(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-21
(45)【発行日】2025-04-30
(54)【発明の名称】過マンガン酸イオンを含む水の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01G 45/12 20250101AFI20250422BHJP
C02F 1/66 20230101ALI20250422BHJP
C02F 1/68 20230101ALI20250422BHJP
C02F 1/78 20230101ALI20250422BHJP
【FI】
C01G45/12
C02F1/66 510A
C02F1/68 520B
C02F1/68 540H
C02F1/78
(21)【出願番号】P 2022538039
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 JP2021027308
(87)【国際公開番号】W WO2022019327
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2020125863
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【氏名又は名称】辻田 幸史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正好
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/017820(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107540021(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106745956(CN,A)
【文献】未知の可能性を秘めるナノバブル,NanotechJapan Bulletin,Vol.2, No.1,日本,2009年02月27日,http://www.nanonet.go.jp/magazine/archive/?page=1151.html,[オンライン]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 45/12
C02F 1/78
C02F 1/66
C02F 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
pHが3.5未満の水に、2価の無機鉄化合物と2価のマンガン化合物を溶解した後、水中にオゾンマイクロバブルを供給することによる過マンガン酸イオンを含む水の製造方法。
【請求項2】
2価の無機鉄化合物が、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)から選択される少なくとも1種である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
2価の鉄イオンの濃度が1~100ppbとなるように2価の無機鉄化合物を溶解する請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
2価のマンガン化合物が、塩化マンガン(II)、硫酸マンガン(II)、硝酸マンガン(II)から選択される少なくとも1種である請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
2価のマンガンイオンの濃度が0.1μM~1mMとなるように2価のマンガン化合物を溶解する請求項1記載の製造方法。
【請求項6】
無機塩をさらに溶解しない請求項1記載の製造方法。
【請求項7】
水中にオゾンマイクロバブルを供給した後にpHを5.0~9.0にする請求項1記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過マンガン酸イオンを含む水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過マンガン酸イオン(MnO4
-:VII)は、酸化剤として各種の酸化反応に用いられていることは周知の通りである。また、過マンガン酸イオンには、殺菌剤や消臭剤といった用途も知られている。しかしながら、過マンガン酸イオンを過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸化合物を水に溶解することで調製した場合、過マンガン酸イオンが短期間のうちに還元されて消滅してしまうという問題がある。この問題を解決するため、本発明者は、過マンガン酸イオンが長期に亘って安定に存在する水の製造方法の研究に取り組み、その成果として、濃度が1~300g/Nm3のオゾンガスを用いてオゾンマイクロバブルを発生させた水に、0.1μM~1mMの2価のマンガン化合物、0.1μM~1mMの有機鉄化合物、1~300mMの無機塩を溶解することによる、過マンガン酸イオンを含む水の製造方法を、特許文献1において報告している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者が特許文献1において報告した過マンガン酸イオンを含む水の製造方法は、過マンガン酸イオンを水中で長期に亘って安定に存在させることができることから、当業者に高く評価されている。しかしながら、この方法で過マンガン酸イオンを含む水を製造すると、水中に沈殿物が発生することは特許文献1に記載の通りであるが、発生する沈殿物は多量であり、沈殿物の発生が収まるまでに数日間を要するため、発生した沈殿物の濾過作業を行って製品として出荷することができるまでに時間がかかるという不便があることが後に判明し、こうした数日間続く沈殿物の発生がなぜ起こるのかの原因については、製造原料として有機鉄化合物を用いていることが推察された。
【0005】
そこで本発明は、製造原料として有機鉄化合物を用いない、過マンガン酸イオンが長期に亘って安定に存在する水の新規な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の点に鑑みてなされた本発明の過マンガン酸イオンを含む水の製造方法は、請求項1記載の通り、pHが3.5未満の水に、2価の無機鉄化合物と2価のマンガン化合物を溶解した後、水中にオゾンマイクロバブルを供給することによる。
また、請求項2記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、2価の無機鉄化合物が、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)から選択される少なくとも1種である。
また、請求項3記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、2価の鉄イオンの濃度が1~100ppbとなるように2価の無機鉄化合物を溶解する。
また、請求項4記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、2価のマンガン化合物が、塩化マンガン(II)、硫酸マンガン(II)、硝酸マンガン(II)から選択される少なくとも1種である。
また、請求項5記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、2価のマンガンイオンの濃度が0.1μM~1mMとなるように2価のマンガン化合物を溶解する。
また、請求項6記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、無機塩をさらに溶解しない。
また、請求項7記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、水中にオゾンマイクロバブルを供給した後にpHを5.0~9.0にする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、製造原料として有機鉄化合物を用いない、過マンガン酸イオンが長期に亘って安定に存在する水の新規な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の過マンガン酸イオンを含む水の製造方法は、pHが3.5未満の水に、2価の無機鉄化合物と2価のマンガン化合物を溶解した後、水中にオゾンマイクロバブルを供給することによる。
【0009】
本発明の過マンガン酸イオンを含む水の製造方法では、まず、pHが3.5未満の水に、2価の無機鉄化合物と2価のマンガン化合物を溶解する。2価の無機鉄化合物と2価のマンガン化合物を溶解する水のpHを3.5未満とする理由は、pHが3.5以上の水に、2価の無機鉄化合物を溶解すると、後に水中にオゾンマイクロバブルを供給した際、2価の鉄イオンから3価の酸化鉄(Fe2O3)が生成して沈殿し、過マンガン酸イオンを十分に生成させることができない恐れがあるからである。また、pHが3.5以上の水に、2価のマンガン化合物を溶解すると、後に水中にオゾンマイクロバブルを供給した際、2価のマンガンイオンから3価の酸化マンガン(Mn2O3)や4価の酸化マンガン(二酸化マンガン:MnO2)が生成して沈殿し、過マンガン酸イオンを十分に生成させることができない恐れがあるからである。2価の無機鉄化合物と2価のマンガン化合物を溶解する水のpHは、3.0未満が望ましい。
【0010】
水は、例えば電気伝導度が300μS/cm未満である水であってよく、電気伝導度が3μS/cm以下である純水を好適に用いることができるが、水道水や地下水を用いてもよい。
【0011】
水のpHを3.5未満にするための酸としては、塩酸、硫酸、硫酸などの無機酸を用いることが望ましい。
【0012】
pHが3.5未満の水に溶解する2価の無機鉄化合物としては、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)などを用いることができる。2価の無機鉄化合物は、2価の鉄イオンの濃度が1~100ppbとなるように溶解することが望ましい。2価の鉄イオンの濃度が1ppb未満であると、過マンガン酸イオンを十分に生成させることができない恐れがある。一方、2価の鉄イオンの濃度が100ppbを超えると、後に水中にオゾンマイクロバブルを供給した際、2価の鉄イオンから3価の酸化鉄(Fe2O3)が生成して沈殿しやすくなる恐れがある。
【0013】
pHが3.5未満の水に溶解する2価のマンガン化合物としては、塩化マンガン(II)、硫酸マンガン(II)、硝酸マンガン(II)などを用いることができる。2価のマンガン化合物は、2価のマンガンイオンの濃度が0.1μM~1mMとなるように溶解することが望ましい。2価のマンガンイオンの濃度が0.1μM未満であると、過マンガン酸イオンを十分に生成させることができない恐れがある。一方、2価のマンガンイオンの濃度が1mMを超えると、後に水中にオゾンマイクロバブルを供給した際、2価のマンガンイオンから3価の酸化マンガン(Mn2O3)や4価の酸化マンガン(二酸化マンガン:MnO2)が生成して沈殿しやすくなる恐れがある。2価のマンガン化合物は、2価のマンガンイオンの濃度が1~100μMとなるように溶解することがより望ましい。
【0014】
pHが3.5未満の水への2価の無機鉄化合物と2価のマンガン化合物の溶解順序は特に限定されるものではなく、同時に溶解してもよいし、段階的に溶解してもよい。
【0015】
なお、本発明の過マンガン酸イオンを含む水の製造方法においては、特許文献1に記載の過マンガン酸イオンを含む水の製造方法のように、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの無機塩をさらに溶解することを必要としない。無機塩をさらに溶解することが、本発明の方法による過マンガン酸イオンを含む水の製造に悪影響を及ぼすことはないが、製造された過マンガン酸イオンを含む水の用途に制約を与える場合があるため(塩分濃度が高い水の例えば電気機器などへの適用は望ましくない)、無機塩はさらに溶解しないことが望ましい。
【0016】
次に、2価の無機鉄化合物と2価のマンガン化合物を溶解したpHが3.5未満の水の中に、オゾンマイクロバブルを所定の時間、例えば1分間~24時間供給する。水中にオゾンマイクロバブルを供給する方法は自体公知の方法であってよく、粒径が5~50μmのマイクロバブルを発生させることができる、二相流旋回方式や加圧溶解方式による微小気泡発生装置を用いて行うことができる。二相流旋回方式を採用する場合、回転子などを利用して半径が10cm以下の渦流を強制的に生じせしめ、壁面などの障害物や相対速度の異なる流体にマイクロバブルの内部に含ませるオゾンを含んだ気液混合物を打ち当てることにより、渦流中に獲得した気体成分を渦の消失とともに分散させることで、所望のオゾンマイクロバブルを発生させることができる。また、加圧溶解方式を採用する場合、2気圧以上の高圧下でマイクロバブルの内部に含ませるオゾンを水中に溶解した後、これを大気圧に開放することにより生じた溶解気体の過飽和条件からオゾンマイクロバブルを発生させることができる。この場合、圧力の開放部位において、水流と障害物を利用して半径が1mm以下の渦を多数発生させ、渦流の中心域における水の分子揺動を起因として多量の気相の核(気泡核)を形成させるとともに、過飽和条件に伴ってこれらの気泡核に向かって水中の気体成分を拡散させ、気泡核を成長させることにより、所望のオゾンマイクロバブルを大量に発生させることができる。なお、これらの方法によって発生したオゾンマイクロバブルは、粒径が50μm以下で、レーザー光遮断方式の液中パーティクルカウンター(例えばSPM社製LiQuilaz-E20など)による計測において10~15μmに粒径のピークを有しており、そのピークの領域における微小気泡の個数は1000個/mL以上である(必要であれば特開2000-51107号公報や特開2003-265938号公報などを参照のこと)。水中にオゾンマイクロバブルを供給するために用いるオゾンガスとしては、例えば市販の酸素源オゾン発生装置を用いて1~300g/Nm3の濃度に調製したものが挙げられる。濃度が1g/Nm3未満のオゾンガスを用いた場合、水中に多量のオゾンマイクロバブルを効率よく供給することができない恐れがある。一方、濃度が300g/Nm3を超えるオゾンガスは調製が困難である。なお、オゾンガスは、オゾンの他に酸素や窒素などを含んでいてもよい。
【0017】
以上の工程によって、過マンガン酸イオンが長期に亘って安定に存在する水を製造することができるが、製造された過マンガン酸イオンを含む水のpHは3.5未満である。このため、製造された過マンガン酸イオンを含む水を、酸化剤、殺菌剤、消臭剤といった過マンガンイオンの用途に対して汎用性に富む弱酸性~弱アルカリ性のものにするため、水中へのオゾンマイクロバブルの供給を所定の時間行った後、pHを5.0~9.0にすることが望ましい。水のpHを5.0~9.0にするためのアルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの無機アルカリを用いることが望ましい。
【0018】
こうして製造された過マンガン酸イオンを含む水は、pHが5.0~9.0であり、過マンガンイオンの用途に対して汎用性に富むものであって、特許文献1に記載の製造方法で製造される過マンガン酸イオンを含む水と同様、過マンガン酸イオンが0.1μM~1mMの濃度で、典型的には1~100μMの濃度で水中で長期に亘って安定に存在しており、その半減期は例えば大気圧下で密閉容器に充填したものを40℃の温度条件下において保存した場合に3ヶ月間以上である。塩分濃度は0.3%以下であることが望ましく、0.1%以下であることがより望ましい。また、過マンガン酸イオンを含む水のpHを5.0~9.0にした際、水中に沈殿物が発生するが、発生する沈殿物は少量であって、短時間のうちに発生が収まる。従って、過マンガン酸イオンを含む水のpHを5.0~9.0にした例えば翌日に、発生した沈殿物の濾過作業を行って製品として出荷することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
【0020】
実施例1:
容積が15Lのガラス製容器に、電気伝導度が0.06μS/cmである超純水を10L入れ、そこに塩酸を添加してpHを2.8に調整した後、塩化鉄(II)を2価の鉄イオン濃度が約25ppbとなるように溶解するとともに、塩化マンガン(II)を2価のマンガンイオンの濃度が50μMとなるように溶解した。この液中に、加圧溶解型のマイクロバブル発生装置を用い、粒径が15~50μmのオゾンマイクロバブルを発生させて10分間供給した。装置は内部の水を循環させながら駆動させた。マイクロバブル発生装置には、酸素源オゾン発生装置を用いて約50g/Nm3の濃度で調製したオゾンガスを約1L/分で供給した。10分後、水は淡いピンク色を呈し、水中に過マンガン酸イオンが生成したことを予感させた。マイクロバブル発生装置の駆動を停止した後、水酸化ナトリウムを添加してpHを7.0に調整し、室内環境下で一昼夜自然放置してから、pHを7.0に調整した際に水中に発生した少量の沈殿物を1.2μmのメンブレンフィルタで濾過して除去した(それ以降の沈殿物のさらなる発生は認められなかった)。得られた濾液を紫外可視近赤外分光光度計で測定したところ、500-600nm付近に過マンガン酸イオンのピーク群が存在した(蒸留水に塩化ナトリウムを溶解して塩分濃度を0.25%にしてから過マンガン酸カリウムを溶解することで製造した過マンガン酸イオンを含む水について同じ条件で測定を行うことで同じ場所に同じ形状のピーク群が存在することを確認)。
【0021】
こうして製造した過マンガン酸イオンを含む水の過マンガン酸イオン濃度は約10μMであり(紫外可視近赤外分光光度計で測定した過マンガン酸イオンのピーク群の高さを、標準液として過マンガン酸カリウムを用いて製造した過マンガン酸イオンを20μMの濃度で含む水のピーク群の高さと比較することで換算した濃度)、塩分濃度を塩分濃度計で測定したところ約0.05%であった。この過マンガン酸イオンを含む水を大気圧下で密閉容器としてペットボトルに充填して40℃の温度条件下において保存した場合における過マンガン酸イオンの半減期を調べたところ、3か月間以上であった(3か月間が経過した時点で半分以上の過マンガン酸イオンが残存)。また、この過マンガン酸イオンを含む水から1mLをサンプリングし、これにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を濃度が20mMになるように加えた後、5,5-ジメチル-1-ピロリン N-オキシド(DMPO)を濃度が200mMになるように加え、さらに塩酸を濃度が500mMになるように加え、得られた混合液を石英セルに吸引し、電子スピン共鳴装置(ESR)で測定したところ、1:2:2:1のピークパターンを持つ顕著なDMPO-OHの信号を確認することができた。また、この過マンガン酸イオンを含む水をペットボトルに入れて冷暗所で保管し、3か月後に同様の測定を行ったところ、1:2:2:1のピークパターンを持つ信号を確認することができ、そのピーク長は、製造直後のピーク長の90%以上であった。
【0022】
実施例2:
実施例1における水酸化ナトリウムを添加することによる水のpHを7.0に調整する操作のかわりに、添加する水酸化ナトリウムの量を減らしてpHを5.5に調整すること以外は実施例1と同様の方法で、過マンガン酸イオンを含む水を製造した。こうして製造した過マンガン酸イオンを含む水の過マンガン酸イオン濃度は約10μMであり、塩分濃度は約0.03%であった。この過マンガン酸イオンを含む水の過マンガン酸イオンの半減期と電子スピン共鳴装置による測定結果は、実施例1で製造した過マンガン酸イオンを含む水のものと同じであった。
【0023】
実施例3:
塩化鉄(II)にかわりに硫酸鉄(II)を添加すること以外は実施例1と同様の方法で、過マンガン酸イオンを含む水を製造した。こうして製造した過マンガン酸イオンを含む水の過マンガン酸イオン濃度は約10μMであり、塩分濃度は約0.05%であった。この過マンガン酸イオンを含む水の過マンガン酸イオンの半減期と電子スピン共鳴装置による測定結果は、実施例1で製造した過マンガン酸イオンを含む水のものと同じであった。
【0024】
実施例4:
塩化マンガン(II)にかわりに硫酸マンガン(II)を添加すること以外は実施例1と同様の方法で、過マンガン酸イオンを含む水を製造した。こうして製造した過マンガン酸イオンを含む水の過マンガン酸イオン濃度は約10μMであり、塩分濃度は約0.05%であった。この過マンガン酸イオンを含む水の過マンガン酸イオンの半減期と電子スピン共鳴装置による測定結果は、実施例1で製造した過マンガン酸イオンを含む水のものと同じであった。
【0025】
実施例5:
実施例1で製造した過マンガン酸イオンを含む水の、病原菌であるサルモネラ・エンテリティディス(Salmonella Enteritidis)に対する殺菌効果を調べたところ、優れた殺菌効果が認められた。
【0026】
実施例6:
実施例1で製造した過マンガン酸イオンを含む水を、Line-M系ニワトリのSPF卵を孵化させた初生ヒナに経口投与して毒性を調べたところ、毒性は認められなかった。
【0027】
実施例7:
実施例1で製造した過マンガン酸イオンを含む水の、ニワトリ胎児線維芽細胞(CEF細胞)に対する細胞毒性を調べたところ、細胞毒性は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、製造原料として有機鉄化合物を用いない、過マンガン酸イオンが長期に亘って安定に存在する水の新規な製造方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。