(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-25
(45)【発行日】2025-05-08
(54)【発明の名称】給水装置、施設、移動体、給水装置管理装置、給水装置管理方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
E03B 3/28 20060101AFI20250428BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20250428BHJP
【FI】
E03B3/28
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2021156600
(22)【出願日】2021-09-27
【審査請求日】2024-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】517344848
【氏名又は名称】株式会社親広産業
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】岡田 広行
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-371598(JP,A)
【文献】国際公開第2006/028287(WO,A1)
【文献】特開2020-062586(JP,A)
【文献】特開2007-308900(JP,A)
【文献】特開2002-094666(JP,A)
【文献】特開2016-092867(JP,A)
【文献】特開2001-259616(JP,A)
【文献】特開2018-055546(JP,A)
【文献】特開2010-106486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 1/00-11/16
B01B 1/00-1/08
B01D 1/00-8/00
F25J 1/00-5/00
G06Q 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水生成ユニット
、電源ユニット
及び制御ユニットを含み、
前記水生成ユニットの作動に必要な電気が、前記電源ユニットから供給され、
前記水生成ユニットは、空気供給部、凝縮部、及び、貯水部を含み、
前記空気供給部は空気を前記凝縮部に供給し、
前記凝縮部は前記空気を冷却して前記空気中の水蒸気を液化して生成水を生成し、
前記貯水部が、生成した前記生成水を貯水し、
前記電源ユニットは、太陽電池電源部を含み、
前記太陽電池電源部で発電された電気が、前記水生成ユニットに供給可能であ
り、
前記制御ユニットは、通信部、制御部、情報取得部、分析部、及び、情報出力部を含み、
前記通信部は、通信回線網を介して、前記水生成ユニット及び前記電源ユニットと通信可能であり、
前記制御部により、前記水生成ユニット、及び、前記電源ユニットを制御し、
前記情報取得部は、前記貯水部の貯水量情報を取得するとともに、前記通信部を介して前記水生成ユニット及び前記電源ユニットから給水情報を取得可能であり、前記給水情報は、水生成情報及び電力情報を含み、
前記制御部は、前記貯水量情報に基づき前記水生成ユニットの水生成を制御し、
前記分析部は、前記水生成情報及び前記電力情報に基づき、給水装置の稼働状態を分析し、
前記情報出力部は、前記分析された給水装置の稼働状態に関する稼働情報を出力し、
前記情報取得部は、前記通信部を介して通信回線網から給水装置外情報を取得し、
前記制御部は、前記給水装置外情報に基づき前記水生成ユニットの水生成を制御し、
前記給水装置外情報は、非常事態情報を含み、
前記情報取得部は、前記通信部を介して、前記非常事態情報を取得し、
前記制御部は、前記非常事態情報をトリガーとして、前記水生成ユニットの稼働情報、前記電源ユニットの稼働情報、前記給水装置の位置情報を含む給水装置情報を生成し、前記通信部を介して前記通信回線網を通じて前記給水装置外に前記給水装置情報を発信する、
給水装置。
【請求項2】
前記水生成ユニットは、さらに、空気清浄部、空気圧縮部、及び、生成水清浄部の少なくとも一つを含み、
前記空気清浄部は、前記凝縮部に供給する空気を清浄可能であり、
前記空気圧縮部は、前記凝縮部に供給する空気を圧縮可能であり、
前記生成水清浄部は、前記生成水を清浄可能である、
請求項1記載の給水装置。
【請求項3】
前記電源ユニットは、さらに、電源切替部を含み、
前記制御部の制御により、前記電源切替部は、使用する電源を前記太陽電池電源部及び非太陽電池電源部に切替可能である、請求項1
又は2記載の給水装置。
【請求項4】
前記電源ユニットは、さらに、蓄電池電源部を含み、
前記制御部による前記電源切替部の電源切替により、前記蓄電池電源部は、前記太陽電池電源部及び前記非太陽電池電源部の少なくとも一方から充電可能であり、かつ、前記水生成ユニットに電気を供給可能である、
請求項
3記載の給水装置。
【請求項5】
さらに
、前記制御部は、前記給水装置外情報に基づき前
記電源切替部の電源切
替を制御する、請求項
3又は4記載の給水装置。
【請求項6】
給水装置を含む施設であって、前記給水装置が、請求項1から
5のいずれか一項に記載の給水装置である施設。
【請求項7】
給水装置を含む移動体であって、前記給水装置が、請求項1から
5のいずれか一項に記載の給水装置である移動体。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一項に記載の給水装置を管理する給水装置管理装置であり、
前記通信部、
前記情報取得部、
前記分析部、及び、
前記情報出力部を含み、
前記通信部は、
前記通信回線網を介して、
前記給水装置の
前記水生成ユニット及び前記電源ユニットと通信可能であり、
前記情報取得部は、前記通信部を介して前記給水装置から給水情報を取得可能であり、前記給水情報は、水生成情報及び電力情報を含み、
前記分析部は、前記水生成情報及び前記電力情報に基づき、前記給水装置の稼働状態を分析し、
前記情報出力部は、前記分析された給水装置の稼働状態に関する稼働情報を出力
する、
給水装置管理装置。
【請求項9】
さらに、制御情報生成部を含み、
前記制御情報生成部は、前記稼働情報及び前記給水装置外情報の少なくとも一方に基づき前記給水装置の前記制御部を制御する制御情報を生成し、前記通信部を介し前記通信回線網を通じて前記制御情報を前記給水装置に送信する、
請求項
8記載の給水装置管理装置。
【請求項10】
前記給水装置外情報が、非常事態情報を含み、
前記制御情報生成部は、前記非常事態情報に基づき前記制御情報を生成する、
請求項
9記載の給水装置管理装置。
【請求項11】
前記情報取得部は、前記通信部を介して管理者端末から管理情報を取得し、
前記制御情報生成部は、前記管理情報に基づき前記制御情報を生成する、
請求項
9又は
10記載の給水装置管理装置。
【請求項12】
通信工程、情報取得工程、分析工程、及び、情報出力工程を含み、
前記通信工程は、通信回線網を介して、給水装置と通信し、
前記情報取得工程は、前記通信工程により前記給水装置から給水情報を取得し、前記給水情報は、水生成情報及び電力情報を含み、
前記分析工程は、前記水生成情報及び前記電力情報に基づき、前記給水装置の稼働状態を分析し、
前記情報出力工程は、前記分析された給水装置の稼働状態に関する稼働情報を出力し、
前記給水装置は、請求項
1から5のいずれか一項に記載の給水装置である、
給水装置管理方法。
【請求項13】
さらに、制御情報生成工程を含み、
前記制御情報生成工程は、前記稼働情報及び前記給水装置外情報の少なくとも一方に基づき前記給水装置の前記制御部を制御する制御情報を生成し、前記通信工程により前記通信回線網を通じて前記制御情報を前記給水装置に送信する、
請求項
12記載の給水装置管理方法。
【請求項14】
前記給水装置外情報が、非常事態情報を含み、
前記制御情報生成工程は、前記非常事態情報に基づき前記制御情報を生成する、
請求項
13記載の給水装置管理方法。
【請求項15】
前記情報取得工程は、前記通信工程により管理者端末から管理情報を取得し、
前記制御情報生成工程は、前記管理情報に基づき前記制御情報を生成する、
請求項
13又は
14記載の給水装置管理
方法。
【請求項16】
請求項
12から
15のいずれか一項に記載の給水装置管理方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
請求項
16記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置、施設、移動体、給水装置管理装置、給水装置管理方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ライフラインとして最も需要なのは水道であるが、災害や水道管破裂等の事故等において、水道が使用できない場合は、給水車による給水サービスが実施される。しかしながら、給水車による給水サービスは、給水車が各給水ステーションに赴く必要があり、被災者はポリタンク等を持参して給水ステーションに赴く必要があり、地方自治体等の給水サービス提供者及び被災者等の給水サービス需要者の双方において負担が大きかった。一方、特許文献1には、空気中の水分を凝縮させて水を生成する給水装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された給水装置は、電力で稼働するものであり、一方、災害時には、水道と共に電気の供給にも支障が出ている場合がほとんどであり、特許文献1の給水装置は、災害時には役に立たないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、災害時において、電気の供給が無くても給水可能な給水装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の給水装置は、
水生成ユニット及び電源ユニットを含み、
前記水生成ユニットの作動に必要な電気が、前記電源ユニットから供給され、
前記水生成ユニットは、空気供給部、凝縮部、及び、貯水部を含み、
前記空気供給部は空気を前記凝縮部に供給し、
前記凝縮部は前記空気を冷却して前記空気中の水蒸気を液化して生成水を生成し、
前記貯水部が、生成した前記生成水を貯水し、
前記電源ユニットは、太陽電池電源部を含み、
前記太陽電池電源部で発電された電気が、前記水生成ユニットに供給可能である、
装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の給水装置によれば、災害時及び停電時において給水可能であり、また、平常時においても電力会社の電気を使用しなくても水を生成可能であるから、経済的でもある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の給水装置の一例を示す構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の給水装置における水生成ユニットの一例を示す構成図である。
【
図3】
図3は、本発明の給水装置における電源ユニットの一例を示す構成図である。
【
図4】
図4は、本発明の給水装置のおける制御ユニットの一例を示す構成図である。
【
図5】
図5は、ユーザ端末に本発明の給水装置の位置を表示する一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、ユーザ端末において、本発明の給水装置への案内画面を表示する一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、施設(建物)に本発明の給水装置を配置した状態の一例示す説明図である。
【
図8】
図8は、移動体(トラック)に本発明の給水装置を配置した状態の一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、本発明の給水装置管理装置が通信回線網を通じて各端末と接続されている状態の一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、本発明の給水装置管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、本発明の給水装置管理装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、災害時における本発明の給水装置及び給水装置管理装置の作動状況を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の給水装置において、前記水生成ユニットは、さらに、空気清浄部、空気圧縮部、及び、生成水清浄部の少なくとも一つを含み、前記空気清浄部は、前記凝縮部に供給する空気を清浄可能であり、前記空気圧縮部は、前記凝縮部に供給する空気を圧縮可能であり、前記生成水清浄部は、前記生成水を清浄可能である、という態様であってもよい。
【0010】
本発明の給水装置において、さらに、制御ユニットを含み、前記制御ユニットは、制御部を含み、前記制御部により、前記水生成ユニット、及び、前記電源ユニットを制御する、という態様であってもよい。
【0011】
本発明の給水装置において、前記電源ユニットは、さらに、電源切替部を含み、前記制御部の制御により、前記電源切替部は、使用する電源を前記太陽電池電源部及び非太陽電池電源部に切替可能である、という態様であってもよい。
【0012】
本発明の給水装置において、前記電源ユニットは、さらに、蓄電池電源部を含み、前記制御部による前記電源切替部の電源切替により、前記蓄電池電源部は、前記太陽電池電源部及び前記非太陽電池電源部の少なくとも一方から充電可能であり、かつ、前記水生成ユニットに電気を供給可能である、という態様であってもよい。
【0013】
本発明の給水装置において、さらに、前記制御ユニットは、情報取得部を含み、前記情報取得部は、前記貯水部の貯水量情報を取得し、前記制御部は、前記貯水量情報に基づき前記水生成ユニットの水生成を制御する、という態様であってもよい。
【0014】
本発明の給水装置において、さらに、前記制御ユニットは、通信部を含み、前記情報取得部は、前記通信部を介して通信回線網から給水装置外情報を取得し、前記制御部は、前記給水装置外情報に基づき前記水生成ユニットの水生成、及び、電源切替部の電源切替の少なくとも一方を、制御する、という態様であってもよい。
【0015】
本発明の給水装置において、前記給水装置外情報は、非常事態情報を含み、前記情報取得部は、前記通信部を介して、前記非常事態情報を取得し、前記制御部は、前記非常事態情報をトリガーとして、前記水生成ユニットの稼働情報、前記電源ユニットの稼働情報、前記給水装置の位置情報を含む給水装置情報を生成し、前記通信部を介して前記通信回線網を通じて前記給水装置外に前記給水装置情報を発信する、という態様であってもよい。
【0016】
本発明の施設は、給水装置を含む施設であって、前記給水装置が、本発明の給水装置である。
【0017】
本発明の移動体は、給水装置を含む移動体であって、前記給水装置が、本発明の給水装置である。
【0018】
本発明の給水装置管理装置は、通信部、情報取得部、分析部、及び、情報出力部を含み、前記通信部は、通信回線網を介して、給水装置と通信可能であり、前記情報取得部は、前記通信部を介して前記給水装置から給水情報を取得可能であり、前記給水情報は、水生成情報及び電力情報を含み、前記分析部は、前記水生成情報及び前記電力情報に基づき、前記給水装置の稼働状態を分析し、前記情報出力部は、前記分析された給水装置の稼働状態に関する稼働情報を出力し、前記給水装置は、前記通信部を備えた本発明の給水装置である。
【0019】
本発明の給水装置管理装置において、さらに、制御情報生成部を含み、前記制御情報生成部は、前記稼働情報及び前記給水装置外情報の少なくとも一方に基づき前記給水装置の前記制御部を制御する制御情報を生成し、前記通信部を介し前記通信回線網を通じて前記制御情報を前記給水装置に送信する、という態様であってもよい。
【0020】
本発明の給水装置管理装置において、前記給水装置外情報が、非常事態情報を含み、前記制御情報生成部は、前記非常事態情報に基づき前記制御情報を生成する、という態様であってもよい。
【0021】
本発明の給水装置管理装置において、前記情報取得部は、前記通信部を介して管理者端末から管理情報を取得し、前記制御情報生成部は、前記管理情報に基づき前記制御情報を生成する、という態様であってもよい。
【0022】
本発明の給水装置管理方法は、通信工程、情報取得工程、分析工程、及び、情報出力工程を含み、前記通信工程は、通信回線網を介して、給水装置と通信し、前記情報取得工程は、前記通信工程により前記給水装置から給水情報を取得し、前記給水情報は、水生成情報及び電力情報を含み、前記分析工程は、前記水生成情報及び前記電力情報に基づき、前記給水装置の稼働状態を分析し、前記情報出力工程は、前記分析された給水装置の稼働状態に関する稼働情報を出力し、前記給水装置は、本発明の給水装置である。
【0023】
本発明の給水装置管理方法において、さらに、制御情報生成工程を含み、前記制御情報生成工程は、前記稼働情報及び前記給水装置外情報の少なくとも一方に基づき前記給水装置の前記制御部を制御する制御情報を生成し、前記通信工程により前記通信回線網を通じて前記制御情報を前記給水装置に送信する、という態様であってもよい。
【0024】
本発明の給水装置管理方法において、前記給水装置外情報が、非常事態情報を含み、前記制御情報生成工程は、前記非常事態情報に基づき前記制御情報を生成する、という態様であってもよい。
【0025】
本発明の給水装置管理方法において、前記情報取得工程は、前記通信工程により管理者端末から管理情報を取得し、前記制御情報生成工程は、前記管理情報に基づき前記制御情報を生成する、という態様であってもよい。
【0026】
本発明のプログラムは、本発明の給水装置管理方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0027】
本発明の記録媒体は、本発明のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0028】
次に、本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0029】
[実施形態1]
図1は、本実施形態の給水装置1の一例の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本装置1は、水生成ユニット11、電源ユニット12、制御ユニット13から構成されている。符号14は、給水装置本体部を示す。電源ユニット12は、電源ユニット本体部12a及び太陽電池電源部12bから構成されている。
図1において、制御ユニット13はパーソナルコンピュータ(PC)であるが、本発明はこれに限定されず、サーバ、スマートフォン、タブレット等でもよく、また、制御ユニット13は、給水装置本体部14内に配置されていてもよい。
【0030】
図2に、水生成ユニット11の構成の一例を示す。図示のように、水生成ユニット11は、空気吸入口116、空気供給部111、空気圧縮部114、凝縮部112,生成水清浄部115、及び貯水部113を含み、これらはパイプで連結されている。空気供給部111は、空気清浄部111b及びポンプ部111aから構成されている。水生成ユニット11において、まず、ポンプ部111aによる吸引作用により、空気導入口116からパイプに空気が導入され,導入された空気は空気清浄部111bでチリ及び誇り等が除去されて清浄空気となり、清浄空気は空気圧縮部114で圧縮され、圧縮空気は凝縮部112に導入され、凝縮部112において、熱交換により圧縮空気中の水蒸気が液化して水が生成され、生成水は生成水清浄部115で清浄され、清浄された生成水は貯水部113に貯水される。貯水された生成水は、例えば、飲料水、料理で使用する水、風呂水、トイレの水、洗濯水、洗車に用いる水、園芸に用いる水等の生活水全般に使用でき、さらに、農業、工業等で使用する産業水全般にも使用可能である。空気清浄部111bは、例えば、フィルターにより空気を清浄化し、生成水清浄部115は、例えば、フィルターで生成水を清浄化する。凝縮部は、一般的な凝縮器が使用され、凝縮器の冷却に使用する冷媒は、空気等の気体及び水等の液体が使用される。
【0031】
図3に電源ユニット12の構成の一例を示す。図示のように、電源ユニット12は、電源ユニット本体部12a及び太陽電池電源部12bから構成されている。電源ユニット本体部12aは、電源切替部121及び蓄電池電源部122から構成されている。太陽電池電源部12bで発電された電気は、電源切替部121を介して水生成ユニットに提供され、又は、電源切替部121を介して蓄電池電源部122に提供される。電源切替部121は、非太陽電池電源部からの電気に切り替えることが可能であり、非太陽電池電源の電気は、電源切替部121を介して水生成ユニットに供給可能であり、同様に、蓄電池電源部122に提供可能である。非太陽電池電源部の電気としては、例えば、電力会社が家庭及び企業の事業所に提供する電気、自家発電による電気等がある。蓄電池電源部122は、電源切替部121を介して水生成ユニットに電源を提供可能であり、同様に、本発明の給水装置1以外の装置及び機器にも電気を提供可能である。本発明の給水装置1以外の装置及び機器としては、例えば、施設の照明器具、家電、空調装置、上下水道装置等がある。
【0032】
図4に制御ユニットの構成の一例を示す。図示のように、制御ユニット13は、制御部131、情報取得部132、及び、通信部133から構成されている。通信部133は、外部通信ネットワーク(通信回線網)Nを介して給水装置1外の装置と通信可能である。外部通信ネットワークとしては、例えば、例えば、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)等がある。通信デバイス107による通信は、有線でも無線でもよい。無線通信としては、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth、等が挙げられる。無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、アクセスポイントを介した間接通信のいずれであってもよい。
図4において、符号134aは、サーバを示し、符号134bはパーソナルコンピュータ(PC)を示し、符号134cは、スマートフォン(スマホ)を示す。情報取得部132は、給水装置内外からの情報を取得し制御部131に送信する。給水装置内の情報としては、給水装置内に取り付けられた各種センサーの情報(貯水量、貯水温度、電力消費量、外部温度等)がある、給水装置外の情報は、通信部133を介して取得される情報であり、例えば、給水装置1のユーザのユーザ情報、給水装置1の管理者の管理者情報、気象情報、災害情報(Jアラート、Lアラート等)等がある。
【0033】
情報取得部132は、貯水部113の貯水量情報を取得し、制御部131は、貯水量情報に基づき水生成ユニット11の水生成を制御する。例えば、貯水量が基準量に満たない時は、制御部131の制御により水生成ユニットの運転を継続させ、貯水量が基準量に達した時は、制御部131の制御により水生成ユニットの運転を止める。
【0034】
情報取得部132は、通信部133を介して外部通信ネットワークから給水装置外情報を取得し、制御部131は、給水装置外情報に基づき水生成ユニット11の水生成、及び、電源切替部121の電源切替の少なくとも一方を、制御する。例えば、平常時では、電源切替部121の電源切替により、家庭用コンセントの電気を使って水生成ユニット11を稼働させ、かつ蓄電池電源部122に電気を充電し、災害情報等の非常事態の情報を取得した場合は、電源切替部121の電源切替により太陽電池電源部12bの電気を使って水生成ユニット11を稼働させる。
【0035】
また、情報取得部132が災害情報等非常事態情報を取得した場合は、制御部131は、非常事態情報をトリガーとして、水生成ユニット11の稼働情報、電源ユニット12の稼働情報、給水装置1の位置情報を含む給水装置情報を生成し、通信部133を介して外部通信ネットワークを通じて、各種端末に給水装置情報を発信する。例えば、
図5に示すように、被災者の端末に、給水装置A、B及びCの各位置を表示した地図(マップ)が表示され、被災者が、給水装置Aを選択(タップ)すると、
図6に示すように、被災者と給水装置の距離が示され、最短ルート案内の開始(スタート)ボタンが表示され、ボタンを押すとルート案内が開始される。また、被災者の端末には、各給水装置の貯水量や稼働状況(稼働中、被災して稼働不可など)が表示されてもよい。
【0036】
図7に、本発明の給水装置1を設置した施設2を示す。符号12bは太陽電池電源部である。施設は、例えば、民家、商業ビル、マンション、アパート、ショッピングモール等の商業施設、テーマパーク、劇場、体育館、スタジアム、病院、工場、店舗等がある。
【0037】
図8に、本発明の給水装置1を配置した移動体3を示す。符号12bは太陽電池電源部である。移動体は、車両(車、電車、バス、トラック等)、船舶、航空機(ドローンを含む)等がある。
図8に示す例では、コンテナの上に太陽電池電源部12bを配置し、前記コンテナ中に給水装置1を配置している。本例によれば、移動体3を被災地に移動させ、被災地で給水装置1によって水を生成することが可能であり、災害時にも活用できる。
【0038】
図9は、本発明の給水装置管理装置4が外部通信ネットワークNを介して給水装置1、サーバ134a、PC134b、スマホ134cに接続して通信可能な状態を示す。
【0039】
図10は、給水装置管理装置4の構成の一例を示すブロック図である。給水装置管理装置4は、通信部41、情報取得部42、分析部43、及び、情報出力部44を含み、通信部41は、外部通信ネットワークNを介して、給水装置1と通信可能であり、情報取得部42は、通信部41を介して給水装置1から給水情報を取得可能であり、給水情報は、水生成情報及び電力情報を含み、分析部43は、水生成情報及び電力情報に基づき、給水装置1の稼働状態を分析し、情報出力部44は、前記分析された給水装置1の稼働状態に関する稼働情報を出力する。
【0040】
図10の給水装置管理装置は、例えば、さらに、制御情報生成部45を含み、制御情報生成部45は、稼働情報及び給水装置外情報の少なくとも一方に基づき給水装置1の制御部131を制御する制御情報を生成し、通信部41を介し外部通信ネットワークNを通じて制御情報を給水装置1に送信する。例えば、稼働情報として使用電源情報、貯水量、水生成効率があり、給水装置外情報としては災害情報等の非常事態情報、気象情報、交通情報、ヒトの流れ情報がある。例えば、災害情報を取得した場合、各給水装置の貯水量の情報、ヒトの流れ情報及び交通情報から、最も被災者に適した給水装置1を選定し、選定した給水装置1に対し、太陽電池電源を用いて水生成する制御情報を送信する。制御情報は、非常事態情報をトリガーにして生成してもよい。
【0041】
給水装置管理装置4において、情報取得部42は、通信部41を介して管理者端末(サーバ、PC、スマホ等)から管理情報を取得し、制御情報生成部45は、管理情報に基づき制御情報を生成することも可能である。例えば、管理者端末から特定エリアにある給水装置1に対し、使用電源を太陽電池電源にするという制御情報である。
【0042】
給水装置管理装置4の形態は、特に制限されないが、サーバ、パーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)、スマホ、タブレット等が挙げられる。また、給水装置管理装置の各構成部41~45は、別々の装置がネットワーク(通信回線網)で接続された態様であってもよい。
【0043】
図11に、給水装置管理装置4のハードウエア構成のブロック図を例示する。本装置4は、例えば、中央演算装置(CPU,GPU等)101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置105、表示装置(ディスプレイ)106、通信デバイス107等を有する。本装置1の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0044】
中央演算装置(中央処理装置)101は、本装置4の全体の制御を担う。本装置4において、中央演算装置101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、中央演算装置101が、情報取得部42、分析部43、情報出力部44及び制御情報生成部45として機能する。また、通信デバイス107は、本発明の通信部41として機能する。
【0045】
バス103は、例えば、外部機器とも接続できる。前記外部機器は、例えば、外部記憶装置(外部データベース等)、外部ディスプレイ、プリンター等があげられる。本装置4は、例えば、バスに接続された通信デバイス107により、外部ネットワーク(通信回線網)に接続でき、外部ネットワークを介して、他の装置又は機器と接続することもできる。他の装置としては、例えば、管理者の端末、ユーザ(被災者等)の端末、及び本発明の給水装置1がある。
【0046】
本装置4は、例えば、さらに、入力装置105、ディスプレイ106を有する。入力装置105は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等である。ディスプレイ106は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等が挙げられる。
【0047】
本装置4において、メモリ102及び記憶装置104は、管理者及びユーザからのアクセス情報及びログ情報、並びに、外部データベース(図示せず)から取得した情報を記憶することも可能である。
【0048】
メモリ102は、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリ102は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。記憶装置104は、例えば、記憶媒体と、記憶媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。記憶媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置104は、例えば、記憶媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)であってもよい。
【0049】
図12に災害時における給水装置管理装置4及び給水装置1の動作を示す。まず、政府又は地方自治体等から災害が発生したことを示す情報(Jアラート、Lアラート等)がインターネットを通じて発信される。例えば、災害情報として緊急情報(災害発生、気象庁警報、災害エリア情報等)がある、給水装置管理装置4は、災害情報をトリガーとして各給水装置1の稼働情報及び位置情報を収集し、かつ制御情報を生成してインターネットNを通じて発信し、給水装置1を制御する。給水装置1は、災害情報をトリガーとして、位置情報、稼働情報、貯水量情報等をインターネットNを通じて発信する。被災者は、インターネットNを通じて給水装置1の位置情報及び稼働情報を取得し、利用する給水装置1を選定し、かつ選定した給水装置1に移動する。
【0050】
災害情報は、例えば、災害発生時刻、災害の種類、災害の規模、災害エリア、気象情報(天気、気温等)、ライフライン情報(電気、水道、ガス等)、交通情報(電車、バス、飛行機、船舶、道路情報等)、避難所情報、安否情報等がある。例えば、災害が地震の場合、地震発生時刻、地震規模、震度が大きかった地域(災害エリア)、災害エリアの気象情報、災害エリアのライフライン情報、災害エリアの交通情報、災害エリアの避難所情報、安否情報等がある。本発明において、災害は特に制限されず、地震の他の災害としては、例えば、台風、豪雨、寒波、雪崩、火山噴火、酷暑等の自然災害、大火事、大爆発、テロ、ストライキ、戦争、騒乱等の人為的な災害がある。
【0051】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や条件には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、例えば、災害発生時において電気が使用できない状態でも給水装置が稼働し、生活等に必要な水を提供することができる。このため、本発明は災害発生時において、生活水等の確保に有用であり、また、平常時では、電気代を節約して必要な水を得ることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 給水装置
2 施設
3 移動体
4 給水装置管理装置
11 水生成ユニット
12 電源ユニット
12a 電源本体部
12b 太陽電池電源部
13 制御ユニット
14 給水装置本体部