(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-24
(45)【発行日】2025-05-07
(54)【発明の名称】ペット用オムツカバー
(51)【国際特許分類】
A01K 23/00 20060101AFI20250425BHJP
【FI】
A01K23/00 S
(21)【出願番号】P 2024003636
(22)【出願日】2024-01-12
【審査請求日】2024-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】599154490
【氏名又は名称】小林 聡子
(72)【発明者】
【氏名】小林聡子
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3081481(JP,U)
【文献】米国特許第8439000(US,B1)
【文献】米国特許第8992495(US,B1)
【文献】特許第7577148(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 23/00
A01K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を吸収できる吸収体を保持できるとともにペットの排尿部を覆うことができ、長手方向と短手方向を有する吸収体保持部と、
前記吸収体保持部の長手方向両端部に連設され、前記吸収体保持部を前記ペットの胴体に装着するための胴囲装着部と、
を有するペット用オムツカバーにおいて、
前記吸収体保持部は、その内側に前記吸収体を保持できる3次元空間を形成できるように、底部と、この底部に連設された周側部と、前記底部と反対側の前記周側部上端側に連設された庇部とを有し、
前記庇部は少なくとも吸収体保持部の前記短手方向両側に長手方向全体に亘って連続的に設けられ、
前記庇部と前記周側部との間に前記3次元空間の一部となる庇下空間が形成されることを特徴とする、ペット用オムツカバー。
【請求項2】
前記庇部の長手方向両端は、前記吸収体保持部の前記長手方向両端部に連設されていることを特徴とする請求項1記載のペット用オムツカバー。
【請求項3】
前記胴囲装着部は前記周側部の前記周側部上端側に接続固定されていることを特徴とする請求項1記載のペット用オムツカバー。
【請求項4】
前記吸収体保持部の前記底部、前記周側部及び前記庇部は柔軟な樹脂素材で一体に成型されたことを特徴とする請求項1記載のペット用オムツカバー。
【請求項5】
前記胴囲装着部は、前記吸収体保持部の前記長手方向両端部の一方に連設されているバンド部と、前記吸収体保持部の前記長手方向両端部の他方に連設されている接続具とを有し、前記バンド部が前記接続具に接続できるように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のペット用オムツカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫などのペットに尿などの水分を吸収する吸収体を排尿部近傍に装着するため のペット用オムツカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットとして飼われる犬や猫は室内で飼う事が多くなっているが、排尿のしつけができていない犬、老犬、老猫になった時などは部屋のあちこちで排尿してしまい、後片づけが大変である。さらに犬、とくにオス犬の場合、屋外での散歩中など、マーキングと呼ばれる排尿を何度もし、公共の場所や民家の塀などにかけてしまう事があり、飼い主のマナーの問題となっている。近年では犬連れ可能なカフェやレストランがあるが、施設内の排尿や犬同士のトラブル回避のため、ペット用の使い捨てできるオムツや、尿を吸収できる吸収体を載置し胴体に巻きつけ、着衣させて装着するオムツカバーを装着する義務を課す施設が増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のペット用おむつカバーにおいて、おむつ装着部(吸収体保持部)におむつシート(吸収体)を載置しペットに装着したときにできる、おむつカバーとペットの臀部左右にできる隙間を無くすために、伸縮性を有した漏れ止め部が構成されている。しかしながらそれは、装着してペット用おむつシート(吸収体)を体表面に十分に密着させ、汚物の吸収性を十分に発揮して汚物を保持するとともに、外部に漏らさないようにするために隙間を埋める構造であるが、それだけでは犬の動きによっては隙間ができてしまう。また、吸収体がペットに密着し、ペットが動くことでおむつカバーの中で吸収体も動いてしまい、場合によっては、吸収体がオムツカバーから飛び出してしまうことがあった。吸収体の端部が吸収体保持部から飛び出してしまうと、そこから導管現象によって一度吸収された尿が吸収体の飛び出た端部からにじみ出て外に漏れ出してしまったり、また、吸収体保持部内において吸収体端部がペットの皮膚面に密着していると、吸収体で吸収しきれない尿はペットの肌面を伝わり吸収体保持部の外側に漏れ出てしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の欠点を解決するために本発明のペット用オムツカバーは、
水分を吸収できる吸収体を保持できるとともにペットの排尿部を覆うことができ、長手方向と短手方向を有する吸収体保持部と、
前記吸収体保持部の長手方向両端部に連設され、前記吸収体保持部を前記ペットの胴体に装着するための胴囲装着部と、
を有するペット用オムツカバーにおいて、
前記吸収体保持部は、その内側に前記吸収体を保持できる3次元空間を形成できるように、底部と、この底部に連設された周側部と、前記底部と反対側の前記周側部上端側に連設された庇部とを有し、
前記庇部は少なくとも吸収体保持部の前記短手方向両側に長手方向全体に亘って連続的に設けられ、
前記庇部と前記周側部との間に前記3次元空間の一部となる庇下空間が形成されることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のペット用オムツカバーは、吸収体保持部に吸収体を載置したとき、庇部によって吸収体保持部の3次元空間が形成され吸収体をペットの肌面に密着させないので、ペットの動きにより吸収体がズレること防ぐ。また吸収体の両側(吸収体保持部の短手方向両側に対応する吸収体の両側、すなわち吸収体保持部の長手方向に沿った吸収体の両側)が庇部により押さえられるので、吸収体保持部の周側部上端から乗り越えて飛び出すことを抑制できる。また、吸収体保持部内で吸収体が移動した時にも、吸収体の端部が庇下空間に入り込むので、前述同様に飛び出すことを抑制する。さらに、吸収体が飽水状態になったときに吸収体の端部より染みだした水分が周側部内側から開口部に向かって伝っていったとしても庇部があるので犬の肌面とは遮断され、吸収体保持部の外側に漏れ出ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のペット用オムツカバーを、図面を参照しながら詳細に説明する。
図 1は、オムツカバー(1)の第1実施例の斜視図である。
図1に示すように、オムツカバー(1)は、水分を吸収できる吸収体(3)を保持できる吸収体保持部(2)を有している。吸収体保持部(2)は、ペットの排尿部を覆うことができる大きさを有しており、長手方向と短手方向を有する形状をなしている。前記吸収体保持部(2)の長手方向両端部(吸収体保持部長手両端部(2a)という。)には、前記吸収体保持部(2)を前記ペットの胴体に装着するための胴囲装着部(4)が連設されている。
【0009】
本発明の第1実施例において、吸収体保持部(2)は、防水性のある布で作成されている。
図2に示すように、吸収体保持部(2)は、底部(5)と、この底部(5)に連設された周側部(6)と、前記底部(5)と反対側の前記周側部(6)の上端側かつ周側部(6)より内側に、短手方向に突出された一対の庇部(7)とを有し、前記底部(5)、前記周側部(6)、前記一対の庇部(7)とが、その内側を囲うように3次元空間(8)を形成している。前記一対の庇部(7)より内側は前記3次元空間(8)の開口部(9)となっている。吸収体(3)は開口部(9)から出し入れすることができ、容易に吸収体保持部(2)の底部(5)側に保持することができる。
【0010】
前記庇部(7)は、少なくとも吸収体保持部(2)の前記短手方向両側に長手方向全体に亘って連続的に設けられており(これを長手庇部(7a)という。)、前記長手庇部(7a)の長手方向両端となる庇部長手両端部(7c)は、吸収体保持部長手両端部(2a)に、尿が漏れないように隙間あるいは切れ目なく連設されている。このとき、前記庇部(7)の前記庇部長手両端部(7c)は、吸収体保持部長手両端部(2a)に対応する前記周側部(6)の上端側に連設されている。庇部(7)は布のような柔軟な素材であるが、胴囲装着部(4)を引っ張りつつ吸収体保持部(2)をペットに装着した時に庇部長手両端部(7c)が互いに両端部側に引っ張られ、庇部は対応する周側部(6)との間に庇下空間(10)を形成することができる。このとき、庇部(7)は、引っ張られているために外側にめくりあがらないようになっている。また短手方向に沿って短手庇部(7b)が形成されている。前記短手庇部(7b)の両端を長手庇部両端部(7c)の上面にかぶせて重ねるように渡すことで、前記短近手庇部(7b)を開口部(9)側に突出させて形成することができる。
【0011】
図3は第1実施例において、吸収体保持部(2)に吸収体(3)を保持した状態の、短手方向の断面を表わしている。前記吸収体保持部(2)を、底部(5)が下になるよう水平面に置いたときに、長手庇部(7a)と、そこに連設された周側部(6)とで内角を形成し、前記3次元空間(8)の一部となる庇下空間(10)が形成される。
【0012】
吸収体保持部(2)の底部(5)よりやや幅広の大きな吸収体(3)を載置した際に、吸収体(3)の一部が周側面に沿って立ち上がることがあっても、吸収体(3)の端部は長手庇部(7a)で押さえられるため、吸収体(3)は吸収体保持部(2)から飛びだすことなく、保持することができる。
【0013】
この時、長手庇部(7a)と周側部(6)とで形成される庇下空間(10)の内角が、折り返しポケットのように0度だと(この場合、庇下空間(10)が実質存在しない状態になる)、厚みのある吸収体(3)を長手庇部(7a)と周側部(6)との間に差し込むために、長手庇部(7a)と周側部(6)との間を人の手によって広げて、吸収体(3)を差し込むことは可能だが、犬が動く事によって、一度吸収体(3)がポケットから外れてしまうと、そのあとは外れる前のようにポケットすなわち、庇部(7a)と周側部(6)との間には戻らなくなってしまう。
【0014】
しかし、本実施例の吸収体保持部(2)には、庇下空間(10)が形成されていることで、吸収体(3)が動いて一度外れても、再度、吸収体(3)は庇下空間(10)に入り込み、そして庇部(7)に引っ掛かるので、吸収体(3)の端部が当該周側部(6)上端を乗り越えることがなくなり、飛び出すことを防止できる。このとき、庇下空間(10)の内角は45度~90度くらいが望ましい。
【0015】
また、庇部(7a)の幅は、吸収体(3)の厚みよりも大きくするとより使いやすい。具体的には1cm以上の幅があることが望ましい。このように、3次元空間(8)を形成しながら吸収体(3)を保持できるので、ペットの肌面と吸収体(3)が密着することを極力押さえることができる。装着時に密着しなければ、吸収しきれなかった水分が犬の肌面につくことがなく、犬の肌面を伝って水分が漏れ出ることを防ぐことができる。
【0016】
図4は第1実施例において、吸収体保持部(2)に吸収体(3)を保持した状態の、長手方向の断面を表わしている。段落0011の短手方向の断面と同様に、短手庇部(7b)と、そこに連設された周側部(6)とで内角を形成し、庇下空間(10)が形成される。ここで短手庇部(7b)の突出幅は、長手庇部(7a)の突出幅よりも大きい。こうすることで、犬の肌面と吸収体(3)との接触する面積をより減らすことができる。
【0017】
吸収体(3)が底部(5)の幅と同等もしくはそれ以下でも、周側部(6)にて全周を囲まれているので、粘着剤などをつけなくても、吸収体(3)は吸収体保持部(2)に入れるだけで保持することができる。それでもペットの動きによって吸収体(3)が吸収体保持部(2)の中で動いたとしても、庇部(7)があることで飛び出すことなく保持できる。したがって、吸収体(3)に粘着剤や係合部は必須ではないため、吸収体(3)はオムツカバーに合わせた専用品、特注品である必要はなく、たとえば、いろいろな大きさの布切れ、ティッシュ、吸水スポンジなどを使用することができる。
【0018】
吸収体(3)によっては保水力が低いものがあり、吸収体保持部(3)内に水分が溜まってしまうこともある。通常ならペットがとった体勢によっては吸収体保持部(3)内に滴っている水分が周側部(6)から流れ出てしまうが、伝っていった水分は庇部(7)に折り返され、開口部(9)から漏れることを防ぐことができる。
【0019】
第1実施例では、周側部(6)の上端から長手庇部(7a)が突出形成され庇部長手端部(7c)も周側部(6)上端から突出するように連設されているが、「ト」の字を形成するように(周側部が「ト」の縦棒に、庇部は横棒を表すように)周側部(6)の上端から少し下がった位置、すなわち上端側から突出形成してもよい。また、第1実施例では、長手庇部(7a)は、周側部(6)の上端から内側にのみ突出しているが、外側にも突出させ、長手庇部(7a)がT字の横バーに、周側部(6)がT字の縦バーになるようにしてもよい。
【0020】
第1実施例では、周側部(6)は、底部(5)から若干湾曲しつつ斜めに立ち上がっているが、底部(5)に対して垂直に立ち上がっていてもよい。
【0021】
第1実施例において、庇部(7)は、吸収体保持部(2)の長手方向に沿って連設された長手庇部(7a)と、短手方向に亘って沿って連設された短手庇部(7b)とで構成されているが、周側部(6)の上端開口を塞ぐことが可能な1枚の略四角形状の平面状部材の中央を額縁状にくりぬいたものを、周側部(6)上端側に取り付けてもよい。
【0022】
第1実施例において、吸収体保持部(2)は防水性のある布を使って縫製して作成しているが、柔軟な樹脂素材(例えばシリコンなど)で一体成型して作成してもよい。その際、半透明の樹脂素材であれば、吸収体(3)が尿を吸水した状態かどうかを装着したままで目視することができるので、取り変え時がわかりやすい。また、吸収体保持部(2)だけでなく、胴囲装着部(4)までを樹脂素材で成形してもよい。
【0023】
吸収体保持部(2)はペットの排尿部を覆う大きさであるが、
図4に示すように、吸収体保持部(2)の長手方向の長さについては、ペットに装着したときに吸収体保持部長手両端部(2a)のそれぞれの周側部上端が、ペットの胴体横腹の下方に位置する大きさにするとよい。すなわち、胴体の断面を円としたときに、前記それぞれの周側部上端が約120度以下の中心角を成す位置となるようにするとよい。さらに
図5に示すように、長手方向に沿った周側部上端はペットの胴まわりの曲面に合わせるとよい。そうすることで、装着時に3次元空間(8)をつぶしてしまうことが軽減される。大型犬、中型犬、小型犬などで、ペットのサイズに合わせて構成することが好ましい。
【0024】
胴囲装着部(4)について
図1~
図5の第1実施例を例に説明する。
前記胴囲装着部(4)は、ペット用オムツカバー(1)をペットの胴体に装着するためのもので、胴囲装着部(4)の両端は、それぞれ前記吸収体保持部(2)の吸収体保持部長手両端部(2a)に連設されている。このため、吸収体保持部(2)と胴囲装着部(4)とでペットの胴体を一周して装着できるように構成されている。
胴囲装着部(4)は、吸収体保持部長手両端部(2a)にそれぞれ連設された一対の胴囲装着部取り付け片(11)と、この一対の胴囲装着部取り付け片(11)にそれぞれ取り付けられた紐状のバンド部(12)と、それぞれのバンド部(12)を繋ぐ接続具(13)から構成されている。それぞれの胴囲装着部取り付け片(11)の一端は前記吸収体保持部長手両端部(2a)にそれぞれ連設され、対向するもう一端側には、紐状の前記バンド部(12)の両端が連設され、前記バンド部(12)は全体として輪を形成している。前記接続具(13)は、紐状のバンド部(12)が形成する2つの輪をつなげる役目をしている。
【0025】
接続具(13)は板状片に切り込み穴を複数もうけ、この切り込みに両側のバンド部(12)の輪をひっかけることで、ペットの胴囲に一周させて装着するものである。切り込み穴を複数設けることで、胴囲に合わせてサイズ調整が可能である。前記一対のバンド部(12)は、ともに環状または輪を形成した紐状体であり、伸縮する素材であるとさらによい。
【0026】
胴囲装着取り付け片(11)は、吸収体保持部(2)と同じ布で出来た薄状片であり、吸収体保持部長手両端部(2a)に、かつ周側部(6)上端側に、短手方向全体にわたって連設されている。胴囲装着取り付け片(11)は、オムツカバー(1)を装着しペットが寝そべるなどの動きや体勢によっては、吸収体保持部長手両端部(2a)が短手方向に折れ曲がったり寄ったりして吸収体保持部(2)と胴体とに隙間ができてしまうことがある。すると吸収体(3)で吸収しきれなかった水分があるときに、隙間から流れてしまうことがあり、本実施例のオムツカバーの尿漏れ防止効果を損なう心配がある。これを防ぐために、胴囲装着取り付け片(11)をペットの横腹部分まであてがえるよう長手方向に長くしたり、吸収体保持部(2)と前記胴囲装着取り付け片(11)との連設部分に形状回復力のある、あるいは曲がったり寄れたりしにくい芯材を入れてもよい。また、胴囲装着部取り付け片(11)の前記連設部分の反対側の幅は前記連設部分の幅より狭くしているが、この幅は犬の大きさに合わせて適宜変更することが好ましい。また、バンド部(12)の両端の取り付け幅は、犬や接続具(13)の大きさに合わせるとよい。
【0027】
図5に示すように、前記胴囲装着部取り付け片(11)は、吸収体保持部長手両端部(2a)の周側部(6)の上端側に連設されており、胴囲装着取り付け片(11)、庇部(7)、開口部(9)はほぼ同一面上に形成されている。また、底部(5)や長手庇部(7a)は水平ではなく、ペットの胴体の丸みに合わせて長手方向に沿って少し湾曲させるとよい。
【0028】
図6に示すように、オムツカバー(1)をオス犬に装着した例を説明する。吸収体保持部(2)に吸収体(3)をセットし、開口部(10)を排尿部(14)の位置に合わせてあてがい、一対のバンド部(12)を背中の上で接続具(13)にて連結接続させ、犬の胴体に一周させて装着する。吸収体(3)は吸収体保持部(2)の中で保持されており、吸収体保持部(2)の位置を目視できるので、簡単に適切な位置に装着することができる。
【0029】
実施例1では装着時に犬の肌面に接する部分が、庇部(7)の上面側、胴囲装着部取り付け片(11)の上面側とバンド部(12)と接続具(13)となり、かつ、これらが同一面に連設されているため、少なくとも庇部(7)を含めてこれらが、隙間なく犬の肌面に密着する一方、吸収体保持部(2)の周側部(6)や底部(5)にはバンド部(12)からの引っ張る力がかからない。そのため、吸収体保持部(2)がつぶれることなく、吸収体保持部(2)の内側、すなわち3次元空間(8)は維持される。すると、排尿部(14)の周りにも空間が維持され、排尿部(14)とその周りの肌面が濡れたり蒸れたりすることが軽減される。
【0030】
さらに、庇部(7)の上面が幅をもって犬の肌面に接触するため、摩擦が増えた分、装着時に吸収体保持部(2)の位置がずれにくくなり、さらに胴体を締める圧力が分散されることで犬の肌への負担も軽減される。また、長手庇部(7a)に遮られて吸収体(3)の短手方向の両端が直接犬の肌に触れることがなくなり、開口部(9)に面した吸収体(3)と犬が密着することで生じる摩擦によるズレが軽減された。バンド部(12)は伸縮のある紐状なので、犬の個体差や体調によって胴囲が変動したときには結んで長さを調整することもできるが、アジャスター(15)等を設けバンドの長さを変えられるようにするとよい。
【0031】
図7の第2実施例に示すように胴囲装着部(4)は吸収体保持部長手両端部(2a)の片方に胴囲装着取り付け片(11)とそこに輪を形成し連設されるバンド部(12)を設け、もう片側に胴囲装着部取り付け片(11)には、輪状のバンド部(12)をひっかけて係止できるような接続具(13)を設けてもよい。第2実施例では、片方の胴囲装着部取り付け片(11)を外側に折りたたんだ状態が維持できるように、着脱可能に接合できる面ファスナー、もしくはボタンなどを設けた接続具(13)を形成する。バンド部(12)の輪を前記接続具(13)にひっかけ、挟むように係止する。この時にもアジャスター(15)を設けると、犬の胴囲に合わせてバンド部(12)の長さを調整することができる。
【0032】
第1実施例、および第2実施例の胴囲装着部(4)には、紐状のバンド部を輪にしたものが用いられているが、例えば第1実施例において一対の紐状のバンド部に代わって、2つの胴囲装着部取り付け片(11)をそれぞれそのままの幅でペットの胴体を半周するように延伸し、胴囲装着部取り付け片(11)の延伸したそれぞれの先端に接続具を設け、接続したときには腹巻ベルトになるようにしてもよい。同様に、第2実施例において、片側の紐状のバンド部に代わって、胴囲装着部取り付け片(11)をそのままの幅でペットの胴体を一周するように延伸し、延伸した先端を吸収体保持部(2)の他方に設けた接続具で接続する構成にしてもよい。
【0033】
図8に示す第3実施例は、主にメス犬に使うための形状となっている。吸収体保持部長手両端部(2a)の片方の胴囲装着部取り付け片(11)には実施例2と同様にバンド部(12)を設け、もう片方の胴囲装着部取り付け片(11)はT字状になっていて、その両端側の2箇所に折り畳んだときに面ファスナーなどで着脱できる接続具(13)を設けている。メス犬の排尿部(14)は、後ろ足の間にある。そのため、オス犬のように胴体に巻きつけることができない。メス犬に装着するときには、後ろ足の間に吸収体保持部(2)を当て、バンド部(12)を尻尾の上で一度交差させそれぞれの接続具(13)に連結接続させる。胴囲装着具取り付け片(11)とそこに連設された接続具(13)と前記バンド部(12)の一部分を胴囲に一周させることでバンド部(12)がずれ落ちにくくなり、効果的に装着することができる。また、吸収体保持部(2)を尻尾の下の位置に当たるように装着させると、オス犬、メス犬共に排便用のオムツとしても使うことができる。また、猫やうさぎなど、他のペットにも応用することができる。
【0034】
図9は第1実施例において、薄い吸収シートを使用した使用例を図示したものである。オムツカバーに載置する吸収体は、犬の大きさにより市販のものが入手困難な場合がある。薄い吸収シート(16)を蛇腹に折って入れても、吸水シート(16)の端部が庇部(7)に押さえつけられるので、飛び出さず吸収体保持部(2)内に保持することができる。
【0035】
吸収体保持部(2)に載置する吸収体(3)は、不織布の内側に水分を保持できるような高分子吸収材を備えた使い捨てのものでもよいし、保水力のある布やスポンジなどを使えば、洗って何度も使うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 オムツカバー
2 吸収体保持部
2a 吸収体保持部長手両端部
3 吸収体
4 胴囲装着部
5 底部
6 周側部
7 庇部
7a 長手庇部
7b 短手庇部
7c 庇部長手両端部
8 3次元空間
9 開口部
10 庇下空間
11 胴囲装着部取り付け片
12 バンド部
13 接続具
14 排尿部
15 アジャスター
16 吸水シート
【要約】
【課題】
ペットの尿を受け取るためのオムツカバーは、吸収体を載置し装着させると、犬の動きによって吸収体が飛び出たり、水分が漏れ出てしまうことがあった。
【解決手段】
本発明のオムツカバーは、吸収体を保持できるとともにペットの排尿部を覆うことができ、長手方向と短手方向を有する吸収体保持部と、前記吸収体保持部の長手方向両端部に連設され、前記吸収体保持部を前記ペットの胴体に装着するための胴囲装着部とを有するペット用オムツカバーにおいて、前記吸収体保持部はその内側に前記吸収体を保持できる3次元空間を形成できるように、底部とこの底部に連設された周側部と、前記底部と反対側の前記周側部上端側に連設された庇部とを有し、前記庇部は少なくとも吸収体保持部の前記短手方向両側に長手方向全体に亘って連続的に設けられるとともに、前記庇部と前記周側部との間に前記3次元空間の一部となる庇下空間が形成されるペット用オムツカバー。
【選択図】
図1