(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-21
(45)【発行日】2025-04-30
(54)【発明の名称】流動接触分解のためのFCC触媒組成物およびFCC触媒組成物を使用する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 29/80 20060101AFI20250422BHJP
C10G 11/18 20060101ALI20250422BHJP
B01J 35/61 20240101ALI20250422BHJP
B01J 35/60 20240101ALI20250422BHJP
【FI】
B01J29/80 M
C10G11/18
B01J35/61
B01J35/60 A
(21)【出願番号】P 2022580412
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(86)【国際出願番号】 US2021024620
(87)【国際公開番号】W WO2022005544
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-11-01
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301041531
【氏名又は名称】一般財団法人JCCP国際石油・ガス・持続可能エネルギー協力機関
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】コセオグル,オマール レファ
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ヤーミン
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 賢
(72)【発明者】
【氏名】荒川 誠治
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-534433(JP,A)
【文献】特開2012-050976(JP,A)
【文献】特表2002-530514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0256290(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 29/00-29/90
C10G 11/00-11/22
B01J 35/00-35/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動接触分解(FCC)触媒組成物であって、
USYゼオライトの骨格に置換された1つ以上の遷移金属を含む骨格置換USYゼオライト、
前記FCC触媒組成物の総質量に基づいて、1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物
であって、ZSM-5ゼオライトを含む前記FCCゼオライト分解用添加物、および
前記FCC触媒組成物の総質量に基づいて、35質量パーセントから60質量パーセントの無機充填剤であって、シリカゾル、塩基性塩化アルミニウム、重リン酸アルミニウム、アルミナゾル、活性アルミナ、多孔質シリカ、金属捕捉剤、またはこれらの組合せの1つ以上を含む無機充填剤、
を含むFCC触媒組成物。
【請求項2】
前記1つ以上の遷移金属が、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含む、請求項1記載のFCC触媒組成物。
【請求項3】
前記骨格置換USYゼオライトが、2.430ナノメートルから2.450ナノメートルの結晶格子定数および600平方メートル毎グラムから900平方メートル毎グラムの比表面積を有する、請求項
1記載のFCC触媒組成物。
【請求項4】
前記FCC触媒組成物が、該FCC触媒組成物の総質量に基づいて5質量パーセントから60質量パーセントの前記骨格置換USYゼオライトを含む、請求項
1記載のFCC触媒組成物。
【請求項5】
前記FCC触媒組成物は複数の微小粒子を含み、前記複数の微小粒子の各々は、前記骨格置換USYゼオライト、前記FCCゼオライト分解用添加
物、及び前記無機充填剤を含む、請求項1から4いずれか1項記載のFCC触媒組成物。
【請求項6】
炭化水素供給物をアップグレードする方法において、
前記炭化水素供給物の少なくとも一部をアップグレードするのに十分な反応条件で該炭化水素供給物をFCC触媒組成物と接触させる工程であって、
前記FCC触媒組成物は、
骨格置換USYゼオライトであって、該骨格置換USYゼオライトの骨格に置換された、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含む骨格置換USYゼオライト、
前記FCC触媒組成物の総質量に基づいて、1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物
であって、ZSM-5ゼオライトを含む前記FCCゼオライト分解用添加物、および
前記FCC触媒組成物の総質量に基づいて、35質量パーセントから60質量パーセントの無機充填剤であって、シリカゾル、塩基性塩化アルミニウム、重リン酸アルミニウム、アルミナゾル、活性アルミナ、多孔質シリカ、金属捕捉剤、またはこれらの組合せの1つ以上を含む無機充填剤、
を含む、工程、
を有してなる方法。
【請求項7】
前記炭化水素供給物が、450セ氏温度から700セ氏温度の温度で、0.1秒から60秒の滞留時間に亘り、1:2から1:30の炭化水素供給物対FCC触媒組成物の質量比で前記FCC触媒組成物に接触させられる、請求項6記載
の方法。
【請求項8】
前記骨格置換USYゼオライトがジルコニウムまたはチタンを含む、請求項
6記載
の方法。
【請求項9】
前記FCC触媒組成物が、該FCC触媒組成物の総質量に基づいて5質量パーセントから60質量パーセントの前記骨格置換USYゼオライトを含む、請求項
6記載
の方法。
【請求項10】
前記FCC触媒組成物の総質量に基づいて15質量パーセントから60質量パーセントの無機充填剤をさらに含む、請求項
6記載
の方法。
【請求項11】
前記FCC触媒組成物は複数の微小粒子を含み、当該複数の微小粒子の各々は、前記骨格置換USYゼオライト、前記FCCゼオライト分解用添加物、前記無機充填剤を含む、請求項6から10いずれか1項記載
の方法。
【請求項12】
前記炭化水素供給物を流動接触分解ユニットに通過させる工程、
前記炭化水素供給物の少なくとも一部に分解反応を経験させるのに十分な反応条件下で、前記流動接触分解ユニット内で該炭化水素供給物をFCC触媒組成物と接触させて、使用済みFCC触媒組成物と、1種類以上のオレフィンを含む分解流出物とを含む分解反応混合物を生成する工
程、
前記分解反応混合物を前記使用済みFCC触媒組成物と前記分解流出物に分離する触媒分離装置に該分解反応混合物を通過させる工程、および
前記分解流出物を前記流動接触分解ユニットから流出させる工程、
を含む
、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記炭化水素供給物が、1:2から1:30の炭化水素供給物対FCC触媒組成物の質量比で前記FCC触媒組成物と接触させられる、請求項12記載
の方法。
【請求項14】
前記FCC触媒組成物が、該FCC触媒組成物の質量に基づいて5質量パーセントから60質量パーセントの前記骨格置換USYゼオライトを含む、請求項12または13記載
の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、本開示に全てが引用される、「流動接触分解のためのFCC触媒組成物およびFCC触媒組成物を使用する方法」と題する、2020年7月2日に出願された米国特許出願第16/919336号に優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、炭化水素をアップグレードするプロセスに関し、より詳しくは、炭化水素をアップグレードするための触媒組成物およびその触媒組成物を使用して炭化水素をアップグレードするための流動接触分解プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
原油などの石油化学供給物は、オレフィンや芳香族化合物などの化学製品および中間体に変換することができ、これらの中間体は、石油化学産業の大部分の基本的な中間体である。軽質オレフィンと芳香族化合物の世界的な需要の増加が依然として、多くの統合製油所にとっての大きな課題である。純粋なオレフィン流は、高分子合成のための構成要素と考えられるので、特に、エチレン、プロペン、およびブテンなどのいくつかの価値のある軽質オレフィンの生産への注目が増している。それに加え、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、およびキシレンなどの芳香族化合物は、ポリマーや他の有機化合物の合成のため、並びに燃料添加剤のための有用中間体であり得る。
【発明の概要】
【0004】
流動接触分解(FCC)ユニットは、現代の石油精製における主要な炭化水素変換ユニットである。FCCユニットは、主に、従来のFCCユニットではガソリンを生産したり、高度(high severity)FCCユニットではプロピレンを生産したりすることができる。従来のFCCユニットは、500セ氏温度(℃)から550℃の温度、および3.0:1から6.0:1の触媒対油比で作動することができる。他方で、高度FCCユニットは、600℃から650℃の温度、および6.0:1超の触媒対油比で作動することができる。高度FCCユニットでは、炭化水素は、FCC触媒でガソリンに変換されることがあり、次に、ガソリンはFCC触媒用添加剤でオレフィンに変換することができる。オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、またはこれらの組合せが挙げられるであろう。
【0005】
FCCプロセスにおいて、炭化水素は、流動状態に維持された酸性触媒で接触分解される。この触媒は、連続的に再生することができる。そのようなプロセスからの主生成物の内の1つは、典型的に、ガソリンである。液体石油ガスおよび分解軽油などの他の生成物も、少量生産されることがある。ガソリンおよび他の炭化水素生成物は、FCCプロセス中に、エチレン、プロピレン、ブテン、またはこれらの組合せなどの軽質オレフィンにさらにアップグレードすることができる。触媒上に堆積したコークスは、再生触媒を反応区域に戻すように再循環させる前に、空気の存在下で、高温において、焼き払われる。FCCプロセスにおける多くの進歩にもかかわらず、当該産業は、改良された触媒材料、特に、所望の生成物への変換を増加させることのできる触媒材料を常に求めている。
【0006】
したがって、分解プロセスの効率を増加させ、軽質オレフィンなどの価値の大きい生成物の収量を向上させるために、流動接触分解触媒組成物および炭化水素をアップグレードする方法が引き続き望まれている。本開示は、骨格置換超安定Y型ゼオライトおよびFCCゼオライト分解用添加物を含む流動接触分解(FCC)触媒組成物に関する。これらのFCC触媒組成物は、FCCユニットに一般に使用されている従来の分解触媒と比べて、乾性ガスおよびコークスの生産が減少し、より大きい分解活性を特徴とすることがある。本開示のFCC触媒組成物は、炭化水素供給物の、軽質オレフィンやガソリンなどの所望の生成物への変換を大幅に増加させることができる。
【0007】
本開示の1つ以上の態様によれば、FCC触媒組成物は、USYゼオライトの骨格に置換された1つ以上の遷移金属を含む骨格置換USYゼオライトを含むことがある。このFCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて、1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物をさらに含むことがある。
【0008】
本開示の1つ以上の他の態様において、炭化水素供給物をアップグレードする方法は、炭化水素供給物の少なくとも一部をアップグレードするのに十分な反応条件で炭化水素供給物をFCC触媒組成物と接触させる工程を含むことがある。このFCC触媒組成物は、骨格置換USYゼオライト、およびFCC触媒組成物の総質量に基づいて、1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物をさらに含むことがある。骨格置換USYゼオライトは、骨格置換USYゼオライトの骨格に置換された、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含むことがある。
【0009】
本開示のさらに他の態様において、炭化水素供給物をアップグレードする方法は、炭化水素供給物を流動接触分解ユニットに通過させる工程を含むことがある。この方法は、炭化水素供給物の少なくとも一部に分解反応を経験させるのに十分な反応条件下で、流動接触分解ユニット内で炭化水素供給物をFCC触媒組成物と接触させる工程をさらに含むことがある。この分解反応により、使用済みFCC触媒組成物と、1種類以上のオレフィンを含む分解流出物とを含む分解反応混合物が生成されることがある。FCC触媒組成物は、骨格置換USYゼオライトの骨格に置換されたハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含む骨格置換USYゼオライトを含むことがある。FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて、1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物をさらに含むことがある。この方法は、分解反応混合物を使用済みFCC触媒組成物と分解流出物に分離する触媒分離装置にこの分解反応混合物を通過させる工程、および分解流出物を流動接触分解ユニットから流出させる工程をさらに含むことがある。
【0010】
本開示に記載された技術の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となる、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、本開示に記載されたような技術を実施することによって、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の特別な実施の形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号により示されている、以下の図面と共に読まれたときに、最もよく理解することができる。
【
図1】本開示に示され、記載された1つ以上の実施の形態による、炭化水素供給物をアップグレードするためのシステムの一般化流れ図
【
図2】本開示に示され、記載された1つ以上の実施の形態による、炭化水素供給物をアップグレードするための別のシステムの一般化流れ図
図1~2の単純化された概略図および記載を説明する目的のために、使用することができ、特定の化学処理操作の当業者に周知の多数の弁、温度センサ、電子制御装置などは、含まれていない。さらに、例えば、吸気口、熱交換器、サージタンク、触媒ホッパー、または他の関連システムなど、化学処理操作に大抵含まれる付随の構成部材は、示されていない。これらの構成要素は、開示された本実施の形態の精神および範囲に含まれることが分かるであろう。しかしながら、本開示に記載されたものなどの操作構成要素は、本開示に記載された実施の形態に加えられてもよい。
【0012】
さらに、図面中の矢印は、プロセスの流れを指すことにさらに留意されたい。しかしながら、その矢印は、等価的に、2つ以上のシステム構成要素間でプロセス蒸気を移送する働きをし得る移送ラインを指すことがある。さらに、システム構成要素に接続する矢印は、各所定のシステム構成要素における入口または出口を定義する。矢印の方向は、一般に、矢印によって示される物理的な移送ライン内に収容される流れの材料の主要な移動方向と一致する。さらに、2つ以上のシステム構成要素を接続しない矢印は、描かれたシステムから出る生成物の流れ、または描かれたシステムに入るシステム入口流を意味する。生成物の流れは、付随する化学処理システムでさらに処理されても、最終生成物として商業化されてもよい。システム入口流は、付随する化学処理システムから移送される流れであっても、処理されていない原料流であってもよい。いくつかの矢印は、システム構成要素の流出流であり、システムに再循環される再循環流を表すことがある。しかしながら、いくつかの実施の形態において、表された再循環流のいずれも、同じ材料のシステム入口流で置き換えられてもよく、再循環流の一部はシステム生成物としてシステムから出てもよいことを理解すべきである。
【0013】
さらに、図面中の矢印は、あるシステム構成要素からの流れを別のシステム構成要素に輸送するプロセス工程を概略的に描写することがある。例えば、あるシステム構成要素から別のシステム構成要素を指す矢印は、システム構成要素の流出物を別のシステム構成要素に「通過させる」ことを表す場合があり、これは、プロセス流の内容物が、あるシステム構成要素から「出る」または「除去」され、その生成物流の内容物を別のシステム構成要素に「導入」することを含む場合がある。
【0014】
図1~2の概略流れ図において2つ以上の線が交差する場合、2つ以上のプロセス流は「混合され」または「組み合わされ」ることを理解すべきである。混合または組合せは、両方の流れを同様の反応装置、分離装置、または他のシステム構成要素に直接導入することによる混合も含むことがある。例えば、2つの流れが分離ユニットまたは反応装置に入る前に直接組み合わされるように描かれている場合、いくつかの実施の形態において、流れは、等価的に分離ユニットまたは反応装置に導入され、反応装置で混合され得ることを理解すべきである。
【0015】
ここで、そのいくつかの実施の形態が添付図面に示されている、本開示の様々な実施の形態を詳しく参照する。できるときはいつでも、図面に亘り、同じまたは同様の部分を称するために、同じ参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、流動接触分解触媒組成物および流動接触分解触媒組成物を使用した炭化水素供給物の分解により炭化水素をアップグレードする方法に関する。詳しくは、本開示は、骨格置換超安定Y型ゼオライト(骨格置換USYゼオライト)およびFCCゼオライト分解用添加物を含む流動接触分解触媒組成物(FCC触媒組成物)に関する。本開示は、このFCC触媒組成物を使用して炭化水素供給物をアップグレードする方法にも関する。この方法は、炭化水素供給物の少なくとも一部をアップグレードして、1種類以上のオレフィンを生成するのに十分な反応条件で流動接触分解ユニットにおいて炭化水素供給物をFCC触媒組成物と接触させる工程を含むことがある。
【0017】
炭化水素をアップグレードするための本開示の様々なFCC触媒組成物および方法は、FCCプロセスに使用される従来の触媒と比べて、流動接触分解プロセスの効率を増加させることができる。すなわち、本開示の炭化水素をアップグレードするための様々なFCC触媒組成物および方法により、炭化水素供給物の変換を増加させ、軽質オレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン、またはこれらの組合せ)およびガソリンなどの所望の生成物の収量を増加させることができる。本開示の炭化水素をアップグレードするための様々なFCC触媒組成物および方法は、乾性ガスおよびコークスの生成を減少させることもできる。
【0018】
本開示に使用されるように、「触媒」は、特定の化学反応の速度を増加させる任意の物質を称することができる。本開示に記載される触媒および触媒成分は、以下に限られないが、分解、芳香族分解、またはこれらの組合せなどの様々な反応を促進させるために使用することができる。
【0019】
本開示に使用されるように、「分解(cracking)」は、炭素-炭素結合を有する分子が、この炭素-炭素結合の1つ以上の分解(breaking)により複数の分子に分解される;芳香族化合物などの環状部分を含む化合物が、環状部分を含まない化合物に変換される;または炭素-炭素二重結合を有する分子が、炭素-炭素単結合になる、化学反応を称することができる。ある触媒は、多数の形態の触媒活性を有することがあり、1つの特定の機能で触媒を呼ぶことは、その触媒が、他の機能性について触媒的に活性ではなくなることにはならない。
【0020】
本開示の全体に亘り使用されるように、「軽質オレフィン」という用語は、エチレン、プロピレン、ブテンの1つ以上、またはこれらの組合せを称することができる。
【0021】
本開示の全体に亘り使用されるように、「ブテン」という用語は、1-ブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、イソブテンの1つ以上、またはこれらの異性体の混合物など、ブテンの1つまたは複数の異性体を称することができる。本開示の全体に亘り使用されるように、「ノルマルブテン」という用語は、1-ブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテンの1つまたは複数、もしくはこれらの異性体の混合物を称することができ、イソブテンは含まない。本開示の全体に亘り使用されるように、「2-ブテン」という用語は、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、またはこれら2つの異性体の混合物を称することができる。
【0022】
本開示の全体に亘り使用されるように、「原油」または「全原油(whole crude oil)」という用語は、油田から、または蒸留によってどの画分も分離されていない脱塩ユニットから直接受け取った原油を称することができる。
【0023】
本開示の全体に亘り使用されるように、「上流」および「下流」という用語は、プロセス流の流れ方向に関するユニット操作の相対的な位置付けを称することができる。システムの第1のユニット操作は、システムを流れるプロセス流が第2のユニット操作に遭遇する前に第1のユニット操作に遭遇する場合、第2のユニット操作の「上流」であると考えられる。同様に、第2のユニット操作は、システムを流れるプロセス流が第2のユニット操作に遭遇する前に第1のユニット操作に遭遇する場合、第1のユニット操作の「下流」であると考えられる。
【0024】
本開示に使用されるように、流れまたは流出物をあるユニットから別のユニットに「直接」通過させることは、その流れまたは流出物の組成を実質的に変える介在する反応システムまたは分離システムに流れまたは流出物を通さずに、第1のユニットから第2のユニットに流れまたは流出物を通過させることを称することができる。熱交換器、予熱器、冷却機、凝縮器、または他の熱伝導設備などの熱伝導装置、およびポンプ、圧力調整器、圧縮機、または他の圧力装置などの圧力装置は、流れまたは流出物の組成を変える介在するシステムであると考えられない。2つの流れまたは流出物を互いに組み合わせることも、組み合わされている流れまたは流出物の一方または両方の組成を変える介在するシステムを構成すると考えられない。
【0025】
本開示に使用されるように、「流出物」という用語は、特定の反応または分離の後に反応器、反応区域、もしくは分離ユニットから排出される流れを称することができる。一般に、流出物は、分離ユニット、反応器、または反応区域に入った流れと異なる組成を有する。流出物が別のシステムユニットに通過させられる場合、そのシステム流の一部だけが通過させられることがあることを理解すべきである。例えば、スリップ流は、流出物のいくらかを運び去ることがあり、これは、流出物の一部だけが下流のシステムユニットに入ることがあるのを意味する。「反応流出物」という用語は、反応器または反応区域から排出される流れを称するために、より具体的に使用することができる。
【0026】
流れは、その流れの成分について命名されることがあり、流れが命名されたその成分は、流れの主成分(例えば、流れの含有量の50質量パーセント(質量%)から、70質量%から、90質量%から、95質量%から、99質量%から、99.5質量%から、またさらには99.9質量%から、流れの含有量の100質量%までを含む)であることがあるのをさらに理解すべきである。流れの成分は、その成分を含む流れがあるシステム構成要素から別の構成要素に通過させられると開示されている場合、そのシステム構成要素から別の構成要素に通過させられると開示されることも理解すべきである。例えば、第1のシステム構成要素に、または第1のシステム構成要素から第2のシステム構成要素に通過すると開示された「水素流」は、その第1のシステム構成要素に、または第1のシステム構成要素から第2のシステム構成要素に通過する「水素」を等価的に開示するものとする。
【0027】
先に述べたように、本開示のFCC触媒組成物は、USYゼオライトの骨格に置換された1つ以上の遷移金属を有する骨格置換USYゼオライトを含む。FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて1質量%から50質量%のFCCゼオライト分解用添加物も含むことがある。本開示のFCC触媒組成物は、炭化水素をガソリン、オレフィン、または他の有用生成物および中間体に変換するためのFCCプロセスにおいて、単独で使用されても、他の流動接触分解触媒材料と組合せで使用されてもよい。
【0028】
骨格置換USYゼオライトは、USYゼオライトの骨格の少なくとも一部を構成する1つ以上の遷移金属原子を含有するUSYゼオライトであることがある。骨格置換USYゼオライトは、ケイ素原子とアルミニウム原子がゼオライト骨格を形成し、ゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子の一部が、ハフニウム、ジルコニウム、チタンの原子、またはこれらの組合せなどの遷移金属原子で置換されている、USYゼオライトである。骨格置換USYゼオライトは、骨格置換USYゼオライトの総質量に基づいて各遷移金属を0.1質量%から5質量%含むことがある。例えば、骨格置換USYゼオライトは、骨格置換USYゼオライトの総質量に基づいて各遷移金属を0.1質量%から4質量%、0.2質量%から4質量%、または0.3質量%から3質量%含むことがある。骨格置換USYゼオライトは、骨格置換USYゼオライトの総質量に基づいて0.1質量%から15質量%の遷移金属を含むことがある。例えば、骨格置換USYゼオライトは、骨格置換USYゼオライトの総質量に基づいて0.1質量%から12.5質量%、0.5質量%から10質量%、または1.0質量%から7.5質量%の遷移金属を含むことがある。骨格置換USYゼオライト中に置換される遷移金属の量は、ゼオライト骨格内のアルミニウム原子と置換された遷移金属原子と、アルミニウム原子と置換されていないが、骨格置換USYゼオライトの細孔の内面に担持されている遷移金属原子との両方を含むことがある。
【0029】
その1つ以上の遷移金属は、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含むことがある。実施の形態において、1つ以上の遷移金属はハフニウムを含む。実施の形態において、骨格置換USYゼオライトは、ジルコニウム、チタン、またはジルコニウムとチタンを含むことがある。実施の形態において、骨格置換USYゼオライトは、ハフニウム、ジルコニウム、またはハフニウムとジルコニウムを含むことがある。ハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの遷移金属の組合せの少なくとも一部は、例えば、酸化ハフニウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、またはこれらの組合せなど、金属酸化物の形態で、USYゼオライトの細孔の内面上に担持されている、または結合されることがある。ハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せの金属酸化物は、USYゼオライトのメソ細孔の内面と結合されることがある。
【0030】
実施の形態において、ハフニウムの適切な化合物の例としては、硝酸ハフニウム、塩化ハフニウム、フッ化ハフニウム、臭化ハフニウム、およびシュウ酸ハフニウムが挙げられるであろう。ジルコニウムの適切な化合物の例としては、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、および塩化ジルコニウムが挙げられるであろう。チタンの適切な化合物としては、硫酸チタン、酢酸チタン、塩化チタン、硝酸チタン、および乳酸チタンが挙げられるであろう。
【0031】
骨格置換USYゼオライトの骨格中への遷移金属原子の骨格置換は、例えば、蛍光X線、高周波プラズマ発光分析、原子吸光分析、紫外可視近赤外分光光度法(UV-Vis-NIR)、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)、または核磁気共鳴分光法(NMR)によって、確認することができる。
【0032】
骨格置換USYゼオライトは、2.430ナノメートルから2.450ナノメートル、例えば、2.432nmから2.434nm、2.432nmから2.436nm、2.432nmから2.438nm、2.432nmから2.440nm、2.432nmから2.442nm、2.432nmから2.444nm、2.432nmから2.446nm、2.432nmから2.448nm、2.434nmから2.436nm、2.434nmから2.438nm、2.434nmから2.440nm、2.434nmから2.442nm、2.434nmから2.444nm、2.434nmから2.446nm、2.434nmから2.448nm、2.434nmから2.450nm、2.436nmから2.438nm、2.436nmから2.440nm、2.436nmから2.442nm、2.436nmから2.444nm、2.436nmから2.446nm、2.436nmから2.448nm、2.436nmから2.450nm、2.438nmから2.440nm、2.438nmから2.442nm、2.438nmから2.444nm、2.438nmから2.446nm、2.438nmから2.448nm、2.438nmから2.450nm、2.440nmから2.442nm、2.440nmから2.444nm、2.440nmから2.446nm、2.440nmから2.448nm、2.440nmから2.450nm、2.442nmから2.444nm、2.442nmから2.446nm、2.442nmから2.448nm、2.442nmから2.450nm、2.444nmから2.446nm、2.444nmから2.448nm、2.444nmから2.450nm、2.446nmから2.448nm、2.446nmから2.450nm、または2.448nmから2.450nmの結晶格子定数を有することがある。この結晶格子定数は、ASTM法D3942を使用して測定することができる。2.430nm未満の結晶格子定数は、FCC触媒組成物の活性を低下させる傾向があるであろう。どの特定の理論にも束縛される意図はないが、FCC触媒組成物の活性は、骨格構造中の高いSiO2/Al2O3モル比、および分解のための活性部位として働く少数の固体酸部位のために、低下するであろう。同様に、2.450nm超の結晶格子定数のために、FCC反応中に骨格置換USYゼオライトの結晶構造が破壊されることがある。どの特定の理論にも束縛される意図はないが、FCC反応中の骨格置換USYゼオライトの結晶構造の破壊は、低い熱抵抗により生じ、これにより、FCC触媒組成物の活性の低下ももたらされるであろうと考えられる。
【0033】
骨格置換USYゼオライトは、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)法で決定して、600平方メートル毎グラムから900平方メートル毎グラムの比表面積を有することがある。例えば、骨格置換USYゼオライトは、600m2/gから875m2/g、600m2/gから850m2/g、600m2/gから825m2/g、600m2/gから800m2/g、600m2/gから775m2/g、600m2/gから750m2/g、600m2/gから725m2/g、600m2/gから700m2/g、600m2/gから675m2/g、600m2/gから650m2/g、600m2/gから625m2/g、625m2/gから900m2/g、650m2/gから900m2/g、675m2/gから900m2/g、700m2/gから900m2/g、725m2/gから900m2/g、750m2/gから900m2/g、775m2/gから900m2/g、800m2/gから900m2/g、825m2/gから900m2/g、850m2/gから900m2/g、または875m2/gから900m2/gの比表面積を有することがある。600m2/g未満の比表面積では、FCC反応中に有効触媒活性を有する固体酸部位の数が減少するであろう。同様に、900m2/gを超える比表面積は、生産限界のために実際的ではないであろう。しかしながら、ゼオライト材料の加工の進歩が見出されたら、利点が見つかるかもしれない。
【0034】
骨格置換USYゼオライトは、5:1から100:1のシリカ(SiO2)対アルミナ(Al2O3)の高いモル比を有することがある。例えば、骨格置換USYゼオライトは、10:1から100:1、20:1から100:1、30:1から100:1、40:1から100:1、50:1から100:1、60:1から100:1、70:1から100:1、80:1から100:1、90:1から100:1、5:1から90:1、5:1から80:1、5:1から70:1、5:1から60:1、5:1から50:1、5:1から40:1、5:1から30:1、5:1から20:1、5:1から10:1、10:1から95:1、15:1から90:1、20:1から85:1、または25:1から80:1のSiO2対Al2O3のモル比を有することがある。5:1未満のSiO2対Al2O3のモル比は、有効な細孔容積をもたらさないであろう。どの特定の理論にも束縛される意図はないが、非効果的な細孔容積は、分解の活性を低下させるであろうと考えられる。同様に、100:1を超えるSiO2対Al2O3のモル比は、固体酸部位の数を減少させるであろう。どの特定の理論にも束縛される意図はないが、固体酸部位の数が減少すると、分解の活性が低下するであろうと考えられる。
【0035】
骨格置換USYゼオライトを生成するために、USYゼオライト内のアルミニウム原子の一部を、ハフニウム原子、ジルコニウム原子、チタン原子、またはこれらの組合せで置換することができる。骨格置換USYゼオライトは、USYゼオライトを500℃から700℃の温度で焼成することによって、生成することができる。次に、焼成USYゼオライトを含有し、5から15の液固質量比を有する懸濁液を形成することができる。溶液のpHが1.0から2.0となるように、無機酸または有機酸を添加することができる。次に、ハフニウム、ジルコニウム、またはチタンなどの遷移金属を含有する溶液をこの懸濁液と混合することができる。pHが約7.0となるように、懸濁液と遷移金属溶液を含む混合物を、例えば、アンモニア水で中和することができる。
【0036】
USYゼオライトは、骨格置換USYゼオライトを調製する方法のための原材料として使用することができる。USYゼオライトは、市販のUSYゼオライトであっても、Y型ゼオライトから調製してもよい。USYゼオライトの製造方法は、当業者に公知である。例えば、上記USYゼオライトの製造方法の1つに、一般方法により合成されたY型ゼオライトに、水中にY型ゼオライトを分散させて懸濁液を調製し、この懸濁液に硫酸アンモニウムを加え、固体物質を水で洗浄し、40℃から80℃の温度で固体物質を硫酸アンモニウム水溶液で洗浄し、40℃から95℃の温度で固体物質を水で洗浄し、約30分間に亘り100℃から180℃の温度で固体物質を乾燥させることなどの従来の方法による、ナトリウムイオンのアンモニウムイオンによる交換を施す工程を含むことがある。したがって、Y型ゼオライト中に含まれるNaの約50質量%から70質量%がNH4で置換された、アンモニウム交換済みY型ゼオライト、NH4-50から70Yが生成される。
【0037】
続いて、例えば、飽和蒸気雰囲気中で、10分から10時間に亘り500℃から800℃で上記アンモニウム交換済みY型ゼオライト(NH4-50から70Y)をか焼することによって、水素型Y型ゼオライト(HY)を調製することができる。次に、初期Y型ゼオライト(Na-Y)中に含まれるNaの約80質量%から97質量%がNH4とイオン交換されたアンモニウム交換済みY型ゼオライト(NH4-80から97Y)が得られる。先のように得られた水素型Y型ゼオライトを40℃から95℃の温度で水中に分散させて懸濁液を調製することができ、この懸濁液に硫酸アンモニウムが加えられる。次に、この懸濁液を10分から3時間に亘り40℃から95℃の温度でスタイフル(stifled)することができる。次に、固体物質を40℃から95℃の温度で、水で洗浄し、次いで、40℃から95℃の温度で、硫酸アンモニウム水溶液で洗浄し、続いて、40℃から80℃の温度で、水で洗浄することができる。その後、固体物質を30分から30時間に亘り100℃から180℃の温度で乾燥させる。実施の形態において、最終的なアンモニウムイオン交換率は、90%以上であろう。
【0038】
このように得られたアンモニウム交換済みY型ゼオライト(NH4-80から97Y)を例えば、飽和蒸気雰囲気中で、10分から10時間に亘り500℃から700℃でか焼することができる。したがって、2.430ナノメートルから2.450ナノメートルの結晶格子定数、600平方メートル毎グラムから900平方メートル毎グラムの比表面積、および5:1から100:1の比表面積を有するUSYゼオライトを調製することができる。
【0039】
本開示の骨格置換USYゼオライトを製造する方法において、2.430ナノメートルから2.450ナノメートルの結晶格子定数を有するUSYゼオライトを得るために、上述したUSYゼオライトから非骨格アルミニウムを除去することができる。非骨格アルミニウムは、例えば、上述したUSYゼオライトを40℃から95℃の温度で水中に分散させて懸濁液を調製し、この懸濁液に硫酸を加え、温度を40℃から95℃に維持しつつ、10分から3時間に亘り懸濁液をスタイフルして、非骨格アルミニウムを溶かす方法によって、除去することができる。非骨格アルミニウムを溶かした後、懸濁液を濾過し、フィルタ上の残留物を40℃から95℃の温度で、精製水で洗浄し、100℃から145℃の温度で乾燥させることができ、それによって、非骨格アルミニウムが除去されたUSYゼオライトを得ることができる。
【0040】
本開示の骨格置換USYゼオライトを製造する方法において、USYゼオライトは、550℃から650℃など、500℃から700℃の温度でか焼することができる。か焼の期間は、典型的に、目標の骨格置換USYゼオライトが得られる限り、重大ではない。実施の形態において、か焼の期間は、30分から10時間であることがある。実施の形態において、USYゼオライトをか焼するためのか焼雰囲気は、空気である。
【0041】
次に、か焼したUSYゼオライトは、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、またはこれらの組合せで骨格置換することができる。か焼したUSYゼオライトを骨格置換するために、か焼したUSYゼオライトを、20℃から30℃の温度の水中に懸濁させて、懸濁液を形成することができる。液固質量比は、8:1から12:1など、5:1から15:1の範囲にあることがある。次に、懸濁液のpHが1.0から2.0の範囲に制御されるように、懸濁液に無機酸または有機酸を加えることができる。懸濁液のpHを1.0から2.0の範囲に制御して、ハフニウム化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、またはこれらの組合せの水溶液をUSYゼオライトの懸濁液と混合する最中に沈殿が生じるのを防ぐことができる。無機酸としては、以下に限られないが、硫酸、硝酸、または塩化水素酸が挙げられるであろう。有機酸としては、以下に限られないが、カルボン酸が挙げられるであろう。続いて、ハフニウム化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、またはこれらの組合せを含む溶液を懸濁液に加え、混ぜることができる。
【0042】
ハフニウム化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、またはこれらの組合せの水溶液のUSYゼオライトの懸濁液との混合は、ハフニウム化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、またはこれらの組合せの水溶液を、USYゼオライトの懸濁液に徐々に加えることによって、行うことができる。懸濁液への水溶液の添加を完了した後、この溶液は、例えば、3時間から5時間に亘り周囲条件(約25℃)で撹拌することによって、混合することができる。混合の完了後、混ぜられた溶液は、pHが7.0から7.5に制御されるように、以下に限られないが、アンモニア水などのアルカリ化合物を加えることによって、中和することができる。得られた骨格置換USYゼオライトを濾過し、水で洗浄し、80℃から180℃の温度で乾燥させることができる。
【0043】
FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて5質量%から60質量%の骨格置換USYゼオライトを含むことがある。実施の形態において、本開示のFCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて、5質量%から10質量%、5質量%から15質量%、5質量%から20質量%、5質量%から25質量%、5質量%から30質量%、5質量%から35質量%、5質量%から40質量%、5質量%から45質量%、5質量%から50質量%、5質量%から55質量%、10質量%から15質量%、10質量%から20質量%、10質量%から25質量%、10質量%から30質量%、10質量%から35質量%、10質量%から40質量%、10質量%から45質量%、10質量%から50質量%、10質量%から55質量%、10質量%から60質量%、15質量%から20質量%、15質量%から25質量%、15質量%から30質量%、15質量%から35質量%、15質量%から40質量%、15質量%から45質量%、15質量%から50質量%、15質量%から55質量%、20質量%から25質量%、20質量%から30質量%、20質量%から35質量%、20質量%から40質量%、20質量%から45質量%、20質量%から50質量%、20質量%から55質量%、20質量%から60質量%、25質量%から30質量%、25質量%から35質量%、25質量%から40質量%、25質量%から45質量%、25質量%から50質量%、25質量%から55質量%、25質量%から60質量%、30質量%から35質量%、30質量%から40質量%、30質量%から45質量%、30質量%から50質量%、30質量%から55質量%、30質量%から60質量%、35質量%から40質量%、35質量%から45質量%、35質量%から50質量%、35質量%から55質量%、35質量%から60質量%、40質量%から45質量%、40質量%から50質量%、40質量%から55質量%、40質量%から60質量%、45質量%から50質量%、45質量%から55質量%、45質量%から60質量%、50質量%から55質量%、50質量%から60質量%、または55質量%から60質量%の骨格置換USYゼオライトを含むことがある。
【0044】
骨格置換USYゼオライトに加え、FCC触媒組成物は、FCCゼオライト分解用添加物も含むことがある。このFCCゼオライト分解用添加物は、MFI骨格ゼオライト、MEL骨格ゼオライト、ベータ骨格ゼオライト、モルデナイト骨格ゼオライトまたはこれらの組合せの内の1つ以上を含むことがある。さらに、FCC触媒組成物は、どの他のオレフィン選択的添加物を含むことがある。
【0045】
実施の形態において、FCCゼオライト分解用添加物は、MFI骨格添加物を含むことがある。いくつかの実施の形態において、MFI骨格添加物は、ZSM-5ゼオライトを含むことがある。本開示に使用されるように、「MFI骨格ゼオライト」は、IUPACゼオライト命名法にしたがうMFI骨格タイプを有し、シリカとアルミナからなるゼオライトを称する。ZSM-5ゼオライトは、「Zeolite Socony Mobil-5」を称し、0<n<27である、化学式NanAlnSi96-nO192・16H2Oで表すことができるペンタシル型ゼオライトである。他の実施の形態において、FCCゼオライト分解用添加物は、MEL骨格ゼオライトを含むことがある。このMEL骨格ゼオライトは、ZSM-11ゼオライトであることがある。ZSM-11ゼオライトは、「Zeolite Socony Mobil-11」を称し、0<n<16である、化学式NanAlnSi96-nO192・16H2Oで表すことができるペンタシル型ゼオライトである。
【0046】
実施の形態において、FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて、1質量%から5質量%、1質量%から10質量%、1質量%から15質量%、1質量%から20質量%、1質量%から25質量%、1質量%から30質量%、1質量%から35質量%、1質量%から40質量%、1質量%から45質量%、5質量%から10質量%、5質量%から15質量%、5質量%から20質量%、5質量%から25質量%、5質量%から30質量%、5質量%から35質量%、5質量%から40質量%、5質量%から45質量%、5質量%から50質量%、10質量%から15質量%、10質量%から20質量%、10質量%から25質量%、10質量%から30質量%、10質量%から35質量%、10質量%から40質量%、10質量%から45質量%、10質量%から50質量%、15質量%から20質量%、15質量%から25質量%、15質量%から30質量%、15質量%から35質量%、15質量%から40質量%、15質量%から45質量%、15質量%から50質量%、20質量%から25質量%、20質量%から30質量%、20質量%から35質量%、20質量%から40質量%、20質量%から45質量%、20質量%から50質量%、25質量%から30質量%、25質量%から35質量%、25質量%から40質量%、25質量%から45質量%、25質量%から50質量%、30質量%から35質量%、30質量%から40質量%、30質量%から45質量%、30質量%から50質量%、35質量%から40質量%、35質量%から45質量%、35質量%から50質量%、40質量%から45質量%、40質量%から50質量%、または45質量%から50質量%など、FCC触媒組成物の総質量に基づいて1質量%から50質量%のFCCゼオライト分解用添加物を含むことがある。
【0047】
FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて15質量%から60質量%の無機充填剤を含むことがある。例えば、FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて、15質量%から20質量%、15質量%から25質量%、15質量%から30質量%、15質量%から35質量%、15質量%から40質量%、15質量%から45質量%、15質量%から50質量%、15質量%から55質量%、20質量%から25質量%、20質量%から30質量%、20質量%から35質量%、20質量%から40質量%、20質量%から45質量%、20質量%から50質量%、20質量%から55質量%、20質量%から60質量%、25質量%から30質量%、25質量%から35質量%、25質量%から40質量%、25質量%から45質量%、25質量%から50質量%、25質量%から55質量%、25質量%から60質量%、30質量%から35質量%、30質量%から40質量%、30質量%から45質量%、30質量%から50質量%、30質量%から55質量%、30質量%から60質量%、35質量%から40質量%、35質量%から45質量%、35質量%から50質量%、35質量%から55質量%、35質量%から60質量%、40質量%から45質量%、40質量%から50質量%、40質量%から55質量%、40質量%から60質量%、45質量%から50質量%、45質量%から55質量%、45質量%から60質量%、50質量%から55質量%、50質量%から60質量%、または55質量%から60質量%の無機充填剤を含むことがある。無機充填剤は、シリカ系またはアルミナ系であることがある。無機充填剤は、シリカゾル、水ガラス(ケイ酸ナトリウム)、ケイ酸液体、塩基性塩化アルミニウム、重リン酸アルミニウム、アルミナゾル、活性アルミナ、多孔質シリカ、金属捕獲剤、またはこれらの組合せの内の1つ以上を含むことがある。実施の形態において、無機充填剤は、SiO2を含むシリカゾルであることがある。12質量パーセントから23質量パーセントに及ぶ濃度でSiO2を含む水ガラスおよび20質量パーセントから30質量パーセントに及ぶ濃度を有する硫酸を同時かつ連続的に加えることにより、10質量パーセントから15質量パーセントの濃度でSiO2を含むシリカゾルを調製することができる。ギブサイト、バイエライト、またはベーマイトなどの1種類以上の微結晶アルミナを酸性溶液中に溶かすことにより得られた溶液をアルミニウム化合物充填剤として使用することができる。塩基性塩化アルミニウムは、式(1):
[Al2(OH)nCl6-n]m (1)
(式中、0<n<6および1<m<10、記号mは自然数を表す)
で表すことができる。
【0048】
リン酸二水素アルミニウムまたは第一リン酸アルミニウムとも称される重リン酸アルミニウムは、Al(H2PO4)3で表される。アルミナゾルは、例えば、酸による擬ベーマイトアルミナのpH調整によって生じることがある。無機酸化物は、活性アルミナ、多孔質シリカ、希土類金属化合物、および金属捕捉剤(金属捕獲剤)であり得る。
【0049】
FCC触媒組成物は、1種類以上のマトリクス材料を含むことがある。本開示に使用されるように、「マトリクス材料」は、カオリンなどの粘土材料を称することができる。理論で束縛する意図はないが、FCC触媒組成物のマトリクス材料は、物理的機能と触媒機能の両方を果たすことができると考えられる。物理的機能には、粒子完全性と摩耗抵抗を与えること、熱伝導媒体として機能すること、および触媒マイクロスフェアに出入りする炭化水素の拡散を可能にする多孔質構造を提供することがある。マトリクスは、触媒選択性、製品品質、および耐毒性にも影響を与えることができる。マトリクス材料は、比較的大きい分子を直接含む反応に関する触媒活性全体に対して最も強い影響を与える傾向にあるであろう。実施の形態において、マトリクス材料はカオリンを含む。本開示に使用されるように、「カオリン」は、比較的多量(少なくとも約50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%、またさらには少なくとも95質量%など)のカオリナイトを有する粘土材料を称する。カオリナイトは、化学式Al2Si2O5(OH)4で表すことができる。追加の実施の形態において、マトリクス材料は、他の粘土材料を含むことがある。
【0050】
FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて30質量%から60質量%の量で1種類以上のマトリクス材料を含むことがある。実施の形態において、FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて、30質量%から55質量%、30質量%から50質量%、30質量%から45質量%、30質量%から40質量%、30質量%から35質量%、35質量%から60質量%、40質量%から60質量%、45質量%から60質量%、50質量%から60質量%、または55質量%から60質量%のマトリクス材料を含むことがある。実施の形態において、FCC触媒組成物は、開示された質量%範囲の量で、どの単一の開示されたマトリクス材料を含んでもよい。実施の形態において、FCC触媒組成物は、開示された質量%範囲の量で、どの2つ以上のマトリクス材料を組合せで含んでもよい。
【0051】
実施の形態において、FCC触媒組成物は、RE2O3の化学式を有する希土類酸化物を含むことがあり、式中、REは希土類金属である。希土類金属酸化物の希土類金属は、セリウム(Ce)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、またはこれらの組合せの内の1つ以上を含むことがある。FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて0.0質量%から6.0質量%の希土類酸化物を含むことがある。FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて、0.0質量%から0.5質量%、0.0質量%から1.0質量%、0.0質量%から1.5質量%、0.0質量%から2.0質量%、0.0質量%から2.5質量%、0.0質量%から3.0質量%、0.0質量%から4質量%、0.0質量%から5質量%、0.5質量%から1.0質量%、0.5質量%から1.5質量%、0.5質量%から2.0質量%、0.5質量%から2.5質量%、0.5質量%から3.0質量%、0.5質量%から4.0質量%、0.5質量%から5.0質量%、0.5質量%から6.0質量%、1.0質量%から1.5質量%、1.0質量%から2.0質量%、1.0質量%から2.5質量%、1.0質量%から3.0質量%、1.0質量%から4.0質量%、1.0質量%から5.0質量%、1.0質量%から6.0質量%、1.5質量%から2.0質量%、1.5質量%から2.5質量%、1.5質量%から3.0質量%、1.5質量%から4.0質量%、1.5質量%から5.0質量%、1.5質量%から6.0質量%、2.0質量%から2.5質量%、2.0質量%から3.0質量%、2.5質量%から3.0質量%、2.0質量%から4.0質量%、2.0質量%から5.0質量%、2.0質量%から6.0質量%、3.0質量%から4.0質量%、3.0質量%から5.0質量%、3.0質量%から6.0質量%、4.0質量%から5.0質量%、または4.0質量%から6.0質量%の希土類金属酸化物を含むことがある。
【0052】
本開示のFCC触媒組成物は、マイクロスフェアなどの成形微小粒子の形態にあることがある。記載されたように、「微小粒子」は、0.1マイクロメートルから100マイクロメートルのサイズを有する粒子を称する。微小粒子のサイズは、微小粒子の最長距離に沿って測定される、一方の側から別の側までの粒子の最大長を称する。例えば、球状に形成された微小粒子は直径と等しいサイズを有し、一方で、平行六面体に形成された微小粒子は、反対側の角から延びる斜辺と等しい最大長を有する。
【0053】
実施の形態によれば、FCC触媒組成物(骨格置換USYゼオライトおよびFCCゼオライト分解用添加物)のゼオライトは全て、各微小粒子に含まれることがある。しかしながら、他の実施の形態において、微小粒子は、微小粒子がFCC触媒組成物の一部しか含有しない場合に混合することができる。例えば、2つの微小粒子のタイプの混合物が、FCC触媒組成物に含まれることがあり、その場合、微小粒子の1つのタイプは骨格置換USYゼオライトを含み、微小粒子のもう1つのタイプは、FCCゼオライト分解用添加物を含む。
【0054】
FCC触媒組成物は、様々なプロセスにより形成することができる。実施の形態において、マトリクス材料を水などの流体と混合してスラリーを形成することができ、骨格置換USYゼオライトとFCCゼオライト分解用添加物を水などの流体と別々に混合して、スラリーを形成することができる。マトリクス材料のスラリーとゼオライトのスラリーは、撹拌しながら混ぜることができる。これとは別に、無機充填材料を水などの流体と混ぜることによって、別のスラリーを形成することができる。次に、無機充填剤のスラリーを、マトリクス材料とゼオライトを含有するスラリーと混ぜて、全成分のスラリーを形成することができる。この全成分のスラリーを、例えば、噴霧などによって乾燥させ、次に、か焼して、FCC触媒組成物の微小粒子を生成することができる。別の実施の形態によれば、骨格置換USYゼオライトとFCCゼオライト分解用添加物を、乾燥させながら混合して、FCC触媒組成物の微小粒子を生成することができる。
【0055】
1つ以上の実施の形態において、FCC触媒組成物は、最初に活性アルミナをシリカゾルに加えることによって形成することができる。次に、20質量%から30質量%の硫酸で、骨格置換USYゼオライトのスラリーを調製することができる。骨格置換USYゼオライトのスラリーは、3から5の範囲のpHを有することがある。同様に、FCCゼオライト分解用添加物のスラリーも調製することができる。活性アルミナとシリカゾルを、骨格置換USYゼオライトのスラリーおよびFCCゼオライト分解用添加物のスラリーと混ぜて、スラリー混合物を形成することができる。次に、このスラリー混合物を噴霧乾燥させて、球状粒子を形成することができる。噴霧乾燥後、球状粒子を洗浄することができる。次に、FCC触媒組成物が骨格置換USYゼオライトの質量に基づいて、0質量%から6質量%の希土類金属酸化物を含むように、球状粒子を、イオン交換のために、希土類金属塩化物の水溶液と接触させることができる。最後に、球状粒子を乾燥させて、FCC触媒組成物を生成することができる。
【0056】
本開示のFCC触媒組成物は、流動接触分解により炭化水素をアップグレードするためのシステムに取り入れることができる。
図1を参照すると、本開示の炭化水素供給物をアップグレードする方法に使用するのに適することできる反応装置系100の1つの実施の形態が概略示されている。しかしながら、本開示に記載された方法に、他の反応装置系の構成も適しているであろうことを理解すべきである。反応装置系100は、FCCユニット110および触媒再生ユニット120を含む。
図1の状況下で本開示に使用されるように、FCCユニット110は、概して、軽質オレフィンを形成するための炭化水素供給物のアップグレードなどの主要プロセスの反応が中で行われる反応装置系100の一部を指す。FCCユニット110は、ライザー部分112、反応ゾーン114、および分離ゾーン116を備えることができる。反応装置系100は、使用済み触媒を再生するための再生ゾーン122も含むことがある。
【0057】
実施の形態において、炭化水素供給物111を、この供給物の噴霧化のために蒸気または他の適切なガス(図示せず)と共に反応ゾーン114に導入することができる。炭化水素供給物111を有効量の加熱された新たなまたは再生された触媒粒子と混ぜ、接触させることができる。この加熱された新たなまたは再生された触媒粒子は、本開示のFCC触媒組成物であることがあり、FCC触媒組成物について本開示に先に記載された特徴、組成、または特性のいずれを有してもよい。加熱された新たなまたは再生された触媒粒子は、再生ゾーン122から導管123を通じて搬送することができる。炭化水素供給物111とFCC触媒組成物を接触させ、次いで、反応ゾーン114に通過させることができる。連続過程において、FCC触媒組成物と炭化水素供給物111の混合物は、ライザー部分112を通じて反応ゾーン114へと上方に進むことができる。ライザー部分112および反応ゾーン114において、炭化水素供給物111の炭化水素は、反応条件でFCC触媒組成物の粒子と接触することができる。炭化水素供給物111からの炭化水素が反応条件でFCC触媒組成物の粒子と接触することにより、この炭化水素の少なくとも一部が反応し、分解反応を経て、アップグレードされた炭化水素を形成することができ、これは、以下に限られないが、エチレン、プロピレン、ブテン、またはこれらの組合せなどの軽質オレフィンを含むことがある。
【0058】
この反応中、FCC触媒組成物の粒子は、コークス化されることがあり、これにより、FCC触媒組成物の粒子の活性触媒部位へのアクセスが制限されるか、なくなることがある。反応生成物は、当該技術分野で公知のどの適切な構成を使用して、コークス化された触媒粒子から分離してもよい。この分離は、概して分離ゾーン116と称されるゾーン内で行うことができ、このゾーンは、反応ゾーン114の上に位置することができる。反応生成物は、導管119を通じて取り出すことができる。この反応からのコークス堆積物を含有するFCC触媒組成物の粒子は、導管115を通じて再生ゾーン122に通過することができる。
【0059】
再生ゾーン122において、コークス化されたFCC触媒組成物の粒子は、導管121を通じて再生ゾーン122に入ることができる、酸素含有ガス流と接触することができる。再生ゾーン122は、FCC操作において公知の条件下にある構成で作動することができる。例えば、再生ゾーン122は、流動床として作動して、導管125を通じて排出することができる、燃焼生成物を含む再生排ガスを生成することができる。高温の再生されたFCC触媒組成物の粒子は、触媒再生ユニット120の再生ゾーン122から導管123を通じて、上述したように、炭化水素供給物111と混ぜるためにライザー部分112の底部に移送することができる。
【0060】
図2を参照すると、本開示に記載された炭化水素供給物をアップグレードする方法に使用するのに適することできる例示の反応装置系200の1つの実施の形態が、概略示されている。重ねて、本開示に記載された方法に、他の反応装置系の構成も適しているであろうことを理解すべきである。反応装置系200は、概して、FCCユニット210および触媒再生ユニット220などの多数の構成要素を含むことがある。
図2の状況下で本開示に使用されるように、FCCユニット210は、概して、軽質オレフィンを形成するための炭化水素供給物のアップグレードなどの主要プロセスの反応が中で行われる反応装置系200のユニットを指す。FCCユニット210は、反応ゾーン212、分離ゾーン2124、およびストリッパゾーン216を備えることができる。
図2の状況下で使用されるように、反応装置系200は、使用済み触媒を再生するための再生ゾーン222も含むことがある。
【0061】
実施の形態において、炭化水素供給物211を、この供給物の噴霧化のために蒸気または他の適切なガス(図示せず)と共に反応装置系200のダウナー部分を通じて反応ゾーン212に導入することができる。再生ゾーン222からの有効量の加熱された新たなまたは再生されたFCC触媒組成物の粒子を反応ゾーン212の最上部に搬送することができる。再生ゾーン222からの加熱された新たなまたは再生されたFCC触媒組成物の粒子は、移送ラインまたは直立管と一般に称される、下方に向けられた導管223を通じて、反応ゾーン212の最上部にある取り出し(withdrawal)またはホッパー(図示せず)に搬送することができる。高温のFCC触媒組成物の粒子の流れは、典型的に、反応ゾーン212の混合ゾーンまたは供給物噴射部分に均一に向けるために、安定させることができる。炭化水素供給物211は、典型的に、再生されたFCC触媒組成物の粒子を反応ゾーン212に導入する地点に近接して位置する供給物噴射ノズルを通じて、混合ゾーンに噴射することができる。これらの多数の噴射ノズルにより、FCC触媒組成物の粒子と炭化水素供給物211を完全かつ均一に混合することができる。炭化水素供給物211が高温のFCC触媒組成物の粒子と一旦接触したら、触媒反応が開始することができる。
【0062】
炭化水素生成物の反応蒸気は、反応ゾーン212の残りの部分を通じて分離ゾーン214に流れることができる。炭化水素生成物と未反応の炭化水素は、導管219を通じて様々な生成物回収セクションに向けることができる。実施の形態において、温度制御の必要があれば、反応ゾーン212の底部近くに、または分離ゾーン214の直前に、クエンチ噴射部(図示せず)を設けることができる。このクエンチ噴射部は、触媒反応を急速に低下または停止させることができる。
【0063】
反応温度(FCCユニット210の出口温度と等しいであろう)は、再生ゾーン222から反応ゾーン212の最上部への再生されたFCC触媒組成物の粒子の流れを制御できる触媒スライド弁(図示せず)を開閉することによって、制御することができる。
【0064】
ストリッパゾーン216も、炭化水素生成物と未反応の炭化水素からFCC触媒組成物の粒子を分離するために存在することがある。分離ゾーン214からのFCC触媒組成物の粒子は、ストリッパゾーン216に通過することができる。ストリッパゾーン216において、蒸気などの適切なストリッピングガスを流れライン213を通じて導入することができる。ストリッパゾーン216は、下方に流れる触媒粒子がストリッピングガスに対して向流に通過する複数のバッフルまたは構造化パッキング(図示せず)を含むことがある。上方に流れるストリッピングガスは、触媒粒子の細孔内または触媒粒子間に残るどのような余計な炭化水素もストリッピングするまたは除去することができる。ストリッピングされたまたは使用済みFCC触媒組成物の粒子は、ストリッパゾーン216から導管215を通じて触媒再生ユニット220に通過させることができる。ストリッピングされたまたは使用済みFCC触媒組成物の粒子は、触媒再生ユニット220のリフトライザーを通じる燃焼用空気流221からの揚力によって輸送することができる。次いで、ストリッピングされたまたは使用済みFCC触媒組成物の粒子は、再生ゾーン222内で、追加の燃焼用空気と接触し、任意の蓄積したコークスの制御された燃焼を経ることができる。煙道ガスは、導管225を通じて再生ゾーン222から除去することができる。再生器において、任意のコークス副生成物の燃焼から生じる熱は、FCC触媒組成物の粒子に伝導されることがあり、これにより、反応ゾーン212内の触媒反応に熱を供給するのに必要な温度が上昇することがある。
【0065】
炭化水素供給物をアップグレードする方法は、炭化水素供給物の少なくとも一部をアップグレードするのに十分な反応条件で炭化水素供給物をFCC触媒組成物と接触させる工程を含むことがあり、ここで、FCC触媒組成物は、骨格置換USYゼオライトと、FCC触媒組成物の総質量に基づいて、1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物とを含む。骨格置換USYゼオライトは、骨格置換USYゼオライトの骨格中に置換されたハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含むことがある。
【0066】
炭化水素供給物としては、原油、合成原油、ビチューメン、オイルサンド、シェールオイル、石炭液、ナフサ、ディーゼル、真空軽油、減圧残油、脱金属油、脱アスファルト油、コーカー軽油、循環油、軽油、またはこれらの組合せの1つ以上が挙げられるであろう。実施の形態において、炭化水素供給物は、原油、合成原油、ビチューメン、オイルサンド、シェールオイル、石炭液、ナフサ、ディーゼル、真空軽油、減圧残油、脱金属油、脱アスファルト油、コーカー軽油、循環油、軽油、またはこれらの組合せの1つ以上に由来するものであることがある。炭化水素供給物は、350℃以上の大気圧沸点範囲を有することがある。本開示に使用されるように、「大気圧沸点範囲」は、初期沸点から最終沸点までの温度間隔を称することがあり、ここで、初期沸点は、蒸留生成物の最初の一滴が得られる温度を称し、最終沸点は、沸点が最高の化合物が蒸発する温度を称する。
【0067】
実施の形態において、炭化水素供給物は、表1に示された以下の性質を有する水素化分解ユニットからの水素化分解再循環流または未変換の底部流を含むことがある。
【0068】
【0069】
炭化水素供給物は、450℃から700℃の温度でFCC触媒組成物と接触させることができる。炭化水素供給物は、450℃から500℃、450℃から550℃、450℃から650℃、500℃から550℃、500℃から600℃、500℃から650℃、500℃から700℃、550℃から600℃、550℃から650℃、550℃から700℃、600℃から650℃、600℃から700℃、または650℃から700℃の温度でFCC触媒組成物と接触させることができる。
【0070】
炭化水素供給物は、0.1メガパスカルから1メガパスカル(MPa)の圧力でFCC触媒組成物と接触させることができる。炭化水素供給物は、0.1MPaから0.2MPa、0.1MPaから0.3MPa、0.1MPaから0.4MPa、0.1MPaから0.5MPa、0.1MPaから0.6MPa、0.1MPaから0.7MPa、0.1MPaから0.8MPa、0.1MPaから0.9MPa、0.3MPaから0.4MPa、0.3MPaから0.5MPa、0.3MPaから0.6MPa、0.3MPaから0.7MPa、0.3MPaから0.8MPa、0.3MPaから0.9MPa、0.3MPaから1.0MPa、0.5MPaから0.6MPa、0.5MPaから0.7MPa、0.5MPaから0.8MPa、0.5MPaから0.9MPa、または0.5MPaから1.0MPaの圧力でFCC触媒組成物と接触させることができる。
【0071】
炭化水素供給物は、0.1秒から60秒(s)の滞留時間(炭化水素供給物がFCC触媒組成物と接触した状態で費やす合計時間)に亘り前記反応温度でFCC触媒組成物と接触させることができる。炭化水素供給物は、0.1sから10s、0.1sから20s、0.1sから30s、0.1sから40s、0.1sから50s、10sから20s、10sから30s、10sから40s、10sから50s、10sから60s、20sから30s、20sから40s、20sから50s、20sから60s、30sから40s、30sから50s、30sから60s、40sから50s、40sから60s、または50sから60sの滞留時間に亘り前記反応温度でFCC触媒組成物と接触させることができる。
【0072】
炭化水素供給物は、1:2から1:30の炭化水素供給物対FCC触媒組成物の質量比でFCC触媒組成物と接触させることができる。例えば、炭化水素供給物は、1:1から1:15、1:1から1:10、または1:8から1:20の炭化水素供給物対FCC触媒組成物の質量比でFCC触媒組成物と接触させることができる。
【0073】
分解流出物は、炭化水素供給物と比べて、ガソリン、ライトサイクルオイル(LCO)、ヘビーサイクルオイル(HCO)、全ガス(C4以下)、乾性ガス(C2以下)、液化石油ガス(C3~C4)、エチレン、プロピレン、およびブテンの内の1つ以上を増加した濃度で含むことがある。
【0074】
骨格置換USYゼオライトは、骨格置換USYゼオライトの質量に基づいて0.1質量%から5質量%の遷移金属を含むことがある。1種類以上の遷移金属としては、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、またはこれらの組合せが挙げられるであろう。実施の形態において、1種類以上の遷移金属はハフニウムを含む。1種類以上の遷移金属は、ジルコニウムまたはチタンをさらに含むことがある。実施の形態において、骨格置換USYゼオライトは、2.430nmから2.450nmの結晶格子定数、600m2/gから900m2/gの比表面積、5:1から100:1のSiO2対Al2O3のモル比、またはこれらの性質の組合せを有することがある。
【0075】
FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の質量に基づいて5質量%から60質量%の骨格置換USYゼオライトを含むことがある。FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて15質量%から60質量%の無機充填剤をさらに含むことがある。無機充填剤としては、シリカゾル、塩基性塩化アルミニウム、重リン酸アルミニウム、アルミナゾル、カオリン、粘土、活性アルミナ、多孔質シリカ、希土類酸化物、金属捕捉剤、またはこれらの組合せが挙げられるであろう。FCC触媒組成物は、RE2O3の化学式を有する希土類酸化物をさらに含むことがあり、骨格置換USYゼオライトの質量に基づいて0質量%から6.0質量%の希土類酸化物を含むことがある。実施の形態において、希土類酸化物の希土類金属としては、セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、またはこれらの組合せの1つ以上を含むことがある。FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物について本開示に先に記載されたどの他の特徴、組成、または性質を有してもよい。
【0076】
再び
図1~2を参照すると、炭化水素供給物をアップグレードする方法は、炭化水素供給物を流動接触分解ユニット(FCCユニット)に通過させる工程と、炭化水素供給物の少なくとも一部に分解反応を経験させるのに十分な反応条件下でFCCユニットにおいて炭化水素供給物をFCC触媒組成物と接触させて、使用済みFCC触媒組成物と、1種類以上のオレフィンを含む分解流出物とを含む分解反応混合物を生成する工程であって、FCC触媒組成物は、骨格置換USYゼオライトの骨格中に置換されたハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含む骨格置換USYゼオライト、およびFCC触媒組成物の総質量に基づいて1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物を含む、工程と、分解反応混合物を使用済みFCC触媒組成物と分解流出物に分離する触媒分離装置にこの分解反応混合物を通過させる工程と、分解流出物を流動接触分解ユニットから流出させる工程とを含むことがある。実施の形態において、流動接触分解ユニットが、ダウナー反応器またはライザー反応器であることがある。FCC触媒組成物は、FCC触媒組成物について本開示に先に記載されたどの他の特徴、組成、または性質を有してもよい。FCCユニットは、FCCユニットについて本開示に先に記載された特徴または作動条件のいずれを含んでもよい。
【0077】
本記載および例は、炭化水素供給物としての全原油または脱塩原油の観点で与えられているが、本開示に記載されたシステムおよびプロセスは、以下に限られないが、原油、減圧残油、タールサンド、ビチューメン、常圧残油、真空軽油、または他の重油を含む多種多様の重油の変換に適用できるであろうことを理解すべきである。
【実施例】
【0078】
炭化水素をアップグレードするためのFCC触媒組成物および方法の様々な実施の形態を、以下の実施例によりさらに明白にする。実施例は、事実上、説明に役立つものであり、本開示の主題を限定するものと理解されるべきではない。
【0079】
実施例1:FCC触媒組成物(FCCゼオライト分解用添加物を含むものと含まない骨格置換USYゼオライト)
実施例1では、その性質が表1に示されている、未変換の水素化分解底部流の供給物試料を使用して、二組のAdvanced Cracking Evaluation(ACE)試験を行った。ACEユニットが、米国特許第6069012号明細書に詳しく記載されている。FCC触媒組成物の活性を、「Standard Test Method for Determining Activity of Fluid Catalytic Cracking (FCC) Catalysts in a Fluidized Bed」と題するASTM法のD7964にしたがって決定した。最初の試験は、アルミニウム骨格の一部がジルコニウムとチタンで置換されている、骨格置換USYゼオライトで行った。第2の試験は、第1の試験と同じ骨格置換USYゼオライトおよび本開示によるFCCゼオライト分解用添加物を含むFCC触媒組成物で行った。このFCC触媒組成物は、90質量%の骨格置換USYゼオライトおよび10質量%のFCCゼオライト分解用添加物を含んでいた。FCCゼオライト分解用添加物は、MFI骨格ゼオライトを含んでいた。
【0080】
「Guide for Metals Free Steam Deactivation of Fresh Fluid Cracking Catalyst」と題するASTM法のD4463にしたがって、触媒(骨格置換USYゼオライトおよびFCC触媒組成物)を状態調節した。各触媒(骨格置換USYゼオライトおよびFCC触媒組成物)を最初に、窒素フロー下で4時間に亘り500℃でか焼した。次に、温度を毎分5℃の速度で上昇させた。温度が810℃に到達した後、窒素フローを30分間継続した後、窒素フローを停止し、蒸気流と交換した。毎時3リットルの速度でスチーマの予熱ゾーンに水を供給した。周囲圧力で蒸気を流しながら、温度を810℃に上昇させ、この温度を6時間に亘り維持した。
【0081】
各試験について、5.0から11.0グラムの触媒(骨格置換USYゼオライトまたはFCC触媒組成物)を反応器に移送し、そこで、触媒粒子を流動化させ続けるために供給物噴射器を通じて底部から窒素ガスを流しながら、触媒を600℃の十分な反応温度に加熱した。触媒床温度が600℃の反応温度の±1℃以内になったときに、炭化水素供給物を、45秒の噴射時間に亘り毎分1.5グラムの噴射速度で噴射した。炭化水素供給物対触媒の比を4.5から9.8にし、45秒の滞留時間に亘り600℃で試験を行った。
【0082】
全てのガス状生成物を液体容器に通し、C5+炭化水素を凝縮させ、非凝縮性生成物を気体容器に通した。ストリッピングが終わった後、反応器の温度を650℃に上昇させ、触媒を再生するために、窒素を空気に変更した。再生中、再生プロセスからの煙道ガスをCO2分析器に通過させ、煙道ガスの流量およびCO2濃度から、生成されたコークスの総量を計算した。
【0083】
4つのTCD検出器を備えたAgilent Micro GCを使用して、炭化水素ガス生成物を分析した。供給物噴射の開始から液体ストリッピングまでの気体を、水置換によってガラス瓶に収集した。置換水は、秤に載せられた容器に収集した。前後の質量差を使用して、気体の体積を決定した。ストリッピングを完了した後、約250mlの気体を使用して、サンプリングラインをパージし、ソフトウェアでGC分析を行った。窒素、水素、全てのC1~4炭化水素、およびいくらかのC5とC6炭化水素を含む気体生成物流中の全て成分を分析した。データ処理中に、C5とそれより重い生成物をガソリン製品に加えた。
【0084】
液体生成物について、ASTM D-2887にしたがうFID検出器を備えたVarian GCを使用して、シミュレーション蒸留を行った。3つの異なる液体留分:ガソリン(C5-221℃未満)、ライトサイクルオイル(LCO-221℃から343℃)、およびヘビーサイクルオイル(HCO-343℃超)を検討した。液体生成物の質量百分率を使用して、変換率および収量を計算した。
【0085】
骨格置換USYゼオライトおよびFCCゼオライト分解用添加物を含むFCC触媒組成物により、FCCゼオライト分解用添加物を含まない骨格置換USYゼオライトと比べて、変換率がより高くなった。FCCゼオライト分解用添加物を含むFCC触媒組成物で、91質量%ほど高い変換率が達成されたのに対し、FCCゼオライト分解用添加物を含まない骨格置換USYゼオライトでは、たった87%の変換率しか達成されなかった。表2は、87質量%の変換率での2つの試験の間の生成物の変化を示す。正の変化は、FCCゼオライト分解用添加物を含まない骨格置換USYゼオライトと比べた、FCCゼオライト分解用添加物を含むFCC触媒組成物における特定の生成物の量が増加することを反映するのに対して、負の変化は、FCCゼオライト分解用添加物を含まない骨格置換USYゼオライトと比べた、FCCゼオライト分解用添加物を含むFCC触媒組成物における特定の生成物の量がより少ないことを反映する。
【0086】
【0087】
表2から分かるように、FCCゼオライト分解用添加物を含むFCC触媒組成物を使用した場合、ガソリンの収量、LCOの収量、およびコークスの量が、減少する。同時に、FCCゼオライト分解用添加物を含むFCC触媒組成物を使用した場合、HCO、全ガス、乾性ガス、LPG、エチレン、プロピレン、およびブテンの収量の全ては増加する。詳しくは、提供されたFCC触媒組成物は、骨格置換USYゼオライト自体と比べて、エチレン、プロピレン、およびブテンなどの軽質オレフィンの収量を増加させた。それに加え、先に述べたように、FCCゼオライト分解用添加物を含むFCC触媒組成物を使用した場合、FCCゼオライト分解用添加物を含まずに、FCC触媒組成物自体を使用した場合と比べて、全体の変換率は、4質量%高かった。
【0088】
本開示の1つ以上の態様が、ここに記載されている。本開示の第1の態様は、流動接触分解(FCC)触媒組成物であって、USYゼオライトの骨格に置換された1つ以上の遷移金属を含む骨格置換USYゼオライト;およびFCC触媒組成物の総質量に基づいて、1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物を含むFCC触媒組成物を含むことがある。
【0089】
本開示の第2の態様は、骨格置換USYゼオライトが、骨格置換USYゼオライトの質量に基づいて各遷移金属を0.1質量パーセントから5質量パーセントで含む、第1の態様を含むことがある。
【0090】
本開示の第3の態様は、1つ以上の遷移金属が、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含む、第1または第2の態様のいずれかを含むことがある。
【0091】
本開示の第4の態様は、1つ以上の遷移金属がハフニウムを含む、第1から第3の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0092】
本開示の第5の態様は、骨格置換USYゼオライトが、2.430ナノメートルから2.450ナノメートルの結晶格子定数を有する、第1から第4の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0093】
本開示の第6の態様は、骨格置換USYゼオライトが、600平方メートル毎グラムから900平方メートル毎グラムの比表面積を有する、第1から第5の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0094】
本開示の第7の態様は、骨格置換USYゼオライトが、5:1から100:1のSiO2対Al2O3のモル比を有する、第1から第6の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0095】
本開示の第8の態様は、FCC触媒組成物が、FCC触媒組成物の総質量に基づいて5質量パーセントから60質量パーセントの骨格置換USYゼオライトを含む、第1から第7の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0096】
本開示の第9の態様は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて15質量パーセントから60質量パーセントの無機充填剤をさらに含む、第8の態様を含むことがある。
【0097】
本開示の第10の態様は、無機充填剤が、シリカゾル、塩基性塩化アルミニウム、重リン酸アルミニウム、アルミナゾル、活性アルミナ、多孔質シリカ、金属捕捉剤、またはこれらの組合せの1つ以上を含む、第9の態様を含むことがある。
【0098】
本開示の第11の態様は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて0.0質量パーセントから6.0質量パーセントの希土類酸化物をさらに含む、第10の態様を含むことがある。
【0099】
本開示の第12の態様は、希土類酸化物の希土類金属が、セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、またはこれらの組合せの1つ以上を含む、第11の態様を含むことがある。
【0100】
本開示の第13の態様は、FCC触媒組成物が、FCC触媒組成物の総質量に基づいて5質量パーセントから15質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物を含む、第1から第12の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0101】
本開示の第14の態様は、FCCゼオライト分解用添加物がMFI骨格ゼオライトを含む、第1から第13の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0102】
本開示の第15の態様は、FCCゼオライト分解用添加物がZSM-5ゼオライトを含む、第1から第14の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0103】
本開示の第16の態様は、炭化水素供給物をアップグレードする方法において、炭化水素供給物の少なくとも一部をアップグレードするのに十分な反応条件で炭化水素供給物をFCC触媒組成物と接触させる工程であって、このFCC触媒組成物は、骨格置換USYゼオライト、およびFCC触媒組成物の総質量に基づいて1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物を含み、骨格置換USYゼオライトは、骨格置換USYゼオライトの骨格に置換された、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含む、工程を有してなる方法を含むことがある。
【0104】
本開示の第17の態様は、炭化水素供給物が、450セ氏温度から700セ氏温度の温度でFCC触媒組成物に接触させられる、第16の態様を含むことがある。
【0105】
本開示の第18の態様は、炭化水素供給物が、0.1メガパスカルから1メガパスカルの圧力でFCC触媒組成物と接触させられる、第16または第17の態様のいずれかを含むことがある。
【0106】
本開示の第19の態様は、炭化水素供給物が、0.1秒から60秒の滞留時間に亘り前記反応温度でFCC触媒組成物と接触させられる、第16から第18の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0107】
本開示の第20の態様は、炭化水素供給物が、原油、合成原油、ビチューメン、オイルサンド、シェールオイル、石炭液、ナフサ、ディーゼル、真空軽油、減圧残油、脱金属油、脱アスファルト油、コーカー軽油、循環油、軽油、またはこれらの組合せの1つ以上を含む、第16から第19の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0108】
本開示の第21の態様は、炭化水素供給物が、350セ氏温度以上の大気圧沸点範囲を有する、第20の態様を含むことがある。
【0109】
本開示の第22の態様は、炭化水素供給物が、1:2から1:30の炭化水素供給物対FCC触媒組成物の質量比でFCC触媒組成物と接触させられる、第16から第21の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0110】
本開示の第23の態様は、骨格置換USYゼオライトが、骨格置換USYゼオライトの質量に基づいて各遷移金属を0.1質量パーセントから5質量パーセントで含む、第16から第22の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0111】
本開示の第24の態様は、骨格置換USYゼオライトがハフニウムを含む、第16から第23の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0112】
本開示の第25の態様は、骨格置換USYゼオライトがジルコニウムまたはチタンを含む、第24の態様を含むことがある。
【0113】
本開示の第26の態様は、骨格置換USYゼオライトが、2.430ナノメートルから2.450ナノメートルの結晶格子定数を有する、第16から第25の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0114】
本開示の第27の態様は、骨格置換USYゼオライトが、600平方メートル毎グラムから900平方メートル毎グラムの比表面積を有する、第16から第26の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0115】
本開示の第28の態様は、骨格置換USYゼオライトが、5:1から100:1のSiO2対Al2O3のモル比を有する、第16から第27の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0116】
本開示の第29の態様は、FCC触媒組成物が、FCC触媒組成物の総質量に基づいて5質量パーセントから60質量パーセントの骨格置換USYゼオライトを含む、第16から第28の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0117】
本開示の第30の態様は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて15質量パーセントから60質量パーセントの無機充填剤をさらに含む、第29の態様を含むことがある。
【0118】
本開示の第31の態様は、無機充填剤が、塩基性シリカゾル、塩化アルミニウム、重リン酸アルミニウム、アルミナゾル、活性アルミナ、多孔質シリカ、金属捕捉剤、またはこれらの組合せの1つ以上を含む、第30の態様を含むことがある。
【0119】
本開示の第32の態様は、FCC触媒組成物が、FCC触媒組成物の総質量に基づいて0.0質量パーセントから6.0質量パーセントの、RE2O3の化学式を有する希土類酸化物をさらに含む、第31の態様を含むことがある。
【0120】
本開示の第33の態様は、希土類酸化物の希土類金属が、セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、またはこれらの組合せの1つ以上を含む、第32の態様を含むことがある。
【0121】
本開示の第34の態様は、FCC触媒組成物が、FCC触媒組成物の総質量に基づいて5質量パーセントから15質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物を含む、第16から第33の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0122】
本開示の第35の態様は、FCCゼオライト分解用添加物がMFI骨格ゼオライトを含む、第16から第34の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0123】
本開示の第36の態様は、FCCゼオライト分解用添加物がZSM-5ゼオライトを含む、第16から第35の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0124】
本開示の第37の態様は、炭化水素供給物をアップグレードする方法において、炭化水素供給物を流動接触分解ユニットに通過させる工程;炭化水素供給物の少なくとも一部に分解反応を経験させるのに十分な反応条件下で、流動接触分解ユニット内で炭化水素供給物をFCC触媒組成物と接触させて、使用済みFCC触媒組成物と、1種類以上のオレフィンを含む分解流出物とを含む分解反応混合物を生成する工程であって、FCC触媒組成物は、骨格置換USYゼオライトの骨格に置換されたハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含む骨格置換USYゼオライト、およびFCC触媒組成物の総質量に基づいて1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物を含む工程;分解反応混合物を使用済みFCC触媒組成物と分解流出物に分離する触媒分離装置にこの分解反応混合物を通過させる工程;および分解流出物を流動接触分解ユニットから流出させる工程を含む方法を含むことがある。
【0125】
本開示の第38の態様は、炭化水素供給物が、450セ氏温度から700セ氏温度の温度でFCC触媒組成物に接触させられる、第37の態様を含むことがある。
【0126】
本開示の第39の態様は、炭化水素供給物が、0.1メガパスカルから1メガパスカルの圧力でFCC触媒組成物と接触させられる、第37または第38の態様のいずれかを含むことがある。
【0127】
本開示の第40の態様は、炭化水素供給物が、0.1秒から60秒の滞留時間に亘り前記反応温度でFCC触媒組成物と接触させられる、第37から第39の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0128】
本開示の第41の態様は、炭化水素供給物が、原油、合成原油、ビチューメン、オイルサンド、シェールオイル、石炭液、ナフサ、ディーゼル、真空軽油、減圧残油、脱金属油、脱アスファルト油、コーカー軽油、循環油、軽油、またはこれらの組合せの1つ以上を含む、第37から第40の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0129】
本開示の第42の態様は、炭化水素供給物が、350セ氏温度以上の大気圧沸点範囲を有する、第41の態様を含むことがある。
【0130】
本開示の第43の態様は、炭化水素供給物が、1:2から1:30の炭化水素供給物対FCC触媒組成物の質量比でFCC触媒組成物と接触させられる、第37から第42の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0131】
本開示の第44の態様は、流動接触分解ユニットがダウナー反応器である、第37から第43の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0132】
本開示の第45の態様は、流動接触分解ユニットがライザー反応器である、第37から第44の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0133】
本開示の第46の態様は、骨格置換USYゼオライトが、骨格置換USYゼオライトの質量に基づいて各遷移金属を0.1質量パーセントから5質量パーセントで含む、第37から第45の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0134】
本開示の第47の態様は、骨格置換USYゼオライトがハフニウムを含む、第37から第46の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0135】
本開示の第48の態様は、骨格置換USYゼオライトがジルコニウムまたはチタンを含む、第47の態様を含むことがある。
【0136】
本開示の第49の態様は、骨格置換USYゼオライトが、2.430ナノメートルから2.450ナノメートルの結晶格子定数を有する、第37から第48の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0137】
本開示の第50の態様は、骨格置換USYゼオライトが、600平方メートル毎グラムから900平方メートル毎グラムの比表面積を有する、第37から第49の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0138】
本開示の第51の態様は、骨格置換USYゼオライトが、5:1から100:1のSiO2対Al2O3のモル比を有する、第37から第50の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0139】
本開示の第52の態様は、FCC触媒組成物が、FCC触媒組成物の質量に基づいて5質量パーセントから60質量パーセントの骨格置換USYゼオライトを含む、第37から第51の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0140】
本開示の第53の態様は、FCC触媒組成物の総質量に基づいて15質量パーセントから60質量パーセントの無機充填剤をさらに含む、第52の態様を含むことがある。
【0141】
本開示の第54の態様は、無機充填剤が、シリカゾル、塩基性塩化アルミニウム、重リン酸アルミニウム、アルミナゾル、活性アルミナ、多孔質シリカ、金属捕捉剤、またはこれらの組合せの1つ以上を含む、第53の態様を含むことがある。
【0142】
本開示の第55の態様は、FCC触媒組成物が、FCC触媒組成物の総質量に基づいて0.0質量パーセントから6.0質量パーセントの希土類酸化物をさらに含み、この希土類酸化物はRE2O3の化学式を有する、第54の態様を含むことがある。
【0143】
本開示の第56の態様は、希土類酸化物の希土類金属が、セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、またはこれらの組合せの1つ以上を含む、第55の態様を含むことがある。
【0144】
本開示の第57の態様は、FCC触媒組成物が、FCC触媒組成物の総質量に基づいて5質量パーセントから15質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物を含む、第37から第56の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0145】
本開示の第58の態様は、FCCゼオライト分解用添加物がMFI骨格ゼオライトを含む、第37から第57の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0146】
本開示の第59の態様は、FCCゼオライト分解用添加物がZSM-5ゼオライトを含む、第37から第58の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0147】
以下の請求項の1つ以上に、移行句として「ここで」が利用されることに留意のこと。本技術を定義する目的のために、この用語は、構造の一連の特徴の列挙を導入するために使用される制約のない移行句として請求項に導入され、より一般に使用されている制約のない後書きの「含む」と同様に解釈されるべきであることに留意されたい。
【0148】
性質に与えられた任意の2つの定量値は、その性質の範囲を構成することがあり、所定の性質の全ての挙げられた定量値から形成される範囲の全ての組合せが、本開示に考えられることを理解すべきである。
【0149】
本開示の主題を詳細に、かつ特定の実施の形態を参照して説明してきたが、本開示に記載された様々な詳細は、特定の要素が本記載に伴う図面の各々に図示されている場合であっても、これらの詳細が、本開示に記載された様々な実施の形態の必須構成要素である要素に関連することを暗示するものと解釈すべきではないことに留意されたい。むしろ、本明細書に添付された特許請求の範囲は、本開示の広さおよび本開示に記載された様々な実施の形態の対応する範囲を唯一表すものとみなされるべきである。さらに、添付の特許請求の範囲から逸脱せずに、改変および変更が可能であることが明らかであろう。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
流動接触分解(FCC)触媒組成物であって、
USYゼオライトの骨格に置換された1つ以上の遷移金属を含む骨格置換USYゼオライト、および
前記FCC触媒組成物の総質量に基づいて、1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物、
を含むFCC触媒組成物。
実施形態2
前記1つ以上の遷移金属が、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含む、実施形態1に記載のFCC触媒組成物。
実施形態3
前記骨格置換USYゼオライトが、2.430ナノメートルから2.450ナノメートルの結晶格子定数および600平方メートル毎グラムから900平方メートル毎グラムの比表面積を有する、実施形態1または2に記載のFCC触媒組成物。
実施形態4
前記FCC触媒組成物が、該FCC触媒組成物の総質量に基づいて5質量パーセントから60質量パーセントの前記骨格置換USYゼオライトを含む、実施形態1から3いずれか1つに記載のFCC触媒組成物。
実施形態5
前記FCCゼオライト分解用添加物が、MFI骨格ゼオライト、またはより好ましくはZSM-5ゼオライトを含む、実施形態1から4いずれか1つに記載のFCC触媒組成物。
実施形態6
炭化水素供給物をアップグレードする方法において、
前記炭化水素供給物の少なくとも一部をアップグレードするのに十分な反応条件で該炭化水素供給物をFCC触媒組成物と接触させる工程であって、
前記FCC触媒組成物は、骨格置換USYゼオライト、および該FCC触媒組成物の総質量に基づいて1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物を含み、該骨格置換USYゼオライトは、該骨格置換USYゼオライトの骨格に置換された、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含む、工程、
を有してなる方法。
実施形態7
前記炭化水素供給物が、450セ氏温度から700セ氏温度の温度で、0.1秒から60秒の滞留時間に亘り、1:2から1:30の炭化水素供給物対FCC触媒組成物の質量比で前記FCC触媒組成物に接触させられる、実施形態6に記載の炭化水素供給物をアップグレードする方法。
実施形態8
前記骨格置換USYゼオライトがジルコニウムまたはチタンを含む、実施形態6または7に記載の炭化水素供給物をアップグレードする方法。
実施形態9
前記FCC触媒組成物が、該FCC触媒組成物の総質量に基づいて5質量パーセントから60質量パーセントの前記骨格置換USYゼオライトを含む、実施形態6から8いずれか1つに記載の炭化水素供給物をアップグレードする方法。
実施形態10
前記FCC触媒組成物の総質量に基づいて15質量パーセントから60質量パーセントの無機充填剤をさらに含む、実施形態6から9いずれか1つに記載の炭化水素供給物をアップグレードする方法。
実施形態11
前記FCCゼオライト分解用添加物が、MFI骨格ゼオライト、またはより好ましくはZSM-5ゼオライトを含む、実施形態6から10いずれか1つに記載の炭化水素供給物をアップグレードする方法。
実施形態12
炭化水素供給物をアップグレードする方法において、
前記炭化水素供給物を流動接触分解ユニットに通過させる工程、
前記炭化水素供給物の少なくとも一部に分解反応を経験させるのに十分な反応条件下で、前記流動接触分解ユニット内で該炭化水素供給物をFCC触媒組成物と接触させて、使用済みFCC触媒組成物と、1種類以上のオレフィンを含む分解流出物とを含む分解反応混合物を生成する工程であって、
前記FCC触媒組成物は、
骨格置換USYゼオライトの骨格に置換されたハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはこれらの組合せを含む該骨格置換USYゼオライト、および
該FCC触媒組成物の総質量に基づいて1質量パーセントから50質量パーセントのFCCゼオライト分解用添加物、
を含む工程、
前記分解反応混合物を前記使用済みFCC触媒組成物と前記分解流出物に分離する触媒分離装置に該分解反応混合物を通過させる工程、および
前記分解流出物を前記流動接触分解ユニットから流出させる工程、
を含む方法。
実施形態13
前記炭化水素供給物が、1:2から1:30の炭化水素供給物対FCC触媒組成物の質量比で前記FCC触媒組成物と接触させられる、実施形態12に記載の炭化水素供給物をアップグレードする方法。
実施形態14
前記FCC触媒組成物が、該FCC触媒組成物の質量に基づいて5質量パーセントから60質量パーセントの前記骨格置換USYゼオライトを含む、実施形態12または13に記載の炭化水素供給物をアップグレードする方法。
実施形態15
前記FCCゼオライト分解用添加物がMFI骨格ゼオライトを含む、実施形態12から14いずれか1つに記載の炭化水素供給物をアップグレードする方法。
【符号の説明】
【0150】
100、200 反応装置系
110、210 FCCユニット
111、211 炭化水素供給物
112 ライザー部分
114、212 反応ゾーン
115、119、121、123、215、219、225 導管
116、214 分離ゾーン
120、220 触媒再生ユニット
122、222 再生ゾーン
216 ストリッパゾーン