(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-24
(45)【発行日】2025-05-07
(54)【発明の名称】スイッチ、フレーム中継方法およびフレーム中継プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 49/113 20220101AFI20250425BHJP
H04L 49/552 20220101ALI20250425BHJP
【FI】
H04L49/113
H04L49/552
(21)【出願番号】P 2024556002
(86)(22)【出願日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2024011752
【審査請求日】2024-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長川 大介
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-096460(JP,A)
【文献】特開2008-048010(JP,A)
【文献】特開2012-015679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 49/113
H04L 49/552
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信装置の間で通信される通信フレームを中継するスイッチであり、
各々のポートが、ユーザの設定によって通常ポートまたは冗長ポート
のいずれかのポートの種類に分類されている複数の
前記ポートと
、
複数の
前記ポートのそれぞれに届いた通信フレームを受信する受信部と、
受信された通信フレームが
前記通常ポート
宛である場合には前記受信された通信フレームを通常ポートから送信し、前記受信された通信フレームが前記通常ポート
宛でない場合には前記受信された通信フレームを受信ポートを除く全ての
前記冗長ポートから送信する送信部と、
を備えるスイッチ。
【請求項2】
前記ポートの種類は、ポートテーブルに記憶される
請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記通常ポートは、代替経路が存在しない単一経路を通じて接続され、
前記冗長ポートは、前記通常ポート以外のポートである
請求項1に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記送信部は、前記通常ポートに接続された前記通信装置のアドレスを記憶する
請求項1に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記受信部は、前記通常ポートに届いた通信フレームの送信元アドレスを前記通常ポートに対応させて記憶する
請求項1に記載のスイッチ。
【請求項6】
複数の通信装置の間で通信される通信フレームを中継するスイッチによるフレーム中継方法であり、
前記スイッチは、
各々のポートが、ユーザの設定によって通常ポートまたは冗長ポート
のいずれかのポートの種類に分類されている複数の
前記ポートを備え
、
複数の
前記ポートのそれぞれに届いた通信フレームを受信し、
受信された通信フレームが
前記通常ポート
宛である場合には前記受信された通信フレームを通常ポートから送信し、前記受信された通信フレームが前記通常ポート
宛でない場合には前記受信された通信フレームを受信ポートを除く全ての
前記冗長ポートから送信するフレーム中継方法。
【請求項7】
複数の通信装置の間で通信される通信フレームを中継するスイッチに受信処理と送信処理を実行させるためのフレーム中継プログラムであり、
前記スイッチは、
各々のポートが、ユーザの設定によって通常ポートまたは冗長ポート
のいずれかのポートの種類に分類されている複数の
前記ポートを備え、
前記受信処理は
、複数の
前記ポートのそれぞれに届いた通信フレームを受信し、
前記送信処理は、受信された通信フレームが
前記通常ポート
宛である場合には前記受信された通信フレームを通常ポートから送信し、前記受信された通信フレームが前記通常ポート
宛でない場合には前記受信された通信フレームを受信ポートを除く全ての
前記冗長ポートから送信するフレーム中継プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信フレームを中継するスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信冗長化を実現するIEEE 802.1CBにおいて、スイッチは、通信装置から送信された通信フレームを複製して同一通信フレームを複数のポートから送信することによって、通信フレームを中継する。複数のポートで同一通信フレームを受信した場合、スイッチは、最初に受信した通信フレームのみを中継し、2番目以降に受信された通信フレームを廃棄する。これにより、複数の経路が並走するトポロジーで通信の冗長化が実現される。
ただし、IEEE 802.1CBは、冗長な通信経路の設定方法を明らかにしていない。
【0003】
特許文献1は、通信経路を設定するための次のような方法を明らかにしている。特許文献1の方法は、各スイッチの各ポートの先に接続されている通信装置のMACアドレスを各スイッチに登録する。
つまり、特許文献1の方法では、接続される全ての通信装置のMACアドレスを全てのスイッチに登録する必要がある。
そのため、特許文献1の方法は、動作中の通信装置の交換に伴うMACアドレスの変更に自動的に対応することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、動作中の通信装置の交換に伴うMACアドレスを把握していなくても自動的に冗長な通信をできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のスイッチは、
複数の通信装置の間で通信される通信フレームを中継するスイッチであり、
1つ以上の通常ポートと、1つ以上の冗長ポートと、を含む複数のポートと、
前記複数のポートのそれぞれに届いた通信フレームを受信する受信部と、
受信された通信フレームが通常ポート宛フレームである場合には前記受信された通信フレームを通常ポートから送信し、前記受信された通信フレームが前記通常ポート宛フレームでない場合には前記受信された通信フレームを受信ポートを除く全ての冗長ポートから送信する送信部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、動作中の通信装置の交換に伴うMACアドレスを把握していなくても自動的に冗長な通信をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1における通信システム200の構成の例を示す図。
【
図2】実施の形態1におけるスイッチ100の構成の例を示す図。
【
図3】実施の形態1における通信装置210の構成の例を示す図。
【
図4】実施の形態1におけるフレーム中継方法のフローチャート。
【
図5】実施の形態1におけるフレーム中継方法のフローチャート。
【
図7】実施の形態2におけるフレーム中継方法のフローチャート。
【
図8】実施の形態3におけるフレーム中継方法のフローチャート。
【
図9】実施の形態4における通信装置210の動作のフローチャート。
【
図10】実施の形態1における通信システム200の構成の例を示す図。
【
図11】実施の形態1における通信システム200の構成の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態および図面において、同じ要素または対応する要素には同じ符号を付している。説明した要素と同じ符号が付された要素の説明は適宜に省略または簡略化する。図中の矢印はデータの流れ又は処理の流れを主に示している。
【0010】
実施の形態1.
通信フレームを中継するスイッチ100について、
図1から
図6に基づいて説明する。
【0011】
***構成の説明***
図1に基づいて、通信システム200の構成を説明する。
通信システム200は、複数の通信装置210と複数のスイッチ100を備える。
複数の通信装置210と複数のスイッチ100は、ネットワークを構成する。
【0012】
それぞれの通信装置210は、通信ケーブルを使って、いずれかのスイッチ100に接続される。
複数のスイッチ100は、通信ケーブルを使って互いに接続される。
通信ケーブルは、通信装置210とスイッチ100の区間の通信経路または2つのスイッチ100の区間の通信経路を構成する。
【0013】
複数の通信装置210は、1つ以上のスイッチ100を介して互いに通信フレームを送受信する。
それぞれのスイッチ100は、複数の通信装置210の間で通信される通信フレームを中継する。スイッチ100は中継装置ともいう。
【0014】
図2に基づいて、スイッチ100の構成を説明する。
スイッチ100は、処理回路101と複数のポート102を備える。
処理回路101と複数のポート102は、信号線を介して接続される。
【0015】
図2において、スイッチ100は3つのポート102を備えている。しかし、スイッチ100は、2つのポート102または4つ以上のポート102を備えてもよい。
【0016】
処理回路101は、受信部111と送信部112と記憶部120といった要素を備える。
【0017】
処理回路101は、受信部111と送信部112と記憶部120を実現するハードウェアである。
処理回路101は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
【0018】
処理回路101が専用のハードウェアである場合、処理回路101は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGAまたはこれらの組み合わせである。
ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。
FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0019】
処理回路101がメモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサである場合、処理回路101は、コンピュータを構成する。
受信部111と送信部112はソフトウェアで実現することができる。
受信部111と送信部112としてコンピュータを機能させるためのプログラムを、フレーム中継プログラムと称する。
フレーム中継プログラムは、メモリに格納されプロセッサによって実行される。
フレーム中継プログラムは、光ディスクまたはフラッシュメモリ等の不揮発性の記録媒体にコンピュータ読み取り可能に記録(格納)することができる。
【0020】
記憶部120はメモリで実現することができる。
記憶部120は、アドレステーブル121などを記憶する。
アドレステーブル121について後述する。
【0021】
図3に基づいて、通信装置210の構成を説明する。
通信装置210は、処理回路211とポート214を備える。
処理回路211とポート214は、信号線を介して接続される。
【0022】
処理回路211は、送信部212と受信部213といった要素を備える。
【0023】
処理回路211は、送信部212と受信部213を実現するハードウェアである。
処理回路211は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
【0024】
***動作の説明***
スイッチ100の動作の手順はフレーム中継方法に相当する。また、スイッチ100の動作の手順はフレーム中継プログラムによる処理の手順に相当する。
以下に、フレーム中継方法について説明する。
【0025】
図1に基づいて、処理回路101の複数のポート102について説明する。
複数のポート102は、通常ポートと冗長ポートに分類される。
図1において、実線矢印は通常ポートから送信される通信フレームの流れを示していて、破線矢印は冗長ポートから送信される通信フレームの流れを示している。
通常ポートは、複数の通信装置210のうちスイッチ100との区間に代替経路が存在しない通信装置210と単一経路を通じて接続されるポート102である。
例えば、通信装置(A1)はスイッチ(A)に一つの通信経路を通じて接続されている。つまり、通信装置(A1)とスイッチ(A)の区間には代替となる経路が存在しない。そのため、スイッチ(A)の複数のポート102のうち、通信装置(A1)が接続されたポート102は通常ポートである。同様に、スイッチ(A)の複数のポート102のうち、通信装置(A2)が接続されたポート102は通常ポートである。
冗長ポートは、通常ポートではないポートである。具体的には、冗長ポートは、複数の通信装置210のうちスイッチ100との区間に代替経路が存在する通信装置210と複数経路を通じて接続されるポート102である。
例えば、スイッチ(A)の複数のポート102のうち、通信装置(A1)が接続された通常ポートと通信装置(A2)が接続された通常ポートのいずれでもない3つのポート102のそれぞれは冗長ポートである。6つの通信装置(B1,B2,C1,C2,D1,D2)のそれぞれは、2つ以上の通信経路を通じてスイッチ(A)と接続されている。つまり、6つの通信装置(B1,B2,C1,C2,D1,D2)のそれぞれとスイッチ(A)の区間には、1つ以上のスイッチ100を介して代替となる通信経路が存在する。
各スイッチ100において、複数のポート102は、ユーザの設定によって通常ポートと冗長ポートに分類される。
【0026】
通信フレームについて説明する。
通信フレームには、送信元アドレスと宛先アドレスとシーケンス番号が設定される。
送信元アドレスは、通信フレームの送信元である通信装置210のアドレスである。
宛先アドレスは、通信フレームの宛先である通信装置210のアドレスである。
通信装置210のアドレスとして、MACアドレスが使用される。MACはMedia Access Controlの略称である。
【0027】
通信装置210について説明する。
送信元の通信装置210の送信部212は、通信フレームをポート214から送信する。
送信された通信フレームは、1つ以上のスイッチ100を経由して宛先の通信装置210に届く。
宛先の通信装置210の受信部213は、ポート214に届いた通信フレームを受信する。
【0028】
図4および
図5に基づいて、フレーム中継方法を説明する。
ステップS101からステップS113は、各スイッチ100において、通信フレームがスイッチ100のいずれかのポート102に届く毎に実行される。
通信フレームが届いたポート102を、受信ポートと称する。
【0029】
ステップS101において、受信部111は、受信ポートに届いた通信フレームを受信する。
受信された通信フレームを、受信フレームと称する。
【0030】
ステップS102において、受信部111は、受信ポートが通常ポートと冗長ポートのいずれであるか判断する。
【0031】
例えば、受信部111は、ポートテーブルを参照して判断を行う。
ポートテーブルは、ポート102ごとにポート102の種類(通常ポートまたは冗長ポート)を示す。具体的には、ポートテーブルは、ポート102ごとにポート識別子に対応付けてポート種類を示す。ポートテーブルは、ユーザによって作成され記憶部120に予め記憶される。
受信部111は、ポートテーブルを参照し、受信ポートのポート識別子に対応付けられたポート種類が通常ポートと冗長ポートのいずれであるか判断する。
【0032】
受信ポートが通常ポートである場合、処理はステップS103に進む。
受信ポートが冗長ポートである場合、処理はステップS105に進む。
【0033】
ステップS103において、受信部111は、受信フレームの送信元アドレスがアドレステーブル121に登録されているか判断する。
【0034】
アドレステーブル121は、通常ポートごとに通常ポートに接続された通信装置210のアドレスが登録されている。具体的には、アドレステーブル121は、通常ポートごとにポート識別子に対応付けて通信装置210のアドレスが登録されている。
受信部111は、受信フレームに設定されている送信元アドレスと同じアドレスが受信ポートのポート識別子に対応付けてアドレステーブル121に登録されているか判断する。
【0035】
受信フレームの送信元アドレスがアドレステーブル121に登録されている場合、処理はステップS106に進む。
受信フレームの送信元アドレスがアドレステーブル121に登録されていない場合、処理はステップS104に進む。
【0036】
ステップS104において、受信部111は、受信フレームの送信元アドレスを受信ポートに対応させてアドレステーブル121に登録する。
【0037】
具体的には、受信部111は、受信ポートのポート識別子に対応付けて受信フレームの送信元アドレスをアドレステーブル121に登録する。
【0038】
ステップS105において、受信部111は、受信フレームと同じ通信フレームを受信済みか判断する。
【0039】
受信フレームと同じ通信フレームは、受信フレームがスイッチ100の受信ポートに届く前に受信フレームの通信経路とは別の通信経路を通ってスイッチ100のいずれかの冗長ポートに届いた通信フレームである。
受信フレームと同じ通信フレームに設定されている送信元アドレスと宛先アドレスとシーケンス番号の組は、受信フレームに設定されている送信元アドレスと宛先アドレスとシーケンス番号の組と一致する。
【0040】
例えば、受信部111は、通信テーブルを参照して判断を行う。
通信テーブルは、送信元アドレスごとに、送信元アドレスに対応付けてシーケンス番号が登録されている。通信フレームを受信したときに、受信部111は、受信した通信フレームに設定されている送信元アドレスと同じ送信元アドレスに対応付けられているシーケンス番号を通信テーブルから見つける。見つけたシーケンス番号が受信した通信フレームに設定されているシーケンス番号より小さい場合、受信部111は、見つけたシーケンス番号を受信した通信フレームに設定されているシーケンス番号に更新する。
受信部111は、受信フレームに設定されている送信元アドレスと同じ送信元アドレスに対応付けられているシーケンス番号を通信テーブルから見つける。見つけたシーケンス番号が受信フレームに設定されているシーケンス番号以上である場合、受信部111は、受信フレームと同じ通信フレームを受信済みであると判断する。
また、受信部111は、通信テーブルを参照して以下のように判断を行ってもよい。
通信テーブルは、送信元アドレスごとに、送信元アドレスに対応付けてシーケンス番号が登録されている。通信フレームを受信したときに、受信部111は、受信した通信フレームに設定されている送信元アドレスと同じ送信元アドレスに対応付けられているシーケンス番号を通信テーブルから見つける。受信した通信フレームに設定されているシーケンス番号が見つからない場合、受信部111は、受信した通信フレームに設定されているシーケンス番号を登録する。受信した通信フレームに設定されているシーケンス番号を見つけた場合、受信部111は、受信フレームと同じ通信フレームを受信済みであると判断する。
【0041】
受信フレームと同じ通信フレームを受信済みである場合、受信フレームと同じ通信フレームが中継済みであるため、受信フレームは中継されず、処理は終了する。
【0042】
受信フレームと同じ通信フレームを受信済みでない場合、処理はステップS106に進む。
【0043】
ステップS106において、受信部111は、受信フレームと受信ポート識別子を送信部112に渡す。
【0044】
ステップS106の後、処理はステップS111に進む。
【0045】
ステップS111において、送信部112は、受信フレームの宛先アドレスがアドレステーブル121に登録されているか判断する。
【0046】
具体的には、送信部112は、受信フレームに設定されている宛先アドレスと同じアドレスがアドレステーブル121に登録されているか判断する。
【0047】
受信フレームの宛先アドレスがアドレステーブル121に登録されている場合、処理はステップS112に進む。
受信フレームの宛先アドレスがアドレステーブル121に登録されていない場合、処理はステップS113に進む。
【0048】
ステップS112において、送信部112は、受信フレームを対応ポートから送信する。これにより、受信フレームが中継される。
【0049】
対応ポートは、受信フレームの宛先である通信装置210が接続された通常ポートである。
【0050】
該当ポートは、アドレステーブル121を用いて判断される。
送信部112は、アドレステーブル121を参照し、受信フレームの宛先アドレスに対応する通常ポートを対応ポートと判断する。
具体的には、送信部112は、受信フレームに設定されている宛先アドレスと同じアドレスに対応付けられたポート識別子をアドレステーブル121から見つける。見つかったポート識別子で識別されるポート102が対応ポートである。
【0051】
ステップS112の後、処理は終了する。
【0052】
ステップS113において、送信部112は、受信ポートを除く全ての冗長ポートから受信フレームを送信する。これにより、受信フレームが中継される。
【0053】
受信フレームは、複製して送信される。
【0054】
冗長ポートは、例えば、ポートテーブルを用いて判断される。
【0055】
ステップS113の後、処理は終了する。
【0056】
***実施の形態1の効果***
特許文献1の方法は、通信装置の交換に伴うMACアドレスの変更に自動的に対応することができない。
MACアドレスの変更に対応する方法の1つに、MACアドレス学習がある。MACアドレス学習は、受信した通信フレームの送信元MACアドレスと受信ポートの対応を登録し、以降に受信した通信フレームの宛先MACアドレスと一致するMACアドレスに対応するポートから通信フレームを送信する機能である。
しかし、MACアドレス学習を使用すると、以下のように冗長性を実現できなくなる。
図6において、通信装置(3)から通信装置(1)への通信の冗長性を実現するために、例えば、破線矢印で示す通信経路も使用できるようにしたい。しかし、MACアドレス学習により、二重線矢印で示す通信経路しか使用できなくなる。
【0057】
一方、実施の形態1は以下のような特徴を有する。
対象のネットワークにおいて代替となる経路が存在しない区間を接続するスイッチのポートを、通常ポートとする。また、代替となる経路がある区間を接続するスイッチのポートを、冗長ポートとする。
スイッチは、通常ポートに接続されている通信装置のMACアドレスのみをMACアドレス学習機能を用いて登録する。
登録されていないMACアドレスを宛先とする通信フレームを受信した場合、スイッチは、受信ポートを除く全ての冗長ポートを用いて中継送信を行う。
【0058】
実施の形態1の特徴の詳細は以下の通りである。
各スイッチは、通常ポートの先に接続されている通信装置のMACアドレスをMACアドレス学習で登録し、下記1)、2)の中継送信を行う。
1)受信した通信フレームの宛先アドレスの通信装置が自スイッチのいずれの通常ポートの先にも接続されていない場合、受信した通信フレームを複製し、受信ポート以外の全ての冗長ポートを用いて中継送信を行う。
2)受信した通信フレームの宛先アドレスの通信装置が自スイッチの通常ポートの先に接続されている場合、その通常ポートのみを用いて中継送信を行う。
【0059】
実施の形態1は以下のような効果を奏する。
スイッチは、通常ポートの先に接続されている通信装置のMACアドレスのみをMACアドレス学習機能を用いて登録し、登録されていないMACアドレスは冗長ポートに接続されていると判断する。これにより、動作中の通信装置の交換に伴うMACアドレスの変更に自動的に対応することができる。
スイッチは、登録されていないMACアドレスを宛先とする通信フレームを、受信ポートを除く全ての冗長ポートを用いて中継送信を行う。これにより、通信の冗長性を実現できる。
【0060】
実施の形態2.
アドレステーブル121が予め作成された場合の形態について、主に実施の形態1と異なる点を
図7に基づいて説明する。
【0061】
***構成の説明***
通信システム200、スイッチ100および通信装置210の構成は、実施の形態1における構成と同じである。
【0062】
***動作の説明***
アドレステーブル121は、ユーザによって作成されスイッチ100の記憶部120に予め記憶される。
【0063】
図7に基づいて、フレーム中継方法を説明する。
ステップS101において、受信部111は、受信ポートに届いた通信フレームを受信する。
ステップS101は、実施の形態1で説明した通りである。
【0064】
ステップS101の後、処理はステップS201に進む。
【0065】
ステップS201において、受信部111は、受信ポートが通常ポートと冗長ポートのいずれであるか判断する。
判断方法は、実施の形態1におけるステップS102の方法と同じである。
【0066】
受信ポートが通常ポートである場合、処理はステップS106に進む。
受信ポートが冗長ポートである場合、処理はステップS105に進む。
【0067】
ステップS105、ステップS106、および、それ以降の処理は、実施の形態1における処理と同じである。
【0068】
***実施の形態2の効果***
実施の形態1においてMACアドレス学習によってアドレステーブルを作成する場合、通常ポートに接続された通信装置が少なくとも1回通信を行う必要がある。MACアドレス学習によってMACアドレスが登録されるまでは、通常ポートに接続されている通信装置を宛先とする通信フレームの中継を行えない。
【0069】
実施の形態2は以下のような特徴を有する。
通常ポートに接続される通信装置のMACアドレスは、MACアドレス学習によってではなく、ユーザによってアドレステーブル121に登録される。
【0070】
実施の形態2の特徴の詳細は以下の通りである。
通常ポートに接続されている通信装置のMACアドレスはユーザによって登録され、各スイッチは下記1)、2)の中継送信を行う。
1)受信した通信フレームの宛先アドレスの通信装置が自スイッチのいずれの通常ポートの先にも接続されていない場合は、受信した通信フレームを複製し、受信ポート以外の全ての冗長ポートを用いて中継送信を行う。
2)受信した通信フレームの宛先アドレスの通信装置が自スイッチの通常ポートの先に接続されている場合、その通常ポートのみを用いて中継送信を行う。
【0071】
実施の形態2は以下のような効果を奏する。
通常ポートの先に接続されている通信装置が通信を実施する前でも、スイッチは、その通信装置宛の中継送信を正しく実施することができる。
【0072】
実施の形態3.
アドレステーブル121が予め作成されなくても通常ポートに接続された未通信の通信装置210を宛先とする通信フレームを中継できるようにする形態について、主に実施の形態1と異なる点を
図8に基づいて説明する。
【0073】
***構成の説明***
通信システム200、スイッチ100および通信装置210の構成は、実施の形態1における構成と同じである。
【0074】
***動作の説明***
図8に基づいて、フレーム中継方法を説明する。
ステップS101からステップS106は、実施の形態1で説明した通りである。
ステップS106の後、処理はステップS301に進む。
【0075】
ステップS301において、送信部112は、受信フレームの宛先アドレスがアドレステーブル121に登録されているか判断する。
判断方法は、実施の形態1におけるステップS111の方法と同じである。
【0076】
受信フレームの宛先アドレスがアドレステーブル121に登録されている場合、処理はステップS112に進む。
受信フレームの宛先アドレスがアドレステーブル121に登録されていない場合、処理はステップS302に進む。
【0077】
ステップS112において、送信部112は、受信フレームを対応ポートから送信する。これにより、受信フレームが中継される。
ステップS112は、実施の形態1で説明した通りである。
【0078】
ステップS302において、送信部112は、受信ポートを除く全ての冗長ポートから受信フレームを送信する。
さらに、送信部112は、受信ポートを除く全ての通常ポートから受信フレームを送信する。
これにより、受信フレームが中継される。
【0079】
***実施の形態3の効果***
実施の形態1においてMACアドレス学習によってアドレステーブルを作成する場合、通常ポートに接続された通信装置が少なくとも1回通信を行う必要がある。MACアドレス学習によってMACアドレスが登録されるまでは、通常ポートに接続されている通信装置を宛先とする通信フレームの中継を行えない。
【0080】
実施の形態3は以下のような特徴を有する。
スイッチは、登録されていないMACアドレスを宛先アドレスとする通信フレームを、冗長ポートだけでなく通常ポートも用いて中継する。
【0081】
実施の形態3の特徴の詳細は以下の通りである。
各スイッチは、通常ポートの先に接続されている通信装置のMACアドレスをMACアドレス学習で登録し、下記1)、2)の中継送信を行う。
1)受信した通信フレームの宛先アドレスの通信装置が自スイッチのいずれの通常ポートの先にも接続されていない場合、受信した通信フレームを複製し、受信ポート以外の全ての冗長ポートおよび通常ポートを用いて中継送信を行う。
2)受信した通信フレームの宛先アドレスの通信装置が自スイッチの通常ポートの先に接続されている場合、その通常ポートのみを用いて中継送信を行う。
【0082】
実施の形態3は以下のような効果を奏する。
通常ポートの先に接続されている通信装置が通信を実施する前でも、スイッチは、その通信装置宛の中継送信を正しく実施することができる。
【0083】
実施の形態4.
通常ポートに接続された通信装置210のアドレスをアドレステーブル121に予め登録できるようにする形態について、主に実施の形態1と異なる点を
図9に基づいて説明する。
【0084】
***構成の説明***
通信システム200、スイッチ100および通信装置210の構成は、実施の形態1における構成と同じである。
【0085】
***動作の説明***
図9に基づいて、通信装置210の動作を説明する。
ステップS401において、ポート214は、通信システム200のネットワークへの接続を検出する。
【0086】
例えば、通信システム200のネットワークへの接続は以下のように検出される。
ユーザは、通信ケーブルの一端をスイッチ100の通常ポートに接続し、通信ケーブルの他端を通信装置210のポート214に接続する。
通信装置210のポート214は、通信ケーブルの接続を検出する。
【0087】
ステップS402において、送信部212は、通信システム200のネットワーク全体への通信フレームを作成し、作成した通信フレームをポート214から送信する。
【0088】
通信システム200のネットワーク全体への通信フレームは、全ての通信装置210を宛先とする通信フレームであり、全ての通信装置210に到達する。
例えば、通信システム200のネットワークがイーサネットである場合、送信部212は、ブロードキャストアドレスを宛先アドレスとして設定した通信フレームを送信する。
【0089】
通信システム200のネットワーク全体への通信フレームは、1つ以上のスイッチ100によって中継され、送信元の通信装置210を除く全ての通信装置210に到達する。
【0090】
通信システム200のネットワーク全体への通信フレームがポート102に届いた場合、スイッチ100は、通常の通信フレームが届いた場合と同様に、フレーム中継方法を実施する。
受信ポートが通常ポートである場合、送信元の通信装置210のアドレスが受信ポートである通常ポートに対応させてアドレステーブル121に登録される(ステップS104)。
【0091】
***実施の形態4の効果***
実施の形態1においてMACアドレス学習によってアドレステーブルを作成する場合、通常ポートに接続された通信装置が少なくとも1回通信を行う必要がある。MACアドレス学習によってMACアドレスが登録されるまでは、通常ポートに接続されている通信装置を宛先とする通信フレームの中継を行わない。
【0092】
実施の形態4は以下のような特徴を有する。
各通信装置は、ポート接続時にネットワーク全体に到達する通信を1回行う。
【0093】
実施の形態4の特徴の詳細は以下の通りである。
各通信装置は、ポート接続時にネットワーク全体に到達する通信を1回行う。
各スイッチは、通常ポートの先に接続されている通信装置のMACアドレスをMACアドレス学習で登録し、下記1)、2)の中継送信を行う。
1)受信した通信フレームの宛先アドレスの通信装置が自スイッチのいずれの通常ポートの先にも接続されていない場合、受信した通信フレームを複製し、受信ポート以外の全ての冗長ポートを用いて中継送信を行う。
2)受信した通信フレームの宛先アドレスの通信装置が自スイッチの通常ポートの先に接続されている場合、その通常ポートのみを用いて中継送信を行う。
【0094】
実施の形態4は以下のような効果を奏する。
通信装置宛の中継送信を正しく実施することができる。
【0095】
***実施の形態の補足***
図10と
図11に基づいて、通常ポートについて補足する。
通常ポートには、隣接する通信装置210と単一経路を通じて接続されるポートの他に、隣接するスイッチ100と単一経路を通じて接続されるポートがある。
図10において、スイッチ(B)の右ポートは、スイッチ(F、G、H、I)との区間に代替経路がある。しかし、スイッチ(B)の右ポートは、スイッチ(E)との区間に代替経路がない。そのため、スイッチ(B)の右ポートは、スイッチ(E)との関係において通常ポートである。
なお、スイッチ(B)の右ポートは、スイッチ(B)との区間に代替経路が存在しない通信装置(E1)と単一経路(B→E→E1)を通じて接続されるポート(通常ポート)である。
図11において、スイッチ(B)の右ポートとスイッチ(E)の区間には、代替経路がある。例えば、経路(B→E)の他に、経路(B→C→I→F→E)がある。そのため、スイッチ(B)の右ポートは、通常ポートではなく冗長ポートである。
なお、スイッチ(B)の右ポートは、スイッチ(B)との区間に代替経路が存在する通信装置(E1)と複数経路(B→E→E1、B→C→I→F→E→E1など)を通じて接続されるポート(冗長ポート)である。
【0096】
各実施の形態は、好ましい形態の例示であり、本開示の技術的範囲を制限することを意図するものではない。各実施の形態は、部分的に実施してもよいし、他の形態と組み合わせて実施してもよい。フローチャート等を用いて説明した手順は、適宜に変更してもよい。
【0097】
スイッチ100と通信装置210の各要素は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで実現されてもよい。
スイッチ100と通信装置210の各要素の「部」は、「処理」、「工程」、「回路」または「サーキットリ」と読み替えてもよい。
【0098】
実施の形態において、複数の通信装置の間で通信される通信フレームを中継するスイッチについて開示した。
前記スイッチは、
前記複数の通信装置のうち前記スイッチとの区間に代替経路が存在しない通信装置と単一経路を通じて接続される通常ポートと、通常ポートではないポートである冗長ポートと、に分類される複数のポートと、
前記複数のポートのそれぞれに届いた通信フレームを受信する受信部と、
通常ポートごとに前記通常ポートに接続された通信装置のアドレスが登録されたアドレステーブルに、受信された通信フレームの宛先アドレスが登録されているか判断し、前記宛先アドレスが前記アドレステーブルに登録されている場合に前記宛先アドレスに対応する通常ポートから前記受信された通信フレームを送信し、前記宛先アドレスが前記アドレステーブルに登録されていない場合に、前記受信された通信フレームが届いた受信ポートを除く全ての冗長ポートから前記受信された通信フレームを送信する送信部と、
を備える。
【0099】
前記受信部は、前記受信ポートが通常ポートであり且つ前記受信された通信フレームの送信元アドレスが前記アドレステーブルに登録されているか判断し、前記受信ポートが通常ポートであり且つ前記送信元アドレスが前記アドレステーブルに登録されていない場合に前記送信元アドレスを前記受信ポートに対応させて前記アドレステーブルに登録する。
【0100】
前記送信部は、前記宛先アドレスが前記アドレステーブルに登録されていない場合に、前記受信ポートを除く全ての冗長ポートと、前記受信ポートを除く全ての通常ポートと、から前記受信された通信フレームを送信する。
【0101】
前記複数の通信装置のうち前記スイッチの通常ポートに接続された通信装置が、前記スイッチの前記通常ポートに接続されたときに、自己の通信装置を除く前記複数の通信装置の全てに到達する通信フレームを送信し、
前記受信部は、前記通常ポートに届いた通信フレームを受信し、受信した通信フレームの送信元アドレスを前記通常ポートに対応させて前記アドレステーブルに登録する。
【符号の説明】
【0102】
100 スイッチ、101 処理回路、102 ポート、111 受信部、112 送信部、120 記憶部、121 アドレステーブル、200 通信システム、210 通信装置、211 処理回路、212 送信部、213 受信部、214 ポート。
【要約】
スイッチ(100)は、1つ以上の通常ポートと、1つ以上の冗長ポートと、を含む複数のポートを備える。前記スイッチは、前記複数のポートのそれぞれに届いた通信フレームを受信し、受信された通信フレームが通常ポート宛フレームである場合には前記受信された通信フレームを通常ポートから送信し、前記受信された通信フレームが前記通常ポート宛フレームでない場合には前記受信された通信フレームを受信ポートを除く全ての冗長ポートから送信する。