、絶縁基板1であるPET膜から、ガラス基板を剥離した。画素電極8が薄いので、センサ部109(感圧媒体9)は画素電極8以外の部分では層間絶縁膜7に接触しており、隙間はほとんどない。
【0133】
ここで、第1の薄膜トランジスタのゲート・ドレイン間容量(画素電極・ドレイン配線間容量を含む)Cgd1=1.53pF、画素電極8・共通電極10間容量Cp=63.1pFであった。
【0134】
図23の検出回路を用い、共通電極10に+1V、ドレイン配線14に+10V、走査配線12のうち1本にオン電圧+15V、他にオフ電圧-15Vを印加して、1画素分の圧力依存信号を得た。アナログスイッチ22を切り替えることで、1行分の圧力依存信号を得た。走査配線12のオン電圧位置を変えて同様の操作を行い、全画素の圧力依存信号を得た。圧力依存信号から、各画素の圧力がわかる。また、Vdd印加時の画素電極8の電位変化は0.24Vであり、感圧媒体9の最大電位変化量(圧力800kPa時)が4Vなので、Vdd印加時の画素電極8の電位変化による誤差は最大電位変化量の6%と充分に小さい。
【0135】
(実施例6)
図14のセンサアレイを作製した。絶縁基板1としてガラス基板上のポリイミド膜を用い、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、ゲート電極G1、G2、G3、走査配線12、リセット配線13を形成した。次に、感光性アクリルを成膜・パターン露光・現像して、開口付きのゲート絶縁膜3を形成した。また、非晶質InGaZnOを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、半導体パターンSC1、SC2、SC3を形成した。そして、半導体パターンSC1、SC2、SC3の、チャネルとなる部分の上にエッチングストッパ層としてSiO
2パターンを形成した(図示せず)。
【0136】
さらに、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、ソース電極S1、S2、S3、ドレイン電極D1、D2、D3、接続配線17(S1-D2間)、ビア配線18L(D3-G1間)、信号配線15、ドレイン配線14を形成した。
【0137】
そして、感光性アクリルを成膜・パターン露光・現像して、開口付きの層間絶縁膜7を形成した。次に、Agペーストをスクリーン印刷して、画素電極8とビア配線18U(画素電極8-D3間)を形成した。この時、画素電極8はビア配線18U、18Lによってドレイン電極D3およびゲート電極G1に接続された。
【0138】
さらに、片側全面にMoが付いた感圧媒体(ポリフッ化ビニリデン3フッ化エチレン共重合体、分極処理済)を、感圧媒体側が画素電極8に接合するように設置して、センサ部109(感圧媒体9)および共通電極10とした。また、絶縁基板1であるポリイミド膜から、ガラス基板を剥離した。画素電極8が厚いので、センサ部109(感圧媒体9)は層間絶縁膜7に接触しておらず、画素電極8がない部分には隙間がある。
【0139】
ここで、第1の薄膜トランジスタのゲート・ドレイン間容量(画素電極・ドレイン配線間容量を含む)Cgd1=1.53pF、第3の薄膜トランジスタのゲート・ドレイン間
容量(画素電極・ドレイン配線間容量を含む)Cgd3=0.69pF、画素電極8・共通電極10間容量Cp=63.1pFであった。
【0140】
図24の検出回路を用い、最初に、共通電極10に+1V、ドレイン配線14に0Vの状態で、リセット配線13にオン電圧+15Vを印加した。次に、リセット配線13の電位をオフ電圧-15Vに、ドレイン配線14の電位を+15Vにした。
【0141】
走査配線12のうち1本にオン電圧+15V、他にオフ電圧-15Vを印加して、1画素分の圧力依存信号を得た。アナログスイッチ22を切り替えることで、1行分の圧力依存信号を得た。走査配線12のオン電圧位置を変えて同様の操作を行い、全画素の圧力依存信号を得た。圧力依存信号から、各画素の圧力がわかる。また、VresetオフかつVdd印加時の画素電極8の電位変化は0.027Vであり、感圧媒体9の最大電位変化量(圧力800kPa時)が4Vなので、VresetオフかつVdd印加時の画素電極8の電位変化による誤差は最大電位変化量の0.7%と充分に小さい。
【0142】
(実施例7)
図16のセンサアレイを作製した。絶縁基板1としてガラス基板上のPET膜を用い、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、ゲート電極G1、G2、G4、G5、走査配線12を形成した。次に、感光性アクリルを成膜・パターン露光・現像して、開口付きのゲート絶縁膜3を形成した。また、非晶質InGaZnOを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、半導体パターンSC1、SC2、SC4、SC5を形成した。そして、半導体パターンSC1、SC2、SC4、SC5の、チャネルとなる部分の上にエッチングストッパ層としてSiO
2パターンを形成した(図示せず)。
【0143】
さらに、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、ソース電極S1、S2、S4、S5、ドレイン電極D1、D2、D4、D5、接続配線17(S1-D2間)、接続配線17(S4-D5間)、信号配線15、リファレンス信号配線16、ドレイン配線14、共通配線11、ビア配線18L(画素電極8-G1間の下半分)、ビア配線18L(共通配線11-G4間の下半分)を形成した。
【0144】
そして、感光性アクリルを成膜・パターン露光・現像して、開口付きの層間絶縁膜7を形成した。次に、Agペーストをスクリーン印刷して、画素電極8、共通配線11、ビア配線18U(画素電極8-G1間の上半分)、ビア配線18U(共通配線11-G4間の上半分)を形成した。この時、画素電極8はゲート電極G1に接続され、共通配線11はゲート電極G4に接続された。
【0145】
さらに、片側全面にMoが付いた感圧媒体(ポリフッ化ビニリデン3フッ化エチレン共重合体、分極処理済)を、感圧媒体側が画素電極8に接合するように設置して、センサ部109(感圧媒体9)および共通電極10とした。また、絶縁基板1であるPET膜から、ガラス基板を剥離した。
【0146】
ここで、第1の薄膜トランジスタのゲート・ドレイン間容量(画素電極・ドレイン配線間容量を含む)Cgd1=1.53pF、画素電極8・共通電極10間容量Cp=63.1pFであった。
【0147】
図25の検出回路を用い、共通電極10に+1V、ドレイン配線14に+10V、走査配線12のうち1本にオン電圧+15V、他にオフ電圧-15Vを印加して、1画素分の圧力依存信号を得た。アナログスイッチ22を切り替えることで、1行分の圧力依存信号を得た。走査配線12のオン電圧位置を変えて同様の操作を行い、全画素の圧力依存信号を得た。圧力依存信号から、各画素の圧力がわかる。また、Vdd印加時の画素電極8の電位変化は0.24Vであり、感圧媒体9の最大電位変化量(圧力800kPa時)が4Vなので、Vdd印加時の画素電極8の電位変化による誤差は最大電位変化量の6%と充分に小さい。なお、検出回路のVbase=0.5[V]とした。
【0148】
(実施例8)
図18のセンサアレイを作製した。絶縁基板1としてガラス基板上のポリイミド膜を用い、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、ゲート電極G1、G2、G3、G4、G5、走査配線12、リセット配線13を形成した。次に、感光性アクリルを成膜・パターン露光・現像して、開口付きのゲート絶縁膜3を形成した。また、非晶質InGaZnOを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、半導体パターンSC1、SC2、SC3、SC4、SC5を形成した。そして、半導体パターンSC1、SC2、SC3、SC4、SC5の、チャネルとなる部分の上にエッチングストッパ層としてSiO
2パターンを形成した(図示せず)。
【0149】
さらに、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、ソース電極S1、S2、S3、S4、S5、ドレイン電極D1、D2、D3、D4、D5、接続配線17(S1-D2間)、ビア配線18L(D3-G1間)、接続配線17(S4-D5間)、信号配線15、ドレイン配線14、ビア配線18L(共通配線11-G4間配線の下半分)を形成した。
【0150】
そして、感光性アクリルを成膜・パターン露光・現像して、開口付きの層間絶縁膜7を形成した。次に、Agペーストをスクリーン印刷して、画素電極8、ビア配線18U(画素電極8-D1間)、共通配線11、ビア配線18U(共通配線11-G4間の上半分)を形成した。この時、画素電極8はドレイン電極D3およびゲート電極G1に接続され、共通配線11はゲート電極G4に接続された。
【0151】
さらに、片側全面にMoが付いた感圧媒体(ポリフッ化ビニリデン3フッ化エチレン共重合体、分極処理済)を、感圧媒体側が画素電極8に接合するように設置して、センサ部109(感圧媒体9)および共通電極10とした。また、絶縁基板1であるポリイミド膜から、ガラス基板を剥離した。
【0152】
ここで、第1の薄膜トランジスタのゲート・ドレイン間容量(画素電極・ドレイン配線間容量を含む)Cgd1=1.53pF、第3の薄膜トランジスタのゲート・ドレイン間容量(画素電極・ドレイン配線間容量を含む)Cgd3=0.69pF、画素電極8・共通電極10間容量Cp=63.1pFであった。
【0153】
図26の検出回路を用い、最初に、共通電極10に+1V、ドレイン配線14に0Vの状態で、リセット配線13にオン電圧+15Vを印加した。次に、リセット配線13の電位をオフ電圧-15Vに、ドレイン配線14の電位を+15Vにした。
【0154】
走査配線12のうち1本にオン電圧+15V、他にオフ電圧-15Vを印加して、1画素のうち感圧側の信号を得た。アナログスイッチ22を切り替えることで、非感圧側の信号を得た。さらにアナログスイッチ22を切り替えることで、1行分の感圧側および非感圧側の信号を得た。走査配線12のオン電圧位置を変えて同様の操作を行い、全画素の感圧側および非感圧側の信号を得た。感圧側信号から非感圧側信号を引いた値から、各画素の圧力がわかる。また、VresetオフかつVdd印加時の画素電極8の電位変化は0.027Vであり、感圧媒体9の最大電位変化量(圧力800kPa時)が4Vなので、VresetオフかつVdd印加時の画素電極8の電位変化による誤差は最大電位変化量
の0.7%と充分に小さい。なお、検出回路のVbase=1.0[V]とした。
【0155】
(比較例1)
図30の信号検出回路を作製した。切替回路100は8入力1出力のアナログマルチプレクサを8個用い、負荷抵抗122は1MΩの金属皮膜抵抗、電圧検出アンプ123はオペアンプによるボルテージフォロワ、ADコンバータ124は0~+5V入力で0~255レベル(8bit)出力とした。この回路には、負荷抵抗122と電圧検出アンプ123を64個用いた。この回路は、64本の信号配線15を有するセンサアレイに対応する。
【0156】
マイコンを用いて切替回路100を制御し、同マイコンでADコンバータ124も制御し、1行64列の圧力センサアレイの信号を検出した。ADコンバータ124の測定時間を(準備時間104μs+実計測時間52μs)=156μsとし、切替回路100の出力の応答の時定数は500μs程度であった。切替回路100の出力の応答の時定数が、ADコンバータ測定時間=156μsに比べて大きいので、信号が安定せず測定精度が悪かった。
【0157】
(比較例2)
実施例2の信号検出回路を用いて、
図4の信号検出方法によって、8行64列の圧力センサアレイの信号を検出した。ADコンバータ25の測定時間を(準備時間104μs+実計測時間52μs)=156μsとし、第2の切替回路102の出力の応答の時定数は3μs程度、第1の切替回路101の出力の応答の時定数は500μs程度であった。第1の切替回路101の出力の応答の時定数が、ADコンバータ測定時間=156μsに比べて大きいので、
図4の信号検出方法によって、信号が安定せず測定精度が悪かった。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本開示は、各種センサアレイ用の信号検出回路や駆動検出回路として利用できる。また、電位差が変化するタイプのセンサ部を用いた各種センサアレイに利用できる。さらには、健康状態推定システムを含むセンサシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0159】
1 … 絶縁基板
G1、G2、G3、G4、G5 … ゲート電極
3 … ゲート絶縁膜
SC1、SC2、SC3、SC4、SC5 … 半導体パターン
S1、S2、S3、S4、S5 … ソース電極
D1、D2、D3、D4、D5 … ドレイン電極
5 … 制御回路
6 … 駆動回路
7 … 層間絶縁膜
8 … 画素電極
9 … 感圧媒体(電位差が変化するタイプ)
10 … 共通電極
11 … 共通配線
12 … 走査配線
13 … リセット配線
14 … ドレイン配線
15 … 信号配線
16 … リファレンス信号配線
17(S1-D2、S4-D5) … 接続配線
18L、18U … ビア配線
20、21 … 負荷抵抗
22 … アナログスイッチ
24 … 差動増幅回路
25 … アナログ-デジタル変換回路(ADコンバータ)
31 … 薄膜トランジスタ
32 … 走査配線
33 … 信号配線
36 … 電源配線
38 … TFT
39 … 感圧媒体(抵抗が変化するタイプ)
40 … 電流制限回路
41 … 第1の薄膜トランジスタ
42 … 第2の薄膜トランジスタ
43 … ドレイン抵抗
44 … 走査配線
45 … 信号配線
48 … 制御信号(デジタル配線)
49 … カウンタ
53、54 …電圧検出アンプ
100 … 切替回路
101 … 第1の切替回路
102 … 第2の切替回路
103 … 第3の切替回路
109 … センサ部
115 … 信号配線
122 … 負荷抵抗
123 … 電圧検出アンプ
124 … ADコンバータ
125 … 制御回路
126 … 駆動回路
127 … 走査配線
130 … 感圧媒体(抵抗が変化するタイプ)
140 … 無機感圧媒体(電位差が変化するタイプ)
200 … 介護センサ装置
200A … 圧力センサアレイ
200G … 駆動回路
200S … 信号検出回路
200C … 制御・通信回路
200WG … 駆動配線間接続部品
200WS … 信号配線間接続部品
201 … ベッド
T1 … TFT1
T2 … TFT2
T3 … TFT3
T4 … TFT4