(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-21
(45)【発行日】2025-04-30
(54)【発明の名称】光源装置、光装置および制御光生成方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/077 20130101AFI20250422BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20250422BHJP
【FI】
H04B10/077
H04J14/02
(21)【出願番号】P 2022574871
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(86)【国際出願番号】 JP2021000615
(87)【国際公開番号】W WO2022153350
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】大沼 岳人
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/154454(WO,A1)
【文献】米国特許第10784981(US,B2)
【文献】特開2020-053852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然放射増幅光を生成する光生成手段と、
前記自然放射増幅光を
複数の光伝送路を伝搬する複数の分岐光に分岐する光分岐手段と、
前記複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを制御して、波形整形分岐光を生成する光制御手段
と、
前記波形整形分岐光を、前記複数の光伝送路ごとに設けられる複数のインターフェイス装置にそれぞれ導入するように構成された接続手段、とを有
し、
前記光制御手段は、前記複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを、前記複数の光伝送路のうちの一の特性に応じて制御する
光源装置。
【請求項2】
前記波形整形分岐光を増幅するように構成された第1の光増幅手段をさらに有する
請求項
1に記載した光源装置。
【請求項3】
前記複数の分岐光の少なくとも一を増幅するように構成された第2の光増幅手段をさらに有する
請求項
1又は2に記載した光源装置。
【請求項4】
前記光生成手段は、コアに希土類元素を含む光導波路、および前記希土類元素を励起する励起光を生成する励起レーザを備える
請求項
1から3のいずれか一項に記載した光源装置。
【請求項5】
前記光制御手段は、波長選択スイッチを備える
請求項
1から4のいずれか一項に記載した光源装置。
【請求項6】
自然放射増幅光を生成する光生成手段と、
前記自然放射増幅光を複数の光伝送路を伝搬する複数の分岐光に分岐する光分岐手段と、
前記複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを制御して、波形整形分岐光を生成する光制御手段と、
を備える光源装置と、
前記複数の光伝送路ごとに設けられる複数のインターフェイス装置とを有し、
前記複数のインターフェイス装置はそれぞれ、前記波形整形分岐光と主信号光を合波する光合波手段を備える
光装置。
【請求項7】
前記波形整形分岐光を、前記複数のインターフェイス装置にそれぞれ導入するように構成された接続手段をさらに有する
請求項6に記載した光装置。
【請求項8】
前記光制御手段は、前記複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを、前記複数の光伝送路のうちの一の特性に応じて制御する
請求項7に記載した光装置。
【請求項9】
前記波形整形分岐光を増幅するように構成された第1の光増幅手段をさらに有する
請求項6から8のいずれか一項に記載した光装置。
【請求項10】
自然放射増幅光を生成し、
前記自然放射増幅光を
複数の光伝送路を伝搬する複数の分岐光に分岐し、
前記複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを
前記複数の光伝送路のうちの一の特性に応じて制御して、波形整形分岐光を生成
し、
前記波形整形分岐光を、前記複数の光伝送路ごとに設けられる複数のインターフェイス装置にそれぞれ導入する
制御光生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、光装置、制御光生成方法、および送信光生成方法に関し、特に、光海底ケーブルシステムに用いられる光源装置、光装置、制御光生成方法、および送信光生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大陸間を光ファイバで結ぶ光海底ケーブルシステムは、国際的な通信ネットワークを支えるインフラとして重要な役割を担っている。光海底ケーブルシステムは、光ファイバを収容する海底ケーブル、光増幅器を搭載した海底中継器、光信号を分岐する海底分岐装置、および陸揚げ局に設置された端局装置等により構成される。
【0003】
海底分岐装置として、複数の異なる方路からの波長多重光を波長分割または波長多重して伝送するROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexing)機能を備えた光伝送装置が導入されている。このような光伝送装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された関連する光伝送装置は、高速VOA(Variable Optical Attenuator、可変光減衰器)、1×kSPL(Splitter)、光フィルタ、およびASE(Amplified Spontaneous Emission)光源を有する。さらに関連する光伝送装置は、CPL(Coupler、カプラ)およびM×1WSS(Wavelength Selective Switch、波長選択スイッチ)を有する。
【0005】
ここで、光フィルタは、ASE光源から出力された自然放出光から、各信号光の波長において信号光と同程度の光スペクトル幅を有するダミー光を生成する。1×kSPLは、光フィルタから出力されたダミー光をk分岐して方路1~方路kのそれぞれに向けて出力する。高速VOAは、異常であると判定された方路に対して、異常と判定された信号光の光レベルとダミー光の光レベルとの和が所定の目標値になるように、ダミー光の光レベルを制御する。
【0006】
CPLは、主信号系の光伝送路に出力された信号光と、高速VOAから出力されたダミー光とを合波する。そして、M×1WSSは、各方路のCPLから主信号系の光伝送路に出力された光、及び送信器から挿入された光を合波した波長多重光を方路lの光伝送路に出力する。
【0007】
このような構成としたことにより、関連する光伝送装置によれば、光サージの発生を防ぎ、他の方路から多重される信号光の劣化を防ぐことができる、としている。
【0008】
また、関連技術としては、特許文献2および3に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2015-95808号公報
【文献】特開2012-109653号公報
【文献】特開2000-174701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、特許文献1に記載された関連する光伝送装置においては、各方路からの信号光に分岐したダミー光をそれぞれ付加した後に合波し、合波した波長多重光を同一の方路に出力する構成としている。しかし、異なる方路(光伝送路)に出力される主信号光にダミー光(制御光)を付加する場合、光伝送路ごとに損失および利得の波長依存性が異なるので、制御光の光スペクトルも各光伝送路の特性に合わせる必要がある。したがって、制御光用の光源を共通化することは困難である。そのため、主信号光の出力先となる光伝送路ごとに制御光用の光源をそれぞれ備える必要があり、装置が大型化し、コストが増大する。
【0011】
このように、複数の光伝送路に制御光を導入する構成とすると、装置が大型化しコストが増大するという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、複数の光伝送路に制御光を導入する構成とすると、装置が大型化しコストが増大するという課題を解決する光源装置、光装置、制御光生成方法、および送信光生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の光源装置は、自然放射増幅光を生成する光生成手段と、自然放射増幅光を複数の分岐光に分岐する光分岐手段と、複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを制御して、波形整形分岐光を生成する光制御手段、とを有する。
【0014】
本発明の制御光生成方法は、自然放射増幅光を生成し、自然放射増幅光を複数の分岐光に分岐し、複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを制御して、波形整形分岐光を生成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光源装置、光装置、制御光生成方法、および送信光生成方法によれば、複数の光伝送路に制御光を導入する構成とした場合であっても、装置の大型化およびコストの増大を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る光源装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る光源装置の構成を示すブロック図である。
【
図3A】本発明の第2の実施形態に係る光源装置が備える光生成部によって生成された自然放射増幅光のスペクトルを示す図である。
【
図3B】本発明の第2の実施形態に係る光源装置が備える光制御部によって生成された波形整形分岐光のスペクトルを示す図である。
【
図4】本発明の第3の実施形態に係る光源装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態に係る光源装置の別の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第4の実施形態に係る光装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光源装置100の構成を示すブロック図である。光源装置100は、光生成部(光生成手段)110、光分岐部(光分岐手段)120、および光制御部(光制御手段)130を有する。光源装置100は、好適には光海底ケーブルシステムに用いられる。
【0019】
光生成部110は、自然放射増幅光を生成する。光分岐部120は、自然放射増幅光を複数の分岐光に分岐する。そして、光制御部130は、複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを制御して、波形整形分岐光を生成する。
図1には、複数の光制御部130を備え、各光制御部130が波形整形分岐光を生成することとした構成を示す。
【0020】
このように、本実施形態の光源装置100においては、光分岐部120が自然放射増幅光を複数の分岐光に分岐し、光制御部130がこの分岐光の帯域およびパワーを制御して波形整形分岐光を生成する構成としている。そのため、単一の光生成部110を共通に用いて、複数の光伝送路に波形整形分岐光を制御光(ダミー光)として導入することが可能である。すなわち、本実施形態の光源装置100によれば、複数の光伝送路に制御光を導入する構成とした場合であっても、装置の大型化およびコストの増大を回避することができる。
【0021】
ここで、光生成部110は、コアに希土類元素を含む光導波路、および希土類元素を励起する励起光を生成する励起レーザを備えた構成とすることができる。具体的には例えば、光生成部110として、光導波路にエルビウム添加ファイバを用いた増幅器(Erbium Doped Fiber Amplifier:EDFA)を無入力信号の状態としたASE(Amplified Spontaneous Emission)光源を用いることができる。なお、光生成部110が生成する自然放射増幅光(Amplified Spontaneous Emission:ASE)は、光スペクトルが連続でブロードな増幅された自然放射光である。
【0022】
光分岐部120として、典型的には多分岐の光スプリッタを用いることができる。
【0023】
光制御部130は、波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch:WSS)を備えた構成とすることができる。波長選択スイッチ(WSS)は、入力光のパワーの減衰量を波長ごとに調整することが可能である。波長選択スイッチ(WSS)を一入力一出力構成とすることにより、入力光の波形を任意に整形した出力光を得ることができる。
【0024】
次に、本実施形態による制御光生成方法について説明する。
【0025】
本実施形態による制御光生成方法においては、まず、自然放射増幅光を生成する。そして、この自然放射増幅光を複数の分岐光に分岐する。その後に、複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを制御して、波形整形分岐光を生成する。
【0026】
ここで、上記の自然放射増幅光を生成することは、光導波路のコアに含まれる希土類元素を励起光により励起することを含むこととすることができる。また、上記の波形整形分岐光を生成することは、複数の分岐光の少なくとも一のパワーを波長ごとに調整することを含む構成とすることができる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態の光源装置100および制御光生成方法によれば、複数の光伝送路に制御光を導入する構成とした場合であっても、装置の大型化およびコストの増大を回避することができる。
【0028】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図2に、本実施形態による光源装置200の構成を示す。光源装置200は、光生成部(光生成手段)110、光分岐部(光分岐手段)120、および光制御部(光制御手段)130に加えて、接続部(接続手段)240をさらに有する。光源装置200は、好適には光海底ケーブルシステムに用いられる。
【0029】
光生成部110は、自然放射増幅光を生成する。光分岐部120は、自然放射増幅光を複数の分岐光に分岐する。そして、光制御部130は、複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを制御して、波形整形分岐光を生成する。
【0030】
接続部240は、波形整形分岐光を、複数の光伝送路20ごとに設けられる複数のインターフェイス装置10にそれぞれ導入するように構成されている。接続部240として、典型的には、波形整形分岐光が伝搬する光ファイバを接続する光アダプタを用いることができる。
【0031】
複数の光伝送路20にはそれぞれ光ファイバ伝送路が含まれる。各光ファイバ伝送路は、上り回線用の光ファイバと下り回線用の光ファイバからなるファイバペア(Fiber Pair:FP)とすることができる。
【0032】
ここで光制御部130は、複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを、複数の光伝送路20のうちの一の特性に応じて制御する構成とすることができる。以下に図面を参照して具体的に説明する。
【0033】
図3Aに示すように、光生成部110が生成する自然放射増幅光(Amplified Spontaneous Emission:ASE)は、光スペクトルが連続でブロードな増幅された自然放射光である。この自然放射増幅光は、光分岐部120で複数の分岐光に分岐された後にそれぞれ光制御部130に導入される。そして光制御部130は、分岐光の帯域およびパワーを制御して波形整形分岐光を生成する。
【0034】
この波形整形分岐光を、主信号光が伝搬する光伝送路20にダミー光として導入する場合、光伝送路20を構成する光ファイバ伝送路や海底中継器が備える光増幅器における損失および利得の波長依存性による影響を受ける。そこで、本実施形態による光源装置200においては、この波長依存性を補償するために、光制御部130が、分岐光の帯域およびパワーを、光伝送路20の特性に応じて制御する構成とした。
【0035】
具体的には例えば
図3Bに示すように、光制御部130は、分岐光の帯域を波長分割多重方式(Wavelength Division Multiplexing:WDM)における奇数チャネルまたは偶数チャネルの一方に制御し、くし型の波形に整形する。そして、分岐光のパワーレベルの高低をチャネルごとに制御する構成とすることができる。このように整形した波形整形分岐光を用いることにより、受信側における光信号対雑音比(Optical Signal to Noise Ratio:OSNR)が各チャネルで一定となるように調整することが可能である。
【0036】
次に、本実施形態による制御光生成方法について説明する。
【0037】
本実施形態による制御光生成方法においては、まず、自然放射増幅光を生成する。そして、この自然放射増幅光を複数の分岐光に分岐する。その後に、複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを制御して、波形整形分岐光を生成する。ここまでの構成は第1の実施形態による制御光生成方法と同様である。
【0038】
本実施形態による制御光生成方法においては、さらに、波形整形分岐光を、複数の光伝送路ごとに設けられる複数のインターフェイス装置にそれぞれ導入する。この場合、波形整形分岐光を生成する際に、複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを、複数の光伝送路のうちの一の特性に応じて制御する構成とすることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の光源装置200および制御光生成方法によれば、複数の光伝送路に制御光を導入する構成とした場合であっても、装置の大型化およびコストの増大を回避することができる。
【0040】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図4に、本実施形態による光源装置300の構成を示す。光源装置300は、光生成部(光生成手段)110、光分岐部(光分岐手段)120、および光制御部(光制御手段)130に加えて、第1の光増幅器(第1の光増幅手段)341をさらに有する。光源装置300は、好適には光海底ケーブルシステムに用いられる。
【0041】
光生成部110は、自然放射増幅光を生成する。光分岐部120は、自然放射増幅光を複数の分岐光に分岐する。光制御部130は、複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを制御して、波形整形分岐光を生成する。そして、第1の光増幅器341は、この波形整形分岐光を増幅するように構成されている。
【0042】
本実施形態の光源装置300においては、光分岐部120が自然放射増幅光を複数の分岐光に分岐し、光制御部130がこの分岐光から波形整形分岐光を生成する。したがって、波形整形分岐光の光パワーは、自然放射増幅光の光パワーよりも減少する。そのため、波形整形分岐光の光パワーが、後段の装置に必要な光パワーに不足する場合がある。
【0043】
しかし、このような場合であっても、本実施形態の光源装置300は、波形整形分岐光を増幅するように構成された第1の光増幅器341を備えているので、後段の装置に必要な光パワーの制御光を供給することが可能である。なお、光源装置300は、複数の分岐光の光経路のうち、所定の後段装置に対応した光経路にのみ第1の光増幅器341を備えた構成とすることができる。ここで、所定の後段装置とは、波形整形分岐光の光パワーを上回る光パワーを有する制御光の入力が必要となる後段の装置である。
【0044】
図4には、光分岐部120が分岐した複数の分岐光が、光制御部130にそれぞれ導入される構成を示した。しかし、それに限らず、
図5に示した光源装置310のように、分岐光の複数の光経路121のうち、光制御部130を介さない光経路122を備えた構成としてもよい。これにより、光制御部130の個数を削減することができるので、装置の小型化およびコストの低減を図ることができる。なお、
図5に示したように、光制御部130を介さない光経路122に、第2の光増幅器(第2の光増幅手段)342を備えた構成としてもよい。ここで、第2の光増幅器342は、複数の分岐光の少なくとも一を増幅するように構成されている。
【0045】
次に、本実施形態による制御光生成方法について説明する。
【0046】
本実施形態による制御光生成方法においては、まず、自然放射増幅光を生成する。そして、この自然放射増幅光を複数の分岐光に分岐する。その後に、複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを制御して、波形整形分岐光を生成する。ここまでの構成は第1の実施形態による制御光生成方法と同様である。
【0047】
本実施形態による制御光生成方法においては、さらに、波形整形分岐光を増幅する構成とした。また、本実施形態による制御光生成方法において、複数の分岐光の少なくとも一を増幅する構成としてもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の光源装置300、310および制御光生成方法によれば、複数の光伝送路に制御光を導入する構成とした場合であっても、装置の大型化およびコストの増大を回避することができる。さらに、後段の装置に必要な光パワーの制御光を供給することが可能である。
【0049】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図6に、本実施形態による光装置1000の構成を示す。光装置1000は、光源装置1100と、複数の光伝送路ごとに設けられる複数のインターフェイス装置1200とを有する。光装置1000は、好適には光海底ケーブルシステムに用いられる。
【0050】
光源装置1100として、第1の実施形態による光源装置100、第2の実施形態による光源装置200、および第3の実施形態による光源装置300、310のいずれかを用いることができる。したがって、光源装置1100は少なくとも一の波形整形分岐光を生成することが可能である。
図6には、複数の波形整形分岐光1001を生成する場合を示す。この波形整形分岐光1001を複数の光伝送路のそれぞれに導入し、制御光(ダミー光)として用いることができる。
【0051】
複数のインターフェイス装置1200はそれぞれ、波形整形分岐光1001と主信号光1002を合波する光合波部(光合波手段)1210を備える。光合波部1210として、典型的には光カプラを用いることができる。
【0052】
次に、本実施形態による送信光生成方法について説明する。
【0053】
本実施形態による送信光生成方法においては、まず、波形整形分岐光を生成する。そして、この波形整形分岐光と主信号光を合波する。ここで、波形整形分岐光を生成する際に、第1の実施形態から第3の実施形態による制御光生成方法のうち、いずれかの制御光生成方法を用いることができる。
【0054】
以上説明した構成とすることにより、本実施形態の光装置1000および送信光生成方法によれば、複数の光伝送路に制御光を導入する構成とした場合であっても、装置の大型化およびコストの増大を回避することができる。
【0055】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0056】
(付記1)自然放射増幅光を生成する光生成手段と、前記自然放射増幅光を複数の分岐光に分岐する光分岐手段と、前記複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを制御して、波形整形分岐光を生成する光制御手段、とを有する光源装置。
【0057】
(付記2)前記波形整形分岐光を、複数の光伝送路ごとに設けられる複数のインターフェイス装置にそれぞれ導入するように構成された接続手段をさらに有する付記1に記載した光源装置。
【0058】
(付記3)前記光制御手段は、前記複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを、前記複数の光伝送路のうちの一の特性に応じて制御する付記2に記載した光源装置。
【0059】
(付記4)前記波形整形分岐光を増幅するように構成された第1の光増幅手段をさらに有する付記1から3のいずれか一項に記載した光源装置。
【0060】
(付記5)前記複数の分岐光の少なくとも一を増幅するように構成された第2の光増幅手段をさらに有する付記1から4のいずれか一項に記載した光源装置。
【0061】
(付記6)前記光生成手段は、コアに希土類元素を含む光導波路、および前記希土類元素を励起する励起光を生成する励起レーザを備える付記1から5のいずれか一項に記載した光源装置。
【0062】
(付記7)前記光制御手段は、波長選択スイッチを備える付記1から6のいずれか一項に記載した光源装置。
【0063】
(付記8)付記1から7のいずれか一項に記載した光源装置と、複数の光伝送路ごとに設けられる複数のインターフェイス装置とを有し、前記複数のインターフェイス装置はそれぞれ、前記波形整形分岐光と主信号光を合波する光合波手段を備える光装置。
【0064】
(付記9)自然放射増幅光を生成し、前記自然放射増幅光を複数の分岐光に分岐し、前記複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを制御して、波形整形分岐光を生成する制御光生成方法。
【0065】
(付記10)前記波形整形分岐光を、複数の光伝送路ごとに設けられる複数のインターフェイス装置にそれぞれ導入する付記9に記載した制御光生成方法。
【0066】
(付記11)前記波形整形分岐光を生成することは、前記複数の分岐光の少なくとも一の帯域およびパワーを、前記複数の光伝送路のうちの一の特性に応じて制御することを含む付記10に記載した制御光生成方法。
【0067】
(付記12)前記波形整形分岐光を増幅することをさらに含む付記9から11のいずれか一項に記載した制御光生成方法。
【0068】
(付記13)前記複数の分岐光の少なくとも一を増幅することをさらに含む付記9から12のいずれか一項に記載した制御光生成方法。
【0069】
(付記14)前記自然放射増幅光を生成することは、光導波路のコアに含まれる希土類元素を励起光により励起することを含む付記9から13のいずれか一項に記載した制御光生成方法。
【0070】
(付記15)前記波形整形分岐光を生成することは、前記複数の分岐光の少なくとも一のパワーを波長ごとに調整することを含む付記9から14のいずれか一項に記載した制御光生成方法。
【0071】
(付記16)付記9から15のいずれか一項に記載した制御光生成方法により前記波形整形分岐光を生成し、前記波形整形分岐光と主信号光を合波する送信光生成方法。
【0072】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0073】
100、200、300、310 光源装置
110 光生成部
120 光分岐部
121 複数の光経路
122 光経路
130 光制御部
240 接続部
341 第1の光増幅器
342 第2の光増幅器
10 インターフェイス装置
20 光伝送路
1000 光装置
1001 波形整形分岐光
1002 主信号光
1100 光源装置
1200 インターフェイス装置
1210 光合波部