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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-22
(45)【発行日】2025-05-01
(54)【発明の名称】杭孔用貫入試験機
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/02 20060101AFI20250423BHJP
【FI】
E02D1/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024218412
(22)【出願日】2024-12-13
【審査請求日】2024-12-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595101665
【氏名又は名称】株式会社オーク
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】樫本 孝彦
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-179998(JP,A)
【文献】特開2006-343125(JP,A)
【文献】特開2018-028201(JP,A)
【文献】実公昭48-034962(JP,Y1)
【文献】特開2008-231699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00 - 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ケーシング内に昇降自在に保持されている内側ケーシングに、ノッキングブロックと共に、貫入ロッドが設けられている杭孔用貫入試験機において、
前記内側ケーシング内の中央位置に設けられているガイド部と、
前記内側ケーシング内に設けられていると共に、前記ガイド部に昇降自在に設けられ、前記ガイド部の下部に設けられている前記ノッキングブロックを打撃する重錘と、
前記内側ケーシング内に設けられていると共に、前記ガイド部の上部に設けられているストッパと、
前記内側ケーシング内に設けられているモータと、
前記内側ケーシング内に設けられていると共に、第1駆動ベルトを介して前記モータと連結されている第1プーリと、
前記内側ケーシング内に設けられていると共に、第2駆動ベルトを介して前記第1プーリと連結されている第2プーリと、を有し、
前記第1プーリと、前記第2プーリとは、前記重錘の昇降方向と平行となる位置に前記内側ケーシング内に配置され、
前記重錘は、前記ストッパと前記ノッキングブロックとの間に設けられていると共に、側面には凹孔が設けられ、
前記第2駆動ベルトには、外方向に突出して一体的に設けられている突部が設けられてなり、
前記モータが駆動すると、前記第1駆動ベルトを介して前記第1プーリが回転し、さらに、前記第2駆動ベルトを介して前記第2プーリが回転することになり、これによって、前記第2駆動ベルトに設けられている前記突部が、前記重錘に設けられている凹孔に挿入することで係止されて前記重錘を前記ガイド部に沿って上昇させることができ、この際、前記重錘が上昇していくと前記重錘が前記ストッパに接触し上昇が規制されることになるが、前記第2駆動ベルトは移動し続けることになるため、前記凹孔に係止されている前記突部が前記凹孔から離脱することになり、これによって、係止が解放され、その後、前記重錘は、前記ガイド部に沿って下降し、前記ノッキングブロックを打撃することになる杭孔用貫入試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭孔用貫入試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、杭孔用貫入試験機として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載の発明は、次のように構成されている。
【0003】
すなわち、従来の杭孔用貫入試験機は、縦筒状の外側ケーシング内に縦筒状の内側ケーシングが昇降自在に保持されている。そして、内側ケーシングの下端から垂下する貫入ロッドが外側ケーシングの下端部を貫通して下方外部へ突出し、内側ケーシングの下端部に該貫入ロッドを一体化したノッキングブロックが固着されると共に、該内側ケーシングの内部に、自由落下によってノッキングブロックを打撃するドライブハンマーが設けられている。そしてさらに、落下後のドライブハンマーを吊り上げて所定高さで下放する吊上げ機構とが設けられ、該貫入ロッドが孔底から所定深さまで貫入するのに要するドライブハンマーの打撃回数から支持強度を測定するように構成されている。吊上げ機構は、内側ケーシング内の上部に配置した油圧シリンダーと、該油圧シリンダーより下方突出するピストンロッドの先端に設けたスライドガイド枠と、該スライドガイド枠に径方向スライド自在に保持された一対の挟持片と、両挟持片を相互の接近方向に付勢するばね部材と、内側ケーシング内の上部側に設けたクランプ解除部材とで構成されている。そして、このように構成された吊上げ機構は、ドライブハンマーに突設した摘み部を両挟持片間で挟んでクランプし、ピストンロッドの短縮作動で該ドライブハンマーを持ち上げ、その上限位置でクランプ解除部材に押接した両挟持片がばね部材の付勢に抗して離間して該ドライブハンマーを開放するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6242466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような杭孔用貫入試験機は、吊上げ機構の作動安定性及び耐久性に優れた杭孔用貫入試験機を提供することができるものの、以下のような問題があった。
【0006】
上記の杭孔用貫入試験機は、吊上げ機構を、油圧シリンダーを用いて動作させているため、測定対象の地盤の深度が深くなってくると(例えば、50m)、油圧シリンダーに油圧を供給するための油圧ホースが垂れてきてしまうという問題があった。油圧ホースが垂れてくると、油圧ホースに油圧を送給した際、減圧となって、吊上げ機構が正常に動作しなくなる可能性があるという問題があった。これにより、測定試験が正常に行われない可能性があるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、測定対象の地盤の深度が深くなったとしても、測定試験を正常に行うことができる杭孔用貫入試験機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
請求項1の発明によれば、外側ケーシング(2)内に昇降自在に保持されている内側ケーシング(3)に、ノッキングブロック(37)と共に、貫入ロッド(6)が設けられている杭孔用貫入試験機(1)において、
前記内側ケーシング(3)内の中央位置に設けられているガイド部(35)と、
前記内側ケーシング(3)内に設けられていると共に、前記ガイド部(35)に昇降自在に設けられ、前記ガイド部(35)の下部に設けられている前記ノッキングブロック(37)を打撃する重錘(38)と、
前記内側ケーシング(3)内に設けられていると共に、前記ガイド部(35)の上部に設けられているストッパ(36)と、
前記内側ケーシング(3)内に設けられているモータ(ギヤードモータ30)と、
前記内側ケーシング(3)内に設けられていると共に、第1駆動ベルト(33)を介して前記モータ(ギヤードモータ30)と連結されている第1プーリ(31)と、
前記内側ケーシング(3)内に設けられていると共に、第2駆動ベルト(34)を介して前記第1プーリ(31)と連結されている第2プーリ(32)と、を有し、
前記第1プーリ(31)と、前記第2プーリ(32)とは、前記重錘(38)の昇降方向と平行となる位置に前記内側ケーシング(3)内に配置され、
前記重錘(38)は、前記ストッパ(36)と前記ノッキングブロック(37)との間に設けられていると共に、側面には凹孔(係止部38a)が設けられ、
前記第2駆動ベルト(34)には、外方向に突出して一体的に設けられている突部(被係止部34a)が設けられてなり、
前記モータ(ギヤードモータ30)が駆動すると、前記第1駆動ベルト(33)を介して前記第1プーリ(31)が回転し、さらに、前記第2駆動ベルト(34)を介して前記第2プーリ(32)が回転することになり、これによって、前記第2駆動ベルト(34)に設けられている前記突部(被係止部34a)が、前記重錘(38)に設けられている凹孔(係止部38a)に挿入することで係止されて前記重錘(38)を前記ガイド部(35)に沿って上昇させることができ、この際、前記重錘(38)が上昇していくと前記重錘(38)が前記ストッパ(36)に接触し上昇が規制されることになるが、前記第2駆動ベルト(34)は移動し続けることになるため、前記凹孔(係止部38a)に係止されている前記突部(被係止部34a)が前記凹孔(係止部38a)から離脱することになり、これによって、係止が解放され、その後、前記重錘(38)は、前記ガイド部(35)に沿って下降し、前記ノッキングブロック(37)を打撃することになることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
請求項1に係る発明によれば、モータ(ギヤードモータ30)が駆動すると、第1駆動ベルト(33)を介して第1プーリ(31)が回転し、さらに、第2駆動ベルト(34)を介して第2プーリ(32)が回転することになる。これにより、第2駆動ベルト(34)に設けられている突部(被係止部34a)が、重錘(38)に設けられている凹孔(係止部38a)に挿入することで係止されて重錘(38)をガイド部(35)に沿って上昇させることができる。この際、重錘(38)が上昇していくと重錘(38)がストッパ(36)に接触し上昇が規制されることになるが、第2駆動ベルト(34)は移動し続けることになるため、凹孔(係止部38a)に係止されている突部(被係止部34a)が凹孔(係止部38a)から離脱することになる。これにより、係止が解放され、その後、重錘(38)は、ガイド部(35)に沿って下降し、ノッキングブロック(37)を打撃することになる。それゆえ、重錘(38)を昇降させるにあたって、従来のように油圧シリンダーを用いる必要がないため、従来のような問題が起こることがない。
【0014】
したがって、本発明によれば、測定対象の地盤(G)の深度が深くなったとしても、測定試験を正常に行うことができる。
【0015】
また、請求項に係る発明によれば、機構が簡便となるから、測定試験の作業時間を大幅に改善することができる。
【0016】
さらに、請求項に係る発明によれば、簡単容易に、重錘(38)を昇降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る杭孔用貫入試験機の縦断面正面図である。
図2】同実施形態に係る重錘を下降させる方法を説明するための説明図であって、(a)は、重錘がストッパの位置まで上昇している状態を示し、(b)は、重錘が(a)の位置からノッキングブロックの位置まで下降している状態を示す説明図である。
図3】同実施形態に係る重錘を上昇させる方法を説明するための説明図であって、(a)は、重錘がノッキングブロックの位置から上昇しようとしている状態を示し、(b)は、重錘がストッパの位置まで上昇しようとしている状態を示す説明図である。
図4】同実施形態に係る杭孔用貫入試験機による貫入試験時の動作を示し、(a)は孔底に貫入ロッドが当接した状態を示し、(b)は、試験開始時の状態を示し、(c)は、貫入ロッドが孔底地盤に貫入した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<杭孔用貫入試験機の説明>
以下、本発明に係る杭孔用貫入試験機の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る杭孔用貫入試験機1は、縦筒状の外側ケーシング2を備えている。この外側ケーシング2は、図1に示すように、上部2aの中央位置に、図示上方向に向かって、正面視縦長半楕円形状の取付部20が一体的に設けられている。さらに、図1に示すように、外側ケーシング2の上部2aには、取付部20の図示左側に、電源コード用アダプタ21が設けられている。
【0020】
一方、図1に示すように、外側ケーシング2の下部2bには、左側面2c側及び右側面2d側にそれぞれ、正面視縦長矩形状の脚部22が一体的に設けられている。さらに、図1に示すように、外側ケーシング2の左側面2c及び右側面2dには、それぞれ、正面視横長半円状のスタビライザー23が外方向に突出して一体的に設けられている。
【0021】
かくして、上記のように構成される外側ケーシング2内には、図1に示すように、縦筒状の内側ケーシング3が昇降自在に同心状に装填されている。この内側ケーシング3内には、図1図3に示すように、内側ケーシングの上部3a側左側面3d側内壁面に、ギヤードモータ30が取り付け固定されている。なお、このギヤードモータ30には、図1図3に示すように、電源コード用アダプタ21を介して、ギヤードモータ30に電力を供給するための電源コード4が接続されている。
【0022】
さらに、内側ケーシング3内には、図1図3に示すように、内側ケーシングの上部3a側の右側面3c側内壁面に、第1プーリ31が取り付け固定されている。そして、内側ケーシング3内には、図1図3に示すように、内側ケーシングの下部3b側の右側面3c側内壁面に、第2プーリ32が取り付け固定されている。なお、図1図3に示すように、第1プーリ31と、第2プーリ32とは、図示上下方向に、平行となるように、間隔を空けて設けられている。
【0023】
一方、図1図3に示すように、ギヤードモータ30と、第1プーリ31間には、チェーンなどで形成される第1駆動ベルト33が巻回されている。さらに、図1図3に示すように、第1プーリ31と、第2プーリ32間には、チェーンなどで形成される第2駆動ベルト34が巻回されている。これにより、ギヤードモータ30が回転駆動すると、第1駆動ベルト33を介して第1プーリ31が回転し、そして、第1プーリ31が回転すると、第2駆動ベルト34を介して、第2プーリ32が回転することになる。
【0024】
また一方、図1図3に示すように、内側ケーシング3内には、中央位置に、上部3a側内壁面から下部3b側内壁面に向かって、図示上下方向に延びる、正面視細長棒状のガイド部35が設けられている。なお、このガイド部35は、図1図3に示すように、第1プーリ31及び第2プーリ32間の配置位置と平行となるように設けられている。
【0025】
図1図3に示すように、このガイド部35の上部35aは、正面視逆台形状のストッパ36に取り付け固定されている。なお、このストッパ36は、図1図3に示すように、内側ケーシング3の上部3a側内壁面に取り付け固定されている。
【0026】
一方、図1図3に示すように、ガイド部35の下部35bは、正面視矩形状のノッキングブロック37に取り付け固定されている。なお、このノッキングブロック37は、図1図3に示すように、内側ケーシング3の下部3b側に取り付け固定されている。
【0027】
かくして、上記のように構成されるガイド部35には、図1図3に示すように、重錘38が昇降自在に設けられている。より詳しく説明すると、重錘38は、図1図3に示すように、ストッパ36とノッキングブロック37の間に位置するガイド部35に昇降自在に設けられている。これにより、重錘38は、図2(a)に示すように、ストッパ36の位置まで上昇し、図2(b)に示すように、ノッキングブロック37の位置まで下降することになる。
【0028】
ところで、この重錘38は、JIS A 1219で規定される標準貫入試験に準拠した質量63.5±0.5kgにて形成されており、図1図3に示すように、正面視左側面及び右側面には、上部側に、凹孔状の係止部38aが設けられている。この係止部38aには、図3に示すように、第2駆動ベルト34に外方向に突出して一体的に設けられている矩形状の被係止部34aが係止できるようになっている。かくして、この被係止部34aが、図3に示すように、係止部38aに係止されると、第2駆動ベルト34に回転によって、ガイド部35に沿って重錘38が上昇することになる。その一方で、図2に示すように、被係止部34aが係止部38aの係止から解放されると、図2(b)に示すように、重錘38は自重によって、ガイド部35に沿って下降することになる。
【0029】
かくして、上記説明したような各種部材が、内側ケーシング3内に設けられている。
【0030】
ところで、図1図3に示すように、外側ケーシング2の上部2a内壁面には、エンコーダ5が取り付け固定されている。そして、図1図3に示すように、このエンコーダ5から延びている計測コード5aが、内側ケーシング3の上部3aの中央位置に取り付け固定されている。これにより、エンコーダ5は、外側ケーシング2に対する内側ケーシング3の下降量を計測することができる。
【0031】
一方、図1図3に示すように、内側ケーシング3の下部3bには、貫入ロッド6が設けられている。より詳しく説明すると、貫入ロッド6は、図1に示すように、図示上下方向に延びる、正面視細長棒状に形成されている。そして、この貫入ロッド6は、図1に示すように、上部6aがノッキングブロック37内に貫入されている。かくして、この状態で、図1及び図3に示す固定用リング7を、貫入ロッド6及びノッキングブロック37にねじ止め固定すると、貫入ロッド6は、内側ケーシング3の下部3bに設けられることになる。
【0032】
一方、図1に示すように、貫入ロッド6の下部6bは、外側ケーシング2に設けられているアキュムレータ8を貫通して外方向に突出して設けられている。なお、図1に示す、貫入ロッド6の下部6bの先端側には、地質試料を採取するための二つ割り可能なサンプラー6b1が設けられている。
【0033】
ところで、アキュムレータ8は、その内部が圧縮空気の封入によって高圧になっている。このアキュムレータ8は、その内圧により、掘孔中に貫入ロッド6の貫通部分から泥水や土砂が外側ケーシング2内に侵入するのを防止するものであり、独立の部材として外側ケーシング2の下部2bに着脱可能にボルト止めされている。そして、図1に示すように、アキュムレータ8の上部8a及び下部8bの開口部に、貫入ロッド6が内周Oリング付きの軸受部材8c,8dを介して気密に挿通されている。なお、図1に示す仮想線で示すように、内側ケーシング3の下端、すなわち、ノッキングブロック37が、上部側の軸受部材8cに当接するようになっている。これにより、外側ケーシング2内での内側ケーシング3の下限位置は、この位置となる。
【0034】
以上説明してきた内容が、本実施形態に係る杭孔用貫入試験機1の説明である。
【0035】
<杭孔用貫入試験機の使用例の説明>
次に、上記説明した本実施形態に係る杭孔用貫入試験機1の使用例を説明する。
【0036】
杭孔用貫入試験機1による孔底地盤の支持強度の測定にあたって、まず、図4(a)に示す、アースドリル機(図示せず)に保持されたケリーバKの下端開口部(図示せず)に、外側ケーシング2の取付部20を、嵌入してピン止めする。これにより、杭孔用貫入試験機1をケリーバKの下端に連結する。この連結状態の杭孔用貫入試験機1では、外側ケーシング2側でケリーバKに支持されているため、内側ケーシング3は、自重によって、図4(a)に示すように、外側ケーシング2内での下限位置に配置されることになる。これにより、図4(a)に示すように、外側ケーシング2の下部2b(図1参照)からの貫入ロッド6の突出長さが最大となる。
【0037】
かくして、ケリーバKの下端に連結した杭孔用貫入試験機1は、そのケリーバKを非回転で下降させることにより、図4(a)に示すように、先に形成している杭孔H内に挿入し、孔壁に接触しないよう下降させて、貫入ロッド6の先端を孔底Haに当接させる。しかるに、図4(a)に示すように、貫入ロッド6の先端が孔底Haに当接すると、内側ケーシング3の下降は停止することになる。しかしながら、外側ケーシング2は、内側ケーシング3に対して相対的に昇降自在であるから、貫入ロッド6が、図4(b)に示すように、外側ケーシング2に後退していくことになり、これによって、外側ケーシング2がケリーバKと一体に下降する。そして、図4(b)に示すように、外側ケーシング2に設けられている脚部22が、孔底Haに当接すると、外側ケーシング2とケリーバKの下降が停止し、外側ケーシング2の下部2b(図1参照)からの貫入ロッド6の突出長さが最小となる。この状態で、ケリーバKを昇降不能に固定し、杭孔用貫入試験機1を用いて以下のように測定試験を行う。
【0038】
測定試験では、まず、図2(a)に示す、ギヤードモータ30を回転駆動させる。これにより、第1駆動ベルト33を介して第1プーリ31が回転し、そして、第1プーリ31が回転すると、第2駆動ベルト34を介して、第2プーリ32が回転する。しかるに、この回転に伴って、図2(a)に示すように、第2駆動ベルト34が矢印Y1方向に移動する。これにより、図2(a)に示すように、係止部38aに係止されていた被係止部34aが、図2(b)に示すように、係止から解放される。それに伴い、重錘38は自重によって、図2(b)に示すように、ガイド部35に沿って下降する(矢印Y2参照)。かくして、この下降によって、重錘38は、図2(b)に示すように、ノッキングブロック37を打撃する。この打撃力により、図4(c)に示すように、内側ケーシング3の下降を伴って、貫入ロッド6が孔底Haの地盤Gに貫入することになる。
【0039】
一方、さらに、第2駆動ベルト34が移動すると、図3(a)に示すように、被係止部34aが再び係止部38aに係止する。かくして、図3(a)に示すように、第2駆動ベルト34が矢印Y3方向(図示上方向)に移動すると、被係止部34aは係止部38aに係止されたまま、矢印Y3方向(図示上方向)に移動することになる。これにより、図3(b)に示すように、ガイド部35に沿って重錘38が上昇し、図2(a)に示すように、ストッパ36の位置まで上昇することになる。そしてその後、再び、上記説明したように、係止部38aに係止されていた被係止部34aが、図2(b)に示すように、係止から解放され、重錘38は、ノッキングブロック37を打撃することになる。
【0040】
かくして、以降同様にして、上記の処理が繰り返され、打撃操作を繰り返すことになる。しかるに、このようにして、貫入ロッド6が孔底Haから所定深さまで貫入するのに要する打撃回数を計測し、その打撃回数に基づいて孔底Haの地盤Gの支持強度が所定値以上であるか否かを判定することになる。
【0041】
ところで、重錘38の打撃回数(N値)は、ギヤードモータ30の回転数によって被係止部34aの位置が分かるため、ギヤードモータ30の回転数を確認することによって算定することができる。そして、孔底Haの地盤Gへの貫入ロッド6の貫入量は、内側ケーシング3の下降量としてエンコーダ5で計測される。このエンコーダ5による計測信号は、地上の自動計測装置(図示せず)に送られ、1打撃当たりの沈下量つまり貫入ロッド6の地盤Gに対する貫入量及び累計貫入量が打撃回数(N値)と共に記録・表示される。なお、JISA1219で規定される標準貫入試験では、質量63.5±0.5kgの重錘38を76±1cm自由落下させてノッキングブロック37を打撃し、外径51±1mm,内径35±1mmの貫入ロッド6が地盤に30cm貫入するのに要する打撃回数をN値として表すから、この杭孔用貫入試験機1でも上記標準貫入試験に準拠して支持強度をN値として掌握すればよい。
【0042】
したがって、このようにして測定試験が行われることになる。
【0043】
以上説明してきた内容が、本実施形態に係る杭孔用貫入試験機1の使用例である。
【0044】
したがって、以上説明してきた杭孔用貫入試験機1を用いれば、重錘38を昇降させるにあたって、従来のように油圧シリンダーを用いる必要がないため、従来のような問題が起こることがない。それゆえ、本実施形態によれば、測定対象の地盤Gの深度が深くなったとしても、測定試験を正常に行うことができる。
【0045】
<変形例の説明>
以上、上記縷々説明した内容が、本実施形態における杭孔用貫入試験機1及びその使用例である。しかしながら、本実施形態において示した形状等はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、第1プーリ31,第2プーリ32,第1駆動ベルト33,及び第2駆動ベルト34の機構を用いて、重錘38の昇降を促す例を示したが、それに限らず、ギヤードモータ30の回転駆動に伴って、重錘38の昇降を促すことができれば、どのような機構でも良い。しかしながら、本実施形態に示したような機構にするのが好ましい。このような機構にすれば、従来のようにドライブハンマーをクランプして持ち上げてドライブハンマーを開放し、再び、ドライブハンマーをクランプするといような機構に比べ機構が簡便となるため、測定試験の作業時間が大幅に改善されるためである。
【0046】
また、本実施形態においては、第2駆動ベルト34に被係止部34aを設けると共に、重錘38に係止部38aを設けて、被係止部34aを係止部38aに係止させるか否かで、重錘38の昇降を促す例を示したが、それに限らず、重錘38の昇降を促すことができれば、どのような構成でも良い。しかしながら、本実施形態に示した構成が好ましい。このような構成にすれば、簡単容易に、重錘38の昇降を促すことができるためである。
【0047】
また、本実施形態においては、ギヤードモータ30,第1プーリ31,第2プーリ32,第1駆動ベルト33,及び第2駆動ベルト34の機構を1つ設ける例を示したが、複数設けるようにしても良い。
【0048】
また、本実施形態においては、第2駆動ベルト34に被係止部34aを1つ設ける例を示したが、それに限らず、複数設けるようにしても良い。
【0049】
また、本実施形態においては、ギヤードモータ30を例示したが、それに限らず、どのようモータでも良い。
【符号の説明】
【0050】
1 杭孔用貫入試験機
2 外側ケーシング
3 内側ケーシング
6 貫入ロッド
30 ギヤードモータ(モータ)
31 第1プーリ(作動機構)
32 第2プーリ(作動機構)
33 第1駆動ベルト(作動機構)
34 第2駆動ベルト(作動機構)
34a 被係止部
35 ガイド部
37 ノッキングブロック
38 重錘
38a 係止部
G 地盤
【要約】
【課題】測定対象の地盤の深度が深くなったとしても、測定試験を正常に行うことができる杭孔用貫入試験機を提供する。
【解決手段】外側ケーシング2内に昇降自在に保持されている内側ケーシング3に、ノッキングブロック37と共に、貫入ロッド6が設けられている。内側ケーシング3には、ガイド部35と、このガイド部35に昇降自在に設けられていると共に、ノッキングブロック37を打撃する重錘38を設けている。さらに、内側ケーシング3には、ギヤードモータ30と、ギヤードモータ30の駆動によって、重錘38の昇降を促す第1プーリ31,第2プーリ32,第1駆動ベルト33,第2駆動ベルト34と、が設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4