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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-22
(45)【発行日】2025-05-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20250423BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20250423BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20250423BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20250423BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/16
G03G15/08 235
G03G21/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021145305
(22)【出願日】2021-09-07
(65)【公開番号】P2023038528
(43)【公開日】2023-03-17
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲野 久仁昭
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-143730(JP,A)
【文献】特開2006-072172(JP,A)
【文献】特開2009-175657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/16
G03G 15/08
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にトナー像が形成される像担持体と、
前記像担持体からトナー像が転写され、記録媒体にトナー像を形成する無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトが張架され、前記中間転写ベルトを駆動させる転写駆動回転体と、
前記中間転写ベルトに当接するように配置され、前記記録媒体にトナー像を形成した後に前記中間転写ベルト上に残留する廃トナーを除去するための除去部と、
前記像担持体と対向するように配置され、前記像担持体にトナーを供給する現像回転体と、
前記現像回転体に近接して配置され、前記像担持体にトナーを供給するために前記現像回転体の表面に保持されるトナー量を規制する規制部と、
前記像担持体と、前記転写駆動回転体と、前記現像回転体と、を同時に回転駆動させる共通回転駆動装置と、を備え、
前記記録媒体にトナー像を形成する画像形成動作において、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体が、正転方向に回転するように、前記共通回転駆動装置が動作し、
前記画像形成動作終了後に行われる保守動作において、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体が、前記正転方向に対して反対方向である反転方向に前記画像形成動作時とは異なる回転条件で回転し、その後、正転方向に回転するように、前記共通回転駆動装置が動作し、
前記保守動作終了後に、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体が停止するように、前記共通回転駆動装置が動作する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記保守動作における、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体の反転方向への回転動作における回転速度は、前記画像形成動作における正転方向への回転動作における回転速度よりも遅い、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記保守動作における、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体の反転方向への回転動作は、間欠的に複数回行われる、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか1つに記載の画像形成装置であって、
前記保守動作において、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体の反転方向への回転における前記中間転写ベルトが移動する第1距離は、反転方向への回転後の正転方向への回転における前記中間転写ベルトが移動する第2距離以下である、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記保守動作において、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体が、前記正転方向に対して反対方向である反転方向に前記画像形成動作時とは異なる回転条件での回転と、正転方向への回転と、を交互に複数回行うように前記共通回転駆動装置が動作する、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にトナーを転写して画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ、複合機等の画像形成装置において、感光体ドラムにトナー像が形成され、このトナー像が用紙に転写されて定着されることにより用紙上に画像が形成される。また、用紙にカラー画像の形成を行う画像形成装置は、一般的に、複数の色ごとに感光体ドラムを備えている。これら感光体ドラムのそれぞれに異なる色のトナー像が形成され、これら複数の感光体ドラムから異なる色のトナー像がそれぞれ中間転写ベルトに転写されてカラーのトナー像が中間転写ベルトに形成され、このトナー像が用紙に転写されて定着されることにより用紙上にカラー画像が形成される。
【0003】
ここで、用紙に画像を形成した場合に、用紙にトナー像を転写した感光体ドラム又は中間転写ベルト上には、トナーの一部が残留することがある。このように残留したトナー(廃トナー)が除去されていないと、この後の画像形成において不備が生じる可能性がある。そこで、従来の画像形成装置は、感光体ドラム又は中間転写ベルトに当接するように配置されたクリーニングブレードを備えている。感光体ドラム又は中間転写ベルトが駆動することにより、当接されたクリーニングブレードが感光体ドラム又は中間転写ベルトに残留した廃トナーをかき落とすこととなり、廃トナーは除去される。
【0004】
しかし、画像形成を繰り返し行うことにより、感光体ドラム又は中間転写ベルトと、クリーニングブレードとの当接箇所に紙粉等の異物が堆積して、廃トナーの除去が不十分となるとの問題があった。
【0005】
このような問題を解消するために、例えば、感光体ドラム又は中間転写ベルトの表面を鏡面化することで表面の凹凸を少なくして、紙粉等の異物が堆積しにくくするとの対策もあるが、鏡面化のためのコストが増加するとの問題がある。また、感光体ドラム又は中間転写ベルトの表面を鏡面化することにより、クリーニングブレードとの接触面積が増大することから、クリーニングブレードへの負荷が増加するとの問題もある。
【0006】
そこで、感光体ドラム又は中間転写ベルトの表面を鏡面化せずに、上記問題を解消するために、例えば、特許文献1には、感光体ドラムの回転動作終了後、感光体ドラムを少なくとも2回以上、逆方向に回転させてから停止して待機状態に入る画像形成装置が開示されている。この画像形成装置によれば、感光体ドラムとクリーニングブレードとの当接箇所にトナー塊や紙粉が堆積しても、感光体ドラムの回転動作終了後、感光体ドラムを少なくとも2回以上、逆方向に回転させることから、堆積した紙粉等の異物が除去されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-264553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、画像形成装置において、感光体ドラムにトナーを供給する現像装置の各ローラと、感光体ドラムと、中間転写ベルトを駆動する転写駆動ローラとは、同一の駆動装置により駆動されているものがある。このような画像形成装置は、現像装置の各ローラ、感光体ドラム及び転写駆動ローラのそれぞれに駆動装置を有する構成に比べて、駆動装置の数を減少することができることから、小型化やコストダウンが可能である。また、画像形成動作においてこれら現像装置の各ローラ、感光体ドラム及び転写駆動ローラが互いに異なる駆動態様となる必要はなく、これらは同一の駆動態様であればよい。したがって、同一の駆動装置で、問題なく画像形成を行うことができる。
【0009】
しかし、特許文献1に開示された画像形成装置では、感光体ドラムと現像装置の各ローラとが、同一の駆動装置により駆動する構成については開示されていない。つまり、感光体ドラムが逆方向に回転した場合に、現像装置の各ローラも同様に逆方向に回転する構成については記載されていない。特に、現像装置において感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラが逆方向に回転した場合は、現像ローラ表面に形成された磁気穂が、磁気穂を規制するドクターブレードと干渉することとなる可能性があり、現像装置に不具合が生じる可能性がある。
【0010】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、残留する廃トナーをより確実に除去でき、かつ、現像装置の不具合を抑制できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、表面にトナー像が形成される像担持体と、前記像担持体からトナー像が転写され、記録媒体にトナー像を形成する無端状の中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトが張架され、前記中間転写ベルトを駆動させる転写駆動回転体と、前記中間転写ベルトに当接するように配置され、前記記録媒体にトナー像を形成した後に前記中間転写ベルト上に残留する廃トナーを除去するための除去部と、前記像担持体と対向するように配置され、前記像担持体にトナーを供給する現像回転体と、前記現像回転体に近接して配置され、前記像担持体にトナーを供給するために前記現像回転体の表面に保持されるトナー量を規制する規制部と、前記像担持体と、前記転写駆動回転体と、前記現像回転体と、を同時に回転駆動させる共通回転駆動装置と、を備え、前記記録媒体にトナー像を形成する画像形成動作において、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体が、正転方向に回転するように、前記共通回転駆動装置が動作し、前記画像形成動作終了後に行われる保守動作において、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体が、前記正転方向に対して反対方向である反転方向に前記画像形成動作時とは異なる回転条件で回転し、その後、正転方向に回転するように、前記共通回転駆動装置が動作し、前記保守動作終了後に、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体が停止するように、前記共通回転駆動装置が動作する、ことを特徴とする。
【0012】
これにより、像担持体、転写駆動回転体及び現像回転体のいずれもが共通回転駆動装置により回転駆動され、画像形成動作後に像担持体、転写駆動回転体及び現像回転体が画像形成動作時とは反対方向である反転方向に回転駆動し、その回転条件が画像形成動作時とは異なることから、除去部に滞留する紙粉や残留する廃トナー等の異物を除去することができるうえ、除去部が撓む等の不具合が生じている場合でも正常の状態に戻すことができ、クリーニング特性を改善することができる。さらに、転写駆動回転体が反転方向に回転する際に現像回転体も反転方向に回転することとなるが、この際に現像回転体に形成された磁気穂が規制部と干渉しにくい。このため、現像回転体を備える現像装置に不具合が生じることも防止することができる。
【0013】
また、上述の画像形成装置において、前記保守動作における、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体の反転方向への回転動作における回転速度は、前記画像形成動作における正転方向への回転動作における回転速度よりも遅いこととしてもよい。
【0014】
このように、保守動作における現像回転体が反転方向に回転する場合における回転速度が、画像形成動作における正転方向への回転動作における回転速度より遅いことから、現像回転体に形成された磁気穂に作用する慣性力を小さくできる。つまり、反転方向に勢いよく磁気穂が回転することを抑制できるため、規制部に磁気穂が干渉することを抑制でき、現像回転体を備える現像装置に不具合が生じることも防止することができる。
【0015】
また、上述の画像形成装置において、前記保守動作における、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体の反転方向への回転動作は、間欠的に複数回行われることとしてもよい。
【0016】
このように、保守動作における現像回転体の反転方向への回転は間欠的に行われることから、現像回転体が反転方向に回転する際に、現像回転体に形成された磁気穂に作用する慣性力を小さくできる。つまり、反転方向に勢いよく磁気穂が回転することを抑制できるため、規制部に磁気穂が干渉することを抑制でき、現像回転体を備える現像装置に不具合が生じることも防止することができる。
【0017】
また、上述の画像形成装置において、前記保守動作において、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体の反転方向への回転における前記中間転写ベルトが移動する第1距離は、反転方向への回転後の正転方向への回転における前記中間転写ベルトが移動する第2距離以下であることとしてもよい。
【0018】
これにより、保守動作時の現像回転体における反転方向への回転量は正転方向への回転量以下となる。そのため、規制部に磁気穂が干渉することを抑制でき、現像回転体を備える現像装置に不具合が生じることを防止することができる。
【0019】
また、上述の画像形成装置において、前記保守動作において、前記像担持体、前記転写駆動回転体及び前記現像回転体が、前記正転方向に対して反対方向である反転方向に前記画像形成動作時とは異なる回転条件での回転と、正転方向への回転と、を交互に複数回行うように前記共通回転駆動装置が動作することとしてもよい。
【0020】
このように、保守動作時に、転写駆動回転体及び現像回転体が、反転方向への回転と、正転方向への回転と、を交互に複数回行うことから、除去部におけるクリーニング特性をより確実に改善することができ、かつ、現像回転体に形成された磁気穂が規制部と干渉することをより確実に抑制することができ、現像回転体を備える現像装置に不具合が生じることをより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、残留する廃トナーをより確実に除去でき、かつ、現像装置の不具合を抑制できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を透視的に示す正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置における現像装置の構成を示す模式図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置における現像ローラ周辺の拡大模式図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置におけるクリーニングブレード周辺の拡大模式図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置におけるクリーニングブレード周辺の拡大模式図であって、画像形成動作時の状況を示す図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置における現像ローラ周辺の拡大模式図であって、保守動作時の状況を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置における画像形成動作時及び保守動作時における感光体ドラムの動作状態を示すグラフである。
図8】比較例1に係る現像ローラ周辺の拡大模式図であって、保守動作時の状況を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置における画像形成動作時及び保守動作時における感光体ドラムの動作状態を示すグラフである。
図10】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置における画像形成動作時及び保守動作時における感光体ドラムの動作状態を示すグラフである。
図11】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置における感光体ドラム周辺の拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100について、図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の概略構成を透視的に示す正面図である。なお、図1及び後述する図2、4、5において、符号Xは、左右方向を、符号Yは、前後方向を、符号Zは、上下方向を示している。
【0028】
画像形成装置100は、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びプリンタ機能を有する複合機であり、画像読取装置102によって読み取られた原稿Gの画像を外部に送信する。また、画像形成装置100は、画像読取装置102にて読み取った原稿Gの画像又は外部から受信した画像をカラー若しくは単色で用紙等のシートPに画像形成する。
【0029】
画像読取部130の上側には、画像読取部130に対して開閉自在に支持された原稿送り装置160〔自動原稿搬送装置(ADF)〕が設けられている。画像読取装置102は、原稿送り装置160を備えている。原稿送り装置160は、1枚又は複数枚の原稿Gを1枚ずつ順に搬送する。画像読取装置102は、原稿送り装置160により1枚又は複数枚の原稿Gのうち1枚ずつ搬送される原稿Gを読み取る。画像読取装置102は、原稿Gを載置する原稿載置台130aと、原稿載置台130a上に載置された原稿を読み取る載置原稿読取機能とを備えている。画像形成装置100は、原稿送り装置160が開かれると、画像読取部130の上方の原稿載置台130aが開放され、原稿Gを手置きで置くことができるようになっている。また、原稿送り装置160は、原稿Gを載置する原稿載置トレイ161と、外部に排出された原稿Gを積載する原稿排出トレイ162とを備えている。画像読取装置102は、原稿送り装置160にて搬送された原稿Gを読み取る搬送原稿読取機能を備えている。原稿送り装置160は、原稿載置トレイ161に載置された原稿Gを画像読取部130における原稿読取部130b上に搬送する。画像読取部130は、走査光学系130cを走査して原稿載置台130aに載置された原稿を読み取るか又は原稿送り装置160にて搬送される原稿Gを読み取って画像データを生成する。
【0030】
画像形成装置本体101は、光走査装置1、現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、帯電器5、中間転写ベルト装置70、2次転写装置11、定着装置12、シート搬送路S、給紙カセット18、シート排出トレイ141を備えている。
【0031】
画像形成装置100では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、又は、単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。画像形成装置100の画像転写部50には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4及び帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ及びイエローに対応付けられ、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0032】
光走査装置1は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。ドラムクリーニング装置4は、感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去及び回収する。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。
【0033】
ここで、現像装置2の構成について図面を用いて説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100における現像装置2の構成を示す模式図である。また、図3は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100における現像ローラ21周辺の拡大模式図である。
【0034】
現像装置2は、現像ローラ21、ドクターブレード22、封止マイラー23、搬送部材24、25及び現像槽26を備えている。現像ローラ21は感光体ドラム3と対向して配置されており、モータである共通回転駆動装置を駆動源として回転駆動する。また、搬送部材24、25も回転駆動する。
【0035】
現像槽26は、トナーと磁性体キャリアとを含む2成分現像剤(以下、現像剤という)を収容している。また、搬送部材24、25は、現像槽26内に位置し、いずれも現像槽26の内側の壁面から離間して配置されている。搬送部材24及び搬送部材25は、いずれも螺旋状の搬送羽根を備えたスクリューオーガであり、互いに逆方向に回転する。現像槽26内の現像剤は、搬送部材24、25が回転することにより攪拌されながら循環して搬送される。現像剤27(図3を参照)は、搬送部材24、25により現像槽26内を搬送されて、回転する現像ローラ21の外周面に汲み上げられて担持される。
【0036】
画像形成動作時において、図3に示すように、現像ローラ21に担持された現像剤27中のトナーが感光体ドラム3へと移動する。具体的には、現像ローラ21及び感光体ドラム3が近接するニップ部Nにおいて、現像ローラ21の外周面に担持された現像剤27が感光体ドラム3と接触する。このニップ部Nにおいて、現像ローラ21に現像バイアス電圧が印加され、現像ローラ21の外周面の現像剤27から感光体ドラム3の外周面の静電潜像へ、トナーが供給される。なお、感光体ドラム3も回転駆動しており、その駆動源は現像ローラ21の駆動源と共通である。つまり、感光体ドラム3及び現像ローラ21はいずれも共通回転駆動装置により回転駆動する。具体的には、共通回転駆動装置から、図示していないギヤを介して、感光体ドラム3及び現像ローラ21のそれぞれに駆動力が伝達され、これらは同時に駆動する。画像形成動作時において、感光体ドラム3は正転方向F3に回転し、現像ローラ21は正転方向F4に回転している。
【0037】
なお、現像ローラ21の外周面に汲み上げられて層状に担持された現像剤27の層厚は、現像ローラ21が正転方向F4方向に回転することにより、ドクターブレード22によって規制される。また、封止マイラー23は、可撓性を有しており、樹脂等により構成されている。封止マイラー23が設けられていることにより、現像剤が現像装置2の外部へと飛散することを抑制することができる。
【0038】
中間転写ベルト装置70は、中間転写ローラ6、無端状の中間転写ベルト71、中間転写駆動ローラ72、中間転写従動ローラ73及びクリーニング装置9を備えている。中間転写ローラ6は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4つずつ中間転写ベルト71の内側に設けられている。中間転写ローラ6は、感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を周方向Cへ周回移動する中間転写ベルト71に転写する。
【0039】
中間転写ベルト71は、中間転写駆動ローラ72及び中間転写従動ローラ73に張架されている。画像形成装置100では、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を順次転写して重ね合わせて、中間転写ベルト71の表面にカラーのトナー像を形成する。クリーニング装置9は、シートPに転写されずに中間転写ベルト71の表面に残った廃トナーを除去及び回収する。
【0040】
2次転写装置11は、2次転写ローラ11aと中間転写ベルト71との間に転写ニップ領域TNを形成しており、シート搬送路Sを通じて搬送されてきたシートPを転写ニップ領域TNに挟み込んで搬送する。シートPは、転写ニップ領域TNを通過する際に、中間転写ベルト71の表面のトナー像が転写されて定着装置12に搬送される。
【0041】
定着装置12は、シートPを挟んで回転する定着ローラ31及び加圧ローラ32を備えている。定着装置12は、定着ローラ31及び加圧ローラ32の間にトナー像が転写されたシートPを挟み込んで加熱及び加圧し、トナー像をシートPに定着させる。
【0042】
給紙カセット18は、画像形成に使用するシートPを蓄積しておくためのカセットであり、光走査装置1の下側に設けられている。シートPは、ピックアップローラ16によって給紙カセット18から引き出されて、シート搬送路Sに搬送される。シート搬送路Sに搬送されたシートPは、2次転写装置11や定着装置12を経由し、排出ローラ17に搬送され、排出部140におけるシート排出トレイ141に排出される。シート搬送路Sには、搬送ローラ13、レジストローラ14及び排出ローラ17が配置されている。搬送ローラ13は、シートPの搬送を促す。レジストローラ14は、シートPを一旦停止させて、シートPの先端を揃える。レジストローラ14は、一旦停止したシートPを中間転写ベルト71上のカラートナー像のタイミングに合わせて搬送する。中間転写ベルト71上のカラートナー像は、中間転写ベルト71と2次転写ローラ11aとの間の転写ニップ領域TNでシートPに転写される。
【0043】
なお、図1では、給紙カセット18が1つとされているがこれに限定されず、複数の給紙カセット18を設けた構成とし、それぞれに異なる種類のシートPを積載してもよい。
【0044】
また、画像形成装置100は、シートPの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、シートPを排出ローラ17からシート反転経路Srに逆方向に搬送する。画像形成装置100は、逆方向に搬送されたシートPの表裏を反転し、レジストローラ14に再度導く。また、画像形成装置100は、レジストローラ14に導かれたシートPを表面と同様にして裏面に画像形成し、シート排出トレイ141に搬出する。
【0045】
中間転写ベルト装置70は、中間転写ベルト71と、中間転写駆動ローラ72と、中間転写従動ローラ73と、を備えている。中間転写ベルト71は、周回移動可能な無端状のベルトである。中間転写ベルト71は、中間転写駆動ローラ72及び中間転写従動ローラ73に巻きかけられている。つまり、中間転写駆動ローラ72及び中間転写従動ローラ73は、中間転写ベルト71を張架している。また、中間転写駆動ローラ72の回転駆動における駆動源は、感光体ドラム3及び現像ローラ21の駆動源と共通である。つまり、中間転写駆動ローラ72はモータである共通回転駆動装置により回転駆動し、具体的には、共通回転駆動装置から、図示していないギヤを介して駆動力が伝達される。したがって、中間転写駆動ローラ72、感光体ドラム3及び現像ローラ21はいずれも共通回転駆動装置により回転駆動し、これらは同時に駆動する。
【0046】
ここで、中間転写ベルト71とクリーニング装置9との関係について図面を用いて説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100におけるクリーニングブレード91周辺の拡大模式図である。なお、図4において、クリーニングブレード91とは離れた位置に配置されている中間転写駆動ローラ72も図示している。
【0047】
クリーニング装置9は、回収用ケーシング93と、回収用ケーシング93に設置された支持板92と、支持板92に固定設置されたクリーニングブレード91と、を備えている。クリーニングブレード91は、中間転写ベルト71と当接するように配置されている。また、テンションスプリング74が設けられており、テンションスプリング74によって中間転写従動ローラ73はクリーニング装置9側へ付勢力がかかっている。
【0048】
画像形成動作時において、中間転写駆動ローラ72が正転方向F1に回転駆動すると、中間転写ベルト71が周方向Cに駆動されて、中間転写従動ローラ73も正転方向F2方向に回転駆動する。これにより、中間転写ベルト71上に残留している廃トナーは、中間転写ベルト71に当接して設置されたクリーニングブレード91によってかき落とされる。そして、クリーニングブレード91によりかき落とされた廃トナーは、回収用ケーシング93内に回収されることとなる。なお、詳細は後述するが、画像形成動作後における保守動作時には、中間転写駆動ローラ72が反転方向R1に回転駆動する場合もある。この場合は、中間転写ベルト71は周方向Iに周回移動し、中間転写従動ローラ73は反転方向R2に回転駆動する。
【0049】
次に、画像形成装置100における画像形成動作の後に行われる保守動作について図面を用いて説明する。図5は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100におけるクリーニングブレード91周辺の拡大模式図であって、画像形成動作時の状況を示す図である。つまり、中間転写駆動ローラ72及び中間転写従動ローラ73が正転方向F1及びF2方向に回転し、中間転写ベルト71が周方向Cに周回移動している状態を示している。また、図6は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100における現像ローラ21周辺の拡大模式図であって、保守動作時の状況を示す図である。
【0050】
画像形成装置100は、上述したように、シートP上にトナーにより画像を形成する。画像形成装置100において、このようにシートPに画像を形成する動作を画像形成動作という。また、上述したように、この画像形成動作において中間転写ベルト71上に残留した廃トナーは、クリーニングブレード91によりかき取られて回収用ケーシング93に回収されるが、この際にクリーニングブレード91と中間転写ベルト71との間に紙粉や廃トナー等の異物が滞留することとなる。したがって、画像形成装置100における画像形成動作の稼働時間が増加していくにしたがい、クリーニングブレード91と中間転写ベルト71との間に滞留する紙粉や廃トナー等の異物の量が増大する。これら滞留する紙粉や廃トナー等の異物の量が増加すると、クリーニングブレード91と中間転写ベルト71とが直接接触する面積が低下することとなり、クリーニングブレード91による廃トナーの除去性能(クリーニング特性)が低下することなる。
【0051】
また、中間転写ベルト71とクリーニングブレード91との間の摩擦力が増大すると、図5に示すように、クリーニングブレード91が撓むことになる。クリーニングブレード91が撓むことで中間転写ベルト71との接触態様が変化し、クリーニングブレード91による廃トナーの除去性能が低下することとなる。また、中間転写従動ローラ73とクリーニングブレード91との間の摩擦力が増大しすぎると、クリーニングブレード91が破損したり、中間転写ベルト71の移動が不可能な状態に陥ったり等の不具合が生じる可能性もある。
【0052】
そこで、画像形成装置100において、画像形成動作の後に保守動作が実行される。この保守動作により、クリーニングブレード91と中間転写ベルト71との間に滞留する紙粉や廃トナー等の異物が除去され、廃トナーの除去性能が低下することを防止することができる。また、クリーニングブレード91の破損や中間転写ベルト71の移動が不可能な状態に陥る等の不具合が生じることを抑制することができる。
【0053】
ここで、上述したように、画像形成動作時において、共通回転駆動装置からの駆動力により中間転写駆動ローラ72は正転方向F1に回転している。これにより、中間転写ベルト71は周方向Cに周回移動し、中間転写従動ローラ73は正転方向F2に回転している。これに対して、保守動作時において、中間転写駆動ローラ72は反転方向R1方向に回転する場合がある。つまり、共通回転駆動装置の回転が反転する場合がある。これにより、中間転写ベルト71は周方向Iに周回移動し、中間転写従動ローラ73は反転方向R2に回転する。なお、保守動作における中間転写駆動ローラ72の反転方向R1への回転速度は、画像形成動作時における中間転写駆動ローラ72の正転方向F1への回転速度よりも遅い速度である。具体的には、共通回転駆動装置は、保守動作時には画像形成動作時とは逆方向に回転し、回転速度は画像形成動作時の回転速度よりも遅く回転する。特に、回転速度は画像形成動作時の回転速度の1/2以下にすることが好ましい。それにより、中間転写駆動ローラ72が反転方向R1に回転する場合に伴い、感光体ドラム3及び現像ローラ21が反転方向R3及びR4(図6を参照)に回転した場合であっても現像装置2に不具合が生じることが抑制される。なお、現像装置2に不具合が生じることが抑制されることに関しての詳細は後述する。
【0054】
これにより、保守動作時において、中間転写ベルト71がクリーニングブレード91に対して、画像形成動作時とは逆方向である周方向Iに周回移動することとなる。そのため、画像形成動作時においてクリーニングブレード91と中間転写ベルト71との間に滞留していた紙粉や廃トナー等の異物が除去されることとなる。また、クリーニングブレード91が撓んでいた場合でも、元の形状に戻ることとなる。これにより、クリーニングブレード91による廃トナーの除去性能の低下が解消され、中間転写ベルト71の廃トナーの除去がより確実に行われることとなり、画像形成に不具合が生じることを抑制することができる。
【0055】
なお、上述したように、感光体ドラム3及び現像ローラ21の駆動源は、中間転写駆動ローラ72の駆動源と同一であり、共通回転駆動装置である。このため、中間転写駆動ローラ72が反転方向R1に回転する場合は、感光体ドラム3及び現像ローラ21も、それぞれ正転方向F3及びF4の逆側に回転する。具体的には、保守動作時において中間転写駆動ローラ72が反転方向R1に回転する場合は、図6に示すように、感光体ドラム3は反転方向R3に回転し、現像ローラ21は反転方向R4方向に回転する。
【0056】
ここで、画像形成動作時及び保守動作時における感光体ドラム3の回転動作の状態をグラフで示す。図7は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100における画像形成動作時及び保守動作時における感光体ドラム3の動作状態を示すグラフである。図7において、縦軸は感光体ドラム3の回転速度であり、縦軸の正側は感光体ドラム3が正転方向F3に回転していることを示し、縦軸の負側は感光体ドラム3が反転方向R3に回転していることを示す。また、横軸は時間である。なお、中間転写駆動ローラ72(中間転写従動ローラ73)及び現像ローラ21の回転動作の状態はグラフで示していないが、これらについても、共通回転駆動装置により駆動されることから、感光体ドラム3と同様の回転状態となる。つまり、感光体ドラム3の回転速度が正側にあるときは、中間転写駆動ローラ72(中間転写従動ローラ73)及び現像ローラ21の回転速度も正側となり、感光体ドラム3の回転速度が負側にあるときは、中間転写駆動ローラ72(中間転写従動ローラ73)及び現像ローラ21の回転速度も負側となる。
【0057】
図7に示すように、画像形成動作時は、回転速度Aで感光体ドラム3が正転方向F3に回転している。そして、画像形成動作が終了すると保守動作に移行する。保守動作時において、感光体ドラム3の回転が停止した後に反転方向R3方向に回転速度A/2で回転する。このように保守動作における回転速度は画像形成動作における回転速度よりも遅くなる。そして、反転方向R3に所定の時間回転した後に感光体ドラム3の回転が停止し、再び正転方向Fに回転速度Aで回転する。そして、保守動作が終了すると感光体ドラム3は回転を停止する。
【0058】
ここで、保守動作時には、感光体ドラム3及び現像ローラ21がそれぞれ反転方向R3及びR4に回転するが、その回転速度は画像形成動作の正転方向F3及びF4への回転に比べて遅い。ここで、現像ローラ21に担持されて磁気穂を形成している現像剤27は、現像ローラ21が反転方向R4に回転するために、ニップ部Nからドクターブレード22及び封止マイラー23側に移動してくることとなるが、回転速度が遅いために、磁気穂に作用する慣性力が比較的小さい。そのため、現像剤27の層厚が抑えられた状態でドクターブレード22及び封止マイラー23の近辺を通過することとなり、現像剤27がドクターブレード22及び封止マイラー23に干渉することがない。特に封止マイラー23が現像剤27との干渉によって変形し、封止機能が低下することを防止できる。したがって、保守動作において現像装置2において不具合が生じることが抑制される。なお、保守動作時において感光体ドラム3及び現像ローラ21が反転方向R3及びR4に回転する量は、保守動作時において感光体ドラム3及び現像ローラ21が正転方向F3及びF4に回転する量以下であることが好ましい。したがって、保守動作時において中間転写駆動ローラ72(中間転写従動ローラ73)が反転方向R1(R2)に回転する量は、保守動作時において中間転写駆動ローラ72(中間転写従動ローラ73)が正転方向F1(F2)に回転する量以下であることが好ましい。また、保守動作時において中間転写ベルト71が周方向Iに周回移動する距離は、保守動作時において中間転写ベルト71が周方向Cに周回移動する距離以下であることが好ましい。これにより、現像装置2において不具合が生じることを抑制することができる。
【0059】
(比較例1)
ここで、比較例として、保守動作における中間転写駆動ローラ72、中間転写従動ローラ73、感光体ドラム3及び現像ローラ21の反転方向R1、R2、R3及びR4への回転速度が、画像形成動作時の正転方向F1、F2、F3及びF4への回転速度と等しかった場合の状態について図面を用いて説明する。図8は、比較例1に係る現像ローラ周辺の拡大模式図であって、保守動作時の状況を示す図である。
【0060】
保守動作時において、感光体ドラム3が画像形成動作時と同じ回転速度Aで反転方向R3に回転した場合は、回転に勢いがあるため、図8に示すように現像ローラ21に担持されて磁気穂を形成している現像剤27が、ニップ部Nから高い層厚のままドクターブレード22及び封止マイラー23に接近し、ドクターブレード22に乗り上げることとなる。このため、ドクターブレード22と封止マイラー23との間に現像剤27が介在することとなり、現像剤27によって封止マイラー23は外側に撓むこととなり、封止マイラー23が機能しないことになるとの問題が生じる。
【0061】
以上、説明したように、本実施形態1に係る画像形成装置100によれば、中間転写駆動ローラ72、感光体ドラム3及び現像ローラ21の駆動源(共通回転駆動装置)が共通であり、これらは同時に駆動され、画像形成動作の後に実行される保守動作において、これらが反転方向R1、R2及びR3に回転し、その回転速度が画像形成動作時における正転方向F1、F2及びF3への回転における回転速度よりも遅いことから、駆動源の点数を少なくでき、コストダウン及び小型化を図ることができ、さらに廃トナーの除去がより確実になされるうえ、現像装置2における不具合が生じることを防止できる。
【0062】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る画像形成装置は、本第1実施形態に係る画像形成装置100と同様の構成であるが、保守動作時における中間転写駆動ローラ72、感光体ドラム3及び現像ローラ21の反転方向R1、R2及びR3への回転態様が異なる。そこで、この異なる点について図面を用いて説明し、それ以外については説明を省略する。
【0063】
図9は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置100における画像形成動作時及び保守動作時における感光体ドラム3の動作状態を示すグラフである。図9において、縦軸は感光体ドラム3の回転速度であり、縦軸の正側は感光体ドラム3が正転方向F3に回転していることを示し、縦軸の負側は感光体ドラム3が反転方向R3に回転していることを示す。また、横軸は時間である。なお、中間転写駆動ローラ72(中間転写従動ローラ73)及び現像ローラ21の回転動作の状態はグラフで示していないが、これらについても、共通回転駆動装置により駆動されることから、感光体ドラム3と同様の回転状態となる。つまり、感光体ドラム3の回転速度が正側にあるときは、中間転写駆動ローラ72(中間転写従動ローラ73)及び現像ローラ21の回転速度も正側となり、感光体ドラム3の回転速度が負側にあるときは、中間転写駆動ローラ72(中間転写従動ローラ73)及び現像ローラ21の回転速度も負側となる。
【0064】
図9に示すように、画像形成動作時は、回転速度Aで感光体ドラム3が正転方向F3に回転している。そして、画像形成動作が終了すると保守動作に移行する。保守動作時において、感光体ドラム3の回転が停止した後に間欠的に反転方向R3に回転速度Aで回転する。より具体的には、反転方向R3に回転速度Aでの回転と停止とを繰り返す。そして、回転と停止を3回繰り返した後、再び正転方向Fに回転速度Aで回転する。そして、保守動作が終了すると感光体ドラム3は回転を停止する。
【0065】
ここで、保守動作時には、感光体ドラム3と共に、中間転写駆動ローラ72及び現像ローラ21もそれぞれ反転方向R1及びR4方向に間欠的に回転する。なお、回転速度は画像形成動作の正転方向F1及びF4と同じである。このような保守動作において、現像ローラ21に担持されて磁気穂を形成している現像剤27が、現像ローラ21が反転方向R4方向に回転するが、間欠的に回転することから回転の勢いが抑えられて磁気穂に作用する慣性力が比較的小さい。そのため、現像ローラ21に担持された現像剤27の層厚が抑えられた状態でドクターブレード22及び封止マイラー23の近辺を通過することとなり、現像剤27がドクターブレード22及び封止マイラー23に干渉することがない。したがって、保守動作位において現像装置2において不具合が生じることが抑制される。
【0066】
また、保守動作において、中間転写駆動ローラ72も感光体ドラム3と同様の回転態様で回転する。これにより、画像形成動作時においてクリーニングブレード91と中間転写ベルト71との間に滞留していた紙粉や廃トナー等の異物が除去されることとなる。また、クリーニングブレード91が撓んでいた場合でも、元の形状に戻ることとなる。これにより、クリーニングブレード91による廃トナーの除去性能の低下が解消され、中間転写ベルト71の廃トナーの除去がより確実に行われることとなり、画像形成に不具合が生じることを抑制することができる。
【0067】
なお、上記説明では、保守動作時における感光体ドラム3の反転方向R3への回転における回転速度を、画像形成動作時の正転方向F3への回転における回転速度Aと同じとしたが、回転速度Aよりも遅い速度で反転方向R3に回転することとしてもよい。
【0068】
また、保守動作時において、感光体ドラム3が反転方向R3に回転速度Aでの回転と停止とを3回繰り返すこととしたが、この回数は3回に限定されるわけではない。
【0069】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る画像形成装置は、本第1実施形態に係る画像形成装置100と同様の構成であるが、保守動作時における中間転写駆動ローラ72、感光体ドラム3及び現像ローラ21の反転方向R1、R2及びR3への回転態様が異なる。そこで、この異なる点について図面を用いて説明し、それ以外については説明を省略する。
【0070】
図10は、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置100における画像形成動作時及び保守動作時における感光体ドラム3の動作状態を示すグラフである。図10において、縦軸は感光体ドラム3の回転速度であり、縦軸の正側は感光体ドラム3が正転方向F3に回転していることを示し、縦軸の負側は感光体ドラム3が反転方向R3に回転していることを示す。また、横軸は時間である。なお、中間転写駆動ローラ72(中間転写従動ローラ73)及び現像ローラ21の回転動作の状態はグラフで示していないが、これらについても、共通回転駆動装置により駆動されることから、感光体ドラム3と同様の回転状態となる。つまり、感光体ドラム3の回転速度が正側にあるときは、中間転写駆動ローラ72(中間転写従動ローラ73)及び現像ローラ21の回転速度も正側となり、感光体ドラム3の回転速度が負側にあるときは、中間転写駆動ローラ72(中間転写従動ローラ73)及び現像ローラ21の回転速度も負側となる。
【0071】
図10に示すように、画像形成動作時は、回転速度Aで感光体ドラム3が正転方向F3に回転している。そして、画像形成動作が終了すると保守動作に移行する。保守動作時において、感光体ドラム3の回転が停止した後に反転方向R3に回転速度A/2で所定の時間回転し、その後に感光体ドラム3の回転が停止し、再び正転方向Fに回転速度Aで回転する。さらに、感光体ドラム3は正転方向F3に回転速度Aで所定時間回転した後に、感光体ドラム3の回転が停止し、再び反転方向R3に回転速度A/2で所定の時間回転し、その後に感光体ドラム3の回転が停止し、再び正転方向Fに回転速度Aで回転する。そして、保守動作が終了すると感光体ドラム3は回転を停止する。
【0072】
このように、保守動作時に、感光体ドラム3は反転方向R3と正転方向F3とに交互に複数回回転する。つまり、第1実施形態における保守動作を連続して複数回行っている。なお、第3実施形態では、反転方向R3及び正転方向F3への回転を、2セット行っているが、2セット以外であってもよい。これにより、クリーニングブレード91による廃トナーの除去性能の低下の解消がより確実に行われることとなり、画像形成に不具合が生じることを抑制することができる。また、現像装置2に不具合が生じることも抑制される。
【0073】
(第4実施形態)
上記第1~第3実施形態は、シートPにカラー画像を形成可能な画像形成装置100に関してであったが、ブラックインクしか用いることがないモノクロの画像形成装置においても、本発明は適用可能である。本第4実施形態に係る画像形成装置はモノクロのものである。
【0074】
図11は、本発明の第4実施形態に係る画像形成装置における感光体ドラム3a周辺の拡大模式図である。モノクロの画像形成装置は中間転写ベルト71が不要であり、図11に示すように、感光体ドラム3aから直接シートPにトナーが転写される構成である。モノクロの画像形成装置全体の詳細な説明は省略するが、本発明に関係する現像装置2a、クリーニング装置9a、感光体ドラム3a及び転写ローラ11bについて図11を用いて説明する。
【0075】
感光体ドラム3aは表面にトナー像が形成される像担持体であり、転写ローラ11bと対向配置されている。また、転写ローラ11bと感光体ドラム3aとの間に転写ニップ領域Naが形成されている。転写ローラ11bは、搬送されてきたシートPを転写ニップ領域Naに挟み込んで搬送する。シートPが転写ニップ領域Naを通過する際に、感光体ドラム3aの表面のトナー像がシートPに転写される。トナー像が転写されたシートPは、図示していない定着部に搬送されてトナー像が定着され、画像が形成される。感光体ドラム3aは、モータである共通回転駆動装置を駆動源として回転駆動する。
【0076】
現像装置2aは、静電潜像を現像して、感光体ドラム3aの表面にトナー像を形成する。現像装置2aは、現像ローラ21a、ドクターブレード22a、搬送部材24a、25a及び現像槽26aを備えている。現像ローラ21aは感光体ドラム3aと対向して配置されており、感光体ドラム3aの駆動源である共通回転駆動装置を駆動源として回転駆動する。したがって、感光体ドラム3a及び現像装置2aは同時に駆動し、回転態様は同様となる。
【0077】
現像槽26aは、トナーと磁性体キャリアとを含む現像剤を収容している。また、搬送部材24a、25aは、現像槽26a内に位置し、いずれも現像槽26aの内側の壁面から離間して配置されている。現像槽26a内の現像剤は、搬送部材24a、25aが回転することにより攪拌されながら循環して搬送され、回転する現像ローラ21aの外周面に汲み上げられて担持される。
【0078】
画像形成動作時において、現像ローラ21aに担持された現像剤中のトナーが感光体ドラム3aへと移動する。上述したように、感光体ドラム3aも回転駆動しており、その駆動源は現像ローラ21aの駆動源と共通である。具体的には、共通回転駆動装置から、図示していないギヤを介して、感光体ドラム3a及び現像ローラ21aのそれぞれに駆動力が伝達される。画像形成動作時は、感光体ドラム3aは正転方向F5に回転し、現像ローラ21aは正転方向F6に回転している。なお、現像ローラ21aの外周面に汲み上げられて層状に担持された現像剤の層厚は、現像ローラ21aが正転方向F6方向に回転することにより、ドクターブレード22aによって規制される。
【0079】
クリーニング装置9aは、シートPに転写されずに感光体ドラム3aの表面に残った廃トナーを除去及び回収する。クリーニング装置9aは、回収用ケーシング93aと、回収用ケーシング93aに設置された支持板92aと、支持板92aに固定設置されたクリーニングブレード91aと、を備えている。クリーニングブレード91aは、感光体ドラム3aと当接するように配置されている。
【0080】
画像形成動作時において、感光体ドラム3aが正転方向F5に回転駆動すると、感光体ドラム3a上に残留している廃トナーは、クリーニングブレード91aによってかき落とされる。そして、クリーニングブレード91aによりかき落とされた廃トナーは、回収用ケーシング93a内に回収されることとなる。なお、画像形成動作後における保守動作時には、感光体ドラム3aが反転方向R5に回転駆動する場合もある。なお、この場合は、現像ローラ21aも反転方向R6に回転駆動する。
【0081】
このような構成の第4実施形態に係るモノクロの画像形成装置において、上記第1~第3実施形態において説明したものと同様に、画像形成動作及び保守動作が行われる。つまり、画像形成動作時には、感光体ドラム3a及び現像ローラ21aが正転方向F5及びF6に回転し、画像形成動作後の保守動作において、感光体ドラム3a及び現像ローラ21aが反転方向R5及びR6にも回転する。
【0082】
画像形成動作の後に実行される保守動作において、感光体ドラム3a及び現像ローラ21aが反転方向R5及びR6に回転し、感光体ドラム3a上に残留した廃トナーの除去がより確実になされるうえ、現像装置2aにおける現像剤により生じる不具合を防止できる。また、感光体ドラム3a及び現像ローラ21aの駆動源が共通する共通回転駆動装置であることから、駆動源の点数を少なくでき、コストダウン及び小型化を図ることができる。
【0083】
以上、本発明に係る第1~第4実施形態に係る画像形成装置について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるわけではない。例えば、上記第1~第4実施形態では、画像形成動作の後に保守動作が実行されることとしたが、画像形成動作が行われるごとに保守動作が毎回実行されることとしなくてもよい。例えば、画像形成動作が所定回数実行された後に保守動作が実行されることとしてもよいし、画像形成動作の時間を積算して、画像形成動作を実行した積算時間が所定の時間に達した場合に保守動作が実行されることとしてもよい。また、中間転写ベルト71又は感光体ドラム3a上に残留している廃トナーの状況や、クリーニングブレード91又は91aの状態を検知して、保守動作が必要であると判断した場合に保守動作を実行することとしてもよい。
【0084】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0085】
1 光走査装置
2、2a 現像装置
3、3a 感光体ドラム(像担持体)
4 ドラムクリーニング装置
5 帯電器
6 中間転写ローラ
9、9a クリーニング装置
11 2次転写装置
11a 2次転写ローラ
11b 転写ローラ
12 定着装置
13 搬送ローラ
14 レジストローラ
16 ピックアップローラ
17 排出ローラ
18 給紙カセット
21、21a 現像ローラ(現像回転体)
22、22a ドクターブレード(規制部)
23 封止マイラー
24、25、24a、25a 搬送部材
26、26a 現像槽
27 現像剤
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
50 画像転写部
70 中間転写ベルト装置
71 中間転写ベルト
72 中間転写駆動ローラ(転写駆動回転体)
73 中間転写従動ローラ
74 テンションスプリング
91、91a クリーニングブレード(除去部)
92、92a 支持板
93、93a 回収用ケーシング
100 画像形成装置
101 画像形成装置本体
102 画像読取装置
130 画像読取部
130a 原稿載置台
130b 原稿読取部
130c 走査光学系
141 シート排出トレイ
160 原稿送り装置
161 原稿載置トレイ
162 原稿排出トレイ
C 周方向(正転)
I 周方向(反転)
F1~F4 正転方向
R1~R4 反転方向
Pa、Pb、Pc、Pd 画像ステーション
S シート搬送路
Sr シート反転経路
G 原稿
P シート(記録媒体)
N ニップ部
TN、Na 転写ニップ領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11