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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-22
(45)【発行日】2025-05-01
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20250423BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20250423BHJP
   B23D 49/16 20060101ALI20250423BHJP
   B23D 51/00 20060101ALI20250423BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 H
B23D49/16
B23D51/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023534866
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 JP2022027777
(87)【国際公開番号】W WO2023286849
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2021116923
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】冨山 健
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-036753(JP,A)
【文献】特開2012-081576(JP,A)
【文献】特開2022-018068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/02
B25F 5/00
B23D 49/16
B23D 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを収容し、電池が装着可能な電池装着部を有するハウジングと、
前記電池装着部に装着された前記電池を覆うカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材は、前記ハウジングとは別体として構成され且つ前記電池装着部に対して着脱可能に固定される第1カバーと、前記第1カバーに接続部を介して回動可能に接続された第2カバーと、
前記第2カバーに設けられるロック機構であって、前記ハウジングと係合するとともに、前記第2カバーを前記電池装着部に固定するように構成されているロック機構と、
を有し、
前記電池装着部に前記電池を装着する際の方向を装着方向としたとき、前記第2カバーは、前記電池装着部に固定されて前記電池の前記装着方向とは反対側の側面を覆う閉位置と、前記電池装着部への固定が解除されて前記閉位置から前記接続部を中心として所定角度回動して前記電池装着部に対する前記電池の着脱が可能となる開位置とに位置変更可能である作業機。
【請求項2】
前記電池装着部は、前記装着方向に延びて前記電池を支持する一対のレールを有し、
前記一対のレールは互いに所定方向で離間しており、
前記第2カバーは、前記所定方向に延びる軸を中心として前記第1カバーに対して回動可能となっている、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記電池装着部には、前記第2カバーの回動方向で前記第2カバーと当接する被当接部が設けられ、
前記電池装着部は、前記電池を前記装着方向にスライドさせて装着可能なように構成され、
前記電池が前記電池装着部に保持されている状態、かつ前記第2カバーが前記電池装着部に固定されている状態において、前記接続部から前記電池の前記装着方向とは反対側の最端部までの距離を第1距離とし、前記接続部から前記被当接部までの距離を第2距離としたとき、前記第2距離を前記第1距離以上とした請求項1又は請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記ロック機構は前記第2カバーを前記ハウジングに押し付けるように前記第2カバーを付勢しながら前記ハウジングに固定するように構成される請求項1又は請求項2に記載の作業機。
【請求項5】
前記接続部は、前記電池に対して前記電池装着部とは反対側の位置に設けられる請求項1に記載の作業機。
【請求項6】
前記ハウジングには、左右方向に沿って形成され、バイスの取付軸が挿入可能に構成された取付孔が設けられている、請求項1に記載の作業機。
【請求項7】
前記第1カバー及び前記ハウジングの一方には、前記第1カバーの組付方向に延在されたレール部が形成され、
前記第1カバー及び前記ハウジングの他方には、前記レール部が挿入され且つ前記レール部と係合するレール溝が形成されている請求項1に記載の作業機。
【請求項8】
前記ハウジングには、前記電池の前記装着方向側の側面を覆うプロテクタ部が設けられており、前記プロテクタ部が前記ハウジングに固定された前記第1カバーと前記電池との間に配置されている請求項6又は請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記プロテクタ部が前記ハウジングと一体に形成されている請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記プロテクタ部は、前記電池と対向する対向方向を厚み方向とする偏平状に形成されている請求項8に記載の作業機。
【請求項11】
前記プロテクタ部は、
前記対向方向を板厚方向とし、前記電池と対向して配置された電池側壁部と、
前記対向方向を板厚方向とし、前記第1カバーと対向して配置されたカバー側壁部と、
前記電池側壁部及び前記カバー側壁部を連結する連結リブと、
を含んで構成されている請求項10に記載の作業機。
【請求項12】
前記カバー側壁部の板厚が前記電池側壁部の板厚よりも厚く設定されている請求項11に記載の作業機。
【請求項13】
前記プロテクタ部には、弾性を有する緩衝部材が設けられており、前記緩衝部材が前記電池に当接している請求項8に記載の作業機。
【請求項14】
前記緩衝部材は、
左右方向に延在され、前記プロテクタ部に取付けられたベース部と、
前記ベース部の長手方向両端部に設けられ、前記電池側へ突出して前記電池と当接する当接部と、
を含んで構成され、
前記電池における前記プロテクタ部と対向する部分には、冷却孔が形成されており、
前記冷却孔は、前記緩衝部材の長手方向両端部の前記当接部の間に配置されている請求項13に記載の作業機。
【請求項15】
前記ハウジングは、
前記モータを収容するモータハウジング部と、
前記モータハウジング部と前記電池装着部とを連結するハンドル部と、
前記ハンドル部の下側に配置され、前記モータハウジング部と前記電池装着部とを連結するハンドル補強部と、
を含んで構成されている請求項1に記載の作業機。
【請求項16】
前記電池装着部に前記電池が装着されている状態かつ前記第2カバーが前記電池装着部に固定されている状態では、前記電池が前記第1カバーと前記第2カバーと前記電池装着部とによって閉塞される空間の内部に配置される、請求項1に記載の作業機。
【請求項17】
前記電池には前記電池装着部から前記電池を取り外す際に操作する操作部が設けられており、
前記操作部は、前記第2カバーが前記閉位置のときには前記カバー部材によって露出しないように覆われるとともに、前記第2カバーが前記開位置のときには操作領域の少なくとも半分以上が露出する、請求項1に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、セーバーソー(作業機)に取付けられるチェーンバイスが開示されている。具体的には、パイプ材等の被切断材にチェーンバイスのチェーンを巻き付けてチェーンバイスを被切断材に取付けると共に、チェーンバイスのシャフト(取付軸)にセーバーソーを取付ける。そして、セーバーソーの後端部を持上げることで、セーバーソーがシャフトの軸回りに揺動して、鋸刃の刃部がパイプ材の外周部に当接する。これにより、鋸刃を前後方向に往復移動させることで、パイプ材に対して切断加工を施すことができる。
【0003】
また、上記特許文献1に記載のセーバーソーでは、電源コードがセーバーソーの後端部から延出されており、当該電源コードを用いてセーバーソーに電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平03-62722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近年、セーバーソー等の作業機では、電池を着脱可能に装着して電池から電力を供給するものがある。これにより、電源コードが作業機から延出しないため、作業性を向上させることができる。
【0006】
しかしながら、電池を有する作業機の作業時において、仮に、作業者が電池自身を持上げた場合には、例えば、電池や電池の装着部が変形、破損し作業性が低下する虞がある。また、電池を有する作業機の作業時において、仮に、切断箇所から水などの液体が流出した場合、液体が電池周辺に付着して電池の接続状態が劣化し、作業性が損なわれる虞がある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、電池を有する作業機において、作業性の低下を抑制することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、モータを収容し、電池が装着可能な電池装着部を有するハウジングと、前記電池装着部に装着された前記電池を覆うカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、前記ハウジングとは別体として構成され且つ前記電池装着部に対して着脱可能に固定される第1カバーと、前記第1カバーに接続部を介して回動可能に接続された第2カバーと、前記第2カバーに設けられるロック機構であって、前記ハウジングと係合するとともに、前記第2カバーを前記電池装着部に固定するように構成されているロック機構と、を有し、前記電池装着部に前記電池を装着する際の方向を装着方向としたとき、前記第2カバーは、前記電池装着部に固定されて前記電池の前記装着方向とは反対側の側面を覆う閉位置と、前記電池装着部への固定が解除されて前記閉位置から前記接続部を中心として所定角度回動して前記電池装着部に対する前記電池の着脱が可能となる開位置とに位置変更可能である作業機である。また本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記接続部が、前記電池に対して前記電池装着部の反対側に位置するように構成された作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記電池装着部は、前記装着方向に延びて前記電池を支持する一対のレールを有し、前記一対のレールは互いに所定方向で離間しており、前記第2カバーは、前記所定方向に延びる軸を中心として前記第1カバーに対して回動可能となっている作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記電池装着部には、前記第2カバーの回動方向で前記第2カバーと当接する被当接部が設けられ、前記電池装着部は、前記電池を前記装着方向にスライドさせて装着可能なように構成され、前記電池が前記電池装着部に保持されている状態、かつ前記第2カバーが前記電池装着部に固定されている状態において、前記接続部から前記電池の前記装着方向とは反対側の最端部までの距離を第1距離とし、前記接続部から前記被当接部までの距離を第2距離としたとき、前記第2距離を前記第1距離以上とした作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、記ロック機構は前記第2カバー前記ハウジングに押し付けるように前記第2カバーを付勢しながら前記ハウジングに固定するように構成される作業機である。また、本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1カバーは、前記ハウジングとは別体として構成される作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、記ハウジングには、左右方向に沿って形成され、バイスの取付軸が挿入可能に構成された取付孔が設けられている作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1カバー及び前記ハウジングの一方には、前記第1カバーの組付方向に延在されたレール部が形成され、前記第1カバー及び前記ハウジングの他方には、前記レール部が挿入され且つ前記レール部と係合するレール溝が形成されている作業機である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングには、前記電池の前記装着方向側の側面を覆うプロテクタ部が設けられており、前記プロテクタ部が前記ハウジングに固定された前記第1カバーと前記電池との間に配置されている作業機である。
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記プロテクタ部が前記ハウジングと一体に形成されている作業機である。
【0017】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記プロテクタ部は、前記電池と対向する対向方向を厚み方向とする偏平状に形成されている作業機である。
【0018】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記プロテクタ部は、前記対向方向を板厚方向とし、前記電池と対向して配置された電池側壁部と、前記対向方向を板厚方向とし、前記第1カバーと対向して配置されたカバー側壁部と、前記電池側壁部及び前記カバー側壁部を連結する連結リブと、を含んで構成されている作業機である。
【0019】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記カバー側壁部の板厚が前記電池側壁部の板厚よりも厚く設定されている作業機である。
【0020】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記プロテクタ部には、弾性を有する緩衝部材が設けられており、前記緩衝部材が前記電池に当接している作業機である。
【0021】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記緩衝部材は、左右方向に延在され、前記プロテクタ部に取付けられたベース部と、前記ベース部の長手方向両端部に設けられ、前記電池側へ突出して前記電池と当接する当接部と、を含んで構成され、前記電池における前記プロテクタ部と対向する部分には、冷却孔が形成されており、前記冷却孔は、前記緩衝部材の長手方向両端部の前記当接部の間に配置されている作業機である。
【0022】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングは、前記モータを収容するモータハウジング部と、前記ハウジングの後端側に設けられ、前記電池が装着される電池装着部と、前記モータハウジング部と前記電池装着部とを連結するハンドル部と、前記ハンドル部の下側に配置され、前記モータハウジング部と前記電池装着部とを連結するハンドル補強部と、を含んで構成されている作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記電池装着部に前記電池が装着されている状態かつ前記第2カバーが前記電池装着部に固定されている状態では、前記電池が前記第1カバーと前記第2カバーと前記電池装着部とによって閉塞される空間の内部に配置される作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記電池には前記電池装着部から前記電池を取り外す際に操作する操作部が設けられており、前記操作部は、前記第2カバーが前記閉位置のときには前記カバー部材によって露出しないように覆われるとともに、前記第2カバーが前記開位置のときには操作領域の少なくとも半分以上が露出する作業機である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、作業性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施の形態に係る電動切断機を示す左側から見た側面図である。
図2図1に示される電動切断機の内部を示す左側から見た側断面図である。
図3図2に示されるバッテリの2面図である。
図4図1に示されるカバーユニットの斜視図である。
図5図1に示される電動切断機の後端部を拡大して示す斜視図である。
図6図1に示されるカバーユニットをバッテリ装着部から取外し且つバッテリをバッテリ装着部から取外した状態を示す側面図である。
図7】(A)は、図6に示される状態からバッテリをバッテリ装着部に装着し且つカバーユニットのロアカバーをバッテリ装着部に組付けた状態を示す側面図であり、(B)は、(A)の状態からアッパカバーを閉位置に回転させてカバーユニットをバッテリ装着部に組付けた状態を示す側面図である。
図8図6に示されるプロテクタ部を拡大して示す斜視図である。
図9図1に示されるカバーユニットの取付状態を示す第1方向他方側から見た断面図(図1の9-9線断面図)である。
図10図1に示される電動切断機の後端部を第2方向側から見た拡大図である。
図11図1に示される電動切断機の後端部を前後上下方向に切った断面図である。
図12】(A)は本実施の形態におけるバッテリ、バッテリ装着部、カバーユニットの位置関係を示す概略図であり、(B)と(C)はその比較例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る作業機としての電動切断機10について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、及び矢印RHは、それぞれ電動切断機10の上側、前側、及び右側を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、電動切断機10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0026】
図1及び図2に示されるように、電動切断機10は、被切断材としてのパイプPに切断加工を施す電動工具として構成されている。電動切断機10は、電動切断機10の外郭を構成するハウジング20と、ハウジング20に着脱可能に装着される電池としてのバッテリ34と、ハウジング20の内部に収容された駆動機構部40と、を含んで構成されている。また、電動切断機10は、バッテリ34を保護するための保護機構60を有している。以下、電動切断機10の各構成について説明する。
【0027】
(ハウジング20について) ハウジング20は、全体として前後方向に延在された略中空円柱状に形成されている。ハウジング20は、後述する駆動機構部40を収容するモータハウジング部としての前側ハウジング部22と、ハンドル部24と、電池装着部としてのバッテリ装着部28と、を含んで構成されている。前側ハウジング部22は、ハウジング20の前部を構成すると共に、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。前側ハウジング部22の前端部における下部には、切断加工時に用いられるチェーンバイス100を取付けるための取付孔22Aが左右方向に貫通形成されている。
【0028】
ハンドル部24は、前側ハウジング部22よりも小径の略円筒状に形成されている。ハンドル部24は、前側ハウジング部22の後側に配置されており、ハンドル部24の前端部が、前側ハウジング部22の後端部の上部に接続されている。ハンドル部24の下側には、ハンドル補強部26が設けられている。ハンドル補強部26は、前後方向に延在された略筒状に形成されており、ハンドル補強部26の前端部が前側ハウジング部22の後端部の下部に接続されている。
【0029】
図5図9にも示されるように、バッテリ装着部28は、ハウジング20の後部に設けられており、ハンドル部24及びハンドル補強部26のそれぞれの後端部がバッテリ装着部28に接続されている。具体的には、バッテリ装着部28は、ハンドル補強部26の後端部から上側且つ後側へ延出しており、ハンドル部24の後端部が、バッテリ装着部28の上部に接続されている。そして、以下の説明では、左右方向から見た、バッテリ装着部28の延在方向を第1方向(図1の矢印A方向及び矢印B方向)とし、第1方向に対して直交する方向を第2方向(図1の矢印C方向及び矢印D方向)としており、第1方向が本発明の組付方向及び対向方向に対応している。A方向は前下方向であり、B方向は後上方向であり、C方向が前上方向であり、D方向が後下方向である。以降では、A方向側を第1方向(一方)側、B方向を第1方向他方側、C方向側を第2方向(一方)側、D方向を第2方向他方側として説明する。
【0030】
図2図8、及び図9に示されるように、バッテリ装着部28の後端部には、装着凹部28Aが形成されており、装着凹部28Aは、第2方向他方側及び第1方向他方側へ開放された凹状に形成されている。装着凹部28Aの左右の内周面には、レール構造28B(レール溝)が形成されている。レール構造28Bは、左右方向内側に開放された溝状の部分(空間)を有し、第1方向に延在されると共に、溝状の空間が第1方向他方側へ開放されている。バッテリ装着部28には、後述するバッテリ34と接続されるバッテリターミナル30が設けられており、バッテリターミナル30は、装着凹部28A内に配置されている。バッテリターミナル30は、制御部31に電気的に接続されている。制御部31は、前後方向を厚み方向とする略矩形偏平状に形成され、前側ハウジング部22の後端部に収容されると共に、前側ハウジング部22に保持されている。前後方向に沿って延びるハンドル部24に対して、バッテリ装着部28は前後方向に対して交差する方向(第1方向)に沿って延在する。第1方向において、バッテリ装着部28はハンドル部24よりも大きい。また、前後方向と直交する方向(左右、上下方向)においても、バッテリ装着部28はハンドル部24よりも大きい。
【0031】
図5図7に示されるように、バッテリ装着部28の上端部には、後述するカバーユニット70を固定するためのカバー固定部28Cが形成されている。カバー固定部28Cは、左右方向に延在されると共に、バッテリ装着部28から第2方向一方側へ突出している。カバー固定部28Cには、第1方向一方側へ開放された被係合溝28Dが形成されており、被係合溝28Dは、左右方向に延在している。
【0032】
図6図9に示されるように、バッテリ装着部28の左右の両側面には、後述するロアカバー71を取付けるためのレール部28Eがそれぞれ形成されている。レール部28Eは、バッテリ装着部28から左右方向外側へ突出すると共に、第2方向を幅方向とするレール状に形成されて、第1方向に延在されている。また、バッテリ装着部28の第1方向他方側端部には、後述するアッパカバー72の頂壁当接部72D1が当接する被当接部28Fが設けられる。被当接部28Fは、第1方向でアッパカバー72(頂壁当接部72D1)と当接する。また、被当接部28Fは回動するアッパカバー72と当接する。つまり、被当接部28Fはアッパカバー72の回動方向で当接する。被当接部28Fは第1方向他方側(B方向)に面するバッテリ装着部28の一部である。
【0033】
図2に示されるように、ハンドル部24の前端部には、トリガ32が設けられている。トリガ32は、ハンドル部24から下側へ突出すると共に、上側へ引き操作可能に構成されている。ハンドル部24の前端部には、トリガ32の上側において、スイッチ機構部33が設けられている。スイッチ機構部33は、トリガ32によって操作されるスイッチ(図示省略)を有しており、当該スイッチは、制御部31に電気的に接続されている。そして、トリガ32の操作に応じた出力信号が、スイッチから制御部31へ出力される。
【0034】
(バッテリ34について) 次に、図3を用いて、バッテリ34について説明する。なお、図3では、矢印W方向をバッテリ34の幅方向とし、矢印H方向をバッテリ34の高さ方向とし、矢印D方向をバッテリ34の奥行方向(前後方向)としている。バッテリ34は、幅方向から見て、奥行方向を長手方向とする略直方体ブロック状に形成されている。バッテリ34の上部には、コネクタ部34Aが設けられている。また、コネクタ部34Aの幅方向両端部には、バッテリ側レール部34Bが形成されている。バッテリ側レール部34Bは、バッテリ34の前側から見て略逆L字型状に形成されバッテリ34の奥行方向(長手方向)に延在されると共に、前側へ開放されている。
【0035】
そして、図6及び図7(A)に示されるように、バッテリ34の幅方向を、電動切断機10の左右方向と一致させ、奥行方向を第1方向に一致させた状態で、バッテリ34が、ハウジング20のバッテリ装着部28に第1方向他方側から装着されて、バッテリ装着部28の後側(第2方向他方側)に配置されている。具体的には、バッテリ側レール部34Bを第1方向一方側にスライドさせてバッテリ装着部28のレール構造28B内に篏合させることで、バッテリ34が、バッテリ装着部28に装着される。このため、バッテリ34が、電動切断機10の後端部に位置する。また、バッテリ34のバッテリ装着部28への装着状態では、コネクタ部34Aがバッテリターミナル30に接続されており、バッテリ34から制御部31に電力が供給される。
【0036】
バッテリ34の前壁には、幅方向中央部において、バッテリ34を冷却するための複数(本実施の形態では、6箇所)の冷却孔34C(図3参照)が貫通形成されている。冷却孔34Cは、幅方向を長手方向とする長孔状に形成されている。そして、3箇所の冷却孔34Cが高さ方向に所定の間隔を空けて並んで配置されており、高さ方向に並ぶ3箇所の冷却孔34Cを1組として、2組の冷却孔34Cがバッテリ34の幅方向に並んで配置されている。これにより、バッテリ34の装着状態では、冷却孔34Cが第1方向一方側へ開放されている。バッテリ34の左右側壁には、プッシュボタン34Dが設けられている。バッテリ装着部28に装着されているバッテリ34は、プッシュボタン34Dを押圧することで、バッテリ34とバッテリ装着部28の相対移動を規制する不図示の爪係合が解除され、バッテリ装着部28から取り外すことが可能になるよう構成されている。右側のプッシュボタン34Dは左方向に、左側のプッシュボタン34Dは右方向に押圧操作可能に構成されている。押圧方向で見たときのプッシュボタン34Dの形状は、約20mm四方となる四角形の角1つが切り欠かれたような形状となっている。
【0037】
(駆動機構部40について) 図2に示されるように、駆動機構部40は、モータ41と、伝達機構44と、プランジャ47と、を含んで構成されている。モータ41は、前側ハウジング部22の後部に収容されている。モータ41は、前後方向を軸方向とする駆動軸41Aを有している。駆動軸41Aの前端部には、ベベルギヤ41Bが設けられている。そして、駆動軸41Aの後端部が、前側ハウジング部22に保持された第1軸受42によって回転可能に支持されており、駆動軸41Aの前端側部分が、前側ハウジング部22に保持された第2軸受43によって回転可能に支持されている。モータ41はブラシレスモータである。
【0038】
伝達機構44は、前側ハウジング部22の前部に収容されている。伝達機構44は、ベベルギヤ45及び運動変換ピン46を含んで構成されている。ベベルギヤ45は、モータ41の前側において、上下方向を軸方向として回転可能に設けられると共に、モータ41のベベルギヤ41Bに噛合されている。運動変換ピン46は、上下方向を軸方向とする円柱状に形成されると共に、ベベルギヤ45の回転軸線に対して偏心した位置において、ベベルギヤ45に固定されている。そして、運動変換ピン46の上端部が、ベベルギヤ45から上側へ突出している。
【0039】
プランジャ47は、前後方向に延在された略矩形柱状に形成されている。プランジャ47は、ベベルギヤ45の上側に配置されると共に、支持機構48によって、前後方向に往復移動可能に支持されている。プランジャ47の後端側の部分には、連結部47Aが形成されており、連結部47Aは、下側へ開放され且つ左右方向に延在された溝状に形成されている。そして、運動変換ピン46の上端部が連結部47A内に挿入されて、ベベルギヤ45とプランジャ47とが連結されている。これにより、モータ41が駆動して、ベベルギヤ45が回転することで、プランジャ47が前後方向に往復移動するように構成されている。
【0040】
プランジャ47の前端部には、鋸刃としてのブレード50が取付けられている。図1にも示されるように、ブレード50は、左右方向を板厚方向とし且つ前後方向に延在された略長尺板状に形成されており、ブレード50の後端部が、プランジャ47の前端部に取付けられている。ブレード50のプランジャ47への取付状態では、ブレード50がハウジング20の前側開口部から前側へ延出して、ハウジング20の前側に配置されている。ブレード50の下端部には、刃部50Aが形成されており、刃部50Aは、ブレード50の長手方向全体に亘って形成されている。
【0041】
また、前側ハウジング部22には、チェーンバイス100の取付時に用いられるボール52が設けられている。ボール52は、ハウジング20の取付孔22Aの前側に配置されており、ボール52の一部が取付孔22A内に配置されている。また、ボール52は、前側ハウジング部22に設けられた付勢バネ53によって後側に付勢されている。ここで、切断加工時に用いられるバイスとしてのチェーンバイス100について説明する。
【0042】
チェーンバイス100は、左右方向を厚み方向とする中空偏平状に形成されると共に、前側へ開放されている。また、チェーンバイス100は、左側から見て、前方側へ開放された略V字形状に形成されている。これにより、チェーンバイス100の前端部には、前側へ開放された略V字形溝状の受け部100Aが形成されている。チェーンバイス100の後端部には、取付軸102が設けられており、取付軸102は、左右方向を軸方向とする略段付円柱状に形成されて、チェーンバイス100から左側へ突出している。
【0043】
また、チェーンバイス100の内部には、チェーン104が設けられている。そして、チェーンバイス100を用いた切断加工時には、左右方向に延在されたパイプPにチェーン104を巻き付けて、チェーンバイス100をパイプPに取付ける。具体的には、チェーンバイス100の受け部100A内にパイプPの外周部の一部を配置して、チェーン104の巻付力により、チェーンバイス100をパイプPに取付ける。この状態で、チェーンバイス100の取付軸102を、電動切断機10の取付孔22A内に右側から挿入して、電動切断機10をチェーンバイス100に取付ける。このときには、電動切断機10のボール52が取付軸102に係合して、電動切断機10の左右方向の移動が制限される。そして、電動切断機10のチェーンバイス100への取付状態では、パイプPがブレード50の下側に配置されると共に、電動切断機10が取付軸102(取付孔22A)の軸回りに揺動(回動)可能に構成されている。
【0044】
これにより、チェーンバイス100を用いてパイプPを切断加工するときには、作業者がハンドル部24を上側へ持上げることで、電動切断機10が取付軸102(取付孔22A)の軸回り一方側(図1の矢印E方向側)に揺動して、ブレード50の刃部50AがパイプPの外周部に当接する。この状態で、ブレード50が前後方向に往復移動することで、パイプPに対する切断加工が施されるようになっている。すなわち、ハンドル部24の後部が上方に、ブレード50の前部が下方に移動するような様態でパイプPに対する切断加工が施される。このように、チェーンバイス100を用いた切断加工は、取付軸102(取付孔22A)を支点とした「てこ」の作用を利用して行われる。
【0045】
(保護機構60について) 図1図2図4図9に示されるように、保護機構60は、バッテリ34を保護する機構部として構成されている。保護機構60は、カバー部材としてのカバーユニット70と、プロテクタ部80と、緩衝部材90と、を含んで構成されている。
【0046】
(カバーユニット70について) カバーユニット70は、全体として第2方向一方側へ開放された略矩形箱状に形成されている。そして、カバーユニット70が、ハウジング20のバッテリ装着部28に取付けられて、バッテリ装着部28と共にバッテリ34を全方向から覆っている。詳細には、バッテリ装着部28がバッテリ34の上部の一部を覆うとともに、カバーユニット70はバッテリ装着部28が覆わないバッテリ34の上部の一部と、バッテリ34の前後左右及び下側を覆う。また、カバーユニット70はバッテリ装着部28の一部を覆う。すなわち、カバーユニット70は、バッテリ34と、バッテリ装着部28の一部を覆うカバー部材である。カバーユニット70は、カバーユニット70の第1方向一方側部分を構成するロアカバー71と、カバーユニット70の第1方向他方側部分を構成するアッパカバー72と、ロック機構75と、を含んで構成されている。
【0047】
ロアカバー71は、第1方向他方側及び第2方向一方側へ開放された略矩形箱状に形成されている。具体的には、ロアカバー71は、バッテリ34を左右方向両側から覆う一対の側壁71Aと、バッテリ34を第1方向一方側から覆う下壁71Bと、バッテリ34を第2方向他方側から覆う底壁71Cと、を含んで構成されている。また、側壁71Aはバッテリ装着部28の左右側面の一部、特にバッテリ34を支持する部分(レール構造28B)を覆う。下壁71Bは、バッテリ装着部28の第1方向一方側の側面を覆う。側壁71Aは第1方向他方側(後上方向)端部に側壁被当接部71A1を有する。側壁71Aの内周部には、側壁当接部71A2が設けられる。底壁71Cは第1方向他方(後上方向)側端部に底壁被当接部71C1を有する。下壁71Bは第1方向他方側に下壁当接部71B1を有する。側壁71Aの内周部には、開口側端部において、ハウジング20のレール部28Eに対応するレール溝71D(図4及び図9参照)がそれぞれ形成されている。レール溝71Dは、左右方向内側へ開放され且つ第1方向に延在された溝状に形成されると共に、第1方向他方側へ開放されている。そして、ロアカバー71のバッテリ装着部28への装着時には、ロアカバー71をバッテリ装着部28に第1方向一方側から組付けて、レール部28Eをレール溝71D内に挿入させる(図9参照)。これにより、ロアカバー71のバッテリ装着部28への取付状態では、レール部28Eとレール溝71Dとが第2方向に係合している。この係合によって、ロアカバー71はバッテリ装着部28に対して所定方向(第2方向)への相対移動が規制される。レール部28Eとレール溝71Dとが第2方向に係合した(ロアカバー71が位置決めされた)状態で、ネジ等の固定具を用いてロアカバー71がバッテリ装着部28に固定される。側壁当接部71A2は、レール溝71Dの上側(第2方向側)に設けられている。なお、側壁当接部71A2は、レール溝71Dの下側に設けられていても良い。
【0048】
また、ロアカバー71の下壁71Bの開口端部(第2方向端部)には、下壁切欠部71Eが形成されており、下壁切欠部71Eは、第1方向から見て、第2方向一方側へ開放された凹状に形成されている。そして、ロアカバー71のバッテリ装着部28への組付状態では、ハンドル補強部26の後端部が下壁切欠部71E内に配置されている(図5参照)。図2に示すように、下壁71Bには、バッテリ装着部28の第1方向側の側壁(後述するプロテクタ部80)と当接する下壁当接部71B1が設けられる。下壁当接部71B1は下壁71Bの内面において左右方向に延在するように設けられた凸構造(リブ)である。下壁切欠部71Eにおいては、切欠き部分のすぐ下側に下壁当接部71B1が位置するように構成される。また、ロアカバー71は樹脂製である。ロアカバー71は、バッテリ34の第1方向一方側の部分を覆うカバー部材の一部であり、本発明における第1カバーの一例である。
【0049】
アッパカバー72は、第1方向一方側へ開放された略矩形箱状に形成されている。具体的には、アッパカバー72は、バッテリ34を左右方向両側から覆う一対の側壁72Aと、バッテリ34を第1方向他方側から覆う上壁72Bと、バッテリ34を第2方向他方側から覆う底壁72Cと、バッテリ34を第2方向一方側から覆う頂壁72Dと、を含んで構成されている。また、頂壁72Dはバッテリ装着部28の第1方向他方側の側面(端部)を覆う。さらに、側壁72Aはバッテリ装着部28の左右側面の一部を覆う。側壁72Aは第1方向側端部に側壁当接部72A1を有する。底壁72Cは第1方向側端部に底壁当接部72C1を有する。頂壁72Dは第1方向側端部に頂壁当接部72D1を有する。頂壁72Dは、バッテリ34の形状に対応して、上壁72Bの第2方向他方側端部から第1方向一方側へ向かうに従い第2方向一方側に傾斜している。
【0050】
また、アッパカバー72の底壁72Cの開口端部と、ロアカバー71の底壁71Cの開口端部と、が、左右方向を軸方向とするヒンジ軸73(支持軸)によって、回転可能に連結されている。具体的には、アッパカバー72が、開位置(図7(A)に示される位置)と閉位置(図7(B)に示される位置)との間を回転可能に構成されている。そして、カバーユニット70をバッテリ装着部28に組付けるときには、アッパカバー72を開位置に配置した状態で、ロアカバー71を第1方向一方側からバッテリ装着部28に組付ける(図6及び図7(A)参照)。ロアカバー71のバッテリ装着部28への組付後、アッパカバー72を閉位置に回転させて、アッパカバー72によってバッテリ34を上側から覆うようになっている(図7(B)参照)。
【0051】
また、アッパカバー72の側壁72Aの前端部分には、側壁傾斜部72E(図4参照)が形成されている。側壁傾斜部72Eは第1方向に対して傾斜した方向に延在する側壁72Aの一部である。側壁傾斜部72Eは、第1方向に向かうにつれて左右方向外側に向かうように傾斜する。また側壁傾斜部72Eは、第1方向に向かうにつれて第2方向他方側に向かうように傾斜する部分を有する。そして、カバーユニット70のバッテリ装着部28への組付状態では、バッテリ装着部28の上端部が左右方向視で側壁傾斜部72Eと頂壁72Dで囲われる領域内に配置されている(図5参照)。また、カバーユニット70のバッテリ装着部28への組付状態では、側壁傾斜部72Eがバッテリ装着部28の左右側面に当接するように構成されている。なお、右側の側壁傾斜部72Eはバッテリ装着部28の右側側面を左方向へ押圧するように当接し、左側の側壁傾斜部72Eはバッテリ装着部28の左側側面を右方向へ押圧するように当接する。側壁傾斜部72Eが当接するバッテリ装着部28の左右側面は、側壁傾斜部72Eと同様に左右方向へ傾斜しており、側壁傾斜部72Eと隙間なく当接するように構成されている。アッパカバー72の頂壁72Dには、第2方向一方側へ隆起した隆起部72Fが形成されており、隆起部72Fは、第2方向から見て、略矩形状に形成されている。隆起部72Fの第1方向他方側端部には、第1方向他方側へ開放された支持軸収容溝72G(図2参照)が形成されており、支持軸収容溝72Gは、左右方向に貫通している。前述した頂壁当接部72D1は、隆起部72Fの第1方向側端部にも形成されている。また、アッパカバー72は樹脂製である。アッパカバー72は透明であり、内部に収容されたものが外部から見えるようになっている。アッパカバー72は、バッテリ34の第1方向他方側の部分を覆うカバー部材の一部であり、本発明における第2カバーの一例である。
【0052】
ロック機構75は、支持軸76と、ロックプレート77と、ロックアーム78と、を含んで構成されている。支持軸76は、左右方向を軸方向とする略円柱状に形成され、隆起部72Fの支持軸収容溝72G内に配置されて、支持軸収容溝72Gに保持されている(図2参照)。また、支持軸76の両端部は、隆起部72Fよりも左右方向外側へ突出している。
【0053】
ロックプレート77は、アッパカバー72の頂壁72Dの第2方向一方側で且つ隆起部72Fの第1方向他方側に配置されている。ロックプレート77は、頂壁72Dと平行に配置された本体部77Aと、本体部77Aの左右方向両端部から頂壁72D側へ屈曲された左右一対の連結片77Bと、を含んで構成されている。連結片77Bの第1方向一方側端部は、本体部77Aよりも第1方向一方側へ突出している。そして、連結片77Bの第1方向一方側端部が、支持軸76の両端部に回転可能に連結されている。具体的には、ロックプレート77が、ロック位置(図7(B)において実線にて示される位置)とアンロック位置(図7(B)において2点鎖線にて示される位置)との間を回転可能に構成されている。
【0054】
ロックアーム78は、略長尺丸棒状に形成されている。ロックアーム78は、金属製である。ロックアーム78は、第2方向一方側から見て、第1方向他方側(後方側)へ開放された略U字形状に屈曲されている。図7等に示すように、アッパカバー72が閉位置にある状態において、ロックアーム78は前後方向に沿うように構成される。すなわち、アッパカバー72が閉位置にある状態において、ロックアーム78の長手方向は前後方向に沿っている。そして、ロックアーム78は長手方向一端側(前側)にアーム係合部78Aを有している。また、ロックアーム78は長手方向他端側(後側)にアーム支点部78Bを有する。アーム支点部78B、略U字形状となるロックアーム78の開放側(後側)端部を、左右方向内側へ屈曲された部分である。アーム支点部78Bは、ロックプレート77(連結片77Bの第1方向他方側部分)に回転可能に連結されている。そして、アンロック位置のロックプレート77において、ロックアーム78のアーム係合部78Aを、バッテリ装着部28におけるカバー固定部28Cの被係合溝28D内に配置して、ロックプレート77をロック位置に回転させることで、アーム係合部78A及びカバー固定部28Cが係合すると共に、アーム係合部78Aとアーム支点部78Bとの間で引っ張り力が発生し、ロックアーム78からカバー固定部28Cにクランプ力が発生して、カバーユニット70(アッパカバー72)がバッテリ装着部28に固定されるようになっている。このとき、アーム係合部78Aとアーム支点部78Bとは前後方向で異なる位置にあるとともに、上下方向でも異なる位置となっている。より詳細には、アーム係合部78Aはアーム支点部78Bに対して前方かつ下方に位置する。換言すれば、アーム係合部78Aはアーム支点部78Bに対し、第1方向一方(A方向)側に位置するとともに、第2方向一方(C方向)側に位置する。このように構成することで、ロックアーム78からカバー固定部28Cには、第1方向と第2方向の両方に対して交差する方向のクランプ力が発生する。また、クランプ力は左右方向に対して直交する方向である。従って、ロック機構75は、アッパカバー72をバッテリ装着部28(被当接部28F)に対して第2方向一方(C方向)側に押し付けるようにしてアッパカバー72をバッテリ装着部28に固定する。すなわち、ロック機構75により、アッパカバー72とバッテリ装着部28は、第1方向で互いに近接するように付勢されるとともに、第2方向でも互いに近接するように付勢されながら相互に固定される。
【0055】
カバーユニット70のバッテリ装着部28への組付状態では、バッテリ装着部28がロアカバー71の開口端部及びアッパカバー72の開口端部の内部に配置され、ロアカバー71の開口端部及びアッパカバー72の開口端部がバッテリ装着部28の外周部に当接している。より詳細には、ロアカバー71については、側壁当接部71A2と下壁当接部71B1が、それぞれ左右方向と第1方向(B方向)でバッテリ装着部28に当接する。また、図10に示すように、アッパカバー72については、頂壁当接部72D1と側壁傾斜部72Eが第1方向(A方向)でバッテリ装着部28(の第1方向他方側後面)に当接する。また、側壁傾斜部72Eは左右方向でバッテリ装着部28の左右側面に当接する。これによって、バッテリ装着部28の外周部分がカバーユニット70によってシールされる。またロアカバー71とアッパカバー72との間は、側壁被当接部71A1と側壁当接部72A1との当接、及び底壁被当接部71C1と底壁当接部72C1との当接によってシールされる。これにより、カバーユニット70によってバッテリ34が覆われて、カバーユニット70がバッテリ34を保護すると共に、カバーユニット70によってバッテリ34に対する防水性及び防塵性を確保するように構成されている。また、カバーユニット70のバッテリ装着部28への取付状態では、ロアカバー71の下壁71Bが、バッテリ34の前壁に対して、第1方向一方側に離間して配置されている。
【0056】
(プロテクタ部80について) 図2図6図8、及び図9に示されるように、プロテクタ部80は、ハウジング20におけるバッテリ装着部28の第1方向一方側端部に一体に形成されている。プロテクタ部80は、第1方向を厚み方向とする中空の偏平状に形成されて、バッテリ装着部28から第2方向他方側へ延出している。プロテクタ部80は、ロアカバー71の下壁71Bとバッテリ34の前壁との間に配置されている。プロテクタ部80と下壁71Bとの間には、下壁当接部71B1との当接箇所を除いて所定の隙間が形成されており、プロテクタ部80と前壁との間には、所定の隙間が形成されている。
【0057】
プロテクタ部80は、プロテクタ部80の第1方向一方側端部を構成するカバー側壁部としての外側壁部81と、プロテクタ部80の第1方向他方側端部を構成する電池側壁部としての内側壁部82と、外側壁部81及び内側壁部82を連結する複数の連結リブ83と、を含んで構成されている。外側壁部81及び内側壁部82は、第1方向を板厚方向とし且つ左右方向を長手方向とする略矩形板状に形成されて、第1方向に離間して配置されている。また、外側壁部81の板厚が内側壁部82の板厚よりも厚く設定されている。複数の連結リブ83は、第1方向を板厚方向として左右方向に延在されると共に、第2方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。
【0058】
内側壁部82の左右方向中央部には、後述する緩衝部材90を取付けるための露出孔82Aが貫通形成されている。露出孔82Aは、左右方向を長手方向とする略矩形長孔状に形成されている。また、露出孔82Aは、内側壁部82よりも第1方向一方側(プロテクタ部80の内部)へ延びて、第1方向において露出孔82Aと対向する連結リブ83にも形成されている。すなわち、第1方向において露出孔82Aと対向する連結リブ83の外側壁部81の延出長さが、他の連結リブ83の延出長さよりも短くなっている。
【0059】
また、内側壁部82の外周部には、補強リブ82Bが形成されており、補強リブ82Bは、第1方向他方側へ突出すると共に、内側壁部82の周方向に沿って延在されている。なお、補強リブ82Bとバッテリ34との間に所定の隙間が形成されている。
【0060】
(緩衝部材90について) 図2図8、及び図9に示されるように、緩衝部材90は、ゴム等の弾性を有する部材(弾性体)で構成されて、プロテクタ部80に取付けられている。緩衝部材90は、ベース部91と、複数の当接部92と、を含んで構成されている。ベース部91は、第1方向を板厚方向とし且つ左右方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。そして、ベース部91が、プロテクタ部80の内部に配置されて、取付孔22Aと第1方向に対向する連結リブ83の端部に設置されている。
【0061】
ベース部91の左右方向両端部には、一対の当接部92がそれぞれ設けられている。当接部92は、左右方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されて、ベース部91から第1方向他方側へ突出している。当接部92の先端部は、露出孔82Aから第1方向他方側へ突出し、バッテリ34の前壁に当接して、当接部92が若干弾性変形(圧縮変形)している。また、バッテリ34の冷却孔34Cが、ベース部91の左右方向両端部に設けられた当接部92の間に配置されている(図9参照)。これにより、緩衝部材90が、冷却孔34Cを塞ぐことを抑制しつつ、バッテリ34に当接している。
【0062】
(ヒンジ軸73について) 図7に示すように、カバーユニット70は、バッテリ34を保護しながらもバッテリ34をバッテリ装着部28に対して着脱しやすいように構成することが好ましい。本実施の形態の場合、ヒンジ軸73を中心としてアッパカバー72が開位置まで回転することで、バッテリ34の第1方向他方側を覆うものがなくなり、バッテリ34を着脱することが可能となっている。このためヒンジ軸73は、バッテリ34の移動する軌跡上にないように構成され、バッテリ34の後面(第1方向他方側の側面)よりも第1方向側に位置するように構成されている。換言すれば、第1方向で見たとき、バッテリ34とヒンジ軸73は重ならないように構成されている。ヒンジ軸73はバッテリ34の第2方向他方側(D方向側)の側面よりも第2方向他方側(D方向側)に位置している。換言すれば、ヒンジ軸73はバッテリ34に対してコネクタ部34Aの反対側に位置している。また、バッテリ34は、バッテリ装着部28への装着時において、一部がバッテリ装着部28を超えて第1方向他方側に突出するように構成されている。アッパカバー72の開放時(開位置に位置する時)にはバッテリ装着部28を超えて突出するバッテリ34の部分が露出するので、当該突出箇所を上下左右から掴むことができ、バッテリ34を着脱する際の操作性を向上させることができる。また、バッテリ34をスムーズに取外しできるよう、アッパカバー72の開放時にはプッシュボタン34Dが露出するように構成される。本実施の形態においては、アッパカバー72の開放時において約20mm四方となるプッシュボタン34Dの押圧領域全てが露出するように構成されているが、押圧領域の2分の1程度、または10mm四方の領域が露出するようにすれば十分にバッテリ34に対する操作性を確保できる。
【0063】
ヒンジ軸73の位置について図10図12を用いて詳細を説明する。図10はバッテリ34周辺を第2方向(一方)側から見た拡大図であり、カバーユニット70によって覆われて隠れるバッテリ34の外形を2点鎖線で示す。頂壁当接部72D1はP1で示す範囲でバッテリ装着部28の被当接部28Fに当接する。また、側壁当接部72A1と底壁当接部72C1は、P2で示す範囲で側壁被当接部71A1と底壁被当接部71C1とに当接する。アッパカバー72は、開位置でプッシュボタン34Dを露出させるようにしながらコンパクトに構成することが好ましい。従って、本実施の形態においては、図11に示すヒンジ軸73からバッテリ34の最後端(第1方向で最もB方向側に位置する部分)までの距離L1(実線矢印)よりも、ヒンジ軸73からバッテリ装着部28の被当接部28Fまでの距離L2(点線矢印)の方が大きいようにしている。なお、バッテリ34の形状は本実施の形態のような略直方体形状に限られない。従って、アッパカバー72によって覆われるバッテリ34の部分のうち、左右方向視でヒンジ軸73から最も遠い部分とヒンジ軸73を結ぶ距離(経路)をL1としてもよい。
【0064】
図12には、図11の概略図(A)と、比較例(B)及び(C)を示す。図12において、ハンドル部24とバッテリ装着部28は実線で示し、ロアカバー71は点線で示し、アッパカバー72は一点鎖線で示し、バッテリ34は二点鎖線で示す。
【0065】
図11(B)は、L1<L2であった(A)の構成を変更し、L1>L2とした場合の例である。(B)の場合、回動するアッパカバー72が乗り越えるバッテリ34の後端までの距離が長くなるため、アッパカバー72のヒンジ軸73からの長さを(A)よりも大きくする必要がある。また、図10に示すように、バッテリ34の後端を乗り越えた先でバッテリ装着部28の被当接部28Fとアッパカバー72の当接部(頂壁当接部72D1、側壁傾斜部72E)を当接させる必要があるため、バッテリ34の後端を乗り越えるために延長した部分に対応させて被当接部28Fを拡大、または第2方向側へ移動させる必要がある。従って図12(B)の構成では、図12(A)の構成と比較してアッパカバー72が大型化するとともに、被当接部28Fの位置がハンドル部24に近接または拡大する(斜線でハッチングを施した部分が増加する)してハンドル部24の操作性を損なう恐れがある。
【0066】
図12(C)は(A)の構成から、L1<L2の関係を維持しながら、ヒンジ軸73を第1方向他方側(B方向側)へ移動させた例である。この場合、アッパカバー72は図12(A)よりも小型にできる一方、プッシュボタン34Dの露出範囲が減少してしまうため、バッテリ34を取り外す際の操作性が損なわれてしまう恐れがあります。すなわち、バッテリ34の左右側面に取外し用の操作部(プッシュボタン34D)が位置する構成の場合、図12(C)の構成は作業性を損なうものである。
【0067】
以上のように、本実施の形態では、図12(A)に示すようにL1<L2の関係としながら、アッパカバー72の開放時にはプッシュボタン34Dがその押圧領域を半分以上又は10mm四方以上露出するように構成したため、アッパカバー72をコンパクトにしつつ、バッテリ34を取外ししやすく構成している。
【0068】
(作用効果) 次に、本実施の形態の電動切断機10の作用及び効果について説明する。
【0069】
上記のように構成された電動切断機10において、チェーンバイス100を用いてパイプPに対して切断加工する時には、パイプPがブレード50の下側に配置される。そして、作業者がハンドル部24を持上げることで、電動切断機10がチェーンバイス100の取付軸102(取付孔22A)の軸回り一方側に揺動して、ブレード50の刃部50AがパイプPの外周部に当接する。そして、作業者がトリガ32を操作すると、制御部31によってモータ41が駆動して、モータ41に連結された伝達機構44によって、ブレード50が前後方向に往復移動する。これにより、パイプPに対する切断加工が施される。
【0070】
ところで、パイプPに対する切断加工時には、上述のように、作業者がハンドル部24を持上げることで、ブレード50の刃部50AがパイプPの外周部に当接する。このとき、作業者が、切断加工をし易くするために、例えば、ハンドル部24を把持しない他方の手で、電動切断機10の後端部を下方から持上げて、電動切断機10を取付軸102(取付孔22A)の軸回一方側に揺動させる場合がある。この場合に、仮に、作業者がバッテリ34自体を持上げた場合には、バッテリ34に対する保護性能が低下する可能性がある。すなわち、例えば、バッテリ34に入力される持上力によって、バッテリ装着部28とバッテリ34との接続部分(レール構造28B、コネクタ部34Aなど)に負荷が生じる。このため、バッテリ34やバッテリ装着部28が変形、破損し、作業性が低下する可能性がある。
【0071】
ここで、ハウジング20のバッテリ装着部28には、カバーユニット70が組付けられており、カバーユニット70のロアカバー71がバッテリ34を下側から覆っている。これにより、仮に、作業者が電動切断機10の後端部を持上げる場合には、ロアカバー71を持上げることとなる。すなわち、作業者がバッテリ34を直接持上げることを抑制できる。その結果、持上力がバッテリ34に直接入力されることを抑制できる。したがって、バッテリ34やバッテリ装着部28の変形、破損を抑制し、作業性を向上させることができる。
【0072】
また、ロアカバー71は、バッテリ装着部28に着脱可能に組付けられている。そして、バッテリ装着部28の外周部には、左右一対のレール部28Eが形成されており、レール部28Eが第1方向に延在されている。また、ロアカバー71の内周部には、レール部28Eが挿入されるレール溝71Dが形成されており、レール部28Eとレール溝71Dとが第2方向に係合している。これにより、作業者がロアカバー71を持上げた場合には、ロアカバー71に入力された持上力を、レール部28Eを介してバッテリ装着部28に良好に伝達させることができる。
【0073】
具体的には、図7(B)に示されるように、ロアカバー71に入力された持上力Fが、レール部28Eによってバッテリ装着部28に伝達される。また、バッテリ装着部28に伝達された持上力Fは、ハンドル部24に伝達される持上力F1と、ハンドル補強部26に伝達される持上力F2と、に分散される。したがって、ロアカバー71に入力された持上力Fを良好に分散させて、ハウジング20の前側へ伝達させることができる。
【0074】
また、カバーユニット70は、アッパカバー72を有しており、アッパカバー72はロアカバー71にヒンジ軸73によって回転可能に連結されている。そして、アッパカバー72の閉位置では、アッパカバー72がバッテリ34を上側から覆っている。これにより、カバーユニット70によって、バッテリ34の保護性能を確保しつつ、バッテリ34に対する防塵性及び防水性を高くすることができる。また、アッパカバー72は透明であるため、内部にバッテリ34が位置しているかが閉位置にある場合でも視認でき、これによって作業性を向上させることができる。なお、アッパカバー72は内部にバッテリ34があるかどうかが判別できる程度の透光性を有していればよい。
【0075】
また、ハウジング20におけるバッテリ装着部28の第1方向一方側端部には、プロテクタ部80が一体に形成されており、プロテクタ部80は、バッテリ34の第1方向一方側(下側)に配置されている。すなわち、プロテクタ部80は、バッテリ34とロアカバー71の下壁71Bとの間に配置されている。これにより、作業者がロアカバー71の下壁71Bを持上げたときに、下壁71Bが第1方向他方側へ変位した場合には、下壁71Bがプロテクタ部80に当接する。その結果、持上力Fがバッテリ34に直接付与されることを一層抑制できる。したがって、バッテリ34に対する保護性能の一層向上することができる。
【0076】
また、プロテクタ部80は、第1方向を厚み方向とする偏平状に形成されている。これにより、第1方向における、電動切断機10の体格の大型化を抑制しつつ、バッテリ34に対する保護性能の向上することができる。
【0077】
また、プロテクタ部80は、中空の偏平状に形成されている。具体的には、プロテクタ部80は、プロテクタ部80の第1方向一方側端部を構成する外側壁部81と、プロテクタ部80の第1方向他方側端部を構成する内側壁部82と、外側壁部81及び内側壁部82を連結する連結リブ83と、を含んで構成されている。これにより、プロテクタ部80の軽量化を図りつつ、プロテクタ部80の曲げ剛性を確保することができる。
【0078】
また、プロテクタ部80では、外側壁部81の板厚が内側壁部82の板厚よりも厚く設定されている。これにより、作業者がロアカバー71の下壁71Bを持上げたときに、持上力Fがプロテクタ部80に入力された場合でも、下壁71B側の外側壁部81の板厚が下壁71Bとは反対側の内側壁部82の板厚よりも厚く設定されているため、プロテクタ部80の第1方向他方側(バッテリ34側)への変位を抑制できる。
【0079】
また、プロテクタ部80には、弾性を有する緩衝部材90が設けられており、緩衝部材90の当接部92がバッテリ34に当接している。これにより、仮に、持上力Fがプロテクタ部80に入力された場合でも、緩衝部材90が、入力された持上力Fを吸収する。したがって、バッテリ34に対する保護性を効果的に向上することができる。
【0080】
しかも、緩衝部材90は、バッテリ34の第1方向一方側に配置されている。すなわち、緩衝部材90が、バッテリ34のバッテリ装着部28への装着方向側に配置されている。したがって、持上力Fを吸収するための緩衝部材90を活用して、バッテリ34をバッテリ装着部28に装着するときの衝撃力を吸収することができる。
【0081】
また、緩衝部材90は、プロテクタ部80に取付けられたベース部91と、ベース部91の左右方向両端部から突出しバッテリ34に当接する当接部92と、を含んで構成されている。さらに、バッテリ34には、バッテリ34を冷却するための冷却孔34Cが形成されており、冷却孔34Cが、ベース部91の左右方向両端部から突出した当接部92の間に配置されている。したがって、バッテリ34に対する冷却性能を確保しつつ、緩衝部材90をバッテリ34に当接させることができる。
【0082】
また、ハウジング20は、ハウジング20の前部を構成する前側ハウジング部22と、ハウジング20の後端部を構成するバッテリ装着部28と、前側ハウジング部22及びバッテリ装着部28を連結するハンドル部24と、を含んで構成されている。また、ハンドル部24の下側には、ハンドル補強部26が設けられており、ハンドル補強部26は、前後方向に延在されて前側ハウジング部22及びバッテリ装着部28を連結している。これにより、上述のように、バッテリ装着部28に伝達された持上力Fを、ハンドル部24及びハンドル補強部26に分散させて、前側ハウジング部22に伝達させることができる。これにより、ハウジング20の後端側の強度を確保することができる。
【0083】
また、カバーユニット70をロアカバー71(第1カバー)とアッパカバー72(第2カバー)とに分け、これらを連結するヒンジ軸73を前記バッテリ34の第2方向他方側(バッテリ装着部28の反対側)に設けた。これによって、第1方向一方側を覆うロアカバー71を移動させずにアッパカバー72のみを開位置まで回動させることでバッテリ34を取り外すことが可能となる。従って、バッテリ34の着脱時にはロアカバー71はそのままバッテリ装着部28の一部を覆うように構成することができ、バッテリ34の着脱時においても防水、防塵の効果をある程度確保することができる。
【0084】
また、ヒンジ軸73がバッテリ34の第2方向他方側に位置し、ロック機構75がバッテリ34の第2方向一方側に位置するように構成されている。すなわち、ロック機構75がバッテリ34に対してヒンジ軸73の反対側に位置するに構成されている。これによって、回動するアッパカバー72を好適に固定することが容易となり、ロック機構75(固定力が生じる部分)が1箇所でも十分な固定力を確保することができる。また、ロック機構75は、アッパカバー72をバッテリ装着部28(被当接部28F)に対して第2方向一方(C方向)側に押し付けるようにしてアッパカバー72をバッテリ装着部28に固定する。このように構成することで、アッパカバー72を第2方向(特にD方向)に押圧したときの位置ずれを起きにくくすることができ、これによって良好なシール性を実現できる。また、ロック機構75のクランプ力方向はアッパカバー72の回転方向に沿った方向となっているため、回転式のカバーに対して良好なクランプ力を発生させることができる。本実施形態においては、アッパカバー72が閉位置に固定された状態において、ヒンジ軸73からアーム係合部78Aまでの距離と、ヒンジ軸73からアーム支点部78Bまでの距離は略等しく構成されており、回転式のカバーに対してより良好なクランプ力を発生させることができる。なお、ヒンジ軸73からアーム係合部78A(アーム支点部78B)までの距離に左右方向の成分は考慮されず、その距離は約90mmである。
【0085】
また、図11、12に示すように、距離L1より距離L2を大きくしているため、アッパカバー72の大型化を抑制することができる。また、アッパカバー72が開位置にあるとき、プッシュボタン34Dの押圧領域が露出するので、好適にバッテリ34を取り外すことができる。
【0086】
また、ロアカバー71を含むカバーユニット70は、ハウジング20(バッテリ装着部28)とは別体として構成され、ロアカバー71はネジ等の固定具によってハウジング20に固定される。ロアカバー71はハウジング20と一体の構成としてもよいが、別体とすることでカバーユニット70が変形、破損した際に交換する部分を少なく(小さく)することができる。特に、本実施の形態の場合、小さく細かい形状となっているヒンジ軸73に衝撃が加わった場合に変形、破損する虞があるが、万が一ヒンジ軸73が破損した場合でも、カバーユニット70を交換することで低コストでの対応が可能となる。
【0087】
なお、本実施の形態では、ハウジング20におけるバッテリ装着部28にレール部28Eが形成されており、ロアカバー71にレール溝71Dが形成されている。これに代えて、バッテリ装着部28にレール溝を形成し、ロアカバー71に当該レール溝に挿入されるレール部を形成してもよい。
【0088】
また、本実施の形態においてバッテリ34の防水及び防塵性向上に寄与する各当接部(シール部)、すなわち、ロアカバー71の当接部(側壁当接部71A2、下壁当接部71B1、側壁被当接部71A1、底壁被当接部71C1)とアッパカバー72の当接部(側壁当接部72A1、底壁当接部72C1、頂壁当接部72D1(72D2)、側壁傾斜部72E)は、直接バッテリ装着部28に当接するように構成されているが、より高いシール性及びクッション性を確保するための弾性体(パッキン)を当接箇所に設けても良い。または、上記各当接部が当接するバッテリ装着部28の当接箇所に弾性体を設けても良い。
【0089】
また、カバーユニット70はバッテリ装着部28の少なくとも一部を覆うように構成してもよいし、バッテリ装着部28の全部を覆うように構成してもよい。
【0090】
また、ロック機構75はアッパカバー72に設けられ、カバー固定部28Cはバッテリ装着部28に設けられているが、この関係を逆にしてもよく、すなわちロック機構をバッテリ装着部28に設けてもよい。
【0091】
また、アッパカバー72によって覆われるバッテリ34の部分のうち、左右方向視でヒンジ軸73から最も遠い部分とヒンジ軸73を結ぶ距離(経路)をL1とし、ヒンジ軸73からバッテリ装着部28の被当接部28Fまでの距離をL2としたとき、本実施の形態においてはL1<L2としたが、L1≦L2の関係でもよい。
【0092】
(付記) 以上、本発明は、電池を有する作業機において、作業性の低下を抑制するという観点で説明したが、別の観点から以下のように捉えることができる。すなわち、電池を有する作業機では、例えば、作業機の作業時において、仮に、切断箇所から水などの液体が流出した場合、液体が電池周辺に付着して電池の接続状態が劣化し、作業性が損なわれる虞がある。本発明は、上記事実を考慮して、電池によって駆動する作業機に取り付けられるカバーにおいて、作業性の低下を抑制可能なカバーを提供することを目的とする。
【0093】
上記課題を解決する本発明の1又はそれ以上の実施形態は、モータを収容し、電池が装着可能な電池装着部を含むハウジングを有する作業機に取り付けることで前記電池装着部に装着された前記電池を覆うことが可能なカバー部材であって、前記カバー部材は、前記電池着脱部に支持される第1カバーと、前記第1カバーに接続部を介して回動可能に接続された第2カバーを有し、前記接続部が、前記電池に対して前記電池着脱部の反対側に位置するように構成されたカバー部材である。
【符号の説明】
【0094】
10…電動切断機(作業機)、20…ハウジング、22…前側ハウジング部(モータハウジング部)、22A…取付孔、24…ハンドル部、26…ハンドル補強部、28…バッテリ装着部(電池装着部)、28E…レール部、28F…被当接部、34…バッテリ(電池)、34C…冷却孔、41…モータ、50…ブレード(鋸刃)、70…カバーユニット(カバー部材)、71…ロアカバー(第1カバー)、71D…レール溝、72…アッパカバー(第2カバー)、75…ロック機構、78…ロックアーム、78A…アーム係合部、78B…アーム支点部、80…プロテクタ部、81…外側壁部(カバー側壁部)、82…内側壁部(電池側壁部)、83…連結リブ、90…緩衝部材、91…ベース部、92…当接部、100…チェーンバイス(バイス)、102…取付軸
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