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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-24
(45)【発行日】2025-05-07
(54)【発明の名称】水深測量装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 13/00 20060101AFI20250425BHJP
   B63B 22/00 20060101ALI20250425BHJP
【FI】
G01C13/00 E
B63B22/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024025607
(22)【出願日】2024-02-22
【審査請求日】2024-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】596023393
【氏名又は名称】大新土木株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】赤瀬 安章
(72)【発明者】
【氏名】上村 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】三浦 大祐
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-86476(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0147173(US,A1)
【文献】特開平11-325896(JP,A)
【文献】実開昭57-159598(JP,U)
【文献】中国実用新案第210071064(CN,U)
【文献】中国実用新案第210149511(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111578911(CN,A)
【文献】米国特許第5141458(US,A)
【文献】登録実用新案第3079942(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第105309401(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 13/00
G01F 23/296-23/2965,23/64-23/76
G01S 1/72-1/82,3/80-3/86,
G01S 5/18-5/30,7/52-7/64
G01S 15/00-15/96
B63B 22/00-22/28
A01K 75/04-75/06,95/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水深の測量に使用される浮遊式の水深測量装置であって、
水中に位置し、水底に向かって超音波を発信し、その反射波を受信して水深を測定するソナー本体と、
前記ソナー本体の少なくとも略上半部を保持する円筒状の保持体と、
前記保持体より小径の棒状で、前記保持体の上端面から上方に延び、少なくとも上端部分が空中に位置するアンテナを備え、
リング状のウエイトを、前記アンテナに挿通し前記保持体の上面に載置されるように着脱自在に装着可能にしたことを特徴とする水深測量装置。
【請求項2】
水深の測量に使用される浮遊式の水深測量装置であって、
水中に位置し、水底に向かって超音波を発信し、その反射波を受信して水深を測定するソナー本体と、
前記ソナー本体の少なくとも略上半部を保持する円筒状の保持体と、
前記保持体より小径の円筒状の台座と、
前記台座よりさらに小径の棒状で、前記台座の上端面から上方に延び、少なくとも上端部分が空中に位置するアンテナを備え、
リング状で大径の第一ウエイトを、前記台座に挿通し前記保持体の上面に載置されるように着脱自在に装着可能にするとともに、
リング状で小径の第二ウエイトを、前記アンテナに挿通し前記台座の上面に載置されるように着脱自在に装着可能にしたことを特徴とする水深測量装置。
【請求項3】
前記ソナー本体の下半分は露出した半球状体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水深測量装置。
【請求項4】
前記アンテナの頂部に構造物と接続された係留ワイヤーが繋がれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の水深測量装置。
【請求項5】
前記アンテナの頂部と前記保持体の外周面に構造物と接続された係留ワイヤーが繋がれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の水深測量装置。
【請求項6】
前記アンテナの頂部と前記アンテナの外周面と前記保持体の外周面に構造物と接続された係留ワイヤーが繋がれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の水深測量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、海や河川などの埋め立てや浚渫作業の際に行われる水深の測量に使用される浮遊式の水深測量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、海や河川あるいは湖や池などの埋め立て作業や浚渫作業を行う際には、それらの水深を測量する必要がある。そのための機器として超音波を水底に向けて発信し、その反射波を受信することによって水深を測量する水深測量装置が多く使用されている。
こうした水深測量装置には、台船から水上に延ばしたブームの先端部に超音波を送受信する機器を備えた固定式のもの(例えば、特許文献1参照)や、図8に示すように、水中に浮かせた浮遊式のもの(例えば、特許文献2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭60-3508号公報
【文献】実開平6-86476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の固定式の水深測量装置は、台船やブームを必要とするので構成が大掛かりとなり製造コストが嵩むといった問題がある。
【0005】
一方、特許文献2に記載の浮遊式の水深測量装置20は、小型であるため製造コストが廉価であり、その取扱いも容易であるといった利点がある。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の水深測量装置20は、浮遊式であるために、特に海で使用する場合には波の影響を受けて大きく上下動し易いので正確な測量ができ難いと言った問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、海で使用する場合であっても、波の影響を受け難く、従って、正確に水深を測量することのできる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の水深測量装置は、水深の測量に使用される浮遊式であって、
水中に位置し、水底に向かって超音波を発信し、その反射波を受信して水深を測定するソナー本体(2)と、
前記ソナー本体(2)の少なくとも略上半部を保持する円筒状の保持体(3)と、
前記保持体(3)より小径の棒状で、前記保持体(3)の上端面から上方に延び、少なくとも上端部分が空中に位置するアンテナ(5)を備え、
リング状のウエイト(6)を、前記アンテナ(5)に挿通し前記保持体(3)の上面に載置されるように着脱自在に装着可能にしたことを特徴とする。
【0009】
また本発明の水深測量装置(1)は、水深の測量に使用される浮遊式であって、
水中に位置し、水底に向かって超音波を発信し、その反射波を受信して水深を測定するソナー本体(2)と、
前記ソナー本体(2)の少なくとも略上半部を保持する円筒状の保持体(3)と、
前記保持体(3)より小径の円筒状の台座(4)と、
前記台座(4)よりさらに小径の棒状で、前記台座(4)の上端面から上方に延び、少なくとも上端部分が空中に位置するアンテナ(5)を備え、
リング状で大径の第一ウエイト(6a)を、前記台座(4)に挿通し前記保持体(3)の上面に載置されるように着脱自在に装着可能にするとともに、
リング状で小径の第二ウエイト(6b)を、前記アンテナ(5)に挿通し前記台座(4)の上面に載置されるように着脱自在に装着可能にしたことを特徴とする。
【0010】
また本発明の水深測量装置(1)は、前記ソナー本体(2)の下半分が露出した半球状体であることを特徴とする。
【0011】
また本発明の水深測量装置(1)は、前記アンテナ(5)の頂部に構造物(K)と接続された係留ワイヤー(7)が繋がれていることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の水深測量装置(1)は、前記アンテナ(5)の頂部と前記保持体(3)の外周面に構造物(K)と接続された係留ワイヤー(7)が繋がれていることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の水深測量装置(1)は、前記アンテナ(5)の頂部と前記アンテナ(5)の外周面と前記保持体(3)の外周面に構造物(K)と接続された係留ワイヤー(7)が繋がれていることを特徴とする。
【0014】
ここで、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0015】
本発明の水深測量装置によれば、水中に位置するソナー本体と、ソナー本体の略上半部を保持する保持体と、保持体より小径で、その上端面から上方に延び、少なくとも上端部が空中に位置するアンテナとで構成し、リング状のウエイトが保持体の上面に載置されるように設定したので、波の影響を受け難く、正確な水深測量を行うことができる。
【0016】
すなわち、波が高い場合には、ウエイトを保持体の上面に載置することによって、水深測量装置の重心を下げて、水面から下に位置する範囲(喫水範囲)を大きくすると同時に空中に位置する範囲を小さくする。これによって、波の影響を受け難くすることができるので、波による上下動を抑えてその姿勢を安定させることができる。その結果、水深を正確に測量することができる。
【0017】
なお、ウエイトは、波が小さい場合には必ずしも使用する必要がない。この場合、水深測量装置の重心を上げて、アンテナの多くの部分を空中に位置させることができるので、外部端末とのより良好な送受信が可能となる。
【0018】
また、本発明によれば、水中に位置するソナー本体と、ソナー本体の略上半部を保持する保持体と、保持体より小径の台座と、台座より小径で、その上端面から上方に延び、少なくとも上端部が空中に位置するアンテナとで構成し、第一ウエイトが保持体の上面に載置され、第二ウエイトが台座の上に載置されるように設定したので、波の影響を受け難く、正確な水深測量を行うことができる。
【0019】
すなわち、例えば、波が高い場合には、第一ウエイトを保持体の上面に載置し、第二ウエイトを台座の上に載置することによって、水深測量装置の重心を下げ、より多くの範囲を水面から下に位置させ(喫水範囲を大きくし)、空中に位置する部分を少なくして、水深測量装置の姿勢を安定させることができる。これによって、波の影響を受け難くすることができるので、水深を正確に測量することができる。
【0020】
なお、第一ウエイトと第二ウエイトは、波が小さい場合には使用しなくても良く、あるいはその一方のみを使用するようにしても良い。そうした場合、水深測量装置の重心を上げて、アンテナのより多くの部分を空中に位置させることができるので、外部端末との送受信性能を高めることができる。
【0021】
また本発明の水深測量装置は、前記ソナー本体の下半分が露出した半球状体であり、従って、その外周面が円滑な湾曲面であるため、波の抵抗を小さくすることができる。従って、波の影響を受け難く、より正確な水深測量を行うことができる。
【0022】
また本発明の水深測量装置は、アンテナの頂部に構造物と接続された係留ワイヤーが繋がれているので、例えば、水の流れが速い場合においても一定箇所での水深を安定的に測量することができる。
【0023】
さらに、本発明の水深測量装置は、アンテナの頂部と保持体の外周面に構造物と接続された係留ワイヤーが繋がれているので、例えば、別体成形されたアンテナと保持体を嵌合するなどして組付けた場合に、水深測量中、保持体がアンテナから外れてしまった場合でも、保持体(およびソナー本体)を流出させてしまうことがない。従って、確実で安定した水深測量を行うことができる。
【0024】
またさらに、本発明の水深測量装置は、アンテナの頂部とアンテナの外周面と保持体の外周面に構造物と接続された係留ワイヤーが繋がれているので、係留ワイヤーにアンテナをより確実に接続することができ、かつ、水深測量中、保持体がアンテナから外れてしまった場合でも、保持体(およびソナー本体)を流出させてしまうことがない。その結果、より確実で安定した水深測量を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第一実施形態に係る水深測量装置を示す正面図である。
図2図1に示す水深測量装置の平面図である。
図3】本発明の第二実施形態に係る水深測量装置を示す正面図である。
図4】本発明の第三実施形態に係る水深測量装置を示す正面図である。
図5図4に示す水深測量装置の平面図である。
図6】比較例に係る水深測量装置を示す正面図である。
図7】他の比較例に係る水深測量装置を示す正面図である。
図8】従来例に係る水深測量装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1及び図2を参照して、本発明の第一実施形態に係る水深測量装置1を説明する。
【0027】
本発明の第一実施形態に係る水深測量装置1は、海や河川あるいは湖や池などの水深の測量に使用される浮遊式であり、ソナー本体2、保持体3、台座4およびアンテナ5を有する。
【0028】
ソナー本体2は球状体であり、水深測量中、水中に位置し、水底に向かって超音波を発信し、その反射波を受信して水深を測量する。
【0029】
保持体3は、ソナー本体2のほぼ上半部に強固に嵌合して保持する円筒状である。従って、ソナー本体2の下半分は水と接触する半球状体を形成する。
【0030】
台座4は、保持体3より小径で、保持体3の上端面の中央部から上方に延びる円筒状である。台座4は保持体3と一体成形することができる。
【0031】
アンテナ5は、台座4よりさらに小径の棒状で、台座4の上端面の中央部から上方に延び、水深測量中、少なくともその上端部分が空中に位置する。アンテナ5は、その下端部が台座4を挿通してソナー本体2に接続されると共に、外部端末(スマートフォンやパソコンなど)Tと送受信を行う。外部端末Tにはソナー本体2で測量した水深が表示され記録される。
【0032】
第一実施形態に係る水深測量装置1は、ソナー本体2、保持体3、台座4およびアンテナ5の4つの構成部材で構成され、それらの浮力により直立姿勢で水に浮遊させて使用することができるが、それに加えて、海など、波が高くなる場所での水深測量を考慮した構成を備える。
【0033】
すなわち、保持体3と台座4とで段部D(第一段部D1)が形成されるようにして、この第一段部D1にリング状で大径の第一ウエイト6aを、台座4に挿通させて保持体3の上面に着脱自在な載置状態で装着できるようにしている。
【0034】
また、台座4とアンテナ5とで他の段部D(第二段部D2)が形成されるようにして、この第二段部D2にリング状の第二ウエイト6bを、アンテナ5に挿通させて台座4の上面に着脱自在な載置状態で装着できるようにしている。なお、第二ウエイト6bは第一ウエイト6aよりも小径で軽量である。
【0035】
なお、アンテナ5の頂部には係留ワイヤーの一端部が繋がれており、この係留ワイヤー7の他端部は構造物K(例えば、船舶や陸上に設けられた係留ワイヤー支持部材)に接続される。
【0036】
第一実施形態に係る水深測量装置1は、波の影響を受け難い場所(湖や池など)では、第一ウエイト6aおよび第二ウエイト6bを使用しないで水深を正確に測量することができる。なお、この場合、水深測量装置1の重心が高くなるので(すなわち喫水範囲Hが小さいので)、アンテナ5のより多くの部分を空中に露出させることができ、アンテナ5の感度を高めることができる。従って、外部端末Tとの送受信を、より良好なものとすることができる。
【0037】
一方で、この水深測量装置1は、波や水流の影響を受け易い場所(海や河川など)おいても正確な水深測量を行うことができる。すなわち、例えば、海の水深を測量する場合に、測量地点の波が高い場合には、第一ウエイト6aを保持体3の上面に載置すると共に、第二ウエイト6bを台座4の上面に載置する。これによって、水深測量装置1の重量を重くして重心を下げ、水面Sから下に位置する喫水範囲Hを大きくすると共に、空中に位置する範囲を小さくすることができる。これによって、波の影響を受け難くして、波による上下動を抑えて、その姿勢を安定させることができるので、水深を正確に測量することができる。
【0038】
なお、第一ウエイト6aおよび第二ウエイト6bは、その一方のみを使用することもできる。例えば、測量箇所の波が高い場合は、前記したように第一ウエイト6aと第二ウエイト6bを使用し、それ以外では、波の高さに応じて第一ウエイト6aのみ、あるいは第二ウエイト6bのみを使用することができる。
【0039】
また第一実施形態に係る水深測量装置1は、ソナー本体2の下半分が露出した半球状体であるため、その外周面が円滑な湾曲面を成しているので波の抵抗を受け難い。従って、波による上下動を抑えることができ、より正確な水深測量を行うことができる。
【0040】
またこの水深測量装置1は、アンテナ5の頂部に構造物Kと接続された係留ワイヤー7が繋がれているので、例えば、水の流れが速い場合においても一定箇所での水深を安定的に測量することができる。
【0041】
なお、上記第一実施形態に係る水深測量装置1は2つのウエイト6a、6bを使用するので、1つのウエイトを使用するもの(例えば、後述する第三実施形態に係る水深測量装置1)と比較して、喫水範囲Hの微調整が可能なので調整が行い易いといった利点がある。
なお、こうした点を考慮すると、3つ以上のウエイトを使用できる水深測量装置1を構成することもできる(例えば、ウエイト6を載せる段部Dを増やしたり、あるいはウエイト6の上に他のウエイト6を載せるなど)。
【0042】
図3を参照して、本発明の第二実施形態に係る水深測量装置1を説明する。
この水深測量装置1の特徴は、第一水深測量装置1の構成において、係留ワイヤー7を、アンテナ5の頂部に加えてその外周面と保持体3の外周面に繋いだことである。これらの繋ぎは、アンテナ5の頂部と外周面および保持体3の外周面のそれぞれに設けた固定突起8に係留ワイヤー7を結び付けることによって行うことができる。
【0043】
この実施形態では係留ワイヤー7をアンテナ5の頂部と外周面に繋いでいるので、アンテナ5を、より確実に保持してその流出を防止することができる。また、係留ワイヤー7を保持体3の外周面にも繋いでいるので、水深測量中に保持体3がアンテナ5から外れてしまった場合でも、保持体3(およびソナー本体2)を係留ワイヤー7で繋ぎ止めることができる。
【0044】
図4および図5を参照して、本発明の第三実施形態に係る水深測量装置1を説明する。
この水深測量装置1は、ソナー本体2、保持体3およびアンテナ5を備える。
【0045】
ソナー本体2は球状体で、水深測量中は水中に配置され、水底に向かって超音波を発信し、水底からの反射波を受信して水深を測量する。
【0046】
保持体3は円筒状であり、ソナー本体2のほぼ上半部を強固な嵌合状態で保持する。上半部を保持されたソナー本体2の下半分は、半球状体を形成して水と接触する。
【0047】
アンテナ5は、保持体3より小径の棒状で、保持体3の上端面の中央部から上方に延び、少なくとも上端部分が空中に位置する。アンテナ5は、その下端部が保持体3を挿通してソナー本体2に接続され、外部端末(スマートフォンやパソコンなど)Tと送受信を行う。なお、外部端末Tにはソナー本体2で測量した水深が表示および記録される。
【0048】
また保持体3と、それより小径のアンテナ5とによって段部Dが形成されるように構成し、その段部Dに、アンテナ5に挿通し保持体3の上面に載置されるように着脱自在に装着できるウエイト6を載せるようにしている。ウエイト6はアンテナ5に挿通できる内径を持つリング状である。
【0049】
第三実施形態に係る水深測量装置1は、ソナー本体2、保持体3およびアンテナ5で構成し、リング状のウエイト6が保持体3の上面に載置されるように形成したので、波の影響を受け難く、従って、正確な水深測量を行うことができる。
【0050】
例えば、海で水深を測量する場合に、波が高い場合には、ウエイト6を保持体3の上面に載置することによって、水深測量装置1の重心を下げて、喫水範囲Hを大きくし、その逆に空中に位置する範囲を小さくする。これによって、波の影響を受け難くしてその姿勢を安定させることができるので、水深を正確に測量することができる。
【0051】
なお、波がない場所あるいは低い場所での水深は、ウエイト6を使用しないで測量することができる。この場合、喫水範囲Hが小さくなり、アンテナ5のより多くの部分が空中に位置するので、外部端末Tとの送受信がさらに良好となる。
【0052】
この水深測量装置1においても、第一実施形態と同様に、アンテナ5の頂部に係留ワイヤー7の一方端部を繋ぐことによって、水流による流出を防止している。なお、係留ワイヤー7は、第二実施形態と同様に、アンテナ5と保持部3の双方に繋ぐことができる。
【0053】
本発明者らは、本実施形態の水深測量装置1(上記第一、第二および第三実施形態に係る水深測量装置1)に加えて、図6および図7に示す比較例に係る水深測量装置10を考え、本実施形態の水深測量装置1との比較検討を行った。
図6に示す装置は、ソナー本体2と、ソナー本体2のほぼ上半部を保持する円筒形状のアンテナ11とで構成され、図7に示す装置は、ソナー本体2と、ソナー本体2のほぼ上半部を保持する円錐筒体形状のアンテナ12とで構成される。
【0054】
比較検討結果は以下の通りである。
1.本実施形態の方が、波の影響を受ける面積が狭い。従って、安定した水深測量を行うことができる(本実施形態のアンテナ5などは、比較例のアンテナ11、12より小径であるため)。
2.本実施形態の方が、全体の重量が軽量である。従って、取扱いが容易である(本実施形態のアンテナ5などは、比較例のアンテナ11、12より小径で体積が小さいため)。
3.本実施形態の方が、喫水範囲Hの調整が容易である。従って、波の程度に対応した喫水範囲Hに調整して正確な水深測量を行うことができる(本実施形態は着脱自在なウエイト6を使用できるため)。
上記の比較検討から、本実施形態の水深測量装置1の方が比較例に係る水深測量装置10よりも優れていることが分かる。
【0055】
なお、浮遊式の水深測量装置において、段部Dを形成し、そこにウエイト6を着脱自在に載置して喫水範囲Hを自在に調整する構成は、上述した特許文献にも一切記載されていない。
【0056】
本実施形態に係る水深測量装置1は、水深の測量に加えて、魚群を探知するための魚群探知機としても使用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 水深測量装置
2 ソナー本体
3 保持体
4 台座
5 アンテナ
6 ウエイト
6a 第一ウエイト
6b 第二ウエイト
7 係留ワイヤー
8 固定突起
10 水深測量装置
11 円筒形状のアンテナ
12 円錐筒形状のアンテナ
20 水深測量装置
D 段部
D1 第一段部
D2 第二段部
H 喫水範囲
K 構造物
S 水面
T 外部端末
【要約】
【課題】海で使用する場合であっても、波の影響を受け難く、従って、正確に水深を測量することのできる装置を提供する。
【解決手段】水深の測量に使用される浮遊式であって、水中に位置し、水底に向かって超音波を発信し、その反射波を受信して水深を測定するソナー本体2と、ソナー本体2の少なくとも略上半部を保持する円筒状の保持体3と、保持体3より小径の円筒状の台座4と、台座4よりさらに小径の棒状で、台座4の上端面から上方に延び、少なくとも上端部分が空中に位置するアンテナ5を備える。またリング状で大径の第一ウエイト6aを、台座4に挿通し保持体3の上面に載置されるように着脱自在に装着可能にする。さらに、リング状で小径の第二ウエイト6bを、アンテナ5に挿通し台座4の上面に載置されるように着脱自在に装着可能にする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8