(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-21
(45)【発行日】2025-04-30
(54)【発明の名称】通信制御方法及びユーザ装置
(51)【国際特許分類】
H04W 4/06 20090101AFI20250422BHJP
H04W 28/02 20090101ALI20250422BHJP
【FI】
H04W4/06 150
H04W28/02
(21)【出願番号】P 2023509210
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2022013265
(87)【国際公開番号】W WO2022202833
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-09-21
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヘンリー
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】Apple,PTM PTP switch with MBS service continuity[online],3GPP TSG RAN WG2 #113-e R2-2101373,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_113-e/Docs/R2-2101373.zip>,2021年02月05日,1-2頁
【文献】CATT,Open Issues on Dynamic PTM and PTP Switch[online],3GPP TSG RAN WG2 #113-e R2-2100084,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_113-e/Docs/R2-2100084.zip>,2021年02月05日,1-7頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局からユーザ装置に対してマルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる通信制御方法であって、
前記ユーザ装置が、PTP(Point-to-Point:ユニキャスト)伝送及びPTM(Point-to-Multipoint:マルチキャスト又はブロードキャスト)伝送のいずれかの伝送方式で前記基地局から送信されるMBSデータを受信することと、
前記伝送方式が前記PTP伝送と前記PTM伝送との間で切り替えられたことに応じて、前記ユーザ装置が、前記切り替えに関する受信パケットのシーケンス番号を示す情報を含むメッセージを前記基地局に送信することと、を有
し、
前記切り替えが、前記PTP伝送から前記PTM伝送への切り替えである場合、
前記メッセージを送信することは、前記PTM伝送でMBSデータを受信した後に、前記メッセージを送信することを含み、
前記メッセージは、前記PTM伝送で最初に受信したパケットのシーケンス番号を示す情報、及び前記PTP伝送で最後に受信したいパケットのシーケンス番号を示す情報のうち、少なくとも一方を含む
通信制御方法。
【請求項2】
前記メッセージを送信することは、前記PTP伝送と前記PTM伝送との間のシーケンス番号のギャップを前記ユーザ装置が検知したことに応じて前記メッセージを送信することを含む
請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項3】
前記基地局が、前記メッセージに基づいて、前記PTP伝送と前記PTM伝送との間のシーケンス番号のギャップと対応する1つ又は複数のパケットを前記PTP伝送で前記ユーザ装置に送信することをさらに有する
請求項
1に記載の通信制御方法。
【請求項4】
前記切り替え
が、前記PTM伝送から前記PTP伝送への切り替えであ
る場合、
前記メッセージは、前記PTM伝送で最後に受信したパケットのシーケンス番号を示す情報、及び前記PTP伝送で最初に受信したいパケットのシーケンス番号を示す情報のうち、少なくとも一方を含む
請求項1又は2に記載の通信制御方法。
【請求項5】
前記基地局が、前記メッセージに基づいて、前記PTP伝送における送信開始パケットのシーケンス番号を決定することをさらに有する
請求項
4に記載の通信制御方法。
【請求項6】
請求項1
に記載の通信制御方法を実行するプロセッサを備える
ユーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動通信システムで用いる通信制御方法及びユーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第5世代(5G)の移動通信システムが注目されている。5Gシステムの無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)であるNR(New Radio)は、第4世代の無線アクセス技術であるLTE(Long Term Evolution)に比べて、高速・大容量かつ高信頼・低遅延といった特徴を有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】3GPP技術仕様書「3GPP TS 38.300 V16.3.0 (2020-09)」
【発明の概要】
【0004】
第1の態様に係る通信制御方法は、基地局からユーザ装置に対してマルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる方法である。前記通信制御方法は、前記ユーザ装置が、PTP伝送及びPTM伝送のいずれかの伝送方式で前記基地局から送信されるMBSデータを受信することと、前記伝送方式が前記PTP伝送と前記PTM伝送との間で切り替えられたことに応じて、前記ユーザ装置が、前記切り替えに関する受信パケットのシーケンス番号を示す情報を含むメッセージを前記基地局に送信することと、を有する。
【0005】
第2の態様に係る通信制御方法は、基地局からユーザ装置に対してマルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる方法である。前記通信制御方法は、前記ユーザ装置が、前記基地局からPTM通信パスを介して送信されるMBSデータの受信を試行するPTMモニタ動作を行うことと、前記ユーザ装置が、前記PTM通信パスの通信品質を示す測定値の劣化を検知したことに応じて、前記PTMモニタ動作を停止することと、を有する。
【0006】
第3の態様に係るユーザ装置は、第1又は第2の態様に係る通信制御方法を実行するプロセッサを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【
図2】一実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成を示す図である。
【
図3】一実施形態に係るgNB(基地局)の構成を示す図である。
【
図4】データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【
図5】シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る下りリンクの論理チャネル(Logical channel)とトランスポートチャネル(Transport channel)との対応関係を示す図である。
【
図7】一実施形態に係るMBSデータの配信方法を示す図である。
【
図8】一実施形態に係るスプリットMBSベアラを示す図である。
【
図9】一実施形態に係るレグのアクティブ化及び非アクティブ化に関する動作例を示す図である。
【
図10】一実施形態に係るPTP伝送からPTM伝送への切り替えの動作例を示す図である。
【
図11】一実施形態に係るSN通知メッセージの構成例を示す図である。
【
図12】一実施形態に係るPTM伝送からPTP伝送への切り替えの動作例を示す図である。
【
図13】一実施形態に係るPTMモニタ動作に関する動作例を示す図である。
【
図14】現在の合意に基づくPDCPアンカーPTM/PTP切り替えを示す図である。
【
図15】合意に基づくPDCPアンカーPTM RLC-UM/PTP RLC-UM切り替えを示す図である。
【
図16】PTM RLC-UM+PTP RLC-AMのA1+B1の例を示す図である。
【
図17】PTM RLC-UM+PTP RLC-AMのA2+B1の例を示す図である。
【
図18】PTM RLC-AM+PTP RLC-AMのA3+B2(+B1)の例を示す図である。
【
図19】L2の信頼性のための可能なオプションの要約を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
5Gシステム(NR)にマルチキャスト・ブロードキャストサービスを導入することが検討されている。NRのマルチキャスト・ブロードキャストサービスは、LTEのマルチキャスト・ブロードキャストサービスよりも改善されたサービスを提供することが望まれる。
【0009】
そこで、本開示は、改善されたマルチキャスト・ブロードキャストサービスを実現する通信制御方法及びユーザ装置を提供することを目的とする。
【0010】
図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0011】
(移動通信システムの構成)
まず、実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
図1は、一実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。この移動通信システムは、3GPP規格の第5世代システム(5GS:5th Generation System)に準拠する。以下において、5GSを例に挙げて説明するが、移動通信システムにはLTE(Long Term Evolution)システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。また、移動通信システムには第6世代(6G)システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0012】
図1に示すように、移動通信システムは、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、5Gの無線アクセスネットワーク(NG-RAN:Next Generation Radio Access Network)10と、5Gのコアネットワーク(5GC:5G Core Network)20とを有する。
【0013】
UE100は、移動可能な無線通信装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればどのような装置であっても構わないが、例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)、タブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、及び/又は飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
【0014】
NG-RAN10は、基地局(5Gシステムにおいて「gNB」と呼ばれる)200を含む。gNB200は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。gNB200は、1又は複数のセルを管理する。gNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。
【0015】
なお、gNBがLTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)に接続することもできる。LTEの基地局が5GCに接続することもできる。LTEの基地局とgNBとが基地局間インターフェイスを介して接続されることもできる。
【0016】
5GC20は、AMF(Access and Mobility Management Function)及びUPF(User Plane Function)300を含む。AMFは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMFは、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100のモビリティを管理する。UPFは、データの転送制御を行う。AMF及びUPFは、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してgNB200と接続される。
【0017】
図2は、一実施形態に係るUE100(ユーザ装置)の構成を示す図である。
【0018】
図2に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
【0019】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
【0020】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0021】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)とを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0022】
図3は、一実施形態に係るgNB200(基地局)の構成を示す図である。
【0023】
図3に示すように、gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
【0024】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0025】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0026】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUとを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0027】
バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスを介して隣接基地局と接続される。バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスを介してAMF/UPF300と接続される。なお、gNBは、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間はF1インターフェイスで接続されてもよい。
【0028】
図4は、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0029】
図4に示すように、ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0030】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとgNB200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0031】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとgNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0032】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとgNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0033】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0034】
SDAPレイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
【0035】
図5は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0036】
図5に示すように、制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、
図4に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
【0037】
UE100のRRCレイヤとgNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間の接続がサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0038】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとAMF300BのNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0039】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0040】
(MBS)
次に、一実施形態に係るMBSについて説明する。MBSは、NG-RAN10からUE100に対してブロードキャスト又はマルチキャスト、すなわち、1対多(PTM:Point To Multipoint)でのデータ送信を可能とするサービスである。MBSは、MBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)と呼ばれてもよい。なお、MBSのユースケース(サービス種別)としては、公安通信、ミッションクリティカル通信、V2X(Vehicle to Everything)通信、IPv4又はIPv6マルチキャスト配信、IPTV、グループ通信、及びソフトウェア配信等がある。
【0041】
LTEにおけるMBSの送信方式には、MBSFN(Multicast Broadcast Single Frequency Network)送信及びSC-PTM(Single Cell Point To Multipoint)送信の2種類がある。
図6は、一実施形態に係る下りリンクの論理チャネル(Logical channel)とトランスポートチャネル(Transport channel)との対応関係を示す図である。
【0042】
図6に示すように、MBSFN送信に用いる論理チャネルはMTCH(Multicast Traffic Channel)及びMCCH(Multicast Control Channel)であり、MBSFN送信に用いるトランスポートチャネルはMCH(Multicas
t Channel)である。MBSFN送信は、主にマルチセル送信用に設計されており、複数のセルからなるMBSFNエリアにおいて各セルが同じMBSFNサブフレームで同じ信号(同じデータ)の同期送信を行う。
【0043】
SC-PTM送信に用いる論理チャネルはSC-MTCH(Single Cell Multicast Traffic Channel)及びSC-MCCH(Single Cell Multicast Control Channel)であり、SC-PTM送信に用いるトランスポートチャネルはDL-SCH(Downlink Shared Channel)である。SC-PTM送信は、主に単一セル送信用に設計されており、セル単位でブロードキャスト又はマルチキャストでのデータ送信を行う。SC-PTM送信に用いる物理チャネルはPDCCH(Physical Downlink Control Channel)及びPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)であり、動的なリソース割当が可能になっている。
【0044】
以下において、SC-PTM伝送方式と同様な方式を用いてMBSが提供される一例について主として説明するが、MBSFN伝送方式を用いてMBSが提供されてもよい。また、MBSがマルチキャストにより提供される一例について主として説明する。このため、MBSをマルチキャストと読み替えてもよい。但し、MBSがブロードキャストにより提供されてもよい。
【0045】
また、MBSデータとは、MBSにより提供されるデータをいう。MBS制御チャネルとは、MCCH又はSC-MCCHをいう。MBSトラフィックチャネルとは、MTCH又はSC-MTCHをいう。但し、MBSデータは、ユニキャストで送信される場合もある。MBSデータは、MBSパケット又はMBSトラフィックと呼ばれてもよい。
【0046】
ネットワークは、MBSセッションごとに異なるMBSサービスを提供できる。MBSセッションは、TMGI(Temporary Mobile Group Identity)及びセッション識別子のうち少なくとも1つにより識別され、これらの識別子のうち少なくとも1つをMBSセッション識別子と呼ぶ。このようなMBSセッション識別子は、MBSサービス識別子又はマルチキャストグループ識別子と呼ばれてもよい。
【0047】
図7は、一実施形態に係るMBSデータの配信方法を示す図である。
【0048】
図7に示すように、MBSデータ(MBS Traffic)は、単一のデータソース(アプリケーションサービスプロバイダ)から複数のUEに配信される。5Gコアネットワークである5G CN(5GC)20は、アプリケーションサービスプロバイダからMBSデータを受信し、MBSデータのコピーの作成(Replication)を行って配信する。
【0049】
5GC20の観点からは、共有MBSデータ配信(Shared MBS Traffic delivery)及び個別MBSデータ配信(Individual MBS Traffic delivery)の2つの配信方法が可能である。
【0050】
共有MBSデータ配信では、5G無線アクセスネットワーク(5G RAN)であるNG-RAN10と5GC20との間に接続が確立され、5GC20からNG-RAN10へMBSデータを配信する。以下において、このような接続(トンネル)を「MBS接続」と呼ぶ。
【0051】
MBS接続は、Shared MBS Traffic delivery接続又は共有トランスポート(shared transport)と呼ばれてもよい。MBS接続は、NG-RAN10(すなわち、gNB200)で終端する。MBS接続は、MBSセッションと1対1で対応していてもよい。
【0052】
gNB200は、自身の判断でPTP(Point-to-Point:ユニキャスト)及びPTM(Point-to-Multipoint:マルチキャスト又はブロードキャスト)のいずれかの伝送方式を選択し、選択した伝送方式でUE100にMBSデータを送信する。
【0053】
他方、個別MBSデータ配信では、NG-RAN10とUE100との間にユニキャストのセッションが確立され、5GC20からUE100へMBSデータを個別に配信する。このようなユニキャストは、PDUセッション(PDU Session)と呼ばれてもよい。ユニキャスト(PDUセッション)は、UE100で終端する。
【0054】
(スプリットMBSベアラ)
次に、一実施形態に係るスプリットMBSベアラについて説明する。
【0055】
gNB200は、PTP通信パス及びPTM通信パスに分離されたMBSベアラ(以下、適宜「スプリットMBSベアラ」と呼ぶ)をUE100に設定し得る。これにより、gNB200は、UE100に対するMBSデータの送信をPTP(PTP通信パス)とPTM(PTM通信パス)との間で動的に切り替えることができる。或いは、gNB200は、PTP(PTP通信パス)及びPTM(PTM通信パス)を併用して同一のMBSデータを二重送信することにより信頼性を高めることができる。
【0056】
スプリットを終端する所定レイヤは、MACレイヤ(HARQ)、RLCレイヤ、PDCPレイヤ、又はSDAPレイヤである。以下において、スプリットを終端する所定レイヤがPDCPレイヤである一例について主として説明するが、所定レイヤは、MACレイヤ(HARQ)、RLCレイヤ、又はSDAPレイヤであってもよい。
【0057】
図8は、一実施形態に係るスプリットMBSベアラを示す図である。以下において、PTP通信パスをPTPレグと呼び、PTM通信パスをPTMレグと呼ぶ。また、各レイヤに相当する機能部をエンティティと呼ぶ。
【0058】
図8に示すように、gNB200のPDCPエンティティ及びUE100のPDCPエンティティのそれぞれは、MBSに用いるベアラ(データ無線ベアラ)であるMBSベアラをPTPレグ及びPTMレグに分離する。なお、PDCPエンティティはベアラごとに設けられる。
【0059】
gNB200及びUE100のそれぞれは、レグごとに設けられる2つのRLCエンティティと、1つのMACエンティティと、1つのPHYエンティティとを有する。PHYエンティティは、レグごとに設けられてもよい。なお、UE100が2つのgNB200との通信を行う二重接続(Dual Connectivity)の場合、UE100が2つのMACエンティティを有していてもよい。
【0060】
PHYエンティティは、UE100と1対1で割り当てられるセルRNTI(C-RNTI:Cell Radio Network Temporary Identifier)を用いて、PTPレグのデータを送受信する。PHYエンティティは、MBSセッションと1対1で割り当てられるグループRNTI(G-RNTI:Group Radio Network Temporary Identifier)を用いて、PTMレグのデータを送受信する。C-RNTIはUE100ごとに異なるが、G-RNTIは1つのMBSセッションを受信する複数のUE100で共通のRNTIである。
【0061】
gNB200からUE100に対してPTMレグを用いてMBSデータのPTM送信(マルチキャスト又はブロードキャスト)を行うためには、gNB200からUE100にスプリットMBSベアラが設定されており、且つ、PTMレグがアクティブ化(activation)されている必要がある。言い換えると、gNB200は、UE100にスプリットMBSベアラが設定されていても、PTMレグが非アクティブ(deactivation)状態にある場合は、このPTMレグを用いてMBSデータのPTM送信を行うことができない。
【0062】
また、gNB200及びUE100がPTPレグを用いてMBSデータのPTP送信(ユニキャスト)を行うためには、gNB200からUE100にスプリットMBSベアラが設定されており、且つ、PTPレグがアクティブ化されている必要がある。言い換えると、gNB200は、UE100にスプリットMBSベアラが設定されていても、PTPレグが非アクティブ状態にある場合は、このPTPレグを用いてMBSデータのPTP送信を行うことができない。
【0063】
UE100は、PTMレグがアクティブ化された状態において、MBSセッションと対応付けられたG-RNTIが適用されたPDCCH(Physical Downlink Control Channel)をモニタする(すなわち、G-RNTIを用いてPDCCHのブラインドデコーディングを行う)。UE100は、当該MBSセッションのスケジューリング機会にのみ当該PDCCHをモニタしてもよい。
【0064】
UE100は、PTMレグが非アクティブ化された状態において、MBSセッションと対応付けられたG-RNTIが適用されたPDCCHをモニタしない(すなわち、G-RNTIを用いたPDCCHのブラインドデコーディングを行わない)。
【0065】
UE100は、PTPレグがアクティブ化された状態において、C-RNTIが適用されたPDCCHをモニタする。UE100は、PTPレグにおける間欠受信(DRX:Discontinuous Reception)が設定されている場合、設定されたオン期間(OnDuration)においてPDCCHをモニタする。UE100は、MBSセッションと紐づいたセル(周波数)が指定されている場合、当該セルが非アクティブ化されていても、当該セルのPDCCHをモニタしてもよい。
【0066】
UE100は、PTPレグが非アクティブ化された状態において、MBSデータ以外の通常のユニキャスト下りリンク送信に備えて、C-RNTIが適用されたPDCCHをモニタしてもよい。但し、UE100は、MBSセッションと紐づいたセル(周波数)が指定されている場合、当該MBSセッションについて当該PDCCHをモニタしなくてもよい。
【0067】
なお、gNB200のRRCエンティティがUE100のRRCエンティティに対して送信するRRCメッセージ(例えば、RRC Reconfigurationメッセージ)により、上述のようなスプリットMBSベアラが設定されるものとする。
【0068】
(レグのアクティブ化及び非アクティブ化)
次に、一実施形態に係るレグのアクティブ化及び非アクティブ化について説明する。
図9は、一実施形態に係るレグのアクティブ化及び非アクティブ化に関する動作例を示す図である。
【0069】
図9に示すように、ステップS11において、gNB200のRRCエンティティは、
図8に示すスプリットMBSベアラ(スプリットベアラ)の設定を含むRRCメッセージをUE100に送信する。RRCメッセージは、例えばRRC Reconfigurationメッセージである。UE100のRRCエンティティは、gNB200から受信したRRCメッセージに含まれる設定に基づいてスプリットMBSベアラを確立する。以下において、UE100が確立するスプリットMBSベアラが1つである一例について主として説明するが、UE100は、gNB200からの設定に応じて複数のスプリットMBSベアラを確立してもよい。
【0070】
gNB200は、RRCメッセージ(RRC Reconfigurationメッセージ)でベアラ設定を行う際に、同メッセージにて各レグの初期状態(すなわち、各レグのアクティブ化又は非アクティブ化)をUE100に指示してもよい。gNB200のRRCエンティティは、スプリットMBSベアラのベアラ設定を含むRRCメッセージをUE100に送信するとき、ベアラ設定と共に、各レグのアクティブ化又は非アクティブ化の指示をRRCメッセージに含める。
【0071】
このようなRRCメッセージは、指示の対象となるレグ(PTPレグ、PTMレグ)の識別子、及び、アクティブ化及び非アクティブ化のいずれか一方を示す識別子のうち、少なくとも一方を含んでもよい。RRCメッセージは、指示の対象となるMBSセッション(スプリットMBSベアラ)と対応付けられた識別子(例えば、TMGI、G-RNTI、セッション識別子、QoSフロー識別子、ベアラ識別子)を含んでもよい。
【0072】
ステップS12において、gNB200は、PTPレグ及びPTMレグを個別にアクティブ化又は非アクティブ化するための指示をUE100に送信する。
【0073】
ここで、gNB200のMACエンティティは、当該指示を含むMAC制御要素(MAC CE)をUE100に送信してもよい。UE100のMACエンティティは、gNB200からMAC CEを受信する。或いは、gNB200のPHYエンティティは、当該指示を含む下りリンク制御情報(DCI)をUE100に送信してもよい。UE100のPHYエンティティは、gNB200からDCIを受信する。
【0074】
このようなMAC CE又はDCIは、指示の対象となるレグ(PTPレグ、PTMレグ)の識別子、及び、アクティブ化及び非アクティブ化のいずれか一方を示す識別子のうち、少なくとも一方を含んでもよい。MAC CE又はDCIは、指示の対象となるMBSセッション(スプリットMBSベアラ)と対応付けられた識別子(例えば、TMGI、G-RNTI、セッション識別子、QoSフロー識別子、ベアラ識別子)を含んでもよい。
【0075】
MAC CE又はDCIを用いて各レグのアクティブ化及び非アクティブ化を指示することにより、RRCメッセージを用いる場合に比べて動的な制御が可能である。
【0076】
UE100は、PTPレグをアクティブ化する指示の受信に応じて、C-RNTIを用いたデータの受信処理を開始する。UE100は、PTMレグをアクティブ化する指示の受信に応じて、G-RNTIを用いたMBSデータの受信処理を開始する。他方、UE100は、PTPレグを非アクティブ化する指示の受信に応じて、C-RNTIを用いたデータの受信処理を終了する。UE100は、PTMレグを非アクティブ化する指示の受信に応じて、G-RNTIを用いたMBSデータの受信処理を終了する。
【0077】
ステップS12において、gNB200は、アクティブ化された状態にあるPTMレグを介して、PTPレグをアクティブ化又は非アクティブ化する指示をUE100に送信(PTM送信)してもよい。これにより、複数のUE100のPTPレグをPTMで一括してアクティブ化又は非アクティブ化することができる。
【0078】
gNB200は、アクティブ化された状態にあるPTMレグを介して、PTMレグを非アクティブ化する指示をUE100に送信(PTM送信)してもよい。これにより、複数のUE100のPTMレグをPTMで一括して非アクティブ化することができる。
【0079】
ステップS12において、gNB200は、アクティブ化された状態にあるPTPレグを介して、PTMレグをアクティブ化又は非アクティブ化する指示をUE100に送信(PTP送信)してもよい。これにより、UE100ごとにPTMレグを個別にアクティブ化又は非アクティブ化することができる。
【0080】
gNB200は、アクティブ化された状態にあるPTPレグを介して、PTPレグを非アクティブ化する指示をUE100に送信(PTP送信)してもよい。これにより、UE100ごとにPTPレグを個別に非アクティブ化することができる。
【0081】
ステップS13において、UE100は、ステップS12でgNB200からPTPレグ及びPTMレグの少なくとも一方のレグをアクティブ化する指示を受信したことに応じて、受信した指示に対する応答をgNB200に送信してもよい。この応答は、例えば、UE100のMACエンティティからPTPレグを介してgNB200に送信されてもよい。UE100は、当該応答を送信後、アクティブ化されたレグにおけるデータ受信動作を開始してもよい。
【0082】
gNB200は、UE100からの応答の受信に応じて、アクティブ化されたレグを介してデータを送信する。すなわち、gNB200は、当該応答を受信後、当該レグにおけるデータ送信動作を開始する。
【0083】
なお、UE100は、ステップS12でgNB200からPTPレグ及びPTMレグの少なくとも一方のレグを非アクティブ化する指示を受信したことに応じて、受信した指示に対する応答をgNB200に送信してもよい。
【0084】
UE100のPDCPエンティティは、PTPレグ及びPTMレグの両方がアクティブ化された場合、二重送信(Duplication)で送信される2つの同一MBSパケットの重複破棄(duplicate packet discarding)処理を行ってもよい。
【0085】
UE100のRRCエンティティは、PTPレグが非アクティブ化された場合、RRC接続の解放をgNB200に促すためのメッセージ(RAI:Release Assistance Information/preference)をgNB200に送信してもよい。或いは、UE100は、PTPレグ及びPTMレグの動的切り替えが設定中であってもRAIの送信が許可されるとしてもよい。
【0086】
(PTP伝送とPTM伝送との切り替え)
次に、一実施形態に係るPTP伝送とPTM伝送との切り替えについて説明する。
【0087】
スプリットMBSベアラを前提とする場合、PTP伝送は、PTPレグ(PTP通信パス)を用いてgNB200からUE100へMBSデータを伝送する方式であってもよい。PTM伝送は、PTMレグ(PTM通信パス)を用いてgNB200からUE100へMBSデータを伝送する方式であってもよい。PTP伝送とPTM伝送との切り替え動作は、PTP伝送及びPTM伝送のうち、一方の伝送方式のMBSデータ伝送を終了するのと同時に、他方の伝送方式のMBSデータ伝送を開始する動作であってもよい。このような切り替えの際に、gNB200からUE100へ伝送されるMBSデータ(MBSパケット)が欠落し、ギャップが生じ得る。
【0088】
また、PTP伝送からPTM伝送への切り替え時には、gNB200がいつPTP伝送を停止するのかという問題がある。これとは逆に、PTM伝送からPTP伝送への切り替え時には、gNB200がどのパケットからPTP伝送を開始するのかという問題がある。つまり、PTP伝送とPTM伝送との切り替え時において、PTP伝送を適切に制御することが難しいという問題がある。
【0089】
一実施形態において、UE100は、PTP伝送及びPTM伝送のいずれかの伝送方式でgNB200から送信されるMBSデータを受信する。その後、伝送方式がPTP伝送とPTM伝送との間で切り替えられたことに応じて、UE100は、当該切り替えに関する受信パケットのシーケンス番号(SN)を示す情報を含むメッセージ(以下、「SN通知メッセージ」と呼ぶ)をgNB200に送信する。SNは、PDCPパケット単位で付与されるPDCP SNであってもよい。SNは、PDCPパケットを特定するためのCOUNT値であってもよい。COUNT値はHFN(Hyper Frame Number)及びPDCP SNで構成される。SNは、RLCパケット単位で付与されるRLC SNであってもよい。以下において、SNがPDCP SNである場合を主として想定する。このため、パケットとはPDCPパケットをいうものとする。
【0090】
このように、PTP伝送とPTM伝送との切り替えに関する受信パケットのSN情報を含むSN通知メッセージをUE100からgNB200に送信することにより、gNB200は、UE100におけるMBSパケットの受信状態を把握可能になる。よって、PTP伝送とPTM伝送との切り替え時において、PTP伝送を適切に制御することが可能になる。例えば、gNB200は、PTP伝送とPTM伝送との間のSNのギャップを埋めるようにPTP伝送を制御する。SNのギャップとは、PTP伝送パケットのSNとPTM伝送パケットのSNとの隔たりをいう。
【0091】
一実施形態において、UE100は、PTP伝送とPTM伝送との切り替えの際に、PTP伝送とPTM伝送との間のSNのギャップを検知したことに応じてSN通知メッセージを送信してもよい。UE100は、PTP伝送パケットのSNとPTM伝送パケットのSNとが不連続である場合、SNのギャップが発生したと判断できる。UE100は、PTP伝送とPTM伝送との切り替えの際に、PTP伝送とPTM伝送との間のSNのギャップを検知しない場合、SN通知メッセージをgNB200に送信しなくてもよい。
【0092】
(1)PTP伝送からPTM伝送への切り替え
次に、一実施形態に係るPTP伝送からPTM伝送への切り替えについて説明する。
【0093】
PTP伝送からPTM伝送への切り替えにおいて、UE100は、PTM伝送で最初に受信したパケットのSNを示す情報、及びPTP伝送で最後に受信したいパケットのSNを示す情報のうち、少なくとも一方を含むSN通知メッセージをgNB200に送信する。そして、gNB200は、このようなSN通知メッセージに基づいて、PTP伝送とPTM伝送との間のSNのギャップと対応する1つ又は複数のパケット(すなわち、UE100で未受信のMBSパケット)をPTP伝送でUE100に送信する。これにより、PTP伝送からPTM伝送への切り替えの際に生じたギャップをPTP伝送により補完できる。gNB200は、このような未受信MBSパケットのPTP伝送を終了した後、PTP伝送を停止(例えば、PTPレグを非アクティブ化)してもよい。或いは、UE100は、前記未受信MBSパケットをPTP伝送で受信した時に、PTP伝送が終了したと判定し、当該PTPレグを非アクティブ化してもよい。この場合、gNB200は、PTP伝送終了後、明示的にPTPレグを非アクティブ化する必要がない。UE100は、gNB200からPTPレグの非アクティブ化指示をgNB200から受信しなくても、前記未受信MBSパケットをPTP伝送で受信した時に、PTPレグを自発的に非アクティブ化する。UE100は、PTPレグの自発的な非アクティブ化の許可が予めgNB200により設定されている場合に、PTPレグの自発的な非アクティブ化が可能とされてもよい。
【0094】
図10は、一実施形態に係るPTP伝送からPTM伝送への切り替えの動作例を示す図である。この動作例において、UE100はRRCコネクティッド状態にあり、PTPレグがUE100に設定されているものとする。但し、スプリットMBSベアラを前提とせずに、PTPベアラがUE100に設定されていてもよい。すなわち、UE100にはPTP通信パスが設定されていればよい。
【0095】
図10に示すように、ステップS101において、gNB200は、PTP通信パスを介してMBSデータをPTP伝送によりUE100に送信する。MBSデータは、連続するSNが付された複数のパケットにより構成される。UE100は、PTP通信パスを介してMBSデータを受信する。
【0096】
ステップS102において、gNB200は、PTM伝送でMBSデータを受信するようにUE100に指示する。すなわち、gNB200は、PTP伝送からPTM伝送への切り替え指示をUE100に送信する。この切り替え指示は、gNB200からPTP通信パスを介してUE100に送信されるものとする。UE100は、gNB200からの切り替え指示を受信する。ここで、PTP伝送からPTM伝送への切り替え指示は、PTMベアラを設定するRRC Reconfigurationメッセージ及び/又はPTMレグのアクティブ化の指示(例えば、MAC CE又はDCI)であってもよい。PTP伝送からPTM伝送への切り替え指示は、PTPレグの非アクティブ化の指示であってもよい。
【0097】
ステップS103において、gNB200は、PTM通信パス(PTMレグ又はPTMベアラ)を介してMBSデータをPTM伝送によりUE100に送信する。なお、当該PTM伝送は、既に別のUEに対してMBSデータ送信が行われている場合があることに留意すべきである。すなわち、UE100は、既にMBSデータ送信が開始されているPTM伝送に対して、遅れて受信を開始することがある。UE100は、PTM通信パスを介してMBSデータを受信する。ここで、UE100は、PTM通信パスを介して最初に受信したパケットに含まれるSNを取得することにより、PTM伝送で最初に受信したパケットのSNを特定する。
【0098】
UE100は、PTM伝送で最初に受信したパケットのSNに基づいて、PTP伝送で最後に受信したいパケットのSNを決定してもよい。例えば、PTM伝送で最初に受信したパケットのSNが“#30”である場合、ギャップが生じないようにするためには、PTP伝送で最後に受信したいパケットのSNは“#29”ということになる。
【0099】
ステップS104において、UE100は、PTP伝送とPTM伝送との間のSNのギャップがあるか否かを判定してもよい。UE100は、PTP伝送で最後に受信したパケットのSNとPTM伝送で最初に受信したパケットのSNとが不連続である場合、UE100は、SNのギャップを検知する。例えば、PTP伝送で最後に受信したパケットのSNが“#10”であり、PTM伝送で最初に受信したパケットのSNが“#30”である場合、SNが不連続であるため、UE100は、SNのギャップを検知する。
【0100】
ステップS105において、UE100は、PTM伝送で最初に受信したパケットのSNを示す情報、及びPTP伝送で最後に受信したいパケットのSNを示す情報のうち、少なくとも一方を含むSN通知メッセージを、PTP通信パスを介してgNB200に送信する。gNB200は、UE100からPTP通信パスを介してSN通知メッセージを受信する。なお、当該SN通知メッセージは、gNB200から許可されている場合のみ送信してもよい。例えば、UE100は、gNB200から事前にRRC Reconfigurationを用いて、当該SN通知メッセージの送信可否が設定される。
【0101】
例えば、SN通知メッセージは、PTM伝送で最初に受信したパケットのSNを含んでもよい。SN通知メッセージは、PTP伝送で最後に受信したパケットのSNからPTM伝送で最初に受信したパケットのSNまでの各SNを示す情報を含んでもよい。
【0102】
或いは、SN通知メッセージは、PTP伝送で最後に受信したいパケットのSNを含んでもよい。SN通知メッセージは、PTP伝送で最後に受信したパケットのSNからPTP伝送で最後に受信したいパケットのSNまでの各SNを示す情報を含んでもよい。当該SN通知メッセージは、ギャップに該当する複数のパケットのSNを含んでもよい。例えば、PTP伝送で受信済パケットのSNを#20、PTM伝送で最初に受信したパケットのSNを#30とした場合、UE100は、当該SN通知メッセージに#21~#29のSNを含める。
【0103】
UE100は、ステップS104で「YES」の場合にSN通知メッセージをgNB200に送信し、ステップS104で「NO」の場合はSN通知メッセージをgNB200に送信しなくてもよい。ステップS104で「NO」の場合、UE100は、PTM伝送でパケットを受信したことを示すPTM受信成功通知をgNB200に送信してもよい。なお、UE100は、SN通知メッセージをgNB200に送信する場合には、PTM受信成功通知をgNB200に送信しなくてもよい。PTM受信成功通知は、PTM受信開始通知であってもよい。
【0104】
SN通知メッセージの送信トリガは、1)PTM伝送での最初の1パケット受信時、2)PTM伝送でのN個(N≧2)の連続パケット受信時、3)PTM伝送でMBSデータを受信する指示(例えば、ステップS102の指示)をgNB200から受信した時のいずれかであってもよい。上記の2)を送信トリガとする場合、何パケットをカウントすべきか(すなわち、“N”の値)は、予めgNB200からUE100に設定されていてもよい。
【0105】
SN通知メッセージは、1)PDCP Control PDU(Protocol Data Unit)、2)RLC Control PDU、3)RRCメッセージのいずれかであってもよい。SN通知メッセージとして用いるPDCP Control PDUは、Status PDUであってもよいし、新たなControl PDUであってもよい。SN通知メッセージとして用いるRLC Control PDUは、Status PDUであってもよいし、新たなControl PDUであってもよい。
【0106】
ステップS106において、gNB200は、UE100から受信したSN通知メッセージに基づいて、PTP伝送とPTM伝送との間のSNのギャップがあるか否かを判定する。gNB200が、PTP伝送での送信が完了したパケットのSNを把握している場合、PTP伝送での送信が完了したパケットのSNと、SN通知メッセージにより示されるSNとを比較することにより、SNのギャップの有無を判定できる。
【0107】
一例として、PTP伝送での送信が完了したパケットのSNが“#10”であり、PTM伝送で最初に受信したパケットのSNが“#30”である場合を想定する。この場合、gNB200は、SN通知メッセージに含まれるSN“#30”をSN“#10”と比較し、両者が不連続であることから、SNのギャップを検知する。gNB200は、SN“#11”からSN“#29”までのパケットをPTP伝送でUE100に送信すると決定してもよい。
【0108】
他の例として、PTP伝送での送信が完了したパケットのSNが“#10”であり、UE100がPTP伝送で最後に受信したいパケットのSNが“#29”である場合を想定する。この場合、gNB200は、SN通知メッセージに含まれるSN“#29”をSN“#10”と比較し、両者が不連続であることから、SNのギャップを検知する。gNB200は、SN“#11”からSN“#29”までのパケットをPTP伝送でUE100に送信すると決定してもよい。
【0109】
ステップS106で「YES」である場合、ステップS107において、gNB200は、検知したギャップと対応する1つ又は複数のパケット(すなわち、UE100で未受信のMBSパケット)をPTP伝送でUE100に送信する。一方、ステップS106で「NO」である場合、gNB200は、ステップS107を実行しなくてもよい。
【0110】
UE100は、このようなPTP伝送で送信されるパケットを受信し、ギャップが埋まった場合に、PTM伝送の受信成功通知をgNB200に送信してもよい。上述のように、UE100は、PTPレグを自発的に非アクティブ化してもよい。
【0111】
ステップS108において、gNB200は、UE100に対するPTP伝送を停止する。スプリットMBSベアラの場合、gNB200は、PTPレグの非アクティブ化指示をUE100に送信してもよい。スプリットMBSベアラではない場合、gNB200は、PTPベアラの解放指示をUE100に送信してもよい。
【0112】
ここで、SN通知メッセージの一例について説明する。ここでは、PDCPのStatus PDU(PDCPステータス報告)を流用してSN通知メッセージを構成する場合について説明する。
図11は、一実施形態に係るSN通知メッセージの構成例を示す図である。
【0113】
図11に示すように、PDCPステータス報告は、主要な構成要素として、1ビット長の「D/C」フィールドと、3ビット長の「PDU Type」フィールドと、32ビット長の「FMC(First Missing COUNT)」フィールドと、可変ビット長の「Bitmap」フィールドとを有する。
【0114】
「D/C」フィールドは、このPDCP PDUがPDCP Data PDUであるか又はPDCP Control PDUであるかを示すフィールドである。PDCPステータス報告は、PDCP Control PDUに相当する。
【0115】
「PDU Type」フィールドは、このPDCP Control PDUが、「PDCP status report」、「Interspersed ROHC feedback」、及び「EHC feedback」のいずれであるかを示すフィールドである。
【0116】
「FMC(First Missing COUNT)」フィールドは、リオーダリングウィンドウ内で最初に欠落したPDCP SDUのカウント値(COUNT)を示すフィールドである。なお、カウント値(COUNT)は、HFN(Hyper Frame Number)及びPDCP SNにより構成される。
【0117】
「Bitmap」フィールドは、欠落したPDCP SDUと、受信側PDCPエンティティで正しく受信されたPDCP SDUを示すフィールドである。具体的には、「Bitmap」フィールドは、FMC以降のPDCP SDUの受信状態を「0」(欠落)又は「1」(正しく受信)で示す。
【0118】
PTP伝送からPTM伝送への切り替えについて、PTP伝送で最後に受信したパケットのSNとPTM伝送で最初に受信したパケットのSNとのギャップ分が欠落パケット(NACK)のSNとして報告されてもよい。また、FMCにより、PTP伝送で受信済みパケットの次のパケットを示してもよい。Bitmapの上限をPTM伝送で最初に受信したパケットの前のパケットとしてBitmapを構成してもよい。
【0119】
(2)PTM伝送からPTP伝送への切り替え
次に、一実施形態に係るPTM伝送からPTP伝送への切り替えについて説明する。
【0120】
PTM伝送からPTP伝送への切り替えにおいて、UE100は、PTM伝送で最後に受信したパケットのSNを示す情報、及びPTP伝送で最初に受信したいパケットのSNを示す情報のうち、少なくとも一方を含むSN通知メッセージをgNB200に送信する。そして、gNB200は、このようなSN通知メッセージに基づいて、PTP伝送における送信開始パケットのSNを決定する。これにより、PTM伝送からPTP伝送への切り替えの際にギャップが生じないようにPTP伝送を制御できる。
【0121】
図12は、一実施形態に係るPTM伝送からPTP伝送への切り替えの動作例を示す図である。この動作例において、UE100はRRCコネクティッド状態にあり、PTMレグがUE100に設定されているものとする。但し、スプリットMBSベアラを前提とせずに、PTMベアラがUE100に設定されていてもよい。すなわち、UE100にはPTM通信パスが設定されていればよい。
【0122】
図12に示すように、ステップS201において、gNB200は、PTM通信パスを介してMBSデータをPTM伝送によりUE100に送信する。MBSデータは、連続するSNが付された複数のパケットにより構成される。UE100は、PTM通信パスを介してMBSデータを受信する。
【0123】
ステップS202において、gNB200は、PTP伝送でMBSデータを受信するようにUE100に指示する。すなわち、gNB200は、PTM伝送からPTP伝送への切り替え指示をUE100に送信する。この切り替え指示は、gNB200からPTP通信パス又はPTM通信パスを介してUE100に送信されるものとする。UE100は、gNB200からの切り替え指示を受信する。ここで、PTM伝送からPTP伝送への切り替え指示は、PTPベアラを設定するRRC Reconfigurationメッセージ及び/又はPTPレグのアクティブ化の指示(例えば、MAC CE又はDCI)であってもよい。ステップS202の指示は、PTMレグの非アクティブ化の指示であってもよい。この場合、UE100は、スプリットベアラのPTMレグの受信処理を停止し、又はPTMベアラを解放してもよい。また、UE100は、サービス継続性を高めるためにPTMレグ受信処理もしくはPTMベアラを一時的に継続してもよい(すなわち、一定時間経過後、UE100はPTMレグ受信処理の停止またはPTMベアラの解放を行う)。
【0124】
ステップS203において、UE100は、PTM伝送で最後に受信したパケットのSNを示す情報、及びPTP伝送で最初に受信したいパケットのSNを示す情報のうち、少なくとも一方を含むSN通知メッセージを、PTP通信パスを介してgNB200に送信する。gNB200は、UE100からPTP通信パスを介してSN通知メッセージを受信する。
【0125】
ここで、UE100は、PTM伝送で最後に受信したパケットのSNに基づいて、PTP伝送で最初に受信したいパケットのSNを決定してもよい。例えば、PTM伝送で最後に受信したパケットのSNが“#15”である場合、ギャップが生じないようにするためには、PTP伝送で最初に受信したいパケットのSNは“#16”ということになる。
【0126】
SN通知メッセージの送信トリガは、1)PTM伝送での最後の1パケット受信時、2)PTP伝送でMBSデータを受信する指示(例えば、ステップS202の指示)をgNB200から受信した時のいずれかであってもよい。
【0127】
SN通知メッセージは、1)PDCP Control PDU(Protocol Data Unit)、2)RLC Control PDU、3)RRCメッセージのいずれかであってもよい。SN通知メッセージとして用いるPDCP Control PDUは、Status PDU及び/又は新たなControl PDUであってもよい。SN通知メッセージとして用いるRLC Control PDUは、Status PDU及び/又は新たなControl PDUであってもよい。
【0128】
ステップS204において、gNB200は、UE100からのSN通知メッセージに基づいて、PTP伝送における送信開始パケットのSNを決定する。一例として、PTM伝送で最後に受信したパケットのSNが“#10”であることをSN通知メッセージが示す場合、gNB200は、UE100に対して、SN“#11”のパケットからPTP伝送を開始すると決定してもよい。他の例として、PTP伝送で最初に受信したいパケットのSNが“#11”であることをSN通知メッセージが示す場合、gNB200は、UE100に対して、SN“#11”のパケットからPTP伝送を開始すると決定してもよい。
【0129】
ステップS205において、gNB200は、ステップS204で決定したSNのパケットから、UE100へのPTP伝送を行う(すなわち、PTP通信パスを介してMBSデータをUE100に送信する)。スプリットMBSベアラの場合、gNB200は、PTMレグの非アクティブ化指示をUE100に送信してもよい。スプリットMBSベアラではない場合、gNB200は、PTMベアラの解放指示をUE100に送信してもよい。
【0130】
(PTMモニタ動作)
次に、一実施形態に係るPTMモニタ動作について説明する。PTM通信パス(PTMレグ又はPTMベアラ)が設定されたUE100は、PTMモニタ動作を実行する。上述のように、PTMモニタ動作は、PTMレグがアクティブ化された状態において、MBSセッションと対応付けられたG-RNTIが適用されたPDCCHをモニタする動作であってもよい。
【0131】
しかしながら、PTM通信パスは、主として複数のUE100に向けたマルチキャストに用いるため、UE100ごとに無線状態に応じた個別の適応制御(例えば、適応変調・符号化)を行うことが困難である。このため、無線状態が劣悪なUE100は、PTM伝送で送信されるMBSデータを正常に受信できないと考えられる。このようなUE100は、PTMモニタ動作を実行すると無駄に電力を消費し、非効率である。よって、UE100は、無線状態が悪くなったら、PTMモニタ動作を停止することが好ましい。
【0132】
一実施形態において、UE100は、gNB200からPTM通信パスを介して送信されるMBSデータの受信を試行するPTMモニタ動作を行う。以下においては、UE100にスプリットMBSベアラが設定され、PTMレグがアクティブ化された状態にある場合を想定する。このようなUE100はPTMモニタ動作を行う。UE100は、PTMレグの通信品質を示す測定値の劣化を検知したことに応じて、PTMモニタ動作を停止する。
【0133】
このように、UE100がPTMレグの通信品質を示す測定値の劣化を検知したことに応じてPTMモニタ動作を停止することにより、UE100が無駄に電力を消費することを回避できる。
【0134】
なお、PTMレグの通信品質を示す測定値は、PTPレグの通信品質を示す測定値と共通又はPTPレグの通信品質を示す測定値とは別の測定値であってもよい。例えば、UE100のPTMレグ及びPTPレグが同一セル内に設定される場合、PTMレグ及びPTPレグで共通の測定値を用いてもよい。UE100のPTMレグ及びPTPレグが別々のセルに設定される場合、PTMレグ専用の測定値を用いてもよい。
【0135】
また、通信品質を示す測定値は、gNB200からの無線信号のRSRP、RSRQ、及びSINRのうち少なくとも1つであってもよい。通信品質を示す測定値は、MBSデータの受信誤り率及び/又は受信誤りを連続的に検出した回数であってもよい。
【0136】
UE100は、PTMモニタ動作を停止する場合、PTMモニタ動作の停止を示す通知をgNB200に送信してもよい。これにより、gNB200は、PTM伝送で送信されるMBSデータをUE100が受信できないことを把握できる。このようなUE100に対しては、gNB200は、例えばPTP伝送でMBSデータを送信してもよい。PTP伝送の場合、無線状態に応じた個別の適応制御を行うことが可能であるため、無線状態が劣悪なUE100であってもMBSデータを受信可能になる。
【0137】
図13は、一実施形態に係るPTMモニタ動作に関する動作例を示す図である。この動作例において、UE100はRRCコネクティッド状態にあり、UE100にスプリットMBSベアラが設定されているものとする。
【0138】
図13に示すように、ステップS301において、gNB200は、PTM無線状態の閾値を含む設定情報をPTMレグ又は
PTPレグを介してUE100に送信してもよい。gNB200は、RRC ReconfigurationメッセージもしくはSIBでPTM無線状態の閾値をUE100に設定してもよい。UE100は、gNB200から指定された閾値を設定する。
【0139】
ステップS302において、UE100は、PTMモニタ動作と、PTMレグの通信品質の測定動作とを開始する。
【0140】
ステップS303において、gNB200は、PTMレグを介してUE100にMBSデータをPTM伝送で送信してもよい。UE100は、PTMモニタ動作によってPTMデータを受信してもよい。
【0141】
ステップS304において、UE100は、PTMレグの通信品質を示す測定値を閾値と比較し、PTMレグの通信品質が閾値よりも劣化したか否かを判定する。通信品質が閾値よりも劣化したとは、RSRP、RSRQ、又はSINRが閾値を下回ったことであってもよいし、受信誤り率又は受信誤り連続検出回数が閾値を上回ったことであってもよい。
【0142】
PTMレグの通信品質が閾値よりも劣化した場合(ステップS304:YES)、ステップS305において、UE100は、PTMレグのモニタ動作を停止する。この場合、ステップS306において、UE100は、PTMレグのモニタ動作の停止を示す通知を、PTPレグを介してgNB200に送信してもよい。また、UE100は、上述のSN通知メッセージをgNB200に送信してもよい。
【0143】
UE100は、PTMレグのモニタ動作を停止した後、RSRP、RSRQ、又はSINRの測定を継続してもよい。UE100は、RSRP、RSRQ、又はSINRが改善した場合、PTMレグのモニタ動作を再開してもよい。UE100は、PTMレグのモニタ動作を再開したことを示す通知を、PTPレグを介してgNB200に送信してもよい。また、UE100は、上述のSN通知メッセージをgNB200に送信してもよい。
【0144】
(その他の実施形態)
上述の実施形態において、スプリットMBSベアラを用いて、PTP通信パスをPTPレグにより構成するとともに、PTM通信パスをPTMレグにより構成する一例について主として説明した。しかしながら、2つの無線ベアラ(2つのデータ無線ベアラ)を用いて、PTP通信パスをPTP用の第1無線ベアラにより構成するとともに、PTM通信パスをPTM用の第2無線ベアラにより構成してもよい。また、PTP伝送は、PTP用の第1データ無線ベアラであるPTPベアラをPTP通信パスとして用いてgNB200からUE100へMBSデータを伝送する方式であってもよい。PTM伝送は、PTM用の第2データ無線ベアラであるPTMベアラをPTM通信パスとして用いてgNB200からUE100へMBSデータを伝送する方式であってもよい。このような前提下において、上述のSN通知メッセージは、MBSサービス(もしくはセッション)を示す情報が含まれてもよい。当該情報は、例えばTMGI、Session ID、G-RNTIであってもよい。これにより、gNB200は、ベアラを変更する場合であっても、SN通知メッセージがどのMBSベアラに対応しているのか把握しやすくなる。
【0145】
上述の各動作フローは、別個独立に実施する場合に限らず、2以上の動作フローを組み合わせて実施可能である。例えば、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローに追加してもよい。また、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローの一部のステップと置換してもよい。
【0146】
上述の実施形態において、基地局がNR基地局(gNB)である一例について説明したが基地局がLTE基地局(eNB)であってもよい。また、基地局は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ノード等の中継ノードであってもよい。基地局は、IABノードのDU(Distributed Unit)であってもよい。
【0147】
UE100又はgNB200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM又はDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0148】
また、UE100又はgNB200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又はgNB200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0149】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0150】
本願は、米国仮出願第63/164682号(2021年3月23日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
【0151】
(付記1)
(MRB設定(準備))
PDCPアンカーPTM/PTP切り替えのアーキテクチャは、現在の合意に基づいて、
図14に示すように解釈できる。
【0152】
一般に、RRC再設定は、マルチキャストセッションを受信するための情報とともに、2つの論理チャネル(PTMレグとPTPレグ)を含むベアラ設定を提供するために使用されると見なすことができる。
【0153】
したがって、RAN2は、動的PTM/PTPスイッチングの準備のために、2つの論理チャネルを1つのマルチキャスト無線ベアラ(MRB)に関連付ける設定がRRC再設定によって提供されることを最初に確認する必要がある。
【0154】
RAN2は、動的PTM/PTP切り替え操作の前に、2つの論理チャネルを1つのMRBに関連付ける設定がRRC再設定によって提供されることを確認する必要がある。
【0155】
動的PTM/PTP切り替え操作
・シグナリング
PTM/PTPを使用したMRBが設定されると、UEはPTMレグのG-RNTIとPTPレグのC-RNTIの両方をモニタする必要がある。
【0156】
LTE SC-PTMにおいて、SC-PTM受信の機会は、ユニキャストDRXスキームとは無関係であり、個別のDRXである。
【0157】
G-RNTIは複数のUEによって受信されるが、C-RNTIはUE固有であるため、2つのDRXを調整することは非常に難しいため、この概念はNR MBSのベースラインになる可能性がある。
【0158】
これは、UEが常にG-RNTIをモニタする必要がある場合、UEが頻繁にウェイクアップする必要があることを意味し、これにより、追加の電力消費が発生する。
【0159】
一方、コネクティッド状態のUEは、ユニキャスト受信、つまりC-DRXについてC-RNTIをモニタする必要があり、これは、UEにとって追加の負担ではない。
【0160】
UEは、LTE SC-PTMにおけるSC-MTCH時のようなPTMレグ送信時(つまり、G-RNTI)でウェイクアップする必要があり、また、PTPレグ送信時(つまり、C-RNTI)でウェイクアップする必要があり、これは、C-DRXを使用する場合と同じである。
【0161】
PTM/PTPを使用したMRBの受信には、次の4つのオプションがある。
・オプション1:アクティブ化/非アクティブ化ベースの切り替え
gNBは、DCI、MAC CE、RRCシグナリングなどによってどのレグがアクティブ化/非アクティブ化されるかをUEに指示する。PTMレグとPTPレグは、RAN2の合意に沿ったPDCPレイヤに関連付けられていると想定されている。このオプションは、MBSデータが2つのレグを介して受信される場合、つまり、スプリットベアラ及びPDCPパケットの複製のように、より柔軟になる。UEは、非アクティブ化されたレグからの電力消費を削減できる。PTMレグの非アクティブ化は、UEがG-RNTIモニタリングをスキップできるため有益であるが、PTPレグの非アクティブ化は、立ち上がりの時、つまりオン期間の観点から省電力に貢献できるかどうかは不明である。UEは、RRC接続にある限り、C-DRXに従ってC-RNTIをモニタする必要がある。
・オプション2:切り替え順序/コマンドベースの切り替え
gNBは、例えば、DCI、MAC CE、またはRRCシグナリングによって、PTMレグとPTPレグを切り替えるようにUEに指示する。このオプションは単純で、上記のオプション1と同様である。これは、PTMレグとPTPレグがRAN2合意に沿ったPDCPレイヤに関連付けられ、PTMの非アクティブ化による省電力が得られるという点で同じでる。ただし、このオプションはPTMレグとPTPレグを切り替えるためだけのものであり、両方をアクティブ化するためのものではないため、PDCPパケットの複製を含むスプリットベアラのような操作には柔軟性がない。
・オプション3:RRC再設定ベースの切り替え
gNBは、RRC再設定によってMRBとしてPTMまたはPTPのいずれかを使用してUEを再設定する。つまり、PTMレグとPTPレグを1つのMRBに関連付けない。つまり、PDCPが切り替え中にこれらのレグをどのようにアンカーするかが不明であるため、RAN2合意と一致しない一種の「ベアラタイプの変更」である。また、このオプションがPTMとPTPをどのように「動的」に切り替えることができるかについても疑問がある。
・オプション4:シグナリングベースの切り替えなし
MRBが2つのレグで設定されている場合は常に、UEは常にPTMレグとPTPレグの両方からの受信を試行する必要がある。2つのレグがPDCPによってアンカーされているため、RAN2の合意に沿っている。このオプションは、UEの観点から電力を節約する機会がない一方で、gNBの観点から最大のスケジューリングの柔軟性を保証する。
【0162】
上記の所見に基づいて、オプション1は、スケジューリングの柔軟性、UEの消費電力、および現在の合意との整合性の観点から最も適している。
【0163】
オプション4は、PTMレグが常にアクティブになっている場合、オプション1のサブセットと見なすことができる。
【0164】
シグナリング層に関しては、アクティブ化/非アクティブ化は主にDRXの動作に関連しているため、MAC CEは単純な場合がある。
【0165】
したがって、RAN2は、少なくともPTMレグがMAC CEを介してアクティブ化/非アクティブ化できることに同意する必要がある。
【0166】
RAN2は、動的PTM/PTP切り替えのために少なくともMRBのPTMレグをアクティブ化/非アクティブ化するためにMAC CEを導入することに同意する必要がある。
【0167】
(導入)
RAN2#113-eは、電子メールディスカッション「[AT113-e] [038] [MBS] UPアーキテクチャの決定(議長)」に基づいて、次の合意でL2アーキテクチャの設計を進めました。
【0168】
PTMとPTPの両方がRLC-UMの場合、L2 ARQを使用せず、PDCPアンカーされたPTM―PTP切り替えを使用した設定がサポートされる(例えば、ユニキャスト用にRLC UMで通常設定されるサービスの場合)。
【0169】
私たちの理解では、L2の信頼性は、PTPレグとPTMレグの両方でRLC-UMにのみ依存しているため、合意では保証されていない。したがって、この寄稿では、L2の信頼性について考えられる解決策について説明する。
【0170】
(議論)
・背景
RAN2#113-eの合意は、
図15のように表すことができる。これは、既存のスプリットベアラアーキテクチャに似ている。
【0171】
この合意では、「PTMとPTPはどちらもRLC-UMであり、L2 ARQを使用しない設定である」と明確に述べられている。これは、現在のアーキテクチャではRLC-AMもPDCPの再送信も行わないことを意味する。明らかに、このアーキテクチャはL2の信頼性の向上に貢献することはできない。したがって、信頼性の高いマルチキャストセッションは、RLC-AMを使用するPTPによってのみ提供できる(つまり、上記の「スプリットベアラ」アーキテクチャがないと実行できない)。これは、特にスペクトル効率の点で、従来のユニキャスト送信から何も改善されていないことを意味する。したがって、RAN2は、以下の電子メールディスカッションからの提案1に基づいて、L2の信頼性を向上させるためのいくつかのメカニズムを導入する必要がある。
【0172】
Aの場合、テーブルには次のオプションがある。
・A1:PTMのL2 ARQはない
・A2:PTM用PDCPによるL2 ARQ
・A3:PTM用RLC-AMによるL2 ARQ
Bの場合、テーブルには次のオプションがある。
・B1:PDCPアンカーされたPTM/PTP切り替え
・B2:RLCアンカーされたPTM/PTP切り替え
【0173】
提案1:次のいずれかをサポートするかどうかについての議論。
・PTM RLC-UM+PTP RLC-AMのA1+B1は、切り替え手順で何らかのデータ回復が行われる可能性がある
・PTM RLC-UM+PTP RLC-AMのA2+B1
・PTM RLC-AM+PTPRLC-AMのA3+B2(+B1)
【0174】
この時点で、信頼できるマルチキャストセッションは、現在合意されているPTM-PTP「スプリットベアラ」アーキテクチャ、つまりPDCPアンカー、RLC-UM、およびL2 ARQなしでは設定できませんが、L2の信頼性の制約により、RLC-AMを備えたPTP、つまり単一のRLCによってのみ提供される。
【0175】
RAN2は、L2の信頼性を向上させるための追加のメカニズムを導入する必要がある。
【0176】
PTM RLC-UM+PTP RLC-AMのA1+B1は、おそらく切り替え手順で何らかのデータ回復を伴う。
【0177】
【0178】
L2の信頼性はPTPレグによってのみ保証されることが考えられる。たとえば、無線状態が悪化すると、データ受信はPTMレグからPTPレグに切り替わる。つまり、PTMレグは、無線状態が良好で安定している場合にのみ使用できる。
【0179】
A1+B1オプションの場合、L2の信頼性はPTPレグによって保証されるが、PTMレグは、無線状態が良好で安定している場合にのみ使用できる。このオプションは、既存のRLC機能、つまりPTPレグのAMモードとPTMレグのUMモードを再利用できると想定されるため、PDCPレイヤ内での影響は限定的である。
【0180】
A1+B1オプションの場合、PDCP仕様は影響を受けるが、RLC仕様は影響を受けないと予想される。
【0181】
オプション名、つまり「切り替え手順でのある種のデータ回復」に示されているように、このオプションは、切り替え手順中に送信される現在のPDCPステータスレポートに基づいていると想定される。PDCPステータスレポートは、PTMレグではなくPTPレグを介して送信できることは明らかである。
【0182】
現在のPDCP仕様では、受信側のPDCPエンティティは次のようにPDCPステータスレポートをトリガする。
【0183】
ULでPDCPステータスレポートを送信するように上位層によって設定されたAMDRB(TS 38.331 のstatusReportRequired)の場合、受信側PDCPエンティティは次の場合にPDCPステータスレポートをトリガする必要がある。
・上位層はPDCPエンティティの再確立を要求する
・上位層はPDCPデータリカバリを要求する
・上位層はULデータ切り替えを要求する
・上位層は、DAPSと、TS 38.331で設定されているdaps-SourceReleaseを解放するようにPDCPエンティティを再設定する。
【0184】
最初の条件、つまり「上位層がPDCPエンティティの再確立を要求する」に関しては、gNB内の単一のPDCPエンティティが、PTPレグまたはPTMレグのどちらに関連付けられているかに関係なく、複数のUEで確立されているため、MRB(マルチキャスト無線ベアラ)のPDCPエンティティを簡単に再確立することはできない。
【0185】
2番目の条件、つまり「上位層がPDCPデータの回復を要求する」に関しては、ハンドオーバーなどのULの再送信に関連するPDCPデータの回復手順に関連付けられている。したがって、DLデータ送信しかないためNR MBSには、関連付けられていない。
【0186】
3番目と4番目の条件、つまり「上位層がULデータスイッチングを要求する」および「上位層が設定されているDAPSとdaps-SourceReleaseを解放するためにPDCPエンティティを再設定する」に関しては、これらはDAPSハンドオーバーに関連している。したがって、これらはPTM/PTP切り替えには使用されない。
【0187】
上記の所見に基づいて、既存の条件をPTM/PTP切り替え中のデータ回復に使用することはできない。したがって、PDCPステータスレポートを送信するには、新しいトリガ条件が必要になる。新しいトリガ条件は、スイッチング時ではなく、アクティブ化されたレグを介して受信された最初のパケット、たとえば、PTM/PTP切り替えの場合のPTPレグである可能性がある。
【0188】
A1+B1オプションの場合、PTM/PTP切り替え中にPDCPステータスレポート(またはフィードバック用の新しいPDCP制御PDU)を送信するために、新しいトリガ条件が必要になる場合がある。PDCPステータスレポートは、First Missing COUNTを示すFMCと、オプションで次のPDCP SDUが正しく受信されたか欠落しているかをビット位置ごとに示すビットマップで設定される。私たちの理解では、このオプションに再利用することもできるが、現時点でフィードバック用の新しいPDCP制御PDUを導入することを妨げるものではない。
【0189】
A1+B1オプションの場合、既存のPDCPステータスレポートの形式を再利用できる。
【0190】
PTM RLC-UM+PTP RLC-AMのA2+B1
このオプションは、
図17のように解釈できる。
【0191】
PTMレグまたはPTPレグのいずれかを使用し、PTMレグから欠落しているパケットを補うことが考えられる。無線状態が比較的悪い場合、及び/又は不安定な場合でもPTMレグを使用できるため、上記のA1+B1オプションと比較してスペクトル効率が向上する。
【0192】
A2+B1オプションの場合、L2の信頼性はPTPレグ支援によって保証できるため、無線状態が比較的悪く不安定な場合でもPTMレグを使用できる。上記のA1+B1オプションと同様に、このオプションはRLCレイヤに影響を与えないと予想されるため、仕様への影響はPDCPレイヤ内で制限される。
【0193】
A2+B1オプションの場合、PDCP仕様は影響を受けるが、RLC仕様は影響を受けないと予想される。A2は、
図17に示すように「PTM用PDCPによるL2 ARQ」を意図しているが、既存のARQ機能はRLC層にあるが、PDCP層にはない。したがって、PDCP仕様に新しいARQ機能が必要であることは明らかである。
【0194】
A2+B1オプションの場合、PDCPレイヤで新しいARQ機能を指定する必要がある。これは、RLC仕様のベースラインARQ機能であると見なすことができる。たとえば、手順についてはセクション5.3、STATUS PDU形式については6.2.2.5である。これはACK/NACKタイプのARQメカニズムであり、フィードバックはSTATUS PDUを介して送信される。
【0195】
現在のRLC仕様では、STATUS PDUは次の2つの条件によってトリガされる。
【0196】
AM RLCエンティティは、RLC SDU(またはそれらの一部)の肯定的および/または否定的な確認応答を提供するために、ステータスPDUを同等のAMRLCエンティティに送信する。ステータスレポートを開始するトリガは次のとおりである。
・ピアのAMRLCエンティティからのポーリング
・AMDPDUの受信障害の検出
【0197】
最初の条件、つまり「同等のAM RLCエンティティからのポーリング」に関しては、gNBが1つまたは複数のUEにポーリングを送信する可能性があるため再利用できるが、PDCPデータPDUにポーリングビット(P)フィールドを追加する必要がある場合がある。
【0198】
2番目の条件、つまり「AMD PDUの受信障害の検出」に関しては、UEがPDCPの受信障害を何らかの方法で検出する可能性があるため、この概念を再利用できる。現在、t-Reassemblyの有効期限が切れるとRLCで検出されるが、PDCPで受信障害を検出する方法についての議論が必要になる場合がある。RLC ARQメカニズムが再利用される場合、以下のA3+B2オプションで同じ最適化が期待される。例えば、受信ウィンドウを強制的に移動させる追加の条件等である。
【0199】
A2+B1オプションの場合、STATUS PDUの形式を含むRLC ARQメカニズムをPDCP ARQのベースラインにすることができるが、受信障害の検出方法など、詳細を変更する必要がある。別の可能性として、当たり障りのない新しいARQメカニズムを検討することができる。これは、一種のNACKのみのARQメカニズムと見なすことができる。この場合、FMCのみが報告されると仮定すると、現在のPDCPステータスレポートがベースラインになる可能性がある。上記のA1+B1オプションと同様に、PDCPステータスレポート(または新しいPDCP制御PDU)には新しいトリガ条件が必要である。また、上記のRLC ARQベースラインと同様に、受信障害を検出する方法、及び又は導入された場合の受信ウィンドウの管理方法について議論する必要がある。
【0200】
A2+B1オプションの場合、PDCPステータスレポート(またはフィードバック用の新しいPDCP制御PDU)をPDCP ARQの別のベースラインにすることができるが、受信障害の検出方法、及び/又は受信ウィンドウの管理方法など、新しいトリガ条件と関連する動作を指定する必要がある場合がある。
【0201】
PTM RLC-AM+PTP RLC-AMのA3+B2(+B1)
このオプションは、
図18のように解釈できる。
【0202】
上記のA2+B1オプションと同様に、PTMレグまたはPTPレグのいずれかを使用して、PTMレグから欠落しているパケットを補うと考えることができる。無線状態が比較的悪い場合、及び/又は不安定な場合でもPTMレグを使用できるため、上記のA1+B1オプションと比較してスペクトル効率が向上する。さらに、再送信はRLCセグメントごとに実行できる。これは、PDCP SDUごとの再送信を実行する上記のA2+B1オプションとは異なる。したがって、このオプションは、スペクトル効率の観点から、候補オプションの中で最高のパフォーマンスと見なすことができる。
【0203】
A3+B2オプションの場合、L2の信頼性はPTPレグ支援によって保証できるため、無線状態が比較的悪く不安定な場合でもPTMレグを使用できる。
【0204】
A3+B2オプションの場合、RLCセグメントごとに再送信を実行できる。他のオプションとは異なり、PTPレグとPTMレグはRLCレイヤにアンカーされている。したがって、このオプションは基本的にPDCP仕様に影響を与えないが、上記のA1+B1オプションがこのオプションで使用されるかどうかによって異なる。つまり、この場合、PDCP仕様で同じ影響が予測される可能性がある。
【0205】
A3+B2オプションの場合、PDCP仕様は影響を受けるとは予想されないが、他のオプションを一緒に使用するかどうかによって異なる。
【0206】
主要な影響はRLC仕様に導入されていると考えることができる。ただし、少なくともARQについては、主にgNBの実装に依存しているため、影響はない(または軽微である)と予想される。実際には、すべてのUEが最後に欠落しているすべてのRLC PDUを時間内に受信できれば、受信ウィンドウに問題がないため、既存のARQをそのまま再利用することも可能である。再送信はPTMレグに加えてPTPレグを介して実行できるため、PTPレグは、B1に関連する他のオプションの基本的な仮定であるため十分に信頼できると見なすことができる。ただし、エラーの場合に、受信ウィンドウ(RX_Next)を強制的に移動させるための新しい条件のいくつかが提案されている。
【0207】
A3+B2オプションの場合、RLC仕様は影響なし(または軽微)であると予想される。
(要約)
所見の結果を
図19にまとめている。
【0208】
A2+B1オプションは、他のオプション、つまりA1+B1オプションとA3+B2オプションに比べてメリットが少ないことは明らかである。A3+B2オプションは最良のアプローチと見なすことができるが、一方、RAN2には、「動作の前提:PTM用のRLC-AMはサポートされていない(再検討できるが、これを変更するには、PTM用のRLC-AMの支持者が必要性を示す必要があることを意味する)。」、これは技術的な理由の観点から再検討する必要がある。
【0209】
RAN2は、A1+B1(つまり、スイッチング中のPDCPアンカーおよびデータリカバリ)、及び/又はA3+B2(つまり、PTMのRLCアンカーおよびRLC AM)を導入することに同意する必要がある。