(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-21
(45)【発行日】2025-04-30
(54)【発明の名称】光経路特定装置、光経路特定方法及び光経路特定プログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/071 20130101AFI20250422BHJP
【FI】
H04B10/071
(21)【出願番号】P 2022575624
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 JP2022000850
(87)【国際公開番号】W WO2022154038
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2021005430
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】増田 聖
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-021445(JP,A)
【文献】特開2003-198465(JP,A)
【文献】特開平07-087020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光経路に送出された検査光についての、前記第1光経路に接続された光経路である被接続光経路からの戻り光の強度の時間変化を表す情報である戻り光情報から、前記被接続光経路が複数の光経路のいずれであるかを特定する光経路特定部と、
前記特定の結果を出力する出力部と
を備え、
前記被接続光経路は、第1光ファイバと第2光ファイバとを備え、さらに前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの間に設けられた、第1戻り光経路とを備え、
前記戻り光は、前記第1光ファイバに送出された前記検査光についての前記第2光ファイバからの戻り光であり、
前記戻り光は、前記第1光ファイバを前記検査光の進行の向きの逆向きに進行する、前記第1光ファイバの各位置におけるレイリー散乱によるものであり、
前記レイリー散乱による戻り光は、前記第1戻り光経路により、前記第2光ファイバへ、前記検査光の進行の向きの逆向きに入射される、光経路特定装置。
【請求項2】
前記光経路特定部は、前記特定を、予め取得された、前記戻り光情報についての参照情報と、前記戻り光情報との類否判定により行う、請求項1に記載された光経路特定装置。
【請求項3】
前記光経路特定部は、前記特定を、前記戻り光情報から取得した情報である取得情報により行う、請求項1又は請求項2に記載された光経路特定装置。
【請求項4】
前記光経路特定部は、前記特定を、前記取得情報についての参照情報と、前記取得情報とを対比することにより行う、請求項3に記載された光経路特定装置。
【請求項5】
前記取得情報は、前記被接続光経路が備える中継増幅器の数、前記被接続光経路が備える隣り合う二つの中継増幅器の間の光経路の長さ、前記複数の光経路の各々における前記戻り光の強度の程度、前記検査光が送出されてから、前記複数の光経路の各々における最も光ケーブル距離が長い位置からの前記戻り光が到達するまでの時間、のうちの少なくとも一つの情報を含む、請求項4に記載された光経路特定装置。
【請求項6】
第1光経路に送出された検査光についての、前記第1光経路に接続された光経路である被接続光経路からの戻り光の強度の時間変化を表す情報である戻り光情報から、前記被接続光経路が複数の光経路のいずれであるかを特定し、
前記特定の結果を出力
し、
前記戻り光は、前記被接続光経路に備えられた第1光ファイバに送出された前記検査光についての、前記被接続光経路に備えられた第2光ファイバからの戻り光であり、
前記戻り光は、前記第1光ファイバを前記検査光の進行の向きの逆向きに進行する、前記第1光ファイバの各位置におけるレイリー散乱によるものであり、
前記レイリー散乱による戻り光は、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの間に設けられた、第1戻り光経路により、前記第2光ファイバへ、前記検査光の進行の向きの逆向きに入射される、光経路特定方法。
【請求項7】
第1光経路に送出された検査光についての、前記第1光経路に接続された光経路である被接続光経路からの戻り光の強度の時間変化を表す情報である戻り光情報から、前記被接続光経路が複数の光経路のいずれであるかを特定する処理と、
前記特定の結果を出力する処理と
をコンピュータに実行させ、
前記戻り光は、前記被接続光経路に備えられた第1光ファイバに送出された前記検査光についての、前記被接続光経路に備えられた第2光ファイバからの戻り光であり、
前記戻り光は、前記第1光ファイバを前記検査光の進行の向きの逆向きに進行する、前記第1光ファイバの各位置におけるレイリー散乱によるものであり、
前記レイリー散乱による戻り光は、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの間に設けられた、第1戻り光経路により、前記第2光ファイバへ、前記検査光の進行の向きの逆向きに入射される、光経路特定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切り替えられた光経路を特定する光経路特定装置、光経路特定方法及び光経路特定プログラムの記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
光ケーブルを用いて陸上局間の光通信を行う光ケーブルシステムにおいて、光ケーブルに、光経路を切り替える光経路切替装置が設置される場合がある。その場合、陸上局において、光経路切替装置により切り替えられた光経路の特定が必要になる。切り替えられた光経路の特定は、一般的には、陸上局が、光経路切替装置へコマンド信号を送付し、そのコマンド信号への光経路切替装置からの、光経路切替状況を含む応答信号を受信することにより行われる。
【0003】
ここで、特許文献1は、第1の光学経路上に送信された光学時間領域反射率測定(OTDR)テスト信号が、反射され、第2の光学経路に結合され、反射されたOTDRテスト信号を検出し、OTDRデータを取得する方法を開示する。
【0004】
また、特許文献2は、複数の機器の間を結ぶ複数の通信経路を備え、前記複数の通信経路を自動的に変更する機能が備えられており、前記複数の通信経路の異常を検出する処理部が設けられているネットワーク管理装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-060665号公報
【文献】特開2006-135652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特に光海底ケーブルシステムにおいては、光経路切替装置が海底に設置され、修理や交換が容易でないため、光経路切替装置の信頼性を高くする必要がある。そのため、コマンド信号を受信し応答信号を送信する構成のような、他の機構と比べて故障の発生確率が高い構成を組み込むことが困難な場合がある。
【0007】
本発明は、光経路切替装置に送受信機構を組み込まずに、切り替えられた光経路の特定が可能な、光経路特定装置等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光経路特定装置は、第1光経路に送出された検査光についての、前記第1光経路に接続された光経路である被接続光経路からの戻り光の強度の時間変化を表す情報である戻り光情報から、前記被接続光経路が複数の光経路のいずれであるかを特定する光経路特定部と、前記特定の結果を出力する出力部と、を備える。
本発明の経路特定方法は、第1光経路に送出された検査光についての、前記第1光経路に接続された光経路である被接続光経路からの戻り光の強度の時間変化を表す情報である戻り光情報から、前記被接続光経路が複数の光経路のいずれであるかを特定し、前記特定の結果を出力する、手順を含む。
本発明の光経路特定プログラムの記憶媒体は、第1光経路に送出された検査光についての、前記第1光経路に接続された光経路である被接続光経路からの戻り光の強度の時間変化を表す情報である戻り光情報から、前記被接続光経路が複数の光経路のいずれであるかを特定する処理と、前記特定の結果を出力する処理と、をコンピュータに実行させる光経路特定プログラムを記憶する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光経路特定装置等は、光経路切替装置に送受信機構を組み込まずに、切り替えられた光経路の特定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の光海底ケーブルシステムの構成例を表す概念図である。
【
図2】第1実施形態の各中継増幅器の構成例を表す概念図である。
【
図3】第1実施形態の光経路特定装置の構成例を表す概念図である。
【
図4】第1光経路が第2光経路に接続されている場合の、第1実施形態の戻り光情報の例を表すイメージ図である。
【
図5】第1光経路が第3光経路に接続されている場合の、第1実施形態の戻り光情報の例を表すイメージ図である。
【
図6】第2実施形態の各中継増幅器の第1の構成例を表す概念図である。
【
図7】第1光経路が第2光経路に接続した場合の、第2実施形態の戻り光情報を表すイメージ図である。
【
図8】第1光経路が第3光経路に接続した場合の、第2実施形態の戻り光情報を表すイメージ図である。
【
図9】第2実施形態の中継増幅器の第2の構成例を表す概念図である。
【
図10】実施形態の光経路特定装置の最小限の構成を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
本実施形態は、光ケーブルが備える光ファイバへ送出したプローブ光に対するレイリー散乱による戻り光の強度の時間変化により、光経路切替装置により切り替えられた光経路を特定する、光経路特定装置に関する実施形態である。
[構成と動作]
図1は、本実施形態の光海底ケーブルシステムの例である光海底ケーブルシステム100の構成を表す概念図である。また、
図2は、
図1の各中継増幅器の例である中継増幅器Aの構成を表す概念図である。また、
図3は、
図1の光経路特定装置10の構成例を表す概念図である。
【0012】
光海底ケーブルシステム100は、陸上局C1と陸上局C2又はC3の間での光通信を行うためのシステムである。光海底ケーブルシステム100は、陸上局C1乃至C3と、光ファイバD1乃至D3及びU1乃至U3と、光経路切替装置B1とを備える。光海底ケーブルシステム100は、さらに、中継増幅器A11乃至1n(n台の中継増幅器)と、A21乃至A2m(m台の中継増幅器)と、A31乃至A3p(p台の中継増幅器)とを備える。
【0013】
光ファイバD1及びU1は、陸上局C1と光経路切替装置B1との間に設置された光海底ケーブルに備えられた光ファイバである。光ファイバD1には、陸上局C1から光経路切替装置B1への通信用光信号が伝送される。光ファイバU1には、光経路切替装置B1から陸上局C1への通信用光信号が伝送される。
【0014】
光ファイバD2及びU2は、陸上局C2と光経路切替装置B1との間に設置された光海底ケーブルに備えられた光ファイバである。光ファイバD2には、光経路切替装置B1から陸上局C1への通信用光信号が伝送される。光ファイバU2には、陸上局C2から光経路切替装置B1への通信用光信号が伝送される。
【0015】
光ファイバD3及びU3は、陸上局C3と光経路切替装置B1との間に設置された光海底ケーブルに備えられた光ファイバである。光ファイバD3には、光経路切替装置B1から陸上局C3への通信用光信号が伝送される。光ファイバU3には、陸上局C3から光経路切替装置B1への通信用光信号が伝送される。
【0016】
陸上局C1が光通信を行う相手先は、光経路切替装置B1により、陸上局C2と陸上局C3とで切り替えられる。光経路切替装置B1は、例えば、光スイッチを備える構成により、当該切替えを行う。
【0017】
図2の中継増幅器Aは、中継増幅器A11乃至1n、A21乃至A2m及びA31乃至A3pの各々である。中継増幅器Aは、光アンプOAD及びOAUと、光カプラCD及びCUと、光ファイバRとを備える。
図2の、光ファイバD及びUは、中継増幅器Aが中継増幅器A11乃至1n、A21乃至A2m及びA31乃至A3pのいずれであるかにより、
図1の光ファイバD1及びU1、D2及びU2、及び、D3及びU3のうちのいずれかである。
【0018】
中継増幅器Aにおいては、光ファイバDを右方に進行する光は光アンプOADにより増幅され、さらに右方へ進行する。その光は、光ファイバDの、光アンプOADより右方の部分でレイリー散乱される。レイリー散乱光は、各散乱箇所から、戻り光として、左方に進行する。光ファイバDを左方に進行する戻り光が、中継増幅器Aへ入射する時刻は、戻り光が散乱された光ファイバDから中継増幅器Aまでの光ファイバ距離が遠いほど遅くなる。ここで、光ファイバ距離は、光ファイバをたどった長さである。
【0019】
中継増幅器Aに右方から入射した戻り光の一部は、光カプラCDにより分離され、光ファイバRを進行し、光カプラCUにより光ファイバUに入射され、左方へ進行する。光カプラCDにより分離されなかった残りの戻り光は、光アンプOADに入射する。残りの戻り光の入射の向きは、光アンプOADが増幅する光の向きと逆向きである。そのため、その残りの戻り光は光アンプOADにより消滅する。
【0020】
中継増幅器Aに光ファイバDを通じて右方から入射する戻り光は、中継増幅器Aより一つ右方の中継増幅器Aまでの間の光ファイバD内でのレイリー散乱によるものである。その理由は、中継増幅器Aよりさらに右方の光ファイバDからの戻り光は、その中継増幅器Aの光アンプOADにより、遮断されるためである。
【0021】
一方、光ファイバUを右方から中継増幅器Aに入射した光は、光アンプOAUにより増幅され、光ファイバUをさらに左方に進行する。光ファイバUを右方から中継増幅器Aに入射する光には、一つ右方の中継増幅器Aの光カプラCUにより入射された、光ファイバDからの戻り光が含まれる。
【0022】
図3の光経路特定装置10は、戻り光情報取得部11と光経路特定部16とを備える。戻り光情報取得部11は、送信部12と、受信部13と、取得処理部14と、記憶部15とを備える。
【0023】
戻り光情報取得部11は、例えば、光学時間領域反射率測定(OTDR)を行う一般的な構成を備えるものである。戻り光情報取得部11は、送信部12と、受信部13と、取得処理部14と、記憶部15とを備える。送信部12は、OTDR用のプローブ光を、光ファイバD1へ送出する。受信部13は、光ファイバU1を通じて入射された、プローブ光に対する戻り光を電気信号に変換し、取得処理部14へ入力する。
【0024】
送信部12から光ファイバD1に送出されたプローブ光は、
図1の光ファイバD1を右方へ進行する。プローブ光は、光ファイバD1を進行する距離が長くなると減衰するが、中継増幅器A11乃至A1nの各々(
図3の中継増幅器A)を通過するたびに、その中継増幅器Aの光アンプOADにより増幅される。そのため、プローブ光は、中継増幅器Aによる増幅と、さらに右方の中継増幅器Aまでの間を進行する間の減衰とを繰り返しながら、右方へ進行する。
【0025】
この、プローブ光の、光ファイバD1中の右方への進行に伴う増幅と減衰の繰り返しにともない、プローブ光の光ファイバD1の各位置におけるレイリー散乱による戻り光の強度も増加と減衰とを繰り返す。さらに、陸上局C1における、戻り光の到達時間は、陸上局C1から光ファイバ距離が長い光ファイバD1の位置のレイリー散乱によるものほど遅くなる。そのため、取得処理部14に入射する電気信号が表す戻り光の強度は、プローブ光の、光ファイバD1中の進行による減衰と中継増幅器Aによる増幅との、時間の経過にともなう繰り返しを反映するものになる。
【0026】
以降、取得処理部14に入射される電気信号により表される、戻り光の強度の時間変化を、「戻り光情報」ということにする。陸上局C1と光経路切替装置B1との間の区間の光経路(以下、「第1光経路」という。)の戻り光情報は、第1光経路の構成に固有のものになる。その構成には、例えば、各中継増幅器Aにおける光の増幅率や。隣り合う二つの中継増幅器Aの間の光海底ケーブルの長さが含まれる。あるいは、第1光経路に、プローブ光の強度を減衰させる図示されない他の構成(他の光海底装置)が設置されている場合は、その構成があることも、戻り光情報を第1光経路に固有のものとする要因となる。
【0027】
ここで、光経路切替装置B1が、第1光経路を第2光経路(光経路切替装置B1と陸上局C2との間の区間の光経路)に接続した場合を想定する。その場合、第1光経路と第3光経路(光経路切替装置B1と陸上局C3との間の区間の光経路)とは接続されない。
【0028】
その場合、第2光経路の戻り光情報が、第1光経路の戻り光情報に続いて、取得処理部14により取得される。第2光経路の戻り光情報は、第1経路の戻り光情報と同様の理由により、第2光経路の構成に固有のものである。
【0029】
また、光経路切替装置B1が、第1光経路を第3光経路に接続した場合を想定する。その場合、第1光経路と第2光経路とは接続されない。
【0030】
その場合、第3光経路の戻り光情報が、第1光経路の戻り光情報に続いて、取得処理部14により取得される。第3光経路の戻り光情報は、第1光経路の戻り光情報と同様の理由により、第3光経路の構成に固有のものである。
【0031】
ここで、
図3の説明を中断して、戻り光情報の例を説明する。
図4は、光経路切替装置B1が第1光経路を第2光経路に接続している場合の戻り光情報の例を表すイメージ図である。
図4における時刻0は、
図3の送信部12がプローブ光を光ファイバD1に送出する時刻である。時刻0から時刻Tiの間の戻り光情報は、第1光経路の戻り光情報である。時刻Tiから時刻Tm2の間の戻り光情報は、第2光経路の戻り光情報である。
【0032】
第1光経路の戻り光情報には、この区間の中継増幅器Aの数である数n、隣り合う二つの中継増幅器A間の光海底ケーブルの光ケーブル距離、各中継増幅器Aの増幅率など、第1光経路の構成が反映している。そのため、この区間の戻り光情報は、第1光経路に固有のものである。
【0033】
第2光経路の戻り光情報には、この区間の中継増幅器Aの数であるm、隣り合う二つの中継増幅器A間の光海底ケーブルの光ケーブル距離、各中継増幅器Aの増幅率など、第2光経路の構成が反映している。そのため、この区間の戻り光情報は、第2光経路に固有のものである。
【0034】
図5は、光経路切替装置B1が、第1光経路を第3光経路に接続している場合の、戻り光情報の例を表すイメージ図である。
図5における時刻0は、
図3の送信部12がプローブ光を光ファイバD1に送出する時刻である。時刻0から時刻Tiの間の戻り光情報は、第1光経路の戻り光情報である。時刻Tiから時刻Tm3の間の戻り光情報は、第3光経路の戻り光情報である。
【0035】
第1光経路の戻り光情報は、
図4に表されるものと同じである。第3光経路の戻り光情報には、第3光経路の中継増幅器Aの数である数p、隣り合う二つの中継増幅器A間の光海底ケーブルの光ケーブル距離、各中継増幅器Aの増幅率など、第3光経路に固有の構成が反映している。そのため、第3光経路の戻り光情報は、第3光経路に固有のものである。
【0036】
なお、
図4及び
図5においては、各中継増幅器Aは、光ファイバ中の進行により減衰した、強度の異なる戻り光を、等しいレベルになるように増幅することを前提としている。しかしながら、各中継増幅器Aは、必ずしも、そのような増幅を行う必要はない。戻り光情報のパターンは、各中継増幅器の増幅率に応じた形状になる。
【0037】
ここで、
図4の戻り光情報と
図5の戻り光情報を比較する。その場合、時刻0からTiの間の戻り光情報のパターンの形状は、
図4と
図5とで同じである。しかしながら、時刻Ti以降の戻り光情報のパターンの形状は、
図4と
図5とで異なる。従い、この戻り光情報のパターンの形状の違いを利用すれば、光経路切替装置B1における光ファイバD1及びU1の接続先が、光ファイバD2及びU2か、光ファイバD3及びU3かを特定することが可能である。
【0038】
図3の、光経路特定部16は、取得処理部14が取得し、記憶部15に格納した直近の戻り光情報により、この特定を行う。
【0039】
図4及び
図5の戻り光情報においては、中継増幅器Aによる増幅にともなう戻り光の極大(ピーク)がすべて現れている。そして、一般に、第2光経路の中継増幅器Aの数である数mと、第3光経路の中継増幅器Aの数である数pとは異なる。そのような場合は、光経路特定部16は、戻り光の極大(ピーク)数により、光経路切替装置B1における第1光経路の接続先が第2光経路と第3光経路のいずれであるかを特定することができる。その場合、光経路特定部16は、例えば、記憶部15が予め保持しているm及びpの参照情報を、戻り光の極大(ピーク)数と対比することにより、当該特定を行う。
【0040】
しかしながら、例えば、陸上局C2が光経路切替装置B1から非常に遠方にある等の場合には、光経路切替装置B1から遠方の中継増幅器Aについては戻り光の極大(ピーク)がノイズに埋もれ、戻り光情報に現れない場合がある。その場合、光経路特定部16に、取得できた範囲の戻り光情報における、各時刻における戻り光強度や、戻り光の極大(ピーク)の間隔により、光経路切替装置B1における光ファイバD1及びU1の接続先がいずれであるかを特定させてもよい。その場合、光経路特定部16は、予め記憶部15が保持している、各光経路の戻り光強度や、戻り光の極大(ピーク)の間隔の参照情報を、取得した戻り光情報におけるこれらのデータと対比することにより、当該特定を行う。
【0041】
あるいは、光経路特定部16は、記憶部15が保持する、第1光経路の接続先を第2光経路及び第3光経路の各々とした場合の戻り光情報自体の参照情報との類否判定により、接続先がいずれかを特定しても構わない。その場合の類否判定方法には、データ同士の類否を判定する一般的な方法を適用することが可能である。
【0042】
前記参照情報としては、例えば、第1光経路の接続先を実際に光経路切替装置B1に切り替えさせて、コンピュータに機械学習させた、戻り光情報のデータを用いてもよい。戻り光情報自体の参照情報との類否判定による方法は、光経路が中継増幅装置を備えない場合にも適用可能である。
【0043】
光経路特定部16は、あるいは、戻り光情報における戻り光の強度の程度により、第1光経路の接続先がいずれであるかを特定してもよい。この場合の、戻り光の強度の程度は、例えば、戻り光の強度の平均値や最大値である。その場合、光経路特定部16は、予め記憶部15が保持している、戻り光の強度の程度を、取得した戻り光情報における戻り光の強度の程度と対比することにより、当該特定を行う。
【0044】
戻り光の強度の程度を用いる方法は、光経路が中継増幅装置を備えない場合にも適用可能である。
【0045】
光経路特定部16は、あるいは、戻り光情報における、最も光ケーブル距離が長い位置にある強度の極大(ピーク)からの前記戻り光が到達した時刻(プローブ光が送出されてからの時間)により、第1光経路の接続先がいずれであるかを特定してもよい。その場合、光経路特定部16は、予め記憶部15が保持している、最も光ケーブル距離が長い位置からの前記戻り光が到達した時刻(プローブ光が送出されてからの時間)を、取得した戻り光情報におけるデータと対比することにより、当該特定を行う。
【0046】
光経路特定部16は、あるいは、以上説明した方法を組み合わせることにより、第1光経路の接続先がいずれであるかを特定してもよい。
【0047】
本実施形態の光経路特定装置が特定する光経路には、戻り光情報が取得できる限りにおいて、2以上の光経路切替装置が備えられていても構わない。ここで、戻り光情報が取得できる限り、としたのは、光経路特定装置からの光ケーブル距離があまりに長い光経路については、ノイズ等の影響戻り光情報が取得できない場合がある。その場合には、光経路特定装置は、戻り光情報が取得できる範囲の光経路に含まれる、光経路切替装置により切り替えられた光経路を特定する。戻り光情報が取得できる範囲の光経路に含まれる各光経路切替装置の光経路では、戻り光情報は、各光経路切替装置が切り替えた光経路に応じたものになる。このため、戻り光情報によって光経路を特定することができる。
【0048】
なお、
図3の光経路特定部16は、記憶部15に、接続先光経路の特定結果を出力し、格納させる。光経路特定部16は、また、出力部17により、当該特定結果を、外部に出力する。当該外部は、例えば、表示装置、音声出力装置、印刷装置又は送信装置等である。
【0049】
図3の、取得処理部14と、記憶部15と、光経路特定部16と、出力部17との組み合わせは、例えば、コンピュータを備えるかコンピュータに備えられるものである。その場合、当該コンピュータは、記憶部15が予め保持するプログラムにより、実施形態で説明される動作に係る処理を行う。
【0050】
[効果]
本実施形態の光経路特定装置は、光海底ケーブルの備える光ファイバに送出したプローブ光に対する、光ファイバの各位置からのレイリー散乱による戻り光の強度の時間変化を表す情報である戻り光情報を取得する。当該戻り光情報には、光経路切替装置から先の光経路からの戻り光情報が含まれるようにする。その場合、光経路切替装置から先の光経路からの戻り光情報は、光経路切替装置の構成を反映する、切替先の光経路の構成に固有のものである。本実施形態の光経路特定装置は、切替先の光経路の構成に固有の戻り光情報により、切替先を特定する。そのため、本実施形態の光経路特定装置は、光経路切替装置との通信により切替先の光経路の情報を取得する必要がない。そのため、本実施形態の光経路特定装置は、光経路切替装置に送受信機構を組み込まずに、切り替えられた光経路の特定を可能にする。
【0051】
<第2実施形態>
第1実施形態の光経路特定装置は、レイリー散乱による戻り光の戻り光情報により光経路切替装置が切り替えた光経路を特定する。しかしながら、レイリー散乱による戻り光は、比較的微弱である。そのため、レイリー散乱による戻り光を利用すると、ノイズの影響等により、光経路特定装置からの光ケーブル距離が長い光経路については戻り光情報の取得が困難になる場合がある。そこで、本実施形態の光海底ケーブルシステムにおいては、中継増幅器に、第1実施形態の戻り光経路とは異なる、戻り光経路を設ける。当該戻り光経路は、送信用の光ファイバによりプローブ光の一部を取り出し、受信用の光ファイバに入射するタイプのものである。当該戻り光経路により、各中継増幅器から戻る戻り光の光量は、レイリー散乱による戻り光と比較して顕著に大きい。そのため、本実施形態の光海底ケーブルシステムにおける光経路特定装置は、第1実施形態の光海底ケーブルシステムにおける光経路特定装置より光ケーブル距離が長い光経路についての戻り光情報を利用できる。そのため、本実施形態の光海底ケーブルシステムにおける光経路特定装置は、第1実施形態の光海底ケーブルシステムにおける光経路特定装置より光ケーブル距離が長い光経路について、光経路切替装置により切り替えられた光経路を特定できる。
【0052】
[構成と動作]
本実施形態の光海底ケーブルシステムの構成例は
図1に表される光海底ケーブルシステム100の構成であるが、各中継増幅器の構成が第1実施形態の中継増幅器の構成と異なる。ここで、各中継増幅器は、
図1の中継増幅器A11乃至A1n、A21乃至A1m及びA31乃至A3pの各々である。
図1の光経路特定装置10の構成例は、
図3に表されるものと同じである。
【0053】
図6は、本実施形態の各中継増幅器の第1の例である中継増幅器Aの構成を表す概念図である。中継増幅器Aは、光アンプOAD及びOAUと、光カプラCD及びCUと、光ファイバRとを備える。光ファイバD及びUは、
図2のものと同じである。
【0054】
光ファイバDを右方に進行するパルス状のプローブ光は、光アンプOADで増幅される。増幅後のプローブ光の一部は、光カプラCDにより分離され、光ファイバRに入射される。分離されたプローブ光は、光カプラCUにより光ファイバUに入射され、戻り光として、光経路特定装置10に向けて、光ファイバUを進行する。その後、一つ右方の中継増幅器Aによる戻り光が、この中継増幅器Aの位置の光ファイバUを通過する。この中継増幅器Aが戻り光を光ファイバUに入射した時刻と、一つ右方の中継増幅器Aが光ファイバUに入射した戻り光のこの中継増幅器Aの位置の光ファイバUの通過時刻との差は、光ケーブル距離に比例した値である。当該光ケーブル距離は、この中継増幅器Aと一つ右方の中継増幅器Aとの間の光ケーブル距離である。
【0055】
図1の各中継増幅器が上記中継増幅器Aの動作を行う。そのため、
図3の受信部13には、各中継増幅器Aからの戻り光が、隣り合う二つの中継増幅器Aとの間の光ケーブル距離に応じた時間差で入射する。そして、隣り合う二つの中継増幅器Aの間の距離の組合せは、第2光経路や第3光経路に固有のものである。そのため、第2光経路の戻り光情報は、第3光経路の戻り光情報と異なるものになる。
【0056】
図7は、
図1の光経路切替装置B1が、第1光経路の接続先を第2光経路とした場合の、戻り光情報を表すイメージ図である。当該戻り光情報は、
図3の取得処理部14により取得されるものである。取得処理部14は、第1光経路の戻り光情報に続いて、第2経路の戻り光情報を取得している。
【0057】
図8は、
図1の光経路切替装置B1が、第1光経路の接続先を第3光経路とした場合の、戻り光情報を表すイメージ図である。当該戻り光情報は、
図3の取得処理部14により取得されるものである。取得処理部14は、第1光経路の戻り光情報に続いて、第3光経路の戻り光情報を取得している。
【0058】
なお、
図7及び
図8においては、戻り光のパルスの強度が等しくなるように各中継増幅器Aが光増幅を行う場合の戻り光情報の例が表されている。しかしながら、各中継増幅器Aは、必ずしも、そのような光増幅を行う必要はない。各戻り光のパルスの強度は、各中継増幅器Aが行う光増幅の増幅率に依存する値になる。
【0059】
ここで、
図7と
図8とで、戻り光情報を比較する。第1光経路の戻り光情報は、
図7と
図8とで同じである。これに対し、
図7の第2光経路の戻り光情報は、
図8の第3光経路の戻り光情報と異なる。
【0060】
まず、第2光経路の戻り光情報においては戻り光のパルスの数がm個であるのに対し、第3光経路の戻り光情報においては戻り光のパルスの数がp個である。各中継増幅器Aの構成が
図6のものである場合、戻り光のパルスは、各中継増幅器Aにおいてひとつずつ生じるものである。そのため、戻り光のパルスは、各光経路に含まれる中継増幅器Aの数になる。各光経路に含まれる中継増幅器Aの数は一般に異なる。その場合、
図3の光経路特定部16は、戻り光のピークの数から、第1光経路の接続先が第2光経路か第3光経路かを特定する。
【0061】
また、隣り合う二つの中継増幅器Aの間の光ケーブル距離の組合せは、一般に、第2光経路と第3光経路とで異なる。その場合、光経路特定部16は、第2光経路と第3光経路とでの、隣り合う二つの中継増幅器Aの間の光ケーブル距離の組合せの違いにより、第1光経路の接続先が第2光経路か第3光経路かを特定する。この方法は、光経路の遠方の部分について、ノイズ等の影響により、戻り光情報の一部が取得できない場合に有効である。
【0062】
光経路特定部16は、あるいは、記憶部15が保持する第2光経路や第3光経路の戻り光情報を含む戻り光情報の参照情報との類否判定により、光経路切替装置B1による第1光経路の接続先が第2光経路であるか第3光経路であるかを特定しても良い。その場合の類否判定の方法としては、二つのデータの類否を判定する一般的な方法を用いることができる。前記参照情報としては、例えば、第1光経路の接続先を実際に光経路切替装置B1に切り替えさせて、コンピュータに機械学習させた、戻り光情報のデータを用いてもよい。類否判定を用いる方法は、光経路の遠方の部分について、ノイズ等の影響により、戻り光情報の一部が取得できない場合にも有効である。
【0063】
図9は本実施形態の中継増幅器の第2の例である中継増幅器Aの構成を表す概念図である。
図9の中継増幅器Aは、光アンプOAD及びOAUと、光カプラCD及びCUと、光ファイバR及びRmと、反射器Mとを備える。光ファイバD及びUは、
図2のものと同じである。
【0064】
光ファイバDを右方に進行するパルス状のプローブ光は、光アンプOADで増幅される。増幅後のプローブ光の一部は、光カプラCDにより分離され、光ファイバRmを通じて、反射器Mに入射される。反射器Mで反射された反射光は、光ファイバRm及び光カプラCDを介して、光ファイバRに入射される。光ファイバRに入射された反射光は、光カプラCUにより光ファイバUに入射され、戻り光として、光経路特定装置10に向けて、光ファイバUを進行する。その後、一つ右方の中継増幅器Aによる戻り光が、この中継増幅器Aの位置の光ファイバUを通過する。この中継増幅器Aが戻り光を光ファイバUに入射した時刻と一つ右方の中継増幅器Aが光ファイバUに入射した戻り光のこの中継増幅器Aの位置の光ファイバUの通過時刻との差は、光ケーブル距離に比例した値である。当該光ケーブル距離は、この中継増幅器Aと一つ右方の中継増幅器Aとの間の光ケーブル距離である。
【0065】
図3の取得処理部14は、
図9の中継増幅器Aが用いられた場合も、
図6の中継増幅器Aが用いられた場合と同様の戻り光情報を取得する。
【0066】
光経路特定部16は、
図6の中継増幅器Aが用いられた場合と同様の戻り光情報により、上述の特定動作を行う。
【0067】
なお、第2実施形態の光経路特定装置は、光経路に2以上の光経路切替装置が備えられていても、光経路切替装置が切り替えた光経路を特定することが可能である。この特定は、光経路切替装置から先の光経路の戻り光情報が取得できる限りにおいて可能である。その限りにおいて、各光経路切替装置により切り替えられた光経路は、戻り光情報が各光経路切替装置により切り替えられた光経路の構成に応じた固有のものになる。そのため、光経路特定装置は、固有の戻り光情報から、切り替えられた光経路を特定することが可能である。
【0068】
[効果]
本実施形態の光経路特定装置は、光海底ケーブルの備える光ファイバに送出したプローブ光に対する各中継増幅器における戻り光の戻り光情報を取得する。当該戻り光情報には、光経路切替装置から先の光経路からの戻り光情報が含まれるようにする。その場合、光経路切替装置から先の光経路からの戻り光情報は、光経路切替装置の構成を反映する、切替先の光経路の構成に固有のものである。本実施形態の光経路特定装置は、切替先の光経路の構成に固有の戻り光情報により、切替先を特定する。そのため、本実施形態の光経路特定装置は、光経路切替装置との通信により切替先の光経路の情報を取得する必要がない。そのため、本実施形態の光経路特定装置は、光経路切替装置に送受信機構を組み込まずに、光経路により切り替えられた光経路の特定が可能である。
【0069】
さらに、本実施形態の光海底ケーブルシステムにおいては、中継増幅器に送信用の光ファイバを進行するプローブ光の一部を取り出し、受信用の光ファイバに入射するタイプの戻り光経路を設ける。当該戻り光経路により、各中継増幅器から戻る戻り光の強度は、レイリー散乱による戻り光と比較して有意に大きい。そのため、本実施形態の光海底ケーブルシステムの光経路特定装置は、第1実施形態の光海底ケーブルシステムの光経路特定装置より光ケーブル距離が長い光経路について、光経路切替装置が接続している光経路を特定することが可能である。
【0070】
なお、以上の説明では、取得処理部が、第1光経路についても戻り光情報を取得する場合の例について説明した。しかしながら、取得処理部は、第1光経路については戻り光情報を取得する必要はない。また、取得処理部が第1光経路について戻り光情報を取得しない場合は、第1光経路の中継増幅器は戻り光経路を備える必要はない。
【0071】
また、光ケーブルは、必ずしも光海底ケーブルである必要はなく、陸上に設置される光ケーブルであっても良い。
【0072】
図10は、実施形態の光経路特定装置の例である光経路特定装置10xの構成を表すブロック図である。光経路特定装置10xは、光経路特定部16xと、出力部17xと、を備える。光経路特定部16xは、第1光経路に送出された検査光についての、前記第1光経路に接続された光経路である被接続光経路からの戻り光の強度の時間変化を表す情報である戻り光情報から、前記被接続光経路が複数の光経路のいずれであるかを特定する。出力部17xは、前記特定の結果を出力する。
【0073】
光経路特定装置10xは、前記戻り光情報から、前記被接続光経路が複数の光経路のいずれであるかを特定し、出力する。そのため、光経路特定装置10xは、光経路切替装置に送受信機構を組み込まなくても、切り替えられた光経路の特定が可能である。そのため、光経路特定装置10xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0074】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0075】
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
第1光経路に送出された検査光についての、前記第1光経路に接続された光経路である被接続光経路からの戻り光の強度の時間変化を表す情報である戻り光情報から、前記被接続光経路が複数の光経路のいずれであるかを特定する光経路特定部と、
前記特定の結果を出力する出力部と、
を備える、光経路特定装置。
(付記2)
前記光経路特定部は、前記特定を、予め取得された、前記戻り光情報についての参照情報と、前記戻り光情報との類否判定により行う、付記1に記載された光経路特定装置。
(付記3)
前記光経路特定部は、前記特定を、前記戻り光情報から取得した情報である取得情報により行う、付記1又は付記2に記載された光経路特定装置。
(付記4)
前記光経路特定部は、前記特定を、前記取得情報についての参照情報と、前記取得情報とを対比することにより行う、付記3に記載された光経路特定装置。
(付記5)
前記取得情報は、前記被接続光経路が備える中継増幅器の数、前記被接続光経路が備える隣り合う二つの中継増幅器の間の光経路の長さ、前記複数の光経路の各々における前記戻り光の強度の程度、前記検査光が送出されてから、前記複数の光経路の各々における最も光ケーブル距離が長い位置からの前記戻り光が到達するまでの時間、のうちの少なくとも一つの情報を含む、付記4に記載された光経路特定装置。
(付記6)
前記戻り光は、第1光ファイバに送出された前記検査光についての第2光ファイバからの戻り光である、付記1乃至付記5のうちのいずれか一に記載された光経路特定装置。
(付記7)
前記戻り光は、前記第1光ファイバを前記検査光の進行の向きの逆向きに進行する、前記第1光ファイバの各位置におけるレイリー散乱によるものである、付記6に記載された光経路特定装置。
(付記8)
前記被接続光経路に備えられ、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバの間に設けられた、第1戻り光経路をさらに備え、
前記レイリー散乱による戻り光は、前記第1戻り光経路により、前記第2光ファイバへ、前記検査光の進行の向きの逆向きに入射される、
付記7に記載された光経路特定装置。
(付記9)
前記第1戻り光経路は、前記被接続光経路の各々が備える中継増幅器に備えられる、
付記8に記載された光経路特定装置。
(付記10)
前記被接続光経路に備えられ、前記第1光経路及び前記被接続光経路の所定の位置に設置され、前記第1光ファイバを進行する前記検査光の一部を前記検査光の進行の向きの逆向きに、前記第2光ファイバへ入射する光経路である、第2戻り光経路をさらに備え、
前記戻り光は、前記第2戻り光経路を経由する光に由来するものである、
付記6に記載された光経路特定装置。
(付記11)
前記第2戻り光経路は、前記被接続光経路が備える中継増幅器に備えられる、
付記10に記載された光経路特定装置。
(付記12)
前記第1光経路に接続された陸上局に備えられる、
付記1乃至付記11のうちのいずれか一に記載された光経路特定装置。
(付記13)
前記戻り光情報を取得する部分である戻り光情報取得部をさらに備える、
付記1乃至付記12のうちのいずれか一に記載された光経路特定装置。
(付記14)
前記第1光経路と、前記複数の光経路とをさらに備える、
付記1乃至付記13のうちのいずれか一に記載された光経路特定装置。
光経路特定装置。
(付記15)
第1光経路に送出された検査光についての、前記第1光経路に接続された光経路である被接続光経路からの戻り光の強度の時間変化を表す情報である戻り光情報から、前記被接続光経路が複数の光経路のいずれであるかを特定し、
前記特定の結果を出力する、
光経路特定方法。
(付記16)
第1光経路に送出された検査光についての、前記第1光経路に接続された光経路である被接続光経路からの戻り光の強度の時間変化を表す情報である戻り光情報から、前記被接続光経路が複数の光経路のいずれであるかを特定する処理と、
前記特定の結果を出力する処理と、
をコンピュータに実行させる光経路特定プログラム。
【0076】
ここで、上記付記における「第1光経路」は、例えば、
図1の第1光経路である。また、「検査光」は、例えば、前述のプローブ光である。また、「被接続光経路」は、例えば、
図1の第2光経路又は第3光経路である。また、「複数の光経路」は、例えば、
図1の第2光経路及び第3光経路である。
【0077】
また、「光経路特定部」は、例えば、
図3の光経路特定部16、又は、
図10の光経路特定部16xである。また、「出力部」は、例えば、
図3の出力部17、又は、
図10の出力部17xである。また、「光経路特定装置」は、例えば、
図3の光経路特定装置10、光経路特定部16、又は、
図10の光経路特定装置10xである。また、「戻り光情報」は、例えば、前述の戻り光情報である。
【0078】
また、「第1光ファイバ」は、例えば、
図2又は
図6の光ファイバDである。また、「第2光ファイバ」は、例えば、
図2又は
図6の光ファイバUである。また、「第1戻り光経路」は、例えば、
図2の、光カプラCDと光ファイバRと光カプラCUとの組み合わせである。
また、「中継増幅器」は、例えば、
図2又は
図6の中継増幅器Aである。また、「第2戻り光経路」は、例えば、
図6の、光カプラCDと光ファイバRと光カプラCUとの組み合わせである。
【0079】
また、「陸上局」は、例えば、
図1の陸上局C1である。また、「戻り光情報取得部」は、例えば、
図3の戻り光情報取得部11である。また、「コンピュータ」は、例えば、
図3の記憶部15、光経路特定部16及び出力部17の組合せが備えるコンピュータである。また、「光経路特定プログラム」は、例えば、前記コンピュータに処理を実行させるプログラムであり、例えば、記憶部15が保持している。
【0080】
この出願は、2021年1月18日に出願された日本出願特願2021-005430を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0081】
10、10x 光経路特定装置
11 戻り光情報取得部
12 送信部
13 受信部
14 取得処理部
15 記憶部
16、16x 光経路特定部
17、17x 出力部
100 光海底ケーブルシステム
A、A11、A12、A13、A1n、A21、A22、A23、A2m、A31、A32、A33、A3p 中継増幅器
B1 光経路切替装置
C1、C2、C3 陸上局
CD、CU 光カプラ
D、D1、D2、D3、U、U1、U2、U3、R、Rm 光ファイバ
M 反射器
OAD、OAU 光アンプ