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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-23
(45)【発行日】2025-05-02
(54)【発明の名称】光検出装置、および、光照射装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20250424BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20250424BHJP
【FI】
B23K26/00 M
G01J1/02 R
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021126460
(22)【出願日】2021-08-02
(65)【公開番号】P2023021536
(43)【公開日】2023-02-14
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】中濱 照之
(72)【発明者】
【氏名】小久保 正彦
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-080618(JP,A)
【文献】特表2018-517147(JP,A)
【文献】特開2011-165647(JP,A)
【文献】特開平08-124998(JP,A)
【文献】特開2011-167763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
G01J 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光照射部から照射された光を検出する光検出装置であり、
前記光照射部から照射された前記光を伝搬させるための伝搬部材と、
前記伝搬部材によって伝搬された前記光を検出するための光検出器とを備え、
前記伝搬部材には、前記光を散乱させるための第1の散乱部が離散的に複数設けられ
ステージをさらに備え、
前記光照射部は、前記ステージの上面に前記光を照射し、
前記ステージの少なくとも一部には、前記光を散乱させるための少なくとも1つの第4の散乱部が設けられ、
前記第4の散乱部は、透明性材料で構成され、
前記伝搬部材は、前記第4の散乱部を介して入射された前記光を伝搬させる、
光検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光検出装置であり、
前記光検出器は、前記伝搬部材の長手方向の端部に対向して位置し、
複数の前記第1の散乱部は、前記伝搬部材の長手方向に沿って、離散的に配置される、
光検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光検出装置であり、
前記伝搬部材は、前記光検出器に対向する端部を有し、
複数の前記第1の散乱部のうちの1つの散乱部である第2の散乱部の幅は、前記第2の散乱部よりも前記端部に近い位置に設けられる散乱部である第3の散乱部の幅以上である、
光検出装置。
【請求項4】
請求項に記載の光検出装置であり、
それぞれの前記第1の散乱部は、前記第4の散乱部の位置に対応して配置される、
光検出装置。
【請求項5】
請求項またはに記載の光検出装置であり、
前記第4の散乱部を介して入射された前記光を集光するための集光レンズと、
前記集光レンズよりも前記第4の散乱部から遠ざかる位置で、かつ、前記集光レンズの集光位置に配置される遮光板とをさらに備え、
前記伝搬部材は、前記集光レンズによって集光された前記光を伝搬させる、
光検出装置。
【請求項6】
請求項1からのうちのいずれか1つに記載の光検出装置であり、
複数の前記第1の散乱部は、前記伝搬部材の表面におけるブラスト加工によって形成される、
光検出装置。
【請求項7】
請求項1からのうちのいずれか1つに記載の光検出装置であり、
複数の前記第1の散乱部は、前記伝搬部材の下面に塗布された反射膜である、
光検出装置。
【請求項8】
請求項1からのうちのいずれか1つに記載の光検出装置であり、
前記光照射部から照射される前記光がレーザー光である、
光検出装置。
【請求項9】
請求項1からのうちのいずれか1つに記載の光検出装置であり、
前記伝搬部材が内包されるチャンバをさらに備え、
前記光検出器は、前記伝搬部材によって伝搬された前記光を、前記チャンバの外部において検出する、
光検出装置。
【請求項10】
光を照射するための少なくとも1つの光照射部と、
請求項1からのうちのいずれか1つに記載の光検出装置とを備える、
光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、照射された光を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザー光照射などの光照射によって対象物を加工する光加工技術が用いられている(たとえば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-272430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように照射された光を伝搬部材を介して検出する際、伝搬過程における拡散によって、検出される光の光量が大きく下がる場合がある。そのような場合には、光量の不足によって光検出の精度が低下してしまう。
【0005】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、伝搬に起因する光量の減少を抑制することによって、光検出精度の低下を抑制するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である光検出装置は、光照射部から照射された光を検出する光検出装置であり、前記光照射部から照射された前記光を伝搬させるための伝搬部材と、前記伝搬部材によって伝搬された前記光を検出するための光検出器とを備え、前記伝搬部材には、前記光を散乱させるための第1の散乱部が離散的に複数設けられ、ステージをさらに備え、前記光照射部は、前記ステージの上面に前記光を照射し、前記ステージの少なくとも一部には、前記光を散乱させるための少なくとも1つの第4の散乱部が設けられ、前記第4の散乱部は、透明性材料で構成され、前記伝搬部材は、前記第4の散乱部を介して入射された前記光を伝搬させる
【0007】
本願明細書に開示される技術の第2の態様である光検出装置は、第1の態様である光検出装置に関連し、前記光検出器は、前記伝搬部材の長手方向の端部に対向して位置し、複数の前記第1の散乱部は、前記伝搬部材の長手方向に沿って、離散的に配置される。
【0008】
本願明細書に開示される技術の第3の態様である光検出装置は、第1または2の態様である光検出装置に関連し、前記伝搬部材は、前記光検出器に対向する端部を有し、複数の前記第1の散乱部のうちの1つの散乱部である第2の散乱部の幅は、前記第2の散乱部よりも前記端部に近い位置に設けられる散乱部である第3の散乱部の幅以上である。
【0010】
本願明細書に開示される技術の第の態様である光検出装置は、第の態様である光検出装置に関連し、それぞれの前記第1の散乱部は、前記第4の散乱部の位置に対応して配置される。
【0011】
本願明細書に開示される技術の第の態様である光検出装置は、第またはの態様である光検出装置に関連し、前記第4の散乱部を介して入射された前記光を集光するための集光レンズと、前記集光レンズよりも前記第4の散乱部から遠ざかる位置で、かつ、前記集光レンズの集光位置に配置される遮光板とをさらに備え、前記伝搬部材は、前記集光レンズによって集光された前記光を伝搬させる。
【0012】
本願明細書に開示される技術の第の態様である光検出装置は、第1からのうちのいずれか1つの態様である光検出装置に関連し、複数の前記第1の散乱部は、前記伝搬部材の表面におけるブラスト加工によって形成される。
【0013】
本願明細書に開示される技術の第の態様である光検出装置は、第1からのうちのいずれか1つの態様である光検出装置に関連し、複数の前記第1の散乱部は、前記伝搬部材の下面に塗布された反射膜である。
【0014】
本願明細書に開示される技術の第の態様である光検出装置は、第1からのうちのいずれか1つの態様である光検出装置に関連し、前記光照射部から照射される前記光がレーザー光である。
【0015】
本願明細書に開示される技術の第の態様である光検出装置は、第1からのうちのいずれか1つの態様である光検出装置に関連し、前記伝搬部材が内包されるチャンバをさらに備え、前記光検出器は、前記伝搬部材によって伝搬された前記光を、前記チャンバの外部において検出する。
【0016】
本願明細書に開示される技術の第10の態様である光照射装置は、光を照射するための少なくとも1つの光照射部と、第1からのうちのいずれか1つの態様である光検出装置とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1の態様によれば、伝搬部材内を光が伝搬する間の過度な拡散を抑制することによって、伝搬される光の光量の低下を抑制することができる。その結果、光検出精度の低下を抑制することができる。
【0018】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態に関する、光照射装置の構成の例を概略的に示す斜視図である。
図2】実施の形態に関する光照射装置の、真空チャンバの内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。
図3図2に例が示された構成のうち、主に光照射部およびステージを示す斜視図である。
図4図2に例が示された構成のうち、主に光照射部およびステージの構成の例を示す断面図である。
図5】散乱部の形成幅の例を示す図である。
図6】散乱部の形成幅の例を示す図である。
図7】検出部における集光ユニットおよび透明ロッドについて示す概略図である。
図8】検出部における集光ユニットおよび透明ロッドについて示す概略図である。
図9】透明ロッドにおける光の伝搬の様子を示す図である。
図10】透明ロッドにおける光の伝搬の様子を示す図である。
図11】透明ロッドの構成の例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0021】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化などが図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0022】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0023】
また、本願明細書に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0024】
また、本願明細書に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態の内容はこれらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0025】
また、本願明細書に記載される説明において、「…軸正方向」または「…軸負方向」などの表現は、図示される…軸の矢印に沿う方向を正方向とし、図示される…軸の矢印とは反対側の方向を負方向とするものである。
【0026】
また、本願明細書に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態が実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0027】
また、本願明細書に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「Aの上面に設けられるB」と記載される場合、AとBとの間に別の構成要素「C」が介在することを妨げるものではない。
【0028】
また、本願明細書に記載される説明において、形状を示す表現、たとえば、「角柱形状」または「円柱形状」などは、特に断らない限りは、厳密にその形状であることを示す場合と、公差または同程度の機能が得られる範囲において凹凸または面取りなどが形成されている場合とを含むものとする。
【0029】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する光検出装置、および、光照射装置について説明する。なお、以下の実施の形態においては、一例としてチャンバ内が真空または減圧雰囲気下とされる光照射装置が記載されるが、チャンバ内が真空でない場合にも、同様に適用可能である。
【0030】
<光照射装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する光照射装置1の構成の例を概略的に示す斜視図である。図1においては、真空チャンバ12を支持するチャンバフレーム、または、実際に接続される配線などは、便宜のため図示が省略されている。なお、本実施の形態における「真空」とは、基板Wの特性劣化を防止するために高真空(たとえば、0.00001Pa)であることが望ましいが、当該高真空に達しない真空度である場合も含むものとする。
【0031】
図1に例が示されるように、光照射装置1は、真空チャンバ12と、石定盤などの外部固定部14と、真空チャンバ12と外部固定部14とを接続する、たとえばステンレスなどで形成された伸縮性部材であるベローズ16Aと、真空チャンバ12内に光を照射する光照射部18と、真空チャンバ12内を減圧して真空状態にする真空ポンプ21と、光照射装置1のそれぞれの駆動部を制御する制御部22とを備える。上記では、伸縮性部材の例として、ステンレスなどで形成されたベローズが示されているが、求められる仕様に応じて、ステンレス以外の金属で形成された伸縮性部材が採用されてもよいし、樹脂などで形成された伸縮性部材が採用されてもよい。また、伸縮性部材の形状は、上記のベローズ16Aのような蛇腹形状でなくてもよい。
【0032】
真空チャンバ12は、内部に基板Wが収容される空間を有する。処理対象となる基板Wには、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。なお、当該基板Wは、たとえば、上面に薄膜が形成された状態の基板である。
【0033】
また、真空チャンバ12の側面には、基板Wを搬入および搬出する際に基板Wが通過するための開口部12Aが形成されている。開口部12Aは、真空チャンバ12が真空状態となる際に適宜閉じられる。真空チャンバ12の内部に収容される他の構成については、後述する。
【0034】
光照射部18は、真空チャンバ12内に収容された基板Wの上面に向けて光を照射する。この際、基板Wは後述の検出部などによって、あらかじめ位置合わせがなされている。光照射部18は、たとえばレーザー光を照射することによって基板Wのアブレーション加工を行う。なお、光照射部18は、加工などの目的に応じて、たとえば電子線などの光を照射するものであってもよい。光照射部18は、図示しない照射窓(石英などで形成される透明板)を介して、真空チャンバ12の外部から真空チャンバ12内に収容された基板Wの上面に光を照射する。そして、真空チャンバ12内の基板Wが光照射部18に対して相対的に移動することによって、または、光照射部18における光学系の制御によって、光が基板Wの上面を走査する。また、光照射部18は、外部固定部14に固定された架台24の上面に配置される。
【0035】
制御部22は、たとえば、ハードディスクドライブ(Hard disk drive、すなわち、HDD)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)、フラッシュメモリ、揮発性または不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVDなどを含むメモリ(記憶媒体)を含む記憶装置と、たとえば、当該記憶装置、外部のCD-ROM、外部のDVD-ROM、または、外部のフラッシュメモリなどに格納されたプログラムを実行する中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)などの処理回路と、マウス、キーボード、タッチパネル、または、各種スイッチなどの、情報を入力することができる入力装置と、ディスプレイ、液晶表示装置、または、ランプなどの、情報を出力することができる出力装置とを含むことができる。
【0036】
制御部22は、光照射部18における光源の出力および光が照射される方向の制御、または、真空ポンプ21の出力制御、さらには、後述するそれぞれの駆動部の駆動制御などを行う。
【0037】
図2は、本実施の形態に関する光照射装置1の、真空チャンバ12の内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。図2に例が示されるように、真空チャンバ12の内部には、基板Wが上面に配置されるステージ42と、Y軸方向に移動可能であり、かつ、ステージ42を下方から支持するスライダー44と、真空チャンバ12とは独立して外部固定部14に固定されたベース46と、ベース46に固定され、かつ、Y軸方向に延びるリニアガイド48と、スライダー44をリニアガイド48に沿ってY軸方向に移動させるリニアモータ機構50と、ステージ42に形成された貫通孔(ここでは図示せず)を貫通して基板Wを支持するリフトピン52Aを有するリフトピン機構52とを備える。
【0038】
ステージ42は、基板Wの加工面を上方に向けつつ、基板Wを略水平に保持する。ステージ42の詳細な構成については後述する。ステージ42を支持するスライダー44がリニアモータ機構50によってY軸方向に移動し、また、光照射部18から照射される光がX軸方向に走査されることによって、平面視において基板Wの加工領域の全面を光によって走査することが可能となる。または、光照射部18から照射される光が、X軸方向およびY軸方向に走査されることによって、平面視において基板Wの加工領域の全面を光によって走査することが可能となる。なお、リフトピン機構52は、ベース46に固定される。
【0039】
リニアモータ機構50は、真空チャンバ12の側面に形成された開口部12Bを介して、真空チャンバ12の側方に位置する外部固定部14に固定される。具体的には、リニアモータ機構50は、開口部12Bに溶接されるベローズ16Aの中を通る中空の柱状部材14Aの端部に固定される。この際、リニアモータ機構50に接続される配線などは、柱状部材14Aの内部を通って真空チャンバ12の外部に導出される。なお、外部固定部14に含まれる柱状部材14Aは、外部固定部14に含まれる外部部材14Bに固定される。また、柱状部材14Aは、真空チャンバ12の側面に接続されたベローズ16Aとは接触しない。
【0040】
ベース46は、真空チャンバ12の底面に形成された開口部12Cを介して、真空チャンバ12の下方に位置する外部固定部14に固定される。具体的には、ベース46は、開口部12Cに溶接されるベローズ16Bの中を通る柱状部材14Cの端部に固定される。なお、外部固定部14に含まれる柱状部材14Cは、外部固定部14に含まれる外部部材14Bに固定される。また、柱状部材14Cは、真空チャンバ12の底面に接続されたベローズ16Bとは接触しない。
【0041】
図2では、外部固定部14は、真空チャンバ12の側方および下方に渡って配置されるが、これらの位置における外部固定部14が連続していることは必須ではなく、これらの位置に分散して設けられていてもよいし、いずれかの位置のみに設けられていてもよい。また、真空チャンバ12は、ベローズ16Bとは別にチャンバフレーム(図示せず)によって鉛直方向下方から支持されて固定されるが、当該チャンバフレームは、外部固定部14とは独立して設けられる。
【0042】
図3は、図2に例が示された構成のうち、主に光照射部18およびステージ42を示す斜視図である。図3においては、ステージ42の上面に基板Wが配置された状態が示されている。光照射部18は、図3におけるX軸方向に光の照射方向を走査可能であり、ステージ42がリニアモータ機構50(図2を参照)によってY軸方向に移動可能である。よって、光照射部18からステージ42の上面に照射される光は、基板Wの上面において矩形型の照射領域(光照射領域)を形成することができる。
【0043】
図3に示されるように、ステージ42は、光照射部18によって光が照射される対象である基板Wが配置される対象配置領域42Aと、光照射部18によって照射される光の位置を校正するための領域である位置校正領域42Bとを備える。
【0044】
対象配置領域42Aは、対象配置領域42A内の特定の位置に基板Wを配置する。これによって、ステージ42と基板Wとの位置関係はあらかじめ特定される。位置校正領域42Bでは、光照射部18から位置校正領域42B内に照射される光の位置が検出される。そして、位置校正領域42Bでは、対象配置領域42Aにおける基板Wに対する光加工処理に先立って、光照射部18から照射される光の方向の設定値と、検出された光の照射位置との対応関係が校正される。
【0045】
位置校正領域42Bの少なくとも一部には、光を透過させる透光部142が設けられる。透光部142は、石英(SiO)などのガラス材料または透明性樹脂(たとえば、シリコン樹脂)などの透明性材料で構成される。透光部142は、位置校正領域42Bに対応するステージ42の上面から下面に至って設けられる。光照射部18から透光部142に照射された光は、ステージ42の上面から下面へ透過する。
【0046】
透光部142には、たとえば4つの散乱部142Aが設けられる。なお、散乱部142Aの数は、4つに限られるものではない。散乱部142Aは透明性材料で構成され、照射された光を散乱させつつ、反射または透過させる。散乱部142Aが設けられる位置は、ステージ42における特定の位置である。すなわち、ステージ42全体における散乱部142Aの位置は、あらかじめ特定されている。図3においては、それぞれの散乱部142Aは、光照射部18の光照射領域のX軸方向における端部に配置されているが、散乱部142Aが配置される位置は、ステージ42における特定の位置であればよく、光照射部18の光照射領域の端部に限られない。散乱部142Aは、入射する光を散乱させる性質を有し、たとえば、ガラス材料にブラスト加工を施す、または、フッ酸などを用いてフロスト加工を施すことによって得られる。図3においては、それぞれの散乱部142Aは、透光部142の上面に形成されているが、少なくとも1つの散乱部142Aが透光部142の下面に形成されていてもよい。
【0047】
なお、図3に示される場合では、対象配置領域42Aと位置校正領域42Bとが別々の領域とされているが、これらの領域は少なくとも一部が重なっていてもよい。すなわち、基板Wが配置される少なくとも一部の領域に透光部142が設けられていてもよい。そのような場合、たとえば、基板Wが配置されていない状態で、基板Wが配置される予定の位置において、光照射部18から照射される光の位置の校正が行われてもよい。
【0048】
また、透光部142は、その全範囲において散乱部142Aが形成されていてもよい。すなわち、光が透過するのみである部分は存在せず、透光部142の全範囲において光の散乱が生じる場合であってもよい。
【0049】
また、図3において透光部142はX軸方向に延びて設けられており、X軸方向のそれぞれの端部に散乱部142Aが設けられているが、透光部142はX軸方向において複数箇所に分割されていてもよい。ただし、一体的に形成された透光部142において複数の散乱部142Aが設けられている場合(すなわち、図3に示される場合)には、透明性材料で透光部142が製造された際の複数の散乱部142A間の位置精度が維持された状態で、ステージ42に透光部142を取り付ける(図3の場合には、嵌め込む)ことができる。そのため、ステージ42に取り付ける際に散乱部142A間の位置ずれが生じないため、複数の散乱部142Aを用いて行われる校正の精度を高く維持することができる。
【0050】
図4は、図2に例が示された構成のうち、主に光照射部18およびステージ42の構成の例を示す断面図である。図4に例が示されるように、光照射部18は、照射する光の方向をX軸方向およびY軸方向に制御するガルバノミラーまたはポリゴンミラーなどであるスキャナ18Aと、図示しない光源からの光を集光する集光レンズ18Bとを備える。図4において、集光レンズ18B、さらには、石英などで形成される照射窓20を介して照射される光は、たとえばレーザー光18Cである。レーザー光18Cは、スキャナ18Aの制御によってステージ42の上面に配置される基板WをX軸方向およびY軸方向に走査可能である。ここで、光照射部18は、X軸方向およびY軸方向に光を制御可能であることが望ましいが、光照射部18は、X軸方向またはY軸方向のいずれかに光を制御可能であってもよい。
【0051】
ステージ42は、位置校正領域42B(図3を参照)において形成される透光部142と、透光部142の上面に形成される散乱部142Aとを備える。光照射部18から照射されるレーザー光18Cは、X軸方向において少なくとも散乱部142Aに到達する範囲で走査可能である。
【0052】
ステージ42の下方には、光を検出するための検出部62が配置される。検出部62は、真空チャンバ12内で光を集光する集光ユニット62Aと、集光ユニット62Aに集光された光を伝搬させる透明ロッド62Dと、透明ロッド62DにおいてX軸方向に離散的に複数設けられる散乱部166と、透明ロッド62D内を伝搬する光を透明ロッド62Dから出射させるファイバー62Bと、ファイバー62Bから出射された光を集光する集光レンズ62Eと、集光レンズ62Eによって集光された光を、真空チャンバ12の筐体に設けられた透明窓20Aを介して真空チャンバ12外で検出する光検出器62Cとを備える。透明ロッド62Dと光検出器62Cとを備えることで、光検出装置を構成することができる。
【0053】
複数の散乱部166には、Y軸方向に延びて形成される散乱部166Aと、Y軸方向に散乱部166Aよりも長く延びて形成される散乱部166Bとが含まれる。図4においては、光検出器62Cに近い位置に2つの散乱部166Aが配置され、光検出器62Cから遠い位置に2つの散乱部166Bが配置されている。
【0054】
図4においては、散乱部166Aが連続して2つ並び、さらに、散乱部166Bが連続して2つ並んでいる。すなわち、散乱部166のY軸方向の幅は、光検出器62Cに近い方から段階的に(不連続に)広くなっている。しかしながら、たとえば、Y軸方向の幅がそれぞれ異なる4つの散乱部166が光検出器62Cから離れる方向に並び、かつ、それらのY軸方向の幅が光検出器62Cからの距離に応じて連続的に広くなっていてもよい。換言すると、光検出器62Cから遠い位置の散乱部166の幅は、光検出器62Cに近い位置の散乱部166の幅以上であればよい。
【0055】
また、図4に示される散乱部166はY軸方向(紙面奥行き方向)に延びて形成されているが、散乱部166が、X軸方向(紙面左右方向)に延びて形成され、かつ、光検出器62Cに近い位置の散乱部166のX軸方向の幅が光検出器62Cから遠い位置の散乱部166のX軸方向の幅以上であってもよい。言い換えると、散乱部166と光検出器62Cとを結ぶ方向を第1の方向とすると、散乱部166の、光検出器62Cからの距離に応じて変化する幅は、第1の方向における幅であってもよいし、第1の方向と直交する方向における幅であってもよい。
【0056】
図5は、散乱部166Aの形成幅の例を示す図である。また、図6は、散乱部166Bの形成幅の例を示す図である。図5に例が示されるように、透明ロッド62Dが円柱形状である場合、散乱部166Aは透明ロッド62Dの周方向に沿って延びて形成される。また、図6に例が示されるように、透明ロッド62Dが円柱形状である場合、散乱部166Bも透明ロッド62Dの周方向に沿って延びて形成される。ここで、散乱部166Bは、Y軸方向の幅が散乱部166Aの幅よりも広いため、周方向の長さも長くなっている。
【0057】
図4の透明窓20Aは、たとえば、ガラス材料または透明性樹脂などの透明性材料で構成される。
【0058】
図4の光検出器62Cは真空チャンバ12外に配置されるため、光検出器62Cから放出され得る気体が真空チャンバ12内に侵入することを抑制することができる。
【0059】
図7および図8は、検出部における集光ユニット62Aおよび透明ロッド62Dについて示す概略図である。図7および図8に例が示されるように、集光ユニット62Aは、図4の光照射部18から入射される光の光軸上で、当該光を集光する集光レンズ162と、光照射部18から入射される光の光軸上で、集光レンズ162よりも光の経路の下流(すなわち、図7および図8におけるZ軸負方向側)に配置される遮光板164とを備える。遮光板164は、入射する光を遮る板状の部材であり、集光レンズ162よりも透光部142から遠ざかる位置の、集光レンズ162の集光位置に配置される。
【0060】
また、図7および図8に例が示されるように、透明ロッド62Dは、石英(SiO)などのガラス材料または透明性樹脂(たとえば、シリコン樹脂)などの透明性材料で構成される。また、透明ロッド62Dは、たとえば円柱形状の棒部材であり、図4のステージ42の面に沿う平面(すなわち、XY平面)において延びて形成される。透明ロッド62Dが円柱形状であれば、集光ユニット62Aにおいて集光された光が透明ロッド62Dに入射する場合、透明ロッド62D内で全反射条件を満たしやすくなり、当該光を効率よく伝搬させることができる。ただし、透明ロッド62Dの形状は円柱形状に限られるものではなく、たとえば、角柱形状であってもよい。また、本実施の形態では、透明ロッド62Dが棒形状である場合が示されたが、透明ロッド62Dは、たとえば、ステージ42全面に対応する面形状などであってもよい。
【0061】
透明ロッド62Dは、Z軸方向においては、集光レンズ162を基準として、散乱部142Aとの共役位置に配置される。
【0062】
また、透明ロッド62Dは、平面視で少なくとも散乱部142Aと重なる範囲(たとえば、平面視で散乱部142Aを含む範囲)に配置されればよい。このような配置であれば、散乱部142Aで散乱し、さらに、集光ユニット62Aにおいて集光された光は、効率的に透明ロッド62Dに入射して伝搬される。
【0063】
また、透明ロッド62Dの下面には、複数の散乱部166が設けられている。それぞれの散乱部166は、照射された光を散乱させつつ、反射または透過させる。それぞれの散乱部166は、たとえば、ガラス材料にブラスト加工を施す、または、フッ酸などを用いてフロスト加工を施すことによって得られる。
【0064】
それぞれの散乱部166は、平面視で、すなわち、光の入射方向から見て、少なくとも散乱部142Aと重なる範囲(たとえば、平面視で散乱部142Aを含む範囲)に配置される。なお、それぞれの散乱部166は、透明ロッド62Dの内部または上面などに設けられていてもよい。
【0065】
図7に示される場合では、光照射部18(図4を参照)から入射されたレーザー光18C(平行光)は、ステージ42における透光部142のみを通過して集光ユニット62Aに到達している。一方で、図8に示される場合では、光照射部18(図4を参照)から入射されたレーザー光18Cは、ステージ42における散乱部142Aおよび透光部142を通過して集光ユニット62Aに到達している。なお、図8においては、レーザー光18Cは散乱部142Aおよび透光部142を通過しているが、レーザー光18Cは散乱部142Aのみを通過してもよい。
【0066】
図7に示される場合では、散乱部142A以外の透光部142を通過するレーザー光18Cは、光の照射範囲および方向が大きく変化せずに集光ユニット62Aに到達する。そして、レーザー光18Cは、集光ユニット62Aにおける集光レンズ162によって集光され、集光レンズ162の集光位置に配置された遮光板164に入射する。そして、遮光板164で光が遮られるため、レーザー光18Cの光軸に沿う光の経路の、遮光板164よりもさらに下流に位置する透明ロッド62Dには、レーザー光18Cは到達しない。
【0067】
一方で、図8に示される場合では、透光部142における散乱部142Aを通過するレーザー光18Cは、散乱部142Aを通過する際に光の散乱が生じる。そうすると、レーザー光18Cによる照射範囲が散乱光(図8における砂地部分)によって拡げられた状態で、レーザー光18Cが集光ユニット62Aに到達する。そして、レーザー光18Cは、集光ユニット62Aにおける集光レンズ162によって集光される。
【0068】
この際、散乱部142Aにおける光の散乱によって照射範囲が拡がっているレーザー光18Cには平行光ではない成分が多く含まれており、少なくとも一部の成分が集光レンズ162の集光位置には集光されない。よって、集光レンズ162の集光位置に配置された遮光板164ではレーザー光18Cの一部のみが遮られる。換言すると、レーザー光18Cの光軸に沿う光の経路の、遮光板164よりもさらに下流に位置する透明ロッド62Dに、遮光板164に遮られなかった一部のレーザー光18C、すなわち、レーザー光18Cの散乱光が到達する。
【0069】
そして、透明ロッド62D内に入射したレーザー光18Cは、散乱部166において光の散乱が生じる。散乱したレーザー光18Cの一部は透明ロッド62D内で反射して伝搬され、透明ロッド62Dの端部に接続されるファイバー62Bに到達する。
【0070】
上記のように、ステージ42の上面に照射されたレーザー光18Cは、透光部142のうちの散乱部142Aが形成された箇所に入射した場合に、集光ユニット62Aで集光された後透明ロッド62Dに到達する。そして、透明ロッド62Dに到達した光が透明ロッド62D内、さらには、透明ロッド62Dの端部に接続されるファイバー62B内を伝搬した後集光レンズ62Eに集光されて光検出器62Cにおいて検出される。よって、レーザー光18Cが散乱部142Aに照射された場合に検出部62がレーザー光18Cの散乱光を検出することができるため、その際のスキャナ18A(図4を参照)の設定値と散乱部142Aの位置とを対応させるように、照射される光の位置を校正することができる。これによって、後の工程で、ステージ42の上面に配置された基板Wを光加工する際に、光照射部18(図4を参照)から照射される光の位置を高い精度で位置合わせすることができる。
【0071】
また、光照射部18(図4を参照)によって光が照射される透光部142および透明ロッド62Dは透明性材料で構成されているため、光照射部18(図4を参照)によって照射される光の位置を校正するために繰り返し透光部142および透明ロッド62Dに比較的高い強度の光が照射される場合であっても、校正のために光が照射されるターゲット(すなわち、透光部142および透明ロッド62D)の損傷を抑制することができる。
【0072】
また、検出部62において検出される光は散乱光であり、散乱せずに透光部142を透過した透過光ではないため、散乱していない透過光を直接検出する場合に比べて、検出部62における当該光に起因する損傷を抑制することができる。
【0073】
図9は、透明ロッド62Dにおける光の伝搬の様子を示す図である。図9に例が示されるように、光照射部18(図4を参照)から入射されたレーザー光18Cは、透明ロッド62D内で伝搬されて透明ロッド62Dの端部に到達する。そして、当該光は、透明ロッド62Dの長手方向(X軸方向)の端部に接続されるファイバー62B内を伝搬した後で、集光レンズ62E(図4を参照)に集光される。そして、当該光は、集光レンズ62Eを介して透明ロッド62Dの端部に対向する光検出器62C(図4を参照)において検出される。
【0074】
図9に例が示されるように、レーザー光18Cが入射する位置に対応して散乱部166Bが形成されていることによって、透明ロッド62Dに入射したレーザー光18Cが透明ロッド62Dを透過せずに散乱部166Bにおいて散乱し、透明ロッド62Dを伝搬しやすくなる。
【0075】
また、散乱部166Aおよび散乱部166Bが透明ロッド62Dの下面の長手方向(X軸方向)において離散的に設けられているため、散乱部がたとえば透明ロッド62Dの下面全体に設けられている場合に比べて、透明ロッド62D内を伝搬するレーザー光18Cが伝搬中に散乱する機会が減る。そのため、レーザー光18Cが全反射条件を満たしながら透明ロッド62D内を伝搬しやすくなり、その結果、光検出器62Cにおいて検出されるレーザー光18Cの光量の減少を抑制することができる。
【0076】
図10は、透明ロッド62Dにおける光の伝搬の様子を示す図である。図10では、透明ロッド62Dに入射されるレーザー光18Cの入射位置が、図9の場合よりも光検出器62C(図4を参照)に接続されるファイバー62Bに近い位置となっている。
【0077】
図10に例が示されるように、レーザー光18Cが入射する位置に対応して散乱部166Aが形成されていることによって、透明ロッド62Dに入射したレーザー光18Cが透明ロッド62Dを透過せずに散乱部166Aにおいて散乱し、透明ロッド62Dを伝搬しやすくなる。
【0078】
ここで、散乱部166BのY軸方向の幅は、散乱部166AのY軸方向の幅よりも広い。よって、図10に示されたように散乱部166Aに対応する位置に入射したレーザー光18Cよりも、図9に示されたように散乱部166Bに対応する位置に入射したレーザー光18Cの方が対応する散乱部166に入射する割合が高くなり、当該散乱部166で散乱して透明ロッド62D内を伝搬しやすくなる。すなわち、光検出器62C(図4を参照)から遠い位置に入射したレーザー光18Cの方が、光検出器62Cに近い位置に入射したレーザー光18Cよりも対応する散乱部166で散乱されやすいため、高い光量で透明ロッド62D内を伝搬しやすくなる。
【0079】
そうすると、光検出器62C(図4を参照)から遠い位置に入射したレーザー光18Cの光量が透明ロッド62D内を伝搬する間の散乱などによって低下する場合であっても、光検出器62Cに近い位置に入射したレーザー光18Cと光検出器62Cから遠い位置に入射したレーザー光18Cとの間で、光検出器62Cにおいて検出される光量に差が生じにくくなる。よって、レーザー光18Cが入射される位置によらず検出される光量のしきい値(ノイズとの区別のための値)などを設定することができるため、ノイズを除去しつつ伝搬してきたレーザー光18Cを効果的に検出することができる。結果として、光の検出精度を向上させることができる。
【0080】
透明ロッド62Dに設けられる散乱部は、透明ロッド62Dの表面が加工されて形成されるものに限られるものではなく、たとえば、透明ロッド62Dの下面に散乱部として機能する反射膜が塗布される場合であってもよい。
【0081】
散乱部166のように透明性材料が加工された構成であれば、光の照射による損傷が生じにくく、かつ、真空下(または減圧下)において問題となるアウトガスを抑制することが可能である一方、金属膜などである反射膜が散乱部として設けられる場合であれば、透明ロッド62D内に入射した光の反射率が向上するため、当該光の伝搬効率を向上させることができる。
【0082】
図11は、透明ロッド162Dの構成の例を概略的に示す断面図である。図11に例が示されるように、透明ロッド162Dの下面には、散乱部としての反射膜168が塗布されている。反射膜168は、たとえば、アルミナ(酸化アルミニウム)などで構成される金属膜である。
【0083】
反射膜168が当該箇所に設けられる場合には、光が反射膜168によって全反射した後、透明ロッド162D内を伝搬される。
【0084】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。すなわち、以下では便宜上、対応づけられる具体的な構成のうちのいずれか1つのみが代表して記載される場合があるが、代表して記載された具体的な構成が対応づけられる他の具体的な構成に置き換えられてもよい。
【0085】
以上に記載された実施の形態によれば、光検出装置は、伝搬部材と、光検出器62Cとを備える。ここで、伝搬部材は、たとえば、透明ロッド62Dおよび透明ロッド162Dなどのうちの少なくとも1つに対応するものである。透明ロッド62Dは、光照射部18から照射された光を伝搬させる。光検出器62Cは、透明ロッド62Dによって伝搬された光を検出する。そして、透明ロッド62Dには、光を散乱させるための第1の散乱部が離散的に複数設けられる。ここで、第1の散乱部は、たとえば、散乱部166、散乱部166Aおよび散乱部166Bなどのうちの少なくとも1つに対応するものである。
【0086】
このような構成によれば、透明ロッド62D内をレーザー光18Cが伝搬する間の過度な拡散を抑制することによって、伝搬されるレーザー光18Cの光量の低下を抑制することができる。その結果、光検出精度の低下を抑制することができる。
【0087】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0088】
また、以上に記載された実施の形態によれば、光検出器62Cは、透明ロッド62Dの長手方向の端部に対向して位置する。そして、複数の散乱部166は、透明ロッド62Dの長手方向に沿って、離散的に配置される。このような構成によれば、透明ロッド62Dの長手方向に沿って効果的に光を伝搬させることができる。
【0089】
また、以上に記載された実施の形態によれば、透明ロッド62Dは、光検出器62Cに対向する端部を有する。そして、複数の散乱部166のうちの1つの散乱部である第2の散乱部の幅は、第2の散乱部よりも端部に近い位置に設けられる散乱部である第3の散乱部の幅以上である。ここで、第2の散乱部は、たとえば、散乱部166Bに対応するものである。また、第3の散乱部は、たとえば、散乱部166Aに対応するものである。このような構成によれば、透明ロッド62D内での伝搬距離に応じて生じるレーザー光18Cの光量の減少を相殺するように、伝搬距離が長くなる位置の散乱部166Bによって散乱される光量が、伝搬距離が短くなる位置の散乱部166Aによって散乱される光量と比較して相対的に増加するため、異なる入射位置から透明ロッド62D内を伝搬して検出される光の光量差を抑制することができる。結果として、光の検出精度を向上させることができる。
【0090】
また、以上に記載された実施の形態によれば、光検出装置は、ステージ42を備える。そして、光照射部18は、ステージ42の上面に光を照射する。また、ステージ42の少なくとも一部には、光を散乱させるための少なくとも1つの第4の散乱部が設けられる。ここで、第4の散乱部は、たとえば、散乱部142Aに対応するものである。また、散乱部142Aは、透明性材料で構成される。また、透明ロッド62Dは、散乱部142Aを介して入射された光を伝搬させる。このような構成によれば、光が照射される散乱部142Aが透明性材料で構成されるため、レーザー光18Cなどの高強度の光が照射される場合であっても、光が照射される箇所の損傷を軽減することができる。そのため、検出部62によって検出される光の位置精度が低下しにくい。また、散乱部142Aで散乱した散乱光を検出することによって、レーザー光18Cなどの高強度の光を検出する場合であっても、光が直接照射されることに起因する検出部62の損傷を軽減することができる。
【0091】
また、以上に記載された実施の形態によれば、それぞれの散乱部166は、散乱部142Aの位置に対応して配置される。このような構成によれば、散乱部142Aで散乱されて透明ロッド62Dに入射する光をその直下に位置する散乱部142Aでさらに散乱させることができるため、当該光を透明ロッド62D内で効率的に伝搬させることができる。
【0092】
また、以上に記載された実施の形態によれば、光検出装置は、集光レンズ162と、遮光板164とを備える。集光レンズ162は、散乱部142Aを介して入射された光を集光する。遮光板164は、集光レンズ162よりも散乱部142Aから遠ざかる位置に配置される。また、遮光板164は、集光レンズ162の集光位置に配置される。そして、透明ロッド62Dは、集光レンズ162によって集光された光を伝搬させる。このような構成によれば、遮光板164で透過光を遮断しつつ散乱部142Aで散乱した散乱光を光検出器62Cで検出することによって、レーザー光18Cなどの高強度の光を検出する場合であっても、光が直接照射されることに起因する検出部62の損傷を軽減することができる。
【0093】
また、以上に記載された実施の形態によれば、複数の散乱部166は、透明ロッド62Dの表面におけるブラスト加工によって形成される。このような構成によれば、光の照射による損傷が生じにくく、かつ、真空下(または減圧下)において問題となるアウトガスを抑制可能な散乱部を形成することができる。
【0094】
また、以上に記載された実施の形態によれば、複数の第1の散乱部は、透明ロッド162Dの下面に塗布された反射膜168である。このような構成によれば、透明ロッド62Dの下面における反射率を、当該下面に離散的に設けられる反射膜168で高めることによって、光の伝搬中の過度な拡散を抑制して透明ロッド62D内に入射した光の伝搬効率を向上させることができる。
【0095】
また、以上に記載された実施の形態によれば、光照射部18から照射される光がレーザー光18Cである。このような構成によれば、レーザー光18Cのような高強度の光が照射される場合であっても、伝搬中の過度な拡散を抑制することによって伝搬される光量の低下を抑制することができる。
【0096】
また、以上に記載された実施の形態によれば、光検出装置は、透明ロッド62Dが内包されるチャンバを備える。ここで、チャンバは、たとえば、真空チャンバ12に対応するものである。そして、光検出器62Cは、透明ロッド62Dによって伝搬された光を、真空チャンバ12の外部において検出する。このような構成によれば、検出部62のうちの光検出器62Cが真空チャンバ12の外部に設けられるため、光検出器62Cから放出されるアウトガスが真空チャンバ12内に生じることを抑制することができる。
【0097】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではないものとする。
【0098】
したがって、例が示されていない無数の変形例と均等物とが、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0099】
また、以上に記載された実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【符号の説明】
【0100】
1 光照射装置
12 真空チャンバ
12A,12B,12C 開口部
14 外部固定部
14B 外部部材
14A,14C 柱状部材
16A,16B ベローズ
18B,62E,162 集光レンズ
18 光照射部
18A スキャナ
18C レーザー光
20 照射窓
20A 透明窓
21 真空ポンプ
22 制御部
24 架台
42 ステージ
42A 対象配置領域
42B 位置校正領域
44 スライダー
46 ベース
48 リニアガイド
50 リニアモータ機構
52 リフトピン機構
52A リフトピン
62 検出部
62A 集光ユニット
62B ファイバー
62C 光検出器
62D,162D 透明ロッド
142 透光部
142A,166,166A,166B 散乱部
164 遮光板
168 反射膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11