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特許7671243修飾ヒトエリスロポエチン(modified human erythropoietin)
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-22
(45)【発行日】2025-05-01
(54)【発明の名称】修飾ヒトエリスロポエチン(modified human erythropoietin)
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/505 20060101AFI20250423BHJP
   C12N 15/19 20060101ALI20250423BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20250423BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20250423BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250423BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20250423BHJP
   C12P 21/00 20060101ALI20250423BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20250423BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20250423BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20250423BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20250423BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20250423BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20250423BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20250423BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20250423BHJP
【FI】
C07K14/505 ZNA
C12N15/19
C12N15/63 Z
C12N15/867 Z
C12N5/10
C07K1/22
C12P21/00 C
A61K38/22
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/00
A61P25/24
A61P25/18
A61P9/10
A61K48/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021517686
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2019058179
(87)【国際公開番号】W WO2020065576
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-10
(31)【優先権主張番号】20180102793
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521124537
【氏名又は名称】ウニベルジダッド ナショナル デル リトラル
(73)【特許権者】
【識別番号】521124548
【氏名又は名称】コンセホ ナショナル デ インベスティガシオン シエンティフィカス イ テクニカス(コニセット)
(73)【特許権者】
【識別番号】521124559
【氏名又は名称】ウニベルジダッド ナショナル デ ジェネラル サン マーティン
(74)【代理人】
【識別番号】100081053
【弁理士】
【氏名又は名称】三俣 弘文
(72)【発明者】
【氏名】クラトヘ,リカルド
(72)【発明者】
【氏名】オッジェロ-エベルハルト,マルコス
(72)【発明者】
【氏名】ブルジ-フィソロ,マリア デ ロス ミラグロス
(72)【発明者】
【氏名】ドレッラ,アキレス
(72)【発明者】
【氏名】アパリシオ,ガブリエラ アイ.
(72)【発明者】
【氏名】エッチェベリガレイ,マリナ
(72)【発明者】
【氏名】スコルティカティ,カミラ
【審査官】坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-506023(JP,A)
【文献】特表2008-539745(JP,A)
【文献】特表2009-510008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/19
C07K 14/505
C12N 15/63
C12N 15/867
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
DDBJ/UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾ヒトエリスロポエチン(以下「mhEPO」と称する)において、
その赤血球生成促進の活性が、ヒトエリスロポエチン(以下「hEPO」と称する)のそれに比較して0.5%未満であるが、神経保護又は神経形成の能力は維持し、
グリコシル化用のコンセンサス・サイトの追加により、ホモ二量体又はヘテロ二量体の受容体への結合サイトの突然変異を含み、
前記受容体への結合サイトは、45-47、104,151-153とこれらの組み合わせのいずれかのポジションに含まれるアミノ酸の組から選択され、
前記修飾ヒトエリスロポエチンは、配列番号4,配列番号18,配列番号24を含む組から選択されたアミノ酸配列を含む
ことを特徴とする修飾ヒトエリスロポエチン。
【請求項2】
修飾ヒトエリスロポエチン(以下「mhEPO」と称する)において、
その赤血球生成促進の活性が、ヒトエリスロポエチン(以下「hEPO」と称する)のそれに比較して0.5%未満であるが、神経保護又は神経形成の能力は維持し、
グリコシル化用のコンセンサス・サイトの追加により、ホモ二量体又はヘテロ二量体の受容体への結合サイトの突然変異を含み、
前記受容体への結合サイトは、45-47、104,151-153とこれらの組み合わせのいずれかのポジションに含まれるアミノ酸の組から選択され、
前記修飾ヒトエリスロポエチンは、配列番号3,配列番号17,配列番号23を含む組から選択されたヌクレオチド配列によりコードされている
ことを特徴とする請求項1記載の修飾ヒトエリスロポエチン。
【請求項3】
以下の配列番号を含む組から選択されたヌクレオチド配列を含む
配列番号3,配列番号17,配列番号23
ことを特徴とする修飾ヒトエリスロポエチンをコードする核酸。
【請求項4】
以下の配列番号を含む組から選択されたヌクレオチド配列を含む
配列番号3,配列番号17,配列番号23
ことを特徴とする修飾ヒトエリスロポエチンをコードする核酸を含む形質変換ベクター。
【請求項5】
以下の配列番号を含む組から選択されたヌクレオチド配列を含む
配列番号3,配列番号17,配列番号23
ことを特徴とする修飾ヒトエリスロポエチンをコードする核酸を含む発現ベクター。
【請求項6】
以下の配列番号を含む組から選択されたヌクレオチド配列を含む
配列番号3,配列番号17,配列番号23
ことを特徴とする修飾ヒトエリスロポエチンをコードする核酸を含むレンチウイルス・ベクター。
【請求項7】
以下の配列番号を含む組から選択されたヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む
配列番号3,配列番号17,配列番号23
ことを特徴とする修飾ヒトエリスロポエチンをコードする核酸分子を含む遺伝子修飾細胞。
【請求項8】
前記遺伝子修飾細胞は、動物細胞ライン、植物細胞ライン、N-グリカンの添加を可能にする細胞宿主の内のいずれかを含む
ことを特徴とする請求項7記載の遺伝子修飾細胞。
【請求項9】
前記遺伝子修飾細胞は、動物細胞ラインを含む
ことを特徴とする請求項7記載の遺伝子修飾細胞。
【請求項10】
前記動物細胞ラインは、下記の(1)~(5)を含む組のいずれかから選択される
(1)CHO.K1,(2)HEK293,(3)NSO,(4)BHK-21,(5)HeLa
ことを特徴とする請求項9記載の遺伝子修飾細胞。
【請求項11】
請求項1記載の修飾ヒトエリスロポエチン(以下「mhEPO」と称する)を製造する方法において、
(A)前記mhEPOをコードする核酸配列を提供するステップと、
前記核酸配列は、配列番号3,配列番号17,配列番号23を含む組から選択され、
(B)パッケージング細胞のコトランスフェクション・ベクターを構築するステップと、
前記コトランスフェクション・ベクターは、
(B1)レンチウイルス粒子が細胞内へ侵入するのを許すベクター、
(B2)マトリックスタンパク質、キャプシド、プロテーゼ、逆転写酵素とインテグラ-ゼをコードするベクター、
(B3)前記mhEPO配列を含む転移ベクター、
(B4)前記転移ベクターの核外輸送を誘導するベクターのいずれかを含み、
(C)前記パッケージング細胞をコトランスフェクトするステップと、
これにより、前記mhEPOをコードする核酸配列を含むレンチウイルス粒子を生成し、
(D)前記ステップ(C)のパッケージング細胞により生成された前記レンチウイルス粒子を収穫するステップと、
(E)前記mhEPOを発現する細胞を、前記ステップ(D)の前記レンチウイルス粒子で、形質導入するステップと、
(F)前記mhEPOをコードする核酸配列を含む前記ステップ(E)の細胞を選択するステップと、
(G)前記ステップ(F)で選択された細胞を培養するステップと、
その結果それらは前記mhEPOを発現させ、
(H)前記mhEPOを単離し精製するステップと
を有する
ことを特徴とする請求項1記載の修飾ヒトエリスロポエチンを製造する方法。
【請求項12】
前記ステップ(E)において、前記mhEPOを発現する細胞は、以下の(1)~(5)の組から選択される
(1)CHO.K1,(2)HEK293,(3)NSO,(4)BHK-21,(5)HeLa
ことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(H)は、アンチ-rhEPO抗体と溶離剤を含む免疫親和性による精製である
ことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記溶離剤は、以下を含む組から選択される
グリシン、酢酸-NaCl、酢酸塩、クエン酸、リン酸塩、エタノール、イソプロピルアルコール、ジオキサン、エチレンプリコール、Tris-HCl、それらの混合物、
ことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記溶離剤は、グリシン、酢酸-NaClを含む組から選択される
ことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記溶離剤は、以下(1)~(4)を含む組から選択される
(1)0.1Mグリシン(pH=2)、
(2)0.15Mグリシン(pH=2.5)、
(3)0.2M酢酸、0.5MNaCl(pH=3)
ことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項17】
請求項1又は2記載の修飾ヒトエリスロポエチンを治療的に有効な量含み、以下から選択される病状の治療に使われる
アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、運動神経病、ハンチントン病、脊髄小脳萎縮症、クロイツフェルト・ヤコブ病、うつ病と統合失調病を含む障害性疾患、ダウン症を含む発達性障害、脳血管障害による神経組織障害、頭蓋脳外傷
ことを特徴とする医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中枢神経系疾患の治療に有用な神経形成(neuroplastic)能力と神経保護(neuroprotective)能力を有する修飾ヒトエリスロポエチン(修飾されたヒト赤血球生成促進因子:以下「mhEPO」とも称する)に関する。中枢神経系疾患の一例は、脳血管傷害、神経外傷、神経炎症、神経変性症がある。
【背景技術】
【0002】
エリスロポエチン(EPO)は、重要な多面発現の活性(pleiotropic activity)により特徴付けられるI型サイトカイン(cytokine)スーパーファミリーの一部である(非特許文献1)。このサイトカインは、赤血球生成の主要な調節因子の一つであり、他の分子と相乗的に作用し、赤血球系列細胞前駆体(erythroid lineage cell progenitor)の増殖、分化、生存を促進し、循環する赤血球の量を維持する(非特許文献2)。
【0003】
ヒトEPO(hEPO)は、高度にグリコシル化されたタンパク質(highly glycosylated protein)である。その分子量は、30-39kDaの範囲である。これは、3個のコンセンサスN-グリコシル化サイト(consensus N-glycosylation site)と、1個のO-グリコシル化サイト(O-glycosylation site)とを有し、全程度の占有で発生する(非特許文献3)。糖鎖(chain of sugar)は、単糖類(monosaccharides)の可変配列と、可変量のシアリ酸(SA:sialic acid )とから構成される(非特許文献4,5)。N-リンクされた炭水化物は、2つ、3つ、4つのいずれかの分岐(branch)を含み、それぞれの分岐は、負に帯電したSA分子で終わる。その一部として、O-グリコシル化サイトに結合した炭水化物は、最大2つのSA分子を含むことができる(非特許文献6)。
【0004】
グリコシル化、特にN-グリカンのSA端末は、エリスロポエチン(以下「EPO」とも称する)のin vivo の生物学的活性の基本ではあるが、in vitro 受容体結合の基本ではない(非特許文献7,8)。これが、配糖体(glycosidic )の含有量が少ないEPO分子は、EPO受容体(EPOR)に対し高い親和性を有するが、そのin vivo の生物学的活性は、血漿のクリアランス(plasma clearance)の増加により消滅する理由である(非特許文献8)。これらのサイトカインのグリコシル化の程度は、それらの産生効率、受容体への親和性、血漿の半減期、分泌とタンパク質の安定性に影響を及ぼす。
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【文献】米国特許出願公開US2009170759
【文献】米国特許出願公開US2003130197
【文献】米国特許出願公開US2011008363
【文献】米国特許出願公開US2007027068
【文献】米国特許出願公開US2011003744
【文献】PCT出願公開WO2004/043382
【文献】PCT出願公開WO2005/025606(AI)
【文献】PCT出願公開WO2006/127910
【文献】PCT出願公開WO2005/103076
【文献】メキシコ特許出願公開MXPA02011727
【文献】メキシコ特許出願公開MXPA05000063
【文献】スペイン特許出願公開ES2457398(T3)
【文献】アルゼンチン特許出願公開AR055654
【文献】PCT出願公開WO2009/505465
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【0005】
1985年のhEPO遺伝子のクローニング以来、サイトカイン生物学に関する知識は、劇的に変わった。最初の進歩の一つは、以下に述べる分子の新たな生物学的活動の発見である。この分子は、EPOの能力を拡張し、いくつかの重要な生理学的プロセスを含む。最重要なものいくつかは、血管形成(angiogenesis)、動脈抵抗調節、更に重要なものは、細胞保護(celluar protection)である(非特許文献10,11)。EPOの最重要な活性は、造血(hematopoiesis)であるが、EPOと様々な組織内のその受容体と非EPO細胞の存在は、EPOは複数の機能を有するという仮説を確認する。その機能の内最重要なものの一つは、中枢神経系、心臓、腎臓、胃腸系、生殖管、内皮(非特許文献12)に対する細胞保護機能、細胞増殖の促進、血管形成、細胞アポトーシスの阻止である(非特許文献13)。これらの発見は、他の病状の治療に対する臨床における使用の期待を広げた。他の病状の一例は、心臓発作、脳血管発作、神経保護に関連する病気である(非特許文献14)。
【0006】
神経保護は、脳内における細胞の相互作用の維持と回復へのアプローチとして定義でき、神経機能の最大保護となる(非特許文献15)。神経保護の目的は、中枢神経系疾患において、病理学的に、ニューロン(以下「神経」とも称する)喪失を防ぐことである。ニューロン喪失の一例は、脳血管傷害、神経外傷、神経炎症、神経変性である。
【0007】
神経変性疾患は、神経系に影響する疾患群であり、認知障害、行動障害、身体の調節系の変化を引き起こす。これらは、慢性と急性の進行で特徴付けられる。これらの疾患は、パーキンソン病、様々なタイプの認知症、アルツハイマー病、多発性硬化症、ハンチントン病等を含む。これらの疾患は、あらゆる国が直面する社会的/経済的観点から、医療、健康に関する問題を作り出す(非特許文献16)。世界の人口が高齢化するにつれて、神経障害の影響は、先進国と発展途上国の両方で大きくなる。神経障害の負担は、65歳以上の人の割合が増える国においては、かなり大きくなる。アルツハイマー病だけに限ってみても、統計によれば、世界中で、4400万人が認知症を患う。この数字は、2050年には1億1500万人になると予測されている。その理由は、この病気は世界的流行と考えられるからである(非特許文献17-19)。この為、世界中の多くの研究グループが、この種の神経変性疾患を制御する治療を提供する研究に従事している。
【0008】
多くの研究グループの共同研究により、研究が進み、新規で有望な背景をこれらの問題の原因に与え、早い段階での病気の検出に望みをもたらし、疾患を攻撃する具体的な方法が発見されている。しかしこのような努力さえも、この疾患を治す生物療法を特定出来ずにいる。この意味で、医薬品市場は、これらの病気を見つけると、その進行を遅らせるとされる医薬品を提供しているだけであり、その利点は、あまり感じられない。それは、あくまでも新規な治療法を開発する必要があるからである。神経変性疾患が今日提示する健康問題点に対処する成功は、とりわけ、利点と長続きする効果を奏する治療に依存する。治療は、病因又は根底にある疾患に好ましい影響を与えること、疾患の発生を防ぐこと或いは遅らすこと、安全にかつ成功裏に効果的に病状の悪化を遅らせることである。しかし、今度は、大勢の人が入手可能な効率的な医療技術を考え出す必要もある。最近の製薬業界の主な目的は、中枢神経系の多くの疾患の発症における共通のキーポイントを攻撃できる化合物を見いだすことである。これらの疾患の一例は、アポトーシス、酸化ストレス、炎症、代謝機能障害、神経形成の低下である。
【0009】
この研究分野においては、EPOは、非常に重要な役割を果たしている。これは脳内の幅広い細胞応答を発達させる能力があることに起因している。この細胞応答は、細胞の損傷の保護と修復に直接関連する(非特許文献20)。EPOは、神経保護を行うが、これは、抗炎症、抗酸化、抗神経毒性、血管形成、神経再生及び抗アポトーシス機構を介して行われている。
【0010】
これに照らして、EPOの研究のもう一つの非常に重要なことは、赤血球生成の活性と細胞保護生物学的活性に関連する2つ異なる分子サイト(molecular site)を同定することである。これら2つの活性は、サイトカインを2つの異なる受容体系に結合することにより、付与される。2つの異なる受容体系とは、赤血球生成の活性に関与するホモ二量体(homodimeric)受容体(EPOR)2と、細胞活性に関与するヘテロ二量体(heterodimeric)受容体(EPOR-pCR)である(非特許文献21)。これらの発見は極めて重要である。その理由は、これらの発見は、EPOがその生物学的活性を発達させる経路を理解するのに必要な情報を提供するからである。その結果、この情報は、その赤血球生成促進反応と細胞保護生物学的反応の選択的調製を可能とする。しかも、選択されなかった薬剤(EPO又はEPO同族体(analogue))の使用に関連する副作用を回避する目的を維持しながら、行われた。
【0011】
この意味において、EPOは、貧血(anemia)の治療において、安全かつ十分に受け入れられた薬剤として認識されているが、EPOが、脳血管発作又は心臓発作を起こした患者に対し細胞保護剤して使用された時即ち貧血ではない患者に神経保護剤として使用された時は、その血液学的影響(haematological effect)は、副作用と見なされるべきである。その理由は、EPOは、赤血球増加症(polysythemia)、高血圧症(hypertension)、血栓生成促進現象(prothrombotic phenomena)を引き起こすからである(非特許文献22-25)。この理由で、その赤血球生成の役割と細胞保護の役割を選択的に調製するEPO同族体の開発は互いに非常に関連している(非特許文献14)。この目的に従って、様々な戦略が企図され、サイトカインの赤血球生成の活性を打ち消し、その神経保護能力を維持しようとしている。これは、EPO分子への化学修飾の適用又はグリコシド含有量の操作を介して行われる。
【0012】
EPO分子に対し化学修飾(以下単に「修飾」と称する)を採用する戦略に関し、ホモシトルリン残基(homocitrulline residue)を生成する7つのリシン残基(lysine residue)のカルバミル化(carbamylation of seven lysine residues)が評価されている(非特許文献26)。しかし、この方法は、その機能に影響するタンパク質の配座変化(conformation change)を生成してしまう。これらの結果に基づいて、様々な作業グループが、カルバミル化により組換え(recombinant)hEPO(以下「rhEPO」とも称する)を完全に修飾し、CEPOと称する新たな分子を得た。この新たな分子は、細胞保護活性を維持するが、赤血球生成の活性を欠いている(非特許文献26-28)。同時に、所望の目的を達成しその治療効果を維持するためには、高容量かつ多数回の投与が必要である。
【0013】
他方で、修飾は、rhEPOに対しては、シアリ酸(SA)の含有量を操作することにより行われている。2003年に、非特許文献29によれば、EPOグリコシド鎖の末端に存在するSAの残基は完全に取り除かれた。かくして、所謂アシアロ(Asialo)EPOが生成された。この新たなEPO変異種(variant)は、高いin vitro 活性を示す。しかし、そのin vivo 神経保護活性は、rhEPOで得られたものと同等であった。
【0014】
他方で、赤血球生成-刺激性のサイトカインの循環半減期を延ばす目的で、非特許文献6によれば、赤血球生成促進を刺激するタンパク質NESPが開発された。NESPは、hEPOに由来し、2つの追加的なN-グリコシル化サイトを示す。この修飾(modification)は、血漿の半減期とin vivoの赤血球生成能力を3倍に増加させた。
【0015】
糖質(glucidic)含有量の操作に関し、本発明者は、脳(cerebral)EPO(rhNEPO)に似た特性を有するrhEPO変異種を得た。rhNEPOは、rhEPOの酸性度の低いアイソフォーム(isoform)の組み合わせである。このrhEPO変異種は、rhEPOと同等な神経保護活性を示し、4%未満の赤血球生成の活性を示した(非特許文献30)。しかし、rhNEPOの迅速な血漿のクリアランスは、この分子を慢性神経疾患の治療の候補として提案する時は、不都合である。その理由は、この慢性神経疾患の治療は、血漿濃度を、時間単位に渡って維持し、生物学的作用を発揮するのに十分に高い必要があるからである。更に、グリコフォルム(glycoform)の組み合わせが、in vitro 赤血球生成の活性を維持したとしても、この目的を達成する為に、高容量かつ頻繁な投与は、血液学的作用を生み出すリスクを伴い、これは好ましくない副作用と見なされるからである。
【0016】
従来技術は、エリスロポエチンの分子又はそれ由来のペプチドを得る他の多くの努力を記載している。これらは、神経保護活性の存在と赤血球生成の活性の欠如を示す。この点に関し、特許文献1は、植物中に生成されるアシアロエリスロポエチン(アシアロ-rhEPO)を記載している。特許文献2、3、10は、中枢神経系に関連する疾患治療用の、EPO受容体に結合されるペプチトを記載している。
【0017】
特許文献6は、ヒトエリスロポエチン(hEPO)ポリペプチドの変異種を記載している。このhEPOポリペプチドは、複数の異なるEPO修飾領域にアミノ酸の違いがあるアミノ酸配列(sequence)と、強化された赤血球生成の活性を有する。本発明の目的は、複数の異なるEPO修飾領域にアミノ酸の違いがあり、その細胞保護機能に関連する程よい赤血球生成の活性を有するアミノ酸配列を含むエリスロポエチンポリペプチドのヒト変異種(human variant)を得ることである。
【0018】
特許文献4は、EPOの様々な変異種を記載する。この変異種内の1-10個のアミノ酸が、タンパク質のC-末端(C-terminus)で、削除されている。これらは、赤血球生成の活性を低下させ神経保護動作を保存する低分子質量の変異種である。
特許文献5は、グリコペジレート化された(glycopegylated)EPOペプチドを記載する。変異したEPOペプチドの1つは、アミノ酸配列(配列番号73)を有し、以下の組から選択された少なくとも1つの突然変異(mutation)を有する。
Arg<139>からAla<139>、
Arg<143>からAla<143>、
Lys<154>からAla<154>
【0019】
特許文献12は、EPO変異種をコードするポリヌクレオチド(polynucleotide)に関する。
特許文献7は、オリゴ糖を組み込んだ修飾EPOを記載する。修飾EPOは、赤血球生成の活性を増加させ、細胞保護活性を維持する。
【0020】
特許文献8は、赤血球細胞の産出を増やす糖鎖形成即ちグリコシル化(glycosylation)を記載する。同文献には、これは、細胞保護の機能を実行するため、神経変性疾患の治療に有効である旨の記載もある。
【0021】
特許文献13は、神経変性疾患の治療の為に、組換えEPO(rEPO)を記載する。同文献は、グリコシル化サイトを追加する為に修飾アミノ酸を詳述する。下記の残基の修飾が強調されている。87.88,90//30,32,87,88,90//24,87,88,90//38,87,88,90//83,87,88,90。
【0022】
その目的は、グリカンを組み込んで、赤血球生成の活性を増加させ、巡回半減期(circulating half-life)を増加させることである。同様な目的は、特許文献14に開示されている修飾にも存在する。同文献は、追加的なグリコシル化サイトを有するEPOの変異種を記載する。同文献に記載されているサイトの一部は、25,30,51,57,69,88,89,136,138である。加えて、以下の置換が記載されている。
Asn<30>Thr<32> EPO;
Asn<51>Thr<53> EPO;
Asn<57>Thr<59> EPO;
Asn<69>EPO;
Asn<69>Thr<71> EPO;
Ser<68>Asn<69>Thr<71> EPO;
Val<87>Asn<88>Thr<90> EPO;
Ser<87>Asn<88>Thr<90> EPO;
Ser<87>Asn<88>Gly<89>Thr<90> EPO;
Ser<87>Asn<88>Thr<90>Thr<92> EPO;
Ser<87>Asn<88>Thr<90>Ala<l 62> EPO;
Asn<69>Thr<72>Ser<87>Asn<88>Thr<90> EPO;
Asn<30>Thr<32>Val<87>Asn<88>Thr<90> EPO;
Asn<89>Ile<90>Thr<91> EPO;
Ser<87>Asn<89>Ile<90>Thr<91> EPO;
Asn<136>Thr<138> EPO;
Asn<138>Thr<140> EPO;
Thr<125> EPO;
Pro<124>Thr<125> EpO .
【0023】
特許文献9は、偶数個のシステイン残基(cysteine residue)を有するEPO変異種を記載している。偶数個のシステイン残基は、好ましくは4個以下のシステイン残基、更に好ましくは2個以下のシステイン残基である。システイン残基は、7,29,33,161のポジションにあるのが好ましく、更に7と161のポジションにあるのが好ましい。本発明により提供される追加的な変異種は、以下のポジションのいずれかへの追加による任意の突然変異を含む。ポジション6.29.33,45,47,48,49,61,64,74,88,92,107,109,133,135,154,157,158。
【0024】
特許文献5は、EPO形成を記載する。このEPO形成は、酵素修飾されたグリコシド残基を介して、ポリエチレングリコール-共役タンパク質(polyethlene glycol-conjugated protein)、又はポリエタノールアミン-共役タンパク質(poly ethanolamine-conjugated protein)を含み、赤血球生成特性を高める。
【0025】
特許文献11は、組織保護的(tissue-protective)組換えサイトカインを記載する。このサイトカインは、少なくとも骨髄に対する赤血球生成活性を欠いている。この組織保護的組換えサイトカインは、赤血球生成の活性を欠いている。好ましくは、骨髄に対するあらゆる赤血球生成活性を欠いている。この特許文献11は、アミノ酸への変更、即ちEPOの削除又はEPOへの添加が1つ又は複数のアミノ酸に発生している変更を記載している。実施例においては、この組織保護組換えサイトカインは、下記の領域のいずれかで修飾を有する。
VLQRY(天然hEPOのアミノ酸11-15:配列番号1)、
TKVNFYAW(天然hEPOのアミノ酸44-51:配列番号2)、
SGLRSLTTL(天然hEPOのアミノ酸100-108:配列番号3)、
SNFLRG(天然hEPOのアミノ酸146-151:配列番号4)。
他の突然変異は、配列番号10のアミノ酸7,20,21,29,33,38,42,59,63,67,70,83,96,126,142,143,152,153,155,156,161で与えられる。
【0026】
これら他の突然変異は、上記した領域の突然変異にとって独自のもの或いは追加されたものである。ある実施例においては、上記のTKVNFYAW(天然hEPOのアミノ酸44-51:配列番号2)のアミノ酸内の変化は、部分的機能(即ちrhEPOよりも赤血球生成の活性度が低いという機能)を有する修飾EPOとなる。他の実施例では、上記のSGLRSLTTL(天然hEPOのアミノ酸100-108:配列番号3)のアミノ酸内の変化においては、グリカンを欠く分子又はシアル酸の修飾、酸化/還元のような炭水化物の修飾、化学修飾を伴う変位種の存在がある。化学修飾の一例は、ニトロ化(nitration)、アシル化(acylation)、スクシニル化(succinylation)、ビオチン化(biotinylation)、ヨウ素化(iodination)、カルバミル化(carbamylatio)である。それを減らす又は阻止することを目的として、赤血球生成の活性の原因となるサイトに新たなグリカンを追加することについての言及はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従来技術に記載された今日までの努力/成果では、神経保護活性の存在と赤血球生成の活性の不存在を示すEPOを得ることに成功していない。これに対し、本発明は、神経保護効果と神経親和性効果を示す新規のhEPOムテインを提示する。本発明のhEPOムテインは、hEPO分子を修飾する独自の方法により得られる。この修飾は、hEPO分子領域に、N-グリコシル形成用の新たなコンセンサス・サイト(consensus site)を生成することにより、行われる。このhEPO分子領域は、ホモとヘテロ二量体受容体への結合に関与している。ところが、この新たなhEPOムテインは、赤血球生成の活性は欠くが、神経保護活性と神経形成活性は、変わらない、又は改善さえしている。その結果、薬物動態特性の改善を示す。元のEPOの修飾は最小であるので、天然のタンパク質の構造と類似性を保持できる。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本明細書が記載する修飾ヒトエリスロポエチン(hEPO)は、赤血球生成の活性が存在しないか減少しており、血漿の半減期が長い。好ましくは、この赤血球生成の活性の減少割合は、hEPOに比較して最大0.5%である。血漿の半減期が長いことにより、神経保護能力と神経形成能力を維持できる。この修飾ヒトエリスロポエチンのホモ又はヘテロの二量体受容体のいずれかへの結合は、部分的に又は完全に無効に又は取り消される。この無効化は、N-グリコシル形成用のコンセンサス・サイトを組み込むことによるホモ又はヘテロの二量体受容体への結合サイトのいずれかの突然変異を含む。
【0029】
本発明の一実施例によれば、修飾ヒトエリスロポエチンは、
Tyr15AsnとLeul7Thrの突然変異を有し、配列番号(SEQ ID)2を含む。
本発明の一実施例によれば、修飾ヒトエリスロポエチンは、
Lys45AsnとAsn47Thrの突然変異を有し、配列番号4を含む。
本発明の一実施例によれば、修飾ヒトエリスロポエチンは、
Glu62AsnとTrp64Thrの突然変異を有し、配列番号8を含む。
本発明の一実施例によれば、修飾ヒトエリスロポエチンは、
Gln65AsnとLeu67Thrの突然変異を有し、配列番号10を含む。
本発明の一実施例によれば、修飾ヒトエリスロポエチンは、
Glu72AsnとVal74Thrの突然変異を有し、配列番号12を含む。
本発明の一実施例によれば、修飾ヒトエリスロポエチンは、
Arg76AsnとGln78Thrの突然変異を有し、配列番号14を含む。
本発明の一実施例によれば、修飾ヒトエリスロポエチンは、
Ala98AsnとSer100Thrの突然変異を有し、配列番号16を含む。
本発明の一実施例によれば、修飾ヒトエリスロポエチンは、
Serl04Asnの突然変異を有し、配列番号18を含む。
本発明の一実施例によれば、修飾ヒトエリスロポエチンは、
Thrl06AsnとLeu108Thrの突然変異を有し、配列番号20を含む。
本発明の一実施例によれば、修飾ヒトエリスロポエチンは、
Leul49Thrの突然変異を有し、配列番号22を含む。
本発明の一実施例によれば、修飾ヒトエリスロポエチンは、
Glyl51AsnとLeul53Thrの突然変異を有し、配列番号24を含む。
【0030】
本発明の修飾ヒトエリスロポエチンは、赤血球生成の活性をヒトエリスロポエチンと比較して最大1%しか有さない。好ましくは、赤血球生成の活性をヒトエリスロポエチンと比較して最大0.5%しか有さない。更に好ましくは、赤血球生成の活性をhEPO比較して最大0.2%しか有さない。
【0031】
他方、本発明は、本発明のエリスロポエチンのヌクレオチド配列を含む核酸を記載する。記載され生成されたムテインのそれぞれをコードするDNA配列の概要を説明する。これらのDNA配列は、以下のいずれかである。配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23。本発明の他の実施例によれば、これらの核酸は、細胞を形質変換するベクター、発現ベクター、レンチウイルス・ベクターのいずれかである。
【0032】
本発明の一実施例によれば、修飾ヒトエリスロポエチンをコードする核酸配列は、以下のいずれかである。
配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23。
【0033】
本発明は、以下の組から選択された任意のDNA配列を有する遺伝子修飾細胞を記載する。配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23。この遺伝子修飾細胞は、本発明の修飾ヒトエリスロポエチンを発現できる。一実施例によれば、この遺伝子修飾細胞は、植物細胞、動物細胞、N-グリカンの追加ができる細胞宿主のいずれかである。好ましくは、この細胞は、動物細胞株に由来する。好ましくは、この細胞株は、下記を含む組から選択される。CHO K1、HEK293,NSO,BHK-21、HeLa。
【0034】
他方、本発明は、修飾ヒトエリスロポエチン(mhEPO)を得る方法を記載する。
本発明のmhEPOを製造する方法は、以下のステップ(A)~(H)を有する。
(A)前記mhEPOをコードする核酸配列を提供するステップと、
(B)パッケージング細胞のコトランスフェクション・ベクターを構築するステップと、
(C)前記パッケージング細胞をコトランスフェクトするステップと、
これにより、前記mhEPOをコードする核酸配列を含むレンチウイルス粒子(以下「lvp」と称する)を生成し、
(D)前記ステップ(C)のパッケージング細胞により生成された前記lvpを収穫するステップと、
(E)前記mhEPOを発現する細胞を、前記ステップ(D)からの前記lvpで、形質導入するステップと、
(F)前記mhEPOをコードする核酸配列を含む前記ステップ(E)の細胞を選択するステップと、
(G)前記ステップ(F)で選択された細胞を培養するステップと、
その結果それらは前記mhEPOを発現させ、
(H)前記mhEPOを単離し精製するステップと
【0035】
前記ステップ(A)において、前記核酸配列は、以下の組から選択される。
配列番号1,配列番号3,配列番号7,配列番号9,配列番号11,配列番号13,配列番号15,配列番号17,配列番号19,配列番号21,配列番号23。
【0036】
前記ステップ(B)のベクターは、以下のベクター(1)~(4)のいずれかを含む。
(1)前記lvpが細胞内へ侵入するのを許すベクター、
(2)マトリックスタンパク質、キャプシド、プロテーゼ、逆転写酵素とインテグラ-ゼをコードするベクター、
(3)前記mhEPO配列を含む転移ベクター、
(4)前記転移ベクターの核外輸送を誘導するベクター。
前記ステップ(E)において、前記細胞は、以下の(1)~(5)からなる組から選択される。
(1) CHO.K1,(2)HEK293,(3)NSO,(4)BHK-21,(5)HeLa。
【0037】
前記溶離剤(eluent)は、以下を含む組から選択される。グリシン、酢酸-NaCl、酢酸塩、クエン酸、リン酸塩、エタノール、イソプロピルアルコール、ジオキサン、エチレンプリコール、Tris-HCl、それらの混合物。
更に、前記溶離剤は、グリシン、酢酸-NaClを含む組から選択される。
前記溶離剤は、以下を含む組から選択される。0.1Mグリシン(pH=2)、0.15Mグリシン(pH=2。5)と、0.2M酢酸、0.15MNaCl(pH=3)。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】サイト特異的突然変異誘発(site-directed mutagenesis)を介して12個のhEPOムテインを得る一連のステップのスキームを表す図。
図2a】アガローズゲル(agarose gel)を使用したPCR1で得られたフラグメントの解析を表す図。PCR1:ポイント突然変異を導入する。
図2b】アガローズゲル(agarose gel)を使用したPCR2で得られたフラグメントの解析を表す図。PCR2:hEPOムテイン配列の合成
図3】IEDBデータベースを利用して、hEPOムテインと不修飾(unmodified)の分子の潜在的な抗原性のin silico 分析を表す図。潜在的に弱い/少ない抗原性、潜在的に強い/多い抗原性、抗原性(in silico)
図4】新規なN-グリコシル化サイトの挿入を確認するWestern Blot.を表す図。
図5】ELISAサンドウイッチ技術によりrhEPO分子とそのムテインの溶出能力(elution capacity)を表す図。縦軸:タンパク質の結合、横軸:溶離溶液■:プロトコルA(錯体Ag-Acの形成後の溶出能力)■:プロトコルB(mAbを様々な溶離剤で処理した後の目的の分子への結合能力の保存の程度)
図6】mAb2B2を用いた免疫親和性クロマトグラフィー(IAC)を介したhEPOムテインMut104の精製を示す図。A-hEPOムテインMut104の精製中に得られた完全なクロマトグラムB-クロマトグラムA溶離剤のスケール-アップ
図7】免疫親和性クロマトグラフィー(IAC)を介したムテインMut104精製の評価を表す図。ただし0.15Mグリシン(pH2.5)を溶離液として使用した。サンプル:1-接種、2-フロウスロウ(flowthrough)、3-第1回洗浄、4-第2回洗浄、5-第3回洗浄、6-溶出フラグメントの混合、7-rhEPO標準(Zellitek S.A.社製)
図8】hEPOムテイン免疫親和性クロマトグラフィー(IAC)を通過させた後に得た溶離剤の純度分析を示す図。サンプル:1-分子量マーカー,2-rhEPO標準(Zellitek S.A.社製)3-溶出液Mut45 47、4-溶出液Mut104,5-溶出液Mut151 153
図9】hEPOムテインの見かけの分子量の決定を示す図。MM:分子量マーカー
図10】免疫親和性クロマトグラフィー(IAC)により精製されたhEPOムテインのIEFを表す図。サンプル:1-Mut45,47、2-Mut104,3-rhEPO標準(Zellitek S.A.社製)
図11】rhEPOとそのムテインに対し得られたECZ電気泳動図(electropherogram)。A:Mut45 47、B:-Mut104,C:rhEPO。用語「ピーク」とは、ECZ電気泳動図に割り当てられた各ピークに対応する。用語「面積(%)」とは、各ピークの曲線下の領域を積分して計算された各アイソフォームの割合(%)で表示される。
図12a】hEPOムテインのin vitroで評価された特定の赤血球生成の生物学的活性の比較。
図12b】hEPOムテインのin vivoでの赤血球生成の生物学的活性の評価。hEPOムテインのin vivoは、血液正常状態(normocytemic)のマウス(n=4)で評価された。このマウスは、rhEPO質量又はhEPOmutで処理した(アプロプリエイト)、或いはPBSで処理した(対照)。処理後の網状赤血球(reticulocyte)の割合(%)を各処理について定量化した。***p<0.001とns(有意ではない)は、ANOVA検定とポストANOVATukey 検定(n=4)の後の統計的有意性の程度を表す。
図13】rhEPOとMut104の細胞/神経保護活性を表す。これは、神経起源のSH-SY5Yの細胞培養物を用いて行った。縦軸:細胞毒性(CSTPに比較した%)CSTP:スタウロスポリン(staurosporine STP)を添加した対照、Ccel:細胞対照(STP又はムテインの添加なし)、*p<0.05と**p<0.01は、ANOVA検定とポストANOVADunnet 検定(n=3)の後の統計的有意性の程度を表す。
図14】海馬ニューロンの一次培養におけるニューロン発達の代表的な図。
図15a】ネズミのN2a細胞を介しての神経細胞突起形成の評価。分析されたグループの各々の代表的画像を表す図。
図15b】ネズミのN2a細胞を介しての神経細胞突起形成の評価。神経細胞突起のパラメーター(平均長さ、最長の神経細胞突起の伸長、ニューロン(神経単位)当たりの神経細胞突起の平均数)の評価から得られたグラフ表示。*p<0.05と**p<0.01は、ANOVA検定とポストANOVABonferroni検定(n=3)の後の統計的有意性の程度を表す。
図16】ラット胚(rat embryo)からの海馬ニューロンの一次培養物を用いた糸足(filopodia)密度の評価。*p<0.05と**p<0.01は、ANOVA検定とポストANOVABonferroni検定(n=3)の後の統計的有意性の程度を表す。
図17】ラット胚からの海馬ニューロンの一次培養物を用いたシナプス(synapse)形成の評価。*p<0.05と***p<0.001は、ANOVA検定とポストANOVABonferroni検定(n=3)の後の統計的有意性の程度を表す。
図18】in vitro (DIV)の培養物の11日間の一次天然培養に対する、hEPOムテインの赤血球生成の生物学的活性の評価。縦軸:アポトーシス(%)hEPOムテイン(Mut)のin vitroの神経保護活性は、11日(DIV)のSprague-Dawlet ラットの海馬ニューロンの一次培養物で評価された。培養物は、等量のrhEPO又はムテインをアプロプリエットとして、pBSを対照として、処理された。その後、アポトーシス(apotosis)が、STPによる培養(incubation)により導入された。免疫蛍光法(immunofluorescene)が、Hoescht and Phalloidin-FITC 試薬で実行され、アポトーシス核の割合(%)が分析された。***p<0.001と**p<0.01とns(有意ではない)は、ANOVA検定とポストANOVABonferroni検定(n=3)の後の統計的有意性の程度を表す。
図19】表Iを示す。
図20】表IIを示す。
図21】表IIIを示す。
図22】表IVを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
従来技術で説明したように、本発明の目的は、様々な戦略を立て、サイトカインの赤血球生成の活性を減少させるが、その神経保護能力と神経形成能力を維持することである。このことは、化学修飾の分子への応用又はそのグリコシド含有量の操作に基づく。しかし、従来技術の文献は、グリコシル化(「グリコシル形成」とも称する)の使用を、EPOの原因となる相互作用に関与する分子部分の阻止機構として、記載していない。
【0040】
その為、本発明は、以下のことを同時に達成しながら、従来技術の問題点を解決する新たな修飾EPOを提供することである。
*神経保護に関連する治療を必要とする患者に対しhEPOの赤血球生成の機能の停止/阻害。この治療では、EPOは有害な影響を及ぼす。
*hEPOの半減期の延長。これにより、in vivo 生物学的活性を改善し、投与回数の減少をもたらす。
【0041】
従って、本発明は、hEPO由来の高グリコシル化(hyperglycosylated)されたムテインの使用を含む。この使用は、疾患の予防又は治療、或いはこのような疾患を患う遺伝子の疾病素因の予防に用いられる医薬組成物の調製を目的とする。この治療では、神経形成又は神経保護は有益な利点を有する。本発明の薬剤は、(1)神経変性病、(2)運動神経疾患、(3)能力傷害、(4)発達障害、(5)神経障害の患者に投与できる。
神経変性病(1)の一例には、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)がある。運動神経疾患(2)の一例には、ハンチントン病、脊髄小脳萎縮症、クロイツ-ヤコブ病がある。能力傷害の(3)一例には、うつ病、精神分裂症がある。発達障害(4)の一例には、ダウン症がある。神経障害(5)の一例には、脳欠陥事故、頭蓋脳外傷がある。
【0042】
本明細書において、「ムテイン」とは、サイト特異的突然変異(site directed mutation)による修飾タンパク質を意味する。このサイト特異的突然変異は、アミノ酸残基の1つ又は2つの置換を含み、コンセンサス・サイトと潜在的サイト(potential site)を導入してN-グリコシル化する。
【0043】
N-グリコシル形成用のコンセンサス・サイトの形成又は追加は、問題の分子のサイト(site)又は領域(region)におけるアミノ酸の突然変異を含む。グリカンの添加を行う細胞にとって、Asn-Xaa-Ser/Thrサイトが存在することが必要である。ここでXaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である。この為、Asn残基がこのサイト(N-グリコシル化サイトを添加したいサイト)に存在すると、Asnに対し+2のポジションにあるアミノ酸は、Thrに突然変異する。これは、Serと比較すると、遙かに効率的である。その結果、Asn残基はグリカンに占有される。別の方法により、修飾されるべきサイトが、+2のポジションにアミノ酸を有すると、Ser又はThrの存在の証明になるが、このアミノ酸はAsnに突然変異する。即ち保守的な変化(conservative change)が常にある。
【0044】
本発明は、以下の(i)-(iii)が達成できるアミノ酸構造の修飾を有するhEPOを開示する。
(i)分子コンフォメーション(立体配座)用に或いは神経保護/神経形成の活性の発達の為に必須のサイトを構成するアミノ酸残基の保存。
(ii)赤血球生成の活性の無効又は停止で提案されたアミノ酸の修飾。
(iii)N-グリコシル形成用のコンセンサス・サイトの生成。
【0045】
12個のhEPOムテインが構築された。これらのムテインには、1又は2つのアミノ酸の修飾が実行され、N-グリコシル形成用のコンセンサス・サイトが組み込まれ、赤血球生成(造血)活性が無効され、神経保護/神経形成の活性が保存され、優れた血漿の半減期を持つ突然変異体(mutant)が得られる。
【0046】
本発明の分子を得るために実行されたアッセイを以下に記載する。これらのアッセイは、本発明の一実施例である。
【0047】
1.赤血球生成促進活性を無効にし、神経保護/神経形成の活性動作を保存するhEPO由来のムテインの設計と入手。
26個のオリゴヌクレオチド(origonucleotide)を設計した。その内2個は、新たな完全なEPO配列を増幅し、残りの24個(順方向と逆方向のオリゴヌクレオチド)は、12個のポイント突然変異を導入する。
【0048】
本発明によれば、修飾は、所定の位置(position:以下「ポジション」とも称する)のアミノ酸を、同位置にある別のアミノ酸で置換することと解釈される。そのため、下記の突然変異1を例にとると、位置45のリジン残基(lysine residue)が同位置のアスパラギン残基へ変化するものと解釈され、位置47のアスパラギンが同位置のスレオニン(threonine)へ変化するものと解釈される。
突然変異1: (Lys45 -^Asn45) + (Asn47 -^Thr47)
サイト特異的突然変異誘発(site-directed mutagenesis)によるhEPOムテインの生成の方法の概要を、図1に示す。
【0049】
hEPO DNAをテンプレートとして、各突然変異体のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドpMATEPOF(GCCGTGAAGGCCACGTGTCTTGTCCA)、オリゴヌクレオチドPMATEPOR(AGGCCAGTCTTGTGCTCCAGGTACCG)を用いて、これらのオリゴヌクレオチドはhEPO配列の末端に相補的に結合するが、1回目のPCRを実行して、前記突然変異の各々を導入し、24個のフラグメントが得られた。これは12個のhEPOムテインに対応する。12個の合成されたhEPOムテインのヌクレオチド配列とアミノ酸配列を段落0115に示す。
【0050】
これらを図2aに示す。これらのフラグメントをテンプレートとして用いて、2回目のPCRを実行する。この2回目のPCRは、12個の突然変異体の配列を得るために、hEPOの端末に結合するオリゴヌクレオチドのみを使用する(図2b)。このPCR後、12個のhEPOムテインに対応する産物を、制限酵素Xbal/Sall(hEPO分子をフランク(flank)する)で消化し、pLV-PLKベクター内でクローニングされ、同じ制限酵素で消化した。上位10個の細菌は、アンピシリン(ampicillin)により形質転換され選択された。各hEPOムテインの3-4個のコロニーは、培養液で増幅され、プラスミドDNAのミニ調製を行った。その後、hEPO配列内に存在するがベクター配列内には存在しないサイトの制限酵素消化により、挿入(insert)の存在を確認した。最後に、プラスミドDNAのミニ調製物の配列を決定し、hEPO分子上で行われる突然変異の挿入を確認した。
【0051】
2. ^2_^^i2ico_^^nal^sis__o^_^2EPO_^rvuteins_J3otential antigenicity
IEDBデータベース(Immune Epitope Database and Analysis Resources)を用いて、シリコ分析(silico analysis)を実行し、hEPOムテインの潜在的な抗原性と不修飾分子のそれとを比較した。それら全てについて、Tエピトープの予測を、Class II Major Histocompatibility Complex (MHCII)で認識されたものだが、世界で最も代表的な8個の対立遺伝子(allele)(下に示す)を分析することにより、実行した。
(HUMAN, HLA-DR: DRB1*01.01, DRB1*03.01, DRB1*04.01, DRB1*07.01, DRB1*08.01, DRB1*11.01 , DRB1*13.01, DRB1*15.01).
抗原性スコアが、各hEPO変異種に対し得られ、それぞれがhEPOに対し得られたスコアと比較された。それらの潜在的な抗原性の程度を図3に示す。hEPOと同レベルの2つのムテイン(Mut98 100と、Mut151 153)が観測された。より大きな潜在的な抗原性を持つ2つのムテイン(Mut72 74と、Mut62 64)が観測された。最後に、より小さな潜在的な抗原性を持つ8つのムテイン(Mut45 47と、Mut49と、Mut15 17と、Mut65 67と、Mut49と、Mut76 78と、Mut104と、Mut106 108)が観測された。これら最後の2つは、抗原性が低いものである。
【0052】
3. Qbtaininc^_cel^_^lines_^tha^_joroduce_^the_^rientioned muteins
レンチウイルス粒子を組み立てて、その後CHO.K1細胞を形質導入(transduce)した。このため、HEK293 T/17細胞(パッケージング細胞)を4つのベクターでコトランスフェクト(co-transfect)し、12個のムテインの各々に対し、対応するレンチウイルス粒子を生成した。これらの4つのベクターは、(1)pREV,(2)pVSVG、(3)pMDL,(4)転移ベクター(transfer vector)pLV-PLK-MutXである。
(1)pREVは、転移ベクターの核外輸送とそのパッケージングを誘導する。
(2)pVSVGは、VSVエンベロープGタンパク質(ウイルス粒子の細胞内への移送に必要なもの)をコードする。このGタンパク質は広い親和性(tropism)を有する。
(3)pMDLは、以下のいずれかをコードする。発現ベクターをパッケージ化できるマトリックスとキャプシドタンパク質(capside protein)、プロテーゼ、逆転写酵素(reverse transcriptase)、組み込み酵素(integrase)(構造要素の分解の為と細胞ゲノム内に組み込む為に必要な酵素)
(4)転移ベクターpLV-PKL-MutX内では全てのウイルス遺伝子は除去され、本発明のhEPOムテインに対応する目的の遺伝子で置換される。
HEK293T/17細胞のトランスフェクション後の2日目に、mutXレンチウイルス粒子を含む各細胞の上清を収穫した。これは、CHO.K1細胞を形質導入するのに使用された。かくして、12個のCHO.K1mutXhEPOラインが得られた。72時間後、この上清を収穫し、保存し、後で特徴付けをした。同様に、安定した組換え細胞ラインを生成するために、それらは、ピューロマイシン抗生物質(puromycin antibiotic)を増量して圧縮し、導入遺伝子(transgene)を組み込む細胞を選択した。圧縮された細胞ラインは、増殖され、極低温混合物(90%(v/v)FBS,10%(v/v)DMSO)内に凍結保存され、液体窒素タンク内に保存された。
【0053】
最初に、サンドイッチELISA技術とhEPO分子に特異な抗体を介して、濃度を決定したが、これは形質導入により得られた細胞ラインの培養を利用した。モノクロナール(monoclonal)抗体を捕捉(capture)として用い、ウサギポリクロナール抗体を用いて検出した。どちらのタイプの抗体も本出願人の研究所で開発した。得られた濃度(表I)は、研究を継続するのに十分であると考えられた。
【0054】
更に、培養上清を、Western Blot 技術で、ポリクロナール(polyclonal)抗体を用いて、分析し、全てのhEPOムテインを検出した。この方法により、このムテインは、不修飾のhEPOと比較すると、より大きな分子量を示すことが視覚化できた。このことは、分子構造内への新たなN-グリコシル化サイトの挿入に一致する(図4)。
【0055】
同様に、等電気収束法(isoelectric focusing method)を実行し、その後にWestern Blot 分析を実行して、CHO.K1細胞培養上清内で発現したhEPOムテインの各々内のグリコアイソフォーム(glycoisoform)の数を調べた。調べた12個のムテイン中11個で得られたアイソフォームの数は、不修飾のhEPOのそれより多かった。即ち、このアイソフォームの数は8-16個であり、これに対し、不修飾のhEPOの培養上清には7個のアイソフォームが観測された。
【0056】
本発明のhEPOは、赤血球生成の活性が低いかほぼ無く、神経保護/神経形成の潜在的な候補として使用された時は、サイトカインによる副作用を回避できる。この為、前記のin vitro 活性が、TF-1細胞(その繁殖又は増殖がhEPOの存在に依存する)を用いて研究された。赤血球生成の活性を測定する為に、これらの細胞の増殖を、公知の生物学的活性を有するhEPO標準で96時間刺激した後、評価した。開発されたhEPOムテインの全て(ただし赤血球生成の活性を維持するMut49は除く)は、市販されているhEPO標準と不修飾EPO分子と比較すると、赤血球生成の活性はほぼ無いか少なくなっていることを、明らかに示していた。結果を表Iにまとめてある。
NDA:活性は検出不可能;
rhEPO:組換えヒトEPO;
Mut:ムテイン;
表I:hEPOムテインの特徴、サンドイッチELISAによる培養上清内の濃度の定量化、等電気収束法で測定されたアイソフォームの数の評価、不修飾分子と比較した割合(%)で表されたin vitro 生物学的活性の決定
【0057】
本発明は、所定位置にN-グリコシル化に感受性のあるサイトを含むhEPOムテインを提供する。前記の所定位置とは、細胞保護の生物学的活性を無効にはしないが、造血の活性(hematopoietic activity)を無効にする。それらは、CHO.K1細胞培養上清で発現しその後特徴付けられた。それらの全ては、より高程度のグリコシル化を示し、血漿の半減期を伸ばすN-グリコシル化の追加的サイトを含める目的を達成する。同様に、その分子になされた修飾は、造血の生物学的活性に対する影響を有し、この影響を大部分のムテインで無くすか、或いは残りでそれを劇的に減少させることが、確認された。
【0058】
4 . Purificatio ^_o^j2EPO^derive^j vuteins_Jo^^ r] rvunoaffinit^ chromatography
本発明のムテインの精製プロセスを次に示す。このプロセスを理解しやすくする為に、次のムテイン(Mut45 47,Mut104,Mut151 153)を実施例として示す。このプロセスは、免疫親和性(IA)精製のスキームによる。最初に、IAマトリックスで行われたプロセスと等価なプロセスを模擬した(プロトコルA)。この目的は、本出願人の研究所で開発された抗rhEPOモノクロナール抗体で捕獲された高グリコシル化されたEPOムテインの各々を溶離する最も好ましい条件を確立することである。上記に基づいて、サンドイッチELISAアッセイが実施され、hEPO誘導体の比率を定量化した。このhEPO誘導体とは、抗原-抗体複合体(antigen-antibody complex)を各溶離条件(elution condition)に曝した後でもmAb2B2に結合を維持しているものである。同様に、IAマトリックスの将来の再使用の手順の観点から、溶離溶液の抗体に対する影響/効果を評価した(プロトコルB)。これは、溶離溶液がhEPOムテインへの結合能力に影響するかを決定するためである。
以下の溶液1~22の溶離用量を評価した。
1.グリシン0.1M pH2,
2.グリシン0.15M pH2.5,
3.酢酸0.2M、NaCl0.15M pH2.5,
4.グリシン0.15M pH3,
5.クエン酸0.1M pH3,
6.酢酸0.2M、NaCl0.15M pH3,
7.グリシン0.15M pH3.5,
8.酢酸ナトリウム0.1M pH4,
9.酢酸ナトリウム0.1M/ジオキサン10%(v/v)pH4,
10.酢酸ナトリウム0.1M pH5,
11.リン酸ナトリウム0.1M pH6,
12.リン酸緩衝食塩水(PBS)pH7中のイソプロピルアルコール40%(v/v)
13.PBSpH7,
14.PBSpH7中のエタノール40%(v/v)、
15.PBSpH7中のジオキサン10%(v/v)、
16.PBSpH7中のエチレングリコール40%(v/v)、
17.トリス/HCl0.1M pH8,
18.グリシン0.1M pH9,
19.グリシン0.1M pH10,
20.グリシン0.1M pH11,
21.リン酸ナトリウム0.1M pH11,
22.リン酸ナトリウム0.1M pH11.7
【0059】
PBSで処理した抗原-抗体複合体に対し得られた吸光値を、対照とした。これは、抗原-抗体複合体の100%の形成を仮定した、即ちrhEPO又はそのムテインの吸収は無いものと仮定した。プロトコルBでは、PBSで処理した(即ち、Ag-Ac錯体(Ag-Ac complex)の形成前の)抗体に対し得られた吸光値は、研究中の分子への抗体の結合能力の保存の対照とした。その結果、テストされた溶液の残りに対し得られた結果は、PBSで評価された対照と比較して表された(図5)。
【0060】
全ての場合において、グリシン0.1M pH2(溶液1)の条件が、他の溶液と比べて、抗原に対する脱着能力が、最も高いことが観測された。しかし、前記複合体の形成能力は、それによる前記処理の後、大幅に減少した。そのため、免疫親和性クロマトグラフィ(IAC)でのこの溶離剤の使用は、都合が悪い。その理由は、それは、クロマトグラフィ・マトリックスの再使用に影響を及ぼすからである。
【0061】
他方で、このアッセイにより、IACで使用する候補として2種類の溶離剤溶液(グリシン0.15M pH2.5(溶液2)と、酢酸0.2M、NaCl0.15M pH3(溶液6))の選択が可能となる。両方の溶液は、Ag-Ac錯体を解離し、目的のタンパク質を除去することができ(表II)、更に、それらによる前の処理の後、抗原に結合する抗体の能力に影響を与えることはない。
表II:選択された溶離剤溶液を考慮したhEPOムテインの溶出
(1)グリシン0.15M pH2.5
(6)酢酸0.2M、NaCl0.15M pH3
【0062】
IA(免疫親和性)樹脂で使用される2B2mAbは、タンパク質A親和性クロマトグラフィで予め精製され、炭酸塩溶液(carbonate solution)に対し透析された。その後、樹脂CNBr-活性化されたセファローズ(Sepharose)4Bがカップリングされた。このカップリングの程度は、溶液内の免疫グロブリン(immunoglobulin)の濃度を測定することにより、計算された。この測定実施時は固定化反応の前後を問わない。その結果、96%になった。かくして、理論的用量は、ゲルml当たりrhEPO481μgであった。
【0063】
図6は、ムテインMut104の精製のクロマトグラフィ・プロファイルの一例を示す。これは、グリシン溶離剤溶液0.15MpH2.5を用いた、
【0064】
サンドイッチELISA技術を用いて、それぞれのクロマトグラフィ・プロセスで、様々なフラクション(fraction)(フロースルー、洗浄、溶出)において、hEPOの変異種(variant)の存在を評価し、プロセスの性能を分析するパラメーターを計算した。
【0065】
精製に対し得られた結果を表IIIに示す。動的条件下では、プレート上で評価された静的条件下に比較して、いくらかの差が、目的とするタンパク質の回収効率について、見られた。pH2.5溶液での溶出は、ムテインMut104とMut151 153に対しては、pH3の溶液と比較すると、回収効率が上がっていた(それぞれ、54%対19%と55%対21%)。他方、ムテインMut45 47変異種に対しては、より良好な回収率(49%対34%)が、pH3の溶液で得られた。
SolI:酢酸0.2M、NaCl0.15M pH3:溶液6
SolII:グリシン0.15M pH2.5:溶液2
表III:hEPOムテインのIACを介した精製パラメーター
【0066】
ムテインMut104のクロマトグラフィ・プロセスの様々なステップをSDS-PAGEで分析し、その後Coomassie Brilliant blue dyeで着色した(図7)場合、サンプル中に存在する大部分の汚染物質は、残っておらず、フロースルー、洗浄の一部であったことが観測された。その為、高純度のものが得られた。これは図7のレーン6で観測される。
【0067】
IACは、目的のタンパク質を高い効率で回収できなかったが、hEPOムテインの精製にとっては最適であった。その理由は、出発時のサンプルに対し37-90倍の精製を可能にし、高純度となり、一回のクロマトグラフィ・ステップで可能だからである。
【0068】
hEPOムテインのそれぞれに対応する溶出液の純度評価は、バンド・デンシトメオリ(band densitometry)により、行われた(図8)。
【0069】
電子泳動操作(electrophoretic run)の前に、サンプルを75-80倍に濃縮した。これは、10kDaカットオフ点を有する透析濾過カートリッジ(diafiltration cartridge)を用いて行った。得られた純度は、全てのムテインに対し89%以上であった(表IV)。これは、IA精製手順にとって、特徴的な値である。
表IV:各IACから得られた溶離剤の純度
【0070】
このIACの結果は、hEPOムテインの高純度を示し。これは、以下のテストで使用するに適したものと考えられる。かくして、このIACは、本発明のhEPOムテインの適切で簡単で実際的な精製方法として確立された。
Ph^sicochemica^_characterizatioi^_o^j2EPO_jivuteins
【0071】
5.1 様々なhEPOムテイン見かけ上の分子量の決定
図9は、IACで精製したムテインのWestern Blot を示す。これを用いて、既知の分子量マーカーを用いて、このムテインの分子量を計算した。
hEPOの高グリコシル化されたムテインの見かけの分子量の決定は、各マーカーが移動する距離の変動曲線上の各変異種に応じたバンドの前フロントと後フロントの移動距離を、分子量の対数に応じて、補間することにより、実行した。
各変異種に対し計算された見かけ上の分子量は以下である。
Mut45-47:34-66kDa
*Mut104:29-66kDa
*Mut151-153:35-45kDa
rhEPO:31-43kDa
この決定は、追加的なN-グリコシル化サイトをhEPO分子に組み込むことに成功したことを確認するものである。その理由は、ムテインは、平均で、不修飾のhEPOの分子量より大きい分離量を表すからである。
【0072】
5.2 IEFによるアイソフォーム・プロファルの決定
グリコシル化によるhEPOの不均一性特にシアル酸残基の量を評価する為に、サンプルはIEFにより評価され、hEPOの高グリコシル化された変異種を作り出す様々なPIを有するアイソフォームを決定した。
【0073】
図10は、Mut45-47変異種を作り出す13個のアイソフォームと、Mut104変異種の14個のアイソフォームと、rhEPO標準用の6個のアイソフォームを示す。このrhEPO標準は、赤血球形成(erythropoiesis)に好ましい生物学的治療剤として生成されるホルモンである。そこには、hEPO分子の最も強い酸性のアイソフォームが多く存在する。このアイソフォームは、4つのクロマトグラフィのステップで展開された精製プロセスの後得られたものである。更に、Mut45-47とMut104のムテインは、rhEPOアイソフォームより、5-7個多い酸性アイソフォームが見られ、前記分子中ではシアル酸のより多い含有量を表している。
【0074】
見かけ上の分子量の決定で得られたデータは、IEFからのデータと共に、以下を確認する。生成されたムテインは、rhEPOと比較すると、グリコシル化のより高いレベルを有する。
【0075】
5.3IAC-精製されたhEPOムテインの毛細領域電気泳動法(CZE:Capillary Zone Electrophoresis)の手段によるアイソフォーム・プロファイルの分析:
【0076】
CZEを用いて、本出願の実施例と見なされる各hEPO変異種のアイソフォームを決定した。このプロセスは、hEPOムテインのIAC精製から得られたサンプルに対し、実行された。このサンプルは、水でダイアフィルターされ(diafiltered )、約1mg/mlに濃縮された。
【0077】
CZEは、観測された様々なアイソフォームに関する定量的データを提供する。かくして、CZEのデータを用いて、アイソフォームは、各hEPO変異種で観測されたピークに割り当てられた。ムテインMut45-47とMut104は1-11が割り当てられ、rhEPOは1-7が割り当てられた。アイソフォーム1は、毛細領域の大部分に沿って移動するアイソフォームであった(図11)。次に各アイソフォームの割合(%)は、各ピークの下の領域を積分することにより、計算された。
【0078】
各変異種のアイソフォームの電気泳動による移動度をrhEPOと比較すると、後者のアイソフォームは、Mut45-47のアイソフォーム1-7と、Mut104のアイソフォーム3-9と一致する。このことは、Mut45-47は、rhEPOと比較すると、より強い酸性アイソフォーム4個があり、Mut104は、rhEPOと比較すると、よい弱い酸性アイソフォーム2個とより強い酸性アイソフォーム2個がある。
【0079】
各アイソフォームの比率を評価すると、rhEPOはアイソフォーム3,4,5の比率が高く、Mut45-47はアイソフォーム6,7,8,9の比率が高く、Mut104はアイソフォーム4,5,6,7の比率が高い。このことは以下を再確認する。rhEPOのグリコシル化の程度に対し各hEPO変異種の不均一性/異質性は、より強い酸性のアイソフォームの含有量が多いこととその比率が高いことに起因する。
【0080】
各hEPO変異種の電気泳動を観察すると、2つの追加ピーク(更に2個のアイソフォーム)の存在が、両ケースで可視化された。一方はピーク1のフロントで、他方はピーク11のフロントである。それらは正確には解らなかったが、この原因は、サンプル中のこのアイソフォームの比率が小さい(これはシステムの検出限界以下である)からであろう。このことは、IEFとCZEで検出できるアイソフォームの数に差があることを説明している。
【0081】
5.4a ムテインのin vitro 赤血球生成の生物学的活性の特徴付け
精製され設計されたhEPOムテインの生物学的特徴付けが実施された。この為に、in vitro 増殖アッセイが、UT-7細胞ライン培養を用いて、行われ、本発明の実施例を示す例として採用されたムテインの赤血球生成の生物学的活性の評価(A-F)を実施した。その理由は、これらの細胞系列の生存と繁殖が、成長媒体(growth medium)中のhEPOの存在に依存しているからである。TF-1細胞ラインを使用するアッセイとは異なり、UT-7細胞ラインを使用するアッセイは、高い感受性応答で特徴付けられ、そのため、工程のこの段階用に選択された。
【0082】
それぞれの産生細胞ラインから発現した全てのムテインと3つのIAC精製されたムテインの培養上清が、例として分析された。これらの分子により展開された繁殖とrhEPO標準による繁殖とを比較した。
【0083】
例として考えられるhEPOムテイン(Mut49は除く)は、rhEPO標準と同濃度でテストした時は、細胞繁殖を刺激する能力は低いか全くないことを示した(図12a)。in vitro で評価された特定の赤血球生成の活性(SEA;specific erythropoietic activity)を計算するために、より高濃度のムテイン(即ち純粋な培養上清に存在するムテイン)で作業した。かくしてムテインMut104とMut151-153は、赤血球生成の生物学的活性の完全な喪失を示した、同時に、ムテインMut45-47,Mut62 64、Mut98-100は、極めて小さい赤血球生成の生物学的活性を示した。(Mut45 -47のSEA=0.2Ul/μg、Mut62 64のSEA=0.2Ul/μg、Mut98 100のSEA=0.1Ul/μgであるのに対し、rhEPOのSEA=120Ul/μg)、これに対し、Mut49は、このような活性度(SEA=261Ul/μg)を維持していると考えられた。Mut49のSEAは増加するが、これは、このパラメーターを決定するのに使用された曲線のゾーンに起因する。ただし、Mut49の曲線の線形応答ゾーンの傾斜は、標準のそれとは著しく異なるとした場合である。かくして、このようなムテインを得るためになされた修飾は、赤血球生成の活性を阻止するのに有効とは見なされない。
【0084】
更に、精製したrhEPOムテインのin vitro 赤血球生成の生物学的活性を、本発明の実施例として分析した。評価は、血液/細胞保護活性とrhEPOとそのムテインの保護能力を研究するために、行われた。この保護能力とは、SH-SY5Y神経細胞を、スタウロスポリン(staurosporine:STP))により生成されるアポトーシス/細胞傷害性の影響から保護する能力である。かくして、細胞/神経保護アッセイは、神経細胞を保護することからなる。この保護は、STPに引き起こされる細胞損傷を誘発する前の12時間に、rhEPO又はそのムテインを添加することにより行われる。細胞損傷誘発時の後に、培養物の生存率は、代謝的に活性な細胞を決定することにより、評価された。
【0085】
このアッセイにおいて、rhEPOと精製されたMut104の両方とも、本発明の実施例であるが、同じ濃度で使用した(図13)。
【0086】
得られた結果を統計的に分析して各サンプルとCSTPを比較した。これには、ANOVAテストとその後のDunnet テストが用いられた。CSTPに対し得られた細胞毒性の割合(%)は100%の細胞毒性と見なした。従って、各サンプルに対し決定された細胞毒性値は、CSTPに関連して決定されたものである。
【0087】
図13に示すように、rhEPOは、STPにより誘発される細胞毒性を45%(p<0.05)減少させた。ところが、Mut104は、STPにより誘発される細胞毒性を65%も大幅に減少させた。99%(p<0.01)の有意性がある。
【0088】
5.4b ムテインのin vivo 赤血球生成の生物学的活性の特徴付け
【0089】
本発明の実施例として用いられたムテインは、in vivo 生物学的活性が低いかほぼ無い。これに対し。広範囲のグリコシル化(extensive glycosylation)は、血液中の滞在時間を延ばすのに必要な薬剤動態特性を付与する。これらの特徴により、分子は受容体との低い相互作用能力を改善し赤血球生成の活性を示す。
【0090】
このようなin vivo活性を評価するために、ノルモシマ・ネズミ(正赤血球症(normocytemic) mice)に、標準としてrhEPOを、又は前の実施例で使用された3つのムテインの各々を、又はPBSを陰性対照(negative control)として注射した。タンパク質接種に対応する全ての場合において、rhEPOの80IUに相当する質量のタンパク質を使用した。接種後96時間後に血液を採取し、流動細胞測光法(flow cytometry)を用いて、チオゾール・オレンジ標識の付された網状赤血球(thiazole orange-labeled reticulocytes)の割合(%)を決定した。
【0091】
図12bは、rhEPOに関して、各ムテインと陰性対照の大幅に異なる応答(p<0.001)を示す。有意差は、各ムテインにより生成された網状赤血球応答を陰性対照と比較しても、見られなかった。両方の分析によれば、高グリコシ化のアプローチによるN-グリコ・エンジニアリングの結果としての、ムテインの赤血球生成の活性の予想した喪失が確認された。
【0092】
5.5 構造的神経形成におけるhEPO高グリコシル化されたムテインの影響
5.5.1 神経発達(分化)と構造的形成
構造的神経形成性は、神経発達又は分化を刺激するか促すプロセスを含む。この意味において、以下の機能を促進する化学剤又は化合物は、神経親和性化合物(neurotorophic compound)と見なされる。以下の機能の一例は、神経細胞突起の形成又は軸索成長、線維性/樹状脊椎の発達、シナプス数の増加である。神経と神経細胞ラインの一次培養は、このようなプロセスのin vitro 研究で広く用いられている。
【0093】
図14に、海馬ニューロン(hippocampal neuron)の一次培養の神経の発達段階を示す。これらの段階は、Dotti etal (1998)の論文(非特許文献31)で適切に特徴付けられている。同文献には、接種された後、ニューロン(神経)は、層板(lamellae)を発達させることが記載されてる。これで、ニューロンは基質(substrate)に接着している(in vitro 培養から0日目(0DIV)。その後、最初の1-2日間(1-2DIV)に未成熟のニューロン突起(neurite)が血漿膜の延長として成長する。2-3日間(2-3DIV)に、これらの神経細胞突起の1つは、残りのものを超えて延び分化して、軸索(axon)を形成する。この軸索は、その末端に、三角形の構造物を有し、これは軸索成長円錐(axonal growth cone)として知られている。その後、神経細胞突起は、枝分かれして、第2の神経細胞突起を形成する(3-4DIV)。薄い神経質突出(cytoplamic projection)は、糸状足(フィロポディア(filopodia))として知られる架橋アクチン・フィラメント(cross-linked actin filament)を含むこれらの神経細胞突起の上に成長する(4-5DIV)。糸状足は、その後、樹状突起的な脊椎(dendritic spine)になる(7-21DIV)。この脊椎はシナプスが発生する優先サイトである。
この研究の一部は、神経の様々な発達段階における、本発明の様々なhEPO高グリコシル化されたムテインの神経親和性活動を評価した。
【0094】
5.5.2 神経細胞突起の形成
本発明のムテインが、神経原生効果(neuritogenic effect)を奏する(ニューロン当たりの神経細胞突起の長さと数が増加する)か否かを決定するために、N2a神経細胞ライン(神経芽のマウス)を用いた。細胞(50000個)が、培養プレート(24ウエル)のガラス上に接種され、DMEM完全媒体内に維持され、神経分化を阻止する20%のウシ胎児漿液(FBS:fetal bovine serum)と、抗生物質としてのゲンタマイシン(gentamicin)を補充した。次いで、培養媒体を、FBSを含まない媒体で置き換え、異なる濃度(50と300ng/ml)のrhEPO又はムテインで3時間補充し、神経細胞突起形成を誘発した(非特許文献32)。この後、細胞を、4%パラホルムアルデヒド(PFA:paraformaldehyde)で、またリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中でスクロース(sucrose)4%で、4℃で10分間固定し、PBS中の0.1%(v/v)のトリトン(Triton)X-100で2分間透過処理した。この固定された細胞は、その後、PBS中の3%(w/v)のウシ漿液アルブミン(BSA:bovine serum albumin)で1-2時間、ブロックされた。これには、1%(w/v)BSA内でマウス・アルファ-ツブリン(mouse anti-alpha-tubulin)IgGモノクロナール抗体(1:1000,シグマ)を用いて、4℃で16時間神経細胞突起を標識した。翌日、PBSで3回の洗浄後、それを、アクチン・フィラメント(actin filament)(1:1000,インビトロゲン(invitrogen))を標識するローダミン-共役されたファロイディン(rhodamine conjugated phalloidin)と、Alex488(1:1000,インビトロゲン)に共役されたヒツジ抗マウス抗体(goat anti-mouse antibody)で、室温で1時間インキュベート(培養)した。冷たいPBSで5分間3回洗浄した後、ガラスは蛍光保存(Fluorsave)(Calbiochem)装置に搭載された。
【0095】
神経細胞突起生成を定量化するために、画像を、ニコン社製のTE2000エピ蛍光顕微鏡で、撮った。定量化は、条件当たり、少なくとも30本の神経内の、画像当たりの神経細胞突起の数、その平均長さ(神経細胞突起の延長)、最長の神経細胞突起の長さ(軸索成長)を数えることにより、行われた。これは、画像J(NIH)ソフトのNeurtoJプラグーインを用いて、行った。代表的な画像は、その後、AdobePhotoshopで処理され、統計的分析が、ソフトGraphPadPrism 5で行われた。
【0096】
図15aは、研究された各グループの代表的な画像を示す。各測定の統計分析は、右側に詳述する。本発明のムテインは、有意の投与量依存性のある神経性効果(neurogenic effect)を有する。これは、ニューロン当たりの神経細胞突起の数の増加、神経細胞突起の長さの増加、軸索成長により表れる。これらの影響/効果は、同等であり、rhEPOの対し得られたものと類似の値を与える。言い換えると、本発明のムテインは、N2a細胞ライン内のrhEPOで観測された値に類似する神経親和性効果(neurotrophic effect)を示した。
【0097】
5.5.3 糸状足密度(filopodia density)
糸状足(線維芽)と樹状突起脊椎は、アクチン・フィラメントでエンリッチした膜突起である。この膜突起では、神経細胞突起/樹状突起から出現し、ポスト-シナプス区画(post -synaptic compartment )として作用する。このポスト-シナプス区画は、中枢神経の興奮シナプス(excitatoril synapses)内に豊富に存在する。この脊椎の形態は,可変であり、その差分構造(differential structure)に応じて分類される。樹状突起脊椎は、神経形成に好ましい神経発達の間、その形状/構造を変えることがある(非特許文献33)。この意味において、ある神経変性疾患は、樹状突起脊椎の形状と数量の変化(増加と減少の両方)に関連している。例えば、ダウン症においては、脊椎の量は著しく減少していると決定されている(非特許文献34)。これに対し、自閉症スペクトラム傷害では、より多い量の脊椎が、見つかっている(非特許文献35)。
【0098】
そのため、神経形成(neuronal plasticity)の能力は、本発明の高グリコシル化されたムテインの糸状足(線維芽)の形成を促進することにより、決定される。海馬ニューロンの一次培養物を、様々な濃度(50と300ng/ml)のrhEPOと、ムテインMut104,Mut45-47と、Mur151-153に4日間(4DIV)さらした。
【0099】
神経培養は、ラット胚海馬(rat embryos hippocampus )(E19)から準備した。これは非特許文献36に記載されている。簡単に説明すると、組織を、37℃のトリプシン(trypsin)-EDTA(0.25%(w/v))で、15分間処理した。完全に分散した細胞の溶液を、Neurobasal Medium (NB、インビトロン)内で用意し、2mMグルタミン、100ユニット/mlペニシリン(PEN)、100μg/mlのストレプトマイシン(Strp)、10%ウマ血清を補充した。2万-3万個の細胞を、24ウエルの培養プレートで接種した。この培養プレートは、0.1mg/mlのポリ-L-リシン・ハイドロブロマイド(hydrobromide)(シグマ)と、20mg/mlのラミニン(laminin)(インビトロゲン)で予め処理したものである。2時間後、この媒体を所定の媒体に変えた。所定の媒体とは、1g/lオバルブミン(ovalbumin)を含有したNB:N2とB27(これらはインビトロゲンからの無漿液の補充物)である。そして、異なる濃度(50と300ng/ml)の本発明のrhEPO又はムテインを添加し、4DIVの間保持した。細胞を、PBS内の4%(w/v)PFAと4%(w/v)スクロースで、4℃で10分間固定した。その後、細胞は、PBS内の0.1%(v/v)のトリトン(Triton)X-100で、2分間透過処理した。この固定された細胞は、その後、PBS内の3%(v/v)のウシ血清アルブミン(BSA:bovine serum albumin)で。1-2時間ブロックされ、1%(w/v)BSA(1:1000,シグマ)内でマウス抗アルファ-ツブリン(mouse anti-alpha-tubulin)IgGモノクロナール抗体を用いて、4℃で16時間インキュベート(培養)された。翌日、PBSで3回洗浄後、それは、アクチン・フィラメント(actin filament)(1:1000,インビトロゲン(invitrogen))を標識するローダミン-共役されたファロイディンと、Alex488に共役された第2のヒツジ抗マウス抗体(goat anti-mouse antibody)(1:1000,インビトロゲン)で、室温で1時間インキュベート(培養)した。冷たいPBSで5分間3回洗浄した後、ガラスは蛍光保存(Fluorsave)(Calbiochem)装置に搭載された。
【0100】
糸状足(線維芽)生成を定量化するために、画像を、ニコン社製のE600エピ蛍光顕微鏡で、撮った。定量化は、20μmの神経細胞突起内に存在する線維芽の数量を、神経細胞体(neuronal soma)から50μm以下の距離で、数えることにより、行われた。ただし、糸状足(線維芽)とは、神経細胞突起の膜から伸びるアクチン-リッチの突起である。神経細胞体とは、少なくとも30本の神経内の3個の神経細胞突起起/ニューロンである。代表的な画像は、その後、Adobe Photoshopで処理され、統計的分析は、ソフトGraphPadPrism 5で行われた。
【0101】
図16の左側のパネルは、線維芽の密度の代表的な画像を示す。これに対し、右側のパネルは、各グループの統計的分析を詳述する。本発明のムテインは、投与量にもよるが、対照神経(PBS)と比較すると、線維芽の形成を、大幅に誘発する。意外なことに、本発明のムテインは、rhEPOで観測されたよりも優れた海馬ニューロンの一次培養に対し、神経親和性効果を示した。
【0102】
5.5.4 シナプス
シナプスは、2つのニューロンの間の膜の特殊な隣接関係(specialized contiguity relation)(ユニオン)として定義される。このユニオンは、シナプス・クレフト(synaptic cleft)として知られているが、電気インパルスの伝導と、あるシナプス(プレ-シナプス)から別のシナプス(ポスト-シナプス)への物質の通過を容易にする。様々な技術が開発され、シナプスの数を定量化している。シナプスの現在受け入れられている定義は、プレ-シナプス区画からの排他的なタンパク質クラスターと、ポスト-シナプス区画からの排他的なタンパク質クラスターが、同時に発生することである。
【0103】
本発明のムテインの神経親和性効果の研究に続いて、神経シナプスを誘発する本発明のムテインの能力を評価した。
この為、免疫検出アッセイを、15日(15DIV)の一次ニューロン培養で実行した。この一次ニューロン培養においては、シナプス形成は、プレ-シナプスとポスト-シナプスのマーカーを重ね合わせることにより、検出された。
【0104】
直ちに、ニューロン(15000個/ウエル)は、異なる濃度(50と300ng/ml)のhEPO又はrhEPO又はPBAで、15日(DIV)の間処理した。その後、ニューロンを、所定の溶液を4℃で10分間固定した。所定の溶液とは、90%(V/V)のメタノールと10%(V/V)のMES(100mMMESpH6.9と、1mMEGTAと1mMMgC12)である。その後、ニューロンは、Tween20(0.1%(V/V)で濾過されたPBSで、3回5分間洗浄された。ブロッキングは、トリトン(Triton)X-100(10%(V/V)FBSと、PBS内の0.1%(V/V)トリトンX-100)を含有するFBSの溶液で、室温で1時間行った。その後、ニューロンは、PBS内の3%(w/v)BSAの溶液で、室温で15分間インキュベートした。両方のブロッキング溶液は、最大速度で10分間予め遠心分離したものである。その後、ニューロンは、マウス抗-NMDA-RI抗体と、ウサギ抗-シナプトフィシン(synaptophysin)-抗体で、4℃で12-16時間インキュベートした。前者はSynaptic System社から市販されているポスト-シナプス・マーカーである。後者は、同社から市販されているプレ-シナプス・マーカーである。両抗体とも、1%(w/v)PBS-BSA溶液で用意され、最大速度で10分間遠心分離された。PBSでの3回の洗浄後、ニューロンは、10分間遠心分離された3%(w/v)BSA、10%(w/v)FBS溶液、トリトンX-100(0.1%(V/V)PBSで、室温で1時間再度ブロックされた。その後、ニューロンは、1%(w/v)BSAで用意されたAlex647に共役された第2の抗マウス抗体とAlex568に共役された抗ウサギ抗体で、インキュベートされ、最大速度で10分間遠心分離された。その後ニューロンは、蛍光保存で搭載された。
【0105】
写真を、Olympus 社製のFv1000 共焦点顕微鏡を用いて、撮った。この共焦点顕微鏡は、Olympus社製の1x81倒立顕微鏡に関連する。この画像を、ソフトFluoview(version 3.3 Olympus社製の 60X対物レンズ;AN 1.42: 0.066 μm/Pixel の解像度)で順次処理した。これは、ナイキスト基準に適合している。
【0106】
シナプス形成は、プレ-シナプス・マーカーとポスト-シナプス・マーカーとの間の25μmの神経細胞樹状突起内の共局在化点として、ニューロン当たり3つのセグメントを使用した条件当たり約10-20個のニューロンの状態で、測定された。共局在化点は、Puncta 分析器と、画像Jプラグイン(version 1.28U)を用いて決定された(非特許文献37)。
【0107】
図17は、テストされた各条件と対応する定量化の代表的な画像を示す。神経生成と線維芽誘発の場合と同様に、ムテインが、神経培養において、新たなシナプスの形成を、大きく誘発したことが観測された。この効果は、rhEPOで観測されたのと同じである。
【0108】
上記のことを考慮すると、次に述べる強い実験的証拠がある。本発明の高グリコシル化された新たなhEPOムテインは、神経発達/分化の様々な段階(神経細胞突起からシナプス形成への段階)において、神経形成を容易にする効果を有する。これらの効果は、EPOで観測されたものに匹敵するものであり、ある場合においては、これらの効果(線維芽形成効果)は更に大きくさえなっている。本発明のこれらの驚くべき新規で革新的な技術的特徴により、本発明のムテインは、神経形成が減少している疾患の治療、又はこの種の疾患に対し遺伝子的素因がある場合に際しての使用において、理想的である。
【0109】
5.6b ラット海馬ニューロンの一次培養におけるrhEPOの神経保護生物学的活性の研究
海馬ニューロンの一次培養に対するhEPOムテインの抗アポトーシスの効果の評価は、これらの化合物が、細胞(その代謝が、確立した細胞ライン内のようには変わらない)内に有する効果を研究することである。それは、興味深いモデルを構成する。その理由は、それは、脳内でin vivoで起こることにより現実的に似ているからである。
【0110】
本発明のhEPOと修飾EPOの神経保護活性の評価基準は、このような分子が、神経細胞をスタウロスポリン(staurosporine)での治療により誘発されるアポトーシス刺激から保護する能力である。
【0111】
このようなin vitro 活性を評価する為に、Sprague-Dawley ラットからの海馬ニューロンの一次培培養物が得られた。11日(11DIV)の培養物は、24時間、本発明のhEPOムテイン400ng/mlで、又は造血回復治療に使用されるrhEPO400ng/mlで、前処理された。この後、細胞を、この分子の存在の元で24時間30nMのSTPに曝し、最後に、固定され、Hoechst 社製のフルオロクロムとPhalloidin-FITCで着色した。
【0112】
図18は、様々な分子による治療は、STPのみで処理した細胞死対照と比較した時は、アポトーシスを大幅に減らす(**p<0.01,***P<0.001)が、STP処理をしない細胞対照に類似するアポトーシス値に達する。更に、本発明の大部分の分子は、rhEPOのそれより優れた効果を示す。これは、STPの効果/影響から海馬ニューロンの一次培養を保護する観点から見た場合である。
【0113】
これらの結果も、SH-SY5ニューロン培養に対するムテインの神経保護活性の研究で得られた結果に対応する。そのため、本発明のムテインを得る為に付加的なグリコシル化サイトの添加は、神経保護に関連するものを修飾することなく、造血生物学的活性を遮断することを可能にする。
【0114】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【0115】
MUTEIN 15-17(Tyr15->Asn15)+(Leu17->Thr17)
プライマーは以下であった。:
Mut15_17F : GTGCTGGAAAGAAACCTGACGGAAGCCAAA
MUT15_17R : TTTGGCTTCCGTCAGGTTTCTTTCCAGCAC
MUTEIN 15-17 のヌクレオチド配列(SEQ ID No. 1)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC
TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG
AAACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC
CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAAAGTGAACTTCTACGCCTGGAAGCGGATGG
AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAAGTGTGGCAGGGACTGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCT
GAGAGGACAGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG
GACAAGGCTGTGTCCGGCCTGAGATCCCTGACCACCCTGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA
AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA
CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCCTGCGGGGCAAGCTGAAGCTGTAC
ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA
MUTEIN 15-17のアミノ酸配列 (SEQ ID No . 2)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERNLLEAKEAENITTGCAEHCS LNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEPLQLHV DKAVSGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLY TGEACRTGDR

MUTEIN 45-47(Lys45->Thr45)+(Asn47->Thr47)
プライマーは以下であった。:
Mut45_47F : CCCGACACCAACGTGACCTTCTACGCC
Mut45_47R: GGCGTGAAGGTCACGTTGGTGTCGGG
MUTEIN 45-47のヌクレオチド配列 (SEQ ID No. 3)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC
TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG
ATACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC
CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAACGTGACCTTCTACGCCTGGAAGCGGATGG
AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAAGTGTGGCAGGGACTGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCT
GAGAGGACAGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG
GACAAGGCTGTGTCCGGCCTGAGATCCCTGACCACCCTGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA
AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA
CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCCTGCGGGGCAAGCTGAAGCTGTAC
ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA
MUTEIN 45-47 のアミノ酸配列(SEQ ID No. 4)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCS LNENITVPDTNVTFYAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEPLQLHV DKAVSGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLY TGEACRTGDR

MUTEIN 49(Tyr49->Thr49)
プライマーは以下であった。:
Mut49F: AAAGTGAACTTCACCGCCTGGAAGCGG
Mut49R : CCGCTTCCAGGCGGTGAAGTTCACTTT
MUTEIN 49のヌクレオチド配列 (SEQ ID No. 5)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC
TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG
ATACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAAAGTGAACTTCACCGCCTGGAAGCGGATGG
AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAAGTGTGGCAGGGACTGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCT
GAGAGGACAGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG
GACAAGGCTGTGTCCGGCCTGAGATCCCTGACCACCCTGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA
AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA
CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCCTGCGGGGCAAGCTGAAGCTGTAC
ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA
MUTEIN 49のアミノ酸配列 (SEQ ID No. 6)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCS LNENITVPDTKVNFTAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEPLQLHV DKAVSGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLY TGEACRTGDR

MUTEIN 62-64(Glu62->Asn62)+(Trp64->Thr64)
プライマーは以下であった。:
Mut62_64F : CAGGCTGTGAACGTGACGCAGGGACTG
MUT62_64R : CAGTCCCTGCGTCACGTTCACAGCCTG
MUTEIN 62-64 のヌクレオチド配列(SEQ ID No. 7)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC
TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG
ATACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC
CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAAAGTGAACTTCTACGCCTGGAAGCGGATGG
AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGAACGTGACGCAGGGACTGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCT
GAGAGGACAGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG
GACAAGGCTGTGTCCGGCCTGAGATCCCTGACCACCCTGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA
AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA
CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCCTGCGGGGCAAGCTGAAGCTGTAC
ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA
MUTEIN 62-64のアミノ酸配列 (SEQ ID No. 8)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCS
LNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVNVTQGLALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEPLQLHV DKAVSGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLY TGEACRTGDR

MUTEIN 65-67(Gln65->Asn65)+(Leu67->Thr67)
プライマーは以下であった。:
Mut65_67F : GAAGTGTGGAACGGAACGGCTCTGCTG
MUT65_67R : CAGCAGAGCCGTTCCGTTCCACACTTC
MUTEIN 65-67のヌクレオチド配列 (SEQ ID No. 9)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC
TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG
ATACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC
CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAAAGTGAACTTCTACGCCTGGAAGCGGATGG
AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAAGTGTGGAACGGAACGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCT
GAGAGGACAGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG
GACAAGGCTGTGTCCGGCCTGAGATCCCTGACCACCCTGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA
AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA
CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCCTGCGGGGCAAGCTGAAGCTGTAC
ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA
MUTEIN 65-67のアミノ酸配列 (SEQ ID No. 10)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCS LNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVEVWNGTALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEPLQLHV DKAVSGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLY TGEACRTGDR

MUTEIN 72-74(Glu72->Asn72)+(Val74->Thr74)
プライマーは以下であった。:
Mut72_74F : CTGCTGAGCAACGCTACGCTGAGAGGA
MUT72_74R : TCCTCTCAGCGTAGCGTTGCTCAGCAG
MUTEIN 72-74のヌクレオチド配列 (SEQ ID No. 11)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC
TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG
ATACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAAAGTGAACTTCTACGCCTGGAAGCGGATGG
AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAAGTGTGGCAGGGACTGGCTCTGCTGAGCAACGCTACGCT
GAGAGGACAGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG
GACAAGGCTGTGTCCGGCCTGAGATCCCTGACCACCCTGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA
AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA
CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCCTGCGGGGCAAGCTGAAGCTGTAC
ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA
MUTEIN 72-74のアミノ酸配列 (SEQ ID No. 12)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCS LNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSNATLRGQALLVNSSQPWEPLQLHV DKAVSGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLY TGEACRTGDR

MUTEIN 76-78(Arg76->Asn76)+(Gln78->Thr78)
プライマーは以下であった。:
Mut76_78F : GCTGTGCTGAACGGAACGGCCCTGCTC
MUT76 78R : GAGCAGGGCCGTTCCGTTCAGCACAGC
MUTEIN 76-78 のヌクレオチド配列(SEQ ID No. 13)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC
TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG
ATACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC
CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAAAGTGAACTTCTACGCCTGGAAGCGGATGG
AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAAGTGTGGCAGGGACTGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCT
GAACGGAACGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG
GACAAGGCTGTGTCCGGCCTGAGATCCCTGACCACCCTGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA
AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA
CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCCTGCGGGGCAAGCTGAAGCTGTAC
ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA
MUTEIN 76-78のアミノ酸配列 (SEQ ID No. 14)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCS LNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSEAVLNGTALLVNSSQPWEPLQLHV DKAVSGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLY TGEACRTGDR

MUTEIN 98-100(Ala98->Asn98)+(Ser100->Thr100)
プライマーは以下であった。:
Mut98_100F : GTGGACAAGAATGTGACCGGCCTGAGATCC
MUT98_100R: GGATCTCAGGCCGGTCACATTCTTGTCCAC
MUTEIN 98-100のヌクレオチド配列 (SEQ ID No. 15)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG ATACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAAAGTGAACTTCTACGCCTGGAAGCGGATGG AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAAGTGTGGCAGGGACTGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCT GAGAGGACAGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG GACAAGAATGTGACCGGCCTGAGATCCCTGACCACCCTGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCCTGCGGGGCAAGCTGAAGCTGTAC ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA
MUTEIN 98-100のアミノ酸配列 (SEQ ID No. 16)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCS
LNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEPLQLHV
DKNVTGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLY
TGEACRTGDR

MUTEIN 104 (Ser104 -^Asn104)
プライマーは以下であった。:
Mut104F : TCCGGCCTGAGAAACCTGACCACCCTG
MUT104R: CAGGGTGGTCAGGTTTCTCAGGCCGGA
MUTEIN 104のヌクレオチド配列 (SEQ ID No. 17)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC
TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG ATACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC
CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAAAGTGAACTTCTACGCCTGGAAGCGGATGG
AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAAGTGTGGCAGGGACTGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCT
GAGAGGACAGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG
GACAAGGCTGTGTCCGGCCTGAGAAACCTGACCACCCTGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA
AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA
CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCCTGCGGGGCAAGCTGAAGCTGTAC
ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA
MUTEIN 104のアミノ酸配列 (SEQ ID No. 18)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCS LNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEPLQLHV DKAVSGLRNLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLY TGEACRTGDR

MUTEIN 106-108 (Thr106 ->Asn106)+(Leu108->Thr108)
プライマーは以下であった。:
Mut106 108F : AGATCCCTGAACACCACGCTGAGAGCA
MUT106 108R : TGCTCTCAGCGTGGTGTTCAGGGATCT
MUTEIN 106-108のヌクレオチド配列 (SEQ ID No. 19)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC
TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG
ATACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC
CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAAAGTGAACTTCTACGCCTGGAAGCGGATGG
AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAAGTGTGGCAGGGACTGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCT
GAGAGGACAGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG
GACAAGGCTGTGTCCGGCCTGAGATCCCTGAACACCACGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA
AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA
CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCCTGCGGGGCAAGCTGAAGCTGTAC
ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA
MUTEIN 106-108のアミノ酸配列 (SEQ ID No. 20)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCS LNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEPLQLHV DKAVSGLRSLNTTLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLY TGEACRTGDR

MUTEIN 149 (Leu149 -^Thr149)
プライマーは以下であった。:
Mut149F: TACTCCAACTTCACGCGGGGCAAGCTG
MUT149R: CAGCTTGCCCCGCGTGAAGTTGGAGTA
MUTEIN 149のヌクレオチド配列 (SEQ ID No. 21)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC
TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG
ATACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC
CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAAAGTGAACTTCTACGCCTGGAAGCGGATGG
AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAAGTGTGGCAGGGACTGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCT
GAGAGGACAGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG
GACAAGGCTGTGTCCGGCCTGAGATCCCTGACCACCCTGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA
AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA
CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCACGCGGGGCAAGCTGAAGCTGTAC
ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA
MUTEIN 149のアミノ酸配列 (SEQ ID No. 22)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCS LNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEPLQLHV DKAVSGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFTRGKLKLY TGEACRTGDR

MUTEIN 151-153 (Gly151 - Asn151) + (Leu153 -^Thr153)
プライマーは以下であった。:
Mut151_153F : AACTTCCTGCGGAACAAGACGAAGCTGTAC
MUT151_153R : GTACAGCTTCGTCTTGTTCCGCAGGAAGTT
MUTEIN 151-153 のヌクレオチド配列(SEQ ID No. 23)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC
TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG
ATACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC
CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAAAGTGAACTTCTACGCCTGGAAGCGGATGG
AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAAGTGTGGCAGGGACTGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCT
GAGAGGACAGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG
GACAAGGCTGTGTCCGGCCTGAGATCCCTGACCACCCTGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA
CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCCTGCGGAACAAGACGAAGCTGTAC
ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA
MUTEIN 151-153のアミノ酸配列 (SEQ ID No. 24)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCS LNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEPLQLHV DKAVSGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRNKTKLY
TGEACRTGDR
HUMAN EPO SEQUENCE
HUMAN EPOのヌクレオチド配列 (SEQ ID No. 25)
ATGGGCGTGCACGAATGTCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTGCTGTCCCTGCTGTCTCTGCCTC
TGGGACTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCTAGACTGATCTGCGACTCCCGGGTGCTGGAAAG
ATACCTGCTGGAAGCCAAAGAGGCCGAGAACATCACCACCGGCTGCGCCGAGCACTGCTCC
CTGAACGAGAATATCACCGTGCCCGACACCAAAGTGAACTTCTACGCCTGGAAGCGGATGG
AAGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAAGTGTGGCAGGGACTGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCT
GAGAGGACAGGCCCTGCTCGTGAACTCCTCCCAGCCTTGGGAACCCCTGCAGCTGCACGTG
GACAAGGCTGTGTCCGGCCTGAGATCCCTGACCACCCTGCTGAGAGCACTGGGAGCCCAGA
AAGAGGCCATCTCTCCACCTGACGCCGCCTCTGCTGCTCCTCTGAGAACCATCACCGCCGA
CACCTTCAGAAAGCTGTTCCGGGTGTACTCCAACTTCCTGCGGGGCAAGCTGAAGCTGTAC
ACCGGCGAGGCTTGCCGGACCGGCGACAGA

hEPOのアミノ酸配列(配列番号26)
MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCS LNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEPLQLHV DKAVSGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLY TGEACRTGDR

図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
【図 】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14
図15a
図15b
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【配列表】
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