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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-21
(45)【発行日】2025-04-30
(54)【発明の名称】半導体モジュールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20250422BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20250422BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20250422BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20250422BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20250422BHJP
【FI】
H01L23/28 K
H01L23/30 B
H01L25/04 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023529546
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2022010665
(87)【国際公開番号】W WO2022270038
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2021104119
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 忠彦
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-128755(JP,A)
【文献】特開2017-028159(JP,A)
【文献】特開2017-005241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/54 -21/56
H01L23/00 -23/04
H01L23/06 -23/10
H01L23/16 -23/31
H01L23/34 -23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H01L25/00 -25/07
H01L25/10 -25/11
H01L25/16 -25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主電極を含む第1半導体チップと、
前記第1主電極に電気的に接続される第1接続導体と、
前記第1半導体チップと前記第1接続導体の少なくとも一部とを包囲する筐体部と、
前記筐体部が包囲する空間に充填された第1封止体と、
前記筐体部に固定される接続ユニットとを具備し、
前記第1接続導体の一部である第1導通部は、前記第1封止体の表面から露出し、
前記接続ユニットは、
前記第1接続導体の前記第1導通部に接合される第1端子と、
前記筐体部とは別体で構成されて前記第1端子を支持する支持体とを含み、
前記筐体部には凹部が形成され、
前記支持体は、前記凹部に収容され、
前記第1封止体の表面は、前記凹部の底面よりも低い位置にある
半導体モジュール。
【請求項2】
前記支持体の幅は、前記凹部の幅と同等の大きさである
請求項1の半導体モジュール。
【請求項3】
第1主電極を含む第1半導体チップと、
前記第1主電極に電気的に接続される第1接続導体と、
前記第1半導体チップと前記第1接続導体の少なくとも一部とを包囲する筐体部と、
前記筐体部が包囲する空間に充填された第1封止体と、
前記筐体部に固定される接続ユニットとを具備し、
前記第1接続導体の一部である第1導通部は、前記第1封止体の表面から露出し、
前記接続ユニットは、
前記第1接続導体の前記第1導通部に接合される第1端子と、
前記筐体部とは別体で構成されて前記第1端子を支持する支持体とを含み、
前記支持体の内壁面から突出し、前記第1端子の底面に接触する突起部
を具備する半導体モジュール。
【請求項4】
前記支持体の内壁面から突出する方向における前記突起部の長さは、前記突起部の厚さを上回る
請求項の半導体モジュール。
【請求項5】
前記突起部の先端は、前記第1接続導体の側面に間隔をあけて対向する
請求項または請求項の半導体モジュール。
【請求項6】
前記突起部の先端は、前記第1接続導体の側面に接触する
請求項または請求項の半導体モジュール。
【請求項7】
前記突起部は、
前記支持体の内壁面から突出する第1部分と、
前記第1部分の先端から前記第1端子とは反対側に突出する第2部分とを含む
請求項から請求項の何れかの半導体モジュール。
【請求項8】
前記第2部分の先端は、前記第1封止体の表面に接触する
請求項の半導体モジュール。
【請求項9】
第1主電極を含む第1半導体チップと、前記第1主電極に電気的に接続される第1接続導体と、を包囲する筐体部の内側の空間に、前記第1接続導体の一部である第1導通部が露出するように第1封止体を充填する第1封止工程と、
前記第1封止工程の実行後の工程であって、第1端子と当該第1端子を支持する支持体とを含む接続ユニットを前記筐体部に固定し、前記第1接続導体の前記第1導通部と前記第1端子とを接合する接合工程と
を含む半導体モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記筐体部には凹部が形成され、
前記接合工程においては、前記支持体を前記凹部に収容し、
前記第1封止工程においては、前記凹部の底面よりも低い位置まで前記第1封止体を充填する
請求項の半導体モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記第1封止工程の実行前の工程であって、前記筐体部の内壁面を被覆する下地膜を形成する下地形成工程をさらに含む
請求項または請求項10の半導体モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記接合工程の実行後の工程であって、前記筐体部と前記支持体とが包囲する空間に第2封止体を充填する第2封止工程をさらに含む
請求項から請求項11の何れかの半導体モジュールの製造方法。
【請求項13】
前記接続ユニットは、前記支持体の内壁面から突出し、前記第1端子の底面に接触する突起部を含む
請求項から請求項12の何れかの半導体モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体モジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体チップを含む各種の半導体モジュールが従来から提案されている。例えば特許文献1には、半導体チップと接続導体とが枠状の端子ケースに収容された構造の半導体モジュールが開示されている。接続導体は、半導体チップの主電極に直接的または間接的に接続される導電体である。端子ケースには、例えばインサート成形により接続端子が設置される。接続端子は、端子ケースの内壁面から内側に突出する。端子ケースの内側の空間には、例えばエポキシ樹脂等の封止体が充填される。接続導体の頂面は、封止体の表面から露出する。接続端子のうち端子ケースの内壁面から内側に突出する部分と接続導体の頂面とが、例えばレーザ溶接により相互に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2009/081723号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、封止体を端子ケース内に充填する段階において、端子ケースの内壁面から接続端子が内側に突出している。すなわち、鉛直方向の上方からみて封止体の一部が接続端子の背後に位置する。したがって、接続端子の直下にある封止体の状態(例えば端子ケースの内壁面との密着の状態)を例えば目視により確認する作業が容易ではない。以上の事情を考慮して、本開示のひとつの態様は、半導体チップを封止する封止体の状態を、半導体モジュールの製造の過程において容易に確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示に係る半導体モジュールは、第1主電極を含む第1半導体チップと、前記第1主電極に電気的に接続される接続導体と、前記第1半導体チップおよび前記接続導体を包囲する筐体部と、前記筐体部が包囲する空間に充填された第1封止体と、前記筐体部に固定される接続ユニットとを具備し、前記接続導体の一部である導通部は、前記第1封止体の表面から露出し、前記接続ユニットは、前記接続導体の前記導通部に接合される第1端子と、前記筐体部とは別体で構成されて前記第1端子を支持する支持体とを含む。
【0006】
また、本開示に係る半導体モジュールの製造方法は、第1主電極を含む第1半導体チップと、前記第1主電極に電気的に接続される接続導体と、を包囲する筐体部の内側の空間に、前記接続導体の一部である導通部が露出するように第1封止体を充填する第1封止工程と、前記第1封止工程の実行後の工程であって、第1端子と当該第1端子を支持する支持体とを含む接続ユニットを前記筐体部に固定し、前記接続導体の前記導通部と前記第1端子とを接合する接合工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る半導体モジュールの平面図である。
図2図1におけるa-a線の断面図である。
図3】接続ユニットが分離された状態の半導体モジュールの平面図である。
図4】接続ユニットが分離された状態の半導体モジュールの断面図である。
図5】半導体モジュールの製造方法を例示する工程図である。
図6】対比例1の構成を例示する断面図である。
図7】第2実施形態に係る半導体モジュールの平面図である。
図8図7におけるb-b線の断面図である。
図9】突起部の近傍を拡大した断面図である。
図10】第1実施形態における支持体の近傍を拡大した断面図である。
図11】第3実施形態に係る半導体モジュールの部分的な断面図である。
図12】第4実施形態に係る半導体モジュールの部分的な断面図である。
図13】変形例(1)の態様Aに係る半導体モジュールの部分的な断面図である。
図14】変形例(1)の態様Bに係る半導体モジュールの部分的な断面図である。
図15】変形例(2)の態様Cに係る半導体モジュールの部分的な断面図である。
図16】変形例(3)に係る半導体モジュールの断面図である。
図17】変形例(5)に係る半導体モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、各図面においては、各要素の寸法および縮尺が実際の製品とは相違する場合がある。また、以下に説明する形態は、本開示を実施する場合に想定される具体例である。したがって、本開示の範囲は、以下の形態には限定されない。
【0009】
A:第1実施形態
A-1:半導体モジュール100の構造
図1は、第1実施形態における半導体モジュール100の構成を例示する平面図である。図2は、図1におけるa-a線の断面図である。図1および図2に図示される通り、第1実施形態においては、相互に直交するX軸とY軸とZ軸とを想定する。X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向の反対の方向をX2方向と表記する。また、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向の反対の方向をY2方向と表記する。同様に、Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向の反対の方向をZ2方向と表記する。半導体モジュール100の任意の要素をZ軸の方向(Z1方向またはZ2方向)に沿って視認することを以下では「平面視」と表記する。
【0010】
なお、実際に使用される場面では、半導体モジュール100は任意の方向に設置され得るが、以下の説明においては便宜的に、Z1方向を上方と想定し、Z2方向を下方と想定する。したがって、半導体モジュール100の任意の要素のうちZ1方向を向く表面が「上面」と表記され、当該要素のうちZ2方向を向く表面が「下面」と表記される場合がある。また、図1に例示される通り、以下の説明においては、YZ平面に平行な仮想的な平面(以下「基準面」という)Rを想定する。基準面Rは、X軸の方向における半導体モジュール100の中央に位置する。すなわち、基準面Rは、半導体モジュール100をX軸の方向に2等分する平面である。
【0011】
図1および図2に例示される通り、第1実施形態の半導体モジュール100は、半導体ユニット10と収容体20と基体部30と封止部40とを具備する。なお、図1においては基体部30および封止部40の図示が便宜的に省略されている。
【0012】
基体部30は、半導体ユニット10と収容体20とを支持する構造体であり、例えばアルミニウムまたは銅等の導電材料で形成される。例えば、基体部30は放熱板である。また、基体部30は、半導体ユニット10を冷却するフィンまたは水冷ジャケット等の冷却器でもよい。さらに、基体部30は、接地電位に設定される接地体として利用されてもよい。
【0013】
収容体20は、半導体ユニット10を収容する。具体的には、収容体20は、半導体ユニット10を包囲する矩形枠状の構造体である。すなわち、半導体ユニット10は、図2に例示される通り、基体部30を底面として収容体20で包囲された空間に収容される。封止部40は、収容体20の内側の空間に充填されることで半導体ユニット10を封止する。封止部40は、例えばエポキシ樹脂またはシリコーンゲル等の各種の樹脂材料で形成される。なお、例えば酸化シリコンまたは酸化アルミニウム等の各種のフィラーが封止部40に含まれてもよい。
【0014】
図1および図2に例示される通り、半導体ユニット10は、積層基板11と半導体チップ12pと半導体チップ12nと配線部13pと配線部13nと接続導体14pと接続導体14nと接続導体14oとを具備する。なお、以下の説明においては、半導体チップ12pに対応する要素の符号に添字pを付加し、半導体チップ12nに対応する要素の符号に添字nを付加する。また、半導体チップ12pと半導体チップ12nとを特に区別する必要がない場合(説明が双方に妥当する場合)には単に「半導体チップ12」と表記する。他の要素についても同様である。
【0015】
積層基板11は、各半導体チップ12(12p,12n)と各配線部13(13p,13n)と各接続導体14(14p,14n,14o)とを支持する板状部材である。例えばDCB(Direct Copper Bonding)基板またはAMB(Active Metal Brazing)基板等の積層セラミックス基板、または樹脂絶縁層を含む金属ベース基板が、積層基板11として利用される。
【0016】
図2に例示される通り、積層基板11は、絶縁基板112と金属層113と複数の導体パターン114(114a,114b,114c)との積層で構成される。絶縁基板112は、絶縁材料で形成された矩形状の板状部材である。絶縁基板112の材料は任意であるが、例えばアルミナ(Al23),窒化アルミニウム(AlN)または窒化ケイ素(Si34)等のセラミックス材料、またはエポキシ樹脂等の樹脂材料が利用される。なお、基準面Rは、絶縁基板112をX軸の方向に2等分する平面とも表現される。
【0017】
金属層113は、絶縁基板112のうち基体部30に対向する下面に形成された導電膜である。金属層113は、絶縁基板112の下面の全域または一部(例えば縁部以外の領域)に形成される。金属層113の下面は基体部30の上面に接触する。金属層113は、例えば銅またはアルミニウム等の高熱伝導性の金属材料で形成される。複数の導体パターン114(114a,114b,114c)は、絶縁基板112のうち基体部30とは反対側の上面に相互に離間して形成された導電膜である。各導体パターン114は、例えば銅または銅合金等の低抵抗な導電材料で形成される。
【0018】
図1に例示される通り、導体パターン114aは、絶縁基板112の上面のうち基準面RからみてX1方向の領域に形成された矩形状の導電膜である。導体パターン114bは、絶縁基板112の上面のうち基準面RからみてX2方向の領域に形成された矩形状の導電膜である。導体パターン114cは、導体パターン114aおよび導体パターン114bからみてY1方向に形成された導電膜である。具体的には、導体パターン114cは、導体パターン114aのY1方向に位置する領域と、導体パターン114bのY1方向に位置する領域とを含む平面形状に形成される。
【0019】
半導体チップ12(12p,12n)は、大電流をスイッチング可能なパワー半導体素子である。具体的には、各半導体チップ12は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等のトランジスタ,RC-IGBT(Reverse Conducting IGBT)またはFWD(Free Wheeling Diode)、等を含み得る。第1実施形態においては、半導体チップ12が、IGBT部分とFWD部分とを含むRC-IGBTである構成を例示する。
【0020】
各半導体チップ12(12p,12n)は、主電極Eと主電極Cと制御電極Gとを具備する。主電極Eおよび主電極Cは、制御対象となる電流が入力または出力される電極である。具体的には、主電極Eは、半導体チップ12の上面に形成されたエミッタ電極であり、主電極Cは、半導体チップ12の下面に形成されたコレクタ電極である。主電極CはFWD部分のアノード電極としても機能し、主電極EはFWD部分のカソード電極としても機能する。他方、制御電極Gは、半導体チップ12の上面に形成され、半導体チップ12のオン/オフを制御するための電圧が印加されるゲート電極である。なお、制御電極Gは、電流検出または温度検出等の検出電極を含んでもよい。半導体チップ12nは「第1半導体チップ」の一例であり、半導体チップ12nの主電極Eは「第1主電極」の一例である。また、半導体チップ12pは「第2半導体チップ」の一例であり、半導体チップ12pの主電極Cは「第2主電極」の一例である。
【0021】
図2に例示される通り、半導体チップ12(12p,12n)は、例えば半田等の接合材15を利用して積層基板11に接合される。具体的には、図1に例示される通り、半導体チップ12pは導体パターン114aに接合される。すなわち、半導体チップ12pの主電極Cが導体パターン114aに接合される。また、半導体チップ12nは、積層基板11の導体パターン114cに接合される。すなわち、半導体チップ12nの主電極Cが導体パターン114cに接合される。
【0022】
図1の配線部13pは、半導体チップ12pの主電極Eと導体パターン114cとを電気的に接続する配線である。配線部13pはY軸の方向に延在する。配線部13pのうちY2方向に位置する端部が半導体チップ12pの主電極Eに接合され、配線部13pのうちY1方向に位置する端部が導体パターン114cに接合される。他方、配線部13nは、半導体チップ12nの主電極Eと導体パターン114bとを電気的に接続する配線である。配線部13nはY軸の方向に延在する。配線部13nのうちY1方向に位置する端部が半導体チップ12nの主電極Eに接合され、配線部13nのうちY2方向に位置する端部が導体パターン114bに接合される。配線部13pおよび配線部13nは、例えば銅または銅合金等の低抵抗な導電材料で形成されたリードフレームである。
【0023】
接続導体14(14p,14n,14o)は、例えば銅または銅合金等の低抵抗な導電材料で形成される。接続導体14pは、半導体チップ12pを電気的に外部接続するための導電体である。具体的には、接続導体14pは、例えば半田等の接合材(図示略)により導体パターン114aの表面に接合される。すなわち、接続導体14pは、導体パターン114aを介して半導体チップ12pの主電極Cに電気的に接続される。接続導体14pは、半導体チップ12pおよび配線部13pからみてY2方向に位置する。以上の説明から理解される通り、基準面RからみてX1方向の空間に、半導体チップ12pと配線部13pと接続導体14pとが設置される。
【0024】
接続導体14nは、半導体チップ12nを電気的に外部接続するための導電体である。具体的には、接続導体14nは、例えば半田等の接合材(図示略)により導体パターン114bの表面に接合される。すなわち、接続導体14nは、導体パターン114bと配線部13nとを介して半導体チップ12nの主電極Eに電気的に接続される。接続導体14nは、半導体チップ12nおよび配線部13nからみてY2方向に位置する。以上の説明から理解される通り、基準面RからみてX2方向の空間に、半導体チップ12nと配線部13nと接続導体14nとが設置される。接続導体14pと接続導体14nとは、相互に間隔をあけてX軸の方向に配列する。
【0025】
接続導体14oは、導体パターン114cを電気的に外部接続するための導電体である。具体的には、接続導体14oは、例えば半田等の接合材(図示略)により導体パターン114cの表面に接合される。すなわち、接続導体14oは、導体パターン114cと配線部13pとを介して半導体チップ12pの主電極Eに電気的に接続され、かつ、導体パターン114cを介して半導体チップ12nの主電極Cに電気的に接続される。
【0026】
図2に例示される通り、接続導体14p,接続導体14nおよび接続導体14oの各々は、積層基板11からZ1方向に突出する柱状の構造体である。各接続導体14の平面形状は矩形状である。すなわち、第1実施形態の接続導体14は角柱状である。接続導体14pの頂面141pと接続導体14nの頂面141nと接続導体14oの頂面とは、半導体ユニット10の他の要素と比較して高い位置にある。すなわち、Z軸の方向において、各接続導体14の頂面141は、積層基板11、各配線部13および各半導体チップ12と比較してZ1方向に位置する。
【0027】
図1の収容体20は、接続ユニット21と接続ユニット22と筐体部23とを具備する。筐体部23とは別体で形成された接続ユニット21および接続ユニット22が筐体部23に固定されることで、収容体20が構成される。
【0028】
筐体部23は、平面視で枠形状の構造体であり、半導体ユニット10を包囲する。すなわち、筐体部23により包囲された空間に半導体ユニット10が収容される。具体的には、筐体部23の下面は、例えば接着剤により基体部30の上面の縁部に接合される。積層基板11(絶縁基板112)の側面が筐体部23の内壁面に対して間隔をあけて対向した状態で半導体ユニット10は筐体部23に収容される。すなわち、各半導体チップ12(12p,12n)と各配線部13(13p,13n)とは筐体部23により包囲される。また、各接続導体14(14p,14n,14o)のうち下端を含む少なくとも一部も筐体部23により包囲される。なお、筐体部23の内壁面は、平面視で筐体部23の中心側を向く壁面(内周面)である。筐体部23は、例えば、PPS(polyphenylene sulfide)樹脂、PBT(polybutylene terephthalate)樹脂、PBS(poly butylene succinate)樹脂、PA(polyamide)樹脂、またはABS(acrylonitrile-butadiene-styrene)樹脂等の各種の樹脂材料により形成される。絶縁材料で形成されたフィラーが筐体部23に含まれてもよい。
【0029】
具体的には、筐体部23は、図1に例示される通り、側壁231と側壁232と側壁233と側壁234とを以上の順番で相互に連結した矩形枠状の構造体である。側壁231および側壁233は、X軸の方向に所定の間隔をあけてY軸の方向に延在する側壁部分である。他方、側壁232および側壁234は、Y軸の方向に所定の間隔をあけてX軸の方向に延在する側壁部分である。側壁232および側壁234は、側壁231および側壁233の端部同士を相互に連結する形状である。半導体ユニット10の接続導体14pおよび接続導体14nは、側壁232の内壁面からY1方向に離間した位置において、当該側壁232に沿って相互に間隔をあけて配列する。
【0030】
図3および図4には、接続ユニット21および接続ユニット22が筐体部23から分離された状態が例示されている。図3および図4に例示される通り、筐体部23の側壁232には凹部25が形成される。凹部25は、側壁232の上面の一部に形成されてZ1方向に開口する窪みである。凹部25は、接続ユニット21が収容される空間である。第1実施形態の凹部25は、側壁232をY軸の方向に貫通する。具体的には、凹部25は、X軸の方向に相互に間隔をあけて対向する側面251および側面252と、側壁232の上面と比較して低い位置にある底面253とで画定される直方体状の空間である。側面251および側面252は、YZ平面に平行な平面であり、底面253は、XY平面に平行な平面である。
【0031】
他方、筐体部23の側壁234には凹部26が形成される。凹部26は、側壁234の上面の一部に形成されてZ1方向に開口する窪みである。凹部26は、接続ユニット22が収容される空間である。第1実施形態の凹部26は、側壁234をY軸の方向に貫通する。具体的には、凹部26は、X軸の方向に相互に間隔をあけて対向する側面261および側面262と、側壁234の上面と比較して低い位置にある底面263とで画定される直方体状の空間である。側面261および側面262は、YZ平面に平行な平面であり、底面263は、XY平面に平行な平面である。
【0032】
図3の横幅W1は、X軸の方向における凹部25の寸法(すなわち側面251と側面252との間隔)であり、横幅W2は、X軸の方向における凹部26の寸法(すなわち側面261と側面262との距離)である。凹部25の横幅W1は、凹部26の横幅W2を上回る(W1>W2)。
【0033】
図1に例示される通り、筐体部23の側壁234には複数の制御端子236が設置される。複数の制御端子236は、各半導体チップ12の制御電極Gを電気的に外部接続するためのリード端子であり、例えばインサート成形により筐体部23と一体に形成される。各制御端子236は、例えば複数のワイヤ237により各半導体チップ12(12p,12n)の制御電極Gに電気的に接続される。
【0034】
図2に例示される通り、筐体部23の内壁面には下地膜24が形成される。下地膜24は、筐体部23の内壁面を被覆する膜体である。下地膜24は、筐体部23の内壁面と封止部40との密着性を向上させるためのプライマーとして機能する。下地膜24の形成には、筐体部23の材料と封止部40の材料とに応じた適切な樹脂材料が使用される。具体的には、下地膜24は、例えばシランカップリング剤により形成される。なお、例えばポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ポリアミド樹脂,またはそれらの変性物により、下地膜24を形成してもよい。なお、図1においては下地膜24の図示が便宜的に省略されている。
【0035】
図3および図4に例示される通り、接続ユニット21は、支持体53と端子部55とを具備する。支持体53は、端子部55を支持する構造体である。支持体53は、筐体部23と同様に、例えば、PPS樹脂、PBT樹脂、PBS樹脂、PA樹脂、またはABS樹脂等の各種の樹脂材料により形成される。より好適な態様において、支持体53は、筐体部23と同種の材料で形成される。接続ユニット21は、例えばインサート成形により一体的に形成される。
【0036】
支持体53は、内壁面531および外壁面532と、側面533および側面534と、上面535および下面536と、を含む直方体状の構造体である。内壁面531は、Y1方向(収容体20の内側)を向く側面であり、外壁面532は、Y2方向(収容体20の外側)を向く側面である。支持体53の内壁面531には、筐体部23の内壁面と同様に下地膜54が形成される。下地膜54は、支持体53の内壁面531と封止部40(封止体42)との密着性を向上させるためのプライマーとして機能する。ただし、下地膜54は省略されてもよい。
【0037】
側面533はX1方向を向く表面であり、側面534はX2方向を向く表面である。図3に図示された横幅W3は、側面533と側面534との距離であり、図4に図示された高さHは、上面535と下面536との距離である。図3に例示される通り、支持体53の横幅W3は、凹部25の横幅W1と同等である(W3≒W1)。また、図4に例示される通り、支持体53の高さHは、凹部25の深さDと同等である(H≒D)。
【0038】
なお、本明細書において寸法aと寸法bとが「同等である」(a≒b)とは、寸法aと寸法bとが完全に一致する場合のほか、寸法aと寸法bとが実質的に一致する場合も包含する。「寸法aと寸法bとが実質的に一致する場合」とは、例えば、寸法aと寸法bとの差異が製造誤差の範囲内にある場合である。具体的には、寸法aに対して寸法b90%以上かつ110%以下(より好適には95%以上かつ105%以下)である場合には、寸法aと寸法bとは「同等である」と解釈される。
【0039】
支持体53は、筐体部23の凹部25に収容された状態で当該筐体部23に固定される。支持体53の横幅W3と凹部25の横幅W1とは同等であるから、支持体53の側面533が凹部25の側面251に接触し、支持体53の側面534が凹部25の側面252に接触する。また、支持体53の下面536は凹部25の底面253に接触する。支持体53の高さHと凹部25の深さDとは同等であるから、支持体53の上面535と筐体部23の上面とは段差なく連続する。また、支持体53が凹部25に収容された状態では、支持体53の内壁面531と筐体部23の内壁面とが段差なく連続し、支持体53の外壁面532と筐体部23の外壁面とが段差なく連続する。支持体53と筐体部23とは、例えばレーザを利用した溶着または接着剤を利用した接着等の任意の技術により相互に接合される。ただし、支持体53を凹部25に嵌合することで当該支持体53を筐体部23に固定してもよい。すなわち、支持体53と筐体部23との接合は必須ではない。
【0040】
なお、本明細書において、面aと面bとが「段差なく連続する」とは、面aと面bとが完全に同一の面内に位置する場合のほか、面aと面bとが実質的に同一の面内に位置する場合も包含する。「面aと面bとが実質的に同一の面内に位置する」とは、例えば面aと面bとの段差が製造誤差の範囲内にある場合である。具体的には、±10%(より好適には±5%)の範囲内の寸法誤差に起因した段差が面aと面bとの間に存在する場合には、面aと面bとは「段差なく連続する」と解釈される。面aと面bとが段差なく連続する構成によれば、段差部分の応力集中または剛性の不足に起因した破損を抑制できるという利点がある。換言すると、以上に例示した破損の抑制という効果が実現される範囲内であれば、面aと面bとの間に実際には段差がある場合でも「段差なく連続する」と解釈できる。
【0041】
端子部55は、接続端子51pと絶縁シート52と接続端子51nとの積層で構成される。各接続端子51(51p,51n)は、例えば銅または銅合金等の低抵抗な導電材料で形成された薄板状の電極である。絶縁シート52は、絶縁材料で形成された薄板状の部材である。例えば絶縁紙が絶縁シート52として好適に利用される。
【0042】
接続端子51pと絶縁シート52と接続端子51nとはZ2方向に積層される。具体的には、接続端子51pと接続端子51nとの間に絶縁シート52が介在する。接続端子51pは絶縁シート52のZ1方向に位置し、接続端子51nは絶縁シート52のZ2方向に位置する。接続端子51pは、半導体チップ12pを電気的に外部接続するための正極入力端子(P端子)である。接続端子51nは、半導体チップ12nを電気的に外部接続するための負極入力端子(N端子)である。接続端子51pと接続端子51nとは絶縁シート52により電気的に絶縁される。以上のように接続端子51pと接続端子51nとが絶縁シート52を挟んで対向する構成によれば、半導体モジュール100の電流経路に付随する誘導成分が低減される。なお、接続端子51pと接続端子51nとが平面視で重複しない形態も想定される。接続端子51pと接続端子51nとが重複しない形態においては、絶縁シート52が省略されてもよい。
【0043】
図1に例示される通り、接続端子51pは、本体部511pと延出部512pとを含む。本体部511pは、平面視で矩形状の部分である。延出部512pは、本体部511pにおいてY1方向に位置する周縁513pの一部からY1方向に延出する矩形状の部分である。具体的には、本体部511pの周縁513pのうち基準面RよりもX1方向に位置する部分から、延出部512pがY1方向に延出する。延出部512pは、本体部511pよりも横幅が小さい部分とも表現される。
【0044】
接続端子51pと同様に、接続端子51nは、本体部511nと延出部512nとを含む。本体部511nは、平面視で矩形状の部分である。延出部512nは、本体部511nのうちY1方向に位置する周縁513nの一部からY1方向に延出する矩形状の部分である。具体的には、本体部511nの周縁513nのうち、基準面RよりもX2方向に位置する部分から、延出部512nがY1方向に延出する。延出部512nは、本体部511nよりも横幅が小さい部分とも表現される。以上の説明から理解される通り、接続端子51pの延出部512pと接続端子51nの延出部512nとは、基準面Rを挟んで相互に反対側に位置する。なお、接続端子51nは「第1端子」の一例であり、接続端子51pは「第2端子」の一例である。
【0045】
絶縁シート52は平面視で矩形状に形成される。絶縁シート52のうちZ1方向に位置する周縁521は、接続端子51pの本体部511pの周縁513pと延出部512pの先端との間に位置し、かつ、接続端子51nの本体部511nの周縁513nと延出部512nの先端との間に位置する。したがって、図3に例示される通り、接続端子51pの延出部512pのうち先端を含む部分(以下「接合部」という)514pと、接続端子51nの延出部512nのうち先端を含む部分(以下「接合部」という)514nとは、絶縁シート52の周縁521からY1方向に突出する。
【0046】
以上の説明から理解される通り、本体部511pと本体部511nとは平面視で相互に重複する。他方、接合部514p(延出部512p)と接合部514n(延出部512n)とは平面視で相互に重複しない。そして、絶縁シート52は、本体部511pと本体部511nとの間に位置し、接合部514pおよび接合部514nには平面視で重複しない。以上の構成によれば、本体部511pと本体部511nとの重複により、前述の通り半導体モジュール100の電流経路の誘導成分が低減され、かつ、接合部514pと接合部514nとが相互に重複しない構成により、接合部514pと接合部514nとの電気的な絶縁を確実に確保できる。
【0047】
なお、接続端子51pの周縁513pと接続端子51nの周縁513nと絶縁シート52の周縁521との間でY方向の位置が一致してもよい。すなわち、接合部514pが本体部511pに直接的に連結され、接合部514nが本体部511nに直接的に連結される構成も想定される。換言すると、延出部512pのうち接合部514p以外の部分は接続端子51pから省略されてよく、延出部512nのうち接合部514n以外の部分は接続端子51nから省略されてよい。なお、本体部511nは「第1本体部」の一例であり、接合部514nは「第1接合部」の一例である。また、本体部511pは「第2本体部」の一例であり、接合部514pは「第2接合部」の一例である。
【0048】
端子部55は、支持体53をY軸の方向に貫通する。接続端子51pのうち本体部511pの周縁513pに近い部分と延出部512pの全部とは、支持体53の内壁面531からY1方向に突出する。同様に、接続端子51nのうち本体部511nの周縁513nに近い部分と延出部512nの全部とは、支持体53の内壁面531からY1方向に突出する。
【0049】
図1に例示される通り、接続端子51pのうち絶縁シート52の周縁521からY1方向に延出する接合部514pは、平面視で接続導体14pに重なる。接続端子51pの接合部514pは、例えばレーザ溶接により接続導体14pに接合される。すなわち、接続端子51pは、接続導体14pと導体パターン114aとを介して半導体チップ12pの主電極Cに電気的に接続される。
【0050】
同様に、接続端子51nのうち絶縁シート52の周縁521から延出する接合部514nは、平面視で接続導体14nに重なる。接続端子51nの接合部514nは、例えばレーザ溶接により接続導体14nに接合される。すなわち、接続端子51nは、接続導体14nと導体パターン114bと配線部13nとを介して半導体チップ12nの主電極Eに電気的に接続される。
【0051】
接続ユニット22は、接続端子61と支持体63とを具備する。支持体63は、接続端子61を支持する構造体である。支持体63は、支持体53と同様に各種の樹脂材料により形成される。より好適な態様において、支持体63は、筐体部23と同種の材料で形成される。なお、支持体63の内壁面には、筐体部23の内壁面と同様に下地膜図示略)が形成される。
【0052】
接続端子61は、支持体63をY軸の方向に貫通する。接続ユニット22は、例えばインサート成形により一体的に形成される。支持体63は、筐体部23の凹部26に収容された状態で当該筐体部23に固定される。接続端子61のうち支持体63の内壁面から突出する部分は接続導体14oの頂面に接合される。すなわち、接続端子61は、接続導体14oと導体パターン114cと配線部13pとを介して半導体チップ12pの主電極Eに電気的に接続され、かつ、接続導体14oと導体パターン114cとを介して半導体チップ12nの主電極Cに電気的に接続される。
【0053】
以上の説明から理解される通り、筐体部23とは別体で構成された支持体53(接続ユニット21)および支持体63(接続ユニット22)が当該筐体部23に固定されることで、矩形枠状の樹脂ケースが構成される。
【0054】
図2に例示される通り、封止部40は、封止体41と封止体42との積層で構成される。すなわち、半導体ユニット10の積層基板11と封止体42との間に封止体41が位置する。封止体41および封止体42は、例えばエポキシ樹脂等の各種の樹脂材料で形成される。なお、封止体41と封止体42とは相異なる材料で形成されてもよい。例えば、封止体41がシリコーンゲル等のゲル材料で形成され、封止体42がエポキシ樹脂で形成されてもよい。
【0055】
封止体41は、筐体部23が包囲する空間に充填される。具体的には、封止体41は、積層基板11を底面として筐体部23で包囲された空間に充填される。したがって、封止体41は、筐体部23の内壁面に形成された下地膜24に接触する。また、封止体41の表面F1は、筐体部23における凹部25の底面253および凹部26の底面263よりも低い位置にある。なお、封止体41の表面F1は、封止体41と封止体42との境界面とも換言される。封止体41は、「第1封止体」の一例である。
【0056】
図2に例示される通り、各接続導体14の頂面141(141p,141n)は、封止体41の表面F1よりも高い位置にある。すなわち、各接続導体14のうち頂面141を含む一部である導通部142(142p,142n)は、封止体41の表面F1からZ1方向に突出する。他方、各接続導体14のうち導通部142以外の部分と、半導体ユニット10における各接続導体14以外の要素(積層基板11,半導体チップ12p,半導体チップ12n,配線部13p,配線部13n)とは、封止体41の表面F1よりも低い位置にある。すなわち、半導体ユニット10のうち各接続導体14の導通部142だけが封止体41の表面F1から露出し、導通部142以外の部分は封止体41により被覆される。接続導体14nは「第1接続導体」の一例であり、導通部142nは「第1導通部」の一例である。また、接続導体14pは「第2接続導体」の一例であり、導通部142pは「第2導通部」の一例である。
【0057】
封止体42は、筐体部23と支持体53と支持体63とが包囲する空間に充填される。具体的には、封止体42は、封止体41の表面F1を底面として筐体部23と支持体53と支持体63とで包囲された空間に充填される。したがって、封止体42は、筐体部23の内壁面に形成された下地膜24に接触する。封止体42の表面F2は、端子部55の最上面(具体的には接続端子51pの上面)よりも高い位置にある。すなわち、各接続導体14(14p,14n,14o)のうち封止体41の表面F1から露出した導通部142と、端子部55のうち支持体53の内壁面531から突出する部分と、接続端子61のうち支持体63の内壁面から突出する部分とは、封止体42により被覆される。なお、封止体42の表面F2は、筐体部23の上面よりも低い位置にある。封止体42は、「第2封止体」の一例である。
【0058】
以上に説明した通り、第1実施形態においては、筐体部23とは別体で構成された接続ユニット21および接続ユニット22が当該筐体部23に固定される。したがって、構造が相違する複数種の接続ユニット21の何れかが、筐体部23に対して選択的に固定される。同様に、構造が相違する複数種の接続ユニット22の何れかが、筐体部23に対して選択的に固定される。すなわち、筐体部23に設置される接続ユニット21または接続ユニット22を変更することで、半導体ユニット10と筐体部23とを、相異なる型式の半導体モジュール100に共用できる。
【0059】
A-2:半導体モジュール100の製造方法
図5は、以上に説明した半導体モジュール100の製造方法を例示する工程図である。まず、半導体ユニット10の製造後の工程P1において、当該半導体ユニット10が筐体部23の内側に収容される。すなわち、各半導体チップ12(12p,12n)と各接続導体14(14p,14n,14o)の少なくとも一部とが筐体部23により包囲される。工程P1の実行後の工程P2において、筐体部23の内壁面に下地膜24が形成される。具体的には、工程P2においては、下地膜24に好適な樹脂材料が筐体部23の内壁面に塗布され、当該樹脂材料が硬化されることで下地膜24が形成される。工程P2は、「下地形成工程」の一例である。
【0060】
工程P2の実行後の工程P3において、下地膜24の状態が確認される。具体的には、下地膜24が適切に形成されたか否かが確認される。例えば、作業員が鉛直方向の上方からの目視により下地膜24の状態を確認する。例えば、下地膜24が均等に塗布されているか否か、および、下地膜24に破損等の不具合が発生していないか否かが確認される。なお、撮像装置による撮像等により下地膜24の状態が確認されてもよい。
【0061】
下地膜24が適正に形成されたことが工程P3にて確認されると、工程P4において、筐体部23の内側の空間に封止体41が充填される。具体的には、筐体部23の内側の空間に液状の樹脂材料(例えばエポキシ樹脂)が充填され、当該樹脂材料が加熱等により硬化されることで封止体41が形成される。封止体41は、筐体部23における凹部25の底面253および凹部26の底面263よりも低い位置まで充填される。したがって、封止体41となる樹脂材料が凹部25または凹部26を通過して漏出する可能性が低減される。工程P4が実行された直後においては、図4に例示される通り、各接続導体14(14p,14n,14o)のうち頂面141を含む導通部142が、封止体41の表面F1から露出する。なお、工程P4は「第1封止工程」の一例である。
【0062】
工程P4の実行後の工程P5において、封止体41の状態が確認される。具体的には、封止体41が適切に形成されたか否かが確認される。例えば、作業員が鉛直方向の上方からの目視により封止体41の状態を確認する。例えば、封止体41が下地膜24に充分に密着しているか否か、および封止体41内に気泡または未充填部等の欠陥が発生していないか否かが確認される。なお、撮像装置による撮像により封止体41の状態が確認されてもよい
【0063】
工程P5の実行後の工程P6において、接続ユニット21および接続ユニット22が筐体部23に固定される。すなわち、第1実施形態においては、下地膜24および封止体41の形成および確認後に、接続ユニット21および接続ユニット22が筐体部23に設置される。具体的には、接続ユニット21の支持体53が筐体部23の凹部25に収容および固定され、接続ユニット22の支持体63が筐体部23の凹部26に収容および固定される。工程P6が実行された段階では、図1の例示の通り、接続端子51pの接合部514pが接続導体14pに平面視で重なり、接続端子51nの接合部514nが接続導体14nに平面視で重なる。以上の通り、第1実施形態においては、支持体53を筐体部23の凹部25に収容することで、X軸の方向における筐体部23に対する支持体53の位置が確定される。したがって、筐体部23に対する支持体53の固定とは別途に筐体部23に対する支持体53の位置を調整する必要がある形態と比較して、接続ユニット21を筐体部23に固定する作業が簡素化される。接続ユニット22についても同様である。
【0064】
また、第1実施形態の接続ユニット21は接続端子51pと接続端子51nとを含む。したがって、接続端子51pと接続端子51nとが相互に独立に設置される構成と比較して、接続端子51pと接続端子nとを筐体部23に設置する工程P6の作業が簡素化される。
【0065】
前述の通り、接続導体14pの導通部142pと接続導体14nの導通部142nとは封止体41の表面F1から露出する。工程P6の実行後の工程P7において、接続端子51pの接合部514pが導通部142pの頂面141pに接合され、接続端子51nの接合部514nが導通部142nの頂面141nに接合される。各接合部514(514p,514n)と各導通部142(142p,142n)との接合には、例えばレーザ溶接が好適に利用される。工程P7の段階では、半導体ユニット10のうち各導通部142(142p,142n)以外の要素は封止体41により被覆されている。したがって、例えばレーザ溶接等により発生する異物が、半導体ユニット10の各要素(例えば半導体チップ12等)に直接的に付着する可能性が低減される。
【0066】
以上の説明から理解される通り、工程P6および工程P7は、接続ユニット21を筐体部23に固定し、かつ、接続導体14(14p,14n)の導通部142(142p,142n)と接続端子51(51p,51n)とを接合する工程(「接合工程」の一例)である。なお、工程P6と工程P7との順序が逆転されてもよい。すなわち、各接続導体14の導通部142に接続端子51を接合してから(工程P7)、支持体53を筐体部23に固定してもよい(工程P6)。
【0067】
工程P7の実行後の工程P8において、筐体部23と支持体53と支持体63とが包囲する空間に封止体42が充填される。具体的には、封止体42を構成する液状の樹脂材料(例えばエポキシ樹脂)が充填され、当該樹脂材料が加熱等により硬化されることで封止体42が形成される。工程P8は、「第2封止工程」の一例である。
【0068】
以上に説明した第1実施形態との対比のために、図6に例示される通り、端子部55が筐体部23に直接的に設置された構成(以下「対比例1」という)を想定する。第1実施形態では、端子部55が設置された支持体53が筐体部23とは別体で構成されるのに対し、対比例1は、収容体20を構成する筐体部23に端子部55が設置された構成である。対比例1においては、下地膜24または封止体41が形成される段階において、筐体部23に端子部55が設置された状態にある。すなわち、筐体部23に包囲された空間のうち端子部55の直下(Z2方向)に位置する図6の範囲αは、鉛直方向の上方の地点からみて端子部55の背後に位置する。したがって、対比例1においては、下地膜24および封止体41を形成する作業、および下地膜24および封止体41の状態を確認する作業が、端子部55により阻害される。
【0069】
対比例1とは対照的に、第1実施形態においては、封止体41の形成後に接続ユニット21が筐体部23に固定され、接続導体14(14p,14n)のうち封止体41の表面F1から露出する導通部142(142p,142n)に、当該接続ユニット21の接続端子51(51p,51n)が接合される。すなわち、端子部55が筐体部23に設置されない状態で封止体41が形成される。したがって、封止体41を形成する工程P4と、封止体41の状態を確認する工程P5とを、端子部55に邪魔されることなく容易に実行できる。さらに、第1実施形態においては、端子部55が筐体部23に設置されない状態で下地膜24が形成される。したがって、筐体部23の内壁面に下地膜24を形成する工程P2と、当該下地膜24の状態を確認する工程P3とを、端子部55に邪魔されることなく容易に実行できる。
【0070】
ところで、半導体モジュール100の製造の過程においては、接続端子51pと接続端子51nとが絶縁シート52により適切に絶縁されているか否かを判定する試験(以下「絶縁試験」という)が実行される。対比例1においては端子部55が筐体部23に直接的に固定されるから、絶縁試験用の試験装置には筐体部23の全体を固定する必要がある。したがって、試験装置の規模が大きいという課題が想定される。対比例1とは対照的に、第1実施形態においては、筐体部23とは別体の接続ユニット21に端子部55が設置されるから、絶縁試験においては接続ユニット21を試験装置に固定すればよい。すなわち、第1実施形態によれば、絶縁試験に使用される試験装置の規模を縮小できるという効果もある。
【0071】
B:第2実施形態
第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各構成において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0072】
図7は、第2実施形態における半導体モジュール100の構成を例示する平面図である。図8は、図7におけるb-b線の断面図である。第2実施形態の半導体モジュール100は、第1実施形態における接続ユニット21の支持体53に突起部56を追加した構成である。突起部56以外の構成は第1実施形態と同様である。また、第2実施形態の半導体モジュール100は、図5を参照して前述した製造方法により製造される。したがって、第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
【0073】
図9は、突起部56の近傍を拡大した断面図である。図7から図9に例示される通り、突起部56は、支持体53の内壁面531からY1方向に突出する庇状の部分であり、例えばインサート成形により支持体53と一体に形成される。図7に例示される通り、突起部56は、支持体53の横幅W3の全体にわたりX軸の方向に延在する。図9に例示される通り、突起部56の厚さTは、支持体53の高さHよりも充分に小さい。また、支持体53の内壁面531から突起部56が突出する方向(すなわちY1方向)における当該突起部56の長さLは、突起部56の厚さTを上回る(L>T)。すなわち、突起部56は、XY平面に平行な平板状に形成される。なお、図6においては下地膜54が支持体53の内壁面531を被覆する形態を例示したが、下地膜54は、内壁面531に加えて突起部56も被覆してよい。
【0074】
突起部56の上面は接続端子51nの下面(すなわち端子部55の最下面)に接触する。すなわち、突起部56は、接続端子51nと封止体41との間(さらには接続端子51nと基体部30との間)に位置する。具体的には、突起部56の下面と封止体41の表面F1の間には空間が形成され、当該空間には封止体42が充填される。すなわち、突起部56の下面は封止体42を挟んで封止体41の表面F1に対向する。また、突起部56の下面と支持体53の下面536とは同一面内に位置する。すなわち、突起部56の下面は支持体53の下面536に段差なく連続する。
【0075】
突起部56の先端(すなわちY1方向の端部)は、接続導体14pおよび接続導体14nの各々の側面に間隔をあけて対向する。具体的には、突起部56の先端と各接続導体14(14p,14n)の側面との間隔は1mmを上回る。すなわち、突起部56の先端と接続導体14の側面とが空隙をあけて対向すると仮定しても、当該空隙を通過する沿面距離は形成されない。
【0076】
図10は、第1実施形態における支持体53の近傍を拡大した断面図である。筐体部23または封止体41の残留応力、または両者間の線膨張係数の差異に起因した熱応力等の原因により、封止体41が下地膜24(あるいは筐体部23の内壁面)から剥離する場合がある。第1実施形態において、封止体41のうち端子部55の直下に位置する部分が下地膜24から剥離した場合、図10に太線で図示される通り、接続端子51nの下面と基体部30の表面との間の距離が沿面距離となる。
【0077】
第2実施形態においては、接続端子51nの下面に接触する突起部56が支持体53の内壁面531から突出する。したがって、封止体41が下地膜24(筐体部23の内壁面)から剥離した場合、接続端子51nと基体部30との沿面距離は、図9に太線で図示される通り、筐体部23の高さと突起部56の長さLと突起部56の厚さTとの合計値となる。以上の説明から理解される通り、第2実施形態によれば、突起部56が形成されない第1実施形態と比較して、端子部55の直下における沿面距離を確保し易い。すなわち、接続ユニット21の端子部55の絶縁性を確保し易いという利点がある。第2実施形態においては特に、突起部56の長さLが当該突起部56の厚さTを上回る。したがって、突起部56の長さLが突起部56の厚さTを下回る形態と比較して、封止体41が下地膜24から剥離した場合の沿面距離を充分に確保できる。
【0078】
なお、端子部55が筐体部23に設置された対比例1において、筐体部23の内壁面に突起部56を形成した構成(以下「対比例2」という)が想定される。しかし、対比例2においては、筐体部23のうち側壁232の内壁面は、端子部55および突起部56の双方の背後に位置する。したがって、対比例2においては、下地膜24の形成および確認と封止体41の確認とが阻害されるという課題が、対比例1よりも顕在化する。対比例2とは対照的に、第2実施形態においては、筐体部23とは別体の支持体53に突起部56が形成される。すなわち、端子部55および突起部56が存在しない状態で下地膜24および封止体41が形成される。したがって、筐体部23の内壁面に下地膜24を形成する工程P2と、下地膜24の状態を確認する工程P3と、封止体41の状態を確認する工程P5とを、端子部55および突起部56の何れにも邪魔されることなく容易に実行できる。すなわち、支持体53が筐体部23とは別体で形成される構成は、支持体53に突起部56が形成された構成にとって特に有効である。
【0079】
C:第3実施形態
図11は、第3実施形態における半導体モジュール100の部分的な断面図である。第3実施形態と半導体モジュール100は、第2実施形態と同様に、支持体53の内壁面531からY1方向に突出する突起部56を具備する。前掲の図9と同様に、図11には突起部56の近傍が図示されている。なお、突起部56以外の構成は第1実施形態と同様である。また、第3実施形態の半導体モジュール100は、図5を参照して前述した製造方法により製造される。したがって、第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
【0080】
第3実施形態の突起部56は、第2実施形態の突起部56と同様に、支持体53の横幅W3の全体にわたりX軸の方向に延在する。突起部56は、例えばインサート成形により支持体53と一体に形成される。図11に例示される通り、第3実施形態の突起部56は、第1部分561と第2部分562とを含む。
【0081】
第1部分561は、第2実施形態の突起部56と同様に、支持体53の内壁面531からY1方向に突出する庇状の部分である。Y1方向における第1部分561の長さLは、第1部分561の厚さTを上回る(L>T)。すなわち、第1部分561は、XY平面に平行な平板状に形成される。第2部分562は、第1部分561のうちY1方向の先端から接続端子51(51p,51n)とは反対側(すなわちZ2方向)に突出する部分である。第2部分562の先端(すなわち第1部分561とは反対側の端部)は、封止体41の表面F1に接触する。第2実施形態と同様に、第2実施形態の突起部56と接続導体14(14p,14n)との間には、所定の間隔が確保される。
【0082】
以上の例示の通り、第3実施形態においては、突起部56が、支持体53の内壁面531から突出する第1部分561に加えて、第1部分561の先端から接続端子51(51p,51n)とは反対側に突出する第2部分562を含む。したがって、図11に例示される通り、突起部56が単純な平板状に形成された第2実施形態と比較して、接続端子51nと基体部30との沿面距離を充分に確保できる。また、第3実施形態においては、第2部分562の先端が封止体41の表面F1に接触する。したがって、第2部分562の先端が封止体41の表面F1に接触しない構成と比較すると、接続ユニット21を筐体部23に固定する前述の工程P6において接続ユニット21の姿勢を安定させることが可能である。ただし、第2部分562の先端が封止体41の表面F1に接触しない形態も想定される。
【0083】
D:第4実施形態
図12は、第4実施形態における半導体モジュール100の部分的な断面図である。第4実施形態の半導体モジュール100は、第2実施形態と同様に、支持体53の内壁面531からY1方向に突出する突起部56を具備する。前掲の図9と同様に、図12には突起部56の近傍が図示されている。なお、突起部56以外の構成は第1実施形態と同様である。また、第4実施形態の半導体モジュール100は、図5を参照して前述した製造方法により製造される。したがって、第4実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
【0084】
図12に例示される通り、第4実施形態の突起部56は、第2実施形態の突起部56と同様に、支持体53の内壁面531からY1方向に突出する庇状の部分であり、例えばインサート成形により支持体53と一体に形成される。突起部56は、支持体53の横幅W3の全体にわたりX軸の方向に延在する。
【0085】
第2実施形態においては、突起部56の先端が各接続導体14(14p,14n)の側面に間隔をあけて対向する構成を例示した。第4実施形態においては、図12に例示される通り、突起部56の先端が各接続導体14(14p,14n)の側面に接触する。すなわち、突起部56の長さLは、筐体部23の内周面と各接続導体14の側面との距離と実質的に同等である。突起部56の長さLが突起部56の厚さTを上回る構成は、第2実施形態と同様である。すなわち、突起部56は、XY平面に平行な平板状に形成される。
【0086】
第4実施形態において封止体41が下地膜24(筐体部23の内壁面)から剥離した場合、接続端子51nと基体部30との沿面距離は、筐体部23の高さと突起部56の長さLとの合計値となる。すなわち、第4実施形態によれば、第2実施形態と同様に、突起部56が形成されない第1実施形態と比較して、端子部55の直下における沿面距離を確保し易いという利点がある。
【0087】
第4実施形態における半導体モジュール100の製造方法のうち接続ユニット21を筐体部23に固定する工程P6においては、凹部25の内側に配置された接続ユニット21を、突起部56の先端が各接続導体14(14p,14n)の側面に当接するまでY1方向に移動させる。そして、突起部56の先端が各接続導体14の側面に当接した状態で支持体53が筐体部23に固定される。以上の説明から理解される通り、第4実施形態においては、突起部56の先端を各接続導体14の側面に接触させることで、Y1方向における接続ユニット21の位置を確定できる。すなわち、各接続導体14に対する接続端子51(51p,51n)の位置決めに突起部56を利用できる。他方、突起部56の先端が接続導体14の側面に間隔をあけて対向する第2実施形態によれば、第4実施形態と比較して、接続端子51nと基体部30との沿面距離を確保し易いという利点がある。
【0088】
なお、突起部56が第1部分561と第2部分562とを含む第3実施形態において、第4実施形態と同様に、各接続導体14(14p,14n)の側面に突起部56を接触させてもよい。具体的には、図11における突起部56の第2部分562のうちY1方向の表面(すなわち各接続導体14との対向面)が、各接続導体14の側面に接触する。以上の構成によれば、第3実施形態と同様の効果が実現される。
【0089】
E:変形例
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
【0090】
(1)第1実施形態においては、各接続導体14(14p,14n,14o)の導通部142が封止体41の表面F1から露出する構成(以下「構成1」という)と、筐体部23とは別体の接続ユニット21が筐体部23に固定される構成(以下「構成2」という)とを例示した。また、第2実施形態から第4実施形態においては、支持体53の内壁面531から突起部56が突出する構成(以下「構成3」という)を例示した。第1実施形態は、構成1と構成2との組合せに相当し、第2実施形態から第4実施形態は、構成1から構成3の組合せに相当する。以下に例示される通り、構成1から構成3の組合せは、前述の例示に限定されない。すなわち、構成1から構成3から任意に選択された2以上の構成が組合せ可能である。
【0091】
[態様A]
例えば、図13に例示された態様Aは、構成1と構成3とを組合わせた形態である。態様Aにおいては、矩形枠状の単体の筐体部23に端子部55が設置される。各接続導体14(14p,14n)のうち封止体41の表面F1から露出した導通部142に対し、端子部55の各接続端子51(51p,51n)が接合される(構成1)。また、筐体部23の内壁面からY1方向に突出する突起部56が筐体部23に形成される(構成3)。以上の説明から理解される通り、態様Aにおいては構成2が省略される。なお、図13の突起部56は、第3実施形態または第4実施形態に例示した突起部56に置換されてもよい。
【0092】
[態様B]
図14に例示された態様Bは、構成2と構成3とを組合わせた形態である。態様Bにおいては、筐体部23とは別体の接続ユニット21が筐体部23に固定される(構成2)。接続ユニット21に設置された端子部55の各接続端子51(51p,51n)は、各接続導体14(14p,14n)の頂面141に接合される。また、接続ユニット21の支持体53の内壁面531からY1方向に突出する突起部56が筐体部23に形成される(構成3)。他方、封止体41は、各接続導体14の頂面141を含む半導体ユニット10の全体を被覆するように形成される。すなわち、態様Bにおいては構成1が省略される。なお、図14の突起部56は、第3実施形態または第4実施形態の突起部56に置換されてもよい。
【0093】
(2)前述の構成1から構成3の各々を単独で含む形態も想定される。例えば、図15に例示された形態(以下「態様C」という)は、構成1から構成3のうち構成3のみを含む形態である。態様Cにおいては、筐体部23の内壁面からY1方向に突出する突起部56が筐体部23に形成される(構成3)。端子部55は筐体部23に設置され、封止体41は、各接続導体14の頂面141を含む半導体ユニット10の全体を被覆するように形成される。すなわち、構成1および構成2は省略される。なお、図15の突起部56は、第3実施形態または第4実施形態の突起部56に置換されてもよい。以上の説明から理解される通り、構成3によれば、構成1および構成2の有無に関わらず、突起部56が形成されない構成と比較して、接続端子51nに関する沿面距離を確保し易いという効果が実現される。なお、図15の態様Cは、前述の対比例2に相当する。また、態様C(構成3)において、封止部40(封止体41および封止体42)が省略されてもよい。
【0094】
(3)前述の各形態においては、封止部40が封止体41と封止体42とを含む構成を例示したが、図16に例示される通り、封止体42は省略されてもよい。すなわち、封止部40は封止体41のみで構成されてもよい。なお、端子部55が封止部40により封止された構成によれば、接続端子51(51p,51n)の絶縁性を確保し易いという利点がある。接続導体14(14p,14n)の導通部142が封止体41の表面F1から露出する構成においては特に、封止体42を形成することで、接続導体14についても絶縁性を充分に確保できる。
【0095】
(4)前述の各形態においては筐体部23の内壁面に下地膜24が形成された構成を例示したが、下地膜24は省略されてもよい。なお、前述の構成2によれば、端子部55が筐体部23に設置されない状態で下地膜24を形成できる。したがって、筐体部23の内壁面に下地膜24を形成する工程P2と、当該下地膜24の状態を確認する工程P3とを、端子部55に邪魔されることなく容易に実行できる。以上の観点からすると、構成2は、筐体部23の内周面に下地膜24が形成される構成にとって特に有効である。
【0096】
(5)前述の各形態においては、基体部30を底面として収容体20で包囲された空間に半導体ユニット10が収容される構成を例示したが、基体部30は半導体モジュール100に必須の要素ではない。例えば、図17に例示される通り、基体部30を必要としない構成も想定される。
【0097】
図17の構成においては、積層基板11の絶縁基板112と筐体部23とが相互に接合されることで、半導体ユニット10が収容体20に支持される。具体的には、絶縁基板112の上面の縁部と筐体部23の下面とが、例えば接着剤により接合される。図17の構成においては、絶縁基板112および金属層113が、筐体部23の下面よりもZ2方向に位置する。すなわち、半導体ユニット10の一部が、筐体部23により包囲された空間の外側に位置する。他方、前述の各形態においては、半導体ユニット10の全体が筐体部23(収容体20)により包囲される。以上の例示から理解される通り、収容体20は、半導体チップ12を包囲する要素として包括的に表現され、半導体ユニット10の全体を包囲するか一部を包囲するかは不問である。なお、絶縁基板112の側面と筐体部23の内壁面とが例えば接着剤により接合されてもよい。
【0098】
また、前述の各形態においては、積層基板11の側方および下方の空間まで封止部40(封止体41)が充填された構成を例示したが、図17の例示から理解される通り、封止部40が積層基板11の側方および下方の空間まで到達しない形態も想定される。
【0099】
(6)前述の各形態においては、各接続導体14(14p,14n)の頂面141が凹部25の底面253よりも高い位置にある構成を例示した。以上の構成においては、各接続導体14のうち頂面141を含む一部が、筐体部23により包囲された空間の外側(凹部25の底面253よりも高い位置)に位置する。他方、各接続導体14(14p,14n)の頂面141が凹部25の底面253よりも低い位置にある構成も想定される。すなわち、各接続導体14の全体が筐体部23により包囲されてもよい。以上の説明から理解される通り、接続導体14(14p,14n)の少なくとも一部が筐体部23により包囲される。
【0100】
(7)前述の各形態においては、半導体チップ12がRC-IGBTを含む構成を例示したが、半導体チップ12の構成は以上の例示に限定されない。例えば、半導体チップ12がIGBTまたはMOSFETを含む形態も想定される。半導体チップ12がMOSFETを含む形態において、主電極Cはソース電極およびドレイン電極の一方であり、主電極Eはソース電極およびドレイン電極の他方である。また、半導体モジュール100に含まれる半導体チップ12の個数は2個に限定されない。例えば、半導体モジュール100が1個または3個以上の半導体チップ12を含む形態も想定される。
【符号の説明】
【0101】
100…半導体モジュール、10…半導体ユニット、11…積層基板、112…絶縁基板、113…金属層、114(114a,114b,114c)…導体パターン、12(12p,12n)…半導体チップ、13(13p,13n)…配線部、14(14p,14n,14o)…接続導体、141(141p,141n)…頂面、142(142p,142n)…導通部、15…接合材、20…収容体、21,22…接続ユニット、23…筐体部、24…下地膜、25,26…凹部、251,252,261,262…側面、253,263…底面、30…基体部、40…封止部、41…封止体、42…封止体、51(51p,51n)…接続端子、52…絶縁シート、53,63…支持体、55…端子部、56…突起部、61…接続端子、231,232,233,234…側壁、236…制御端子、237…ワイヤ、511(511p,511n)…本体部、512(512p,512n)…延出部、514(514p,514n)…接合部、561…第1部分、562…第2部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17