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特許7672601放射性セシウムの化学的捕集機能を有する高温ガス炉燃料、それに使用する原料粉末
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  • 特許-放射性セシウムの化学的捕集機能を有する高温ガス炉燃料、それに使用する原料粉末 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-24
(45)【発行日】2025-05-07
(54)【発明の名称】放射性セシウムの化学的捕集機能を有する高温ガス炉燃料、それに使用する原料粉末
(51)【国際特許分類】
   G21C 3/62 20060101AFI20250425BHJP
【FI】
G21C3/62 100
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2025026044
(22)【出願日】2025-02-20
【審査請求日】2025-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】725003276
【氏名又は名称】佐々木 孔英
(74)【代理人】
【識別番号】100165135
【弁理士】
【氏名又は名称】百武 幸子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 孔英
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-115792(JP,A)
【文献】特開2010-145245(JP,A)
【文献】特開2007-147335(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0176136(US,A1)
【文献】K. Sasaki, S. Miura, K. Fukumoto, M. Goto, H. Ohashi,Development of Cesium Tr ap Material for Coated Fuel Particles in High Temperature Gas-Cooled Reactors,28th International Conference on Nuclear Engineering ICONE 28,日本,2021年08月,10.1115/ICONE28-61765
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核分裂性物質を含む燃料核(1)と、
該燃料核(1)を被覆する低密度熱分解炭素層(2)と、
該低密度熱分解炭素層(2)を被覆する外側高密度熱分解炭素層(5)と、
を少なくとも含んで構成される被覆燃料粒子(6)と、
該被覆燃料粒子(6)を保持し、炭素又は炭化ケイ素から構成されるマトリックス母材(7)と、
から構成される高温ガス炉燃料であって、
前記マトリックス母材(7)の原料粉末及び又は表面にケイ酸アルミニウムが加えられていることを特徴とする放射性セシウムの化学的捕集機能を有する高温ガス炉燃料。
【請求項2】
請求項1に記載の前記マトリックス母材(7)に使用する前記原料粉末であって、前記炭素又は前記炭化ケイ素の粉末に前記ケイ酸アルミニウムの粉末が添加されていることを特徴とする原料粉末。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性セシウムの化学的捕集機能を有する高温ガス炉燃料、それに使用する原料粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セシウム捕集技術に、セシウムイオン含有水溶液をケイ酸アルミニウムに接触させて水溶液中のセシウムイオンを低減させる方法(特許文献1)や、セシウム含有固体廃棄物をケイ酸アルミニウム含有溶液と共にゲル化処理する方法(特許文献2)など、セシウム化合物水溶液やセシウム化合物固体をケイ酸アルミニウムによって捕集する方法が多く開発されている。一方で、高温環境における気体状態(671℃以上)のセシウムを対象とした捕集方法はこれまで開発されていない。
【0003】
高温ガス炉燃料である被覆燃料粒子は、直径数百μmの燃料核(たとえば、核分裂性物質を含む二酸化ウランやウランオキシカーバイドなど)を炭素と炭化ケイ素(SiC)の被覆層で被覆し、原子炉運転中に燃料核から発生する核分裂生成物(FP)を物理的に閉じ込めることで、プラント系統内の放射能汚染を抑える構造としている。従って、FP閉じ込め作用を向上させる場合、従来の燃料では物理的閉じ込めの強化として被覆層を分厚くする手法が取られている。
【0004】
本出願人による公知の研究(非特許文献1)では、上記従来の被覆層による物理的閉じ込めのできないセシウムに対し、化学的閉じ込めの手法としてアンチモンにてセシウムを捕集し、セシウム-アンチモン化合物を形成することで1500℃までのセシウムの不動化を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2013/183742号
【文献】特許第6210659号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】K. Sasaki, S. Miura, K. Fukumoto, M. Goto, H. Ohashi,” Development of Cesium Trap Material for Coated Fuel Particles in High Temperature Gas-Cooled Reactors”, Proceedings of the 28th International Conference on Nuclear Engineering, ICONE28-61765, August 4-6, 2021, Virtual, online.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、従来の燃料では物理的閉じ込めの強化として被覆層を分厚くする手法が取られているが、被膜層で物理的にFPを閉じ込めた場合でも、主要な揮発性金属FPであるセシウムの一部は、被覆層内部の欠陥等を介して燃料外へ拡散移行し、これが高温ガス炉プラント1次系内の主要な沈着放射能となる。そのため、物理的閉じ込め以外の方法が必要とされている。
【0008】
また、従来技術によるセシウムの化学的捕集が機能する温度はセシウム-アンチモン化合物の高温安定性上、1500℃までに限られ、想定し得る原子炉事故時(運転時の異常な過渡変化や、1次冷却設備二重管破断と原子炉停止機能喪失の重畳等)の高温ガス炉燃料最高許容温度である1600℃に対応できない制約があった。そのため、1600℃までセシウムを不動化できるセシウム捕集材がより必要とされている。
【0009】
本発明は上記課題に鑑み、高温ガス炉の燃料核から核分裂生成され被覆燃料粒子から放出される放射性セシウムを、室温から1600℃の温度範囲で高温ガス炉燃料内に不動化できる高温ガス炉燃料と、それに使用する原料粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の放射性セシウムの化学的捕集機能を有する高温ガス炉燃料は、核分裂性物質を含む燃料核(1)と、該燃料核(1)を被覆する低密度熱分解炭素層(2)と、該低密度熱分解炭素層(2)を被覆する外側高密度熱分解炭素層(5)と、を少なくとも含んで構成される被覆燃料粒子(6)と、該被覆燃料粒子(6)を保持し、炭素又は炭化ケイ素から構成されるマトリックス母材(7)と、から構成される高温ガス炉燃料であって、前記マトリックス母材(7)の原料粉末及び又は表面にケイ酸アルミニウムが加えられている。
また、本発明の原料粉末は、前記マトリックス母材(7)に使用する前記原料粉末であって、前記炭素又は前記炭化ケイ素の粉末に前記ケイ酸アルミニウムの粉末を添加されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の放射性セシウムの化学的捕集機能を有する高温ガス炉燃料によると、高温ガス炉の燃料核から核分裂生成され被覆燃料粒子から放出される放射性セシウムを、室温から1600℃の温度範囲で高温ガス炉燃料内に不動化できる。また、本発明の原料粉末により、放射性セシウムの化学的捕集機能を有する高温ガス炉燃料を容易に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る高温ガス炉燃料の構造を示す説明図である。
図2】炭素中のケイ酸アルミニウムとセシウムの反応試験結果(元素分析結果)である。
図3】炭素中のケイ酸アルミニウムとセシウムを反応させた図2の試料における、アルゴンガス雰囲気中1600℃×1時間の耐熱試験結果(元素分析結果)である。
図4】炭素中のケイ酸アルミニウムとセシウムを反応させた図2の試料における、空気雰囲気中1600℃×1時間の耐熱試験結果(元素分析結果)である。
図5図3の試料の結晶構造分析結果(電子線回折パターン)である。
図6】炭化ケイ素中のケイ酸アルミニウムとセシウムを反応させた試料における、アルゴンガス雰囲気中1600℃×1時間の耐熱試験結果(元素分析結果)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態(以下実施例と略称する)を、図面に基づいて説明する。以下の図面において、共通する部分には同一の符号を付しており、同一符号の部分に対して重複した説明を省略する。
【0014】
(セシウム捕集反応)
本発明の放射性セシウムの化学的捕集機能を有する高温ガス炉燃料は、図1に示すとおり、コンパクト型燃料8又はペブル型燃料9である。それらは、核分裂性物質を含む燃料核1と、燃料核1を被覆する低密度熱分解炭素層2と、低密度熱分解炭素層2を被覆する外側高密度熱分解炭素層5と、を少なくとも含んで構成される被覆燃料粒子6と、被覆燃料粒子6を保持し、炭素又は炭化ケイ素から構成されるマトリックス母材7から構成されている。
【0015】
図1に示すように、被覆燃料粒子6は、ウラン等で構成される燃料核1を低密度熱分解炭素層2と、内側高密度熱分解炭素層3と、炭化ケイ素層4と、外側高密度熱分解炭素層5にて4重に被覆されて構成されている。なお、原子燃料核1を低密度熱分解炭素層2と、外側高密度熱分解炭素層5の2重で被覆するタイプの被覆燃料粒子も存在し、何れにも本発明は適用できるが、本明細書では4重被覆タイプの被覆燃料粒子を代表例として説明する。
【0016】
数千~数万粒の被覆燃料粒子6が、炭素や炭化ケイ素から成る燃料マトリックス母材7に保持され、コンパクト型燃料8やペブル型燃料9の形状に集合体化され、これが高温ガス炉用燃料として炉心に装荷される。
【0017】
本発明では、燃料核1から核分裂生成されて被覆燃料粒子6から放出される放射性セシウムを、被覆燃料粒子6より外側に位置する燃料マトリックス母材7の原料粉末及び又は表面に予め加えるケイ酸アルミニウムに接触させてアルミノケイ酸セシウムを形成して放射性セシウムを捕集する。
【0018】
これにより、原子炉事故時(運転時の異常な過渡変化や、1次冷却設備二重管破断と原子炉停止機能喪失の重畳等)を想定した高温ガス炉燃料最高許容温度1600℃下でもセシウムを不動化し、それ以外の高温ガス炉プラント領域におけるセシウムによる放射能汚染を低減する。
【0019】
下記の化学式1のとおり、セシウムの捕集材であるケイ酸アルミニウム(xAl・ySiO)にはx,yの異なる複数種類の化学式が存在するが、何れのケイ酸アルミニウムにおいても、セシウム(+燃料中の浮遊酸素O)と反応し、アルミノケイ酸セシウムCsAlSi(+副生成物Al)を形成する。なお、xAl・ySiOは、事業者が使用したい任意のケイ酸アルミニウムの化学式とする。
【0020】
【化1】
【0021】
(セシウム捕集材の必要量)
本発明の効果を十分に発揮するためのケイ酸アルミニウムは、原子炉内で核分裂生成されるセシウム全量をアルミノケイ酸セシウムにすることができる量以上が必要である。
【0022】
セシウムz[mol]を捕集するために必要なケイ酸アルミニウム(xAl・ySiO)の量は、上記化学式1によるケイ酸アルミニウムとセシウムのモル比の関係から2×z/y[mol]である。
【0023】
(セシウム捕集材の配置)
マトリックス母材7は、前述のように炭素や炭化ケイ素から構成されるが、それらの粉末にケイ酸アルミニウムの粉末を添加して燃料マトリックス母材7用の原料粉末を作成する。
【0024】
この原料粉末を、ケイ酸アルミニウムをセシウムの移行経路である燃料マトリックス母材7中に分散配置することで、放射性セシウムの化学的捕集機能を最も効果的に発揮する。
【0025】
ケイ酸アルミニウムの燃料マトリックス母材7への加え方には、既述の原料粉末への混合のほか、被覆燃料粒子の表面や被覆燃料粒子を集合化・成型したコンパクト型燃料8の表面、ペブル型燃料9の燃料マトリックス母材7と無燃料殻10の間へのコーティングが考えられるが、コーティングする場合は、そのコーティング手法や耐久性に別途技術開発が必要となる。また、セシウムが接触し得る他の部位(例えば、炉内構造物表面や原子炉圧力容器内表面や1次系構造物内表面等)にコーティングしてもセシウムを化学的に捕集し、その位置でセシウムを不動化する事も可能と考えられる。しかし、その場合にはセシウム放射能汚染範囲が広がってしまい、プラントの安全性向上や経済性向上に対する恩恵は少なくなることに加え、そのコーティング手法や耐久性に別途技術開発が必要になる。従ってケイ酸アルミニウムの添加は燃料マトリックス母材原料粉末への混合が好ましい。
【実施例
【0026】
以下実施例に基づき本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(ケイ酸アルミニウムの添加量の具体例)
例として、濃縮度20%のコンパクト型燃料1個について、U235を全て核分裂させて生成されるセシウムの核分裂収率が20%の場合に、ケイ酸アルミニウムAl・3SiOの必要添加量を下記の表に示す具体例の条件から求める。本例では燃料破損率100%を仮定し、核分裂生成されたセシウム全量を捕集ターゲットとする場合を示すが、捕集するセシウム量は事業者が決定するものであるため、この限りではない。
下記の表に示す条件のコンパクト型燃料1個中に発生するセシウム(2.39×10-3[mol])を捕集するために必要なケイ酸アルミニウム(Al・3SiO)の量は、上記化学式1によるケイ酸アルミニウムとセシウムのモル比の関係から2×2.39×10-3/3すなわち1.59×10-3[mol](0.45[g])と求まる。なお、必要に応じて、ケイ酸アルミニウムの添加による燃料マトリックス母材7の体積増加の補正を設計に反映する。また、実際にケイ酸アルミニウムを添加した燃料マトリックス母材7用の原料粉末の製造の際は、生産予定のコンパクト数を乗じた分量を準備する。
【0027】
【表1】
【0028】
(ケイ酸アルミニウムの添加方法の具体例)
本発明の効果は、ケイ酸アルミニウムを燃料マトリックス母材7に加える事で得られる。具体的には、従来の高温ガス炉燃料製造工程において、被覆燃料粒子6の集合体化より前に、各被覆燃料粒子6にコーティングする燃料マトリックス母材7の原料粉末に、予めケイ酸アルミニウムを添加する。
【0029】
黒鉛製の燃料マトリックス母材7に、ケイ酸アルミニウムを分散添加する場合、燃料マトリックス母材7の原料である調整黒鉛粉末(天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末およびフェノール樹脂バインダーの混合粉末)の調合工程で添加することが均質性確保の観点で好ましい。また、ケイ酸アルミニウムが過不足なく原料粉末に取り込まれるように、ケイ酸アルミニウムの添加量を調整する。
【0030】
(ケイ酸アルミニウムのセシウム捕集機能)
ケイ酸アルミニウムとセシウムの反応試験を行った。具体的には、炭素製の燃料マトリックス母材7にケイ酸アルミニウムを分散させた状態を模擬した試料として炭素とケイ酸アルミニウム(Al・3SiO)の混合粉末(モル比10対1)、及びセシウムをアルミナ製反応容器に投入し、アルゴンガス雰囲気中で670℃×1時間の加熱によるケイ酸アルミニウムとセシウムの反応試験を実施した。図2の元素分析結果には、反応試験後の試料からセシウムの検出が確認できる。
【0031】
炭素中のケイ酸アルミニウムとセシウムを反応させた図2の試料に対し、高温ガス炉燃料温度の許容値である1600℃×1時間の耐熱試験を実施した。ここで、耐熱試験雰囲気を不活性ガス(アルゴンガス)とすることで運転時の異常な過渡変化環境を模擬し、耐熱試験雰囲気を空気とすることで1次冷却設備二重管破断と原子炉停止機能喪失の重畳による過酷事故環境を模擬した。図3及び図4に示す通り、耐熱試験後の試料からセシウムの検出を確認し、高温ガス炉の事故時燃料温度環境下においてもセシウム捕集機能を維持できていることを確認した。
【0032】
図5に示す通り、図3の試料の結晶構造解析結果(電子線回折パターン)から、ケイ酸アルミニウムとセシウムが反応して形成された安定化合物はCsAlSiであることを特定し、セシウム捕集反応における既述の化学式1を明らかにした。
【0033】
炭化ケイ素製の燃料マトリックス母材7中でのケイ酸アルミニウムによるセシウム捕集機能を確認するため、炭化ケイ素製の燃料マトリックス母材7にケイ酸アルミニウムを分散させた状態を模擬した試料として、炭化ケイ素とケイ酸アルミニウム(Al・3SiO)の混合粉末(モル比10対1)とセシウムをアルミナ製反応容器に投入し、アルゴンガス雰囲気中の670℃×1時間の加熱によるケイ酸アルミニウムとセシウムの反応試験を実施した。この試験で得られた試料に対して、アルゴンガス雰囲気中にて1600℃×1時間の耐熱試験を実施した。図6に示す通り、耐熱試験後の試料からセシウム検出が確認できたことから、燃料マトリックス母材7が炭化ケイ素製の場合でもケイ酸アルミニウムによるセシウム捕集方法は有効であることがわかる。
【0034】
以上の実験結果により、放射性セシウムを燃料マトリックス母材中のケイ酸アルミニウムに接触させて、アルミノケイ酸セシウムを形成することで放射性セシウムの化学的捕集効果があることが確認できた。従って、本発明の放射性セシウムの化学的捕集機能を有する高温ガス炉燃料により、高温ガス炉の燃料核から核分裂生成され被覆燃料粒子から放出される放射性セシウムを、室温から1600℃の温度範囲で高温ガス炉燃料内に不動化できることが明白である。
【0035】
なお、上述した放射性セシウムの化学的捕集機能を有する高温ガス炉燃料と、それに使用する原料粉末は一例であり、その構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 燃料核
2 低密度熱分解炭素層
3 内側高密度熱分解炭素層
4 炭化ケイ素層
5 外側高密度熱分解炭素層
6 被覆燃料粒子
7 燃料マトリックス母材
8 コンパクト型燃料
9 ペブル型燃料
10 無燃料殻


【要約】
【課題】高温ガス炉の燃料核から核分裂生成され被覆燃料粒子から放出される放射性セシウムを、室温から1600℃の温度範囲で高温ガス炉燃料内に不動化できる高温ガス炉燃料、それに使用する原料粉末を提供する。
【解決手段】放射性セシウムの化学的捕集機能を有する高温ガス炉燃料は、核分裂性物質を含む燃料核1と、該燃料核1を被覆する低密度熱分解炭素層2と、該低密度熱分解炭素層2を被覆する外側高密度熱分解炭素層5と、を少なくとも含んで構成される被覆燃料粒子6と、該被覆燃料粒子6を保持し、炭素又は炭化ケイ素から構成されるマトリックス母材7と、から構成される高温ガス炉燃料であって、マトリックス母材7の原料粉末及び又は表面にケイ酸アルミニウムが加えられている。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6