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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-24
(45)【発行日】2025-05-07
(54)【発明の名称】枝豆収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/02 20060101AFI20250425BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20250425BHJP
   A01D 45/00 20180101ALI20250425BHJP
【FI】
A01D41/02 B
A01D41/12
A01D45/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022054168
(22)【出願日】2022-03-29
(65)【公開番号】P2023146791
(43)【公開日】2023-10-12
【審査請求日】2024-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木下 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
(72)【発明者】
【氏名】岩切 雅也
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-022223(JP,A)
【文献】特開2020-080769(JP,A)
【文献】特開2006-122013(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0096771(US,A1)
【文献】特開2004-321123(JP,A)
【文献】特開2014-195409(JP,A)
【文献】特開2005-102706(JP,A)
【文献】特開2006-254706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/00 - 41/16
A01D 47/00
A01D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場から枝豆を引き抜いて後方に向けて搬送する引き抜き搬送装置と、
前記引き抜き搬送装置の搬送方向の途中に設けられ、前記引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部に付着している泥土を落とす土落とし装置と、を備え、
前記土落とし装置は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転して枝豆の根部に接触するように構成され、前記引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心を挟んで前記機体左右方向に対向する状態で設けられる左右の回転体を有し、
前記回転体は、前記回転軸心周りで回転可能な回転軸と、前記回転軸に前記回転軸と一体回転可能な状態で支持される基部材と、前記基部材に支持され、前記基部材から前記中心側に向かって前記中心側ほど前記回転軸心から離れるように放射状に延びる複数の爪と、を有し、
左側の前記回転体と右側の前記回転体とは、前記回転軸心周りで互いに逆方向に回転駆動可能に構成されている枝豆収穫機。
【請求項2】
左側の前記回転体における前記複数の爪と、右側の前記回転体における前記複数の爪とは、前記回転軸心方向における互いの位置が重複しない状態で設けられ、
左側の前記回転体と右側の前記回転体との間に、前記引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部が入り込む空間が形成されている請求項1に記載の枝豆収穫機。
【請求項3】
圃場から枝豆を引き抜いて後方に向けて搬送する引き抜き搬送装置と、
前記引き抜き搬送装置の搬送方向の途中に設けられ、前記引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部に付着している泥土を落とす土落とし装置と、を備え、
前記土落とし装置は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転して枝豆の根部に接触するように構成され、前記引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心を挟んで前記機体左右方向に対向する状態で設けられる左右の回転体を有し、
前記回転体は、前記回転軸心周りで回転可能な回転軸と、前記回転軸に前記回転軸と一体回転可能な状態で支持される基部材と、前記基部材に支持され、前記基部材から前記中心側に向かって前記中心側ほど前記回転軸心から離れるように放射状に延びる複数の爪と、を有し、
前記土落とし装置は、前記左右の回転体をそれぞれ支持する左右の側壁を有し、
左側の前記基部材は、左側の前記側壁に隣接する状態で設けられ、右側の前記基部材は、右側の前記側壁に隣接する状態で設けられている枝豆収穫機。
【請求項4】
前記基部材は、円板状の板状部材によって構成されている請求項1からの何れか一項に記載の枝豆収穫機。
【請求項5】
前記基部材は、前記回転軸心から径外方向に放射状に延びる状態で設けられ、前記複数の爪をそれぞれ支持する複数の支持部を有している請求項1からの何れか一項に記載の枝豆収穫機。
【請求項6】
圃場から枝豆を引き抜いて後方に向けて搬送する引き抜き搬送装置と、
前記引き抜き搬送装置の搬送方向の途中に設けられ、前記引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部に付着している泥土を落とす土落とし装置と、を備え、
前記土落とし装置は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転して枝豆の根部に接触するように構成され、前記引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心を挟んで前記機体左右方向に対向する状態で設けられる左右の回転体を有し、
前記回転体は、前記回転軸心周りで回転可能な回転軸と、前記回転軸に前記回転軸と一体回転可能な状態で支持される基部材と、前記基部材に支持され、前記基部材から前記中心側に向かって前記中心側ほど前記回転軸心から離れるように放射状に延びる複数の爪と、を有し、
前記基部材は、円板状の板状部材によって構成され、
前記基部材の外周部に、前記基部材の外周部から前記回転軸心方向で前記中心とは反対側に立ち上がる立ち上がり部が設けられている枝豆収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枝豆収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枝豆収穫機として、例えば、特許文献1に記載の枝豆収穫機が知られている。従来の枝豆収穫機は、圃場から枝豆を引き抜いて後方に向けて搬送する引き抜き搬送装置(文献では「引抜搬送装置〔11〕」)と、引き抜き搬送装置の搬送方向の途中に設けられ、引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部に付着している泥土を落とす土落とし装置(文献では「土落し装置〔50〕」)と、を備えている。土落とし装置は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転して枝豆の根部に接触するように構成され、引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心を挟んで機体左右方向に対向する状態で設けられる左右の回転体(文献では「土落し具〔51〕」)を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-105018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の枝豆収穫機では、左側の回転体と右側の回転体との間に、枝豆の根部が入り込む空間が形成されている。しかし、枝豆の根部に付着している泥土の塊(土塊)が大きなものである場合、枝豆の根部が左側の回転体と右側の回転体との間の空間に入り込むことができない虞がある。このため、従来の枝豆収穫機では、引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部に付着している泥土を効果的に落とす点で改善の余地がある。
【0005】
上記状況に鑑み、引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部に付着している泥土を効果的に落とすことが可能な枝豆収穫機が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、圃場から枝豆を引き抜いて後方に向けて搬送する引き抜き搬送装置と、前記引き抜き搬送装置の搬送方向の途中に設けられ、前記引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部に付着している泥土を落とす土落とし装置と、を備え、前記土落とし装置は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転して枝豆の根部に接触するように構成され、前記引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心を挟んで前記機体左右方向に対向する状態で設けられる左右の回転体を有し、前記回転体は、前記回転軸心周りで回転可能な回転軸と、前記回転軸に前記回転軸と一体回転可能な状態で支持される基部材と、前記基部材に支持され、前記基部材から前記中心側に向かって前記中心側ほど前記回転軸心から離れるように放射状に延びる複数の爪と、を有し、左側の前記回転体と右側の前記回転体とは、前記回転軸心周りで互いに逆方向に回転駆動可能に構成されていることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、爪は、回転軸心に対して、引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心側ほど回転軸心から離れるように傾斜していることになる。したがって、左側の回転体と右側の回転体との間に、枝豆の根部が入り込む空間が、広く確保されることになる。また、爪は、泥土に対して爪の延出方向の広い範囲で作用することになる。これにより、引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部に付着している泥土を効果的に落とすことができる。また、上述のように広い空間が確保されていることにより、土落とし後の枝豆の根部が当該空間から円滑に抜け出すことができる。又、本特徴構成によれば、一の回転体が送り回転し、かつ、他の回転体が向かい回転することになる。これにより、泥土の塊(土塊)が左右の回転体を乗り越えてしまうことがなく、当該土塊に対して爪を確実に作用させることができる。
【0008】
さらに、本発明において、左側の前記回転体における前記複数の爪と、右側の前記回転体における前記複数の爪とは、前記回転軸心方向における互いの位置が重複しない状態で設けられ、左側の前記回転体と右側の前記回転体との間に、前記引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部が入り込む空間が形成されていると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、左側の回転体と右側の回転体との間に、枝豆の根部が入り込む空間が、より広く確保されることになる。これにより、当該空間に枝豆の根部を入り込ませた状態で、泥土に対して爪を確実に作用させることができる。
【0010】
【0011】
【0012】
さらに、本発明において、圃場から枝豆を引き抜いて後方に向けて搬送する引き抜き搬送装置と、前記引き抜き搬送装置の搬送方向の途中に設けられ、前記引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部に付着している泥土を落とす土落とし装置と、を備え、前記土落とし装置は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転して枝豆の根部に接触するように構成され、前記引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心を挟んで前記機体左右方向に対向する状態で設けられる左右の回転体を有し、前記回転体は、前記回転軸心周りで回転可能な回転軸と、前記回転軸に前記回転軸と一体回転可能な状態で支持される基部材と、前記基部材に支持され、前記基部材から前記中心側に向かって前記中心側ほど前記回転軸心から離れるように放射状に延びる複数の爪と、を有し、前記土落とし装置は、前記左右の回転体をそれぞれ支持する左右の側壁を有し、左側の前記基部材は、左側の前記側壁に隣接する状態で設けられ、右側の前記基部材は、右側の前記側壁に隣接する状態で設けられていと好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、爪は、回転軸心に対して、引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心側ほど回転軸心から離れるように傾斜していることになる。したがって、左側の回転体と右側の回転体との間に、枝豆の根部が入り込む空間が、広く確保されることになる。また、爪は、泥土に対して爪の延出方向の広い範囲で作用することになる。これにより、引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部に付着している泥土を効果的に落とすことができる。また、上述のように広い空間が確保されていることにより、土落とし後の枝豆の根部が当該空間から円滑に抜け出すことができる。又、本特徴構成によれば、回転軸心方向における左側の基部材と右側の基部材との間隔が、広くあいていることになる。これにより、左側の回転体と右側の回転体との間に、枝豆の根部を入り込ませるための空間を、より広く確保することができる。
【0014】
さらに、本発明において、前記基部材は、円板状の板状部材によって構成されていると好適である。
【0015】
本特徴構成によれば、基部材の外周部に角がないため、基部材に枝豆の根部等が引っ掛かり難い。
さらに、本発明において、前記基部材は、前記回転軸心から径外方向に放射状に延びる状態で設けられ、前記複数の爪をそれぞれ支持する複数の支持部を有していると好適である。
本特徴構成によれば、基部材が複数の爪の分だけ支持部を備えることにより、基部材をコンパクトに構成することができる。
【0016】
さらに、本発明において、圃場から枝豆を引き抜いて後方に向けて搬送する引き抜き搬送装置と、前記引き抜き搬送装置の搬送方向の途中に設けられ、前記引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部に付着している泥土を落とす土落とし装置と、を備え、前記土落とし装置は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転して枝豆の根部に接触するように構成され、前記引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心を挟んで前記機体左右方向に対向する状態で設けられる左右の回転体を有し、前記回転体は、前記回転軸心周りで回転可能な回転軸と、前記回転軸に前記回転軸と一体回転可能な状態で支持される基部材と、前記基部材に支持され、前記基部材から前記中心側に向かって前記中心側ほど前記回転軸心から離れるように放射状に延びる複数の爪と、を有し、前記基部材は、円板状の板状部材によって構成され、前記基部材の外周部に、前記基部材の外周部から前記回転軸心方向で前記中心とは反対側に立ち上がる立ち上がり部が設けられていると好適である。
【0017】
本特徴構成によれば、爪は、回転軸心に対して、引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心側ほど回転軸心から離れるように傾斜していることになる。したがって、左側の回転体と右側の回転体との間に、枝豆の根部が入り込む空間が、広く確保されることになる。また、爪は、泥土に対して爪の延出方向の広い範囲で作用することになる。これにより、引き抜き搬送装置による搬送中の枝豆の根部に付着している泥土を効果的に落とすことができる。また、上述のように広い空間が確保されていることにより、土落とし後の枝豆の根部が当該空間から円滑に抜け出すことができる。又、本特徴構成によれば、基部材の外周部に角がないため、基部材に枝豆の根部等が引っ掛かり難い。さらに、本特徴構成によれば、回転軸の周囲が立ち上がり部によって径外方向から覆われていることになる。これにより、回転軸に枝豆の根部等が巻き付き難い。
【0018】
【0019】
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】枝豆収穫機を示す左側面図である。
図2】枝豆収穫機を示す平面図である。
図3】土落とし装置を示す平面断面図である。
図4】土落とし装置を示す正面断面図である。
図5】回転体を示す側面図である。
図6図5におけVI-VI断面図である。
図7図5におけるVII-VII断面図である。
図8】引き抜き搬送装置及び土落とし装置を示す左側面図である。
図9】引き抜き搬送装置及び土落とし装置を示す右側面図である。
図10】別実施形態に係る回転体を示す側面図である。
図11】別実施形態に係る土落とし装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、矢印Fの方向を「機体の前側」、矢印Bの方向を「機体の後側」、矢印Lの方向を「機体の左側」、矢印Rの方向を「機体の右側」とする。
【0022】
〔枝豆収穫機の全体構成〕
図1及び図2には、枝豆収穫機を示している。本収穫機は、走行機体1と、運転者が搭乗する運転部2と、枝豆Eを脱莢する脱莢装置3と、圃場から枝豆Eを引き抜いて脱莢装置3に向けて搬送する引き抜き搬送装置4と、引き抜き搬送装置4による搬送中の枝豆Eの根部に付着している泥土Mを落とす土落とし装置Aと、枝豆Eを横倒れ姿勢に変更する姿勢変更装置5と、莢eを回収する回収部6と、を備えている。
【0023】
走行機体1は、クローラ走行装置7と、クローラ走行装置7に支持される機体フレーム8と、を備えている。運転部2は、走行機体1の前部における機体左右方向の一方側(右側)の箇所に設けられている。引き抜き搬送装置4は、走行機体1の前部における機体左右方向の他方側(左側)の箇所に設けられている。脱莢装置3は、引き抜き搬送装置4の後方に設けられている。回収部6は、運転部2及び脱莢装置3の右方に設けられている。
【0024】
走行機体1が前進するのに伴って、圃場の枝豆Eが引き抜き搬送装置4によって引き抜かれて脱莢装置3に向けて搬送されることになる。そして、引き抜き搬送装置4からの枝豆Eが姿勢変更装置5によって横倒れ姿勢に変更されて、引き抜き搬送装置4から脱莢装置3に受け渡されることになる。そして、枝豆Eが脱莢装置3によって脱莢された後、莢eが回収部6に回収される一方、枝や葉屑が脱莢装置3の後端部から圃場に排出されることになる。
【0025】
引き抜き搬送装置4は、脱莢装置3の前方に脱莢装置3に対して上下揺動可能に設けられている。引き抜き搬送装置4は、前下がりに傾斜する状態で設けられている。引き抜き搬送装置4は、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心X1周りで上下揺動可能に構成されている。引き抜き搬送装置4と機体フレーム8とに亘って、引き抜き搬送装置4を上下揺動させるための油圧シリンダ9が設けられている。引き抜き搬送装置4は、圃場から作物を引き抜いて後方に向けて搬送する、左右の第一搬送ベルト10及び左右の第二搬送ベルト11を備えている。第一搬送ベルト10は、従動プーリ12及び従動プーリ13に巻き付けられている。第二搬送ベルト11は、従動プーリ14及び駆動プーリ15に巻き付けられている。駆動プーリ15に動力が伝達されることにより、従動プーリ14、駆動プーリ15を介して第二搬送ベルト11が搬送駆動されると共に、従動プーリ12、13を介して第一搬送ベルト10が搬送駆動されることになる。
【0026】
走行機体1が前進するのに伴って、圃場の枝豆Eが左右の第一搬送ベルト10によって引き抜かれて起立姿勢で後方に向けて搬送されることになる。そして、左右の第一搬送ベルト10から左右の第二搬送ベルト11に枝豆Eが受け渡されて、当該枝豆Eが左右の第二搬送ベルト11によって起立姿勢で脱莢装置3に向けて搬送されることになる。図2において、引き抜き搬送装置4(左右の第一搬送ベルト10及び左右の第二搬送ベルト11)の機体左右方向の中心をCで示している。圃場から引き抜かれた枝豆Eは、起立姿勢で中心Cを通って後方に向けて搬送されることになる。
【0027】
脱莢装置3は、フィードチェーン16と、上下の第一脱莢ローラ18と、上下の第二脱莢ローラ19と、を備えている。姿勢変更装置5は、枝豆Eに係止作用する多数の爪5aを備えている。引き抜き搬送装置4からの枝豆Eは、姿勢変更装置5によって横倒れ姿勢に変更されながら、フィードチェーン16に受け渡されることになる。その際、引き抜き搬送装置4からの枝豆Eに爪5aが係止作用することにより、当該枝豆Eが横倒れ姿勢に変更されることになる。そして、枝豆Eがフィードチェーン16によって後方に向けて搬送されることになる。そして、フィードチェーン16による搬送中の枝豆Eが、上側の第一脱莢ローラ18と下側の第一脱莢ローラ18とで挟まれて、上側の第二脱莢ローラ19と下側の第二脱莢ローラ19とで挟まれて、上下の第一脱莢ローラ18及び上下の第二脱莢ローラ19が回転駆動されることにより、莢eが枝からもぎ取られることになる。
【0028】
〔土落とし装置〕
図3及び図4に示すように、土落とし装置Aは、引き抜き搬送装置4の搬送方向の途中に設けられている。具体的には、土落とし装置Aは、第二搬送ベルト11の搬送方向の途中に設けられている。土落とし装置Aは、左右の回転体20と、左側の側壁21と、右側の側壁21と、を備えている。左右の回転体20は、中心Cを挟んで機体左右方向に対向する状態で設けられている。回転体20は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心X2周りで回転して枝豆Eの根部に接触するように構成されている。なお、詳しくは後述するが、左側の回転体20と右側の回転体20とは、回転軸心X2周りで互いに逆方向に回転駆動可能に構成されている。回転体20は、回転軸22と、基部材23と、複数(本実施形態では、四つ)の爪24と、を備えている。
【0029】
回転軸22は、ボス25に挿通された状態で、回転軸心X2周りで回転可能なように、二つのベアリング26を介してボス25に支持されている。ボス25は、側壁21を貫通する状態で設けられている。回転軸22は、二つのベアリング26及びボス25を介して側壁21に支持されている。ボス25には、取り付けプレート28が外嵌されている。取り付けプレート28は、側壁21に固定されている。ボス25は、取り付けプレート28を介して側壁21に支持されている。
【0030】
基部材23は、回転軸22のうち中心C側の端部に、回転軸22と一体回転可能な状態で支持されている。基部材23は、ボス23aを介して回転軸22に支持されている。本実施形態では、基部材23は、円板状の板状部材によって構成されている。左側の基部材23は、左側の側壁21に隣接する状態で設けられている。左側の基部材23と左側の側壁21との間には、回転軸心X2方向に間隔があけられている。右側の基部材23は、右側の側壁21に隣接する状態で設けられている。右側の基部材23と右側の側壁21との間には、回転軸心X2方向に間隔があけられている。
【0031】
基部材23の外周部には、基部材23の外周部から回転軸心X2方向で中心Cとは反対側に立ち上がる立ち上がり部27が設けられている。立ち上がり部27は、基部材23の外周部の全周に亘って設けられている。立ち上がり部27は、基部材23と側壁21との間において、回転軸22の周囲(ボス25やボス23a等)を径方向外側から覆っている。
【0032】
四つの爪24は、基部材23から中心C側に向かって中心C側ほど回転軸心X2から離れるように放射状に延びている。図3及び図4において、回転軸心X2方向における、基部材23の表面(中心C側の面)から爪24の先端までの長さ(爪24の延出長さ)をLで示している。
【0033】
左側の回転体20における四つの爪24と、右側の回転体20における四つの爪24とは、回転軸心X2方向における互いの位置が重複しない状態で設けられている。すなわち、左側の回転体20における爪24の先端と、右側の回転体20における爪24の先端との間には、回転軸心X2方向に間隔D1があけられている。左側の基部材23と右側の基部材23との間には、回転軸心X2方向に間隔D2があけられている。間隔D2は、左側の爪24の延出長さLと右側の爪24の延出長さLと間隔D1とを足し合わせた長さと同じである。左側の回転体20と右側の回転体20との間には、引き抜き搬送装置4による搬送中の枝豆Eの根部が入り込む空間Sが形成されている。空間Sは、左側の基部材23、左側の回転体20における四つの爪24、右側の基部材23及び右側の回転体20における四つの爪24によって囲まれている。
【0034】
図5から図7に示すように、本実施形態では、基部材23に対する爪24の傾斜角度αは、45度に設定されている。すなわち、基部材23は、回転軸心X2に対して45度傾斜していることになる。傾斜角度αは、爪24に対して回転軸心X2とは反対側において、爪24と基部材23とが成す角度である。本実施形態では、爪24は、丸棒部材によって構成されている。爪24は、基部材23に支持されている。基部材23には、爪24が差し込まれる孔23bが形成されている。爪24は、孔23bに差し込まれた状態で固定されている。
【0035】
四つの爪24は、回転軸心X2周りで等角度間隔(90度間隔)で配置されている。四つの爪24は、回転軸心X2に直交する方向で互いに対向して位置する二つの爪24が属する第一の組みU1と、回転軸心X2に直交する方向で互いに対向して位置する二つの爪24が属する第二の組みU2と、によって構成されている。なお、以下では、第一の組みU1に属する爪24を、第一の爪24と称し、第二の組みU2に属する爪24を、第二の爪24と称する場合がある。
【0036】
第一の爪24は、回転軸心X2から間隔D3をあけて配置されている。間隔D3は、回転軸心X2と第一の爪24に対応する孔23bの中心との距離である。第二の爪24は、回転軸心X2から間隔D4をあけて配置されている。間隔D4は、回転軸心X2と第二の爪24に対応する孔23bの中心との距離である。間隔D4は、間隔D3よりも小さい。
【0037】
〔動力伝達構成〕
図3及び図8に示すように、駆動軸29と左側の回転軸22とに亘って、駆動軸29の動力を左側の回転軸22に伝達する、ベルト伝動機構30及びチェーン伝動機構31が設けられている。ベルト伝動機構30とチェーン伝動機構31とに亘って、ベルト伝動機構30の動力をチェーン伝動機構31に伝達する中間軸32が設けられている。駆動軸29は、揺動軸心X1周りで回転可能に構成されている。ベルト伝動機構30及びチェーン伝動機構31は、引き抜き搬送装置4及び土落とし装置Aに対して左側に設けられている。
【0038】
ベルト伝動機構30は、プーリ33と、プーリ34と、ベルト35と、を備えている。
プーリ33は、駆動軸29の左端部に設けられている。プーリ34は、中間軸32の左端部に設けられている。ベルト35は、プーリ33及びプーリ34に巻き付けられている。
ベルト35に張力を付与するテンションプーリ36が設けられている。
【0039】
チェーン伝動機構31は、スプロケット37と、スプロケット38と、チェーン39と、を備えている。スプロケット37は、中間軸32の右端部に設けられている。スプロケット38は、左側の回転軸22の左端部に設けられている。チェーン39は、スプロケット37及びスプロケット38に巻き付けられていると共に、アイドラスプロケット40及びスプロケット41にも巻き付けられている。チェーン39に張力を付与するテンションスプロケット42が設けられている。駆動軸29の動力がベルト伝動機構30及びチェーン伝動機構31によって左側の回転軸22に伝達されると、左側の回転体20が矢印R1の方向に回転(送り回転、正転)することになる。
【0040】
左側の側壁21と右側の側壁21とに亘って、カウンター軸43が設けられている。カウンター軸43の左端部は、左側の側壁21から左側に突出している。カウンター軸43の左端部には、スプロケット41が設けられている。スプロケット41には、チェーン39の外周部が巻き付けられている。カウンター軸43の右端部は、右側の側壁21から右側に突出している。
【0041】
図3及び図9に示すように、カウンター軸43と右側の回転軸22とに亘って、カウンター軸43の動力を右側の回転軸22に伝達するチェーン伝動機構45が設けられている。チェーン伝動機構45は、引き抜き搬送装置4及び土落とし装置Aに対して右側に設けられている。チェーン伝動機構45は、スプロケット44と、スプロケット46と、チェーン47と、を備えている。スプロケット44は、カウンター軸43の右端部に設けられている。スプロケット46は、右側の回転軸22の右端部に設けられている。チェーン47は、スプロケット44及びスプロケット46に巻き付けられている。チェーン47に張力を付与するテンションスプロケット48が設けられている。カウンター軸43の動力がチェーン伝動機構45によって右側の回転軸22に伝達されると、右側の回転体20が矢印R2の方向に回転(向かい回転、逆転)することになる。
【0042】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、基部材23は、円板状の板状部材によって構成されている。しかし、本発明に係る「基部材」は、上記実施形態に係る基部材23に限定されるものではない。例えば、図10に示すように、本発明に係る「基部材」は、基部材123によって構成されていてもよい。基部材123は、回転軸心X2から径外方向に放射状に延びる状態で設けられ、複数の爪24をそれぞれ支持する複数の支持部123aを備えている。本別実施形態では、基部材23は、四つの爪24に対応して四つの支持部123aを備えている。
【0043】
(2)上記実施形態では、左側の基部材23と右側の基部材23との間に、回転軸心X2方向に間隔D2があけられている。しかし、図11に示すように、左側の基部材23と右側の基部材23との間に、回転軸心X2方向に間隔D5があけられていてもよい。間隔D5は、間隔D2よりも小さい。
【0044】
(3)上記実施形態では、左側の回転体20が送り回転し、かつ、右側の回転体20が向かい回転する。しかし、左側の回転体20が向かい回転し、かつ、右側の回転体20が送り回転してもよい。あるいは、左側の回転体20が送り回転し、かつ、右側の回転体20が送り回転してもよい。
【0045】
(4)上記実施形態では、回転体20は、四つの爪24を備えている。しかし、爪24は、四つに限定されるものではない。例えば、爪24は、二つ、三つ又は五つ以上であってもよい。
【0046】
(5)上記実施形態では、爪24は、丸棒部材によって構成されている。しかし、爪24は、角棒部材によって構成されていてもよい。
【0047】
(6)上記実施形態では、基部材23に対する爪24の傾斜角度αは、45度に設定されている。しかし、基部材23に対する爪24の傾斜角度αは、45度に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、枝豆収穫機に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
4 引き抜き搬送装置
20 回転体
21 側壁
22 回転軸
23 基部材
24 爪
27 立ち上がり部
123 基部材
123a 支持部
A 土落とし装置
C 引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心
E 枝豆
M 泥土
S 空間
X2 回転軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11