(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-23
(45)【発行日】2025-05-02
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
C07D 405/10 20060101AFI20250424BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20250424BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20250424BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20250424BHJP
C07D 407/14 20060101ALI20250424BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20250424BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20250424BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20250424BHJP
【FI】
C07D405/10 CSP
C07D471/04 112
C07D405/14
C07D409/14
C07D407/14
H05B33/14 A
H05B33/22 B
H05B33/12 C
(21)【出願番号】P 2021570162
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(86)【国際出願番号】 KR2020010865
(87)【国際公開番号】W WO2021034039
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0100204
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】イ,ナム-ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ユ-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウォン-ジャン
(72)【発明者】
【氏名】モ,ジュン-テ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104650029(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106565705(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0038246(KR,A)
【文献】国際公開第2012/070226(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/066250(WO,A1)
【文献】特開2020-102627(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109879812(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108164462(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0022574(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0034915(US,A1)
【文献】国際公開第2018/093231(WO,A1)
【文献】特表2019-522676(JP,A)
【文献】特開2017-036267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式3~6のいずれか1つで表されるものである、ヘテロ環化合物:
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
化学式
3~6において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
R
1は、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基であり、
R2は、フェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;トリフェニレン基;ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリジン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリミジン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;フェニル基で置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基;カルバゾール基;またはピレニル基であり、
X1~X3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素または重水素であり、mは、0~3の整数であり、nは、0~4の整数であり、mおよびnが2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なり、
前記R1及びR2の一方が、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリジン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリミジン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;フェニル基で置換もしくは非置換のフェナントロリン基、
pおよびrは、0~4の整数であり、
qおよびsは、1~6の整数であり、
p、q、rおよびsが2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なり、
化学式4において、R2はフェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;トリフェニレン基;ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリミジン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;カルバゾール基;またはピレニル基であり、
化学式3において、R1がピレニル基である場合、R2は、フェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;トリフェニレン基;ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリジン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリミジン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;カルバゾール基;またはピレニル基である。
【請求項2】
前記「置換もしくは非置換」とは、炭素数1~60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;炭素数2~60の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基;炭素数2~60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル基;炭素数3~60の単環もしくは多環のシクロアルキル基;炭素数2~60の単環もしくは多環のヘテロシクロアルキル基;炭素数6~60の単環もしくは多環のアリール基;炭素数2~60の単環もしくは多環のヘテロアリール基;シリル基;ホスフィンオキシド基;およびアミン基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、前記例示された置換基の中から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味するものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項3】
下記の化合物のいずれか1つで表されるものである
、ヘテロ環化合物:
【化29】
【請求項4】
第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、請求項1~3のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物を含む有機発光素子。
【請求項5】
前記有機物層は、電子輸送層を含み、前記電子輸送層は、前記ヘテロ環化合物を含む、請求項4に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記有機物層は、1層以上の正孔阻止層を含み、前記正孔阻止層は、前記ヘテロ環化合物を含む、請求項4に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記有機発光素子は、前記第1電極上に備えられ、第1発光層を含む第1スタックと、前記第1スタック上に備えられる電荷生成層と、前記電荷生成層上に備えられ、第2発光層を含む第2スタックと、前記第2スタック上に備えられる前記第2電極とを含む、請求項4に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記電荷生成層は、前記ヘテロ環化合物を含む、請求項7に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年8月16日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0100204号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0003】
有機電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であって、視野角が広く、コントラストに優れているだけでなく、応答速度が速いというメリットがある。
【0004】
有機発光素子は、2つの電極の間に有機薄膜を配置させた構造を有している。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対をなした後、消滅しながら光を発する。前記有機薄膜は、必要に応じて単層または多層から構成される。
【0005】
有機薄膜の材料は、必要に応じて発光機能を有することができる。例えば、有機薄膜材料としては、それ自体が単独で発光層を構成できる化合物が使用されてもよく、またはホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果たす化合物が使用されてもよい。その他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子ブロック、正孔ブロック、電子輸送、電子注入などの役割を果たす化合物が使用されてもよい。
【0006】
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が求められ続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書は、ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の一実施態様において、下記化学式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化1】
【0010】
前記化学式1において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、シアノ基;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であり、
X1~X3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;またはシアノ基であり、mは、0~3の整数であり、nは、0~4の整数であり、mおよびnが2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なり、
pおよびrは、0~4の整数であり、
qおよびsは、1~6の整数であり、
p、q、rおよびsが2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0011】
また、本出願の一実施態様において、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本明細書に記載の化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用することができる。前記化合物は、有機発光素子において正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料などの役割を果たすことができる。特に、前記化合物が有機発光素子の電子輸送層材料、正孔阻止層材料、または電荷生成層材料として使用できる。
【0013】
具体的には、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を有機物層に使用する場合、素子の駆動電圧を低下させ、光効率を向上させ、素子の寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
【
図2】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
【
図3】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
【
図4】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0016】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は水素原子の置換される位置、すなわち置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0017】
本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、炭素数1~60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;炭素数2~60の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基;炭素数2~60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル基;炭素数3~60の単環もしくは多環のシクロアルキル基;炭素数2~60の単環もしくは多環のヘテロシクロアルキル基;炭素数6~60の単環もしくは多環のアリール基;炭素数2~60の単環もしくは多環のヘテロアリール基;シリル基;ホスフィンオキシド基;およびアミン基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、前記例示された置換基の中から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【0018】
より具体的には、本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、炭素数6~60の単環もしくは多環のアリール基;または炭素数2~60の単環もしくは多環のヘテロアリール基;の群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であることを意味することができる。
【0019】
本明細書において、「化学式または化合物構造に置換基が表示されていない場合」は、炭素原子に水素原子が結合したことを意味する。ただし、重水素(2H、Deuterium)は水素の同位元素であるので、一部の水素原子は、重水素であってもよい。
【0020】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物構造に置換基が表示されていない場合」は、置換基としてくることのできる位置がすべて水素または重水素であることを意味することができる。すなわち、重水素の場合、水素の同位元素であり、一部の水素原子は、同位元素である重水素であってもよいし、この時、重水素の含有量は、0%~100%であってもよい。
【0021】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物構造に置換基が表示されていない場合」において、重水素の含有量が0%、水素の含有量が100%、置換基はすべて水素など重水素を明示的に排除しない場合には、水素と重水素は化合物において混在して使用できる。
【0022】
本出願の一実施態様において、重水素は、水素の同位元素(isotope)の一つであり、陽子(proton)1個と中性子(neutron)1個とからなる重陽子(deuteron)を原子核(nucleus)として有する元素であって、水素-2で表現されてもよいし、元素記号はDまたは2Hと書くこともできる。
【0023】
本出願の一実施態様において、同位元素は、原子番号(atomic number、Z)は同じであるが、質量数(mass number、A)が異なる原子を意味する同位元素は、同じ数の陽子(proton)を有するが、中性子(neutron)の数が異なる元素としても解釈することができる。
【0024】
本出願の一実施態様において、特定の置換基の含有量T%の意味は、基本になる化合物が有し得る置換基の総数をT1と定義し、そのうち特定の置換基の個数をT2と定義する場合、T2/T1×100=T%で定義することができる。
【0025】
すなわち、一例において、
【化2】
で表されるフェニル基において重水素の含有量20%というのは、フェニル基が有し得る置換基の総数は5(前記T%式中のT1)個であり、そのうち重水素の個数が1(式中のT2)である場合、20%で表されてもよい。すなわち、フェニル基において重水素の含有量20%というのは、下記構造式で表されてもよい。
【化3】
【0026】
また、本出願の一実施態様において、「重水素の含有量が0%であるフェニル基」の場合、重水素原子が含まれていない、すなわち水素原子5個を有するフェニル基を意味することができる。
【0027】
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であってもよい。
【0028】
本明細書において、前記アルキル基は、炭素数1~60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルキル基の炭素数は1~60、具体的には1~40、さらに具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において、前記アルケニル基は、炭素数2~60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書において、前記アルキニル基は、炭素数2~60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には2~20であってもよい。
【0031】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20のものが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、前記シクロアルキル基は、炭素数3~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3~60、具体的には3~40、さらに具体的には5~20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、N、またはSiを含み、炭素数2~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~20であってもよい。
【0034】
本明細書において、前記アリール基は、炭素数6~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基は、スピロ基を含む。前記アリール基の炭素数は6~60、具体的には6~40、さらに具体的には6~25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、ベンゾフルオレニル基、スピロビフルオレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、これらの縮合環基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、-P(=O)R101R102で表され、R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基の少なくとも1つからなる置換基であってもよい。前記ホスフィンオキシド基は、具体的には、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、シリル基は、Siを含み、前記Si原子がラジカルとして直接連結される置換基であり、-SiR104R105R106で表され、R104~R106は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基の少なくとも1つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されていてもよいし、隣接した置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0038】
本明細書において、前記スピロ基は、スピロ構造を含む基であって、炭素数15~60であってもよい。例えば、前記スピロ基は、フルオレニル基に2,3-ジヒドロ-1H-インデン基またはシクロヘキサン基がスピロ結合した構造を含むことができる。具体的には、下記のスピロ基は、下記構造式の基のいずれか1つを含むことができる。
【化4】
【0039】
本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子としてS、O、Se、N、またはSiを含み、炭素数2~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]カルバゾリル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0040】
本明細書において、前記アミン基は、モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;-NH2;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;およびアリールヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよいし、炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0041】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。また、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したヘテロアリール基の説明が適用可能である。
【0042】
本明細書において、「隣接した」基は、当該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環におけるオルト(ortho)位に置換された2個の置換基、および脂肪族環における同一炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接した」基と解釈される。
【0043】
本出願の一実施態様において、下記化学式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化5】
前記化学式1において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、シアノ基;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であり、
X1~X3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;またはシアノ基であり、mは、0~3の整数であり、nは、0~4の整数であり、mおよびnが2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なり、
pおよびrは、0~4の整数であり、
qおよびsは、1~6の整数であり、
p、q、rおよびsが2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0044】
本出願の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式2で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化6】
前記化学式2において、各置換基の定義は、前記化学式1における定義と同じである。
【0045】
本出願の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式3~化学式6のいずれか1つで表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0046】
前記化学式3~化学式6において、各置換基の定義は、前記化学式1における定義と同じである。
【0047】
本出願の一実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0048】
他の実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0049】
さらに他の実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0050】
さらに他の実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0051】
さらに他の実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~10の単環のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数10~20の多環のアリーレン基であってもよい。
【0052】
さらに他の実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;炭素数6~10の単環のアリーレン基;または炭素数10~20の多環のアリーレン基であってもよい。
【0053】
さらに他の実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のフェニレン基;置換もしくは非置換のビフェニレン基;置換もしくは非置換のナフチレン基;または置換もしくは非置換のビナフチレン基であってもよい。
【0054】
さらに他の実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン基;またはビナフチレン基であってもよい。
【0055】
本出願の一実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一であってもよい。
【0056】
本出願の一実施態様において、前記L1およびL2は、互いに異なっていてもよい。
【0057】
本出願の一実施態様において、前記L1は、直接結合であり、前記L2は、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0058】
本出願の一実施態様において、前記L1は、直接結合であり、前記L2は、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0059】
本出願の一実施態様において、前記L1は、直接結合であり、前記L2は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0060】
本出願の一実施態様において、前記L2は、直接結合であり、前記L1は、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0061】
本出願の一実施態様において、前記L2は、直接結合であり、前記L1は、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0062】
本出願の一実施態様において、前記L2は、直接結合であり、前記L1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0063】
本出願の一実施態様において、前記L1は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0064】
他の実施態様において、前記L1は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0065】
さらに他の実施態様において、前記L1は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0066】
さらに他の実施態様において、前記L1は、直接結合;置換もしくは非置換のフェニレン基;置換もしくは非置換のビフェニレン基;置換もしくは非置換のナフチレン基;または置換もしくは非置換のビナフチレン基であってもよい。
【0067】
さらに他の実施態様において、前記L1は、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン基;またはビナフチレン基であってもよい。
【0068】
さらに他の実施態様において、前記L1は、直接結合である。
【0069】
さらに他の実施態様において、前記L1は、フェニレン基である。
【0070】
さらに他の実施態様において、前記L1は、ビフェニレン基である。
【0071】
さらに他の実施態様において、前記L1は、ナフチレン基である。
【0072】
さらに他の実施態様において、前記L1は、ビナフチレン基である。
【0073】
本出願の一実施態様において、前記L2は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0074】
他の実施態様において、前記L2は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0075】
さらに他の実施態様において、前記L2は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0076】
さらに他の実施態様において、前記L2は、直接結合;置換もしくは非置換のフェニレン基;置換もしくは非置換のビフェニレン基;置換もしくは非置換のナフチレン基;または置換もしくは非置換のビナフチレン基であってもよい。
【0077】
さらに他の実施態様において、前記L2は、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン基;またはビナフチレン基であってもよい。
【0078】
さらに他の実施態様において、前記L2は、直接結合である。
【0079】
さらに他の実施態様において、前記L2は、フェニレン基である。
【0080】
さらに他の実施態様において、前記L2は、ビフェニレン基である。
【0081】
さらに他の実施態様において、前記L2は、ナフチレン基である。
【0082】
さらに他の実施態様において、前記L2は、ビナフチレン基である。
【0083】
本出願の一実施態様において、X1~X3は、それぞれ独立して、水素;重水素;またはシアノ基であってもよい。
【0084】
本出願の一実施態様において、X1は、水素;重水素;またはシアノ基であってもよい。
【0085】
本出願の一実施態様において、X1は、水素である。
【0086】
本出願の一実施態様において、X1は、重水素である。
【0087】
本出願の一実施態様において、X1は、シアノ基である。
【0088】
本出願の一実施態様において、X2は、水素;重水素;またはシアノ基であってもよい。
【0089】
本出願の一実施態様において、X2は、水素である。
【0090】
本出願の一実施態様において、X2は、重水素である。
【0091】
本出願の一実施態様において、X2は、シアノ基である。
【0092】
本出願の一実施態様において、X3は、水素である。
【0093】
本出願の一実施態様において、X3は、重水素である。
【0094】
本出願の一実施態様において、X3は、シアノ基である。
【0095】
本出願の一実施態様において、X1~X3は、水素である。
【0096】
本出願の一実施態様において、mは、0~3の整数であり、nは、0~4の整数であり、mおよびnが2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なっていてもよい。
【0097】
本出願の一実施態様において、mは、0~3の整数である。
【0098】
本出願の一実施態様において、mは、3である。
【0099】
本出願の一実施態様において、mは、2である。
【0100】
本出願の一実施態様において、mは、1である。
【0101】
本出願の一実施態様において、mは、0である。
【0102】
本出願の一実施態様において、mが2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0103】
本出願の一実施態様において、nは、0~4の整数である。
【0104】
本出願の一実施態様において、nは、4である。
【0105】
本出願の一実施態様において、nは、3である。
【0106】
本出願の一実施態様において、nは、2である。
【0107】
本出願の一実施態様において、nは、1である。
【0108】
本出願の一実施態様において、nは、0である。
【0109】
本出願の一実施態様において、nが2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0110】
本出願の一実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、シアノ基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0111】
他の実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0112】
さらに他の実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、シアノ基;置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のトリフェニレン基;置換もしくは非置換のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;置換もしくは非置換のピリジン基;置換もしくは非置換のピリミジン基;置換もしくは非置換のトリアジン基;置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0113】
さらに他の実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、シアノ基;フェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;トリフェニレン基;ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリジン基;フェニル基、ビフェニル基、およびナフチル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリミジン基;フェニル基、ビフェニル基、およびナフチル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;フェニル基で置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基;またはフェニル基で置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0114】
本出願の一実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一であってもよい。
【0115】
本出願の一実施態様において、前記R1およびR2は、互いに異なっていてもよい。
【0116】
他の実施態様において、前記R1は、シアノ基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0117】
さらに他の実施態様において、前記R1は、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0118】
さらに他の実施態様において、前記R1は、シアノ基;置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のトリフェニレン基;置換もしくは非置換のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;置換もしくは非置換のピリジン基;置換もしくは非置換のピリミジン基;置換もしくは非置換のトリアジン基;置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0119】
さらに他の実施態様において、前記R1は、シアノ基;フェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;トリフェニレン基;ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリジン基;フェニル基、ビフェニル基、およびナフチル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリミジン基;フェニル基、ビフェニル基、およびナフチル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;フェニル基で置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基;またはフェニル基で置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0120】
さらに他の実施態様において、R1は、シアノ基である。
【0121】
さらに他の実施態様において、R1は、フェニル基である。
【0122】
さらに他の実施態様において、R1は、ビフェニル基である。
【0123】
さらに他の実施態様において、R1は、ナフチル基である。
【0124】
さらに他の実施態様において、R1は、トリフェニレン基である。
【0125】
さらに他の実施態様において、R1は、ジベンゾフラン基である。
【0126】
さらに他の実施態様において、R1は、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリジン基である。
【0127】
さらに他の実施態様において、R1は、フェニル基、ビフェニル基、およびナフチル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基である。
【0128】
さらに他の実施態様において、R1は、フェニル基で置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基である。
【0129】
さらに他の実施態様において、R1は、フェニル基で置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基である。
【0130】
さらに他の実施態様において、前記R2は、シアノ基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0131】
さらに他の実施態様において、前記R2は、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0132】
さらに他の実施態様において、前記R2は、シアノ基;置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のトリフェニレン基;置換もしくは非置換のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;置換もしくは非置換のピリジン基;置換もしくは非置換のピリミジン基;置換もしくは非置換のトリアジン基;置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0133】
さらに他の実施態様において、前記R2は、シアノ基;フェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;トリフェニレン基;ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリジン基;フェニル基、ビフェニル基、およびナフチル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリミジン基;フェニル基、ビフェニル基、およびナフチル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;フェニル基で置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基;またはフェニル基で置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0134】
さらに他の実施態様において、R2は、シアノ基である。
【0135】
さらに他の実施態様において、R2は、フェニル基である。
【0136】
さらに他の実施態様において、R2は、ビフェニル基である。
【0137】
さらに他の実施態様において、R2は、ナフチル基である。
【0138】
さらに他の実施態様において、R2は、トリフェニレン基である。
【0139】
さらに他の実施態様において、R2は、ジベンゾフラン基である。
【0140】
さらに他の実施態様において、R2は、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリジン基である。
【0141】
さらに他の実施態様において、R2は、フェニル基、ビフェニル基、およびナフチル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基である。
【0142】
さらに他の実施態様において、R2は、フェニル基で置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基である。
【0143】
さらに他の実施態様において、R2は、フェニル基で置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基である。
【0144】
本出願の一実施態様において、前記R1およびR2の少なくとも1つは、置換もしくは非置換のN含有ヘテロアリール基を含むことができる。
【0145】
本出願の一実施態様において、前記置換もしくは非置換のN含有ヘテロアリール基は、置換もしくは非置換であり、=N-結合を1以上有するヘテロアリール基であってもよい。
【0146】
他の実施態様において、前記置換もしくは非置換のN含有ヘテロアリール基は、置換もしくは非置換であり、=N-結合を1以上5以下有するヘテロアリール基であってもよい。
【0147】
さらに他の実施態様において、前記置換もしくは非置換のN含有ヘテロアリール基は、置換もしくは非置換であり、=N-結合を1以上3以下有するヘテロアリール基であってもよい。
【0148】
本出願の一実施態様において、前記=N-結合を1以上有するというのは、化合物内にN原子を含有し、N原子が二重結合および単一結合により連結されることを意味し、具体的には、ピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基、ベンゾイミダゾール基、フェナントロリン基などになってもよいが、これらに限定されない。
【0149】
本出願の一実施態様において、前記置換もしくは非置換のN含有ヘテロアリール基は、置換もしくは非置換のピリジン基;置換もしくは非置換のピリミジン基;置換もしくは非置換のトリアジン基;または置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基であってもよい。
【0150】
他の実施態様において、前記置換もしくは非置換のN含有ヘテロアリール基は、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、およびピリジン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリジン基;フェニル基、ビフェニル基、およびナフチル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のピリミジン基;フェニル基、ビフェニル基、およびナフチル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基;またはフェニル基で置換もしくは非置換の1,10-フェナントロリン基であってもよい。
【0151】
本出願の一実施態様において、前記置換もしくは非置換のN含有ヘテロアリール基は、下記化学式A1~化学式A30のいずれか1つで表されてもよい。
【0152】
【0153】
前記化学式A1~化学式A30において、前記*は、それぞれL1またはL2と結合する位置を意味する。
【0154】
本出願の一実施態様において、前記R1のみ置換もしくは非置換のN含有ヘテロアリール基を含むことができる。具体的には、前記R1は、置換もしくは非置換のN含有ヘテロアリール基を含み、前記R2は、シアノ基;置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のトリフェニレン基;置換もしくは非置換のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0155】
本出願の一実施態様において、前記R2のみ置換もしくは非置換のN含有ヘテロアリール基を含むことができる。具体的には、前記R2は、置換もしくは非置換のN含有ヘテロアリール基を含み、前記R1は、シアノ基;置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のトリフェニレン基;置換もしくは非置換のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0156】
本出願の一実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のN含有ヘテロアリール基を含むことができる。
【0157】
本出願の一実施態様において、前記化学式1は、下記の化合物のいずれか1つで表されるヘテロ環化合物を提供する。
【0158】
【0159】
また、前記化学式1の構造に多様な置換基を導入することにより、導入された置換基の固有の特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時に使用される正孔注入層物質、正孔輸送層物質、発光層物質、電子輸送層物質、および電荷生成層物質に主に使用される置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層で要求する条件を満たす物質を合成することができる。
【0160】
さらに、前記化学式1の構造に多様な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細調節可能にし、一方で、有機物間における界面での特性を向上させ、物質の用途を多様化することができる。
【0161】
一方、前記ヘテロ環化合物は、ガラス転移温度(Tg)が高くて熱的安定性に優れている。このような熱的安定性の増加は、素子に駆動安定性を提供する重要な要因になる。
【0162】
本出願の一実施態様に係るヘテロ環化合物は、多段階の化学反応で製造することができる。一部の中間体化合物が先に製造され、その中間体化合物から化学式1の化合物が製造できる。より具体的には、本出願の一実施態様に係るヘテロ環化合物は、後述する製造例に基づいて製造できる。
【0163】
本出願の他の実施態様は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子を提供する。前記「有機発光素子」は、「有機発光ダイオード」、「OLED(Organic Light Emitting Diodes)」、「OLED素子」、「有機電界発光素子」などの用語で表現される。
【0164】
本出願の一実施態様において、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0165】
本出願の一実施態様において、前記第1電極は、陽極であってもよく、前記第2電極は、陰極であってもよい。
【0166】
本出願のもう一つの実施態様において、前記第1電極は、陰極であってもよく、前記第2電極は、陽極であってもよい。
【0167】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は、青色有機発光素子であってもよいし、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、前記青色有機発光素子の材料として使用できる。
【0168】
本出願のもう一つの実施態様において、前記有機発光素子は、緑色有機発光素子であってもよいし、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、前記緑色有機発光素子の材料として使用できる。
【0169】
本出願のもう一つの実施態様において、前記有機発光素子は、赤色有機発光素子であってもよいし、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、前記赤色有機発光素子の材料として使用できる。
【0170】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物に関する具体的な内容は、前述したものと同じである。
【0171】
本出願の有機発光素子は、前述したヘテロ環化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除けば、通常の有機発光素子の製造方法および材料によって製造できる。
【0172】
前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子の製造時、真空蒸着法のみならず、溶液塗布法によって有機物層に形成される。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらのみに限定されるものではない。
【0173】
本出願の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれに限定されず、より少数の有機物層を含むことができる。
【0174】
本出願の有機発光素子において、前記有機物層は、電子輸送層を含み、前記電子輸送層は、前記ヘテロ環化合物を含むことができる。前記ヘテロ環化合物が電子輸送層に使用される場合、化合物の分解あるいは破壊が起こらずに電子を効率的に伝達して、有機発光素子の駆動、効率および寿命に優れることができる。
【0175】
他の有機発光素子において、前記有機物層は、正孔阻止層を含み、前記正孔阻止層は、前記ヘテロ環化合物を含むことができる。前記ヘテロ環化合物が正孔阻止層に使用される場合、有機発光素子の駆動、効率および寿命に優れることができる。
【0176】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子阻止層、および正孔阻止層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含むことができる。
【0177】
図1~3に本出願の一実施態様に係る有機発光素子の電極と有機物層の積層順序を例示した。しかし、これらの図によって本出願の範囲が限定されることを意図したわけではなく、当技術分野にて知られている有機発光素子の構造が本出願にも適用可能である。
【0178】
図1によれば、基板100上に、陽極200、有機物層300、および陰極400が順次に積層された有機発光素子が示される。しかし、このような構造のみに限定されるものではなく、
図2のように、基板上に、陰極、有機物層、および陽極が順次に積層された有機発光素子が実現されてもよい。
【0179】
図3は、有機物層が多層の場合を例示したものである。
図3による有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、正孔阻止層304、電子輸送層305、および電子注入層306を含む。しかし、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて発光層を除いた残りの層は省略されてもよく、必要な他の機能層がさらに追加されてもよい。
【0180】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機物層は、必要に応じて他の物質を追加的に含むことができる。
【0181】
また、本出願の一実施態様に係る有機発光素子は、第1電極と、前記第1電極上に備えられ、第1発光層を含む第1スタックと、前記第1スタック上に備えられる電荷生成層と、前記電荷生成層上に備えられ、第2発光層を含む第2スタックと、前記第2スタック上に備えられる第2電極とを含む。
【0182】
さらに、本出願の一実施態様に係る有機発光素子は、前記第1電極上に備えられ、第1発光層を含む第1スタックと、前記第1スタック上に備えられる電荷生成層と、前記電荷生成層上に備えられ、第2発光層を含む第2スタックと、前記第2スタック上に備えられる前記第2電極とを含む。
【0183】
この時、前記電荷生成層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含むことができる。前記ヘテロ環化合物が電荷生成層に使用される場合、有機発光素子の駆動、効率および寿命に優れることができる。
【0184】
また、前記第1スタックおよび第2スタックは、それぞれ独立して、前述した正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層などを1種以上追加的に含むことができる。
【0185】
前記電荷生成層は、N-タイプの電荷生成層であってもよく、前記電荷生成層は、化学式1で表されるヘテロ環化合物のほか、当技術分野にて知られたドーパントを追加的に含むことができる。
【0186】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子として、2-スタックタンデム構造の有機発光素子を、下記の
図4に例示的に示した。
【0187】
この時、下記の
図4に記載の第1電子阻止層、第1正孔阻止層、および第2正孔阻止層などは、場合によっては省略可能である。
【0188】
本出願の一実施態様において、前記化学式1の化合物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属をドーピングすることができる。この場合、ギャップステートの形成によって、有機発光素子の駆動電圧が低くなり、効率と寿命がさらに改善できる。
【0189】
本出願の一実施態様において、前記化学式1の化合物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む組成物を提供する。前記組成物のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量は、全体組成物の重量ベースで0.01wt%~30wt%、好ましくは0.01wt%~25wt%、さらに好ましくは0.01wt%~20wt%であってもよい。
【0190】
本出願の一実施態様において、前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属は、リチウム(Li)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、またはマグネシウム(Mg)であってもよい。ただし、これに限定されるものではない。
【0191】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式1の化合物以外の材料を下記に例示するが、これらは例示のためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではなく、当技術分野にて公知の材料に代替可能である。
【0192】
陽極材料としては、比較的仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属または導電性高分子などを使用することができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0193】
陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物または導電性高分子などを使用することができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属、またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alのような多層構造の物質などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0194】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもできるが、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、または文献[Advanced Material,6,p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体類、例えば、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4”-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、溶解性のある導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrenesulfonate))などを使用することができる。
【0195】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが使用可能であり、低分子または高分子材料が使用されてもよい。
【0196】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体などが使用可能であり、低分子物質だけでなく、高分子物質が使用されてもよい。
【0197】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界にて代表的に使用されるが、本出願がこれに限定されるものではない。
【0198】
発光材料としては、赤色、緑色、または青色発光材料が使用可能であり、必要な場合、2以上の発光材料を混合して使用可能である。この時、2以上の発光材料を個別的な供給源として蒸着して使用するか、予備混合して1つの供給源として蒸着して使用することができる。また、発光材料として蛍光材料を使用してもよいが、燐光材料として使用してもよい。発光材料としては、単独として陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が使用されてもよいが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が使用されてもよい。
【0199】
発光材料のホストを混合して使用する場合には、同一系のホストを混合して使用してもよく、異なる系のホストを混合して使用してもよい。例えば、nタイプのホスト材料またはpタイプのホスト材料のいずれか2種類以上の材料を選択して発光層のホスト材料として使用することができる。
【0200】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0201】
本出願の一実施態様に係るヘテロ環化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどを含めた有機電子素子においても、有機発光素子に適用されるのと類似の原理で作用できる。
【実施例】
【0202】
以下、実施例を通じて本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではない。
【0203】
<実施例>
<製造例1>中間体Aの製造
【化13】
【0204】
1)中間体A-2の製造
(2,6-ジクロロフェニル)ボロン酸((2,6-dichlorophenyl)boronic acid)(47.05g、246.56mmol)と2-ブロモナフタレン-1-オール(2-bromonaphthalen-1-ol)(50g、224.14mmol)を、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran、以下、THF)500mlとH2O100mlに溶かした後、Pd(PPh3)4(7.77g、6.72mmol)とK2CO3(92.94g、672.43mmol)を入れて、17時間還流撹拌した。反応完了後、反応液にメチレンクロライド(Methylene chloride、以下、MC)を入れて溶解させた後、蒸留水で抽出し、有機層を無水MgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した後、ジクロロメタンとヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーで精製して、中間体A-2(49g、75%)を得た。
【0205】
2)中間体A-1の製造
中間体A-2(49g、169.19mmol)をジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)500mlに溶かした後、Cs2CO3(165.38g、507.58mmol)を入れて、4時間還流撹拌した。反応完了後、反応液にMCを入れて溶解させた後、蒸留水で抽出し、有機層を無水MgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した後、ジクロロメタンとヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーで精製して、中間体A-1(35g、82%)を得た。
【0206】
3)中間体Aの製造
中間体A-1(35g、138.50mmol)をジメチルホルムアミド(Dimethylformamide、以下、DMF)350mlに溶かした後、N-ブロモスクシンイミド(N-Bromosuccinimide、以下、NBS)(27.12g、152.35mmol)を入れて、4時間常温(25℃)撹拌した。反応完了後、反応液にMCを入れて溶解させた後、蒸留水で抽出し、有機層を無水MgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した後、ジクロロメタンとヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーで精製して、中間体A(40g、87%)を得た。
【0207】
前記製造例1において、(2,6-ジクロロフェニル)ボロン酸((2,6-dichlorophenyl)boronic acid)の代わりに下記表1の化合物Aを用いることを除き、前記製造例1と同様の方法で製造して、目的中間体を製造した。
【0208】
【0209】
【0210】
1)化合物ET-001-P2の製造
中間体A(20g、60.32mmol)とフェニルボロン酸(phenylboronic acid)(7.72g、63.33mmol)を、トルエン(Toluene)200mlとエタノール(Ethanol)40ml、H2O40mlに溶かした後、Pd(PPh3)4(3.48g、3.02mmol)とK3PO4(38.41g、180.95mmol)を入れて、5時間還流撹拌した。反応完了後、反応液にMCを入れて溶解させた後、蒸留水で抽出し、有機層を無水MgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した後、ジクロロメタンとヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物ET-001-P2(17g、85%)を得た。
【0211】
2)化合物ET-001-P1の製造
化合物ET-001-P2(17g、51.70mmol)とビス(ピナコラト)ジボロン(Bis(pinacolato)diboron)(17.07g、67.22mmol)を1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)170mlに溶かした後、Pd(dba)2(1.49g、2.59mmol)、Xphos(2.46g、5.17mmol)、KOAc(15.22g、155.11mmol)を入れて、3時間還流撹拌した。反応完了後、反応液にMCを入れて溶解させた後、蒸留水で抽出し、有機層を無水MgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した後、ジクロロメタンとヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物ET-001-P1(18g、82%)を得た。
【0212】
3)化合物ET-001の製造
化合物ET-001-P1(10g、23.79mmol)と2-(4-ブロモフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-(4-bromophenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)(9.24g、23.79mmol)を、トルエン(Toluene)100mlとエタノール(Ethanol)20ml、H2O20mlに溶かした後、Pd(PPh3)4(1.37g、1.19mmol)とK3PO4(15.15g、71.38mmol)を入れて、5時間還流撹拌した。反応完了後、反応液にMCを入れて溶解させた後、蒸留水で抽出し、有機層を無水MgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した後、ジクロロメタンとヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物ET-001(11g、76%)を得た。
【0213】
前記製造例2において、中間体Aの代わりに下記表2の中間体を用い、フェニルボロン酸(phenylboronic acid)の代わりに下記表2の化合物Bを用い、2-(4-ブロモフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-(4-bromophenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)の代わりに下記表2の化合物Cを用いることを除けば、前記製造例2と同様の方法で製造して、目的化合物を製造した。
【0214】
【0215】
前記化合物ET-001および表2の目的化合物の合成確認結果を確認するために、1H NMR(CDCl3、200Mz)およびFD-質量分析計(FD-MS:Field desorption mass spectrometry)を測定して、その測定値を下記表3および表4に示した。下記表3は、前記化合物ET-001および表2の目的化合物の1H NMR(CDCl3、300Mz)の測定値であり、下記表4は、前記化合物ET-001および表2の目的化合物のFD-質量分析計(FD-MS:Field desorption mass spectrometry)の測定値を示す。
【0216】
【0217】
【0218】
<実験例1>有機発光素子の製造
<比較例1-1~1-2および実施例1~112>
1)有機発光素子の製造
有機発光素子用ガラス(サムスン・コーニング社製)から得られた透明電極ITO薄膜を、トリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次に用いて各5分間超音波洗浄を実施した後、イソプロパノールに入れて保管した後に使用した。
【0219】
次に、真空蒸着装置の基板フォルダにITO基板を設け、真空蒸着装置内のセルに、下記の4,4’,4”-トリス(N,N-(2-ナフチル)-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(N,N-(2-naphthyl)-phenylamino)triphenyl amine:2-TNATA)を入れた。
【化15】
【0220】
次に、チャンバ内の真空度が10-6torrに到達するまで排気させた後、セルに電流を印加して2-TNATAを蒸発させて、ITO基板上に600Åの厚さの正孔注入層を蒸着した。
【0221】
真空蒸着装置内の他のセルに、下記のN,N’-ビス(α-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(α-naphthyl)-N,N’-diphenyl-4,4’-diamine:NPB)を入れて、セルに電流を印加して蒸発させて、正孔注入層上に300Åの厚さの正孔輸送層を蒸着した。
【化16】
【0222】
このように正孔注入層および正孔輸送層を形成させた後、その上に、発光層として次の構造の青色発光材料を蒸着させた。具体的には、真空蒸着装置内の一方のセルに、青色発光ホスト材料であるH1を200Åの厚さに真空蒸着させ、その上に、青色発光ドーパント材料であるD1をホスト材料対比5%真空蒸着させた。
【化17】
【0223】
次に、下記のE1化合物とLiQを2:1の重量比で真空蒸着して、300Åの厚さに電子輸送層を形成した。
【化18】
【0224】
電子注入層としてリチウムフルオライド(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着し、Al陰極を1,000Åの厚さにして、有機発光素子(比較例1-1)を製造した。
【0225】
また、前記製造過程において、E1化合物の代わりにE2化合物を用いることを除けば、同様の方法で有機発光素子(比較例1-2)を製造した。
【0226】
さらに、前記製造過程において、E1化合物の代わりに前記化合物ET-001および表2の目的化合物の中から1つを選択して用いることを除けば、同様の方法で有機発光素子(実施例1~112)を製造した。前記化合物ET-001および表2の目的化合物の中から選択された化合物は、下記表5の化合物に示した。
【0227】
一方、有機発光素子の製造に必要なすべての有機化合物は、材料ごとに、それぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製して、有機発光素子の製造に使用した。
【0228】
2)有機発光素子の駆動電圧および発光効率
前記のように製造された比較例1-1、比較例1-2、および実施例1~112の有機発光素子それぞれに対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもって、マックサイエンス社製の寿命測定装置(M6000)により、基準輝度が700cd/m2の時の、初期輝度対比95%になる時間の寿命T95(単位:h、時間)を測定した。
【0229】
前記比較例1-1、比較例1-2、および実施例1~112の前記電界発光特性、色座標および寿命の測定結果は、下記表5の通りであった。
【0230】
【0231】
前記表5の結果から、本発明の青色有機発光素子の電子輸送層材料を用いた有機発光素子は、比較例1に比べて駆動電圧が低く、発光効率および寿命が著しく改善されたことを確認することができた。特に、化合物ET-001、ET-005、ET-056、ET-100、ET-103、ET-149、ET-190、ET-211、ET-459およびET-699を電子輸送層に使用した実施例1、5、25、41、44、55、65、66、85および105の有機発光素子は、駆動、効率、寿命がさらに改善されたことを確認することができた。あらゆる面で優れていることを確認した。これは、比較例1-2とは異なり、2個の置換基を導入できて、HOMO、LUMO、electron mobilityなどを調節可能で、素子の作製時、発光層において電子と正孔のバランスが改善されることにより、駆動、効率、寿命の面で改善されることが予想される。
【0232】
このような結果の原因は、適切な長さと強度および平坦な特性を有する発明された化合物が電子輸送層に使用された時、特定の条件下で電子を受けて励起された状態の化合物を作り、特に、化合物のヘテロ骨格部位の励起された状態が形成されると、励起されたヘテロ骨格部位が他の反応をする前に励起されたエネルギーが安定した状態で移動するはずであり、比較的安定した化合物は、化合物の分解あるいは破壊は起こらずに電子を効率的に伝達できるためと判断される。参照として、励起された時に安定した状態を有するものは、アリールあるいはアセン類化合物あるいは多員環ヘテロ化合物であると考えられる。したがって、本発明の化合物が向上した電子-輸送特性あるいは改善された安定性を向上させて、駆動、効率、寿命のあらゆる面で優秀さをもたらしたと判断される。
【0233】
<実験例2>有機発光素子の製造
<比較例2>
1)有機発光素子の製造
有機発光素子用ガラス(サムスン・コーニング社製)から得られた透明電極ITO薄膜を、トリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次に用いて各5分間超音波洗浄を実施した後、イソプロパノールに入れて保管した後に使用した。
【0234】
次に、真空蒸着装置の基板フォルダにITO基板を設け、真空蒸着装置内のセルに、下記の4,4’,4”-トリス(N,N-(2-ナフチル)-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(N,N-(2-naphthyl)-phenylamino)triphenyl amine:2-TNATA)を蒸着した。
【化19】
【0235】
次に、チャンバ内の真空度が10-6torrに到達するまで排気させた後、セルに電流を印加して2-TNATAを蒸発させて、ITO基板上に600Åの厚さの正孔注入層を蒸着した。
【0236】
真空蒸着装置内の他のセルに、下記のN,N’-ビス(α-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(α-naphthyl)-N,N’-diphenyl-4,4’-diamine:NPB)を入れて、セルに電流を印加して蒸発させて、正孔注入層上に300Åの厚さの正孔輸送層を蒸着した。
【化20】
【0237】
このように正孔注入層および正孔輸送層を形成させた後、その上に、発光層として次の構造の青色発光材料を蒸着させた。具体的には、真空蒸着装置内の一方のセルに、青色発光ホスト材料であるH1を200Åの厚さに真空蒸着させ、その上に、青色発光ドーパント材料であるD1をホスト材料対比5%真空蒸着させた。
【化21】
【0238】
次に、下記構造式E1とLiQを2:1の重量比で真空蒸着して300Åの厚さに電子輸送層を形成した。
【化22】
【0239】
電子注入層としてリチウムフルオライド(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着し、Al陰極を1,000Åの厚さにして、有機発光素子(比較例2)を製造した。
【0240】
また、前記製造過程において、電子輸送層の厚さを300Åの代わりに厚さ250Åに形成した後、前記化合物ET-001および表2の目的化合物の中から1つを選択して厚さ50Åの正孔阻止層を形成することを除けば、同様の方法で有機発光素子(実施例113~133)を製造した。前記化合物ET-001および表2の目的化合物の中から選択された化合物は、下記表6の化合物に示した。
【0241】
一方、有機発光素子の製造に必要なすべての有機化合物は、材料ごとに、それぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製して、有機発光素子の製造に使用した。
【0242】
2)有機発光素子の駆動電圧および発光効率
前記のように製造された比較例2および実施例113~133の有機発光素子それぞれに対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもって、マックサイエンス社製の寿命測定装置(M6000)により、基準輝度が700cd/m2の時の、初期輝度対比95%になる時間の寿命T95(単位:h、時間)を測定した。
【0243】
前記比較例2および実施例113~133の有機発光素子の前記電界発光特性、色座標および寿命の測定結果は、下記表6の通りであった。
【0244】
【0245】
前記表6の結果から、本発明の青色有機電界発光素子の正孔阻止層材料を用いた有機発光素子は、比較例2に比べて駆動電圧が低く、発光効率および寿命が著しく改善されたことを確認することができた。
【0246】
<実験例3>有機発光素子の製造
<比較例3および実施例134~148>
1)有機発光素子の製造
有機発光素子用ガラス(サムスン・コーニング社製)から得られた透明電極ITO薄膜を、トリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次に用いて各5分間超音波洗浄を実施した後、イソプロパノールに入れて保管した後に使用した。
【0247】
前記ITO透明電極(陽極)上に、第1スタックおよび第2スタックの構造を有する2スタックのWOLED(White Orgainc Light Emitting Device)構造で有機物を形成した。前記第1スタックは、最初にTAPCを300Åの厚さに熱真空蒸着して正孔輸送層を形成した。正孔輸送層を形成させた後、その上に、発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、ホストであるTCz1に青色燐光ドーパントとしてFIrpicを8%ドーピングして300Åの厚さに蒸着した。この後、電子輸送層をTmPyPBを用いて400Åを形成した後、電荷生成層をTBQBにCs2CO3を20%ドーピングして100Åの厚さに形成した。
【0248】
前記第2スタックは、最初にMoO3を50Åの厚さに熱真空蒸着して正孔注入層を形成した。共通層である正孔輸送層をTAPCにMoO3を20%ドーピングして100Åの厚さに形成した後、TAPCを300Åの厚さに蒸着して形成した、その上に、発光層は、ホストであるTCz1に緑色燐光ドーパントであるIr(ppy)3を8%ドーピングして300Åの厚さに蒸着した後、電子輸送層をTmPyPBを用いて600Åの厚さに形成した。
【0249】
最後に、電子輸送層上にリチウムフルオライド(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機発光素子(比較例3)を製造した。
【0250】
また、前記製造過程において、TBQBの代わりに前記表2の目的化合物の中から1つを選択して用いることを除き、同様の方法で有機発光素子(実施例134~148)を製造した。前記表2の目的化合物の中から選択された化合物は、下記表7の化合物に示した。
【0251】
一方、有機発光素子の製造に必要なすべての有機化合物は、材料ごとに、それぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製して、有機発光素子の製造に使用した。
【0252】
前記表6の結果から、本発明の青色有機電界発光素子の正孔阻止層材料を用いた有機発光素子は、比較例2に比べて駆動電圧が低く、発光効率および寿命が著しく改善されたことを確認することができた。
【0253】
<実験例3>有機発光素子の製造
<比較例3および実施例134~148>
1)有機発光素子の製造
有機発光素子用ガラス(サムスン・コーニング社製)から得られた透明電極ITO薄膜を、トリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次に用いて各5分間超音波洗浄を実施した後、イソプロパノールに入れて保管した後に使用した。
【0254】
前記ITO透明電極(陽極)上に、第1スタックおよび第2スタックの構造を有する2スタックのWOLED(White Orgainc Light Device)構造で有機物を形成した。前記第1スタックは、最初にTAPCを300Åの厚さに熱真空蒸着して正孔輸送層を形成した。正孔輸送層を形成させた後、その上に、発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、ホストであるTCz1に青色燐光ドーパントとしてFIrpicを8%ドーピングして300Åの厚さに蒸着した。この後、電子輸送層をTmPyPBを用いて400Åを形成した後、電荷生成層をTBQBにCs2CO3を20%ドーピングして100Åの厚さに形成した。
【0255】
前記第2スタックは、最初にMoO3を50Åの厚さに熱真空蒸着して正孔注入層を形成した。共通層である正孔輸送層をTAPCにMoO3を20%ドーピングして100Åの厚さに形成した後、TAPCを300Åの厚さに蒸着して形成した、その上に、発光層は、ホストであるTCz1に緑色燐光ドーパントであるIr(ppy)3を8%ドーピングして300Åの厚さに蒸着した後、電子輸送層をTmPyPBを用いて600Åの厚さに形成した。
【0256】
最後に、電子輸送層上にリチウムフルオライド(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機発光素子(比較例3)を製造した。
【0257】
また、前記製造過程において、TBQBの代わりに前記表2の目的化合物の中から1つを選択して用いることを除けば、同様の方法で有機発光素子(実施例134~148)を製造した。前記表2の目的化合物の中から選択された化合物は、下記表7の化合物に示した。
【0258】
一方、有機発光素子の製造に必要なすべての有機化合物は、材料ごとに、それぞれ10
-6~10
-8torr下で真空昇華精製して、有機発光素子の製造に使用した。
【化23】
【0259】
本発明により製造された白色有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は、表7の通りであった。
【0260】
【0261】
前記表7の結果から、本発明の2-スタック構造の有機発光素子の電荷生成層材料を用いた有機電界発光素子は、比較例3に比べて駆動電圧が低く、発光効率が改善されたことを確認することができた。このような結果が出た理由は、適切な長さと強度および平坦な特性を有する発明された骨格とメタルとバインディングできる適切なヘテロ化合物から構成されたNタイプの電荷生成層に使用された本発明の化合物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属がドーピングされて、Nタイプの電荷生成層内にギャップステートが形成されたと推定され、Pタイプの電荷生成層から生成された電子がNタイプの電荷生成層内で生成されたギャップステートにより電子輸送層への電子注入が容易になったと判断される。したがって、Pタイプの電荷生成層は、Nタイプの電荷生成層への電子注入および電子伝達をよく行うことができ、このため、有機発光素子の駆動電圧が低くなり、効率と寿命が改善されたと判断される。